(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】ギヤモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20250911BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20250911BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20250911BHJP
H02K 11/22 20160101ALI20250911BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20250911BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K11/33
H02K11/215
H02K11/22
F16H1/32 B
(21)【出願番号】P 2021041994
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-11-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】マーカート セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー アンドレアス
【審査官】跡部 裕紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231604(JP,A)
【文献】特開2013-215081(JP,A)
【文献】国際公開第2012/050130(WO,A1)
【文献】特表2020-502964(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159032(WO,A1)
【文献】特開2001-218421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
H02K 11/33
H02K 11/215
H02K 11/22
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと減速機とを備えるギヤモータであって、
ロータ軸を有するモータと、出力部材を有する減速機と、
前記減速機の入力軸及び前記ロータ軸を貫通し、前記減速機の出力部材と一体的に回転する検出軸と、を備え、
前記ロータ軸の回転を検出する第1回転検出器、前記検出軸を介して前記出力部材の回転を検出する第2回転検出器およびトルク検出器が配置された第1の場合にも、前記第1回転検出器および前記第2回転検出器が配置される一方、トルク検出器が配置されない第2の場合にも、動作可能であり、
前記第1の場合と前記第2の場合とで、前記検出軸が共用され
、
前記減速機は、減速機ハウジングに対する相対回転が拘束された第1内歯歯車と、前記減速機ハウジングに対して相対回転可能な第2内歯歯車とを備え、
前記トルク検出器は、前記第1内歯歯車において軸方向の側部に取り付けられるギヤモータ。
【請求項2】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1回転検出器、前記第2回転検出器およびトルク検出器のうち配置された検出器の検出信号に基づいて前記モータを制御する請求項
1に記載のギヤモータ。
【請求項3】
前記ロータ軸と前記減速機の入力軸とは同一の素材で一体的に構成され、
前記ロータ軸及び前記入力軸からなる軸体の外周部に配置される複数の外部軸受を備え、
前記軸体は、前記複数の外部軸受のそれぞれに対応し、その対応する前記外部軸受を配置する複数の外部軸受配置部を備え、
前記複数の外部軸受配置部それぞれに関して、前記外部軸受配置部の最大外径は、前記外部軸受配置部から前記軸体の負荷側端部までの範囲で最も大きい外径となる請求項
1に記載のギヤモータ。
【請求項4】
前記モータを収容するモータハウジングを備え、
前記モータハウジングは、ベースハウジングを、使用される前記モータのモータ長さに対応したハウジング長さに切断して構成される請求項
1に記載のギヤモータ。
【請求項5】
前記第2回転検出器が配置される
前記第1の場合及び前記第2の場合、前記検出軸は、前記ロータ軸の内周部に内部軸受を介して支持される請求項
1に記載のギヤモータ。
【請求項6】
前記第2回転検出器が配置される
前記第1の場合及び前記第2の場合、前記検出軸及び前記ロータ軸の何れかと前記内部軸受とによって軸方向に挟まれる位置に配置され、前記内部軸受に軸方向の予圧を付与する弾性部材を備える請求項
5に記載のギヤモータ。
【請求項7】
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータよりも負荷側に配置される電子部品と、
前記モータよりも反負荷側に配置され、制御部を有するドライバユニットと、
前記電子部品と前記ドライバユニットを接続する配線と、を備え、
前記配線は、前記モータハウジングの外部を経由する請求項
1に記載のギヤモータ。
【請求項8】
前記モータハウジングは、前記モータハウジングの外周部に設けられ、負荷側から反負荷側に向かう配線溝を備え、
前記配線は、前記モータよりも負荷側において前記モータハウジングの外部に引き出され、前記配線溝に沿って配置される請求項
7に記載のギヤモータ。
【請求項9】
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータよりも反負荷側に配置され、制御部を有するドライバユニットと、
前記ドライバユニットを前記モータハウジングに取り付けるためのドライバマウントと、を備え、
前記ドライバマウントは、前記モータハウジングにリベットにより連結される請求項
1に記載のギヤモータ。
【請求項10】
前記リベットは、前記モータハウジングと前記ドライバマウントを径方向に連結する請求項
9に記載のギヤモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ギヤモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ロータ軸と、出力軸と、ロータ軸の回転を検出する第1回転検出器と、出力軸の回転を検出する第2回転検出器とを備えるギヤモータを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ギヤモータに組み込む必要のある検出器は、顧客によって異なる。顧客が必要とする検出器の組み合わせ毎に、専用のギヤモータを設計するとなると、必要となる検出器の組み合わせの数に応じた複数種類のギヤモータを個別に準備する必要がある。これは製造コストの増大を招くため、その改善が望まれる。
【0005】
本開示の目的の1つは、複数種類のギヤモータを取り扱ううえで製造コストを削減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のギヤモータは、モータと減速機とを備えるギヤモータであって、ロータ軸の回転を検出する第1回転検出器を配置する第1検出器配置部と、前記減速機の出力部材の回転を検出する第2回転検出器を配置する第2検出器配置部と、トルク検出器を配置する第3検出器配置部と、を備え、本ギヤモータは、前記第1検出器配置部に前記第1回転検出器を配置し、前記第2検出器配置部に前記第2回転検出器を配置し、かつ、前記トルク検出器を前記第3検出器配置部に配置した場合も、そのうちの一部を配置した場合も動作可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数種類のギヤモータを取り扱ううえで製造コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のギヤモータの側面断面図である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施形態のギヤモータの模式図であり、
図2(b)は、第1変形形態のギヤモータの模式図であり、
図2(c)は、第2変形形態のギヤモータの模式図であり、
図2(d)は、第3変形形態のギヤモータの模式図である。
【
図3】第1実施形態の軸体の一部を周辺構造とともに示す側面断面図である。
【
図4】第1実施形態のベースハウジングを示す側面断面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1モータに使用されるモータハウジングを示し、
図5(b)は、第2モータに使用されるモータハウジングを示し、
図5(c)は、第3モータに使用されるモータハウジングを示す。
【
図7】第1実施形態のギヤモータに用いられる配線を周辺構造とともに示す側面断面図である。
【
図9】第1実施形態のギヤモータに用いられるドライバユニットを周辺構造とともに示す斜視図である。
【
図10】
図9のB-B切断面の一部を示す側面断面図である。
【
図11】
図9のC-C切断面の一部を示す側面断面図である。
【
図12】第1実施形態のギヤモータに用いられる放熱体を周辺構造とともに示す側面断面図である。
【
図13】第2実施形態のギヤモータが用いられる産業用ロボットを示す部分側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照する。ギヤモータ10は、第1相手部材12と第2相手部材14を連結する。ギヤモータ10は、第1相手部材12に対して第2相手部材14を相対回転させることができる。本実施形態のギヤモータ10は、産業用ロボットの関節部に組み込まれる。本実施形態の第1、第2相手部材12、14は、多関節アームのベース部材及びアーム部材の何れかによって構成される。
【0011】
ギヤモータ10は、主に、モータ16と、モータ16によって回転させられるロータ軸18と、ロータ軸18の回転を減速する減速機20と、減速機20の減速機構42及びモータ16を収容するハウジング22と、を備える。本実施形態のギヤモータ10は、減速機20の入力軸40及びロータ軸18を貫通する検出軸24と、モータ16よりも反負荷側に配置されるドライバユニット26と、を備える。本実施形態のギヤモータ10は、ロータ軸18の回転を検出する第1回転検出器28と、減速機20の出力部材48の回転を検出する第2回転検出器30と、ロータ軸18及び入力軸40からなる軸体31のトルクを検出するトルク検出器32とを更に備える。本実施形態のギヤモータ10は、軸体31を制動するブレーキ34を備える。第1相手部材12は、ねじ等を用いてハウジング22に一体化され、第2相手部材14は、ねじ等を用いて減速機20のキャリヤ44に一体化される。
【0012】
以下、ロータ軸18の回転中心線CLに沿った方向を軸方向Xといい、その回転中心線CLを中心とする円の円周方向、半径方向をそれぞれ「周方向」、「径方向」という。また、軸方向Xにおいてモータ16から減速機20に向かう側(
図1の左側)を負荷側といい、それとは軸方向Xの反対側(
図1の右側)を反負荷側という。
【0013】
モータ16は、ハウジング22のモータハウジング60に固定されるステータ36と、ロータ軸18と一体的に回転するロータ38と、を備える。ロータ軸18は、モータ16を軸方向Xに貫通している。
【0014】
減速機20は、ロータ軸18の回転が入力される入力軸40と、入力軸40の回転を減速する減速機構42と、を備える。この他に、減速機20は、減速機構42に対して軸方向負荷側に配置されるキャリヤ44と、減速機構42を収容する減速機ハウジング47と、減速機構42から減速された回転を取り出す出力部材48と、を備える。
【0015】
本実施形態の減速機構42は、入力軸40によって外歯歯車50を撓み変形させることで内歯歯車を自転させ、その自転成分を出力部材48によって取り出す撓み噛み合い型歯車機構である。本実施形態の減速機構42は、減速機ハウジング47に対する相対回転が拘束された第1内歯歯車52と、減速機ハウジング47に対して相対回転可能な第2内歯歯車54を用いた、筒型の撓み噛み合い型歯車機構である。
【0016】
入力軸40は、減速機構42の歯車(外歯歯車50)を駆動する歯車駆動部40aを備える。撓み噛み合い型歯車機構に用いられる入力軸40の歯車駆動部40aは、軸方向Xに直交する断面において、楕円状をなす。ここで、楕円状とは、幾何学的に厳密な楕円形状だけでなく、略楕円形状も含む。
【0017】
減速機構42は、入力軸40の外周側に配置される外歯歯車50と、外歯歯車50と噛み合う第1、第2内歯歯車52、54とを備える。外歯歯車50は、入力軸40の歯車駆動部40aと外歯歯車50との間に配置される第1外部軸受110を介して、入力軸40に回転自在に支持される。本実施形態の外歯歯車50は可撓性を持ち、入力軸40が回転したとき、入力軸40の歯車駆動部40aに合わせた楕円状をなすように撓み変形させられる。
【0018】
第1内歯歯車52は、反負荷側に配置される。第2内歯歯車54は、負荷側に配置される。第1内歯歯車52は、外歯歯車50の外歯数(例えば、100)とは異なる内歯数(例えば、102)を持ち、第2内歯歯車54は、外歯歯車50の外歯数と同数の内歯数を持つ。本実施形態の減速機構42は、入力軸40が一回転する毎に、外歯歯車50と第1内歯歯車52との歯数差に相当する分、第2内歯歯車54とともに外歯歯車50が自転する。
【0019】
キャリヤ44は全体として円環状をなす。キャリヤ44は、キャリヤ44の中央部を貫通する貫通孔45と、負荷側に突き出る嵌合凸部46を備える。キャリヤ44は、第2内歯歯車54に設けられた嵌合凹部54aに嵌合凸部46がインロー嵌合されることによって、第2内歯歯車54と一体化される。
【0020】
本実施形態の減速機ハウジング47は、第1内歯歯車52を兼ねる第1ハウジング部材44Aと、第2内歯歯車54に対して径方向外側に配置される第2ハウジング部材44Bと、を備える。第1ハウジング部材46Aと第2ハウジング部材44Bはねじ等によって互いに一体化される。減速機ハウジング47と第2内歯歯車54との間には主軸受58が配置される。
【0021】
本実施形態の出力部材48はキャリヤ44であり、減速機構42から取り出した回転を第2相手部材14に出力する。
【0022】
ハウジング22は、減速機構42を収容する前述の減速機ハウジング47と、モータ16を収容するモータハウジング60と、を備える。減速機ハウジング47は、ボルト等を用いてモータハウジング60と一体化される。
【0023】
モータハウジング60は、全体として筒状をなす。本実施形態のモータハウジング60は、一体成形により得られる一体成型品であり、単数部材によって構成される。本実施形態のモータハウジング60は、一体成型品として、アルミニウム製(金属製)のダイキャスト品である。この他にも、モータハウジング60は、金属製の切削加工品等でもよい。
【0024】
モータハウジング60は、ステータ36を配置するステータ配置部62と、ステータ配置部62よりも反負荷側に設けられる内フランジ部64と、を備える。ステータ36は、接着剤、嵌め合い等を用いて、ステータ配置部62に固定される。内フランジ部64は、モータハウジング60の内周部において径方向内側に突き出ている。モータハウジング60は、この他に、ブレーキ34を配置するブレーキ配置部106の一部(後述するハウジング側部分106a)を備える。ハウジング側部分106aは、ステータ配置部62と内フランジ部64との間に設けられる。
【0025】
検出軸24は、軸体31の他に、出力部材48(キャリヤ44)の貫通孔45を軸方向Xに貫通している。検出軸24は、出力部材48に固定されており、出力部材48と一体的に回転可能に設けられる。詳しくは、検出軸24の負荷側端部は、出力部材48の貫通孔45に締まり嵌めされることで、出力部材48に固定されている。これにより、検出軸24は、出力部材48に対する軸方向位置を調整しつつ出力部材48に固定できる。
【0026】
ドライバユニット26は、ドライバ回路が組み込まれた制御部68を構成する制御基板70と、回転検出器28、30のセンサ28B、30B(後述する)を搭載するセンサ基板72と、基板70、72を保持する基板ホルダ74と、を備える。センサ基板72は不図示の配線を介して制御基板70の制御部68と電気的に接続される。制御部68は、ロータ軸18を回転させるようにモータ16を駆動可能である。
【0027】
本実施形態の第1、第2回転検出器28、30は、ロータリーエンコーダである。第1回転検出器28は、ロータ軸18と一体的に回転可能な第1被検出部材28Aと、第1被検出部材28Aを検出可能な第1センサ28Bとを備える。第2回転検出器30は、出力部材48と一体的に回転可能な第2被検出部材30Aと、第2被検出部材30Aを検出可能な第2センサ30Bとを備える。回転検出器28、30がロータリーエンコーダの場合、被検出部材28A、30Aはエンコーダディスクであり、センサ28B、30Bは、例えば、光学センサ又は磁気センサとなる。回転検出器28、30は、センサ28B、30Bによって被検出部材28A、30Aを検出することで、言及している対象(ロータ軸18、出力部材48)の回転を検出可能である。回転検出器28、30を構成する被検出部材28A、30Aとセンサ28B、30Bの組み合わせはこれに限定されない。なお、回転検出器28、30は、ロータリーエンコーダに限定されるものではなく、種々の回転検出器を採用でき、例えばレゾルバやホール素子でもよい。
【0028】
第1被検出部材28Aは、ロータ軸18の反負荷側端部18aに配置される。第2被検出部材30Aは、出力部材48と一体的に回転する検出軸24の反負荷側端部24aに配置される。第1、第2センサ28B,30Bは、第1、第2被検出部材28A,30Aに対して軸方向Xに対向する位置に配置される。本実施形態では、ドライバユニット26のセンサ基板72に搭載される。第1、第2被検出部材28A,30Aの反負荷側端面は、軸方向Xにおいて揃えた位置に設けられる。第1、第2センサ30Bの負荷側端面は、センサ基板72に対して軸方向Xにおいて揃えた位置に設けられる。
【0029】
本実施形態のトルク検出器32は、軸体31のトルクに応じた歪みが生じる歪み部材76に取り付けられる歪みゲージ等の歪みセンサである。トルク検出器32は、トルクを検出可能であればよく、歪みゲージに限定されない。本実施形態の歪み部材76は、軸体31のトルクが軸体31から外歯歯車50を介して伝達される第1内歯歯車52である。トルク検出器32は、第1内歯歯車52において軸方向Xの反負荷側にある側部に取り付けられる。本実施形態では、図示はしないが、第1内歯歯車52において周方向に間を空けて複数のトルク検出器32が取り付けられる。
【0030】
トルク検出器32は、歪み部材76の歪みを検出することで、その歪み量を示す検出信号を取得する。トルク検出器32は、取得した検出信号を信号処理部(不図示)に出力する。信号処理部は、トルク検出器32から出力される検出信号を処理することによって、歪み部材76のトルクを検出する。信号処理部は、例えば、歪み部材76の歪み量と軸体31のトルクを一意に対応付けたデータテーブルを参照することによって、軸体31のトルクを検出してもよい。検出されたトルクに基づいてどのような制御を行うかは特に限定されない。例えば、信号処理部は、検出されたトルクに基づいて、第2相手部材14への障害物(例えば、人)の接触を検知し、モータ16を停止させる制御を行ってもよい。あるいは、第2相手部材14を所定の押し付け力で外部部材に押し付ける制御を行うことも可能である。信号処理部は、トルク検出器32及びドライバユニット26の制御部68のいずれに組み込まれてもよい。
【0031】
ブレーキ34は、モータ16に対して負荷側に設けられる。ブレーキ34は、モータ16と減速機20との間に設けられる。ブレーキ34は、回転部材78を制動するブレーキ機構80と、ブレーキ機構80を搭載するブレーキ本体82とを備える。ブレーキ本体82は、ブレーキ機構80を支持する役割を持ち、ハウジング22に固定される。本実施形態の回転部材78は軸体31とは別体であり、ブレーキ34の一部として軸体31に取り付けられる。この他にも、回転部材78は、軸体31そのものであってもよく、この場合はブレーキ34とは別に設けられる。本実施形態のブレーキ34はディスクブレーキであり、回転部材78は、ディスク状のブレーキロータである。
【0032】
ブレーキ機構80は、回転部材78を摩擦により制動する可動摩擦部材84と、摩擦部材84を回転部材78に向けて押圧する押圧機構86と、を備える。本実施形態のブレーキ機構80は、回転部材78に対して可動摩擦部材84とは軸方向反対側に設けられる固定摩擦部材88を備える。可動摩擦部材84は、不図示のガイドピンによって軸方向Xにガイド可能に支持される。固定摩擦部材88は、不図示のガイドピンを介してブレーキ本体82に固定される。
【0033】
押圧機構86は、電力を用いて可動摩擦部材84を駆動する電動式である。詳しくは、押圧機構86は、可動摩擦部材84を付勢するバネ等の付勢部材(不図示)と、可動摩擦部材84を付勢部材の付勢方向とは軸方向反対側に駆動するためのコイル90とを備える。可動摩擦部材84はアーマチュアであり、コイル90により生じる磁力に起因する吸引力によって駆動させられる。
【0034】
ブレーキ機構80は、コイル90に対する通電を解除したとき、付勢部材によって可動摩擦部材84を回転部材78に押し付けることで、可動摩擦部材84の摩擦により回転部材78を制動する。このとき、本実施形態のブレーキ機構80は、可動摩擦部材84と固定摩擦部材88の間に回転部材78を挟み込むことで、回転部材78を制動する。ブレーキ機構80は、コイル90に対して通電したとき、コイル90によって回転部材78から離れるように可動摩擦部材84を駆動することで、可動摩擦部材84による回転部材78の制動を解除する。
【0035】
ギヤモータ10は、第1回転検出器28を配置する第1検出器配置部100と、第2回転検出器30を配置する第2検出器配置部102と、トルク検出器32を配置する第3検出器配置部104と、ブレーキ34を配置するブレーキ配置部106と、を備える。
【0036】
本実施形態の第1検出器配置部100は、ロータ軸18の反負荷側端部18aに設けられる第1軸側部分100aと、第1軸側部分100aと対向する位置に設けられる第1対向部分100bとを備える。本実施形態の第1対向部分100bは、第1軸側部分100aと軸方向に対向する位置においてセンサ基板72に設けられる。第1軸側部分100aには第1回転検出器28の第1被検出部材28Aが配置され、第1対向部分100bには第1回転検出器28の第1センサ28Bが配置される。
【0037】
本実施形態の第2検出器配置部102は、検出軸24の反負荷側端部24aに設けられる第2軸側部分102aと、第2軸側部分102aと対向する位置に設けられる第2対向部分102bとを備える。本実施形態の第2対向部分102bは、第2軸側部分102aと軸方向Xに対向する位置においてセンサ基板72に設けられる。第2軸側部分102aには第2回転検出器30の第2被検出部材30Aが配置され、第2対向部分102bには第2回転検出器30の第2センサ30Bが配置される。
【0038】
本実施形態の第3検出器配置部104は、前述の第1内歯歯車52に設けられる。詳しくは、第1内歯歯車52の反負荷側にある軸方向Xの側部に設けられる。
【0039】
本実施形態のブレーキ配置部106は、ハウジング22の内周部に設けられるハウジング側部分106aと、ロータ軸18の外周部に設けられる第3軸側部分106bとを備える。第3軸側部分106bは、ロータ軸18と一体的に設けられる。第3軸側部分106bは、単数のロータ軸18の一部として設けられることになる。ハウジング側部分106aには、ブレーキ34の一部となるブレーキ本体82が配置され、第3軸側部分106bには、ブレーキ34の一部となる回転部材78が配置される。ブレーキ本体82は、ハウジング側部分106aに圧入を伴う嵌め合いによってハウジング側部分106aに固定される。
【0040】
回転部材78は、スプラインを用いた嵌め合いによって、軸方向Xに移動可能に第3軸側部分106bに固定される(第3軸側部分106bの回転方向に一体化される)。第3軸側部分106bには雄スプラインが設けられ、回転部材78の内周部には雌スプラインが設けられることになる。第3軸側部分106bに対する回転部材78の固定手段は、特に限定されず、例えば、スプラインを用いない圧入を伴う嵌め合いを用いてもよい。
【0041】
ギヤモータ10は、第1検出器配置部100に第1回転検出器28を配置し、第2検出器配置部102に第2回転検出器30を配置し、かつ、トルク検出器32を第3検出器配置部104に配置した場合も、そのうちの一部を配置した場合も動作可能である。「そのうちの一部を配置した場合」とは、第1、第2回転検出器28、30、トルク検出器32のうちの少なくとも一つを対応する配置部100、102、104に配置し、かつ、それらのうちの残りを配置しない場合を意味する。ここでの「配置しない場合」とは、第1、第2回転検出器28、30、トルク検出器32のうちの配置しない対象を、ギヤモータ10が備えない場合をいう。例えば、ギヤモータ10が第1、第2回転検出器28、30を備えず、トルク検出器32を第3検出器配置部104に配置した場合ということである。さらに、ギヤモータ10は、第1回転検出器28、第2回転検出器30およびトルク検出器32の全てを配置しない場合も動作可能であってもよい。この場合、ギヤモータ10は、いわゆるセンサレス制御により駆動される。
【0042】
第1検出器配置部100に第1回転検出器28を配置する第1条件と、第2検出器配置部102に第2回転検出器30を配置する第2条件と、トルク検出器32を第3検出器配置部104に配置する第3条件を想定する。このとき、ギヤモータ10は、第1~第3条件の全てを満たす場合も、そのうちの一部の条件のみを満たす場合(一部の条件を満たさない場合)も動作可能とも捉えることができる。
【0043】
また、ギヤモータ10は、ブレーキ配置部106にブレーキ34を配置した場合も、ブレーキ34を配置しない場合も動作可能である。このブレーキ34を配置しない場合とは、ギヤモータ10がブレーキ34を備えない場合をいう。
【0044】
図1、
図2を参照する。
図2(a)~(d)は、第1実施形態、第1~第3変形形態のギヤモータ10の模式図である。
図2(b)は、
図2(a)のギヤモータ10からトルク検出器32を省略したギヤモータ10である。
図2(c)は、
図2(a)のギヤモータ10から第2回転検出器30と検出軸24を省略したギヤモータ10である。
図2(d)は、
図2(a)のギヤモータ10からブレーキ34を省略したギヤモータ10である。
図2(b)~
図2(d)の何れのギヤモータ10も、省略した対象の他は、
図2(a)のギヤモータ10と同じ構成である。
【0045】
図2(a)は、各検出器28、30、32、ブレーキ34を対応する配置部100、102、104、106に配置した場合を示す。
図2(b)は、第1、第2回転検出器28、30、ブレーキ34を対応する配置部100、102、106に配置し、トルク検出器32を配置しない場合を示す。
図2(c)は、第1回転検出器28、トルク検出器32、ブレーキ34を対応する配置部100、104、106に配置し、第2回転検出器30を配置しない場合を示す。
図2(d)は、各検出器28、30、32を対応する配置部100、102、104に配置し、ブレーキ34を配置しない場合を示す。前述した内容は、これらのいずれの場合も、ギヤモータ10は動作可能ということを意味する。
【0046】
ここでの「配置しない場合」という条件を満たすうえでは、その言及している対象を配置すべき配置部100、102、104、106を備える部材そのものを省略してもよい。たとえば、「第2回転検出器30を配置しない場合」という条件を満たすうえでは、第2検出器配置部102の第2軸側部分102aを備える検出軸24を省略してもよい(
図2(c)参照)。このとき、第2検出器配置部102の第2対向部分102bを備えるセンサ基板72は省略してもよいし、省略していなくともよい。第1回転検出器28、トルク検出器32に関しても同様である。
【0047】
第1回転検出器28を第1検出器配置部100に配置した場合にギヤモータ10が動作可能とは、第1回転検出器28の検出信号を用いて、制御部68によってモータ16を制御可能ということである。このとき、例えば、第1回転検出器28の検出信号に基づき求めた軸体31の回転速度や回転位置が目標条件を満たすようにモータ16を駆動してもよい。
【0048】
第2回転検出器30を第2検出器配置部102に配置した場合にギヤモータ10が動作可能とは、第2回転検出器30の検出信号を用いて、制御部68によってモータ16を制御可能ということである。このとき、例えば、第2回転検出器30の検出信号に基づき求めた検出軸24(出力部材48)の回転速度や回転位置が目標条件を満たすようにモータ16を駆動してもよい。
【0049】
トルク検出器32を第3検出器配置部104に配置した場合にギヤモータ10が動作可能とは、トルク検出器32の検出信号を用いて、制御部68によってモータ16を制御可能ということである。このとき、例えば、トルク検出器32によって検出されたトルクに基づいて、モータ16を停止させてもよい。この他にも、トルク検出器32によって検出されるトルクが目標トルクとなるようにモータ16を駆動してもよい。
【0050】
ギヤモータ10がトルク検出器32、第1、第2回転検出器28、30のうちの何れかを配置しない場合に動作可能とは、その配置しない対象(例えば、トルク検出器32)を用いることなく、制御部68によってモータ16を制御可能ということである。
【0051】
第1回転検出器28を配置しない場合とは、本実施形態では、第1検出器配置部100の第1軸側部分100aに第1被検出部材28Aを配置せず、その第1対向部分100bに第1センサ28Bを配置しない場合を意味する。第2回転検出器30を配置しない場合とは、本実施形態では、第2検出器配置部102の第2軸側部分102aに第2被検出部材30Aを配置せず、その第2対向部分102bに第2センサ30Bを配置しない場合を意味する。トルク検出器32を配置しない場合とは、本実施形態では、第3検出器配置部104にトルク検出器32を配置しない場合を意味する。
【0052】
ブレーキ34を配置した場合に動作可能とは、制御部68による制御のもと、ブレーキ34によって軸体31を制動可能ということである。ブレーキ34を配置しない場合に動作可能とは、ブレーキ34を用いることなく、制御部68によってモータ16を制御可能ということである。ここでの「ブレーキ34を配置しない場合」とは、本実施形態では、ブレーキ配置部106のハウジング側部分106aにブレーキ本体82を配置せず、その第3軸側部分106bに回転部材78を配置しない場合を意味する。
【0053】
ここまで、検出器28、30、32及びブレーキ34から一つを選択して得られる一部の組み合わせを、実際の省略対象とする例を説明した。これに限定されず、これらの中から実際の省略対象とする要素の組み合わせは、これらの中から一つまたは複数を選択して得られるあらゆる組み合わせの何れであってもよい。ここでの「複数」は、2つ、3つ及び4つの何れの数でもよい。
【0054】
以上のギヤモータ10は、検出器28、30、32を対応する配置部100、102、104の全てに配置した場合も、そのうちの一部を配置した場合も動作可能である。よって、第1、第2回転検出器30、トルク検出器32の全てを備えるギヤモータ10と、それらのうちの一部を備えないギヤモータ10との間で、ギヤモータ10の主要要素(モータ16、ロータ軸18、減速機20、ハウジング22等)を共用できる。つまり、複数種類のギヤモータ10の間で主要要素を共用できる。よって、複数種類のギヤモータ10を取り扱ううえで製造コストの削減を図ることができる。この他にも、設計コストの削減も図ることができる。
【0055】
ギヤモータ10は、ブレーキ34を配置した場合も配置しない場合も動作可能である。よって、ブレーキ34を備えるギヤモータ10と、ブレーキ34を備えないギヤモータ10との間で、ギヤモータ10の主要要素(モータ16、ロータ軸18、減速機20、ハウジング22等)を共用できる。よって、複数種類のギヤモータ10を取り扱ううえで、製造コスト及び設計コストの更なる削減を図ることができる。
【0056】
なお、制御部68は、各検出器28、30、32、ブレーキ34のそれぞれが電気的に接続された場合に、その接続相手を使用できる状態にするための設定を自動的に行うプラグアンドプレイを実行可能にしてもよい。これにより、専門知識のないユーザでも、各検出器28、30、32、ブレーキ34をギヤモータ10に容易に組み込むことができる。
【0057】
次に、ギヤモータ10の他の特徴を説明する。
図1を参照する。ギヤモータ10は、軸体31の外周部に配置される複数の外部軸受110、112、114を備える。複数の外部軸受110、112、114は、入力軸40の歯車駆動部40aによって駆動される歯車(外歯歯車50)と歯車駆動部40aとの間に配置される第1外部軸受110と、第1外部軸受110に対して反負荷側に配置される第2外部軸受112と、第1外部軸受110に対して負荷側に配置される第3外部軸受114とを含む。
【0058】
本実施形態の第1外部軸受110は、いわゆる起振体軸受である。第1外部軸受110は、ころ軸受等の転がり軸受である。第1外部軸受110は、図示しないが、複数の転動体と、複数の転動体を保持するリテーナとを備える。
【0059】
第2外部軸受112は、ハウジング22の内フランジ部64と軸体31との間に配置される。第3外部軸受114は、キャリヤ44の嵌合凸部46と軸体31との間に配置される。第2、第3外部軸受112、114は、玉軸受等の転がり軸受である。
【0060】
ロータ軸18と入力軸40とは同一の素材で一体的に構成される。ロータ軸18及び入力軸40からなる軸体31は、単数部材の一部によって構成されることになる。仮に、ロータ軸18と入力軸40を別体に構成した場合、軸体31を組み立てる必要がある。これに対して、本実施形態によれば、軸体31の組み立てが不要となる。よって、軸体31の組み立てに起因する、ロータ軸18と入力軸40との間での位置のばらつきの発生を防止できる。この他に、ロータ軸18と入力軸40を別体に構成する場合と比べ、部材点数を削減できるため、取り扱いの容易化、製造コストの削減、信頼性の向上を図ることができる。
【0061】
図3を参照する。軸体31は、前述のブレーキ配置部106の一部(前述の第3軸側部分106b)の他に、外部軸受110、112、114を配置する複数の外部軸受配置部120、122、124と、ロータ38を配置するロータ配置部126と、を備える。
【0062】
ロータ配置部126は、軸体31のロータ軸18に設けられる。ロータ38は、接着剤、嵌め合い等を用いてロータ配置部126に固定される。ロータ配置部126には、軸体31の軽量化のための凹状の肉抜き部126aが形成される。
【0063】
複数の外部軸受配置部120、122、124は、複数の外部軸受110、112、114のそれぞれに対応し、その対応する外部軸受110、112、114が配置される。外部軸受配置部120、122、124は、第1外部軸受110に対応する第1外部軸受配置部120と、第2外部軸受112に対応する第2外部軸受配置部122と、第3外部軸受114に対応する第3外部軸受配置部124とを含む。
【0064】
第1外部軸受配置部120は、入力軸40の歯車駆動部40aに設けられる。本実施形態において、第1外部軸受配置部120は、歯車駆動部40aと同様に楕円状をなし、第2、第3外部軸受配置部122、124は円形状をなす。第2外部軸受配置部122には、第2外部軸受112の内輪が配置される。第2外部軸受112の内輪は、圧入を伴う嵌め合い等を用いて、第2外部軸受配置部122に固定される。第2外部軸受112の外輪は、モータハウジング60の内フランジ部64の内周部に配置される(
図1参照)。第3外部軸受配置部124には、第3外部軸受114の内輪が配置される。第3外部軸受114の内輪は、圧入を伴う嵌め合い等を用いて、第3外部軸受配置部124に固定される。
【0065】
軸体31の外周部には、反負荷側(
図3の右側)から負荷側(
図3の左側)に向かって順に、ロータ配置部126、ブレーキ配置部106の第3軸側部分106b、第2外部軸受配置部122、第1外部軸受配置部120、第3外部軸受配置部124が設けられる。
【0066】
第1外部軸受配置部120の最大外径をR120、第2外部軸受配置部122の最大外径をR122、第3外部軸受配置部124の最大外径をR124とする。この他に、ロータ配置部126の最大外径をR126、ブレーキ配置部106の第3軸側部分106bの最大外径をR106とする。ここでの最大外径は、言及している箇所に外接するとともに軸体31の回転中心線CLと同心の外接円の半径をいう。
【0067】
複数の外部軸受配置部120、122、124それぞれに関して、外部軸受配置部120、122、124の最大外径R120、R122、R124は、その外部軸受配置部120、122、124から軸体31の負荷側端部31aまでの範囲で最も大きい外径となる。第1外部軸受配置部120の最大外径R120は、第1外部軸受配置部120から負荷側端部31aまでの範囲で最も大きくなるということである。他の外部軸受配置部122、124の最大外径R122、124も同様となる。反負荷側から負荷側に向かって第2外部軸受配置部122の最大外径R122、第1外部軸受配置部120の最大外径R120、第3外部軸受配置部124の順で最大外径R124が小さくなる。
【0068】
これにより、複数の外部軸受110、112、114に関して、軸体31の負荷側端部31aから反負荷側に向かって、軸体31に対して相対移動させることで、軸体31の外周部に配置可能となる。よって、複数の外部軸受110、112、114を軸体31に組み込むうえで、これらの相対移動方向を共通化でき、良好な作業性を得られる。
【0069】
ロータ配置部126の最大外径R126は、ロータ配置部126から軸体31の負荷側端部31aまでの範囲で最も大きい外径となる。これにより、複数の外部軸受110、112、114の他に、ロータ38に関しても、軸体31の負荷側端部31aから反負荷側に向かって相対移動させることで、軸体31の外周部に配置可能となる。
【0070】
ブレーキ配置部106の第3軸側部分106bの最大外径R106は、第3軸側部分106bから軸体31の負荷側端部31aまでの範囲で最も大きい外径となる。これにより、ブレーキ34の回転部材78に関しても、軸体31の負荷側端部31aから反負荷側に向かって相対移動させることで、軸体31の外周部に配置可能となる。
【0071】
図4を参照する。モータハウジング60は、中間製品としてのベースハウジング130を加工することによって得られる。中間製品としてのベースハウジング130は、モータハウジング60と同様に一体成型品(鋳込成型品)である。ベースハウジング130は、モータハウジング60と同様、全体として筒状をなし、ステータ配置部62と、内フランジ部64と、ブレーキ配置部106のハウジング側部分106aとを備える。
【0072】
ベースハウジング130は、ベースハウジング130の反負荷側端部から負荷側に向かう一部の範囲に連続する筒状の長さ調整部132を備える。長さ調整部132は、ベースハウジング130において、ステータ36が配置されるべきステータ配置部62を含む軸方向範囲に設けられる。完成製品としてのモータハウジング60は、ベースハウジング130の長さ調整部132における軸方向の途中部分を切断することで得られる。このとき、ベースハウジング130の長さ調整部132における切断位置より反負荷側部分は除かれる。ベースハウジング130の長さ調整部132における切断位置を調整することでモータハウジング60のハウジング長さを調整可能である。ここでの長さとは、軸方向寸法をいう。なお、ベースハウジング130の長さ調整部132を切断後、その切断部に仕上げ加工を施すことが望ましい。
【0073】
図5(a)~
図5(c)を参照する。ベースハウジング130は、モータ長さの異なる複数種類のモータ16A~16Cに共用される。ここでは、符号の末尾にA、B、Cを付して複数種類のモータを区別する。複数種類のモータ16A~16Cには、例えば、最大長さとなる第1モータ長さL16Aの第1モータ16A(
図5(a)参照)が含まれる。この他に、複数種類のモータ16A~16Cには、第1モータ長さL16Aより短い第2モータ長さL16Bの第2モータ16B(
図5(b)参照)と、第2モータ長さL16Bより短い第3モータ長さL16Cの第3モータ16C(
図5(c)参照)とが含まれる。
【0074】
図5(a)に示すように、ベースハウジング130は、複数種類のモータ16A~16Cの中で予め定められる最大長さ(第1モータ長さ16A)の第1モータ16Aに対応した第1ハウジング長さL130Aを有する。第1モータ長さL16Aのモータ16Aに使用する場合、ベースハウジング130そのものによってモータハウジング60を構成する。
【0075】
図5(b)に示すように、第2モータ長さL16Bのモータ16Bに使用する場合は、第2モータ長さL16Bに対応する第2ハウジング長さL130Bとなるようにベースハウジング130の長さ調整部132を切断することでモータハウジング60を構成する。
図5(c)に示すように、第3モータ長さL16Cのモータ16Cに使用する場合は、第3モータ長さL16Cに対応する第3ハウジング長さL130Cとなるようにベースハウジング130の長さ調整部132を切断することでモータハウジング60を構成する。図ではベースハウジング130の切断位置Cpを示す。
【0076】
このように、モータハウジング60は、第2、第3モータ16B、16Cに使用する場合、ベースハウジング130を、使用されるモータ16B、16Cのモータ長さL16B、L16Cに対応したハウジング長さL130B、L130Cに切断して構成される。この場合、使用されるモータ16B、16Cのモータ長さL16B、L16Cが短くなるほど、モータハウジング60のハウジング長さL16B、L16Cを短くする。
【0077】
これにより、複数種類のモータ16A~16Cのそれぞれに対応するモータハウジング60を得るためのベースハウジング130を共用できる。よって、複数種類のモータ16A~16Cのそれぞれに対応するモータハウジング60を、モータ16A~16Cの種類毎に専用の一体成形品によって構成する場合と比べ、ギヤモータ10の製造過程で管理すべき部品点数を削減できる。ひいては、製造コストの削減を図ることができる。
【0078】
また、使用されるモータ16A~16Cのモータ長さに応じてハウジング長さを調整することで、単位重量当たりのトルクを効率的に大きくすることができる。これは、モータ長さが短くなるほど(モータ16の出力が小さくなるほど)、それに応じてハウジング長さを短くすることで実現できる。
【0079】
図6を参照する。ギヤモータ10は、ロータ軸18の内部においてロータ軸18と検出軸24との間に配置される内部軸受140を備える。内部軸受140は、玉軸受等の転がり軸受である。内部軸受140は、検出軸24に固定される内輪142と、ロータ軸18に固定される外輪144と、内輪142と外輪144を転動する転動体146とを備える。検出軸24の反負荷側部分は、ロータ軸18の内周部に内部軸受140を介して支持される。
【0080】
これにより、検出軸24の反負荷側端部24aの振れを防止し、第2回転検出器30による検出精度の向上を図ることができる。この他に、ドライバユニット26によって軸受を介して検出軸24を支持する場合と比べ、検出軸24の長さ(軸方向寸法)を小型化できる。これに伴い、検出軸24の軽量化の他に、検出軸24の加工の容易化を図れる。
【0081】
ロータ軸18は、ロータ軸18の内周部において反負荷側から負荷側に向かって順に設けられる、第1検出器配置部100の第1軸側部分100a、第1内部軸受配置部150及び第1段差部152を備える。第1段差部152は、ロータ軸18の反負荷側を向いている。
【0082】
第1軸側部分100aは、ロータ軸18の反負荷側端部に設けられる。第1軸側部分100aには第1回転検出器28の第1被検出部材28Aが配置される。第1軸側部分100aはロータ軸18の反負荷側端部18aにおいて環状に連続する。本実施形態の第1軸側部分100aは、反負荷側に向かって内径を大きくする段状をなす凹部によって構成される。第1被検出部材28Aは、接着剤(不図示)を用いて、第1軸側部分100aの反負荷側を向く段差部分100cに固定される。
【0083】
第1内部軸受配置部150には内部軸受140の外輪144が配置される。外輪144は、締まり嵌め、中間嵌め等の嵌め合いにより、第1内部軸受配置部150に固定される。第1内部軸受配置部150の内径R150は、第1内部軸受配置部150よりもロータ軸18の負荷側にあるロータ軸18の一部154の内径R154よりも大きくなる。ここでのロータ軸18の一部154とは、例えば、モータ16の負荷側端部16aと径方向に重なる位置をいう。これにより、第1内部軸受配置部150の内径R150をロータ軸18の内径R154に合わせる場合と比べ、内部軸受140を配置するためのスペースを広くすることができる。ひいては、耐久性を確保するために大型の内部軸受140を用いることができる。
【0084】
検出軸24は、検出軸24の外周部において反負荷側から負荷側に向かって順に設けられる第2検出器配置部102の第2軸側部分102a、第2段差部156、第2内部軸受配置部158を備える。
【0085】
第2軸側部分102aは、検出軸24の反負荷側端部に設けられる。第2軸側部分102aには第2回転検出器30の第2被検出部材30Aが配置される。第2軸側部分102aは検出軸24の反負荷側端部24aにおいて環状に連続する。本実施形態の第2軸側部分102aは、反負荷側に向かって外径を小さくする段状をなす凹部によって構成される。第2被検出部材30Aは、接着剤(不図示)を用いて、第2軸側部分102aの反負荷側を向く段差部分102cに固定される。
【0086】
第2段差部156は、検出軸24の外周部に設けられる径方向外向きに突き出る突起部160の負荷側部分に設けられる。第2段差部156は、内部軸受140の内輪142に対して反負荷側から突き当たることで、内輪142の軸方向位置を規制する。
【0087】
第2内部軸受配置部158には内部軸受140の内輪142が配置される。内輪142は、締まり嵌め、中間嵌め等の嵌め合いにより第2内部軸受配置部158に固定される。
【0088】
図1、
図6を参照する。ギヤモータ10は、ロータ軸18と内部軸受140によって軸方向Xに挟まれる位置に配置される弾性部材162を備える。本実施形態の弾性部材162は,環状の板バネである。弾性部材162は特に限定されず、例えば、ゴム体等でもよい。弾性部材162は、ロータ軸18の第1段差部152と検出軸24の第2段差部156とによって、内部軸受140とともに挟み込まれることで軸方向Xに圧縮変形した状態で設けられる。
【0089】
弾性部材162は、自らの弾性変形に起因する弾性復元力によって、軸方向Xにおいて検出軸24側に向けて内部軸受140の外輪144を押している。これにより、弾性部材162は、内部軸受140のアキシアル内部すきまをゼロ又は負の大きさにするように内部軸受140に軸方向Xの予圧を付与する。このアキシアル内部すきまは、予圧を与えていない状態にあるとき、内輪142及び外輪144のそれぞれと転動体146との間に設けられる。アキシアル内部すきまが正の大きさにあるとき、内輪142及び外輪144に対する転動体146の軸方向Xでの相対移動(がたつき)が許容される。これに対して、アキシアル内部すきまがゼロ又は負の状態にあるとき、内輪142及び外輪144に対する転動体146の軸方向Xでの相対移動(がたつき)が規制される。
【0090】
以上の弾性部材162によって、転動体146のがたつきを抑制でき、がたつきに起因する音鳴りを防止できる。また、弾性部材162の軸方向Xでの弾性変形によって、弾性部材162によって内部軸受140に予圧を付与した状態のまま、検出軸24とロータ軸18の軸方向Xでの位置を調整することができる。つまり、弾性部材162によって音鳴りを防止しつつ、検出軸24とロータ軸18の軸方向Xでの位置調整を許容できるようになる。このような位置調整をするうえでは、前述のように、出力部材48に対する検出軸24の軸方向位置を調整しつつ、出力部材48に検出軸24を固定すればよい。
【0091】
本実施形態では、第1回転検出器28の第1被検出部材28Aをロータ軸18に配置し、第2回転検出器30の第2被検出部材30Aを検出軸24に配置している。よって、検出軸24とロータ軸18の軸方向Xでの位置調整によって、第1被検出部材28Aと第2被検出部材30Aの軸方向Xでの位置を揃えることができる。これにより、共通のセンサ基板72に対する各被検出部材28A、30Aの軸方向Xでの相対位置を容易に揃えることができ、各回転検出器28、30による検知精度の向上を図ることができる。
【0092】
図7を参照する。
図7は、
図1とは異なる周方向位置でギヤモータ10を切断した側面断面図である。ギヤモータ10は、モータ16よりも負荷側に配置される電子部品170、172を備える。本実施形態の電子部品170、172は、トルク検出器32である第1電子部品170と、ブレーキ34の構成部品としてのコイル90である第2電子部品172と含む。第1電子部品170は、減速機ハウジング47内に配置される。第2電子部品172は、モータハウジング60内に配置される。
【0093】
ギヤモータ10は、電子部品170、172とドライバユニット26を接続する配線174、176を備える。
図7では、主に配線174、176の中心線を示す。配線174、176は、ドライバユニット26の制御基板70と第1電子部品170を接続する第1配線174と、制御基板70と第2電子部品172を接続する第2配線176とを含む。配線174、176は、制御基板70に設けられたコネクタ178を介して制御基板70に接続される。
【0094】
ハウジング22は、ハウジング22の内部から配線174、176を外部に引き出すための引出孔180を備える。引出孔180は、ハウジング22の外周部に開口する外部開口部182と、ハウジング22の内部に開口する内部開口部184、186とを備える。内部開口部184、186は、減速機ハウジング47に開口する第1内部開口部184と、モータハウジング60に開口する第2内部開口部186とを含む。引出孔180は、径方向に延びる径方向部分180aと、軸方向に延びる軸方向部分180bとを備える。径方向部分180aの外周側端部には外部開口部182が設けられる。径方向部分180aの内周側部分は、モータハウジング60の内部に開口するとともに軸方向部分180bにも開口する。軸方向部分180bは、モータハウジング60の内フランジ部64を軸方向Xに貫通している。軸方向部分180bには、減速機20の内部空間188に封入される潤滑剤の漏れを防止するためのグロメット190が配置される。
【0095】
配線174、176の一部は、モータハウジング60の外部を経由する。詳しくは、配線174、176は、モータ16よりも負荷側においてモータハウジング60の外部に引出孔180から引き出される。第1配線174は、第1内部開口部184、外部開口部182を経由して引出孔180から引き出される。本実施形態の第1配線174は、グロメット190に挿通される。第2配線176は、第2内部開口部186、外部開口部182を経由して引出孔180から引き出される。第1、第2配線174、176は、共通する外部開口部182を経由して引出孔180から引き出されることになる。配線174、176は、モータ16と径方向に重なる位置において、モータハウジング60の外部を経由する。配線174、176は、モータハウジング60よりも反負荷側において、ドライバユニット26のコネクタ178に接続される。
【0096】
図7、
図8を参照する。モータハウジング60は、モータハウジング60の外周部に設けられ、負荷側から反負荷側に向かう配線溝192を備える。配線溝192は、引出孔180の外部開口部182からモータハウジング60の反負荷側端部まで連続している。本実施形態の配線溝192は、周方向に横並びに配置される複数(本実施形態では三つ)の配線溝192を備える。配線溝192の個数は特に限定されず、一つ、二つ及び四つ以上でもよい。
【0097】
配線174、176は、ハウジング22の外部において配線溝192に沿って配置される。これにより、配線溝192によって配線174、176をガイドしつつ配線174、176を配置でき、配線174、176の配索作業を容易化できる。この他に、配線174、176の配索作業のためのガイド等の専用の要素をハウジング22に取り付けずに済み、ギヤモータ10の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0098】
複数の配線174、176のそれぞれは個別の配線溝192内に配置される。配線174、176は、軸方向Xから見て、配線溝192内に収まるように配置される。配線174、176は、軸方向Xから見て、配線溝192の入口側に設けられる入口開口部192aよりも径方向外側にはみ出ないように配置されるということである。なお、本実施形態では、後述するドライバマウント196にも配線174、176を内部に配置するための配線溝194が形成される。
【0099】
配線174、176は、モータハウジング60の外部を経由している。よって、モータハウジング60とモータ16との間に配線174、176を配置するための余計な配線スペースを確保せずに済む。ひいては、余計な配線スペースの確保に伴うモータ16の小型化を避けることができる。
【0100】
図1、
図9、
図10、
図11を参照する。ドライバユニット26の基板ホルダ74は、制御基板70に対して反負荷側に配置される板状のベース部74aと、ベース部74aから負荷側に突き出る第1、第2座部74b、74cとを備える。第1座部74bには、制御基板70が座した状態でねじ部材によって固定される。第2座部74cには、センサ基板72が座した状態でねじ部材によって固定される。基板ホルダ74は、制御基板70に対して径方向外側に設けられる周壁部74dとを備える。
【0101】
ギヤモータ10は、ドライバユニット26をモータハウジング60に取り付けるためのドライバマウント196を備える。ドライバマウント196は、全体として筒状をなす。ドライバマウント196は、モータハウジング60の反負荷側開口部から負荷側に差し込まれる差込部196aと、差込部196aよりも反負荷側に設けられる環状の外フランジ部196bと、差込部196aから径方向外側に突き出る厚肉部196cとを備える。
【0102】
外フランジ部196bは、ドライバマウント196の外周部において径方向外側に突き出ている。外フランジ部196bは、モータハウジング60の反負荷側端部に突き当てられる。
【0103】
図9、
図10を参照する。厚肉部196cは、差込部196aよりも厚い径方向寸法を持つ。厚肉部196cは、差込部196aよりも径方向外側に突き出ており、モータハウジング60に形成される凹部198内に配置される。基板ホルダ74の周壁部74dは、ドライバマウント196に反負荷側から突き当てられ、基板ホルダ74を貫通するねじ部材200によってドライバマウント196に軸方向Xに連結される。ねじ部材200は、ドライバマウント196の厚肉部196cと径方向に重なる位置に形成されるめねじ孔196dにねじ込まれる。
【0104】
図11を参照する。モータハウジング60は、モータハウジング60を径方向に貫通するハウジング側固定孔202を備える。ドライバマウント196は、ドライバマウント196の差込部196aを径方向に貫通するマウント側固定孔204を備える。
【0105】
ドライバマウント196は、モータハウジング60に複数のリベット210により連結される。図では単数のリベット210のみ示す。リベット210は、モータハウジング60とドライバマウント196を径方向に連結する。リベット210は、モータハウジング60とドライバマウント196の径方向に重なる箇所を連結するということである。複数のリベット210は、周方向に間を空けた位置に設けられる。リベット210は、モータハウジング60の外部に配置される頭部210aと、モータハウジング60及びドライバマウント196の固定孔202、204に挿通される軸部210bとを備える。
【0106】
リベット210の頭部210aは、モータハウジング60の外周部に設けられる座ぐり部60b内に収められる。リベット210は、リベット210の一部にカシメ部210cを設けることで、モータハウジング60とドライバマウント196を連結する。このリベット210の一部とは軸部210bの先端側部分である。リベット210のカシメ部210cは、ドライバマウント196に当たることで固定孔202、204に対する引き抜きを規制する。リベット210のカシメ部210cはマウント側固定孔204の内周部に密着しており、リベット210に対するドライバマウント196の径方向での位置ずれを規制する。
【0107】
本実施形態のリベット210はブラインドリベットであり、リベット210の軸部210bを貫通する中空孔210dを備える。中空孔210dに径方向内側から外側に向けてマンドレル212を挿通し、マンドレル212を径方向外側に引き抜くことで、リベット210にカシメ部210cが設けられる。このとき、マンドレル212のくびれ部212bが破断することでマンドレル212の頭部212aがリベット210内に残存する。
【0108】
ドライバマウント196は、ハウジング22にリベット210によって連結される。よって、ねじを用いる場合と比べ、ねじの軸部と固定孔202、204との間のクリアランスの確保が不要となる。これに伴い、径方向での位置ずれを防止しつつ、ドライバマウント196とハウジング22を連結できるようになる。特に、ドライバマウント196に回転検出器28、30のセンサ28B、30Bを組み込む場合、ドライバマウント196とハウジング22の径方向での位置ずれを防止することで、回転検出器28、30の検知精度の向上を図ることができる。
【0109】
リベット210は、モータハウジング60とドライバマウント196を径方向に連結する。よって、リベット210によって軸方向Xに連結する場合と比べ、ハウジング22の径方向での厚みを薄くできる。ひいては、ハウジング22の外径寸法を小型化できる。この他に、ねじを用いる場合と比べ、マウント側固定孔204に雌ねじを設けずに済むため、ドライバマウント196の径方向での厚みを薄くできる。
【0110】
次に、第1実施形態のギヤモータ10の他の使用態様を説明する。
図12を参照する。ギヤモータ10は、モータハウジング60から伝達された熱を外部に放熱するための放熱体220を備える。放熱体220を用いることで、モータハウジング60の冷却を促進できる。放熱体220は、モータハウジング60に被せられる周壁部220aと、周壁部220aから径方向外側に突き出る複数のフィン部220bとを備える。
【0111】
周壁部220aは、例えば、モータハウジング60に軸方向Xにスライド可能、かつ、径方向に分離不能にモータハウジング60の外側に嵌め合わされる。これを実現するうえで、周壁部220aは、モータハウジング60の半周分よりも長い周方向範囲に連続する弧状をなす。この他にも、これを実現するうえで、周壁部220aは、モータハウジング60の全周に亘る範囲で連続する環状をなしてもよい。
【0112】
放熱体220には、放熱体220を冷却するための冷却機構を組み込んでもよい。冷却機構は、例えば、放熱体220に当たる空気流を生成するファンである。この他にも、冷却機構は、例えば、放熱体220の内部に設けたウォータージャケット等の冷却媒体通路と、冷却媒体通路に冷却水等の冷却媒体を循環させるポンプとの組み合わせでもよい。
【0113】
(第2実施形態)
図13、
図14を参照する。ギヤモータ10が用いられる産業用ロボット250は、産業用ロボット250の関節部に組み込まれるギヤモータ10の他に、ギヤモータ10を介して連結される前述の第1、第2相手部材12、14を備える。ギヤモータ10は、後述するハウジング22の他は、第1実施形態と同様の構成となるため、ここでは説明を省略する。
【0114】
第1相手部材12は、ギヤモータ10に対して反負荷側に配置される本体部材252と、ボルト等によって本体部材252に固定される複数(本実施形態では二つ)のカバー部材254とを備える。複数のカバー部材254は、ハウジング22全体を径方向外側から覆う。複数のカバー部材254の全体は、軸方向Xに直交する断面において筒状断面をなす。複数のカバー部材254のそれぞれは、筒状断面を複数(本実施形態では二つ)に分割した断面形状である。隣り合うカバー部材254は、個々のカバー部材254の周方向端部に設けられ、互いに突き合わせられる突合せ端部254aを備える。
【0115】
カバー部材254は、カバー部材254の内周部に設けられる突条部256を備える。突条部256は、カバー部材254の内周部において径方向内側に突き出ており、周方向に連続している。
【0116】
ギヤモータ10は、隣り合うカバー部材254の突合せ端部254aを締結する締結具258を備える。締結具258は、カバー部材254の周方向両側の突合せ端部254aそれぞれに個別に用いられる。締結具258は、軸方向Xに間隔を空けた位置に個別に設けられる。締結具258は、ボルト258aとナット258bを備える。ボルト258aは、カバー部材254に設けられる挿通孔259に挿通される。締結具258は、軸方向Xから見て、隣り合うカバー部材254の突合せ端部254aを互いに近づける締結方向Daに締結力を付与する。
【0117】
ハウジング22は、ハウジング22の外周部に設けられる溝部260を備える。本実施形態の溝部260はモータハウジング60の外周部に設けられる。溝部260は、ハウジング22の外周部において径方向内側に凹んでおり、周方向に環状に連続している。溝部260の内側にはカバー部材254の突条部256が配置される。
【0118】
突条部256及び溝部260のそれぞれは、径方向内側に向かうに連れて軸方向寸法を小さくする形状である。この条件を満たす形状として、本実施形態において、突条部256は台形状をなし、溝部260はV字状をなす。この条件を満たすことによって、締結具258による締結によって、カバー部材254の一部となる突条部256をハウジング22の溝部260に締結方向Daに食い込ませることができる。
【0119】
これにより、カバー部材254の突条部256とハウジング22の溝部260との間の静止摩擦力を増大できる。ひいては、この静止摩擦力によって、カバー部材254に対するハウジング22の相対回転を拘束でき、第1相手部材12にハウジング22を一体化できる。これを実現するうえで、ハウジング22にボルト孔を設けずに済む利点がある。
【0120】
ハウジング22は、ハウジング22の外周部に設けられ、溝部260に対して軸方向両側に設けられる外側平滑面262を備える。カバー部材254は、カバー部材254の内周部に設けられ、突条部256に対して軸方向両側に設けられる内側平滑面264を備える。平滑面262、264は、軸方向Xに向かって凹凸を形成することなく滑らかに連続する面である。内側平滑面264は、外側平滑面262に面接触している。
【0121】
カバー部材254の突条部256のある箇所に内側平滑面264を設け、ハウジング22の溝部260のある箇所に外側平滑面262を設ける場合を考える。この場合と比べ、カバー部材254の突条部256とハウジング22の溝部260とを接触させることで、カバー部材254とハウジング22との間の接触面積を増大させ易くできる。これにより、ギヤモータ10内で生じた熱をハウジング22に伝達したうえで、外部空間に晒されるカバー部材254によって効果的に放熱できる。
【0122】
各構成要素の他の変形形態を説明する。
【0123】
ギヤモータ10の用途は特に限定されない。ギヤモータ10は、例えば、産業用ロボット以外にも、AGV等の自動搬送台車に用いられてもよい。
【0124】
減速機構42の具体例は特に限定されない。減速機構42は、撓み噛み合い型歯車機構の他にも、例えば、偏心揺動型歯車機構、遊星歯車機構、直交軸歯車機構、平行軸歯車機構等でもよい。撓み噛み合い型減速機構の場合、その具体例は特に限定されない。筒型の他にも、例えば、カップ型、シルクハット型でもよい。
【0125】
減速機20の出力部材48は、キャリヤ44の他にも減速機ハウジング47でもよい。この場合、出力部材48は、減速機構42から取り出した回転を減速機ハウジング47と一体化された第1相手部材12に出力する。
【0126】
ドライバユニット26は、制御基板70のみによって構成されてもよい。ドライバユニット26は、ドライバマウント196を介さずにモータハウジング60に直接に取り付けられていてもよい。ギヤモータ10は、ドライバユニット26を備えていなくともよい。この場合、ドライバユニット26の制御部68がギヤモータ10とは別体にギヤモータ10の外部に配置されてもよい。
【0127】
回転検出器28、30のセンサ28B、30Bは、ドライバユニット26ではなくモータハウジング60に配置されてもよい。検出器配置部100、102の対向部分100b、102bがモータハウジング60に設けられてもよいということである。
【0128】
ブレーキ34は、ディスクブレーキに限定されず、例えば、ドラムブレーキ等でもよい。回転部材78はブレーキ34の一部となる例を説明したが、回転部材78は軸体31そのものでもよい。この場合、可動摩擦部材84は、回転部材78としての軸体31の外周部に押し付けられることで、回転部材78を摩擦により制動してもよい。
【0129】
ブレーキ34の配置位置は特に限定されない。たとえば、ブレーキ34は、モータ16に対して反負荷側に配置されてもよい。
【0130】
第1検出器配置部100は軸体31に設けられる例を説明したが、これに限定されない。例えば、第1検出器配置部100は、ステータ36に設けられてもよい。これは、例えば、ロータ38の永久磁石を検出することでロータ軸18の回転を検出するホール素子が第1回転検出器28である場合を想定している。
【0131】
ギヤモータ10は、ブレーキ配置部106を備えなくともよい。
【0132】
ロータ軸18と入力軸40は別体に構成されてもよい。
【0133】
ブレーキ配置部106の一部(第3軸側部分106b)は、ロータ軸18に一体的に設けられていなくともよい。これは、例えば、前述のような、ブレーキ機構80によって制動される回転部材78がロータ軸18そのものとなる場合を想定している。この他にも、ブレーキ配置部106の一部(第3軸側部分106b)は、ロータ軸18に代えて、入力軸40に一体的に設けられていてもよい。
【0134】
モータハウジング60は、複数種類のモータ16A~16Cのそれぞれに対応するモータハウジング60を専用の一体成型品によって構成してもよい。
【0135】
検出軸24は、ロータ軸18に代えて、入力軸40及びドライバユニット26の何れかによって、軸受を介して支持されてもよい。この他にも、検出軸24は、出力部材48のみによって片持ち支持されてもよい。
【0136】
ギヤモータ10は、内部軸受140に軸方向の予圧を付与するための弾性部材162を備えていなくともよい。弾性部材162は、ロータ軸18の第1段差部152と内部軸受140によって軸方向Xに挟まれる位置に配置される例を説明した。この他にも、弾性部材162は、検出軸24の第2段差部156と内部軸受140によって軸方向Xに挟まれる位置に配置されてもよい。言い換えると、弾性部材162は、検出軸24及びロータ軸18の何れかと内部軸受140とによって軸方向Xに挟まれる位置に配置されていればよい。いずれの場合も、弾性部材162は、内部軸受140に軸方向Xの予圧を付与していればよい。
【0137】
モータ16よりも負荷側に配置される電子部品の個数は特に限定されない。例えば、電子部品は、第1電子部品170及び第2電子部品172の何れかのみでもよい。また、電子部品の具体例は特に限定されない。
【0138】
配線174、176は、モータハウジング60の外部を経由せずに、モータハウジング60とモータ16との間を経由してもよい。モータハウジング60の外部を配線174、176が経由する場合、モータハウジング60は配線溝192を備えていなくともよい。
【0139】
モータハウジング60の外周部が外部空間に露出する場合、配線溝192とともに配線174、176を覆うカバー材270(
図8参照)をモータハウジング60に取り付けてもよい。カバー材270は、例えば、アルミニウム等の金属箔テープである。この他にも、モータハウジング60に放熱体220を取り付ける場合、放熱体220によって配線溝192とともに配線174、176を覆ってもよい。この他にも、第1相手部材12によって配線溝192とともに配線174、176を覆ってもよい。
【0140】
ドライバマウント196のモータハウジング60に対する連結手段は特に限定されない。この連結手段は、例えば、ねじ等でもよい。リベット210は、ハウジング22及びドライバマウント196を軸方向に連結していてもよい。また、リベット210によってモータハウジング60及びドライバマウント196を径方向に連結する場合、リベット210の頭部210aは、モータハウジング60に対して径方向内側に配置されていてもよい。
【0141】
第2実施形態のハウジング22の溝部260は減速機ハウジング47に設けられてもよい。ハウジング22を覆うカバー部材254の個数は特に限定されない。カバー部材254は、例えば、三つ以上でもよい。
【0142】
以上の実施形態及び変形形態は例示に過ぎない。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【符号の説明】
【0143】
10…ギヤモータ、16…モータ、18…ロータ軸、20…減速機、20,22…ハウジング、24…検出軸、26…ドライバユニット、28…第1回転検出器、30…第2回転検出器、31…軸体、32…トルク検出器、34…ブレーキ、38…ロータ、40…入力軸、48…出力部材、60…モータハウジング、100…第1検出器配置部、102…第2検出器配置部、104…第3検出器配置部、106…ブレーキ配置部、110、112、114…外部軸受、120、122、124…外部軸受配置部、130…ベースハウジング、140…内部軸受、162…弾性部材、170、172…電子部品、174、176…配線、192…配線溝、196…ドライバマウント、210…リベット。