(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-30
(45)【発行日】2025-10-08
(54)【発明の名称】積層型コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20251001BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20251001BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20251001BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F17/04 A
H01F27/00 R
H01F27/28 K
H01F27/28 104
(21)【出願番号】P 2021199382
(22)【出願日】2021-12-08
【審査請求日】2023-07-19
【審判番号】
【審判請求日】2024-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小野 晃太
(72)【発明者】
【氏名】松浦 耕平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智之
【合議体】
【審判長】梶尾 誠哉
【審判官】▲吉▼澤 雅博
【審判官】涌井 智則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212273(WO,A1)
【文献】特開2019-186255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、
前記素体の内部に設けられた第1コイルと、
前記素体の内部に設けられ、かつ、前記第1コイルと絶縁された第2コイルと、
前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記第1コイルに電気的に接続された第1外部電極と、
前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記第1コイルに電気的に接続された第2外部電極と、
前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記第2コイルに電気的に接続された第3外部電極と、
前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記第2コイルに電気的に接続された第4外部電極と、を備え、
前記素体は、前記積層方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記積層方向に直交する高さ方向に相対する第1主面及び第2主面と、前記積層方向及び前記高さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面と、を有する直方体状又は略直方体状であり、
前記素体の前記第1主面は、実装面であり、
前記積層方向と、前記第1コイルのコイル軸の方向と、前記第2コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って前記素体の
前記実装面に平行であり、
前記第1コイルの一端には、第1引き出し導体が接続され、
前記第1引き出し導体は、前記素体の前記
第1主面に露出し、
前記第1外部電極は、前記素体の前記
第1主面において前記第1引き出し導体の露出部分に接続され、
前記第1コイルは、前記積層方向に積層された複数の第1コイル導体が電気的に接続されてなり、
各々の前記第1コイル導体の長さは、前記第1コイルの1ターン未満の長さであり、
前記第2コイルは、前記積層方向に積層された複数の第2コイル導体が電気的に接続されてなり、
各々の前記第2コイル導体の長さは、前記第2コイルの1ターン未満の長さである、ことを特徴とする積層型コイル部品。
【請求項2】
前記積層方向から見たとき、前記積層方向に隣り合う少なくとも1組の前記第1コイル導体の形状は、回転対称の関係にある、請求項1に記載の積層型コイル部品。
【請求項3】
前記積層方向から見たとき、前記積層方向に隣り合う少なくとも1組の前記第1コイル導体の形状は、90度回転対称の関係にある、請求項2に記載の積層型コイル部品。
【請求項4】
前記積層方向から見たとき、前記積層方向に隣り合う少なくとも1組の前記第2コイル導体の形状は、回転対称の関係にある、請求項1~3のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項5】
前記積層方向から見たとき、前記積層方向に隣り合う少なくとも1組の前記第2コイル導体の形状は、90度回転対称の関係にある、請求項4に記載の積層型コイル部品。
【請求項6】
前記積層方向から見たとき、前記第1コイル導体は、前記第1コイル導体と前記積層方向に隣り合う前記第2コイル導体の一端に重なっていない、請求項1~5のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項7】
前記積層方向において、1つの前記第1コイル導体に隣り合い、かつ、1つの前記第1コイル導体を挟むように設けられた2つの前記第2コイル導体は、前記絶縁層を前記積層方向に貫通するように設けられた第2コイル用ビア導体を介して電気的に接続され、
前記積層方向から見たとき、前記第2コイル用ビア導体は、1つの前記第1コイル導体の外周側で、2つの前記第2コイル導体の各一端に重なっている、請求項6に記載の積層型コイル部品。
【請求項8】
前記積層方向から見たとき、前記第2コイル導体は、前記第2コイル導体と前記積層方向に隣り合う前記第1コイル導体の一端に重なっていない、請求項1~7のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項9】
前記積層方向において、1つの前記第2コイル導体に隣り合い、かつ、1つの前記第2コイル導体を挟むように設けられた2つの前記第1コイル導体は、前記絶縁層を前記積層方向に貫通するように設けられた第1コイル用ビア導体を介して電気的に接続され、
前記積層方向から見たとき、前記第1コイル用ビア導体は、1つの前記第2コイル導体の外周側で、2つの前記第1コイル導体の各一端に重なっている、請求項8に記載の積層型コイル部品。
【請求項10】
前記積層方向から見たとき、前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体の形状は、非回転対称の関係にある、請求項1~9のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項11】
前記素体は、前記絶縁層として、非磁性層と、前記非磁性層を前記積層方向に挟むように設けられた磁性層と、を有し、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記非磁性層の内部に設けられている、請求項1~10のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項12】
前記素体は、前記絶縁層として、前記非磁性層の内部に設けられた内部磁性部を有し、
前記内部磁性部は、前記積層方向から見たときに前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体の内周側に設けられ、かつ、前記磁性層に接続されている、請求項11に記載の積層型コイル部品。
【請求項13】
前記積層方向に沿う断面を見たとき、前記内部磁性部における前記積層方向に直交する方向の寸法は、前記内部磁性部が前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体の各々に前記積層方向に直交する方向で重なる位置と、それ以外の位置との間で異なる、請求項12に記載の積層型コイル部品。
【請求項14】
前記非磁性層は、K、B、及び、Siを含むガラス材料と、石英を含むフィラーと、を含む誘電体ガラス材料で構成されている、請求項11~13のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項15】
前記非磁性層は、Fe、Cu、及び、Znを含む非磁性フェライト材料で構成されている、請求項11~13のいずれかに記載の積層型コイル部品。
【請求項16】
前記非磁性層は、Fe、Cu、及び、Znを含む非磁性フェライト材料で構成され、
前記内部磁性部は、Niを含むNi含有材料で構成されている、請求項12又は13に記載の積層型コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
回路用ノイズフィルタの一種であるコモンモードチョークコイルとして、特許文献1には、複数の絶縁体層と、絶縁体層に形成された第1のコイル、第2のコイルと、複数の絶縁体層と第1のコイル、第2のコイルを積層して構成された積層体と、複数の絶縁体層のうち一方の最外層に位置する絶縁体層の4隅のうち少なくとも2隅に貫通するように形成された第1、第2の内部電極と、複数の絶縁体層のうち他方の最外層に位置する絶縁体層の4隅のうち少なくとも2隅に貫通するように形成された第3、第4の内部電極と、積層体の一端面に形成された第1、第2の外部電極と、積層体の他端面に形成された第3、第4の外部電極とを備え、積層体の積層方向と実装面が平行になるように実装し、かつ第1のコイルの一端部と第1の内部電極または第1の外部電極とを接続し、第1のコイルの他端部と第3の内部電極または第3の外部電極とを接続し、第2のコイルの一端部と第2の内部電極または第2の外部電極とを接続し、第2のコイルの他端部と第4の内部電極または第4の外部電極とを接続し、さらに、第1の外部電極と第1の内部電極とを接続し、第2の外部電極と第2の内部電極とを接続し、第3の外部電極と第3の内部電極とを接続し、第4の外部電極と第4の内部電極とを接続した、コモンモードノイズフィルタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコモンモードノイズフィルタでは、特許文献1の
図2等に示されているように、第1のコイル及び第2のコイルが渦巻状の導体で構成されているため、積層方向から見たときの、導体同士が重なる面積が大きい、ひいては、コイル同士が重なる面積が大きい。そのため、特許文献1に記載のコモンモードノイズフィルタでは、浮遊容量が大きく、結果的に、高周波特性が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、高周波特性に優れた積層型コイル部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、上記素体の内部に設けられた第1コイルと、上記素体の内部に設けられ、かつ、上記第1コイルと絶縁された第2コイルと、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記第1コイルに電気的に接続された第1外部電極と、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記第1コイルに電気的に接続された第2外部電極と、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記第2コイルに電気的に接続された第3外部電極と、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記第2コイルに電気的に接続された第4外部電極と、を備え、上記積層方向と、上記第1コイルのコイル軸の方向と、上記第2コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って上記素体の実装面に平行であり、上記第1コイルは、上記積層方向に積層された複数の第1コイル導体が電気的に接続されてなり、各々の上記第1コイル導体の長さは、上記第1コイルの1ターン未満の長さであり、上記第2コイルは、上記積層方向に積層された複数の第2コイル導体が電気的に接続されてなり、各々の上記第2コイル導体の長さは、上記第2コイルの1ターン未満の長さである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高周波特性に優れた積層型コイル部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の積層型コイル部品の一例を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す積層型コイル部品を素体の第1端面側から見た状態を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す積層型コイル部品を素体の第1主面側から見た状態を示す平面模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す積層型コイル部品を素体の第1側面側から見た状態を示す平面模式図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す積層型コイル部品の線分A1-A2に沿う断面を示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す積層型コイル部品の線分B1-B2に沿う断面を示す断面模式図である。
【
図7】
図7は、
図5及び
図6に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
【
図8】
図8は、
図5及び
図6に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品の一例を示す断面模式図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品の一例を示す断面模式図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態4の積層型コイル部品の一例について、素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図14】
図14は、実施例1の積層型コイル部品及び比較例1の積層型コイル部品に対する、ディファレンシャルモードの信号成分の透過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図15】
図15は、実施例1の積層型コイル部品及び比較例1の積層型コイル部品に対する、コモンモードのノイズ成分の透過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の積層型コイル部品について説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0010】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
【0011】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の積層型コイル部品」と言う。
【0012】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
【0013】
[実施形態1]
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなる素体と、素体の内部に設けられた第1コイルと、素体の内部に設けられ、かつ、第1コイルと絶縁された第2コイルと、素体の表面上に設けられ、かつ、第1コイルに電気的に接続された第1外部電極と、素体の表面上に設けられ、かつ、第1コイルに電気的に接続された第2外部電極と、素体の表面上に設けられ、かつ、第2コイルに電気的に接続された第3外部電極と、素体の表面上に設けられ、かつ、第2コイルに電気的に接続された第4外部電極と、を備える。
【0014】
図1は、本発明の実施形態1の積層型コイル部品の一例を示す斜視模式図である。
図2は、
図1に示す積層型コイル部品を素体の第1端面側から見た状態を示す平面模式図である。
図3は、
図1に示す積層型コイル部品を素体の第1主面側から見た状態を示す平面模式図である。
図4は、
図1に示す積層型コイル部品を素体の第1側面側から見た状態を示す平面模式図である。
【0015】
図1、
図2、
図3、及び、
図4に示す積層型コイル部品1は、素体10Aと、第1外部電極21と、第2外部電極22と、第3外部電極23と、第4外部電極24と、を有している。
図1、
図2、
図3、及び、
図4に示していないが、後述するように、積層型コイル部品1は、素体10Aの内部に設けられた第1コイル及び第2コイルも有している。
【0016】
積層型コイル部品1は、回路用ノイズフィルタの一種であるコモンモードチョークコイルとも呼ばれる。
【0017】
本明細書中、長さ方向、高さ方向、及び、幅方向を、
図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは、互いに直交している。
【0018】
素体10Aは、長さ方向Lに相対する第1端面11a及び第2端面11bと、高さ方向Tに相対する第1主面12a及び第2主面12bと、幅方向Wに相対する第1側面13a及び第2側面13bと、を有しており、例えば、直方体状又は略直方体状である。
【0019】
素体10Aの第1端面11a及び第2端面11bは、長さ方向Lに厳密に直交している必要はない。また、素体10Aの第1主面12a及び第2主面12bは、高さ方向Tに厳密に直交している必要はない。更に、素体10Aの第1側面13a及び第2側面13bは、幅方向Wに厳密に直交している必要はない。
【0020】
積層型コイル部品1を基板に実装する場合、素体10Aの第1主面12aが実装面となる。
【0021】
素体10Aは、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。素体10Aの角部は、素体10Aの3面が交わる部分である。素体10Aの稜線部は、素体10Aの2面が交わる部分である。
【0022】
第1外部電極21は、素体10Aの表面上に設けられている。
図1及び
図3に示す例では、第1外部電極21が、素体10Aの第1主面12a上に設けられている。より具体的には、第1外部電極21は、素体10Aの第1主面12aの一部上であって、第1端面11aと交わる稜線部と、第2側面13bと交わる稜線部と、第1端面11a及び第2側面13bと交わる角部とを含む領域上に設けられている。
【0023】
第1外部電極21は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第1端面11a及び第2側面13bの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0024】
第2外部電極22は、素体10Aの表面上に設けられている。
図1及び
図3に示す例では、第2外部電極22が、素体10Aの第1主面12a上に設けられている。より具体的には、第2外部電極22は、素体10Aの第1主面12aの一部上であって、第2端面11bと交わる稜線部と、第2側面13bと交わる稜線部と、第2端面11b及び第2側面13bと交わる角部とを含む領域上に設けられている。
【0025】
第2外部電極22は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第2端面11b及び第2側面13bの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0026】
第3外部電極23は、素体10Aの表面上に設けられている。
図1及び
図3に示す例では、第3外部電極23が、素体10Aの第1主面12a上に設けられている。より具体的には、第3外部電極23は、素体10Aの第1主面12aの一部上であって、第1端面11aと交わる稜線部と、第1側面13aと交わる稜線部と、第1端面11a及び第1側面13aと交わる角部とを含む領域上に設けられている。
【0027】
第3外部電極23は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第1端面11a及び第1側面13aの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0028】
第4外部電極24は、素体10Aの表面上に設けられている。
図1及び
図3に示す例では、第4外部電極24が、素体10Aの第1主面12a上に設けられている。より具体的には、第4外部電極24は、素体10Aの第1主面12aの一部上であって、第2端面11bと交わる稜線部と、第1側面13aと交わる稜線部と、第2端面11b及び第1側面13aと交わる角部とを含む領域上に設けられている。
【0029】
第4外部電極24は、素体10Aの第1主面12aの一部から、第2端面11b及び第1側面13aの各面の一部にわたって延びていてもよい。
【0030】
以上のように、
図1及び
図3に示す例では、第1外部電極21、第2外部電極22、第3外部電極23、及び、第4外部電極24が、素体10Aの第1主面12a上で互いに離隔して設けられている。より具体的には、第1外部電極21及び第2外部電極22は、長さ方向Lにおいて離隔して設けられている。第3外部電極23及び第4外部電極24は、長さ方向Lにおいて離隔して設けられている。第1外部電極21及び第3外部電極23は、幅方向Wにおいて離隔して設けられている。第2外部電極22及び第4外部電極24は、幅方向Wにおいて離隔して設けられている。
【0031】
以上のように、第1外部電極21、第2外部電極22、第3外部電極23、及び、第4外部電極24が、実装面である素体10Aの第1主面12a上に設けられていることにより、積層型コイル部品1の実装性が向上する。
【0032】
第1外部電極21、第2外部電極22、第3外部電極23、及び、第4外部電極24は、各々、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
【0033】
第1外部電極21、第2外部電極22、第3外部電極23、及び、第4外部電極24が、各々、単層構造である場合、各々の外部電極の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0034】
第1外部電極21、第2外部電極22、第3外部電極23、及び、第4外部電極24が、各々、複層構造である場合、各々の外部電極は、素体10Aの表面側から順に、例えば、Agを含む下地電極層と、Niめっき層と、Snめっき層と、を有していてもよい。
【0035】
図5は、
図1に示す積層型コイル部品の線分A1-A2に沿う断面を示す断面模式図である。
図6は、
図1に示す積層型コイル部品の線分B1-B2に沿う断面を示す断面模式図である。
【0036】
図5及び
図6に示すように、素体10Aは、複数の絶縁層15が積層方向に積層されてなる。
図5及び
図6に示す例では、絶縁層15の積層方向が、長さ方向Lに平行である。つまり、絶縁層15の積層方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0037】
なお、
図5及び
図6では、説明の便宜上、絶縁層15間の境界が示されているが、実際にはこれらの境界が明瞭に現れていない。
【0038】
図5及び
図6に示すように、素体10Aの内部には、第1コイル31及び第2コイル32が設けられている。
【0039】
第1コイル31は、複数の第1コイル導体41を含んでいる。
【0040】
第2コイル32は、複数の第2コイル導体42を含んでいる。
【0041】
第1コイル31と第2コイル32とは、互いに絶縁されている。
【0042】
第1コイル31、より具体的には、第1コイル31の一端は、
図5に示す第1引き出し導体51を介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。
図5に示す例では、第1引き出し導体51が素体10Aの第1主面12aに露出しており、第1外部電極21が第1引き出し導体51の露出部分に接続されている。
【0043】
第1コイル31、より具体的には、第1コイル31の他端は、
図5に示す第2引き出し導体52を介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。
図5に示す例では、第2引き出し導体52が素体10Aの第1主面12aに露出しており、第2外部電極22が第2引き出し導体52の露出部分に接続されている。
【0044】
第2コイル32、より具体的には、第2コイル32の一端は、
図6に示す第3引き出し導体53を介して、第3外部電極23に電気的に接続されている。
図6に示す例では、第3引き出し導体53が素体10Aの第1主面12aに露出しており、第3外部電極23が第3引き出し導体53の露出部分に接続されている。
【0045】
第2コイル32、より具体的には、第2コイル32の他端は、
図6に示す第4引き出し導体54を介して、第4外部電極24に電気的に接続されている。
図6に示す例では、第4引き出し導体54が素体10Aの第1主面12aに露出しており、第4外部電極24が第4引き出し導体54の露出部分に接続されている。
【0046】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向と、第1コイルのコイル軸の方向と、第2コイルのコイル軸の方向とは、同じ方向に沿って素体の実装面に平行である。
【0047】
図5及び
図6に示すように、第1コイル31は、コイル軸C1を有している。
図5及び
図6に示す例では、第1コイル31のコイル軸C1は、長さ方向Lに沿って、素体10Aの第1端面11aと第2端面11bとの間を貫通している。つまり、第1コイル31のコイル軸C1の方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0048】
図5及び
図6に示すように、第2コイル32は、コイル軸C2を有している。
図5及び
図6に示す例では、第2コイル32のコイル軸C2は、長さ方向Lに沿って、素体10Aの第1端面11aと第2端面11bとの間を貫通している。つまり、第2コイル32のコイル軸C2の方向は、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0049】
なお、第1コイル31のコイル軸C1、及び、第2コイル32のコイル軸C2は、各々、長さ方向Lから見たときの、第1コイル31の内周側、及び、第2コイル32の内周側を通るが、説明の便宜上、
図5及び
図6に示されている。
【0050】
以上より、絶縁層15の積層方向と、第1コイル31のコイル軸C1の方向と、第2コイル32のコイル軸C2の方向とは、同じ長さ方向Lに沿って、実装面である素体10Aの第1主面12aに平行である。
【0051】
本発明の積層型コイル部品において、第1コイルは、積層方向に積層された複数の第1コイル導体が電気的に接続されてなり、各々の第1コイル導体の長さは、第1コイルの1ターン未満の長さであり、第2コイルは、積層方向に積層された複数の第2コイル導体が電気的に接続されてなり、各々の第2コイル導体の長さは、第2コイルの1ターン未満の長さである。
【0052】
図7は、
図5及び
図6に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
図8は、
図5及び
図6に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0053】
図7及び
図8に示す素体10Aは、
図5及び
図6に示す絶縁層15としての、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、絶縁層15h、絶縁層15i、絶縁層15j、絶縁層15k、及び、絶縁層15mが、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層されてなる。より具体的には、素体10Aでは、第1端面11a側から第2端面11b側に向かって、絶縁層15m、絶縁層15k、絶縁層15i、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、絶縁層15h、・・・絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、絶縁層15h、絶縁層15j、及び、絶縁層15mが順に積層されている。
【0054】
絶縁層15aの主面上には、第1コイル導体41aが設けられている。第1コイル導体41aは、ランド部61aa及びランド部61abを別々の端部に有している。
【0055】
絶縁層15aには、長さ方向Lから見たときにランド部61abに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71aが設けられている。
【0056】
絶縁層15aの主面上には、第1コイル導体41aと離隔した位置にランド部64aが設けられている。
【0057】
絶縁層15aには、長さ方向Lから見たときにランド部64aに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72aが設けられている。
【0058】
絶縁層15bの主面上には、第2コイル導体42aが設けられている。第2コイル導体42aは、ランド部62aa及びランド部62abを別々の端部に有している。
【0059】
絶縁層15bには、長さ方向Lから見たときにランド部62abに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72bが設けられている。
【0060】
絶縁層15bの主面上には、第2コイル導体42aと離隔した位置にランド部63aが設けられている。
【0061】
絶縁層15bには、長さ方向Lから見たときにランド部63aに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71bが設けられている。
【0062】
絶縁層15cの主面上には、第1コイル導体41bが設けられている。第1コイル導体41bは、ランド部61ba及びランド部61bbを別々の端部に有している。
【0063】
絶縁層15cには、長さ方向Lから見たときにランド部61bbに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71cが設けられている。
【0064】
絶縁層15cの主面上には、第1コイル導体41bと離隔した位置にランド部64bが設けられている。
【0065】
絶縁層15cには、長さ方向Lから見たときにランド部64bに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72cが設けられている。
【0066】
絶縁層15dの主面上には、第2コイル導体42bが設けられている。第2コイル導体42bは、ランド部62ba及びランド部62bbを別々の端部に有している。
【0067】
絶縁層15dには、長さ方向Lから見たときにランド部62bbに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72dが設けられている。
【0068】
絶縁層15dの主面上には、第2コイル導体42bと離隔した位置にランド部63bが設けられている。
【0069】
絶縁層15dには、長さ方向Lから見たときにランド部63bに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71dが設けられている。
【0070】
絶縁層15eの主面上には、第1コイル導体41cが設けられている。第1コイル導体41cは、ランド部61ca及びランド部61cbを別々の端部に有している。
【0071】
絶縁層15eには、長さ方向Lから見たときにランド部61cbに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71eが設けられている。
【0072】
絶縁層15eの主面上には、第1コイル導体41cと離隔した位置にランド部64cが設けられている。
【0073】
絶縁層15eには、長さ方向Lから見たときにランド部64cに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72eが設けられている。
【0074】
絶縁層15fの主面上には、第2コイル導体42cが設けられている。第2コイル導体42cは、ランド部62ca及びランド部62cbを別々の端部に有している。
【0075】
絶縁層15fには、長さ方向Lから見たときにランド部62cbに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72fが設けられている。
【0076】
絶縁層15fの主面上には、第2コイル導体42cと離隔した位置にランド部63cが設けられている。
【0077】
絶縁層15fには、長さ方向Lから見たときにランド部63cに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71fが設けられている。
【0078】
絶縁層15gの主面上には、第1コイル導体41dが設けられている。第1コイル導体41dは、ランド部61da及びランド部61dbを別々の端部に有している。
【0079】
絶縁層15gには、長さ方向Lから見たときにランド部61dbに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71gが設けられている。
【0080】
絶縁層15gの主面上には、第1コイル導体41dと離隔した位置にランド部64dが設けられている。
【0081】
絶縁層15gには、長さ方向Lから見たときにランド部64dに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72gが設けられている。
【0082】
絶縁層15hの主面上には、第2コイル導体42dが設けられている。第2コイル導体42dは、ランド部62da及びランド部62dbを別々の端部に有している。
【0083】
絶縁層15hには、長さ方向Lから見たときにランド部62dbに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72hが設けられている。
【0084】
絶縁層15hの主面上には、第2コイル導体42dと離隔した位置にランド部63dが設けられている。
【0085】
絶縁層15hには、長さ方向Lから見たときにランド部63dに重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71hが設けられている。
【0086】
積層型コイル部品1では、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、及び、絶縁層15hが、積層方向、ここでは、長さ方向Lに順に繰り返して積層されることにより、第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、及び、第1コイル導体41dが、これらの絶縁層とともに長さ方向Lに積層されつつ電気的に接続され、結果的に、第1コイル31が構成される。より具体的には、以下の通りである。
【0087】
まず、第1コイル導体41aのランド部61abは、第1コイル用ビア導体71a、ランド部63a、及び、第1コイル用ビア導体71bを順に介して、第1コイル導体41bのランド部61baに電気的に接続される。次に、第1コイル導体41bのランド部61bbは、第1コイル用ビア導体71c、ランド部63b、及び、第1コイル用ビア導体71dを順に介して、第1コイル導体41cのランド部61caに電気的に接続される。次に、第1コイル導体41cのランド部61cbは、第1コイル用ビア導体71e、ランド部63c、及び、第1コイル用ビア導体71fを順に介して、第1コイル導体41dのランド部61daに電気的に接続される。そして、第1コイル導体41dのランド部61dbは、第1コイル用ビア導体71g、ランド部63d、及び、第1コイル用ビア導体71hを順に介して、第1コイル導体41aのランド部61aaに電気的に接続される。
【0088】
以上のように、第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、及び、第1コイル導体41dが順に繰り返して電気的に接続されることにより、第1コイル31が構成される。つまり、第1コイル31は、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層された、
図5及び
図6に示す複数の第1コイル導体41としての、第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、及び、第1コイル導体41dが電気的に接続されてなる。
【0089】
積層型コイル部品1では、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、及び、絶縁層15hが積層方向、ここでは、長さ方向Lに順に繰り返して積層されることにより、第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dが、これらの絶縁層とともに長さ方向Lに積層されつつ電気的に接続され、結果的に、第2コイル32が構成される。より具体的には、以下の通りである。
【0090】
まず、第2コイル導体42aのランド部62abは、第2コイル用ビア導体72b、ランド部64b、及び、第2コイル用ビア導体72cを順に介して、第2コイル導体42bのランド部62baに電気的に接続される。次に、第2コイル導体42bのランド部62bbは、第2コイル用ビア導体72d、ランド部64c、及び、第2コイル用ビア導体72eを順に介して、第2コイル導体42cのランド部62caに電気的に接続される。次に、第2コイル導体42cのランド部62cbは、第2コイル用ビア導体72f、ランド部64d、及び、第2コイル用ビア導体72gを順に介して、第2コイル導体42dのランド部62daに電気的に接続される。そして、第2コイル導体42dのランド部62dbは、第2コイル用ビア導体72h、ランド部64a、及び、第2コイル用ビア導体72aを順に介して、第2コイル導体42aのランド部62aaに電気的に接続される。
【0091】
以上のように、第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dが順に繰り返して電気的に接続されることにより、第2コイル32が構成される。つまり、第2コイル32は、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層された、
図5及び
図6に示す複数の第2コイル導体42としての、第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dが電気的に接続されてなる。このように構成された第2コイル32は、第1コイル31と絶縁されることになる。
【0092】
積層型コイル部品1において、第1コイル導体及び第2コイル導体は、積層方向、ここでは、長さ方向Lに交互に積層されていてもよいし、交互に積層されていなくてもよい。
図7及び
図8に示す例では、第1コイル導体及び第2コイル導体が、長さ方向Lに交互に積層されている。
【0093】
図7及び
図8に示すように、素体10Aでは、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、及び、絶縁層15hの積層部分に対して、第1端面11a側に絶縁層15iが積層され、かつ、第2端面11b側に絶縁層15jが積層されている。
【0094】
絶縁層15iの主面上には、第1引き出し導体51が設けられている。第1引き出し導体51は、一端においてランド部65を有し、かつ、他端において絶縁層15iの外縁に露出している。
【0095】
絶縁層15iには、長さ方向Lから見たときにランド部65に重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71iが設けられている。
【0096】
絶縁層15iの主面上には、第1引き出し導体51と離隔した位置に第3引き出し導体53が設けられている。第3引き出し導体53は、一端においてランド部67を有し、かつ、他端において絶縁層15iの外縁に露出している。
【0097】
絶縁層15iには、長さ方向Lから見たときにランド部67に重なる位置に、長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72iが設けられている。
【0098】
絶縁層15jの主面上には、第2引き出し導体52が設けられている。第2引き出し導体52は、一端においてランド部66を有し、かつ、他端において絶縁層15jの外縁に露出している。
【0099】
絶縁層15jの主面上には、第2引き出し導体52と離隔した位置に第4引き出し導体54が設けられている。第4引き出し導体54は、一端においてランド部68を有し、かつ、他端において絶縁層15jの外縁に露出している。
【0100】
積層型コイル部品1では、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、及び、絶縁層15hの積層部分に対して、素体10Aの第1端面11a側に絶縁層15iが積層され、かつ、第2端面11b側に絶縁層15jが積層されることにより、第1コイル31の一端が第1引き出し導体51に電気的に接続され、かつ、第1コイル31の他端が第2引き出し導体52に電気的に接続される。より具体的には、以下の通りである。
【0101】
第1コイル31の一端に位置する第1コイル導体41aのランド部61aaは、第1コイル用ビア導体71iを介して、第1引き出し導体51のランド部65に電気的に接続される。また、第1コイル31の他端に位置する第1コイル導体41dのランド部61dbは、第1コイル用ビア導体71g、ランド部63d、及び、第1コイル用ビア導体71hを順に介して、第2引き出し導体52のランド部66に電気的に接続される。
【0102】
以上により、第1コイル31の一端に位置する第1コイル導体41aのランド部61aaは、第1引き出し導体51を介して、
図5に示す第1外部電極21に電気的に接続される。また、第1コイル31の他端に位置する第1コイル導体41dのランド部61dbは、第2引き出し導体52を介して、
図5に示す第2外部電極22に電気的に接続される。
【0103】
積層型コイル部品1では、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、及び、絶縁層15hの積層部分に対して、素体10Aの第1端面11a側に絶縁層15iが積層され、かつ、第2端面11b側に絶縁層15jが積層されることにより、第2コイル32の一端が第3引き出し導体53に電気的に接続され、かつ、第2コイル32の他端が第4引き出し導体54に電気的に接続される。より具体的には、以下の通りである。
【0104】
第2コイル32の一端に位置する第2コイル導体42aのランド部62aaは、第2コイル用ビア導体72a、ランド部64a、及び、第2コイル用ビア導体72iを順に介して、第3引き出し導体53のランド部67に電気的に接続される。また、第2コイル32の他端に位置する第2コイル導体42dのランド部62dbは、第2コイル用ビア導体72hを介して、第4引き出し導体54のランド部68に電気的に接続される。
【0105】
以上により、第2コイル32の一端に位置する第2コイル導体42aのランド部62aaは、第3引き出し導体53を介して、
図6に示す第3外部電極23に電気的に接続される。また、第2コイル32の他端に位置する第2コイル導体42dのランド部62dbは、第4引き出し導体54を介して、
図6に示す第4外部電極24に電気的に接続される。
【0106】
積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体及び第2コイル導体は、各々、
図7及び
図8に示すような複数の直線部で構成される形状であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよいし、円形状であってもよい。つまり、長さ方向Lから見たとき、第1コイル31及び第2コイル32は、各々、
図7及び
図8に示すような複数の直線部で構成される形状であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0107】
積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、各々のランド部は、
図7及び
図8に示すような円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0108】
各々のコイル導体、及び、各々の引き出し導体は、独立して、ランド部を端部に有していなくてもよい。
【0109】
各々のコイル導体、各々の引き出し導体、及び、各々のビア導体の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0110】
素体10Aは、コイル導体、引き出し導体、ビア導体等の導体が設けられていない少なくとも1つの絶縁層を、第1端面11a側及び第2端面11b側の少なくとも一方側に有していてもよい。より具体的には、素体10Aでは、コイル導体、引き出し導体、ビア導体等の導体が設けられていない少なくとも1つの絶縁層が、絶縁層15iの第1端面11a側と絶縁層15jの第2端面11b側との少なくとも一方側に積層されていてもよい。
図7及び
図8に示す例では、コイル導体、引き出し導体、ビア導体等の導体が設けられていない絶縁層15k及び絶縁層15mが絶縁層15iの第1端面11a側に積層されており、コイル導体、引き出し導体、ビア導体等の導体が設けられていない絶縁層15mが絶縁層15jの第2端面11b側に積層されている。
【0111】
絶縁層15k及び絶縁層15mの各々の積層数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0112】
第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、及び、第1コイル導体41dの長さは、各々、第1コイル31の1ターン未満の長さである。
【0113】
第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、及び、第1コイル導体41dの長さは、第1コイル31の1ターン未満の長さであれば、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0114】
第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dの長さは、各々、第2コイル32の1ターン未満の長さである。
【0115】
第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dの長さは、第2コイル32の1ターン未満の長さであれば、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0116】
第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、第1コイル導体41d、第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dの長さは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0117】
コイル導体の長さとは、積層方向から見たときに、積層方向に直交する平面上での、コイル導体が延びる方向の長さを意味する。
【0118】
以上のように、積層型コイル部品1では、各々の第1コイル導体の長さが第1コイル31の1ターン未満の長さであり、かつ、各々の第2コイル導体の長さが第2コイル32の1ターン未満の長さであることにより、特許文献1に記載のコモンモードノイズフィルタのようにコイル導体が渦巻状である場合と比較して、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たときの、長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体同士が重なる面積、及び、長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体同士が重なる面積が削減され、ひいては、第1コイル31と第2コイル32とが重なる面積が削減される。これにより、積層型コイル部品1では、特許文献1に記載のコモンモードノイズフィルタのような従来の構造と比較して、浮遊容量が小さくなるため、ディファレンシャルモードの信号成分が減衰せずに透過しつつ、コモンモードのノイズ成分が、広い周波数領域、特に、高周波領域で減衰しやすくなる。つまり、積層型コイル部品1によれば、高周波特性に優れた積層型コイル部品が実現される。
【0119】
積層型コイル部品1において、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たときの、長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体同士が重なる面積、長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体同士が重なる面積、及び、第1コイル31と第2コイル32とが重なる面積を削減する観点で好ましい構成について、以下に説明する。以下に示す積層型コイル部品1の好ましい構成によれば、浮遊容量が小さくなりやすく、結果的に、高周波特性が向上しやすくなる。
【0120】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、積層方向に隣り合う少なくとも1組の第1コイル導体の形状は、回転対称の関係にあることが好ましい。
【0121】
積層型コイル部品1において、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、長さ方向Lに隣り合う少なくとも1組の第1コイル導体の形状は、回転対称の関係にあることが好ましい。
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lに隣り合うすべての組の第1コイル導体の形状が、絶縁層の中心に対して回転対称の関係にある。より具体的には、第1コイル導体41a及び第1コイル導体41bの組、第1コイル導体41b及び第1コイル導体41cの組、第1コイル導体41c及び第1コイル導体41dの組、並びに、第1コイル導体41d及び第1コイル導体41aの組の各々について、第1コイル導体の形状は、絶縁層の中心に対して回転対称の関係にある。
【0122】
なお、第1コイル導体41a及び第1コイル導体41bの組、第1コイル導体41b及び第1コイル導体41cの組、第1コイル導体41c及び第1コイル導体41dの組、並びに、第1コイル導体41d及び第1コイル導体41aの組のうち、一部の組について、第1コイル導体の形状が絶縁層の中心に対して回転対称の関係にあってもよい。
【0123】
本明細書中、積層方向から見たときに2つのコイル導体の形状が回転対称の関係にあるとは、積層方向から見たときに、一方のコイル導体を所定の回転角で回転させ、幾何学的中心を合わせた状態において、一方のコイル導体と他方のコイル導体とが、面積がより小さい方のコイル導体の面積を基準として、面積換算で90%以上重なる関係にあることを意味する。
【0124】
積層方向から見たときに、積層方向に隣り合う2つのコイル導体の形状が回転対称の関係にあるかについては、例えば、以下のようにして確認される。まず、積層型コイル部品を研磨しながら、積層型コイル部品の積層方向に直交する断面を積層方向に沿って逐次観察しつつ、積層方向に隣り合う2つのコイル導体の画像を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影する。そして、撮影された2つのコイル導体の画像において、画像解析ソフトを用いて一方のコイル導体を回転させた状態で、一方のコイル導体と他方のコイル導体とが面積換算でどの程度重なるのかを確認する。
【0125】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、積層方向に隣り合う少なくとも1組の第1コイル導体の形状は、90度回転対称の関係にあってもよい。
【0126】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lに隣り合うすべての組の第1コイル導体の形状が、絶縁層の中心に対して90度回転対称の関係にある。より具体的には、第1コイル導体41a及び第1コイル導体41bの組、第1コイル導体41b及び第1コイル導体41cの組、第1コイル導体41c及び第1コイル導体41dの組、並びに、第1コイル導体41d及び第1コイル導体41aの組の各々について、第1コイル導体の形状は、絶縁層の中心に対して、90度回転対称の関係、言い換えれば、回転角を90°とする4回対称の関係にある。
【0127】
なお、第1コイル導体41a及び第1コイル導体41bの組、第1コイル導体41b及び第1コイル導体41cの組、第1コイル導体41c及び第1コイル導体41dの組、並びに、第1コイル導体41d及び第1コイル導体41aの組のうち、一部の組について、第1コイル導体の形状が絶縁層の中心に対して90度回転対称の関係にあってもよい。
【0128】
なお、積層方向から見たとき、積層方向に隣り合う少なくとも1組の第1コイル導体の形状は、90度以外の回転角での回転対称の関係にあってもよい。
【0129】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、積層方向に隣り合う少なくとも1組の第2コイル導体の形状は、回転対称の関係にあることが好ましい。
【0130】
積層型コイル部品1において、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、長さ方向Lに隣り合う少なくとも1組の第2コイル導体の形状は、回転対称の関係にあることが好ましい。
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lに隣り合うすべての組の第2コイル導体の形状が、絶縁層の中心に対して回転対称の関係にある。より具体的には、第2コイル導体42a及び第2コイル導体42bの組、第2コイル導体42b及び第2コイル導体42cの組、第2コイル導体42c及び第2コイル導体42dの組、並びに、第2コイル導体42d及び第2コイル導体42aの組の各々について、第2コイル導体の形状は、絶縁層の中心に対して回転対称の関係にある。
【0131】
なお、第2コイル導体42a及び第2コイル導体42bの組、第2コイル導体42b及び第2コイル導体42cの組、第2コイル導体42c及び第2コイル導体42dの組、並びに、第2コイル導体42d及び第2コイル導体42aの組のうち、一部の組について、第2コイル導体の形状が絶縁層の中心に対して回転対称の関係にあってもよい。
【0132】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、積層方向に隣り合う少なくとも1組の第2コイル導体の形状は、90度回転対称の関係にあってもよい。
【0133】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lに隣り合うすべての組の第2コイル導体の形状が、絶縁層の中心に対して90度回転対称の関係にある。より具体的には、第2コイル導体42a及び第2コイル導体42bの組、第2コイル導体42b及び第2コイル導体42cの組、第2コイル導体42c及び第2コイル導体42dの組、並びに、第2コイル導体42d及び第2コイル導体42aの組の各々について、第2コイル導体の形状は、絶縁層の中心に対して、90度回転対称の関係、言い換えれば、回転角を90°とする4回対称の関係にある。
【0134】
なお、第2コイル導体42a及び第2コイル導体42bの組、第2コイル導体42b及び第2コイル導体42cの組、第2コイル導体42c及び第2コイル導体42dの組、並びに、第2コイル導体42d及び第2コイル導体42aの組のうち、一部の組について、第2コイル導体の形状が絶縁層の中心に対して90度回転対称の関係にあってもよい。
【0135】
なお、積層方向から見たとき、積層方向に隣り合う少なくとも1組の第2コイル導体の形状は、90度以外の回転角での回転対称の関係にあってもよい。
【0136】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、第1コイル導体は、第1コイル導体と積層方向に隣り合う第2コイル導体の一端に重なっていないことが好ましい。
【0137】
積層型コイル部品1において、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体は、第1コイル導体と積層方向に隣り合う第2コイル導体の一端に重なっていないことが好ましい。
【0138】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体41aが、第1コイル導体41aと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42aの端部に位置するランド部62aaに重なっておらず、かつ、第1コイル導体41aと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42dの端部に位置するランド部62dbに重なっていない。
【0139】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体41bが、第1コイル導体41bと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42aの端部に位置するランド部62abに重なっておらず、かつ、第1コイル導体41bと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42bの端部に位置するランド部62baに重なっていない。
【0140】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体41cが、第1コイル導体41cと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42bの端部に位置するランド部62bbに重なっておらず、かつ、第1コイル導体41cと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42cの端部に位置するランド部62caに重なっていない。
【0141】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体41dが、第1コイル導体41dと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42cの端部に位置するランド部62cbに重なっておらず、かつ、第1コイル導体41dと長さ方向Lに隣り合う第2コイル導体42dの端部に位置するランド部62daに重なっていない。
【0142】
本発明の積層型コイル部品では、積層方向において、1つの第1コイル導体に隣り合い、かつ、1つの第1コイル導体を挟むように設けられた2つの第2コイル導体は、絶縁層を積層方向に貫通するように設けられた第2コイル用ビア導体を介して電気的に接続されていることが好ましく、積層方向から見たとき、第2コイル用ビア導体は、1つの第1コイル導体の外周側で、2つの第2コイル導体の各一端に重なっていることが好ましい。
【0143】
積層型コイル部品1では、積層方向、ここでは、長さ方向Lにおいて、1つの第1コイル導体に隣り合い、かつ、1つの第1コイル導体を挟むように設けられた2つの第2コイル導体は、絶縁層を積層方向、ここでは、長さ方向Lに貫通するように設けられた第2コイル用ビア導体を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0144】
積層型コイル部品1では、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、第2コイル用ビア導体は、1つの第1コイル導体の外周側で、2つの第2コイル導体の各一端に重なっていることが好ましい。
【0145】
本明細書中、コイル導体の外周側とは、コイル導体の外側であって、コイル導体の外周に対して内周とは反対側を意味する。
【0146】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第1コイル導体41aに隣り合い、かつ、第1コイル導体41aを挟むように設けられた第2コイル導体42d及び第2コイル導体42aは、絶縁層15hを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72hと、絶縁層15aを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72aとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第2コイル用ビア導体72h及び第2コイル用ビア導体72aは、第1コイル導体41aの外周側で、第2コイル導体42dの端部に位置するランド部62dbと第2コイル導体42aの端部に位置するランド部62aaとの両方に重なっている。
【0147】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第1コイル導体41bに隣り合い、かつ、第1コイル導体41bを挟むように設けられた第2コイル導体42a及び第2コイル導体42bは、絶縁層15bを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72bと、絶縁層15cを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72cとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第2コイル用ビア導体72b及び第2コイル用ビア導体72cは、第1コイル導体41bの外周側で、第2コイル導体42aの端部に位置するランド部62abと第2コイル導体42bの端部に位置するランド部62baとの両方に重なっている。
【0148】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第1コイル導体41cに隣り合い、かつ、第1コイル導体41cを挟むように設けられた第2コイル導体42b及び第2コイル導体42cは、絶縁層15dを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72dと、絶縁層15eを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72eとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第2コイル用ビア導体72d及び第2コイル用ビア導体72eは、第1コイル導体41cの外周側で、第2コイル導体42bの端部に位置するランド部62bbと第2コイル導体42cの端部に位置するランド部62caとの両方に重なっている。
【0149】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第1コイル導体41dに隣り合い、かつ、第1コイル導体41dを挟むように設けられた第2コイル導体42c及び第2コイル導体42dは、絶縁層15fを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72fと、絶縁層15gを長さ方向Lに貫通する第2コイル用ビア導体72gとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第2コイル用ビア導体72f及び第2コイル用ビア導体72gは、第1コイル導体41dの外周側で、第2コイル導体42cの端部に位置するランド部62cbと第2コイル導体42dの端部に位置するランド部62daとの両方に重なっている。
【0150】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、第2コイル導体は、第2コイル導体と積層方向に隣り合う第1コイル導体の一端に重なっていないことが好ましい。
【0151】
積層型コイル部品1において、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、第2コイル導体は、第2コイル導体と積層方向に隣り合う第1コイル導体の一端に重なっていないことが好ましい。
【0152】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第2コイル導体42aが、第2コイル導体42aと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41aの端部に位置するランド部61abに重なっておらず、かつ、第2コイル導体42aと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41bの端部に位置するランド部61baに重なっていない。
【0153】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第2コイル導体42bが、第2コイル導体42bと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41bの端部に位置するランド部61bbに重なっておらず、かつ、第2コイル導体42bと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41cの端部に位置するランド部61caに重なっていない。
【0154】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第2コイル導体42cが、第2コイル導体42cと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41cの端部に位置するランド部61cbに重なっておらず、かつ、第2コイル導体42cと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41dの端部に位置するランド部61daに重なっていない。
【0155】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lから見たとき、第2コイル導体42dが、第2コイル導体42dと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41dの端部に位置するランド部61dbに重なっておらず、かつ、第2コイル導体42dと長さ方向Lに隣り合う第1コイル導体41aの端部に位置するランド部61aaに重なっていない。
【0156】
本発明の積層型コイル部品では、積層方向において、1つの第2コイル導体に隣り合い、かつ、1つの第2コイル導体を挟むように設けられた2つの第1コイル導体は、絶縁層を積層方向に貫通するように設けられた第1コイル用ビア導体を介して電気的に接続されていることが好ましく、積層方向から見たとき、第1コイル用ビア導体は、1つの第2コイル導体の外周側で、2つの第1コイル導体の各一端に重なっていることが好ましい。
【0157】
積層型コイル部品1では、積層方向、ここでは、長さ方向Lにおいて、1つの第2コイル導体に隣り合い、かつ、1つの第2コイル導体を挟むように設けられた2つの第1コイル導体は、絶縁層を積層方向、ここでは、長さ方向Lに貫通するように設けられた第1コイル用ビア導体を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0158】
積層型コイル部品1では、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、第1コイル用ビア導体は、1つの第2コイル導体の外周側で、2つの第1コイル導体の各一端に重なっていることが好ましい。
【0159】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第2コイル導体42aに隣り合い、かつ、第2コイル導体42aを挟むように設けられた第1コイル導体41a及び第1コイル導体41bは、絶縁層15aを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71aと、絶縁層15bを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71bとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第1コイル用ビア導体71a及び第1コイル用ビア導体71bは、第2コイル導体42aの外周側で、第1コイル導体41aの端部に位置するランド部61abと第1コイル導体41bの端部に位置するランド部61baとの両方に重なっている。
【0160】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第2コイル導体42bに隣り合い、かつ、第2コイル導体42bを挟むように設けられた第1コイル導体41b及び第1コイル導体41cは、絶縁層15cを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71cと、絶縁層15dを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71dとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第1コイル用ビア導体71c及び第1コイル用ビア導体71dは、第2コイル導体42bの外周側で、第1コイル導体41bの端部に位置するランド部61bbと第1コイル導体41cの端部に位置するランド部61caとの両方に重なっている。
【0161】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第2コイル導体42cに隣り合い、かつ、第2コイル導体42cを挟むように設けられた第1コイル導体41c及び第1コイル導体41dは、絶縁層15eを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71eと、絶縁層15fを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71fとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第1コイル用ビア導体71e及び第1コイル用ビア導体71fは、第2コイル導体42cの外周側で、第1コイル導体41cの端部に位置するランド部61cbと第1コイル導体41dの端部に位置するランド部61daとの両方に重なっている。
【0162】
図7及び
図8に示す例では、長さ方向Lにおいて、第2コイル導体42dに隣り合い、かつ、第2コイル導体42dを挟むように設けられた第1コイル導体41d及び第1コイル導体41aは、絶縁層15gを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71gと、絶縁層15hを長さ方向Lに貫通する第1コイル用ビア導体71hとを介して、電気的に接続されている。更に、長さ方向Lから見たとき、第1コイル用ビア導体71g及び第1コイル用ビア導体71hは、第2コイル導体42dの外周側で、第1コイル導体41dの端部に位置するランド部61dbと第1コイル導体41aの端部に位置するランド部61aaとの両方に重なっている。
【0163】
本発明の積層型コイル部品において、積層方向から見たとき、第1コイル導体及び第2コイル導体の形状は、非回転対称の関係にあることが好ましい。
【0164】
積層型コイル部品1において、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、第1コイル導体及び第2コイル導体の形状は、非回転対称の関係にあることが好ましい。
図7及び
図8に示す例では、第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、及び、第1コイル導体41dとして示される第1コイル導体と、第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dとして示される第2コイル導体との形状が、絶縁層の中心に対して非回転対称の関係にある。
【0165】
本明細書中、積層方向から見たときに2つのコイル導体の形状が非回転対称の関係にあるとは、上述した回転対称の関係にある態様以外に該当する。
【0166】
本発明の積層型コイル部品において、素体は、絶縁層として、非磁性層と、非磁性層を積層方向に挟むように設けられた磁性層と、を有することが好ましく、第1コイル及び第2コイルは、非磁性層の内部に設けられていることが好ましい。
【0167】
図5及び
図6に示すように、素体10Aは、絶縁層15として、非磁性層15Aと、磁性層15Bと、を有していることが好ましい。
【0168】
図5及び
図6に示すように、磁性層15Bは、非磁性層15Aを積層方向、ここでは、長さ方向Lに挟むように設けられていることが好ましい。
【0169】
図5及び
図6に示すように、第1コイル31及び第2コイル32は、非磁性層15Aの内部に設けられていることが好ましい。この場合、積層型コイル部品1の高周波特性が向上しやすくなる。
【0170】
図7及び
図8に示す例では、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、絶縁層15e、絶縁層15f、絶縁層15g、絶縁層15h、絶縁層15i、絶縁層15j、及び、絶縁層15kが、非磁性層15Aを構成している。
【0171】
図7及び
図8に示す例では、絶縁層15mが、磁性層15Bを構成している。
【0172】
本発明の積層型コイル部品において、非磁性層は、K、B、及び、Siを含むガラス材料と、石英を含むフィラーと、を含む誘電体ガラス材料で構成されていてもよい。
【0173】
積層型コイル部品1において、非磁性層15Aは、K、B、及び、Siを含むガラス材料と、石英(SiO2)を含むフィラーと、を含む誘電体ガラス材料(ガラスセラミック材料とも呼ばれる)で構成されていてもよい。
【0174】
ガラス材料は、全量を100重量%としたとき、KをK2O換算で0.5重量%以上、5重量%以下、BをB2O3換算で10重量%以上、25重量%以下、SiをSiO2換算で70重量%以上、85重量%以下、AlをAl2O3換算で0重量%以上、5重量%以下含むことが好ましい。
【0175】
誘電体ガラス材料は、フィラーとして、石英に加えて、アルミナ(Al2O3)を更に含んでいてもよい。誘電体ガラス材料がフィラーとして石英を含むことにより、積層型コイル部品1の高周波特性が向上しやすくなる。また、誘電体ガラス材料がフィラーとしてアルミナを含むことにより、素体10Aの機械的強度が向上しやすくなる。
【0176】
誘電体ガラス材料がフィラーとして石英及びアルミナを含む場合、誘電体ガラス材料は、全量を100重量%としたとき、ガラス材料を60重量%以上、66重量%以下、フィラーとしての石英を34重量%以上、37重量%以下、フィラーとしてのアルミナを0.5重量%以上、4重量%以下含むことが好ましい。
【0177】
本発明の積層型コイル部品において、非磁性層は、Fe、Cu、及び、Znを含む非磁性フェライト材料で構成されていてもよい。
【0178】
積層型コイル部品1において、非磁性層15Aは、Fe、Cu、及び、Znを含む非磁性フェライト材料で構成されていてもよい。
【0179】
非磁性フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、CuをCuO換算で4mol%以上、12mol%以下、ZnをZnO換算で残部含むことが好ましい。
【0180】
非磁性フェライト材料は、Mn、Bi、Co、Si、Sn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0181】
非磁性フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0182】
非磁性層15Aは、aZnO・SiO2(aは、1.8以上、2.2以下)で表される酸化物で構成されていてもよい。このような酸化物としては、例えば、ウィルマイトと呼ばれるZn2SiO4等が挙げられる。このような酸化物において、Znの一部は、Cuで置換されていてもよい。
【0183】
磁性層15Bは、Fe、Ni、Zn、及び、Cuを含むNi-Cu-Zn系フェライト材料で構成されていることが好ましい。この場合、積層型コイル部品1のインダクタンスが大きくなりやすい。
【0184】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で5mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で4mol%以上、12mol%以下、NiをNiO換算で残部含むことが好ましい。
【0185】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Mn、Bi、Co、Si、Sn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0186】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0187】
非磁性層及び磁性層は、以下のようにして区別される。まず、積層型コイル部品を研磨することにより、
図5及び
図6に示すような長さ方向及び高さ方向に沿う断面を露出させる。次に、素体の露出断面において異なる層が存在すると推定できる領域(例えば、色調の違い等により異なる層が存在すると推定できる領域)に対して、走査型透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(STEM-EDX)で組成(検出される元素の含有比率)を求める。そして、得られた組成から、各領域の構成材料が非磁性材料か磁性材料かを判断し、非磁性層及び磁性層を区別する。
【0188】
積層型コイル部品1は、例えば、以下の方法で製造される。
【0189】
<非磁性材料の作製工程>
まず、K2O、B2O3、SiO2、及び、Al2O3を所定の比率になるように秤量し、白金製のるつぼ内等で混合する。
【0190】
次に、得られた混合物を焼成することにより、溶融させる。焼成温度については、例えば、1500℃以上、1600℃以下とする。
【0191】
その後、得られた溶融物を急冷することにより、ガラス材料を作製する。
【0192】
ガラス材料は、全量を100重量%としたとき、KをK2O換算で0.5重量%以上、5重量%以下、BをB2O3換算で10重量%以上、25重量%以下、SiをSiO2換算で70重量%以上、85重量%以下、AlをAl2O3換算で0重量%以上、5重量%以下含むことが好ましい。
【0193】
次に、ガラス材料を粉砕することにより、ガラス粉末を得る。ガラス粉末の平均粒径D50については、例えば、1μm以上、3μm以下とする。また、フィラーとして、石英粉末及びアルミナ粉末を準備する。石英粉末及びアルミナ粉末の平均粒径D50については、例えば、0.5μm以上、2.0μm以下とする。ここで、平均粒径D50は、体積基準の累積百分率50%に相当する粒径である。
【0194】
そして、ガラス粉末に、フィラーとしての石英粉末及びアルミナ粉末を添加することにより、非磁性材料、より具体的には、ガラスセラミック材料(誘電体ガラス材料)を作製する。
【0195】
<非磁性体シートの作製工程>
まず、ガラスセラミック材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合することにより、ガラスセラミックスラリーを作製する。
【0196】
次に、ガラスセラミックスラリーを、ドクターブレード法等で、厚みが20μm以上、30μm以下等の所定の厚みのシート状に成形した後、矩形状等の所定の形状に打ち抜くことにより、非磁性体シート、より具体的には、ガラスセラミックシートを作製する。
【0197】
<磁性材料の作製工程>
まず、Fe2O3、ZnO、CuO、及び、NiOを所定の比率になるように秤量する。
【0198】
次に、これらの秤量物と、純水と、分散剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕する。
【0199】
そして、得られた粉砕物を乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。仮焼成時間については、例えば、2時間以上、3時間以下とする。
【0200】
このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0201】
磁性フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で5mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で4mol%以上、12mol%以下、NiをNiO換算で残部含むことが好ましい。
【0202】
<磁性体シートの作製工程>
まず、粉末状の磁性フェライト材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、磁性フェライトスラリーを作製する。
【0203】
次に、磁性フェライトスラリーを、ドクターブレード法等で、厚みが20μm以上、30μm以下等の所定の厚みのシート状に成形した後、矩形状等の所定の形状に打ち抜くことにより、磁性体シート、より具体的には、磁性フェライトシートを作製する。
【0204】
<導体パターンの形成工程>
Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で各々のガラスセラミックシートに塗工することにより、
図7及び
図8に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図7及び
図8に示す引き出し導体に相当する引き出し導体用導体パターンと、
図7及び
図8に示すビア導体に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。ビア導体用導体パターンを形成する際には、ガラスセラミックシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことでビアホールを予め形成しておき、そのビアホールに導電性ペーストを充填する。
【0205】
<積層体ブロックの作製工程>
まず、導体パターンが形成された各々のガラスセラミックシートを、
図7及び
図8に示す順番で、積層方向、ここでは、長さ方向に積層する。この際、得られた積層体の、積層方向、ここでは、長さ方向における少なくとも一方の端面上に、導体パターンが形成されていないガラスセラミックシートを所定の枚数積層してもよい。
【0206】
次に、得られたガラスセラミックシートの積層体の、積層方向、ここでは、長さ方向における両方の端面上に、磁性フェライトシートを所定の枚数積層する。
【0207】
そして、得られたガラスセラミックシート及び磁性フェライトシートの積層体を、温間等方圧プレス(WIP)処理等で圧着することにより、積層体ブロックを作製する。圧着時の温度については、例えば、70℃以上、90℃以下とする。圧着時の圧力については、例えば、60MPa以上、100MPaとする。
【0208】
<素体及びコイルの作製工程>
まず、積層体ブロックをダイサー等で所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製する。
【0209】
次に、個片化されたチップを焼成する。焼成温度については、例えば、900℃以上、920℃以下とする。焼成時間については、例えば、1時間以上、4時間以下とする。
【0210】
個片化されたチップを焼成することにより、ガラスセラミックシート及び磁性フェライトシートは、各々、絶縁層となる。より具体的には、ガラスセラミックシート及び磁性フェライトシートは、各々、非磁性層及び磁性層となる。更に、コイル導体用導体パターン、引き出し導体用導体パターン、及び、ビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体、引き出し導体、及び、ビア導体となる。
【0211】
このようにして、複数の絶縁層が積層方向、ここでは、長さ方向に積層されてなる素体と、素体の内部に設けられた第1コイルと、素体の内部に設けられ、かつ、第1コイルと絶縁された第2コイルとを作製する。ここで、素体の第1主面には、第1コイルの一端に接続された第1引き出し導体と、第1コイルの他端に接続された第2引き出し導体と、第2コイルの一端に接続された第3引き出し導体と、第2コイルの他端に接続された第4引き出し導体とが露出することになる。
【0212】
素体に対しては、例えば、素体をメディアとともに回転バレル機に入れて、素体にバレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
【0213】
<外部電極の形成工程>
まず、Ag及びガラスフリットを含むペースト等の導電性ペーストを、素体の第1主面における、第1引き出し導体が露出した箇所と、第2引き出し導体が露出した箇所と、第3引き出し導体が露出した箇所と、第4引き出し導体が露出した箇所との合計4箇所に少なくとも塗工する。
【0214】
次に、得られた各塗膜を焼き付けることにより、素体の第1主面上に下地電極層を形成する。焼き付け温度については、例えば、800℃以上、820℃以下とする。
【0215】
そして、電解めっき等により、各下地電極層の表面上に、めっき層、例えば、Niめっき層とSnめっき層とを順に形成する。各々のめっき層の厚みについては、例えば、3μmとする。
【0216】
このようにして、第1コイルの一端に第1引き出し導体を介して電気的に接続された第1外部電極と、第1コイルの他端に第2引き出し導体を介して電気的に接続された第2外部電極と、第2コイルの一端に第3引き出し導体を介して電気的に接続された第3外部電極と、第2コイルの他端に第4引き出し導体を介して電気的に接続された第4外部電極とを形成する。
【0217】
以上により、積層型コイル部品1が製造される。
【0218】
[実施形態2]
本発明の積層型コイル部品において、素体は、絶縁層として、非磁性層の内部に設けられた内部磁性部を有していることが好ましく、内部磁性部は、積層方向から見たときに第1コイル導体及び第2コイル導体の内周側に設けられ、かつ、磁性層に接続されていることが好ましい。この点で本発明の実施形態1の積層型コイル部品と異なる態様の積層型コイル部品を、本発明の実施形態2の積層型コイル部品として以下に説明する。
【0219】
図9は、本発明の実施形態2の積層型コイル部品の一例を示す断面模式図である。
【0220】
図9に示す積層型コイル部品2において、素体10Bは、絶縁層15として、非磁性層15A及び磁性層15Bに加えて、内部磁性部15Cを有している。
【0221】
内部磁性部15Cは、非磁性層15Aの内部に設けられている。
【0222】
内部磁性部15Cは、磁性層15Bに接続されている。より具体的には、内部磁性部15Cは、非磁性層15Aの内部において、積層方向、ここでは、長さ方向Lに延びており、一端が一方の磁性層15Bに接続され、他端が他方の磁性層15Bに接続されている。
【0223】
内部磁性部15Cは、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たときに、第1コイル導体及び第2コイル導体の内周側に設けられている。
【0224】
本明細書中、コイル導体の内周側とは、コイル導体の外側であって、コイル導体の内周に対して外周とは反対側を意味する。
【0225】
図10は、
図9に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0226】
図10に示す例では、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、内部磁性部15Cが、第1コイル導体41a、第1コイル導体41b、第1コイル導体41c、第1コイル導体41d、第2コイル導体42a、第2コイル導体42b、第2コイル導体42c、及び、第2コイル導体42dの内周側に設けられている。
【0227】
積層型コイル部品2では、
図9及び
図10に示すように内部磁性部15Cが設けられていることにより、インダクタンスが顕著に大きくなりやすくなる。
【0228】
内部磁性部15Cは、磁性層15Bと同様に、Fe、Ni、Zn、及び、Cuを含むNi-Cu-Zn系フェライト材料で構成されていることが好ましい。この場合、積層型コイル部品2のインダクタンスが大きくなりやすい。
【0229】
積層型コイル部品2は、例えば、以下の方法で製造される。
【0230】
<非磁性材料の作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<非磁性材料の作製工程>と同様にして、非磁性材料、より具体的には、ガラスセラミック材料(誘電体ガラス材料)を作製する。
【0231】
<非磁性体シートの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<非磁性体シートの作製工程>と同様にして、非磁性体シート、より具体的には、ガラスセラミックシートを作製する。
【0232】
<磁性材料の作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<磁性材料の作製工程>と同様にして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0233】
<磁性体シートの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<磁性体シートの作製工程>と同様にして、磁性体シート、より具体的には、磁性フェライトシートを作製する。
【0234】
<導体パターンの形成工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<導体パターンの形成工程>と同様にして、各々のガラスセラミックシートに対して、
図10に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図10に示す引き出し導体に相当する引き出し導体用導体パターンと、
図10に示すビア導体に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0235】
<磁性体ペーストの作製工程>
上述した<磁性材料の作製工程>で得られた粉末状の磁性フェライト材料と、ケトン系溶剤等の溶剤と、ポリビニルアセタール等の樹脂と、アルキド系可塑剤等の可塑剤と、等を、プラネタリーミキサー等で混練した後、3本ロールミル等で分散させることにより、磁性体ペースト、より具体的には、磁性フェライトペーストを作製する。
【0236】
<積層体ブロックの作製工程>
まず、導体パターンが形成された各々のガラスセラミックシートを、
図10に示す順番で、積層方向、ここでは、長さ方向に積層する。この際、得られた積層体の、積層方向、ここでは、長さ方向における少なくとも一方の端面上に、導体パターンが形成されていないガラスセラミックシートを所定の枚数積層してもよい。
【0237】
次に、得られたガラスセラミックシートの積層体を、仮圧着する。
【0238】
その後、ガラスセラミックシートの積層体に対して、所定の箇所、より具体的には、積層方向、ここでは、長さ方向から見たときにコイル導体用導体パターンの内周側となる箇所にサンドブラスト加工等を行うことにより、積層方向、ここでは、長さ方向に貫通孔を形成する。
【0239】
そして、ガラスセラミックシートの積層体に対して、貫通孔に磁性フェライトペーストを充填した後、積層方向、ここでは、長さ方向における両方の端面上に磁性フェライトシートを所定の枚数積層する。
【0240】
その後、得られたガラスセラミックシート及び磁性フェライトシートの積層体を熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0241】
<素体及びコイルの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<素体及びコイルの作製工程>と同様にして、素体と、第1コイルと、第2コイルとを作製する。この際、ガラスセラミックシートの積層体の貫通孔に充填された磁性フェライトペーストは、内部磁性部となる。
【0242】
<外部電極の形成工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<外部電極の形成工程>と同様にして、第1外部電極、第2外部電極、第3外部電極、及び、第4外部電極を形成する。
【0243】
以上により、積層型コイル部品2が製造される。
【0244】
[実施形態3]
本発明の積層型コイル部品において、積層方向に沿う断面を見たとき、内部磁性部における積層方向に直交する方向の寸法は、内部磁性部が第1コイル導体及び第2コイル導体の各々に積層方向に直交する方向で重なる位置と、それ以外の位置との間で異なっていてもよい。この点で本発明の実施形態2の積層型コイル部品と異なる態様の積層型コイル部品を、本発明の実施形態3の積層型コイル部品として以下に説明する。
【0245】
図11は、本発明の実施形態3の積層型コイル部品の一例を示す断面模式図である。
【0246】
図11に示す積層型コイル部品3において、積層方向に沿う断面、ここでは、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面を見たとき、内部磁性部15Cにおける、積層方向に直交する方向の寸法、ここでは、高さ方向Tの寸法は、内部磁性部15Cが第1コイル導体及び第2コイル導体の各々に積層方向に直交する方向、ここでは、内部磁性部15Cが第1コイル導体及び第2コイル導体の各々に高さ方向Tで重なる位置において、それ以外の位置においてよりも大きい。
【0247】
なお、積層型コイル部品3において、積層方向に沿う断面を見たとき、内部磁性部15Cにおける積層方向に直交する方向の寸法は、内部磁性部15Cが第1コイル導体及び第2コイル導体の各々に積層方向に直交する方向で重なる位置において、それ以外の位置においてよりも小さくてもよい。
【0248】
図12は、
図11に示す素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0249】
図12に示す積層型コイル部品3の素体10Cにおいて、内部磁性部15Cは、絶縁層を積層方向、ここでは、長さ方向Lに貫通する貫通孔16の内部に設けられつつ、絶縁層の主面上に延びるように設けられている。つまり、積層方向、ここでは、長さ方向Lから見たとき、内部磁性部15Cの面積は、絶縁層の主面上、すなわち、第1コイル導体及び第2コイル導体の各々と同一平面上において、絶縁層に設けられた貫通孔16の内部においてよりも大きい。
【0250】
1つの絶縁層に設けられた貫通孔16の数は、
図12に示すように1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0251】
積層型コイル部品3は、例えば、以下の方法で製造される。
【0252】
<非磁性材料の作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<非磁性材料の作製工程>と同様にして、非磁性材料、より具体的には、ガラスセラミック材料(誘電体ガラス材料)を作製する。
【0253】
<非磁性体シートの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<非磁性体シートの作製工程>と同様にして、非磁性体シート、より具体的には、ガラスセラミックシートを作製する。
【0254】
<磁性材料の作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<磁性材料の作製工程>と同様にして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0255】
<磁性体シートの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<磁性体シートの作製工程>と同様にして、磁性体シート、より具体的には、磁性フェライトシートを作製する。
【0256】
<導体パターンの形成工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<導体パターンの形成工程>と同様にして、各々のガラスセラミックシートに対して、
図12に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図12に示す引き出し導体に相当する引き出し導体用導体パターンと、
図12に示すビア導体に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0257】
<磁性体ペーストの作製工程>
上述した<磁性材料の作製工程>で得られた粉末状の磁性フェライト材料と、ケトン系溶剤等の溶剤と、ポリビニルアセタール等の樹脂と、アルキド系可塑剤等の可塑剤と、等を、プラネタリーミキサー等で混練した後、3本ロールミル等で分散させることにより、磁性体ペースト、より具体的には、磁性フェライトペーストを作製する。
【0258】
<磁性体ペースト層の形成工程>
まず、ガラスセラミックシートの所定の箇所、より具体的には、積層方向、ここでは、長さ方向から見たときにコイル導体用導体パターンの内周側となる箇所にレーザー照射を行うことにより、貫通孔を形成する。
【0259】
次に、磁性フェライトペーストを、スクリーン印刷法等により、ガラスセラミックシートの貫通孔に充填しつつ、ガラスセラミックシートの主面上に延びるように塗工する。これにより、ガラスセラミックシートに対して、
図11及び
図12に示す内部磁性部に相当する磁性体ペースト層、より具体的には、磁性フェライトペースト層を形成する。
【0260】
<積層体ブロックの作製工程>
まず、導体パターン及び磁性フェライトペースト層が形成された各々のガラスセラミックシートを、
図12に示す順番で、積層方向、ここでは、長さ方向に積層する。
【0261】
次に、得られたガラスセラミックシートの積層体の、積層方向、ここでは、長さ方向における両方の端面上に、磁性フェライトシートを所定の枚数積層する。
【0262】
そして、得られたガラスセラミックシート及び磁性フェライトシートの積層体を熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0263】
<素体及びコイルの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<素体及びコイルの作製工程>と同様にして、素体と、第1コイルと、第2コイルとを作製する。この際、磁性フェライトペースト層は、内部磁性部となる。
【0264】
<外部電極の形成工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<外部電極の形成工程>と同様にして、第1外部電極、第2外部電極、第3外部電極、及び、第4外部電極を形成する。
【0265】
以上により、積層型コイル部品3が製造される。
【0266】
[実施形態4]
本発明の積層型コイル部品において、非磁性層は、Fe、Cu、及び、Znを含む非磁性フェライト材料で構成されていてもよく、内部磁性部は、Niを含むNi含有材料で構成されていてもよい。この点で本発明の実施形態2の積層型コイル部品及び本発明の実施形態3の積層型コイル部品と異なる態様の積層型コイル部品を、本発明の実施形態4の積層型コイル部品として以下に説明する。
【0267】
図13は、本発明の実施形態4の積層型コイル部品の一例について、素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0268】
図13に示す積層型コイル部品4の素体10Dにおいて、非磁性層15Aは、Fe、Cu、及び、Znを含む非磁性フェライト材料で構成されている。
【0269】
非磁性フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、CuをCuO換算で4mol%以上、12mol%以下、ZnをZnO換算で残部含むことが好ましい。
【0270】
非磁性フェライト材料は、Mn、Bi、Co、Si、Sn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0271】
非磁性フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0272】
図13に示す素体10Dにおいて、内部磁性部15Cは、Niを含むNi含有材料で構成されている。
【0273】
Niを含むNi含有材料としては、例えば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni単体等が挙げられる。
【0274】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で5mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で4mol%以上、12mol%以下、NiをNiO換算で残部含むことが好ましい。
【0275】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Mn、Bi、Co、Si、Sn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0276】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0277】
積層型コイル部品4は、例えば、以下の方法で製造される。
【0278】
<非磁性材料の作製工程>
まず、Fe2O3、CuO、及び、ZnOを所定の比率になるように秤量する。
【0279】
次に、これらの秤量物と、純水と、分散剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕する。
【0280】
そして、得られた粉砕物を乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。仮焼成時間については、例えば、2時間以上、3時間以下とする。
【0281】
このようにして、粉末状の非磁性材料、より具体的には、粉末状の非磁性フェライト材料を作製する。
【0282】
非磁性フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、CuをCuO換算で4mol%以上、12mol%以下、ZnをZnO換算で残部含むことが好ましい。
【0283】
<非磁性体シートの作製工程>
まず、粉末状の非磁性フェライト材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、非磁性フェライトスラリーを作製する。
【0284】
次に、非磁性フェライトスラリーを、ドクターブレード法等で、厚みが20μm以上、30μm以下等の所定の厚みのシート状に成形した後、矩形状等の所定の形状に打ち抜くことにより、非磁性体シート、より具体的には、非磁性フェライトシートを作製する。
【0285】
<磁性材料の作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<磁性材料の作製工程>と同様にして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0286】
<磁性体シートの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<磁性体シートの作製工程>と同様にして、磁性体シート、より具体的には、磁性フェライトシートを作製する。
【0287】
<導体パターンの形成工程>
Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で各々の非磁性フェライトシートに塗工することにより、
図13に示すコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図13に示す引き出し導体に相当する引き出し導体用導体パターンと、
図13に示すビア導体に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。ビア導体用導体パターンを形成する際には、非磁性フェライトシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことでビアホールを予め形成しておき、そのビアホールに導電性ペーストを充填する。
【0288】
<磁性体ペーストの作製工程>
Ni含有材料と、ケトン系溶剤等の溶剤と、ポリビニルアセタール等の樹脂と、アルキド系可塑剤等の可塑剤と、等を、プラネタリーミキサー等で混練した後、3本ロールミル等で分散させることにより、磁性体ペースト、より具体的には、Ni含有材料ペーストを作製する。
【0289】
<磁性体ペースト層の形成工程>
非磁性フェライトシートの所定の箇所、より具体的には、積層方向、ここでは、長さ方向から見たときにコイル導体用導体パターンの内周側となる箇所に、Ni含有材料ペーストをスクリーン印刷法等で塗工する。これにより、非磁性フェライトシートの主面上に、磁性体ペースト層、より具体的には、Ni含有材料ペースト層を形成する。
【0290】
<積層体ブロックの作製工程>
まず、導体パターン及びNi含有材料ペースト層が形成された各々の非磁性フェライトシートを、
図13に示す順番で、積層方向、ここでは、長さ方向に積層する。
【0291】
次に、得られた非磁性フェライトシートの積層体の、積層方向、ここでは、長さ方向における両方の端面上に、磁性フェライトシートを所定の枚数積層する。
【0292】
そして、得られた非磁性フェライトシート及び磁性フェライトシートの積層体を熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0293】
<素体及びコイルの作製工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<素体及びコイルの作製工程>と同様にして、素体と、第1コイルと、第2コイルとを作製する。この際、非磁性フェライトシート及び磁性フェライトシートは、各々、非磁性層及び磁性層となる。更に、Ni含有材料ペースト層に含まれるNiは、焼成時に非磁性フェライトシートの内部に拡散する。非磁性フェライトシートの内部でNiが拡散した箇所は磁性を有することになるため、積層方向、ここでは、長さ方向Lに隣り合うNi含有材料ペースト層同士が、その間に介在する非磁性フェライトシートの内部に拡散したNiで接続されることにより、内部磁性部が形成される。このように、本実施形態では、上述した実施形態2及び実施形態3と異なり、非磁性体シートに貫通孔を形成する等の加工を行わなくても、内部磁性部を形成できる。
【0294】
<外部電極の形成工程>
上述した積層型コイル部品1の製造方法における<外部電極の形成工程>と同様にして、第1外部電極、第2外部電極、第3外部電極、及び、第4外部電極を形成する。
【0295】
以上により、積層型コイル部品4が製造される。
【実施例】
【0296】
以下、本発明の積層型コイル部品を、シミュレーション用のモデルでより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0297】
[実施例1]
実施例1の積層型コイル部品のシミュレーション用モデル(以下では、単に、「実施例1の積層型コイル部品」と言う)として、本発明の実施形態2の積層型コイル部品を採用した。
【0298】
実施例1の積層型コイル部品では、100MHzにおけるインピーダンスが100Ωとなるように、第1コイル導体及び第2コイル導体の長さ、第1コイル及び第2コイルのターン数等を設定した。
【0299】
実施例1の積層型コイル部品では、長さ方向の寸法を2.0mm、高さ方向の寸法を1.2mm、幅方向の寸法を1.2mmと設定した。
【0300】
[比較例1]
比較例1の積層型コイル部品のシミュレーション用モデル(以下では、単に、「比較例1の積層型コイル部品」と言う)として、特許文献1の
図2に示すような渦巻状のコイル導体を有する積層型コイル部品を採用した。
【0301】
比較例1の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と同様に、100MHzにおけるインピーダンスが100Ωとなるように、第1コイル導体及び第2コイル導体の長さ、第1コイル及び第2コイルのターン数等を設定した。
【0302】
比較例1の積層型コイル部品では、実施例1の積層型コイル部品と同様に、長さ方向の寸法を2.0mm、高さ方向の寸法を1.2mm、幅方向の寸法を1.2mmと設定した。
【0303】
[評価]
実施例1の積層型コイル部品及び比較例1の積層型コイル部品について、ディファレンシャルモードの信号成分の透過特性(Sdd21)と、コモンモードのノイズ成分の透過特性(Scc21)とのシミュレーション評価を行った。
【0304】
図14は、実施例1の積層型コイル部品及び比較例1の積層型コイル部品に対する、ディファレンシャルモードの信号成分の透過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
図15は、実施例1の積層型コイル部品及び比較例1の積層型コイル部品に対する、コモンモードのノイズ成分の透過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0305】
図14に示すように、ディファレンシャルモードの信号成分の透過特性については、実施例1の積層型コイル部品と比較例1の積層型コイル部品との間でほとんど差がない。したがって、実施例1の積層型コイル部品では、ディファレンシャルモードの信号成分が減衰せずに透過する、と考えられる。
【0306】
これに対して、
図15に示すように、コモンモードのノイズ成分の透過特性については、実施例1の積層型コイル部品が、比較例1の積層型コイル部品と比較して、高周波領域において低くなっている。つまり、実施例1の積層型コイル部品では、比較例1の積層型コイル部品と比較して、コモンモードのノイズ成分が高周波領域で減衰している。したがって、実施例1の積層型コイル部品によれば、高周波領域でノイズを効率的に除去できる、と考えられる。
【符号の説明】
【0307】
1、2、3、4 積層型コイル部品
10A、10B、10C、10D 素体
11a 素体の第1端面
11b 素体の第2端面
12a 素体の第1主面
12b 素体の第2主面
13a 素体の第1側面
13b 素体の第2側面
15、15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g、15h、15i、15j、15k、15m 絶縁層
15A 非磁性層
15B 磁性層
15C 内部磁性部
16 貫通孔
21 第1外部電極
22 第2外部電極
23 第3外部電極
24 第4外部電極
31 第1コイル
32 第2コイル
41、41a、41b、41c、41d 第1コイル導体
42、42a、42b、42c、42d 第2コイル導体
51 第1引き出し導体
52 第2引き出し導体
53 第3引き出し導体
54 第4引き出し導体
61aa、61ab、61ba、61bb、61ca、61cb、61da、61db、62aa、62ab、62ba、62bb、62ca、62cb、62da、62db、63a、63b、63c、63d、64a、64b、64c、64d、65、66、67、68 ランド部
71a、71b、71c、71d、71e、71f、71g、71h、71i 第1コイル用ビア導体
72a、72b、72c、72d、72e、72f、72g、72h、72i 第2コイル用ビア導体
C1 第1コイルのコイル軸
C2 第2コイルのコイル軸
L 長さ方向
T 高さ方向
W 幅方向