(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-18
(45)【発行日】2025-09-29
(54)【発明の名称】水晶振動子
(51)【国際特許分類】
H03H 9/02 20060101AFI20250919BHJP
H03B 5/32 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
H03H9/02 N
H03B5/32 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024204313
(22)【出願日】2024-11-22
【審査請求日】2024-11-22
(32)【優先日】2024-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506413591
【氏名又は名称】台灣晶技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】郭 秉濬
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010012(JP,A)
【文献】特開2019-068304(JP,A)
【文献】特開2019-211229(JP,A)
【文献】特開2014-192892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
H03B 5/30- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体及び第2筐体を含む筐体と、
前記第2筐体の外面に配置されたパッドと、
2つの肉厚部、及び前記2つの肉厚部にそれぞれ接続される肉薄部を含む共振水晶片であって、前記2つの肉厚部は、前記第1筐体と前記第2筐体との間に挟まれて配置され、前記第1筐体の内面と前記共振水晶片の前記肉薄部との間は密閉された第1空間を形成し、前記第2筐体の内面と前記共振水晶片の前記肉薄部との間は密閉された第2空間を形成する前記共振水晶片と、
前記第1空間又は前記第2空間内に配置され、前記パッドに電気的に接続されるサーミスタと、
を含む、水晶振動子。
【請求項2】
前記サーミスタは前記第1空間内に配置さ
れる、
請求項
1に記載の水晶振動子。
【請求項3】
前記サーミスタは、前記第1筐体の前記内面上に配置される、
請求項
2に記載の水晶振動子。
【請求項4】
前記第1筐体の前記内面は、前記第1筐体の内部に向かって、前記共振水晶片から離れる方向に凹んだ凹溝を有し、前記サーミスタは前記凹溝内に配置される、
請求項
3に記載の水晶振動子。
【請求項5】
前記サーミスタは前記第2空間内に配置さ
れる、
請求項
1に記載の水晶振動子。
【請求項6】
前記サーミスタは、前記第2筐体の前記内面上に配置される、
請求項
5に記載の水晶振動子。
【請求項7】
前記第2筐体の前記内面は、前記第2筐体の内部に向かって、前記共振水晶片から離れる方向に凹んだ凹溝を有し、前記サーミスタは前記凹溝内に配置される、
請求項
6に記載の水晶振動子。
【請求項8】
前記筐体及び前記共振水晶片の材質は石英である、
請求項1に記載の水晶振動子。
【請求項9】
2つの封止リングをさらに含み、前記2つの封止リングのうちの一方は、前記第1筐体と前記共振水晶片の前記2つの肉厚部の間に配置され、前記2つの封止リングのうちの他方は、前記第2筐体と前記共振水晶片の前記2つの肉厚部の間に配置される、
請求項1に記載の水晶振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関し、特に、水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水晶振動子は、筐体、共振水晶片及びサーミスタを含む。共振水晶片は筐体内に配置され、サーミスタは筐体外に配置されるため、サーミスタは共振水晶片の温度を正確に測定できず、また、水晶振動子の体積が過度に大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、温度を正確に測定できる水晶振動子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の水晶振動子は、筐体と、パッドと、共振水晶片と、サーミスタと、を含む。筐体は、第1筐体及び第2筐体を含む。パッドは第2筐体の外面に配置される。共振水晶片は、2つの肉厚部、及び両端が2つの肉厚部にそれぞれ接続される肉薄部を含む。2つの肉厚部は、第1筐体及び第2筐体との間に挟まれて配置される。第1筐体の内面と共振水晶片の肉薄部との間は密閉された第1空間を形成し、第2筐体の内面と共振水晶片の肉薄部との間は密閉された第2空間を形成する。サーミスタは、第1空間又は第2空間内に配置され、パッドに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0005】
以上に基づき、本発明の水晶振動子のサーミスタは筐体内に配置され、筐体内の共振水晶片に近いので、共振水晶片の温度を正確に測定することができる。筐体内に配置されたサーミスタを介して、水晶振動子の体積を削減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態による水晶振動子の概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による水晶振動子の概略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による水晶振動子の概略図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による水晶振動子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態による水晶振動子の概略図である。
図1を参照すると、水晶振動子100は、筐体110と、パッド120、共振水晶片130と、サーミスタ140と、を含む。筐体110は、第1筐体111及び第2筐体112を含む。パッド120は、第2筐体112の外面115に配置される。共振水晶片130は、2つの肉厚部132及び肉薄部133を含み、肉薄部133の両端は、2つの肉厚部132にそれぞれ接続される。2つの肉厚部132は、第1筐体111及び第2筐体112との間に挟まれて配置される。
【0008】
第1筐体111の内面113と共振水晶片130の肉薄部133との間は、密閉された第1空間P1を形成し、第2筐体112の内面114と共振水晶片130の肉薄部133との間は、密閉された第2空間P2を形成する。第2筐体112の内面114は外面115に対応する。サーミスタ140は、第1空間P1又は第2空間P2内に配置され、パッド120に電気的に接続される。パッド120は、第2空間P2の外側に位置する。
【0009】
サーミスタ140は、筐体110内において共振水晶片130により近くに配置されるため、共振水晶片130の温度をより正確に測定することができる。サーミスタ140は、例えば薄膜型サーミスタ140であり、水晶振動子100の体積を削減することができる。パッド120の数は、例えば2つであるが、これに限定されるものではない。
【0010】
水晶振動子100は、回路構造150をさらに含み、回路構造150の両端151、152は、パッド120及びサーミスタ140にそれぞれ接続される。回路構造150は筐体110の一部を貫通する。サーミスタ140は、回路構造150を介してパッド120に電気的に接続される。本実施形態におけるサーミスタ140は、第1空間P1内に配置され、第1筐体111と共振水晶片130との間に位置する。筐体110は、内部平坦面117を含む。ここで、内部平坦面117は第1筐体111の内面113である。サーミスタ140は、第1筐体111の内部平坦面117(内面113)において、共振水晶片130に面して配置される。サーミスタ140は共振水晶片130により近いので、共振水晶片130の温度をより正確に測定することができる。回路構造150の両端151、152間の中間部153は、共振水晶片130の2つの肉厚部132の少なくとも1つ及び第2筐体112を貫通する。本実施形態における中間部153は2つの肉厚部132を貫通する。
【0011】
共振水晶片130の2つの肉厚部132及び肉薄部133との間は凹溝131を形成し、共振水晶片130はネック構造を形成する。サーミスタ140は凹溝131に対応する。筐体110及び共振水晶片130の材質は石英であるため、封止筐体110(筐体110)と共振水晶片130との膨張係数を同一にすることができる。
【0012】
従来の水晶振動子では、封止筐体及び共振水晶片の材質が異なるため、異なる膨張係数を有し、従来の水晶振動子は昇降温の過程において、封止筐体と共振水晶片の周波数変化が不一致となり、遅れ(ヒステリシス)が生じ、従来の水晶振動子の正確性に影響する。本実施形態では、水晶振動子100の筐体110と共振水晶片130が同一の膨張係数を有する(すなわち、材質が同一である)ため、水晶振動子100は昇降温の過程において、筐体110と共振水晶片130の周波数変化が一致し、水晶振動子100はより好ましい正確性を有する。
【0013】
また、水晶振動子100は、2つの封止リング160をさらに含む。一方の封止リング160は、第1筐体111と共振水晶片130の2つの肉厚部132との間に配置され、他方の封止リング160は、第2筐体112と共振水晶片130の2つの肉厚部132との間に配置されるため、筐体110と共振水晶片130との間とを密閉することができる。
【0014】
図2は、本発明の別の実施形態による水晶振動子の概略図である。
図1及び
図2を同時に参照すると、本実施形態における水晶振動子100aは前述の実施形態と類似しており、両者の差異は、本実施形態における第1筐体111aの内面113aは、第1筐体111aの内部に向かって、共振水晶片130から離れる方向に凹んだ凹溝116を含む。サーミスタ140は、凹溝116内に配置される。凹溝116により、筐体110aは、技術者が水晶振動子100aを組み立てるのを容易にするためのより大きな空間を有する。第1空間P1内に位置する回路構造150aは、凹溝116の表面に沿って延伸し、サーミスタ140に接続される。本実施形態における水晶振動子100aは、前述の実施形態と同様の効果を有するため、ここでは説明を省略する。
【0015】
図3は、本発明の別の実施形態による水晶振動子の概略図である。
図1及び
図3を同時に参照すると、本実施形態における水晶振動子100bは前述の実施形態と類似しており、両者の差異は、本実施形態におけるサーミスタ140は第2空間P2内に配置される。ここで、筐体110の内部平坦面117は、第2筐体112の内面114である。サーミスタ140は、第2筐体112の内面114(内部平坦面117)上に配置される。回路構造150bの両端151、152間の中間部153は第2筐体112のみを貫通する。本実施形態における水晶振動子100bは、前述の実施形態と同様の効果を有するため、ここでは説明を省略する。
【0016】
図4は、本発明の別の実施形態による水晶振動子の概略図である。
図3及び
図4を同時に参照すると、本実施形態における水晶振動子100cは前述の実施形態と類似しており、両者の差異は、本実施形態における第2筐体112cの内面114cは、第2筐体112cの内部に向かって、共振水晶片130から離れる方向に凹んだ凹溝116cを有する。サーミスタ140は凹溝116c内に配置される。第2空間P2内に位置する回路構造150cは、凹溝116cの表面に沿って延伸し、サーミスタ140に接続される。本実施形態における水晶振動子100cは、前述の実施形態と同様の効果を有するため、ここでは説明を省略する。
【0017】
以上をまとめ、本発明の水晶振動子のサーミスタは筐体内に配置され、筐体内の共振水晶片に近いので、共振水晶片の温度を正確に測定することができる。筐体内に配置されたサーミスタを介して、水晶振動子の体積を削減することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の水晶振動子は、温度を正確に測定することができる。
【符号の説明】
【0019】
P1:第1空間
P2:第2空間
100、100a、100b、100c:水晶振動子
110、110a、110c:筐体
111、111a:第1筐体
112、112c:第2筐体
113、113a、114、114c:内面
115:外面
116、116c:凹溝
117:内部平坦面
120:パッド
130:共振水晶片
131:凹溝
132:肉厚部
133:肉薄部
140:サーミスタ
150、150a、150b、150c:回路構造
151、152:端
153:中間部
160:封止リング
【要約】 (修正有)
【課題】温度を正確に測定できる水晶振動子を提供する。
【解決手段】水晶振動子100において、筐体110は、第1筐111体及び第2筐体112を含む。パッド120は、第2筐体の外面に配置される。共振水晶片130は、2つの肉厚部132及び両端が2つの肉厚部にそれぞれ接続される肉薄部133を含む。2つの肉厚部は、第1筐体及び第2筐体との間に挟まれて配置される。第1筐体の内面113と共振水晶片の肉薄部との間は密閉された第1空間P1を形成し、第2筐体の内面114と共振水晶片の肉薄部との間は密閉された第2空間P2を形成する。サーミスタ140は、第1空間又は第2空間内に配置され、パッドに電気的に接続される。
【選択図】
図1