(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-02
(45)【発行日】2025-10-10
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20251003BHJP
F02M 37/30 20190101ALI20251003BHJP
F02M 53/04 20060101ALI20251003BHJP
【FI】
F02M55/02 350G
F02M37/30
F02M53/04 J
(21)【出願番号】P 2023006572
(22)【出願日】2023-01-19
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】丸井 勇介
(72)【発明者】
【氏名】井上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】瀧 雅文
(72)【発明者】
【氏名】飯室 昭宏
【審査官】横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-332804(JP,A)
【文献】特開2015-218707(JP,A)
【文献】特開2015-227643(JP,A)
【文献】実開昭57-156069(JP,U)
【文献】特開2003-176766(JP,A)
【文献】特開2017-166559(JP,A)
【文献】特開2004-340028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00- 71/04
37/00- 37/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(10)の燃料室内で燃焼する燃料を供給するインジェクタ(40)と、
前記インジェクタ(40)の上流側に接続され、前記インジェクタ(40)に供給する燃料を溜める燃料チャンバ部(50)と、
前記燃料チャンバ部(50)内に配置され、前記燃料チャンバ部(50)内に溜めた燃料を加熱する第一ヒータ部(62)と、を備え、
前記燃料チャンバ部(50)には、前記燃料を前記燃料チャンバ部(50)内に送る燃料フィード経路(44)が接続され、
前記燃料フィード経路(44)には、前記燃料フィード経路(44)の流路内の燃料を加熱する第二ヒータ部(55)が備えられ
、
前記燃料フィード経路(44)のうち、少なくとも前記第二ヒータ部(55)が配置される部分は、前記第二ヒータ部(55)における燃料の流路を内周側に形成する金属パイプ(56)で構成され、
前記第二ヒータ部(55)は、前記金属パイプ(56)の外周側から前記金属パイプ(56)を介して燃料を加熱し、
前記燃料チャンバ部(50)は、前記インジェクタ(40)の上部に配置され、
前記第二ヒータ部(55)は、前記燃料フィード経路(44)と前記燃料チャンバ部(50)との接続部に設けられ、
前記第一ヒータ部(62)は、前記燃料チャンバ部(50)の上部に配置される、燃料供給装置。
【請求項2】
前記第二ヒータ部(55)は、外側から前記金属パイプ(56)よりも熱伝導率の低い材料により覆われている、
請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記第二ヒータ部(55)は、前記金属パイプ(56)の外周側に電熱線(58)を配置している、
請求項1又は2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記第二ヒータ部(155)は、前記金属パイプ(56)の外周側に、前記エンジン(10)の廃熱を受けた熱源として、熱媒体(Ga)を流通させる構成、または熱伝導体を配置する構成の少なくとも一方を備えている、
請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記第二ヒータ部(155)は、前記金属パイプ(56)の外周側に、前記熱媒体(Ga)を流通させるものであり、
前記第二ヒータ部(155)への前記熱媒体の供給は、廃熱制御バルブ(59a1)によって制御される、
請求項4に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記熱媒体は前記エンジン(10)の排気ガス(Ga)であって、
前記排気ガス(Ga)は、前記エンジン(10)の排気経路における排気ガス浄化触媒(14b)よりも下流側から取り出されて前記第二ヒータ部(155)に導入される、
請求項4又は5に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気候変動の緩和または影響軽減を目的とした取り組みが継続され、この実現に向けて二酸化炭素の排出量低減に関する研究開発が行われている。
例えば特許文献1においては、アルコール燃料を含有する燃料で運転される内燃エンジンにおいて、低温時の始動性を確保するために、インジェクタの上流側に燃料チャンバ部を設け、前記燃料チャンバ部に溜まっている燃料をヒータ部によって加熱する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二酸化炭素の排出量低減のために上記従来技術を適用した場合、外気温が低く燃料温度や吸気温度が非常に低い場合は、エンジン始動後であっても燃料を加熱する必要がある場合がある。しかし、エンジン始動後の燃料増に合わせて単に燃料チャンバ部のヒータ部の出力を上げると、高出力のヒータ部が必要になり、かつ燃料が局所的に熱せられることでベーパが発生しやすいという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、インジェクタに供給する燃料を加熱する燃料供給装置において、燃料チャンバ部内の燃料を効率よく加熱することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の第一の態様は、エンジン(10)の燃料室内で燃焼する燃料を供給するインジェクタ(40)と、前記インジェクタ(40)の上流側に接続され、前記インジェクタ(40)に供給する燃料を溜める燃料チャンバ部(50)と、前記燃料チャンバ部(50)内に配置され、前記燃料チャンバ部(50)内に溜めた燃料を加熱する第一ヒータ部(62)と、を備え、前記燃料チャンバ部(50)には、前記燃料を前記燃料チャンバ部(50)内に送る燃料フィード経路(44)が接続され、前記燃料フィード経路(44)には、前記燃料フィード経路(44)の流路内の燃料を加熱する第二ヒータ部(55)が備えられている。
この構成によれば、燃料チャンバ部に接続される燃料フィード経路に、燃料チャンバ部の第一ヒータ部とは別の第二ヒータ部を備えることで、燃料チャンバ部に至る流路において予め燃料を加熱することができる。これにより、局所的なヒーターの高温化を抑えながら広範囲で加熱することができるため、べーパーの発生を抑制しながら始動後の燃料供給量増に対応できる。
【0007】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様において、前記燃料フィード経路(44)のうち、少なくとも前記第二ヒータ部(55)が配置される部分は、前記第二ヒータ部(55)における燃料の流路を内周側に形成する金属パイプ(56)で構成され、前記第二ヒータ部(55)は、前記金属パイプ(56)の外周側から前記金属パイプ(56)を介して燃料を加熱する。
この構成によれば、燃料フィード経路44の流路を形成する金属パイプの外周側から金属パイプを介して燃料を加熱することで、流路内の燃料の流れに影響することなく、流路内の燃料を加熱することができる。金属パイプは、銅合金等の熱伝導率の高い金属製であることが好ましい。
【0008】
本発明の第三の態様は、上記第二の態様において、前記第二ヒータ部(55)は、外側から前記金属パイプ(56)よりも熱伝導率の低い材料により覆われている。
この構成によれば、第二ヒータ部の熱が大気中に拡散することを抑制できるため、効果的に燃料を加熱できる。
【0009】
本発明の第四の態様は、上記第二又は第三の態様において、前記第二ヒータ部(55)は、前記金属パイプ(56)の外周側に電熱線(58)を配置している。
この構成によれば、第二ヒータ部55の熱源を電熱線58とすることで、第二ヒータ部55が熱源にエンジン廃熱を利用する構成と比べて、エンジン始動前のプレヒート時から第二ヒータ部55を作動させて燃料を加熱することができる。電熱線58に供給する電力は、例えば車載バッテリから供給されるが、モバイルバッテリを利用したり車外からの電力を利用したりしもよい。
【0010】
本発明の第五の態様は、上記第二の態様において、前記第二ヒータ部(155)は、前記金属パイプ(56)の外周側に、前記エンジン(10)の廃熱を受けた熱源として、熱媒体(Ga)を流通させる構成、または熱伝導体を配置する構成の少なくとも一方を備えている。
この構成によれば、第二ヒータ部の熱源をエンジン廃熱を受けた熱媒体又は熱伝導体とすることで、エンジンが十分に温まった後は、廃熱ヒータの熱量で燃料を加熱することができる。このため、燃料供給装置全体で燃料加熱のための消費エネルギーを抑えることができる。
【0011】
本発明の第六の態様は、上記第五の態様において、前記第二ヒータ部(155)は、前記金属パイプ(56)の外周側に、前記熱媒体(Ga)を流通させるものであり、前記第二ヒータ部(155)への前記熱媒体の供給は、廃熱制御バルブ(59a1)によって制御される。
この構成によれば、第二ヒータ部への熱媒体の供給を廃熱制御バルブで制御することで、廃熱ヒータにおける燃料の加熱温度を調整することができる。
【0012】
本発明の第七の態様は、上記第五又は第六の態様において、前記熱媒体は前記エンジン(10)の排気ガス(Ga)であって、前記排気ガス(Ga)は、前記エンジン(10)の排気経路における排気ガス浄化触媒(14b)よりも下流側から取り出されて前記第二ヒータ部(155)に導入される。
この構成によれば、排気ガス浄化触媒よりも下流側から排気ガスを取り出して第二ヒータ部に導入することで、排気ガス浄化触媒よりも上流側の排気ガスを利用する場合と比べて、比較的クリーンな排気ガスを利用することができる。また、上流側の排気ガスの熱を奪わないので、排気ガス浄化触媒の活性化の遅れを無くすことができる。また、排気ガス浄化触媒で熱せられた排気ガスを利用するので、エンジン始動後の比較的早い段階で第二ヒータを利用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インジェクタに供給する燃料を加熱する燃料供給装置において、燃料チャンバ部内の燃料を効率よく加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態における自動二輪車の右側面図である。
【
図3】上記自動二輪車の吸気通路部品周辺の上面図である。
【
図4】上記自動二輪車の燃料供給装置の構成図である。
【
図5】上記燃料供給装置の第一実施形態における第二ヒータ装置に係る構成を示す説明図である。
【
図6】上記燃料供給装置の第二実施形態における第二ヒータ装置に係る構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中心を示す線CLが示されている。
【0016】
<車両全体>
図1に示すように、本実施形態は、鞍乗り型車両である自動二輪車1に適用される。自動二輪車1の前輪2は、左右一対のフロントフォーク3の下端部に支持されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して車体フレーム20の前端部のヘッドパイプ21に支持されている。ステアリングステム4の上部には、操向用のバーハンドル6が取り付けられている。
【0017】
自動二輪車1の後輪7は、スイングアーム8の後端部に支持されている。スイングアーム8の前端部は、車体フレーム20の前後中間部のピボットフレーム23に支持されている。なお、本実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。後輪7は、自動二輪車1のパワーユニットPUに対し、例えば車体後部左側に配置されたチェーン式の伝動機構を介して連結されている。
【0018】
パワーユニットPUは、自動二輪車1の原動機であるエンジン(内燃機関)10と、エンジン10の出力を断接、変速するクラッチ及びトランスミッション(何れも不図示)と、を含む一体のユニットであり、車体フレーム20に固定的に支持されている。
エンジン10は、クランクケース11の前部上方にシリンダ12を起立させている。シリンダ12の後部には、吸気通路部品32が接続されている。シリンダ12の前部には、排気管14が接続されている。排気管14は、エンジン10の前方から下方を通って例えば右後方に取り回され、車体後部右側に配置された排気マフラー14aに接続されている。
【0019】
エンジン10の上方には、エンジン10に供給する燃料を貯留する燃料タンク15が配置されている。燃料タンク15の後方には、運転者および後部同乗者が着座するシート16が配置されている。車体下部両側には、運転者の足を載せる左右一対のメインステップ17、および後部同乗者用が足を載せる左右一対のピリオンステップ18がそれぞれ配置されている。
【0020】
車体フレーム20は、ヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21の上部から後下方へ延びるメインフレーム22と、メインフレーム22の後下端部からメインフレーム22よりも急傾斜をなして後下方へ延びるピボットフレーム23と、ヘッドパイプ21の下部から後下方へメインフレーム22よりも急傾斜をなして延びるダウンフレーム27と、メインフレーム22の後部から後方へ延びるシートレール25と、ピボットフレーム23の上下中間部から上後方へ延びてシートレール25を支持するサポートフレーム26と、を備えている。
【0021】
エンジン10は、ガソリンの他に、エタノール又はガソリンとエタノールとの混合燃料(以下、エタノール燃料と総称する。)を用いて運転可能である。すなわち、自動二輪車1は、複数種の燃料による走行が可能なフレキシブル・フューエル・モーターサイクル(FFM)である。
エンジン10のシリンダ12は、クランクケース11側から順に、シリンダ本体12a、シリンダヘッド12b及びヘッドカバー12cを有している。
【0022】
図2を併せて参照し、シリンダヘッド12bの後部(吸気側)には、スロットルボディ33を含む吸気通路部品32の下流端が接続されている。図中符号34は吸気通路部品32の上流端が接続されるエアクリーナボックス、符号35はスロットルボディ33とエアクリーナボックス34とを接続するコネクティングチューブ、符号36はスロットルボディ33とシリンダヘッド12bとを接続する吸気管部材、をそれぞれ示す。コネクティングチューブ35および吸気管部材36は吸気通路部品32に含まれる。
【0023】
<燃料供給装置>
図4に示すように、自動二輪車1は、燃料タンク15、燃料ポンプ42、インジェクタ(燃料噴射弁)40等を含んで燃料供給装置40Aを構成している。
燃料タンク15の燃料は、例えば燃料タンク15内に配置した燃料ポンプ42に吸入され、下流側へ吐出される。燃料ポンプ42は、燃料タンク15内の燃料に浸漬されることで、燃料タンク15内の燃料を吸入する。例えば、燃料ポンプ42は、燃料を圧送するポンプ本体と、ポンプ本体の吸入側(上流側)で燃料を濾過する一次フィルタと、を備えている(何れも不図示)。
【0024】
燃料ポンプ42の吐出部43からインジェクタ40に延びる下流側経路(燃料フィード経路44)には、不図示の逆止弁および調圧手段(プレッシャレギュレータ)が備えられている。
逆止弁は、燃料ポンプ42側から下流側(インジェクタ40側)への燃料の流れは許容し、逆方向への流れは規制する。燃料ポンプ42の吐出側に逆止弁を備えることで、駐車等によってエンジン10を停止したとき(燃料ポンプ42が停止したとき)、逆止弁よりも下流側の燃料の加圧状態(残圧)が維持される。このため、エンジン10の再始動時には、少ないポンプ駆動で燃料噴射に必要な圧力まで燃料を加圧することができる。
【0025】
プレッシャレギュレータは、燃料ポンプ42から吐出された燃料の圧力を所定圧力に調整する。プレッシャレギュレータで調圧された燃料は、燃料タンク15外部に延びるフィードホース48を介してインジェクタ40に供給される。逆止弁およびプレッシャレギュレータは、燃料ポンプ42と一体でも別体でもよい。
【0026】
図5を併せて参照し、燃料ポンプ42から吐出された燃料は、インジェクタ40に連なる燃料チャンバ部50のチャンバ室T3内に供給される。チャンバ室T3には第一ヒータ部62が臨んでおり、チャンバ室T3内に溜めた燃料を加熱可能である。
インジェクタ40は、ECU(Electric Control Unit)に作動制御され、スロットルセンサ等の出力に応じて吸気通路部品32内へ燃料を噴射する。
【0027】
例えば、ECUは、不図示の排気ガスセンサ(O2センサ)の出力等に基づいて、理論空燃費運転となるよう燃料噴射量をフィードバック制御する。
実施形態では、混合燃料を一時的に貯留するチャンバ室T3を備えることで、給油直前の燃料と異なる燃料組成の燃料が給油された場合でも、給油前後の燃料の混合が緩やかに行われる。これにより、インジェクタ40に供給する燃料が、給油直前の燃料から異なる種類の燃料に急激に変化することを回避し、フィードバック制御を追従しやすくする。
【0028】
図2、
図3を参照し、スロットルボディ33を含む吸気通路部品32は、車体左右中央CLに対して全体的に左右一側(実施形態では右側)に偏って配置されている。
シリンダヘッド12bの後部には、吸気ポートのシリンダ外部への開口(外部開口)を形成するポート開口部37が備えられている。ポート開口部37には、吸気管部材36の前端部(下流端部)が固定されている。吸気管部材36の後端部(上流端部)には、スロットルボディ33の前端部(下流端部)が接続されている。スロットルボディ33の後端部(上流端部)には、コネクティングチューブ35の前端部(下流端部)が接続されている。吸気通路部品32全体で形成する吸気通路を符号TAで示す(
図1参照)。
【0029】
<インジェクタ>
図2、
図4、
図5を参照し、吸気管部材36の前部上側には、インジェクタ40が取り付けられている。
インジェクタ40は、筒状のインジェクタボディと、インジェクタボディ内に収容される弁部と、弁部を駆動する電磁駆動部(何れも不図示)と、を備えている。図中線C1はインジェクタ40の中心軸線、符号40bはインジェクタ40の軸方向一端に設けられる噴射口、をそれぞれ示す。
インジェクタボディは、内部に燃料を流通させる燃料流路を形成している。弁部は、リターンスプリングから付与された付勢力によって、燃料流路を閉塞させ、インジェクタ40を閉弁させる。
電磁駆動部は、弁部をリターンスプリングの付勢力に抗して駆動させて、燃料流路を開放させ、インジェクタ40を開弁させる。これにより、インジェクタ40の噴射口40bから吸気通路TA内へ燃料が噴射される。
【0030】
インジェクタ40は、その長手方向(インジェクタボディの長手方向)で噴射口40bと反対側(上流側)への延長部分に、インジェクタ40への供給燃料を溜める燃料チャンバ部50と、燃料チャンバ部50内の燃料を加熱(昇温)する第一ヒータ装置60と、が接続されている。燃料チャンバ部50と第一ヒータ装置60とを含んで、インジェクタ40に供給する燃料を昇温させる昇温部が構成されている。
【0031】
図5を参照し、燃料チャンバ部50は、チャンバケース51を備えている。チャンバケース51は、インジェクタ40の上流側に開放した円筒状をなし、内部空間としてチャンバ室T3を形成する。図中線C2は燃料チャンバ部50の中心軸線を示す。
図5の例では、燃料チャンバ部50とインジェクタ40とは互いに同軸に配置されている。
【0032】
チャンバケース51の外周壁52には、フィードホース48を接続するためのフィードノズル53が突設されている。フィードノズル53およびフィードホース48は、燃料フィード経路44に含まれる。燃料フィード経路44は、燃料ポンプ42の吐出部から延び、フィードノズル53を介してチャンバ室T3内に加圧燃料を供給可能とする。
図5のフィードノズル53は、外周壁52の軸方向中間部(中央に限らない)に配置され、外周壁52の径方向に沿って延びている。燃料フィード経路44のフィードノズル53周辺には、後述する第二ヒータ部55が備えられている。
【0033】
チャンバ室T3内では、第一ヒータ部62の周囲で加熱された燃料の上昇流とフィードノズル53から供給された燃料の下降流とによる循環流が促進され、加熱された燃料がチャンバ室T3の下端側(インジェクタ40側)に導かれる。チャンバ室T3内の燃料の循環流によって、燃料の温度の偏りを抑えるとともに、第一ヒータ部62表面のベーパの発生を抑制して熱伝達を向上させる。
フィードノズル53は、外周壁52の軸方向中間部に限らず、外周壁52の軸方向でより上流側(上端側)に配置されるとよい。この場合、チャンバ室T3内の上下方向の流れがより促進される。
【0034】
チャンバケース51の下流端部には、インジェクタボディの上流端部が接続されている。チャンバケース51におけるインジェクタボディと反対側の端部には、第一ヒータ装置60の回路等を含む本体部(ヒータ本体部)61が取り付けられている。
第一ヒータ装置60は、ヒータ本体部61からチャンバ室T3内へ、棒状の第一ヒータ部62を突出させている。第一ヒータ部62は、例えばチャンバケース51と同軸に配置されている。
【0035】
フィードホース48から供給された燃料は、チャンバ室T3内に供給されて溜められ、第一ヒータ部62の発熱によって昇温される。チャンバ室T3内の燃料は、第一ヒータ部62の加熱により自然対流を発生させて攪拌される。
図5では、説明都合上、燃料チャンバ部50が長手方向(軸方向)を鉛直方向に沿わせて配置された例を示す。
【0036】
規定温度まで昇温された燃料は、インジェクタ40のインジェクタボディ内に至り、弁部の駆動によって噴射口40bから吸気通路TA内に噴射される。
エタノール燃料エンジン10においては、冷間時の始動性を向上させるために、および排ガス中に含まれる有害成分を低減するために、加熱した燃料を吸気通路TAに噴射し、噴射燃料の気化を促進させることが有効である。
【0037】
ここで、第一ヒータ装置60の作動について説明する。
車両を駐停車してエンジン10の駆動を止めている場合、エンジン10は冷えており、燃料供給装置40A内の燃料も冷えている。吸気通路TAに噴射する燃料の気化を促進するためには、第一ヒータ装置60による燃料の昇温をエンジン10の始動前に行う必要がある。第一ヒータ装置60による燃料の昇温開始のタイミングとしては、例えばエンジン10を停止して駐停車状態にある車両のメインスイッチがオンになったタイミングが好適である。
【0038】
第一ヒータ装置60による燃料の昇温は、例えば第一ヒータ装置60の作動がオンになったタイミングから開始される。第一ヒータ装置60の制御部は、第一ヒータ装置60のオンとともにタイマーを作動させ、規定時間の経過後に第一ヒータ装置60をオフにする。その後、エンジン10の始動(スタータ駆動)が可能となる。このとき、インジケータランプを点灯させる等により、エンジン始動が可能になったことをユーザーに告知してもよい。
【0039】
ヒータオンの継続時間は、例えば外気温や機関温度に応じて変動させてもよい。このときの温度検知は、例えば既存の吸気温センサ、油温センサ、等の検知情報を利用することができる。また、燃料チャンバ部50に温度センサを設置し、チャンバ室T3内の燃料の温度を直接検知することもできる。ヒータオンの継続時間に加え(又は継続時間に替わり)、第一ヒータ装置60の出力を変動させてもよい。
本実施形態は、燃料を加熱し始めて所定の条件が揃えば(例えば所定時間の経過等)、ヒータオフとするものであるが、車両走行中での燃料の気化を促進するためにも、ヒータオンによる加熱を継続するものであってもよい。なお、本実施形態では、燃料チャンバ部50に、エンジン10の周囲を流れて熱を帯びた走行風が当たりやすい構造であるので、ヒータオンを継続する際の電力量を抑えることに寄与する。
【0040】
エタノール燃料エンジン10においては、外気温が低いと燃料のプレヒート時間が長くなりやすい。
実施形態では、
図5に示すように、燃料フィード経路44の燃料チャンバ部50側(フィードノズル53近傍)の部位に、第二ヒータ部55を備えている。第二ヒータ部55は、第一ヒータ装置(メインヒータ)60とは別の第二ヒータ装置(サブヒータ)54の構成である。第二ヒータ部55は、フィードノズル53の長手方向に延在する第一パイプ(内配管)56と、第一パイプ56の外周側に配置される電熱線(熱源)58と、第一パイプ56および電熱線58の外周を覆う第二パイプ(外配管)57と、を備えている。
【0041】
第一パイプ56は、例えばフィードノズル53に外嵌して取り付けられ、フィードノズル53の延長方向に延びている。第一パイプ56は、フィードノズル53よりも上流側に延び、その上流側端部にフィードホース48が接続されている。第一パイプ56の内周空間は、燃料フィード経路44の流路の一部を形成している。第一パイプ56が形成する流路には、第一パイプ56の内周面が露出している。第一パイプ56は、例えば銅合金等の熱伝導率の高い金属素材からなり、電熱線58の熱を第一パイプ56内の燃料に伝わりやすくしている。第一パイプ56の内周面は、流路内に臨み、流路内の燃料に接してこれを加熱する。
【0042】
電熱線58は、ニクロム線等の発熱線であり、例えば第一パイプ56の外周側に螺旋状に巻回されている。電熱線58は、例えば車載電源であるバッテリに接続可能である。電熱線58は、第一パイプ56を介して流路内の燃料を加熱可能な電熱ヒータを構成している。電熱線58への電力供給は、制御装置58aによって電気的に制御されている。制御装置58aは、例えばイグニッションスイッチがオフからオンになったとき、規定時間(例えば10秒)だけ不図示の給電回路を閉じて電熱線58に電力を供給可能とする。電熱線58は、電力供給によって発熱し、第一パイプ56内の燃料を加熱する。第一パイプ56内の燃料は、第一パイプ56の管長を利用して緩やかに加熱される。
【0043】
第二パイプ57は、第一パイプ56の外周側に間隔を空けて配置される。第二パイプ57は、例えばステンレス鋼等の熱伝導率の低い金属素材からなり、外面の発熱を抑えている。第二パイプ57の外周を、金属パイプよりも熱伝導率の低いゴムや樹脂等の材料で覆うとよりよい。第二パイプ57自体をゴムや樹脂等の熱伝導率の低い材料のパイプとしてもよい。第二パイプ57を備えず電熱線(熱源)58の外側にゴムや樹脂等の被覆(パイプ形状に限らない)がある構成でもよい。第一パイプ56と第二パイプ57との間には、電熱線58が配置される。第一パイプ56と第二パイプ57との間には、電熱線58の他、断熱材料(熱伝導率の低い素材や溶媒等)が封入されてもよい。
【0044】
二重管構造の第二ヒータ部55によって、燃料チャンバ部50に至る直前の燃料が効率よく加熱される。第二ヒータ装置54は、外気温が低い場合等に、燃料チャンバ部50への導入経路で燃料を予め加熱する。その結果、燃料チャンバ部50での燃料の加熱が省電力かつ短時間で済む。
【0045】
これにより、第一ヒータ装置60の低出力化、ベーパ発生の抑制、燃料気化促進による燃費向上、を図ることができる。第一ヒータ装置60は、主にエンジン始動前の規定時間だけ燃料を加熱するが、エンジン始動後にも適宜使用し続けてもよい。この場合、暖機運転中の燃焼改善を図るとともに、暖機運転後もドライバビリディ改善に寄与することができる。
【0046】
以上説明したように、上記実施形態における燃料供給装置40Aは、エンジン10の吸気通路TA内に燃料を噴射するインジェクタ40と、前記インジェクタ40の上流側に接続され、前記インジェクタ40に供給する燃料を溜める燃料チャンバ部50と、前記燃料チャンバ部50内に配置され、前記燃料チャンバ部50内に溜めた燃料を加熱する第一ヒータ部62と、を備え、前記燃料チャンバ部50には、前記燃料を前記燃料チャンバ部50内に送る燃料フィード経路44が接続され、前記燃料フィード経路44には、前記燃料フィード経路44の流路内の燃料を加熱する第二ヒータ部55が備えられている。
この構成によれば、燃料チャンバ部50に接続される燃料フィード経路44に、燃料チャンバ部50の第一ヒータ部62とは別の第二ヒータ部55を備えることで、燃料チャンバ部50に至る流路において予め燃料を加熱することができる。これにより、燃料チャンバ部50での燃料の加熱を省エネルギーかつ短時間とし、第一ヒータ部62の低出力化および加熱時間の短縮を図ることができる。
吸気通路内に燃料を噴射するエンジンに限らず、燃焼室内に直接燃料を噴射する直噴型のエンジンに適用してもよい。
【0047】
また、上記燃料供給装置40Aにおいて、前記燃料フィード経路44のうち、少なくとも前記第二ヒータ部55が配置される部分は、前記第二ヒータ部55における燃料の流路を内周側に形成する金属パイプ(第一パイプ56)で構成され、前記第二ヒータ部55は、前記第一パイプ56の外周側から前記第一パイプ56を介して燃料を加熱する。
この構成によれば、燃料フィード経路44の流路を形成する金属パイプ(第一パイプ56)の外周側から金属パイプを介して燃料を加熱することで、流路内の燃料の流れに影響することなく、流路内の燃料を加熱することができる。金属パイプは、銅合金等の熱伝導率の高い金属製であることが好ましい。
【0048】
また、上記燃料供給装置40Aにおいて、前記第二ヒータ部55は、第一パイプ56の外周側に電熱線58を配置している。
この構成によれば、第二ヒータ部55の熱源を電熱線58とすることで、第二ヒータ部55が熱源にエンジン廃熱を利用する構成と比べて、エンジン始動前のプレヒート時から第二ヒータ部55を作動させて燃料を加熱することができる。電熱線58に供給する電力は、例えば車載バッテリから供給されるが、モバイルバッテリを利用したり車外からの電力を利用したりしもよい。
【0049】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、
図6を参照して説明する。
第二実施形態は、前記第一実施形態に対して、第二ヒータ部155が熱源に電熱線58ではなくエンジン廃熱を利用する点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0050】
第二実施形態の第二ヒータ装置154は、例えばエンジン10の排気ガスGaの熱を利用することで、燃料チャンバ部50の手前で燃料を加熱する。第二実施形態の第二ヒータ装置154は、廃熱回収システムの一部を構成している。第二実施形態の第二ヒータ部155は、内外配管の間に電熱ヒータを備えず、第一パイプ56および第二パイプ57の間の空間を熱媒体(排気ガスGa)の流路とし、この流路に排気ガスGaの一部を導入して流通させる。これにより、第一パイプ56内の燃料が排気ガスGaの熱によって加熱される。第一パイプ56内の燃料は、第一パイプ56の管長を利用して緩やかに加熱される。例えば、第二実施形態の第二パイプ57の端部は閉塞されている。
【0051】
第二パイプ57の一端側(例えば燃料チャンバ部50に近い側)には、排気ガス導入管(熱媒体導入経路)59aが接続されている。排気ガス導入管59aは、一端(基端)がエンジン10の排気管14の途中に接続され、他端(先端)が第二パイプ57に接続されている。排気管14の途中には、排気ガス浄化触媒(三元触媒、キャタライザー)14bが備えられている。排気ガス導入管59aの一端は、排気管14における排気ガス浄化触媒14bよりも下流側に接続されている。
第二パイプ57の他端側(例えば燃料チャン部から遠い側)には、排気ガス導出管(熱媒体導出経路)59bが接続されている。排気ガス導出管59bは、一端(基端)が第二パイプ57に接続され、他端(先端)が排気管14の排気マフラー14a近傍に接続されている。
【0052】
排気ガス導入管59aの一端側には、ソレノイドバルブ(廃熱制御バルブ)59a1が備えられている。ソレノイドバルブ59a1は、例えばエンジン10の始動前ならびにエンジン始動後であっても、吸気温度や燃料温度が十分に低い場合、またエンジン10の廃熱が十分温まるまでの間は開状態である。ソレノイドバルブ59a1は、エンジン始動後かつ吸気温度や燃料温度が比較的暖かく、またエンジン10の廃熱が十分に温まった際は、閉状態または流路を絞った状態となる。
【0053】
排気ガス導出管59bの途中(例えば他端側)には、排気管14側への排気ガスGaの流れは許容し、第二ヒータ部155側への排気ガスGaの流れは規制する逆止弁59b1が備えられていてもよい。これにより、排気管14内の脈動を利用して第二ヒータ部155内の排気ガスGaを流通させることができる。
【0054】
第一パイプ56と第二パイプ57との間には、熱媒体としての排気ガスGaが流れる空間が形成されている。第一パイプ56および第二パイプ57の少なくとも一方に、熱媒体の流れを案内するリブ等のガイド部を備えてもよい。
第二ヒータ部155は、内外配管の間に排気ガスGaを直接導入する構成に限らず、不図示の熱交換器で排気ガスGaから所定の溶媒へエンジン廃熱を伝熱し、この溶媒を第一パイプ56と第二パイプ57との間に導入して第一パイプ56内の燃料を加熱してもよい。また、排気ガスGaの熱を利用する構成に限らず、エンジンオイルの熱を利用したり、水冷エンジンであればクーラントの熱を利用したりすることで、燃料を加熱する構成でもよい。第二ヒータ装置154は、エンジン廃熱を利用することで、別途の電力等のエネルギーが不要である。
【0055】
外気温が低い場合等に、燃料チャンバ部50への導入経路で燃料を予め加熱することで、燃料チャンバ部50での燃料の加熱が省電力で済み、第一ヒータ装置60の低出力化、ベーパ発生の抑制、燃料気化促進による燃費向上、を図ることができる。
【0056】
第二実施形態の第二ヒータ装置154は、エンジン始動後の暖気運転中および暖機運転後に、電力を用いずエンジン廃熱を利用して、燃料を加熱可能とする。第二実施形態の第二ヒータ装置154は、第一実施形態のように、第一パイプ56および第二パイプ57の間に電熱ヒータを備えてもよい。これにより、低温始動性の改善が図られる。エンジン始動後は電熱ヒータをオフにしてエンジン廃熱を利用することで、別途の電気エネルギーを消費することなく、暖機運転中の燃焼改善および暖機運転後のドライバビリディ改善を図ることができる。
【0057】
以上説明したように、上記第二実施形態における燃料供給装置40Aにおいても、燃料チャンバ部50に接続される燃料フィード経路44に第二ヒータ部155を備えることで、燃料チャンバ部50に至る流路において予め燃料を加熱することができ、燃料チャンバ部50での燃料の加熱を省エネルギーかつ短時間とし、第一ヒータ部62の低出力化および加熱時間の短縮を図ることができる。
【0058】
また、上記燃料供給装置40Aにおいて、前記第二ヒータ部155の熱源は、第一パイプ56の外周側に、エンジン10の廃熱を受けた熱媒体(排気ガスGa)を流通させる。
この構成によれば、第二ヒータ部155の熱源をエンジン廃熱を受けた熱媒体とすることで、エンジン10が十分に温まった後は、廃熱ヒータの熱量で燃料を加熱することができる。このため、燃料供給装置40A全体で燃料加熱のための消費エネルギーを抑えながら、第一ヒータ部62の低出力化および加熱時間の短縮を図ることができる。例えば、第一パイプ56の外周側に熱媒体を流通させる構成に代わり(あるいは熱媒体の流通と併用して)、エンジン廃熱を伝達可能とした金属部材等からなる熱伝導体(ヒートパイプを含む)を配置してもよい。
【0059】
また、上記燃料供給装置40Aにおいて、前記第二ヒータ部155への前記熱媒体の供給は、廃熱制御バルブ(ソレノイドバルブ59a1)によって制御される。
この構成によれば、第二ヒータ部155への熱媒体の供給を廃熱制御バルブ59a1で制御することで、廃熱ヒータにおける燃料の加熱温度を調整し、特に燃料を加熱し過ぎることによるベーパの発生等を抑えることができる。
【0060】
また、上記燃料供給装置40Aにおいて、前記熱媒体は前記エンジン10の排気ガスGaであって、前記排気ガスGaは、前記エンジン10の排気経路における排気ガス浄化触媒14bよりも下流側から取り出されて前記第二ヒータ部155に導入される。
この構成によれば、排気ガス浄化触媒14bよりも下流側から排気ガスGaを取り出して第二ヒータ部155に導入することで、排気ガス浄化触媒14bよりも上流側の排気ガスGaを利用する場合と比べて、比較的クリーンな排気ガスGaを利用することができる。また、上流側の排気ガスGaの熱を奪わないので、排気ガス浄化触媒14bの活性化の遅れを無くすことができる。また、排気ガス浄化触媒14bで熱せられた排気ガスGaを利用するので、エンジン始動後の比較的早い段階で第二ヒータを利用することができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、本実施形態の燃料供給装置は、自動二輪車以外の鞍乗り型車両に適用してもよい。
前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。HEV(Hybrid Electric Vehicle)等の原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。鞍乗り型車両以外の車両(乗用車、バス、トラック等)に適用してもよい。すなわち、実施形態の車両はフレキシブル・フューエル・モーターサイクル(FFM)であるが、四輪車(フレキシブル・フューエル・ビークル(FFV))でもよい。
本実施形態の燃料供給装置は、車両に適用されるものであるが、本発明は車両への適用に限らず、航空機や船舶等の種々輸送機器、ならびに建設機械や産業機械等、様々な乗物や移動体に適用してもよい。さらに、本発明は、乗物以外でも燃料供給装置を備える機器であれば、例えば手押しの芝刈り機や清掃機等に広く適用可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
10 エンジン(内燃機関)
14b 排気ガス浄化触媒
TA 吸気通路
40 インジェクタ
44 燃料フィード経路
50 燃料チャンバ部
54,154 第二ヒータ装置
55,155 第二ヒータ部
56 第一パイプ(金属パイプ)
58 電熱線
59a1 ソレノイドバルブ(廃熱制御バルブ)
60 第一ヒータ装置
62 ヒータ部
Ga 排気ガス(熱媒体)