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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/264 20210101AFI20251007BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20251007BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20251007BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20251007BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20251007BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20251007BHJP
【FI】
H01M50/264
H01M50/209
H01M50/588
H01M50/593
H01G11/12
H01G11/78
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021124926
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023019871
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 雅健
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/033476(WO,A1)
【文献】特開2019-053827(JP,A)
【文献】国際公開第2019/245022(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/181501(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01G 11/78
H01G 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、
前記サイドプレートは、
前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、
前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において前記蓄電素子と対向するプレート突出部と、を有し、
前記絶縁部材は、
前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、
前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記プレート突出部の間に配置される絶縁突出部と、を有し、
前記蓄電装置は、前記絶縁突出部を前記プレート突出部に固定する固定部材を備え
前記固定部材は、前記第二方向において前記絶縁突出部及び前記プレート突出部を挟む第一壁部及び第二壁部を備え、
前記第一壁部及び前記第二壁部における前記プレート本体部側の先端の内面同士の距離は、前記プレート本体部に向かうほど大きくなる
蓄電装置。
【請求項2】
前記絶縁突出部は、前記第二方向において前記プレート突出部を挟むように配置される
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、
前記サイドプレートは、
前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、
前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において前記蓄電素子と対向するプレート突出部と、を有し、
前記絶縁部材は、
前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、
前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記プレート突出部の間に配置される絶縁突出部と、を有し、
前記蓄電装置は、前記絶縁突出部を前記プレート突出部に固定する固定部材を備え
前記絶縁突出部は、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出する第一部と、前記第一部から前記第二方向に曲がる第二部と、を有し、
前記第二部は、前記第一部から前記第二方向における前記蓄電素子に向く向きに曲がる
蓄電装置。
【請求項4】
蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、
前記サイドプレートは、
前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、
前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において前記蓄電素子と対向するプレート突出部と、を有し、
前記絶縁部材は、
前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、
前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記プレート突出部の間に配置される絶縁突出部と、を有し、
前記蓄電装置は、前記絶縁突出部を前記プレート突出部に固定する固定部材を備え
前記絶縁突出部は、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出する第一部と、前記第一部から前記第二方向に曲がる第二部と、前記第二部に接続される先端部と、を有し、
前記先端部は、前記プレート突出部よりも、前記第二方向における前記蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置される
蓄電装置。
【請求項5】
蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、
前記サイドプレートは、
前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、
前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向の両側において前記蓄電素子と対向する一対のプレート突出部と、を有し、
前記絶縁部材は、
前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、
前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記一対のプレート突出部の間に配置される一対の絶縁突出部と、を有し、
前記一対の絶縁突出部の一方は、前記一対のプレート突出部の一方に取り付けられ、
前記一対の絶縁突出部の他方は、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出する第一部と、前記第一部から前記第二方向に曲がる第二部と、前記第二部に接続される先端部と、を有し、
前記先端部は、前記プレート突出部よりも、前記第二方向における前記蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置される
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と、蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、蓄電素子及びサイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置が知られている。例えば、特許文献1には、電池(蓄電素子)と拘束部材(サイドプレート)との間にサイドセパレータ(絶縁部材)が配置された電池モジュール(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/166182号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の蓄電装置では、サイドプレートが、蓄電素子に向けて突出し、上下方向で蓄電素子と対向する突出部(以下、プレート突出部と称す)を有している場合がある。この場合、絶縁部材は、蓄電素子及びプレート突出部の間を絶縁するために、蓄電素子とプレート突出部との間に突出する突出部(以下、絶縁突出部と称す)を有している。上記特許文献1では、拘束部材(サイドプレート)は、電池(蓄電素子)に向けて突出し、上下方向で電池と対向する腕部(プレート突出部)を有し、サイドセパレータ(絶縁部材)は、電池と腕部との間に第2部分及び第3部分(絶縁突出部)を有している。このような構成において、上記従来の蓄電装置では、蓄電素子及びプレート突出部の間の絶縁を確保するために、絶縁突出部の突出量を長く形成する場合がある。しかしながら、絶縁突出部の突出量が長いと、冷却設備を配置するスペース、または、蓄電装置を設置するための部材(車両側の部品等)を配置するスペース等を確保できず、省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、省スペース化を図ることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、前記サイドプレートは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において前記蓄電素子と対向するプレート突出部と、を有し、前記絶縁部材は、前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記プレート突出部の間に配置される絶縁突出部と、を有し、前記蓄電装置は、前記絶縁突出部を前記プレート突出部に固定する固定部材を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、前記サイドプレートは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向の両側において前記蓄電素子と対向する一対のプレート突出部と、を有し、前記絶縁部材は、前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記一対のプレート突出部の間に配置される一対の絶縁突出部と、を有し、前記一対の絶縁突出部の一方は、前記一対のプレート突出部の一方に取り付けられ、前記一対の絶縁突出部の他方は、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出する第一部と、前記第一部から前記第二方向に曲がる第二部と、前記第二部に接続される先端部と、を有し、前記先端部は、前記プレート突出部よりも、前記第二方向における前記蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置される。
【0008】
本発明は、このような蓄電装置として実現できるだけでなく、サイドプレートと絶縁部材と固定部材との組み合わせ、絶縁部材と固定部材との組み合わせ、固定部材、サイドプレートと絶縁部材との組み合わせ、または、絶縁部材としても実現できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明における蓄電装置によれば、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係る絶縁部材及び固定部材の構成を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係る絶縁部材を固定部材でサイドプレートに固定した構成を示す断面図である。
図6A】実施の形態の変形例1に係る絶縁部材を固定部材でサイドプレートに固定した構成を示す断面図である。
図6B】実施の形態の変形例1に係る絶縁部材を固定部材でサイドプレートに固定した構成を示す断面図である。
図7A】実施の形態の変形例2に係る絶縁部材をサイドプレートに配置した構成を示す断面図である。
図7B】実施の形態の変形例2に係る絶縁部材をサイドプレートに配置した構成を示す断面図である。
図8A】実施の形態の変形例3に係る絶縁部材を固定部材でサイドプレートに固定した構成を示す断面図である。
図8B】実施の形態の変形例3に係る絶縁部材を固定部材でサイドプレートに固定した構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、前記サイドプレートは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において前記蓄電素子と対向するプレート突出部と、を有し、前記絶縁部材は、前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記プレート突出部の間に配置される絶縁突出部と、を有し、前記蓄電装置は、前記絶縁突出部を前記プレート突出部に固定する固定部材を備える。
【0012】
これによれば、蓄電装置において、絶縁部材は、絶縁本体部から第一方向に突出し、かつ、第二方向において蓄電素子とサイドプレートのプレート突出部との間に配置される絶縁突出部を有し、絶縁突出部をプレート突出部に固定する固定部材が配置される。このように、固定部材で絶縁突出部をプレート突出部に固定することで、絶縁突出部をプレート突出部に対して所定位置で固定できる。このため、蓄電素子及びプレート突出部の間の絶縁を確保するために、絶縁突出部がプレート突出部に対してずれたりして正確な位置に配置されないことを考慮して、絶縁突出部の突出量を長く形成しておくような必要がない。これにより、絶縁突出部の突出量が長くなるのを抑制できるため、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0013】
前記固定部材は、前記第二方向において前記絶縁突出部及び前記プレート突出部を挟むことで、前記絶縁突出部を前記プレート突出部に固定してもよい。
【0014】
これによれば、固定部材を、絶縁部材の絶縁突出部とサイドプレートのプレート突出部とを挟む構成とすることで、絶縁突出部をプレート突出部に容易に固定できる。これにより、絶縁突出部の突出量が長くなるのを容易に抑制できるため、蓄電装置の省スペース化(小型化)を容易に図ることができる。
【0015】
前記絶縁突出部は、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出する第一部と、前記第一部から前記第二方向に曲がる第二部と、を有してもよい。
【0016】
これによれば、絶縁部材の絶縁突出部において、絶縁本体部から第一方向に突出する第一部から第二方向に曲がる第二部を設けることで、絶縁突出部の第一方向への突出量が長くなるのを抑制できる。これにより、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0017】
前記第二部は、前記第一部から前記第二方向における前記蓄電素子に向く向きに曲がってもよい。
【0018】
これによれば、絶縁部材の絶縁突出部において、第二部を蓄電素子に向く向きに曲げることで、第二方向において、絶縁突出部が蓄電素子から離れる方向に突出するのを抑制できる。これにより、第二方向においても、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0019】
前記絶縁突出部は、前記第二部に接続される先端部をさらに有し、前記先端部は、前記プレート突出部よりも、前記第二方向における前記蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置されてもよい。
【0020】
これによれば、絶縁部材の絶縁突出部において、先端部を、プレート突出部よりも、蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置することで、第二方向において、絶縁突出部がプレート突出部よりも突出するのを抑制できる。これにより、第二方向においても、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。絶縁突出部の先端部を、プレート突出部よりも突出しない位置に配置することで、絶縁突出部が他の部材と干渉して破損等損傷するのも抑制できる。絶縁突出部が損傷するのを抑制できれば、絶縁突出部を損傷させないように厚く形成する必要がないため、絶縁突出部の厚みを薄くできる。これによっても、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0021】
前記絶縁突出部は、前記第二方向において前記プレート突出部を挟むように配置されてもよい。
【0022】
これによれば、絶縁部材の絶縁突出部を、プレート突出部を挟むように配置することで、絶縁突出部によって、蓄電素子及びプレート突出部を効果的に絶縁できる。これにより、蓄電素子及びプレート突出部を効果的に絶縁しつつ、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0023】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子の側方に配置されるサイドプレートと、前記蓄電素子及び前記サイドプレートの間に配置される絶縁部材と、を備える蓄電装置であって、前記サイドプレートは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向するプレート本体部と、前記プレート本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向の両側において前記蓄電素子と対向する一対のプレート突出部と、を有し、前記絶縁部材は、前記蓄電素子及び前記プレート本体部の間に配置される絶縁本体部と、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において前記蓄電素子及び前記一対のプレート突出部の間に配置される一対の絶縁突出部と、を有し、前記一対の絶縁突出部の一方は、前記一対のプレート突出部の一方に取り付けられ、前記一対の絶縁突出部の他方は、前記絶縁本体部から前記第一方向に突出する第一部と、前記第一部から前記第二方向に曲がる第二部と、前記第二部に接続される先端部と、を有し、前記先端部は、前記プレート突出部よりも、前記第二方向における前記蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置される。
【0024】
蓄電装置において、絶縁部材の一対の絶縁突出部の一方を、サイドプレートの一対のプレート突出部の一方に取り付ける場合、一対の絶縁突出部の他方において、クリアランスを確保するために、突出量を長くする必要がある場合がある。絶縁突出部の突出量が長いと、省スペース化(小型化)を図ることができないおそれがある。したがって、一対の絶縁突出部の他方において、絶縁本体部から第一方向に突出する第一部から第二方向に曲がる第二部を設ける。また、第二部に接続される先端部を、プレート突出部よりも、第二方向における蓄電素子から離れる方向に突出しない位置に配置する。これにより、絶縁突出部の第一方向への突出量が長くなるのを抑制でき、かつ、第二方向においても絶縁突出部が蓄電素子から離れる方向に突出するのを抑制できるため、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。絶縁突出部の先端部を、プレート突出部よりも突出しない位置に配置することで、絶縁突出部が他の部材と干渉して破損等損傷するのも抑制できる。絶縁突出部が損傷するのを抑制できれば、絶縁突出部を損傷させないように厚く形成する必要がないため、絶縁突出部の厚みを薄くできる。これによっても、蓄電装置の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0026】
以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における一対の電極端子の並び方向、1つの蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向、一対のサイドプレートの並び方向、または、一対の絶縁部材の並び方向を、X軸方向と定義する。複数の蓄電素子の並び方向、複数のスペーサの並び方向、一対のエンドプレートの並び方向、蓄電素子とスペーサとエンドプレートとの並び方向、1つの蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、または、蓄電素子、スペーサ若しくはエンドプレートの厚み方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の容器の容器本体と蓋体との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0027】
以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。以下では、X軸方向を第一方向とも呼び、Z軸方向を第二方向とも呼ぶ場合がある。平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0028】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0029】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0030】
図1及び図2に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子100と、複数のスペーサ200と、一対のエンドプレート400と、一対のサイドプレート500と、一対の絶縁部材600と、一対の固定部材700と、を備えている。蓄電装置10は、蓄電素子100同士を直列または並列に接続するバスバーも備えているが、図示及び説明は省略する。蓄電装置10は、上記の構成要素の他、上記バスバーの位置決めを行うバスバーフレーム、上記の構成要素を収容する外装体、外部のバスバー等と接続される外部端子、並びに、蓄電素子100の充電状態及び放電状態等を監視または制御する回路基板、ヒューズ、リレー及びコネクタ等の電気機器等を備えていてもよい。
【0031】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子100がY軸方向に並んで配列されている。蓄電素子100の大きさ、形状、及び、配列される蓄電素子100の個数等は限定されず、例えば1つの蓄電素子100しか配置されていなくてもよい。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。蓄電素子100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0032】
スペーサ200は、蓄電素子100に隣接して配置され、蓄電素子100と他の部材とを絶縁する板状の部材である。スペーサ200は、蓄電素子100のY軸プラス方向またはY軸マイナス方向に配置されて、隣り合う2つの蓄電素子100の間、及び、端部の蓄電素子100とエンドプレート400との間を絶縁する。スペーサ200は、蓄電素子100の短側面(後述の短側面112)、底面(後述の底面113)のX軸方向両端部、及び、上面(後述の蓋体130)のX軸方向両端部も覆うように配置される。本実施の形態では、8個の蓄電素子100に対応して9個のスペーサ200が配置されているが、スペーサ200の配置位置及び個数等は、特に限定されない。スペーサ200は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、絶縁塗装をした金属、または、ダンマ材等の断熱性を有する部材等により形成されている。
【0033】
エンドプレート400及びサイドプレート500は、複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)において、蓄電素子100を外方から圧迫(拘束)する拘束部材である。つまり、エンドプレート400及びサイドプレート500は、複数の蓄電素子100を当該並び方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を当該並び方向の両側から圧迫(拘束)する。エンドプレート400及びサイドプレート500は、強度確保の観点等から、鋼またはステンレス等の金属製の部材で形成されているが、その材質は特に限定されず、例えば、強度の高い絶縁性の部材で形成されていてもよいし、金属製の部材に絶縁処理が施されていてもよい。
【0034】
エンドプレート400は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のY軸方向両側に配置され、当該複数の蓄電素子100等を、これらの並び方向(Y軸方向)の両側から挟み込んで保持する板状(扁平なブロック状)の拘束部材である。一対のエンドプレート400は、Y軸方向(蓄電素子100が有する電極体の極板の積層方向)において複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を挟む位置に配置されて、これらを拘束する。
【0035】
サイドプレート500は、X軸方向(第一方向)において複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200の側方に配置される、板状かつ長尺状の拘束部材である。具体的には、サイドプレート500は、X軸方向において、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200とで絶縁部材600を挟むように、絶縁部材600の側方に配置される。サイドプレート500は、両端が一対のエンドプレート400に取り付けられて、一対のエンドプレート400を繋ぐことで、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を拘束する。サイドプレート500は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を跨ぐようにY軸方向に延設されて配置され、当該複数の蓄電素子100等に対してこれらの並び方向(Y軸方向)における拘束力を付与する。
【0036】
本実施の形態では、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のX軸方向両側に、一対のサイドプレート500が配置される。一対のサイドプレート500は、それぞれが、Y軸方向両端部において、一対のエンドプレート400のX軸方向端部に取り付けられる。これにより、一対のサイドプレート500は、一対のエンドプレート400とともに、当該複数の蓄電素子100等をX軸方向の両側及びY軸方向の両側から挟み込んで拘束する。具体的には、サイドプレート500は、Z軸方向に並ぶ複数(本実施の形態では、3つ)の接続部材500aによって、エンドプレート400に接続(接合)される。本実施の形態では、接続部材500aは、ボルト(ネジ)であり、エンドプレート400に形成された雌ネジ部と螺合により締結される。サイドプレート500のエンドプレート400への接続(接合)は、ボルト(ネジ)による固定には限定されず、溶接または接着等で接合されてもよい。
【0037】
サイドプレート500は、プレート本体部510と、一対のプレート突出部520及び530と、を有している(図2及び図5等参照)。プレート本体部510は、X軸方向(第一方向)において蓄電素子100と対向して配置される部位である。具体的には、プレート本体部510は、後述する絶縁部材600の絶縁本体部610とX軸方向において対向して配置され、Y軸方向に延設されるYZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部位である。つまり、プレート本体部510は、X軸方向において、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200とで、絶縁本体部610を挟む位置に配置される。プレート本体部510は、絶縁本体部610に、X軸方向で当接した状態で配置される。
【0038】
一対のプレート突出部520及び530は、プレート本体部510からX軸方向(第一方向)に突出し、かつ、Z軸方向(第一方向と交差する第二方向)の両側において蓄電素子100と対向する部位である。具体的には、プレート突出部520は、プレート本体部510のZ軸プラス方向の端部から蓄電素子100に向けてX軸方向に突出し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位であり、蓄電素子100のZ軸プラス方向に配置される。本実施の形態では、プレート突出部520は、Z軸方向において、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200とで、後述する絶縁部材600の絶縁突出部620を挟む位置に配置される。具体的には、プレート突出部520は、絶縁突出部620に、X軸方向から挿入され嵌合されて取り付けられた状態で配置される(図5等参照)。
【0039】
プレート突出部530は、プレート本体部510のZ軸マイナス方向の端部から蓄電素子100に向けてX軸方向に突出し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位であり、蓄電素子100のZ軸マイナス方向に配置される。本実施の形態では、プレート突出部530は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200とで、後述する絶縁部材600の絶縁突出部630を挟む位置に配置される。具体的には、プレート突出部530は、絶縁突出部630に、X軸方向から挿入され嵌合されて取り付けられた状態で配置される(図5等参照)。プレート突出部530は、プレート突出部520よりも、X軸方向における長さが長い。
【0040】
絶縁部材600は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のX軸方向両側に配置され、かつ、Y軸方向に延設される板状かつ長尺状の絶縁部材(インシュレータ)である。絶縁部材600は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を跨ぐように、当該複数の蓄電素子100等とサイドプレート500との間に配置される。これにより、絶縁部材600は、複数の蓄電素子100とサイドプレート500とを絶縁する。絶縁部材600は、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもよく、例えば、スペーサ200に使用可能ないずれかの絶縁性の部材で形成できる。本実施の形態では、絶縁部材600は、コンマ数mm程度の厚みの薄い部材(薄膜フィルム)である。
【0041】
絶縁部材600は、絶縁本体部610と、一対の絶縁突出部620及び630と、を有している(図2及び図4等参照)。絶縁本体部610は、蓄電素子100及びプレート本体部510の間に配置され、Y軸方向に延設されるYZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部位である。具体的には、絶縁本体部610は、X軸方向において、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200とプレート本体部510との間に配置される。絶縁本体部610は、Z軸方向(第二方向)における蓄電素子100の中央部(短側面112の中央部(中心を含む部位))に、X軸方向で対向する位置に配置される。具体的には、絶縁本体部610は、蓄電素子100の短側面112のZ軸方向における一端から他端までに亘って、X軸方向で対向する位置に配置される。絶縁本体部610は、複数のスペーサ200のX軸方向の側壁に、X軸方向で当接した状態で配置されるが、スペーサ200の形状等によっては、絶縁本体部610は、蓄電素子100の短側面112に当接した状態で配置されてもよい。
【0042】
一対の絶縁突出部620及び630は、絶縁本体部610からX軸方向(第一方向)に突出し、かつ、Z軸方向(第二方向)において蓄電素子100と一対のプレート突出部520及び530との間に配置される部位である。具体的には、絶縁突出部620は、絶縁本体部610のZ軸プラス方向の端部から蓄電素子100に向けてX軸方向に突出し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ板状の部位である。絶縁突出部620は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸プラス方向において、複数のスペーサ200のX軸方向端部のZ軸プラス方向の上壁に、Z軸方向で当接した状態で配置される。絶縁突出部630は、絶縁本体部610のZ軸マイナス方向の端部から蓄電素子100に向けてX軸方向に突出し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ板状の部位である。絶縁突出部630は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸マイナス方向に配置される。絶縁突出部630は、絶縁突出部620よりも、X軸方向における長さが長い。絶縁部材600(絶縁突出部620及び630)の構成のさらに詳細な説明については、後述する。
【0043】
固定部材700は、絶縁部材600をサイドプレート500に固定する部材である。一対の絶縁部材600及び一対のサイドプレート500に対応して、一対の固定部材700が配置されている。具体的には、固定部材700は、絶縁突出部630及びプレート突出部530に沿ってY軸方向に延設される、XY平面に平行な扁平かつ長尺状の部材であり、絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する。固定部材700は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸マイナス方向において、複数のスペーサ200のX軸方向端部のZ軸マイナス方向の底壁に当接した状態で配置される。固定部材700は、どのような材質で形成されていてもよいが、例えば、スペーサ200に使用可能ないずれかの絶縁性の部材等で形成できる。固定部材700の構成の詳細な説明については、後述する。
【0044】
[2 蓄電素子100の説明]
次に、蓄電素子100の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る蓄電素子100の構成を示す斜視図である。図3は、図2に示した複数の蓄電素子100のうちの1つの蓄電素子100の外観を拡大して示している。当該複数の蓄電素子100は、全て同様の構成を有しているため、以下では、1つの蓄電素子100の構成について詳細に説明する。
【0045】
図3に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極側及び負極側)の電極端子140と、上部ガスケット150と、を備えている。容器110の内方には、下部ガスケット、電極体、一対(正極側及び負極側)の集電体、及び、電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0046】
蓄電素子100は、上記の構成要素の他、電極体の側方または下方等に配置されるスペーサ、及び、電極体等を包み込む絶縁フィルム等を有していてもよい。さらに、容器110の周囲には、容器110の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)が配置されていてもよい。当該絶縁フィルムの材質は、蓄電素子100に必要な絶縁性を確保できるものであれば特に限定されないが、例えば、PC、PP、PE、PPS、PET、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂、エポキシ樹脂、カプトン(登録商標)、テフロン(登録商標)、シリコン、ポリイソプレン、及びポリ塩化ビニル等を例示することができる。
【0047】
容器110は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の当該開口を閉塞する蓋体130と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体120は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。蓋体130は、容器110の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体120のZ軸プラス方向にX軸方向に延設されて配置されている。容器110(蓋体130)には、容器110内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。容器110(容器本体120及び蓋体130)の材質は、特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0048】
容器110は、電極体等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と蓋体130とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。容器110は、Y軸方向両側の側面に一対の長側面111を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面112を有し、Z軸マイナス方向側に底面113を有している。長側面111は、容器110の長側面を形成する矩形状の平面部であり、隣り合うスペーサ200とY軸方向において対向して配置される。長側面111は、短側面112及び底面113に隣接し、短側面112よりも面積が大きい。短側面112は、容器110の短側面を形成する矩形状の平面部であり、サイドプレート500及び絶縁部材600とX軸方向において対向して配置される。短側面112は、長側面111及び底面113に隣接し、長側面111よりも面積が小さい。底面113は、容器110の底面を形成する矩形状の平面部であり、長側面111及び短側面112に隣接して配置される。
【0049】
電極端子140は、蓋体130に配置される蓄電素子100の端子部材(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子140は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子140は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで形成されている。
【0050】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がY軸方向に積層されて形成されている。なお、電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0051】
集電体は、電極端子140と電極体とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0052】
上部ガスケット150は、蓋体130と電極端子140との間に配置され、蓋体130と電極端子140との間を絶縁し、かつ封止するガスケットである。下部ガスケットは、蓋体130と集電体との間に配置され、蓋体130と集電体との間を絶縁し、かつ封止するガスケットである。上部ガスケット150及び下部ガスケットは、絶縁性を有していればどのような素材で形成されていてもよい。
【0053】
[3 絶縁部材600及び固定部材700の説明]
次に、絶縁部材600及び固定部材700の構成について、詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る絶縁部材600及び固定部材700の構成を示す斜視図である。具体的には、図4の(a)は、図2に示した一対の絶縁部材600及び一対の固定部材700のうちの、X軸プラス方向の絶縁部材600及び固定部材700を拡大して示す斜視図である。図4の(b)は、図4の(a)に示した絶縁部材600及び固定部材700を、Z軸まわりに180°回転させた状態での構成を示す斜視図である。
【0054】
図5は、本実施の形態に係る絶縁部材600を固定部材700でサイドプレート500に固定した構成を示す断面図である。具体的には、図5の(a)は、サイドプレート500、絶縁部材600及び固定部材700以外の構成要素は省略し、絶縁部材600をサイドプレート500に固定した状態を、XZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示している。図5の(a)では、図2に示した一対の絶縁部材600及び一対のサイドプレート500のうちの、X軸プラス方向の絶縁部材600及びサイドプレート500を組み付けた状態を示している。図5の(b)は、図5の(a)に示した構成のZ軸プラス方向の端部を拡大して示し、図5の(c)は、図5の(a)に示した構成のZ軸マイナス方向の端部を拡大して示している。
【0055】
図2に示した一対のサイドプレート500、一対の絶縁部材600及び一対の固定部材700のうちの、X軸プラス方向の構成とX軸マイナス方向の構成とは、YZ平面に対して面対称の形状を有している。このため、以下では、図4及び図5に示したようにX軸プラス方向の構成を中心に説明し、X軸マイナス方向の構成については、説明を簡略化または省略する。
【0056】
上述の通り、絶縁部材600は、絶縁本体部610と一対の絶縁突出部620及び630とを有しているが、以下では、一対の絶縁突出部620及び630について詳細に説明する。図4及び図5に示すように、絶縁突出部620は、第一部621と、第二部622と、先端部623と、を有している。
【0057】
第一部621は、絶縁本体部610からX軸方向(第一方向)に突出する部位である。具体的には、第一部621は、絶縁本体部610のZ軸プラス方向の端部からX軸マイナス方向(蓄電素子100に向く方向)に突出し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。第一部621は、サイドプレート500のプレート突出部520のZ軸マイナス方向、かつ、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸プラス方向に配置される。そして、第一部621は、プレート突出部520のZ軸マイナス方向の面、及び、複数のスペーサ200のX軸プラス方向端部のZ軸プラス方向の上壁に、Z軸方向で当接した状態で配置される。スペーサ200の形状等によっては、第一部621は、蓄電素子100の容器110の蓋体130のX軸プラス方向端部に当接した状態で配置されてもよい。
【0058】
第二部622は、第一部621からZ軸方向(第二方向)に曲がる部位である。具体的には、第二部622は、第一部621のX軸マイナス方向端部(蓄電素子100側の端部)からZ軸プラス方向に曲がってZ軸プラス方向に延び、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。第二部622は、サイドプレート500のプレート突出部520のX軸マイナス方向に配置される。本実施の形態では、第二部622は、プレート突出部520のX軸マイナス方向の端面に当接した状態で配置されるが、当接しなくてもよい。
【0059】
先端部623は、第二部622に接続される、絶縁突出部620の先端部分である。具体的には、先端部623は、第二部622のZ軸プラス方向端部からX軸プラス方向(X軸方向において蓄電素子100から離れる方向)に曲がってX軸プラス方向に延び、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ板状の部位である。本実施の形態では、先端部623は、X軸プラス方向の先端がZ軸プラス方向に湾曲した形状を有している。さらに、先端部623は、Z軸マイナス方向に突出する凸部623aを有している。凸部623aは、先端部623のZ軸マイナス方向の面がZ軸マイナス方向に突出し、かつ、先端部623のZ軸プラス方向の面がZ軸マイナス方向に凹む膨出部である。先端部623には、Y軸方向に並ぶ複数(本実施の形態では、5個)の凸部623aが配置されている。先端部623は、サイドプレート500のプレート突出部520のZ軸プラス方向に配置され、かつ、凸部623aがプレート突出部520のZ軸プラス方向の面に当接した状態で配置される。
【0060】
このように、絶縁突出部620は、Z軸方向(第二方向)においてプレート突出部520を挟むように配置される。つまり、絶縁突出部620は、絶縁本体部610のZ軸プラス方向端部からX軸マイナス方向に突出し、Z軸プラス方向に折れ曲がり、かつ、X軸プラス方向に折れ曲がった、Y軸マイナス方向から見て略C字状の形状を有している。これにより、絶縁突出部620には、X軸マイナス方向に凹む凹部が形成され、この凹部に、プレート突出部520が挿入されて嵌合され、絶縁突出部620がプレート突出部520に取り付けられる。絶縁突出部620は、先端部623のX軸プラス方向の先端がZ軸プラス方向に湾曲しているため、プレート突出部520を挿入しやすい形状となっている。
【0061】
絶縁突出部630についても、絶縁突出部620と同様の構成を有している。つまり、絶縁突出部630は、第一部631と、第二部632と、先端部633と、を有している。
【0062】
第一部631は、絶縁本体部610からX軸方向(第一方向)に突出する部位である。具体的には、第一部631は、絶縁本体部610のZ軸マイナス方向の端部からX軸マイナス方向(蓄電素子100に向く方向)に突出し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。第一部631は、サイドプレート500のプレート突出部530のZ軸プラス方向に配置され、かつ、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸マイナス方向に配置される。そして、第一部631は、プレート突出部530のZ軸プラス方向の面に、Z軸方向で当接した状態で配置される。
【0063】
第二部632は、第一部631からZ軸方向(第二方向)に曲がる部位である。具体的には、第二部632は、第一部631のX軸マイナス方向端部(蓄電素子100側の端部)からZ軸マイナス方向に曲がってZ軸マイナス方向に延び、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。第二部632は、サイドプレート500のプレート突出部530のX軸マイナス方向に配置される。本実施の形態では、第二部632は、プレート突出部530のX軸マイナス方向の端面に当接した状態で配置されるが、当接しなくてもよい。
【0064】
先端部633は、第二部632に接続される、絶縁突出部630の先端部分である。具体的には、先端部633は、第二部632のZ軸マイナス方向端部からX軸プラス方向(X軸方向において蓄電素子100から離れる方向)に曲がってX軸プラス方向に延び、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。さらに、先端部633は、Z軸プラス方向に突出する凸部633aを有している。凸部633aは、先端部633のZ軸プラス方向の面がZ軸プラス方向に突出し、かつ、先端部633のZ軸マイナス方向の面がZ軸プラス方向に凹む膨出部である。先端部633には、Y軸方向に並ぶ複数(本実施の形態では、5個)の凸部633aが配置されている。先端部633は、サイドプレート500のプレート突出部530のZ軸マイナス方向に配置され、かつ、凸部633aがプレート突出部530のZ軸マイナス方向の面に当接した状態で配置される。
【0065】
このように、絶縁突出部630は、Z軸方向(第二方向)においてプレート突出部530を挟むように配置される。つまり、絶縁突出部630は、絶縁本体部610のZ軸マイナス方向端部からX軸マイナス方向に突出し、Z軸マイナス方向に折れ曲がり、かつ、X軸プラス方向に折れ曲がった、Y軸マイナス方向から見て略C字状の形状を有している。これにより、絶縁突出部630には、X軸マイナス方向に凹む凹部が形成され、この凹部に、プレート突出部530が挿入されて嵌合され、絶縁突出部630がプレート突出部530に取り付けられる。
【0066】
固定部材700は、第一壁部710と、繋ぎ部720と、第二壁部730と、を有している。第一壁部710は、第二壁部730のZ軸プラス方向に、第二壁部730とZ軸方向で対向して配置され、XY平面に平行かつY軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。本実施の形態では、第一壁部710は、X軸プラス方向の先端がZ軸プラス方向に折れ曲がった形状を有している。第一壁部710は、Z軸方向において、プレート突出部530とで絶縁突出部630の第一部631を挟む位置に、第一部631に当接した状態で配置される。つまり、第一壁部710は、第一部631のZ軸プラス方向、かつ、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸マイナス方向に配置される。そして、第一壁部710は、第一部631のZ軸プラス方向の面、及び、複数のスペーサ200のX軸プラス方向端部のZ軸マイナス方向の底壁に、Z軸方向で当接した状態で配置される。スペーサ200の形状等によっては、第一壁部710は、蓄電素子100の容器110の底面113のX軸プラス方向端部に当接した状態で配置されてもよい。
【0067】
第二壁部730は、第一壁部710のZ軸マイナス方向に、第一壁部710とZ軸方向で対向して配置され、XY平面に略平行かつY軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。本実施の形態では、第二壁部730は、X軸プラス方向の先端のZ軸プラス方向の角部が面取りされて傾斜面になっている。第二壁部730は、Z軸方向において、プレート突出部530とで絶縁突出部630の先端部633を挟む位置に、先端部633に当接した状態で配置される。本実施の形態では、第二壁部730は、X軸方向における長さが、第一壁部710よりも長く、先端部633よりも短い。これにより、先端部633のZ軸マイナス方向への移動を規制できる範囲において、第二壁部730の大きさを抑制することで、省スペース化を図ることができる。
【0068】
繋ぎ部720は、第一壁部710及び第二壁部730のX軸マイナス方向に配置され、第一壁部710のX軸マイナス方向端部と第二壁部730のX軸マイナス方向端部とを繋ぐ部位である。繋ぎ部720は、Y軸方向から見て円弧形状(半円形状)に湾曲し、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ曲板状の部位である。繋ぎ部720は、X軸方向において、プレート突出部530とで絶縁突出部630の第二部632を挟む位置に、第二部632とは離間した状態で配置されるが、第二部632に当接した状態で配置されてもよい。
【0069】
繋ぎ部720は、第一壁部710及び第二壁部730をプレート突出部530及び絶縁突出部630に向けて付勢する付勢力を付与する。つまり、第一壁部710及び第二壁部730の間にプレート突出部530及び絶縁突出部630が挿入されることで、第一壁部710及び第二壁部730の間の距離が大きくなり、繋ぎ部720が変形する。この繋ぎ部720の変形が戻ろうとする力によって、第一壁部710及び第二壁部730がプレート突出部530及び絶縁突出部630に向けて付勢されて、固定部材700が絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する。
【0070】
このように、固定部材700は、Z軸方向(第二方向)において絶縁突出部630及びプレート突出部530を挟むことで、絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する、Y軸方向から見て略C字状のクリップ型の部材である。固定部材700は、第一壁部710のX軸プラス方向の先端がZ軸プラス方向に折れ曲がり、かつ、第二壁部730のX軸プラス方向の先端のZ軸プラス方向の角部が面取りされているため、絶縁突出部630及びプレート突出部530を挿入しやすい形状となっている。本実施の形態では、固定部材700は、Y軸方向において、絶縁突出部630の一端部から他端部に亘って、連続的に絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する。なお、複数の固定部材700がY軸方向に並んで配置されて、複数の固定部材700が断続的に絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する構成でもよい。
【0071】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、絶縁部材600は、絶縁本体部610からX軸方向(第一方向)に突出し、かつ、Z軸方向(第二方向)において蓄電素子100とサイドプレート500のプレート突出部530との間に配置される絶縁突出部630を有している。この構成において、絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する固定部材700が配置される。このように、固定部材700で絶縁突出部630をプレート突出部530に固定することで、絶縁突出部630をプレート突出部530に対して所定位置で固定できる。このため、蓄電素子100及びプレート突出部530の間の絶縁を確保するために、絶縁突出部630がプレート突出部530に対してずれたりして正確な位置に配置されないことを考慮して、絶縁突出部630の突出量を長く形成しておくような必要がない。これにより、絶縁突出部630の突出量(X軸方向の長さ)が長くなるのを抑制できるため、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0072】
固定部材700を、絶縁部材600の絶縁突出部630とサイドプレート500のプレート突出部530とを挟む構成とすることで、絶縁突出部630をプレート突出部530に容易に固定できる。これにより、絶縁突出部630の突出量が長くなるのを容易に抑制できるため、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を容易に図ることができる。
【0073】
絶縁部材600の絶縁突出部630において、絶縁本体部610からX軸方向(第一方向)に突出する第一部631からZ軸方向(第二方向)に曲がる第二部632を設けることで、絶縁突出部630のX軸方向(第一方向)への突出量が長くなるのを抑制できる。これにより、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0074】
絶縁部材600の絶縁突出部630を、プレート突出部530を挟むように配置することで、絶縁突出部630によって、蓄電素子100及びプレート突出部530を効果的に絶縁できる。これにより、蓄電素子100及びプレート突出部530を効果的に絶縁しつつ、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0075】
[5 変形例の説明]
以上、本実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0076】
(変形例1)
上記実施の形態の変形例1について、説明する。図6A及び図6Bは、本実施の形態の変形例1に係る絶縁部材600を固定部材700でサイドプレート500に固定した構成を示す断面図である。図6A及び図6Bは、図5の(c)に対応する図である。
【0077】
本変形例においては、絶縁部材600は、上記実施の形態における絶縁突出部630に代えて、図6Aに示すように絶縁突出部630aを有している、または、図6Bに示すように絶縁突出部630bを有している。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0078】
図6Aに示すように、絶縁突出部630aは、第一部631と、第二部632aと、先端部633bと、を有している。第一部631は、上記実施の形態における第一部631と同様の構成を有している。第二部632aは、第一部631からZ軸方向(第二方向)における蓄電素子100に向く向きに曲がる部位である。具体的には、第二部632aは、第一部631のX軸マイナス方向端部(蓄電素子100側の端部)からZ軸プラス方向に曲がり、その後、X軸プラス方向に曲がった、Y軸方向に延設される長尺状かつ湾曲状の部位である。
【0079】
先端部633bは、第二部632aのZ軸プラス方向端部からX軸プラス方向に延び、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。先端部633bは、第一部631のZ軸プラス方向かつ固定部材700の第一壁部710のZ軸マイナス方向において、第一部631及び第一壁部710に挟まれた状態で配置される。つまり、絶縁突出部630aは、先端部633bと第一部631とが重ねられた(折り畳まれた)状態で、第一壁部710とプレート突出部530とに挟まれて配置される。先端部633bは、上記実施の形態における凸部633aと同様の、Z軸プラス方向またはZ軸マイナス方向に突出する凸部を有していてもよい。
【0080】
図6Bに示すように、絶縁突出部630bは、第一部631と、第二部632bと、先端部633cと、を有している。第一部631は、上記実施の形態における第一部631と同様の構成を有している。第二部632bは、第一部631のX軸マイナス方向端部からZ軸マイナス方向に曲がり、その後、X軸プラス方向に曲がった、Y軸方向に延設される長尺状かつ湾曲状の部位である。
【0081】
先端部633cは、第二部632bのZ軸マイナス方向端部からX軸プラス方向に延び、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の部位である。先端部633cは、第一部631のZ軸マイナス方向かつプレート突出部530のZ軸プラス方向において、第一部631及びプレート突出部530に挟まれた状態で配置される。つまり、絶縁突出部630bは、先端部633cと第一部631とが重ねられた(折り畳まれた)状態で、第一壁部710とプレート突出部530とに挟まれて配置される。先端部633cは、上記実施の形態における凸部633aと同様の、Z軸プラス方向またはZ軸マイナス方向に突出する凸部を有していてもよい。
【0082】
このように、先端部633b及び633cは、プレート突出部530よりも、Z軸方向(第二方向)における蓄電素子100から離れる方向(Z軸マイナス方向)に突出しない位置に配置される。具体的には、先端部633b及び633cは、プレート突出部530よりもZ軸プラス方向に配置される。これにより、絶縁突出部630a及び630bは、プレート突出部530よりもZ軸プラス方向に配置される。
【0083】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置10によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。蓄電装置10において、絶縁部材600の絶縁突出部620を、サイドプレート500のプレート突出部520に取り付ける場合、他方の絶縁突出部において、クリアランスを確保するために、突出量を長くする必要がある場合がある。当該他方の絶縁突出部の突出量が長いと、省スペース化(小型化)を図ることができないおそれがある。したがって、絶縁突出部630a及び630bにおいて、絶縁本体部610からX軸方向(第一方向)に突出する第一部631からZ軸方向(第二方向)に曲がる第二部632a及び632bを設ける。また、第二部632a及び632bに接続される先端部633b及び633cを、プレート突出部530よりも、Z軸方向(第二方向)における蓄電素子100から離れる方向(Z軸マイナス方向)に突出しない位置に配置する。これにより、絶縁突出部630a及び630bのX軸方向(第一方向)への突出量が長くなるのを抑制でき、かつ、Z軸方向(第二方向)においても絶縁突出部630a及び630bが蓄電素子100から離れる方向に突出するのを抑制できる。このため、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0084】
絶縁突出部630a及び630bの先端部633b及び633cを、プレート突出部530よりも突出しない位置に配置することで、絶縁突出部630a及び630bが他の部材と干渉して破損等損傷するのも抑制できる。絶縁突出部630a及び630bが損傷するのを抑制できれば、絶縁突出部630a及び630bを損傷させないように厚く形成する必要がないため、絶縁突出部630a及び630bの厚みを薄くできる。これによっても、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0085】
絶縁部材600の絶縁突出部630aにおいて、第二部632aを蓄電素子100に向く向き(Z軸プラス方向)に曲げることで、Z軸方向(第二方向)において、絶縁突出部630aが蓄電素子100から離れる方向に突出するのを抑制できる。これにより、蓄電装置10の省スペース化(小型化)を図ることができる。第二部632aを蓄電素子100に向く向き(Z軸プラス方向)に曲げることにより、第二部632bを蓄電素子100から離れる向き(Z軸マイナス方向)に曲げる場合よりも、固定部材700に絶縁突出部630aを挿入しやすくなる。
【0086】
上記変形例において、先端部633bまたは633cが、プレート突出部530のX軸マイナス方向に配置される等により、Z軸方向においてプレート突出部530と同じ位置に配置されてもよい。これによっても、先端部633bまたは633cが、プレート突出部530よりもZ軸マイナス方向に突出しない位置に配置されるため、上記と同様の効果を奏することができる。
【0087】
(変形例2)
上記実施の形態の変形例2について、説明する。図7A及び図7Bは、本実施の形態の変形例2に係る絶縁部材600をサイドプレート500に配置した構成を示す断面図である。図7A及び図7Bは、図6A及び図6Bに対応する図である。
【0088】
図7A及び図7Bに示すように、本変形例においては、上記変形例1における固定部材700が配置されていない。本変形例のその他の構成については、上記変形例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。つまり、本変形例では、上記変形例1と同様に、絶縁突出部630a及び630bに、第一部631からZ軸方向に曲がる第二部632a及び632bを設け、先端部633b及び633cを、プレート突出部530よりもZ軸マイナス方向に突出しない位置に配置する。
【0089】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置10によれば、上記変形例1と同様の効果を奏することができる。
【0090】
(変形例3)
上記実施の形態の変形例3について、説明する。図8A及び図8Bは、本実施の形態の変形例3に係る絶縁部材600を固定部材701でサイドプレート500に固定した構成を示す断面図である。図8Aは、図5の(c)に対応する図であり、図8Bは、図6Aに対応する図である。
【0091】
図8A及び図8Bに示すように、本変形例においては、絶縁部材600は、上記実施の形態及び変形例1における固定部材700に代えて、固定部材701でサイドプレート500に固定される。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0092】
図8Aに示すように、固定部材701は、絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する留め具である。具体的には、固定部材701は、Z軸マイナス方向に突出して延びる軸部702を有しており、軸部702が、絶縁突出部630の第一部631及び先端部633とプレート突出部530とを貫通し、絶縁突出部630をプレート突出部530に固定する。固定部材701は、絶縁突出部630及びプレート突出部530のY軸方向における両端部に配置されて、絶縁突出部630をプレート突出部530に固定するが、固定部材701の配置位置及び個数は特に限定されない。
【0093】
図8Bについても同様に、固定部材701は、軸部702を有しており、軸部702が絶縁突出部630aの第一部631及び先端部633bとプレート突出部530とを貫通し、絶縁突出部630aをプレート突出部530に固定する。固定部材701は、軸部702が、図6Bに示した絶縁突出部630bの第一部631及び先端部633cとプレート突出部530とを貫通し、絶縁突出部630bをプレート突出部530に固定してもよい。
【0094】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置10によれば、上記実施の形態または変形例1と同様の効果を奏することができる。固定部材701の形状は、本変形例に示した以外にも、種々の形状を取り得る。
【0095】
(その他の変形例)
上記実施の形態において、絶縁部材600の絶縁突出部630は、先端部633、または、第二部632及び先端部633を有していなくてもよい。これにより、絶縁突出部630がプレート突出部530よりもZ軸マイナス方向に突出するのを抑制できるため、上記変形例1と同様の効果を奏することができる。絶縁突出部620についても同様に、先端部623、または、第二部622及び先端部623を有していなくてもよい。
【0096】
上記実施の形態では、絶縁部材600は、一対の絶縁突出部620及び630を有していることとしたが、絶縁突出部620を有していなくてもよい。同様に、サイドプレート500は、プレート突出部520を有していなくてもよい。
【0097】
上記実施の形態では、絶縁部材600の絶縁突出部620の先端部623は、凸部623aを有していることとしたが、凸部623aを有していなくてもよい。絶縁突出部630の先端部633についても同様に、凸部633aを有していなくてもよい。
【0098】
上記実施の形態では、固定部材700は、絶縁部材600の絶縁突出部630をサイドプレート500のプレート突出部530に固定することとしたが、絶縁突出部620をプレート突出部520に固定してもよい。
【0099】
上記実施の形態では、サイドプレート500は、一対のエンドプレート400を繋ぐ部材であることとしたが、蓄電素子100の側方に配置される部材であればよく、その構成は特に限定されない。
【0100】
上記実施の形態では、蓄電装置10におけるX軸プラス方向の構成及びX軸マイナス方向の構成の双方が上述した構成を有していることとしたが、いずれかが上述とは異なる構成を有していてもよい。
【0101】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。つまり、上記実施の形態に施すことができる上述の各種変形のうち、上記変形例1~3にも施すことができるものは、上記変形例1~3にも適用してもよい。上記変形例1~3のいずれかの変形例のうち、他の変形例にも施すことができるものは、当該他の変形例にも適用してもよい。
【0102】
本発明は、このような蓄電装置10として実現できるだけでなく、サイドプレート500と絶縁部材600と固定部材との組み合わせ、絶縁部材600と固定部材との組み合わせ、固定部材、サイドプレート500と絶縁部材600との組み合わせ、または、絶縁部材600としても実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0104】
10 蓄電装置
100 蓄電素子
110 容器
140 電極端子
200 スペーサ
400 エンドプレート
500 サイドプレート
510 プレート本体部
520、530 プレート突出部
600 絶縁部材
610 絶縁本体部
620、630、630a、630b 絶縁突出部
621、631 第一部
622、632、632a、632b 第二部
623、633、633b、633c 先端部
623a、633a 凸部
700、701 固定部材
702 軸部
710 第一壁部
720 繋ぎ部
730 第二壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B