IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーピーエル リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】殺真菌剤の組合せ
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/56 20060101AFI20250911BHJP
   A01N 43/54 20060101ALI20250911BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20250911BHJP
   A01N 47/14 20060101ALI20250911BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20250911BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20250911BHJP
【FI】
A01N43/56 C
A01N43/54 A
A01N43/653 Q
A01N47/14 C
A01N59/16 Z
A01P3/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021183495
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2019522363の分割
【原出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2022031705
(43)【公開日】2022-02-22
【審査請求日】2021-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】201631037704
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】517251731
【氏名又は名称】ユーピーエル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UPL LIMITED
【住所又は居所原語表記】Agrochemical Plant, Durgachak, Midnapore Dist., West Bengal, Haldia 721602, India
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファブリ カルロス エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】シュロフ ラジュ デヴィダス
(72)【発明者】
【氏名】シュロフ ジャイデブ ラジニカーント
(72)【発明者】
【氏名】シュロフ ヴィクラム ラジニカーント
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】冨永 保
【審判官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/079334(WO,A1)
【文献】特表2015-519384号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺真菌剤の混合物であって、
(a)フルインダピルと、
(b)マンコゼブと、
(c)プロチオコナゾール、アゾキシストロビン及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の他の系の殺真菌剤と
を含む、混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の混合物と、少なくとも1種の農芸化学的に許容可能な賦形剤と
を含む、組成物。
【請求項3】
前記組成物が、湿潤性粉末、顆粒、粉塵、可溶性(液体)濃縮物、懸濁濃縮物、水中油型エマルション、油中水型エマルション、乳化性濃縮物、カプセル懸濁液、ZC製剤、又は油分散物への配合用である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合物は、(1~80):(1~80):(1~80)の比率で前記(a):(b):(c)の成分を混合したものである、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
前記混合物はフルインダピルと、マンコゼブと、プロチオコナゾールと、アゾキシストロビンとを含み、
前記混合物中のフルインダピルの総量は、0.1~99重量%の範囲内であり、前記混合物中のマンコゼブの総量は、0.1~99重量%の範囲内であり、前記混合物中のプロチオコナゾールの総量は、0.1~99重量%の範囲内であり、前記混合物中のアゾキシストロビンの総量は、0.1~99重量%の範囲内である、請求項1に記載の混合物。
【請求項6】
前記組成物が、葉面散布用又は植物繁殖材料に適用するためのものである、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項7】
真菌病害を防除するための方法であって、請求項1に記載の混合物を、植物の部位に適用することを含む、方法。
【請求項8】
フルインダピルと、
マンコゼブと、
プロチオコナゾール、アゾキシストロビン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の他の系の殺真菌剤と
を混合することを含む、請求項1に記載の混合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺真菌剤の組合せに関する。より具体的には、本発明は、広範囲の真菌病害を防除するためのコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤を含む殺真菌剤の組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
殺真菌剤は、病害の防除、並びに作物の収量及び品質の改善のために農業者によって用いられる、不可欠かつ重要なツールである。何年にもわたって開発されてきた種々の殺真菌剤が存在し、これらは、特異性、組織性、治療性及び除菌性の作用、及び低使用率における高活性などの多くの望ましい属性を有する。
【0003】
コハク酸脱水素酵素阻害剤(Succinate dehydrogenase inhibitor)(SDHI)殺真菌剤は、広域スペクトルであり、高い効力を有することが当技術分野において既知である。ピラゾールカルボキサミド類は、SDHIファミリーの殺真菌剤に含まれる活性化合物群であり、他の大部分のSDHI殺真菌剤よりも強力であることが知られている。これらの分子は、ミトコンドリア複合体IIのユビキノン結合部位(Q部位)に特異的に結合し、それによって真菌の呼吸を阻害する。これらの殺真菌剤は、広範囲の真菌病害を防除することが知られている。
【0004】
キノンアウトサイド阻害剤(Quinone outside inhibitors)(QoI)、エルゴステロール生合成阻害剤、多部位に作用する殺真菌剤、有糸分裂に影響を及ぼす殺真菌剤などの様々な他の種類の殺真菌剤も、当技術分野において既知である。これらの殺真菌剤をSDHI殺真菌剤と混合し、広範囲の病害防除を達成してきた。
【0005】
国際公開第2006/037632号は、SDHI殺真菌剤と第2の活性化合物との組合せを教示している。国際公開第2013/127818号は、SDHI殺真菌剤と様々な除草剤との組合せを教示している。国際公開第2006/037634号は、SDHI殺真菌剤と種々の殺真菌剤との組合せを使用して真菌を防除する方法を教示している。しかしながら、従来技術は、SDHI殺真菌剤の三成分以上の組合せの使用を教示していない。
【0006】
ジチオカルバメート類は、多部位の殺真菌剤として当技術分野において既知である。これらの殺真菌剤は、70種を超える作物において、広範囲の病害防除に使用されている。マンコゼブは、Phytophthora infestans、Venturia inaequalisなどの、破壊的で伝播の速い疾病を防除するのに特に重要である。ジチオカルバメート系殺真菌剤(特にマンコセブ)は、その広い活性スペクトル、作物植物による高い耐性、及び真菌の単一標的部位のみに作用する活性化合物による防除のできない真菌植物病害の防除における汎用性故に、病害防除に特に有用である。
【0007】
マンコゼブは、病害防除のために様々なSDHI殺真菌剤と組み合わされてきた。これらの組合せによって提供される病害スペクトルを改善することが当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、SDHIと、スペクトルを改善するのに役立つ特定の殺真菌剤との組合せに対する需要が当技術分野には存在する。作物の耐性の低下、より少ない使用率に関する規制、抵抗性のさらなる増加が観察されるため、治療活性物質と予防活性物質とを組み合わせ、低用量で使用される、より広範な病害防除スペクトルを可能にする活性物質の組合せが必要とされる。
【0009】
よって本発明の態様は、上記課題の1つ以上を改善することができる。
【0010】
よって本発明の態様は、個々の殺真菌剤を単独で使用したときよりも有効性の向上する殺真菌剤の組合せを提供することができる。
【0011】
本発明の別の課題は、それを投与した作物の緑化を改善する殺真菌剤の組合せを提供することである。
【0012】
本発明の別の課題は、適用した作物の老化を遅らせ、それによって、その作物の収量を増加させる殺真菌剤の組合せを提供することである。
【0013】
本発明の更に別の課題は、適用した作物の真菌病害の発生を減らす殺真菌剤の組合せを提供することである。
【0014】
本発明の別の課題は、適用した作物の収量の増加を達成する、殺真菌剤の組合せを提供することである。
【0015】
本発明の上記課題のいくつか又は全てを、以下に記載する本発明によって解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の一態様は、少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、少なくとも1種の他の系の殺真菌剤とを含む、殺真菌剤の組合せを提供することができる。
【0017】
本発明の別の態様は、少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、少なくとも2種の他の系の殺真菌剤とを含む、殺真菌剤の組合せを提供することができる。
【0018】
本発明の別の態様は、少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、少なくとも1種の他の系の殺真菌剤とを含む、相乗的組成物を提供することができる。
【0019】
本発明の別の態様は、少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、少なくとも2種の他の系の殺真菌剤とを含む、相乗的組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用する場合、「病害防除」という用語は、病害の防除及び予防を意味する。防除効果としては、自然な発生からの逸脱した現象の全て、例えば、真菌病害の死滅、遅滞、減少が挙げられる。「植物」という用語は、種子、苗、若木、根、塊茎、幹、茎、葉及び果実を含む、植物の身体的部分の全てを指す。本明細書で使用する場合、植物の「位置(locus)」という用語は、植物の生長している場所、植物の植物繁殖材料を植え付けた場所、又は植物の植物繁殖材料が土中に置かれる場所を包含することを意図している。「植物繁殖材料」という用語は、種子、切断部分又は塊茎、根、果実、塊茎、球根、地下茎及び他の植物の部分などの植物材料、発芽した植物、及び発芽後又は土から出現した後に移植される若い植物などの、植物の発生可能な(generative)部分を意味すると理解される。これらの若い植物は、浸漬による全体的又は部分的な処置によって移植前に保護されてもよい。「活性物質の農業的に許容可能な量」という用語は、処理される植物に対して顕著な毒性がない量であって、防除が望ましい植物病害を死滅又は阻害する活性物質の量を指す。
【0021】
コハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)殺真菌剤は、多くの植物病原性真菌に対する植物保護において重要な役割を果たす。これらの分子は、ミトコンドリア複合体IIのユビキノン結合部位(Q部位)に特異的に結合し、それによって真菌の呼吸を阻害する。ジチオカルバメートは、多部位接触性の殺真菌剤である。これらの分子は、真菌細胞内の複数の部位を攻撃する。
【0022】
驚くべきことに、ジチオカルバメート系殺真菌剤を、コハク酸脱水素酵素阻害剤と、エルゴステロール生合成阻害剤又はキノンアウトサイド阻害剤又はこれらの組合せから選択される、少なくとも1種の他の系の殺真菌剤との組合せに添加すると、驚くべき予想外の利点がもたらされることを見出した。コハク酸脱水素酵素阻害剤と、エルゴステロール生合成阻害剤及び/又はキノンアウトサイド阻害剤又はこれらの組合せから選択される少なくとも1種の他の系の殺真菌剤との組合せにジチオカルバメート系殺真菌剤を添加すると、驚くべきことに有効性が向上し、真菌病害発生率の驚くべき減少がもたらされた。これは、コハク酸脱水素酵素阻害剤と、エルゴステロール生合成阻害剤又はキノンアウトサイド阻害剤又はこれらの組合せから選択される少なくとも1種の他の系の殺真菌剤との組合せを用いた場合にのみ見られた。更に、これらの組合せにジチオカルバメート系殺真菌剤を添加し、作物の開花中にこの組合せを適用すると、適用された作物の老化が遅延し、作物のより良い緑化につながり、それによって、植物内で生じる光合成のレベルが上がり、適用された作物からの収量が増加することが判明した。
【0023】
本発明の組合せのこれらの驚くべき利点は、ジチオカルバメート系殺真菌剤が組合せ中に存在しない場合には観察されなかった。したがって、本発明の組合せのこれらの予想外の利点は、ジチオカルバメート系殺真菌剤を、コハク酸脱水素酵素阻害剤と、エルゴステロール生合成阻害剤及び/又はキノンアウトサイド阻害剤又はこれらの組合せから選択される少なくとも1種の他の系の殺真菌剤との組合せに含めることに起因していると考えられる。
【0024】
したがって、一実施形態においては、本発明は、殺真菌剤の組合せであって、
(a)少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、
(b)少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、
(c)エルゴステロール生合成阻害剤及び/又はキノンアウトサイド阻害剤から選択される少なくとも1種の他の系の殺真菌剤と
を含む、殺真菌剤の組合せを提供する。
【0025】
一実施形態においては、ジチオカルバメート系殺真菌剤は、アモバム、アソメート、アジチラム、カルバモルフ、クフラネブ、クプロバム、ジスルフィラム、フェルバム、メタム、ナバム、テコラム、チラム、ウルバシド、ジラム、ダゾメット、エテム、ミルネブ、マンカッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ポリカルバメート、プロピネブ及びジネブからなる群から選択される。
【0026】
一実施形態において、好ましいジチオカルバメート系殺真菌剤はマンコゼブである。
【0027】
一実施形態において、コハク酸脱水素酵素阻害剤は、コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤のピラゾールカルボキサミド群から選択される。しかしながら、コハク酸脱水素酵素阻害剤の選択は、ピラゾールカルボキサミド殺真菌剤のみに限定されるものではないと理解されたい。
【0028】
一実施形態においては、コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤であるピラゾールカルボキサミド群は、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、及びセダキサンから選択してもよい。
【0029】
ベンゾビンジフルピルの化合物名は、N-[(1RS,4SR)-9-(ジクロロメチレン)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミドであり、以下の構造を有する。
【0030】
【化1】
【0031】
ビキサフェンの化合物名は、N-(3’,4’-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミドであり、以下の構造を有する。
【0032】
【化2】
【0033】
フルキサピロキサドの化合物名は、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-(3’,4’,5’-トリフルオロビフェニル-2-イル)ピラゾール-4-カルボキサミドであり、以下の構造を有する。
【0034】
【化3】
【0035】
フラメトピルの化合物名は、(RS)-5-クロロ-N-(1,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチルイソベンゾフラン-4-イル)-1,3-ジメチルピラゾール-4-カルボキサミドであり、以下の構造を有する。
【0036】
【化4】
【0037】
イソピラザムは、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの2種の異性体と、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの2種の異性体との混合物であり、その互変異性体は、以下の構造を有する。
【0038】
【化5】
【0039】
ペンフルフェンの化合物名は、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル]-5-フルオロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドであり、以下の構造を有する。
【0040】
【化6】
【0041】
ペンチオピラドの化合物名は、(RS)-N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-3-チエニル]-1-メチル-3-(トリフルオロメチル)ピラゾール-4-カルボキサミドであり、以下の構造を有する。
【0042】
【化7】
【0043】
セダキサンは、2’-[(1RS,2RS)-1,1’-ビシクロプロパ-2-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキシアニリドの2種のcis異性体、2’-[(1RS,2SR)-1,1’-ビシクロプロパ-2-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキシアニリドの2種のtrans異性体の混合物であり、その互変異性体は、以下の構造を有する。
【0044】
【化8】
【0045】
一実施形態においては、コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、ベノダニル、フルトラニル、メプロニル、イソフェタミド、フルオピラム、フェンフラム、カルボキシン、オキシカルボキシン、チフルザミド、ボスカリド及びIR9792からなる群から選択することができる。
【0046】
一実施形態においては、本発明の組合せに含まれる第3及び/又は第4の殺真菌剤は、エルゴステロール生合成阻害剤及び/又はキノンアウトサイド(Qo)阻害剤、あるいはこれらの混合物から選択することができる。
【0047】
したがって、一実施形態においては、エルゴステロール生合成阻害剤は、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリチコナゾール、プロチオコナゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール、フェナリモル、ヌアリモル、ピリフェノックス、ピリスオキサゾール、トリホリン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0048】
別の実施形態においては、エルゴステロール生合成阻害剤は、プロチオコナゾール、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾール又はエポキシコナゾールから選択することができる。
【0049】
一実施形態においては、第3の殺真菌剤は、アゾキシストロビン、クモキシストロビン、エノキサストロビン、フルフェノキシストロビン、ピコキシストロビン、ピラオキシストロビン、マンデストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、トリクロピリカルブ、クレソキシムメチル、ジモキシストロビン、フェナミノストロビン、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、ファモキサドン、フルオキサストロビン、フェナミドン、ピリベンカルブ、及びこれらの混合物から選択されるキノンアウトサイド(Qo)阻害剤系殺真菌剤であってもよい。
【0050】
一実施形態においては、キノンアウトサイド(Qo)阻害剤系殺真菌剤は、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、クレソキシムメチル、ピラクロストロビン及びトリフロキシストロビンから選択することができる。
【0051】
本発明の組合せの一実施形態においては、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、イソピラザムである。
【0052】
一実施形態においては、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0053】
【表1-1】
【0054】
【表1-2】
【0055】
本発明の組合せの一実施形態においては、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、ベンゾビンジフルピルである。
【0056】
一実施形態においては、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0057】
【表2-1】
【0058】
【表2-2】
【0059】
本発明の組合せの一実施形態においては、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、ペンチオピラドである。
【0060】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0061】
【表3-1】
【0062】
【表3-2】
【0063】
本発明の組合せの一実施形態においては、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、ボスカリドである。
【0064】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0065】
【表4-1】
【0066】
【表4-2】
【0067】
本発明の組合せの一実施形態においては、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、IR9792である。IR9792は、Isagro社により開発されたSDHI殺真菌剤であり、提供されている一般名称はフルインダピルである。
【0068】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0069】
【表5-1】
【0070】
【表5-2】
【0071】
本発明の組合せの一実施形態は、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、ビキサフェンである。
【0072】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0073】
【表6-1】
【0074】
【表6-2】
【0075】
本発明の組合せの一実施形態において、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、フルキサピロキサドである。
【0076】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0077】
【表7-1】
【0078】
【表7-2】
【0079】
本発明の組合せの一実施形態において、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、フラメトピルである。
【0080】
一実施形態においては、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0081】
【表8-1】
【0082】
【表8-2】
【0083】
本発明の組合せの一実施形態においては、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、ペンフルフェンである。
【0084】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0085】
【表9-1】
【0086】
【表9-2】
【0087】
本発明の組合せの一実施形態において、好ましいコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤は、セダキサンである。
【0088】
一実施形態において、本発明の組合せは、以下の好ましい組合せを含む。
【0089】
【表10-1】
【0090】
【表10-2】
【0091】
本発明の組合せは、組成物として処方されてもよい。
【0092】
一実施形態において、本発明は組成物であって、
(a)少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、
(b)少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、
(c)少なくとも1種のキノンアウトサイド阻害剤と、
(d)少なくとも1種の農芸化学的に許容可能な賦形剤と
、を含む、組成物を提供してもよい。
【0093】
一実施形態において、本発明は組成物であって、
(a)少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、
(b)少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、
(c)少なくとも1種のエルゴステロール生合成阻害剤と、
(d)少なくとも1種の農芸化学的に許容可能な賦形剤と
、を含む、組成物を提供してもよい。
【0094】
一実施形態においては、本発明は、組成物であって、
(a)少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、
(b)少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と、
(c)少なくとも1種のキノンアウトサイド阻害剤と、
(d)少なくとも1種のエルゴステロール生合成阻害剤と、
(e)少なくとも1種の農芸化学的に許容可能な賦形剤と
、を含む、組成物を提供してもよい。
【0095】
本発明の組成物を適用する量は、種々の因子、例えば、治療対象(植物、土壌又は種子など)、治療の種類(噴霧、散布又は種子粉衣など)、治療目的(例えば予防的又は治療的な病害防除)に依存し得る。病害防除の場合には、防除される真菌の種類又は適用時間などに依存する。適用する本発明の組み合わせの量は、当業者によって容易に推測することができる。
【0096】
したがって、一実施形態において、本発明は、
(a)ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、及びセダキサンから選択される少なくとも1種のピラゾールカルボキサミドと、
(b)少なくとも1種のキノンアウトサイド阻害剤及び/又は少なくとも1種のエルゴステロール生合成阻害剤と、
(c)少なくとも1種のジチオカルバメート系殺真菌剤と
を含み、殺真菌剤が農芸化学的に許容可能な量で組み合わされている組成物を提供することができる。
【0097】
一実施形態において、組成物中のコハク酸脱水素酵素阻害剤の総量は、典型的には、0.1~99重量%、好ましくは0.2~90重量%の範囲内であってもよい。組成物中のジチオカルバメート系殺真菌剤の総量は、0.1~99重量%の範囲内であってもよい。組成物中のエルゴステロール生合成阻害剤の総量は、0.1~99重量%の範囲内であってもよい。組成物中のキノンアウトサイド阻害剤の総量は、0.1~99重量%の範囲内であってもよい。
【0098】
一実施形態において、本発明の組合せを構成する殺真菌剤は、ジチオカルバメート系殺真菌剤、コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤及び第3の殺真菌剤の比率が(1~80):(1~80):(1~80)となるように混合してもよい。
【0099】
一実施形態において、本発明の組成物の構成成分は、タンクで混合し、感染場所に噴霧してもよい。あるいは、さらに界面活性剤と混合した後に噴霧してもよい。
【0100】
一実施形態において、本発明の組成物の構成成分は、葉面散布、土壌散布、又は植物繁殖材料への適用に使用することができる。
【0101】
一実施形態において、本発明の組成物は、典型的には、組成物に含まれる活性物質と不活性担体とを混合し、そこに、必要に応じて、界面活性剤、他の補助剤、及び担体を添加することによって、固体状又は液状の剤型に処方することができる。このような剤型としては、湿潤性粉末、顆粒、粉塵、可溶性(液体)濃縮物、懸濁濃縮物、水中油型エマルション、油中水型エマルション、乳化性濃縮物、カプセル懸濁液、ZC製剤、油分散物、又は他の既知の種類の剤型であるが、これらに限定されるものではない。組成物はまた、種子などの植物繁殖材料の処理に使用することもできる。
【0102】
剤型に使用される固体担体の例としては、鉱物などの微粉末又は顆粒(例えば、カオリンクレイ、アタパルジャイトクレイ、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、ピロフィライト、タルク、珪藻土及びカルサイト)、天然有機材料(例えば、トウモロコシの穂軸粉末及びクルミ外皮粉末)、合成有機材料(例えば、尿素、塩類、例えば、炭酸カルシウム及び硫酸アンモニウム)、合成無機材料(例えば、合成水和酸化ケイ素)で挙げられ、液状担体としては、芳香族炭化水素(例えば、キシレン、アルキルベンゼン及びメチルナフタレン)、アルコール類(例えば、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びエチレングリコールモノエチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、シクロヘキサノン及びイソホロン)、植物油(例えば、大豆油及び綿実油)、石油脂肪族炭化水素、エステル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
【0103】
界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えば、アルキルサルフェートエステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグノスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒドホルムアルデヒド重縮合物)、並びに非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びソルビタン脂肪酸エステル)、並びにカチオン性界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩)が挙げられる。
【0104】
他の製剤補助剤の例としては、水溶性ポリマー(ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンなど)、多糖類(アラビアガム、アルギン酸、及びこれらの塩など)、無機材料(CMC(カルボキシメチルセルロース)、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及びアルミナゾルなど)、防腐剤、着色剤、並びに安定化剤(PAP(酸性リン酸イソプロピル)及びBHTなど)が挙げられる。
【0105】
本発明の組成物は、以下の植物病害に有効である。
【0106】
イネの病害:イモチ病(Magnaporthe grisea)、ヘルミントスポリウム斑点病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、及び馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)。
【0107】
小麦の病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤カビ病(Fusarium graminearum、F.avenacerum、F.culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.recondita)、紅色雪腐病(Micronectriella nivale)、雪腐褐色小粒菌核病(Typhula sp.)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Mycosphaerella graminicola)、コムギふ枯病(Stagonospora nodorum)、葉枯、及び黄斑(Pyrenophora tritici-repentis)。
【0108】
大麦の病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤カビ病(Fusarium graminearum、F.avenacerum、F.culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、縞葉枯病(Pyrenophora graminea)、及びRhizoctonia立枯病(Rhizoctonia solani)。
【0109】
トウモロコシの病害:黒穂病(Ustilago maydis)、褐斑病(Cochliobolus heterostrophus)、豹紋病(Gloeocercospora sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、灰斑病(Cercospora zeae-maydis)、白点病(Phaeosphaeria mydis及び/又はPantoea ananatis)及びRhizoctonia立枯病(Rhizoctonia solani)。
【0110】
柑橘類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、緑カビ病(Penicillium digitatum、P.italicum)、及び褐色腐敗病(Phytophthora parasitica,Phytophthora citrophthora)。
【0111】
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐爛病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、うどんこ病、炭疽病(Colletotrichum acutatum)、菌核病(Phytophtora cactorum)、褐斑病(Diplocarpon mali)、及び輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)。
【0112】
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola、V.pirina)、うどんこ病、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、さび病(Gymnosporangium haraeanum)、及び疫病菌果実腐敗病(Phytophtora cactorum)。
【0113】
桃の病害:褐色腐敗病(Monilinia fructicola)、うどんこ病、黒星病(Cladosporium carpophilum)、及びホモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)。
【0114】
ブドウの病害:炭疽病(Elsinoe ampelina)、おそぐされ病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、黒斑病(Guignardia bidwellii)、ボトリチス病、及びべと病(Plasmopara viticola)。
【0115】
柿の病害:炭疽病(Gloeosporium kaki)、及び斑点病(Cercospora kaki、Mycosphaerella nawae)。
【0116】
ひょうたんの病害:炭疸病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、立枯病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病菌腐敗病(Phytophthora sp.)、及び立枯病(Pythium sp.)。
【0117】
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉カビ病(Cladosporium fulvum)、及び葉枯病(Phytophthora infestans)。
【0118】
ナスの病害:褐斑病(Phomopsis vexans)及びうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)。アブラナ科野菜の病害:斑点落葉病(Alternaria japonica)、白点病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、及びべと病(Peronospora parasitica)。
【0119】
タマネギの病害:さび病(Puccinia allii)、及びべと病(Peronospora destructor)。
【0120】
大豆の病害:紫粒病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var.sojae)、褐紋病(Septoria glycines)、灰斑病(Cercospora sojina)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、黄さび病、褐色菌核病(Phytophthora sojae)、及びRhizoctonia立枯病(Rhizoctonia solani)。
【0121】
インゲンマメの病害:炭疸病(Colletotrichum lindemthianum)。ピーナッツの病害:斑点病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)及び白絹病(Sclerotium rolfsii)。
【0122】
エンドウマメの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi)、及び根腐病(Fusarium solani f.sp.pisi)。
【0123】
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、葉枯病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病(Phytophthora erythroseptica)、及びそうか病(Spongospora subterranean f.sp.subterranea)。
【0124】
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli)、及び炭疸病(Glomerella cingulata)。
【0125】
茶の病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、及び炭疸病(Colletotrichum theae-sinensis)。
【0126】
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭疸病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、及びタバコ疫病(Phytophthora nicotianae)。
【0127】
菜種の病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、及びRhizoctonia立枯病(Rhizoctonia solani)。綿の病害:Rhizoctonia立枯病(Rhizoctonia solani)。
【0128】
テンサイの病害:テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、葉枯病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、及びAphanomyces根腐病(Aphanomyces cochlioides)。
【0129】
バラの病害:黒斑病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、及びべと病(Peronospora sparsa)。キク及びキク科植物の病害:べと病(Bremia lactucae)、葉枯病(Septoria chrysanthemi-indici)、及び白さび病(Puccinia horiana)。
【0130】
様々な群の病害:Pythium spp.(Pythium aphanidermatum、Pythium debarianum、Pythium graminicola、Pythium irregulare、Pythium ultimum)によって引き起こされる病害、灰色カビ病(Botrytis cinerea)、及びSclerotinia腐敗病(Sclerotinia sclerotiorum)。
【0131】
ダイコンの病害:斑点落葉病(Alternaria brassicicola)。
【0132】
芝草の病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、及びブラウンパッチ及びラージパッチ(Rhizoctonia solani)。
【0133】
バナナの病害:ブラックシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis)、イエローシガトカ病(Mycosphaerella musicola)。
【0134】
ヒマワリの病害:べと病(Plasmopara halstedii)。
【0135】
Aspergillus spp.、Penicillium spp.、Fusarium spp.、Gibberella spp.、Tricoderma spp.、Thielaviopsis spp.、Rhizopus spp.、Mucor spp.、Corticium spp.、Phoma spp.、Rhizoctonia spp.及びDiplodia spp.によって種々の植物で引き起こされる、種子の病害又は生長初期段階での病害。
【0136】
Polymixa spp.又はOlpidium spp.が媒介する種々の植物のウイルス性疾患。
【0137】
本発明の組成物は、農耕地(田畑、水田、芝生及び果樹園など)又は非農耕地で使用することができる。本発明は、植物に対する植物毒性を生じることなく、植物を栽培するために農耕地における病害を防除するために使用することができる。
【0138】
本組成物を使用することができる作物の例としては、トウモロコシ、米、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、ソルガム、綿、大豆、ピーナッツ、ソバ、ビート、菜種、ヒマワリ、サトウキビ、タバコなど;野菜類であるナス科の野菜(例えば、ナス、トマト、ピメント、コショウ、ジャガイモ)、ウリ科の野菜(例えば、キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ)、アブラナ科の野菜(例えば、ラディッシュ、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、白菜、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー)、キク科の野菜(例えば、ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス)、ユリ科の野菜(例えば、ネギ、タマネギ、ニンニク、及びアスパラガス)、セリ科の野菜(ammiaceous vegetable)(例えば、ニンジン、パセリ、セロリ、パースニップ)、アカザ科の野菜(例えば、ホウレンソウ、フダンソウ)、シソ科の野菜(例えば、エゴマ、ミント、バジル)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモなど;花類;観葉植物;芝草;、果実である仁果類(例えば、リンゴ、ナシ、マルメロ)、核果類(例えば、桃、プラム、ネクタリン、ウメ、サクランボ、アプリコット、プルーン)、柑橘類(例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ)、殻果類(例えば、クリ、クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ)、ベリー類(例えば、ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー)、ブドウ、柿、オリーブ、プラム、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココナツなど;果樹以外の樹木である茶、クワ、顕花植物、樹木(例えば、アッシュ、カバノキ、ミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、コナラ、ポプラ、セイヨウズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミ、ヘムロック、ジュニパー、マツ、トウヒ、及びイチイ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
一実施形態において、本発明の組合せを構成する殺真菌剤は、(1~80):(1~80):(1~80):(1:80)の比率で混合することができる。
【0140】
一実施形態において、本発明は、真菌病害を防除する方法であって、
(a)少なくとも1種のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤と、
(b)少なくとも1種のキノンアウトサイド阻害剤及び/又は少なくとも1種のエルゴステロール生合成阻害剤と、
(c)少なくとも1種類のジチオカルバメート系殺真菌剤と
を含む組合せを適用することを含む、方法を提供することができる。
【0141】
一実施形態において、コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤、キノンアウトサイド阻害剤系殺真菌剤、エルゴステロール生合成阻害剤系殺真菌剤及びジチオカルバメート系殺真菌剤は、上述の組合せの好ましい態様のいずれかに従って選択することができる。
【0142】
本発明の組合せは、個々の活性物質が噴霧前に混合され得るように、プレミックス組成物又はパーツキットとして販売してもよい。あるいは、パーツキットは、予め混合されたコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤及びジチオカルバメート系殺真菌剤と、第3の活性物質が補助剤と混合されたものとを含んでいてもよく、この2種類の構成成分が噴霧前にタンクで混合されるようにしてもよい。
【0143】
本発明の組成物の構成成分は、タンク混合物又は配合物として同時に適用されてもよいし、順番に適用されてもよい。適用は土壌に対して植物の出現前に、即ち植え付け前又は植え付け後に行うことができる。適用は、作物の生長中の種々の時期に葉への噴霧として行うこともでき、1回又は2回の適用を植物出現後の初期又は後期の段階のいずれかに行うことができる。
【0144】
本発明の組成物は、有用植物又はその繁殖材料に真菌が感染する前又は後に適用することができる。
【0145】
以下の実施例で実証されるように、コハク酸脱水素酵素阻害剤とキノンアウトサイド阻害剤及び/又はエルゴステロール生合成阻害剤との混合物にジチオカルバメート系殺真菌剤を添加すると、病害防除の大幅な改善のみならず、収量が改善し、相乗効果が発揮された。当該混合物の病害防除における性能が低いほど、本発明の組成物となるように添加したマンコゼブの効果がさらに大きくなる。
【実施例
【0146】
コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤及び少なくとも1種の他の系の殺真菌剤へのジチオカルバメート系殺真菌剤の添加と、これらの混合物の有効性に対するジチオカルバメートの寄与を調べるために、試験を行った。2年間にわたって実験を行い、コハク酸脱水素酵素阻害剤単独の、またはキノンアウトサイド阻害剤及び/又はエルゴステロール生合成阻害剤系殺真菌剤などの共殺真菌剤と合わせたときの、有効性に対するジチオカルバメートの添加効果を調べた。試験した用量は、マンコゼブが1500g/ha、エルゴステロール生合成阻害剤が150mL/ha、キノンアウトサイド阻害剤が200g/ha、コハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤が1000g/ha及び200g/haであった。大豆さび病の防除のために、大豆における病害防除の有効性について、この組合せを試験した。試験は、インドの様々な場所で実施した。
【0147】
試験は、大豆品種Monsoy 9144 RRで実施した。市販の個々の活性物質を、指定用量で使用した。
【0148】
【表11】
【0149】
表1は、エルゴステロール生合成阻害剤とコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤との組合せにマンコゼブが添加された際に生じる、防除の増加を明確に示す。
【0150】
【表12】
【0151】
表2は、組合せにマンコゼブを加えることの重要性を明確に示す。マンコゼブの添加により、病害防除が改善された。
【0152】
したがって、マンコゼブを組み込むことによって、エルゴステロール生合成阻害剤又はキノンアウトサイド阻害剤と混合した際のコハク酸脱水素酵素阻害剤系殺真菌剤の治療有効性及び病害防除が大幅に増加することがわかった。したがって、マンコゼブの添加は、組合せの有効性を高め、驚くべきことに、相乗効果をもたらしたと結論付けられた。ジチオカルバメートの添加により、病害防除が増し、植物の収量が向上した。本発明は、上述の実施例によってより具体的に説明される。しかしながら、本発明の範囲は、いかなる観点からも、上記実施例によって限定されないことを理解されたい。本発明は前述の実施例を含み、更に本発明の技術範囲内で改変及び変更可能であることが、当業者には理解されるであろう。
【0153】
前述の本発明に関する記載は、本明細書の最良の形態であると現時点で考えられているものを当業者が製造及び使用することを可能にするが、当業者はまた、本明細書に示した具体的な実施形態、方法、及び実施例にはそれらの変形、組合せ及び均等物が存在することを理解し、認識するであろう。したがって、本発明は、上述の実施形態、方法、及び実施例によって限定されるべきではなく、本発明の範囲及び精神に含まれる全ての実施形態及び方法を含むものとする。