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特許7756835LED照明回路、及び前記LED照明回路を有するLED照明器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-09
(45)【発行日】2025-10-20
(54)【発明の名称】LED照明回路、及び前記LED照明回路を有するLED照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/52 20200101AFI20251010BHJP
   H05B 45/54 20200101ALI20251010BHJP
   H05B 45/46 20200101ALI20251010BHJP
【FI】
H05B45/52
H05B45/54
H05B45/46
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2025505859
(86)(22)【出願日】2023-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2025-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2023069944
(87)【国際公開番号】W WO2024028106
(87)【国際公開日】2024-02-08
【審査請求日】2025-01-31
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/109796
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】22197614.5
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】リャン チュアン
(72)【発明者】
【氏名】リン リファ
(72)【発明者】
【氏名】ミアオ ウェイファ
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/034680(WO,A1)
【文献】特開2014-86363(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2161969(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第2390672(EP,A2)
【文献】独国特許発明第102004032456(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1LEDストリングであって、前記第1LEDストリング内の2つのLEDの間に第1タップを備える第1LEDストリングと、第2LEDストリングであって、前記第2LEDストリング内の2つのLEDの間に第2タップを備える第2LEDストリングとを含むLED装置であって、前記第1LEDストリングと前記第2LEDストリングとが並列に接続されるLED装置、
入力電力を受け取り、前記LED装置に出力電力を供給するよう適合される電源装置、
前記第1タップと前記第2タップとの間に接続される双方向導通装置であり
前記第1LEDストリングと前記第2LEDストリングとが、公称上同一であり、前記第1タップ及び前記第2タップが、それぞれのストリング内で同じ相対位置にある場合に、前記第1タップと前記第2タップとの間の電位差が閾値を超えるときに、又は
前記第1LEDストリングと前記第2LEDストリングとの間の電位の変化が検知されるときに、導通状態になるようトリガされるよう適合される双方向導通装置であって、
前記双方向導通装置によって電流が伝導される際に、第1検出出力において障害信号を生成するように適合される双方向導通装置、及び
前記第1検出出力に接続され、前記障害信号を受信するときに前記出力電力を減少させるよう前記電源装置を制御するよう適合される制御回路を有するLED照明回路。
【請求項2】
前記双方向導通装置が、前記双方向導通装置の電流を50mA未満に制限する電流制限構成要素を有する請求項1に記載のLED照明回路。
【請求項3】
前記双方向導通装置が、
前記第1タップと前記第2タップとの間に接続され、前記第1タップと前記第2タップとの間の前記電位差が前記閾値を超えるときに光を発するよう適合される発光側、及び前記第1検出出力として前記制御回路に接続され、前記発光側によって発せられる光を受光するときに前記障害信号を生成するよう適合される受光側を備えるオプトカプラを有し、
前記発光側が、
逆並列に接続される対のLED、又は
整流回路及び1つのLEDを有する請求項1又は2に記載のLED照明回路。
【請求項4】
前記電流制限構成要素が抵抗器を有する請求項2に記載のLED照明回路。
【請求項5】
前記第1タップ及び前記第2タップが、前記ストリングの端部の近くにある請求項1に記載のLED照明回路。
【請求項6】
前記第1タップ及び前記第2タップが前記ストリングの前記端部から少なくとも2つのLEDの距離離れたところにある請求項5に記載のLED照明回路。
【請求項7】
前記LED装置に関連する温度を検出し、前記温度が温度制限を超える場合に第2検出出力において温度信号を生成するよう適合される温度検出装置を更に有し、
前記制御回路が、更に、前記第2検出出力に接続され、前記温度信号を受信するときに前記出力電力を減少させるよう前記電源装置を制御するよう適合され、
前記第1検出出力及び前記第2検出出力が、互いに接続され、且つ前記制御回路に接続される請求項1に記載のLED照明回路。
【請求項8】
前記温度検出装置が、
前記LED装置と熱的に結合される温度依存性抵抗器、
発光側と、前記第2検出出力として前記制御回路に接続される受光側とを備えるオプトカプラ、及び
前記オプトカプラの前記発光側に給電するよう適合される給電回路を有し、
前記温度依存性抵抗器が、前記温度が温度制限を超えるときに前記給電回路をアクティブにするよう適合される請求項7に記載のLED照明回路。
【請求項9】
互いに接続される前記LED装置及び前記双方向導通装置の複製を更に有し、
2つの前記双方向導通装置の前記第1検出出力が、互いに接続され、且つ前記制御回路に接続される請求項1、7又は8に記載のLED照明回路。
【請求項10】
互いに接続される前記第1検出出力が、前記双方向導通装置からの前記障害信号を重畳するよう適合され、前記制御回路が、重畳された前記障害信号に従って前記出力電力を減少させるよう前記電源装置を制御するよう適合される請求項9に記載のLED照明回路。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のLED照明回路を有する照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明回路の分野に関し、特に、LED照明回路における障害保護(fault protection)に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の高出力でコンパクトなライトエンジンにおいては、高い照明出力(high lighting power)を供給するために数百個ものLEDが使用される。出力電圧/LED電圧が極端に高くなることを防止する(安全規制を満たす)ために、LEDは、並列に接続される複数のストリングに分けられ、それらを駆動するために大きな電流が供給される。LEDストリングは、非最小限に同一に(nonminimally identical)設計/ビニング(bin)され、従って、ストリングは、電流をほぼ均等に分け合う。ここで、非最小限に同一とは、ストリングの公称電流、順方向電圧及びインピーダンスなどがほぼ同一であることを意味する。当然、これは、各LEDチップの公差を含む。一部のアプリケーションにおいては、各LEDストリングの駆動電流は、LEDストリングが安全に動作することができる最大電流制限に非常に近い。1つのLEDストリング内の1つのLEDがオープン接続(open connection)として故障する場合には、関連するストリングは動作を停止する。このストリングを流れる電流は、他のストリングに分配され、他のストリングの最大電流制限を超え、他のストリングに損傷を与え、ライトエンジン全体を故障させる可能性がある。高出力アプリケーションにおける高い温度及び応力のため、ワイヤボンド亀裂及びはんだパッド亀裂により、開回路(open circuit)などの障害のリスクが増大している。
【0003】
図1は、例を示しており、ドライバからの総電流は、5.2Aであり、LEDは、ストリング当たり1.3Aの、1.3Aが各LEDを通る平均配分で、4つの公称上同一の(nominally identical)ストリング1乃至4に分けられる。各LEDの最大電流制限は、1.5Aである。例えば、これらのLEDのうちのLED D71が損傷している(開回路である)場合には、損傷したLED D71が配置されているストリング1は、如何なる電流も流れることを可能にすることができず、そのストリングの合計電流は、他の3つのストリング2、3及び4によって分配され、即ち、他の3つのストリングの各々に1.73Aの電流が割り当てられ、これは、LEDストリングが耐えることができる最大電流制限1.5Aを超える。このことは、他の3つのLEDストリングもすぐに故障することをもたらす。US20080157689A1は、開回路LEDによってトリガされ、LEDをバイパスする双方向要素の使用を開示している。電流は、他のストリング内の別のLEDに送られる。この従来技術における問題は、他のLEDが、それ自身のストリング内のその元の電流だけでなく、異なるストリング内の故障したLEDからバイパスされる電流にも耐える必要があり、従って、他のLEDが、過電流を受け取る可能性があり、他のLEDも、故障する可能性があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED障害検出のための既知の方法がある。例えば、各ストリングの電流が、そのストリング内の検出抵抗器によってサンプリングされ、比較器を介して閾値と比較される。電流が閾値未満である場合には、そのストリングはオープン故障(open failure)とみなされることができ、この事象を示す信号が、生成され、ドライバに送信され、前記ドライバは、それに応じて出力電流が減少させる。しかしながら、これらの既知の方法は、必然的に、効率への影響及び電力供給の困難さなどの問題に直面する。更に、LED基板側は、多くの場合、ドライバのコントローラから絶縁されており、従って、LED側において得られるこの信号も、アイソレータを介してドライバのコントローラにレベルシフトされる必要がある。
【0005】
EP2161969A2は、各LEDストリングが、そのストリングにおける障害を検知するバイパス回路と並列に接続される複数のLEDストリングの直列接続を開示している。
【0006】
EP2390672A2は、双方向オプトカプラを開示している。
【0007】
DE102004032456B3は、並列接続されるLED回路であって、前記LED回路の各々が、ブーストコンバータとLEDストリングとを有するLED回路を開示している。
【0008】
EP2763503A2及びWO2004068909A1は、並列接続されるLEDストリングを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0010】
本発明の基本的なアイデアは、ストリング間の電位の変化を検知し、この変化が検知される場合に障害信号を生成するために、並列LEDストリング間に双方向導通装置(bidirectional conduction arrangement)を配置するものであり、前記障害信号は、前記ストリングへの電力供給を減少させるために制御回路に送信される。
【0011】
本発明の第1態様は、第1LEDストリングであって、前記第1LEDストリング内の2つのLEDの間に第1タップを備える第1LEDストリングと、第2LEDストリングであって、前記第2LEDストリング内の2つのLEDの間に第2タップを備える第2LEDストリングとを含むLED装置であって、前記第1LEDストリングと前記第2LEDストリングとが並列に接続されるLED装置、入力電力を受け取り、前記LED装置に出力電力を供給するよう適合される電源装置、前記第1タップと前記第2タップとの間に接続され、前記第1タップと前記第2タップとの間の電位差が閾値を超えるときに導通状態になるようトリガされるよう適合される双方向導通装置であって、前記双方向導通装置によって伝導される電流が、第1検出出力において障害信号を生成するように適合される双方向導通装置、及び前記第1検出出力に接続され、前記障害信号を受信するときに前記出力電力を減少させるよう前記電源装置を制御するよう適合される制御回路を有するLED照明回路を提供する。
【0012】
前記双方向導通装置と前記制御回路との組み合わせは、低コスト、低電力損失及び効果的な障害保護を提供する。2つの並列LEDストリングが使用される場合の単一障害保護のためには、(2つ以上のストリングではなく、単一のLEDストリングのみが故障すると合理的に仮定すると、)1つの双方向導通装置が、両方のLEDストリングをモニタすることができ、従って、各LEDストリングに対してそれぞれのモニタ回路を設ける必要はない。前記ストリングが損傷を受けていないときには、前記双方向導通装置は、トリガされず、従って、前記LED照明回路の通常動作においては電力損失がない。前記障害信号は、前記双方向導通装置によって伝導される電流から直接生成され、前記制御回路に送信され、これは、既知の方法のように別個の比較器を必要とせず、コストは、相対的に低い。最後に大事なことであるが、前記制御回路は、残りのLEDストリングが、依然として、過剰に給電されずに動作しており、前記LED照明回路が、確実に動作し続けるように、能動的に前記出力電力を減少させる。
【0013】
更なる実施形態においては、前記双方向導通装置は、前記双方向導通装置の電流を50mA未満に制限する電流制限構成要素を有する。
【0014】
前記双方向導通装置は、障害の場合に前記障害信号を維持する必要があることから、前記双方向導通装置も、障害から保護される必要がある。この実施形態は、前記双方向導通装置における過電流を防止するために前記電流制限構成要素を使用し、それは、前記双方向導通装置の信頼性を向上させる。
【0015】
更なる実施形態においては、前記双方向導通装置は、前記第1タップと前記第2タップとの間に接続され、前記第1タップと前記第2タップとの間の前記電位差が前記閾値を超えるときに光を発するよう適合される発光側、及び前記第1検出出力として前記制御回路に接続され、前記発光側によって発せられる光を受光するときに前記障害信号を生成するよう適合される受光側を備えるオプトカプラを有する。
【0016】
オプトカプラは、電圧差によってトリガされることが可能であるだけでなく、レベルシフト/絶縁を提供することも可能である低コストの構成要素である。また、オプトカプラは、前記障害信号を継続的に維持するための長い動作寿命を有する。オプトカプラの電力消費量も非常に少なくなく、故に、障害保護における電力損失も低い。
【0017】
更なる実施形態においては、双方向信号から光を発するために、前記発光側は、逆並列に接続される対のLED、又は整流回路及び1つのLEDを有する。一体化された逆並列LEDを備える双方向オプトカプラは、成熟した既製品であり、すぐに使用されることができる。他の例においては、整流回路及び1つのLEDも使用されることができる。
【0018】
或る低コスト実施形態においては、前記電流制限構成要素は、抵抗器を有する。前記抵抗器の抵抗は、数百オームであり得る。
【0019】
或る実施形態においては、前記第1LEDストリングと前記第2LEDストリングとが、前記電源装置の同じ出力に並列に接続され、公称上同一であり、前記第1タップ及び前記第2タップは、それぞれのストリング内で同じ相対位置にある。
【0020】
この実施形態においては、LEDストリングは、同一であり、並列に接続され、タップは、同じ位置にあることから、両方のLEDストリングが損傷を受けていない場合には、2つのタップ間の電位は実質的にゼロになり、そうでない場合には、前記電位は、差があり、前記双方向導通装置によって検出されることができる。
【0021】
代替実施形態においては、前記LEDストリングは、前記電源装置の異なる出力において駆動されることができる。例えば、第1電流調整回路が、前記第1LEDストリングに給電する一方で、第2電流調整回路が、前記第2LEDストリングに給電する。この場合には、両方のストリングが損傷を受けていない最初の時点において、2つのLEDストリング間の電位は差がある可能性があり、前記双方向導通装置は、この差を許容し、この差に応答しないよう設計されることができ、1つのストリングがオープンになるときには、前記電位も大幅に変化し、前記双方向導通装置は、この大幅な変化を検出し/この大幅な変化に応答し、前記障害信号を送信するよう設計されることができる。例えば、両方のストリングが損傷を受けていないときには、2つのタップ間の電位は、3Vであってもよく、それは、双方向導通要素を導通させるのに十分ではなく、一方のストリングがオープンになるときには、前記電位は、9Vまで増加し、それは、前記双方向導通要素を導通させる。
【0022】
更なる実施形態においては、前記第1タップ及び前記第2タップは、前記ストリングの端部の近くにある。前記タップ及び前記双方向導通要素を前記ストリングの端部の近くに配置することは、回路の基板レイアウトをより容易にする。前記タップ及び前記双方向導通要素は、前記ストリングの中央に配置されることもできる。
【0023】
更なる実施形態においては、前記タップ及び前記双方向導通要素は、前記ストリングの前記端部から少なくとも2つのLEDの距離離れたところにある。この実施形態においては、1つのLEDストリングがオープンである場合、前記LEDストリング内の前記タップ間の電位は、前記少なくとも2つのLEDの順方向電圧であり、従って、前記オプトカプラをアクティブにするのに十分である。
【0024】
実施形態においては、前記LED照明回路は、前記LED装置に関連する温度を検出し、前記温度が温度制限を超える場合に第2検出出力において温度信号を生成するよう適合される温度検出装置を更に有し、前記制御回路は、更に、前記第2検出出力に接続され、前記温度信号に基づいて前記出力電力を減少させるよう前記電源装置を制御するよう適合され、前記第1検出出力及び前記第2検出出力は、互いに接続され、且つ前記制御回路に接続される。
【0025】
この実施形態においては、前記LED照明回路は、熱保護も有し、前記開回路保護及び前記熱保護は、前記制御回路に保護信号を送信するのに単一のインターフェースを使用する。この実施形態は、開回路の前記障害信号と過熱の前記温度信号の両方のために単一のインターフェースしか使用されないことから、低コストという利点を有する。
【0026】
更なる実施形態においては、前記温度検出装置は、前記LED装置と熱的に結合される温度依存性抵抗器、発光側と、前記第2検出出力として前記制御回路に接続される受光側とを備えるオプトカプラ、及び前記オプトカプラの前記発光側に給電するよう適合される給電回路を有し、前記温度依存性抵抗器は、前記温度が温度制限を超えるときに、前記給電回路を非アクティブにする、又は前記給電回路の出力電力を低減させるよう適合される。
【0027】
この実施形態は、前記LED装置と熱的に結合されるNTC(負温度係数)又はPTC(正温度係数)抵抗器などの温度依存性抵抗器に基づく温度検出装置の低コスト実施例を提供する。例えば、前記温度依存性抵抗器及び前記LED装置は、前記温度依存性抵抗器が前記LED装置の温度を確実に検出することができるように、同じPCBにおいてすぐ近くに配置される。
【0028】
更なる実施形態においては、前記LED照明回路は、互いに接続される前記LED装置及び前記双方向導通装置の複製(duplicate)を有し、2つの前記双方向導通装置の前記第1検出出力は、互いに接続され、且つ前記制御回路に接続される。
【0029】
この実施形態においては、4つ以上のLEDストリングを異なる対に分けられることができ、各対は、その対の中の1つのLEDストリングにおける開回路を検出する双方向導通装置を有する。この解決策は、低コストであり、少数の構成要素しか必要としないことから、実際の必要性に応じてLEDストリングの数を増やし、これらのLEDストリングのための障害検出及び保護を提供することは非常に容易である。
【0030】
更に、前記双方向導通装置からの前記障害信号は、重畳されるよう適合され、前記電源装置は、重畳された前記障害信号に従って前記出力電力を減少させるよう適合される。
【0031】
この実施形態においては、前記重畳された障害信号は、何対のLEDストリングが故障しているかを示し、前記電源装置は、それに応じて前記出力電力を減少させることができる。例えば、2対構成においては、前記重畳された障害信号が、1対における1つのストリングのみが故障していることを示す場合には、前記制御回路は、前記出力電力を75%まで低減させるよう前記電源装置を制御することができ、前記重畳された障害信号が、両方の対がそれぞれの故障したストリングを有することを示す場合には、前記制御回路は、前記出力電力を50%まで低減させるよう前記電源装置を制御することができる。この実施形態は、残りのLEDストリングに合わせるよう前記出力電力をインテリジェントに調節し、前記残りのLEDストリングを公称動作状態で動作させ続け、前記残りのLEDストリングへの過剰給電(overpowering)又は過少給電(underpowering)の発生を防止する。
【0032】
本発明の第2態様においては、上記の態様及び実施形態によるLED照明回路を有するLED照明器具が提供される。
【0033】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】障害検出及び保護のないLED照明回路において発生する障害を図示する。
図2】本願の実施形態による障害検出及び保護を備えるLED照明回路を図示する。
図3図2のLED照明回路の動作であって、第1ストリングの或る部分がオープンになるときの動作を図示する。
図4図2のLED照明回路の動作であって、第1ストリングの別の部分がオープンになるときの動作を図示する。
図5図2のLED照明回路の動作であって、第2ストリングの或る部分がオープンになるときの動作を図示する。
図6図2のLED照明回路の動作であって、第2ストリングの別の部分がオープンになるときの動作を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図を参照して本発明について説明する。
【0036】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0037】
図2において示されているように、LED照明回路は、LED D1乃至D70、D71及びD72を含む第1LEDストリングと、LED D73乃至D142、D143及びD144を含む第2LEDストリングとを含むLED装置を有する。第1LEDストリングは、タップ20を有し、第2LEDストリングは、タップ22を有する。第1LEDストリング及び第2LEDストリングは、並列に結合される。
【0038】
電源装置23は、入力電力INを受け取り、LED装置に出力電力を供給するよう適合される。
【0039】
双方向導通装置24は、第1LEDストリングD1乃至D72内の第1タップ20と、第2LEDストリングD73乃至D144内の第2タップ22との間に接続され、前記双方向導通装置24は、第1タップ20と第2タップ22との間の電位差が閾値を超えるときに導通状態になるようトリガされるよう適合され、双方向導通装置24によって伝導される電流は、第1検出出力240において障害信号を生成するように適合される。
【0040】
制御回路27は、第1検出出力240に接続され、前記障害信号を受信する場合に出力電力を減少させるよう電源装置23を制御するよう適合される。
【0041】
電源装置は、AC入力に接続され、バス電圧を生成する第1PFC段と、バス電圧を所望の出力電流に更に変換する第2電流調整段とを有する2段電源であってもよい。電流調整段は、通常、出力電流を調節する能力を持ち、制御回路27は、出力電力/電流を減少させるよう電流調整段に指示することができる。制御回路は、ディスクリート回路又は集積回路によって実施されることができる。
【0042】
好ましくは、電力損失を減らし、損傷を防止するために、双方向導通部品を通る電流を制限するために、双方向導通装置24は、双方向導通装置の電流を50mA未満に制限する電流制限構成要素を有してもよい。低コスト実施形態においては、電流制限構成要素は、抵抗器R1であり、その抵抗は、470オームなどの数百オームである。
【0043】
或る実施形態においては、双方向導通部品は、第1タップ20と第2タップ22との間に接続され、第1タップ20と第2タップ22との間の電位差が閾値を超えるときに光を発するよう適合される発光側A-K、及び第1検出出力240として制御回路27に接続され、発光側A-Kによって発せられる光を受光するときに障害信号を生成するよう適合される受光側C-Eを備えるオプトカプラU1を有する。この実施形態においては、発光側は、第1タップ20と第2タップ22との間の正又は負の、即ち、双方向の電位差に応答するように、逆並列に接続される対のLEDを有する。代替実施形態においては、逆並列LEDは、整流回路及び1つのLEDに置き換えられることができる。
【0044】
好ましくは、第1LEDストリングD1乃至D72と第2LEDストリングD73乃至D144とが、並列に接続され、公称上同一であり、第1タップ20及び第2タップ22は、それぞれのストリング内で同じ相対位置にある。この実施形態においては、各タップは、各ストリング内の最後から2番目のLEDのアノードのところにある。
【0045】
この実施形態においては、LED照明回路は、開回路保護に加えて、過熱保護も有する。LED照明回路は、LED装置に関連する温度を検出し、温度が温度制限を超える場合に第2検出出力260において温度信号を生成するよう適合される温度検出装置26を有し、制御回路27は、更に、第2検出出力260に接続され、温度信号を受信する場合に出力電力を減少させるよう電源装置を制御するよう適合される。制御回路との接続数を最小限に抑えるために、障害信号と温度信号の両方が出力電力を減少させるために保護をトリガするために使用されることから、2つの信号は、混合されることができ、第1検出出力240及び第2検出出力260は、互いに接続され、制御回路に接続される。図2の回路においては、第1検出出力240及び第2検出出力260は、制御回路27のNTC+及びNTC-端子に接続される。
【0046】
過熱保護に関しては、温度検出装置26が、温度依存性抵抗器R_NTC、発光側A-Kと、第2検出出力260として制御回路27に接続される受光側C-Eとを備えるオプトカプラU3、及び前記オプトカプラU3の発光側に給電するよう適合される給電回路R5を有し、前記温度依存性抵抗器R_NTCは、温度が温度制限を超えるときに、随意にTL431 U4を含む比較回路を介して、給電回路をアクティブにするよう適合される。
【0047】
より具体的には、抵抗器R8は、温度制限を設定することができ、コンデンサC1は、負帰還コンデンサであり、抵抗器R5、R6は、電流制限抵抗器であり、抵抗器R7は、比較回路U4のための電源である。
【0048】
本明細書は、まず、熱保護について説明し、次いで、熱保護によって使用されるのと同じ出力を介して制御回路に通知する開回路保護について説明する。LED装置を搭載するLED基板の温度が上昇するとき、抵抗器R_NTCの温度は上昇し、抵抗器R_NTCの抵抗は低下し、比較器U4の電極2における電圧は上昇する。電圧が2.5Vまで上昇するとき、比較器U4はその電極1及び3を閉じ、このことはU3に給電させ、オプトカプラU3の照明受光側C-Eのインピーダンスは低下し、第2検出出力260における電圧をプルダウンする。制御回路27は、R6を介してU3_CE+R6の抵抗値の低下を検出し、又は第2検出出力260における電圧の低下を検出し、更なる過熱を防止するよう出力電力/電流を減少させるよう電源装置23を制御する。
【0049】
開回路保護に関しては、図3が、双方向導通装置がどのように動作するかを示している。
【0050】
例として、最初は、第1及び第2LEDストリングの両方が、通常動作状態として損傷を受けていない。総出力電流は5.2Aであり、各並列ストリングを通る電流は1.3Aであると仮定する。第1LEDストリング内のLED D71+D72と第2LEDストリング内のLED D143+D144との順方向電圧における差が、実質的にゼロである又は非常に小さいことから、第1タップ20と第2タップ22との間の電位はほぼゼロであり、オプトカプラU1は動作することができない。双方向導通装置は、第1保護出力240において障害信号を出力しない。制御回路27は、この障害信号を受信せず、出力電力/電流を減少させるよう電源装置23を制御しない。
【0051】
図3においては、第1LEDストリングD1乃至D72内のD1乃至D70のうちのいずれかのLEDが、×印のアイコンによって示されているようにオープンになるときには、電源装置の出力電圧は、LED D73乃至D142、オプトカプラU1、抵抗器R1、並びにLED D71及びD72の直列接続に印加される。換言すれば、LED D143及びD144の電圧が、オプトカプラU1、抵抗器R1、並びにLED D71及びD72の間に印加される。このとき、それは、オプトカプラU1、並びにLED D71及びD72を多かれ少なかれ導通させ、オプトカプラU1、並びにLED D71及びD72に電流を流させ、LED D71及びD72は低電流伝導状態になり、オプトカプラU1のK-A端子における電圧差がU1を動作させ、U1のC-E端子のインピーダンスは低減される。第1保護出力240における電圧は減少し、障害信号としての減少した電圧が、R2を通して制御回路27に送られる。制御回路27は、LEDストリング2、3及び4におけるLED電流が1.3Aに戻されるように、総出力電流を、例えば5.2Aから3.9Aまで、減少させるよう、電源装置23を制御する。
【0052】
図4においては、第1LEDストリングD1乃至D72内のD71乃至D72のうちのいずれかのLEDが、×印のアイコンによって示されているようにオープンになるときには、電源装置23の出力電圧は、LED D1乃至D70、抵抗器R1、オプトカプラU1、並びにLED D143及びD144に印加される。このとき、それは、オプトカプラU1を多かれ少なかれ導通させ、オプトカプラU1に電流を流させ、オプトカプラU1のA-K端子における電圧差がU1を動作させ、U1のC-E端子のインピーダンスは低減される。第1保護出力240における電圧は減少し、障害信号としての減少した電圧が、R2を通して制御回路に送られる。制御回路は、ストリング2、3及び4におけるLED電流が1.3Aに戻されるように、対応する総出力電流を例えば3.9Aまで減少させるよう、電源装置23を制御する。
【0053】
双方向導通装置は、他のストリングの障害もモニタすることができる。図5においては、第2LEDストリングD73乃至D144内のD143乃至D144のうちのいずれかのLEDが、×印のアイコンによって示されているようにオープンになるときには、電源装置23の出力電圧は、LED D73乃至D142、オプトカプラU1、抵抗器R1、並びにLED D71及びD72に印加される。このとき、それは、オプトカプラU1を多かれ少なかれ導通させ、オプトカプラU1に電流を流させ、オプトカプラU1のK-A端子における電圧差がU1を動作させ、U1のC-E端子のインピーダンスは低減される。第1保護出力240における電圧は減少し、障害信号としての減少した電圧が、抵抗器R2を通して制御回路27に送られる。制御回路27は、ストリング1、3及び4におけるLED電流が1.3Aに戻されるように、総出力電流を例えば3.9Aまで減少させるよう、電源装置23を制御する。
【0054】
図6においては、第2LEDストリングD73乃至D144内のD73乃至D142のうちのいずれかのLEDが、×印のアイコンによって示されているようにオープンになるときには、電源装置23の出力電圧は、LED D1乃至D70、抵抗器R1、オプトカプラU1、並びにLED D143及びD144に印加される。換言すれば、LED D71及びD72の電圧が、抵抗器R1、オプトカプラU1、並びにLED D143及びD144の間に印加される。このとき、それは、オプトカプラU1、並びにLED D143及びD144を多かれ少なかれ導通させ、オプトカプラU1、並びにLED D143及びD144に電流を流させ、LED D143及びD144は低電流伝導状態になり、オプトカプラU1のA-K端子における電圧差がU1を動作させ、U1のC-E端子のインピーダンスは低減される。第1保護出力240における電圧は減少し、障害信号としての減少した電圧が、抵抗器R2を通して制御回路27に送られる。制御回路27は、LEDストリング1、3及び4におけるLED電流が1.3Aに戻されるように、総出力電流を、例えば5.2Aから3.9Aまで減少させるよう、電源装置23を制御する。
【0055】
LED D1乃至D72及びLED D73乃至D144を並列ストリングに対して単一障害状態が想定されており、換言すれば、本実施形態は、2つのストリングのうちの単一のストリングの障害をモニタ及び保護することができるが、両方のストリングが故障する場合は無視される。
【0056】
好ましくは、LED照明回路は、LED装置及び双方向導通装置の複製を有する。この複製の第1LEDストリングは、D145乃至D216であり、この複製の第2LEDストリングは、D217乃至D288である。双方向導通装置24'は、この複製のものである。2つのLEDストリングD145乃至D216及びD217乃至D288のうちのいずれか1つのモニタ及び保護における双方向導通装置24'の動作は、上記のものと同様である。
【0057】
D1乃至D72及びD73乃至D144の中の1つのLEDストリングと、D145乃至D216及びD217乃至D288の中の1つのLEDストリングとが故障する場合には、双方向導通部品24及び24'の両方がトリガされ、オプトカプラU1及びU2の両方のC-E端子のインピーダンスが低インピーダンスになり、検出出力240/240'における電圧は、4つのストリングのうちの1つのストリングのみが故障するときのレベルよりも低いレベルまで更に低減される。制御回路27は、このより低いレベルを検知することができ、残りの2つのLEDストリングにおけるLED電流が1.3Aに戻されるように、出力電力/電流を、2.6Aなどの更により低い値まで減少させるよう、電源装置23を制御する。
【0058】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0059】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0060】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。特許請求の範囲又は明細書において「装置」という用語が使用されている場合には、「装置」という用語は、「システム」という用語と同等であるよう意図されており、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0061】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6