(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-29
(45)【発行日】2025-10-07
(54)【発明の名称】支持中柱検測システム及び支持中柱検測方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20250930BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20250930BHJP
【FI】
H01L21/68 T
G01B21/00 D
(21)【出願番号】P 2024135621
(22)【出願日】2024-08-15
【審査請求日】2024-08-15
(32)【優先日】2023-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520256488
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】潘 詠晉
(72)【発明者】
【氏名】呉 孟▲かん▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 子寧
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091657(JP,A)
【文献】特開2019-214107(JP,A)
【文献】特開2009-302287(JP,A)
【文献】国際公開第2005/117100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板キャリアの少なくとも一つの支持中柱を検測する、支持中柱検測システムであって、前記支持中柱検測システムは、プッシャと、動力モジュールと、偏移センサと、を含み、
前記プッシャは、前記支持中柱に所定の推力を付加するために用いられ、
前記動力モジュールは、前記プッシャに接続され、前記プッシャを駆動して前記支持中柱へ向かって移動させることで、前記プッシャに前記推力を前記支持中柱に付加させるために用いられ、 前記偏移センサは、前記支持中柱の一側に位置し、前記支持中柱が前記推力を受けた時、前記支持中柱の偏移量を検測するために用いられること、
を特徴とする支持中柱検測システム。
【請求項2】
前記支持中柱検測システムであって、さらに、昇降モジュールを含み、
前記昇降モジュールは、ベースに接続され、前記プッシャと、前記動力モジュールと、前記偏移センサと、が前記ベースに設置され、前記昇降モジュールは前記ベースを駆動して垂直に移動させることに用いられること、
を特徴とする請求項1に記載の支持中柱検測システム。
【請求項3】
前記支持中柱検測システムであって、その中で、
前記支持中柱の数量は複数個であり、且つ平行に設置され、前記昇降モジュールは前記ベースを移動することにより、移動方向に向かって前記支持中柱を順に検測し、それにより対応して検測される前記偏移量を取得すること、
を特徴とする請求項2に記載の支持中柱検測システム。
【請求項4】
前記支持中柱検測システムであって、さらに、制御モジュールを含み、
前記制御モジュールの信号は、前記動力モジュール及び前記偏移センサに接続され、前記動力モジュール及び前記偏移センサの動作を制御することに用いられ、前記支持中柱の数量は複数個であり、且つ平行に設置され、前記制御モジュールは前記支持中柱における最下層又は最上層の前記支持中柱の側壁平面を前記偏移量の基準点とし、前記基準点は他層の前記支持中柱の偏移検測基準とすること、
を特徴とする請求項1に記載の支持中柱検測システム。
【請求項5】
前記支持中柱検測システムであって、その中で、
前記動力モジュールは、前記プッシャを駆動して前記推力を前記支持中柱に付加した後、前記偏移センサを介して前記推力を受けた前記支持中柱の前記偏移量を検測し、前記制御モジュールが前記基準点に基づいて前記側壁平面の側方向偏移を計算することによって、検測結果を取得すること、
を特徴とする請求項4に記載の支持中柱検測システム。
【請求項6】
前記支持中柱検測システムであって、その中で、
前記支持中柱は、キールに接続される接続端と、中間部と、前記接続端に相対する吊下げ端を有し、前記偏移センサは、前記接続端、前記中間部、或いは前記吊下げ端、に隣接すること、
を特徴とする請求項1に記載の支持中柱検測システム。
【請求項7】
支持中柱検測方法であって、
平行に設置された複数の支持中柱のうちの一つを偏移量の基準点とすることと、
移動方向に沿って順に所定の推力を前記支持中柱に付加することと、
前記推力を受けた前記支持中柱の偏移量を検測することと、および、 前記基準点で前記偏移量を計算し、並びに検測結果を取得することと、を含むこと、
を特徴とする支持中柱検測方法。
【請求項8】
前記支持中柱検測方法であって、
動力モジュールによってプッシャを駆動し、前記支持中柱に所定の前記推力を付加することと、
偏移センサによって前記支持中柱の前記基準点と前記偏移量を検測することと、
制御モジュールによって前記基準点に基づいて前記偏移量を計算し、並びに検測結果を取得することと、を含むこと、
を特徴とする請求項7に記載の支持中柱検測方法。
【請求項9】
前記支持中柱検測方法であって、
昇降モジュールによって前記動力モジュールと前記偏移センサを制御して移動方向に沿わせ、平行に設置された複数の支持中柱の中で移動させること、を含むこと、
を特徴とする請求項8に記載の支持中柱検測方法。
【請求項10】
前記支持中柱検測方法であって、
前記偏移センサの数量は複数個であり、前記支持中柱の接続端と、中間部と、および前記接続端に相対する吊下げ端の位置、或いは前記支持中柱の任意の位置に分布すること、を含むこと、
を特徴とする請求項8に記載の支持中柱検測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持中柱の検測システム及び検測方法に関し、特に基板キャリアに適用される支持中柱検測システム及び支持中柱検測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造に関連する技術分野において、半導体基板には搬送の需要があるため、例えば現在の業界では、複数の半導体基板を収容して搬送するために、前開き式ウェハ搬送ケース(Front Opening Unified Pod, FOUP)の大型基板キャリアが使用されている。このような基板キャリアにおいて、基板を支持するために、両側の内部側壁上に等間隔で複数の支持片が設置されている。しかしながら、基板サイズの増加に伴い、両側で基板を支持する方式のみでは荷重の要件を満たすことができず、従って基板キャリアに中柱構造を追加することで、より良好な支持性を提供する。
【0003】
中柱構造は複数の等間隔に設置される炭素棒を支持材とし、それぞれ半導体基板を支持することに用いられる。実際の応用において、このような大型基板容器を半導体基板の収容に用いる前に、炭素棒に対して計測を行い、炭素棒に傾斜偏移が発生したか否かを判断する必要がある。炭素棒を測定する既知の方法として、測定工具を使用して、一本また複数の炭素棒の、中心線に対する偏移を測定する方法がある。しかしながら、このような測定方法にはいくつかの欠点がある。実際に測定工具を使用して測定を行う前に、測定工具自体及びプローブを校正する必要があり、校正の工程は非常に時間を要する。また、校正完了後、測定工具及びプローブを使用して基板キャリア製品を検測するために、プラットフォームから校正工具を除去する必要がある。測定工具の組み立てが完了した後、それを三次元測定機台上に取り付け、且つ人の手によって各キャリア製品に対し、測定パラメータを調整する。その他、測定工具の寸法または規格が不正確でことが判明した場合、測定工具をプラットフォームから取り外し、さらなる調整を行う必要がある。これら全体のプロセスは非常に煩雑で、効率性に欠ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、支持中柱検測システム及び支持中柱検測方法を提供し、支持中柱の偏移量を迅速に取得し、検測工程を簡略化することで、さらなる検測効率の向上を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、基板キャリアの少なくとも一つの支持中柱を検測することに適する、支持中柱検測システムを提供し、前記支持中柱検測システムは、プッシャと、動力モジュールと、偏移センサと、を含む。プッシャは、支持中柱に所定の推力を付加するために用いられる。動力モジュールは、プッシャに接続され、プッシャを駆動して支持中柱へ向かって移動させることで、プッシャに推力を支持中柱に付加させるために用いられる。偏移センサは、支持中柱の一側に位置し、支持中柱が推力を受けた時、支持中柱の偏移量を検測するために用いられる。
【0006】
一実施例において、支持中柱検測システムは、さらに、昇降モジュールを含み、昇降モジュールはベースに接続され、プッシャと、動力モジュールと、偏移センサと、がベースに設置され、昇降モジュールはベースを駆動して垂直に移動させることに用いられる。
【0007】
一実施例において、支持中柱の数量は複数であり、且つ平行に設置され、昇降モジュールはベースを移動することにより、移動方向に向かって支持中柱を順に検測し、それにより対応して検測される偏移量を取得する。
【0008】
一実施例において、検測システムは、さらに、制御モジュールを含み、その信号は動力モジュール及び偏移センサに接続され、動力モジュール及び偏移センサの動作を制御することに用いられ、支持中柱の数量は複数であり且つ平行に設置され、制御モジュールは支持中柱における最下層又は最上層の支持中柱の側壁平面を偏移量の基準点とし、基準点は他層の支持中柱の偏移検測基準とする。
【0009】
一実施例において、動力モジュールはプッシャを駆動して支持中柱に推力を付加した後、推力を受けた支持中柱の偏移量を偏移センサによって検測し、制御モジュールによって基準点に基づいて側壁平面の一側方向偏移を計算し、それにより検測結果を取得する。
【0010】
一実施例において、第一支持中柱は、キールに接続される接続端と、中間部と、接続端に対向する吊下げ端を有し、偏移センサは、接続端、中間部又は吊下げ端に隣接する。
【0011】
本発明の別の態様では、支持中柱検測方法を提供し、支持中柱検測方法は、平行に設置された複数の支持中柱のうちの一つを偏移量の基準点とすることと、移動方向に沿って順に所定の推力を支持中柱に付加することと、推力を受けた支持中柱の偏移量を検測することと、および、基準点で偏移量を計算し、並びに検測結果を取得することと、を含む。
【0012】
一実施例において、支持中柱検測方法は、動力モジュールによってプッシャを駆動し、支持中柱に所定の推力を付加することと、偏移センサによって支持中柱の基準点と偏移量を検測することと、制御モジュールによって基準点に基づいて偏移量を計算し、並びに検測結果を取得することと、を含む。
【0013】
一実施例において、支持中柱検測方法は、昇降モジュールによって動力モジュールと偏移センサを制御して移動方向に沿わせ、平行に設置された複数の支持中柱の中で移動させること、を含む。
【0014】
一実施例において、支持中柱検測方法は、偏移センサの数量は複数個であり、支持中柱の接続端と、中間部と、および接続端に相対する吊下げ端の位置、或いは支持中柱の任意の位置に分布すること、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施例は、一種の支持中柱検測システム及び支持中柱検測方法を提供し、プッシャが所定の推力を第一支持中柱に付加し、並びに偏移センサが第一支持中柱の第一偏移量を検測することで、検測工程を簡略化し、更なる検測効率の向上をする。いくつかの実施例において、第二支持中柱の隣に移動して検測を行い、システムによって複数の支持中柱を順に測定し、煩雑な検測工程を省くことで、検測効率の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明における一実施例の支持中柱検測システムの概略図である。
【
図2】検測システムが推力を付加する前の平面図である。
【
図3】検測システムが推力を付加する際の平面図である。
【
図4】偏移センサが第一偏移量を検測する際の概略図である。
【
図5】プッシャおよび偏移センサが第一支持中柱の一側に位置する際の概略図である。
【
図6】プッシャおよび偏移センサが第二支持中柱の一側に位置する際の概略図である。
【
図7】偏移センサが第二偏移量を検測する際の概略図である。
【
図8】偏移センサが複数の偏移量を検測する際の概略図である。
【
図9】支持中柱検測システムが複数の偏移センサを含む際の概略図である。
【
図10】本発明の他の実施例に係る支持中柱検測システムのブロック図である。
【
図11】本発明の一実施例に係る支持中柱検測方法のフロー図である。
【
図12】本発明の他の実施例に係る支持中柱検測方法のフロー図である。
【
図13】第二支持中柱に対し検測を行う際のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、2023年9月5日に出願された「Inspection System for Central Beam in FOUP(FOUPにおける中柱の検査システム)」と題する米国特許仮出願案第63/536,603号の国際的な優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する。
【0018】
本発明の実施例の支持中柱検測システム及び支持中柱検測方法は、動力モジュールを利用してプッシャを移動させ、プッシャに所定の推力を支持中柱に付加させ、並びに偏移センサにより支持中柱の偏移量を検測し、この方式で測定治具を使用して支持中柱を測定する複雑な工程を省略することができ、検測工程を簡略化することができ、便利で迅速であるという利点を有する。また、推力は異なる製品に応じて調整することができ、迅速に支持中柱の偏移量を取得することができ、検測の効率を向上させる。
【実施例】
【0019】
図1を参照されたい。
図1は、本発明における一実施例の支持中柱検測システムの概略図である。本実施例の支持中柱検測システム(以下、検測システムと称する)100は、基板キャリア200の少なくとも1つの支持中柱210を検測するように構成される。基板キャリア200は、複数の支持中柱210を含み、支持中柱210の一端はキール250に接続され、キール250によって基板キャリア200に接続され、支持中柱210の他端は基板キャリア200内に懸架され、半導体基板を支持するために使用される。基板キャリア200、支持中柱210、およびキール250、ならびに例えば半導体基板などの構成要素は、検測システム100によって検測されるワークピースと見なすことができ、その構造は本発明を限定するものではない。
【0020】
本実施例において支持中柱210の数は複数個であり、まずその中の第一支持中柱を検測し、且つその1つの第一偏移量を取得するメカニズムについて説明する。
図1から
図4を同時に参照されたい。
図2は、検測システムが推力を付加する前の平面図であり、
図3は、検測システムが推力を付加する際の平面図であり、
図4は、偏移センサが第一偏移量を検測する際の概略図である。本実施例の検測システム100は、プッシャ110、動力モジュール150及び偏移センサ130を含む。プッシャ110は、支持中柱210に所定の推力Fを加えるために使用され、ここでは第一支持中柱211を例として説明する。
図2及び
図3に示すように、プッシャ110はX軸方向に沿って第一支持中柱211に推力Fを付加し、第一支持中柱211は推力Fを受けた後に偏移し、検測システム100はこの推力Fを受けた時に、一つ又は複数の支持中柱210が所定範囲を超えて偏位するか否かを検測する。推力Fは、人が操作する時に不注意に支持中柱210に衝突する力の大きさとして設定されてもよく、それによって、そのような力の下で支持中柱210が偏移したかどうかを判断する。支持中柱210が所定の範囲を超えて偏移した場合、支持中柱210を再補正して調整しなければならない。
【0021】
動力モジュール150はプッシャ110に接続され、プッシャ110を駆動して第一支持中柱211へ向かって移動させることで、プッシャ110に推力Fを第一支持中柱211に付加させるために用いられる。偏移センサ130は、支持中柱211の一側に位置し、第一支持中柱211が推力Fを受けた時、支持中柱210に隣接する偏移量を検測することに用いられ、ここで第一支持中柱211の第一偏移量V1を例として、
図4に示すとおり説明する。本実施例において、第一支持中柱211は複数の支持中柱210のうちの最下層のものであり、異なる実施例において最上層の支持中柱210であってもよく、実際に検測する必要に応じて決定する。
【0022】
偏移センサ130は例えば赤外光距離センサであってもよく、偏移センサ130から第一支持中柱211の側壁平面215までの距離Dを測定することに用いられる。偏移センサ130は、他の測距技術を用いるセンサ(例えば、超音波センサ)であってもよい。本発明は、偏移センサ130の型式に対して多くの制限はなく、距離Dを取得できるものであれば、いずれも検測システム100に適用できる。前述したように、検測システム100は、支持中柱210の最下層又は最上層を支持する支持中柱210の側壁平面215を偏移量の基準点Cとしてもよく、基準点Cは、他層の支持中柱210の偏移検測基準としてもよい。動力モジュール150はプッシャ110を駆動して推力Fを支持中柱210に付加した後、偏移センサ130を介して推力Fを受けた支持中柱210の偏移量を検測し、基準点Cに基づいて側壁平面215の側方向偏移を計算し、それにより検測結果を取得する。本実施例において、第一支持中柱211の側壁平面215の位置を基準点Cとする。
【0023】
検測システム100のプッシャ110が推力Fを第一支持中柱211に付加し、並びに偏移センサ130を介して第一支持中柱211の第一偏移量V1を取得した後、第一支持中柱211に対する検測を完了し、且つ基準点Cを取得する。検測システム100は、続けて他の支持中柱210に対し検測を行うことができる。
【0024】
図1及び
図5から
図7を参照されたい。
図5は、プッシャおよび偏移センサが第一支持中柱の一側に位置する際の概略図であり、
図6は、プッシャおよび偏移センサが第二支持中柱の一側に位置する際の概略図であり、
図7は、偏移センサが第二偏移量を検測する際の概略図である。本実施例の検測システム100はさらに昇降モジュール170を含み、ベース180に接続され、プッシャ110と、動力モジュール150と、および偏移センサ130はベース180に設置される。
図1に示すとおりである。昇降モジュール170はベース180を駆動して垂直に移動させることに用いられ、すなわち
図1におけるZ軸の方向に上下に移動する。支持中柱210の数は複数であり且つ平行に設置されるため、昇降モジュール170はベース180を移動することにより、移動方向Mに沿って複数の支持中柱210を順に検測し、それにより対応して検測された偏移量を取得する。実際の応用では本実施例において、隣接する第二支持中柱216に移動することを例として説明する。昇降モジュール170はベース180を移動させることにより、プッシャ110、動力モジュール150及び偏移センサ130を第二支持中柱216に隣接する位置(
図6に示す)に移動させ、それにより第二支持中柱216の第二偏移量V2(
図7に示す)を検測する。第二支持中柱216に対する検測システム100の付加力及び検測方式は、第一支持中柱211と同じであり、ここでは重複する説明はしない。第二偏移量V2を取得することにより、基準点Cからの差異に基づいて、第二支持中柱216の偏移量が所定範囲を超えているか否かを判断することができる。
【0025】
図8を参照されたい。
図8は、偏移センサが複数の偏移量を検測する際の概略図である。一実施例において、検測システム100は第一偏移量V1を取得した後(V1は
図4に示す)、この第一偏移量V1を0に設定し、この時の第一支持中柱211の側壁平面215の位置を基準点Cに設定し、この基準点Cは後続の他層の支持中柱210の偏移量検測標準とする。検測システム100は、第二支持中柱216を検測するとき、基準点Cを基準として、第二偏移量V2(
図7に示す)が所定範囲を超えているか否かを判断する。同様に、第三支持中柱217、第四支持中柱218、第五支持中柱219、さらに後続のより多くの支持中柱210を検測する時、いずれもこの基準点Cを基準とし、その偏移量が所定範囲を超えているか否かを判断することができる。いずれかの支持中柱210の偏移量が所定範囲を超えている場合、支持中柱210の校正調整が必要であることを示す。
【0026】
一方で、偏移センサ130の配置に関しては、異なる実施形態を有してもよい。
図2及び
図3に示すように、本実施例の検測システム100は1つの偏移センサ130を含むことを例とする。第一支持中柱211はキール250に接続される接続端214、中間部213及び接続端214に相対する吊下げ端212を有し、本実施例の偏移センサ130は吊下げ端212に隣接する。しかしながら、異なる実施例では、偏移センサ130は、第一支持中柱211の異なる部分の偏移量を検測するために、接続端214または中間部213に隣接して配置されてもよい。前述は第一支持中柱211を検測することを例とするが、他の第二支持中柱216又は他の支持中柱210に対して、同様の検測メカニズムを有することができ、ここではその説明を省略する。
【0027】
図9を参照されたい。
図9は、支持中柱検測システムが複数の偏移センサを含む際の概略図である。
図9の検測システム100(1)において、複数の偏移センサ130(1)、130(2)及び130(3)を含み、これらの偏移センサ130(1)、130(2)及び130(3)は、それぞれ第一支持中柱211の接続端214、中間部213及び吊下げ端212に隣接する。それにより第一支持中柱211の異なる位置に対して偏移量検測を同時に行い、さらに検測の正確性を向上させる。実際の応用では、偏移センサ130は必要に応じて支持中柱210に隣接する任意の位置に設置することができる。
【0028】
図10を参照されたい。
図10は、本発明の他の実施例に係る支持中柱検測システムのブロック図である。検測システム100(2)は前記実施例と同じプッシャ110、動力モジュール150、偏移センサ130及び昇降モジュール170を含む以外に、さらに制御モジュール190を含む。制御モジュール190は偏移センサ130に信号接続され、動力モジュール150と偏移センサ130の動作を制御することに用いられる。制御モジュール190は複数の支持中柱210における最下層又は最上層の支持中柱210の側壁平面215を偏移量の基準点とし、基準点を他層の支持中柱210の偏移検測基準とする。動力モジュール150はプッシャ110を駆動して推力Fを支持中柱210に付加した後、偏移センサ130を介して推力Fを受けた支持中柱210の偏移量を検測し、制御モジュール190は基準点に基づいて側壁平面215の側方向偏移を計算し、それにより検測結果を取得する。制御モジュール190は、例えば中央処理ユニット、出入力コントローラ等を含み、動力モジュール150の移動及び付加力を設定し且つ制御することに用いられ、プッシャ110が支持中柱210に加える推力Fの大きさを調整することができる。また、計算モジュール190は昇降モジュール170の作動を制御することができ、それによりプッシャ110及び偏移センサ130は測定対象の特定の支持中柱210の近傍に移動することができる。
【0029】
図4から
図7に示す実施例において、制御モジュール190は第一支持中柱211の側壁平面215の位置を基準点Cとし、第二支持中柱216の第二偏移量V2が所定範囲を超えるか否かを判断することに用いられる。
【0030】
以下では本発明の実施例に係る基板キャリアの支持中柱検測方法を説明する。
図11を参照されたい。
図11は、本発明の一実施例に係る支持中柱検測方法のフロー図である。本実施例の支持中柱検測方法(以下、検測方法と称する)は、例えば前記実施例の検測システム100に適用され、その素子及び素子符号は本実施例にも用いられる。基板キャリア200が検測システム100内に配置された後、検測システム100は検測を開始することができる。検測方法は、以下の工程を含む。
【0031】
まず工程S11を実行する。S11:平行に設置された複数の支持中柱のうちの一つを偏移量の基準点とする。
【0032】
続けて工程S12を実行する。S12:移動方向に沿って順に所定の推力を支持中柱に付加する。
【0033】
次に工程S13を実行する。S13:推力を受けた支持中柱の偏移量を検測する。
【0034】
そして工程S14を実行する。S14:基準点で偏移量を計算し、並びに検測結果を取得する。
【0035】
本実施例の検測方法は以下を含む。動力モジュール150によってプッシャ110を駆動し、支持中柱に所定の推力を付加すること。偏移センサ130によって支持中柱の基準点と偏移量を検測すること。制御モジュール190によって基準点に基づいて偏移量を計算し、並びに検測結果を取得すること。検測方法において、昇降モジュール170によって動力モジュール150と偏移センサ130を制御して移動方向に沿わせ、平行に設置された複数の支持中柱の中で移動させること。偏移センサ130の数量は複数個であり、支持中柱の接続端と、中間部と、および接続端に相対する吊下げ端の位置、或いは支持中柱の任意の位置に分布すること。
【0036】
図12を参照されたい。
図12は、本発明の他の実施例に係る支持中柱検測方法のフロー図である。本実施例の検測方法は、前述の実施例の検測システム100に適用することができる。
【0037】
まず工程S21を実行する。S21:動力モジュール150によってプッシャ110を駆動し、第一支持中柱211に向かって移動させる。
【0038】
続けて工程S22を実行する。S22:プッシャ110によって推力Fを第一支持中柱211に付加する。
【0039】
その後工程S23を実行する。S23:偏移センサ130によって第一支持中柱211が推力Fを受けた際の第一偏移量V1を検測する。
【0040】
第一偏移量V1を取得した後、それを偏移量を検測する基準点に設定し、他層の支持中柱の偏移検測基準とすることができる。
【0041】
第一支持中柱211を検測した後、他の支持中柱210に対し検測を行うことができる。
図13を参照されたい。
図13は、第二支持中柱に対し検測を行う際のフロー図である。本実施例の検測方法は工程S23の後に、工程S24から工程S27を実行することができる。
【0042】
工程S24を実行する。S24:昇降モジュール170によりプッシャ110、動力モジュール150及び偏移センサ130を第二支持中柱216に隣接する位置に移動させる。
【0043】
続けて工程S25を実行する。S25:動力モジュール150によってプッシャ110を駆動し、第二支持中柱216に向かって移動させる。
【0044】
続けて工程S26を実行する。S26:プッシャ110によって推力Fを第二支持中柱216に付加する。
【0045】
その後工程S27を実行する。S27:偏移センサ130によって第二支持中柱216が推力Fを受けた際の第二偏移量V2を検測する。
【0046】
本実施例の検測方法は工程S28において、基準点を基準とし、第二偏移量V2が所定範囲を超えているか否かを判断する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明の実施例の基板キャリアの支持中柱の検測システムおよび検測方法は、プッシャを利用して支持中柱に推力を付加し、支持中柱の偏移量の検測を行い、支持中柱の偏移量を迅速に取得することができ、検測効率を向上させる。いくつかの実施例では、昇降モジュールを利用してプッシャ及び偏移センサを他の支持中柱に移動させることにより、複数の支持中柱を迅速に検測することができ、検測工程を簡略化することができ、便利で迅速であるという利点を有する。また、推力は異なる製品に応じて調整することができ、迅速に支持中柱の偏移量を取得することができ、検測の効率を向上させる。
【符号の説明】
【0048】
100 検測システム
100(1) 検測システム
100(2) 検測システム
110 プッシャ
130 偏移センサ
130(1) 偏移センサ
130(2) 偏移センサ
130(3) 偏移センサ
150 動力モジュール
170 昇降モジュール
180 ベース
190 制御モジュール
200 基板キャリア
210 支持中柱
211 第一支持中柱
212 吊下げ端
213 中間部
214 接続端
215 側壁平面
216 第二支持中柱
250 キール
C 基準点
C' 基準点
D 距離
F 推力
M 移動方向
S11~S28 工程
V1 第一偏移量
V2 第二偏移量
X 軸方向
Y 軸方向
Z 軸方向