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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-09
(45)【発行日】2025-10-20
(54)【発明の名称】緩衝材
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/04 20060101AFI20251010BHJP
【FI】
E01D19/04 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022050079
(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公開番号】P2023142941
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2024-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(73)【特許権者】
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 和人
(72)【発明者】
【氏名】郭 勝華
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 修作
(72)【発明者】
【氏名】宇野 一也
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 力
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-288729(JP,A)
【文献】実開昭52-023099(JP,U)
【文献】実開昭56-013099(JP,U)
【文献】特開2012-251411(JP,A)
【文献】特開2020-002688(JP,A)
【文献】特開2000-283203(JP,A)
【文献】特開平10-018227(JP,A)
【文献】実開平02-066848(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0029711(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0033673(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00-24/00
E02B 3/04-3/28
B63B 59/00-59/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対向する面を有する2つの重量物の一方に、他方の重量物の前記面との間に水平方向の隙間を開けて交換可能に取り付けられる、緩衝材の設置方法であって、
前記一方の重量物は、前記緩衝材の緩衝体が当接する面を有すると共に、前記緩衝材の係止部材の第3の片が載置される面を有する、緩衝材ブラケットとなっており、
前記緩衝材は、前記緩衝材ブラケットに面接触する平面と、この平面と平行であって、他方の重量物と所定の隙間を隔てて対向する平面とを有していると共に、上下方向に貫通した複数の貫通孔が形成されている板状の緩衝体と、
前記貫通孔にそれぞれ挿通されている複数の長ねじボルトと
前記複数の長ねじボルトの前記緩衝体の上端から突出した部分にそれぞれナットを用いて固定されることで、前記一方の重量物である前記緩衝材ブラケットに着脱可能に係止される、前記長ねじボルトの上端部が挿通する貫通孔が形成された水平面状に延びる第1の片と、該第1の片から連続して上方に向かって延びる第2の片と、該第2の片から連続して前方の前記他方の重量物に対して後方に向かって延びる、アンカーボルトが挿通する貫通孔が形成された前記第3の片と備える前記係止部材と、
前記複数の長ねじボルトの前記緩衝体の下端から突出した部分にそれぞれナットを用いて固定され、各前記長ねじボルトが前記貫通孔から抜け落ちることを防止する脱落防止部材とを備えており、
前記一方の重量物である前記緩衝材ブラケットと前記他方の重量物との間において、緩衝材を所定の位置まで奥方に入れ込んだ状態で、前記緩衝材ブラケットの上面に載置された、複数の前記係止部材の前記第3の片の各々に形成された貫通孔に、アンカーボルトを挿通させ、下方に向かって螺入させることにより、前記緩衝材が前記係止部材を介して前記緩衝材ブラケットに着脱交換可能に取り付けられるようになっていることを特徴とする緩衝材の設置方法
【請求項2】
前記一方の重量物である前記緩衝材ブラケットと前記他方の重量物との間において、前記係止部材が前記緩衝材ブラケットの上端部よりも上方に位置する状態を保ちながら、緩衝材を所定の位置まで奥方に入れ込んでから、前記緩衝材を下方に移動させることによって、複数の前記係止部材の前記第3の片の各々が前記緩衝材ブラケットの上面の所定の位置に載置されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の緩衝材の設置方法
【請求項3】
前記一方の重量物である前記緩衝材ブラケットと前記他方の重量物との間において、少なくとも端部に位置する前記係止部材の前記第3の片を前記緩衝材ブラケットの上面に載置させた状態で、前記緩衝材を奥方に向けて滑らせるようにして入れ込むことによって、複数の前記係止部材の前記第3の片の各々が前記緩衝材ブラケットの上面の所定の位置に載置されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の緩衝材の設置方法
【請求項4】
前記一方の重量物は橋脚に配置される水平移動抑制部材の緩衝材ブラケットであって、前記他方の重量物は橋桁であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の緩衝材の設置方法
【請求項5】
前記水平移動抑制部材は、鉄筋コンクリート構造物であることを特徴とする請求項4に記載の緩衝材の設置方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材、特に、水平方向の隙間を開けて設けられる2つの重量物の何れか一方に取り付けられる緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、落橋を防止するために、橋桁が水平方向に移動することを抑制する水平移動抑制部材が、橋脚に取り付けられることがある。この場合、橋桁と水平移動抑制部材とが衝突したときの衝撃を抑制するために、水平移動抑制部材に緩衝材が取り付けられる。
【0003】
一般的には、緩衝体の橋桁と対向する面にこの面に直交する方向に段孔加工された貫通孔が形成されており、この貫通孔に挿通させたボルトにナットを螺合させることにより、緩衝材を取り付けている。しかし、この場合、橋桁と水平移動抑制部材との隙間が水平移動の許容範囲であるが非常に狭いので、水平移動抑制部材を橋脚から取り外さなければ、緩衝材を交換することができない。
【0004】
そこで、特許文献1には、緩衝体に上下端部を突出させた複数の取り付け片を緩衝体の取り付け面と面一になるように埋め込み、突出した各端部に形成された貫通孔にアンカーボルトを挿通させることにより、落橋防止壁(水平移動抑制部材)に緩衝体を設置することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、緩衝ゴム(緩衝体)にボルトを埋め込み接着固定し、ボルトの突出した上端部にナットを用いて取り付け鋼板を取り付け、この取り付け鋼板に形成された貫通孔にボルトを挿通させ、コンクリート壁(水平移動抑制部材)にボルトを固定することにより、コンクリート壁に緩衝ゴムを設置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3599906号公報
【文献】特開2012-251411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された技術においては、取り付け片に接着剤などを塗布した状態で型枠に配置して加硫することにより、取り付け片を緩衝体の取り付け面に埋め込んでいる。一方、上記特許文献2に記載された技術においては、ボルトを樹脂系接着剤により埋め込んで緩衝ゴムと一体化している。しかしながら、このような接着剤などを用いた固定方法では、長期間に亘っては固定状態を良好に維持することができない。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、水平移動抑制部材などの重量部材に緩衝材を長期間に亘って良好に固定することが可能な緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の緩衝材は、水平方向に対向する面を有する2つの重量物の一方に、他方の重量物の前記面との間に水平方向の隙間を開けて取り付けられる緩衝材であって、上下方向に貫通した複数の貫通孔が形成されている緩衝体と、前記貫通孔にそれぞれ挿通されている複数の挿通部材と、前記複数の挿通部材の前記緩衝体の上端から突出した部分にそれぞれ固定され、前記一方の重量物に着脱可能に固定される係止部を有する係止部材と、前記複数の挿通部材の前記緩衝体の下端から突出した部分にそれぞれ固定され、各前記挿通部材が前記貫通孔から抜け落ちることを防止する脱落防止部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の緩衝材によれば、挿通部材の上端部には係止部材が、下端部には脱落防止部材がそれぞれ固定されているので、挿通部材が緩衝体から脱落することを長期間に亘って確実に防止することが可能となる。
【0011】
本発明の緩衝材において、前記複数の挿通部材の前記緩衝体の下端から突出した部分にはそれぞれ雄ねじが形成されており、前記脱落防止部材は複数の前記雄ねじにそれぞれナットを用いて固定されることが好ましい。
【0012】
この場合、挿通部材毎に脱落防止部材を固定する場合と比較して、緩衝体の変形を効果的に防止することが可能となる。また、ナットを用いて固定するので、固定作業が簡易であると共に、緩衝体に対する締付け程度を調整することが容易となる。
【0013】
また、本発明の緩衝材において、前記複数の挿通部材の前記緩衝体の上端から突出した部分にはそれぞれ雄ねじが形成されており、前記係止部材はそれぞれ前記雄ねじにナットを用いて固定されることが好ましい。
【0014】
この場合、ナットを用いて固定するので、固定作業が簡易であると共に、緩衝体に対する締付け程度を調整することが容易となる。
【0015】
また、本発明の緩衝材において、前記係止部材は、それぞれ貫通穴が形成されており、前記貫通穴を挿通するアンカーボルトにより前記一方の重量物の上部に係合されることが好ましい。
【0016】
この場合、係止部材をアンカーボルトにより一方の重量物の上部に簡易に着脱可能に固定することが可能となる。
【0017】
また、本発明の緩衝材において、例えば、前記一方の重量物は橋脚に配置される水平移動抑制部材であって、前記他方の重量物は橋桁であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の緩衝材において、例えば、前記水平移動抑制部材は、鉄筋コンクリート構造物である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る緩衝材を用いた落橋防止構造を示す説明図。
図2】落橋防止構造の模式縦断面図。
図3】水平移動抑制部材に緩衝材を取り付けた状態を示す模式側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る水平移動抑制用緩衝材10(以下、単に緩衝材10という)について図1から図3を参照して説明する。なお、図1から図3は本実施形態を模式的に説明するための図であり、寸法はデフォルメされている。
【0021】
緩衝材10は、高架橋などの橋梁の主桁などの橋桁Aを免震して落橋を防止することを目的として、橋脚Bに設置される水平移動抑制部材20に取り付けられる。水平移動抑制部材20は、橋桁Aの水平方向の移動を抑制するものであり、橋桁Aとの間に所定の隙間が設けられて緩衝材10が設置される。
【0022】
水平移動抑制部材20と橋桁Aは、水平方向に対向する面S1,S2を有しており、緩衝材10は、これら面S1,S2の間に設けられ、一方の面S1に当接して他方の面S2と水平方向の隙間を開けて取り付けられる。これにより、緩衝材10は、橋桁Aと水平移動抑制部材20とが衝突したときの衝撃を抑制する。なお、水平移動抑制部材20は本発明の一方の重量物に相当し、橋桁Aは本発明の他方の重量物に相当する。
【0023】
水平移動抑制部材20は、鉄筋が内蔵された鉄筋コンクリート造であり、橋脚Bに固定されるベースブラケット21と、緩衝材10が取り付けられる緩衝材ブラケット22とを備えている。
【0024】
ベースブラケット21は、図示しないが、コンクリート造からなる橋脚Bに予め設置された、又は後施工により定着された多数のアンカーにナットを用いて固定される。
【0025】
緩衝材ブラケット22は、ベースブラケット21の上面21aに一体化して設けられている。緩衝材ブラケット22は、緩衝材10が当接する面S1を有している。
【0026】
緩衝材ブラケット22は、例えば、ベースブラケット21と一体にコンクリートを打設して作成してもよい。また、緩衝材ブラケット22は、先にその上面21aまでコンクリートを打設してベースブラケット21を作成した後、その上にさらにコンクリートを打設することにより作成してもよい。この場合、緩衝材ブラケット22は、現場でコンクリートを打設してもよく、プレキャスト部材であってもよい。
【0027】
緩衝材ブラケット22とベースブラケット21との接合構造は、例えば、ベースブラケットの上面21aから接合筋を突出させて緩衝材ブラケット22内に定着させればよく、この場合、接合筋は後施工アンカーであってもよい。また、ベースブラケット20と緩衝材ブラケット22を縦方向に貫通する接合孔を設け、PC鋼棒などを設置して上下をナットで固定する構造であってもよい。
【0028】
緩衝材10は、緩衝体11、挿通部材12、係止部材13、脱落防止部材14などを備えている、
【0029】
緩衝体11は、緩衝材ブラケット22の取り付け面S1に面接触する矩形状の平面11aと、この平面11aと平行であって、橋桁Aの面S2と所定の隙間を隔てて対向する平面11bとを有しており、全体として略矩形板状である。
【0030】
緩衝体11には、水平移動抑制部材20に設置した状態における鉛直方向に貫通する貫通孔11cが複数形成されている。緩衝体11は、貫通孔11cが形成されていることを除いて従来の緩衝体と同じであればよく、例えばゴムからなる。
【0031】
挿通部材12は、緩衝体11に形成された貫通孔11cをそれぞれ挿通している。そして、挿通部材12の上端部12aは、緩衝体11の上端から上方に突出しており、挿通部材12の下端部12bは、緩衝体11の下端から下方に突出している。そして、これら上端部12a及び下端部12bには雄ねじが形成されている。なお、挿通部材12として、全長に亘って雄ねじが形成されている寸切ボルト(長ねじボルト)を用いてもよい。
【0032】
係止部材13は、鉄鋼などの金属からなる矩形状の片を折り曲げなどにより加工してなる。係止部材13は、水平移動抑制部材20に、より詳細には緩衝材ブラケット22の上面にて、橋桁Aの面S2との間に水平方向に隙間を開けて緩衝材10を着脱可能に係止することができるように構成されている。
【0033】
係止部材13は、挿通部材12の上端部12aが挿通する貫通孔13aが形成された水平面状に延びる第1の片13bを有している。この第1の片13bの下面と緩衝体11の上端面とが当接した状態で、挿通部材12の上端部12aに螺合するナット15によって、係止部材13が挿通部材12に固定されている。このように、係止部材13の第1の片13bがナット15により固定されることによって、挿通部材12が貫通孔11cから上方に抜け出すことが防止されている。
【0034】
係止部材13は、さらに、第1の片13bから連続して上方に向かって延びる第2の片13cを有している。この第2の片13cは、係止部材13をナット15によって挿通部材12に固定した際に、その水平移動抑制部材20の橋桁Aに対向する側の面S1が緩衝体11の面11aと面一又は略面一となるように形成されている。
【0035】
係止部材13は、さらに、第2の片13cから連続して、前方の橋桁Bに対して後方に向かって延びる第3の片13dを有している。この第3の片13dは、緩衝材ブラケット22の上面に載置される。
【0036】
係止部材13には、貫通孔13eが形成されている。この貫通孔13eを挿通するアンカーボルト17が緩衝材ブラケット22の上面から下方に向かって緩衝材ブラケット22内に螺入することにより、係止部材13の第3の片13dは緩衝材ブラケット22の上面に着脱可能に固定される。
【0037】
脱落防止部材14は、幅が緩衝体11の厚みと同じ又は狭い、鉄鋼製などからなる細長い矩形状の片である。脱落防止部材14には、緩衝体11に形成された貫通孔11cの位置にそれぞれ対応して複数の貫通孔14aが形成されている。そして、脱落防止部材14は、各貫通孔14aにそれぞれ挿通部材12の下端部12bが挿通された状態でナット16が下端部12bと螺合することにより、緩衝体11の下端面と当接して状態で固定されている。
【0038】
これにより、挿通部材12が貫通孔13aから上方に抜け出ることが防止されると共に、脱落防止部材14が存在しない場合と比較して、ナット16による緩衝体11の変形を効果的に防止することが可能となる。なお、脱落防止部材14は緩衝体11に形成された全ての貫通孔11cに対応するものであってもよいが、1の緩衝材10において複数の脱落防止部材が存在し、各脱落防止部材が緩衝体11に形成された一部の貫通孔11cに対応するものであってもよい。また、ワッシャのように個々の貫通孔11cに対応するものであってもよい。
【0039】
なお、緩衝体11の上端面にも脱落防止部材14を備えていてもよい。この場合、脱落防止部材14の上面に係止部材13を位置すればよい。また、脱落防止部材14と係止部材13を一体化、すなわち、係止部材13の第1の片13bを脱落防止部材14に置き換えてもよい。また、第1の片13bと脱落防止部材14は、橋桁Aと緩衝材11が衝突したときに衝撃を受けることがないように、橋桁Aの面と対向する側の端部は、緩衝材11の平面11bよりも所定距離だけ後退した位置までとなっている。この所定距離は、橋桁Aと緩衝材11が衝突したときに、緩衝材11に生じ得る最大の変形量以上とする。
【0040】
以下、上述した緩衝材10を用いた落橋防止構造の構築方法について説明する。
【0041】
本構築方法においては、まず、橋脚Bの所定位置に水平移動抑制部材20を設置する。
【0042】
その後、橋桁Aと水平移動抑制部材20の間において、係止部材13が緩衝材ブラケット22の上端部よりも上方に位置する状態を保ちながら、緩衝材10を所定の位置まで奥方に入れ込む。
【0043】
そして、この状態において、係止部材13の第3の片13dが緩衝材ブラケット22の上面に載置されるように、緩衝材10を下方に移動させる。そして、各係止部材13の第3の片13dに形成された貫通孔13eをアンカーボルト17を挿通させ、このアンカーボルト17を下方に向かって螺入させることにより、緩衝材10が係止部材13を介して水平移動抑制部材20に取り付けられる。なお、係止部材13の第3の片13dを緩衝材ブラケット22の上面に載置させた状態で、奥方に向けて滑らせるようにしてもよい。
【0044】
以上説明したように、挿通部材12の上端部には係止部材13が、下端部には脱落防止部材14がそれぞれ固定されているので、挿通部材12が緩衝体11から脱落することを長期間に亘って確実に防止することが可能となる。
【0045】
また、橋脚Bに水平移動抑制部材20を設置する際、水平移動抑制部材20には緩衝材10が取り付けられていない。そのため、緩衝材が取り付けられた状態の水平移動抑制部材を橋脚Bに設置する従来の場合と比較して、水平移動抑制部材20と橋桁Aとの隙間が広くなるので、水平移動抑制部材20を設置する際の作業の容易化を図ることが可能となる。
【0046】
また、アンカーボルト17を取り外した後、緩衝材10を上方に移動させ、その後、緩衝材10を手前側に移動させることにより、緩衝材10を水平移動抑制部材20から取り外すことができる。このように、橋脚Bに設置された水平移動抑制部材20に対して緩衝材10は着脱自在である。そのため、緩衝材を交換する際に、水平移動抑制部材を橋脚Bから取り外す必要がある従来の場合と比較して、緩衝材10の交換作業の容易化も図ることが可能となる。
【0047】
なお、本発明は、上述した緩衝材10に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、緩衝材10及び水平移動抑制部材20の各構成部材の具体的な構成は説明したものに限定されない。
【0048】
例えば、水平移動抑制部材20のベースブラケット21を鉄鋼構造とし、橋脚Bの側面に設置、又は橋脚B上に載置される形で多数のアンカーによって固定されるものであってもよい。この場合、水平移動抑制部材20には縦方向に貫通する接合孔を設け、この接合孔とベースブラケット21のボルト孔を貫通するPC鋼棒等を設置し、上下をナットで固定することによって一体に接合すればよい。
【0049】
また、本発明の一方の重量物に相当するものが橋脚Bに設置される水平移動抑制部材20であり、本発明の他方の重量物に相当するものが橋桁Aである場合について説明した。しかし、本発明の2つの重量物に相当するものはこれに限定されない。例えば、本発明の一方の重量物に相当するものが基礎であり、本発明の他方の重量物に相当するものが建物であり、本発明の緩衝材を免震ゴムとして、本発明を免震構造に適用してもよい。さらに、本発明の一方の重量物に相当するものが岸壁であり、本発明の他方の重量物に相当するものが船舶であり、本発明の緩衝材を防舷材としてもよい。また、本発明の一方の重量物に相当するものがレール構造物であり、本発明の他方の重量物に相当するものがローラクレーンや鉄道車両であり、本発明の緩衝材をこれらの間の緩衝材としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…水平移動抑制用緩衝材、緩衝材、 11…緩衝体、 11a,11b…平面、 11c…貫通孔、 12…挿通部材、 12a…上端部(緩衝体の上端から突出した部分)、 12b…下端部(緩衝体の下端から突出した部分)、 13…係止部材、 13a…貫通孔、 13b…第1の片、 13c…第2の片、 13d…第3の片、 13e…貫通孔、 14…脱落防止部材、 14a…貫通孔、 15,16…ナット、 20…水平移動抑制部材(一方の重量物)、 21…ベースブラケット、 21a…上面、 22…緩衝材ブラケット、 A…橋桁(他方の重量物)、 B…橋脚、 S1,S2…水平方向に対向する面
図1
図2
図3