(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-22
(45)【発行日】2025-10-01
(54)【発明の名称】ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
C08F 220/38 20060101AFI20250924BHJP
C08F 220/30 20060101ALI20250924BHJP
C08F 230/04 20060101ALI20250924BHJP
C08F 220/22 20060101ALI20250924BHJP
G03F 7/38 20060101ALI20250924BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20250924BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20250924BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
C08F220/38
C08F220/30
C08F230/04
C08F220/22
G03F7/38 511
G03F7/40 501
G03F7/038 601
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2022543982
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030330
(87)【国際公開番号】W WO2022039212
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2020139195
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222691
【氏名又は名称】東洋合成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 智至
(72)【発明者】
【氏名】古澤 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】町田 康平
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-168712(JP,A)
【文献】特開2011-191734(JP,A)
【文献】特開2017-207532(JP,A)
【文献】国際公開第2020/170555(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/057537(WO,A1)
【文献】特開2016-047920(JP,A)
【文献】特開2018-43976(JP,A)
【文献】特開2011-037836(JP,A)
【文献】特開2016-108508(JP,A)
【文献】特開2016-141796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/38
C08F 220/30
C08F 230/04
C08F 220/22
G03F 7/38
G03F 7/40
G03F 7/038
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニウム塩構造を有し、粒子線又は電磁波の照射により酸を発生するユニットAと、
酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含み、
前記ユニットAが下記式(1)で示される
ユニットであり、
【化1】
(前記一般式(1)中、
R
1は、水素原子;直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R
1中の前記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよく、
Lは、直接結合、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、フェニレンジイル基、ナフタレンジイル基、フェニレンジイルオキシ基、ナフタレンジイルオキシ基、フェニレンジイルカルボニルオキシ基、ナフタレンジイルカルボニルオキシ基、フェニレンジイルオキシカルボニル基及びナフタレンジイルオキシカルボニル基からなる群より選択されるいずれかであり、
Spは、直接結合;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;及び置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;のいずれかであり、前記Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
M
+はスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであり、
X
-は、ヒドロキシル基及びスルファニル基からなる群より選択される少なくとも1つを含む有機基を有する1価のアニオンである。)
前記ユニットBが、下記一般式(I)又は(II)で示される化合物が該化合物のいずれかの位置で下記式(2)のSp基と結合したユニットであるポリマー。
【化2】
(前記一般式(I)中、
R
2
及びR
3
は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかであり、
Eは、直接結合;酸素原子;硫黄原子;及びメチレン基;からなる群より選択されるいずれかであり、
n
1
は、0又は1の整数であり、
n
4
及びn
5
は、それぞれ1~2の整数であり、n
4
+n
5
は2~4であり、
n
4
が1のときn
2
は0~4の整数であり、n
4
が2のときn
2
は0~6の整数であり、
n
5
が1のときn
3
は0~4の整数であり、n
5
が2のときn
3
は0~6の整数であり、
n
2
が2以上でR
2
が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR
2
が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよく、
n
3
が2以上でR
3
が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR
3
が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
前記一般式(II)中、
R
4
は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかであり、
R
4
のうち少なくとも一つは前記電子供与性基であり、
R
5
は、水素原子;置換基を有してもよいアルキル基;及び置換基を有してもよいアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、前記R
5
中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、前記R
5
は該R
5
を有するヒドロキシメチレン基が結合したベンゼン環と共に環構造を形成してもよく、
n
6
は0~7の整数であり、
n
7
は1又は2であり、n
7
が1のときn
6
は0~5の整数であり、n
7
が2のときn
6
は0~7の整数であり、
n
6
が2以上でR
4
が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR
4
が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。)
【化3】
(前記式(2)中、
R
1
、L及びSpは、それぞれ前記一般式(1)のR
1
、L及びSpと同じ選択肢から選択され、
*は前記一般式(I)又は(II)で示される化合物との結合部位を示す。)
【請求項2】
前記有機基の少なくとも1つの前記ヒドロキシル基が、1級アルコール、2級アルコール及び3級アルコールからなる群より選択されるいずれか由来であり、
前記有機基の少なくとも1つの前記スルファニル基が、1級チオール、2級チオール及び3級チオールからなる群より選択されるいずれか由来である請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記有機基の少なくとも1つの前記ヒドロキシル基が、1級アルコール及び2級アルコールからなる群より選択されるいずれか由来であり、
前記有機基の少なくとも1つの前記スルファニル基が、1級チオール及び2級チオールからなる群より選択されるいずれか由来である請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
X
-が、ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルサルフェートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールサルフェートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルスルホネートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールスルホネートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルカルボキシレートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールカルボキシレートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するジアルキルスルホニルイミドアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するトリアルキルスルホネートメチドアニオン;並びにヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するテトラキスフェニルボレートアニオン;からなる群より選択されるいずれかであり、
X
-中のアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されていてもよい請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
X
-が、ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルスルホネートアニオン、並びに、ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールスルホネートアニオンのいずれかであり、
X
-中のアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されていてもよい、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーがユニットCをさらに含み、
該ユニットCが、炭素原子と炭素原子との多重結合及び炭素原子とヘテロ原子との多重結合からなる群より選択される少なくとも1つの多重結合を含有するラジカル発生構造を有し、粒子線又は電磁波の照射により第2ラジカルを発生するユニットCであり、
前記ラジカル発生構造中の多重結合はベンゼン系芳香族内に含まれる多重結合でない、請求項1~
5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記多重結合が、下記に示される結合の少なくともいずれかである請求項
6に記載のポリマー。
【化4】
【請求項8】
前記ユニットCが、アルキルフェノン骨格、アシルオキシム骨格及びベンジルケタール骨格からなる群より選択されるいずれかを有する請求項
6又は
7に記載のポリマー。
【請求項9】
前記ユニットAが下記式(3)で示される請求項1~
8のいずれか一項に記載のポリマー。
【化5】
(前記一般式(3)中、
R
1、L、Sp及びX
-は、それぞれ前記一般式(1)のR
1、L、Sp及びX
-と同じ選択肢から選択され、
R
6aは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリーレン基;置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリーレン基;及び直接結合;からなる群より選択されるいずれかであり、前記R
6a中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
R
6bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基;及び、置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基からなる群より選択されるいずれかであり、前記R
6b中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
R
6a及び2つのR
6bのうち2つは、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合している硫黄原子と環構造を形成してもよい。)
【請求項10】
前記M
+X
-が下記一般式(11)又は下記式(12)で示されるいずれかである請求項1~
8のいずれか一項に記載のポリマー。
【化6】
【化7】
(前記式(11)及び(12)中、
前記R
14は独立して各々に、アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アリールスルファニルカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、アリールスルファニル基、ヘテロアリールスルファニル基、アルキルスルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、(ポリ)アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基及びジアルキルシアノ基からなる群より選択されるいずれかであり、
R
17及びR
18は独立して各々に、アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アリールスルファニルカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、アリールスルファニル基、ヘテロアリールスルファニル基、アルキルスルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロアリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基及びハロゲン原子からなる群より選択されるいずれかであり、
前記R
14、R
17及びR
18が炭素を有する場合の炭素原子数が1~12であり、かつ、前記R
14、R
17及びR
18が水素原子を有するとき、該水素原子が置換基で置換されていても良く、
R
19は、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~14のアリール基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかであり、
前記R
19と、前記R
18が結合するベンゼン環及び前記R
17が結合するベンゼン環のいずれかと、が単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合する硫黄原子と共に環構造を形成してもよく、
前記R
14、R
17及びR
18がメチレン基を有するとき該メチレン基の少なくとも1つが2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
前記R
15及びR
16は独立して各々に、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルケニル基;置換基を有してもよい炭素原子数6~14のアリール基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかであり、
前記R
15及びR
16は、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子及びアルキレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに結合して環構造を形成してもよく、
前記R
15及びR
16中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
L
3は、直接結合;直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルキレン基;炭素原子数2~12のアルケニレン基;スルフィニル基、スルホニル基及びカルボニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、
R
14、R
18及びR
19の中のいずれかの1つの水素は、前記式(1)中のSpとの結合に置き換えられ、
Yは酸素原子又は硫黄原子であり、
qは0~4の整数であり、
fは0~3の整数であり、
gは1~5の整数であり、
jは0~2の整数であり、
kは1~4の整数であり、
(ただし、前記R
19と、前記R
18が結合するベンゼン環及び前記R
17が結合するベンゼン環のいずれかとが、前記硫黄原子と共に環構造を形成する場合は、前記式(11)においてqが0~3又はjが0~2であり、前記式(12)においてqが0~3又はjが0~1である)
前記式(11)及び(12)におけるベンゼン環の少なくとも1つは、ヘテロ原子を環中に有する6員環のヘテロ芳香環であってもよく、前記式(11)及び(12)におけるR
14に結合するベンゼン環が前記ヘテロ芳香環のときkが0~4であってもよく、
前記式(11)及び(12)においてR
14を2つ以上有するとき、R
14のうち2つが互いに連結して環構造を形成していてもよく、
X
-は前記式(1)のX
-と同じ選択肢から選択される。)
【請求項11】
前記ユニットCが下記一般式(4)の少なくともいずれかで示されるものである請求項
6~
10のいずれか一項に記載のポリマー。
【化8】
(前記一般式(4)中、
R
1、L、Sp及びX
-は、それぞれ前記一般式(1)のR
1、L、Sp及びX
-と同じ選択肢から選択され、
R
7は、それぞれ独立に、水素原子;ヒドロキシ基;-R
a(R
aは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基であり、R
a中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていていてもよい。);-OR
a;及び該R
a中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基;及び、-R
b(R
bは、置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基である。);からなる群より選択されるいずれかであり、
2つのR
7は、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよく、
R
8は、-R
a;-R
b;-OR
a;-SR
a;-OR
b;-SR
b;-OC(=O)R
a;-OC(=O)R
b;-C(=O)OR
a;-C(=O)OR
b;-OC(=O)OR
a;-OC(=O)OR
b;-NHC(=O)R
a;-NR
aC(=O)R
a;-NHC(=O)R
b;-NR
bC(=O)R
b;-NR
aC(=O)R
b;-NR
bC(=O)R
a;-N(R
a)
2;-N(R
b)
2;-N(R
a)(R
b);-SO
3R
a;-SO
3R
b;-SO
2R
a;-SO
2R
b;該-R
a中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基;及びニトロ基;からなる群より選択されるいずれかであり、m
2は1~3の整数であり、m
2が1のときm
1は0~4の整数であり、m
2が2のときm
1は0~6の整数であり、m
2が3のときm
1は0~8の整数であり、
m
1が2以上のとき、2つのR
8は、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。)
【請求項12】
前記ユニットCが前記一般式(4)で示されるものであり、前記一般式(4)中のR
7の少なくとも1つがヒドロキシ基である請求項
11に記載のポリマー。
【請求項13】
アリールオキシ基を有するユニットDをさらに含む請求項1~
12のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項14】
Sn、Sb、Ge、Bi及びTeからなる群より選択される金属原子を有する有機金属化合物含有ユニットEをさらに含む請求項1~
13のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項15】
ハロゲン原子を有する下記式(7)で示されるユニットFをさらに含む請求項1~
14のいずれか一項に記載のポリマー。
【化9】
(前記一般式(7)中、
R
1、L及びSpは、それぞれ前記一般式(1)のR
1、L及びSpと同じ選択肢から選択され、
R
hは、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキレンオキシ基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニレンオキシ基;置換基を有していても良い炭素数6~14のアリール基;及び置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかであり、
且つ、炭素原子に置換している水素原子の一部又は全てが、フッ素原子又はヨウ素原子に置換されている。)
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか一項に記載のポリマーを含有するレジスト組成物。
【請求項17】
有機金属化合物及び有機金属錯体のいずれかをさらに含有し、
前記金属は、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Xe、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Rn及びRaからなる群より選択される少なくとも1種である請求項
16に記載のレジスト組成物。
【請求項18】
請求項
16又は
17に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁波を用いて、前記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、
を含む部材の製造方法。
【請求項19】
前記パターン形成工程における現像を水溶性有機溶剤を含む水溶液を用いて行う請求項
18に記載の部材の製造方法。
【請求項20】
前記フォトリソグラフィ工程において、前記粒子線又は電磁波の露光後に前記粒子線又は電磁波よりも低いエネルギーである第2活性エネルギー線を照射する、請求項
18又は
19に記載の部材の製造方法。
【請求項21】
前記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして前記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、
前記露出したレジストパターン表面部分の前記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、をさらに含む請求項
18~
20のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
【請求項22】
前記粒子線が電子線であり、前記電磁波が極端紫外線である、請求項
18~
21のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
【請求項23】
請求項
16又は
17に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁波を用いて、前記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むパターン形成方法。
【請求項24】
前記パターン形成工程における現像を水溶性有機溶剤を含む水溶液を用いて行う請求項
23に記載のパターン形成方法。
【請求項25】
前記フォトリソグラフィ工程において、前記粒子線又は電磁波の露光後に前記粒子線又は電磁波よりも低いエネルギーである第2活性エネルギー線を照射する、請求項
23又は
24に記載のパターン形成方法。
【請求項26】
請求項
16又は
17に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁波を用いて、前記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、
前記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして前記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、
前記露出したフォトレジストパターン表面部分の前記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、を含む反転パターンの形成方法。
【請求項27】
前記パターン形成工程における現像を水溶性有機溶剤を含む水溶液を用いて行う請求項
26に記載の反転パターンの形成方法。
【請求項28】
前記フォトリソグラフィ工程において、前記粒子線又は電磁波の露光後に前記粒子線又は電磁波よりも低いエネルギーである第2活性エネルギー線を照射する、請求項
26又は
27に記載の反転パターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの態様は、レジスト組成物に用いられるポリマーに関する。また、本発明のいくつかの態様は、上記ポリマーを含有するレジスト組成物、該レジスト組成物を用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトレジストを用いるフォトリソグラフィ技術を駆使して、液晶ディスプレイ(LCD)及び有機ELディスプレイ(OLED)等の表示装置の製造並びに半導体素子の形成が盛んに行われている。上記の電子部品や電子製品のパッケージ等には、活性エネルギー線として波長365nmのi線、それより長波長のh線(405nm)及びg線(436nm)等の光が広く用いられている。
【0003】
デバイスの高集積化が進み、リソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっており、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、極短紫外線(EUV、波長13.5nm)及び電子線(EB)のような非常に波長の短い光が露光に使用される傾向にある。これらの波長の短い光、特にEUV又は電子線を用いたリソグラフィ技術はシングルパターニングでの製造が可能であることから、EUV又は電子線等に対し高い感応性を示すレジスト組成物の必要性は、今後更に高まると考えられる。
【0004】
露光光源の短波長化に伴い、レジスト組成物には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性のリソグラフィ特性の向上が求められている。このような要求を満たすレジスト組成物として化学増幅型レジストが知られている(特許文献1)。
しかしながら、従来の化学増幅型レジストにおいては、レジストの解像線幅が微細化するにつれて、レジストパターン倒れ及びラインパターンのラインエッジラフネス(LWR)の低減を十分に抑制することは難しい。
【0005】
レジストのLWRの低減及び高解像度化を達成するために、酸発生剤として分子量が大きく嵩高い酸アニオンやポリマーに結合した酸アニオンを有するものを用いることで熱による酸の拡散を低減する方法が知られている。(特許文献2、3)
【0006】
レジストパターン倒れを抑制するために、ネガ型化学増幅型レジストにおいては架橋密度を上げることが提案されている。しかし、現像時に膨潤してブリッジ等のディフェクトが発生することがあり、解像度及びパターン性能を維持して高い感度で架橋密度を上げることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-90637号公報
【文献】特開2011-53622号公報
【文献】特開2010-276910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの態様は、粒子線又は電磁波、特に電子線又はEUV等の照射により酸発生剤から生じる酸を利用するだけではなく、酸触媒反応と同時に電子線又はEUV等の照射により起こる反応を直接利用することで、酸拡散を大幅に抑制して解像度及びパターン性能の特性に優れたレジスト組成物に用いるポリマーを提供することを課題とする。
本発明のいくつかの態様は、上記ポリマーを含有するレジスト組成物、該レジスト組成物を用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ヒドロキシル基及びスルファニル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する1価の有機基をアニオンに有する特定のオニウム塩構造を有するユニットAと、特定の構造を有するユニットBと、を含むポリマーをレジスト組成物のポリマーとして用いることで、高感度であり且つラインワイズラフネス(LWR)を抑制できることを見出し、本発明のいくつかの態様を完成するに至った。
より詳しくは、上記ポリマーを含むレジスト組成物は粒子線又は電磁波等を照射されることで以下となることを知見として得た。まず、上記ユニットAが分解しイオン性から非イオン性となる大きな極性変換が起こる。それと共に、上記ユニットAの分解により酸を発生し、その発生した酸により、上記ユニットBが有するヒドロキシル基同士、及び/又は、上記ユニットAと上記ユニットBとの間で分子内架橋反応が起こる。上記ユニットAが有するオニウム塩構造のアニオンが、ヒドロキシル基又はスルファニル基を含む有機基を有するアニオンであることで、上記アニオンの一部が該アニオン中のヒドロキシル基若しくはスルファニル基と上記ユニットBと酸触媒反応によって結合してポリマーに取り込まれ、ポリマーアニオンの酸となる。そのため、上記ポリマーを含むレジスト組成物は、酸拡散を抑制でき、高感度であり且つラインワイズラフネス(LWR)を抑制できる。
【0010】
上記課題を解決する本発明の一つの態様は、ヒドロキシル基及びスルファニル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する1価の有機基をアニオンに有する特定のオニウム塩構造を有し、粒子線又は電磁波照射により酸を発生するユニットAと、酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含むポリマーである。
なお、上記ユニットAは下記式(1)で示される。
【0011】
【0012】
(上記一般式(1)中、R1は、水素原子;直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R1中の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよく、
Lは、直接結合、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、フェニレンジイル基、ナフタレンジイル基、フェニレンジイルオキシ基、ナフタレンジイルオキシ基、フェニレンジイルカルボニルオキシ基、ナフタレンジイルカルボニルオキシ基、フェニレンジイルオキシカルボニル基及びナフタレンジイルオキシカルボニル基からなる群より選択されるいずれかであり、
Spは、直接結合;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;及び置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;のいずれかであり、上記Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
M+はスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであり、
X-は、ヒドロキシル基及びスルファニル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する1価の有機基をアニオンに有する1価のアニオンである。)
【0013】
本発明の一つの態様は、上記ポリマーを含有するレジスト組成物である。
また、本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含む部材の製造方法である。
【0014】
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むパターン形成方法である。
【0015】
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、上記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして上記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、上記露出したレジストパターン表面部分の上記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、を含む反転パターンの形成方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のいくつかの態様に係るポリマーは、レジスト組成物として用いたときに、粒子線又は電磁波等の照射により分解してイオン性から非イオン性となる事で生じる極性変換に加えて、同時に酸を発生する。その発生した酸により、上記ユニットBが有するヒドロキシル基同士、及び/又は、上記ユニットAと上記ユニットBとの間で分子内架橋反応が起こる。また、発生する酸のアニオンがヒドロキシル基及びスルファニル基の少なくともいずれかを有することでポリマー内のユニットBと反応しポリマーアニオンの酸となる。そのため、嵩高いアニオンを用いなくともこのポリマーアニオンの酸を利用することで酸拡散を抑制したポリマーの分子内架橋反応とすることができる。
それにより、本発明のいくつかの態様に係るポリマーを用いてパターン形成をすると、感度及びラインエッジラフネス(LWR)の特性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、「粒子線又は電磁波」とは、電子線及び極端紫外線だけでなく、紫外線等を含むが、好ましくは電子線又は極端紫外線である。
本発明において、「粒子線又は電磁波照射」とは、ポリマーの少なくとも一部を粒子線又は電磁波に照射することである。粒子線又は電磁波にポリマーの一部が照射されることでポリマーの特定部分が励起又はイオン化され、活性種が生じる。該活性種により上記ユニットの一部が分解するか、該活性種が上記ユニットに付加するか、及び、該活性種により上記ユニットの水素が脱離されるか等の少なくともいずれかの2次反応を起こし、ラジカル又は酸が発生する。ここで「活性種」とは、ラジカルカチオン、ラジカル及び電子等のことである。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0018】
<1>ポリマー
本発明のいくつかの態様であるポリマーは、特定のオニウム塩構造を有する酸を発生するユニットAと、酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含むポリマーである。
【0019】
上記ユニットA及び上記ユニットBを含むポリマーは、ポリマーの少なくとも一部に粒子線又は電磁波を照射することで、上記ユニットAの還元により上記ユニットAからアニオンと第1ラジカルとが発生する。発生したアニオンの一部はプロトンと結合することで酸となる。酸が触媒となって、上記ユニットB同士、及び/又は、上記ユニットAと上記ユニットBとの間の反応によりエーテル又はチオエーテル化することで架橋反応が起こり得る。さらに、上記ユニットB以外のユニットがヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つを有する場合、該ユニットのヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つと、上記ユニットB及び/又は上記ユニットAのヒドロキシル基及びスルファニル基の少なくとも1つとの間でも架橋反応が起こり得る。
上記発生した酸アニオン又はユニットAのアニオンの一部は、上記酸により該アニオンのヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つと上記ユニットBとで結合し、ポリマー酸となり得る。
【0020】
また、ユニットAより生じた第1ラジカルは、第1ラジカル同士、及び/又は、ラジカルを発生するユニットをポリマーに含む場合に発生する第2ラジカルと上記第1ラジカル同士とが結合を形成し、上記ユニットA同士、及び/又は、上記ユニットAとラジカルを発生するユニット(例えば後述のユニットC)との間で分子内架橋反応が起こり得る。上記酸により該アニオンのヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つと上記ユニットBとの結合が形成されることによって、酸拡散を抑制することができるため上記ポリマーはLWR特性に優れる。
【0021】
(ユニットA)
上記ユニットAとしては、特定のオニウム塩構造を有する。具体的には、該オニウム塩構造は、ポリマーの少なくとも一部に粒子線又は電磁波を照射することにより極性変換するものであり、且つ、オニウム塩のアニオン部分にヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つを含む有機基を有することが好ましい。すなわち、オニウム塩構造としては、アニオン部分にヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つを有し、且つ、オニウム塩の還元により酸を発生させるものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、下記式(1)で示されるものが挙げられる。
本発明において、「極性変換」とは、粒子線又は電磁波の照射により、直接的に又は間接的に、イオン性から非イオン性に極性が変化することを示す。
【0022】
【0023】
上記一般式(1)中、M+はスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであり、X-は、ヒドロキシル基及びスルファニル基からなる群より選択される少なくとも1つを含む有機基を有する1価のアニオンである。
【0024】
Lは、ポリマーを構成する主鎖と上記オニウム塩構造とを結合できれば特に制限はないが、例えば、直接結合、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、フェニレンジイル基、ナフタレンジイル基、フェニレンジイルオキシ基、ナフタレンジイルオキシ基、フェニレンジイルカルボニルオキシ基、ナフタレンジイルカルボニルオキシ基、フェニレンジイルオキシカルボニル基及びナフタレンジイルオキシカルボニル基からなる群より選択されるいずれかが挙げられる。
Lとしては、容易に合成できる点からカルボニルオキシ基等が好ましい。
【0025】
Spは、上記Lと上記オニウム塩とのスペーサーとなり得るものであれば特に制限はないが、例えば、直接結合;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;及び置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;のいずれかであり、上記Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
【0026】
Spの炭素数1~6の直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基及びn-ヘキシレン基等が挙げられる。
Spの炭素数1~6の分岐アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、2-エチルへキシレン基等が挙げられる。
【0027】
Spの炭素数1~6の環状のアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基等が挙げられる。
Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。2価のヘテロ原子含有基としては、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(RSp)-、-N(ArSp)-、-S-、-SO-及び-SO2-等からなる群より選ばれる基等が挙げられる。上記RSpとしては、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基が挙げられ、ArSpとしては、フェニル基及びナフチル基等の炭素数12以下のアリール基が挙げられる。なお、上記Spのアルキレン基の炭素数は、Spが有してもよい置換基の炭素数は含まない。
【0028】
Spが有してもよい置換基(以下、「第1の置換基」ともいう)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;直鎖又は環状の炭素数1~12のアルキル基;該アルキル基の少なくとも1つのメチレン基に代えて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(RSp)-、-N(ArSp)-、-S-、-SO-及び-SO2
-からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んだアルキル基;アリール基;及びヘテロアリール基等が挙げられる。
Spの第1の置換基としてのアルキル基、ヘテロ原子含有基を骨格に含んだアルキル基としては、上記Spのアルキレン基が1価となったアルキル基が挙げられる。
Spの第1の置換基としてのアリール基としては、上記ArSpと同様のものが挙げられる。
Spの第1の置換基としてのヘテロアリール基としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン及びピラジン等の骨格を有する基が挙げられる。
Spは、直接結合でもよいが、ユニットA同士がラジカル再結合する点及びユニットB同士が架橋反応する点等から、分子が動きやすいようにスペーサー構造となるものが好ましい。好ましくは、アルキレン基、アルキレンオキシ基及びアルキレンカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0029】
R1は、水素原子;直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R1中の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよい。R1が有してもよい置換基は、上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0030】
R1の炭素数1~6の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられる。
R1の炭素数1~6の分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、2-エチルエキシル基等が挙げられる。
R1の炭素数1~6の環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0031】
R1の直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基としては、上記に示す直鎖アルキル基、分岐アルキル基及び環状アルキル基の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが、炭素-炭素二重結合に置換されたものが挙げられる。
また、R1の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたフッ化アルキル基及びフッ化アルケニル基であってもよい。全部の水素原子が上記第1の置換基で置換されたものであってもよい。フッ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基等が好ましい。
【0032】
上記ユニットAとして好ましくは、上記式(1)においてR1が水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lがカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、上記ユニットAとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、R1はメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれかを有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
【0033】
M+としては、Spに結合する結合手を有するスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであり、具体的には、下記一般式(a1)及び(a2)に示されるもの等が挙げられる。
【0034】
【0035】
上記一般式中、R6aは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリーレン基;置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリーレン基;及び直接結合;からなる群より選択されるいずれかである。
R6aの直鎖、分岐又は環状のアルキレン基としては、上記Spのアルキレン基と同様のものが挙げられる。
R6aの直鎖、分岐又は環状のアルケニレン基としては、上記Spのアルケニレン基と同様のものが挙げられる。
【0036】
R6aの炭素数6~14のアリーレン基としては、フェニレン基及びナフチレン基等が挙げられる。
R6aの炭素数4~12のヘテロアリーレン基としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロメン、チアントレン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン及びカルバゾール等の骨格を有する2価の基等が挙げられる。
R6bのアルキル基、アルケニル基、アリール基及びヘテロアリール基としては、上記R6aのアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基が1価となったものが挙げられる。
【0037】
R6a及びR6bの置換基としては、上記Spが有してもよい第1の置換基と同様の置換基が等が挙げられる。
上記式(a1)において、R6a及び2つのR6bのうちのいずれか2つが、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合している硫黄原子と共に環構造を形成してもよい。
上記2価の窒素原子含有基としては、上記2価のヘテロ原子含有基のうち、窒素原子を含有するものが挙げられ、具体的には、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(RSp)-及び-N(ArSp)-等が挙げられる。
【0038】
M+としてのスルホニウムカチオンとしては、例えば下記に示される構造を有し、いずれかの位置で上記Spと結合する結合手を有するものが挙げられる。なお、下記に示す化合物は、上記R6a及びR6bに相当する部分に第1の置換基と同様の置換基を有していてもよい。
【0039】
【0040】
X-は、ヒドロキシル基及びスルファニル基のうち少なくとも1つを含む有機基を有する1価のアニオンである。
上記ヒドロキシル基は、1級アルコール、2級アルコール及び3級アルコールからなる群より選択されるいずれか由来であり、スルファニル基は、1級チオール、2級チオール及び3級チオールからなる群より選択されるいずれか由来であることが好ましい。
上記ヒドロキシル基は、上記ユニットBと結合する上で立体的観点から、1級アルコール、2級アルコール、1級チオール及び2級チオールからなる群より選択されるいずれか由来であることがより好ましい。
酸触媒によるユニットBとの反応性の点から、上記水酸基はフェノール性水酸基でないことが好ましい。
【0041】
X-は、ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルサルフェートアニオン;ヒドロキシル基及びはスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールサルフェートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルスルホネートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールスルホネートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルカルボキシレートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールカルボキシレートアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するジアルキルスルホニルイミドアニオン;及びヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するトリアルキルスルホネートメチドアニオン;ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するテトラキスフェニルボレートアニオン;からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
【0042】
また、X-中のアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子、及び/又はヨウ素原子に置換されていてもよいが、上記ユニットBと結合する上で反応性の観点からフッ素原子及びヨウ素原子の置換が少ない方が好ましい。
X-は、ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルスルホネートアニオン又はヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有するアリールスルホネートアニオンのいずれかであることがより好ましい。なお、上記アルキルスルホネートアニオンのアルキル基及び上記アリールスルホネートアニオンのアリール基が有する水素原子の少なくとも1つはフッ素原子に置換されていてもよい。
【0043】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するアルキルサルフェートアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルサルフェートアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
アルキルサルフェートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0044】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するアリールサルフェートアニオンとしては、炭素数4~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するアリールサルフェートアニオンとしては、炭素数4~12が好ましい。
アリールサルフェートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0045】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するアルキルスルホネートアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルスルホネートアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
アルキルスルホネートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0046】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するアリールスルホネートアニオンとしては、炭素数4~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するアリールスルホネートアニオンとしては、炭素数4~12が好ましい。
アリールスルホネートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0047】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するアルキルカルボキシレートアニオンとしては、炭素数2~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するアルキルカルボキシレートアニオンとしては、炭素数2~12が好ましい。
アルキルカルボキシレートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0048】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するアリールカルボキシレートアニオンとしては、炭素数5~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するアリールカルボキシレートアニオンとしては、炭素数5~12が好ましい。
アリールカルボキシレートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0049】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するジアルキルスルホニルイミドアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するジアルキルスルホニルイミドアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
ジアルキルスルホニルイミドアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0050】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するトリアルキルスルホネートメチドアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するトリアルキルスルホネートメチドアニオンとしては、炭素数1~12が好ましい。
トリアルキルスルホネートメチドアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0051】
上記ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するテトラキスフェニルボレートアニオンとしては、炭素数25~30が好ましい。
上記スルファニル基を少なくとも1つ有するテトラキスフェニルボレートアニオンとしては、炭素数25~30が好ましい。
テトラキスフェニルボレートアニオンは、ヒドロキシル基とスルファニル基とを複数有してもよい。
【0052】
上記X-としては、例えば下記に示すものが挙げられる。
【0053】
【0054】
上記ユニットAとして、下記式(3)で示されるものが好ましい。
【0055】
【0056】
上記一般式(IV)中、L、Sp及びX-は、上記一般式(1)のL、Sp及びX-のそれぞれと同様であり、R6a及びR6bは、上記一般式(a1)のR6a及びR6bのそれぞれと同様である。
【0057】
また、本発明の一つの態様であるポリマーは、上記一般式(1)のM+X-が下記一般式(11)又は下記式(12)で示されるいずれかのオニウム塩構造であるユニットAを有することが好ましい。この構成のポリマーをレジスト組成物に用いるときに、上記粒子線又は電磁波(以下、「第1活性エネルギー線」ともいう)の照射後に上記第1活性エネルギー線よりも低いエネルギーである第2活性エネルギー線を露光することが好ましい。上記第2活性エネルギーは紫外線又は可視光等であることが好ましい。アセタール部位又はチオアセタール部位(以下、「アセタール部位又はチオアセタール部位」を「(チオ)アセタール部位」ともいう)を有する特定のオニウム塩構造を有するユニットAと、酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含むポリマーをレジスト組成物のポリマーとして用い、上記ポリマーを有するレジスト組成物に上記第1活性エネルギー線を照射することで、上記ユニットAのオニウム塩構造が分解し酸が発生する。この酸を触媒として上記第1活性エネルギー線が照射された上記組成物中の上記ユニットAのオニウム塩構造が(チオ)アセタール部位を持つ場合、酸により構造変化することで上記第2活性エネルギー線に吸収を持つケトン誘導体へ変換される。上記ケトン誘導体が生成した上記組成物に、上記第2活性エネルギー線を露光することで、高効率で酸が発生し、高感度化する。
【0058】
本発明のひとつの態様であるポリマーに係るユニットAにおいて、上記一般式(11)及び(12)のオニウム塩が、(チオ)アセタール部位とジベンゾチオフェニウム骨格との特定の構造を有することで、上記第1活性エネルギー線に対する分解効率が高く、且つ、上記第1活性エネルギー線照射後の上記第2活性エネルギー線照射に対して高い吸収を有する。
また、本発明のひとつの態様であるポリマーに係るユニットAのオニウム塩構造が上記一般式(11)及び(12)で示されるオニウム塩構造の場合、ユニットAは紫外線又は可視光等の上記第2活性エネルギー線に顕著な吸収を持たない。一方で、上記第1活性エネルギー線により発生した酸により、上記オニウム塩構造は光酸発生剤としての機能を損なうことなく、上記オニウム塩構造の(チオ)アセタール部位が脱保護しケトン誘導体へ変換される。該ケトン誘導体は縮環構造を有するジベンゾチオフェニウム構造を含むことで共役長が長くなるため、容易に吸収波長が長波長化して上記第2活性エネルギー線に吸収を持つ。該ケトン誘導体は、レジスト膜中、上記第1活性エネルギー線を照射した露光部に生成しているため、上記第2活性エネルギーをさらに照射することで上記第1活性エネルギー線による露光部で酸発生量を増大させることができる。
なお、本発明において上記第2活性エネルギー線としては、365nm以上の波長を有する紫外線又は可視光等が好ましい。第2活性エネルギー線としては、420nm以下であることがさらに好ましい。また、第1活性エネルギー線としては、上記第2活性エネルギー線より高いエネルギーであることが好ましく、ユニットAのオニウム塩から酸等の活性種を発生させることができれば特に制限はないが、例えば、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線又は極端紫外線(EUV)等が好ましく挙げられる。
【0059】
【0060】
上記式(11)及び(12)中、上記R14は独立して各々に、アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アリールスルファニルカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、アリールスルファニル基、ヘテロアリールスルファニル基、アルキルスルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、(ポリ)アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基、からなる群より選択されるいずれかである。
R17及びR18は独立して各々に、アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アリールスルファニルカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、アリールスルファニル基、ヘテロアリールスルファニル基、アルキルスルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロアリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基及びハロゲン原子からなる群より選択されるいずれかである。
上記R14、R17及びR18が炭素を有する場合の炭素原子数が1~12であり、かつ、上記R14、R17及びR18が水素原子を有するとき、該水素原子が置換基(以下、「第2の置換基」ともいう)で置換されていてもよい。
【0061】
R14、R17及びR18におけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状でよく、具体的には、下記第2の置換基としてのReのアルキル基と同様のものが挙げられる。また、R14、R17及びR18におけるアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基等のアルキル基部分もR1におけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
R14、R17及びR18におけるアリール基及びヘテロアリール基としては、R19のアリール基及びヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。R17及びR18における上記アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等のアリール基部分はR19におけるアリール基と同様のものが挙げられる。R17及びR18における上記ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基等のヘテロアリール基部分はR1におけるヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。なお、R17及びR18においては上記ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基等のヘテロアリール基部分を有しない置換基であることが合成の観点から好ましい。
なお上記式(11)及び(12)で示されるオニウム塩構造がR14を2つ以上有するとき、R14のうち2つが互いに連結して環構造を形成していてもよい。
【0062】
R14、R17及びR18における(ポリ)アルキレンオキシ基としては、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基等が挙げられる。
R17及びR18におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0063】
R14、R17及びR18が炭素を有する場合の炭素原子数は1~12が好ましく、且つ、これらは第2の置換基を有しても良い。また、R2、R3及びR4のアルキル基中の炭素-炭素一重結合が、炭素-炭素二重結合に置き換わっていてもよい。
R14、R17及びR18が有してもよい第2の置換基としては、ヒドロキシ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシ基、アルキル基(-Re)、アルコキシ基(-ORe)、アシル基(-CORe)、アルコキシカルボニル基(-COORe)、アリール基(-Ar)、アリーロキシ基(-OAr)、アミノ基、アルキルアミノ基(-NHRe)、ジアルキルアミノ基(-N(Re)2)、アリールアミノ基(-NHAr)、ジアリールアミノ基(-N(Ar)2)、N-アルキル-N-アリールアミノ基(-NReAr)ホスフィノ基、シリル基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基(-Si-(Re)3)、該トリアルキルシリル基のアルキル基の少なくとも1つがArで置換されたシリル基、アルキルスルファニル基(-SRe)及びアリールスルファニル基(-SAr)等を挙げることができるが、これらに制限されない。
Re及びArについては以下に説明する。
【0064】
上記第2の置換基中の上記Reは、炭素原子数1以上のアルキル基であることが好ましい。また、炭素原子数20以下であることがより好ましい。炭素原子数1以上のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、2-エチルエキシル基等の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン-1-イル基、アダマンタン-2-イル基、ノルボルナン-1-イル基及びノルボルナン-2-イル基等の脂環式アルキル基;これらの水素の1つがトリメチルシリル基、トリエチルシリル基及びジメチルエチルシリル基等のトリアルキルシリル基で置換されたシリル基置換アルキル基;これらの水素原子の少なくとも1つがシアノ基又はフルオロ基等で置換されたアルキル基;等が好ましく挙げられる。上記アルキル基中の炭素-炭素一重結合が、炭素-炭素二重結合に置き換わっていてもよい。
【0065】
上記第2の置換基中のArは、アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましい。ヘテロアリール基とは、環構造中にヘテロ原子を1つ以上含むアリール基である。上記Arの具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレニル基、ペンタレニル基、インデニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、ヘプタレニル基、ナフタセニル基、ピレニル基、クリセニル基、テトラセニル基、フラニル基、チエニル基、ピラニル基、スルファニルピラニル基、ピロリル基、イミダゾイル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾイル基、及びピリジル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾフラニル基、イソクロメニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾイル基、キサンテニル基、アクアジニル基及びカルバゾイル基等の炭素原子数20以下のものが好ましく挙げられる。
【0066】
R14、R17及びR18が上記第2の置換基を有する場合、R14、R17及びR18の炭素原子数は第2の置換基の炭素原子数も含めて炭素原子数1~12であることが好ましい。
【0067】
本発明の一つの態様であるポリマーに係るオニウム塩構造は、R14を少なくとも1つ有することが好ましい。また、少なくとも1つのR14がヒドロキシ基又はアルコキシ基であることが好ましい。さらに、R14は(チオ)アセタール部位の結合位置に対しオルト位又はパラ位であることが好ましい。オニウム塩構造のR14としてヒドロキシ基又はアルコキシ基をオルト位又はパラ位に有することで、ケトン誘導体となった際に第2活性エネルギー線の吸収が大きくなる傾向がある。特にヒドロキシ基の場合、アルカリ現像液に対する親和性が向上するため、現像においてオニウム塩の溶解性が向上することからより好ましい。
一般的に、オニウム塩構造のカチオンに置換基を付加することでオニウム塩カチオン構造が立体的に大きくなると、疎水性が向上して現像時に溶解阻害効果が生じることがある。そのため、アルカリ現像液に対する親和性が低い傾向である疎水性置換基を有することなく(チオ)アセタール部位が脱保護した後のケトン誘導体の吸収波長が長波長化して第2活性エネルギー線の吸収が大きくなる構成とすることが好ましい。また、塩基性を示す置換基は発生酸を失活させて酸解離性基の分解を阻害するため、塩基性を示す置換基を導入する構成は好ましくない。以上のことから、本発明の一つの態様であるポリマーに係るオニウム塩構造のカチオンは、R14、R17及びR18に芳香環や脂環式構造等を含む置換基を有さず、発生酸と反応するアミノ基等の塩基性基を有しないことが好ましく、また、上記オニウム塩構造のカチオン部分の分子量が500以下であることが好ましい。本発明の一つの態様であるポリマーに係るオニウム塩構造のカチオンは、R14を含め、R17及びR18においてもアミノ基等の塩基性基を有しないことがさらに好ましい。
R14を複数有する場合は、R14の少なくとも1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基であり、且つ、(チオ)アセタール部位の結合位置に対しオルト位又はパラ位であるのが好ましい。また、R14を複数有する場合、R14の少なくとも1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基であればそれ以外のR4はヒドロキシ基又はアルコキシ基でなくてもよい。酸によって生じたケトン誘導体の吸収波長を長波長化する観点から、2つ以上のR14が結合する芳香環に対して電子供与する置換基であることがより好ましい。さらに好ましくは、(チオ)アセタール部位の結合位置に対しオルト位又はパラ位の2つ以上の位置でR14としてヒドロキシ基又はアルコキシ基を有することが好ましい。
【0068】
R19は、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~14のアリール基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかである。
【0069】
R19における直鎖、分岐鎖又は環状の炭素原子数1~12のアルキル基として具体的には、それぞれ、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン-1-イル基、アダマンタン-2-イル基、ノルボルナン-1-イル基及びノルボルナン-2-イル基等のアルキル基等が挙げられる。
【0070】
R19のアルキル基において、少なくとも1つのメチレン基に代えて、2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。該2価のヘテロ原子含有基としては、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(Re)-、-N(Ar)-、-S-、-SO-及び-SO2-からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む基である。ただし、スルホニウム基の硫黄原子(S+)はヘテロ原子含有基に直接結合せずに、2価の炭化水素基と結合していることが好ましい。Re及びArについては後述する。
R19のアルケニル基は、上記アルキル基の少なくとも1つの炭素-炭素一重結合が、炭素-炭素二重結合に置換されたものが挙げられる。
【0071】
R19における置換基を有していてもよい炭素原子数6~14のアリール基として具体的には、単環芳香族炭化水素基、及び、該単環芳香族炭化水素が少なくとも2環縮合した縮合多環芳香族炭化水素基等を挙げることができる。これらアリール基は、置換基を有していてもよい。
上記単環芳香族炭化水素基としては、ベンゼン等の骨格を有する基が挙げられる。
上記縮合多環芳香族炭化水素基としては、インデン、ナフタレン、アズレン、アントラセン及びフェナントレン等の骨格を有する基が挙げられる。
【0072】
R19における置換基を有してもよい炭素原子数4~12のヘテロアリール基としては、上記アリール基の少なくとも1つの炭素原子に代えて、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される少なくともいずれかを骨格に含むものが挙げられる。
【0073】
上記ヘテロアリール基としては、単環芳香族複素環基、及び、該単環芳香族複素環の少なくとも1つが上記芳香族炭化水素基又は脂肪族複素環基等と縮合した縮合多環芳香族複素環基等を挙げることができる。これら芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。
上記単環芳香族複素環基としては、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン及びピラジン等の骨格を有する基が挙げられる。
【0074】
縮合多環芳香族複素環基としては、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロメン、フェノキサジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン及びカルバゾール等の骨格を有する基が挙げられる。
【0075】
R19における置換基(以下、「第3の置換基」ともいう)としては、上記第2の置換基と同様のものが挙げられる。
【0076】
R19のアルキル基等が上記第3の置換基を有し、且つオニウム塩が低分子化合物である場合、R19の炭素原子数は第3の置換基の炭素原子数も含めて炭素原子数1~20であることが好ましい。
【0077】
上記R19と、上記R2が結合するベンゼン環及び上記R3が結合するベンゼン環のいずれかと、が単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合する硫黄原子と共に環構造を形成してもよく、
上記「窒素原子含有基」としては、例えばアミノジイル基(-NH-)、アルキルアミノジイル基(-NRe-)、アリールアミノジイル基(-NAr-)等の窒素原子を含む2価の基が挙げられる。Re及びArについては上記第3の置換基のRe及びArと同様である。
【0078】
R19としては、安定性の向上の点からアリール基が好ましい。
【0079】
上記R19と、上記R18が結合するベンゼン環及び上記R17が結合するベンゼン環のいずれかと、が単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合する硫黄原子と共に環構造を形成してもよい。
【0080】
上記R14、R17及びR18がメチレン基を有するとき該メチレン基の少なくとも1つが2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。ただし、-O-O-、-S-S-及び-O-S-等のヘテロ原子の連続した繋がりを有しないことが好ましい。該メチレン基の少なくとも1つが2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよいR14、R17及びR18としては、例えば、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ基、2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ基、2-メトキシプロポキシ基及び3-メトキシプロポキシ基等のポリアルキレンオキシ基;2-メチルチオエチルチオ及び2-エチルチオエチルチオ基等のポリアルキレンチオ基;及び2-メチルチオエトキシ基及び2-エトキシエチルチオ基等のポリアルキレンオキシチオ基;等が挙げられる。しかしながら、本発明のいくつかの態様はこれに限定されない。
【0081】
上記R15及びR16は独立して各々に、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルケニル基;置換基を有してもよい炭素原子数6~14のアリール基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数4~12のヘテロアリール基;が好ましく、これらは上記R19のそれぞれと同じ選択肢から選択されることが好ましい。
R15及びR16としての置換基(以下、「第4の置換基」ともいう)は、上記第2の置換基と同様のものが挙げられる。
上記R15及びR16は、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子及びアルキレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに結合して環構造を形成してもよく、
上記R15及びR16中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
合成の観点から、上記R15及びR16は同じであることが好ましい。
【0082】
L3は、直接結合;直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1~12のアルキレン基;炭素原子数2~12のアルケニレン基;スルフィニル基、スルホニル基及びカルボニル基;からなる群より選択されるいずれかである。
【0083】
R14、R18及びR19の中のいずれかの1つの水素は、上記一般式(1)中のSpとの結合に置き換えられる。
【0084】
Yは酸素原子又は硫黄原子である。
【0085】
qは0~4の整数であり、fは0~3の整数であり、gは1~5の整数であり、jは0~2の整数であり、kは1~4の整数である。
ただし、上記R19と、上記R18が結合するベンゼン環及び上記R17が結合するベンゼン環のいずれかとが、上記硫黄原子と共に環構造を形成する場合は、上記一般式(11)においてqが0~3又はjが0~2であり、上記一般式(12)においてqが0~3又はjが0~1である。
上記一般式(11)及び(12)におけるベンゼン環の少なくとも1つは、ヘテロ原子を環中に有する6員環のヘテロ芳香環であってもよく、上記一般式(11)及び(12)におけるR14に結合するベンゼン環が上記ヘテロ芳香環のときkが0~4であってもよい。
上記一般式(11)及び(12)においてR14を2つ以上有するとき、R14のうち2つが互いに連結して環構造を形成していてもよい。
X-は上記一般式(1)のX-と同じ選択肢から選択される。
【0086】
本発明のいくつかの態様であるポリマーにおいてユニットAに含まれるオニウム塩構造は、下記に示すスルホニウムカチオンを有するものが例示できる。下記に示すスルホニウムカチオン中の波線は、上記式(1)中のSpと結合部位を示し、同一構造中に複数の波線を有する場合はいずれかが上記Spと結合するものとする。しかしながら、本発明のいくつかの態様はこれに限定されない。
【0087】
【0088】
上記ユニットAのアニオンは、フォトレジストパターン形成においてコントラストを向上する点から親水性の高いものであることが好ましい。具体的には、アルキルサルフェートアニオン、アリールサルフェートアニオン、アルキルスルホネートアニオン、アリールスルホネートアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、アリールカルボキシレートアニオン等が挙げられる。これらアニオンは、ヒドロキシル基及びスルファニル基を少なくとも1つ有する。
【0089】
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットAを2種以上有してもよい。例えば、1つは光酸発生剤ユニットA(以下、「ユニットA1」ともいう)として、もう一方は光崩壊性塩基ユニットA(以下、「ユニットA2」ともいう)として使用することも好ましい。上記光崩壊性塩基ユニットA2のX-は、アルキルカルボキシレートアニオン、アリールカルボキシレートアニオンであることが好ましい。上記光崩壊性塩基ユニットA2は、上記光酸発生剤ユニットA1と組み合わせて使用することが好ましい。なお、上記ポリマーがユニットA2を有することでLWRが小さくなる効果を有するため、高い解像度が求められる場合に有効である。
また、上記ポリマー中に上記ユニットAを2種以上有する場合、M+X-部分が同じでR1やL等の置換基が異なるユニットを用いてもよい。
【0090】
本発明のいくつかの態様であるポリマーに係るオニウム塩は、365nmのモル吸光係数が1.0×105cm2/mol未満であることが好ましく、1.0×104cm2/mol未満であることがより好ましい。
また、本発明のいくつかの態様であるポリマーに係るオニウム塩の(チオ)アセタール部位が脱保護したケトン誘導体は、365nmのモル吸光係数が1.0×105cm2/mol以上であることが好ましく、1.0×106cm2/mol以上であることがより好ましい。
上記ケトン誘導体の365nmのモル吸光係数は、本発明のいくつかの態様であるポリマーに係るオニウム塩の365nmのモル吸光係数が5倍以上となることが好ましく、10倍以上となることがより好ましく、20倍以上となることがさらに好ましい。
上記特性とするには、上記式(11)又は(12)で表されるオニウム塩とすればよい。
【0091】
(ユニットA用モノマーの合成方法)
本発明のひとつの態様であるポリマーに係るユニットAに含まれるスルホニウム塩構造の合成方法について説明する。本発明においてはこれに限定されない。
【0092】
目的とするスルホニウム塩構造が(チオ)アセタール部位を含まない(メタ)アクリレートモノマーの場合、例えば、下記に示す合成方法が挙げられる。まず、R6b基を有するジアリールスルホキシドとヒドロキシル基を有するベンゼン(R6a基)とをブレンステッド酸を用いてフリーデル・クラフツ反応させ、ヒドロキシアリールジアリールスルホキシドを得る。次いで、塩基性触媒と(メタ)アクリル酸クロライドを用いて目的のスルホニウム塩を得る。この場合、上記R1、R6a及びR6bは、ここに例示した以外の置換基であっても上述したR1、R6a及びR6bの範囲であれば同様に得ることができる。
【0093】
【0094】
目的とするスルホニウム塩構造が(チオ)アセタール部位を含まないビニルもしくはイソプロぺニルモノマーの場合、例えば、下記に示す合成方法が挙げられる。まず、任意にR6b基を有するジアリールスルホキシドとビニル基もしくはイソプロぺニル基を有するグリニャール試薬(R6a基)を用いてR6b基を有するスルホキシド体と反応させてスルホニウム塩構造とした後、対応するアニオンを有する塩を用いて塩交換することにより目的のスルホニウム塩構造を得る。この場合、上記R1、R6a及びR6bは、ここに例示した以外の置換基であっても上述したR1、R6a及びR6bの範囲であれば同様に得ることができる。
【0095】
【0096】
目的とするスルホニウム塩構造が(チオ)アセタール部位を含む場合、例えば、下記に示す合成方法が挙げられる。まず、任意のR17基及びR18基を有するジベンゾチオフェンと任意にR14基を有するベンゾイルクロリド(下記式においてi=1である)とをルイス酸を用いてフリーデル・クラフツ反応させ、ベンゾフェノン誘導体を得る。次いで、スルフィドを酸化してスルホキシドとした後にヒドロキシル基を有するベンゼンとブレンステッド酸をフリーデル・クラフツ反応によりスルホニウムとし、酸触媒を用いてアルコール(R15OH)を用いてカルボニル基をアセタール化する。次いで、塩基性触媒と(メタ)アクリル酸クロライドを用いて目的のするオニニウム塩を得る。この場合、上記R14、R15、R17及びR18は、ここに例示した以外の置換基であっても上述したR14、R15、R17及びR18の範囲であれば同様に得ることができる。
【0097】
【0098】
目的とするスルホニウム塩構造が(チオ)アセタール部位を含む場合、例えば、下記に示す合成方法が挙げられる。まず、任意のR17基及びR18基を有するジベンゾチオフェンと任意にR14基を有するベンゾイルクロリド(下記式においてi=1である)とをルイス酸を用いてフリーデル・クラフツ反応させ、ベンゾフェノン誘導体を得る。次いで、スルフィドを酸化してスルホキシドとした後にヒドロキシル基を有するベンゼンとブレンステッド酸をフリーデル・クラフツ反応によりスルホニウムとした後に酸触媒を用いてアルコール(R15OH)を用いてカルボニル基をアセタール化する。次いで、グリニャール試薬を用いてスルホニウム塩構造とした後、対応するアニオンを有する塩を用いて塩交換することにより目的のスルホニウム塩構造を得る。
【0099】
【0100】
(ユニットB)
上記ユニットBは、酸触媒反応により2分子間で結合する構造を有していれば特に制限はないが、例えば、上記一般式(I)又は(II)で示される化合物が該化合物のいずれかの位置で上記式(1)のSp基と結合したユニットが好ましい。
下記一般式(I)又は(II)で示される化合物の少なくともいずれかが、該化合物のいずれかの位置で下記式(2)の*部分に結合したものをユニットBとしてポリマーに含む。上記ポリマーが上記ユニットBを含有することで、粒子線又は電磁波に対する感度を向上させることが可能となる。
【0101】
【0102】
【0103】
上記式(2)中、R1、L及びSpは、上記一般式(1)と同様である。
【0104】
上記一般式(I)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかである。R2及びR3のうち少なくとも一つは上記電子供与性基であると、酸反応性が向上するため好ましい。
Eは、直接結合;酸素原子;硫黄原子;及びメチレン基;からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
【0105】
n1は、0又は1の整数である。n4及びn5は、それぞれ1~2の整数である。n4+n5は2~4である。
n4が1のときn2は0~4の整数である。n4が2のときn2は0~6の整数である。
n5が1のときn3は0~4の整数である。n5が2のときn3は0~6の整数である。
n2が2以上でR2が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR2が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
n3が2以上でR3が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR3が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
上記式(I)において環構造を形成するための2価の窒素原子含有基は、上記式(a1)における2価の窒素原子含有基と同様のものが挙げられる。
【0106】
上記一般式(II)中、R4は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかである。R4のうち少なくとも一つは上記電子供与性基とすることで酸反応性が向上するため好ましい。
R5は、水素原子;置換基を有してもよいアルキル基;及び置換基を有してもよいアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、上記R5中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
また、R5は該R5を有するヒドロキシメチレン基が結合したベンゼン環と共に環構造を形成してもよい。
【0107】
R5のアルキル基としては炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。具体的にはR6bと同様のアルキル基を上げることができる。
R5が有する置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0108】
n6は0~7の整数であり、
n7は1又は2である。n7が1のときn6は0~5の整数である。n7が2のときn6は0~7の整数である。
【0109】
n6が2以上でR4が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR4が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
上記式(II)において環構造を形成するための2価の窒素原子含有基は、上記式(a1)における2価の窒素原子含有基と同様のものが挙げられる。
【0110】
R2、R3及びR4の電子供与性基としては、アルキル基(-R13)、該アルキル基(-R13)の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換されたアルケニル基;、並びに、水酸基が結合するメチン炭素が結合した芳香環の位置に対してオルト位又はパラ位に結合するアルコキシ基(-OR13)及びアルキルチオ基(-SR13);等が挙げられる。
【0111】
上記R13は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、2-エチルエキシル基等の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン-1-イル基、アダマンタン-2-イル基、ノルボルナン-1-イル基及びノルボルナン-2-イル基等の脂環式アルキル基;これらの水素の1つがトリメチルシリル基、トリエチルシリル基及びジメチルエチルシリル基等のトリアルキルシリル基で置換されたシリル基置換アルキル基;上記アルキル基において、上記化合物(I)又は(II)が有する芳香環に直接結合していない炭素原子が持つ水素原子の少なくとも1つがシアノ基又はフルオロ基等で置換されたアルキル基;等が好ましく挙げられる。上記R13は炭素数が4以下であることが好ましい。
【0112】
R2、R3及びR4の電子吸引性基としては、-C(=O)R13a(R13aは置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基である。);-C(=O)R13b(R13bは置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基である。);-C(=O)OR13a;-SO2R13a;-SO2R13b;ニトロ基;ニトロソ基、トリフルオロメチル基、水酸基に対してメタ位に置換された-OR13a;水酸基に対してメタ位に置換された-OR13b;水酸基に対してメタ位に置換された-SR13a;水酸基に対してメタ位に置換された-SR13b;及び上記-C(=O)R13a、-C(=O)OR13a、-SO2R13a及び-SR13a中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基又は炭素-炭素三重結合に置換された基;等が挙げられる。
R13aとR13bが有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0113】
上記一般式(I)又は(II)で示される化合物として、例えば具体的に下記に示されるものが挙げられる。
【0114】
【0115】
本発明のポリマーの一つの態様であるポリマーは、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物のいずれかが、該化合物のいずれかの位置で上記式(2)の*部分に結合したユニットBとしてポリマーに含まれた態様である。その場合、上記式(2)の*部分に結合する位置は、R2、R3及びR4のいずれかが好ましい。例えば、上記一般式(I)で表される化合物の場合、R2中の1つのHに代えて、上記式(2)の*部分に結合する結合手を有することが好ましい。
【0116】
上記ユニットBとして好ましくは、上記式(2)においてR1が水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、上記ユニットBとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、R1がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットBを2種以上有してもよい。
【0117】
(ユニットC)
上記ユニットCは、炭素原子と炭素原子との多重結合及び炭素原子とヘテロ原子との多重結合からなる群より選択される少なくとも1つの多重結合を含有するラジカル発生構造を有するユニットであり、ポリマーの少なくとも一部に粒子線又は電磁波で照射することで第2ラジカルを発生させるものであれば特に制限はない。
粒子線又は電磁波等を照射することにより上記ユニットAと上記ユニットCとの間で分子内架橋反応が起こり得る。
上記ユニットCにおける多重結合は、粒子線又は電磁波の影響でラジカルカチオンを発生し、該ラジカルカチオンが第2ラジカルとカチオンとに分解すれば特に制限はないが、ベンゼン系芳香族内に含まれるものでなく、且つ、下記に示される結合の少なくともいずれかであることが好ましい。ベンゼン系芳香族とは、ベンゼンだけでなく、ナフタレン及びアズレン等のベンゼン骨格を有する芳香族も含まれる。「ベンゼン系芳香族内に含まれる多重結合でない」とは、これら芳香族が有する多重結合でないことをいう。
【0118】
【0119】
上記多重結合を含有するラジカル発生構造としては、具体的には、アルキルフェノン骨格、アシルオキシム骨格及びベンジルケタールからなる群より選択されるいずれかを有するユニットが挙げられる。これら骨格を有すれば、任意の置換基を有してもよく、アルキルフェノン骨格を有するユニットとしてはα-アミノアセトフェノン骨格等も包含される。より具体的には、下記一般式(4)の少なくともいずれかで示されるものが好ましく挙げられる。
【0120】
【0121】
上記一般式(4)中、R1、L及びSpは上記一般式(1)のL及びSpと同様のものが挙げられる。
R7は、それぞれ独立に、水素原子;ヒドロキシ基;-Ra(Raは置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基である。);-ORa;及び該Ra中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基;及び-Rb(Rbは置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基である。);からなる群より選択されるいずれかである。2つ以上のR3は、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
Raとしては、R13aのアルキル基と同様のものが挙げられる。Rbとしては、R13bのアリール基と同様のものが挙げられる。
【0122】
RaとRbが有してもよい置換基としては、上記Spが有する置換基と同様のものが挙げられる。
ただし、上記式(4)においてR7の3つが水素原子でないのが好ましい。また、上記式(4)においては、3つのR7のうち少なくとも1つがOHであることが好ましい。上記ユニットCとしてOHを有することで、ユニットBとユニットCとの間での架橋反応も起こり得る。
【0123】
R8は、-Ra;-Rb;-ORa;-SRa;-ORb;-SRb;-OC(=O)Ra;-OC(=O)Rb;-C(=O)ORa;-C(=O)ORb;-OC(=O)ORa;-OC(=O)ORb;-NHC(=O)Ra;-NRaC(=O)Ra;-NHC(=O)Rb;-NRbC(=O)Rb;-NRaC(=O)Rb;-NRbC(=O)Ra;-N(Ra)2;-N(Rb)2;-N(Ra)(Rb);-SO3Ra;-SO3Rb;-SO2Ra;-SO2Rb;該-Ra中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基;及びニトロ基;からなる群より選択されるいずれかである。
上記式(4)においてm1が2以上のとき、2つのR8は単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
【0124】
m2は1~3の整数であり、m2が1のときm1は0~4の整数であり、m2が2のときm1は0~6の整数であり、m2が3のときm1は0~8の整数である。
【0125】
上記ユニットCとして好ましくは、上記式(4)においてR1が水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lはカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットCとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、R1がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットCを2種以上有してもよい。
【0126】
(ユニットD)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットA~Cの他に、アリールオキシ基を有するユニット(以下、「ユニットD」ともいう)をさらに含有することも好ましい。上記ユニットDとしては、フェノール構造が該構造のいずれかの位置で上記式(2)の*部分に結合したユニットが好ましい。
ユニットDは、上記ユニットAが発生した酸の発生効率を向上させることができれば特に制限はないが、例えば具体的には、下記に示されるユニットが挙げられる。
【0127】
【0128】
上記一般式中、R11の各々は、独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。R11としてのアルキル基は置換基を有していてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ブチル基、ペンチル基等の炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
R11が有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
上記式において、2つ以上のR11が水素原子でないとき、該R11が水素原子でない2つのR11は単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
n8は4である。
【0129】
ユニットDとして具体的には、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等のモノマーから構成されるものが挙げられる。
上記ポリマーが上記ユニットDを含有することで、酸の発生効率を向上させることが可能となる。
【0130】
上記ユニットDとして好ましくは、上記式(2)においてR1が水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lはカルボニルオキシ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットDとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、R1がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットDを2種以上有してもよい。
【0131】
(ユニットE)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットA~Dの他に、Sn、Sb、Ge、Bi及びTeからなる群より選択される金属原子を有する有機金属化合物含有ユニットE(以下、「ユニットE」ともいう)をさらに含有することも好ましい。
上記ユニットEに含有される金属原子は、EUV又は電子線に対して高い吸収を有するものであれば特に限定はされず、上記金属原子以外に周期表第10~16属の原子であってもよい。
上記ユニットEとしては、アルキル及びアリールスズ、アルキル及びアリールアンチモニー、アルキル及びアリールゲルマン、又はアルキル及びアリールビスムチン構造が該構造のいずれかの位置で上記式(2)の*部分に結合したユニットであることが好ましい。
ユニットEは、EUV照射による2次電子発生効率が高く上記ユニットA及びユニットBの分解効率を上げることが出来る。ユニットEとしては、EUV吸収の高い上記金属原子を含んでいれば特に制限はないが、例えば具体的には下記に示されるユニットが挙げられる。
【0132】
【0133】
上記一般式中、R12aの各々は、独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。R12aとしてのアルキル基は置換基を有していてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ブチル基、ペンチル基等の炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
上記式において、2つ以上のR12aが水素原子でないとき、該R12aが水素原子でない2つのR12aは単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
上記式において、2つのR12bは単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
n9は0~4の整数である。
【0134】
上記一般式中、R12bは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基;置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基;及び直接結合;からなる群より選択されるいずれかである。
R12bの直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、上記R2bのアルキル基と同様のものが挙げられる。
R12bの直鎖、分岐又は環状のアルケニル基としては、上記R2bのアルケニル基と同様のものが挙げられる。
【0135】
R12bの炭素数6~14のアリール基としては、上記R2bのアリール基と同様のものが挙げられる。R12bの炭素数4~12のヘテロアリール基としては、上記R2bのヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。
2つ以上のR12aは単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。また、3つのR12bのうちのいずれか2つが互いに結合して、これらが結合している金属原子と共に環構造を形成してもよい。
R12aとR12bが有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0136】
ユニットEとして具体的には、4-ビニルフェニル-トリフェニルスズ、4-ビニルフェニル-トリブチルスズ、4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルスズ、4-イソプロペニルフェニル-トリメチルスズ、アクリル酸トリメチルスズ、アクリル酸トリブチルスズ、アクリル酸トリフェニルスズ、メタクリル酸トリメチルスズ、メタクリル酸トリブチルスズ、メタクリル酸トリフェニルスズ、4-ビニルフェニル-ジフェニルアンチモニー、4-イソプロペニルフェニル-ジフェニルアンチモニー、4-ビニルフェニル-トリフェニルゲルマン、4-ビニルフェニル-トリブチルゲルマン、4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルゲルマン及び4-イソプロペニルフェニル-トリメチルゲルマン等のモノマーから構成されるユニットが挙げられる。
上記ポリマーが上記ユニットEを含有することで、粒子線又は電磁波を照射した際に2次電子の発生効率を向上させることが可能となる。
【0137】
上記ユニットEとして好ましくは、上記式(2)においてR1が水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lはカルボニルオキシ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットEとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、R1がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットEを2種以上有してもよい。
【0138】
(ユニットF)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、ハロゲン原子を有する下記式(7)で示されるユニットFをさらに有することが好ましい。
【0139】
【0140】
上記一般式(7)中、R1、L及びSpは、それぞれ上記一般式(2)のR1、L及びSpと同じ選択肢から選択されることが好ましい。
Rhは、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキレンオキシ基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニレンオキシ基;置換基を有していても良い炭素数6~14のアリール基;及び置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかであり、且つ、炭素原子に置換している水素原子の一部又は全てが、フッ素原子又はヨウ素原子に置換されている。
Rhのアルキル基、アルケニル基、アルキレンオキシ基のアルキレン基、アルケニレンオキシ基のアルケニレン基、アリール基及びヘテロアリール基は、上記Spと同様のものが挙げられる。
また、これらの置換基もSpの置換基と同様のものが挙げられる。
【0141】
ユニットFとして具体的には、下記に示すモノマーから得られるユニットが挙げられる。
【0142】
【0143】
上記ユニットFとして好ましくは、上記式(7)においてR1が水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットFとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、R1がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットFを2種以上有してもよい。
【0144】
(その他のユニット)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットA~Fの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、レジスト組成物として通常用いられるユニットを有していてもよい。
例えば、上記式(2)の*部分にエーテル基、ラクトン骨格、エステル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基等を含有する骨格を有するユニット(以下、「ユニットG」ともいう)が挙げられる。
また、上記式(2)の*部分にアルコール性ヒドロキシ基を有する骨格を有するユニット(以下、「ユニットH」ともいう)が挙げられる。該ユニットHは、上記ユニットA~Gとは異なるものである。上記ユニットHが上記ポリマーに含まれることで分子内架橋反応の割合が高まる傾向があるため好ましい。
エポキシ基、グリシジル基及びオキセタニル基等を含有する骨格を有するユニットは、上記ユニットAから発生する酸が強酸を用いた場合、カチオン重合も起こり得るため好ましい。
【0145】
本発明の一つの態様におけるポリマーは、下記一般式(8)で示されるユニットIを有していてもよい。ユニットIは上記ユニットA~Hとは異なるユニットである。本発明の一つの態様におけるポリマーがユニットIを有することで、粒子線又は電磁波の照射により発生するラジカルの作用でポリマー主鎖が切断されやすくなり、露光境界のポリマー鎖を短くすることができ、LWRを小さくできる効果を有する。
【0146】
【0147】
上記一般式(8)中、各置換基は以下であることが好ましい。
R10が直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R10中の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよく、L10は直接結合であり、Rcは上記第1の置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基であるもの。R10の炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルケニル基は上記R1の炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルケニル基と同様の選択肢から選択される。
あるいは、R10がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれかを有し、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Rcが水素原子又は上記第1の置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基であるもの。
また、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Rcが水素原子又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基であり、R10がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれかを有するもの。上記第1の置換基を有するR10として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
なお、上記ユニットIは、上記ユニットA~Hとは異なるユニットである。
【0148】
上記ユニットIは、例えば、α-メチルスチレン誘導体、2-エチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ベンジルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-プロピルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-イソプロピルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ブチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-sec-ブチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-フルオロメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-クロロメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ブロモメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ヨードメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体等のモノマーから誘導されたユニットが挙げられる。
上記ユニットIとして具体的には、下記に示すモノマー由来のものが挙げられる。
【0149】
【0150】
本発明の一つの態様におけるポリマーは、下記一般式(9)で示されるユニットJを有していてもよい。
【0151】
【0152】
上記式(9)中、R1、L及びSpは、それぞれ上記一般式(2)のR1、L、及びSpと同じ選択肢から選択される。
Rdは、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキルシリル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキルオキシシリル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニルシリル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニルオキシシリル基;から選択される。炭素原子の一部がケイ素原子及び酸素原子に置換されることで、結合する水素又は炭素が酸素に置き換わったシロキサン結合を含んでいても良い。
上記ユニットJは、ケイ素を含むことで酸素プラズマのエッチング耐性を高めることができる。さらにポリマー中にユニットJとしてシラン構造を有する場合、上記ユニットBが酸触媒存在下で反応することで水が生じ、該水によりユニットJが加水分解してシラノールとなりシロキサン結合を形成して架橋することで感度や基板密着性を向上できる効果を有するため好ましい。
なお、上記ユニットJは、上記ユニットA~Iとは異なるユニットである。
【0153】
ユニットJは、例えば、4-トリメチルシリルスチレン、4-トリメトキシシリルスチレン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、8-メタクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタサイクリック[9,5,13,9,15,15,17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピルメタクリレート、3-アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、8-アクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタサイクリック[9,5,13,9,15,15,17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピルメタクリレート等のモノマーから誘導されたユニットが挙げられる。
【0154】
本発明の一つの態様におけるレジスト組成物は、粒子線又は電磁波の照射により分子内架橋反応が起こることを特徴とする。そのため、ユニットA以外のオニウム塩構造を有するユニットKを含んでいてもよい。ユニットKとしては、上記ユニットAにおけるアニオンX-が下記Y-となったものが挙げられる。なお、Y-はヒドロキシル基及びスルファニル基のいずれも含まない有機基を有する1価のアニオンである。
【0155】
Y-としては、アルキルサルフェートアニオン、アリールサルフェートアニオン、アルキルスルホネートアニオン、アリールスルホネートアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、アリールカルボキシレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフォネートアニオン、ジアルキルスルホニルイミドアニオン、トリアルキルスルホネートメチドアニオン、テトラキスフェニルボレートアニオン及びヘキサフルオロアンチモネートアニオンからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
また、Y-として1価の金属オキソニウムアニオン、及び、これを含む水素酸アニオンからなる群より選択されるいずれかが挙げられる。また、Y-中のアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されていてもよく、上記第1の置換基を有していてもよい(但し、ヒドロキシル基は除く)。Y-の炭素数は置換基を合わせて1~6が好ましい。
金属オキソニウムアニオンとしては、NiO2
-及びSbO3
-等が挙げられる。また、VO4
3-、SeO3
2-、SeO4
2-、MoO4
2-、SnO3
2-、TeO3
2-、TeO4
2-、TaO3
2-及びWO4
2-等の2~3価のものに対し、H+、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン及び1~2価の金属カチオン等を適宜付加して価数を1価としたものであってもよい。上記1~2価の金属カチオンとしては、通常のものでよく、例えばNa+、Sn2+、Ni2+等が挙げられる。
【0156】
該ユニットKから発生する酸として強酸(Y-がCF3SO3
-等)を用いて有機溶剤水溶液を現像液として用いる場合は、その他のユニットとして酸解離性基を有するユニットを本発明におけるポリマーのユニットとして含まないことが好ましい。理由としては、その他のユニットとして酸解離性基を有するユニットを本発明におけるポリマーのユニットとして含む場合、上記ユニットKの分解により生じる酸の作用により上記ポリマーは水溶性現像液への溶解性が高まる傾向があるためである。
【0157】
上記ユニットKを光崩壊性塩基として用いてもよい(ユニットKを光崩壊性塩基として用いる場合は「ユニットK2」ともいう)。上記ユニットK2のアニオンは、Y-のうち、アルキルカルボキシレートアニオン及びアリールカルボキシレートアニオンからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。なお、これらはヒドロキシル基及びスルファニル基のいずれも含まない有機基を有する1価のアニオンであり、上記アルキルカルボキシレートアニオンのアルキル基及び上記アリールカルボキシレートアニオンのアリール基が有する水素原子の少なくとも1つはフッ素原子に置換されていてもよい。なお、上記ポリマーがユニットK2を有することでLWRが小さくなる効果を有するため、高い解像度が求められる場合に有効である。
【0158】
本発明の一つの態様であるポリマーは、上記ポリマー中に上記ユニットKを2種以上有してもよい。
【0159】
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットAが1に対して、モル比でそれぞれ、上記ユニットBが0.2~5であることが好ましく、上記ユニットCが0~3であることが好ましく、上記ユニットDが0~2であることが好ましく、上記ユニットEが0~2であることが好ましく、上記ユニットFが0~2であることが好ましく、上記ユニットGが0~2であることが好ましく、上記ユニットHが0~2であることが好ましく、上記ユニットIが0~0.5であることが好ましく、上記ユニットJが0~4であることが好ましく、上記ユニットKが0~2であることが好ましい。
なお、上記ポリマーが、ユニットA1と、ユニットA2及びユニットK2からなる少なくともいずれかと、を光崩壊性塩基として含む場合、ユニットA1が1に対して、ユニットA2及びユニットK2の合計がモル比で0.1~1.0であることが好ましく、モル比で0.3~0.6がさらに好ましい。
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記それぞれのユニットを構成するモノマー成分を原料として用い、上記配合割合となるように通常の方法で重合することにより得ることができる。また、オニウム塩構造を有するユニットを含むポリマー(「前駆体ポリマー」とする)を先に合成し、上記前駆体ポリマーにおいて、上記オニウム塩構造のアニオン部分を塩交換して、目的のアニオンを有するユニットAを含むポリマーとしてもよい。
本発明のひとつの態様における上記ポリマーの分子量は特に制限されない。
【0160】
<2>レジスト組成物
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、上記ポリマーを含有することを特徴とする。
上記ポリマー以外に、多置換アルコール化合物、有機金属化合物及び有機金属錯体等の成分を任意に含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
レジスト組成物中の上記ポリマーの配合量は、固形分全体で70~100質量%であることが好ましい。
(多置換アルコール化合物)
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、上記ポリマーのみ含有する構成であってもよいが、上記ポリマーに加えて、その他の成分、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エリトリトール、アラビトール、1,4-ベンゼンジメタノール及び2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-ベンゼンジメタノール等分子内に2つ以上のヒドロキシル基を持つ化合物をさらに含有してもよい。レジスト組成物にこれらを含有することで、架橋反応の効率が向上し、粒子線又は電磁波に対する感度を高めることができる。
【0161】
(有機金属化合物及び有機金属錯体)
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、有機金属化合物及び有機金属錯体のいずれかをさらに含有することが好ましい。
上記金属は、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Xe、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Rn及びRaからなる群より選択される少なくとも1種であることが、上記ユニットA及び上記ユニットBを増感できることから好ましい。
【0162】
上記有機金属化合物としては、テトラアリール錫、テトラアルキル錫、ビス(アルキルホスフィン)白金等が挙げられる。
有機金属錯体としては、アクリル酸ハフニウム(IV)、アクリル酸ジルコニウム(IV)、アクリル酸ビスマス(III)、酢酸ビスマス(III)、シュウ酸スズ(II)等が挙げられる。
上記有機金属化合物及び有機金属錯体のレジスト組成物中の配合量は、ユニットAに対して0~0.5モル当量であることが好ましい。
【0163】
(その他の成分)
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、いずれの態様においても、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を配合してもよい。配合可能な成分としては、公知の添加剤、例えば、含フッ素はっ水ポリマー、酸拡散制御剤、有機カルボン酸、界面活性剤、充填剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、イオン補足剤及び有機溶剤等から選ばれる少なくとも1つを添加してもよい。
上記含フッ素はっ水ポリマーとしては、液浸露光プロセスに通常用いられるものが挙げられ、上記ポリマーよりもフッ素原子含有率が大きい方が好ましい。それにより、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する場合に、含フッ素はっ水ポリマーのはっ水性に起因して、レジスト膜表面に上記含フッ素はっ水ポリマーを偏在化させることができる。
【0164】
上記酸拡散制御剤は、光酸発生剤から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を制御する効果を奏する。そのため、得られるレジスト組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れたレジスト組成物が得られる。
【0165】
酸拡散制御剤としては、例えば、同一分子内に窒素原子を1個有する化合物、2個有する化合物、窒素原子を3個有する化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。上記酸拡散制御剤は上記ポリマーのユニットを構成するモノマーとして用い、上記ポリマーに含んでもよい。
また、酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基としては、例えば、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0166】
酸拡散制御剤として具体的には、特許3577743号、特開2001-215689号、特開2001-166476号、特開2008-102383号、特開2010-243773号、特開2011-37835号及び特開2012-173505号等に記載の化合物が挙げられる。
【0167】
酸拡散制御剤の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して0.01~30質量部であることが好ましく、0.5~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることがさらに好ましい。
上記界面活性剤は、塗布性を向上させるために用いることが好ましい。界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマー等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、ポリマー成分100質量部に対して0.0001~12質量部であることが好ましく、0.0005~1質量%であることがより好ましい。
【0168】
有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、β-メトキシイソ酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸シクロヘキシル、ジアセトンアルコール、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が好ましい。これらの有機溶剤は単独又は組み合わせて用いられる。
【0169】
<3>レジスト組成物の調製方法
本発明の一つの態様のレジスト組成物の調製方法は特に制限はなく、上記ポリマー及びその他の任意成分を混合、溶解又は混練する等の公知の方法により調製することができる。
上記ポリマーは、上記ユニットA及びユニットBを構成するモノマー、並びに、必要によりその他のユニットを構成するモノマーを通常の方法により適宜重合して合成できる。しかしながら、本発明に係るポリマーの製造方法はこれに限定されない。
【0170】
レジスト組成物成分は、上記有機溶剤に溶解し、固形分濃度として、1~40質量%で溶解することが好ましい。より好ましくは1~30質量%、更に好ましくは3~20質量%である。このような固形分濃度の範囲とすることで、上記の膜厚を達成できる。
【0171】
本発明のひとつの態様の組成物は、上記組成物の各成分を混合することにより得られ、混合方法は特に限定されない。
【0172】
<4>部材の製造方法
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜をパターン状に露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含む部材の製造方法である。
上記部材としては、デバイスやマスク等が挙げられる。
【0173】
フォトリソグラフィ工程において露光に用いる粒子線又は電磁波としては、それぞれ電子線、EUVが挙げられる。
光の照射量は、光硬化性組成物中の各成分の種類及び配合割合、並びに塗膜の膜厚等によって異なるが、1J/cm2以下又は1000μC/cm2以下であることが好ましい。
上記レジスト組成物は、ポリマー中に増感ユニット(ユニットC)として含むか、又は、増感化合物とし含む場合、粒子線又は電磁波の照射後に、紫外線等で第2の露光を行うことも好ましい。
【0174】
また、本発明のひとつの態様は、前記フォトリソグラフィ工程において、前記粒子線又は電磁波の露光後に前記粒子線又は電磁波よりも低いエネルギーである第2活性エネルギー線を照射する工程、を含むデバイスの製造方法である。
【0175】
第1活性エネルギー線及び第2活性エネルギー線としては、本発明のいくつかの態様であるポリマーに係るオニウム塩が、第2活性エネルギー線に顕著な吸収を持たなければ特に制限はないが、第1活性エネルギー線の波長は第2活性エネルギー線よりも短い、又は、光子若しくは粒子線のエネルギーが高いことが好ましい。下記に各活性エネルギー線を例示するが、第1活性エネルギー線の波長が第2活性エネルギー線よりも短い、又は、光子若しくは粒子線のエネルギーが高ければこれに限定されない。
第1活性エネルギー線としては、レジスト膜照射後に該レジスト膜中に酸等の活性種を発生させることができれば特に制限はないが、例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、電子線又は極端紫外線(EUV)等が好ましく挙げられる。
【0176】
第2活性エネルギー線としては、第1活性エネルギー線の照射後にレジスト膜中に発生した酸により、本発明のいくつかの態様であるポリマーに係るオニウム塩の(チオ)アセタール部位が脱保護して生成したケトン誘導体を活性化して酸等の活性種を発生させ得る光であればよい。例えば、KrFエキシマレーザ光、UV、可視光線等を意味し、特にUV光のうち365nm(i線)~436nm(g線)領域の光を用いることが好ましい。
【0177】
本発明のひとつの形態のデバイスの製造方法は、第1活性エネルギーを照射する工程と、第2活性エネルギー線を照射する工程と、の間に電熱線又はレーザーにより加熱する工程を有することが好ましい。この工程を有することで、ユニットAのオニウム塩の分解効率が向上し、さらなる感度向上につながり得る。加熱する工程はホットプレート等で実施することができ、デバイスの製造方法においてはプレベークの実施が該工程に相当する。
【0178】
本発明の一つの態様の部材の製造方法は、上記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして上記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、上記露出したレジストパターン表面部分の上記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、をさらに含むことが好ましい。
反転パターン用組成物としては、公知の反転パターン用組成物を用いることができ、例えば、国際公開WO2015/025665号公報に記載のシロキサンポリマーを含む組成物等が挙げられる。
【0179】
また、本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含む反転パターンの形成方法である。
【0180】
また、本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、
上記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして上記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、
上記露出したレジストパターン表面部分の上記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、を含む反転パターンの形成方法である。
上記レジスト組成物を用いること以外は通常の反転パターンの形成方法を用いればよい。
上記基板としては、Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi及びBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等の無機基板;例えば、有機反射防止膜等が塗布されるSOG(Spin on Glass)等の塗布系無機基板等がデバイスの製造方法の場合は好ましく挙げられる。
また、マスクの製造方法の場合は、上記基板として、Cr、CrO、CrON、MoSi2及びSiO2等の無機基板が好ましく上げられ、該無機基板にTaO等のEUV吸収層を有していることがより好ましい。マスク製造用の基板は、通常のマスクに用いられる基板と同様の構成とすればよく、例えば透過型マスクの場合は対象の透過光に対して透明であるのが好ましく、反射型マスクの場合は対象の光(EUV等の電磁波等)に対して高い反射率を有することが好ましい。
【0181】
パターン形成工程における現像は、通常の現像液を用いることができ、現像液として例えばアルカリ現像液、中性現像液及び有機溶剤現像液等が挙げられる。
また、上記以外の現像液として、水溶性有機溶剤を含む水溶性現像液も好ましく用いられる。上記水溶性有機溶剤としては、水と任意の割合で混合する炭素数1以上の有機化合物が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジグライム、トリグライム、アセトニトリル、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等が具体的に挙げられる。
【0182】
上記水溶性現像液は1種以上の水溶性有機溶剤を含むことで水溶液となっていればよく、非水溶性有機溶媒をさらに混合していても良い。上記非水溶性有機溶剤としては、例えば、水と混和しないアルコール類、水と混和しないエーテル類、水と混和しないニトリル類、水と混和しないケトン類、水と混和しない酢酸エチル等のエステル類及び塩化メチレン等の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
【0183】
上記基板としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。例えば、シリコン、窒化シリコン、チタン、タンタル、パラジウム、銅、クロム、アルミニウム等の金属製の基板;ガラス基板;等が挙げられる。
本発明のひとつの態様において、LSI作成のための層間絶縁膜等を得るために用いるフォトリソグラフィ工程の露光に用いる活性エネルギー線としては、UV、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、電子線又は極端紫外線(EUV)等が好ましく挙げられる。
【0184】
第1活性エネルギー線の照射量は、光硬化性組成物中の各成分の種類及び配合割合、並びに塗膜の膜厚等によって異なるが、1J/cm2以下又は1000μC/cm2以下であることが好ましい。
本発明のひとつの態様において、上記レジスト組成物により形成されたレジスト膜の膜厚は10~200nmであることが好ましい。上記レジスト組成物は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により基板上に塗布され、60~150℃で1~20分間、好ましくは80~120℃で1~10分間プリベークして薄膜を形成する。この塗布膜の膜厚は5~200nmであり、10~100nmであることが好ましい。
【実施例】
【0185】
以下、本発明のいくつかの態様を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0186】
<ユニットAを構成する化合物A1の合成>
(合成例1)ジベンゾチオフェン-9-オキシドの合成
【0187】
【0188】
ジベンゾチオフェン7.0gをギ酸21.0gに溶解して35℃とする。これに35質量%過酸化水素水4.1gを滴下して25℃で5時間撹拌する。冷却後、反応液を純水50gに滴下し固体を析出させる。析出した固体をろ別し、純水20gで2回洗浄した後、アセトンを用いて再結晶する。これをろ過した後に乾燥することでジベンゾチオフェン-9-オキシドを7.6g得る。
【0189】
(合成例2)9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージドの合成
【0190】
【0191】
上記合成例1で得たジベンゾチオフェン-9-オキシド4.0gとフェノール2.8gとをメタンスルホン酸16gに溶解して25℃とする。これに五酸化二リン1.5gを添加して室温で15時間撹拌する。その後純水60gを添加してさらに5分撹拌後、酢酸エチル20gで2回洗浄する。これを分液して、得られた水層にヨウ化カリウム3.6gと塩化メチレン30gとを添加して室温で2時間撹拌する。その後これを分液して、得られた有機層を純水40gで4回洗浄する。回収した有機層を濃縮し、ジイソプロピルエーテル100gに滴下して固体を析出させる。析出した固体をろ別して乾燥することで9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージドを6.6g得る。
【0192】
(合成例3)9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートの合成
【0193】
【0194】
上記合成例2で得た9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージド6.0gとジメチル硫酸2.3gとをメタノール15gに溶解して25℃として室温で4時間撹拌する。その後酢酸エチル45gを添加して固体を析出させる。析出した固体をろ別して乾燥することで9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを4.9g得る。
【0195】
(合成例4)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート(化合物a1)の合成
【0196】
【0197】
上記合成例3で得た9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート4.0gとメタクリル酸クロライド1.9gとを塩化メチレン25gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン1.4gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に、回収した有機層を濃縮し、ジイソプロピルエーテル60gに滴下することで固体を析出させる。析出した固体をろ別した後に乾燥させて9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート(化合物a1)を3.0g得る。
【0198】
(合成例5)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエチルスルホネート(化合物A1)の合成
【0199】
【0200】
上記合成例4で得た9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート4.0gと1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム3.2gとを塩化メチレン25gと純水20gに添加して25℃で1時間撹拌する。撹拌後に分液し、再度1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシスルホン酸ナトリウム1.6gと純水20gを添加して25℃で30分撹拌する。撹拌後に分液し、回収した有機層を濃縮する。得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=90/10(体積比))により精製することで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエチルスルホネート(化合物A1)3.0gを得る。
【0201】
<ユニットAを構成する化合物A2の合成>
(合成例6)(4-ヒドロキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-ヨージドの合成
【0202】
【0203】
ジベンゾチオフェン-9-オキシドに代えてジフェニルスルホキシドを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、(4-ヒドロキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-ヨージドを5.9g得る。
【0204】
(合成例7)(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-トリフルオロメタンスルホネート(化合物a2)の合成
【0205】
【0206】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-ヒドロキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用い、ジイソプロピルエーテルを用いて固体を析出させる代わりにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=9/1)とする以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート(化合物a2)を3.8g得る。
【0207】
(合成例8)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエチルスルホネート(化合物A2)の合成
【0208】
【0209】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用いる以外は上記合成例5と同様の操作を行うことで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-1,1,ジフルオロ‐2-ヒドロキシエチルスルホネート(化合物A2)を3.0g得る。
【0210】
<ユニットAを構成する化合物A3の合成>
(合成例9)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-1,1,2-トリフルオロ-3-ヒドロキシプロピルスルホネート(化合物A3)の合成
【0211】
【0212】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用い、1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムに代えて1,1,2-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムを用いる以外は上記合成例5と同様の操作を行うことで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-1,1,2-トリフルオロ-3-ヒドロキシプロピルスルホネート(化合物A3)を3.0g得る。
【0213】
<ユニットAを構成する化合物A4の合成>
(合成例10)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホネート(化合物A4)の合成
【0214】
【0215】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用い、1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムに代えて3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムを用いる以外は上記合成例5と同様の操作を行うことで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホネート(化合物A4)を3.0g得る。
【0216】
<ユニットAを構成する化合物A5の合成>
(合成例11)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-3-メルカプトプロピルスルホネート(化合物A5)の合成
【0217】
【0218】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用い、1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムに代えて3-メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウムを用いる以外は上記合成例5と同様の操作を行うことで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-3-メルカプトプロピルスルホネート(化合物A5)を3.0g得る。
【0219】
<ユニットAを構成する化合物A6の合成>
(合成例12)5-(4-ヒドロキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム―p-トルエンスルホネートの合成
【0220】
【0221】
ジベンゾチオフェン-9-オキシドに代えてテトラメチレンスルホキシドを用い、フェノールに代えて1-ナフトールを用い、ヨウ化カリウムの代わりにp-トルエンスルホン酸ナトリウムを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、5-(4-ヒドロキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム―p-トルエンスルホネートを3.5g得る。
【0222】
(合成例13)5-(4-メタクリルオキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム―p-トルエンスルホネートの合成
【0223】
【0224】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて5-(4-ヒドロキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム-トリフルオロメタンスルホンネートを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、(5-(4-メタクリルオキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム-p-トルエンスルホネートを5.1g得る。
【0225】
(合成例14)5-(4-メタクリルオキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエチルスルホネート(化合物A6)の合成
【0226】
【0227】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用いる以外は上記合成例5と同様の操作を行うことで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエチルスルホネート(化合物A6)を3.0g得る。
【0228】
<ユニットAを構成する化合物A7の合成>
(合成例15)2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェンの合成
【0229】
【0230】
塩化アルミニウム5.0gを塩化メチレン50gに添加して0℃とする。これにジベンゾチオフェン5gを添加した後に4-メトキシベンゾイルクロリド4.6gを塩化メチレン9.2gに溶解して30分かけて滴下する。滴下後25℃で1時間撹拌し、純水60gを添加してさらに5分撹拌後、トルエン20gで2回洗浄する。得られた有機層を溶媒留去する。得られた残留物をアセトン30g用いた再結晶によって精製することで、2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェンを6.1g得る。
【0231】
(合成例16)2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン-5-オキシドの合成
【0232】
【0233】
上記合成例15で得られた2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン6.0gをギ酸30gに溶解し、これに35質量%過酸化水素水3.5gを氷冷下で滴下する。その後、室温に昇温して5時間撹拌する。撹拌後、反応液に純水80gを滴下し固体を析出させる。析出した固体をろ別し、純水10gで3回洗浄した後に乾燥することで粗結晶を得る。粗結晶をアセトン100gとエタノール200gを用いて再結晶させ、2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン-5-オキシドを4.3g得る。
【0234】
(合成例17)2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチルジベンゾチオフェン-5-オキシドの合成
【0235】
【0236】
合成例16で得られた2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン-5-オキシド5.0gをメタノール20gに添加し、これにオルトギ酸トリメチル5.0gと濃硫酸20mgを添加して60℃で3時間撹拌する。撹拌後、反応溶液を塩化メチレン60gと3質量%炭酸水素ナトリウム水溶液10gとの混合溶液に加え10分間撹拌して有機層を回収する。得られた有機層を水で3回洗浄後に塩化メチレンを留去することで2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチルジベンゾチオフェン-5-オキシドを4.6g得る。
【0237】
(合成例18)4-ビニルフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A7)の合成
【0238】
【0239】
上記合成例17で得た2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチルジベンゾチオフェン-5-オキシド4.0gとトリメチルシリルクロライド1.1gとトリエチルアミン1.8gとを塩化メチレン15.5gに溶解した溶液中に、1.0mol/Lの4-ビニルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液15mlを10℃以下で滴下し、その後25℃で1時間撹拌する。撹拌後、10質量%塩化アンモニウム水溶液30gを5℃以下で添加してさらに10分撹拌した後、塩化メチレン40gと1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム2.7gを添加して25℃で2時間程度撹拌する。これを分液して水で3回洗浄後に塩化メチレンを留去することで粗結晶を得る。粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=90/10(体積比))により精製することで4-ビニルフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A7)を2.6g得る。
【0240】
<ユニットAを構成する化合物A8の合成>
(合成例19)4-ヒドロキシフェニル-2-[(4-メトキシ)ベンゾイル]ジベンゾチオフェニウム-ヨージドの合成
【0241】
【化44】
ジベンゾチオフェン-9-オキシドに代えて2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン-5-オキシドを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、4-ヒドロキシフェニル-2-[(4-メトキシ)ベンゾイル]ジベンゾチオフェニウム-ヨージドを3.0g得る。
【0242】
(合成例20)4-ヒドロキシフェニル-2-[(4-メトキシ)ベンゾイル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートの合成
【0243】
【0244】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージドに代えて上記合成例19で得た4-ヒドロキシフェニル-2-[(4-メトキシ)ベンゾイル]ジベンゾチオフェニウム-ヨージドを用いる以外は上記合成例3と同様の操作を行うことで、4-ヒドロキシフェニル-2-[(4-メトキシ)ベンゾイル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを3.0g得る。
【0245】
(合成例21)4-ヒドロキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートの合成
【0246】
【0247】
2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン-5-オキシドに代えて上記合成例20で得た4-ヒドロキシフェニル-2-[(4-メトキシ)ベンゾイル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを用いる以外は上記合成例17と同様の操作を行うことで、)4-ヒドロキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを3.0g得る。
【0248】
(合成例22)4-メタクリルオキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートの合成
【0249】
【0250】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて上記合成例21で得た4-ヒドロキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、4-メタクリルオキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを3.0g得る。
【0251】
(合成例23)4-メタクリルオキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A8)の合成
【0252】
【0253】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて上記合成例22で得た4-メタクリルオキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを用いる以外は上記合成例5と同様の操作を行うことで、4-メタクリルオキシフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A8)を3.0g得る。
【0254】
<ユニットAを構成する化合物A9の合成>
(合成例24)2-[メトキシフェニル-[1,3]ジオキセパン-2-イル]ジベンゾチオフェン-5-オキシドの合成
【0255】
【0256】
メタノールに代えて1,4-ブタンジオールを用いる以外は上記合成例17と同様の操作を行うことで、2-[メトキシフェニル-[1,3]ジオキセパン-2-イル]ジベンゾチオフェン-5-オキシドを3.0g得る。
【0257】
(合成例25)4-ビニルフェニル-2-[メトキシフェニル-[1,3]ジオキセパン-2-イル]ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A9)の合成
【0258】
【0259】
2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチルジベンゾチオフェン-5-オキシドメタノールに代えて上記合成例24で得た2-[メトキシフェニル-[1,3]ジオキセパン-2-イル]ジベンゾチオフェン-5-オキシドを用いる以外は上記合成例18と同様の操作を行うことで、4-ビニルフェニル-2-[メトキシフェニル-[1,3]ジオキセパン-2-イル]ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A9)を3.0g得る。
【0260】
<ユニットAを構成する化合物A10の合成>
(合成例26)フェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-ブロミドの合成
【0261】
【0262】
上記合成例17で得た2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチルジベンゾチオフェン-5-オキシド4.0gとトリメチルシリルクロライド1.1gとトリエチルアミン1.8gとを塩化メチレン15.5gに溶解した溶液中に、1.0mol/Lの4-ビニルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液15mlを10℃以下で滴下し、その後25℃で1時間撹拌する。撹拌後、10質量%塩化アンモニウム水溶液30gを5℃以下で添加してさらに10分撹拌して塩化メチレン40gを添加して25℃で2時間程度撹拌する。これを分液して水で3回洗浄後に塩化メチレンを留去することで粗結晶を得る。粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=90/10(体積比))により精製することで、フェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)メチル]ジベンゾチオフェニウム-ブロミドを3.0g得る。
【0263】
(合成例27)フェニル-2-(4-ヒドロキシベンゾイル)ジベンゾチオフェニウム-ブロミドの合成
【0264】
【0265】
上記合成例26で得たフェニル-2-[ジメトキシ-(4-メトキシフェニル)]メチルジベンゾチオフェニウム-ブロミド3.0gを酢酸30mlに添加して110℃とした後に48%臭化水素酸水溶液2.2gを滴下して18時間攪拌する。その後、25℃に冷却してから純水60mlと塩化メチレン40gを添加して撹拌する。これを分液して水で3回洗浄後に塩化メチレンを留去することで粗結晶を得る。粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=80/20(体積比))により精製することでフェニル-2-(4-ヒドロキシベンゾイル)ジベンゾチオフェニウム-ブロミドを1.4g得る。
【0266】
(合成例28)フェニル-2-[ジメトキシ-(4-ヒドロキシフェニル)]メチルジベンゾチオフェニウム-ブロミドの合成
【0267】
【0268】
2-(4-メトキシベンゾイル)ジベンゾチオフェン-5-オキシドに代えて上記合成例27で得たフェニル-2-(4-ヒドロキシベンゾイル)ジベンゾチオフェニウム-ブロミドを用いる以外は上記合成例17と同様の操作を行うことでフェニル-2-[ジメトキシ-(4-ヒドロキシフェニル)]メチルジベンゾチオフェニウム-ブロミドを1.5g得る。
【0269】
(合成例29)フェニル-2-{ジメトキシ-[4-(3-メタクリルオキシ)プロピルオキシフェニル]メチル}ジベンゾチオフェニウム-1,1-ジフルオロ‐2-ヒドロキシエタンスルホネート(化合物A10)の合成
【0270】
【0271】
上記合成例28で得たフェニル-2-[ジメトキシ-(4-ヒドロキシフェニル)]メチルジベンゾチオフェニウム-ブロミド1.5gと3-トリフルオロメタンスルホニルプロパンメタクリレート1.10gをアセトニトリル10mlに溶解した後に、炭酸カリウム2.1gを添加して70℃で3時間攪拌する。その後、塩化メチレン30mlと純水15mと1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム1.3glを添加して撹拌する。これを分液して水で3回洗浄後に塩化メチレンを留去することで粗結晶を得る。粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=80/20(体積比))により精製することでフェニル-2-{ジメトキシ-[4-(1-エトキシエチル)オキシフェニル]メチル}ジベンゾチオフェニウム-ノナフルオロブタンスルホネート(化合物A10)を1.0g得る。
【0272】
<ユニットBを構成する化合物B1の合成>
(合成例30)2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロールの合成
【0273】
【0274】
2,4-ジメトキシ-4'-ヒドロキシベンゾフェノン6.0gをTHF32gに溶解し、これに水素化リチウムアルミニウム2.2gを添加し室温で3時間攪拌する。その後、純水6gを水素の発生を確認しながら添加後さらに10分攪拌する。5質量%シュウ酸ナトリウム水溶液を添加して10分撹拌後に酢酸エチル30gを添加して分液する。これを水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮することで2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロール5.9gを得る。
【0275】
(合成例31)2,4-ジメトキシ-2'-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B1)の合成
【0276】
【0277】
合成例30で得た2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロール4.0gとメタクリル酸無水物4.2gとを塩化メチレン40gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン2.8gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=15/85(体積比))により精製することで、2,4-ジメトキシ-2'-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B1)を2.6g得る。
【0278】
<ユニットBを構成する化合物B2の合成>
(合成例32)2-ヒドロキシベンゾヒドロールの合成
【0279】
【0280】
2,4-ジメトキシ-4'-ヒドロキシベンゾフェノンに代えて2-ヒドロキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで、2-ヒドロキシベンゾヒドロールを3.5g得る。
【0281】
(合成例33)2-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B2)の合成
【0282】
【0283】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロールに代えて合成例32で得た2-ヒドロキシベンゾヒドロールを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例31と同様の操作を行うことで、2-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B2)を3.5g得る。
【0284】
<ユニットBを構成する化合物B3の合成>
(合成例34)1-(4-ヒドロキシフェニル)エタノールの合成
【0285】
【0286】
2,4-ジメトキシ-4'-ヒドロキシベンゾフェノンに代えて4‐ヒドロキシアセトフェノンを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで、1-(4-ヒドロキシフェニル)エタノールを2.7g得る。
【0287】
(合成例35)1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタノール(化合物B3)の合成
【0288】
【0289】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンズヒドロールに代えて合成例34で得た2-ヒドロキシベンズヒドロールを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例31と同様の操作を行うことで、2-メタクリルオキシヒドロキシベンズヒドロール (化合物B3)を3.5g得る。
【0290】
<ユニットBを構成する化合物B4の合成>
(合成例36)2,4-ジメトキシ-4'-(2-ビニルオキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
【0291】
【0292】
2,4-ジメトキシ-4'-ヒドロキシ-ベンゾフェノン4.0gと2-クロロエチルビニルエーテル4.8gと炭酸カリウム6.4gとをジメチルホルムアミド24gに溶解する。混合物を110℃で15時間攪拌する。そして、混合物を25℃に冷却し、水60gの添加後さらに攪拌した後トルエン24gで抽出し、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-ビニルオキシ)エトキシベンゾフェノン5.4gを得る。
【0293】
(合成例37)2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
【0294】
【0295】
合成例36で得た2,4-ジメトキシ-4'-(2-ビニルオキシ)エトキシベンゾフェノン5.4gとピリジニウム-p-トルエンスルホン酸0.42gと純水4.2gとをアセトン36gに溶解する。混合物を35℃で12時間攪拌する。そして、3質量%炭酸ナトリウム水溶液添加後に混合物をさらに攪拌後に酢酸エチル42gで抽出し、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮することで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノン4.3gを得る。
【0296】
(合成例38)2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾヒドロールの合成
【0297】
【0298】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンズヒドロールに代えて合成例37で得た2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾヒドロールを2.7g得る。
【0299】
(合成例39)2,4-ジメトキシ-4'-(2-メタクリルオキシ)エトキシベンゾヒドロール(化合物B4)の合成
【0300】
【0301】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンズヒドロールに代えて合成例38で得た2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾヒドロールを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例31と同様の操作を行うことで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-メタクリルオキシ)エトキシベンゾヒドロール(化合物B4)を3.5g得る。
【0302】
<ユニットBを構成する化合物B5の合成>
(合成例40)1-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メタノールの合成
【0303】
【0304】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンズヒドロールに代えて3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで、1-(4-ヒドロキシフェニル)メタノールを2.7g得る。
【0305】
(合成例41)1-(3-メタクリルオキシ-4-メトキシフェニル)メタノール(化合物B5)の合成
【0306】
【0307】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンズヒドロールに代えて合成例40で得た1-(4-ヒドロキシフェニル)メタノールルを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例31と同様の操作を行うことで、1-(3-メタクリルオキシ-4-メトキシフェニル)メタノール(化合物B5)を2.1g得る。
【0308】
<ユニットBを構成する化合物B6の合成>
(合成例42)4-ヒドロキシ-4'-メトキシベンゾヒドロールの合成
【0309】
【0310】
2,4-ジメトキシ-4'-ヒドロキシベンゾフェノンに代えて4-ヒドロキシ-4'-メトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで4-ヒドロキシ-4'-メトキシベンゾヒドロールを3.5g得る。
【0311】
(合成例43)4-メタクリルオキシ-4'-メトキシベンゾヒドロール(化合物B6)の合成
【0312】
【0313】
4-ヒドロキシベンゾヒドロールに代えて合成例42で得た4-ヒドロキシ-4'-メトキシベンゾヒドロールを用いる以外は上記合成例31と同様の操作を行うことで、)4-メタクリルオキシ-4'-メトキシベンゾヒドロール(化合物B6)を3.5g得る。
【0314】
<ユニットCを構成する化合物C1の合成>
(合成例44)1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン(化合物C1)の合成
【0315】
【0316】
1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(イルガキュア2959)4.0gとメタクリル酸無水物4.6gとを塩化メチレン40gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン3.0gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン(化合物C1)を4.9g得る。
【0317】
<ユニットCを構成する化合物C2の合成>
(合成例45)1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンの合成
【0318】
【0319】
あらかじめ水分を除去したフラスコにマグネシウム2.0gとTHF10gとを加える。これに、4-(2-エトキシ)エトキシフェニルブロミド 10.0gをTHF50.0gに溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下する。滴下後に室温で1時間撹拌した後、得られた4-(2-エトキシ)エトキシフェニルマグネシウムブロミド溶液を別途準備したピバル酸クロライド 9.8gとTHF40gとを加えたフラスコ中に5℃で30分間かけて滴下する。滴下後、30分撹拌した後に3質量%塩酸150gを加えて、さらに10分間撹拌する。その後、THFを留去し、酢酸エチル150gを用いて抽出する。これを分液し、得られた有機層を純水60gで3回洗浄する。その後、分液して得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=20/80(体積比))により精製することで、1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを5.8g得る。
【0320】
(合成例46)1-(4-メタクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C2)の合成
【0321】
【0322】
上記合成例45で得た1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン4.0gとメタクリル酸無水物4.1gとを塩化メチレン32gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン2.7gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-(4-メタクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C2)を4.6g得る。
【0323】
<ユニットCを構成する化合物C3の合成>
(合成例47)1-(4-アクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C3)の合成
【化72】
【0324】
メタクリル酸無水物に代えてアクリル酸クロライドを用いる以外は上記合成例46と同様の操作を行うことで、1-(4-アクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C3)を5.3g得る。
【0325】
<ユニットCを構成する化合物C4の合成>
(合成例48)1-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンの合成
【0326】
【0327】
4-(2-エトキシ)エトキシフェニルブロミドに代えて2-ブロモ-6-(2-エトキシ)エトキシナフタレンを用いる以外は上記合成例45と同様の操作を行うことで、1-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを6.9g得る。
【0328】
(合成例49)1-(6-メタクリルオキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C4)の合成
【0329】
【0330】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて1-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを用いる以外は上記合成例46と同様の操作を行うことで、1-(6-メタクリルオキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C4)を5.3g得る。
【0331】
<ユニットCを構成する化合物C5の合成>
(合成例50)1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノンの合成
【0332】
【0333】
4-(2-エトキシ)エトキシフェニルブロミドに代えて4-(2-ビニルオキシ)エトキシフェニルブロミドを用いる以外は上記合成例45と同様の操作を行うことで、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノンを6.3g得る。
【0334】
(合成例51)1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C5)の合成
【0335】
【0336】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて1-(2-ヒドロキシエトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを用いる以外は上記合成例46と同様の操作を行うことで、1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C5)を5.6g得る。
【0337】
<ユニットCを構成する化合物C6の合成>
(合成例52)フェニルグリオキシ酸クロライドの合成
【0338】
【0339】
フェニルグリオキシ酸5.0gをアニソール35gに溶解して50℃とする。これに塩化オキサリル5.1gを10分間かけて滴下し50℃で2時間撹拌する。これを、70℃として過剰の塩化オキサリルを留去した後に減圧下でアニソールを留去し濃縮することで、フェニルグリオキシ酸クロライドのアニソール溶液を26.3g得た。
【0340】
(合成例53)1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンの合成
【0341】
【0342】
合成例52で得たフェニルグリオキシ酸クロライドのアニソール溶液25.0gを塩化メチレン35gに溶解して0℃とする。これに塩化アルミニウム4.3gを添加して0℃で2時間撹拌する。これに純水35gを加えて10分間撹拌後に分液する。得られた有機層を純水30gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンを5.6g得る。
【0343】
(合成例54)1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンの合成
【0344】
【0345】
1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエタンジオン5.0gを酢酸95mlに溶解する。これに、48質量%HBr水溶液33.2gを70℃で10分間かけて滴下する。滴下後、110℃で70時間攪拌する。その後、水150gを添加して結晶化する。これをろ過し、結晶を水250gで洗浄した後、乾燥することで1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンを4.1g得る。
【0346】
(合成例55)2,2-ジメトキシ-1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタン-1-オン(化合物C6)の合成
【0347】
【0348】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオン4.0gと硫酸0.10gとをメタノール12gに溶解して25℃とする。これにオルト蟻酸トリメチル2.2gを滴下して3時間攪拌する。トリエチルアミン0.6gを30℃で添加して5分間攪拌後、溶媒を留去する。得られた残渣にアセトニトリル25g、トリエチルアミン4.5g及びジメチルアミノピリジン0.11gを添加した後、アセトニトリル5.0gで希釈したメタクリル酸無水物6.8gを室温で滴下する。滴下後、25℃にて2時間攪拌した後、3質量%NaHCO3水溶液64gを添加して5分間攪拌する。その後、酢酸エチル32gで抽出し、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、2,2-ジメトキシ-1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタン-1-オン(化合物C6)を4.3g得る。
【0349】
<ユニットEを構成する化合物E1の合成>
(合成例56)4-ビニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E1)の合成
【0350】
【0351】
あらかじめ水分を除去したフラスコにマグネシウム1.2gとTHF6gとを加える。これに、4-ビニルブロモベンゼン 6.0gをTHF12.0gに溶解した溶液を1時間かけて滴下する。滴下後に1時間撹拌した後、得られた4-ビニルフェニルマグネシウムブロミド溶液を別途準備した塩化トリフェニルスズ 7.3gとTHF36gとを加えたフラスコ中に5℃で30分間かけて滴下する。滴下後、30分撹拌した後に1質量%塩化アンモニウム水溶液600gを加えて、さらに10分間撹拌する。その後、THFを留去し、トルエン60gを用いて抽出する。これを分液し、得られた有機層を純水60gで3回洗浄する。その後、分液して得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=5/95(体積比))により精製することで、4-ビニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E1)を5.6g得る。
【0352】
<ユニットEを構成する化合物E2の合成>
(合成例57)4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E2)の合成
【0353】
【0354】
4-ビニルブロモベンゼンに代えて4-イソプロペニルブロモベンゼンを用いる以外は上記合成例56と同様の操作を行うことで、4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E2)を7.1g得る。
【0355】
<ユニットEを構成する化合物E3の合成>
(合成例58)4-ビニルフェニル-トリブチルスズ(化合物E3)の合成
【0356】
【0357】
塩化トリフェニルスズに代えて塩化トリブチルスズを用いる以外は上記合成例56と同様の操作を行うことで、4-ビニルフェニル-トリブチルスズ(化合物E3)を5.1g得る。
【0358】
<ユニットEを構成する化合物E4の合成>
(合成例59)4-ビニルフェニル-トリフェニルゲルマン(化合物E4)の合成
【0359】
【0360】
塩化トリフェニルスズに代えて塩化トリフェニルゲルマニウムを用いる以外は上記合成例56と同様の操作を行うことで、4-ビニルフェニル-トリブチルゲルマン(化合物E4)を3.1g得る。
【0361】
<ユニットFを構成する化合物F1の合成>
(合成例60)1-トリフルオロメチル-2-ブロモエタノールの合成
【0362】
【0363】
1-ブロモ-3,3,3-トリフルオロアセトン6.0gをTHF28gに溶解し、これに水素化リチウムアルミニウム0.3gを添加し室温で3時間攪拌する。その後、純水6gを水素の発生を確認しながら添加後さらに10分攪拌する。5質量%シュウ酸ナトリウム水溶液を添加して10分撹拌後に酢酸エチル30gを添加して分液する。これを水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮することで1-トリフルオロメチル-2-ブロモエタノール5.9gを得る。
【0364】
(合成例61)1-トリフルオロメチル-2-メタクリルオキシエタノール(化合物F1)の合成
【0365】
【0366】
1-トリフルオロメチル-2-ブロモエタノール5.0gをDMF20gに溶解し、これに炭酸カリウム3.9gとメタクリル酸3.3gを添加し80℃で3時間攪拌する。その後、純水20gを添加後さらに10分攪拌する。酢酸エチル30gを添加して分液した後に1質量%塩酸水溶液10gで洗浄後、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮すること得られた有機層をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-トリフルオロメチル-2-メタクリルオキシエタノール(化合物F1)4.2gを得る。
【0367】
<ユニットFを構成する化合物F2の合成>
(合成例62)1,3,5-トリヨードフェニルメタクリレート(化合物F2)の合成
【0368】
【0369】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて1,3,5-トリヨードフェノールを用いる以外は上記合成例46と同様の操作を行うことで、1,3,5-トリヨードフェニルメタクリレート(化合物F2)を4.3g得る。
【0370】
<ポリマー1の合成>
(合成例63)ポリマーa1の合成
【0371】
【0372】
ユニットAを構成する化合物a1を3.0g、ユニットBを構成する化合物B1を1.8g及びユニットEを構成する化合物E1を2.1g並びに、重合開始剤としてジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.71gとα-チオグリセロール0.15gとを、シクロヘキサノン9gとγ-ブチロラクトン13gとの混合溶液に溶解して脱酸素する。これをあらかじめ80℃に加熱したγ-ブチロラクトン4gとシクロヘキサノン4gとの混合液に4時間かけて滴下する。滴下後に2時間撹拌してその後に冷却する。冷却後に90gの酢酸エチルに滴下することで再沈殿する。これをろ過した後に20質量%メタノール水溶液40g中で10分撹拌後にろ過し、真空乾燥することで目的のポリマー1を5.3g得る。
上記及び下記にポリマーのユニット比の開示があるが、本発明のいくつかの態様のポリマーはこれに限定されない。
【0373】
【0374】
上記合成例63で得たポリマーa1を2.0gと2-ヒドロキシスルホン酸ナトリウム1.0gとを塩化メチレン30gと純水10gとの混合溶液に添加して25℃で1時間撹拌する。撹拌後に分液し、再度2-ヒドロキシスルホン酸ナトリウム1.0gと純水10gを添加して25℃で30分撹拌する。これを3回繰り返した後に分液し、回収した有機層を濃縮する。得られた有機層を溶媒留去した後にイソプロピルアルコールで分散洗浄することによりポリマー1を1.5gを得る。
【0375】
【0376】
2-ヒドロキシスルホン酸に代えて2,3-ジヒドロキシプロパンスルホン酸を用いる以外は上記合成例64と同様の操作を行うことで、ポリマー2を1.4g得る。
【0377】
【0378】
2-ヒドロキシスルホン酸に代えて3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸を用いる以外は上記合成例48と同様の操作を行うことで、ポリマー3を1.6g得る。
【0379】
<ポリマー4~13及び比較ポリマー1、2の合成>
(合成例67)ポリマー4~13及び比較ポリマー1,2の合成
上記合成例46に倣い、ユニットAを構成する上記化合物A1~A5、a1及びa2、ユニットBを構成する上記化合物B1、B2及びB4、ユニットCを構成する上記化合物C1、C2及びC6、ユニットDを構成する下記化合物D、ユニットEを構成する上記化合物E1~E3、ユニットFを構成する上記化合物F1~F2を用いて、ポリマー4~13、比較ポリマー1及び2を合成した。合成した各ポリマーの詳細を表1に示す。
化合物D:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート
【0380】
【0381】
<レジスト組成物の調製>
上記ポリマーのうちポリマー1、4~6、8と、比較ポリマー1~2のいずれか50mgをシクロヘキサノン、乳酸エチル及びγ-ブチロラクトンを5:5:1の比率で混合した溶媒に溶解して、実施例1~5及び比較例1~2のレジスト組成物サンプル1~7を調製する。用いたポリマーを表2及び表3に示す。
【0382】
<現像液の調製>
現像液を以下のようにして調製した。
(1)上記各ポリマー1、4~6、8及び比較ポリマー1~2を溶解したレジスト組成物サンプル1~7を用いて、スピンコート法によって膜厚100nmとなるように組成物を塗布したフィルムを準備する。
(2)アセトニトリル濃度が0~80質量%のアセトニトリル水溶液を準備する。
(3)上記(1)で得られた各フィルムを各アセトニトリル水溶液に含浸させ、30秒以内でフィルムに塗布した組成物が完全に溶解するアセトニトリル水溶液のアセトニトリルの最低濃度を求める。
(4)上記(3)で求めたアセトニトリル水溶液を各レジスト組成物サンプルに対する現像液とする。
【0383】
<電子線感度評価>
シリコンウェハ上に上記レジスト組成物サンプル1をスピンコートする。これを110℃のホットプレート上に1分間プレベークすることで、厚さ30nmの塗布膜が形成された基板を得る。該基板の塗布膜に対し、電子線描画装置(エリオニクス ELS―F100T)を用いて、125keVの電子線により160nmピッチの50nmラインパターンを描画する。電子線照射後の基板を90℃のホットプレートで1分間Post Exposure Bake(PEB)する。その後、各ポリマーに最適化した上記の現像液のアセトニトリル濃度を5質量%増加したパターニング用の現像液を用いて1分間現像し、その後に純水でリンスすることで50nmのラインパターンを得る。このときの照射量をEmax[μC/cm2]として電子線照射による感度を求める。得られた50nmラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテク製 S-5500)を用いて観察してLWRを測定する。
上記サンプル2~7に対しても、上記と同様にして感度とLWRの評価を行う。レジスト組成物サンプル1(比較例1)の感度とLWRとを基準値として各レジスト組成物サンプル2~7の感度とLWRとを位比較し、相対感度及び相対LWRとして得た結果を表2に示す。
【0384】
【0385】
実施例1及び2の結果より、いずれのポリマーもユニットAのアニオンにヒドロキシル基を有するポリマーであるため、該アニオンのヒドロキシル基がユニットBと反応することが出来る。そのため、実施例1及び2では、反応効率が向上し、比較例1より15%以上の高感度化が出来る。さらに、ユニットAのアニオンにヒドロキシル基を有するポリマーは、ユニットBと反応することで酸アニオンがポリマーの一部となり、酸拡散制御性が大幅に向上することができ比較例1よりも30%以上の低LWR化が出来る。
【0386】
実施例3及び4は、比較例2と同様のカチオン構造であるが、比較例2と比較してさらに15%以上の高感度化が出来る。比較例2は比較例1と比べて感度が上がる半面、比較例1よりもLWRが20%大きくなっている。しかし、実施例3及び4はユニットAのアニオンにヒドロキシル基を有するポリマーを用いているため、比較例1と比較しても感度もよく、また30%以上の低LWR化が出来る。
【0387】
実施例5の結果より、チオールを有するアニオンのヒドロキシル基を有するアニオンと同様に基準実施例よりも感度の向上及び低LWR化することが出来る。
【0388】
<ポリマー14~20の合成>
(合成例68)ポリマー14~21の合成
上記合成例46に倣い、ユニットAを構成する上記化合物A7~A10、
ユニットBを構成する上記化合物B1、B2及びB4、ユニットCを構成する上記化合物C1、C2及びC6、ユニットEを構成する上記化合物E1、ユニットKを構成する下記化合物Kを用いて、ポリマー14~21を合成した。合成した各ポリマーの詳細を表3に示す。
化合物K:9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-2,4,6-トリフルオロベンゾエート
【0389】
【0390】
[実施例6~13]
<レジスト組成物の調製>
上記ポリマー4、14~21のいずれか50mgをシクロヘキサノン、乳酸エチル及びγ-ブチロラクトンを5:5:1の比率で混合した溶媒に溶解して、実施例6~14のレジスト組成物サンプル8~16を調製する。用いたポリマーを表4に示す。
【0391】
<現像液の調製>
現像液を以下のようにして調製した。
(1)上記各ポリマー4、14~20を溶解したレジスト組成物サンプル8~15を用いて、スピンコート法によって膜厚100nmとなるように組成物を塗布したフィルムを準備する。
(2)アセトニトリル濃度が0~80質量%のアセトニトリル水溶液を準備する。
(3)上記(1)で得られた各フィルムを各アセトニトリル水溶液に含浸させ、30秒以内でフィルムに塗布した組成物が完全に溶解するアセトニトリル水溶液のアセトニトリルの最低濃度を求める。
(4)上記(3)で求めたアセトニトリル水溶液を各レジスト組成物サンプルに対する現像液とする。
【0392】
<電子線-UV感度評価>
シリコンウェハ上に上記レジスト組成物サンプル8をスピンコートする。これを110℃のホットプレート上に1分間プレベークすることで、厚さ30nmの塗布膜が形成された基板を得る。該基板の塗布膜に対し、電子線描画装置(エリオニクス ELS―F100T)を用いて、125keVの電子線により160nmピッチの50nmラインパターンを描画する。電子線照射後の基板を90℃のホットプレートで1分間Post Exposure Bake(PEB)する。その後、395nmのUV-LEDによって1000mJ/cm2の露光量で全面照射した。その後各ポリマーに最適化した上記の現像液のアセトニトリル濃度を5質量%増加したパターニング用の現像液を用いて1分間現像し、その後に純水でリンスすることで50nmのラインパターンを得る。このときの照射量をEmax[μC/cm2]として電子線照射による感度を求める。得られた50nmラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテク製 S-5500)を用いて観察してLWRを測定する。
上記サンプル9~16に対しても、上記と同様にして感度とLWRの評価を行う。レジスト組成物サンプル8の感度とLWRとを基準値として各レジスト組成物サンプル9~16の感度とLWRとを比較し、相対感度及び相対LWRとして得た結果を表4に示す。
【0393】
【0394】
ユニットA、B及びEの組成比が同じ実施例6と実施例7~10とを比較した。実施例7~10に含まれる化合物A7~A10のアニオンが有するヒドロキシル基は、電子線照射により発生した酸で、ユニットBと酸触媒反応により結合する。また、ユニットB同士も酸触媒反応により結合する。さらに、上記酸触媒反応により発生する水によってユニットA中のオニウム塩のアセタール部位が加水分解してケトン誘導体となる事で光吸収が長波長化し、ポリマーが395nmのUV吸収を有するように変化する。そのため、EB照射後のUV全面露光によりさらに酸発生することで実施例6と同じ組成であっても実施例7~10の感度が向上する。
【0395】
実施例6と実施例7~13とを比較すると、UV照射に対する感度が向上してもUV照射による酸拡散の影響はLWRが良好であることからほとんどないことが推測される。実施例6と実施例7~13とを比較して同程度のLWRでパターニングが出来るため感度とLWRのトレードオフが生じない。
【0396】
実施例8と実施例14とを比較すると、ユニットKを添加することでユニットAから発生した酸の作用を抑制するため感度が低くなるが、酸拡散を抑制することでLWRが小さくなる傾向があることがわかる。これは高い解像度が求められる場合に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0397】
本発明のいくつかの態様により、EUV等の粒子線又は電磁波の吸収効率が大きく、感度、解像度及びパターン性能の特性に優れたポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物を提供することができる。