IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

特許7741861光電子素子用有機分子、有機分子の、光電子素子における発光エミッタとしての使用、組成物、光電子素子、及び光電子素子の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-09
(45)【発行日】2025-09-18
(54)【発明の名称】光電子素子用有機分子、有機分子の、光電子素子における発光エミッタとしての使用、組成物、光電子素子、及び光電子素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20250910BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250910BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250910BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20250910BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20250910BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20250910BHJP
【FI】
C07F5/02 A CSP
C09K11/06 660
H10K50/12
H10K71/12
H10K71/16
H10K85/60
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023504143
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021070469
(87)【国際公開番号】W WO2022018176
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2024-05-29
(31)【優先権主張番号】20187640.6
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ザイファーマン,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ツィンク,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ティリオン,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】パシャザデ,ラミン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512303(JP,A)
【文献】特開2022-022130(JP,A)
【文献】特表2023-544435(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146962(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0080188(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0084871(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
C09K 11/06
H10K 85/60
H10K 50/12
H10K 71/12
H10K 71/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式I-a又は化学式I-nの構造を含む、有機分子:
【化12】

化学式I-a

【化24】

化学式I-n
ここで、Rは、化学式IIで表されるアクセプタモイエティであり、
【化2】

化学式II

前記化学式IIは、点線で表示された位置を介して前記化学式Iの構造に結合され、
Qは、それぞれの場合、N及びCRからなる群から独立して選択され、
下記からなる群から独立して選択され、
水素、重水素、ハロゲン、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh、及び
1以上の水素原子がC-Cアルキル、CN、CFまたはPhで独立して任意に置換されるC-C18アリール、
、RXI、RXII XV、RXVI 及びXVII 、下記からなる群から独立して選択され、
水素、
重水素、
N(R
OR
SR
Si(R
B(OR
OSO
CF
CN、
ハロゲン、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルキル、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで任意に置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルコキシ、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで任意に置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40チオアルコキシ、
ここで1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで任意に置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルケニル、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで任意に置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルキニル、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで任意に置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C60アリール、及び
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C57ヘテロアリール、
ここで、
、R及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択される:
水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C-Cアルキル)、Si(Ph)
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルキル、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルコキシ、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cチオアルコキシ、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルケニル、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルキニル、
1以上のC-Cアルキル置換基で任意に置換されるC-C18アリール、
1以上のC-Cアルキル置換基で任意に置換されるC-C17ヘテロアリール、
N(C-C18アリール)
N(C-C17ヘテロアリール)、及び
N(C-C17ヘテロアリール)(C-C18アリール)。
【請求項2】
は、化学式IIa、IIb及びIIcうち1つで表されるアクセプタモイエティである、請求項1に記載の有機分子:
【化6】

化学式IIa

【化7】

化学式IIb

【化8】

化学式IIc

前記化学式IIa、IIb及びIIc、点線で表示された位置を介して前記化学式Iの構造に結合される。
【請求項3】
、RXI、RXII XV、RXVI 及びXVII 、下記からなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の有機分子:
水素、重水素、ハロゲン、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されたPh、及び
N(Ph)
【請求項4】
、R及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択される、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の有機分子:
水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
1以上の水素原子が、重水素で任意に置換されるC-Cアルキル、
1以上の水素原子が、独立して、C-Cアルキル、C-C18アリール、C-C17ヘテロアリール、CNまたはCFで任意に置換されるC-C18アリール、
1以上の水素原子が、独立して、C-Cアルキル、C-C18アリール、C-C17ヘテロアリール、CNまたはCFで任意に置換されるC-C15ヘテロアリール、及び
N(Ph)
【請求項5】
、R及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択される、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の有機分子:
水素、重水素、ハロゲン、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh、及び
1以上の水素原子が、独立して、C-Cアルキル、CN、CFまたはPhで任意に置換されるC-C18アリール。
【請求項6】
は、それぞれの場合、水素である、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の有機分子。
【請求項7】
請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の有機分子の、光電子素子における発光エミッタとしての使用。
【請求項8】
前記光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池、OLEDセンサ、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機レーザ及び下向き変換素子からなる群から選択される、請求項に記載の使用。
【請求項9】
以下を含む、組成物:
(a)エミッタ形態及び/またはホスト形態の、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の有機分子、
(b)前記有機分子とは異なるエミッタ物質及び/またはホスト物質、及び
(c)任意に、染料及び/または溶媒。
【請求項10】
請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の有機分子、または請求項に記載の組成物を含む、光電子素子。
【請求項11】
有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池、OLEDセンサ、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機レーザ及び下向き変換素子からなる群から選択された素子の形態を有する、請求項10に記載の光電子素子。
【請求項12】
-基板、
-アノード、及び
-カソード、前記アノードまたは前記カソードは、前記基板上に配置され、並びに
-発光層、前記発光層は、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、前記有機分子または前記組成物を含む、請求項10または11に記載の光電子素子。
【請求項13】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の有機分子、または請求項に記載の組成物が使用され、真空蒸発方法によるか、あるいは溶液からの前記有機分子の処理を含む、光電子素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光分子、並びに有機発光ダイオード(OLEDs)及びその他光電子素子における発光有機分子の用途に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、光電子素子での使用に適した分子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
そのような目的は、新規の有機分子を提供する本発明によって達成される。
【0004】
有機発光ダイオード(OLEDs)、発光電気化学電池(LECs)及び発光トランジスタのような有機物を基盤とする1層以上の発光層を含む光電子素子の重要性が増加しつつある。特に、OLEDsは、スクリーン、ディスプレイ及び照明装置のような電子製品の有望な素子である。実質的に無機物を基盤としたほとんどの光電子素子とは対照的に、有機物を基盤とした光電子素子は、通常、柔軟かつ特に薄層で生産可能である。今日すでに使用可能なOLED基盤のスクリーン及びディスプレイは、優れた効率及び長い寿命、または優れた色純度及び長寿命を有するが、優れた効率、長寿命及び優れた色純度の三つの特性の全てを兼ね備えていない。
【0005】
従って、高い量子収率、長い寿命及び優れた色純度を有する光電子素子に対する満たされない技術的要求が依然として存在する。
【0006】
OLEDの色純度または色点は、一般的にCIEx及びCIEy座標により提供される一方、次世代ディスプレイの色域は、いわゆるBT-2020及びDCPI3値により提供される。一般的に、そのような色座標を得るために、トップエミッション素子では、キャビティを変更し、色座標を調整することが必要である。そのような色域を目標としつつ、トップエミッション素子において高効率を達成するためには、ボトムエミッション素子において狭い発光スペクトルが必要である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による有機分子は、空色、緑色または黄色のスペクトル範囲において、最大発光を示す。前記有機分子は、490から600nm、好ましくは、500から560nm、より好ましくは、520から540nmにおいて、最大発光を示す。さらに、本発明の分子は、小さい半値幅(full width at half maximum: FWHM)で表される特に狭い発光を示す。有機分子の発光スペクトルは、他に言及されない限り、常温でポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)中に2重量%のエミッタにおいて測定された場合、0.25eV以下(≦0.25eV)の半値幅(FWHM)を示すことが好ましい。本発明による有機分子のフォトルミネセンス量子収率は、特に、10%以上である。
【0008】
光電子素子、例えば、有機発光ダイオード(OLED)における本発明による分子の使用は、素子の狭い発光及び高効率をもたらす。相応するOLEDは、公知のエミッタ物質及び同等の色相を有するOLEDよりさらに高い安定性を有し、及び/またはOLEDディスプレイにおいて本発明による分子を使用することにより、自然に見える色相のより正確な再現、すなわち、表示されたイメージでさらに高い解像度を達成する。特に、前記分子は、エネルギーポンプと共に組み合わせて使用され、ハイパー蛍光(hyper-fluorescence)またはハイパー燐光(hyper-phosphorescence)を達成することができる。この場合、光電子素子に含まれた他の種は、エネルギーを本発明の有機分子に伝達し、前記有機分子は、光を放出する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による有機分子は、下記化学式Iの構造を含むか、又はそれからなり:
【化1】

化学式I

ここで、
は、下記化学式II、III、IV及びVのうち1つで表されるアクセプタモイエティであり、
【化2】

化学式II

【化3】

化学式III

【化4】

化学式IV

【化5】

化学式V

化学式IIからVは、点線で表示された位置を介して化学式Iの構造に結合される。
Qは、それぞれの場合、独立して、N及びCRからなる群から選択される。
及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択される:
水素、重水素、ハロゲン、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh、及び
1以上の水素原子は、独立して、C-Cアルキル、CN、CFまたはPh(フェニル基)で任意に置換されるC-C18アリール。
、RII、RIII、RIV、R、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII及びRXVIIIは、下記からなる群から独立して選択され、
水素、
重水素、
N(R
OR
SR
Si(R
B(OR
OSO
CF
CN、
ハロゲン、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルキル、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、任意に、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルコキシ、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、任意に、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40チオアルコキシ、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、任意に、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルケニル、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、任意に、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C40アルキニル、
ここで、1以上の隣接しないCH基は、任意に、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRで置換され、
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C60アリール、及び
1以上の置換基Rで任意に置換されるC-C57ヘテロアリール、
ここで、R及びRII、RII及びRIII、RIII及びRIV、R及びRVI、RVI及びRVII、RVII及びRVIII、RIX及びR、R及びRXI、RXI及びRXII、RXII及びRXIII、RXIV及びRXV、RXV及びRXVI、RXVI及びRXVII、並びにRXVII及びRXVIIIのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、化学式Iの隣接したベンゼン環a、b、cまたはdに融合され、1以上の置換基Rで任意に置換された芳香環系を形成する。
、R及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択され:
水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C-Cアルキル)、Si(Ph)
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルキル、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルコキシ、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cチオアルコキシ、
1以上の水素原子が、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルケニル、
1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CFまたはFで任意に置換されるC-Cアルキニル、
1以上のC-Cアルキル置換基で任意に置換されるC-C18アリール、
1以上のC-Cアルキル置換基で任意に置換されるC-C17ヘテロアリール、
N(C-C18アリール)
N(C-C17ヘテロアリール)、及び
N(C-C17ヘテロアリール)(C-C18アリール)。
及びRVI、RVI及びRVII、RVII及びRVIII、RIX及びR、R及びRXI、RXI及びRXII、RXII及びRXIII、RXIV及びRXV、RXV及びRXVI、RXVI及びRXVII、並びにRXVII及びRXVIIIは、化学式Iの隣接したベンゼン環a、b、cまたはdに融合され、1以上の置換基Rで任意に置換された芳香環系を形成する。
【0010】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-1の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化6】

化学式I-1。
【0011】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-1の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0012】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-2の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化7】

化学式I-2。
【0013】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-2の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0014】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-3の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化8】

化学式I-3。
【0015】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-3の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、有機分子は、下記化学式I-4の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化9】

化学式I-4。
【0017】
本発明のより好ましい実施形態において、有機分子は、下記化学式I-5の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化10】

化学式I-5。
【0018】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-6の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化11】

化学式I-6。
【0019】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-6の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0020】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-7の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化12】

化学式I-7。
【0021】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-7の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0022】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-8の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化13】

化学式I-8。
【0023】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-8の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0024】
本発明の一実施形態において、R、RII、RIII、RIV、R、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII及びRXVIIIは、下記からなる群から独立して選択され、
水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
1以上の水素原子は、重水素で任意に置換されるC-Cアルキル、
1以上の水素原子は、独立して、C-Cアルキル、C-C18アリール、C-C17ヘテロアリール、CNまたはCFで任意に置換されるC-C18アリール、
1以上の水素原子は、独立して、C-Cアルキル、C-C18アリール、C-C17ヘテロアリール、CNまたはCFで任意に置換されるC-C15ヘテロアリール、及び
N(Ph)
ここで、R及びRII、RII及びRIII、RIII及びRIV、R及びRVI、RVI及びRVII、RVII及びRVIII、RIX及びR、R及びRXI、RXI及びRXII、RXII及びRXIII、RXIV及びRXV、RXV及びRXVI、RXVI及びRXVII、並びにRXVII及びRXVIIIのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、化学式Iの隣接したベンゼン環a、b、cまたはdに融合され、1以上の置換基Rで置換されてもよい芳香環系を形成する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、R、RII、RIII、RIV、R、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII及びRXVIIIは、下記からなる群から独立して選択され、
水素、重水素、ハロゲン、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF及びPhからなる群から独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されるPh、及び
N(Ph)
ここで、R及びRII、RII及びRIII、RIII及びRIV、R及びRVI、RVI及びRVII、RVII及びRVIII、RIX及びR、R及びRXI、RXI及びRXII、RXII及びRXIII、RXIV及びRXV、RXV及びRXVI、RXVI及びRXVII、並びにRXVII及びRXVIIIのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、化学式Iの隣接したベンゼン環a、b、cまたはdに融合され、1以上の置換基Rで置換されてもよい芳香環系を形成する。
【0026】
本発明のより好ましい実施形態において、R及びRII、RII及びRIII、RIII及びRIVのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、化学式Iの隣接したベンゼン環aに融合された芳香環系を形成し、R及びRVI、RVI及びRVII、RVII及びRVIIIのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、化学式Iの隣接したベンゼン環bに融合された芳香環系を形成し、
ここで、前記のように形成された芳香環系は、いずれも1以上の置換基Rで任意に置換され、
ここで、前記のように形成された芳香環系は、互いに同一であることが特に好ましい。
【0027】
本発明の一実施形態において、R、R及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択される:
水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
1以上の水素原子は、重水素で任意に置換されるC-Cアルキル、
1以上の水素原子は、独立して、C-Cアルキル、C-C18アリール、C-C17ヘテロアリール、CNまたはCFで任意に置換されるC-C18アリール、
1以上の水素原子は、独立して、C-Cアルキル、C-C18アリール、C-C17ヘテロアリール、CNまたはCFで任意に置換されるC-C15ヘテロアリール、及び
N(Ph)
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、R、R及びRは、それぞれの場合、下記からなる群から独立して選択される:
水素、重水素、ハロゲン、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh、及び
1以上の水素原子は、独立して、C-Cアルキル、CN、CFまたはPhで任意に置換されるC-C18アリール。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、有機分子は、下記化学式I-aの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化14】

化学式I-a。
【0030】
本発明のより好ましい実施形態において、有機分子は、化学式I-aの構造を含むか、あるいはそれからなり、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0031】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-1の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化15】

化学式I-a-1。
【0032】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-a-1の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0033】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-2の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化16】

化学式I-a-2。
【0034】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-a-2の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0035】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-3の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化17】

化学式I-a-3。
【0036】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-a-3の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-4の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化18】

化学式I-a-4。
【0038】
本発明のより好ましい実施形態において、有機分子は、化学式I-a-4の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-5の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化19】

化学式I-a-5。
【0040】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-6の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化20】

化学式I-a-6。
【0041】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-a-6の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0042】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-7の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化21】

化学式I-a-7。
【0043】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-a-7の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0044】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-a-8の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化22】

化学式I-a-8。
【0045】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-a-8の構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0046】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-bの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化23】

化学式I-b。
【0047】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-bの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0048】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-cの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化24】

化学式I-c。
【0049】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-cの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0050】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-dの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化25】

化学式I-d。
【0051】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-dの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0052】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-eの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化26】

化学式I-e。
【0053】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-eの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0054】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-fの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化27】

化学式I-f。
【0055】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-fの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0056】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-gの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化28】

化学式I-g。
【0057】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-gの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0058】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-hの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化29】

化学式I-h。
【0059】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-hの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0060】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-iの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化30】

化学式I-i。
【0061】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-iの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0062】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-jの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化31】

化学式I-j。
【0063】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-jの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0064】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-kの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化32】

化学式I-k。
【0065】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-kの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0066】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-mの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化33】

化学式I-m。
【0067】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-mの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0068】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-nの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化34】

化学式I-n。
【0069】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-nの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0070】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-oの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化35】

化学式I-o。
【0071】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-oの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0072】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-pの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化36】

化学式I-p。
【0073】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-pの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0074】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-qの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化37】

化学式I-q。
【0075】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-qの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0076】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-rの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化38】

化学式I-r。
【0077】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-rの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0078】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-sの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化39】

化学式I-s。
【0079】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、前記化学式I-sの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0080】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-tの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化40】

化学式I-t。
【0081】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-tの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0082】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-uの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化41】

化学式I-u。
【0083】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-uの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0084】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-vの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化42】

化学式I-v。
【0085】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-vの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0086】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-wの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化43】

化学式I-w。
【0087】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-wの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0088】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-xの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化44】

化学式I-x。
【0089】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-xの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0090】
本発明の一実施形態において、有機分子は、下記化学式I-yの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【化45】

化学式I-y。
【0091】
本発明の他の実施形態において、有機分子は、化学式I-yの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、Rは、それぞれの場合、水素である。
【0092】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「芳香環系」は、最も広い意味において、任意の二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティとしても理解される。
【0093】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アリール」及び「芳香族」は、最も広い意味において、任意の単環式芳香族モイエティ、二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティとして理解されてもよい。従って、アリール基は、6から60個の芳香環原子を含む。ヘテロアリール基は、5から60個の芳香環原子を含み、そのうち少なくとも1つはヘテロ原子である。それにもかかわらず、本明細書の全体にわたり、芳香環原子数は、特定置換基の定義において、下付き文字数字で与えられうる。特に、ヘテロ芳香環は、1から3個のヘテロ原子を含む。さらに、用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」は、最も広い意味において、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の単環式ヘテロ芳香族モイエティ、二環式ヘテロ芳香族モイエティまたは多環式ヘテロ芳香族モイエティとしても理解される。ヘテロ原子は、それぞれの場合、同一でもあってもよく、あるいは異なっていてもよく、N、O及びSからなる群から個別的に選択されうる。従って、用語「アリーレン」は、他の分子構造に対し、2個の結合部位を保有し、リンカー構造の役割を行う二価の置換基を意味する。例示的な実施形態において、基が、ここで与えられた定義と異なるように定義される場合、例えば、芳香環原子数またはヘテロ原子数が与えられた定義と異なる場合、例示的な実施形態における定義が適用される。本発明によれば、縮合(環状に)された、芳香族多環またはヘテロ芳香族多環は、縮合反応を介して多環を形成する、2個以上の単一芳香環またはヘテロ芳香環から構成される。
【0094】
特に、本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アリール基」または「ヘテロアリール基」は、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン;ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジノイミダゾール、キノキサリノイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、1,3,5-トリアジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、カルボリン、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3,4-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾール、あるいは前述の基の組み合わせから誘導された芳香族基またはヘテロ芳香族基の任意の位置を介して結合可能な基を含む。
【0095】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「環状基」は、最も広い意味において、任意の単環モイエティ、二環モイエティまたは多環モイエティとして理解されてもよい。
【0096】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アルキル基」は、最も広い意味において、任意の線状、分枝状または環状のアルキル置換基として理解されてもよい。特に、用語「アルキル」は、置換基である、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr)、i-プロピル(Pr)、シクロプロピル、n-ブチル(Bu)、i-ブチル(Bu)、s-ブチル(Bu)、t-ブチル(Bu)、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオ-ヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-へプチル、2-へプチル、3-へプチル、4-へプチル、シクロへプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1-ジメチル-n-ヘキス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプト-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクト-1-イル、1,1-ジメチル-n-デス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデク-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデク-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデク-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデク-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプト-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクト-1-イル、1,1-ジエチル-n-デク-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデク-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデク-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデク-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデク-1-イル、1-(n-プロピル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-ブチル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-ヘキシル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-オクチル)-シクロヘキス-1-イル及び1-(n-デシル)-シクロヘキス-1-イルを含む。
【0097】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アルケニル」は、線状、分枝状及び環状のアルケニル置換基を含む。用語「アルケニル基」は、例えば、置換基である、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを含む。
【0098】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アルキニル」は、線状、分枝状及び環状のアルキニル置換基を含む。用語「アルキニル基」は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを含む。
【0099】
本明細書の全体にわたって使用されているように、用語「アルコキシ」は、線状、分枝状及び環状のアルコキシ置換基を含む。用語「アルコキシ基」は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ及び2-メチルブトキシを含む。
【0100】
本明細書の全体にわたって使用されている用語「チオアルコキシ」は、線状、分枝状及び環状のチオアルコキシ置換基を含み、ここで、例示的なアルコキシ基のOは、Sに代替される。
【0101】
本明細書の全体にわたって使用されている用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、最も広い意味において、好ましくは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であると理解されてもよい。
【0102】
水素(H)は、本明細書で言及される度に、それぞれの場合、重水素に置換されうる。
【0103】
分子フラグメントが、置換基や、他のモイエティに付着していると記述されるとき、その名称は、まさしくそれがフラグメント(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)であるように、あるいは分子全体(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記述されてもよい。本明細書に使用されているように、置換基、または付着されたフラグメントを記述する前記方式は、同等であると見なされる。
【0104】
一実施形態において、本発明による有機分子は、室温で2重量%の有機分子を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)フィルムにおいて、250μs以下、150μs以下、特に100μs以下、より好ましくは、80μs以下、または60μs以下、より一層好ましくは、40μs以下の励起状態の寿命を有する。
【0105】
本発明の一実施形態において、本発明による有機分子は、熱活性化遅延蛍光(TADF)エミッタを示し、これは、5000cm-1未満、好ましくは、3000cm-1未満、より好ましくは、1500cm-1未満、より一層好ましくは、1000cm-1未満、更に好ましくは500cm-1未満の、第一励起一重項状態(S1)と第一励起三重項状態(T1)とのエネルギー差に該当するΔEST値を示す。
【0106】
本発明の更なる実施形態において、室温で2重量%の有機分子を有するPMMAフィルムにおいて、本発明による有機分子は、可視光線または近紫外線の範囲、すなわち、480から580nmの波長範囲において発光ピークを有し、0.30eV未満、好ましくは、0.28eV未満、より好ましくは、0.25eV未満、より一層好ましくは、0.23eV未満、または0.20eV未満の半値幅を有する。
【0107】
軌道エネルギー及び励起状態エネルギーは、実験方法や量子化学方法、特に、密度関数理論計算を利用する計算方法を介して決定することができる。最高被占軌道エネルギーEHOMOは、当業者に公知の方法によって、循環電圧電流法測定から0.1eVの精度で決定される。最低空軌道エネルギーELUMOは、吸収スペクトルの開始(onset)として決定される。
【0108】
吸収スペクトルの開始は、吸収スペクトルに対する接線と、x軸との交差点とを計算して決定される。吸収スペクトルに対する接線は、吸収バンドの低エネルギー側と、吸収スペクトルの最大強度の半値の点とにおいて設定される。
【0109】
第一励起三重項状態T1のエネルギーは、低温、一般的に、77Kにおいて、発光スペクトルの開始(onset)から決定される。第一励起一重項状態と、最低三重項状態とが0.4eV以上エネルギー的に分離されたホスト化合物に対し、燐光は、一般的に、2-Me-THF内の定常状態(steady-state)スペクトルにおいて見ることができる。従って、三重項エネルギーは、燐光スペクトルの開始として決定することができる。TADFエミッタ分子の場合、第一励起三重項状態T1のエネルギーは、77Kにおいて、遅延発光スペクトルの開始から決定され、他に明示されない限り、2重量%のエミッタを含むPMMAフィルムにおいて測定される。ホスト及びエミッタ化合物のいずれについても、第一励起一重項状態S1のエネルギーは、発光スペクトルの開始から決定される(他に明示されない限り、2重量%のエミッタを含むPMMAフィルムにおいて測定され、ホストは、ニート(neat)フィルムにおいて測定される)。
【0110】
発光スペクトルの開始は、発光スペクトルに対する接線と、x軸との交差点とを計算して決定される。発光スペクトルに対する接線は、発光バンドの高エネルギー側と、発光スペクトルの最大強度の半値の点とにおいて設定される。
【0111】
本発明の更なる側面は、光電子素子において、発光エミッタまたは吸収体及び/またはホスト物質及び/または電子輸送物質及び/または正孔注入物質及び/または正孔阻止物質としての本発明による有機分子の用途に係わるものである。
【0112】
光電子素子は、最も広い意味において、可視光線または近紫外線(UV)の範囲、すなわち、380から800nmの波長範囲において、光を放出するのに適している有機材料を基盤とする任意の素子としても理解される。さらに好ましくは、光電子素子は、可視光線範囲、すなわち、400nmから800nmの光を放出することができる。
【0113】
そのような用途と係わり、光電子素子は、さらに具体的には、下記からなる群から選択される。
【0114】
-有機発光ダイオード(OLED)
-発光電気化学電池
-OLEDセンサ、特に、外部と完全に遮断されていないガスセンサ及び蒸気センサ
-有機ダイオード
-有機太陽電池
-有機トランジスタ
-有機電界効果トランジスタ
-有機レーザ
-下向き変換素子
【0115】
発光電気化学電池は、カソード、アノード及び本発明による有機分子を含む活性層の3層で構成される。
【0116】
そのような用途と係わり、好ましい実施形態において、光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)、有機レーザ及び発光トランジスタからなる群から選択された素子である。
【0117】
一実施形態において、有機発光ダイオードの発光層は、本発明による有機分子を含む。
【0118】
一実施形態において、有機発光ダイオードの発光層は、本発明による有機分子だけではなく、三重項(T1)エネルギー準位及び一重項(S1)エネルギー準位が、前記有機分子の三重項(T1)エネルギー準位及び一重項(S1)エネルギー準位よりエネルギー的にさらに高いホスト物質を含む。
【0119】
本発明の更なる側面は、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物に係わるものである。
(a)特に、エミッタ形態及び/またはホスト形態の本発明による有機分子
(b)本発明による有機分子と異なる1以上のエミッタ物質及び/またはホスト物質
(c)任意に、1以上の染料及び/または1以上の溶媒
【0120】
本発明の更なる実施形態において、組成物は、室温で10%超、好ましくは、20%超、より好ましくは、40%超、より一層好ましくは、60%超、または70%超のフォトルミネセンス量子収率(PLQY)を有する。
【0121】
少なくとも1つの追加のエミッタを含む組成物
本発明の一実施形態は、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物に関するものである。
(i)1~50重量%、好ましくは、5~40重量%、特に10~30重量%の本発明による有機分子
(ii)5~98重量%、好ましくは、30~93.9重量%、特に40~88重量%の1つのホスト化合物H
(iii)1~30重量%、特に1~20重量%、好ましくは、1~5重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のエミッタ分子F
(iv)任意に、0~94重量%、好ましくは、0.1~65重量%、特に1~50重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する追加のホスト化合物D
(v)任意に、0~94重量%、好ましくは、0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒
【0122】
成分または組成物は、成分の重量の和が100%となるように選択される。
【0123】
本発明の更なる実施形態において、組成物は、可視光線または近紫外線の範囲、すなわち、380から800nmの波長範囲において発光ピークを有する。
【0124】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、純粋な有機エミッタである。
【0125】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、純粋な有機TADFエミッタである。純粋な有機TADFエミッタは、最新技術、例えば、Wong及びZysman-Colman(“Purely Organic Thermally Activated Delayed Fluorescence Materials for Organic Light-Emitting Diodes”, Adv. Mater. 2017 Jun; 29(22))から公知である。
【0126】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、蛍光エミッタ、特に青色、緑色、黄色または赤色の蛍光エミッタである。
【0127】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、蛍光エミッタ、特に赤色、黄色または緑色の蛍光エミッタである。
【0128】
本発明の更なる実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fを含む組成物は、可視光線または近紫外線の範囲、すなわち、380から800nmの波長範囲において発光ピークを示し、室温で、0.05eVを下限値とし、0.30eV未満、特に0.25eV未満、好ましくは、0.22eV未満、より好ましくは、0.19eV未満、または0.17eV未満の半値幅を示す。
【0129】
少なくとも1つの追加のエミッタFが緑色蛍光エミッタである組成物
本発明の更なる実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、蛍光エミッタ、特に緑色蛍光エミッタである。
【0130】
一実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、下記から選択される蛍光エミッタである:
【化46】

【化47】
【0131】
本発明の更なる実施形態において、組成物は、可視光線または近紫外線(UV)の範囲、すなわち、380から800nm、特に485から590nm、好ましくは、505から565nm、より好ましくは、515から545nmの波長範囲において発光ピークを有する。
【0132】
少なくとも1つの追加のエミッタFが赤色蛍光エミッタである組成物
本発明の更なる実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、蛍光エミッタ、特に赤色蛍光エミッタである。
【0133】
一実施形態において、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、下記から選択される蛍光エミッタである:
【化48】

【化49】

【化50】

【化51】
【0134】
本発明の更なる実施形態において、組成物は、可視光線または近紫外線(UV)の範囲、すなわち、380から800nm、特に590から690nm、好ましくは、610から665nm、より好ましくは、620から640nmの波長範囲において発光ピークを有する。
【0135】
発光層EML
一実施形態において、本発明による有機発光ダイオード内の発光層Bは、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物を含む(または、(本質的に)それからなる)。
(i)1~50重量%、好ましくは、5~40重量%、特に10~30重量%の本発明による1以上の有機分子
(ii)5~99重量%、好ましくは、30~94.9重量%、特に40~89重量%の少なくとも1つのホスト化合物H
(iii)任意に、0~94重量%、好ましくは、0.1~65重量%、特に1~50重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のホスト化合物D
(iv)任意に、0~94重量%、好ましくは、0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒
(v)任意に、0~30重量%、特に0~20重量%、好ましくは、0~5重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のエミッタ分子F
【0136】
好ましくは、エネルギーが、ホスト化合物Hから、本発明による1以上の有機分子に伝達され、特に、ホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)から、本発明による1以上の有機分子Eの第一励起三重項状態T1(E)に伝達され、及び/または、ホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)から、本発明による1以上の有機分子Eの第一励起一重項状態S1(E)に伝達される。
【0137】
一実施形態において、ホスト化合物Hは、-5~-6.5eV範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)を有し、本発明による1つの有機分子Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占軌道HOMO(E)を有し、ここで、EHOMO(H)>EHOMO(E)である。
【0138】
更なる実施形態において、ホスト化合物Hは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、本発明による有機分子Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空軌道LUMO(E)を有し、ここで、ELUMO(H)>ELUMO(E)である。
【0139】
少なくとも1つの追加ホスト化合物Dを含む発光層EML
更なる実施形態において、本発明の有機発光ダイオード内の発光層は、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物を含む(または、(本質的に)それからなる)。
(i)1~50重量%、好ましくは、5~40重量%、特に10~30重量%の本発明による1つの有機分子
(ii)5~99重量%、好ましくは、30~94.9重量%、特に40~89重量%の1つのホスト化合物H
(iii)0~94重量%、好ましくは、0.1~65重量%、特に1~50重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のホスト化合物D
(iv)任意に、0~94重量%、好ましくは、0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒
(v)任意に、0~30重量%、特に0~20重量%、好ましくは、0~5重量%の、本発明による分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のエミッタ分子F
【0140】
本発明による有機発光ダイオードの一実施形態において、ホスト化合物Hは、-5から-6.5eV範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)を有し、少なくとも1つの追加のホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占軌道HOMO(D)を有し、ここで、EHOMO(H)>EHOMO(D)であり、EHOMO(H)>EHOMO(D)の関係は、効率的な正孔輸送に有利である。
【0141】
更なる実施形態において、ホスト化合物Hは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、少なくとも1つの追加のホスト化合物Dは、エネルギーELUMO(D)を有する最低空軌道LUMO(D)を有し、ここで、ELUMO(H)>ELUMO(D)であり、ELUMO(H)>ELUMO(D)の関係は、効率的な電子輸送に有利である。
【0142】
本発明による有機発光ダイオードの一実施形態において、ホスト化合物Hは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)、及びエネルギーELUMO(D)を有する最低空軌道LUMO(D)を有し、
少なくとも1つの追加のホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占軌道HOMO(D)、及びエネルギーELUMO(D)を有する最低空軌道LUMO(D)を有し、
本発明の有機分子Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占軌道HOMO(E)、及びエネルギーELUMO(E)を有する最低空軌道LUMO(E)を有し、
ここで、
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、本発明による有機分子の最高被占軌道HOMO(E)のエネルギー準位(EHOMO(E))と、ホスト化合物Hの最高被占軌道HOMO(H)のエネルギー準位(EHOMO(H))との差は、-0.5eVから0.5eV、より好ましくは、-0.3eVから0.3eV、より一層好ましくは、-0.2eVから0.2eV、または-0.1eVから0.1eVであり、
LUMO(H)>ELUMO(D)であり、本発明による有機分子の最低空軌道LUMO(E)のエネルギー準位(ELUMO(E))と、少なくとも1つの追加のホスト化合物Dの最低空軌道LUMO(D)のエネルギー準位(ELUMO(D))との差は、-0.5eVから0.5eV、より好ましくは、-0.3eVから0.3eV、より一層好ましくは、-0.2eVから0.2eV、または-0.1eVから0.1eVである。
【0143】
少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fを含む発光層EML
更なる実施形態において、本発明による有機発光ダイオード内の発光層Bは、下記を含むか、あるいはそれからなる組成物を含む(または、(本質的に)それからなる)。
(i)1~50重量%、好ましくは、5~40重量%、特に10~30重量%の本発明による有機分子
(ii)5~98重量%、好ましくは、30~93.9重量%、特に40~88重量%のホスト化合物H
(iii)1~30重量%、特に1~20重量%、好ましくは、1~5重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のエミッタ分子F
(iv)任意に、0~94重量%、好ましくは、0.1~65重量%、特に1~50重量%の、本発明による有機分子の構造と異なる構造を有する少なくとも1つの追加のホスト化合物D
(v)任意に、0~94重量%、好ましくは、0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒
【0144】
更なる実施形態において、発光層EMLは、少なくとも1つの追加のエミッタFが緑色蛍光エミッタである組成物に定義された通りの少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fとともに、少なくとも1つの追加のエミッタを含む組成物に記載されている組成物を含む(または、(本質的に)それからなる)。
【0145】
更なる実施形態において、発光層EMLは、少なくとも1つの追加のエミッタFが赤色蛍光エミッタである組成物に定義された通りの少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fとともに、少なくとも1つの追加のエミッタを含む組成物に記載されている組成物を含む(または、(本質的に)それからなる)。
【0146】
少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fを含む発光層EMLの一実施形態において、エネルギーは、本発明の1以上の有機分子Eから、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fに伝達され、具体的には、本発明の1以上の有機分子Eの第一励起一重項状態S1(E)から、少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fの第一励起一重項状態S1(F)に伝達される。
【0147】
一実施形態において、発光層の1つのホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)は、本発明の1以上の有機分子Eの第一励起一重項状態S1(E)よりエネルギーがさらに高く(S1(H)>S1(E))、1つのホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)は、少なくとも1つのエミッタ分子Fの第一励起一重項状態S1(F)よりエネルギーが高い(S1(H)>S1(F))。
【0148】
一実施形態において、1つのホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)は、本発明の1以上の有機分子Eの第一励起三重項状態T1(E)よりエネルギーがさらに高く(T1(H)>T1(E))、1つのホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)は、少なくとも1つのエミッタ分子Fの第一励起三重項状態T1(F)よりエネルギーが高い(T1(H)>T1(F))。
【0149】
一実施形態において、本発明の1以上の有機分子Eの第一励起一重項状態S1(E)は、少なくとも1つのエミッタ分子Fの第一励起一重項状態S1(F)よりエネルギーが高い(S1(E)>S1(F))。
【0150】
一実施形態において、本発明の1以上の有機分子Eの第一励起三重項状態T1(E)は、少なくとも1つのエミッタ分子Fの第一励起三重項状態T1(F)よりエネルギーが高い(T1(E)>T1(F))。
【0151】
一実施形態において、本発明の1以上の有機分子Eの第一励起三重項状態T1(E)は、少なくとも1つのエミッタ分子Fの第一励起三重項状態T1(F)よりエネルギーが高く(T1(E)>T1(F))、ここで、T1(E)とT1(F)とのエネルギー差の絶対値は、0.3eVより大きく、好ましくは、0.4eVより大きく、さらには、0.5eVより大きい。
【0152】
一実施形態において、ホスト化合物Hは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占軌道HOMO(H)、及びエネルギーELUMO(H)を有する最低空軌道LUMO(H)を有し、
本発明の1つの有機分子Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占軌道HOMO(E)、及びエネルギーELUMO(E)を有する最低空軌道LUMO(E)を有し、
少なくとも1つの追加のエミッタ分子Fは、エネルギーEHOMO(F)を有する最高被占軌道HOMO(F)、及びエネルギーELUMO(F)を有する最低空軌道LUMO(F)を有し、
ここで、
HOMO(H)>EHOMO(E)であり、少なくとも1つの追加のエミッタ分子の最高被占軌道HOMO(F)のエネルギー準位(EHOMO(F))と、ホスト化合物Hの最高被占軌道HOMO(H)のエネルギー準位(EHOMO(H))との差は、-0.5eVから0.5eV、より好ましくは、-0.3eVから0.3eV、より一層好ましくは、-0.2eVから0.2eV、または-0.1eVから0.1eVであり、
LUMO(H)>ELUMO(E)であり、少なくとも1つの追加のエミッタ分子の最低空軌道LUMO(F)のエネルギー準位(ELUMO(F))と、本発明による1つの有機分子Eの最低空軌道LUMO(E)のエネルギー準位(ELUMO(E))との差は、-0.5eVから0.5eV、より好ましくは、-0.3eVから0.3eV、より一層好ましくは、-0.2eVから0.2eV、または-0.1eVから0.1eVである。
【0153】
光電子素子
更なる側面において、本発明は、本明細書に記載されているような有機分子または組成物を含む光電子素子、より具体的には、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池、OLEDセンサ、(特に、外部と完全に遮断されていないガスセンサ及び蒸気センサ)、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機レーザ及び下向き変換素子に係わるものである。
【0154】
好ましい実施形態において、光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)及び発光トランジスタからなる群から選択される素子である。
【0155】
本発明の光電子素子の一実施形態において、本発明による有機分子Eは、発光層EMLの発光物質として使用される。
【0156】
本発明の光電子素子の一実施形態において、発光層EMLは、本明細書に記載されている本発明による組成物からなる。
【0157】
光電子素子がOLEDである場合、例えば、次のような層構造を有してもよい。
1.基板
2.アノード層A
3.正孔注入層(HIL)
4.正孔輸送層(HTL)
5.電子阻止層(EBL)
6.発光層(EML)
7.正孔阻止層(HBL)
8.電子輸送層(ETL)
9.電子注入層(EIL)
10.カソード層
ここで、OLEDは、それぞれの層を任意に含み、異なる層が併合され、OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含んでもよい。
【0158】
また、光電子素子は、一実施形態において、例えば、水分、蒸気及び/またはガスを含む環境内の有害物質に対する損傷露出から素子を保護する、少なくとも1層の保護層を含んでもよい。
【0159】
本発明の一実施形態において、光電子素子は、下記の逆の層(inverted layer)構造を有するOLEDである。
1.基板
2.カソード層
3.電子注入層(EIL)
4.電子輸送層(ETL)
5.正孔阻止層(HBL)
6.発光層B
7.電子阻止層(EBL)
8.正孔輸送層(HTL)
9.正孔注入層(HIL)
10.アノード層A
ここで、逆の層構造を有するOLEDは、それぞれの層を任意に含み、異なる層が併合され、OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含んでもよい。
【0160】
本発明の一実施形態において、光電子素子は、積層構造を有することができるOLEDである。前記構造においては、OLEDが並んで配される一般的な配置とは異なり、個別ユニットが互いの上に積層される。混合光は、積層構造を示すOLEDによって生成され、特に、白色光は、青色OLED、緑色OLED及び赤色OLEDを積層して生成される。また、積層構造を示すOLEDは、電荷生成層(CGL)を含んでもよく、それは、一般的に、2個のOLEDサブユニット間に位置し、一般的に、n-ドーピングされた層及びp-ドーピングされた層として構成される。一般的に、1つのCGLのn-ドーピングされた層がアノード層にさらに近く位置する。
【0161】
本発明の一実施形態において、光電子素子は、アノードとカソードとの間に、2層以上の発光層を含むOLEDである。特に、いわゆるタンデムOLEDは、3層の発光層を含み、ここで、1層の発光層は、赤色光を放出し、1層の発光層は、緑色光を放出し、1層の発光層は、青色光を放出し、任意に、個々の発光層間に、電荷生成層、電荷阻止層または電荷輸送層のような追加層を含んでもよい。更なる実施形態において、発光層は、隣接するように積層される。更なる実施形態において、タンデムOLEDは、それぞれの2層の発光層間に電荷生成層を含む。また、隣接した発光層、または電荷生成層によって分離した発光層が併合されてもよい。
【0162】
基板は、任意の材料、または該材料の組成物によって形成されてもよい。ほとんどは、ガラススライドが基板として使用される。代替としては、薄い金属層(例えば、銅、金、銀またはアルミニウムフィルム)、またはプラスチックフィルムやプラスチックスライドが使用されてもよい。それは、さらに高度の柔軟性を許容することができる。アノード層Aは、(本質的に)透明なフィルムを得ることができる材料によってほとんど構成される。OLEDからの発光を許容するために、二電極のうち少なくとも一つは、(本質的に)透明ではなければならないので、アノード層Aまたはカソード層Cのうち一層は透明である。好ましくは、アノード層Aは、多量の透明伝導性酸化物(TCOs)を含むか、あるいはそれからなる。そのようなアノード層Aは、例えば、インジウムスズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、フッ素ドーピングされたスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、ジルコニウム酸化物、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、黒鉛、ドーピングされたSi、ドーピングされたGe、ドーピングされたGaAs、ドーピングされたポリアニリン、ドーピングされたポリピロール及び/またはドーピングされたポリチオフェンを含むものであってもよい。
【0163】
好ましくは、アノード層Aは、インジウムスズ酸化物(ITO)(例えば、(InO0.9(SnO0.1)で(本質的に)構成される。透明伝導性酸化物(TCO)によるアノード層Aの粗さは、正孔注入層(HIL)を使用することによっても相殺されてもよい。また、HILは、TCOから正孔輸送層(HTL)への疑似電荷キャリア(すなわち、正孔)の輸送が促進されるという点において、疑似電荷キャリアの注入が容易となる。正孔注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、MoO、V、CuPCまたはCuI、特に、PEDOT及びPSSの混合物を含んでもよい。正孔注入層(HIL)は、また、アノード層Aから正孔輸送層(HTL)に金属が拡散することを防止してもよい。例えば、HILは、PEDOT:PSS(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸)、PEDOT(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)、mMTDATA(4,4’,4”-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン)、Spiro-TAD(2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン)、DNTPD(N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン)、N,N’-ニス-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフNPB(ェニル)-4,4’-ジアミン)、NPNPB(N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン)、MeO-TPD(N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン)、HAT-CN(1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル)及び/またはSpiro-NPD(N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン)によって構成されてもよい。
【0164】
アノード層Aまたは正孔注入層(HIL)に隣接し、一般的に、正孔輸送層(HTL)が位置する。ここで、任意の正孔輸送化合物が使用されてもよい。例えば、トリアリールアミン及び/またはカルバゾールのような、電子が豊富なヘテロ芳香族化合物が、正孔輸送化合物として使用されてもよい。HTLは、アノード層Aと発光層(EML)との間のエネルギー障壁を低減させてもよい。正孔輸送層(HTL)は、また、電子阻止層(EBL)であってもよい。好ましくは、正孔輸送化合物は、比較的高いエネルギー準位の三重項状態T1を有する。例えば、正孔輸送層(HTL)は、トリス(4-カルバゾリル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、poly-TPD(ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン))、α-NPD(ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン))、TAPC(4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、2-TNATA(4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)-アミノ]トリフェニルアミン)、Spiro-TAD、DNTPD、NPB、NPNPB、MeO-TPD、HAT-CN及び/またはTrisPcz(9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール)のような星状のヘテロ環を含むものであってもよい。また、HTLは、有機正孔輸送マトリックス内の無機または有機ドーパントによって構成されてもよいp-ドーピングされた層を含んでもよい。無機ドーパントとしては、例えば、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物またはタングステン酸化物のような遷移金属酸化物が使用されてもよい。有機ドーパントとしては、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F-TCNQ)、銅-ペンタフルオロ安息香酸(Cu(I)pFBz)または遷移金属錯体が使用されてもよい。
【0165】
EBLは、例えば、mCP(1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン)、TCTA、2-TNATA、mCBP(3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、tris-Pcz、CzSi(9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール)及び/またはDCB(N,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン)を含んでもよい。
【0166】
正孔輸送層(HTL)に隣接し、発光層(EML)が一般的に位置する。発光層(EML)は、少なくとも1つの発光分子を含む。特に、EMLは、本発明による少なくとも1つの発光分子を含む。一般的に、EMLは、1以上のホスト物質をさらに含む。例えば、ホスト物質Hは、CBP(4,4’-ビス-(N-カルバゾリル)-ビフェニル)、mCP、mCBP、Sif87(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン)、CzSi、Sif88(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキサイド)、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾール、T2T(2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、T3T(2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)及び/またはTST(2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン)から選択される。ホスト物質は、一般的に、有機分子の第1三重項(T1)エネルギー準位及び第1一重項(S1)エネルギー準位よりエネルギー的にさらに高い第1三重項(T1)エネルギー準位及び第1一重項(S1)エネルギー準位を示すように選択されなければならない。
【0167】
本発明の一実施形態において、EMLは、少なくとも1つの正孔支配的ホスト及び1つの電子支配的ホストを有する、いわゆる、混合ホストシステムを含む。特定の実施形態において、EMLは、正確に1つの本発明による発光分子、電子支配的ホストとしてT2T、及び正孔支配的ホストとして、CBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択された1つを含む。更なる実施形態において、EMLは、50~80重量%、好ましくは、60~75重量%のCBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホスト、10~45重量%、好ましくは、15~30重量%のT2T、及び5~40重量%、好ましくは、10~30重量%の本発明による発光分子を含む。
【0168】
発光層(EML)に隣接し、電子輸送層(ETL)が位置してもよい。ここで、任意の電子輸送体が使用されてもよい。例示的には、ベンズイミダゾール、ピリジン、トリアゾール、オキサジアゾール(例えば、1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシド及びスルホンのような電子不足化合物が使用されてもよい。電子輸送体は、また、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル(TPBi)のような星状のヘテロ環であってもよい。ETLは、NBphen(2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3(アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1(ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキサイド)、BPyTP2(2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニル)、Sif87(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン)、Sif88(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン)、BmPyPhB(1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン)及び/またはBTB(4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル)を含んでもよい。任意に、ETLは、Liqのような物質によってドーピングされてもよい。電子輸送層(ETL)は、また、正孔を阻止してもよい。または、正孔阻止層(HBL)が導入される。
【0169】
HBLは、例えば、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バソクプロイン)、BAlq(ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム)、NBphen(2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3(アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1(ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキサイド)、T2T(2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、T3T(2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、TST(2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン)及び/またはTCB/TCP(1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン)を含んでもよい。
【0170】
電子輸送層(ETL)に隣接し、カソード層Cが位置してもよい。カソード層Cは、例えば、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、WまたはPd)または金属合金を含むか、あるいはそれからなる。実用的な理由により、カソード層Cは、Mg、CaまたはAlのような(本質的に)不透明な金属によって構成されてもよい。代替として、あるいは追加的に、カソード層Cは、また、黒鉛及び/または炭素ナノチューブ(CNT)を含んでもよい。代替としては、カソード層Cは、また、ナノスケール銀ワイヤによって構成されてもよい。
【0171】
OLEDは、任意に、電子輸送層(ETL)とカソード層Cとの間に、保護層(電子注入層(EIL)と称されてもよい)をさらに含む。層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、Liq(8-ヒドロキシキノリノラトリチウム)、LiO、BaF、MgO及び/またはNaFを含んでもよい。
【0172】
任意に、電子輸送層(ETL)及び/または正孔阻止層(HBL)は、また、1以上のホスト化合物Hを含んでもよい。
【0173】
発光層EMLの発光スペクトル及び/または吸収スペクトルをさらに修正するために、発光層EMLは、1以上の追加のエミッタ分子Fをさらに含んでもよい。そのようなエミッタ分子Fは、当分野において公知の任意のエミッタ分子であってもよい。好ましくは、そのようなエミッタ分子Fは、本発明による分子の構造とは異なる構造を有する分子である。エミッタ分子Fは、任意に、TADFエミッタであってもよい。代替としては、エミッタ分子Fは、任意に、発光層EMLの発光スペクトル及び/または吸収スペクトルをシフトさせることができる蛍光性及び/またはリン光性のエミッタ分子であってもよい。例えば、三重項及び/または一重項励起子が、エミッタ分子Eによって放出される光と比較し、典型的に、赤にシフトした光を放出することによって、基底状態Sに緩和される前に、本発明による有機エミッタ分子からエミッタ分子Fに伝達されてもよい。任意に、エミッタ分子Fは、また二光子効果(すなわち、最大吸収エネルギーの半分である2個の光子の吸収)を誘発してもよい。
【0174】
任意に、光電子素子(例えば、OLED)は、例えば、本質的に、白色光電子素子であってもよい。例えば、そのような白色光電子素子は、少なくとも1つの(深い)青色エミッタ分子、及び緑色光及び/または赤色光を放出する1以上のエミッタ分子を含んでもよい。その後、任意に、前述のように、2以上の分子間にエネルギー伝達があってもよい。
【0175】
本明細書に使用されているように、特定の文脈において、さらに具体的に定義されない場合、発光及び/または吸収された光の色相の指定は、下記の通りである:
紫色:>380~420nmの波長範囲
濃青色:>420~480nmの波長範囲
空色:>480~500nmの波長範囲
緑色:>500~560nmの波長範囲
黄色:>560~580nmの波長範囲
オレンジ色:>580~620nmの波長範囲
赤色:>620~800nmの波長範囲
エミッタ分子に関して、そのような色相は最大発光を示す。従って、例えば、濃青色エミッタは、>420~480nm範囲で最大発光を有し、空色エミッタは、>480~500nm範囲で最大発光を有し、緑色エミッタは、>500~560nm範囲で最大発光を有し、赤色エミッタは、>620~800nm範囲で最大発光を有する。
【0176】
本発明の更なる実施形態は、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)によって定義されているような原色の緑色(CIEx=0.170及びCIEy=0.797)のCIEx(=0.170)及びCIEy(=0.797)の色座標に近いCIEx及びCIEyの色座標を有する光を放出するOLEDに関するものであり、これは、UHD(Ultra High Definition)ディスプレイ、例えば、UHD-TVに使用するのに適している。当該文脈において、「近い」という用語は、段落の末尾に提供されたCIEx及びCIEyの座標の範囲を示す。商業的応用において、典型的にトップエミッション素子(上部電極が透明である)が使用される一方、本発明の全般にわたって使用されるテスト素子は、ボトムエミッション素子(下部電極及び基板が透明である)を示す。従って、本発明の更なる側面は、発光が、0.15から0.45、好ましくは、0.15から0.35、より好ましくは、0.15から0.30、より一層好ましくは、0.15から0.25、またはさらには、0.15から0.20のCIEx色座標、及び/または、0.60から0.92、好ましくは、0.65から0.90、より好ましくは、0.70から0.88、より一層好ましくは、0.75から0.86、またはさらには、0.79から0.84のCIEy色座標を示すOLEDに関するものである。
【0177】
本発明の更なる実施形態は、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)によって定義されているような原色の赤色(CIEx=0.708及びCIEy=0.292)のCIEx(=0.708)及びCIEy(=0.292)の色座標に近いCIEx及びCIEyの色座標を有する光を放出するOLEDに関するものであり、これは、UHDディスプレイ、例えば、UHD-TVに使用するのに適している。当該文脈において、「近い」という用語は、段落の末尾に提供されたCIEx及びCIEyの座標の範囲を示す。商業的応用において、典型的にトップエミッション素子(上部電極が透明である)が使用される一方、本発明の全般にわたって使用されるテスト素子は、ボトムエミッション素子(下部電極及び基板が透明である)を示す。従って、本発明の更なる側面は、発光が、0.60から0.88、好ましくは、0.61から0.83、より好ましくは、0.63から0.78、より一層好ましくは、0.66から0.76、またはさらには、0.68から0.73のCIEx色座標、及び/または、0.25から0.70、好ましくは、0.26から0.55、より好ましくは、0.27から0.45、より一層好ましくは、0.28から0.40、またはさらには、0.29から0.35のCIEy色座標を示すOLEDに関するものである。
【0178】
従って、本発明の更なる側面は、14500cd/mにおいて、10%超、好ましくは、13%超、より好ましくは、15%超、より一層好ましくは、17%超、またははなはだしくは、20%超の外部量子効率を示すOLED、495nmから580nm、好ましくは、500nmから560nm、より好ましくは、510nmから550nm、より一層好ましくは、515nmから540nmにおいて最大発光を示すOLED、及び/または、14500cd/mにおいて、100h超、好ましくは、250h超、より好ましくは、50h超、より一層好ましくは、750h超、またはさらには、1000h超のLT97値を示すOLEDに関するものである。
【0179】
光電子素子、特に本発明によるOLEDは、任意の手段の気相蒸着及び/または溶液処理によって製造することができる。従って、少なくとも1層は、
-昇華工程によって製造される、
-有機気相蒸着工程によって製造される、
-キャリアガス昇華工程によって製造される、
-溶液処理される、または
-プリントされる。
【0180】
光電子素子、特に本発明によるOLEDを製造するのに使用される方法は、当分野において公知である。異なる層は、後続の蒸着工程により、適切な基板上に、個々に連続して蒸着される。個々の層は、同一であるか、あるいは異なる蒸着方法を使用して蒸着されてもよい。
【0181】
例えば、気相蒸着工程は、熱(共)蒸着、化学的気相蒸着及び物理的気相蒸着を含む。アクティブマトリックスOLEDディスプレイの場合、AMOLEDバックプレーンが基板として使用される。個々の層は、適切な溶媒を使用する溶液または分散液からも処理されてもよい。例えば、溶液堆積工程には、スピンコーティング、ディップコーティング及びジェットプリンティングが含まれる。溶液処理は、任意に、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)において遂行され、溶媒は、当分野において公知の手段により、完全にまたは部分的に除去されてもよい。
【実施例
【0182】
一般的な合成スキーム
一般的な合成スキームは、本発明による有機分子の合成スキームを提供し、ここで、RIX、RXI、RXIII、RXIV、RXVI及びRXVIIIは、全て水素であり、ここで、R及びRII、RII及びRIII、並びにRIII及びRIVのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、隣接したベンゼン環aと芳香環系を形成し、ここで、R及びRVI、RVI及びRVII、並びにRVII及びRVIIIのうち少なくとも一対の隣接した置換基は、隣接したベンゼン環bと芳香環系を形成する。
【0183】
【化52】

【化53】
【0184】
合成のための基本手順
工程1
雰囲気下で、2口フラスコに、1,3-ジブロモ-2-クロロベンゼン[81067-41-6](1.0当量)、ジアリールアミンE1(2.2当量)、Pd(dba)[51364-51-3](0.02当量)及びナトリウムtert-ブトキシド[865-48-5](3.3当量)を入れる。乾燥トルエン(4mL/mmol wrt.1,3-ジブロモ-2-クロロベンゼン)及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート[131274-22-1](0.08当量)を添加し、生成された懸濁液を10分間脱気する。その後、反応が完了するまで(通常、1~5時間)混合物を110℃で加熱する。室温(rt)に冷却した後、水を添加し、相を分離し、水性層をトルエンで抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をMPLCまたは再結晶化によって精製し、生成物P1を固体として得る。
【0185】
工程2
窒素雰囲気下で、火炎乾燥した2口フラスコ内で、アリールクロライドP1(1.0当量)を、脱気されたtert-ブチルベンゼンに溶解させる。20℃でtert-ブチルリチウム(ペンタン中に1.9M[594-19-4](2.2当量))溶液を滴加する。次いで、リチウム化が完了するまで混合物を40℃で撹拌する。0℃でトリメチルボレート[121-43-7](6.0当量)を徐々に注入し、ホウ素化が完了するまで20℃で撹拌し続ける。次いで、水を添加し、生成された2相混合物を20℃で15分間撹拌する。エチルアセテートを添加し、相を分離し、合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物は再結晶化によって精製され、相応するボロン酸P2を固体として得る。
【0186】
工程3
雰囲気下で、2口フラスコにボロン酸P2(1.0当量)を充填する。乾燥クロロベンゼンを添加した後、塩化アルミニウム[7446-70-0](10当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)[7087-68-5](10当量)を添加する。生成された混合物を反応が完了するまで120℃で加熱する。室温に冷却した後、反応を氷水でクエンチングする。次いで、相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をシリカ栓で濾過した後、アセトニトリルを添加し、ジクロロメタン溶液から沈殿させて精製する。所望の物質P3を固体として得る。
【0187】
工程4
雰囲気下で、2口フラスコに、P3(1.0当量)、ビス(ピナコラート)ジボロン[73183-34-3](5.0当量)、Pd(dba)[51364-51-3](0.02当量)、X-Phos[564483-18-7](0.08当量)及び酢酸カリウム[127-08-2](7.5当量)を入れる。乾燥ジオキサン(P3について20mL/mmol)を添加し、生成された混合物を10分間脱気する。次いで、混合物を100℃で24時間加熱する。室温(rt)に冷却した後、ジクロロメタン及び水を添加し、相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を室温でMgSO/Celite(登録商標)(kieselgur)/チャコールと共に10分間撹拌し、濾過し、濃縮する。粗生成物は、精製なしにさらなる変換に使用される。所望のボロン酸エステルP4を固体として得る。
【0188】
工程5
雰囲気下で、2口フラスコに、P4(1.0当量)、ヘテロアリールクロライドE2、E3、E4またはE5(3.0当量)、Pd(PPh[14221-01-3](0.1当量)及び炭酸カリウム[584-08-7](3.5当量)を入れる。DMFと水の混合物(体積で10:1、P4について22mL/mmol)を添加し、生成された混合物を10分間脱気する。次いで、混合物を150℃で4時間加熱する。室温(rt)に冷却させた後、混合物を水に注ぐ。沈殿した固体を濾過し、エタノールで洗浄する。粗生成物は再結晶化によって精製され、相応する生成物M1、M2またはM3を固体として得る。
【0189】
サイクリック・ボルタンメトリー
サイクリック・ボルタンメトリーは、ジクロロメタン、または適する溶媒、及び適する支持電解質(例:0.1mol/Lのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート)において、有機分子の濃度が10-3mol/Lである溶液で測定される。測定は、3電極アセンブリ(作用電極及び対極:Ptワイヤ、基準電極:Ptワイヤ)を使用し、窒素雰囲気において、室温で行い、内部標準として、FeCp/FeCp を使用して補正する。HOMOデータは、飽和カロメル電極(SCE)に対して内部標準として、フェロセンを使用して補正された。
【0190】
密度汎関数理論計算
分子構造は、BP86関数及びResolution of Identity(RI)アプローチを使用して最適化された。励起エネルギーは、(BP86)最適化構造を使用して、Time-Dependent DFT(TD-DFT)方法を用いて計算される。軌道エネルギー及び励起状態エネルギーは、B3LYP関数により計算される。数値積分のために、Def2-SVP基本セット(及びm4-gridが使用される。Turbomoleプログラムパッケージは、全ての計算に使用される。
【0191】
光物理的測定
試料前処理:スピンコーティング
装置:Spin150、SPS euro
試料濃度は、適切な溶媒に溶解された10mg/mlである。
プログラム:1)400U/分で3秒、1000U/分で20秒(1000Upm/s)。3)4000U/分で10秒(1000Upm/s)。コーティング後、フィルムを70℃で1分間乾燥させた。
【0192】
フォトルミネセンス分光法及びTCSPC(時間相関単一光子計数)
定常状態発光分光法は、150Wのキセノン-Arcランプ、励起及び発光単色計、Hamamatsu R928光電子増倍管及び時間相関単一光子計数オプションが装着されたModel FluoroMax-4(Horiba Scientific)を使用して測定される。標準補正フィット(standard correction fits)を使用し、発光スペクトル及び励起スペクトルを補正する。
【0193】
励起状態寿命は、FM-2013装備及びHoriba Yvon TCSPCハブと共に、TCSPC法を使用する同一システムを使用して決定される。
励起光源:
NanoLED 370(波長:371nm、パルス持続時間:1,1ns)
NanoLED 290(波長:294nm、パルス持続時間:<1ns)
SpectraLED 310(波長:314nm)
SpectraLED 355(波長:355nm)
【0194】
データ分析(指数フィット)は、ソフトウェアスイートDataStation及びDAS6分析ソフトウェアを使用して行われる。フィット(fit)は、カイ二乗検定(chi-squared-test)を使用して特定される。
【0195】
フォトルミネセンス量子収率測定
フォトルミネセンス量子収率(PLQY)測定のために、Absolute PL量子収率測定C9920-03Gシステム(浜松ホトニクス)が使用されている。量子収率及びCIE座標は、ソフトウェアU6039-05バージョン3.6.0を使用して決定される。
最大発光は、nmで示され、量子収率Φは、%で示され、CIE座標は、x,y値で示される。
PLQYは、次のプロトコルを使用して決定される:
1)品質保証:エタノール中におけるアントラセン(既知の濃度)を基準に使用する。
2)励起波長:有機分子の最大吸収が決定され、波長を使用し、分子が励起される。
3)測定
量子収率は、窒素雰囲気において、溶液またはフィルム試料について測定される。収率は、次の方程式を使用して計算される。
【数1】

ここで、n光子は、光子数を示し、Intは、輝度を示す。
【0196】
HPLC-MS
HPLC-MS分析は、MS-検出器(Thermo LTQ XL)があるAgilentのHPLC(1260シリーズ)で行われる。
【0197】
典型的なHPLC方法は、次の通りである。Agilentの逆相カラム4.6mm×150mm、及び粒子サイズ3.5μm(ZORBAX Eclipse Plus 95Å C18、4.6×150mm、3.5μm HPLCカラム)がHPLCに使用される。HPLC-MS測定は、下記の勾配により、室温(rt)で行われる。
【表1】

以下の溶媒混合物を使用する:
【表2】

0.5mg/mL濃度の分析物溶液から、注入体積5μLを測定のために取る。
プローブのイオン化は、陽(APCI)イオン化モードまたは陰(APCI)イオン化モードにおいて、APCI(大気圧化学イオン化)ソースを使用して行われる。
【0198】
光電子素子の製造及び特性化
本発明による有機分子を含むOLED装置のような光電子素子は、真空蒸着方法によって製造される。層が1以上の化合物を含む場合、1以上の化合物の重量百分率は、%で示される。総重量百分率値は100%であるので、値が指定されていない場合、化合物の分率は、指定された値と、100%との差と同じである。
(完全に最適化されていない)OLEDは、標準法を使用してエレクトロルミネセンススペクトルを測定し、光ダイオードによって検出された光及び電流を使用して計算された、輝度及び電流に依存する外部量子効率(%)を測定して特性化される。OLED素子の寿命は、一定電流密度で動作する間、輝度の変化から抽出される。LT50値は、測定輝度が、初期輝度の50%に低減した時間に該当し、同様に、LT80は、測定輝度が、初期輝度の80%に低減した時点に該当し、LT95は、測定輝度が、初期輝度の95%に低減した時点に該当する。
加速寿命測定が行われる(例:増大した電流密度適用)。例えば、500cd/mにおいて、LT80値は、次の式を使用して決定される。
【数2】

ここで、Lは、印加された電流密度における初期輝度を示す。
値は、複数のピクセル(一般的に、2~8個)の平均に該当し、ピクセル間の標準偏差が提供される。
【0199】
実施例1
【化54】
【0200】
実施例1は、下記によって合成された:
工程1(75%収率)、ここで、N-[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェニル]-2-ナフタレンアミン[1548633-13-1]が化合物E1として使用され、
工程2(27%収率)、
工程3(59%収率)、
工程4(98%収率)、及び
工程5(13%収率)、ここで、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが化合物E2として使用される。
【0201】
実施例1の最大発光(PMMAにおいて2重量%)は527nmであり、半値幅(FWHM)は0.20eVであり、CIEy座標は0.65であり、PLQYは84%である。発光スペクトルの開始は、2.48eVで決定される。
【0202】
実施例2
【化55】
【0203】
実施例2は、下記によって合成された:
工程1(75%収率)、ここで、N-[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェニル]-2-ナフタレンアミン[1548633-13-1]が化合物E1として使用され、
工程2(27%収率)、
工程3(59%収率)、
工程4(98%収率)、及び
工程5(45%収率)、ここで、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが化合物E2として使用される。
【0204】
本発明の有機分子の追加例
【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

【化99】

【化100】

【化101】