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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-03
(45)【発行日】2025-09-11
(54)【発明の名称】飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20250904BHJP
   A23F 5/24 20060101ALI20250904BHJP
   A23B 2/82 20250101ALN20250904BHJP
   A23B 90/10 20250101ALN20250904BHJP
   A23B 70/20 20250101ALN20250904BHJP
【FI】
A23L2/00 Z
A23L2/00 B
A23F5/24
A23B2/82 B
A23B90/10
A23B70/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022064260
(22)【出願日】2022-04-08
(65)【公開番号】P2023154739
(43)【公開日】2023-10-20
【審査請求日】2024-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】船倉 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】富田 裕
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105124675(CN,A)
【文献】特開2007-124911(JP,A)
【文献】特開昭61-114015(JP,A)
【文献】特開昭64-055168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23F
A23C
A23B
C12C
C12G
C12H
A47J
B67D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍状態の原料を解凍する解凍工程を含む飲料の製造方法であって、
冷凍状態の前記原料が、常温で液体であり、
前記解凍工程は、容量20L以上の容器に収容されている冷凍状態の前記原料を解凍室内に配置した後に当該解凍室に水蒸気を導入し、前記原料の温度が所定の基準値を超えないように、前記水蒸気の導入を制御することを含み、
前記解凍工程において解凍された前記原料の温度を均一にする均一化工程をさらに含む、飲料の製造方法。
【請求項2】
冷凍状態の前記原料が、抽出成分の濃縮液、香り成分の濃縮液、果汁およびミルクから選択されるものである、請求項1に記載の飲料の製造方法。
【請求項3】
前記解凍工程が、前記解凍室の温度を所定の上限温度を超えない温度範囲に維持するように制御する第一段階と、前記解凍室の温度を前記第一段階の前記温度範囲より温度が低い所定の範囲に制御する第二段階と、を含む、請求項1または2に記載の飲料の製造方法。
【請求項4】
前記均一化工程の後に、温度が均一化された前記原料を、粉体状の原料および液体状の原料と混合して製品を得る混合工程を含む、請求項1または2に記載の飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍状態の原料を解凍する解凍工程を含む飲料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の製造において、原料の品質保持を目的として、原料の一部または全部が冷凍状態で保管される場合がある。このような場合、冷凍状態の原料を解凍する解凍工程を設ける必要があり、種々の方法が提案されている。
【0003】
たとえば、特開2007-330140号公報(特許文献1)には、粉砕装置と加熱容器とが設けられた解凍装置が開示されている。特許文献1の解凍装置では、ドラム缶などに収納されていた大きなサイズの冷凍食品ブロックを粉砕した後に加熱して解凍する。また、特開2019-205358号公報(特許文献2)には、冷凍状態にある物質を流動性媒体で包囲して、当該物質と流動性媒体との間の熱交換を利用して当該物質を急速に解凍する物質の昇温方法が開示されている。また、原料を常温で自然解凍する方法も汎用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-330140号公報
【文献】特開2019-205358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、原料を常温で自然解凍する方法は、原料の風味および香りを損いにくいことから、風味および香りを重視する飲料製品の製造において汎用されている。しかし、自然解凍は、解凍に要する時間が比較的長く、かつ外気温による影響を受けやすいことから、生産計画を立てにくい場合があった。
【0006】
そこで、飲料製品の製造時間の短縮と良好な風味および香りとを両立しうる飲料製品の製造方法を実現することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料の製造方法は、冷凍状態の原料を解凍する解凍工程を含む飲料の製造方法であって、冷凍状態の前記原料が、常温で液体であり、前記解凍工程は、容量20L以上の容器に収容されている冷凍状態の前記原料を解凍室内に配置した後に当該解凍室に水蒸気を導入し、前記原料の温度が所定の基準値を超えないように、前記水蒸気の導入を制御することを含み、前記解凍工程において解凍された前記原料の温度を均一にする均一化工程をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
この構成は、原料が有する風味および香りを損ないにくく、かつ所要時間が比較的短い方法で原料を解凍できる解凍工程を含むので、飲料製品の製造時間の短縮と良好な風味および香りとを両立しうる。また、前記原料の温度が所定の基準値を超えないように、前記水蒸気の導入が制御されるので、解凍の過程において原料が過度に加熱されることを防ぎうる。これによって、原料が有する風味および香りが一層失われにくい。さらに、解凍された原料を次工程に供する前に温度を均一にすることによって、次工程の実施条件が均一化され、得られる飲料の品質が安定しやすくなる。加えて、前記原料は、容量20L以上の容器に収容されているので、容器に収容された状態で受け入れられた冷凍状態の原料を、容器を開封することなく解凍工程に供することができる。なお、容量20L以上の容器を用いることで、比較的まとまった単位の原料を一度に取り扱えるので、生産効率が高まりやすい。
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る解凍室の概略図である。
図2】実施形態に係る解凍工程の温度変化の一例である。
図3】実施形態に係る解凍工程および均一化工程の温度変化の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る飲料の製造方法の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る飲料の製造方法を、コーヒー飲料の製造方法に適用した例について説明する。
【0019】
〔製造方法の全体構成〕
本実施形態に係る飲料の製造方法は、冷凍状態の原料を解凍する解凍工程、解凍工程において解凍された原料の温度を均一にする均一化工程、および、温度が均一化された原料を他の原料と混合して製品を得る混合工程を含む。
【0020】
本実施形態では、飲料の原料が、冷凍状態、粉体状、および液体状の三種類の態様で供給される。冷凍状態で供給される原料としては、抽出成分の濃縮液および香り成分の濃縮液が例示される。粉体状の原料としては、pH調整剤や粉乳などが例示される。液体状の原料としては、香料が例示される。
【0021】
三種類の態様の原料のうち、粉体状および液体状で供給される原料は、そのまま混合工程に供される。一方、冷凍状態で供給される原料は、混合工程に先立って解凍される必要があるため、解凍工程が設けられている。なお、混合工程は、飲料製品を製造する際に従来実施されている方法を適用できるので、以下では説明を省略する。
【0022】
〔解凍工程〕
解凍工程は、冷凍状態の原料を解凍する工程である。本実施形態では、冷凍状態の原料は容量200Lのドラム缶1(容器の例)に収容されており、当該ドラム缶1が載置されたパレット2が解凍室10内に配置され、解凍が行われる(図1)。ここで、パレット2は上下方向に積載されてもよい。
【0023】
解凍室10には、蒸気吹込口11、空調機12、ファン13、および温度計14が設けられている。蒸気吹込口11は、ボイラ20に接続されており、ボイラ20によって生成された水蒸気が蒸気吹込口11から解凍室10内に導入される。本実施形態では、蒸気吹込口11から吹き込まれた水蒸気は下向きに吐出されるが、水蒸気の吐出方向は限定されない。また、制御装置30が設けられており、制御装置30は、温度計14の測定値に基づいて空調機12およびボイラ20の運転を制御する。
【0024】
ファン13は常に運転されており、蒸気吹込口11から吹き込まれた水蒸気および空調機12によって温度調節された空気が、解凍室10内に均一に拡散するようにしてある。なお、図1に示したようにファン13が横向きの風を生み出す態様で設けられている場合は、解凍室10内に乱流が生成され、これによって室内の空気が攪拌されて湿度および温度が均一になる(乱流方式)。解凍室10およびファン13の構成として、上記の乱流方式のほか、室内に層流を生成する層流方式や、ファンとともに空気の流れを規制する構造物を設けて整流を生成する整流方式なども採用されうる。すなわち、解凍室10内の湿度および温度を均一にできる限りにおいて、ファン13の設置態様および空気循環方式は限定されない。
【0025】
図1に示した解凍室10に係る各構成要素は、それぞれ公知の機械、装置などとして実装されうる。たとえば、空調機12は公知のパッケージエアコンなどであってよく、制御装置30は公知のコンピュータであってよい。本実施形態では、空調機12から吹き出された温調空気は横向きに吐出されるが、温調空気の吐出方向は限定されない。
【0026】
解凍工程は、原料を大まかに解凍する第一段階と、原料を混合工程に供することが可能な程度に解凍する(解凍を完了する)第二段階と、を含む(図2)。なお、第一段階および第二段階の双方において、原料を解凍するための熱は、ボイラ20から供給される水蒸気が凝縮する際の凝縮潜熱として提供される。
【0027】
第一段階では、解凍室10内にドラム缶1を配置した後に、解凍室10内に水蒸気を導入する。第一段階において、制御装置30は、温度計14の測定値が所定の上限温度(たとえば35℃)を超えない範囲に維持されるように、空調機12およびボイラ20の運転を制御する。第一段階の開始から所定の時間(たとえば12時間)が経過したのちに、第二段階に移行する。
【0028】
第二段階において、制御装置30は、温度計14の測定値が所定の範囲(たとえば25℃以上28℃以下)に維持されるように、空調機12およびボイラ20の運転を制御する。上記に例示した値のように、第二段階における所定の範囲は第一段階における所定の上限より小さいので、第二段階における解凍の進行は、第一段階における解凍の進行より緩やかになる。第二段階では、原料の解凍を進行させ、かつ、原料の温度が所定の上限温度(たとえば25℃)を超えないように室温の制御が行われる。なお、第一段階の継続時間は、原料の温度が所定の上限温度より十分に低い温度(たとえば10℃前後)にあるうちに第一段階が終了するように設定される。
【0029】
上記に例示したように、本実施形態において冷凍状態で供給される原料には香り成分が含まれており、これらの濃縮液の温度を過度に上昇させると、香りが損なわれるおそれがある。そこで本実施形態では、原料の香りが損なわれない範囲に上限温度(たとえば25℃)を設定し、第二段階において原料の温度が当該上限温度を超えない範囲で制御を実行する。一方、原料の温度が当該上限温度に到達するよりも十分に低い領域にある第一段階では、室温を比較的高い上限温度(たとえば35℃)に維持して、解凍が早く進行するようにしている。このように、原料を大まかに解凍する第一段階と、原料の温度が所定の上限温度を超えないように原料の解凍を行う第二段階とを設けることによって、解凍に要する時間を従来に比べて短くすることと、解凍された原料の品質を担保することと、を両立しやすくなる。
【0030】
〔均一化工程〕
均一化工程は、解凍工程において解凍された原料の温度を均一にする工程である。解凍工程の第二段階が終了した時点で、原料の温度は所定の上限温度(たとえば25℃)付近まで上昇しているが、均一化工程では、これを所定の設定温度(たとえば10℃)以下まで冷却する。具体的には、温度計14の測定値が低下するように空調機12の運転を制御して、解凍室10内に冷風を供給する。なお、均一化工程を開始してから原料が設定温度以下まで冷却されるまでの所要時間Tが、所定の時間(たとえば24時間)以内になるように、制御条件を設定する(図3)。
【0031】
解凍工程において解凍された原料は、混合工程に供することが可能な程度に解凍されており、均一化工程を設けずに混合工程に進むことも可能である。しかし、解凍工程において原料が所定の上限温度(たとえば25℃)付近まで加熱されたことで、ドラム缶1の内部において原料の温度にばらつきが生じている場合がある。そこで、原料の温度を均一化させたのちに混合工程に供することによって、混合工程の実施条件が均一化され、得られる飲料の品質が安定しやすくなる。
【0032】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る飲料の製造方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0033】
上記の実施形態では、解凍工程、均一化工程、および混合工程を備える製造方法を例として説明した。しかし、本発明に係る飲料の製造方法に含まれる工程は、冷凍状態の前記原料を解凍室内に配置した後に当該解凍室に水蒸気を導入することを含む解凍工程が含まれる限りにおいて限定されない。たとえば、上記の実施形態から均一化工程を省略して、解凍工程が完了した後にすぐに混合工程を実施してもよい。また、ろ過工程、圧搾工程など、飲料の製造工程として従来採用されている公知の工程が設けられてもよい。
【0034】
上記の実施形態では、原料を所定の設定温度以下まで冷却する方法によって原料の温度を均一化する均一化工程を設けた例について説明した。しかし、本発明に係る飲料の製造方法が、解凍された原料の温度を均一にすることを含む場合、その実施方法は限定されない。たとえば、解凍工程の実施態様(原料の配置、加熱方法など)を適宜調整して、原料の温度が均一な態様で解凍が進行するように解凍工程を実施することも、解凍された原料の温度を均一化することに該当する。また、上記の実施形態と同様に一定の温度に温調された空間に原料を保管して温度の均一化を行う場合、解凍工程における加熱温度と、均一化のための保管温度との上下関係は限定されない。
【0035】
上記の実施形態では、本発明に係る飲料の製造方法をコーヒー飲料の製造方法に適用した例について説明した。しかし、本発明に係る飲料の製造方法によって製造される飲料はコーヒーのほか、果汁飲料、茶系飲料などであってもよい。
【0036】
上記の実施形態では、本発明に係る飲料の製造方法をコーヒー飲料の製造方法に適用した例について、冷凍状態で供給される原料として抽出成分の濃縮液を例示した。しかし、本発明に係る飲料の製造方法において解凍工程の解凍対象となる冷凍状態の原料は限定されず、たとえば果汁、ミルクなどでありうる。なお、当該原料は、冷凍状態で供給可能な限度において、たとえば果肉などの固体成分を含んでいてもよい。
【0037】
本発明に係る飲料の製造方法において、解凍工程を実施する際の諸条件は、上記の例に限定されない。たとえば、室温の設定温度、および継続時間は、解凍対象の原料の種類および容量、容器の種類および形状、解凍室の形状および設備、などの諸条件に応じて適宜選択されうる。
【0038】
上記の実施形態では、解凍工程に第一段階と第二段階とを設けた例について説明した。すなわち上記の例では、解凍工程内において室温の設定温度が一度変更された例である。
しかし、本発明に係る飲料の製造方法をコーヒー飲料の製造方法において、解凍工程内における室温の設定温度の変更は、行われなくてもよいし、複数回行われてもよい。
【0039】
上記の実施形態では、容器として容量200Lのドラム缶1を用いた例について説明した。しかし、本発明において容器の容量は特に限定されない。ただし、容器の容量が20L以上であると、比較的まとまった単位の原料を一度に取り扱うことができ生産効率が高まりやすいため、好ましい。容器の容量は、50L以上であることがより好ましく、100L以上であることがさらに好ましい。また、容器の容量は、200L以下であることが好ましい。
【0040】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【実施例
【0041】
以下では、実施例を示して本発明をさらに説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定しない。
【0042】
〔試験1:解凍に要する時間の比較〕
コーヒーの濃縮液100Lをドラム缶に封入し、完全に冷凍させた。なお、濃縮液は、内袋に封入された状態でドラム缶に収容されている。
【0043】
実施例1では、上記のドラム缶を、実施形態の解凍工程に即して解凍を行った。すなわち、第一段階の条件は室温上限温度35℃、継続時間12時間とし、第二段階の条件は室温制御温度25℃以上28℃以下、継続時間12時間とした。
【0044】
比較例1では、上記のドラム缶を、25℃に維持された倉庫において72時間保管した(いわゆる自然解凍)。
【0045】
各例において、内袋の上部側面に接触させて熱電対を設置し、温度を連続的に測定した。この測定値を、濃縮液の温度とした。濃縮液の温度が15℃を超えた場合に、解凍が完了したと判定した。なお、各例についてドラム缶二点ずつの試験を行い、二点の温度の平均値を測定値とした。
【0046】
各例について、解凍を開始してからの経過時間とドラム缶内の濃縮液の温度との関係を表1に示す。実施例1では、解凍開始後15時間の時点で濃縮液の温度が17.9℃に達しており、この時点で完全に解凍されていたといえる。なお、実施例1は解凍開始後15時間および18時間の時点で完全に解凍されていたため、それ以降の温度測定を行わなかった。一方、比較例では解凍開始後24時間後および48時間後の時点では解凍が完了しておらず、解凍開始後72時間の時点で解凍が完了した。すなわち、上記の実施形態に係る解凍方法によって、自然解凍より早く解凍を完了できた。
【0047】
表1:解凍に要する時間の比較
【表1】
【0048】
〔試験2:解凍方法によるコーヒーの香りの違い〕
冷凍状態でドラム缶に封入されたコーヒーの香り成分の濃縮液(試験1と同様)を解凍し、これを用いてコーヒーを調製し、モニター10名による試飲評価を行なった。
【0049】
(解凍工程)
実施例2および3では、実施形態の解凍工程に即して解凍を行った。すなわち、第一段階の条件は、室温上限温度35℃、継続時間12時間とし、第二段階の条件は、室温制御温度25℃以上28℃以下、継続時間12時間とした。
【0050】
比較例2では、上記の比較例1の方法で解凍を行った。すなわち、ドラム缶を25℃に維持された倉庫において72時間保管した(いわゆる自然解凍)。
【0051】
(均一化工程)
実施例2では、解凍工程終了後、12時間にわたって室温を25℃に維持したのちに、原料をすぐに混合工程に供した。実施例3では、解凍工程終了後、12時間にわたって室温を25℃に維持し、さらに12時間にわたって室温を15℃に維持したのちに、原料を混合工程に供した。
【0052】
比較例2では、解凍工程終了後、原料をすぐに混合工程に供した。
【0053】
(評価)
実施例2および3、ならびに比較例2のモニター10名による試飲評価を行なった。実施例および比較例の各例の風味および香りについて各モニターが5点満点で採点を行い、10名のモニターの平均点を各例の評価点として、4点以上を合格と判定した。表2に示すように、実施例2および3のいずれにおいても評価点が4点以上であり、合格と判定された。すなわち、上記の実施形態に係る解凍方法によって解凍に要する時間を短縮することと、従来通りの品質水準を達成することと、を両立できた。
【0054】
表2:実施例および比較例の試飲評価
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、たとえばコーヒー飲料の製造工程において原料を解凍する際に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 :ドラム缶
2 :パレット
10 :解凍室
11 :蒸気吹込口
12 :空調機
13 :ファン
14 :温度計
20 :ボイラ
30 :制御装置
図1
図2
図3