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特許7739244損傷判定システム、損傷判定装置、損傷判定方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-05
(45)【発行日】2025-09-16
(54)【発明の名称】損傷判定システム、損傷判定装置、損傷判定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/14 20060101AFI20250908BHJP
【FI】
G01N29/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022146998
(22)【出願日】2022-09-15
(65)【公開番号】P2024042343
(43)【公開日】2024-03-28
【審査請求日】2024-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】文倉 智也
(72)【発明者】
【氏名】碓井 隆
(72)【発明者】
【氏名】久國 陽介
(72)【発明者】
【氏名】加納 明
(72)【発明者】
【氏名】門田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 賢治
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144131(JP,A)
【文献】特開2019-049418(JP,A)
【文献】特開昭56-148068(JP,A)
【文献】特開昭59-150337(JP,A)
【文献】特開2001-349877(JP,A)
【文献】特開2021-110712(JP,A)
【文献】特開2021-181970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0208850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01R 31/26 - G01R 31/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱用基板を他の構成部材と接合する1以上の接合部を有する1以上の半導体装置と、
前記1以上の半導体装置の前記1以上の接合部で発生した弾性波を検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサそれぞれによって検出された複数の弾性波のうち、温度変化が少ない状態が維持されている時間を表す保持時間が、第1閾値以上第2閾値以下の時間であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第1条件、又は、温度変化が少ない状態であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第2条件のいずれかを満たした弾性波に基づいて、前記1以上の接合部の損傷を判定する損傷判定部と、
を備える損傷判定システム。
【請求項2】
前記温度に基づく第1条件、又は、前記温度に基づく第2条件のいずれかを満たした弾性波に基づいて、前記1以上の接合部における弾性波の発生源の位置を標定する位置標定部をさらに備え、
前記損傷判定部は、前記位置標定部による標定結果に基づいて前記1以上の接合部における損傷面積の割合を推定し、推定した前記損傷面積の割合が閾値以上である場合に損傷が発生していると判定する、請求項1に記載の損傷判定システム。
【請求項3】
記複数のセンサそれぞれにより検出された複数の弾性波に対して信号処理を行う信号処理部と、
温度に基づいて、前記信号処理部の稼働を制御する稼働制御装置と、
をさらに備え、
前記稼働制御装置は、前記温度に基づく第1条件を満たす場合に、前記保持時間が前記第1閾値以上となったタイミングで前記信号処理部を起動する、請求項1又は2に記載の損傷判定システム。
【請求項4】
前記稼働制御装置は、前記温度に基づく第1条件を満たさなくなったタイミングで前記信号処理部を停止させる、請求項3に記載の損傷判定システム。
【請求項5】
前記1以上の半導体装置の周辺の温度を計測する温度センサをさらに備え、
前記稼働制御装置は、前記温度センサにより計測された温度情報に基づいて、前記温度に基づく第1条件を満たすか否かを判定する、請求項3に記載の損傷判定システム。
【請求項6】
電流を温度に変換するための変換式を記憶する記憶装置をさらに備え、
前記稼働制御装置は、前記1以上の半導体装置に供給されている電流値を取得し、前記記憶装置に記憶されている前記変換式を用いて、取得した前記電流値を温度に変換し、変換後の温度情報に基づいて、前記温度に基づく第1条件を満たすか否かを判定する、請求項3に記載の損傷判定システム。
【請求項7】
記複数のセンサそれぞれにより検出された複数の弾性波に対して信号処理を行う信号処理部と、
前記温度に基づく第2条件を満たす場合に、前記温度に基づく第2条件を満たしている間に前記信号処理部で信号処理された弾性波を抽出し、前記温度に基づく第2条件を満たしていない間に前記信号処理部で信号処理された弾性波を破棄するフィルタ部と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の損傷判定システム。
【請求項8】
前記1以上の半導体装置の周辺の温度を計測する温度センサをさらに備え、
前記フィルタ部は、前記温度センサにより計測された温度情報に基づいて、前記温度に基づく第2条件を満たすか否かを判定する、請求項7に記載の損傷判定システム。
【請求項9】
電流を温度に変換するための変換式を記憶する記憶装置をさらに備え、
前記フィルタ部は、前記1以上の半導体装置に供給されている電流値を取得し、前記記憶装置に記憶されている前記変換式を用いて、取得した前記電流値を温度に変換し、変換後の温度情報に基づいて、前記温度に基づく第2条件を満たすか否かを判定する、請求項7に記載の損傷判定システム。
【請求項10】
接合部毎の平均累積損傷値が記憶された記憶部と、
前記損傷判定部により損傷が発生していると判定された場合に、前記記憶部に記憶されている接合部毎の平均累積損傷値を補正する補正部と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の損傷判定システム。
【請求項11】
前記1以上の半導体装置は、複数の半導体装置であり、
前記複数の半導体装置が組み込まれた変換装置と、
前記複数の半導体装置の各接合部の疲労寿命の事前確率分布が記憶された記憶部と、
前記損傷判定部により損傷が発生していると判定された場合に、前記複数の半導体装置の各接合部の疲労寿命の事前確率分布を算出する算出部と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の損傷判定システム。
【請求項12】
放熱用基板を他の構成部材と接合する1以上の接合部を有する1以上の半導体装置の前記1以上の接合部で発生した弾性波を検出する複数のセンサそれぞれによって検出された複数の弾性波のうち、温度変化が少ない状態が維持されている時間を表す保持時間が、第1閾値以上第2閾値以下の時間であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第1条件、又は、温度変化が少ない状態であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第2条件のいずれかを満たした弾性波に基づいて、前記1以上の接合部の損傷を判定する損傷判定部、
を備える損傷判定装置。
【請求項13】
放熱用基板を他の構成部材と接合する1以上の接合部を有する1以上の半導体装置の前記1以上の接合部で発生した弾性波を検出し、
検出された複数の弾性波のうち、温度変化が少ない状態が維持されている時間を表す保持時間が、第1閾値以上第2閾値以下の時間であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第1条件、又は、温度変化が少ない状態であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第2条件のいずれかを満たした弾性波に基づいて、前記1以上の接合部の損傷を判定する損傷判定方法。
【請求項14】
放熱用基板を他の構成部材と接合する1以上の接合部を有する1以上の半導体装置の前記1以上の接合部で発生した弾性波を検出する複数のセンサそれぞれによって検出された複数の弾性波のうち、温度変化が少ない状態が維持されている時間を表す保持時間が、第1閾値以上第2閾値以下の時間であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第1条件、又は、温度変化が少ない状態であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第2条件のいずれかを満たした弾性波に基づいて、前記1以上の接合部の損傷を判定する判定ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、損傷判定システム、損傷判定装置、損傷判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業システムやインフラ構造物において、信頼性及び安全性の問題が生じる前に対策を講じるために、構造物の状態を監視するための技術が知られている。例えば、構造物の状態を監視するための技術として、疲労き裂の発生や進展、又は、材料の変形に伴い発生する弾性波を、高感度センサにより検出するアコースティック・エミッション(AE:Acoustic Emission)方式が知られている。
【0003】
パワーモジュール等の半導体装置では、電源のオンオフ動作によるパワーサイクルや環境温度変化による熱サイクルが繰り返し行われる。そのため、半導体装置における半導体チップ下の接合部やDBC(Direct Bonding Copper)基板等の実装基盤下の接合部は、各部材間の線膨張係数の差に起因する熱疲労の影響を受ける。このような熱疲労の影響により、半導体装置は、接合部の破断や配線部の断線等の故障が生じやすい。従来では、電圧変動や熱抵抗変動により、半導体装置の故障予兆検知が行われている。しかし、従来の方法では、半導体装置内部の接合部の劣化を高精度に検出することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-144131号公報
【文献】特許第6742448号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Chanyang Choe, Chuantong Chen, Shijo Nagao, Katsuaki Suganuma, “Real-Time Acoustic Emission Monitoring of Wear-Out Failure in SiC Power Electronic Devices During Power Cycling Tests”, IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL. 36, NO. 4, (2021).
【文献】H. C. Huang, T. Y. Hung, S. Y. Lin, K. H. Liao, C. C. Wang, K. N. Chiang,“Reliability Assessment of the Temperature Profiles Effect on the Power Module”, 37th National Conference on Theoretical and Applied Mechanics (37th NCTAM 2013) & The 1st International Conference on Mechanics (1st ICM), Procedia Engineering 79 ( 2014 ), p.333-338.
【文献】Akira Kano, Tomoko Monda, Tomoyuki Suzuki, Hideaki Uehara, Tomoya Fumikura, Kenji Hirohata, “PROGNOSTIC HEALTH MONITORING METHOD FOR THERMAL FATIGUE FAILURE OF POWER MODULES BASED ON FINITE ELEMENT METHOD-BASED LAGRANGIAN NEURAL NETWORKS”, Proceedings of the ASME 2021 International Mechanical Engineering Congress and Exposition, IMECE2021-70783, (2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、半導体装置内部の接合部の劣化を高精度に検出することができる損傷判定システム、損傷判定装置、損傷判定方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の損傷判定システムは、1以上の半導体装置と、複数のセンサと、損傷判定部とを持つ。1以上の半導体装置は、放熱用基板を他の構成部材と接合する1以上の接合部を有する。複数のセンサは、前記1以上の半導体装置の前記1以上の接合部で発生した弾性波を検出する。損傷判定部は、前記複数のセンサそれぞれによって検出された複数の弾性波のうち、温度変化が少ない状態が維持されている時間を表す保持時間が、第1閾値以上第2閾値以下の時間であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第1条件、又は、温度変化が少ない状態であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことを条件とする温度に基づく第2条件のいずれかを満たした弾性波に基づいて、前記1以上の接合部の損傷を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における半導体装置の断面模式図。
図2】温度サイクル試験において使用したシステムの構成例を表す図。
図3】温度サイクル試験により得られた熱サイクル中の温度と弾性波の検出数とピーク振幅の関係を示す図。
図4】第1の実施形態における損傷判定システムの構成を示す図。
図5】第1の実施形態における複数のセンサの配置例を示す図。
図6】第1の実施形態における信号処理部の機能を表す概略ブロック図。
図7】第1の実施形態におけるAFEの機能を表す概略ブロック図。
図8】第1の実施形態における制御部の機能を表す概略ブロック図。
図9】第1の実施形態における放熱基板下の接合部に損傷が発生している例と、標定される弾性波源の位置のイメージを示す図。
図10】第1の実施形態における損傷判定システムが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図。
図11】第1の実施形態における損傷判定システムが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図。
図12】第2の実施形態における損傷判定システムの構成を示す図。
図13】第2の実施形態における損傷判定システムが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図。
図14】第2の実施形態における損傷判定システムが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図。
図15】第3の実施形態における損傷判定システムの構成を示す図。
図16】第3の実施形態における損傷判定システムが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図。
図17】第3の実施形態における損傷判定システムが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図。
図18】第4の実施形態における損傷判定システムの構成を示す図。
図19】第4の実施形態における補正部が行う補正方法を説明するための図。
図20】第5の実施形態におけるインバーター装置の構成を示す図
図21】第5の実施形態における損傷判定システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の損傷判定システム、損傷判定装置、損傷判定方法及びコンピュータプログラムを、図面を参照して説明する。
【0010】
(概要)
まず実施形態における損傷判定システムの概要について説明する。実施形態における損傷判定システムでは、パワーモジュール等の半導体装置内部の接合部の損傷検知にアコースティック・エミッション(AE:Acoustic Emission)法を適用する。すなわち、実施形態における損傷判定システムでは、半導体装置内部の接合部の損傷を非破壊で検出する。図1は、実施形態における半導体装置1の断面模式図を示す。図1に示すように、半導体装置1は、ヒートシンク2上に備えられる。ヒートシンク2は、半導体装置1に生じる熱を吸収し、吸収した熱を空気中に発散(放熱)することで半導体装置1の冷却を行う部品である。半導体装置1とヒートシンク2との間は、グリースのような潤滑剤Gで満たされる。これにより、半導体装置1とヒートシンク2との間に空気などの隙間ができないようにし、半導体装置1で発生した熱がスムーズにヒートシンク2に伝わり、半導体装置1が冷却される。
【0011】
半導体装置1は、1以上のパワー半導体3と、放熱用基板4と、Cuベースプレート5とを備える。Cuベースプレート5上に接合部8を介して放熱用基板4が接合され、放熱用基板4上に接合部9を介してパワー半導体3が接合される。このように、接合部8,9は、放熱用基板4を他の構成部材(例えば、パワー半導体3又はCuベースプレート5)と接合する。接合部8,9には、接着剤又ははんだ等が用いられてもよい。実施形態における半導体装置1は、1以上の接合部を介して積層構造で構成される装置であれば図1に示す構造に限定されない。なお、半導体装置1は、Cuベースプレート5を備えなくてもよい。
【0012】
パワー半導体3は、SOP(Small Outline Package)等の半導体パッケージである。なお、パワー半導体3は、半導体パッケージであればどのような用途に用いられる半導体パッケージであってもよい。放熱用基板4は、パワー半導体3で発生する熱を逃がすために用いられる基盤である。放熱用基板4は、例えば、DBC基板又はDBA(Direct Bonding Aluminum)基盤等である。以下の説明では、一例として、放熱用基板4がDBC基板である場合を例に説明する。放熱用基板4は、Cu6-1,6-2と、セラミック絶縁基板7とで構成される。
【0013】
Cu6-1,6-2は、銅であり、セラミック絶縁基板7の各面に接合される。例えば、図1に示すように、Cu6-1は、セラミック絶縁基板7の第1面(上部)に接合され、Cu6-2は、セラミック絶縁基板7の第2面(下部)に接合される。セラミック絶縁基板7は、窒化アルミニウムセラミックス又は窒化ケイ素セラミックス等のセラミックスで構成される絶縁回路基板である。Cuベースプレート5は、パワー半導体3で発生する熱をヒートシンク2に放熱するための放熱板である。Cuベースプレート5は、ヒートシンク2にボルトB等で固定される。これにより、半導体装置1をヒートシンク2に固定することができる。半導体装置1には、Cuベースプレート5に代えて他の放熱板が用いられてもよい。
【0014】
図1に示す各接合部8,9は、素子駆動に伴う温度負荷(パワーサイクル)や環境温度変化により、各部材間の線膨張係数の差に起因する熱疲労の影響を受ける。電源のオンオフ動作による周期が長いと素子から発生した熱が半導体装置1全体に伝わり、主に放熱用基板4下の接合部8が損傷することが知られている。発明者らは、温度サイクル試験により、熱サイクル中の弾性波を計測した。温度サイクル試験は、電子部品の外部環境あるいは自己発熱により、温度が繰り返し変化する環境を想定し、温度変化による熱ストレスを与えて耐性を確認する環境試験である。雰囲気温度で加熱することで、半導体装置1全体が加熱され、長周期のパワーサイクルに近い状態での試験が可能である。
【0015】
温度サイクル試験による弾性波計測系の構成を図2に示す。図2は、温度サイクル試験において使用したシステムの構成例を表す図である。アルミニウム板ALには、半導体装置1と、4つのセンサ10と、温度センサ20とを配置した。具体的には、アルミニウム板ALには、半導体装置1を囲うようにセンサ10を4つ(CH1~CH4のセンサ)配置し、半導体装置1の近傍に温度センサ20を配置した。センサ10は、半導体装置1から発生する弾性波を検出する。各センサ10は、増幅器30を介して信号処理部40とケーブルで接続され、温度センサ20は、信号処理部40と直接ケーブルで接続され、信号処理部40により弾性波を計測して計測結果を損傷判定装置50に表示した。
【0016】
図3は、温度サイクル試験により得られた熱サイクル中の温度と弾性波の検出数とピーク振幅の関係を示す図である。図3において、横軸は時間を表し、左の縦軸は温度を表し、右の縦軸はピーク振幅を表す。図3に示す各点P1は検出された弾性波を表し、各線L1は温度センサ20で計測された温度の変化を表す。なお、1つの線L1における立ち上がりから立ち上がりまでの期間が熱サイクルにおける1サイクルの温度履歴を表す。図3に示すように、全ての熱サイクル中に弾性波の検出が確認された。これは、き裂が生じる際に発生する一次AEではなく、材料の変形、材料の摩擦又は材料の摩耗により生じる二次AEを検出していると考えられる。ここで1サイクルの温度履歴を、過程Aから過程Fの6つの過程に分類し、各過程の弾性波の検出数とピーク振幅の傾向について説明する。
【0017】
・過程A 昇温過程1:急速に温度が上昇(温度変化が大きい)
・過程B 昇温過程2:ゆるやかに温度が上昇
・過程C 温度保持時間(高温側):温度変化が小さい
・過程D 降温過程1:急速に温度が低下(温度変化が大きい)
・過程E 降温過程2:ゆるやかに温度が低下
・過程F 温度保持時間(低温側):温度変化が小さい
【0018】
図3より、過程A及び過程Dのように急激に温度が変化する場合(温度変化が大きい場合)、ピーク振幅が大きく、かつ、多くの弾性波が検出されていることがわかる。過程B及び過程Eでは、弾性波は検出されるもののピーク振幅が小さくなる。さらに、低温の過程Eでは、弾性波の検出数が少ないこともわかる。過程C及び過程Fでは、弾性波は検出されるもののピーク振幅が小さいことが分かる。さらに、低温の過程Fでは、弾性波の検出数が少ないこともわかる。弾性波は、き裂が発生及び進展した時以外にも、弾性変形又は非弾性変形に伴い発生する。過程A及び過程Dの温度変化が大きい時に振幅が大きい弾性波が検出されていることから、過程A及び過程Dでは、各構成部材の線膨張係数のミスマッチにより放熱用基板4やCuベースプレート5の弾性変形、接合部8,9の弾性変形及び非弾性変形により発生した弾性波が主に検出されていると考えられる。
【0019】
一方で、過程C及び過程Fでも、各構成部材の線膨張係数のミスマッチによる影響が過程A及び過程Dに比べて小さいにも関わらず弾性波が発生している。ここで、非特許文献2を用いて詳細に説明する。非特許文献2のp.337には、FEM解析によるSn-Ag系はんだの累積クリープひずみと時間に関する図が示されている(例えば、Fig.7)。非特許文献2のFig.7におけるdwell at 125は過程Cに相当し、dwell at - 40は過程Fに相当する。
【0020】
非特許文献2のFig.7におけるdwell at 125及びdwell at - 40では、わずかに非弾性ひずみ(クリープひずみ)が生じる。これは、接合材料(例えば、Sn-Ag-Cuはんだ)のクリープ特性によるものであり、温度が高い程、クリープによる非弾性変形は顕著になる。このように、過程C及び過程Fの温度変化が小さい過程で検出された弾性波は接合材料のクリープによる非弾性変形量と対応していると考えられる。これは、クリープによる非弾性変形が顕著になる高温保持時間中のみに限定して弾性波を計測することで、接合部8,9以外の構成部材から発生するノイズとなる弾性波を取り除き、接合部8,9から発生する弾性波を集中的に検出できることを示唆している。
【0021】
そこで、実施形態における損傷判定システムでは、例えば図3に示す過程Cの期間において、弾性波の計測を開始することで、半導体装置1内部の接合部8,9の劣化を高精度に検出することが可能になる。以下、具体的な構成について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図4は、第1の実施形態における損傷判定システム100の構成を示す図である。損傷判定システム100は、半導体装置1内部の接合部8,9において発生した損傷の判定に用いられる。なお、損傷判定システム100に用いられる半導体装置1は、パワーモジュール以外であってもよい。
【0023】
損傷判定システム100は、半導体装置1と、ヒートシンク2と、複数のセンサ10-1~10-n(nは2以上の整数)と、温度センサ20と、稼働制御装置35と、信号処理部40と、損傷判定装置50を備える。複数のセンサ10-1~10-nと信号処理部40とは、有線により接続される。信号処理部40と損傷判定装置50とは、有線又は無線により接続される。温度センサ20と稼働制御装置35とは、有線により接続される。稼働制御装置35と信号処理部40とは、有線により接続される。なお、以下の説明では、センサ10-1~10-nを区別しない場合にはセンサ10と記載する。
【0024】
センサ10は、圧電素子を有し、半導体装置1から発生する弾性波を検出する。より具体的には、センサ10は、半導体装置1内部の接合部8,9の損傷に起因して発生する弾性波を検出する。接合部8,9は、熱サイクルが繰り返されることで徐々に剥離される。センサ10では、このような界面剥離といった損傷が発生した際に生じる弾性波を検出する。センサ10は、半導体装置1内部の接合部8又は接合部9を囲うように設置されていればよく、例えば、ヒートシンク2上に設置されてもよいし、放熱用基板4上、又は、Cuベースプレート5上に設置されてもよい。
【0025】
図5は、第1の実施形態における複数のセンサ10の配置例を示す図である。図5に示すように、複数のセンサ10が、半導体装置1を囲うように配置される場合、接合部8の損傷に起因して弾性波が発生すると、発生した弾性波はCuベースプレート5及びヒートシンク2を介して各センサ10に到達する。接合部9の損傷に起因して弾性波が発生すると、発生した弾性波は放熱用基板4、接合部8、Cuベースプレート5及びヒートシンク2を介して各センサ10に到達する。
【0026】
図4に戻って説明を続ける。センサ10は、検出した弾性波を電気信号に変換する。センサ10は、電気信号を信号処理部40に出力する。センサ10には、例えば10kHz~1MHzの範囲に感度を有する圧電素子が用いられる。センサ10は、周波数範囲内に共振ピークをもつ共振型、共振を抑えた広帯域型等の種類があるが、センサ10の種類はいずれでもよい。センサ10が弾性波を検出する方法は、電圧出力型、抵抗変化型及び静電容量型等があるが、いずれの検出方法でもよい。なお、センサ10に代えて加速度センサが用いられてもよい。この場合、加速度センサは、半導体装置1内部の接合部8,9から発生する弾性波を検出する。そして、加速度センサは、センサ10と同様の処理を行うことによって、検出した弾性波を電圧信号に変換する。
【0027】
温度センサ20は、半導体装置1が設置されている環境下における温度を計測する。温度センサ20は、計測結果である温度情報を稼働制御装置35に出力する。温度センサ20は、放熱用基板4、又は、Cuベースプレート5上に新たに設置されてもよいし、放熱用基板4、又は、Cuベースプレート5に内蔵されているサーミスタが用いられてもよい。
【0028】
稼働制御装置35は、温度センサ20から出力され温度情報に基づいて、信号処理部40の稼働を制御する。稼働制御装置35は、温度情報で示される温度に基づいて、信号処理部40を起動するための起動条件が満たされたか否かを判定し、起動条件が満たされた場合に信号処理部40を起動する。例えば、稼働制御装置35は、起動条件を満たす場合には、信号処理部40を稼働状態にさせるための稼働信号を信号処理部40に出力する。信号処理部40を稼働状態にさせるとは、信号処理部40に対して信号処理を行わせることである。すなわち、信号処理部40は、稼働制御装置35から稼働信号が取得されるまでの間は、弾性波に対する信号処理を行わない。
【0029】
起動条件は、保持時間tが、第1閾値Th1以上第2閾値Th2以下(Th1≦t≦Th2)であって、かつ、温度Tが、基準温度T1以上(T≧T1)を満たすことである。ここで、保持時間は、温度変化ΔTの値が、第3閾値Th3未満の状態が継続している時間を表す。すなわち、保持時間tとは、温度変化が少ない状態が維持されている時間とみなすことができる。保持時間tが、第1閾値Th1以上第2閾値Th2以下の場合、図3に示す過程C又は過程Fの状態に相当する。なお、この起動条件が満たされている期間は、図3に示す過程Cの状態に相当する。起動条件は、温度に基づく条件の一態様である。
【0030】
一例として、時刻t1で60℃、時刻t2で61℃、時刻t3で64℃、時刻t4で70℃、時刻t5で64℃であり、第3閾値Th3が5℃である場合を考える。この場合、温度変化ΔTはそれぞれ、1℃(時刻t1から時刻t2の温度変化)、3℃(時刻t2から時刻t3の温度変化)、6℃(時刻t3から時刻t4の温度変化)、-6℃(時刻t4から時刻t5の温度変化)である。温度変化ΔTが5℃の状態が継続している時間は、時刻t1から時刻t3である。この場合、保持時間tは、時刻t1から時刻t3までの3秒となる。
【0031】
第1閾値Th1は、起動条件における経過時間の下限値であり、例えば5秒である。第1閾値Th2は、起動条件における経過時間の上限値であり、例えば3600秒である。第3閾値Th3は、温度変化ΔTが小さいことを示す値であり、例えば5℃である。基準温度T1は、図3に示す過程Cに相当する高温とみなす温度であり、例えば70℃である。なお、上記で示した第1閾値、第2閾値、第3閾値及び基準温度T1の値は、一例であり、使用状況に応じて値が変更されてもよい。
【0032】
上記の例を参照すると、稼働制御装置35は、温度センサ20により計測された温度が70℃以上であり、温度70℃以上である状態における保持時間が5秒から3600秒までの間は起動条件が満たされていると判定する。稼働制御装置35は、保持時間が第1閾値(例えば、5秒)になった時点から信号処理部40を起動させて、保持時間が第2閾値(例えば、3600秒)になった時点、又は、温度が基準温度T1未満になった時点で信号処理部40を停止させる。
【0033】
信号処理部40は、稼働制御装置35から出力された稼働信号に基づいて、稼働状態に移行する。信号処理部40は、稼働状態に移行するまでは休止状態である。休止状態とは、休止している状態である。休止状態は、稼働状態よりも消費電力を抑えた状態である。休止状態は、例えば、起動していても信号処理を行わない状態であってもよいし、スリープ状態であってもよいし、電源が落ちた停止状態であってもよい。
【0034】
信号処理部40は、稼働状態に移行すると、各センサ10から出力された各弾性波の電気信号に対して信号処理を行う。信号処理部40が行う信号処理は、例えば、ノイズ除去、パラメータ抽出等である。信号処理部40は、信号処理後のデジタル信号を含む送信データを生成し、生成した送信データを損傷判定装置50に出力する。信号処理部40は、アナログ回路又はデジタル回路を用いて構成される。デジタル回路は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やマイクロコンピュータにより実現される。デジタル回路は、専用のLSI(Large-Scale Integration)により実現されてもいい。また信号処理部40は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリや、取り外し可能なメモリを搭載してもよい。
【0035】
損傷判定装置50は、信号処理部40から得られた送信データに基づいて、半導体装置1における損傷が発生している位置の特定及び損傷面積の推定を行う。
【0036】
図6は、第1の実施形態における信号処理部40の機能を表す概略ブロック図である。信号処理部40は、複数のAFE41(Analog Front End)と、制御部42と、通信部43と、稼働部44と、電源供給部45を備える。
【0037】
AFE41は、センサ10から出力された電気信号に対してフィルタ処理及びアナログデジタル変換処理を行う。AFE41は、フィルタ処理及びアナログデジタル変換処理後の信号を制御部42に出力する。
【0038】
制御部42は、信号処理部40全体を制御する。制御部42は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。例えば、制御部42は、AFE41から出力されたフィルタ処理及びアナログデジタル変換処理後の信号に基づいて送信データを生成する。
【0039】
通信部43は、制御部42によって生成された送信データを損傷判定装置50に送信する。
【0040】
稼働部44は、稼働制御装置35から稼働信号を取得すると、制御部42及び電源供給部45を稼働状態にする。例えば、制御部42がスリープ状態である場合には、稼働部44は制御部42において信号処理が可能なように稼働状態にする。例えば、制御部42が停止状態である場合には、稼働部44は電源供給部45から制御部42に対して電力を供給させることによって制御部42を稼働状態にする。なお、稼働部44は、AFE41及び通信部43のいずれかに電源が入っていない場合にも同様に、電源供給部45に対して電源が入っていない機能部への電源供給を指示して電力供給させる。
【0041】
電源供給部45は、稼働部44の指示に従って、各機能部に電力を供給する。具体的には、電源供給部45は、AFE41、制御部42、通信部43及び稼働部44に対して電力を供給する。電源供給部45は、外部の電源、一次電池、二次電池、太陽電池、エネルギーハーベスタ等から供給される電力を受ける部であり、ここから稼働部44の指示に応じて各機能部へ電力を供給する。
【0042】
図7は、第1の実施形態におけるAFE41の機能を表す概略ブロック図である。AFE41は、受信部411と、第1フィルタ412と、アナログデジタル変換部413と、第2フィルタ414とで構成される。受信部411は、センサ10から送信された電気信号を受信する。受信部411は、受信した電気信号を第1フィルタ412に出力する。電気信号には、センサ10により検出された時刻情報が付与されているものとする。
【0043】
第1フィルタ412は、受信部411によって受信された電気信号からノイズを除去する。例えば、第1フィルタ412は、電気信号から特定周波数帯以外の周波数帯をノイズとして除去する。第1フィルタ412は、例えば、バンドパスフィルタである。第1フィルタ412は、ノイズ除去後のアナログ信号(以下「ノイズ除去アナログ信号」という。)をアナログデジタル変換部413に出力する。
【0044】
アナログデジタル変換部413は、第1フィルタ412から出力されたノイズ除去アナログ信号を量子化することによって、アナログ信号からデジタル信号に変換する。アナログデジタル変換部413は、デジタル信号を第2フィルタ414に出力する。
【0045】
第2フィルタ414は、アナログデジタル変換部413から出力されたデジタル信号からノイズを除去する。第2フィルタ414は、ノイズを除去するためのフィルタである。第2フィルタ414は、ノイズ除去後のデジタル信号(以下「ノイズ除去デジタル信号」という。)を制御部42に出力する。
以下の説明では、AFE41において行われる処理を前処理と記載する。
【0046】
図8は、第1の実施形態における制御部42の機能を表す概略ブロック図である。制御部42は、プログラムを実行することによって、イベント信号生成部421、特徴量抽出部422及び送信データ生成部423として機能する。イベント信号生成部421、特徴量抽出部422及び送信データ生成部423を実現するためのプログラムは、出荷時に信号処理部40にインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
【0047】
イベント信号生成部421は、第2フィルタ414から出力されたノイズ除去デジタル信号を入力する。イベント信号生成部421は、入力したノイズ除去デジタル信号の波形が持続しているか否かを示すゲート信号を生成する。イベント信号生成部421は、例えばエンベロープ検出器及びコンパレータにより実現される。エンベロープ検出器は、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープを検出する。エンベロープは、例えば、ノイズ除去デジタル信号を二乗し、二乗した出力値に対して所定の処理(例えばローパスフィルタを用いた処理やヒルベルト変換)を行うことで抽出される。コンパレータは、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープが所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0048】
イベント信号生成部421は、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープが所定の閾値以上となった場合、ノイズ除去デジタル信号の波形が持続していることを示す第1のゲート信号を特徴量抽出部422に出力する。第1のゲート信号が出力された場合には、イベントが発生したことを表す。一方、イベント信号生成部421は、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープが所定の閾値未満になった場合、ノイズ除去デジタル信号の波形が持続していないことを示す第2のゲート信号を特徴量抽出部422に出力する。第2のゲート信号が出力された場合には、イベントが終了したことを表す。イベント発生の検知、すなわちエンベロープが所定の閾値以上となったか否かの判定には、ChangeFinderやAIC(Akaike's Information Criterion)等が用いられてもよい。
【0049】
特徴量抽出部422は、イベント信号生成部421から出力されたゲート信号及び第2フィルタ414から出力されたノイズ除去デジタル信号を入力する。特徴量抽出部422は、入力したゲート信号及びノイズ除去デジタル信号に基づいて、信号の波形が継続しているときの特徴量をノイズ除去デジタル信号から抽出する。特徴量は、例えばノイズ除去デジタル信号の波形の振幅[mV]、ゲート信号の立ち上がり時間[usec]、ゲート信号の持続時間[usec]、ノイズ除去デジタル信号のゼロクロスカウント数[times]、ノイズ除去デジタル信号の波形のエネルギー[arb.]及びノイズ除去デジタル信号の周波数[Hz]等パラメータである。
【0050】
ノイズ除去デジタル信号の振幅は、例えばノイズ除去デジタル信号の中で最大振幅の値である。ゲート信号の立ち上がり時間は、例えばゲート信号がゼロ値から予め設定される所定値を超えて立ち上がるまでの時間である。ゲート信号の持続時間は、例えばゲート信号の立ち上がり開始から振幅が予め設定される値よりも小さくなるまでの時間である。ノイズ除去デジタル信号のゼロクロスカウント数は、例えばゼロ値を通る基準線をノイズ除去デジタル信号が横切る回数である。ノイズ除去デジタル信号の波形のエネルギーは、例えば各時点において振幅を二乗したものを時間積分した値である。なお、エネルギーの定義は、上記例に限定されず、例えば波形の包絡線を用いて近似されたものでもよい。
【0051】
特徴量抽出部422は、抽出した特徴量を送信データ生成部423に出力する。特徴量抽出部422は、特徴量を送信データ生成部423に出力する際に、特徴量にセンサIDを対応付ける。センサIDは、半導体装置1に設置されているセンサ10を識別するための識別情報を表す。特徴量抽出部422は、センサIDを対応付けた特徴量を送信データ生成部423に出力する。
【0052】
送信データ生成部423は、特徴量抽出部422から出力されたセンサIDを対応付けた特徴量を入力とする。送信データ生成部423は、入力したセンサIDを対応付けた特徴量を含む送信データを生成する。送信データ生成部423は、生成した送信データを通信部43に出力する。
【0053】
図4に戻って、説明を続ける。損傷判定装置50は、通信部51と、制御部52と、記憶部53と、表示部54とを備える。通信部51は、信号処理部40から出力された送信データを受信する。
【0054】
制御部52は、損傷判定装置50全体を制御する。制御部52は、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部52は、プログラムを実行することによって、取得部521、位置標定部522、損傷判定部523及び通知部524として機能する。取得部521、位置標定部522、損傷判定部523及び通知部524を実現するためのプログラムは、出荷時に損傷判定装置50にインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
【0055】
取得部521は、信号処理部40から出力された送信データを取得する。例えば、信号処理部40と損傷判定装置50とが無線により通信している場合、取得部521は通信インタフェースとして機能し、信号処理部40との間で無線通信を行うことによって送信データを取得する。例えば、信号処理部40と損傷判定装置50とが有線により通信している場合、取得部521は通信インタフェースとして機能し、信号処理部40との間で有線通信を行うことによって送信データを取得する。
【0056】
位置標定部522は、センサ位置情報と、送信データに含まれるセンサID及び時刻情報とに基づいて弾性波の発生源(以下「弾性波源」という。)の位置標定を行う。損傷判定装置50には、上記のように起動条件を満たしている期間中に取得された弾性波に関する送信データが入力される。起動条件を満たしている期間中に取得された弾性波は、基本的には、接合部8,9における損傷に起因して発生した弾性波である。そこで、位置標定部522は、起動条件を満たしている期間中に取得された弾性波に基づいて、接合部8,9における弾性波源の位置を標定することになる。センサ位置情報には、センサIDに対応付けてセンサ10の設置位置に関する情報が含まれる。センサ位置情報は、例えば緯度および経度、あるいは半導体装置1又はヒートシンク2の基準となる位置からの水平方向および垂直方向の距離などのセンサ10の設置位置に関する情報を含む。位置標定部522は、センサ位置情報を予め保持している。センサ位置情報は、位置標定部522が弾性波源の位置標定を行う前であればどのタイミングで位置標定部522に記憶されてもよい。
【0057】
損傷判定部523は、起動条件を満たしている期間中に取得された弾性波に基づいて、接合部8,9の損傷を判定する。具体的には、損傷判定部523は、起動条件を満たしている期間中に取得された弾性波に基づいて位置標定部522が位置標定を行った結果に基づいて、接合部8,9における健全面積の推定、損傷面積の推定、及び、損傷面積の割合(以下「損傷面積率」という。)を推定する。健全面積とは、接合部8,9の領域であって、剥離が発生していない領域の面積である。例えば、初期状態(損傷無し)では、健全面積は、接合部8全体の面積や接合部9全体の面積となる。損傷面積とは、接合部8、9の領域であって、剥離が発生している領域の面積である。損傷面積率は、健全面積を、初期状態の健全面積で除算することで求められる。これにより、初期状態からどのくらいの割合で剥離が生じているのかを求めることができる。
【0058】
そして、損傷判定部523は、推定した損傷面積率が初期状態の健全面積から所定の値(例えば、20%)以上増加したか否かを判定する。初期状態の健全面積の情報は、予め保持していてもよい。損傷判定部523は、推定した損傷面積率が初期状態の健全面積から所定の値(例えば、20%)以上増加した場合、接合部8,9において損傷が発生したと判定する。損傷判定部523は、推定した損傷面積率が初期状態の健全面積から所定の値(例えば、20%)以上増加していない場合、接合部8,9において損傷が発生していないと判定する。損傷判定部523は、損傷が発生したと判定した場合、通知部524に対してアラートを通知させる。
【0059】
通知部524は、損傷判定部523からの制御に応じてアラートを通知する。すなわち、通知部524は、損傷判定部523により推定された損傷面積率が初期状態の健全面積から所定の値(例えば、20%)以上増加した場合にアラートを通知する。通知部524は、損傷判定装置50においてアラートを通知してもよいし、予め設定されている他の情報処理装置に対してアラートを通知してもよい。アラートには、半導体装置1の損傷が増加したことを示す情報が含まれていてもよい。
【0060】
記憶部53は、取得部521によって取得された送信データを記憶する。なお、記憶部53には、起動条件、センサ10の設置位置に関する情報及び初期状態の健全面積の情報が記憶されていてもよい。各記憶部53は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0061】
表示部54は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部54は、制御部52の制御に従って、弾性波源の位置情報及び判定結果を表示する。表示部54は、画像表示装置を損傷判定装置50に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部54は、判定結果を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。
【0062】
図9は、第1の実施形態における放熱用基板4下の接合部8に損傷が発生している例と、標定される弾性波源の位置のイメージを示す図である。図9では、放熱用基板4がCuベースプレート5にはんだで接合された状態を示している。図9において、領域R1は放熱用基板4とCuベースプレート5とが接合されている領域(剥離が発生していない領域)を示し、領域R2は放熱用基板4とCuベースプレート5とが接合されていない領域(剥離が発生している領域)を示す。図9の領域R2は、接合部8中に疲労き裂が進行した領域である。図9において、上段から下段にかけて熱サイクル数が増加した状態を示している。例えば、図9の上段は初期状態(損傷無し)を示し、図9の中段は図9の上段よりも熱サイクルを行った後の状態を示し、図9の下段は図9の中段よりも熱サイクルを行った後の状態を示す。
【0063】
熱サイクルが繰り返されることで疲労き裂は進行していく。疲労き裂が進行すると、図9に示すように、領域R2の割合が増加する。接合部8中のクリープによる非弾性ひずみは、き裂先端に集中するため、き裂先端が弾性波源SRとなると考える。損傷が進行すると、弾性波源SRの位置も移動する。経時的な変化を追っていくことで、劣化領域が拡大していく様子を可視化することができ、半導体装置1の使用中の損傷位置及び損傷面積の推定が可能となる。領域R2が、損傷面積となる。例えば、損傷判定部523は、領域R1の面積を、図9の上段に示す領域R1の面積(初期状態の健全面積)で除算することで損傷面積率を推定する。損傷判定部523は、推定した損傷面積率に応じて損傷の有無を判定する。
【0064】
図10及び図11は、第1の実施形態における損傷判定システム100が行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図である。図10及び図11の処理開始時には、信号処理部40が休止状態であるとする。
稼働制御装置35は、温度センサ20により計測された温度情報を取得する(ステップS101)。稼働制御装置35は、ステップS101の処理を所定期間の間継続する。これにより、稼働制御装置35は、所定期間分の温度情報を取得する。稼働制御装置35は、取得した所定期間分の温度情報に基づいて起動条件が満たされたか否かを判定する(ステップS102)。起動条件が満たされていない場合(ステップS102-NO)、稼働制御装置35はステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0065】
起動条件が満たされた場合(ステップS102-YES)、稼働制御装置35は、稼働信号を生成する。稼働制御装置35は、生成した稼働信号を信号処理部40に出力する(ステップS103)。信号処理部40の稼働部44は、稼働制御装置35から稼働信号を取得すると、電源供給部45に指示して電力を供給させることによって各機能部を稼働状態にする(ステップS104)。これにより、信号処理部40は、センサ10から出力された電気信号を取得することができる。
【0066】
AFE41は、センサ10から送信された電気信号に対して前処理を行う(ステップS105)。具体的には、AFE41は、電気信号に対して、フィルタ処理及びアナログデジタル変換処理を行う。AFE41は、デジタル信号を制御部42に出力する。制御部42は、AFE41から出力されたデジタル信号を入力として、デジタル信号から特徴量を抽出する(ステップS106)。
【0067】
特徴量抽出部422は、抽出した特徴量にセンサIDを対応付けて送信データ生成部423に出力する。送信データ生成部423は、特徴量抽出部422から出力された特徴量を含む送信データを生成する(ステップS107)。送信データ生成部423は、生成した送信データを通信部43に出力する。通信部43は、送信データ生成部423から出力された送信データを損傷判定装置50に送信する(ステップS108)。
【0068】
通信部51は、信号処理部40から送信された送信データを受信する。取得部521は、取得した送信データを記憶部53に記憶する(ステップS109)。位置標定部522は、記憶部53に記憶されている複数の送信データを用いて弾性波源を標定する(ステップS110)。具体的には、まず位置標定部522は、記憶部53に記憶されている複数の送信データ送信データの中から1イベントにおける送信データを抽出する。イベントとは、鋼構造物で起こった弾性波発生事象を表す。本実施形態における弾性波発生事象は、半導体装置1内部の接合部8,9における損傷である。1回のイベントが発生した場合、複数のセンサ10で略同時刻に弾性波が検出されることになる。すなわち、記憶部53には、略同時刻に検出された弾性波に関する送信データが複数記憶されていることになる。そこで、位置標定部522は、所定の時間窓を設け、到達時刻が時間窓の範囲内に存在する全ての送信データを1イベントにおける送信データとして抽出する。
【0069】
時間窓の範囲Twは、対象とする鋼構造物における弾性波伝搬速度vと、最大のセンサ間隔dmaxを用いて、Tw≧dmax/vの範囲になるように決定してもよい。誤検出を避けるためには、Twをできるだけ小さい値に設定することが望ましいため、実質的にはTw=dmax/vとすることができる。弾性波伝搬速度vは、予め求められていてもよい。
【0070】
次に、位置標定部522は、抽出した1イベントにおける送信データに含まれるセンサID及び時刻情報と、予め保持しているセンサ位置情報とに基づいて弾性波源の位置を標定する。例えば、位置標定部522は、複数のセンサ10それぞれへの弾性波の到達時刻の差を算出する。次に、位置標定部522は、センサ位置情報と、到達時刻の差の情報とを用いて弾性波源の位置を標定する。位置標定部522は、この処理を複数回繰り返すことによって、複数の弾性波源の位置を標定する。
【0071】
位置標定部522は、標定結果の情報を損傷判定部523に出力する。損傷判定部523は、位置標定部522から出力された標定結果に基づいて損傷の判定を行う(ステップS111)。具体的には、まず損傷判定部523は、標定結果として示される弾性波源の位置に基づいて損傷面積を推定する。次に、損傷判定部523は、損傷面積に基づいて損傷面積率を推定する。損傷判定部523は、推定した損傷面積率が初期状態から所定の値(例えば、20%)以上増加したと判定した場合、損傷が発生したと判定する。損傷判定部523は、推定した損傷面積率が初期状態から所定の値(例えば、20%)以上増加したと判定していない場合、損傷が発生していないと判定する。
【0072】
損傷判定部523は、アラートの通知条件が満たされたか否かを判定する(ステップS112)。具体的には、損傷判定部523は、損傷が発生したと判定した場合にアラートの通知条件が満たされたと判定し、損傷が発生していないと判定した場合にアラートの通知条件が満たされていないと判定する。損傷判定部523は、アラートの通知条件が満たされたと判定した場合(ステップS112-YES)、通知部524に対してアラートを通知させる。通知部524は、損傷判定部523からの制御に応じてアラートを通知する(ステップS113)。
【0073】
ステップS113の処理後、又は、アラートの通知条件が満たされていないと判定した場合(ステップS112-NO)、損傷判定装置50は信号処理部40が停止されるまでステップS109からステップS113までの処理を実行する。稼働制御装置35は、起動条件が満たされた後に、起動条件が満たされなくなった場合、信号処理部40を停止させるための停止信号を生成する。稼働制御装置35は、生成した停止信号を信号処理部40に送信する。信号処理部40は、稼働制御装置35から送信された停止信号に基づいて休止状態に移行する。
【0074】
以上のように構成された損傷判定システム100によれば、半導体装置1内部の接合部8,9の劣化を高精度に検出することができる。具体的には、損傷判定システム100では、複数のセンサ10それぞれによって検出された複数の弾性波のうち、起動条件を満たした期間中に取得された弾性波に基づいて、接合部8,9の損傷を判定する。このように、損傷判定システム100では、高温保持時間中(温度変化が小さい時)であることを示す条件が満たされたタイミングで信号処理部40を起動させて弾性波の計測を開始する。これにより、温度変化による接合部8,9以外から発生する弾性波を取り除き、接合部8,9から発生する弾性波を効率よく検出することができる。このように検出された弾性波は、接合部8,9から発生する弾性波である。そのため、損傷判定システム100では、検出した弾性波に基づいて損傷を判定することにより、半導体装置1内部の接合部8,9の劣化を高精度に検出することが可能になる。
【0075】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、温度センサを用いずに、温度情報は半導体装置の駆動電流に基づいて推定する構成について説明する。
図12は、第2の実施形態における損傷判定システム100aの構成を示す図である。損傷判定システム100aは、半導体装置1内部の接合部8,9において発生した損傷の判定に用いられる。
【0076】
損傷判定システム100aは、半導体装置1と、ヒートシンク2と、複数のセンサ10-1~10-nと、稼働制御装置35aと、信号処理部40と、損傷判定装置50と、記憶装置60を備える。複数のセンサ10-1~10-nと信号処理部40とは、有線により接続される。信号処理部40と損傷判定装置50とは、有線又は無線により接続される。稼働制御装置35aと記憶装置60とは、有線により接続される。稼働制御装置35aと信号処理部40とは、有線により接続される。
【0077】
損傷判定システム100aは、温度センサ20を備えない点、稼働制御装置35に代えて稼働制御装置35aを備える点及び記憶装置60を新たに備える点で損傷判定システム100と構成が異なる。損傷判定システム100aのその他の構成については損傷判定システム100と同様である。そのため、損傷判定システム100a全体の説明は省略し、損傷判定システム100との相違点について説明する。
【0078】
記憶装置60には、電流を温度に変換するための変換式が保存される。温度と電流は相関があるため、事前に実験や有限要素法による非定常伝熱解析により、半導体装置1の温度と電流の関係を調べる。事前に得られた半導体装置1の温度と電流の関係に基づいて、電流を温度に変換するための変換式を求めて、この変換式が記憶装置60に保存される。記憶装置60は、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶装置60は、クラウド上のサーバであってもよいし、稼働制御装置35a内部に備えられてもよい。
【0079】
稼働制御装置35aは、半導体装置1の駆動電流と、記憶装置60に記憶されている変換式とに基づいて、信号処理部40の稼働を制御する。具体的には、稼働制御装置35aは、記憶装置60に記憶されている変換式を参照し、半導体装置1の駆動電流を温度の値に変換する。稼働制御装置35aは、変換後の温度の値に基づいて信号処理部40を起動するための起動条件が満たされたか否かを判定し、起動条件が満たされた場合に信号処理部40を起動する。半導体装置1の駆動電流の値は、半導体装置1に供給されている電流を取得してもよいし、外部から通知により取得してもよい。起動条件は、第1の実施形態と同様である。
【0080】
図13及び図14は、第2の実施形態における損傷判定システム100aが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図である。図13及び図14の処理開始時には、信号処理部40が休止状態であるとする。なお、図13及び図14において、図10及び図11と同様の処理については図10及び図11と同様の符号を付して説明を省略する。
【0081】
稼働制御装置35aは、半導体装置1の駆動電流の値を取得する(ステップS201)。稼働制御装置35aは、記憶装置60に記憶されている変換式を参照し、取得した駆動電流の値を温度の値に変換する(ステップS202)。稼働制御装置35aは、ステップS101及びステップS102の処理を所定期間の間継続する。これにより、稼働制御装置35aは、所定期間分の温度情報を取得する。稼働制御装置35aは、取得した所定期間分の温度情報に基づいて起動条件が満たされたか否かを判定する(ステップS203)。起動条件が満たされていない場合(ステップS203-NO)、稼働制御装置35aはステップS201及びステップS202の処理を繰り返し実行する。起動条件が満たされた場合(ステップS203-YES)、ステップS103以降の処理が実行される。
【0082】
以上のように構成された損傷判定システム100aによれば、温度センサ20を設置しなくても、第1の実施形態と同様に、高温保持時間中(温度変化が小さい時)であることを示す条件が満たされたタイミングで信号処理部40を起動させて弾性波の計測を開始する。これにより、温度変化による接合部8,9以外から発生する弾性波を取り除き、接合部8,9から発生する弾性波を効率よく検出することができる。このように検出された弾性波は、接合部8,9から発生する弾性波である。そのため、損傷判定システム100aでは、検出した弾性波に基づいて損傷を判定することにより、半導体装置1内部の接合部8,9の劣化を高精度に検出することが可能になる。
【0083】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、信号処理部を常時起動させる構成について説明する。
図15は、第3の実施形態における損傷判定システム100bの構成を示す図である。損傷判定システム100bは、半導体装置1内部の接合部8,9において発生した損傷の判定に用いられる。
【0084】
損傷判定システム100bは、半導体装置1と、ヒートシンク2と、複数のセンサ10-1~10-nと、温度センサ20と、信号処理部40bと、損傷判定装置50と、フィルタ65を備える。複数のセンサ10-1~10-nと信号処理部40bとは、有線により接続される。信号処理部40bとフィルタ65とは、有線により接続される。温度センサ20とフィルタ65とは、有線により接続される。損傷判定装置50とフィルタ65とは、有線により接続される。
【0085】
損傷判定システム100bは、稼働制御装置35を備えない点、信号処理部40に代えて信号処理部40bを備える点及びフィルタ65を新たに備える点で損傷判定システム100と構成が異なる。損傷判定システム100bのその他の構成については損傷判定システム100と同様である。そのため、損傷判定システム100b全体の説明は省略し、損傷判定システム100との相違点について説明する。
【0086】
温度センサ20は、半導体装置1が設置されている環境下における温度を計測する。温度センサ20は、計測結果である温度情報をフィルタ65に出力する。
【0087】
信号処理部40bは、信号処理部40とは異なり、常時稼働状態である。信号処理部40bは、センサ10から出力された弾性波の電気信号に対して信号処理を行う。信号処理部40bは、信号処理後のデジタル信号を含む送信データを生成し、生成した送信データを、フィルタ65を介して損傷判定装置50に出力する。
【0088】
フィルタ65は、温度センサ20から出力され温度情報に基づいてフィルタリングを行う。具体的には、フィルタ65は、温度情報で示される温度に基づいて、信号処理部40bから出力された送信データを損傷判定装置50に出力するためのフィルタ条件が満たされたか否かを判定し、フィルタ条件が満たされた期間中に取得された送信データを損傷判定装置50に出力する。すなわち、フィルタ65は、フィルタ条件が満たされていない期間中に信号処理部40bから出力された送信データを損傷判定装置50に出力しない。例えば、フィルタ65は、フィルタ条件が満たされていない期間中に信号処理部40bから出力された送信データを破棄する。
【0089】
フィルタ条件は、温度変化ΔTの値が、第3閾値Th3未満(ΔT<Th3)であって、かつ、温度が、基準温度T1以上を満たすことである。このように、フィルタ条件は、温度変化が少ない状態であって、かつ、温度が基準温度以上を満たすことである。なお、上記で示した第3閾値及び基準温度T1の値は、一例であり、使用状況に応じて値が変更されてもよい。フィルタ条件は、温度に基づく条件の一態様である。このフィルタ条件が満たされている期間は、図3に示す過程Cの状態に相当する。
【0090】
図16及び図17は、第3の実施形態における損傷判定システム100bが行う損傷判定処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図16及び図17において、図10及び図11と同様の処理については図10及び図11と同様の符号を付して説明を省略する。
【0091】
信号処理部40bのAFE41は、センサ10から送信された電気信号に対して前処理を行う(ステップS301)。具体的には、AFE41は、電気信号に対して、フィルタ処理及びアナログデジタル変換処理を行う。AFE41は、デジタル信号を制御部42に出力する。制御部42は、AFE41から出力されたデジタル信号を入力として、デジタル信号から特徴量を抽出する(ステップS302)。
【0092】
特徴量抽出部422は、抽出した特徴量にセンサIDを対応付けて送信データ生成部423に出力する。送信データ生成部423は、特徴量抽出部422から出力された特徴量を含む送信データを生成する(ステップS303)。送信データ生成部423は、生成した送信データを通信部43に出力する。通信部43は、送信データ生成部423から出力された送信データを損傷判定装置50に送信する(ステップS304)。信号処理部40bから損傷判定装置50に送信された送信データは、フィルタ65に入力される。
【0093】
フィルタ65は、温度センサ20により計測された温度情報を取得する(ステップS305)。フィルタ65は、ステップS305の処理を所定期間の間継続する。これにより、フィルタ65は、所定期間分の温度情報を取得する。なお、説明の都合上、ステップS301からステップS304の後にステップS305の処理の説明をしているが、ステップS305の処理は、ステップS301からステップS304が実行されている間に行われる。フィルタ65は、取得した所定期間分の温度情報に基づいてフィルタ条件が満たされたか否かを判定する(ステップS306)。フィルタ条件が満たされていない場合(ステップS306-NO)、フィルタ65はフィルタ条件が満たされていない期間に取得された送信データを破棄する(ステップS307)。
【0094】
一方、フィルタ条件が満たされた場合(ステップS306-YES)、フィルタ65はフィルタ条件が満たされている期間に取得された送信データを損傷判定装置50に出力する(ステップS308)。これにより、損傷判定装置50は、フィルタ条件が満たされた期間中の送信データのみを取得することになる。フィルタ条件が満たされた期間は、図3に示した過程Cの期間に相当する期間である。その後、損傷判定装置50は、ステップS109以降の処理を実行する。
【0095】
以上のように構成された損傷判定システム100bによれば、常時計測により第1の実施形態及び第2の実施形態よりも消費電力を要してしまう一方、第1の実施形態及び第2の実施形態では見逃していた弾性波も検出することが可能になる。これにより、第1の実施形態及び第2の実施形態よりも半導体装置1内部の接合部8,9の劣化を高精度に検出することが可能になる。
【0096】
(第3の実施形態の変形例)
損傷判定システム100bは、第2の実施形態のように温度情報を取得するように構成されてもよい。このように構成される場合、損傷判定システム100bは、温度センサ20に代えて記憶装置60を備える。フィルタ65は、稼働制御装置35aと同様の方法により、半導体装置1の駆動電流の値を取得する。フィルタ65は、記憶装置60に記憶されている変換式を参照し、取得した半導体装置1の駆動電流を温度の値に変換する。フィルタ65は、変換後の温度の値に基づいてフィルタ条件を満たすか否かを判定する。以降の処理は、第3の実施形態で示した処理と同様である。
【0097】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの損傷検知方法において、疲労寿命分布予測手法を組み合わせて寿命予測を高精度化する構成について説明する。
【0098】
まず第4の実施形態における概要について説明する。従来手法では、常時計測している温度履歴からサロゲートモデルで非弾性ひずみ範囲を推定し、サイクルカウント法と累積損傷則により疲労寿命分布を予測する手法が提案されている(例えば、非特許文献3参照)。このように従来手法により、接合部8,9の疲労寿命分布を推定することができる。疲労寿命分布は、縦軸が確率密度を表し、横軸が累積損傷値を表す。累積損傷値は、1を超えると破損を意味する。第4の実施形態では、従来手法により、パワー半導体3下の接合部9と、放熱用基板4下の接合部8の両方において事前に疲労寿命分布を算出し、平均累積損傷値を算出しておく。これらの情報は、事前に損傷判定装置に記憶される。そして、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの損傷検知方法において、損傷が発生したと判定された場合に、損傷判定装置に記憶されているパワー半導体3下の接合部9の平均累積損傷値及び放熱用基板4下の接合部8の平均累積損傷値の補正を行う。以下、具体的な構成について説明する。
【0099】
図18は、第4の実施形態における損傷判定システム100cの構成を示す図である。損傷判定システム100cは、半導体装置1内部の接合部8,9において発生した損傷の判定に用いられる。損傷判定システム100cは、半導体装置1と、ヒートシンク2と、複数のセンサ10-1~10-nと、温度センサ20と、稼働制御装置35と、信号処理部40と、損傷判定装置50cを備える。複数のセンサ10-1~10-nと信号処理部40とは、有線により接続される。信号処理部40と損傷判定装置50cとは、有線又は無線により接続される。温度センサ20と稼働制御装置35とは、有線により接続される。稼働制御装置35と信号処理部40とは、有線により接続される。
【0100】
損傷判定システム100cは、損傷判定装置50に代えて損傷判定装置50cを備える点で損傷判定システム100と構成が異なる。損傷判定システム100cのその他の構成については損傷判定システム100と同様である。そのため、損傷判定システム100c全体の説明は省略し、損傷判定システム100との相違点について説明する。なお、図18に示す損傷判定システム100cでは、第1の実施形態に示す損傷検知方法により接合部8,9の損傷の判定を行うものとする。
【0101】
損傷判定装置50cは、通信部51と、制御部52cと、記憶部53cと、表示部54とを備える。通信部51及び表示部54の構成は、損傷判定装置50が備える機能部と同じ処理を行うため説明を省略する。
【0102】
記憶部53cは、取得部521によって取得された送信データと、従来手法で算出されたパワー半導体3下の接合部9の疲労寿命分布と平均累積損傷値、放熱用基板4下の接合部8の疲労寿命分布と平均累積損傷値を記憶する。なお、記憶部53cには、起動条件、センサ10の設置位置に関する情報及び初期状態の健全面積の情報が記憶されていてもよい。記憶部53cは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0103】
制御部52cは、損傷判定装置50c全体を制御する。制御部52cは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部52cは、プログラムを実行することによって、取得部521、位置標定部522、損傷判定部523、通知部524及び補正部525として機能する。取得部521、位置標定部522、損傷判定部523、通知部524及び補正部525を実現するためのプログラムは、出荷時に損傷判定装置50cにインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
【0104】
補正部525は、損傷判定部523により損傷が発生したと判定された場合に、記憶部53cに記憶されているパワー半導体3下の接合部9の平均累積損傷値及び放熱用基板4下の接合部8の平均累積損傷値を補正する。
【0105】
ここで、補正部525が行う補正の具体的な方法について図19を用いて説明する。図19は、第4の実施形態における補正部525が行う補正方法を説明するための図である。図19において、パワー半導体3下の接合部(補正前)及び放熱用基板4下の接合部(補正前)は、記憶部53cに記憶されている平均累積損傷値を表す。累積損傷値Dは、1に達した時点で破損するが、平均累積損傷値が0.86の段階で放熱用基板4下の接合部8の破損が検知された(損傷が発生したと判定された)とする。
【0106】
この場合、補正部525は、ΔD=1-0.86に相当する累積損傷値が予測されない何らかの理由で加えられたものと判断し、破損していない残りのパワー半導体3下の接合部9の平均累積損傷値である0.53を、放熱用基板4下の接合部8の平均累積損傷値である0.86で除算する。そして、補正部525は、0.53を0.86で除算した0.616をパワー半導体3下の接合部9の新たな平均累積損傷値とする。なお、放熱用基板4下の接合部8の破損が検知された(損傷が発生したと判定された)ことに応じて、補正部525は、放熱用基板4下の接合部8の新たな平均累積損傷値を1とする。このように、補正部525は、パワー半導体3下の接合部9の平均累積損傷値及び放熱用基板4下の接合部8の平均累積損傷値を補正する。なお、補正後には放熱用基板4下の接合部8の累積損傷値は1を超えるが、この破損はき裂発生寿命であり、き裂進展を伴う製品寿命を意味するものではない。補正部525は、補正後のパワー半導体3下の接合部9の平均累積損傷値及び放熱用基板4下の接合部8の平均累積損傷値に基づいて、パワー半導体3下の接合部9の疲労寿命分布及び放熱用基板4下の接合部8の疲労寿命分布も補正する。
【0107】
以上のように構成された損傷判定システム100cによれば、アラート通知を行うタイミングで、接合部8,9の平均累積損傷値を補正する。これにより、パワー半導体3下の接合部9の疲労寿命分布と、放熱用基板4下の接合部8の疲労寿命分布がより高精度な結果に補正される。このように、寿命予測を高精度化することが可能になる。
【0108】
(第4の実施形態の変形例)
上述した例では、損傷判定システム100cが、第1の実施形態に示す損傷検知方法により接合部8,9の損傷の判定を行う構成を示した。損傷判定システム100cは、第2の実施形態に示す損傷検知方法、又は、第3の実施形態に示す損傷検知方法により接合部8,9の損傷の判定を行うように構成されてもよい。
【0109】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの損傷検知方法において、疲労寿命分布予測手法を組み合わせて寿命予測を高精度化する構成について説明する。
【0110】
まず第5の実施形態における概要について説明する。第5の実施形態では、図20に示すように複数個の半導体装置1が組み込まれているインバーター装置80における寿命予測を高精度化する。図20に示すように、インバーター装置80が備える各半導体装置1には、複数のセンサ10が配置される。なお、第5の実施形態において対象とする装置は、インバーター装置80に限らず、複数個の半導体装置1が組み込まれている装置であれば他の装置であってもよい。第5の実施形態では、従来の疲労寿命分布を事前確率分布として、ベイズ推定により事後確率分布を算出することで、寿命予測を高精度化する。以下、具体的な構成について説明する。
【0111】
図21は、第5の実施形態における損傷判定システム100dの構成を示す図である。損傷判定システム100dは、半導体装置1内部の接合部8,9において発生した損傷の判定に用いられる。損傷判定システム100dは、半導体装置1と、ヒートシンク2と、複数のセンサ10-1~10-nと、温度センサ20と、稼働制御装置35と、信号処理部40と、損傷判定装置50dを備える。複数のセンサ10-1~10-nと信号処理部40とは、有線により接続される。信号処理部40と損傷判定装置50dとは、有線又は無線により接続される。温度センサ20と稼働制御装置35とは、有線により接続される。稼働制御装置35と信号処理部40とは、有線により接続される。
【0112】
損傷判定システム100dは、損傷判定装置50に代えて損傷判定装置50dを備える点で損傷判定システム100と構成が異なる。損傷判定システム100dのその他の構成については損傷判定システム100と同様である。そのため、損傷判定システム100d全体の説明は省略し、損傷判定システム100との相違点について説明する。なお、図21に示す損傷判定システム100dでは、第1の実施形態に示す損傷検知方法により接合部8,9の損傷の判定を行うものとする。
【0113】
損傷判定装置50dは、通信部51と、制御部52dと、記憶部53dと、表示部54とを備える。通信部51及び表示部54の構成は、損傷判定装置50が備える機能部と同じ処理を行うため説明を省略する。
【0114】
記憶部53dは、取得部521によって取得された送信データと、従来手法で算出された複数の半導体装置1のパワー半導体3下の接合部9の疲労寿命分布及び複数の半導体装置1の放熱用基板4下の接合部8の疲労寿命分布を記憶する。なお、記憶部53dには、起動条件、センサ10の設置位置に関する情報及び初期状態の健全面積の情報が記憶されていてもよい。記憶部53cは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0115】
制御部52dは、損傷判定装置50d全体を制御する。制御部52dは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部52dは、プログラムを実行することによって、取得部521、位置標定部522、損傷判定部523、通知部524及び算出部526として機能する。取得部521、位置標定部522、損傷判定部523、通知部524及び算出部526を実現するためのプログラムは、出荷時に損傷判定装置50dにインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
【0116】
算出部526は、損傷判定部523により損傷が発生したと判定された場合に、記憶部53cに記憶されている複数の半導体装置1のパワー半導体3下の接合部9の疲労寿命分布及び複数の半導体装置1の放熱用基板4下の接合部8の疲労寿命分布を事前確認分布として、ベイズ推定により事後確率分布を算出する。
【0117】
ここで、算出部526が行う処理について具体的に説明する。インバーター装置80において運用されているm(mは2以上の整数)個の半導体装置1のうちのk(kは1以上の整数)個の半導体装置1において損傷が発生した場合を考える。これを事象Aとすると、信頼度Rの半導体装置1において、事象Aが生じる確率は式(1)で表される。
【0118】
【数1】
【0119】
このとき、信頼度Rとは、機器やその構成要素が与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たす確率を表し、式(2)で表される。
【0120】
【数2】
【0121】
式(2)において、Pは破損確率を表す。破損確率は、累積損傷値が1を超えた確率密度の合計で表される。事後確率分布f(R|A)は式(3)で表される。
【0122】
【数3】
【0123】
算出部526は、上式(3)に基づいて事後確率分布f(R|A)を算出する。この算出された事後確率分布f(R|A)が、高精度化された寿命予測結果となる。
【0124】
以上のように構成された損傷判定システム100dによれば、ベイズ推定により、従来の疲労寿命予測よりも確度の上がった推定が可能になる。
【0125】
(第5の実施形態の変形例)
上述した例では、損傷判定システム100dが、第1の実施形態に示す損傷検知方法により接合部8,9の損傷の判定を行う構成を示した。損傷判定システム100dは、第2の実施形態に示す損傷検知方法、又は、第3の実施形態に示す損傷検知方法により接合部8,9の損傷の判定を行うように構成されてもよい。
【0126】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、放熱用基板4を他の構成部材と接合する1以上の接合部8,9を有する1以上の半導体装置1と、1以上の半導体装置1の1以上の接合部8,9で発生した弾性波を検出する複数のセンサ10と、複数のセンサ10それぞれによって検出された複数の弾性波のうち、温度に基づく条件を満たした弾性波に基づいて、1以上の接合部8,9の損傷を判定する損傷判定部523と、を持つことにより、半導体装置内部の接合部の劣化を高精度に検出することができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0128】
1…半導体装置,2…ヒートシンク,3…パワー半導体,4…放熱用基板,5…Cuベースプレート,6-1、6-2…Cu,7…セラミック絶縁基板,10、10-1~10-n…センサ,20…温度センサ,35、35a…稼働制御装置,40、40b…信号処理部,41…AFE,42…制御部,43…通信部,44…稼働部,45…電源供給部,50、50c、50d…損傷判定装置,51…通信部,52、52c、52d…制御部,53、53c…記憶部,54…表示部,60…記憶装置,65…フィルタ,80…インバーター装置,100、100a、100b、100c、100d…損傷判定システム,411…受信部,412…第1フィルタ,413…アナログデジタル変換部,414…第2フィルタ,421…イベント信号生成部,422…特徴量抽出部,423…送信データ生成部,521…取得部,522…位置標定部,523…損傷判定部,524…通知部,525…補正部,526…算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21