(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】移動体充電システムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20250909BHJP
【FI】
G07G1/00 331Z
(21)【出願番号】P 2022003687
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2024-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛腸 克己
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置と、前記充電装置に対して縦列的に複数台連結可能であり、前記充電装置から電力を供給されて充電可能な移動体とを備えた移動体充電システムであって、
前記充電装置は、
突出先端部を有し、前記移動体を
前記突出先端部にはめ込むことで前記充電装置に対して定められた位置に連結する第1連結機構と、
1次電源と、
前記突出先端部の下部に位置し、前記充電装置に縦列的に連結された複数台の前記移動体に前記1次電源から電力を供給する電力供給部と、
を備え、
前記移動体は、
前記
突出先端部または他の移動体に対して連結して前記移動体を前記充電装置に対して定められた位置に位置させる第2連結機構と、
前記
電力供給部から供給された電力を受ける受電部と、
前記充電装置または前記他の移動体に連結された状態で前記受電部が受けた電力を充電する2次電池と、
を備え
、
前記第2連結機構は、固定部と、前記突出先端部が当接することで前記固定部に対して回動する回動部と、を有し、
前記充電装置と前記移動体が連結することで、前記回動部が回動して前記電力供給部から前記受電部に前記電力を供給する、
移動体充電システム。
【請求項2】
前記移動体が縦列的に前記充電装置に連結されると、前記電力供給部とそれぞれの移動体の前記受電部とが接触して、前記受電部は前記電力を受け、
前記移動体は、
前記受電部と電気的に接続された第2電力供給部、をさらに備え、
前記第2連結機構が前記充電装置に連結された前記他の移動体に連結されると、前記他の移動体の前記第2電力供給部と前記受電部とが接触して、前記受電部は前記他の移動体を介して前記充電装置から前記電力を受ける、
請求項1に記載の移動体充電システム。
【請求項3】
前記
回動部は、第1端部と、前記第1端部と反対側に位置する第2端部とを有し、前記第1端部は前記
突出先端部または前記他の移動体と連結し、前記第2端部は、更に他の移動体が備える第2連結機構の前記第1端部と連結する、
請求項1または2に記載の移動体充電システム。
【請求項4】
前記
回動部は
、前記第1連結機構
または前記
他の移動体と連結可能な連結位置と前記第1連結機構
または前記
他の移動体と連結不可な退避位置との間で回動可能であり、前記
回動部を前記第1連結機構または前記他の移動体に連結する過程において、前記
突出先端部、または前記他の移動体に設けられた
前記第2端部、が前記
第1端部と当接することで前記
回動部が前記退避位置から前記連結位置に回動する、
請求項3に記載の移動体充電システム。
【請求項5】
充電装置と、前記充電装置に対して縦列的に複数台連結され、前記充電装置から電力を供給されて充電可能な移動体とを備えた移動体充電システムにおける前記移動体であって、
前記充電装置または他の移動体に対して前記移動体を縦列的に複数台連結可能な第2連結機構と、
前記充電装置から供給された電力を受ける受電部と、
前記受電部が受けた電力を充電する2次電池と、
を備え、
前記第2連結機構は、固定部と、前記充電装置の突出先端部が当接することで前記固定部に対して回動する回動部と、を有し、
前記充電装置または他の移動体と連結されることで、前記回動部が回動して前記充電装置から前記受電部に前記電力が供給される、
移動体。
【請求項6】
前記受電部と電気的に接続された第2電力供給部と、を備え、
前記第2連結機構が前記充電装置に連結された他の移動体に連結されると、前記他の移動体の前記第2電力供給部と前記受電部が接触して、前記受電部は前記他の移動体を介して前記充電装置から供給された前記電力を受ける、
請求項5に記載の移動体。
【請求項7】
前記回動部は、第1端部と、前記第1端部と反対側に位置する第2端部とを有し、前記第1端部は前記充電装置または前記他の移動体と連結し、前記第2端部は、更に他の移動体が備える第2連結機構の前記第1端部と連結する、
請求項
6に記載の移動体。
【請求項8】
前記回動部は、前記充電装置または前記他の移動体と連結可能な連結位置と前記充電装置または前記他の移動体と連結不可な退避位置との間で回動可能であり、前記回動部を前記充電装置または前記他の移動体に連結する過程において、前記充電装置に設けられた突出先端部、または前記他の移動体に設けられた前記第2端部、が前記第1端部と当接することで前記回動部が前記退避位置から前記連結位置に回動する、
請求項7に記載の移動体。
【請求項9】
充電装置と、前記充電装置に対して縦列的に複数台連結可能であり、前記充電装置から電力を供給されて充電可能な移動体とを備えた移動体充電システムであって、
前記充電装置は、
前記移動体を前記充電装置に対して定められた位置に連結する第1連結機構と、
1次電源と、
前記充電装置に縦列的に連結された複数台の前記移動体に前記1次電源から電力を供給する電力供給部と、
を備え、
前記移動体は、
前記充電装置または他の移動体に対して連結して前記移動体を前記充電装置に対して定められた位置に位置させる第2連結機構と、
前記充電装置から供給された電力を受ける受電部と、
前記充電装置または前記他の移動体に連結された状態で前記受電部が受けた電力を充電する2次電池と、
を備え、
前記第2連結機構は、第1端部と、前記第1端部と反対側に位置する第2端部とを有し、前記第1端部は前記第1連結機構または前記他の移動体と連結し、前記第2端部は、更に他の移動体が備える第2連結機構の前記第1端部と連結し、
前記第2連結機構は、前記第1端部と前記第2端部が、前記第1連結機構および前記移動体と連結可能な連結位置と前記第1連結機構および前記移動体と連結不可な退避位置との間で回動可能であり、前記第2連結機構を前記第1連結機構または前記他の移動体に連結する過程において、前記第1連結機構または前記他の移動体に設けられた前記第2連結機構と当接することで前記第1端部と前記第2端部が前記退避位置から前記連結位置に回動する、
移動体充電システム。
【請求項10】
前記移動体が縦列的に前記充電装置に連結されると、前記電力供給部とそれぞれの移動体の前記受電部とが接触して、前記受電部は前記電力を受け、
前記移動体は、
前記受電部と電気的に接続された第2電力供給部、をさらに備え、
前記第2連結機構が前記充電装置に連結された前記他の移動体に連結されると、前記他の移動体の前記第2電力供給部と前記受電部とが接触して、前記受電部は前記他の移動体を介して前記充電装置から前記電力を受ける、
請求項9に記載の移動体充電システム。
【請求項11】
充電装置と、前記充電装置に対して縦列的に複数台連結され、前記充電装置から電力を供給されて充電可能な移動体とを備えた移動体充電システムにおける前記移動体であって、
前記移動体を縦列的に複数台連結可能な第2連結機構と、
前記充電装置から供給された電力を受ける受電部と、
前記受電部が受けた電力を充電する2次電池と、
前記受電部と電気的に接続された第2電力供給部と、を備え、
前記第2連結機構が他の移動体に連結されると、前記他の移動体の前記第2電力供給部と前記受電部が接触して、前記受電部は前記他の移動体を介して前記充電装置から供給された前記電力を受け、
前記第2連結機構は、第1端部と、前記第1端部と反対側に位置する第2端部とを有し、前記第1端部は前記他の移動体と連結し、前記第2端部は、更に他の移動体が備える第2連結機構の前記第1端部と連結し、
前記第2連結機構は、前記第1端部と前記第2端部が、前記移動体と連結可能な連結位置と前記移動体と連結不可な退避位置との間で回動可能であり、前記第2連結機構を前記他の移動体に連結する過程において、前記他の移動体に設けられた前記第2連結機構に当接することで前記第1端部と前記第2端部が前記退避位置から前記連結位置に回動して連結される、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動体充電システムおよび移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の店舗では、顧客が購入対象の商品を運ぶために、例えばショッピングカート(以降「カート」という)のような移動体が使用されている。
【0003】
最近このような移動体には、例えば商品を識別可能な商品情報を読み取らせる商品登録装置や商品の情報を読み取るスキャナ等の装置(以降「負荷」という)を取り付けることで利便性を向上させることができる。移動体には充電および放電が可能な2次電池が装着されており、2次電池からこれらの負荷に電力を供給することで負荷が駆動する。
【0004】
ところで、移動体にこれらの負荷を取り付けた場合、負荷を駆動させるために2次電池を都度充電する必要がある。しかしながら、従来の技術では、一次電源側からケーブルを複数の移動体にそれぞれ接続して、個々に充電する必要があるため、充電作業が煩雑になっていた。特に、カートのように複数台の移動体を縦列させた状態では、個々の2次電池をそれぞれ充電する作業が煩雑であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、移動体の充電に係る作業の煩雑性の軽減することが可能な移動体充電システムおよび移動体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の移動体充電システムは、充電装置と、前記充電装置に対して縦列的に複数台連結可能であり、前記充電装置から電力を供給されて充電可能な移動体とを備えた移動体充電システムであって、前記充電装置は、突出先端部を有し、前記移動体を前記突出先端部にはめ込むことで前記充電装置に対して定められた位置に連結する第1連結機構と、1次電源と、前記突出先端部の下部に位置し、前記充電装置に縦列的に連結された複数台の前記移動体に前記1次電源から電力を供給する電力供給部と、を備え、前記移動体は、前記突出先端部または他の移動体に対して連結して前記移動体を前記充電装置に対して定められた位置に位置させる第2連結機構と、前記電力供給部から供給された電力を受ける受電部と、前記充電装置または前記他の移動体に連結された状態で前記受電部が受けた電力を充電する2次電池と、を備え、前記第2連結機構は、固定部と、前記突出先端部が当接することで前記固定部に対して回動する回動部と、を有し、前記充電装置と前記移動体が連結することで、前記回動部が回動して前記電力供給部から前記受電部に前記電力を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るカートの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、カートが充電装置に連結された状態の移動体充電システムの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1連結機構と第2連結機構の連結前の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、第1連結機構と第2連結機構の連結過程の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、第1連結機構と第2連結機構の連結過程の他の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、第1連結機構と第2連結機構が連結された状態の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、複数台のカートが充電装置に縦列的に連結された状態の移動体充電システムの一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、複数台のカートが充電装置に縦列的に連結された状態の移動体充電システムにおける回路図を示す図である。
【
図9】
図9は、カートが充電装置に縦列的に連結されていない状態の移動体充電システムにおける回路図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、移動体充電システムおよび移動体の一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。本実施形態では、店舗において商品を購入する際に使用するショッピングカート(以降「カート」という)を移動体の一例として説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の移動体充電システム1におけるカートの一例を示す斜視図である。カート10は、スーパーマーケット等の店舗において、顧客が購入する商品が載せられる装置として使用される。カート10は、ユーザの手押しにより移動する荷車である。
【0010】
カート10は、移動用の基台部11を備えている。基台部11は、カート10を移動させるための4個の車輪111を備えている。車輪111は、それぞれが独自に回転自在に支持されている。基台部11には、例えば箱状に梱包された商品や米等の大きな商品を載置する載置部112を備える。
【0011】
基台部11の上方には、上面を開口した籠状の収納部12が配置されている。収納部12は、基台部11の両側部から上方に延出する一対の支持柱13により支持されている。収納部12は、上方が開口された載置部122を有する。載置部122には商品を入れるカゴ(図示せず)が載置される。また、収納部12は、カート10の進入方向後方の面121がカート10の侵入方向に開閉可能になっている。そのため、
図7に示すように、カート10の収納部12には、後続のカート10の収納部12を挿入させて縦列させることにより、狭い敷地に多くのカート10を集積することが可能になっている。
【0012】
なお、載置部122には、カゴを載置する代わりに、購入する商品を直接載置するようにしてもよい。
【0013】
また、収納部12の面121の下方には、2次電池14が取り付けられている。2次電池14は、受電した電力を充電し、かつ充電した電力を放電する電池である。2次電池14は、
図9で後述する1次電源30から供給された電力を充電可能な蓄電池である。2次電池14は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池である。2次電池14は、充電した電力を負荷Fに対して放電する。実施形態では、後述する商品登録装置16が負荷Fの一例である。また、後述する、商品を識別するコードを読み取るスキャナ(図示せず)も負荷の一例である。
【0014】
また、支持柱13の上部には、カート10を移動させる顧客が把持するハンドル部15が設けられている。ハンドル部15には、販売対象の商品を商品登録する商品登録装置16が取り付けられている。
【0015】
商品登録装置16は、販売対象の商品を登録する装置である。商品登録装置16は、例えばタブレット型のPCで構成された端末装置である。商品登録装置16は、スキャナ(図示せず)と、表示部166とを備えている。スキャナは、購入する商品の商品情報を読み取る。例えば、スキャナは、バーコード等により示された商品を識別可能な商品コードを読み取る。
【0016】
表示部166は、例えば、タッチパネルディスプレイである。表示部166は、例えば、スキャナが読み取った商品に係る商品情報(商品名、価格、等)を表示する。また、商品登録装置16は、2次電池14に充電された電力を用いて駆動する。なお、商品登録装置16に2次電池14の充電残量を表示するようにしてもよい。
【0017】
商品登録装置16は、無線通信装置(図示せず)を有し、商品登録処理した商品の商品情報を店舗サーバやPOS端末(いずれも図示せず)に送信する。また、商品登録装置16は、例えばカードリーダ(図示せず)を備え、商品登録処理した商品について、例えばクレジットカードをカードリーダに読ませて精算処理を行う。
【0018】
また、カート10は、接続部2を備える。接続部2は、充電装置3とカート10とを連結する装置である。また、接続部2は、カート10と他のカート10とを連結する装置である。接続部2は、固定部21と回動部22(第2連結機構)とを備える。固定部21は、支持柱13間に架け渡される支柱17に固定されている。回動部22は、固定部21に設けられた支軸211によって上方向とカート10の進行方向と反対方向との間で(矢印YA方向)に回動可能に固定部21に取り付けられている。回動部22は、基礎部223と突出部222(第2端部)とを有する。基礎部223は、支軸211によって回動可能に軸支されている。突出部222は、基礎部223の一端部に、基礎部223から段差を有して設けられている。突出部222は先端部が先細り形状に形成されている。突出部222は、支軸211によって回動可能に軸支されている。
【0019】
突出部222と基礎部223は段差部224によって段差が形成されている。段差部224には、一対の穴状の接合凹部221が形成される。接合凹部221の内部には、
図8および
図9で後述する電気的な接点TO(第2電力供給部)が設けられている。また接続部2は、コイルバネ等の付勢部材(図示せず)によって、回動部22が支軸211を中心に上方に回動し、上方を向くように付勢されている(
図1の状態)。そのため、回動部22は、顧客がカート10を使用している場合には
図1のように支軸211を中心に上側を向いており、かつ固定部21に形成されている係止部212によって上方位置で位置決めされて保持されている。
【0020】
ここからは、カート10が充電装置3に接続された移動体充電システム1について説明する。
図2は、カート10が充電装置3に接続された状態の移動体充電システム1の一例を示す斜視図である。充電装置3と、充電装置3に縦列的に接続された一台または複数台のカート10で移動体充電システム1が構成される。
図2の例では、充電装置3と、充電装置3に接続された一台のカート10で移動体充電システム1が構成されている。なお、
図1で説明したカート10の構成については
図2の説明では省略する。
【0021】
充電装置3は、例えば店舗の入り口付近にカート10が集積されるカート置き場に設置される。充電装置3は、カート10を所定の位置に位置決めして縦列的に連結する装置である。
図2において、充電装置3は、床部に固定された基礎部31と、基礎部31から上方に略コ字状に延びた固定部32を備える。先頭のカート10は、固定部32で形成される空間に基台部11を挿入してカート10を充電装置3に連結する。先頭以外のカート10は、すでに連結されているカート10の収納部12にカート10の収納部12を差し込むことで当該カート10を連結する。なお、カート10は、充電装置3の両側に設けられたガイドパイプ34にガイドされて固定部32方向に移動する。
【0022】
また、充電装置3は、
図8および
図9に示す1次電源30を備える。1次電源30は、カート10に搭載された2次電池14を充電ための電源である。1次電源30は、直流電源および交流電源のいずれであってもよい。実施形態では、直流電源が使用されている。
【0023】
固定部32には、接続突出部33(第1連結機構)が設けられている。接続突出部33は、固定部32の略中央部からカート10の進入方向と反対側に向けて延出している。先頭のカート10が固定部32に挿入されると、接続部2と接続突出部33が連結されて、充電装置3とカート10が連結される。接続部2と接続突出部33が連結されると、1次電源30から2次電池14への充電が可能となる。なお、接続部2と接続突出部33との連結、および1次電源30から2次電池14への充電については、
図3~
図6、および
図8で後述する。
【0024】
また、接続部2と接続突出部33が連結されると、充電装置3は、カート10を充電装置3に対して決められた位置に位置決めする。決められた位置とは、カート10が充電装置3に正しく収納される位置である。最初のカート10が充電装置3によって決められた位置に位置決めされると、カート10に連結される2番目以降のカート10もそれぞれ充電装置3に対して決められた位置に位置する。
【0025】
ここからは、カート10の接続部2と充電装置3の接続突出部33との連結について説明する。
図3~
図6は、カート10の接続部2と充電装置3との連結の工程を示す図である。詳細には、
図3~
図6は、充電装置3の接続突出部33と接続部2の回動部22との連結の工程を示す図である。なお、
図3~
図6において、接続部2と充電装置3の構成を説明し易くするために、一部を断面し、断面した箇所をハッチングしている。
【0026】
まず、
図3は、接続突出部33と回動部22の連結前の一例を示す説明図である。
図3は、カート10を充電装置3に近づける方向(矢印YBの方向)に移動させて、カート10の基台部11を固定部32で形成される空間に挿入しつつある状態である。
【0027】
図3において、接続突出部33は先端部に突出先端部331を有する。また接続突出部33は、突出先端部331の下部に接合凹部332を有する。接合凹部332の内部には、
図8と
図9で後述する電気的な接点TJ(電力供給部)が設けられている。
【0028】
また接続部2は、ロの字状の固定部21と回動部22を備える。回動部22は、基礎部223の突出部222と反対側に接合凸部226が設けられている。接合凸部226の先端部には、
図8および
図9に示す電気的な接点TI(受電部)が設けられている。突出部222は、基礎部223が回動すると、上方向とカート10の進行方向後方に向きを変える。突出部222は、上方向に向いている場合が退避位置に位置している。突出部222が退避位置に位置している場合、突出部222は、後方に接続される他のカート10の回動部22とは接続されない。
【0029】
カート10がガイドパイプ34にガイドされて移動するが、
図3の状態ではまだ突出先端部331は固定部21の内部に挿入されていないため、回動部22は付勢部材によってカート10の進行方向と直角方向の上下方向に立った状態に付勢される。この状態では、突出部222は退避位置に位置しているため、カート10を移動させる顧客側に突出していないため、顧客にとって邪魔にはならない。また、この状態で接合凸部226も退避位置である退避穴213の内部に位置しているため、載置部112に商品を載置する際に邪魔にならない。
【0030】
図3の状態からさらにカート10が矢印YB方向に移動すると、
図4の状態になる。
図4は、接続突出部33と回動部22が接触した後の状態を示す説明図である。
図4において、カート10の矢印YB方向への移動に伴い接続突出部33の突出先端部331は、回動部22の基礎部223に当接する。さらにカート10が矢印YB方向に移動すると、突出先端部331に当接した回動部22は、突出先端部331に押されて支軸211を中心に
図4における時計方向(矢印YC方向)に回動し、突出部222は、退避位置から外れてカート10の進行方向とは反対側に突出する。また、接合凸部226も退避位置から外れてカート10の進行方向側に突出する。
図4は、突出先端部331に押された回動部22が、略45°まで回動した状態の図である。
【0031】
図5は、
図4の状態からさらにカート10が矢印YB方向に移動して、突出先端部331が回動部22をさらに押下し、回動部22が
図3の状態から略90°矢印YC方向に回動した状態を示す。この状態では、回動部22は略水平に倒れ、回動部22と接続突出部33は略平行の状態となる。この状態で回動部22は連結位置に位置している。また、突出部222は、カート10からカート10の進行方向と反対側(すなわち顧客側)に突出する。この状態で、突出部222の上下方向に位置は突出先端部331と略同一高さである。
【0032】
またこの状態で、接合凸部226と接合凹部332は上下方向に略同一高さに位置している(まだ接合凸部226と接合凹部332はカート10の進行方向に離れて位置しており、接合されていない)。
【0033】
この状態でさらにカート10が矢印YB方向に移動すると、接合凸部226が接合凹部332に入り込んで、接合凸部226と接合凹部332が接合される。
図6は、接合凸部226と接合凹部332が接合された状態を示す。この状態で、
図8に示すように、接点TJと接点TIが接触して電気的に接続される。
【0034】
このようにして、充電装置3の接続突出部33にカート10の回動部22が接続されると、接点TJと接点TIが接触して電気的に接続されることで、1次電源30から2次電池14への充電が開始される。2次電池14がフル充電されると、当該2次電池14への充電は停止される。
【0035】
また、突出部222の形状は突出先端部331の形状と同一または略同一であるため、カート10から突出した回動部22は固定部32から突出した接続突出部33と同じ機能を果たす。すなわち、充電装置3の接続突出部33に連結された当該カート10の回動部22は、あたかも接続突出部33のようであり、当該カート10の回動部22対して次のカート10を連結することが可能となる。
【0036】
図7は、充電装置3の接続突出部33に連結された当該カート10(第1カートという)に、さらに次のカート10(第2カートという)が連結された状態を示す。このように、充電装置3の接続突出部33にカート10が連結され、この連結された当該カート10にさらに1台以上のカート10が連結された状態(すなわち、充電装置3に対して複数台のカート10が一列に連結される状態)を、充電装置3に対してカート10が縦列的に連結されるという。この状態で、第1カートの回動部22(突出部222)は、第2カートの回動部22(基礎部223)と接合される。正確には、第1カートの接合凹部221と第2カートの接合凸部226が接合される。すると、
図8に示すように、第1カートの接点TOと第2カートの接点TIが接触して電気的に接続される。第1カートの接点TIと接点TOは接続(短絡している)されているため、第2カートの接点TIは実質的に充電装置3の接点TJと接続されているに等しい。そのため、第2カートの2次電池14は、第1カートを介して1次電源30から電力が供給され充電される。
図7において、接続突出部33に第1カートの接続部2が連結されると、第1カートは充電装置3に対して決められた位置に位置決めされる。また、第1カートの接続部2に第2カートの接続部2が連結されると、第2カートは充電装置3および第1カートに対して決められた位置に位置決めされる。なお、第2カートの対する第1カートが他のカート10(他の移動体)である。また、第2カートに接続される第3カート(図示せず)が更に他のカート10(更に他の移動体)である。
【0037】
ここからは、充電装置3にカート10が連結された場合の充電に係る回路、および充電装置3からカート10が取り外された場合の放電に係る回路について説明する。
【0038】
図8は、充電装置3に2台のカート10(例えば第1カートと第2カート)が連結された場合(
図7の状態)の充電に係る回路を示す。
図8に示すように、充電装置3に第1カートが連結されている場合、充電装置3の接合凹部332と第1カートの接合凸部226が接合されていることから充電装置3の接点TJと第1カートの接点TIが電気的に接続されているため、「1次電源30→充電装置3の接点TJ→第1カートの接点TI→第1カートの2次電池14→第1カートの接点TI→充電装置3の接点TJ→1次電源30」の閉ループができる。そして、この閉ループに1次電源30から電源が流れることから、第1カートの2次電池14は充電される。
【0039】
また、充電装置3に連結された第1カートに第2カートが連結されている場合、充電装置3の接合凹部332と第1カートの接合凸部226が接合されていることから充電装置3の接点TJと第1カートの接点TIが接続されており、かつ第1カートの接合凹部221と第2カートの接合凸部226が接合されていることから第1カートの接点TOと第2カートの接点TIが接続されているため、「1次電源30→充電装置3の接点TJ→第1カートの接点TI→第1カートの接点TO→第2カートの接点TI→第2カートの2次電池14→第2カートの接点TI→第1カートの接点TO→第1カートの接点TI→充電装置3の接点TJ→1次電源30」の閉ループができる。そして、この閉ループに1次電源30から電源が流れることから、第2カートの2次電池14は充電される。以降、第2カートに第3カートが連結、第3カートに第4カートが連結(以降同様)されていても、同様にすべての連結されているカート10の2次電池14を1次電源30から充電することができる。
【0040】
そのため、充電装置3にカート10を連結するだけで、連結されたカート10の2次電池14に対し、また充電装置3に連結されたカート10に次々にカート10を連結するだけで、連結されたすべてのカート10の2次電池14に対し、1次電池から充電行うことができる。
【0041】
なお、2次電池14が充電中の間は、例えばスイッチ等を切り替えて、2次電池14に接続されている負荷Fへの2次電池14からの電力供給(通電)を遮断するようにするようすることが望ましい。
【0042】
次に、各カート10が連結から取り外された場合の放電の回路について説明する。
図9は、充電装置3から第1カートが取り外され、また第1カートから第2カートが取り外された場合の放電に係る回路を示す。
図9に示すように、この状態では、充電装置3の接合凹部332と第1カートの接合凸部226は分離されていることから充電装置3の接点TJと第1カートの接点TIが電気的に接続されていないため、1次電源30から第1カートに対して充電はされていない。そのため、第1カートの2次電池14は、2次電池14→負荷F→2次電池14の閉ループに電流を流し、第1カートに搭載されている負荷Fに対して電力を供給して負荷Fを駆動する。
【0043】
また、第2カートは第1カートから取り外されている。この状態では、第1カートの接合凹部221と第2カートの接合凸部226は分離されていることから第1カートの接点TOと第2カートの接点TIが接続されていないため、1次電源30から第2カートに対して充電はされていない。そのため、第2カートの2次電池14は、2次電池14→負荷F→2次電池14の閉ループに電流を流し、第2カートに搭載されている負荷Fに対して電力を供給して負荷Fを駆動する。
【0044】
そのため、充電装置3からカート10を取り外すだけで、または充電装置3に連結されているカート10から別のカート10を取り外すだけで、充電された2次電池14によって当該カート10の負荷Fを駆動することができる。
【0045】
なお、第1カートおよび第2カートにおいて、1次電源30からの自身の2次電池14への充電が遮断された場合に、例えばスイッチ等を切り替えて、2次電池14に接続されている負荷Fへの2次電池14からの電力供給(通電)を開始するようにすることが望ましい。
【0046】
以上説明したように、実施形態の移動体充電システム1は、充電装置3と、充電装置3に対して縦列的に複数台連結可能であり、充電装置3から電力を供給されて充電可能なカート10とを備えた移動体充電システム1であって、充電装置3は、カート10を充電装置3に対して定められた位置に連結する接続突出部33と、1次電源30と、充電装置3に縦列的に連結された複数台のカート10に1次電源30から電力を供給する接点TJと、を備え、カート10は、充電装置3または他のカート10に対して連結してカート10を充電装置3に対して定められた位置に位置させる回動部22と、充電装置3から供給された電力を受ける接点TIと、充電装置3または他のカート10に連結された状態で接点TIが受けた電力を充電する2次電池14と、を備える。
【0047】
このような構成の実施形態の移動体充電システム1は、充電装置3に対してカート10を縦列的に連結するだけで各カート10に充電することができる。そのため、カート10の充電に係る作業の煩雑性の軽減することが可能となる。
【0048】
また、実施形態のカート10は、充電装置3と、充電装置3に対して縦列的に複数台連結され、充電装置3置から電力を供給されて充電可能なカート10とを備えた移動体充電システム1におけるカート10であって、カート10を縦列的に複数台連結可能な回動部22と、充電装置3から供給された電力を受ける接点TIと、接点TIが受けた電力を充電する2次電池14と、接点TIと電気的に接続された接点TOと、を備え、回動部22が他のカート10に連結されると、他のカート10の接点TOと接点TIが接触して、接点TIは他のカート10を介して充電装置3から供給された前記電力を受ける。
【0049】
このような構成の実施形態のカート10は、充電装置3に対してカート10を縦列的に連結するだけで各カート10に充電することができる。そのため、カート10の充電に係る作業の煩雑性の軽減することが可能となる。
【0050】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
例えば、実施形態では、第1連結機構である接続突出部33と第2連結機構である回動部22を連結させて充電装置3とカート10を連結し、電力供給部である接点TJと受電部である接点TIとを接触させて、充電装置3からカート10に電力を供給するようにした。また、他のカート10の回動部22とカート10の回動部22を連結し、第2電力供給部である接点TOと受電部である接点TIとを接触させて、他のカート10を介して充電装置3からカート10に電力を供給するようにした。しかしながらこれに限らず、請求項1~請求項4に係る移動体充電システム1の発明では、例えば縦列的に連結された各カート10の下部に充電装置3に接続された電力供給部を配置し、対応するカート10には、それぞれの電力供給部と非接触で受電する受電部を備えるようにしてもよい。充電装置3は、カート10を、充電装置3に対して定められた位置に連結する第1連結機構を備えており、かつ各カート10は、充電装置3に対して定められた位置に連結する第2連結機構を備えている。そのため、各カート10を充電装置3に対して決められた位置に位置決めすることができる。そのため、充電装置3にカート10を連結した場合、電力供給部と、充電装置3に縦列的に連結された各カート10の受電部とを、をそれぞれ対向位置に配置することができる。
【0052】
また、実施形態では、第1連結機構である接続突出部33と第2連結機構である回動部22を連結させて充電装置3とカート10を連結し、電力供給部である接点TJと受電部である接点TIとを接触させて、充電装置3からカート10に電力を供給するようにした。しかしながらこれに限らず、請求項5~請求項7に係る移動体10の発明では、充電装置3とカート10との電気的な接続は、例えばフレキシブルなケーブルを用いて行ってもよい。また、請求項5~請求項7に係るカート10は、必ずしも第1連結機構である接続突出部33と第2連結機構である回動部22を連結させなくてもよい。
【0053】
また、実施形態では、充電装置3とカート10を連結した場合に、その時点から連結されたカート10の2次電池の充電を開始するようにした。しかしながらこれに限らず、例えば、カート10を使用しない店舗の閉店時等を利用して、所定時刻になったら充電装置3に連結されているカート10に対し、充電装置3から一斉に充電を開始するようにしてもよい。
【0054】
また、実施形態では、カート10を移動体の一例として説明した。しかしながらこれに限らず、移動体は、カート10以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 移動体充電システム
2 接続部
3 充電装置
10 カート
11 基台部
12 収納部
13 支持柱
14 2次電池
15 ハンドル部
16 商品登録装置
21 固定部
22 回動部
30 1次電源
31 基礎部
32 固定部
33 接続突出部
111 車輪
112 載置部
122 載置部
166 表示部
211 支軸
212 係止部
213 退避穴
221 接合凹部
222 突出部
223 基礎部
224 段差部
226 接合凸部
331 突出先端部
332 接合凹部
F 負荷
TI 接点
TJ 接点
TO 接点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】