(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-01
(45)【発行日】2025-09-09
(54)【発明の名称】同調回路を備える反応器システム
(51)【国際特許分類】
C23C 16/50 20060101AFI20250902BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20250902BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20250902BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20250902BHJP
【FI】
C23C16/50
C23C16/458
H01L21/31 B
H01L21/302 101G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021076150
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2024-04-15
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 竜
(72)【発明者】
【氏名】荘司 文隆
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-244063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148119(US,A1)
【文献】国際公開第2020/028347(WO,A1)
【文献】特開2018-026331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/50
C23C 16/458
H01L 21/31
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器システム用のサセプターアセンブリであって、
サセプターの外側のエッジによって画成されるサセプター本体であって、前記サセプター本体はサセプターの外側部分とサセプターの内側部分とを備え、前記サセプターの外側部分は前記サセプターの外側のエッジ近傍にあり、前記サセプターの内側部分は少なくとも部分的に前記サセプターの外側部分内に囲まれている、サセプター本体と、
エッジ電極と、前記エッジ電極に結合する第一の共振回路とを備える第一の同調回路であって、前記エッジ電極は前記サセプター本体に結合する、第一の同調回路と、
中心電極と、前記中心電極に結合する第二の共振回路とを備える第二の同調回路であって、前記中心電極は前記サセプター本体に結合する、第二の同調回路と、を備え、
前記エッジ電極は、前記中心電極よりも前記サセプターの外側のエッジにより近接して配置
され、
前記エッジ電極の周りの電界と前記中心電極の周りの電界との差を最小にするように、前記中心電極のインピーダンスを前記エッジ電極のインピーダンスよりも低くするように前記第一の共振回路のインピーダンス及び前記第二の共振回路のインピーダンスが調整される、反応器システム用サセプターアセンブリ。
【請求項2】
前記第一の共振回路は、第一のキャパシターおよび第一のインダクターのうちの少なくとも一つを備える、請求項1に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項3】
前記第一のキャパシターは第一の調整可能な静電容量を有する、および
前記第一のインダクターは第一の調整可能なインダクタンスを有する、のうちの少なくとも一つである、請求項2に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項4】
前記第一の共振回路は、第一の別のキャパシターをさらに備える、請求項3に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項5】
前記第二の共振回路は、第二のキャパシターおよび第二のインダクターのうちの少なくとも一つを備える、請求項1に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項6】
前記第二のキャパシターは第二の調整可能な静電容量を有する、および
前記第二のインダクターは第二の調整可能なインダクタンスを有する、のうちの少なくとも一つである、請求項5に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項7】
前記第二の共振回路は、第二の別のキャパシターをさらに備える、請求項6に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項8】
前記エッジ電極は、前記サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在する、請求項1に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項9】
前記サセプターの外側部分の第二の部分に沿って延在する第二のエッジ電極をさらに備え、前記サセプターの外側部分の前記第二の部分は、前記エッジ電極が沿って延在する前記サセプターの外側部分の前記一部とは異なり、
前記第二のエッジ電極は前記第一の同調回路に含まれ、前記第一の共振回路に結合する、または、
前記第二のエッジ電極は第三の同調回路に含まれ、前記第三の同調回路の第三の共振回路に結合する、のうちの少なくとも一つである、請求項8に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項10】
前記第一の同調回路は、前記エッジ電極と前記第一の共振回路とに、それらの間で結合する第一の配線をさらに備え、および前記第二の同調回路は、前記中心電極と前記第二の共振回路とに、それらの間で結合する第二の配線をさらに備える、請求項8に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項11】
前記エッジ電極の外側のエッジは、少なくとも部分的に第一の形状を画成し、エッジ電極の空隙は前記第一の形状内に配置され、かつ少なくとも部分的に前記エッジ電極によって囲まれる、請求項8に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項12】
前記中心電極は、中心電極の外側のエッジによって画成され、前記サセプターの内側部分に配置され、およびその少なくとも一部に延在する、請求項11に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項13】
前記中心電極は、少なくとも部分的に前記エッジ電極の空隙内に配置される、請求項12に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項14】
前記エッジ電極の空隙内に少なくとも部分的に配置され、前記サセプターの内側部分の第二の部分に延在する第二の中心電極をさらに備え、前記サセプターの内側部分の前記第二の部分は、前記中心電極が延在する前記サセプターの内側部分の前記一部とは異なり、
前記第二の中心電極は前記第二の同調回路に含まれ、および前記第二の共振回路に結合する、または、
前記第二の中心電極は第三の同調回路に含まれ、前記第三の同調回路の第三の共振回路に結合する、のうちの少なくとも一つである、請求項13に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項15】
前記中心電極の外側のエッジは、少なくとも部分的に第二の形状を画成し、前記第一の形状および前記第二の形状は同心である、請求項13に記載のサセプターアセンブリ。
【請求項16】
サセプターの外側のエッジによって画成されるサセプター本体であって、前記サセプター本体はサセプターの外側部分とサセプターの内側部分とを備え、前記サセプターの外側部分は前記サセプターの外側のエッジ近傍にあり、および前記サセプターの内側部分は前記サセプターの外側部分内にある、サセプター本体と、
前記サセプター本体に結合するエッジ電極と、
前記サセプター本体に結合する中心電極と、を備え、
前記エッジ電極は、前記中心電極よりも前記サセプターの外側のエッジにより近接して配置
され、
前記エッジ電極の周りの電界と前記中心電極の周りの電界との差を最小にするように、前記中心電極のインピーダンスを前記エッジ電極のインピーダンスよりも低くするように前記中心電極のインピーダンス及び前記エッジ電極のインピーダンスが調整される、反応器システム用サセプター。
【請求項17】
前記エッジ電極は、前記サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在し、エッジ電極形状の少なくとも一部を画成し、前記エッジ電極は、エッジ電極の空隙を少なくとも部分的に囲み、
前記中心電極は、中心電極の外側のエッジによって画成され、前記中心電極は、前記サセプターの内側部分および少なくとも部分的に前記エッジ電極の空隙に配置される、請求項16に記載のサセプター。
【請求項18】
前記エッジ電極形状は第一の円形形状を含み、および前記中心電極の外側のエッジは第二の円形形状を含む、請求項
17に記載のサセプター。
【請求項19】
第一の共振回路または第二の共振回路のうちの少なくとも一つのインピーダンスを調整することと、
前記第一の共振回路の前記インピーダンスの前記調整することに応答して、前記第一の共振回路に結合する第一の電極近傍の第一の電界を調整することであって、前記第一の電極はサセプターに結合する、第一の電界を調整することと、
前記第二の共振回路の前記インピーダンスの前記調整することに応答して、前記第二の共振回路に結合する第二の電極近傍の第二の電界を調整することであって、前記第二の電極は、前記第一の電極とは異なる部分で前記サセプターに結合する、第二の電界を調整することと、を
含み、
前記第一の電極は、前記サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在し、前記サセプターの外側部分はサセプターの外側のエッジ近傍にあり、前記第二の電極は前記サセプターの内側部分に配置され、前記サセプターの内側部分は前記サセプターの外側部分内にあり、
前記第二の電極のインピーダンスを前記第一の電極のインピーダンスよりも低くすることによって、前記第一の電界と前記第二の電界との差が最小になるように、前記第一の電界及び前記第二の電界が調整される、方法。
【請求項20】
請求項1~15のいずれかに記載のサセプターアセンブリまたは請求項16~
18のいずれかに記載のサセプターを含む、反応器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、半導体処理または反応器システム、特に半導体反応器システム、およびそれに備えられる構成要素に関し、これは、反応器内の表面全体で、例えば基材上で、より均一なプロセスを促進する。
【背景技術】
【0002】
反応チャンバーは、その中の基材を処理するために使用されることができる(例えば、半導体基材上に様々な材料の層を堆積させる)。基材は、反応チャンバー内のサセプター上に配置されることができる。基材およびサセプターの両方を、所望の基材温度設定点にまで加熱してもよい。例示的な基材処理プロセスでは、一つまたは複数の反応ガスが、加熱された基材の上を通り、基材表面上に材料の薄膜の堆積を生じさせ得る。その後の堆積、ドーピング、リソグラフィー、エッチング、および他のプロセスを通して、これらの層を集積回路にすることができる。
【0003】
基材の表面上への堆積または他の処理は、所望のパターンを有してもよい。例えば、基材表面全体にわたって均一な厚さを有する基材上に堆積させる材料の層を有することが望ましい場合がある。すなわち、材料の均等な堆積が望ましい場合がある。しかし、場合によっては、基材の一部(例えば、基材の端部)での、またはその近傍での材料の堆積は、基材の別の領域(例えば、基材の中心により近接する領域)での堆積とは異なる場合がある。したがって、(例えば、基材の表面上へのより均一および/または均一な堆積を促進するために)基材の特定の領域における基材上の処理の量を調整する能力を可能にするシステムおよび方法が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、又特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図していない。
【0005】
いくつかの実施形態では、反応器システムが提供される。本明細書に開示される反応器システムは、例えば、基材上へのより均一な材料の堆積および/または基材の処理を達成するために、基材上への調整可能な材料の堆積、および/または基材の処理を可能にすることができる。
【0006】
様々な実施形態では、反応器システムは、サセプターの外側のエッジによって画成されるサセプター本体を備えるサセプターアセンブリであって、サセプター本体はサセプターの外側部分およびサセプターの内側部分を備え、サセプターの外側部分はサセプターの外側のエッジ近傍にあり、およびサセプターの内側部分は、サセプターの外側部分内に少なくとも部分的に囲まれる、サセプターアセンブリと、エッジ電極、およびエッジ電極に結合する第一の共振回路を備える第一の同調回路であって、エッジ電極はサセプター本体に結合する、第一の同調回路と、中心電極、および中心電極に結合する第二の共振回路を備える第二の同調回路であって、中心電極はサセプター本体に結合する、第二の同調回路と、を備える。エッジ電極は、中心電極よりもサセプターの外側のエッジにより近接して配置されてもよい。様々な実施形態では、第一の共振回路は、第一のキャパシターおよび/または第一のインダクターを備えてもよい。様々な実施形態では、第一のキャパシターは、第一の調整可能な静電容量を有してもよく、および/または第一のインダクターは、第一の調整可能なインダクタンスを有してもよい。様々な実施形態では、第一の共振回路は、第一の別のキャパシターをさらに備えてもよい。様々な実施形態では、第二の共振回路は、第二のキャパシターおよび/または第二のインダクターを備えてもよい。様々な実施形態では、第二のキャパシターは、第二の調整可能な静電容量を有してもよく、および/または第二のインダクターは、第二の調整可能なインダクタンスを有してもよい。様々な実施形態では、第二の共振回路は、第二の別のキャパシターをさらに備えてもよい。
【0007】
様々な実施形態では、エッジ電極は、サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在してもよい。様々な実施形態では、サセプターアセンブリは、サセプターの外側部分の第二の部分に沿って延在する第二のエッジ電極をさらに備えてもよい。サセプターの外側部分の第二の部分は、エッジ電極が沿って延在するサセプターの外側部分の一部とは異なっていてもよい。様々な実施形態では、第二のエッジ電極は、第一の同調回路に含まれ、第一の共振回路に結合することができ、および/または第二のエッジ電極は、第三の同調回路に含まれ、第三の同調回路の第三の共振回路に結合することができる。様々な実施形態では、第一の同調回路は、エッジ電極と第一の共振回路とに、それらの間で結合する第一の配線をさらに備えることができ、および/または第二の同調回路は、中心電極と第二の共振回路とに、それらの間で結合する第二の配線をさらに備えることができる。様々な実施形態では、エッジ電極の外側のエッジは、少なくとも部分的に第一の形状を画成してもよく、エッジ電極の空隙は、第一の形状内に配置され、かつ少なくとも部分的にエッジ電極によって囲まれてもよい。
【0008】
様々な実施形態では、中心電極は、中心電極の外側のエッジによって画成されてもよく、サセプターの内側部分の少なくとも一部に配置されてもよく、少なくとも一部に延在してもよい。中心電極は、少なくとも部分的にエッジ電極の空隙内に配置されてもよい。様々な実施形態では、サセプターアセンブリは、少なくとも部分的にエッジ電極の空隙内に配置され、サセプターの内側部分の第二の部分に延在する第二の中心電極をさらに備えることができ、サセプターの内側部分の第二の部分は、中心電極が延在するサセプターの内側部分の部分とは異なる場合がある。様々な実施形態では、第二の中心電極は、第二の同調回路を含まれ、第二の共振回路に結合することができ、および/または第二の中心電極は、第三の同調回路に含まれ、第三の同調回路の第三の共振回路に結合することができる。様々な実施形態では、中心電極の外側のエッジは、少なくとも部分的に第二の形状を画成することができる。様々な実施形態では、第一の形状および第二の形状は同心であってもよい。
【0009】
様々な実施形態では、反応器システム用のサセプターは、サセプターの外側のエッジによって画成されるサセプター本体であって、サセプター本体はサセプターの外側部分とサセプターの内側部分とを備え、サセプターの外側部分はサセプターの外側のエッジに近接してもよく、サセプターの内側部分はサセプターの外側部分内にあってもよい、サセプター本体と、サセプター本体に結合するエッジ電極と、および/またはサセプター本体に結合する中心電極と、を備えてもよい。エッジ電極は、中心電極よりもサセプターの外側のエッジにより近接して配置されてもよい。様々な実施形態では、エッジ電極の第一のインピーダンスは調整可能であってもよく、および/または中心電極の第二のインピーダンスは調整可能であってもよい。様々な実施形態では、エッジ電極は、サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在し、エッジ電極形状の少なくとも一部を画成し、エッジ電極は、エッジ電極の空隙を少なくとも部分的に囲む。中心電極は、中心電極の外側のエッジによって画成されてもよく、中心電極は、サセプターの内側部分および少なくとも部分的にエッジ電極の空隙に配置されてもよい。様々な実施形態では、エッジ電極形状は第一の円形形状であってもよく、および/または中心電極外側のエッジは第二の円形形状であってもよい。
【0010】
様々な実施形態では、方法は、第一の共振回路または第二の共振回路のうちの少なくとも一つのインピーダンスを調整することと、第一の共振回路のインピーダンスを調整することに応答して、第一の共振回路に結合する第一の電極近傍の第一の電界を調整することであって、第一の電極はサセプターに結合する、第一の電界を調整することと、および/または第二の共振回路のインピーダンスを調整することに応答して、第二の共振回路に結合する第二の電極近傍の第二の電界を調整することであって、第二の電極は第一の電極とは異なる部分でサセプターに結合してもよい、第二の電界を調整することと、を含む。様々な実施形態では、第一の電極は、サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在してもよく、サセプターの外側部分は、サセプターの外側のエッジに近接する。第二の電極は、サセプターの内側部分に配置されてもよく、サセプターの内側部分は、サセプターの外側部分内にあってもよい。
【0011】
本開示、および先行技術を超えて達成される利点を要約する目的で、本開示のいくつかの特定の目的および利点が本明細書において上記に説明されている。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本開示の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば、本明細書で教示または示唆され得る通りの他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示または示唆される通りの一つの利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書に開示される実施形態が実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0012】
これらの実施形態の全ては、本開示の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなり、本開示は、論じられるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0013】
本明細書は、本開示の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の説明から、より容易に解明され得る。図面全体にわたって同様の要素番号が付けられている要素は、同じであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、様々な実施形態による、例示的な反応器システムの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、様々な実施形態による、サセプターがより低い位置に配置された例示的な反応チャンバーの概略図である。
【
図2B】
図2Bは、様々な実施形態による、サセプターが上昇位置に配置された例示的な反応チャンバーの概略図である。
【
図3】
図3は、様々な実施形態による、電極を備えるサセプターの断面図である。
【
図4】
図4は、様々な実施形態による、サセプターに結合し、および/またはサセプター内に配置されるように構成される電極の上面図である。
【
図5】
図5は、様々な実施形態による、反応器システム内の基材を処理するための方法である。
【
図6】
図6A~6Dは、様々な実施形態による、サセプター上の基材の上の電界を例示するプロットであり、サセプターは、エッジ電極および中心電極を備え、エッジ電極および中心電極のインピーダンスレベルは変動する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本開示が具体的に開示する本開示の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0016】
本明細書に示される図は、任意の特定の材料、装置、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態について記載するために使用される、単なる表現にすぎない。
【0017】
本明細書で使用する用語「基材」は、使用される場合がある、またはその上にデバイス、回路もしくはフィルムが形成される場合がある、あらゆる下層材料または複数の下層材料を指してもよい。
【0018】
本明細書で使用する用語「原子層堆積」(ALD)は、堆積サイクル、好ましくは複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。典型的には、各サイクルの間、前駆体は、堆積表面(例えば、基材の表面または以前に堆積させた下地の表面、例えば、以前のALDサイクルを用いて堆積させた材料など)に化学吸着し、追加の前駆体と容易に反応しない単層またはサブ単層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、必要に応じて、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)をその後プロセスチャンバー内に導入することができる。典型的には、この反応物質は前駆体とさらに反応することができる。更に、各サイクル中にパージ工程も利用して、化学吸着された前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去する、ならびに/または過剰の反応物質および/もしくは反応副生成物をプロセスチャンバーから除去することができる。更に、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語は、関連する用語、例えば、「化学蒸着原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、ならびに前駆体組成物、反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシー等、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0019】
本明細書で使用する用語「化学蒸着」(CVD)は、基材を一つ以上の揮発性前駆体に曝し、その前駆体が基材表面上で反応および/または分解して所望の堆積物を生成する、任意のプロセスを指すことができる。
【0020】
本明細書で使用される用語「膜」および「薄膜」は、本明細書に開示される方法により堆積させた任意の連続的または非連続的な構造体および材料を指すことができる。「膜」および「薄膜」としては、例えば、2D材料、ナノロッド、ナノチューブもしくはナノ粒子、または平坦な部分的なもしくは完全な分子層、または部分的なもしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスタ、を挙げることができる。「膜」および「薄膜」は、ピンホールを有する材料または層を含み得るが、それでも少なくとも部分的に連続している。
【0021】
本明細書で使用される場合、「汚染物」という用語は、反応チャンバー内に配置された基材の純度に影響を与え得る、反応チャンバー内に配置された任意の望ましくない材料を指し得る。「汚染物」という用語は、反応チャンバー内に配置された、望ましくない堆積物、金属および非金属粒子、不純物、および廃棄物を指し得るが、これらに限定されない。
【0022】
ALD、CVD、および/または同類のものに使用される反応器システムは、基材表面への材料の堆積およびエッチングを含む、様々な用途に使用され得る。様々な実施形態では、
図1を参照すると、反応器システム50は、反応チャンバー4、処理中に基材30を保持するサセプター6、一つまたは複数の反応物質を基材30の表面に分配するためのガス分配システム8(例えば、シャワーヘッド)、ライン16~20およびバルブもしくはコントローラー22~26を介して反応チャンバー4に流体連結された、一つまたは複数の反応物質源10、12、ならびに/またはキャリアおよび/もしくはパージガス源14を備え得る。システム50はまた、反応チャンバー4に流体連結された真空源28を備えてもよい。
【0023】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、本開示の実施形態は、反応器システム100内の基材を処理するために利用されることができる反応器システムおよび方法を含むことができる。様々な実施形態では、反応器システム100は、基材を処理するための反応チャンバー110を備えてもよい。様々な実施形態では、反応チャンバー110は、一つまたは複数の基材を処理するように構成され得る反応空間112(すなわち、上部チャンバー)、および/または下部チャンバー空間114(すなわち、下部チャンバー)を備えてもよい。下部チャンバー空間114は、反応チャンバーからの基材の装填および取り出しのために、および/または下部チャンバー空間114と反応空間112との間に圧力差を提供するために構成され得る。
【0024】
様々な実施形態では、反応空間112および下部チャンバー空間114は、反応チャンバー110内に配置されたサセプター130によって分離され得る。様々な実施形態では、反応空間112および下部チャンバー空間114は、実質的に流体的に分離されてもよく、または互いに隔離されてもよい。例えば、サセプター130は、サセプター130と、サセプター130のサセプター外側のエッジ132に近接して配置される反応チャンバー110のチャンバー側壁111との間に、少なくとも部分的なシール(すなわち、少なくとも流体の流れを制限する)を形成することによって、反応空間112と下部チャンバー空間114とを流体的に分離することができる。すなわち、サセプター130とチャンバー側壁111との間の空間108は、サセプター130とチャンバー側壁111との間の流体移動がほとんどまたは全くないように、最小化または排除され得る。
【0025】
様々な実施形態では、サセプター130とチャンバー側壁111との間の流体の流れを防止または低減するために、一つまたは複数のシール部材(例えば、シール部材129)は、サセプター130から(例えば、サセプター外側のエッジ132から)、および/または反応チャンバー110のチャンバー側壁111から他方へと延在してもよく、サセプター130とチャンバー側壁111との間に少なくとも部分的なシール(すなわち、流体の流れを制限または防止する)を形成してもよい。下部チャンバー空間114からの反応空間112の少なくとも部分的なシールは、基材150の処理において利用される前駆体ガスおよび/または他の流体が、反応チャンバー110の下部チャンバー空間114に入り込む、および/または接触するのを防止または低減するのが望ましい場合がある。例えば、反応空間内の基材を処理するために利用される前駆体ガスは、下部チャンバー空間114と接触して望ましくない堆積物/汚染物質/粒子を生成し、これが次いで反応空間112に再導入され、それによって反応空間内に配置された基材に汚染源を提供し得る、腐食性堆積前駆体を含む可能性がある。
【0026】
様々な実施形態では、サセプター130と反応チャンバー110のチャンバー側壁111との間に延在するシール部材129、および/またはサセプター130と反応チャンバー110のチャンバー側壁111との間の直接接触によって形成される少なくとも部分的なシールが、空間108を介して反応空間112と下部チャンバー空間114との間の流体連通を制限するか、または実質的に阻止し得るものの、少量の前駆体ガスは、拡散によって下部チャンバー空間114に入ることが依然として可能であり、これが反応器システムの反応チャンバーの下部チャンバー内に、腐食、望ましくない堆積、および汚染物質をもたらす可能性がある。
【0027】
様々な実施形態では、サセプター130は、一つまたは複数のピン穴137を備えてもよい。各ピン穴137は、サセプター130のトップ面(例えば、基材150が処理のために配置され得る基材支持面135)からサセプター130の底面136まで、サセプター130を貫通し得る。サセプターのトップ面(例えば、基材支持面135)は、反応チャンバー110の反応空間112に近接するサセプター130の表面であってもよい。サセプター底面136は、反応チャンバー110の下部チャンバー空間114に近接するサセプター130の表面であってもよい。ピン穴137に配置されたリフトピンがない場合、反応空間112および下部チャンバー空間114は、ピン穴137を介して互いに流体連通し得る。すなわち、ピン穴137は、反応空間112および下部チャンバー空間114と流体連通し得る。
【0028】
リフトピン140(または他の類似の物体)は、各ピン穴137内に配置され得る。各リフトピンは、ピン穴137内に配置される場合に、ピン穴137の少なくとも一部分を貫通するように構成されるリフトピン本体を備えてもよい。リフトピン本体は、ピン穴137の断面形状に相補的な断面形状であることができる。様々な実施形態では、各リフトピンのピンのトップ面は、基材150と接触して、サセプター130に対して基材150を動かすように構成されることができる。例えば、リフトピン140は、サセプター130に対して基材150を上下に移動させることができる(すなわち、基材150とサセプター130との間の空間を増加または減少させる)。リフトピン上に基材を配置することは、例えば、チャンバー側壁の開口部(例えば、開口部98)を通して、反応チャンバーから基材を容易に装填または取り出すことができる。
【0029】
考察されるように、基材150およびサセプター130は、互いに対して移動可能であってもよい。例えば、様々な実施形態では、一つまたは複数のリフトピン140は、基材150をサセプター130から分離させ、基材150をサセプター130と接触して配置させる(すなわち、サセプター130によって支持される)ように構成されることができる。様々な実施形態では、サセプター130は、例えば、サセプターエレベーター104により、サセプター130が基材150に対して動くように、上下に移動することができる。様々な実施形態では、リフトピン140は、例えば、基材150が130サセプターに対して移動するように、リフトピンエレベーター/プラットフォーム142により上下に移動することができる。様々な実施形態では、サセプター130および/またはリフトピン140は、他方が移動している間、静止していてもよい。様々な実施形態では、サセプター130および/またはリフトピン140は、他方に対して移動するように構成されてもよい。
【0030】
様々な実施形態では、反応器システムは、サセプター(例えば、サセプター130)を備えてもよい。基材(例えば、基材150)は、処理のためにサセプターのトップ上(例えば、サセプター130の基材支持面135上)に直接配置されてもよい。様々な実施形態では、サセプターのトップ面は、基材支持面135と同じ平面上に配置されてもよい。様々な実施形態では、基材支持面は、サセプターのトップ面に凹部が存在するように、サセプター内に凹部を形成してもよい。基材支持面135を含む凹部は、基材150の高さの少なくとも一部が凹部内に配置されるような高さを備えてもよい。凹部は、基材が基材支持面上、および凹部内に配置される場合、基材のトップ面がサセプターのトップ面と同一平面になるように高さを備えてもよい。
【0031】
様々な実施形態では、基材150がリフトピン140上に配置されると、サセプター130は、装填位置103から処理位置106に移動し、このような移動中に基材150を受け取ることができる。このような実施形態では、リフトピン140のピン上端部および/またはピンヘッドもしくはトップ面は、ピン穴137(
図3のピン穴337)によって収容されてもよく、したがって、基材150はサセプター130に直接接触してもよい。様々な実施形態では、基材150がリフトピン140上に配置されると、リフトピン140は、サセプター130内に下方に移動することができ、その結果、基材150がサセプター130によって受け取られる(すなわち、基材150が基材支持面135上に置かれる)。それに応じて、ピン上端部(例えば、リフトピン300のピン上端部310)は、基材支持面135と同一平面および/または基材支持面135の下であってもよい。基材150は、その後、反応チャンバー内で処理され得る。
【0032】
サセプター上の基材の処理中、電界は、サセプターの一つまたは複数の部分で、またはその周りで形成されることができる。理論に拘束されるものではないが、サセプターの様々な部分の近傍の電界の違いにより、サセプターのこのような部分において、基材の処理が異なる可能性がある。例えば、堆積プロセス(例えば、ALD)中、サセプターのエッジ部近傍の電界とサセプターの中心部近傍の電界の違いにより、エッジ部近傍の基材上とサセプターの中心部近傍の基材上において異なる材料堆積を引き起こす可能性がある。
【0033】
様々な実施形態では、反応器は、反応器内のサセプターの一つまたは複数の部分における、またはその周りの電界の調整を可能にするための一つまたは複数の同調回路を備えてもよい。同調回路は、サセプターに結合してもよい。様々な実施形態では、同調回路は、電極と、電極に結合する共振回路とを備えてもよい。同調回路の電極は、反応器のサセプターに結合し、および/または反応器のサセプター内に配置されてもよい。電極は、電流が電極から共振回路に流れることができるように、例えば配線(例えば金属配線)によって共振回路に電気的に結合することができる。共振回路は接地されていてもよい。
【0034】
様々な実施形態では、共振回路は、少なくとも一つのキャパシターおよび/または少なくとも一つのインダクターを備えてもよい。共振回路は、固定静電容量のキャパシター、および/または可変静電容量のキャパシターを備えることができる。同様に、共振回路は、固定インダクタンスのインダクター、および/または可変インダクタンスのインダクターを備えてもよい。サセプターに結合する各共振回路は、キャパシターおよびインダクターによって生じるインピーダンスレベルを含むことができる。共振回路のインピーダンスレベルは、例えば、キャパシターの静電容量および/またはインダクターのインダクタンスの調整によって調整可能であってもよい。
【0035】
様々な実施形態では、同調回路の電極は、電極がサセプターの特定の部分(例えば、サセプターの基材支持面の特定の部分)を占有、それに延在、および/またはそれの近傍にあるように、サセプターと結合してもよく、またはサセプター内に備えられてもよい。反応器は、サセプターに結合する、またはサセプター内に備えられる複数の電極を備えてもよく、電極は、サセプターの様々な部分および/またはサセプターの基材支持面の様々な部分に延在する、またはそこに、もしくはその近傍に配置されてもよい。電極は、同じ平面(例えば、基材の基材支持面と近傍の、隣接する、平行な、および/または近接する平面)に沿って延在することができる。電極は、電極が沿って延在する面が、サセプター本体内のサセプターの基材支持面から約0.1センチメートル(cm)離れるように、サセプター内に配置されてもよい(これに関して「約」はプラスマイナス0.05cmを意味する)。
【0036】
第一の同調回路の第一の電極は、サセプターまたはサセプターの基材支持面の外側(すなわち、エッジ)部分にある、もしくは近接していてもよく、第二の同調回路の第二の電極は、サセプターまたはサセプター基材支持面の内側(すなわち、中央)部分にある、もしくはその近傍にあってもよい。別の実施例として、サセプターまたはサセプター基材支持面は、四分円または部分に分割されてもよく、それぞれの同調回路の電極は、サセプターまたはサセプター基材支持面の各四分円または部分に配置されてもよく、もしくはその近傍に配置されてもよく、またはそれに沿って延在してもよい。各電極は、それぞれの共振回路に結合してもよい。
【0037】
図2Aおよび2Bを参照すると、反応器システム100は、第一の同調回路200Aおよび第二の同調回路200Bを備えることができる。第一の同調回路200Aは、第一の共振回路250Aに結合する第一の電極(エッジ電極210)を備えてもよい。エッジ電極210および第一の共振回路250Aは、電流がエッジ電極210と第一の共振回路250Aとの間で流れることができるように、例えば、ワイヤ215によって電気的に結合していてもよい。エッジ電極210は、サセプター130に結合し、および/またはサセプター130内(すなわち、サセプター130のサセプター本体内)に備えられてもよい。様々な実施形態では、エッジ電極は、サセプター130の本体内に少なくとも部分的に囲まれてもよく、サセプターの基材支持面(基材支持面135)と近傍もしくは隣接、近接していてもよく、またはそれに沿って延在してもよい。エッジ電極は、サセプターの外側部分の少なくとも一部に沿って延在してもよい。例えば、エッジ電極210は、サセプター130の外側部分に、または近傍に配置され、および少なくとも部分的にそれに沿って延在することができる。別の例として、
図3をさらに参照すると、エッジ電極310(エッジ電極210の実施例)は、サセプター330の外側部分333に配置されてもよい。サセプターの外側部分は、サセプターの内側部分または中央部分よりもサセプターの外側のエッジにより近い部分であることができる。(例えば、サセプター130のより近接する外側のエッジ132、またはサセプター330の外側のエッジ332)。例えば、サセプターの外側部分は、サセプターの外側のエッジに沿って、または近傍に延在する部分であってもよく、サセプターの外側のエッジからサセプターの中心に向かう(すなわち、円形のサセプター上で、外側のエッジから始まりサセプターの中心に向かって延在するサセプターの半径に沿って)距離の、例えば、約6分の1、5分の1、4分の1、3分の1、半分、または半分より大きくてもよい。
【0038】
エッジ電極(例えば、エッジ電極210または310)は、外側のエッジ(例えば、エッジ電極310の外側のエッジ314)によって画成されてもよい。エッジ電極の外側のエッジは、第一の形状を少なくとも部分的に画成することができる。例えば、エッジ電極310の外側のエッジ314は、円を画成する。別の例として、
図4を参照すると、四つのエッジ電極410A~410Dのそれぞれの外側のエッジ(それぞれ、外側のエッジ414A~414D)は、部分的に円を画成する。エッジ電極の外側のエッジによって少なくとも部分的に画成される形状は、任意の好適な形状(例えば、円、正方形、矩形、楕円形、六角形等)であってもよい。
【0039】
様々な実施形態では、エッジ電極の内側の境界は、エッジ電極の内側のエッジ(例えば、エッジ電極310の内側のエッジ312)によって画成されてもよい。エッジ電極本体は、内側のエッジと外側のエッジとの間に延在することができる。エッジ電極の内側のエッジは、第二の形状を少なくとも部分的に画成することができる。例えば、エッジ電極310の内側のエッジ312は、円を画成する。エッジ電極の内側のエッジによって少なくとも部分的に画成される第二の形状は、エッジ電極の空隙を画成してもよい。エッジ電極の空隙は、エッジ電極および/またはエッジ電極の内側のエッジによって少なくとも部分的に囲まれてもよい。エッジ電極の空隙は、エッジ電極の外側のエッジによって画成される第一の形状内に、および/またはエッジ電極の内側のエッジによって画成される第二の形状内に配置されてもよい。例えば、エッジ電極310の内側のエッジ312は、エッジ電極の空隙317を画定してもよく、そしてそれはエッジ電極310によって囲まれる。同様に、エッジ電極の空隙317は、エッジ電極310の外側のエッジ314によって画成される第一の形状内に、および/またはエッジ電極310の内側のエッジ312によって画成される第二の形状内に配置されることができる。別の例として、
図4を参照すると、四つのエッジ電極410A~410Dのそれぞれの内側のエッジ(それぞれ、内側のエッジ412A~412D)は、部分的に形状(円)を画成する。エッジ電極の空隙(例えば、エッジ電極の空隙417)は、エッジ電極410A~410Dのそれぞれ、および/またはエッジ電極410A~410Dのそれぞれの内側のエッジ412A~412Dのそれぞれによって、少なくとも部分的に囲まれてもよい。エッジ電極の空隙417は、エッジ電極410A~410Dの外側のエッジ414A~414Dによって部分的に画成される形状内に、および/またはエッジ電極410A~410Dの内側のエッジ412A~412Dによって画成される形状内に配置されることができる。エッジ電極の内側のエッジによって少なくとも部分的に画成される形状は、任意の好適な形状(例えば、円、正方形、矩形、楕円形、六角形等)であってもよい。
【0040】
様々な実施形態では、エッジ電極本体は、外側のエッジ(例えば、外側のエッジ314)と内側のエッジ(例えば、内側のエッジ312)との間に任意の好適な長さで延在してもよい。エッジ電極本体は、例えば、約2センチメートル(cm)、4cm、7cm、または10cm(これに関して「約」はプラスマイナス1cmを意味する)の外側のエッジと内側のエッジとの間の長さで延在してもよい。エッジ電極の外側のエッジと内側のエッジとの間の長さは、(エッジ電極310によって示されるように)一定または可変であってもよい。
【0041】
様々な実施形態では、エッジ電極の外側のエッジが、サセプターの外側のエッジによって画成される形状(またはサセプターの基材支持面によって画成される形状)よりもさらに突出するように、エッジ電極の外側のエッジは、サセプターの外側のエッジ(またはサセプターの基材支持面の外側のエッジ)の(エッジ電極またはサセプター形状によって画成される形状の中心点に対して)半径方向外向きであってもよい。様々な実施形態では、エッジ電極の外側のエッジは、サセプターの外側のエッジ(またはサセプターの基材支持面)と同一平面であってもよい。様々な実施形態では、サセプターの外側のエッジ、またはサセプターの基材支持面の外側のエッジが、エッジ電極の外側のエッジよりもさらに半径方向外向きに配置されるように、エッジ電極(例えば、エッジ電極310)の外側のエッジ(例えば、外側のエッジ314)は、サセプターの外側のエッジ(サセプター外側のエッジ332)の、またはサセプターの基材支持面の外側のエッジの半径方向内向きであってもよい。
【0042】
様々な実施形態では、任意の好適な数の電極は、サセプターの特定の部分にもしくは近傍に配置されてもよく、またはそれに結合してもよい。すなわち、一つの電極は、サセプターの任意の好適な部分に結合および/または部分内に配置されてもよく、サセプターまたはサセプターの基材支持面のそれぞれの部分に延在または占有してもよい。別の電極は、サセプターの別の好適な部分に同様に結合および/または配置されてもよく、サセプターまたはサセプターの基材支持面の別のそれぞれの部分に延在または占有してもよく、それは第一の電極によって占められる別の部分である。様々な実施形態では、このような電極は、同じ平面に沿って延在することができる。例えば、サセプター330の外側部分333は、半分、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1等に分割されてもよく、エッジ電極は、サセプターの外側部分の各部分に、もしくは近傍に配置されるか、またはそれに結合する。例えば、
図4に示すように、サセプターの外側部分は、4分割され、エッジ電極410A~410Dのうちの一つは、サセプターの各4分の1に、もしくは近傍に配置されるか、またはそれに結合する。サセプターの外側部分を占めるエッジ電極、またはサセプターの基材支持面は、中心点の周りに配置され、互いに等距離であってもよい。様々な実施形態では、エッジ電極は、互いに隣接しているか、またはそれらは離間していてもよい。様々な実施形態では、エッジ電極(例えば、エッジ電極410A~410C)は、任意の好適な距離、例えば、約0.1cm、0.5cm、1.0cm、または3.0cm(これに関して「約」は、プラスマイナス0.1cmを意味する)だけ互いに離間していてもよい。サセプターの外側部分に配置される分割電極(例えば、エッジ電極410A~410D)は、任意の適切な配置、例えば列、行、および/またはグリッドパターンを備えてもよい。
【0043】
様々な実施形態では、第二の同調回路200Bは、第二の共振回路250Bに結合する第二の電極(中心電極220)を備えてもよい。第二の同調回路200Bの第二の電極は、第一の電極とは異なるサセプター130の部分および/もしくはサセプター支持面135の部分に、またはそれらの近傍に配置されてもよい。中心電極220および第二の共振回路250Bは、例えば、配線235によって電気的に結合することができ、その結果、電流は、中心電極220と第二の共振回路250Bとの間を流れることができる。中心電極220は、サセプター130に結合し、および/またはサセプター130内に(すなわち、サセプター130のサセプター本体内に)備えられてもよい。様々な実施形態では、中心電極は、サセプターの本体内に少なくとも部分的に囲まれてもよく、サセプターの基材支持面(基材支持面135)に近傍、もしくは隣接、近接してもまたは平行に延在してもよい。中心電極は、エッジ電極と同じ平面に沿って延在してもよい。
【0044】
様々な実施形態では、中心電極は、サセプターの内側部分の少なくとも一部に沿って延在してもよい。例えば、中心電極220は、サセプター130の内側部分に配置されるか、またはその近傍に配置されてもよい。別の例として、
図3をさらに参照すると、中心電極320(中心電極220の実施例)は、サセプター330の内側部分331に配置されてもよい。サセプターの内側部分は、サセプターの外側部分よりもサセプターの中心により近接する部分であってもよい。例えば、サセプターの外側部分は、本明細書で説明するように、サセプターの外側部分(例えば、外側部分333)内に延在する部分、またはそれによって少なくとも部分的に囲まれる部分であってもよく、例えば、サセプターの中心からサセプターの外側のエッジまでの約半分、2/3、3/4、4/5、5/6、またはそれ以上の長さであってもよい(例えば、円形サセプターでは、このような距離は、サセプターの中心からの半径方向の距離になる)。
【0045】
中心電極(例えば、中心電極220または320)は、外側のエッジ(例えば、中心電極320の外側のエッジ334)によって画成されてもよい。中心電極の外側のエッジは、第一の形状を少なくとも部分的に画成してもよい。例えば、中心電極320の外側のエッジ324は円を画成する。別の例として、
図4を参照すると、四つの中心電極420A~420Dのそれぞれの外側のエッジ(それぞれ、外側のエッジ424A~424D)は、部分的に円を画成する。中心電極の外側のエッジによって少なくとも部分的に画成される形状は、任意の好適な形状(例えば、円形、正方形、矩形、楕円形、六角形など)であってもよい。
【0046】
本明細書で説明されるエッジ電極と同様に、様々な実施形態では、任意の好適な数の電極は、サセプターの特定の部分に、もしくは近傍に配置されてもよく、またはそれに結合してもよい。例えば、サセプター330の内側部分331は、半分、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1等に分割されてもよく、中心電極は、サセプターの外側部分の各部分に、もしくは近傍に配置されるか、またはそれに結合する。例えば、
図4に示すように、サセプターの内側部分は、4分割され、中心電極420A~420Dのうちの一つは、サセプターの各4分の1に、もしくは近傍に配置されるか、それに結合するか、またはそれに沿って延在する。サセプターの内側部分を占める中心電極、またはサセプターの基材支持面は、中心点の周りに配置され、互いに等距離であってもよい。中心電極は、互いに隣接しているか、またはそれらは離間していてもよい。様々な実施形態では、中心電極(例えば、中心電極420A~420C)は、任意の好適な距離、例えば、約0.1cm、0.5cm、1.0cm、または3.0cm(これに関して「約」は、プラスマイナス0.1cmを意味する)だけ互いに離間していてもよい。サセプターの内側部分に配置される分割電極(例えば、中心電極420A~420D)は、任意の好適な配置、例えば列、行、および/またはグリッドパターンを備えてもよい。
【0047】
様々な実施形態では、中心電極(例えば、中心電極220または320)は、エッジ電極(例えば、エッジ電極210または310)の外側のエッジまたは内側のエッジによって少なくとも部分的に画成される形状内に少なくとも部分的に配置されてもよい。様々な実施形態では、中心電極(例えば、中心電極220または320)は、少なくとも部分的にエッジ電極の空隙(例えば、エッジ電極の空隙317)内に配置されてもよい。中心電極とエッジ電極との間に空間があってもよい。例えば、
図3を参照すると、エッジ電極310の内側のエッジ312は、中心電極320の外側のエッジ324から離間してもよい。様々な実施形態では、エッジ電極は、任意の好適な距離、例えば、約0.1cm、0.5cm、1.0cm、または3.0cm(これに関して「約」は、プラスマイナス0.1cmを意味する)だけ中心電極から離間されてもよい。様々な実施形態では、中心電極およびエッジ電極は互いに隣接してもよい。
【0048】
サセプター内に配置されるまたはサセプターに結合する電極は、任意の好適な構成または配置で配置されてもよい。様々な実施形態では、エッジ電極の内側のまたは外側のエッジによって画成される形状は、中心電極の外側のエッジによって画成される形状と同心であってもよい。例えば、
図3に例示するように、エッジ電極310の外側のエッジ314および内側のエッジ312によって画成される形状は、中心電極320の外側のエッジ324によって画成される形状と同心であってもよい。エッジ電極310および中心電極320の場合と同様に、エッジ電極および中心電極は同心であってもよい。様々な実施形態では、中心電極は、エッジ電極の空隙と同様に、それを通る空隙を備えてもよい。中心電極の空隙は、中心電極を通る任意の好適な位置に配置されてもよい。様々な実施形態では、中心電極の半径方向外側に配置される二つ以上の電極が存在してもよい。例えば、互いに半径方向内側に配置される三つ以上の電極があってもよい。別の例として、三つ以上の電極は、同心円形状を画定してもよい。様々な実施形態では、サセプターに結合するおよび/またはサセプター内に配置される電極は、他の配置、例えばサセプターの一つまたは複数の部分における電極の行、列、グリッド、および/またはランダムな配置を備えてもよい。
【0049】
様々な実施形態では、反応器内の各同調回路は、共振回路を備えてもよい。共振回路は、一つまたは複数の電極に結合してもよい。例えば、共振回路250Aは、エッジ電極210(またはエッジ電極310)に結合してもよい。同様に、共振回路は、一つまたは複数のエッジ電極410A~410Bに結合することができ、またはエッジ電極410A~410Bのそれぞれは、一つまたは複数の共振回路に結合することができる。別の例として、共振回路250Bは、中心電極220(または中心電極320)に結合することができる。同様に、共振回路は、一つまたは複数の中心電極420A-420Bに結合してもよく、または中心電極420A~420Bのそれぞれは、一つまたは複数の共振回路に結合してもよい。共振回路は、金属または金属合金を含んでもよい配線(例えば、配線215または235)によって、同調回路内の電極に結合してもよい。様々な実施形態では、共振回路を電極に結合する配線は、配線の少なくとも一部に沿って誘電体材料を含んでもよい。例えば、共振回路を電極に結合する配線は、共振回路近傍のおよび/またはそれに隣接する配線の一部に沿って配置される誘電体材料を含んでもよい。
【0050】
同調回路の各共振回路は、インダクターおよび/またはキャパシターを備えてもよい。インダクターは、任意の好適なインダクターであってもよい。キャパシターは、任意の好適なキャパシターであってもよい。様々な実施形態では、インダクターは、例えば1ナノヘンリー(nH)~1マイクロヘンリー(μH)までの任意の好適なレベルのインダクタンスを備えてもよい。様々な実施形態では、キャパシターは、例えば、0.1ピコファラド(pF)~1マイクロファラド(μF)までの任意の好適なレベルの静電容量を備えてもよい。
【0051】
様々な実施形態では、同調回路内の共振回路は、一つまたは複数のインダクターおよび/または一つまたは複数のキャパシターを備えてもよい。インダクターおよび/またはキャパシターは、任意の好適な配置に配置されてもよい。例えば、インダクターおよび/またはキャパシターは、他のいずれのインダクターおよび/またはキャパシターと直列または並列であってもよい。
図2Aおよび2Bに示すように、共振回路250Aおよび250Bはそれぞれ、インダクター(例えば、共振回路250Aにはインダクター254A、および共振回路250Bにはインダクター254B)、ならびにキャパシター(例えば、共振回路250Aにはキャパシター252A、および共振回路250Bにはキャパシター252B)を備える。さらに、共振回路250Aおよび250Bはそれぞれ別のキャパシター(例えば、共振回路250Aには別のキャパシター256A、および共振回路250Bには別のキャパシター256B)を備えてもよい。様々な実施形態では、少なくとも一つのインダクターおよび/またはキャパシターは調整可能であってもよく、それにより共振回路のインピーダンスを調整可能にすることができる。
図2Aおよび2Bに示すように、共振回路250Aの別のキャパシター256A、および共振回路250Bの別のキャパシター256Bは調整可能である。
【0052】
同調回路の共振回路は、反応器または反応器システムの任意の好適な位置に配置されることができる。例えば、共振回路(例えば、
図2Aおよび2Bの共振回路250Aおよび250B)は、反応器および反応チャンバー(例えば、反応チャンバー110)の外部にあってもよい。様々な実施形態では、共振回路は、反応器および/または反応チャンバーに備えられてもよい。配線(例えば、配線215および235)は、共振回路を、反応チャンバーおよび/またはサセプターに備えられるそれぞれの電極に接続することができる。様々な実施形態では、共振回路が電極と接地との間で結合するように、共振回路は接地に結合することができる。例えば、
図2Aおよび2Bに示すように、共振回路250Aは、接地257Aに結合することができ、共振回路250Bは、接地257Bに結合することができる。
【0053】
基材処理中(例えば、原子層堆積中、化学気相堆積(CVD)中等)、電子が分配システム(例えば、シャワーヘッド180)からサセプターに移動する場合に、電界は、サセプター(例えば、サセプター130)およびサセプター基材支持面(例えば、基材支持面135)の周りに形成されることができる。本明細書で説明するように、サセプターまたはサセプター基材支持面の異なる部分の周りの電界は異なってもよく、異なる近接電界に対応する基材の異なる部分で異なる処理結果を引き起こす可能性がある。例えば、基材および/またはサセプターの外側部分近傍の電界(例えば、
図3のサセプター330の外側部分333)は、基材および/またはサセプターの内側部分(例えば、
図3のサセプター330の内側部分331)近傍の電界とは異なる場合がある。したがって、ALDプロセスでは、例えば、基材の外側部分(サセプターの外側部分近傍)上への材料の堆積は、基材の内側部分(サセプターの内側部分近傍)上への材料の堆積とは異なる(例えば、より大きい)場合がある。基材処理(例えば、ALD中の材料の堆積)におけるこのような違いを避けるために、基材および/またはサセプターの異なる部分近傍の電界を調整することができる。
【0054】
さらに
図5を参照すると、様々な実施形態による、反応チャンバー内で基材を処理するための方法500が例示されている。また当然のことながら、本開示の実施形態は、ALD、CVD、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)、および物理気相成長(PVD)を含むがこれらに限定されない、多数の堆積プロセスのために構成された反応チャンバーで利用され得る。本開示の実施形態はまた、反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマエッチング(ICP)、および電子サイクロトロン共鳴エッチング(ECR)などのエッチングプロセスも含み得る、反応性前駆体を有する基材を処理するために構成された反応チャンバーで利用され得る。
【0055】
様々な実施形態では、さらに
図2A、2B、および3を参照すると、基材(例えば、基材150)は、反応チャンバー(例えば、反応チャンバー110)内に配置されてもよい(工程502)。様々な実施形態では、基材150は、サセプター130の基材支持面135上に直接配置されてもよい。様々な実施形態では、基材150は、サセプター130の基材支持面135から突出するリフトピン140上に配置されてもよい。このような実施形態では、リフトピン140および/またはサセプター130は、リフトピンの上端部がサセプター130の基材支持面135と同一平面であるか、または基材支持面135よりも低くなるように、基材150が基材支持面135上に直接配置され、基材支持面135と接触するように他方に対して移動されることができる。様々な実施形態では、リフトピン140は基材150を受け取ってもよく、サセプター130は、リフトピン140がサセプター130およびピン穴137内に陥入するように、リフトピン140が静止したままで上方に移動してもよく、そしてサセプター130は基材支持面135上で基材150を受け取り、サセプター130を反応空間112内の処理位置106に配置する。
【0056】
サセプターおよび基材の異なる部分近傍の電界の違いを避けるために、反応器は、一つまたは複数の同調回路を備えてもよい。各同調回路は、サセプターに結合し、および/またはサセプター内に配置されてもよい、一つまたは複数の電極を備えてもよい。各電極は、本明細書で説明するように、サセプターおよび/またはサセプター基材支持面のある部分近傍に延在してもよい。各電極は、それぞれの同調回路に含まれる共振回路に結合することができ、共振回路は、調整可能なインピーダンスを有し、それぞれの同調回路を通る電気の流れを可能にする。したがって、共振回路(およびそれによりそれに結合する電極)のインピーダンスを調整することにより、およびその結果として生じるそれぞれの同調回路を通って流れる電気の変化により、それぞれの電極近傍の電界を調整することができる。例えば、
図2A、2B、および3に関して本明細書で説明するように、エッジ電極210は、サセプター130の外側部分(例えば、サセプター330の外側部分333)でサセプター130に結合および/またはサセプター130内に配置されてもよく、中心電極220は、サセプター130の内側部分(例えば、サセプター330の外側部分331)でサセプター130に結合および/または配置されてもよい。
【0057】
様々な実施形態では、基材およびサセプターの異なる部分近傍の基材処理の違いを避けるために、サセプターに結合および/またはサセプター内に配置される電極に結合する(同調回路に含まれる)共振回路のインピーダンスを調整することができる(工程504)。同調回路の共振回路のインピーダンスを調整することにより、それぞれの電極で受け取られる電気に起因する同調回路を通る電気の流れを調整することができる。例えば、共振回路のインピーダンスを調整するには、共振回路に含まれるインダクターのインダクタンスを調整してもよく、および/または共振回路に含まれるキャパシターの静電容量を調整してもよい。別の例として、サセプター130の外側部分(例えば、サセプター330の外側部分333)の周りの電界を調整するために、別のキャパシター256A(それは、エッジ電極210に結合する共振回路250Aの一部であり、エッジ電極210はサセプター130の外側部分および/または基材支持面135の少なくとも一部に延在する)の静電容量を調整してもよい。そうすることにより、共振回路250Aおよび/またはエッジ電極210のインピーダンスを調整してもよく、それにより、同調回路200Aを通る電気の流れを変化させることができる。したがって、エッジ電極210の周りの電界(ならびにサセプター130および基材150の外側部分の周りの電界)が調整される(工程506)。同様に、サセプター130の内側部分(例えば、サセプター330の内側部分331)の周りの電界を調整するために、別のキャパシター256B(それは、中心電極220に結合する共振回路250Bの一部であり、中心電極220はサセプター130の内側部分および/または基材支持面135の少なくとも一部に延在する)の静電容量を調整してもよい。そうすることにより、共振回路250Bおよび/または中心電極220のインピーダンスを調整してもよく、それにより、同調回路200Bを通る電気の流れを変化させてもよい。したがって、中心電極220の周りの電界(ならびにサセプター130および基材150の内側部分の周りの電界)が調整される。さらに
図4を参照すると、エッジ電極410A~410Dのそれぞれに結合する共振回路のインピーダンスは、エッジ電極410A~410D近傍の(ならびにサセプター130および基材150の外側部分近傍の)電界を調整するように調整されてもよく、中心電極420A~420Dのそれぞれに結合する共振回路のインピーダンスは、中心電極420A~420D近傍の(ならびにサセプター130および基材150の内側部分近傍の)電界を調整するように調整されてもよい。
【0058】
共振回路のインピーダンスは、(例えば、サセプターおよび基材の異なる部分に近傍の電界間の差を最小化するために)それに近傍の電極に対応するサセプターおよび基材の異なる部分の周りの所望の電界を生じさせるように調整されることができる。例えば、共振回路250Aおよび250Bのインピーダンスは、エッジ電極210の周り(ならびにサセプター130および基材150の外側部分の周り)の電界と、中心電極220の周り(ならびにサセプター130および基材150の内側部分の周り)の電界との間の差を最小にするように調整されてもよい。
【0059】
それに応答して、サセプターおよび基材の異なる部分近傍に所望の電界を達成することにより、基材を処理してもよい(工程508)。
【0060】
図6A~6Dは、ウェーハ(つまり基材)上の電界のプロットを示し、サセプターの内側部分近傍(中心電極近傍)とサセプターの外側部分近傍(エッジ電極近傍)のインピーダンスを変化させる。プロット610、620、630、および640に示されるように、「Z_C」は、中心電極およびそれぞれの同調回路のインピーダンス(Ω)であり(同調回路250Bおよび中心電極220の例)、「Z_E」は、エッジ電極およびそれぞれの同調回路のインピーダンス(Ω)である(同調回路250Aおよびエッジ電極210の例)。以上のように、電界は基材の半径方向の位置140mm付近で変化し始め(エッジ電極のインピーダンスの影響によって引き起こされる)、これは基材の内側部分は基材の0mmの半径方向部分から約140mmの半径方向位置までであり、基材の外側部分は、基材の140mmの半径方向部分から約170mmの半径方向位置までであることを示している。各プロット610、620、630、および640では、中心電極のインピーダンスは一定に保たれるが(プロット610の場合は500Ω、プロット620の場合は100Ω、プロット630の場合は10Ω、プロット640の場合は1Ω)、エッジ電極のインピーダンスは変化する(各プロットで100、10、および1Ωの三つのステップで変化する)。
【0061】
プロット610、620、630、および640に示すように、中心電極のインピーダンスが低くなると(プロット610の500Ω~プロット640の1Ω)、中心電極とエッジ電極と基材の外側部分との間の電界に及ぼすの影響はほとんどない。すなわち、中心電極のインピーダンスが比較的低い場合、中心電極からエッジ電極へ移動する電界の変化(またはより予測可能な変化)はほどんどない。したがって、中心電極のインピーダンスが比較的低いと、エッジ電極の周りの電界の制御が容易になる(および/または予測可能になる)。したがって、エッジプロファイルは、エッジ回路に結合する共振回路内への、またはエッジ電極を含む同調回路内への総入力電力を大幅に変更させることなく制御されることができる。
【0062】
エッジ電極のインピーダンスは、例えば、0オーム(Ω)~10kΩの任意の好適なレベルを含んでもよい。中心電極のインピーダンスは、例えば、0オーム(Ω)~10kΩの任意の好適なレベルを含んでもよい。
【0063】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。例えば、反応器システムは様々な特定の構成に関連して説明されているが、本開示は必ずしもこれらの例に限定されない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法の様々な変更、変形、および改良を行うことができる。
【0064】
本開示の主題は、本明細書に開示される様々なシステム、構成要素、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性のすべての新規かつ非自明な組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびにその任意のおよびすべての均等物を含む。
【符号の説明】
【0065】
4 反応チャンバー
6 サセプター
8 ガス分配システム
10、12 反応物質源
14 キャリアおよび/またはパージガス源
16~20 ライン
22~26 コントローラー
28 真空源
30 基材
50、100 反応器システム
103 装填位置
106 処理位置
108 空間
110 反応チャンバー
111 チャンバー側壁
112 反応空間(上部チャンバー)
114 下部チャンバー空間(下部チャンバー)
129 シール部材
130 サセプター
132 サセプター外側のエッジ
135 基材支持面
137 ピン穴
140 リフトピン
142 リフトピンエレベーター/プラットフォーム
150 基材
180 シャワーヘッド
200A 第一の同調回路
200B 第二の同調回路
210 第一の電極(エッジ電極)
215、235 ワイヤ、配線
220 第二の電極(中心電極)
250A 第一の共振回路
250B 第二の共振回路
252A、252B キャパシター
254A、254B インダクター
256A、256B キャパシター
257A、257B 接地
300 リフトピン
310 ピン上端部
312 エッジ電極の内側のエッジ
314 エッジ電極の外側のエッジ
317 エッジ電極の空隙
320 中心電極
324 中心電極の外側のエッジ
330 サセプター
331 サセプターの内側部分
332 サセプターの外側のエッジ
333 サセプターの外側部分
410A~410D エッジ電極
412A~412D エッジ電極の内側のエッジ
414A~414D エッジ電極の外側のエッジ
420A~420D 中心電極
417 エッジ電極の空隙