(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電システム、ワイヤレス給電システムの送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20251007BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20251007BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20251007BHJP
H04B 5/45 20240101ALI20251007BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/80
H04B1/59
H04B5/45
(21)【出願番号】P 2024551454
(86)(22)【出願日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2023036142
(87)【国際公開番号】W WO2024084967
(87)【国際公開日】2024-04-25
【審査請求日】2024-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2022168780
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 紀和
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
【審査官】三木 景介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-246292(JP,A)
【文献】特開2016-214024(JP,A)
【文献】特表2017-528106(JP,A)
【文献】特表2022-515975(JP,A)
【文献】特開2013-62605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 50/80
H04B 1/59
H04B 5/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置と送電装置とを備え、前記送電装置と前記受電装置との間で電磁界共鳴フィールドを形成してワイヤレス給電を行うとともに、前記電磁界共鳴フィールドを用いて共鳴変調による信号伝達を行うワイヤレス給電システムであって、
前記受電装置は、
内部空間を有する筐体と、
前記内部空間に配置され、前記電磁界共鳴フィールドを形成することでワイヤレス受電を行う受電コイルと、
受電共振回路および前記共鳴変調を実行する共鳴変調回路を備えた受電回路と、
前記受電回路の出力電力を用いて所定の電気回路動作を実行する負荷回路と、
を備え、
前記送電装置は、
前記電磁界共鳴フィールドを形成することでワイヤレス送電を行う送電コイルと、
送電共振回路を有する送電回路と、送電制御回路と、
前記共鳴変調に対応する共鳴復調を実行する共鳴復調回路と、
前記送電回路の入力電流を検出する電流検出回路と、
前記入力電流を調整する電流調整回路と、
を備え、
前記送電装置は、
前記受電回路からの前記共鳴変調による信号を検出できない状態を、前記電流検出回路で検出し、
前記信号を検出できない状態の場合、前記電流調整回路によって前記入力電流を変化させることで、
前記信号を検出できない状態を回避し、前記共鳴復調の実行動作を安定化させる、
ワイヤレス給電システム。
【請求項2】
前記電流調整回路は、前記送電回路に供給する入力電圧を変化させることにより前記入力電流を変化させる、
請求項1に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項3】
前記受電装置の前記筐体は、生体適合材によって構成され、
前記受電装置は、生体の内部に埋め込まれており、
前記送電装置は、前記生体の外部に配置される、
請求項1または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項4】
前記生体適合材は、チタンまたはチタン合金である、
請求項3に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項5】
前記電流調整回路は、前記ワイヤレス送電を行う範囲において、前記入力電流を制御する、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項6】
前記ワイヤレス送電を行う範囲は、前記ワイヤレス送電において、所定の電力値以上となる範囲である、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項7】
前記ワイヤレス給電の周波数は、6.78MHz帯または13.56MHz帯である、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項8】
前記負荷回路は、センシング回路、信号処理回路、無線通信回路を含む、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項9】
前記電流調整回路は、DC-DCコンバータとD-A変換器とを備え、
前記送電制御回路は、前記D-A変換器に設定値を与え、前記DC-DCコンバータの帰還電圧を可変し、入力電圧を調整する、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項10】
前記電流調整回路は、カレントミラーを使った定電流回路を備え、
送電制御回路を用いて入力電流を設定する、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項11】
前記電流検出回路は、
前記入力電流の流れるラインに接続されるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端に発生する電圧から得られる電圧を増幅する電圧増幅アンプと、
で構成される、
請求項1
または請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項12】
受電装置に対して電磁界共鳴フィールドを形成してワイヤレス給電を行うとともに、電磁界共鳴フィールドを用いて共鳴変調による信号伝達を行うワイヤレス給電システムの送電装置であって、
前記電磁界共鳴フィールドを形成することでワイヤレス送電を行う送電コイルと、
送電共振回路を有する送電回路と、送電制御回路と、
前記共鳴変調に対応する共鳴復調を実行する共鳴復調回路と、
前記送電回路の入力電流を検出する電流検出回路と、
前記入力電流を調整する電流調整回路と、
を備え、
前記受電装置からの前記共鳴変調による信号を検出できない状態を、前記電流検出回路で検出し、
前記信号を検出できない状態の場合、前記電流調整回路によって前記入力電流を変化させることで、
前記信号を検出できない状態を回避し、前記共鳴復調の実行動作を安定化させる、
ワイヤレス給電システムの送電装置。
【請求項13】
前記電流調整回路は、前記ワイヤレス送電を行う範囲において、前記入力電流を制御する、
請求項12に記載のワイヤレス給電システムの送電装置。
【請求項14】
前記ワイヤレス送電を行う範囲は、前記ワイヤレス送電において、所定の電力値以上となる範囲である、
請求項12または請求項13に記載のワイヤレス給電システムの送電装置。
【請求項15】
前記ワイヤレス給電の周波数は、6.78MHz帯または13.56MHz帯である、
請求項12
または請求項13に記載のワイヤレス給電システムの送電装置。
【請求項16】
前記電流調整回路は、DC-DCコンバータとD-A変換器と、デジタル制御回路を備え、前記デジタル制御回路は、前記D-A変換器に設定値を与え、前記DC-DCコンバータの帰還電圧を可変し、入力電圧を設定する、
請求項12
または請求項13に記載のワイヤレス給電システムの送電装置。
【請求項17】
前記電流調整回路は、カレントミラーを使った定電流回路を備え、
送電制御回路を用いて入力電流を設定する、
請求項12
または請求項13に記載のワイヤレス給電システムの送電装置。
【請求項18】
前記電流検出回路は、
前記入力電流の流れるラインに接続されるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端に発生する電圧から得られる電圧を増幅する電圧増幅アンプと、
で構成される、
請求項12
または請求項13に記載のワイヤレス給電システムの送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電とともに通信を行うワイヤレス給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RFIDモジュールが記載されている。特許文献1のRFIDモジュールは、リーダライタまでの距離をアンテナ励起電圧の大きさによって推定する。
【0003】
特許文献1のRFIDモジュールは、アンテナ励起電圧が所定閾値を超えると、搬送波の位相を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、生体内埋め込み型医療機器の多機能化、他チャンネル化が進んでおり、消費電力の増加や電池交換による患者への負担が問題となっている。このため、生体内埋め込み型医療機器には、ワイヤレス給電の採用が期待される。そして、このワイヤレス給電において、ワイヤレス給電とともに通信を行う技術が各種考えられている。
【0006】
しかしながら、このような通信に対して、特許文献1に示すようなRFIDモジュールを採用した場合、通信に必要な電力を十分に受電可能な範囲であっても、通信できない状態(NULLが発生する状態)があった。特に、生体内埋め込み型医療機器のような金属筐体が用いられる場合には、この金属の影響によって、このような通信できない状態が生じ易い。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ワイヤレス給電とともに信号伝達を行うときに、給電可能な距離範囲において安定して信号伝達を行うことができるワイヤレス給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のワイヤレス給電システムは、受電装置と送電装置とを備える。送電装置と受電装置との間で電磁界共鳴フィールドを形成してワイヤレス給電を行うとともに、電磁界共鳴フィールドを用いて共鳴変調による信号伝達を行う。
【0009】
受電装置は、内部空間を有する筐体と、内部空間に配置され、電磁界共鳴フィールドを形成することでワイヤレス受電を行う受電コイルと、受電共振回路および共鳴変調を実行する共鳴変調回路を備えた受電回路と、受電回路の出力電力を用いて所定の電気回路動作を実行する負荷回路と、を備える。
【0010】
送電装置は、電磁界共鳴フィールドを形成することでワイヤレス送電を行う送電コイルと、送電共振回路を有する送電回路と、送電制御回路と、共鳴変調に対応する共鳴復調を実行する共鳴復調回路と、送電回路の入力電流を検出する電流検出回路と、入力電流を調整する電流調整回路と、を備える。
【0011】
送電装置は、受電回路からの共鳴変調による信号を検出できない状態を、電流検出回路で検出する。電流検出回路は、信号を検出できない状態の場合、電流調整回路によって入力電流を変化させる。
【0012】
この構成によって、ワイヤレス給電システムは、信号を検出できない状態を回避し、共鳴復調の実行動作を安定化させる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ワイヤレス給電とともに信号伝達を行うときに、給電可能な距離範囲において安定して信号伝達を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る送電装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る受電装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構造の一例を示す側面断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る電流調整回路の第1例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る電流調整回路の第2例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る電流検出回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るワイヤレス給電システムについて、図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2は、本発明の実施形態に係る送電装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3は、本発明の実施形態に係る受電装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、
図1では、送電装置20の構成の一部、および、受電装置90の構成の一部を省略して示しており、送電装置20の具体的な構成は
図2で示し、受電装置90の具体的な構成は
図3で示す。
【0016】
(ワイヤレス給電システム10の概略構成)
図1に示すように、ワイヤレス給電システム10は、送電装置20、および、受電装置90を備える。ワイヤレス給電システム10は、送電装置20と受電装置90との間で電磁界共鳴フィールドを形成し、この電磁界共鳴フィールドを用いてワイヤレス給電を行うとともに、電磁界共鳴フィールドを用いた共鳴変調による信号伝達を行う。
【0017】
送電装置20および受電装置90は、具体的に次に示す構成を備え、この構成によって、電磁界共鳴フィールドを用いてワイヤレス給電を行うとともに、電磁界共鳴フィールドを用いた共鳴変調による信号伝達を行う。
【0018】
(送電装置20)
図1、
図2に示すように、送電装置20は、送電コイル30、送電回路40、送電制御回路50、電流検出回路60、電流調整回路70、入力電圧変換回路201、入力フィルタ202、および、レギュレータ500を備える。送電回路40は、ドライバ回路41、電力変換回路42、および、送電共振回路43を備える。
【0019】
直流電源には、入力電圧変換回路201の入力端子が接続され、入力電圧変換回路201の出力端子は、入力フィルタ202の入力端子が接続される。なお、入力電圧変換回路201および入力フィルタ202は、省略可能である。
【0020】
入力フィルタ202のHi側出力端子には、電流検出用抵抗Rdが接続され、電流検出用抵抗Rdには、電流調整回路70の入力端子が接続される。電流調整回路70の出力端子は、電力変換回路42のHi側入力端子が接続される。入力フィルタ202のLow側出力端子は、電力変換回路42のLow側端に接続される。電流調整回路70の具体的な構成は後述する。
【0021】
電力変換回路42は、Hi側スイッチング素子Q421(例えば、パワーFET)とLow側スイッチング素子Q422(例えば、パワーFET)とを備える。Hi側スイッチング素子Q421とLow側スイッチング素子Q422とは、電力変換回路42のHi側入力端子とLow側端子との間に接続される。Hi側スイッチング素子Q421とLow側スイッチング素子Q422とのノードは、電力変換回路42の出力端である。
【0022】
電力変換回路42の出力端子およびLow側端子は、送電共振回路43に接続される。送電共振回路43は、送電コイル30に接続される。
【0023】
送電共振回路43は、所定のキャパシタンスを有する回路である。送電共振回路43のキャパシタンスは可変であることが好ましい。
【0024】
送電コイル30は、ループ状、巻回形の線状導体によって形成される。送電コイル30の長さ、形状は、受電装置90の受電コイル91と電磁界結合可能な形状であり、送電コイル30のインダクタンスは、受電装置90と送電装置20との間で発生させる電磁界共鳴フィールドを形成可能な値に設定されている。
【0025】
電流検出回路60は、電流検出用抵抗Rdの両端に接続される。電流検出回路60の出力端は、送電制御回路50に接続される。電流検出回路60の具体的な構成は、後述する。
【0026】
送電制御回路50は、MPU等のデジタル制御回路である。送電制御回路50は、駆動用出力端子および電流調整用出力端子を備える。
【0027】
送電制御回路50の駆動用出力端子は、送電回路40のドライバ回路41に接続される。ドライバ回路41の出力端は、電力変換回路42のHi側スイッチング素子Q421のゲートとLow側スイッチング素子Q422のゲートに接続される。
【0028】
送電制御回路50の電流調整用出力端は、電流調整回路70に接続される。
【0029】
送電制御回路50は、レギュレータ500を通して、入力フィルタ202のHi側出力端と電流検出用抵抗Rdとの間のHi側導電ラインに接続される。
【0030】
(受電装置90)
図1、
図3に示すように、受電装置90は、受電コイル91、受電回路92、出力電圧変換回路93、受電制御回路94、蓄電池991、レギュレータ940、および、負荷ZLを備える。受電回路92は、受電共振回路921、整流回路922、平滑回路923、共鳴変調回路924とを備える。
【0031】
受電コイル91は、ループ状、巻回形の線状導体によって形成される。受電コイル91の長さ、形状は、送電装置20の送電コイル30と電磁界結合可能な形状であり、受電コイル91のインダクタンスは、受電装置90と送電装置20との間で発生させる電磁界共鳴フィールドを形成可能な値に設定されている。
【0032】
受電コイル91は、受電共振回路921に接続される。受電共振回路921は、可変キャパシタンスを有する回路である。受電共振回路921の電力出力端子は、整流回路922の入力端子に接続される。
【0033】
整流回路922の出力端子は、平滑回路923の入力端子に接続される。平滑回路923の出力端子は、出力電圧変換回路93、および、蓄電池991に接続される。出力電圧変換回路93の出力端子が受電装置90の出力端子であり、負荷ZLに接続される。
【0034】
受電制御回路94は、MPU等のデジタル制御回路である。受電制御回路94は、共鳴変調制御用出力端子を備える。
【0035】
受電制御回路94の共鳴変調制御用出力端子は、共鳴変調回路924に接続される。共鳴変調回路924は、受電共振回路921に接続される。
【0036】
受電制御回路94は、レギュレータ940を通して、平滑回路923の出力端子に接続される。
【0037】
(送受電制御)
詳細は後述するが、送電装置20には、ワイヤレス給電に関する信号情報が共鳴変調および共鳴復調を用いて受電装置90から送られる。この信号情報によって、送電装置20におけるHi側伝送ラインに流れる電流は、変化する。
【0038】
送電制御回路50は、電流検出回路60の出力電圧波形(電流検出電圧波形)を用いて、受電装置90からの信号情報を解析する。送電制御回路50は、信号情報に基づいて、送電許可、不許可を判断する。送電制御回路50は、送電許可であれば、受電装置90に応じた電力を送電するように、送電制御の設定値を生成する。送電制御回路50は、ドライバ回路41に送電制御の設定値を与える。
【0039】
ドライバ回路41は、送電制御の設定値に基づいて、Hi側スイッチング素子Q421とLow側スイッチング素子Q422とを、所定のスイッチング周波数でスイッチング制御するスイッチング制御信号を生成し、Hi側スイッチング素子Q421とLow側スイッチング素子Q422に出力する。
【0040】
Hi側スイッチング素子Q421とLow側スイッチング素子Q422とは、それぞれに与えられたスイッチング制御信号によってスイッチング制御する。
【0041】
また、送電制御回路50は、定常時設定値を電流調整回路70に与える。定常時設定値は、定常時(後述のNULLが生じていないとき)の電力変換回路42への入力電流を設定する値である。
【0042】
電流調整回路70は、定常時設定値に基づいて、入力電圧Viから定常時の電力変換回路42への入力電圧および入力電流を生成し、電力変換回路42に出力する。
【0043】
定常時の電力変換回路42への入力電圧、入力電流は、受電装置90の仕様に応じて設定される受電装置90が必要な最低電力で設定されることが好ましい。ただし、この際の最低電力は、送電コイル30と受電コイル91との位置関係が若干変化しても受電装置90が必要な最低電力となる程度のマージンをもっていることがさらに好ましい。
【0044】
電力変換回路42は、定常時入力電圧、入力電流に対するHi側スイッチング素子Q421とLow側スイッチング素子Q422とのスイッチング動作(オンオフ動作)によって生成された所定周波数(スイッチング周波数)の送電電流を、送電共振回路43を通して、送電コイル30に供給する。
【0045】
送電コイル30は、所定周波数の送電電流によって励磁し、所定周波数の交番磁界を発生する。
【0046】
受電コイル91は、送電コイル30が発生する交番磁界に結合し、受電電流を発生する。
【0047】
この際、送電コイル30は、送電共振回路43とともに所定の送電共振周波数を有するように設定され、受電コイル91は、受電共振回路921とともに所定の受電共振周波数を有するように設定される。そして、送電共振周波数と受電共振周波数とは略一致するように設定され、送電共振周波数は、電力変換回路42のスイッチング周波数に略一致する。
【0048】
これにより、送電装置20の送電コイル30と受電装置90の受電コイル91との間で、所定周波数(送電共振周波数、受電共振周波数)の電磁界共鳴フィールドが形成される。したがって、ワイヤレス給電システム10は、送電装置20から受電装置90へ高効率に電力を給電できる。
【0049】
なお、電磁界共鳴フィールドを形成する周波数、すなわち、ワイヤレス給電の周波数は、ISM帯の周波数であることが好ましく、6.78MHz帯または13.56MHzであることが好ましい。
【0050】
整流回路922は、受電コイル91からの受電電流を直流に整流し、平滑回路923は、直流電流を平滑化する。平滑回路923から出力される直流電流は、出力電圧変換回路93において所定電圧に変換され、負荷ZLに供給される。また、平滑回路923から出力される直流電流は、蓄電池991の充電に利用される。
【0051】
負荷ZLは、受電回路92から出力電圧変換回路93を通して出力された電力を用いて所定の電気回路動作を実行する負荷回路を備える。負荷回路は、例えば、センシング回路、信号処理回路、無線通信回路の少なくとも1つを含む。具体例として、負荷ZLは、受電装置90が生体内埋め込み型医療機器の場合、生体内埋め込み型医療機器で実行する処理(生体内から得られる信号のセンシング、センシング信号のフィルタ処理や増幅処理、センシング信号のWifi、Bluetooth(登録商標)等を利用した無線通信処理)等を行う。
【0052】
このように、ワイヤレス給電システム10は、電磁界共鳴フィールドを形成して、送電装置20から受電装置90へ高効率で給電を行うことができる。これにより、ワイヤレス給電システム10は、受電装置90に接続する負荷ZLへの高効率な電力や、受電装置90の蓄電池991への高効率な充電を実現できる。
【0053】
(通信)
受電制御回路94は、送電装置20に対するワイヤレス給電に関する信号情報を生成し、共鳴変調回路924に出力する。共鳴変調回路924は、信号情報のビット(「0」、「1」)に基づいて、受電共振回路921の共振条件を変化させる。これにより、受電回路92は、信号情報に基づいた共鳴変調を実現する。
【0054】
このような共鳴変調が生じると、受電コイル91と送電コイル30との電磁界結合状態が変化する。これにより、送電コイル30に流れる送電電流の振幅が変化する。すなわち、送電コイル30および送電共振回路43によって構成される回路は、共鳴復調を実現する。
【0055】
共鳴復調による送電電流の振幅が変化することによって、送電装置20におけるHi側伝送ラインに流れる電流は変化する。
【0056】
電流検出回路60の出力電圧は、Hi側伝送ラインに流れる電流の影響を受ける。したがって、Hi側伝送ラインに流れる電流が変化することで、電流検出回路60の出力電圧は変化する。
【0057】
送電制御回路50は、この変化を検出することで、信号情報を復調する。これにより、受電装置90から送電装置20への信号伝達は、実現される。すなわち、ワイヤレス給電システム10は、電磁界共鳴フィールドを用いた共鳴変調と共鳴復調による信号伝達を実現できる。
【0058】
(ワイヤレス給電システム10の物理的な構造例)
上述のようなワイヤレス給電を行うとともに信号伝達を行うことができるワイヤレス給電システム10は、例えば、
図4のようなシステムに適用できる。
図4は、本発明の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構造の一例を示す側面断面図である。
【0059】
図4に示すように、ワイヤレス給電システム10の受電装置90は、生体の内部に埋め込まれ、送電装置20は、生体の外部に配置される。
【0060】
(受電装置90の構造)
受電装置90は、筐体98を備える。筐体98は、内部空間980を有する密閉容器である。筐体98は、生体適合材によって構成される。より具体的には、筐体98は、開口を有する箱状の第1部材981と、第1部材981の開口を塞ぐ板状の第2部材982を備える。第1部材981は、生体適合性を有する金属からなり、例えば、チタンまたはチタン合金によって形成される。第2部材982は、生体適合性を有する非金属からなり、例えば、サファイヤガラス等によって形成される。
【0061】
筐体98内には、回路基板99、受電コイル91、絶縁性フィルム911、フェライトシート912、蓄電池991、複数の電子部品992が配置されている。複数の電子部品992は、上述の受電装置90の回路構成を実現する、例えば実装型の電子部品である。
【0062】
回路基板99の第1面には、蓄電池991および複数の電子部品992が実装される。また、回路基板99の第1面には、ケーブル9930が接続されている。ケーブル9930は、筐体98の第1部材981に形成されたフィードスルーを通して、筐体98外の電極パッド993に接続される。
【0063】
回路基板99の第2面側には、受電コイル91、絶縁性フィルム911、フェライトシート912が配置される。より具体的には、回路基板99の第2面上にフェライトシート912が配置され、フェライトシート912の表面(回路基板99の第2面と反対側の面)に、絶縁性フィルム911によって支持された平膜状の受電コイル91が配置される。受電コイル91は、回路基板99を通して、受電回路92を構成する電子部品992に接続される。
【0064】
受電コイル91は、その平膜面が筐体98の受電面(筐体98における第2部材982を有する面)に近接し、平膜面が受電面に略平行になり、且つ、第2部材982に重なるように配置される。
【0065】
(送電装置20の構造)
送電装置20は、筐体29を備える。筐体29は、内部空間290を有する。
【0066】
筐体29内には、回路基板21、送電コイル30、絶縁性フィルム301、フェライトシート302、複数の電子部品22が配置されている。複数の電子部品22は、上述の送電装置20の回路構成を実現する、例えば実装型の電子部品である。
【0067】
回路基板21には、複数の電子部品22が実装される。また、回路基板21には、絶縁性フィルム301によって支持された平膜状の送電コイル30が接続される。フェライトシート302は、絶縁性フィルム301を挟んで送電コイル30と反対側に配置される。
【0068】
送電コイル30は、その平膜面が筐体29の送電面に近接し、且つ、平膜面が送電面に略平行になるように、配置される。
【0069】
(ワイヤレス給電時の送電装置20と受電装置90との位置関係)
図4に示すように、ワイヤレス給電時、受電装置90は、受電面が送電面に略平行で、且つ、受電面と送電面とが近接して対向するように、送電装置20に配置される。この際、送電装置20の送電コイル30と受電装置90の受電コイル91とは、互いに略対向するように配置される。
【0070】
このような状態で配置されることで、送電装置20と受電装置90とは、上述の電磁界共鳴フィールドを発生させ、ワイヤレス給電を実現する。さらに、受電装置90と送電装置20とは、共鳴変調と共鳴復調とを用いた信号伝達を実現する。
【0071】
(通信時に発生するNULLの回避方法)
上述のようなワイヤレス給電を行いながらの通信では、上述のように、通信に必要な電力を十分に受電可能な範囲であっても、通信できない状態(NULLが発生する状態)があった。
【0072】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図5(D)は、復調時の波形を示す図である。
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図5(D)において、横軸はカウント数であって時間に対応し、縦軸はコード値であって、Hi側伝送ラインを流れる電流の振幅に対応する。
【0073】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)は、上述の定常時の給電を行った場合の一例を示し、それぞれに、送電コイルと受電コイルとの距離が異なる。
図5(D)は、定常時の給電を行っていてNULLが発生した場合に、本願発明の制御を行った時の一例を示す。
【0074】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)に示すように、上述の定常時の給電を行っている場合、
図5(A)、
図5(C)に示すように、特定の距離でなければ、信号情報によって変調されたピークは、ノイズよりも十分に高く、ピークの検出が可能であり、復調が可能である。
【0075】
しかしながら、
図5(B)に示すように、特定の距離であると、信号情報によって変調されたピークの高さとノイズの高さの差が小さく(NULLが発生し)、ピークの検出が容易でなく、復調が難しい。これは、送電コイル30と受電コイル91との近傍に金属が存在するときに生じ易い現象であり、上述の
図4に示すような場合に、金属製の筐体を有する生体内埋め込み型医療機器に対する給電時に生じ易い。
【0076】
この課題を解決するため、送電装置20の送電制御回路50は、ピークが検出できないと、電流調整回路70に対して、電力変換回路42への入力電流を変化させる指示データを生成し、電流調整回路70に与える。電流調整回路70は、ワイヤレス送電を安定して行える範囲において、電力変換回路42への入力電流を制御する。
【0077】
例えば、具体的には、送電制御回路50は、ピークが検出できないと、定常時の電力変換回路42への定常時の入力電流よりも高い電流にする指示データを生成し、電流調整回路70に与える。
【0078】
電流調整回路70は、指示データに基づいて、電力変換回路42への入力電流を高くする。
【0079】
このような制御を行うことで、
図4(D)に示すように、送電コイル30と受電コイル91との距離を変化させなくても、信号情報によって変調されたピークは、ノイズよりも十分に高くなる。これにより、送電制御回路50では、ピークの検出が可能であり、復調が可能である。
【0080】
このように、本実施形態のワイヤレス給電システム10を用いることによって、NULLの発生を回避でき、ワイヤレス給電とともに通信を行うときに、給電可能な距離範囲において安定して信号を行うことができる。
【0081】
さらに、受電装置90が生体内埋め込み型医療機器の場合、受電装置90の位置を容易に変化させることができない。このような場合であっても、ワイヤレス給電システム10は、上述の制御を行うことで、NULLの発生を回避できる。これにより、ワイヤレス給電システム10は、生体内埋め込み型医療機器に対しても、給電可能な距離範囲において安定して信号伝達を行うことができる。
【0082】
なお、上述の説明では、ワイヤレス給電システム10は、定常時の入力電流を必要最低限にして、NULLの発生時に入力電流を高くすることで、NULLを回避した。しかしながら、ワイヤレス給電システム10は、定常時の入力電流を或程度高く設定しておき、NULLの発生時に入力電流を給電可能な範囲で低くすることで、NULLを回避することも可能である。
【0083】
ただし、定常時の入力電流を必要最低限に設定し、NULLの回避時に入力電流を高くすることで、ワイヤレス給電システム10は、ワイヤレス給電と信号伝達を安定的に実現しながら、給電電力を必要最小限に抑えることができる。さらに、給電電力が抑えられることによって、受電装置90内の受電電流による発熱を抑制できる。これにより、例えば、受電装置90が生体内埋め込み型医療機器であれば、この発熱による生体への悪影響を抑制できる。
【0084】
また、受電電流の整流時のノイズを低減でき、このノイズによる受電装置90内の電子部品への悪影響、特に、生体内埋め込み型医療機器であれば、生体信号のセンシングに対する悪影響を抑制できる。
【0085】
(電流調整回路の具体的構成1)
図6は、本発明の実施形態に係る電流調整回路の第1例を示す図である。
図6に示すように、電流調整回路70は、DC-DCコンバータ71、D-A変換器72、インダクタL731、キャパシタC732、抵抗R733、抵抗R734、抵抗R735、キャパシタC736を備える。
【0086】
DC-DCコンバータ71は、入力端子VIN、出力端子SW、グランド端子GND、フィードバック端子FBを備える。入力端子VINは、Hi側伝送ラインに接続され、グランド端子GNDは、送電装置20の基準電位(接地電位)に接続される。
【0087】
DC-DCコンバータ71は、フィードバック端子FBの電圧に基づいて、入力端子VINの直流の入力電圧Viを、所定の直流電圧に変換し、出力する。
【0088】
インダクタL731は、DC-DCコンバータ71の出力端子SWと、電流調整回路70の出力端子Pout70との間に接続される。キャパシタC732は、インダクタL731と出力端子Pout70とのノードとフィードバック端子FBとの間に接続される。
【0089】
抵抗R733、抵抗R734、抵抗R735は、インダクタL731と出力端子Pout70とのノードと基準電位との間に、ノード側から抵抗R733、抵抗R734、抵抗R735の順で直列接続される。抵抗R733と抵抗R734とのノードは、フィードバック端子FBに接続される。
【0090】
キャパシタC736は、インダクタL731と出力端子Pout70とのノードと基準電位との間に接続される。
【0091】
D-A変換器72のデジタル入力端子は、送電制御回路50に接続される。D-A変換器72のアナログ出力端子は、抵抗R734と抵抗R735とのノードに接続される。
【0092】
このような構成において、送電制御回路50は、電流調整の設定値データをD-A変換器72に入力する。D-A変換器72は、電流調整の設定値データに応じた出力電圧を、抵抗R734と抵抗R735とのノードに与える。これにより、DC-DCコンバータ71のフィードバック端子FBの電圧は、設定値データに応じた出力電圧に応じた値となる。
【0093】
したがって、送電制御回路50は、定常時からNULLの回避用に設定値データの値を変化させることで、フィードバック端子FBの電圧をNULLの回避用に調整できる。
【0094】
これにより、DC-DCコンバータ71の出力電圧は、定常時の電圧から、NULLの回避用の電圧に調整され、電力変換回路42の入力電流は、定常時の電流からNULLの回避用の電流に調整される。
【0095】
したがって、ワイヤレス給電システム10は、ワイヤレス給電とともに通信を行うときに、給電可能な距離範囲においてより安定して通信を行うことができる。
【0096】
また、電流調整回路70は、送電制御回路50からの設定値にしたがって、電力変換回路42の入力電圧を調整し、これにより、電力変換回路42の入力電流を調整できる。このような構成を用いることで、ワイヤレス給電システム10は、電力変換回路42への電流供給回路を追加で増加させることなく、電力変換回路42への入力電流を増加させることができる。
【0097】
(電流調整回路の具体的構成2)
図7は、本発明の実施形態に係る電流調整回路の第2例を示す図である。
図7に示すように、電流調整回路70Aは、D-A変換器72、および、カレントミラー回路74を備える。カレントミラー回路74は、抵抗R7411、抵抗R7412、抵抗R742、npn型のトランジスタQ741、npn型のトランジスタQ742を備え、定電流回路を構成する。
【0098】
トランジスタQ741のベース端子とトランジスタQ742のベース端子は接続される。これらベース端子のノードは、トランジスタQ741のコレクタ端子に接続される。トランジスタQ741のエミッタ端子とトランジスタQ742のエミッタ端子は、基準電位に接続される。
【0099】
トランジスタQ741のコレクタ端子は、抵抗R7412、抵抗R7411を通して、Hi側伝送ラインに接続される。トランジスタQ742のコレクタ端子は、抵抗R742を通して、Hi側伝送ラインに接続される。
【0100】
トランジスタQ742のエミッタ端子は、電流調整回路70Aの電力変換回路42のHi側入力端子に接続される。
【0101】
D-A変換器72のデジタル入力端子は、送電制御回路50に接続される。D-A変換器72のアナログ出力端子は、抵抗R7411と抵抗R7412とのノードに接続される。
【0102】
このような構成により、電流調整回路70Aは、D-A変換器72からの電圧によって、電力変換回路42の入力電流を低くできる。
【0103】
また、このような構成によって、電流調整回路70Aの回路構成は、簡素化され、送電装置20の回路を簡素化できる。
【0104】
(電流検出回路の具体的構成)
図8は、本発明の実施形態に係る電流検出回路の一例を示す図である。
図8に示すように、電流検出回路60は、差動増幅回路によって構成される。具体的に、電流検出回路60は、オペアンプOP60、抵抗R601、抵抗R602、抵抗R603、抵抗R604を備える。
【0105】
オペアンプOP60の反転入力端子は、抵抗R601を通して、電流検出用抵抗Rdの出力側(電流調整回路70側)に接続される。
【0106】
オペアンプOP60の非反転入力端子は、抵抗R603を通して、電流検出用抵抗Rdの入力側(入力フィルタ202側)に接続される。また、オペアンプOP60の非反転入力端子は、抵抗R604を通して基準電位に接続される。
【0107】
オペアンプOP60の出力端子は、抵抗R602を通して反転入力端子に接続される。
【0108】
このような構成によって、電流検出回路60は、電流検出用抵抗Rdに流れる電流によって生じる電流検出用抵抗Rdの両端電圧に応じた電流検出電圧を、送電制御回路50に出力する。
【0109】
このような構成によって、送電装置20は、共鳴変調および共鳴復調によって得られた電流を電圧変換して増幅し、より確実に安定的に検出できる。これにより、送電装置20は、NULLを検出確度を向上でき、NULLをより確実に回避できる。したがって、ワイヤレス給電システム10は、給電可能な距離範囲において、より安定して信号伝達を行うことができる。
【0110】
<1> 受電装置と送電装置とを備え、前記送電装置と前記受電装置との間で電磁界共鳴フィールドを形成してワイヤレス給電を行うとともに、前記電磁界共鳴フィールドを用いて共鳴変調による信号伝達を行うワイヤレス給電システムであって、
前記受電装置は、
内部空間を有する筐体と、
前記内部空間に配置され、前記電磁界共鳴フィールドを形成することでワイヤレス受電を行う受電コイルと、
受電共振回路および前記共鳴変調を実行する共鳴変調回路を備えた受電回路と、
前記受電回路の出力電力を用いて所定の電気回路動作を実行する負荷回路と、
を備え、
前記送電装置は、
前記電磁界共鳴フィールド形成することでワイヤレス送電を行う送電コイルと、
送電共振回路を有する送電回路と、送電制御回路と、
前記共鳴変調に対応する共鳴復調を実行する共鳴復調回路と、
前記送電回路の入力電流を検出する電流検出回路と、
前記入力電流を調整する電流調整回路と、
を備え、
前記送電装置は、
前記受電回路からの前記共鳴変調による信号を検出できない状態を、前記電流検出回路で検出し、
前記信号を検出できない状態の場合、前記電流調整回路によって前記入力電流を変化させることで、
前記信号を検出できない状態を回避し、前記共鳴復調の実行動作を安定化させる、ワイヤレス給電システム。
【0111】
<2> 前記電流調整回路は、前記送電回路に供給する入力電圧を変化させることにより前記入力電流を変化させる、<1>のワイヤレス給電システム。
【0112】
<3> 前記受電装置の前記筐体は、生体適合材によって構成され、
前記受電装置は、生体の内部に埋め込まれており、
前記送電装置は、前記生体の外部に配置される、<1>または<2>のワイヤレス給電システム。
【0113】
<4> 前記生体適合材は、チタンまたはチタン合金である、<3>のワイヤレス給電システム。
【0114】
<5> 前記電流調整回路は、前記ワイヤレス送電を行う範囲において、前記入力電流を制御する、<1>乃至<4>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0115】
<6> 前記ワイヤレス送電を行う範囲は、前記ワイヤレス送電において、所定の電力値以上となる範囲である、<1>乃至<5>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0116】
<7> 前記ワイヤレス給電の周波数は、6.78MHz帯または13.56MHz帯である、<1>乃至<6>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0117】
<8> 前記負荷回路は、センシング回路、信号処理回路、無線通信回路を含む、<1>乃至<7>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0118】
<9> 前記電流調整回路は、DC-DCコンバータとD-A変換器とを備え、
前記送電制御回路は、前記D-A変換器に設定値を与え、前記DC-DCコンバータの帰還電圧を可変し、入力電圧を調整する、<1>乃至<8>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0119】
<10> 前記電流調整回路は、カレントミラーを使った定電流回路を備え、
送電制御回路を用いて入力電流を設定する、<1>乃至<9>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0120】
<11> 前記電流検出回路は、
前記入力電流の流れるラインに接続されるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端に発生する電圧から得られる電圧を増幅する電圧増幅アンプと、
で構成される、<1>乃至<10>のいずれかのワイヤレス給電システム。
【0121】
<12> 受電装置に対して電磁界共鳴フィールドを形成してワイヤレス給電を行うとともに、電磁界共鳴フィールドを用いて共鳴変調による信号伝達を行うワイヤレス給電システムの送電装置であって、
前記電磁界共鳴フィールド形成することでワイヤレス送電を行う送電コイルと、
送電共振回路を有する送電回路と、送電制御回路と、
前記共鳴変調に対応する共鳴復調を実行する共鳴復調回路と、
前記送電回路の入力電流を検出する電流検出回路と、
前記入力電流を調整する電流調整回路と、
を備え、
前記受電装置からの前記共鳴変調による信号を検出できない状態を、前記電流検出回路で検出し、
前記信号を検出できない状態の場合、前記電流調整回路によって前記入力電流を変化させることで、
前記信号を検出できない状態を回避し、前記共鳴復調の実行動作を安定化させる、
ワイヤレス給電システムの送電装置。
【0122】
<13> 前記電流調整回路は、前記ワイヤレス送電を行う範囲において、前記入力電流を制御する、<12>のワイヤレス給電システムの送電装置。
【0123】
<14> 前記ワイヤレス送電を行う範囲は、前記ワイヤレス送電において、所定の電力値以上となる範囲である、<12>または<13>のワイヤレス給電システムの送電装置。
【0124】
<15> 前記ワイヤレス給電の周波数は、6.78MHz帯または13.56MHz帯である、<12>乃至<14>のいずれかのワイヤレス給電システムの送電装置。
【0125】
<16> 前記電流調整回路は、DC-DCコンバータとD-A変換器と、デジタル制御回路を備え、前記デジタル制御回路は、前記D-A変換器に設定値を与え、前記DC-DCコンバータの帰還電圧を可変し、入力電圧を設定する、<12>乃至<15>のいずれかのワイヤレス給電システムの送電装置。
【0126】
<17> 前記電流調整回路は、カレントミラーを使った定電流回路を備え、
送電制御回路を用いて入力電流を設定する、<12>乃至<16>のいずれかのワイヤレス給電システムの送電装置。
【0127】
<18> 前記電流検出回路は、
前記入力電流の流れるラインに接続されるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端に発生する電圧から得られる電圧を増幅する電圧増幅アンプと、
で構成される、<12>乃至<17>のいずれかのワイヤレス給電システムの送電装置。
【符号の説明】
【0128】
10:ワイヤレス給電システム
20:送電装置
21:回路基板
22:電子部品
29:筐体
30:送電コイル
40:送電回路
41:ドライバ回路
42:電力変換回路
43:送電共振回路
50:送電制御回路
60:電流検出回路
70、70A:電流調整回路
71:DC-DCコンバータ
72:D-A変換器
74:カレントミラー回路
90:受電装置
91:受電コイル
92:受電回路
93:出力電圧変換回路
94:受電制御回路
98:筐体
99:回路基板
991:蓄電池
201:入力電圧変換回路
202:入力フィルタ
290:内部空間
301:絶縁性フィルム
302:フェライトシート
500:レギュレータ
911:絶縁性フィルム
912:フェライトシート
921:受電共振回路
922:整流回路
923:平滑回路
924:共鳴変調回路
940:レギュレータ
980:内部空間
981:第1部材
982:第2部材
991:蓄電池
992:電子部品
993:電極パッド
9930:ケーブル