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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-16
(45)【発行日】2025-09-25
(54)【発明の名称】保持構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20250917BHJP
   H01R 13/60 20060101ALI20250917BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20250917BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20250917BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250917BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/60
B60L53/16
B60L53/30
H02J7/00 301B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023141597
(22)【出願日】2023-08-31
(65)【公開番号】P2025034916
(43)【公開日】2025-03-13
【審査請求日】2024-03-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】尾▲高▼ 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】林 豊
(72)【発明者】
【氏名】矢萩 優名
(72)【発明者】
【氏名】神津 知之
(72)【発明者】
【氏名】元村 智則
(72)【発明者】
【氏名】杉立 健太
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154535(JP,A)
【文献】特開2012-156032(JP,A)
【文献】特開2017-027824(JP,A)
【文献】特開2022-030182(JP,A)
【文献】特開平11-122714(JP,A)
【文献】特開2015-133175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 13/60
B60L 11/18
B60L 53/16
B60L 53/30
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力装置から延出する電力線の先端に設けられ、他の電力装置の他の電力端子に対して着脱可能に設けられる電力端子を保持する保持構造であって、
前記電力端子は、前記他の電力端子に装着された状態で、前記他の電力端子の被係合部に係合する係合部を有し、
前記保持構造は、前記電力端子が前記他の電力端子に装着されないときに、前記電力端子を保持する保持部を備え、
前記保持部は、該保持部の外部に開口し、且つ、前記電力端子に嵌合する嵌合凹部と、前記嵌合凹部の外周部に設けられ、且つ、前記電力端子が前記嵌合凹部に嵌合した場合に前記係合部が係合される係止部と、前記嵌合凹部の底部に形成され、且つ、該保持部の外側と前記嵌合凹部とを連通させる連通孔とが設けられ
前記保持部は、固定具によって、前記電力装置、前記他の電力装置、又は、保持主体のいずれかである保持主体等に固定されるように設けられ、
前記係合部は、前記電力端子が前記保持部に保持された場合に、前記係合部が前記係止部に係合される係合位置と、前記係合部が前記係止部から前記嵌合凹部の内側に引っ込むことで当該係合部が前記係止部との係合状態から解除される係合解除位置との間で移動可能な係合爪であり、
前記連通孔は、前記電力端子が前記保持部に保持されている場合に、前記保持部の前記外側から前記連通孔を介して前記係合位置に位置する前記係合爪を前記係合解除位置に操作可能な位置に設けられている、保持構造。
【請求項2】
請求項1記載の保持構造において、
前記保持部は、前記電力端子の前記係合部が配置される部分を環状に覆う環状部を有し、
前記連通孔は、前記環状部に形成される、保持構造。
【請求項3】
請求項2記載の保持構造において、
前記連通孔は、前記環状部の外側から内側に該連通孔を介して挿入された棒体が、前記保持部に保持された前記電力端子の前記係合部に到達可能であるように前記環状部に形成される、保持構造。
【請求項4】
請求項3記載の保持構造において、
前記電力端子は、使用者からの操作を受ける入力部と、前記係合部と前記入力部とを機械的に接続する接続機構と、をさらに有し、
前記係合部は、前記被係合部に係合する第1の位置、又は、前記被係合部に係合しない第2の位置に位置するように設けられ、
前記入力部は、第3の位置又は第4の位置に位置するよう設けられ、
前記接続機構は、前記入力部が前記第3の位置に位置するときに前記係合部が前記第1の位置に位置し、且つ、前記入力部が前記第4の位置に位置するときに前記係合部が前記第2の位置に位置するように設けられ、
前記電力端子は、前記入力部が前記第3の位置から前記第4の位置に移動することを規制するように、前記入力部又は前記接続機構に設けられる規制部を有し、
前記規制部は、前記入力部の移動を規制する規制状態と、前記入力部の移動を規制しない非規制状態とに該規制部を切り替える電気駆動部を有し、
前記係止部は、該環状部の内側に設けられ、前記電力端子が前記環状部の内側で保持されたときに、前記係合部を係止させ、
前記連通孔は、前記電力端子が前記環状部の内側で保持されて前記係合部が前記係止部に係止しているときに、該連通孔を介して挿入された前記棒体が前記係合部に当接し、該係合部を前記第1の位置から前記第2の位置の方向に押すことができるよう形成される、保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給電ケーブルと給電コネクタとを備える電力変換装置が開示されている。給電ケーブルは、電力変換装置から延出している。給電コネクタは、給電ケーブルの先端に設けられている。給電コネクタは、例えば、車両の給電口に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-154404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、電力変換装置で給電コネクタをどのように保持するのかについて、何ら開示されていない。給電コネクタの保持に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、電力装置から延出する電力線の先端に設けられ、他の電力装置の他の電力端子に対して着脱可能に設けられる電力端子を保持する保持構造であって、前記電力端子は、前記他の電力端子に装着された状態で、前記他の電力端子の被係合部に係合する係合部を有し、前記保持構造は、前記電力端子が前記他の電力端子に装着されないときに、前記電力端子を保持する保持部を備え、前記保持部は、該保持部の外側と内側とを連通する連通孔を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、他の電力端子に装着されていない電力端子を保持部で好適に保持することができる。また、保持部の外側と内側とが連通孔を介して連通している。これにより、保持部に保持されている電力端子を該保持部から取り外し不能であるときに、外部から連通孔を介して、保持部による電力端子の保持状態を強制的に解除することで、保持部から電力端子を取り外すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、給電装置を含む電力システムの構成図である。
図2図2は、給電装置の背面図である。
図3図3は、カバー部材を取り外した状態を示す給電装置の背面図である。
図4図4は、カバー部材が回動した状態を示す給電装置の一部側面図である。
図5図5は、図4のV―V線に沿った断面図である。
図6図6は、図1のコネクタのロック状態を示す内部構成図である。
図7図7は、図1のコネクタのアンロック状態を示す内部構成図である。
図8図8は、図1のコネクタのアンロック状態を示す内部構成図である。
図9図9Aは、コネクタが落下するときの説明図であり、図9Bは、コネクタが落下したときの説明図である。
図10図10は、レンチを連通孔に挿入した状態を示す一部斜視図である。
図11図11は、レンチを溝に挿入した状態を示す断面図である。
図12図12は、レンチでラッチの爪部を押した状態を示す断面図である。
図13図13は、コネクタ保持部からコネクタを取り外す状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、給電装置10(電力装置、保持構造、保持主体等)を含む電力システム12の構成図である。電力システム12は、給電装置10と車両14(他の電力装置)とを備える。以下の説明では、図1の紙面の右側を前方向、左側を後方向、上側を上方向、下側を下方向として、給電装置10について、前後、上下及び左右の方向を説明する。
【0010】
給電装置10は、可搬型の電力装置である。給電装置10は、装置本体16と、ケーブル18(電力線)と、コネクタ20(電力端子)とを備える。装置本体16は、筐体22と、前カバー24と、後カバー26(蓋部材)とを有する。
【0011】
筐体22には、給電装置10を構成する各種の部品が収容されている。前カバー24は、筐体22の前壁28に取付けられている。前カバー24は、前壁28に設けられた回動軸部30を中心に、前壁28に対して前方に回動可能である。
【0012】
筐体22の前壁28には、不図示の複数のスイッチと複数の出力端子とが設けられている。ユーザは、各スイッチを操作することにより、給電装置10に対して各種の指示を行うことができる。また、複数の出力端子は、給電装置10から外部に電力を出力可能である。給電装置10は、例えば、単相の交流電力(単相交流電力)、三相の交流電力(三相交流電力)を出力可能である。
【0013】
ケーブル18は、装置本体16から延びている。詳しくは、図2及び図3に示すように、装置本体16の後壁46(固定面)には、連通孔48が設けられている。後壁46は、装置本体16の背面視で、四角形状に形成されている。連通孔48は、装置本体16の内部と外部とを連通させる。ケーブル18は、装置本体16の内部から連通孔48を介して装置本体16の外部に延出する。連通孔48及びケーブル18の基端部は、グロメット50(覆蓋部)で覆われている。ケーブル18の先端部(先端)には、コネクタ20が設けられている。コネクタ20は、雄型コネクタである。雄型コネクタは、プラグとも称される。
【0014】
筐体22の後壁46には、ケーブル収容部52(電力線収容部)と、コネクタ保持部54(保持部)と、第1支持部56とが設けられている。
【0015】
ケーブル収容部52は、ケーブル18を収容する。ケーブル収容部52は、外周壁58と内周壁60とを有する。外周壁58は、後壁46から後方に突出する円弧状の壁部である。内周壁60は、後壁46における外周壁58の内側に設けられる。内周壁60は、後壁46から後方に突出する円弧状の壁部である。
【0016】
上記のように、ケーブル18の基端部は、後壁46の上部に位置する。ケーブル収容部52は、内周壁60と外周壁58との間にケーブル18を複数回巻回することにより、内周壁60と外周壁58との間にケーブル18を収容する。
【0017】
コネクタ保持部54は、後壁46に固定されている。詳しくは、コネクタ保持部54は樹脂材料で構成される。コネクタ保持部54は、主部62と、固定部64とを有する。
【0018】
固定部64は、図2及び図3の背面視で、後壁46におけるケーブル収容部52の外側に配置されている。固定部64は、後壁46の外縁側に配置されている。具体的には、固定部64は、後壁46の上下方向に延びる一辺66に沿って配置されている。従って、固定部64は、上下方向に延びている。固定部64は、2本のボルト68(固定具)によって筐体22に固定されている。
【0019】
主部62は、固定部64の下端部に連結されている。主部62及び固定部64は一体に形成されている。主部62は、コネクタ20を保持する。
【0020】
詳しくは、主部62の外周部298(環状部)は、固定部64の下端部と一体に形成されている。主部62の外周部298は、環状に形成されている。
【0021】
主部62は、有底の筒状部である。主部62の外周部298の内側には、コネクタ20に嵌合する嵌合凹部70が形成されている。嵌合凹部70は、ケーブル収容部52に向けて開口している。図4及び図5に示すように、嵌合凹部70の底部には、外部に連通する連通孔300、302が形成されている。連通孔300、302は、嵌合凹部70から外部に雨水等の液体を排出するための水抜き孔等として機能する。また、嵌合凹部70を形成する外周部298の内壁には、主部62の径方向外側に凹む係止溝304が形成されている。係止溝304は、主部62の軸方向に沿って形成されている。係止溝304は、嵌合凹部70から径方向外側に凹んだ直線状の凹部である。係止溝304は、連通孔300に連通している。係止溝304が形成されることで、外周部298の内壁には段差部306(係止部)が形成される。連通孔300と係止溝304と段差部306とは、主部62の軸方向に沿って連続して形成されている。
【0022】
主部62において、嵌合凹部70が開口している開口端面72(先端面)は、平坦面状である。この場合、主部62に対するコネクタ20の抜き差し方向(第1方向)と、ボルト68による固定部64の固定方向(第2方向)とは、互いに交差する方向である。すなわち、第1方向は、図2及び図3の背面視で、斜め方向である。第2方向は、上記のように、前後方向である。
【0023】
図2及び図3に示すように、コネクタ20は、グリップ74(把持部)と、コネクタ本体76(端子本体)と、嵌合部78とを有する。グリップ74は、ユーザが把持可能な取っ手である。グリップ74は、コネクタ本体76の基端部に連結されている。コネクタ本体76の先端面80は、平坦面状である。嵌合部78は、コネクタ本体76の先端面80から突出する筒部である。嵌合部78は、コネクタ20の先端部である。嵌合部78は、コネクタ保持部54の主部62に形成された嵌合凹部70に嵌合する。すなわち、ケーブル18がケーブル収容部52に収容されている状態で、コネクタ20の嵌合部78が嵌合凹部70に嵌合し、且つ、コネクタ本体76の先端面80が主部62の開口端面72に当接することにより、コネクタ20がコネクタ保持部54(主部62)に保持される。
【0024】
上記のように、主部62が斜め方向に傾斜しているため、主部62にコネクタ20が保持されている場合、コネクタ20の基端部(ケーブル18側の端部)は、後壁46の一辺66に対向する他の一辺307の角部308と向かい合う。また、主部62にコネクタ20が保持されているときに、コネクタ20は、ケーブル18の基端部及びグロメット50と重ならない。さらに、主部62にコネクタ20が保持され、且つ、後カバー26が後壁46の一部を覆っている場合、主部62とコネクタ20との嵌合部分(開口端面72及び先端面80)は、外部から視認可能である。
【0025】
なお、図1に示すように、後カバー26が閉じているときに、側面視では、主部62を含むコネクタ保持部54を外部から視認することができない。後カバー26が閉じているときには、外部から連通孔300、302を視認することはできない。また、後壁46に対して後カバー26を開いたときには、主部62を含むコネクタ保持部54を外部から視認することができる。後カバー26を開いたときには、外部から連通孔300、302を視認することが可能である。つまり、主部62及び連通孔300、302は、後カバー26を開いたときに外部から視認可能であり、後カバー26を閉じたときに後カバー26で覆われるような位置に設けられている。これにより、コネクタ保持部54の内部への異物の混入を防止することができる。
【0026】
図1図3に示すように、第1支持部56は、固定部64の上端部に設けられている。第1支持部56は、ケーブル18の一部を引っ掛けることが可能な凹部(不図示)である。従って、第1支持部56を構成する凹部の大きさは、ケーブル18の外径よりも大きい。ユーザが主部62からコネクタ20を取り外し、ケーブル収容部52からケーブル18を引き出した状態で、ユーザは、ケーブル18の基端部と先端部との間の該ケーブル18の一部を第1支持部56に引っ掛ける。
【0027】
後壁46には、第1支持部56に近接するように、第2支持部82が設けられている。第2支持部82は、ケーブル18の一部が第1支持部56に支持されているときに、該ケーブル18の一部を支持する。
【0028】
後カバー26は、後壁46に設けられた回動軸部84を中心に後壁46に対して回動可能である。後カバー26には、ケーブル18の一部が第1支持部56及び第2支持部82に支持された状態で、後カバー26が後壁46の一部を覆ったときに、ケーブル18の一部を囲む囲繞部86が設けられている。囲繞部86は、後カバー26の側部に形成された凹部である(図4参照)。
【0029】
図10に示すように、後カバー26の内壁には、内側に突出する湾曲部326が設けられている。後カバー26が開いたときに、湾曲部326は、主部62の連通孔300と向かい合う位置で、該連通孔300に向かって突出する。なお、湾曲部326は、後述するレンチ320を連通孔300に差し込むときのガイド(突部)として機能する。
【0030】
図6図8に示すように、コネクタ20は、解除ボタン90(入力部)と、ラッチ部92と、バネ部材94と、ロック部96(規制部)とをさらに有する。
【0031】
解除ボタン90は、コネクタ本体76とグリップ74との連結部分に設けられている。解除ボタン90の一部は、コネクタ20から外部に突出している。ユーザがグリップ74を把持した状態で、親指等で解除ボタン90を押すと、解除ボタン90は、回動軸部100を中心に回動可能である。解除ボタン90における回動軸部100の近傍には、解除ボタン90から突出する突出部102が形成されている。
【0032】
ラッチ部92は、コネクタ本体76から嵌合部78にかけて設けられている。ラッチ部92は、棒状部材である。ラッチ部92の先端部には、係合爪104(係合部)が形成されている。係合爪104は、嵌合部78から該嵌合部78の径方向外方に突出可能である。ラッチ部92は、コネクタ本体76内に設けられた回動軸部106を中心に回動可能である。
【0033】
詳しくは、コネクタ本体76の内部において、ラッチ部92の中央部は、回動軸部106に軸支されている。ラッチ部92の基端部には、解除ボタン90の突出部102が当接している。図6図8に示すように、解除ボタン90の突出部102は、下方からラッチ部92の基端部に当接する。
【0034】
バネ部材94は、コネクタ本体76の内部において、ラッチ部92の上方に配置されている。バネ部材94は、ラッチ部92における回動軸部106と基端部との間の箇所をバネ力によって下方に押圧する。突出部102、ラッチ部92、バネ部材94及び2つの回動軸部100、106は、解除ボタン90と係合爪104とを機械的に接続する接続機構108を構成する。
【0035】
ロック部96は、コネクタ本体76に設けられている。ロック部96は、ソレノイド110(電気駆動部)を有する。ソレノイド110は、プランジャ112と、ロックコイル114と、アンロックコイル116と、永久磁石118とを有する。プランジャ112は、磁性材料からなる棒状部材である。プランジャ112は、嵌合部78の軸方向に沿って配置されている。ロックコイル114、永久磁石118及びアンロックコイル116は、プランジャ112と同軸に配置されている。ロックコイル114、永久磁石118及びアンロックコイル116は、プランジャ112が挿通する筒状部材である。コネクタ本体76の内部には、コネクタ本体76の先端部から基端方向に向かって、アンロックコイル116、永久磁石118及びロックコイル114が順に配置されている。
【0036】
ロックコイル114が通電したときに、プランジャ112は、ロックコイル114からの磁束によって励磁され、ソレノイド110からコネクタ本体76の基端側に突出する。ソレノイド110から突出したプランジャ112は、解除ボタン90の底部に接触する。
【0037】
また、アンロックコイル116が通電したときに、プランジャ112は、アンロックコイル116からの磁束によって励磁され、コネクタ本体76の先端側に変位して、プランジャ112内に後退する。これにより、プランジャ112は、解除ボタン90から離間する。
【0038】
さらに、ソレノイド110は、自己保持型のソレノイドである。すなわち、ロックコイル114及びアンロックコイル116への通電が停止しても、永久磁石118の磁束による力がプランジャ112に作用することで、プランジャ112は、通電時の位置に保持される。
【0039】
コネクタ20は、車両14に設けられたコネクタ120に接続される。すなわち、コネクタ20は、コネクタ120に着脱可能である。この場合、着脱可能とは、コネクタ20がコネクタ120に装着可能である場合と、コネクタ20がコネクタ120から離脱可能である場合との双方を含む。
【0040】
詳しくは、コネクタ120は、雄型コネクタであるコネクタ20に接続される雌型のコネクタである。雌型のコネクタは、レセプタクルとも称される。コネクタ120は、コネクタ20の嵌合部78が装着される装着凹部122を有する。装着凹部122には、径方向外側に凹む係合凹部124(被係合部)が設けられている。ユーザがコネクタ20の嵌合部78を装着凹部122に差し込むと、ラッチ部92の係合爪104が係合凹部124に係合する。これにより、給電装置10のコネクタ20が車両14のコネクタ120に装着される。
【0041】
以下の説明では、図6及び図7に示すように、係合爪104が係合凹部124に係合しているときの該係合爪104の位置を第1位置(第1の位置)と呼称する。また、図8に示すように、係合爪104と係合凹部124との係合状態が解除されたときの該係合爪104の位置を第2位置(第2の位置)と呼称する。
【0042】
この場合、解除ボタン90が図6及び図7に示す第3位置(第3の位置)に位置しているときには、係合爪104は、接続機構108によって第1位置に位置する。また、ユーザによる解除ボタン90の操作によって該解除ボタン90が図8に示す第4位置(第4の位置)に位置しているときには、係合爪104は、接続機構108によって第2位置に位置する。
【0043】
上記のように、ロックコイル114が通電すると、プランジャ112は、ロックコイル114による磁束で励磁され、コネクタ本体76の基端側に突出し、解除ボタン90の底部に接触する(図6参照)。ロックコイル114への通電を停止しても、プランジャ112は、永久磁石118の磁束による力で、通電時の位置を保持する。これにより、解除ボタン90は、ロック状態(規制状態)となる。ロック状態では、ユーザが解除ボタン90を押しても、回動軸部100を中心とした解除ボタン90の回動が阻止される。すなわち、解除ボタン90が第3位置から第4位置に移動することが阻止される。この結果、係合爪104と係合凹部124との係合状態が維持され(係合爪104が第1位置に維持され)、車両14のコネクタ120からの給電装置10のコネクタ20の取り外しが禁止される。
【0044】
図7に示すように、アンロックコイル116が通電すると、プランジャ112は、アンロックコイル116による磁束で励磁され、コネクタ本体76の先端側に変位してソレノイド110内に後退する。アンロックコイル116への通電を停止しても、プランジャ112は、永久磁石118の磁束による力で、通電時の位置を保持する。これにより、プランジャ112は、解除ボタン90によるロック状態から解放され、アンロック状態(非規制状態)に切り替わる。
【0045】
図8に示すように、ユーザがアンロック状態の解除ボタン90を押すと、解除ボタン90は、回動軸部100を中心に回動する。すなわち、解除ボタン90は、第3位置から第4位置に移動する。これにより、解除ボタン90の突出部102は、ラッチ部92の基端部に当接して上方に押し上げる。この結果、ラッチ部92は、バネ部材94のバネ力に抗して、回動軸部106を中心に回動する。このとき、係合爪104は、係合凹部124から離間し、嵌合部78の内部に引っ込む。すなわち、係合爪104は、第1位置から第2位置に移動する。これにより、係合爪104と係合凹部124との係合状態が解除される。ユーザが解除ボタン90を押したままコネクタ20を引くことで、車両14のコネクタ120から給電装置10のコネクタ20を取り外すことができる。
【0046】
なお、アンロック状態において、ユーザが解除ボタン90から指を離すと、ラッチ部92がバネ部材94のバネ力によって回動軸部106を中心に回動する。これにより、ラッチ部92は、図7に示す位置に復帰し、係合爪104は、嵌合部78から径方向外方に突出して第1位置に復帰する。解除ボタン90は、ラッチ部92の回動に伴い、回動軸部100を中心に回動することで、ユーザに押される前の状態(第3位置)に復帰する。
【0047】
また、図5に示すように、コネクタ20が主部62に保持されている場合、係合爪104は、段差部306に係止される。通常、コネクタ20は、アンロック状態で主部62に保持されている。そのため、ユーザが解除ボタン90を押すと、ラッチ部92が回動軸部106(図6図8参照)を中心に回動し、係合爪104は、嵌合部78の内部に引っ込む。これにより、係合爪104と段差部306との係止状態が解除される。ユーザが解除ボタン90を押したままコネクタ20を引くことで、主部62からコネクタ20を取り外すことができる。
【0048】
図1に示すように、車両14は、不図示のバッテリを有する。車両14は、バッテリを搭載し、且つ、コネクタ120を有する一輪車、二輪車、三輪車、四輪車等の各種の車両が挙げられる。また、車両14は、バッテリ及びコネクタ120を有する電動車両(電気自動車)、ハイブリッド車両等の各種の車両が挙げられる。
【0049】
次に、本実施形態に係る給電装置10の動作について説明する。この動作説明では、上記のように、コネクタ20がアンロック状態で主部62に保持されているときの給電装置10の動作について説明する。
【0050】
先ず、ユーザは、給電装置10の後カバー26(図1参照)を回動させ、ケーブル収容部52及びコネクタ保持部54(図2図4参照)を外部に露出させる。
【0051】
次に、ユーザは、コネクタ保持部54からコネクタ20を取り外す。この場合、ユーザは、解除ボタン90を押すことで係合爪104と段差部306との係止状態を解除する。ユーザは、解除ボタン90を押したままコネクタ20を引くことで、主部62からコネクタ20を取り外すことができる。
【0052】
次に、ユーザは、ケーブル収容部52からケーブル18を取り出す。ユーザは、取り外したケーブル18の一部を第1支持部56に引っ掛け、その後、後カバー26を元の位置に戻す。これにより、ケーブル18の一部は、第1支持部56及び第2支持部82で支持されると共に、囲繞部86に囲まれる。
【0053】
次に、ユーザは、コネクタ20の嵌合部78を車両14のコネクタ120の装着凹部122に差し込む(図7参照)。このとき、コネクタ20のラッチ部92の係合爪104は、装着凹部122の内壁に押されて嵌合部78の内部に一旦引っ込む。嵌合部78が先端方向に移動し、係合爪104が係合凹部124と向かい合うと、係合爪104は、装着凹部122の内壁による押圧状態から解放され、嵌合部78の径方向外方に突出し、係合凹部124と係合する。この結果、2つのコネクタ20、120が接続される。
【0054】
次に、ユーザが不図示の電源スイッチを押すと、給電装置10は、車両14のバッテリから供給される直流電力(低電圧の直流電力)で起動する。
【0055】
次に、ユーザが不図示の他のスイッチを押すと、給電装置10は、解除ボタン90をロック状態に切り替える。すなわち、ロックコイル114を一定時間通電させることで、磁束を発生させる。プランジャ112は、ロックコイル114からの磁束によって励磁され、ソレノイド110からコネクタ本体76の基端側に突出する。これにより、プランジャ112は、解除ボタン90の底部に接触する。この結果、解除ボタン90は、ロック状態に切り替わる。この場合、ロックコイル114への通電が停止しても、プランジャ112は、永久磁石118の磁束による力で、通電時の位置を保持する。そのため、解除ボタン90は、ロック状態に保持される。
【0056】
その後、給電装置10は、バッテリから供給される他の直流電力(高電圧の直流電力)を交流電力に変換する。変換された交流電力は、不図示の出力端子から外部に出力(給電)される。
【0057】
その後、ユーザが他のスイッチを再度操作すると、給電装置10は、外部への交流電力の出力を停止する。
【0058】
その後、給電装置10は、解除ボタン90をアンロック状態に切り替える。すなわち、アンロックコイル116を一定時間通電させることで、磁束を発生させる。プランジャ112は、アンロックコイル116からの磁束によって励磁され、ソレノイド110の内部に退避する。これにより、プランジャ112は、解除ボタン90から離間する。この結果、解除ボタン90は、アンロック状態に切り替わる。この場合、アンロックコイル116への通電が停止しても、プランジャ112は、永久磁石118の磁束による力で、通電時の位置を保持する。そのため、解除ボタン90は、アンロック状態に保持される。
【0059】
次に、ユーザが電源スイッチを操作すると、給電装置10は、駆動を停止する。
【0060】
次に、ユーザは、コネクタ20のグリップ74を把持した状態で、解除ボタン90を押す。これにより、ラッチ部92が回動し、係合爪104と係合凹部124との係合が解除される。ユーザは、解除ボタン90を押しつつ、コネクタ20を引き抜くことで、車両14のコネクタ120からコネクタ20を取り外す。
【0061】
その後、ユーザは、後カバー26を開き、ケーブル18を第1支持部56から取り外して、該ケーブル18をケーブル収容部52に収容する。また、ユーザは、コネクタ20を主部62に差し込む。このとき、ユーザは、コネクタ20の嵌合部78を主部62の嵌合凹部70に挿入する。コネクタ20のラッチ部92の係合爪104は、嵌合凹部70の内壁に押されて嵌合部78の内部に一旦引っ込む。嵌合部78が先端方向に移動し、係合爪104が係止溝304と向かい合うと、係合爪104は、嵌合凹部70の内壁による押圧状態から解放され、嵌合部78の径方向外方に突出し、段差部306に係止する。この結果、コネクタ20が主部62に保持される。その後、ユーザは、後カバー26を元の位置に戻す。
【0062】
次に、コネクタ20がロック状態で主部62に保持されているときの該主部62からのコネクタ20の取り外しについて説明する。
【0063】
図9A及び図9Bは、コネクタ20を地面に誤って落下させた場合を図示している。ユーザがコネクタ20を誤って地面に落下させた場合、落下の衝撃によって、プランジャ112がコネクタ本体76の先端側に変位する。これにより、プランジャ112の先端部が解除ボタン90の底部に接触し、解除ボタン90がロック状態となる。ロック状態のコネクタ20を主部62に保持させた場合、ユーザは、主部62からコネクタ20を取り外すことができない。すなわち、給電装置10は、車両14等の他の電力装置からコネクタ20を介して直流電力の供給を受けることで駆動(起動)する。そのため、コネクタ20が主部62に保持されている状態では、給電装置10は、起動することができない。つまり、ロック状態のコネクタ20が主部62に保持されている状態では、アンロックコイル116に通電してロック状態からアンロック状態に切り替えることができない。従って、ユーザは、主部62に保持されているコネクタ20の解除ボタン90を押そうとしても、解除ボタン90がロック状態であるため、係合爪104と段差部306との係止状態を解除することができない。
【0064】
なお、図9A及び図9Bに示す落下の形態は一例である。コネクタ20は、落下の方向によらず、落下の衝撃で不意にロック状態になる場合がある。鉛直方向(上下方向)に落下する場合に限らず、例えば、コネクタ20の側面が地面に当たるように該コネクタ20が落下してもロック状態になる場合がある。
【0065】
このような不具合に対して、本実施形態では、図10図13に示すように、レンチ320(棒体)を用いて係合爪104と段差部306との係止状態を解除することで、ロック状態のコネクタ20を主部62から取り外す。
【0066】
レンチ320は、棒状のレンチである。レンチ320は、L字状のレンチである。レンチ320は、把持部322と、当接部324とを有する。把持部322は、ユーザが把持する部分である。当接部324は、把持部322の先端から屈曲して延びている。当接部324の長さは、把持部322の長さよりも長い。
【0067】
ロック状態のコネクタ20を主部62から取り外す場合、ユーザは、後カバー26を開く。
【0068】
次に、ユーザは、レンチ320の把持部322を把持し、連通孔300を介して当接部324を嵌合凹部70に挿入する。後カバー26の内壁には、内側に突出する湾曲部326が設けられている。後カバー26が開いているときに、湾曲部326は、連通孔300と向かい合うように突出している。ユーザは、レンチ320の把持部322と当接部324との連結部分(レンチ320の屈曲箇所)を湾曲部326に合わせた状態で、当接部324を連通孔300に差し込む。すなわち、ユーザは、突部である湾曲部326をガイドにして、レンチ320の当接部324を連通孔300に差し込む。
【0069】
嵌合凹部70では、連通孔300から主部62の軸方向に沿って係止溝304が形成され、係止溝304の端部に段差部306が設けられている。図11に示すように、ユーザは、連通孔300に当接部324を差し込み、係止溝304(主部62の軸方向)に沿って当接部324を挿入する。これにより、当接部324の先端は、段差部306に係止する係合爪104に到達する。すなわち、連通孔300、係止溝304及び段差部306が主部62に軸方向に沿って連続して形成され、且つ、係止溝304が凹状に形成されているので、レンチ320の当接部324を容易に係合爪104にまで到達させることができる。
【0070】
図12に示すように、ユーザが当接部324をさらに差し込むと、当接部324の先端が係合爪104を押すので、該係合爪104は、嵌合部78の内側に引っ込む。これにより、係合爪104と段差部306との係止状態が解除される。
【0071】
次に、ユーザは、当接部324の先端が係合爪104を押している状態で、グリップ74を把持し、主部62からコネクタ20を引き抜く。これにより、図13に示すように、コネクタ20は、主部62から取り外される。
【0072】
なお、取り外したコネクタ20は、コネクタ120に装着すればよい。これにより、車両14から給電装置10に直流電力が供給されるので、該コネクタ20をアンロック状態に切り替えることが可能となる。
【0073】
本実施形態は、以下の効果を有する。
【0074】
図5に示すように、コネクタ120に装着されていないコネクタ20をコネクタ保持部54で好適に保持することができる。また、コネクタ保持部54の外側と内側とが連通孔300を介して連通している。これにより、コネクタ保持部54に保持されているコネクタ20を該コネクタ保持部54から取り外し不能であるときに、外部から連通孔300を介して、コネクタ保持部54によるコネクタ20の保持状態を強制的に解除することで、コネクタ保持部54からコネクタ20を取り外すことが可能となる。
【0075】
コネクタ20の係合爪104が外周部298の内側の段差部306に係止することで、外周部298の内側でコネクタ20を効果的に保持することが可能となる。また、外周部298に形成された連通孔300を介して、コネクタ20の保持状態を容易に解除することが可能となる。
【0076】
図12に示すように、レンチ320を外周部298の内側に挿入して係合爪104に到達させることで、段差部306によるコネクタ20の保持状態を容易に解除することができる。
【0077】
解除ボタン90がロック状態にあることで、ユーザが解除ボタン90を操作して係合爪104と段差部306との係止状態を解除できないときに、レンチ320を係合爪104に当接させて係止状態を強制的に解除することで、コネクタ保持部54からコネクタ20を容易に抜き取ることが可能となる。
【0078】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0079】
本実施形態では、電力装置が給電装置10である場合について説明した。本実施形態では、電力装置は、外部に電力を給電できる装置であればよい。従って、給電装置10に代えて、ポータブルインバータ、ポータブル給電器、バッテリ電源、電気自動車、充電器等の各種の電力装置に本実施形態を適用可能である。
【0080】
本実施形態において、主部62は、有底筒状に形成されてなくてもよい。すなわち、外周部298のみによって主部62が構成されてもよい。
【0081】
本実施形態では、レンチ320を用いて、コネクタ20の保持状態を強制的に解除する場合について説明した。本実施形態では、レンチ320に代えて、連通孔300を挿通可能な棒状部材を用いてコネクタ20の保持状態を解除してもよい。この場合、棒状部材は、直線状の部材であってもよい。あるいは、棒状部材は、一部が屈曲して形成された部材、一部が湾曲して形成された部材であってもよい。
【0082】
本実施形態では、プランジャ112が解除ボタン90に接触することで、該解除ボタン90の移動を直接規制する場合について説明した。本実施形態では、接続機構108の動作を規制することで、解除ボタン90の移動を間接的に規制してもよい。
【0083】
本実施形態では、主部62と固定部64とが一体に形成される場合について説明した。本実施形態では、主部62と固定部64とが互いに別体で形成され、不図示の連結手段を用いて連結される構成であってもよい。
【0084】
本実施形態では、固定部64が3つ以上のボルト68によって筐体22に固定されてもよい。
【0085】
本実施形態では、図2及び図3の背面視で、グロメット50は、主部62に保持されているコネクタ20と重なっていない場合について説明した。本実施形態では、グロメット50の少なくとも一部(半分以上)が、主部62に保持されているコネクタ20と重なっていなければよい。
【0086】
本実施形態では、連通孔48及びケーブル18の基端部をグロメット50で覆う場合について説明した。本実施形態では、連通孔48及びケーブル18の基端部は、雨水等の異物の進入を防止するためのカバー、ブーツによって覆われてもよい。
【0087】
本実施形態では、給電装置10の外部にケーブル18を延ばし、該ケーブル18の先端にコネクタ20が接続される場合について説明した。本実施形態では、給電装置10の外部にコネクタ20のみが露出し、該コネクタ20にケーブル18が接続されてもよい。
【0088】
本実施形態では、コネクタ保持部54は、ボルト68によって、給電装置10に固定される。本実施形態では、コネクタ保持部54は、ボルト68によって、車両14に固定されてもよい。あるいは、本実施形態では、コネクタ保持部54は、ボルト68によって、何らかの保持主体に保持されてもよい。この場合、保持主体は、コネクタ保持部54を固定するために設けられた保持主体であってもよい。このような保持主体としては、例えば、地面等に立設した支柱等が挙げられる。これらの保持主体等に固定されたコネクタ保持部54によって、コネクタ20を好適に保持することができる。
【0089】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0090】
(付記1)
電力装置(10)から延出する電力線(18)の先端に設けられ、他の電力装置(14)の他の電力端子(120)に対して着脱可能に設けられる電力端子(20)を保持する保持構造(10)であって、前記電力端子は、前記他の電力端子に装着された状態で、前記他の電力端子の被係合部(124)に係合する係合部(104)を有し、前記保持構造は、前記電力端子が前記他の電力端子に装着されないときに、前記電力端子を保持する保持部(54)を備え、前記保持部は、該保持部の外側と内側とを連通する連通孔(300)を有する。
【0091】
本発明によれば、他の電力端子に装着されていない電力端子を保持部で好適に保持することができる。また、保持部の外側と内側とが連通孔を介して連通している。これにより、保持部に保持されている電力端子を該保持部から取り外し不能であるときに、外部から連通孔を介して、保持部による電力端子の保持状態を強制的に解除することで、保持部から電力端子を取り外すことが可能となる。
【0092】
(付記2)
付記1に記載の保持構造において、前記保持部は、前記電力端子の前記係合部が配置される部分を環状に覆う環状部(298)を有し、前記連通孔は、前記環状部に形成されていてもよい。
【0093】
これにより、電力端子の係合部が環状部に係合することで、環状部の内側で電力端子を効果的に保持することが可能となる。また、環状部に形成された連通孔を介して、電力端子の保持状態を容易に解除することが可能となる。
【0094】
(付記3)
付記2に記載の保持構造において、前記連通孔は、前記環状部の外側から内側に該連通孔を介して挿入された棒体(320)が、前記保持部に保持された前記電力端子の前記係合部に到達可能であるように前記環状部に形成されてもよい。
【0095】
これにより、棒体を環状部の内側に挿入して係合部に到達させることで、環状部による電力端子の保持状態を容易に解除することができる。
【0096】
(付記4)
付記3に記載の保持構造において、前記電力端子は、使用者からの操作を受ける入力部(90)と、前記係合部と前記入力部とを機械的に接続する接続機構(108)と、をさらに有し、前記係合部は、前記被係合部に係合する第1の位置、又は、前記被係合部に係合しない第2の位置に位置するように設けられ、前記入力部は、第3の位置又は第4の位置に位置するよう設けられ、前記接続機構は、前記入力部が前記第3の位置に位置するときに前記係合部が前記第1の位置に位置し、且つ、前記入力部が前記第4の位置に位置するときに前記係合部が前記第2の位置に位置するように設けられ、前記電力端子は、前記入力部が前記第3の位置から前記第4の位置に移動することを規制するように、前記入力部又は前記接続機構に設けられる規制部(96)を有し、前記規制部は、前記入力部の移動を規制する規制状態と、前記入力部の移動を規制しない非規制状態とに該規制部を切り替える電気駆動部(110)を有し、前記保持部は、該環状部の内側に設けられ、前記電力端子が前記環状部の内側で保持されたときに、前記係合部を係止させる係止部(306)をさらに有し、前記連通孔は、前記電力端子が前記環状部の内側で保持されて前記係合部が前記係止部に係止しているときに、該連通孔を介して挿入された前記棒体が前記係合部に当接し、該係合部を前記第1の位置から前記第2の位置の方向に押すことができるよう形成されてもよい。
【0097】
これにより、入力部が規制状態にあることで、使用者が入力部を操作して係合部と係止部との係止状態を解除できないときに、棒体を係合部に当接させて係合部と係止部との係止状態を強制的に解除することで、保持部から電力端子を容易に抜き取ることが可能となる。
【0098】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の保持構造において、前記保持部は、固定具(68)によって、前記電力装置、前記他の電力装置、又は、保持主体のいずれかである保持主体等に固定されるように設けられてもよい。
【0099】
これにより、保持主体等に固定された保持部によって電力端子を好適に保持することができる。
【0100】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0101】
10…給電装置(電力装置、保持構造)
14…車両(他の電力装置)
18…ケーブル(電力線)
20…コネクタ(電力端子)
54…コネクタ保持部(保持部)
104…係合爪(係合部)
120…コネクタ(他の電力端子)
124…係合凹部(被係合部)
300…連通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13