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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-18
(45)【発行日】2025-09-29
(54)【発明の名称】車載用エアコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/10 20060101AFI20250919BHJP
   B60S 5/04 20060101ALI20250919BHJP
   F04B 41/00 20060101ALI20250919BHJP
   B29C 73/02 20060101ALN20250919BHJP
   B29C 73/24 20060101ALN20250919BHJP
【FI】
B60C23/10
B60S5/04
F04B41/00 D
B29C73/02
B29C73/24
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024080488
(22)【出願日】2024-05-16
(65)【公開番号】P2025071759
(43)【公開日】2025-05-08
【審査請求日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】63/592,553
(32)【優先日】2023-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】113106360
(32)【優先日】2024-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512278618
【氏名又は名称】已久工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
(72)【発明者】
【氏名】周 承賢
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3247493(JP,U)
【文献】登録実用新案第3246628(JP,U)
【文献】特開2012-188109(JP,A)
【文献】特開2017-056662(JP,A)
【文献】国際公開第2013/047419(WO,A1)
【文献】特開2010-184354(JP,A)
【文献】特開2011-131547(JP,A)
【文献】特表2023-536050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/10
B60S 5/04
F04B 41/00
B29C 73/02
B29C 73/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンプレッサ本体と、
前記エアコンプレッサ本体に設けられ且つ空気導入口と空気排出口とを有し、前記空気導入口によって前記エアコンプレッサ本体と連通される、ボトルキャップ部材と、
前記ボトルキャップ部材に配置され且つシール部とフロー案内部とを含む、シール兼フロー案内部材と
を含む、
ボトルキャップ組立体と
を含み、
前記シール部は前記フロー案内部を囲み、前記フロー案内部は前記空気導入口を覆い且つ少なくとも1つの空気導入孔と1つの空気排出孔とを有し、前記フロー案内部は前記少なくとも1つの空気導入孔によって前記空気導入口と連通し且つ前記空気排出孔によって前記空気排出口と連通し、
前記エアコンプレッサ本体からの気流は、前記空気導入口、前記少なくとも1つの空気導入孔、前記空気排出孔、前記空気排出口を順に通過し、
前記シール兼フロー案内部材と前記ボトルキャップ部材との間にフロー案内チャネルが形成され、前記フロー案内チャネルは前記少なくとも1つの空気導入孔と前記空気排出孔との間に連通し、
前記フロー案内部はボスを含み、前記空気導入口と前記フロー案内チャネルは前記ボス内部に位置する、
車載用エアコンプレッサ。
【請求項2】
前記シール部と前記フロー案内部は一体成型構造である、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項3】
前記フロー案内チャネルの幅は前記空気導入口の内径及び前記少なくとも1つの空気導入孔の内径よりも小さい、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項4】
前記フロー案内チャネルはジグザグに延伸する、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項5】
記少なくとも1つの空気導入孔は前記ボスの頂端に位置し、前記ボスの底端は前記空気排出孔及び前記シール部に隣接する、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項6】
前記シール兼フロー案内部材は少なくとも1つの位置決めスロットを有し、前記ボトルキャップ部材は少なくとも1つの位置決めリブを有し、前記少なくとも1つの位置決めリブは前記少なくとも1つの位置決めスロットを貫通することで、前記シール兼フロー案内部材が前記ボトルキャップ部材に対して回転することを防止する、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項7】
前記ボトルキャップ部材はタイヤシーラントボトルのボトルの口と互いに結合されることで、前記シール部を前記ボトルキャップ部材と前記タイヤシーラントボトルの前記ボトルの口との間で圧縮させ、且つ前記空気導入孔と前記空気排出孔を前記タイヤシーラントボトルの内部空間と連通させる、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項8】
前記ボトルキャップ部材は少なくとも1つの切刃リブを有し、前記少なくとも1つの切刃リブは前記タイヤシーラントボトルの前記ボトルの口の封止フィルムを切るよう構成される、
請求項7に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項9】
位置制限部材と、
少なくとも1つの締結部材と
を更に含み、
前記位置制限部材は前記ボトルキャップ部材の位置を前記エアコンプレッサ本体に制限し、前記少なくとも1つの締結部材は前記位置制限部材を前記エアコンプレッサ本体に締結する、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項10】
前記エアコンプレッサ本体は空気排出管を備え、前記空気排出管は前記ボトルキャップ部材と接続されることで前記空気導入口と連通し、前記エアコンプレッサ本体の頂面は開口を有し、前記空気排出管と前記ボトルキャップ部材の相互接続箇所は前記開口に対応する、
請求項1に記載の車載用エアコンプレッサ。
【請求項11】
車載用エアコンプレッサに適用されるボトルキャップ組立体であって、
前記車載用エアコンプレッサのエアコンプレッサ本体に設けられ且つ空気導入口と空気排出口とを有し、前記空気導入口によって前記エアコンプレッサ本体と連通される、ボトルキャップ部材と、
前記ボトルキャップ部材に配置され且つシール部とフロー案内部とを含む、シール兼フロー案内部材と
含み、
前記シール部は前記フロー案内部を囲み、前記フロー案内部は前記空気導入口を覆い且つ少なくとも1つの空気導入孔と1つの空気排出孔とを有し、前記フロー案内部は前記少なくとも1つの空気導入孔によって前記空気導入口と連通し且つ前記空気排出孔によって前記空気排出口と連通し、
前記エアコンプレッサ本体からの気流は、前記空気導入口、前記少なくとも1つの空気導入孔、前記空気排出孔、前記空気排出口を順に通過し、
前記シール兼フロー案内部材と前記ボトルキャップ部材との間にフロー案内チャネルが形成され、前記フロー案内チャネルは前記少なくとも1つの空気導入孔と前記空気排出孔との間に連通し、
前記フロー案内部はボスを含み、前記空気導入口と前記フロー案内チャネルは前記ボス内部に位置する、
ボトルキャップ組立体。
【請求項12】
前記シール部と前記フロー案内部とが一体成型構造である、
請求項11に記載のボトルキャップ組立体。
【請求項13】
前記フロー案内チャネルの幅は前記空気導入口の内径及び前記少なくとも1つの空気導入孔の内径よりも小さい、
請求項11に記載のボトルキャップ組立体。
【請求項14】
前記フロー案内チャネルはジグザグに延伸する、
請求項11に記載のボトルキャップ組立体。
【請求項15】
記少なくとも1つの空気導入孔は前記ボスの頂端に位置し、前記ボスの底端は前記空気排出孔及び前記シール部に隣接する、
請求項11に記載のボトルキャップ組立体。
【請求項16】
前記シール兼フロー案内部材は少なくとも1つの位置決めスロットを有し、前記ボトルキャップ部材は少なくとも1つの位置決めリブを有し、前記少なくとも1つの位置決めリブは前記少なくとも1つの位置決めスロットを貫通することで、前記シール兼フロー案内部材が前記ボトルキャップ部材に対して回転することを防止する、
請求項11に記載のボトルキャップ組立体。
【請求項17】
前記ボトルキャップ部材はタイヤシーラントボトルのボトルの口と互いに結合されることで、前記シール部を前記ボトルキャップ部材と前記タイヤシーラントボトルの前記ボトルの口との間で圧縮させ、且つ前記空気導入孔と前記空気排出孔を前記タイヤシーラントボトルの内部空間と連通させる、
請求項11に記載のボトルキャップ組立体。
【請求項18】
前記ボトルキャップ部材は少なくとも1つの切刃リブを有し、前記少なくとも1つの切刃リブは前記タイヤシーラントボトルの前記ボトルの口の封止フィルムを切るよう構成される、
請求項17に記載のボトルキャップ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアコンプレッサに関するものであり、特に、車載用エアコンプレッサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用エアコンプレッサは、タイヤシーラントボトルと共に用いることで車両のタイヤに補修又は空気充填を行うことができ、且つタイヤシーラントボトルを用いずに車両のタイヤに空気充填を行うことができる。一般的に、タイヤの補修又は空気充填を行う場合、車載用エアコンプレッサのエアコンプレッサ本体に、タイヤシーラントボトルと互いに結合するようボトルキャップ組立体を設けて、エアコンプレッサ本体からの高圧気流をボトルキャップ組立体を介してタイヤシーラントボトルに進入させる必要があり、これにより高圧気流によってタイヤシーラントボトル内のタイヤシーラントをタイヤに進入させてタイヤの補修又は空気充填の効果を達成する。
【0003】
タイヤシーラントボトル内のタイヤシーラントが意図せずボトルキャップ組立体を通過してエアコンプレッサ本体へと流動した場合、エアコンプレッサ本体がこれによって正常に動作することができなくなる可能性がある。上述した状況が発生することを回避するためにボトルキャップ組立体に別途部品を追加することでタイヤシーラントのエアコンプレッサ本体への流動を回避する場合、部品数及びボトルキャップ組立体の製造組立の難易度が増加してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易な構造でタイヤシーラントのエアコンプレッサ本体への流動を防止することのできる、車載用エアコンプレッサ及びそのボトルキャップ組立体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車載用エアコンプレッサは、エアコンプレッサ本体と、ボトルキャップ組立体とを含む。ボトルキャップ組立体は、ボトルキャップ部材と、シール兼フロー案内部材とを含む。ボトルキャップ部材はエアコンプレッサ本体に設けられ且つ空気導入口と空気排出口とを有し、ボトルキャップ部材は空気導入口によってエアコンプレッサ本体と連通する。シール兼フロー案内部材はボトルキャップ部材に配置され且つシール部とフロー案内部とを含む。シール部はフロー案内部を囲み、フロー案内部は空気導入口を覆い且つ少なくとも1つの空気導入孔と1つの空気排出孔とを有する。フロー案内部は空気導入孔によって空気導入口と連通し且つ空気排出孔によって空気排出口と連通する。エアコンプレッサ本体からの気流は、空気導入口、空気導入孔、空気排出孔、空気排出口を順に通過する。
【0006】
本発明のボトルキャップ組立体は車載用エアコンプレッサに適用され、ボトルキャップ部材と、シール兼フロー案内部材とを含む。ボトルキャップ部材は車載用エアコンプレッサのエアコンプレッサ本体に設けられ且つ空気導入口と空気排出口とを有し、ボトルキャップ部材は空気導入口によってエアコンプレッサ本体と連通する。シール兼フロー案内部材はボトルキャップ部材に配置され且つシール部とフロー案内部とを含む。シール部はフロー案内部を囲み、フロー案内部は空気導入口を覆い且つ少なくとも1つの空気導入孔と1つの空気排出孔とを有する。フロー案内部は空気導入孔によって空気導入口と連通し、且つ空気排出孔によって空気排出口と連通する。エアコンプレッサ本体からの気流は、空気導入口、空気導入孔、空気排出孔、空気排出口を順に通過する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、上述したシール部とフロー案内部は一体成型構造をである。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、上述したシール兼フロー案内部材とボトルキャップ部材との間にフロー案内チャネルが形成され、フロー案内チャネルは少なくとも1つの空気導入孔と空気排出孔との間に連通する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、上述したフロー案内チャネルの幅は、空気導入口の内径及び少なくとも1つの空気導入孔の内径よりも小さい。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、上述したフロー案内チャネルはジグザグに延伸する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、上述したフロー案内部はボスを含み、少なくとも1つの空気導入孔はボスの頂端に位置し、ボスの底端は空気排出孔及びシール部に隣接する。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、上述したシール兼フロー案内部材は少なくとも1つの位置決めスロットを有し、ボトルキャップ部材は少なくとも1つの位置決めリブを有し、少なくとも1つの位置決めリブは少なくとも1つの位置決めスロットを貫通することで、シール兼フロー案内部材がボトルキャップ部材に対して回転することを防止する。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、上述したボトルキャップ部材はタイヤシーラントボトルのボトルの口と互いに結合されることで、シール部をボトルキャップ部材とタイヤシーラントボトルのボトルの口との間で圧縮させ、且つ空気導入孔と空気排出孔をタイヤシーラントボトルの内部空間と連通させる。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、上述したボトルキャップ部材は少なくとも1つの切刃リブを有し、少なくとも1つの切刃リブはタイヤシーラントボトルのボトルの口の封止フィルムを切るよう構成される。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、上述した車載用エアコンプレッサは、位置制限部材と、少なくとも1つの締結部材とを更に含み、位置制限部材はボトルキャップ部材の位置をエアコンプレッサ本体に制限し、少なくとも1つの締結部材は位置制限部材をエアコンプレッサ本体に締結する。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、上述したエアコンプレッサ本体は空気排出管を備え、空気排出管はボトルキャップ部材と接続されることで空気導入口と連通し、エアコンプレッサ本体の頂面は開口を有し、空気排出管とボトルキャップ部材の相互接続箇所は開口に対応する。
【発明の効果】
【0017】
上記に基づき、本発明の車載用エアコンプレッサにおいて、シール兼フロー案内部材は、そのシール部が既存のシール機能を提供する以外に、そのフロー案内部によってボトルキャップ部材の空気導入口を覆う。これに基づき、エアコンプレッサ本体からの高圧気流をフロー案内部によって案内してボトルキャップ部材の空気排出口へとスムーズに流動させると同時に、フロー案内部はタイヤシーラントボトル内のタイヤシーラントがボトルキャップ部材の空気導入口へと流れることを防止することができる。つまり、本発明は既存のシール部材にフロー案内部を一体成型することによってボトルキャップ部材の空気導入口を覆い、故にこの目的を達成するために別途部品を増やす必要がない。これにより、本発明の車載用エアコンプレッサ及びそのボトルキャップ組立体は簡易な構造によってタイヤシーラントのエアコンプレッサ本体への流動を防止し、ボトルキャップ組立体の製造組立の難易度を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの斜視図である。
図2図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの分解図である。
図3】タイヤに接続された図1の車載用エアコンプレッサの斜視図である。
図4図1の車載用エアコンプレッサの部分斜視図である。
図5図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの部分断面図である。
図6図2のボトルキャップ部材及びシール兼フロー案内部材の斜視図である。
図7図6のボトルキャップ部材の斜視図である。
図8図6のシール兼フロー案内部材の斜視図である。
図9図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの部分的構造を図示している。
図10図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの部分的構造を図示している。
図11図6のボトルキャップ部材及びシール兼フロー案内部材の部分的構造を図示している。
図12A図1の車載用エアコンプレッサの操作フロー図である。
図12B図1の車載用エアコンプレッサの操作フロー図である。
図12C図1の車載用エアコンプレッサの操作フロー図である。
図12D図1の車載用エアコンプレッサの操作フロー図である。
図12E図1の車載用エアコンプレッサの操作フロー図である。
図13A図12A図12Cの車載用エアコンプレッサの上面図である。
図13B図12A図12Cの車載用エアコンプレッサの上面図である。
図13C図12A図12Cの車載用エアコンプレッサの上面図である。
図14図1のタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。
図15図2のタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。
図16A図12Dのタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。
図16B図12Eのタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の1つの実施形態の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの斜視図である。図2は、図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの分解図である。図3は、タイヤに接続された図1の車載用エアコンプレッサの斜視図である。図1図3を参照し、本実施形態の車載用エアコンプレッサ100は、エアコンプレッサ本体110と、ボトルキャップ組立体120と、接続管130とを含む。ボトルキャップ組立体120は、ボトルキャップ部材122と、シール兼フロー案内部材124とを含む。ボトルキャップ部材122はエアコンプレッサ本体110に設けられ、且つ空気導入端1221と空気排出端1222とを有し、空気導入端1221と空気排出端1222は、例えばいずれもボトルキャップ部材122の外面から外へ向かって突出する柱状体である。空気導入端1221はエアコンプレッサ本体110の空気排出管112に挿入される。シール兼フロー案内部124は、例えばゴム、シリコーン、又は他の種類の弾性シール材料製であり、且つボトルキャップ部材122に配置される。タイヤシーラントボトル50はボトルキャップ部材122に結合されるよう用いられる。ボトルキャップ部材122は接続管130を介してタイヤ60に接続されることができる。
【0020】
エアコンプレッサ本体110からの高圧気流は、ボトルキャップ部材122の空気導入端1221によってボトルキャップ部材122に進入するよう構成され、ボトルキャップ部材122とシール兼フロー案内部材124の順に通過してタイヤシーラントボトル50に到達し、高圧気流によってタイヤシーラントボトル50内のタイヤシーラントをシール兼フロー案内部材124とボトルキャップ部材122の順に通過させ、ボトルキャップ部材122の空気排出端1222によってボトルキャップ部材122を離れて接続管130を通過してタイヤ60へと流動させることで、タイヤの補修及び空気充填の効果を達成する。エアコンプレッサ本体110が高圧気流を生む方法と原理については本分野で既知であり、ここでは説明しない。
【0021】
図4は、図1の車載用エアコンプレッサの部分斜視図である。図5は、図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの部分断面図である。図4図5を参照し、具体的には、シール兼フロー案内部材124はボトルキャップ部材122内に位置し、且つシール部1241とフロー案内部1242とを含み、シール部1241はフロー案内部1242を囲み、フロー案内部1242は空気導入端1221と空気排出端1222との間に連通する。シール部1241とフロー案内部1242は一体成型構造である。即ち、シール兼フロー案内部材124は複数の部品を組み合わせて成るものではなく、一体成型による単一部材である。タイヤシーラントボトル50のボトルの口52がボトルキャップ部材122に接続されたとき、タイヤシーラントボトル50のボトルの口52はシール兼フロー案内部材124のシール部1241を下へ押圧し、シール部1241をボトルキャップ部材122とタイヤシーラントボトル50のボトルの口52との間で圧縮させて、タイヤシーラントボトル50内のタイヤシーラントがボトルの口52とボトルキャップ部材122との間の隙間を通過して流出することを避けることができる。
【0022】
図6は、図2のボトルキャップ部材及びシール兼フロー案内部材の斜視図である。図7は、図6のボトルキャップ部材の斜視図である。図8は、図6のシール兼フロー案内部材の斜視図である。図6図8を参照し、詳細には、本実施形態のボトルキャップ部材122は空気導入口122aと空気排出口122bとを有し、空気導入口122aは空気導入端1221と連通し、空気排出口122bは空気排出端1222と連通する。これにより、ボトルキャップ部材122の内部は空気導入口122aによってエアコンプレッサ本体110と連通し、且つ空気排出口122bによって接続管130と連通する。また、フロー案内部1242は空気導入口122aを覆い、且つ少なくとも1つの空気導入孔1242a(2つとして図示)と1つの空気排出孔1242bとを有する。フロー案内部1242は空気導入孔1242aによって空気導入口122aと連通し、且つ空気排出孔1242bによって空気排出口122bと連通する。ボトルキャップ部材122とタイヤシーラントボトル50のボトルの口52が図5に示すように相互接続されたとき、フロー案内部1242の空気導入孔1242aと空気排出孔1242bはタイヤシーラントボトル50の内部空間と連通する。エアコンプレッサ本体110からの高圧気流は、空気導入口122a、空気導入孔1242a、タイヤシーラントボトル50の内部空間、空気排出孔1242b、空気排出口122bの順に通過する。
【0023】
上述した配置方式において、シール兼フロー案内部材124は、そのシール部1241によって既存のシール機能を提供する以外に、そのフロー案内部1242によってボトルキャップ部材122の空気導入口122aを覆う。これに基づき、エアコンプレッサ本体110からの高圧気流はフロー案内部1242の案内によってボトルキャップ部材122の空気排出口122bへとスムーズに流動すると同時に、フロー案内部1242はタイヤシーラントボトル50内のタイヤシーラントがボトルキャップ部材122の空気導入口122aへと流れることを防止することができる。即ち、本実施形態は既存のシール部材にフロー案内部1242を一体成型することによってボトルキャップ部材122の空気導入口122aを覆い、故にこの目的を達成するために別途部品を増やす必要がない。このため、本実施形態の車載用エアコンプレッサ100及びそのボトルキャップ組立体120は、簡易な構造でタイヤシーラントのエアコンプレッサ本体110への流動を防止し、ボトルキャップ部材122の製造組立の難易度を下げることができる。
【0024】
図9は、図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの部分的構造を図示している。図10は、図1の車載用エアコンプレッサ及びタイヤシーラントボトルの部分的構造を図示している。図11は、図6のボトルキャップ部材及びシール兼フロー案内部材の部分的構造を図示している。図9図11を参照し、詳細には、本実施形態のシール兼フロー案内部材124とボトルキャップ部材122との間の間隙はフロー案内チャネル120aを形成し、フロー案内チャネル120aは空気導入孔1242aと空気排出孔1242bとの間に連通する。エアコンプレッサ本体110(図1に図示)からの高圧気流は、図9に示した流動経路P1に沿って、空気導入端1221、空気導入口122a、フロー案内チャネル120a、空気導入孔1242aを順に通過してタイヤシーラントボトル50内部に到達し、且つタイヤシーラントボトル50内部のタイヤシーラント501は、高圧気流に伴って図10に示した流動経路P2に沿って、空気排出孔1242b、空気排出口122b、空気排出端1222を順に通過して、接続管130を介してタイヤ60(図3に図示)へと流動する。
【0025】
更に述べると、フロー案内チャネル120aは図9及び図10に示すようにジグザグに延伸し、且つフロー案内チャネル120a(即ち、シール兼フロー案内部材124とボトルキャップ部材122との間の間隙)の幅は空気導入口122aの内径及び空気導入孔1242aの内径よりも小さい。これに基づき、タイヤシーラントボトル50内の表面張力を有するタイヤシーラントがフロー案内チャネル120aを介してボトルキャップ部材122の空気導入口122aへと流れることはない。フロー案内チャネル120aの幅は、例えば0.1~0.3mmであるが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
図8を参照し、本実施形態において、シール兼フロー案内部材124のフロー案内部1242はボスCを含み、空気導入孔1242aはボスCの頂端に位置し、ボスCの底端が空気排出孔1242b及びシール部1241に隣接する。即ち、シール兼フロー案内部材124のフロー案内部1242は、ボスCと、ボスCの頂端に形成された空気導入孔1242aと、ボスCの底端に隣接する空気排出孔1242bとを含む。空気導入口122aとフロー案内チャネル120aはボスC内部に位置する。タイヤシーラントボトル50がボトルキャップ部材122に接続されたとき、ボスCはタイヤシーラントボトル50内へ突出して空気導入孔1242aを確実にタイヤシーラントボトル50の内部空間へと向ける。
【0027】
図6図8を参照し、本実施形態において、シール兼フロー案内部材124は複数の位置決めスロット124aを有し、ボトルキャップ部材122は2つの位置決めリブ1223と2つの切刃リブ1224とを有する。2つの位置決めリブ1223はそれぞれ位置決めスロット124aと空気排出孔1242bとを貫通し、且つ2つの切刃リブ1224はそれぞれ他の2つの位置決めスロット124aを貫通することで、シール兼フロー案内部材124がボトルキャップ部材122に対して回転することを防止する。上記から、本実施形態において、タイヤシーラントボトル50とボトルキャップ部材122は、例えば相対して回転することでねじ蓋方式で相互接続される。タイヤシーラントボトル50とボトルキャップ部材122が接続過程で相対して回転したとき、上述した位置決めスロット124aと位置決めリブ1223等の位置決め設計はシール兼フロー案内部材124が前記の回転によってねじれ変形することを避けることができる。
【0028】
また、タイヤシーラントボトル50とボトルキャップ部材122の接続過程において、切刃リブ1224はタイヤシーラントボトル50のボトルの口52上の封止フィルムを切るよう構成されることで、シール兼フロー案内部材124をタイヤシーラントボトル50の内部空間とスムーズに連通させる。
【0029】
図2図4を参照し、本実施形態において、車載用エアコンプレッサ100は、位置制限部材140と、少なくとも1つの締結部材150(2つとして図示)とを更に含む。位置制限部材140はボトルキャップ部材122の位置をエアコンプレッサ本体110に制限し、締結部材150は例えばねじであり、且つ位置制限部材140をエアコンプレッサ本体110に締結する。これに基づき、使用者は僅かにボトルキャップ部材122をエアコンプレッサ本体110に単純に設置して位置制限部材140を設置すればボトルキャップ部材122の取付けを完成することができ、且つ使用は僅かに位置制限部材140を取り外して、次いでボトルキャップ部材122を取り外せばボトルキャップ部材122の取外し及び/又はタイヤシーラントボトル50の交換を完成することができる。更に述べると、締結部材150の締結方向は例えば、ボトルキャップ部材122の空気導入端1221の挿入方向(図2に示す方向D)と同一であり、且つ締結部材150の締結位置とボトルキャップ部材122の空気導入端1221の挿入位置はいずれもエアコンプレッサ本体110の同一側(即ち、エアコンプレッサ本体110の上側)に位置し、これにより使用者に都合よく同一の位置において同一の作業方向で車載用エアコンプレッサ100を組み立てることができるようにする。また、締結部材150の締結方向はボトルキャップ部材122の空気導入端1221の挿入方向と同一であることから、締結部材150の締結によって空気導入端1221を安定してエアコンプレッサ100に挿入することができる。
【0030】
以下に、本実施形態の車載用エアコンプレッサの操作フローを説明する。
【0031】
図12A図12Eは、図1の車載用エアコンプレッサの操作フロー図である。図13A図13Cは、それぞれ図12A図12Cの車載用エアコンプレッサの上面図である。先ず、図12A図13Aに示すように、接続管130をボトルキャップ部材122の空気排出端1222に被せて装着し、管クランプ160を用いて接続管130を空気排出端1222に締結する。次いで、図12B図13Bに示すように、エアコンプレッサ100の2つの案内面116の案内によってボトルキャップ部材122をエアコンプレッサ本体110に装着し、エアコンプレッサ本体100の2つの係止フック114によってボトルキャップ部材122を位置決めし、且つ同時にボトルキャップ部材122の空気導入端1221をエアコンプレッサ本体110の空気排出管112に挿入し、空気排出管112を空気導入口122aと連通させる。空気導入端1221と空気排出管112との間の隙間は空気導入端1221に被せて設けられたシールリング170によって封止される。また、エアコンプレッサ本体110の頂面は開口110aを有し、空気排出管112とボトルキャップ部材122との相互接続箇所は図13Bに示すように開口110aに対応し、使用者が開口110aを通じて空気排出管112とボトルキャップ部材122とが確実に接続されたかか否かを目視で確認できるようにする。
【0032】
その後、図12C図13Cに示すように、締結部材150は位置制限部材140をエアコンプレッサ本体110に締結して図12Dに示す状態とし、位置制限部材140にボトルキャップ部材122をエアコンプレッサ本体110へと締め付けさせ、且つ位置制限部材140を接続管130に押さえ付けさせる。次いで、図12D図12Eに示すように、タイヤシーラントボトル50のボトルの口52がボトルキャップ部材122に結合され、この過程においてボトルの口52にある封止フィルム52aはボトルキャップ部材122の切刃リブ1224(図7に図示)によって切られ、エアコンプレッサ本体110からの高圧気流を後続のタイヤ補修及び空気充填作業において流動経路P1に沿ってタイヤシーラントボトル50へと進入させ、且つタイヤシーラントボトル50内のタイヤシーラント501を後続のタイヤ補修及び空気充填作業において高圧気流に伴って流動経路P2に沿ってタイヤシーラントボトル50から離れさせることができる。最後に、図3に示すように、接続管130をタイヤ60に接続すれば、車載用エアコンプレッサ100のタイヤ60に対するタイヤ補修及び空気充填を開始することができる。
【0033】
図14は、図1のタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。図15は、図2のタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。図16Aは、図12Dのタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。図16Bは、図12Eのタイヤシーラントボトルのカバー体への置き換えを図示している。本実施形態の車載用エアコンプレッサ100はタイヤ60に空気充填を行うのみであり、タイヤ60に対してタイヤ補修は行わない。具体的には、図1図2図12D図12E中のタイヤシーラントボトル50は、図14図15図16A図16B中のカバー体70に置き換えられ、残りの操作フローは前述したものと同一であり、ここでは繰り返し述べない。図14図15図16A図16Bに示した方式はタイヤシーラントボトル50を使用せず、故に図16Bの流動経路P3が示すように、エアコンプレッサ本体110からの高圧気流はボトルキャップ組立体120を通過した後に直接タイヤへ到達して空気充填を行う。
【0034】
上記をまとめると、本発明の車載用エアコンプレッサにおいて、シール兼フロー案内部材は、そのシール部が既存のシール機能を提供する以外に、そのフロー案内部によってボトルキャップ部材の空気導入口を覆う。これに基づき、エアコンプレッサ本体からの高圧気流をフロー案内部によって案内してボトルキャップ部材の空気排出口へとスムーズに流動させると同時に、フロー案内部はタイヤシーラントボトル内のタイヤシーラントがボトルキャップ部材の空気導入口へと流れることを防止することができる。つまり、本発明は既存のシール部材にフロー案内部を一体成型することによってボトルキャップ部材の空気導入口を覆い、故にこの目的を達成するために別途部品を増やす必要がない。これにより、本発明の車載用エアコンプレッサ及びボトルキャップ組立体は簡易な構造によってタイヤシーラントのエアコンプレッサ本体への流動を防止し、ボトルキャップ組立体の製造組立の難易度を下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、車両の空気充填及び/又はタイヤ補修装置に応用可能な車載用エアコンプレッサを提供する。
【符号の説明】
【0036】
50:タイヤシーラントボトル
52:ボトルの口
52a:封止フィルム
60:タイヤ
70:カバー体
100:車載用エアコンプレッサ
110:エアコンプレッサ本体
110a:開口
112:空気排出管
114:係止フック
116:案内面
120:ボトルキャップ組立体
120a:フロー案内チャネル
122:ボトルキャップ部材
122a:空気導入口
122b:空気排出口
1221:空気導入端
1222:空気排出端
1223:位置決めリブ
1224:切刃リブ
124:シール兼フロー案内部材
124a:位置決めスロット
1241:シール部
1242:フロー案内部
1242a:空気導入孔
1242b:空気排出孔
130:接続管
140:位置制限部材
150:締結部材
160:管クランプ
170:シールリング
501:タイヤシーラント
C:ボス
D:方向
P1、P2、P3:流動経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16A
図16B