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特許7754626ポリスルフィドシーラントと共に使用する組成物及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】ポリスルフィドシーラントと共に使用する組成物及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20251007BHJP
   C09D 181/04 20060101ALI20251007BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
C09K3/10 F
C09D181/04
C09D5/00 Z
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021000456
(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2021109972
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】16/743,375
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ビニル・イッティ・アイプ・カンダパリル
(72)【発明者】
【氏名】シジ・トーマス
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04675126(US,A)
【文献】特表2013-535552(JP,A)
【文献】米国特許第05371111(US,A)
【文献】特表2018-507267(JP,A)
【文献】特表2010-526174(JP,A)
【文献】国際公開第2012/021754(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107815056(CN,A)
【文献】米国特許第04756783(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0138206(US,A1)
【文献】TSAREVSKY,Nicolay V. et al.,Reversible Redox Cleavage/Coupling of Polystyrene with Disulfide or Thiol Groups Prepared by Atom Transfer Radical Polymerization,Macromolecules,Vol.35,2002年,p.9009-9014
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10-3/12
C11D 1/00-19/00
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00-201/10
C09D 1/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスルフィド・シーラント・システムを使用する方法であって、
前記ポリスルフィド・シーラント・システムが、
ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物であって、水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物と、
前記ポリスルフィドシーラントを形成するための硬化性ポリスルフィド組成物と、
を含
前記ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物は、7~10の範囲のpHを有し、
前記ジチオールが、ジチオエリトリトール(DTE)又はジチオスレイトール(DTTとDTEの両方であり、
前記ジチオールが、前記ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物の総重量の0.1重量%~10重量%の範囲の量で存在し、
前記方法は、
前記硬化性ポリスルフィド組成物から前記ポリスルフィドシーラントを形成するステップと、
前記ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物を、前記ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用するステップと
を含み、
前記ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物を、前記ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用するステップは、前記ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物を、前記ポリスルフィドシーラントの表面に、噴霧し、塗り、はけ塗りし、ロール掛けし、注入し又は流し込むことを含む、
方法
【請求項2】
前記ポリスルフィドシーラントが、-70℃~-40℃の範囲のTを有する、請求項に記載の方法
【請求項3】
前記ポリスルフィドシーラントを軟化させる組成物を適用するステップで得られる処理済みポリスルフィドシーラントを、追加の時間、酸化性雰囲気に暴露するステップ
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる方法であって、前記方法は、
水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用し、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを得るステップを含み、
前記組成物は、7~10の範囲のpHを有し、
前記ジチオールが、ジチオエリトリトール(DTE)又はジチオスレイトール(DTTとDTEの両方であり、
前記ジチオールが、前記組成物の総重量の0.1重量%~10重量%の範囲の量で存在し、
前記硬化度は、架橋の度合いを意味し、
水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用し、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを得るステップは、前記組成物を、前記ポリスルフィドシーラントの表面に、噴霧し、塗り、はけ塗りし、ロール掛けし、注入し又は流し込むことを含む、
方法。
【請求項5】
前記ポリスルフィドシーラントが航空宇宙構造体と接触している、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理済みポリスルフィドシーラントを追加の時間、酸化性雰囲気に暴露するステップ
を更に含む、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリスルフィドシーラントは航空宇宙産業全体で使用され、例えば燃料タンクの構成部品を保護し、封止するために使用される。これらのシーラントは定期的に除去される必要がある。しかし、ポリスルフィドシーラントは極めて耐久性が高く、接触している基材に強く付着するように設計されているため、それらシーラントの除去は困難である。既存のポリスルフィドシーラント除去技法は、シーラントをこそぎとること又は研磨することを伴うが、これは時間がかかり、また周囲の基材に損傷を与える可能性がある。ポリスルフィドシーラントを除去するための組成物も利用できるが、これらは刺激が強い化学薬品を含んでいる。これらの刺激が強い化学薬品は有効であり得るが、同時に悪臭を放つ、環境や健康への危険性を有する、また周囲の基材に損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ポリスルフィドシーラントと共に使用する組成物が提供される。この組成物を使用する方法もまた提供される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物が提供される。第1の実施形態において、組成物は水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールとを含む。第1の実施形態において、ジチオールは、1,4-ジチオールであってよい。前述の実施形態のいずれにおいても、ジチオールは、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)又はDTT及びDTEの両方であってよい。前述の実施形態のいずれにおいても、水混和性有機溶媒は、ケトン、アルデヒド、アルコール又はこれらの組合せであってよい。前述の実施形態のいずれにおいても、組成物は水より多量の有機溶媒を含んでよい。前述の実施形態のいずれにおいても、ジチオールは0.1重量%~10重量%の範囲の量で存在してよい。前述の実施形態のいずれにおいても、組成物は7~10の範囲のpH、又は8~9の範囲のpHを有してよい。前述の実施形態のいずれにおいても、組成物はゲル化剤、塩基性pH剤又はその両方を更に含んでもよい。前述の実施形態のいずれにおいても、組成物は、水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールと、所望によりゲル化剤、塩基性pH剤又はその両方と、から本質的になり得る。
【0004】
別の態様では、ポリスルフィド・シーラント・システムが提供される。第1の実施形態において、このシステムは、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物であって、水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物と、ポリスルフィドシーラントを形成するための硬化性ポリスルフィド組成物とを含む。第1の実施形態において、ポリスルフィドシーラントは-70℃~-40℃の範囲のTを有してよい。
【0005】
別の態様では、ポリスルフィド・シーラント・システムの実施形態のいずれかを使用する方法が提供される。第1の実施形態において、この方法は、ポリスルフィドシーラントを硬化性ポリスルフィド組成物から形成するステップと、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用するステップとを含む。第1の実施形態において、ポリスルフィドシーラントは-70℃~-40℃の範囲のTを有してよい。
【0006】
別の態様では、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる方法が提供される。第1の実施形態において、この方法は、水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールとを含む組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用し、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを形成するステップを含む。前述の実施形態のいずれにおいても、処理済みポリスルフィドシーラントは、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントを含んでもよい。またこの方法は、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントの少なくとも一部を除去するのに十分な力を適用するステップを、更に含んでもよい。前述の実施形態のいずれにおいても、ポリスルフィドシーラントは航空宇宙構造体と接触していてもよい。前述の実施形態のいずれにおいても、組成物を適用するステップにより、処理済みポリスルフィドシーラントのTを、ポリスルフィドシーラントと比較して少なくとも5℃低下させること、処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を、ポリスルフィドシーラントと比較して少なくとも5単位分低下させること、又はその両方が可能である。前述の実施形態のいずれにおいても、この方法は、処理済みポリスルフィドシーラントを追加の時間、酸化性雰囲気に暴露するステップを更に含んでもよい。このような暴露を伴う前述の実施形態のいずれにおいても、暴露により、ポリスルフィドシーラントのTと比較して処理済みポリスルフィドシーラントのTを高めること、ポリスルフィドシーラントのショアA硬度と比較して処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を高めること、又はその両方が可能である。このような暴露を伴う前述の実施形態のいずれにおいても、暴露により、処理済みポリスルフィドシーラントのTをポリスルフィドシーラントのTの±2℃まで高めること、処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度をポリスルフィドシーラントのショアA硬度の±2単位まで高めること、又はその両方が可能である。このような暴露を伴う前述の実施形態のいずれにおいても、ポリスルフィドシーラントは欠損を含んでもよい。また上記方法は、処理済みポリスルフィドシーラントを、追加の時間、酸化性雰囲気に暴露するステップの前に、欠損を修復するステップを更に含む。前述の実施形態のいずれにおいても、ポリスルフィドシーラントは-70℃~-40℃の範囲のTを有してよい。
【0007】
本開示のその他の主要な特徴及び利点は、発明の詳細な説明及び添付の請求項を検討することにより、当業者に明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ポリスルフィドシーラントと共に使用する組成物が提供される。この組成物を使用する方法もまた提供される。
【0009】
定義
用語「硬化/架橋」は、文脈によっては同じ意味で用いられ得る。「未硬化/未架橋」及び「再硬化/再架橋」のような用語も、同様に入れ替え可能である。「架橋の切断」のような表現は、架橋に伴う共有結合を壊すこと、従って未架橋/未硬化を意味する。
【0010】
「硬化度」及び「架橋度」のような表現は、後述のように、T又はショアA硬度又はその両方によって決定される、関連する材料中の架橋の量を意味する。
【0011】
本明細書において「水溶性」という表現は、室温(20~25℃)において、少なくとも1mg/mlの水への溶解度を有することを意味する。
【0012】
本明細書において「水混和性」という表現は、2つの物質があらゆる比率で混ぜ合わせられる能力を意味する。
【0013】
「ポリスルフィドシーラント」という表現は、ジスルフィド結合を介して架橋した有機ポリスルフィドポリマー鎖を含む材料を意味する。この表現は、ジスルフィド架橋を含み得る生体物質、例えば、DNA、RNA、タンパク質、酵素などは包含しない。「ポリスルフィドシーラント」という表現は、硬化した/架橋した状態でのポリスルフィドシーラントを意味すると意図される。ただしこの表現は、必ずしも100%の硬化を意味するものではなく、また特定の硬化度のポリスルフィドシーラントに限定することも意図していない。
【0014】
「航空宇宙構造体」という表現は、航空宇宙産業において使用されるあらゆる装置、船、機械、部品又は構成要素、例えば飛行機、回転翼機などの航空機、例えば宇宙船、ドローン、衛星、航空機の胴体、翼、複合体などの宇宙ビークルを意味し得る。
【0015】
本組成物は、既存のポリスルフィドシーラント除去組成物の水性溶媒系及び活性成分よりも、環境にやさしく、より安全で、より刺激が少ない水性溶媒系及び活性成分を含む。組成物は、様々なポリスルフィドシーラントにおいて、硬化度、即ち架橋の度合いを変化させることができる。硬化度を変化させることは、ポリスルフィドシーラント内の架橋を切断することを含むが、これがシーラントの除去をより容易にする特徴である。しかし、特定の条件下では、組成物で処理されたポリスルフィドシーラントはまた、再硬化できる、言い換えると、切断された架橋は再生され得る。この特徴のために、ポリスルフィドシーラントは修復され得る。このような可逆性は、既存のポリスルフィドシーラント除去組成物と比較して、本組成物に特有のものと考えられている。
【0016】
一態様では、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させるためなど、ポリスルフィドシーラントと共に使用する組成物が提供される。この組成物は、水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールとを含む。実施形態において、ジチオールは水溶性であり、室温(20~25℃)で少なくとも1mg/mlの、水への溶解度を有する。未酸化の状態では、ジチオールの各チオール基は、-HSとして存在する。酸化状態では、ジチオールはジスルフィド結合を形成する。1つのジスルフィド結合、即ち内部のジスルフィド結合は、酸化状態ではジチオールが環状構造の形態であるように、形成され得る。実施形態において、ジチオールは1,4-ジチオールである。実施形態において、ジチオールは、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、同様の材料、又はこれらの混合物である。異なる種類のジチオールの組合せ、例えばDTT及びDTEの両方の組合せが使用されてもよい。
【0017】
更に以下に記載するように、ポリスルフィドシーラントは、ジスルフィド結合(即ち、S-S)を介して架橋した一対のポリスルフィドポリマー鎖を含む。ジチオールは、スキーム1に示すように、チオール-ジスルフィド交換反応を経て、ポリスルフィドシーラント中のジスルフィド架橋を切断できる。
R’SH+RSSR→RSSR’+RSH(スキーム1)
【0018】
スキーム1において、R’SHはジチオールを表し、RSSRは架橋したポリスルフィドポリマー鎖を表す。別のチオール-ジスルフィド交換反応が生じ、2RSH(個々の、現在は未架橋のポリスルフィドポリマー鎖)及び酸化型のジチオールが提供され得る。
【0019】
有機溶媒は、あらゆる比率で水と混ぜ合わせられるのであれば、様々な水混和性有機溶媒が使用され得る。しかしながら、ポリスルフィドシーラントのポリスルフィドポリマー鎖を溶解する能力に基づいて、水混和性有機溶媒が選択され得る。従って、有機溶媒の具体的な選択はポリスルフィドシーラントによって異なり得る。水混和性アルコール、水混和性アルデヒド及び水混和性ケトンを使用できる。例示的な水混和性アルコールには、メタノール、エタノール及びイソプロパノールが挙げられる。例示的な水混和性アルデヒドには、メタナール/ホルムアルデヒド、エタナール及びプロパナールが挙げられる。水混和性ケトンには、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルプロピルケトンが挙げられる。異なる種類の水混和性有機溶媒の組合せが使用されてもよい。
【0020】
様々な相対量の水混和性有機溶媒と水を使用できる。相対量は、ジチオールの可溶性、及びポリスルフィドシーラントのポリスルフィドポリマー鎖の可溶性などの考察に基づいて選択されてよい。水に対する水混和性有機溶媒の比率は、99:1~1:99の範囲であってよい。この比率には、50:1~1:50、25:1~1:25、10:1~1:10、及び5:1~1:5が含まれる。実施形態では、組成物は、水よりも多量の水混和性有機溶媒を含み得る。2種以上の水混和性有機溶媒が使用される場合、量及び比率は、組成物内の水混和性有機溶媒の総量を表す。
【0021】
様々な量のジチオールが使用されてもよい。ジチオールの量は、望ましい未架橋の度合いを達成できるように選択されてよい。例えば、所定の時間内により多くの架橋を切断するように、上述のチオール-ジスルフィド交換反応の速度を増大するための、より多量のジチオールが使用されてもよい。しかしながら、ジチオールの量は、選択された水性溶媒系へ溶けることを防止するために、通常それほど多くない。実施形態において、ジチオールは、少なくとも0.1重量%の範囲の量(組成物の総重量と比較して)で存在してよい。これには、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、又は0.1重量%~10重量%の範囲の量が含まれる。
【0022】
本組成物は、そのpHによって特徴づけられ得る。既存のポリスルフィドシーラント除去組成物とは異なり、本組成物は、中性及び弱アルカリ性条件で機能(架橋の切断)できる。実施形態において、組成物は、7~10の範囲のpHを有する。これには、7~10、8~9の範囲及び約7のpHが含まれる。pHは、組成物中に塩基性pH剤、例えば塩基性アミンを含有することによって調整されてもよい。モノアミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、アリルアミン、ブチルアミン及びシクロヘキシルアミンなどを使用できる。ジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、ヘキサンジアミン(例えば、2,2,4(2,4,4)トリメチル1,6-ヘキサンジアミン)、プロパンジアミン、ピペリジン及びピロリジンなどを使用できる。実施形態において、塩基性pH剤は水酸化物(OH)を含まない。
【0023】
本組成物は、望ましい用途に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。実例として、ゲル化剤、例えばセルロース誘導体をはじめとする粘度調整剤が使用され得る。例示的なセルロース誘導体には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど、及びこれらの組合せが挙げられる。組成物中に存在する場合、粘度調整剤は、0.5重量%~10重量%、1重量%~6重量%、又は1重量%~4重量%の範囲(組成物の総重量と比較して)で存在し得る。
【0024】
実施形態において、組成物はゲル化剤、塩基性pH剤又はその両方を含む。
【0025】
本組成物は、周囲条件下で、様々な構成部分を組み合わせ、混合することによって作製され得る。水混和性有機溶媒と水を最初に混合し、その後にジチオール及び任意の添加剤を添加してもよい。
【0026】
実施形態において、本組成物は、水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールと、所望により1種以上の添加剤とから本質的になる、又はからなる。実施形態において、組成物は、水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールと、所望によりゲル化剤、塩基性pH剤、又はその両方から本質的になる、又はからなる。
【0027】
本開示は、上述される、個々の特徴の様々な組合せまで及ぶと理解すべきである。一例として、本開示は、開示される水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールとの任意の組合せを有する組成物であって、水に対する水混和性有機溶媒の比率が開示される比率のいずれかであり、ジチオールが開示される量のいずれかで存在し、pHが開示されるpH値のいずれかであり、かつ組成物が開示される添加剤の任意の組合せを含まない又は、含有する組成物を包含する。上述のように、実施形態において、添加剤には、1種以上のゲル化剤、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
【0028】
本組成物と共に使用されるべきポリスルフィドシーラントは、ジスルフィド結合を介して架橋した有機ポリスルフィドポリマー鎖を含む。本開示の全体を通じて、「ポリスルフィドシーラント」という表現が単独(例えば、修飾する形容詞がない)で使用される場合、この表現は、硬化/架橋した状態でのポリスルフィドシーラントを意味すると意図される。ただしこの表現は、必ずしも100%の硬化を意味するものではなく、また特定の硬化度のポリスルフィドシーラントに限定することも意図していない。硬化度は、ガラス転移温度(T)値によって決定され得る(そして、そのT値によってポリスルフィドシーラントが特徴づけられる)。更に上述されるように、ショアA硬度も硬化度を決定するのに使用されてよい。あらためて、修飾されない「ポリスルフィドシーラント」という表現は、少なくとも実施形態において、ポリスルフィドシーラントを特定のTに限定することを意図するものではないが、ポリスルフィドシーラントは、最大の硬化度を含む、比較的高い硬化度に相当するTによって特徴づけられるだろう。ポリスルフィドシーラントは、適切な条件下で混合されると硬化/架橋を引き起こし、ポリスルフィドシーラントを提供する反応性構成部分を含む、硬化性ポリスルフィドシーラント組成物から形成されてもよい。本開示は、ポリスルフィドシーラントの種別に特に限定されない。実際、製造業者の説明書に従って、市販の硬化性ポリスルフィドシーラント組成物から各種ポリスルフィドシーラントが形成される。このような説明書に従って形成される場合、得られるポリスルフィドシーラントは、硬化状態のとき、比較的高い硬化度又は最大の硬化度を有する、及び製造業者に明記されるようなTを有するなどとして特徴づけられ得る。実施形態において、ポリスルフィドシーラントは、-70℃~-40℃、-65℃~-45℃又は-60℃~-50℃の範囲のTを有する。
【0029】
修飾されない「ポリスルフィドシーラント」という表現はまた、ポリスルフィドシーラントを特定の形態/モルフォロジーに限定することを意図していない。実例として、ポリスルフィドシーラントは、細片、層、膜又はコーティングの形態であってよい。ポリスルフィドシーラントは、下にある基材又は隣接する基材と接触(例えば、直接的な接触)し得る。しかし、ポリスルフィドシーラントは、その他の構造体内に、例えば航空宇宙構造体内に統合される、別の物理的構造体でもよい。
【0030】
別の態様では、本開示は、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる方法を提供する。この方法は、本明細書に記載の組成物のいずれかを、本明細書に記載のポリスルフィドシーラントのいずれかの表面に適用するステップを含む。組成物を適用するための技法は、特に限定されない。例示的な適用技法には、組成物中にポリスルフィドシーラントを浸す若しくは浸漬する、又は組成物をポリスルフィドシーラントの表面上に噴霧する、塗る、はけ塗りする、ロール掛けする、注入する若しくは流し込むなどが挙げられる。適用技法は、周囲条件下で、即ち空気中かつ室温で実施され得る。ただし、適用する環境に応じて、その他の条件が使用されてもよい。本組成物がポリスルフィドシーラントに接触している間、ジチオールは、上述のチオール-ジスルフィド交換反応を経て、ポリスルフィドシーラント内のジスルフィド架橋を切断し、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントを含む、処理済みポリスルフィドシーラントを形成する。
【0031】
本組成物とポリスルフィドシーラントとが、しばらくの時間、接触している状態を保つようにして適用が実施される。接触時間は、所望されるジスルフィド架橋の開裂の量、即ち達成されるべき未硬化の度合いによって異なり得る。下記の実施例に示されるように、特定の接触時間後の未硬化度は、処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度及び/又はTを測定することによって決定され得る。タイプAのデュロメーターを、製造業者の説明書に従って使用してショアA硬度を測定できる。処理済みポリスルフィドシーラントのTは、標準的な示差走査熱量計(DSC)機器を製造業者の説明書に従って使用して測定できる。接触時間は、所望の未硬化度、例えば最大の未硬化度を達成できるように選択され得る。接触時間は、処理済みポリスルフィドシーラントのTを少なくとも5℃低下させる、又は処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を少なくとも5単位分低下させる、又はその両方を達成できるように選択され得る。これには、少なくとも6℃、少なくとも8℃、少なくとも10℃、少なくとも12℃、又は5℃~12℃の範囲のTの低下が含まれる。これには、少なくとも6単位、少なくとも8単位、少なくとも10単位、少なくとも12単位、又は5単位~12単位の範囲のショアA硬度の低下が含まれる。これらの低下は、組成物で処理する前のポリスルフィドシーラント(ポリスルフィドシーラント又は処理前ポリスルフィドシーラントと称され得る)と比較したものである。これらの結果を達成できる接触時間は、選択された組成物、選択されたポリスルフィドシーラント、及び処理前のポリスルフィドシーラントの硬化度に依存し得るが、実施形態において接触時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、8時間以下、又は1時間~8時間の範囲である。
【0032】
選択された接触時間の後、この方法は、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントの、少なくとも一部を除去するステップを更に含んでもよい。少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントの、可能な限り大部分、又は全てが除去されてもよい。少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントを除去する技法は、特に限定されない。技法は、処理済みポリスルフィドシーラントに力を加えること、例えば手動又は機械的に実施され得る拭き取り、研磨、送風、はけ塗り又は、こそぎとりによる力の適用を含んでもよい。この方法は、適用ステップと除去ステップを複数回繰り返し、例えばポリスルフィドシーラントの大部分又は全てが未硬化となり除去されるまで、更なる量の、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントを形成し除去するステップを更に含んでもよい。この繰り返しの工程は、ポリスルフィドシーラントが接触していた基材への損傷を防止するために特に有益である。
【0033】
下記の実施例では、本開示の別の有益な特徴、即ち本組成物によって達成されるジスルフィド架橋の開裂が可逆的であるという特徴が例証される。つまり、処理済みポリスルフィドシーラント中の切断されたジスルフィド架橋は再生し、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを再硬化させることができる。上述のように、組成物を適用するステップ後に形成される処理済みポリスルフィドシーラントを、追加の時間、酸化性雰囲気に暴露することによって再硬化が達成され得る。酸化性雰囲気は空気であってよく、かつ暴露は室温で実施されてよい。ただし、その他の酸化性雰囲気及び温度も使用できる。追加の接触時間は、所望の再硬化度、例えば最大の再硬化度を達成できるように選択され得る。追加の接触時間は、処理済みポリスルフィドシーラントのTを高める、又は処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を高める、又はその両方が可能であるように選択され得る。これらの上昇は、組成物で処理する前のポリスルフィドシーラント(即ち、処理前ポリスルフィドシーラント/ポリスルフィドシーラント)と比較したものである。これらの上昇は、T及びショアA硬度それぞれの値が、処理前ポリスルフィドシーラントの値に回復したもの、例えば、処理前ポリスルフィドシーラントのTの±2℃内に、ショアA硬度の±2単位内に、又はその両方であり得る。これらの結果を達成できる追加の接触時間は、処理済みポリスルフィドシーラントの未硬化度、選択された組成物、及び選択されたポリスルフィドシーラントに依存し得るが、実施形態においては、追加の接触時間は、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも20時間、又は2時間~24時間、又は4時間~24時間の範囲である。酸化性雰囲気への暴露の前に、処理済みポリスルフィドシーラントは、処理に使用される組成物から分離されてもよい。
【0034】
意図しない組成物の適用による未硬化部分も含めて、処理済みポリスルフィドシーラント中のいかなる未硬化部分も、上述のように、処理済みポリスルフィドシーラントを再硬化させることによって修復され得ることが、本組成物の可逆性によって示される。可逆性はまた、未硬化に伴う軟化がポリスルフィドシーラントの修復に活用され得ることも意味する。実例として、ポリスルフィドシーラント又は誤って適用されたポリスルフィドシーラント中の欠損、例えば切れ目、裂け目、剥離(divets)又は亀裂などは、上記の方法を用いて処理済みポリスルフィドシーラントを形成し、その後に処理済みポリスルフィドシーラントを再整形し、再配置し、又はそれ以外に手作業で調整することで修復され得る。次に、処理済みポリスルフィドシーラントは、上述のように、再硬化のため酸化性雰囲気に暴露されてもよい。
【0035】
本組成物は、ポリスルフィド・シーラント・システムの一部として、硬化性ポリスルフィド組成物と共に提供され得る。上述の硬化性ポリスルフィド組成物、又は市販の硬化性ポリスルフィド組成物のいずれかを使用できる。選択された硬化性ポリスルフィド組成物から形成されるポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させるために、適切に構成された本組成物のいずれかを使用できる。このようなシステムを用いる方法もまた提供される。このような方法には、硬化性ポリスルフィド組成物から、例えば、製造業者の説明書に従って、ポリスルフィドシーラントを形成するステップと、本組成物をポリスルフィドシーラントの表面に、しばらくの時間、適用するステップとが含まれる。処理済みポリスルフィドシーラントの少なくとも一部の除去、欠損の修復、再硬化、及びそれらの組合せが、上述のように更に実施され得る。
【0036】
実施形態において、ポリスルフィド・シーラント・システムを使用する方法は、硬化性ポリスルフィド組成物からポリスルフィドシーラントを形成するステップと、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物であって、水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用し、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを形成するステップにおいて、上記適用によって、処理済みポリスルフィドシーラントのTを、ポリスルフィドシーラントと比較して少なくとも5℃低下させる、処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を、ポリスルフィドシーラントと比較して少なくとも5単位分低下させる、又はその両方を可能とするステップとを含む。
【0037】
実施形態において、ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる方法は、水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物を、欠損を含むポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用するステップと、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを形成するステップと、欠損を修復するステップと、処理済みポリスルフィドシーラントを、酸化性雰囲気に追加の時間、暴露するステップとを含む。
【0038】
本組成物及び関連する方法は、航空宇宙産業、自動車産業、潜水艦産業で使用されるものなど、様々な種類のポリスルフィドシーラントと共に使用できる。
【0039】
実施例
イソプロパノールと水とを3:1の体積比で容器中に混合し、DTE又はDTTのいずれかを1重量%添加し、DTE/DTTが溶解するまで混合することによって、ポリスルフィドシーラント除去組成物を形成した。各容器に、ポリスルフィドシーラント試験片(Royal Adhesives and Sealants製のWS-8035 B-2で、標準的な温度及び湿度の条件下で硬化させたもの)を入れた。各ポリスルフィドシーラント試験片は、約1インチの長さ、約1インチの幅及び約0.25インチの厚さを有した。特定の時間後、試験片をそれぞれの容器から取り除いた(表1及び表2参照)。ポリスルフィドシーラント除去組成物に暴露した試験片の表面は粘着性があり、暴露した試験片の色は(黒から)ライトブラウンに変化した。取り除いた試験片の、損失重量、ショアA硬度及びガラス転移温度(T)を試験した。
【0040】
損失重量測定では、計量の前に拭き取りして、ポリスルフィドシーラント除去組成物に暴露した試験片から固まっていない又は粘着性の材料を物理的に取り除いた。損失重量を、試験片の本来の重量(ポリスルフィドシーラント除去組成物への暴露前)と暴露後の試験片重量の差として計算し、本来の重量の百分率として報告した。ショアA硬度及びT測定では、試験前に暴露した試験片の拭き取りをしなかった。暴露した試験片上で、ASTM規格D2240に準拠して使用したタイプAのデュロメーターによって、ショアA硬度を測定した。TA instruments製DSCシステムを使用して、T測定を行った。T測定用の試料を得るために、暴露した試験片から、固まっていない又は粘着性の材料の小さな試験片を取得した。結果を下記の表1(DTE)及び表2(DTT)に示す。対照試料は、いずれのポリスルフィドシーラント除去組成物にも暴露されていないポリスルフィドシーラントの試験片を意味する。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
DTE/DTTへの暴露が、重量損失、ショアA硬度の低下及び架橋の低減につながるという結果が示されている。しかしながら、硬度/Tの結果は、長時間の暴露後、例えば約18時間を超える暴露の後、架橋が回復する(硬度/Tの上昇)ことも顕著に示している。
【0044】
容器にヘキサメチレンエチレンジアミンを添加しpH約8を提供した以外は、上記の実験に類似した追加の実験を実施した。結果を下記の表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
最後に、DTT/DTEの量を増加させた以外は、上記の実験に類似した実験を実施した。例えば、5重量%のDTTを含有し、かつpHが中性であるポリスルフィドシーラント除去組成物は、18時間で約45%の重量損失を達成した。
【0047】
更に、本開示は以下の条項に記載の実施形態を含む。
【0048】
1.ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物であって、
水混和性有機溶媒と、
水と、
ジチオールと
を含む組成物。
【0049】
2.ジチオールが1,4-ジチオールである、条項1に記載の組成物。
【0050】
3.ジチオールが、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、又はDTTとDTEの両方である、条項1に記載の組成物。
【0051】
4.水混和性有機溶媒が、ケトン、アルデヒド、アルコール又はこれらの組合せである、条項1から3のいずれかに記載の組成物。
【0052】
5.水よりも多量の有機溶媒を含む、条項1から4のいずれかに記載の組成物。
【0053】
6.ジチオールが、0.1重量%~10重量%の範囲の量で存在する、条項1から5のいずれかに記載の組成物。
【0054】
7.7~10の範囲のpHを有する、条項1から6のいずれかに記載の組成物。
【0055】
8.pHが8~9の範囲である、条項7に記載の組成物。
【0056】
9.ゲル化剤、塩基性pH剤、又はその両方を更に含む、条項1から8のいずれかに記載の組成物。
【0057】
10.水混和性有機溶媒と、水と、ジチオールと、所望によりゲル化剤、塩基性pH剤又はその両方とから本質的になる、条項1から9のいずれかに記載の組成物。
【0058】
11.ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物であって、水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物と、
ポリスルフィドシーラントを形成するための硬化性ポリスルフィド組成物と
を含む、ポリスルフィド・シーラント・システム。
【0059】
12.ポリスルフィドシーラントが-70℃~-40℃の範囲のTを有する、条項11に記載のポリスルフィド・シーラント・システム。
【0060】
13.条項11又は12に記載のシステムを使用する方法であって、方法は、
硬化性ポリスルフィド組成物からポリスルフィドシーラントを形成するステップと、
ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用するステップと
を含む、方法。
【0061】
14.ポリスルフィドシーラントの硬化度を変化させる方法であって、方法は、水混和性有機溶媒、水及びジチオールを含む組成物を、ポリスルフィドシーラントの表面にしばらくの時間、適用し、それによって処理済みポリスルフィドシーラントを形成するステップを含む、方法。
【0062】
15.処理済みポリスルフィドシーラントが、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントを含む、条項14に記載の方法であって、少なくとも部分的に未硬化のポリスルフィドシーラントの、少なくとも一部を除去するのに十分な力を適用するステップを更に含む、方法。
【0063】
16.ポリスルフィドシーラントが航空宇宙構造体と接触している、条項14又は15に記載の方法。
【0064】
17.適用するステップにより、処理済みポリスルフィドシーラントのTを、ポリスルフィドシーラントと比較して少なくとも5℃低下させること、処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を、ポリスルフィドシーラントと比較して少なくとも5単位分低下させること、又はその両方が可能である、条項14から16のいずれかに記載の方法。
【0065】
18.処理済みポリスルフィドシーラントを追加の時間、酸化性雰囲気に暴露するステップを更に含む、条項14から17のいずれかに記載の方法。
【0066】
19.上記暴露により、ポリスルフィドシーラントのTと比較して処理済みポリスルフィドシーラントのTを高めること、ポリスルフィドシーラントのショアA硬度と比較して処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度を高めること、又はその両方が可能である、条項18に記載の方法。
【0067】
20.上記暴露により、処理済みポリスルフィドシーラントのTをポリスルフィドシーラントのTの±2℃まで高めること、処理済みポリスルフィドシーラントのショアA硬度をポリスルフィドシーラントのショアA硬度の±2単位まで高めること、又はその両方が可能である、条項19に記載の方法。
【0068】
21.ポリスルフィドシーラントが欠損を含む条項18に記載の方法であって、処理済みポリスルフィドシーラントを、追加の時間、酸化性雰囲気に暴露するステップの前に、欠損を修復するステップを更に含む、方法。
【0069】
22.ポリスルフィドシーラントが-70℃~-40℃の範囲のTを有する、条項14に記載の方法。
【0070】
本明細書において「例示的」という語は、例証、実例又は図解に役立つものを意味するとして使用される。本明細書に「例示的」と記載される任意の態様又は設計は、その他の態様又は設計よりも必ずしも好ましい又は有利なものとして解釈されるわけではない。更に、本開示の必要上、特に指示がない限り、「a」又は「an」は「1種以上」を意味する。
【0071】
前述の、本開示の例示的実施形態に関する記載は、例示及び説明のために提示されている。本開示が網羅的であること、又は開示を厳密な形態のみに限定することは意図しておらず、上記の教示を考慮した改良及び変更が可能であり、又は本開示の実施から改良及び変更が得られてもよい。実施形態は、本開示の原理を説明するために、そして当業者が各種実施形態において本発明を実施し、また検討される特定の使用に適するように様々な変更を用いて本発明を利用できるように、本発明の実用的な適用として、選択され記載されている。本開示の範囲は、本明細書に添付される請求項、及びそれらの同等物によって規定されると意図される。