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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-29
(45)【発行日】2025-10-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/87 20250101AFI20250930BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20250930BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250930BHJP
   H10D 30/47 20250101ALI20250930BHJP
【FI】
H10D30/87 E
H01L25/04 C
H10D30/47 201
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022144538
(22)【出願日】2022-09-12
(65)【公開番号】P2024039856
(43)【公開日】2024-03-25
【審査請求日】2024-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】小山 将央
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/085558(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/116868(WO,A1)
【文献】特開2014-187086(JP,A)
【文献】特開2014-120638(JP,A)
【文献】特開2020-098921(JP,A)
【文献】特開2020-017577(JP,A)
【文献】特開2011-165749(JP,A)
【文献】特開2011-187840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 30/87
H10D 30/47
H01L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
第2端子と、
第3端子と、
ノーマリオフの第1トランジスタであって、前記第1トランジスタは、第1ソース、第1ドレイン及び第1ゲートを含み、前記第1ソースは、前記第1端子と電気的に接続され、前記第1ドレインは、前記第2端子と電気的に接続され、前記第1ゲートは、前記第3端子と電気的に接続された、前記第1トランジスタと、
ノーマリオンの第2トランジスタであって、前記第2トランジスタは、第2ソース、第2ドレイン及び第2ゲートを含み、前記第2ドレインは、前記第2端子と電気的に接続され、前記第2ゲートは、前記第1端子と電気的に接続された、前記第2トランジスタと、
ダイオードであって、前記ダイオードは、アノード及びカソードを含み、前記アノードは、前記第1端子と電気的に接続され、前記カソードは、前記第2ソースと電気的に接続された、前記ダイオードと、
を備え
第1基板面を含む装置基板をさらに備え、
前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ及び前記ダイオードの、前記第1基板面に対する位置は、固定され、
前記第1トランジスタから前記第2トランジスタへの第1方向は、前記第1基板面に沿い、
前記ダイオードから前記第2トランジスタの少なくとも一部への方向は、前記第1基板面に沿い、前記第1方向と交差し、
前記第1基板面から前記第1トランジスタへの第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第1基板面から前記第2トランジスタへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1ソースから前記第1ドレインへの方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1ゲートの前記第1方向における位置は、前記第1ソースの前記第1方向における位置と、前記第1ドレインの前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第2ドレインから前記第2ソースへの方向は、前記第1方向に沿い、
前記第2ゲートの前記第1方向における位置は、前記第2ドレインの前記第1方向における位置と、前記第2ソースの前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第1ソース、前記第1ドレイン、前記第1ゲート、前記第2ソース、前記第2ドレイン及び前記第2ゲートは、第3方向に沿い、
前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記第1トランジスタは、
Al x1 Ga 1-x1 N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域と、
Al x2 Ga 1-x2 N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、
を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、
前記第1部分領域から前記第1ソースへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1ドレインへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3部分領域から前記第1ゲートへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4部分領域の前記第1方向に沿う位置は、前記第1部分領域の前記第1方向に沿う位置と、前記第3部分領域の前記第1方向に沿う位置と、の間にあり、
前記第5部分領域の前記第1方向に沿う位置は、前記第3部分領域の前記第1方向に沿う前記位置と、前記第2部分領域の前記第1方向に沿う位置と、の間にあり、
前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、
前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1ゲートの少なくとも一部は、前記第1方向において前記第1半導体部分と前記第2半導体部分との間にあり、
前記第1トランジスタは、第1絶縁領域を含む第1絶縁層をさらに含み、
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域と前記第1ゲートとの間にあり、
前記第1トランジスタは、Al y1 Ga 1-y1 N(0<y1≦1)を含む第1窒化物部材をさらに含み、
前記第1窒化物部材の一部は、前記第3部分領域と前記第1絶縁領域との間にあり、
前記第1トランジスタは、第1絶縁部材をさらに含み、
前記第1絶縁部材の一部は、前記第5部分領域と、前記第1窒化物部材の別の一部と、の間にあり、
前記第1半導体領域は、第6部分領域、第7部分領域及び第8部分領域を含み、
前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第5部分領域と前記第7部分領域との間にあり、
前記第6部分領域は、前記第2部分領域と前記第7部分領域との間にあり、
前記第8部分領域は、前記第6部分領域と前記第7部分領域との間にあり、
前記第6部分領域から前記第2ドレインへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第7部分領域から前記第2ソースへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第8部分領域から前記第2ゲートへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2半導体領域は、第3半導体部分を含み、
前記第3半導体部分は、前記第8部分領域と前記第2ゲートとの間にあり、
前記第2トランジスタは、第2絶縁部材をさらに含み、
前記第2絶縁部材の一部は、前記第3半導体部分の少なくとも一部と前記第2ゲートとの間にあり、
前記第2絶縁部材は、前記第1絶縁部材に含まれる材料を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁部材の前記第2方向に沿う第2厚さは、前記第1絶縁領域の前記第2方向に沿う第1厚さよりも薄い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2トランジスタは、Aly2Ga1-y2N(0<y2≦1)を含む第2窒化物部材をさらに含み、
前記第2絶縁部材の別の一部は、前記第3半導体部分の一部と前記第2窒化物部材との間にある、請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ゲートと前記第1ドレインとの間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2ゲートと前記第2ドレインとの間の前記第1方向に沿う第2距離の0.8倍以上1.2倍以下である、請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ゲートの、前記第1ドレインと対向する部分の前記第3方向に沿う第1長さは、前記第2ゲートの、前記第2ドレインと対向する部分の前記第3方向に沿う第2長さの0.8倍以上1.2倍以下である、請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
記ダイオードの、前記第1基板面に対する位置は、固定され、
前記カソードは、前記第1基板面と前記アノードとの間にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
記ダイオードの、前記第1基板面に対する位置は、固定され、
前記アノードは、前記第1基板面と前記カソードとの間にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2トランジスタは、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含む第3半導体領域と、
Alx4Ga1-x4N(x3<x4≦1)を含む第4半導体領域と
含み、
前記第4半導体領域の一部は、前記第3半導体領域と前記第2ゲートとの間にあり、
前記第2絶縁部材は、前記第4半導体領域の前記一部と前記第2ゲートとの間にある、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ダイオードは、ダイオード半導体部材を含み、
前記ダイオード半導体部材は、シリコンを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ダイオードは、ショットキーバリアダイオードであり、
前記ダイオードの耐圧は、前記第1トランジスタの耐圧の1/5以下であり、前記第2トランジスタのしきい値電圧の絶対値以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1端子と、
第2端子と、
第3端子と、
ノーマリオフの第1トランジスタであって、前記第1トランジスタは、第1ソース、第1ドレイン及び第1ゲートを含み、前記第1ソースは、前記第1端子と電気的に接続され、前記第1ドレインは、前記第2端子と電気的に接続され、前記第1ゲートは、前記第3端子と電気的に接続された、前記第1トランジスタと、
ノーマリオンの第2トランジスタであって、前記第2トランジスタは、第2ソース、第2ドレイン及び第2ゲートを含み、前記第2ドレインは、前記第2端子と電気的に接続され、前記第2ゲートは、前記第1端子と電気的に接続された、前記第2トランジスタと、
ダイオードであって、前記ダイオードは、アノード及びカソードを含み、前記アノードは、前記第1端子と電気的に接続され、前記カソードは、前記第2ソースと電気的に接続された、前記ダイオードと、
を備え
前記ダイオードは、ショットキーバリアダイオードであり、
前記ダイオードの耐圧は、前記第1トランジスタの耐圧の1/5以下であり、前記第2トランジスタのしきい値電圧の絶対値以上である、半導体装置。
【請求項12】
複数の前記第1トランジスタと、複数の前記第2トランジスタと、が設けられ、
前記複数の前記第2トランジスタの1つは、前記複数の前記第1トランジスタの1つと、前記複数の前記第1トランジスタの別の1つと、の間にあり、
前記複数の前記第1トランジスタの前記1つは、前記複数の前記第2トランジスタの前記1つと、前記複数の前記第2トランジスタの別の1つと、の間にある、請求項1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-501079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1端子、第2端子、第3端子、ノーマリオフの第1トランジスタ、ノーマリオンの第2トランジスタ及びダイオードを含む。前記第1トランジスタは、第1ソース、第1ドレイン及び第1ゲートを含む。前記第1ソースは、前記第1端子と電気的に接続される。前記第1ドレインは、前記第2端子と電気的に接続される。前記第1ゲートは、前記第3端子と電気的に接続される。前記第2トランジスタは、第2ソース、第2ドレイン及び第2ゲートを含む。前記第2ドレインは、前記第2端子と電気的に接続される。前記第2ゲートは、前記第1端子と電気的に接続される。前記ダイオードは、アノード及びカソードを含む。前記アノードは、前記第1端子と電気的に接続される。前記カソードは、前記第2ソースと電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する回路図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置の動作を例示する回路図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の動作を例示する回路図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11図11は、第4実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12図12は、第5実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する回路図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1端子81、第2端子82、第3端子83、第1トランジスタ51、第2トランジスタ52、及び、ダイオード53を含む。
【0009】
第1トランジスタ51は、ノーマリオフ型である。第1トランジスタ51は、第1ソース51s、第1ドレイン51d及び第1ゲート51gを含む。第1ソース51sは、第1端子81と電気的に接続される。第1ドレイン51dは、第2端子82と電気的に接続される。第1ゲート51gは、第3端子83と電気的に接続される。
【0010】
第2トランジスタ52は、ノーマリオン型である。第2トランジスタ52は、第2ソース52s、第2ドレイン52d及び第2ゲート52gを含む。第2ドレイン52dは、第2端子82と電気的に接続される。第2ゲート52gは、第1端子81と電気的に接続される。
【0011】
ダイオード53は、アノード53a及びカソード53cを含む。アノード53aは、第1端子81と電気的に接続される。カソード53cは、第2ソース52sと電気的に接続される。
【0012】
半導体装置110において、第1端子81と第2端子82との間に流れる電流は、第3端子83の電位により制御できる。第3端子83の電位は、例えば、第1端子81の電位を基準にした電位で良い。第3端子83は、半導体装置110のゲート端子として機能する。
【0013】
実施形態に係る半導体装置110においては、後述するように、環流時の損失を低減できる。特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0014】
以下、半導体装置110の特性の例について説明する。
図2及び図3は、第1実施形態に係る半導体装置の動作を例示する回路図である。
図2に示すように、第1状態ST1において、第3端子83にオン電圧Vonが印加されると、第1電流I1が流れる。第1電流I1は、第2端子82から第1端子81への向きを有する。
【0015】
図3に示すように、第3端子83の電位がオフ電圧Voffになる。例えば、オフ電圧Voffは、オン電圧Vonよりも低い。例えば、オフ電圧Voffは、第1端子81の電位である。第1状態ST1から第2状態ST2(オフ状態)へ移行する。オフ状態において、外部回路の構成によっては、第1端子81の電位が第2端子82の電位よりも高くなる。この場合、第2トランジスタ52に第2電流I2が流れる。第2電流I2は、第1端子81から第2端子82への向きを有する。
【0016】
例えば、第1状態ST1と第2状態ST2との間でスイッチングが繰り返して行われる。例えば、第1トランジスタ51がオン状態のときに、第2トランジスタ52がオフ状態である。例えば、第1トランジスタ51がオフ状態のときに、第2トランジスタ52がオン状態である。第1端子81の電位が第2端子82の電位よりも高くなった時、第1トランジスタ51をオン状態にすることで、電流を第1トランジスタ51に流すことが可能である。しかし、第1端子81が高電位になってから、第1トランジスタ51をオン状態にするまでには、デットタイムが生じる。
【0017】
デッドタイムにおいて、損失が生じる。これが環流時の損失に対応する。環流時の損失は、例えばスイッチングの周波数が高くなると顕著になる。
【0018】
実施形態においては、第2トランジスタ52の第2ソース52sと第1端子81との間にダイオード53が設けられる。これにより、デッドタイム時のオン電圧を低くできる。これにより、環流時の損失を抑制できる。
【0019】
図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図4(a)は、実施形態に係る半導体装置110に対応する。図4(b)は、参考例の半導体装置119に対応する。半導体装置119においては、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52が設けられ、ダイオード53が設けられない。半導体装置119において、第2ソース52sは、第1端子81に電気的に接続される。これらの図の横軸は、ソースドレイン電圧Vsdである。ソースドレイン電圧Vsdは、第1端子81と第2端子82との間の電圧に対応する。これらの図の縦軸は、ドレイン電流Idである。ドレイン電流Idは、第1端子81と第2端子82との間に流れる電流に対応する。
【0020】
図4(b)に示すように、参考例の半導体装置119においては、しきい値電圧Vth2の絶対値が大きい。これにより、デッドタイム時のオン電圧が高い。
【0021】
図4(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置110においては、しきい値電圧Vth1の絶対値は、しきい値電圧Vth2の絶対値よりも小さい。小さいしきい値電圧Vth1は、ダイオード53が設けられることによる。半導体装置110においては、デッドタイム時のオン電圧を低くできる。これにより、環流時の損失を低減できる。半導体装置110は、例えば、ボディダイオードを有するFET(Field effect transistor)として機能する。
【0022】
しきい値電圧Vth2の絶対値は、例えば、3.5Vである。しきい値電圧Vth1の絶対値は、例えば、1.2Vである。例えば、3kWで1MHzの周波数のスイッチングの場合に、半導体装置119において、環流時の損失は、約0.4Wである。これに対して、同じ条件において、半導体装置110において、環流時の損失は、約0.1Wである。実施形態によれば環流時の損失を抑制できる。特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0023】
以下、半導体装置の構成の例について説明する。
図5図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図5は平面図である。図6は、図5のA1-A2線断面図である。図7は、図5のB1-B2線断面図である。
【0024】
図5図7に示すように、半導体装置110は、装置基板80sをさらに含む。装置基板80sは、例えば、部品を実装するための絶縁体の基板である。装置基板80sは、第1基板面80fを含む。第1トランジスタ51、第2トランジスタ52及びダイオード53の、第1基板面80fに対する位置は、固定される。
【0025】
図5及び図6に示すように、第1トランジスタ51から第2トランジスタ52への第1方向D1は、第1基板面80fに沿う。図5に示すように、ダイオード53から第2トランジスタ52の少なくとも一部への方向は、第1基板面80fに沿う。
【0026】
第1方向D1をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0027】
図6に示すように、第1基板面80fから第1トランジスタ51への第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第1基板面80fから第2トランジスタ52への方向は、第2方向D2に沿う。第2方向D2は、例えば、Z軸方向である。
【0028】
図5及び図6に示すように、第1ソース51sから第1ドレイン51dへの方向は、第1方向D1に沿う。第1ゲート51gの第1方向D1における位置は、第1ソース51sの第1方向D1における位置と、第1ドレイン51dの第1方向D1における位置と、の間にある。
【0029】
図5及び図6に示すように、第2ドレイン52dから第2ソース52sへの方向は、第1方向D1に沿う。第2ゲート52gの第1方向D1における位置は、第2ドレイン52dの第1方向D1における位置と、第2ソース52sの第1方向D1における位置と、の間にある。
【0030】
図5に示すように、第1ソース51s、第1ドレイン51d、第1ゲート51g、第2ソース52s、第2ドレイン52d及び第2ゲート52gは、第3方向D3に沿って延びる。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、例えば、Y軸方向である。
【0031】
図5に示すように、この例では、第1端子81、第2端子82及び第3端子83は、第1基板面80fに固定される。この例では、第1トランジスタ51の第3方向D3における位置及び、第2トランジスタ52の第3方向D3における位置は、第1端子81の第3方向D3における位置と、第2端子82の第3方向D3における位置と、の間にある。第3端子83の一部の第3方向D3における位置は、第1端子81の第3方向D3における位置と、第1トランジスタ51の第3方向D3における位置と、の間にある。第3端子83の別の一部の第3方向D3における位置は、ダイオード53の第3方向D3における位置と、第2トランジスタ52の第3方向D3における位置と、の間にある。実施形態において、第1端子81、第2端子82及び第3端子83の位置及び平面形状は、種々に変形可能である。
【0032】
図5及び図6に示すように、この例では、半導体装置110は、トランジスタ用基板51Sbを含む。例えば、トランジスタ用基板51Sbの上に、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52がマウントされる。トランジスタ用基板51Sbが、装置基板80sに固定される。
【0033】
図8に示すように、第1トランジスタ51は、第1トランジスタ半導体部材51Mを含む。第2トランジスタ52は、第2トランジスタ半導体部材52Mを含む。第2トランジスタ半導体部材52Mは、第1トランジスタ半導体部材51Mと離れても良い。第2トランジスタ半導体部材52Mは、第1トランジスタ半導体部材51Mと連続しても良い。第1トランジスタ半導体部材51Mは、1つの半導体チップである。第2トランジスタ半導体部材52Mは、別の半導体チップである。第1トランジスタ半導体部材51M、及び、第2トランジスタ半導体部材52Mは、1つの半導体チップの異なる領域でも良い。
【0034】
後述するように、第1トランジスタ半導体部材51M、及び、第2トランジスタ半導体部材52Mは、GaNを含んで良い。第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52は、例えば、窒化物半導体を含む。
【0035】
図7に示すように、この例では、カソード53cは、第1基板面80fとアノード53aとの間にある。ダイオード53は、ダイオード半導体部材53Mを含む。ダイオード半導体部材53Mは、シリコンを含む。ダイオード53は、シリコンダイオードで良い。
【0036】
例えば、ダイオード53は、ショットキーバリアダイオードで良い。ダイオード53の耐圧は、第1トランジスタ51の耐圧の1/5以下で良い。ダイオード53の耐圧は、第1トランジスタ51の耐圧の1/8以下でも良い。ダイオード53の耐圧は、第2トランジスタ52のしきい値電圧の絶対値以上である。目的とする動作が安定して得られる。
【0037】
図7に示すように、この例では、半導体装置110は、ダイオード用基板53Sbを含む。ダイオード用基板53Sbの上に、ダイオード53がマウントされる。ダイオード用基板53Sbが、装置基板80sに固定される。
【0038】
この例では、ダイオード用基板53Sbにダイオード用導電層53Eが設けられる。カソード53cは、ダイオード用導電層53Eと電気的に接続される。
【0039】
図5及び図7に示すように、ダイオード用導電層53Eと第2ソース52sとが、第2ソース配線52sLにより電気的に接続される。図5及び図7に示すように、アノード53aが、アノード配線53aLにより、第1端子81と電気的に接続される。
【0040】
図5に示すように、第1ソース51sが、第1ソース配線51sLにより、第1端子81と電気的に接続される。図5に示すように、第1ゲート51gが、第1ゲート配線51gLにより、第3端子83と電気的に接続される。図5に示すように、第2ゲート52gが、第2ゲート配線52gLにより、第3端子83と電気的に接続される。図5に示すように、第1ドレイン51dが、第1ドレイン配線51dLにより、第2端子82と電気的に接続される。図5に示すように、第2ドレイン52dが、第2ドレイン配線52dLにより、第2端子82と電気的に接続される。
【0041】
図5に示すように、第1ゲート51gと第1ドレイン51dとの間の第1方向D1に沿う距離を第1距離Lgd1とする。第2ゲート52gと第2ドレイン52dとの間の第1方向D1に沿う距離を第2距離Lgd2とする。第1距離Lgd1は、第2距離Lgd2と実質的に同じであることが好ましい。例えば、第1距離Lgd1は、第2距離Lgd2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。これにより、例えば、2つのトランジスタにおいて、耐圧が実質的に同じにできる。
【0042】
図5に示すように、第1ゲート51gの、第1ドレイン51dと対向する部分の第3方向D3に沿う長さを第1長さWg1とする。第2ゲート52gの、第2ドレイン52dと対向する部分の第3方向D3に沿う長さを第2長さWg2とする。第1長さWg1は、第2長さWg2と実質的に同じであることが好ましい。例えば、第1長さWg1は、第2長さWg2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。これにより、例えば、2つのトランジスタにおいて、オン抵抗が実質的に同じになる。
【0043】
図5に示すように、第1トランジスタ51において、複数の第1ソース51s、複数の第1ドレイン51d及び複数の第1ゲート51gが設けられて良い。複数の第1ゲート51gの1つの第1方向D1における位置は、複数の第1ソース51sの1つの第1方向D1における位置と、複数の第1ドレイン51dの1つの第1方向D1における位置と、の間にある。
【0044】
図5に示すように、第2トランジスタ52において、複数の第2ソース52s、複数の第2ドレイン52d及び複数の第2ゲート52gが設けられて良い。複数の第2ゲート52gの1つの第1方向D1における位置は、複数の第2ソース52sの1つの第1方向D1における位置と、複数の第2ドレイン52dの1つの第1方向D1における位置と、の間にある。
【0045】
以下、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52の例について説明する。
図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8は、図5のA1-A2線の断面の一部に対応する。図8に示すように、第1トランジスタ51は、第1半導体領域11及び第2半導体領域12を含む。第1トランジスタ51は、第1トランジスタ基板51Sを含んでも良い。第1トランジスタ基板51Sは、例えば、シリコン基板、GaN基板、または、SiC基板などで良い。第1半導体領域11、第2半導体領域12及び第1トランジスタ基板51Sは、第1トランジスタ半導体部材51Mに含まれる。第1トランジスタ基板51Sの上に第1半導体領域11が設けられる。第1半導体領域11の上に第2半導体領域12が設けられる。第1トランジスタ基板51Sは、バッファ層などを含んでも良い。
【0046】
第1半導体領域11は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域11は、例えば、GaNを含む。組成比x1は、例えば、0以上0.1以下である。
【0047】
第2半導体領域12は、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む。第2半導体領域12は、AlGaNを含む。組成比x2は、例えば、0.1を超え、0.35以下である。
【0048】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、第3部分領域11c、第4部分領域11d及び第5部分領域11eを含む。第1部分領域11aから第1ソース51sへの方向は、第2方向D2に沿う。第2部分領域11bから第1ドレイン51dへの方向は、第2方向D2に沿う。第3部分領域11cから第1ゲート51gへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0049】
第4部分領域11dの第1方向D1に沿う位置は、第1部分領域11aの第1方向D1に沿う位置と、第3部分領域11cの第1方向D1に沿う位置と、の間にある。第5部分領域11eの第1方向D1に沿う位置は、第3部分領域11cの第1方向D1に沿う位置と、第2部分領域11bの第1方向D1に沿う位置と、の間にある。
【0050】
第2半導体領域12は、第1半導体部分12a及び第2半導体部分12bを含む。第4部分領域11dから第1半導体部分12aへの方向は、第2方向D2に沿う。第5部分領域11eから第2半導体部分12bへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0051】
第1ゲート51gの少なくとも一部は、第1方向D1において第1半導体部分12aと第2半導体部分12bとの間にある。例えば、第1ゲート51gの一部は、第1方向D1において第4部分領域11dと第5部分領域11eとの間にあっても良い。
【0052】
例えば、第4部分領域11d及び第5部分領域11eにおいて、第2半導体領域12と対向する部分にキャリア領域が形成される。キャリア領域は、例えば2次元電子ガスである。第1トランジスタ51は、例えば、ノーマリオフ型のHEMTである。
【0053】
第1ソース51sは、第1半導体部分12aと電気的に接続される。第1ドレイン51dは、第2半導体部分12bと電気的に接続される。
【0054】
図8に示すように、第1トランジスタ51は、第1絶縁層41を含む。第1絶縁層41は、第1絶縁領域41aを含む。第1絶縁領域41aは、第3部分領域11cと第1ゲート51gとの間にある。第1絶縁領域41aは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第1絶縁層41は、例えば、シリコン及び酸素を含む。第1絶縁層41は、例えば、SiOを含む。
【0055】
図8に示すように、第1トランジスタ51は、第1窒化物部材31を含んで良い。第1窒化物部材31は、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含む。第1窒化物部材31は、例えば、AlNを含んで良い。第1窒化物部材31の一部は、第3部分領域11cと第1絶縁領域41aとの間にある。第1窒化物部材31の一部が第3部分領域11cと第1絶縁領域41aとの間に設けられることで、例えば、より低いオン抵抗が得られる。第1窒化物部材31の厚さは、例えば、0.1nm以上5nm以下で良い。
【0056】
図8に示すように、第1トランジスタ51は、第1絶縁部材51iをさらに含んで良い。第1絶縁部材51iの一部は、第2方向D2において、第5部分領域11eと、第1窒化物部材31の別の一部と、の間にある。1つの例において、第1絶縁部材51iは、シリコン及び窒素を含む。第1絶縁部材51iは、SiNを含む。第1絶縁部材51iが設けられることで、例えば、より高い耐圧が得られる。
【0057】
図8に示すように、第1トランジスタ51において、第1ゲート配線層51gaが設けられて良い。第1トランジスタ51において、第1フィールドプレートsFP1、第2フィールドプレートsFP2及び第3フィールドプレートsFP3が設けられて良い。これらの導電部材は、層間絶縁層58aにより絶縁される。
【0058】
図8に示すように、この例では、第2トランジスタ52は、第3半導体領域13及び第4半導体領域14を含む。第2トランジスタ52は、第2トランジスタ基板52Sを含んでも良い。第2トランジスタ基板52Sは、例えば、シリコン基板、GaN基板、または、SiC基板などで良い。第3半導体領域13、第4半導体領域14及び第2トランジスタ基板52Sは、第2トランジスタ半導体部材52Mに含まれる。第2トランジスタ基板52Sの上に第3半導体領域13が設けられる。第3半導体領域13の上に第4半導体領域14が設けられる。第2トランジスタ基板52Sは、バッファ層などを含んでも良い。
【0059】
第3半導体領域13は、Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含む。第3半導体領域13は、例えば、GaNを含む。組成比x3は、例えば、0以上0.1以下である。
【0060】
第4半導体領域14は、Alx4Ga1-x4N(x3<x4≦1)を含む。第4半導体領域14は、例えば、AlGaNを含む。組成比x4は、例えば,0.1を超え0.35以下である。第4半導体領域14の一部は、第3半導体領域13と第2ゲート52gとの間にある。
【0061】
第2トランジスタ52は、第2絶縁部材52iを含む。第2絶縁部材52iは、第4半導体領域14の上記の一部と、第2ゲート52gと、の間にある。
【0062】
例えば、第3半導体領域13において、第4半導体領域14と対向する部分にキャリア領域が形成される。キャリア領域は、例えば2次元電子ガスである。第2トランジスタ52は、例えば、ノーマリオン型のHEMTである。
【0063】
図8に示すように、第2トランジスタ52において、第2ゲート配線層52gaが設けられて良い。第2トランジスタ52において、第4フィールドプレートsFP4、第5フィールドプレートsFP5及び第6フィールドプレートsFP6が設けられて良い。これらの導電部材は、層間絶縁層58bにより絶縁される。
【0064】
図8に例示する半導体装置110の例において、第1トランジスタ51は、1つの半導体チップである。第2トランジスタ52は、別の1つの半導体チップである。
【0065】
以下に説明するように、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52は、1つの半導体チップに設けられて良い。
【0066】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9は、図1のA1-A2線の断面の一部に対応する断面図である。図9に示すように、第2実施形態に係る半導体装置120において、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52が設けられる。半導体装置120においては、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52の構成は、半導体装置110における第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52の構成と異なる。これを除く半導体装置120の構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。
【0067】
半導体装置120において、第2トランジスタ52に含まれる半導体部材は、第1トランジスタ51に含まれる半導体部材と連続している。半導体装置120における第1トランジスタ51の構成は、半導体装置110における第1トランジスタ51の構成と同じである。以下、半導体装置120における第2トランジスタ52の構成の例について説明する。
【0068】
図9に示すように、第1半導体領域11は、第6部分領域11f、第7部分領域11g及び第8部分領域11hを含む。第2部分領域11bは、第1方向D1において、第5部分領域11eと第7部分領域11gとの間にある。第6部分領域11fは、第2部分領域11bと第7部分領域11gとの間にある。第8部分領域11hは、第6部分領域11fと第7部分領域11gとの間にある。
【0069】
第6部分領域11fから第2ドレイン52dへの方向は、第2方向D2に沿う。第7部分領域11gから第2ソース52sへの方向は、第2方向D2に沿う。第8部分領域11hから第2ゲート52gへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0070】
第2半導体領域12は、第3半導体部分12cを含む。第3半導体部分12cの少なくとも一部は、第8部分領域11hと第2ゲート52gとの間にある。
【0071】
図9に示すように、第2トランジスタ52は、第2絶縁部材52iを含む。第2絶縁部材52iの一部は、第3半導体部分12cと第2ゲート52gとの間にある。第2絶縁部材52iは、例えばゲート絶縁膜として機能する。
【0072】
1つの例において、第2絶縁部材52iは、第1絶縁部材51iに含まれる材料を含んでも良い。第2絶縁部材52iとして、例えば、第1絶縁部材51iとなる膜が用いられる。効率的な製造が可能である。第1絶縁部材51i及び第2絶縁部材52iは、例えば、SiNを含む。
【0073】
図9に示すように、第1絶縁領域41aの第2方向D2に沿う厚さを第1厚さt1とする。第1厚さt1は、第1トランジスタ51におけるゲート絶縁膜の実質的な厚さに対応する。第2絶縁部材52iの第2方向D2に沿う厚さを第2厚さt2とする。第2厚さt2は、第2トランジスタ52におけるゲート絶縁膜の厚さに対応する。
【0074】
例えば、第2厚さt2は、第1厚さt1よりも薄くて良い。例えば、第1絶縁領域41aがSiOを含み、第2絶縁部材52iがSiNを含む場合、これらの材料において比誘電率に差がある。異なる厚さが適用されることで、例えば、第2トランジスタ52のしきい値電圧が必要以上に高くなることが抑制できる。
【0075】
図9に示すように、第1半導体領域11は、第9部分領域11iを含んで良い。第9部分領域11iの第1方向D1における位置は、第2ドレイン52dの第1方向D1おける位置と、第2ゲート52gの第1方向D1における位置と、の間にある。
【0076】
第2トランジスタ52は、第2窒化物部材32を含んで良い。第2窒化物部材32は、Aly2Ga1-y2N(0<y2≦1)を含む。第2窒化物部材32は、例えば、AlNを含む。第2絶縁部材52iの別の一部は、第3半導体部分12cの一部と、第2窒化物部材32と、の間にある。第3半導体部分12cの一部は、第9部分領域11iと第2絶縁部材52iの上記の別の一部と、の間にある。
【0077】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10は、図1のA1-A2線の断面の一部に対応する断面図である。図10に示すように、第3実施形態に係る半導体装置130において、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52が設けられる。半導体装置130においては、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52の構成は、半導体装置120における第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52の構成と異なる。これを除く半導体装置130の構成は、半導体装置120の構成と同様で良い。
【0078】
半導体装置130においては、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52において、ドレインがシェアされる。半導体装置130における第1トランジスタ51の構成は、半導体装置110にける第1トランジスタ51の構成と同様で良い。
【0079】
図10に示すように、半導体装置130において、第1半導体領域11は、第6部分領域11f及び第7部分領域11gを含む。第2部分領域11bは、第1方向D1において、第5部分領域11eと第6部分領域11fとの間にある。第7部分領域11gは、第2部分領域11bと第6部分領域11fとの間にある。第6部分領域11fから第2ソース52sへの方向は、第2方向D2に沿う。第7部分領域11gから第2ゲート52gへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0080】
第2半導体領域12は、第3半導体部分12cを含む。第3半導体部分12cの少なくとも一部は、第7部分領域11gと第2ゲート52gとの間にある。
【0081】
第2ドレイン52dは、第1ドレイン51dと連続する。第2ドレイン52dと第1ドレイン51dとの間の境界は不明確で良い。第1ドレイン51dは、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52でシェアされる。
【0082】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11は、図1のB1-B2線の断面の一部に対応する断面図である。図11に示すように、第4実施形態に係る半導体装置140において、ダイオード53が設けられる。半導体装置140においては、ダイオード53の構成は、半導体装置110におけるダイオード53の構成と異なる。これを除く半導体装置140の構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。
【0083】
図11に示すように、半導体装置140は、装置基板80sを含む。装置基板80sは、第1基板面80fを含む。ダイオード53の、第1基板面80fに対する位置は、固定される。半導体装置140において、アノード53aは、第1基板面80fとカソード53cとの間にある。
【0084】
半導体装置140は、ダイオード用基板53Sbを含む。ダイオード用基板53Sbの上に、ダイオード53がマウントされる。ダイオード用基板53Sbが、装置基板80sに固定される。ダイオード用基板53Sbにダイオード用導電層53Eが設けられる。アノード53aは、ダイオード用導電層53Eと電気的に接続される。ダイオード用導電層53Eは、アノード配線53aLにより第1端子81と電気的に接続される。カソード53cは、第2ソース配線52sLにより第2ソース52sと電気的に接続される。
【0085】
半導体装置140におけるダイオード53の構成は、半導体装置120及び半導体装置130に適用されて良い。
【0086】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図12に示すように、第5実施形態に係る半導体装置150は、複数の第1トランジスタ51及び複数の第2トランジスタ52を含む。複数の第1トランジスタ51の1つと、複数の第1トランジスタ51の1つと、の間に、複数の第2トランジスタ52の1つがある。複数の第2トランジスタ52の1つと、複数の第2トランジスタ52の1つと、の間に、複数の第1トランジスタ51の1つがある。
【0087】
複数の第1トランジスタ51のそれぞれの第1ソース51sが、第1端子81(図1参照)に電気的に接続される。複数の第1トランジスタ51のそれぞれの第1ゲート51gが、第3端子83(図1参照)に電気的に接続される。複数の第1トランジスタ51のそれぞれの第1ドレイン51dが、第2端子82(図1参照)に電気的に接続される。
【0088】
複数の第2トランジスタ52のそれぞれの第2ソース52sが、カソード53c(図1参照)に電気的に接続される。複数の第2トランジスタ52のそれぞれの第2ゲート52gが、第1端子81(図1参照)に電気的に接続される。複数の第2トランジスタ52のそれぞれの第2ドレイン52dが、第2端子82(図1参照)に電気的に接続される。
【0089】
半導体装置150においては、ノーマリオフ型の第1トランジスタ51と、ノーマリオン型の第2トランジスタ52と、が、交互に並ぶ。スイッチングの際に、オン電流と、環流電流と、が、これらのトランジスタを効率的に流れる。例えば、第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52がドレイン電極を共有する。これにより、実効的な配線抵抗が低くなる。より損失を低減できる。
【0090】
実施形態において、長さ及び厚さに関する情報は電子顕微鏡観察などにより得られる。材料の組成に関する情報は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)またはEDX(Energy dispersive X-ray spectroscopy)などにより得られる。
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1端子と、
第2端子と、
第3端子と、
ノーマリオフの第1トランジスタであって、前記第1トランジスタは、第1ソース、第1ドレイン及び第1ゲートを含み、前記第1ソースは、前記第1端子と電気的に接続され、前記第1ドレインは、前記第2端子と電気的に接続され、前記第1ゲートは、前記第3端子と電気的に接続された、前記第1トランジスタと、
ノーマリオンの第2トランジスタであって、前記第2トランジスタは、第2ソース、第2ドレイン及び第2ゲートを含み、前記第2ドレインは、前記第2端子と電気的に接続され、前記第2ゲートは、前記第1端子と電気的に接続された、前記第2トランジスタと、
ダイオードであって、前記ダイオードは、アノード及びカソードを含み、前記アノードは、前記第1端子と電気的に接続され、前記カソードは、前記第2ソースと電気的に接続された、前記ダイオードと、
を備えた半導体装置。
(構成2)
第1基板面を含む装置基板をさらに備え、
前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ及び前記ダイオードの、前記第1基板面に対する位置は、固定され、
前記第1トランジスタから前記第2トランジスタへの第1方向は、前記第1基板面に沿い、
前記ダイオードから前記第2トランジスタの少なくとも一部への方向は、前記第1基板面に沿い、前記第1方向と交差した、構成1に記載の半導体装置。
(構成3)
第1基板面を含む装置基板をさらに備え、
前記ダイオードの、前記第1基板面に対する位置は、固定され、
前記カソードは、前記第1基板面と前記アノードとの間にある、構成1に記載の半導体装置。
(構成4)
第1基板面を含む装置基板をさらに備え、
前記ダイオードの、前記第1基板面に対する位置は、固定され、
前記アノードは、前記第1基板面と前記カソードとの間にある、構成1に記載の半導体装置。
(構成5)
前記第1基板面から前記第1トランジスタへの第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第1基板面から前記第2トランジスタへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1ソースから前記第1ドレインへの方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1ゲートの前記第1方向における位置は、前記第1ソースの前記第1方向における位置と、前記第1ドレインの前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第2ドレインから前記第2ソースへの方向は、前記第1方向に沿い、
前記第2ゲートの前記第1方向における位置は、前記第2ドレインの前記第1方向における位置と、前記第2ソースの前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第1ソース、前記第1ドレイン、前記第1ゲート、前記第2ソース、前記第2ドレイン及び前記第2ゲートは、第3方向に沿い、
前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、構成2に記載の半導体装置。
(構成6)
前記第1ゲートと前記第1ドレインとの間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2ゲートと前記第2ドレインとの間の前記第1方向に沿う第2距離の0.8倍以上1.2倍以下である、構成5に記載の半導体装置。
(構成7)
前記第1ゲートの、前記第1ドレインと対向する部分の前記第3方向に沿う第1長さは、前記第2ゲートの、前記第2ドレインと対向する部分の前記第3方向に沿う第2長さの0.8倍以上1.2倍以下である、構成5または6に記載の半導体装置。
(構成8)
前記第1トランジスタは、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、
を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、
前記第1部分領域から前記第1ソースへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1ドレインへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3部分領域から前記第1ゲートへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4部分領域の前記第1方向に沿う位置は、前記第1部分領域の前記第1方向に沿う位置と、前記第3部分領域の前記第1方向に沿う位置と、の間にあり、
前記第5部分領域の前記第1方向に沿う位置は、前記第3部分領域の前記第1方向に沿う前記位置と、前記第2部分領域の前記第1方向に沿う位置と、の間にあり、
前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、
前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1ゲートの少なくとも一部は、前記第1方向において前記第1半導体部分と前記第2半導体部分との間にある、構成5~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成9)
前記第1トランジスタは、第1絶縁領域を含む第1絶縁層をさらに含み、
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域と前記第1ゲートとの間にある、構成8に記載の半導体装置。
(構成10)
前記第1トランジスタは、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含む第1窒化物部材をさらに含み、
前記第1窒化物部材の一部は、前記第3部分領域と前記第1絶縁領域との間にある、構成9に記載の半導体装置。
(構成11)
前記第1トランジスタは、第1絶縁部材をさらに含み、
前記第1絶縁部材の一部は、前記第5部分領域と、前記第1窒化物部材の別の一部と、の間にある、構成10に記載の半導体装置。
(構成12)
前記第1半導体領域は、第6部分領域、第7部分領域及び第8部分領域を含み、
前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第5部分領域と前記第7部分領域との間にあり、
前記第6部分領域は、前記第2部分領域と前記第7部分領域との間にあり、
前記第8部分領域は、前記第6部分領域と前記第7部分領域との間にあり、
前記第6部分領域から前記第2ドレインへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第7部分領域から前記第2ソースへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第8部分領域から前記第2ゲートへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2半導体領域は、第3半導体部分を含み、
前記第3半導体部分は、前記第8部分領域と前記第2ゲートとの間にある、構成11に記載の半導体装置。
(構成13)
前記第2トランジスタは、第2絶縁部材をさらに含み、
前記第2絶縁部材の一部は、前記第3半導体部分の少なくとも一部と前記第2ゲートとの間にあり、
前記第2絶縁部材は、前記第1絶縁部材に含まれる材料を含む、構成12に記載の半導体装置。
(構成14)
前記第2絶縁部材の前記第2方向に沿う第2厚さは、前記第1絶縁領域の前記第2方向に沿う第1厚さよりも薄い、構成13に記載の半導体装置。
(構成15)
前記第2トランジスタは、Aly2Ga1-y2N(0<y2≦1)を含む第2窒化物部材をさらに含み、
前記第2絶縁部材の別の一部は、前記第3半導体部分の一部と前記第2窒化物部材との間にある、構成14に記載の半導体装置。
(構成16)
前記第1半導体領域は、第6部分領域及び第7部分領域を含み、
前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第5部分領域と前記第6部分領域との間にあり、
前記第7部分領域は、前記第2部分領域と前記第6部分領域との間にあり、
前記第6部分領域から前記第2ソースへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第7部分領域から前記第2ゲートへの方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2半導体領域は、第3半導体部分を含み、
前記第3半導体部分の少なくとも一部は、前記第7部分領域と前記第2ゲートとの間にあり、
前記第2ドレインは、前記第1ドレインと連続し、
前記第1ドレインは、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタでシェアされる、構成11に記載の半導体装置。
(構成17)
前記第2トランジスタは、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含む第3半導体領域と、
Alx4Ga1-x4N(x3<x4≦1)を含む第4半導体領域と、
第2絶縁部材と、
を含み、
前記第4半導体領域の一部は、前記第3半導体領域と前記第2ゲートとの間にあり、
前記第2絶縁部材は、前記第4半導体領域の前記一部と前記第2ゲートとの間にある、構成5~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成18)
前記ダイオードは、ダイオード半導体部材を含み、
前記ダイオード半導体部材は、シリコンを含む構成1に記載の半導体装置。
(構成19)
前記ダイオードは、ショットキーバリアダイオードであり、
前記ダイオードの耐圧は、前記第1トランジスタの耐圧の1/5以下であり、前記第2トランジスタのしきい値電圧の絶対値以上である、構成1に記載の半導体装置。
(構成20)
複数の前記第1トランジスタと、複数の前記第2トランジスタと、が設けられ、
前記複数の第2トランジスタの1つは、前記複数の第1トランジスタの1つと、前記複数の第1トランジスタの別の1つと、の間にあり、
前記複数の第1トランジスタの前記1つは、前記複数の第2トランジスタの前記1つと、前記複数の第2トランジスタの別の1つと、の間にある、構成1に記載の半導体装置。
【0091】
実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、端子、トランジスタ、ダイオード、半導体領域、及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0093】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0094】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0095】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
11~14:第1~第4半導体領域、 11a~11i:第1~第9部分領域、 12a~12c:第1~第3半導体部分、 31、32:第1、第2窒化物部材、 41:第1絶縁層、 41a:第1絶縁領域、 51、52:第1、第2トランジスタ、 51M、52M:第1、第2トランジスタ半導体部材、 51S、52S:第1、第2トランジスタ基板、 51Sb:トランジスタ用基板、 51d、52d:第1、第2ドレイン、 51dL、52dL:第1、第2ドレイン配線、 51g、52g:第1、第2ゲート、 51gL、52gL:第1、第2ゲート配線、 51ga、52ga:第1、第2ゲート配線層、 51i、52i:第1、第2絶縁部材、 51s、52s:第1、第2ソース、 51sL、52sL:第1、第2ソース配線、 53:ダイオード、 53E:ダイオード用導電層、 53M:ダイオード半導体部材、 53Sb:ダイオード用基板、 53a:アノード、 53aL:アノード配線、 53c:カソード、 58a、58b:層間絶縁層、 80f:第1基板面、 80s:装置基板、 81~83:第1~第3端子、 110、119、120、130、140、150:半導体装置、 D1~D3:第1~第3方向、 I1、I2:第1、第2電流、 Id:ドレイン電流、 Lgd1、Lgd2:第1、第2距離、 ST1、ST2:第1、第2状態、 Voff:オフ電圧、 Von:オン電圧、 Vsd:ソースドレイン電圧、 Vth1、Vth2:しきい値電圧、 Wg1、Wg2:第1、第2長さ、 sFP1~sFP6:第1~第6フィールドプレート、 t1、t2:第1、第2厚さ
図1
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図12