(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-24
(45)【発行日】2025-10-02
(54)【発明の名称】予測方法及び予測プログラム、並びに環境調整方法及び環境調整プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20250925BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20250925BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2022168385
(22)【出願日】2022-10-20
【審査請求日】2025-04-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 篤
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智美
(72)【発明者】
【氏名】礒▲崎▼ 真英
(72)【発明者】
【氏名】東出 忠桐
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-115817(JP,A)
【文献】特開2021-9456(JP,A)
【文献】特開2016-146046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0012167(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0073573(US,A1)
【文献】国際公開第2012/120689(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026358(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113128779(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A01B 79/00
A01D 91/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜類における開花から果実の収穫が可能になるまでの栽培期間を予測する予測方法であって、
開花日以降の前記果菜類の果実表面の温度である果実温度を取得又は推定し、
前記開花から前記収穫に至るまでの期間を分割した複数のステージそれぞれ
における前記果実温度に基づいて、各ステージの1日ごとの温度関連指標値を求め、前記各ステージの1日ごとの前記温度関連指標値の積算値がステージごとに設定された閾値に達するまでの期間を
前記複数のステージそれぞれの期間として算出し、
算出した前記複数のステージそれぞれの期間を合計して、前記栽培期間を予測する、処理をコンピュータが実行し、
前記算出する処理において、
前記温度関連指標値に対する前記果実温度の寄与度が
前記ステージごとに定められている、ことを特徴とする予測方法。
【請求項2】
前記複数のステージに含まれる第1のステージが第2のステージよりも前のステージである場合に、
前記温度関連指標値に対する前記果実温度の寄与度は、前記第1のステージよりも前記第2のステージの方が大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の予測方法。
【請求項3】
前記寄与度は、前記果菜類の品目及び品種ごとに定められている、ことを特徴とする請求項1に記載の予測方法。
【請求項4】
前記果実温度を推定する場合、前記果実が栽培されている環境の温度と、日射量と、に基づいて推定することを特徴とする請求項1に記載の予測方法。
【請求項5】
複数の開花日における開花数の情報を取得する処理を前記コンピュータが実行し、
前記予測する処理では、前記複数の開花日それぞれに対応する前記栽培期間を予測し、予測した前記栽培期間と、前記開花数の情報と、に基づいて、各日における果実の収穫数を予測する、ことを特徴とする請求項1に記載の予測方法。
【請求項6】
果菜類の開花日以降の前記果菜類の果実の表面の温度である果実温度を取得又は推定し、
開花から収穫に至るまでの栽培期間を分割した複数のステージそれぞれにおける前記果実温度に基づいて、各ステージの1日ごとの温度関連指標値を求め、前記各ステージの1日ごとの前記温度関連指標値の積算値がステージごとに設定された閾値に達するまでの期間を前記複数のステージそれぞれの期間として算出し、算出した前記複数のステージそれぞれの期間を合計して、前記栽培期間を予測する、予測処理を実行し、
前記予測
処理の結果が所望の値とな
らなかった場合に、前記果実温度を別の値に変更しつつ前記予測処理を繰り返し、
前記予測処理の結果が所望の値となったときの前記果実温度の値に基づく情報を出力する、処理をコンピュータが実行
し、
前記温度関連指標値に対する前記果実温度の寄与度が前記ステージごとに定められている、
ことを特徴とする環境調整方法。
【請求項7】
果菜類における開花から果実の収穫が可能になるまでの栽培期間を予測する予測プログラムであって、
開花日以降の前記果菜類の果実表面の温度である果実温度を取得又は推定し、
前記開花から前記収穫に至るまでの期間を分割した複数のステージそれぞれ
における前記果実温度に基づいて、各ステージの1日ごとの温度関連指標値を求め、前記各ステージの1日ごとの前記温度関連指標値の積算値がステージごとに設定された閾値に達するまでの期間を
前記複数のステージそれぞれの期間として算出し、
算出した前記複数のステージそれぞれの期間を合計して、前記栽培期間を予測する、処理をコンピュータに実行させ、
前記算出する処理において、
前記温度関連指標値に対する前記果実温度の寄与度が
前記ステージごとに定められている、ことを特徴とする予測プログラム。
【請求項8】
複数の開花日における開花数の情報を取得する処理を前記コンピュータに実行させ、
前記予測する処理では、前記複数の開花日それぞれに対応する前記栽培期間を予測し、予測した前記栽培期間と、前記開花数の情報と、に基づいて、各日における果実の収穫数を予測する、ことを特徴とする請求項7に記載の予測プログラム。
【請求項9】
果菜類の開花日以降の前記果菜類の果実の表面の温度である果実温度を取得又は推定し、
開花から収穫に至るまでの栽培期間を分割した複数のステージそれぞれ
における前記果実温度に基づいて、各ステージの1日ごとの温度関連指標値を求め、前記各ステージの1日ごとの前記温度関連指標値の積算値がステージごとに設定された閾値に達するまでの期間を前記複数のステージそれぞれの期間として算出し、算出した前記複数のステージそれぞれの期間を合計して、前記栽培期間を予測する、予測処理を実行し、
前記予測
処理
の結果が所望の値とな
らなかった場合に、前記果実温度を別の値に変更しつつ前記予測処理を繰り返し、
前記予測処理の結果が所望の値となったときの前記果実温度の値に基づく情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記温度関連指標値に対する前記果実温度の寄与度が
前記ステージごとに定められている、ことを特徴とする環境調整プログラム。
【請求項10】
複数の開花日における開花数の情報を取得する処理を前記コンピュータに実行させ、
前記予測する処理では、前記複数の開花日それぞれに対応する前記栽培期間を予測し、予測した前記栽培期間と、前記開花数の情報と、に基づいて、各日における果実の収穫数を予測する、ことを特徴とする請求項9に記載の環境調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測方法及び予測プログラム、並びに環境調整方法及び環境調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
果菜類は、時期によって需要が変化する。例えば、イチゴはクリスマスやお正月に需要が大きいため、生産者はこのような時期に収穫して出荷できれば、高値で取引でき、収益を上げることができる。このため、従来、生産者は、長年の経験や勘に基づいて、収穫時期を予測し、様々な調整を行うことで、果実の収穫時期を需要が大きい時期に合わせるようにしていた。
【0003】
これに対し、最近では、積算温度等から収穫時期などの成育に関する情報を予測する技術が出現してきている(例えば特許文献1~6等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-336843号公報
【文献】特開平7-11125号公報
【文献】特開2013-191107号公報
【文献】特開2015-176339号公報
【文献】特開2019-176766号公報
【文献】国際公開第2020/26358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法(特許文献1~6等)では、開花から収穫までの期間(栽培期間)や収穫時期を精度よく予測できない可能性がある。
【0006】
本発明は、果菜類の栽培期間を精度よく予測することが可能な予測方法及び予測プログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、果菜類の栽培環境を適切に調整することが可能な環境調整方法及び環境調整プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の予測方法は、果菜類における開花から果実の収穫が可能になるまでの栽培期間を予測する予測方法であって、開花日以降の前記果菜類の果実表面の温度である果実温度を取得又は推定し、前記開花から前記収穫に至るまでの期間を分割した複数のステージそれぞれにおける前記果実温度に基づいて、各ステージの1日ごとの温度関連指標値を求め、前記各ステージの1日ごとの前記温度関連指標値の積算値がステージごとに設定された閾値に達するまでの期間を前記複数のステージそれぞれの期間として算出し、算出した前記複数のステージそれぞれの期間を合計して、前記栽培期間を予測する、処理をコンピュータが実行し、前記算出する処理において、前記温度関連指標値に対する前記果実温度の寄与度が前記ステージごとに定められている、予測方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の予測方法及び予測プログラムは、果菜類の栽培期間を精度よく予測することができるという効果を奏する。また、本発明の環境調整方法及び環境調整プログラムは、果菜類の栽培環境を適切に調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る処理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、処理サーバ、仲介サーバのハードウェア構成を示す図であり、
図2(b)は、利用者端末のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】処理サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図6】開花から収穫までの期間を分割したステージと、各ステージの日平均果実温度、各ステージの閾値を説明するための図である。
【
図7】ステージと温度感受性の関係を模式的に示す図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(e)は、具体例1に係る収穫日の予測処理について説明するための図である。
【
図9】
図9(a)~
図9(f)は、具体例1において予測収穫日を目標収穫日と一致させるための処理について説明するための図(その1)である。
【
図10】
図10(a)~
図10(f)は、具体例1において予測収穫日を目標収穫日と一致させるための処理について説明するための図(その2)である。
【
図11】
図11(a)~
図11(e)は、具体例2に係る収穫日の予測処理について説明するための図である。
【
図12】
図12(a)~
図12(c)は、具体例2において予測収穫日を目標収穫日と一致させるための処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、予測システムの一実施形態について、
図1~
図12(c)に基づいて詳細に説明する。
図1には、一実施形態に係る予測システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の予測システム100は、果菜類(本実施形態ではイチゴとする)の生産者が利用するシステムであり、イチゴの収穫時期に関する予測を実行し、予測した収穫時期の情報や収穫時期を調整するための情報を生産者に提供するシステムである。
【0011】
予測システム100は、
図1に示すように、処理サーバ10と、仲介サーバ12と、利用者端末70と、を備える。なお、処理サーバ10、仲介サーバ12、利用者端末70は、インターネットなどのネットワーク80を介して接続されており、予め定められた装置間(本実施形態では処理サーバ10と仲介サーバ12の間、仲介サーバ12と利用者端末70の間)において情報のやり取りが可能となっている。
【0012】
処理サーバ10は、利用者端末70において入力された情報を仲介サーバ12を介して取得し、取得した情報に基づいて、イチゴの収穫日を予測する処理を実行する。また、処理サーバ10は、予測した収穫日が目標収穫日になるようにするために、どのように栽培環境を調整すればよいかを特定する。更に、処理サーバ10は、仲介サーバ12を介して、利用者端末70に対し、予測したイチゴの収穫日の情報や、予測した収穫日を目標収穫日に合わせるための栽培環境の調整方法についての情報を出力する。
【0013】
図2(a)には、処理サーバ10のハードウェア構成が概略的に示されている。
図2(a)に示すように、処理サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、ストレージ(例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これら処理サーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。処理サーバ10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、
図4に示す各部の機能が実現される。なお、
図4の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
図4の各部の機能の詳細については、後述する。
【0014】
図1に戻り、仲介サーバ12は、利用者端末70において入力された情報(処理サーバ10における予測処理に必要な情報)を取得して、処理サーバ10に送信する。また、仲介サーバ12は、処理サーバ10から出力された情報を取得して、利用者端末70に送信する。なお、仲介サーバ12は、処理サーバ10と同様のハードウェア構成を有している(
図2(a)参照)。
【0015】
利用者端末70は、イチゴの生産者が利用するスマートフォンやPC(Personal Computer)などの端末である。生産者は、利用者端末70に必要な情報を入力する。利用者端末70は、入力された情報を仲介サーバ12に送信する。また、利用者端末70は、仲介サーバ12を介して、処理サーバ10から出力される情報を取得し、表示する。
【0016】
ここで、利用者端末70は、一例として、
図2(b)に示すようなハードウェア構成を有する。
図2(b)に示すように、利用者端末70は、CPU190、ROM192、RAM194、ストレージ196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195、及び可搬型記憶媒体191に格納されたデータを読み取り可能な可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。表示部193は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部195はタッチパネルや、キーボード、マウス等を含む。これら利用者端末70の構成各部は、バス198に接続されている。
【0017】
図3には、利用者端末70の表示部193に表示される入出力画面の一例が示されている。
図3に示すように、入出力画面には、範囲A~範囲Dが設けられている。範囲Aには、生産者が、果菜類の品目や品種や、圃場の情報(名称や位置等)を入力するための入力欄が設けられているとともに、暖房の開始・終了時期や、側窓の解放・閉鎖時期を入力するための入力欄が設けられている。範囲Bには、実際に圃場に定植した苗の開花日の情報や、その開花日における開花数の情報を生産者等が入力するための入力欄が設けられている。また、範囲Bには、各開花日に開花した花(果実)をいつ収穫したいかを示す情報(目標収穫日)を生産者が入力するための入力欄が設けられている。範囲Cには、処理サーバ10が予測した結果(何月何日に何個のイチゴが収穫できるか)が表示される。範囲Dには、処理サーバ10から出力される情報であって、各開花日に開花した花(果実)を目標収穫日に収穫できるようにするために、栽培環境をどのように変えるべきかを示す情報が表示される。
【0018】
(処理サーバ10が有する機能について)
図4には、処理サーバ10の機能ブロック図が示されている。処理サーバ10においては、CPU90がプログラムを実行することにより、
図4に示すような各機能が実現されている。具体的には、処理サーバ10は、情報受付部30と、環境情報取得部32と、ステージ期間算出部34と、栽培期間予測部36と、調整部38と、出力部40と、を有している。
【0019】
なお、
図4には、処理サーバ10のストレージ196等に格納されている環境情報DB50及びパラメータテーブル52についても図示されている。環境情報DB50には、圃場の過去の環境情報(気温や日射量の情報)が蓄積されている。また、環境情報DB50には、外部のサーバ(例えば国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が管理するサーバ)から取得した、将来の環境情報の予測値(メッシュ農業気象データ)や、過去の環境情報の平年値(将来の環境情報の予測値として用いる)が蓄積されている。なお、環境情報DB50は、外部のデータベースサーバに格納されていてもよい。
【0020】
パラメータテーブル52は、ステージ期間算出部34が用いるパラメータを格納するテーブルである。パラメータテーブル52に格納されているパラメータの詳細については、後述する。
【0021】
情報受付部30は、生産者が利用者端末70を操作して、
図3の入出力画面の範囲A及び範囲Bに入力した情報を仲介サーバ12から取得し、取得した情報を環境情報取得部32、ステージ期間算出部34、栽培期間予測部36、調整部38に受け渡す。
【0022】
環境情報取得部32は、範囲Aに入力された圃場の気温の情報(過去データ、予測データ、平年気温データなど)及び日射量の情報(過去データ、予測データ、平年日射量データなど)を、環境情報DB50から取得する。具体的には、環境情報取得部32は、生産者が入力した1又は複数の開花日のうち最も早い日以降の気温及び日射量の情報を環境情報DB50から取得する。また、環境情報取得部32は、環境情報DB50から取得した気温の情報(予測データや平年気温データ)を、生産者等が入力した暖房や側窓の情報に基づいて補正する。なお、環境情報取得部32は、生産者がLED照明の情報や遮光の情報を設定した場合には、これらの情報に基づいて日射量の情報を補正してもよい。
【0023】
ステージ期間算出部34は、各日の気温と日射量の情報から、各日における果実温度(果実表面の温度)を算出する。また、ステージ期間算出部34は、算出した各日の果実温度に基づいて、イチゴが開花から収穫に至るまでの栽培期間を分割した複数のステージそれぞれに要する日数(複数のステージそれぞれの期間)を算出する。なお、ステージ期間算出部34による、果実温度の算出方法及び各ステージの期間の算出方法については、後述する。
【0024】
栽培期間予測部36は、各開花日に開花した花(果実)ごとにステージ期間算出部34が算出した各ステージの期間を合算して、各開花日に開花した花(果実)の栽培期間を予測する。また、栽培期間予測部36は、各開花日と、各開花日に開花した花(果実)の栽培期間とに基づいて、各開花日に対応する果実の収穫日(成熟日)を予測する。
【0025】
調整部38は、栽培期間予測部36が予測した収穫日(予測収穫日)が、生産者が入力した目標収穫日と一致するか否かを判断し、一致しない場合には、予測収穫日と目標収穫日とを一致させるような果実温度を求める。なお、調整部38は、ステージ期間算出部34及び栽培期間予測部36と協働して、予測収穫日と目標収穫日とを一致させるような果実温度を求める。
【0026】
出力部40は、栽培期間予測部36による予測収穫日や、調整部38が求めた予測収穫日と目標収穫日とを一致させるために必要な情報を仲介サーバ12を介して利用者端末70に出力する。これにより、利用者端末70上の入出力画面の範囲Cや範囲Dには、出力部40から出力された情報が表示される。なお、予測収穫日と目標収穫日とを一致させるために必要な情報は、調整部38が求めた予測収穫日と目標収穫日とを一致させるような果実温度の情報であってもよいし、当該果実温度にするために必要な気温や日射量の制御情報であってもよい。
【0027】
(処理サーバ10の処理について)
次に、処理サーバ10の処理について、
図5のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
図5の処理が開始されると、まずステップS10において、情報受付部30は、仲介サーバ12から情報の入力があるまで待機する。すなわち、情報受付部30は、利用者端末70において
図3の入出力画面に入力された情報が仲介サーバ12を介して送信されてくるまで待機する。情報受付部30は、仲介サーバ12から情報の入力があると、ステップS12に移行する。
【0029】
ステップS12に移行すると、情報受付部30は、仲介サーバ12から入力された情報を取得する。情報受付部30は、取得した情報を環境情報取得部32、ステージ期間算出部34、栽培期間予測部36、及び調整部38に受け渡す。
【0030】
次いで、ステップS14において、環境情報取得部32は、必要な環境情報を取得し、栽培環境を推定する。具体的には、環境情報取得部32は、開花日以降の気温及び日射量の情報(実測値や予測値)を取得し、生産者が入力した暖房や側窓の情報に基づいて気温の情報を圃場の状況に合わせて補正し、施設内気温(℃)を推定する。また、生産者がLED照明の情報や遮光の情報を設定している場合には、これらの情報に基づいて日射量の情報を補正し、施設内日射量(MJ)を推定する。
【0031】
次いで、ステップS16において、ステージ期間算出部34は、後述するステップS18、S20の処理に用いるパラメータをパラメータテーブル52から取得する。なお、パラメータの詳細については後述する。
【0032】
次いで、ステップS18において、ステージ期間算出部34は、各日の果実温度を算出する。具体的には、ステージ期間算出部34は、次式(1)を用いて、各日の果実温度を算出する。
果実温度(℃)=施設内気温×(a・ln施設内日射量+b) …(1)
【0033】
ここで、a,bは、圃場(ハウス)ごとに予め定められたパラメータ(係数)である。a,bは、パラメータテーブル52において圃場ごとに定義されている。
【0034】
次いで、ステップS20において、ステージ期間算出部34は、開花日ごとに、各ステージの期間(各ステージに要する日数)を算出する。
【0035】
ここで、本実施形態においては、
図6に示すように、開花日から収穫日までの期間を複数に区切り、それぞれの期間をステージ(発育ステージ)と呼ぶものとする。また、各ステージをs1、s2、…snと記述し、各ステージs1、s2、…snの日平均果実温度をt1、t2、…tnとする。更に、各ステージs1、s2、…snの閾値をCTs1、CTs2、…、CTsnとする。なお、値n、t1~tn、CTs1~CTsnについては、品種ごとに予め定められ、パラメータテーブル52に格納されているものとする。
【0036】
ステージ期間算出部34は、各ステージskの期間Tkを、次式(2)から算出する。
Tk=CTsk/(ck・tk+dk) …(2)
【0037】
上式(2)において、ck、dkは、品種ごとに定められたパラメータ(係数)であり、パラメータテーブル52に格納されている。
図7は、ステージとイチゴの成熟における温度感受性との関係を模式的に示すグラフである。
図7に示すように、イチゴの場合、ステージが進めば進むほど、温度感受性が大きくなる。したがって、この温度感受性を表現するために、ステージが収穫日に近いほど、パラメータckの値が大きく設定され、パラメータdkの値が小さく設定される。すなわち、ステージが収穫日に近いほど、上式(2)の分母(ck・tk+dk)の値が、温度tkの値の変化による影響を受けやすくなっている。なお、分母(ck・tk+dk)は1日の温度関連指標値であり、上式(2)は、1日の温度関連指標値の積算値が閾値CTskに達するまでの期間(日数)がステージskの期間Tkであることを意味している。
【0038】
次いで、ステップS22において、栽培期間予測部36は、開花日ごとに、栽培期間及び収穫日を予測する。栽培期間予測部36は、開花日ごとに得られた各ステージskの期間Tkを次式(3)のように合算して、栽培期間(完熟日数)を予測する。
栽培期間=T1+T2+…+Tn
=CTs1/(c1・t1+d1)+CTs2/(c2・t2+d2)+…
…+CTsn/(cn・tn+dn) …(3)
【0039】
また、栽培期間予測部36は、次式(4)を用いて、開花日ごとに収穫日を予測する。
収穫日=開花日+栽培期間 …(4)
【0040】
次いで、ステップS24において、調整部38は、栽培期間予測部36が予測した収穫日(予測収穫日)と目標収穫日を比較する。
【0041】
次いで、ステップS26において、調整部38は、予測収穫日と目標収穫日とが一致するか否かを判断する。このステップS26の判断が否定されると、ステップS28に移行し、調整部38は、予測に用いる環境情報を調整する。例えば、予測収穫日の方が目標収穫日よりも遅い場合には、成長を早めるために、ステップS18で算出された日ごとの果実温度を所定温度(例えば0.5℃)上げる。一方、予測収穫日の方が目標収穫日よりも早い場合には、成長を遅らせるために、ステップS18で算出された日ごとの果実温度を所定温度(例えば0.5℃)下げる。その後は、ステップS20に戻り、ステージ期間算出部34及び栽培期間予測部36は、ステップS20、S22の処理を上記と同様に実行する。そして、ステップS24に移行すると、調整部38は、再度、予測収穫日と目標収穫日を比較する。その結果、予測収穫日と目標収穫日とが一致していなければ(S26:否定)、再度ステップS28において、調整部38は、予測に用いる環境情報を調整する(果実温度を所定温度上げる又は下げる)。
【0042】
その後、ステップS20~S28の処理の結果、ステップS26の判断が肯定されると、ステップS30に移行し、出力部40は、栽培期間予測部36が最初に予測した収穫日(予測収穫日)と、ステップS28の結果得られる栽培環境の調整情報を仲介サーバ12を介して利用者端末70に出力する。なお、栽培環境の調整情報は、果実温度をX℃上げればよい/X℃下げればよいという情報であってもよいし、果実温度をX℃上げる/又は下げるために施設内気温や施設内日射量をどのように調整すればよいかの情報であってもよい。後者の情報については、前者の情報と、上式(1)とから導き出せばよい。以上により、
図5の全処理が終了する。
【0043】
なお、生産者は、利用者端末70に出力された栽培環境の調整情報に基づいて、圃場の栽培環境を調整すればよい。なお、利用者端末70が、圃場内に設置された環境制御用の機器と接続されている場合には、栽培環境の調整情報に基づいて、利用者端末70が環境制御用の機器を自動制御するようにしてもよい。これにより、生産者が機器を調整する手間を省くことができる。
【0044】
以下、処理サーバ10による処理の具体例について、
図8(a)~
図12(c)を参照しつつ、詳細に説明する。
【0045】
(具体例1)
まず、
図8(a)~
図10(f)に基づいて、具体例1について説明する。
図8(a)には、生産者が、入出力画面(
図3)の範囲Bに、開花日11月9日に300個が開花したこと、開花日11月10日に500個が開花したこと、開花日11月11日に200個が開花したこと、を入力し、更に、各開花日に対応する果実の目標収穫日として、12月19日、20日、21日を入力した状態が示されている。
【0046】
そして、環境情報取得部32が取得した気温や日射量の情報から、ステージ期間算出部34が各日の果実温度を算出した結果、
図8(b)に示すような果実温度の値が得られたとする。また、本具体例1では、イチゴの栽培期間が4つのステージs1~s4に分かれており、各ステージs1~s4の日平均果実温度t1~t4が
図8(c)のように求められたとする。なお、
図8(c)の日平均果実温度t1~t4を求める段階で、ステージs1~s4の期間を設定する必要があるが、最初の段階では、日平均果実温度t1~t4を求めるためのステージs1~s4の期間は予め定めておいたおおよその期間を用いる。そして、ステージ期間算出部34は、設定した日平均果実温度を用いて各ステージの期間を求めた後に、求めた各ステージの期間の日平均果実温度t1~t4を再計算し、更に、再計算後の日平均果実温度t1~t4を用いて各ステージの期間を再度求める、という処理を繰り返すようにすればよい。
【0047】
そして、ステージ期間算出部34は、上式(2)に基づいて、各ステージの期間T1~T4を算出する。例えば、開花日が11月10日の果実について各ステージの期間T1~T4を求めたところ、
図8(d)のようになったとする。なお、本具体例1においては、上式(2)のパラメータCTs1~CTs4が150であり、c1、c2、c3、c4が0.15、0.6、0.9、1.0であり、d1、d2、d3、d4が15、5、0、0である。
【0048】
そして、栽培期間予測部36は、各ステージの期間T1~T4を合算し、栽培期間を予測する。その結果、
図8(e)に示すように、栽培期間は、45日と予測されたものとする。この場合、栽培期間予測部36は、11月10日に開花した花(果実)の収穫日を、開花日から45日後の12月25日と予測する。
【0049】
なお、開花日が11月9日、11日の果実の収穫日についても同様に予測する。その結果、開花日が11月9日、11日の果実の収穫日は12月24日、26日と予測される。
【0050】
ここで、11月10日に開花した花(果実)の目標収穫日は、
図8(a)に示すように、12月20日であり、予測した収穫日(12月25日)とは一致していない。この場合、予測した収穫日を目標収穫日に合わせるためには、イチゴの成育を早くする必要がある。したがって、調整部38は、例えば予測に用いる果実温度を所定温度(ここでは0.5℃)だけ上げ、ステージ期間算出部34及び栽培期間予測部36に、収穫日の予測を再度実行させる。すなわち、各ステージの日平均果実温度は、
図9(a)に示すようになるため、この日平均果実温度を用いて、各ステージの期間を計算すると、
図9(b)に示すようになり、収穫日は
図9(c)に示すように12月23日と予測される。
【0051】
しかしながら、上記のように果実温度を0.5℃上げても、予測収穫日と目標収穫日は一致していないので、調整部38は、更に予測に用いる果実温度を0.5℃上げ(
図9(d)参照)、ステージ期間算出部34及び栽培期間予測部36に、収穫日の予測を再度実行させる(
図9(e)、
図9(f)参照)。この結果、収穫日は、
図9(f)に示すように、12月23日と予測される。
【0052】
しかしながら、上記のように果実温度を1.0℃上げても、予測収穫日と目標収穫日は一致していないので、調整部38は、更に予測に用いる果実温度を0.5℃上げ(
図10(a)参照)、ステージ期間算出部34及び栽培期間予測部36に、収穫日の予測を再度実行させる(
図10(b)、
図10(c)参照)。この結果、収穫日は、
図10(c)に示すように、12月22日と予測される。
【0053】
しかしながら、上記のように果実温度を1.5℃上げても、予測収穫日と目標収穫日は一致していないので、調整部38は、更に予測に用いる果実温度を0.5℃上げ(
図10(d)参照)、ステージ期間算出部34及び栽培期間予測部36に、収穫日の予測を再度実行させる(
図10(e)、
図10(f)参照)。この結果、収穫日は、
図10(f)に示すように、12月20日と予測される。
【0054】
以上のような処理により、果実温度を平均2℃上げれば、予測収穫日を目標収穫日に合わせることができるという情報が得られる。したがって、出力部40は、利用者端末70に向けて、環境制御を行わなければ、最初に予想した収穫日(
図8(e)参照)に収穫できること、目標収穫日に収穫できるようにするためには、果実温度を平均2℃上げなければならないこと(あるいは、果実温度を上げるために、圃場の気温を上げたり、日射量やLED照明を制御しなければならないこと)等を出力することができる。
【0055】
(具体例2)
次に、具体例2について、
図11(a)~
図12(c)に基づいて説明する。
【0056】
図11(a)には、生産者が、入出力画面(
図3)の範囲Bに、開花日10月31日に300個が開花したこと、開花日11月1日に500個が開花したこと、開花日11月2日に200個が開花したこと、を入力し、更に、各開花日に対応する果実の目標収穫日として、12月19日、20日、21日を入力した状態が示されている。
【0057】
そして、環境情報取得部32が取得した気温や日射量の情報から、ステージ期間算出部34が各日の果実温度を算出した結果、
図11(b)に示すような果実温度の値が得られたとする。また、本具体例2では、イチゴの栽培期間が4つのステージs1~s4に分かれており、各ステージs1~s4の日平均果実温度t1~t4が
図11(c)のように求められたとする。
【0058】
この場合、ステージ期間算出部34は、上式(2)に基づいて、各ステージの期間T1~T4を算出する。例えば、開花日が11月1日の果実について各ステージの期間T1~T4を求めたところ、
図11(d)のようになったとする。なお、本具体例2の上式(2)のパラメータ(係数)CTs1~CTs4、c1~c4、d1~d4は、上記具体例1と同一である。
【0059】
そして、栽培期間予測部36は、各ステージの期間T1~T4を合算し、栽培期間を予測する。その結果、
図11(e)に示すように、栽培期間は44日と予測されたとする。この場合、栽培期間予測部36は、11月1日に開花した花(果実)の収穫日を、開花日から44日後の12月15日と予測する。
【0060】
なお、開花日が11月9日、11日の果実の収穫日についても同様に予測する。その結果、開花日が11月9日、11日の果実の収穫日は、12月14日、16日と予測される。
【0061】
ここで、11月1日に開花した花(果実)の目標収穫日は、
図11(a)に示すように、12月20日であり、予測した収穫日とは一致していない。この場合、予測収穫日(12月15日)を目標収穫日(12月20日)に合わせるためには、イチゴの成育を遅くする必要がある。したがって、調整部38は、予測収穫日と目標収穫日が一致するまで、予測に用いる果実温度を所定温度(ここでは0.5℃)下げる処理を繰り返す。その結果、
図12(a)に示すように、果実温度を平均2.0℃下げれば、
図12(b)に示すように各ステージの期間が算出でき、その結果、
図12(c)に示すように、収穫日を目標収穫日(12月20日)に合わせることができるという情報が得られる。
【0062】
したがって、出力部40は、利用者端末70に向けて、環境制御を行わなければ、予想した収穫日(
図11(e)参照)に収穫できること、目標収穫日に収穫できるようにするためには、果実温度を2.0℃下げなければならないこと(すなわち、果実温度を2.0℃下げるために、施設内気温を下げたり、施設内日射量を下げなければならないこと)等を出力することができる。
【0063】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、処理サーバ10のステージ期間算出部34は、イチゴの開花日以降の果実温度を算出し、果実温度に基づいて、開花から収穫に至るまでの期間を分割した複数のステージそれぞれの期間T1~T4を算出する。また、栽培期間予測部36は、ステージ期間算出部34が算出した各ステージの期間T1~T4を合計して栽培期間を予測する。また、ステージ期間算出部34が各ステージの期間T1~T4を算出する式(式(2))において、各ステージの期間の算出結果に対する果実温度の寄与度がステージごとに定められている。これにより、本実施形態では、ステージごとの温度感受性を考慮して、各ステージの期間T1~T4を精度よく求めることができる。また、精度よく求められた各ステージの期間T1~T4を合算して栽培期間や収穫日を予測するため、栽培期間や収穫日を精度よく予測することができる。
【0064】
また、本実施形態によると、式(2)において、各ステージの1日ごとの温度関連指標値(ck・tk+dk)を求め、1日ごとの温度関連指標値の積算値が閾値(CTsk)に達するまでの期間を各ステージの期間とする。そして、温度関連指標値に対する果実温度の寄与度がステージごとに定められている。したがって、ステージごとの温度感受性を考慮して、温度関連指標値を求めることができ、この温度関連指標値の積算値を用いることで、各ステージの期間T1~T4を精度よく求めることができる。
【0065】
また、本実施形態では、温度感受性(式(2)のパラメータck、dk)は、品目や品種ごとに定められているため、品目や品種に関わらず、精度よく各ステージの期間や栽培期間、収穫日を予測することができる。
【0066】
また、本実施形態では、果実温度を推定する際に、果実が栽培されている環境の温度と、日射量と、に基づいて推定する(上式(1)参照)。このように果実温度を推定することで、実際に果実温度を測定する必要がなくなる。また、果実温度を用いることで、単に施設内気温を用いる場合と比べ、精度よく各ステージの期間や栽培期間、収穫日を予測することができる。
【0067】
また、本実施形態では、生産者によって開花日と開花数が入力されるため、予測された収穫日に収穫できる果実数についても予測することができる。これにより、早い段階で高精度に各日の収穫量を予測できるため、観光イチゴ農園であれば、来場予約の受付数を早い段階で適切な値に設定することができる。また、一般的なイチゴ生産者であれば、パート従業員の雇用調整を適切に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態の処理サーバ10は、上記のように予測された収穫日の情報(予測収穫日)と目標収穫日とを一致させるための果実温度(すなわち気温や日射量)の調整情報を、利用者端末70に出力する。これにより、調整情報を見た生産者は、調整情報に基づいて栽培環境を適切に調整することができる。また、利用者端末70が、栽培環境を調整する機器を制御する場合には、自動的に栽培環境を適切に調整することができる。このように適切な栽培環境に調整することにより、収穫日を需要が大きい時期に合わせることができるようになるため、生産者は、イチゴを高値で取引でき、収益を上げることができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、開花日と開花数を生産者が入出力画面に手入力する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、圃場に設置したカメラや圃場内を移動する移動装置に設けられたカメラを用いて撮影された画像を解析し、解析結果に基づいて、開花日と開花数を自動的に検出してもよい。これにより、生産者が圃場内を歩き回って開花日と開花数を把握し、手入力する作業を無くすことができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、生産者が、入出力画面の範囲Bにおいて、開花日、開花数と対応付けて目標収穫日を入力する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、開花日とは関係なく、目標収穫日と目標収穫数を入力してもよい。この場合、処理サーバ10では、果実温度の調整幅が最も少なく、かつ目標収穫日に目標収穫数の果実が収穫できるようにするための栽培環境の調整情報を利用者端末70に対して出力すればよい。
【0071】
なお、上記実施形態では、予測システム100が、仲介サーバ12を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、仲介サーバ12を省略し、処理サーバ10と利用者端末70とが直接情報のやり取りを行うようにしてもよい。
【0072】
なお、上記実施形態では、処理サーバ10がイチゴの栽培期間や収穫日を予測する場合について説明したが、これに限らず、その他の果菜類の栽培期間や収穫日を予測することとしてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態で挙げた各式は一例である。果実温度を算出する式は、上式(1)以外の式であってもよいし、各ステージの期間Tkを算出する式は、ステージごとの温度感受性を考慮した式であれば、上式(2)以外の式であってもよい。
【0074】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0075】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0076】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0077】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 処理サーバ
12 仲介サーバ
30 情報受付部
32 環境情報取得部
34 ステージ期間算出部
36 栽培期間予測部
38 調整部
40 出力部
50 環境情報DB
52 パラメータテーブル
70 利用者端末
90 CPU(コンピュータ)
100 予測システム