(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-12
(45)【発行日】2025-09-24
(54)【発明の名称】毛髪化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20250916BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20250916BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250916BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20250916BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q5/12
A61K8/34
A61K8/36
(21)【出願番号】P 2021096328
(22)【出願日】2021-06-09
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】土井 南美
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-010757(JP,A)
【文献】特開平07-330557(JP,A)
【文献】特開2003-300836(JP,A)
【文献】特開2004-018420(JP,A)
【文献】特表2018-515577(JP,A)
【文献】特表2016-528241(JP,A)
【文献】特開2021-181414(JP,A)
【文献】Aroma Moist Treatment,MintelGNPD,2017年12月,<URL : http://www.gnpd.com>,ID: 5326651
【文献】Instant Cooling Scalp Treatment with Tea Tree Oil,MintelGNPD,2020年07月,<URL : http://www.gnpd.com>,ID: 7951453
【文献】Head Spa Mask,MintelGNPD,2020年10月,<URL : http://www.gnpd.com>,ID: 8150775
【文献】Shampoo,MintelGNPD,2021年04月,<URL : http://www.gnpd.com>,ID: 8571715
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
Cosmetic-Info.jp
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアカラー剤またはパーマ剤の使用前に使用する毛髪化粧料組成物であって、
(A)
ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種以上、
(B)
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースまたは塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガムから選ばれる1種以上、
(C)
グリセリンまたはエチレングリコールから選ばれる1種以上、
(D)エタノール、
(E)
乳酸またはリンゴ酸から選ばれる1種以上
を含有
し、前記(A)成分の含有量が0.2~1.5質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の総量が2.1~7.6質量%であり、含有量の質量比(B)/(C)が0.05~0.27であり、前記(D)成分の含有量が15~45質量%であり、前記(E)成分の含有量が0.01~0.1質量%であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の毛髪化粧料組成物を乾いた頭皮および毛髪全体に塗布し、その直後に毛髪化粧料組成物を洗い流すことなく、ヘアカラー剤またはパーマ剤を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代において、酸化染毛剤や脱色剤等のヘアカラー剤を用いて髪色を変化させたり、パーマネントウェーブ剤や縮毛矯正剤等のパーマ剤を用いて髪型を変えることを、美容院ではなく市販品を利用して自宅で行うことは珍しくない。
【0003】
市販されている自宅用のヘアカラー剤またはパーマ剤は、髪質によらず一定の効果が発揮されるよう設計されているため、個人の髪質によっては有効成分となるアルカリ剤や酸化剤の配合量がやや過剰になる可能性がある。そのため、ヘアカラー剤またはパーマ剤の影響により毛髪が傷んでしまうことがある。
【0004】
このような背景から、ヘアカラー剤またはパーマ剤を使用する前に、毛髪を保護する目的で用いる前処理剤が開発されている。例えば、特定のエステル油を配合した油性の前処理剤により、ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を損なうことなく、毛髪の状態を良好なものとするもの(特許文献1)や、特定の有機酸を配合した前処理剤を用いることで、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用後の毛髪の損傷を抑えるもの(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-195705号公報
【文献】特開2020-11905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の油性の前処理剤は毛髪に塗布する際ののびが悪く、毛髪全体にいきわたらない可能性があり、特許文献2に記載の水性の前処理剤は塗布時の垂れ落ちが懸念されることがあった。日常生活において、紫外線やブラシ等によるコーミングの影響で毛髪は少なからず傷んでおり、ヘアカラー剤またはパーマ剤を使用することによりさらに毛髪の傷みがひどくなってしまう恐れがある。そのため、ヘアカラー剤またはパーマ剤の使用前にあらかじめ毛髪を正常な状態にしておく必要があった。さらに、前記油性の前処理剤は、毛髪上に膜を作ることになり、ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を阻害し、仕上がり後の毛髪の状態において、充分な満足度を得られない課題があった。さらに、低温条件下や高温条件下における経時的な安定性も定かではなく、いまだ改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記問題を解決するため鋭意検討した結果、ヘアカラー剤またはパーマ剤の使用前に使用する毛髪化粧料組成物であって、(A)ノニオン系増粘剤、(B)カチオン系増粘剤、(C)多価アルコール、(D)エタノール、(E)有機酸を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、塗布時の使用性に優れ、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整え、ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を損なうことがない、経時安定性に優れた毛髪化粧料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0010】
本発明による毛髪化粧料組成物は、塗布時の使用性の観点から(A)ノニオン系増粘剤を含有する。
【0011】
本発明に用いる前記(A)成分としては特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デキストリン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種以上を含有することができる。その中でも、塗布時の使用性を向上させる観点から、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、より好ましくは、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0012】
本発明に用いる前記(A)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.2~1.5%、より好ましくは0.5~1.2%がよい。前記(A)ノニオン系増粘剤が0.2%未満または1.5%を超える場合、塗布時の使用性を損なう恐れがある。
【0013】
本発明による毛髪化粧料組成物は、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整える観点から(B)カチオン系増粘剤を含有する。
【0014】
本発明に用いる前記(B)成分としては特に限定されないが、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種以上を含有することができる。その中でも、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整える観点から、好ましくは塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム、より好ましくは、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースである。
【0015】
本発明による毛髪化粧料組成物は、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整える観点から(C)多価アルコールを含有する。
【0016】
本発明に用いる前記(C)成分としては特に限定されないが、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらの中から選ばれる1以上を含有することができる。その中でも、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整える観点から、好ましくはグリセリン、エチレングリコール、より好ましくは、グリセリンである。
【0017】
本発明に用いる前記(B)成分および前記(C)成分の毛髪化粧料組成物における総量は、特に限定されないが、好ましくは2.1~7.6%、より好ましくは3.4~6.2%がよい。前記(B)成分および前記(C)成分の総量が2.1%未満の場合、塗布時の使用性を損なう恐れや、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整えられない恐れがある。前記(B)成分および前記(C)成分の総量が7.6%を超える場合、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整えられない恐れや、ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を損なう恐れがある。
【0018】
本発明に用いる前記(B)成分および前記(C)成分の含有量の質量比(B)/(C)は、特に限定されないが、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整える観点から、好ましくは0.05~0.27、より好ましくは0.13~0.24の範囲がよい。
【0019】
本発明による毛髪化粧料組成物は、ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を発揮させる観点から(D)エタノールを含有する。
【0020】
本発明に用いる前記(D)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは15~45%、より好ましくは20~40%がよい。前記(D)成分が15%未満の場合、塗布時の使用性やヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を損なう恐れがある。前記(D)成分が45%を超える場合、塗布時の使用性やヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を損なう恐れや、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整えられない恐れがある。
【0021】
本発明による毛髪化粧料組成物は、経時安定性の観点から(E)有機酸を含有する。
【0022】
本発明に用いる前記(E)成分としては特に限定されないが、例えば、乳酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種以上を含有することができる。その中でも、経時安定性を向上させる観点から、好ましくは乳酸、リンゴ酸、より好ましくは乳酸である。
【0023】
本発明に用いる前記(E)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01~0.1%、より好ましくは0.02~0.08%がよい。前記(E)成分が0.01%未満または0.1%を超える場合、経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0024】
本発明による毛髪化粧料組成物の外観は、特に限定されないが、経時安定性の観点から、透明であることが好ましい。
【0025】
本発明による毛髪化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分の他に通常化粧品に用いられる成分を含有することができる。例えば、高級アルコール、高級脂肪酸等の油剤、界面活性剤、保湿剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、抗菌剤、たんぱく誘導体、加水分解たんぱく、アミノ酸類、安定化剤、香料、動植物油、ビタミン類、植物抽出液、無機塩等を用いることができ、これらは目的に応じて1種以上を含有することができる。
【0026】
本発明による毛髪化粧料組成物の20℃の条件下での粘度は、特に限定されないが、2,000~10,000mPa・sであることが好ましい。
【0027】
本発明において粘度は、常法にて調製し、得られた毛髪化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、B型粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を用いて、M4号ローターにて1分間、回転速度30rpm、20℃の条件下で測定する。
【0028】
本発明による毛髪化粧料組成物の20℃の条件下でのpHは、特に限定されないが、4.0~6.0であることが好ましい。
【0029】
本発明においてpHは、常法にて調製し、得られた毛髪化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71:堀場製作所製)にて20℃の条件下で測定する。
【0030】
本発明による毛髪化粧料組成物の剤型は、特に限定されないが、粘稠液状であることが好ましい。
【0031】
本発明による毛髪化粧料組成物を使用する方法は、乾いた頭皮および毛髪全体に塗布し、その直後に毛髪化粧料組成物を洗い流すことなく、ヘアカラー剤またはパーマ剤を所定の用法・用量に基づいて使用することが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0033】
本明細書に示す評価試験において、毛髪化粧料組成物に含まれる成分および、その含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製し、得られた毛髪化粧料組成物を用いて評価試験を行った。
【0034】
本明細書に示す発明において、「塗布時の使用性」、「ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態」、「ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果」および「経時安定性」について評価した。
【0035】
本明細書に示す評価試験において、「塗布時の使用性」は、得られた毛髪化粧料組成物の20gを乾いた頭皮および毛髪全体に塗布するという工程を専門のパネラー20名で行い、比較評価した。
【0036】
本明細書に示す評価試験において、「ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態」および「ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果」は、得られた毛髪化粧料組成物の10gを毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の乾いた毛髪半分に塗布し、その直後に毛髪化粧料組成物を洗い流すことなく、ヘアカラー剤またはパーマ剤を所定の用法・用量に基づいて毛髪全体に使用するという工程を専門のパネラー10名ずつ計20名で行い、それぞれを比較評価した。
【0037】
ヘアカラー剤は、処方例1に記載のヘアカラー第1剤とヘアカラー第2剤を1:1で混合し、計100gを毛髪に塗布し、20分間放置した後、40℃のぬるま湯ですすぎ、シャンプーでよく洗浄し、タオルで水分を拭き取った後、ドライヤーで乾燥するという工程を行うものとする。パーマ剤は、処方例2に記載のパーマ第1剤100gを毛髪に塗布し、15分間放置した後、40℃のぬるま湯ですすぎ、その後パーマ第2剤100gを毛髪に塗布し、15分間放置した後、40℃のぬるま湯ですすぎ、タオルで水分を拭き取った後、ドライヤーで乾燥するという工程を行うものとする。
【0038】
本明細書に示す評価試験において、「経時安定性」は、得られた毛髪化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、5℃および50℃の恒温槽で3ヶ月間静置した後の外観の状態を目視にて確認した。
【0039】
「塗布時の使用性」の評価基準
◎:20名中16名以上が手から垂れ落ちることなく、頭皮および毛髪全体にスムーズに塗布することができると回答
〇:20名中6名以上15名以下が手から垂れ落ちることなく、頭皮および毛髪全体にスムーズに塗布することができると回答
×:20名中5名以下が手から垂れ落ちることなく、頭皮および毛髪全体にスムーズに塗布することができると回答
【0040】
「ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態」の評価基準
◎:各々10名中8名以上が指通りが良く、さらさらしていると回答
〇:各々10名中3名以上7名以下が指通りが良く、さらさらしていると回答
×:各々10名中2名以下が指通りが良く、さらさらしていると回答
【0041】
「ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果」の評価基準
◎:各々10名中8名以上が効果をしっかり感じられると回答
〇:各々10名中3名以上7名以下が効果をしっかり感じられると回答
×:各々10名中2名以下が効果をしっかり感じられると回答
【0042】
「経時安定性」の評価基準
◎:層分離がなく、白濁がまったく見られない
〇:層分離がなく、わずかに白濁が見られる
×:層分離しているまたは白濁している
【0043】
第1評価試験
第1評価試験では、(A)ノニオン系増粘剤の種類および含有量を様々に代えた毛髪化粧料組成物に関して評価した。表1に毛髪化粧料組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0044】
【0045】
実施例1~6において、前記(A)ノニオン系増粘剤の種類および含有量を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0046】
第2評価試験
第2評価試験では、(B)カチオン系増粘剤および(C)多価アルコールの種類および含有量を様々に代えた毛髪化粧料組成物に関して評価した。表2に毛髪化粧料組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0047】
【0048】
実施例7~14において、前記(B)カチオン系増粘剤および前記(C)多価アルコールの種類および含有量を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0049】
第3評価試験
第3評価試験では、(D)エタノールの含有量を様々に代えた毛髪化粧料組成物に関して評価した。表3に毛髪化粧料組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0050】
【0051】
実施例15~19において、前記(D)エタノールの含有量を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0052】
第4評価試験
第4評価試験では、(E)有機酸の種類および含有量を様々に代えた毛髪化粧料組成物に関して評価した。表4に毛髪化粧料組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0053】
【0054】
実施例20~25において、前記(E)有機酸の種類および含有量を様々に代えても良好な結果が得られた。
【0055】
以下に実施例26、27を示す。実施例26、27により得られた毛髪化粧料組成物は、「塗布時の使用性」、「ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態」、「ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果」および「経時安定性」に関して良好な結果が得られた。
【0056】
(実施例26)
<毛髪化粧料組成物>
成分 含有量(%)
(A)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.80
(B)ヒドロキシエチルセルロース 0.80
(C)グリセリン 4.00
(D)エタノール 30.00
(E)乳酸 0.05
1,3-ブチレングリコール 6.00
水酸化カリウム 0.02
パラオキシ安息香酸メチル 0.10
エデト酸二ナトリウム 0.02
加水分解シルク液 0.01
海藻エキス(1) 0.01
精製水 58.19
合計 100.00
粘度(20℃):4,900mPa・s
pH(20℃):5.07
【0057】
(実施例27)
<毛髪化粧料組成物>
成分 含有量(%)
(A)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.80
(B)ヒドロキシエチルセルロース 0.80
(C)グリセリン 4.00
(D)エタノール 30.00
(E)乳酸 0.05
1,3-ブチレングリコール 6.00
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.30
水酸化カリウム 0.02
パラオキシ安息香酸メチル 0.10
エデト酸二ナトリウム 0.02
加水分解シルク液 0.01
海藻エキス(1) 0.01
香料 0.03
精製水 57.86
合計 100.00
粘度(20℃):4,780mPa・s
pH(20℃):5.06
【0058】
(処方例1)
<ヘアカラー第1剤>
成分 含有量(%)
パラアミノフェノール 0.2
レゾルシン 0.2
セタノール 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
流動パラフィン 2.0
L-アスコルビン酸 0.5
モノエタノールアミン液(80%) 8.0
アンモニア水(28%) 4.0
精製水 77.1
合計 100.0
<ヘアカラー第2剤>
成分 含有量(%)
セタノール 1.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.3
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.) 0.5
流動パラフィン 0.2
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.1
過酸化水素水(35%) 17.0
精製水 80.9
合計 100.0
【0059】
(処方例2)
<パーマ第1剤>
成分 含有量(%)
セタノール 7.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 2.0
メチルポリシロキサン 2.0
濃グリセリン 1.0
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.2
リン酸水素二アンモニウム 1.5
塩化アンモニウム 0.5
尿素 1.5
炭酸グアニジン 5.0
塩酸L-システイン 2.0
チオグリコール酸モノエタノールアミン液(50%) 17.0
40%ジチオジグリコール酸ジアンモニウム液 7.0
モノエタノールアミン液(80%) 1.0
精製水 50.3
合計 100.0
<パーマ第2剤>
成分 含有量(%)
セタノール 8.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.) 0.5
流動パラフィン 2.0
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.1
過酸化水素水(35%) 7.0
精製水 80.4
合計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、塗布時の使用性に優れ、ヘアカラー剤またはパーマ剤使用前後の毛髪の状態を整え、ヘアカラー剤またはパーマ剤の効果を損なうことがない、経時安定性に優れた毛髪化粧料組成物を提供することができる。