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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-14
(45)【発行日】2025-10-22
(54)【発明の名称】飲料サーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20251015BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024049476
(22)【出願日】2024-03-26
(65)【公開番号】P2025149044
(43)【公開日】2025-10-08
【審査請求日】2025-07-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517169285
【氏名又は名称】プレミアムウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 直利
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康信
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩史
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0075424(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2020762(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0120987(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0008778(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面が筐体の前面と同じ位置である第1パネル位置と、前記第1パネル位置よりも奥に位置する第2パネル位置との間で移動可能な前パネルと、
前記前パネルが前記第2パネル位置に位置する際に、飲料水を注出する注出部と、
前面が前記パネル面と同じ位置である第1トレイ位置と、前記第1トレイ位置よりも前に突出し前記注出部の下に位置する第2トレイ位置との間で移動可能なトレイと、
前記前パネルの前記第1パネル位置から前記第2パネル位置への移動に連動して、前記トレイを前記第1トレイ位置から前記第2トレイ位置へ移動させる移動機構と、
を備え
前記移動機構は、
前記前パネルの側壁と連結しており、前記前パネルを前記第1パネル位置と前記第2パネル位置との間でスライドさせる第1移動部材と、
前記トレイの側壁と連結しており、前記トレイを前記第1トレイ位置と前記第2トレイ位置との間でスライドさせる第2移動部材と、
前記第1移動部材と前記第2移動部材に連結されており、前記第1移動部材と前記第2移動部材を連動して移動させる連結部材と、を有する、飲料サーバー。
【請求項2】
前記注出部は、前記前パネルよりも上方に位置し、
前記パネル面は、前記前パネルが前記第1パネル位置に位置する際に前記注出部よりも前方に位置し、前記前パネルが前記第2パネル位置に位置する際に前記注出部よりも後方に位置する、
請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項3】
前記移動機構は、前記第1パネル位置に位置する前記前パネルが前記パネル面に押圧力を受けて前記第2パネル位置へ移動を開始すると、前記トレイの前記第1トレイ位置から前記第2トレイ位置への移動を開始させる、
請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項4】
前記移動機構は、前記前パネルが前記第2パネル位置に停止したタイミングで、前記トレイを前記第2トレイ位置で停止させる、
請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項5】
前記移動機構は、前記トレイの前記第2トレイ位置から前記第1トレイ位置への移動に連動して、前記前パネルを前記第2パネル位置から前記第1パネル位置へ移動させる、
請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項6】
前記連結部材が回転支点を中心に回動することで、前記第1移動部材と前記第2移動部材が逆方向に移動する、
請求項に記載の飲料サーバー。
【請求項7】
前記前パネル及び前記トレイを移動可能に支持する支持プレートを更に備え、
前記支持プレートは、
前記第1移動部材と前記前パネルの側壁との連結部の移動をガイドする第1ガイド孔部と、
前記第2移動部材と前記トレイの側壁との連結部の移動をガイドする第2ガイド孔部と、を有する、
請求項に記載の飲料サーバー。
【請求項8】
前記第1パネル位置に位置する前記前パネルが前記パネル面に押圧力を受けて前記第2パネル位置へ移動する際に、前記押圧力を減衰させる減衰力を発生する減衰部を更に備える、
請求項3に記載の飲料サーバー。
【請求項9】
前記前パネル及び前記トレイの移動を支持する支持プレートを更に備え、
前記減衰部は、
前記前パネルに固定され、前記前パネルの移動方向に平行に位置しているギアガイドと、
前記支持プレートに固定され、前記ギアガイドと噛み合うことで前記減衰力を発生させる噛み合いギアと、を有する、
請求項に記載の飲料サーバー。
【請求項10】
点灯可能なアイコンを含み、前記注出部による前記飲料水の注出を操作するための操作部と、
前記トレイが前記第1トレイ位置に位置する際には、前記アイコンを消灯させ、前記移動機構が前記トレイを前記第2トレイ位置へ移動させると、前記アイコンを点灯させる表示制御部を更に備える、
請求項1に記載の飲料サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭でも飲料サーバーが普及しており、飲料サーバーのデザインの観点等から、筐体の下部にボトルをセット可能な飲料サーバーが利用されている。下記の特許文献1に記載の飲料サーバーは、筐体の前側に、ボトルから供給された飲料水を注出する注出部と、注出部の下方に設けられたトレイとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-172624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の飲料サーバーでは、注出部が飲料水を注出しない場合に、注出部及びトレイが筐体から露出しているため、ボトルが筐体内にセットされていても、飲料サーバーの美観が損なわれる。一方で、飲料サーバーの美観を優先すると、注出部が飲料水を注出する際にトレイを所望の位置に配置できないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、美観に優れ、かつ注出部に飲料水を注出させるためにトレイを所望の位置に位置させることが可能な飲料サーバーを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、パネル面が筐体の前面と同じ位置である第1パネル位置と、前記第1パネル位置よりも奥に位置する第2パネル位置との間で移動可能な前パネルと、前記前パネルが前記第2パネル位置に位置する際に、飲料水を注出する注出部と、前面が前記パネル面と同じ位置である第1トレイ位置と、前記第1トレイ位置よりも前に突出し前記注出部の下に位置する第2トレイ位置との間で移動可能なトレイと、前記前パネルの前記第1パネル位置から前記第2パネル位置への移動に連動して、前記トレイを前記第1トレイ位置から前記第2トレイ位置へ移動させる移動機構と、を備える、飲料サーバーを提供する。
【0007】
また、前記注出部は、前記前パネルよりも上方に位置し、前記パネル面は、前記前パネルが前記第1パネル位置に位置する際に前記注出部よりも前方に位置し、前記前パネルが前記第2パネル位置に位置する際に前記注出部よりも後方に位置することとしてもよい。
【0008】
また、前記移動機構は、前記第1パネル位置に位置する前記前パネルが前記パネル面に押圧力を受けて前記第2パネル位置へ移動を開始すると、前記トレイの前記第1トレイ位置から前記第2トレイ位置への移動を開始させることとしてもよい。
【0009】
また、前記移動機構は、前記前パネルが前記第2パネル位置に停止したタイミングで、前記トレイを前記第2トレイ位置で停止させることとしてもよい。
【0010】
また、前記移動機構は、前記トレイの前記第2トレイ位置から前記第1トレイ位置への移動に連動して、前記前パネルを前記第2パネル位置から前記第1パネル位置へ移動させることとしてもよい。
【0011】
また、前記移動機構は、前記前パネルの側壁と連結しており、前記前パネルを前記第1パネル位置と前記第2パネル位置との間でスライドさせる第1移動部材と、前記トレイの側壁と連結しており、前記トレイを前記第1トレイ位置と前記第2トレイ位置との間でスライドさせる第2移動部材と、前記第1移動部材と前記第2移動部材に連結されており、前記第1移動部材と前記第2移動部材を連動して移動させる連結部材と、を有することとしてもよい。
【0012】
また、前記連結部材が回転支点を中心に回動することで、前記第1移動部材と前記第2移動部材が逆方向に移動することとしてもよい。
【0013】
また、前記前パネル及び前記トレイを移動可能に支持する支持プレートを更に備え、前記支持プレートは、前記第1移動部材と前記前パネルの側壁との連結部の移動をガイドする第1ガイド孔部と、前記第2移動部材と前記トレイの側壁との連結部の移動をガイドする第2ガイド孔部と、を有することとしてもよい。
【0014】
また、前記第1パネル位置に位置する前記前パネルが前記パネル面に押圧力を受けて前記第2パネル位置へ移動する際に、前記押圧力を減衰させる減衰力を発生する減衰部を更に備えることとしてもよい。
【0015】
また、前記前パネル及び前記トレイの移動を支持する支持プレートを更に備え、前記減衰部は、前記前パネルに固定され、前記前パネルの移動方向に平行に位置しているギアガイドと、前記支持プレートに固定され、前記ギアガイドと噛み合うことで前記減衰力を発生させる噛み合いギアと、を有することとしてもよい。
【0016】
また、点灯可能なアイコンを含み、前記注出部による前記飲料水の注出を操作するための操作部と、前記トレイが前記第1トレイ位置に位置する際には、前記アイコンを消灯させ、前記移動機構が前記トレイを前記第2トレイ位置へ移動させると、前記アイコンを点灯させる表示制御部を更に備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、美観に優れ、かつ注出部に飲料水を注出させるためにトレイを所望の位置に位置させることが可能な飲料サーバーを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一の実施形態に係る飲料サーバー1を示す斜視図である。
図2】一の実施形態に係る飲料サーバー1を示す斜視図である。
図3】一の実施形態に係る飲料サーバー1を示す斜視図である。
図4】飲料サーバー1の内部構成を示す模式図である。
図5】左側の支持プレート12及び移動機構70を示す斜視図である。
図6】右側の支持プレート12及び移動機構70を示す斜視図である。
図7】前パネル5とトレイ6を示す斜視図である。
図8】前パネル5を押す直前の移動機構70を示す模式図である。
図9】前パネル5を押している際の移動機構70を示す模式図である。
図10】前パネル5が停止した際の移動機構70を示す模式図である。
図11】トレイ6が第2トレイ位置に位置する際に操作部に点灯されるアイコンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<飲料サーバーの構成>
一の実施形態に係る飲料サーバーの外部構成及び内部構成について、図1図4を参照しながら説明する。
【0020】
(飲料サーバーの外部構成)
図1図3は、一の実施形態に係る飲料サーバー1を示す斜視図である。図1には、使用前の状態の飲料サーバー1が示され、図2には、前パネル5及びトレイ6が移動中の飲料サーバー1が示され、図3には、飲料水を注出可能な状態の飲料サーバー1が示されている。
【0021】
飲料サーバー1は、内部に飲料水(具体的には、冷水と温水)を収容し、飲料水を注出可能なサーバーである。飲料サーバー1は、箱型の筐体2を有する。筐体2は、縦長の四角柱の形状を成している。
【0022】
筐体2の前面側には、前パネル5と、トレイ6と、上パネル7と、扉8が設けられており、前パネル5、トレイ6、上パネル7及び扉8が、筐体2の前面を形成している。飲料サーバー1の未使用時には、図1に示すように、前パネル5、トレイ6、上パネル7及び扉8が、同一面上に位置しており、飲料サーバー1の美観を高めている。
【0023】
前パネル5は、筐体2の前面の中央に位置している。前パネル5は、図1に示す第1パネル位置と、図3に示す第2パネル位置の間で移動可能である。第1パネル位置は、前パネル5のパネル面が筐体2の前面と同一位置になる位置である。第2パネル位置は、第1パネル位置よりも奥側の位置である。
【0024】
前パネル5は、第1パネル位置に位置する際に外力(図1に示す力F1)を受けて押されると、第2パネル位置へ移動する。例えば、飲料サーバー1の使用者が、第1パネル位置に位置する前パネル5のパネル面を押し続けると、前パネル5が後方の第2パネル位置へ向かって移動する(図2参照)。なお、図2には、前パネル5を押す使用者の手が省略されている。
【0025】
トレイ6は、前パネル5の下に位置している。トレイ6は、図1に示す第1トレイ位置と、図3に示す第2トレイ位置との間で移動可能である。第1トレイ位置は、前面が前パネル5のパネル面と同一位置になる位置である。第2トレイ位置は、第1トレイ位置よりも前に突出した位置である。
【0026】
トレイ6は、第2トレイ位置に位置する際に外力(図3に示す力F2)を受けて押されると、第2トレイ位置から第1トレイ位置へ移動する。例えば、飲料サーバー1の使用者が、第2トレイ位置に位置するトレイ6の前面を押し続けると、トレイ6が後方の第1トレイ位置へ向かって移動する(図2参照)。
【0027】
トレイ6は、後述する移動機構70(図5)によって、前パネル5と連動して移動するようになっている。具体的には、前パネル5の第1パネル位置から第2パネル位置への移動に連動して、トレイ6が第1トレイ位置から第2トレイ位置へ移動する。また、トレイ6の第2トレイ位置から第1トレイ位置への移動に連動して、前パネル5が第2パネル位置から第1パネル位置へ移動する。
【0028】
上パネル7は、前パネル5の上に位置している。上パネル7は、前パネル5とは異なり、移動しない。上パネル7は、前後方向において、第1パネル位置に位置する前パネル5と同じ位置になるように取り付けられている。
【0029】
扉8は、トレイ6の下に位置している。扉8は、筐体2に対して開閉可能に設けられている。扉8が開いた状態で、筐体2の内部にボトルを着脱することが可能である。扉8の位置は、前後方向において上パネル7と同じ位置である。
【0030】
(飲料サーバーの内部構成)
図4は、飲料サーバー1の内部構成を示す模式図である。
飲料サーバー1は、図4に示すように、筐体2内に、ボトル20と、第1タンク30と、第2タンク40と、供給管50と、注出部60と、制御部90を有する。
【0031】
ボトル20は、ここでは飲料水の供給源として飲料水を収容する。ボトル20は、樹脂から成る。ボトル20は、使用者が筐体10に装着したり取り外したりしやすいように、筐体10の下方に着脱可能に装着されている。ボトル20は、筐体2の下部に設けられた載置ユニット22に載置されている。
【0032】
第1タンク30は、ボトル20から供給される飲料水を収容する。第1タンク30は、ボトル20から供給された飲料水を冷却して、外部に注出される低温の飲料水(冷水)も収容する冷水槽としても機能する。第1タンク30内の飲料水が減ると、ボトル20から第1タンク30に飲料水が補給される。
【0033】
第1タンク30には、第1タンク30内の飲料水を冷却する冷却部32が設けられている。冷却部37は、ここでは第1タンク30の外周を巻回している冷水管である。冷水管内を流れる冷却水によって、飲料水が冷却される。また、第1タンク30の底部には、冷水供給管55が接続されている。冷水供給管55の先端には、注出部60が設けられており、冷水供給管55を流れる冷水が注出部60から注出される。
【0034】
第2タンク40は、第1タンク30の下方に設けられており、第1タンク30から供給された飲料水を収容する。第2タンク40は、第1タンク30から供給を受けた飲料水を加熱して、外部に注出される高温の飲料水を収容する温水槽として機能する。
【0035】
第2タンク40には、第2タンク40内の飲料水を加熱する加熱部42が設けられている。加熱部47は、一例としてヒータであり、第2タンク40の外周面に取り付けられている。また、第2タンク40の上部には、温水供給管57が接続されている。第2タンク40内の高温の飲料水(温水)は、温水供給管57を流れる。また、温水供給管57は注出部60と繋がっており、温水供給管57を流れる温水が注出部60から注出される。
【0036】
供給管50は、ボトル20から第1タンク30に飲料水を供給する供給路となっている。供給管50の経路の途中には、ポンプ52が設けられている。ポンプ52は、動作することでボトル20に収容された飲料水を吸水ユニット58(具体的には、吸水ノズル)を介して吸い上げて、第1タンク30に飲料水を供給する。
【0037】
注出部60は、飲料水(冷水又は温水)を注出する。注出部60は、前パネル5が第2パネル位置に位置する際に、飲料水を注出する。前パネル5は、第2パネル位置に位置する際に、注出部60の下に位置する。例えば、注出部60は、第2トレイ位置に位置するトレイ6上に載置されたコップに、飲料水を注出する。
【0038】
注出部60は、前パネル5よりも上方に位置している。前パネル5のパネル面は、前パネル5が第1パネル位置に位置する際に注出部60よりも前方に位置し、前パネル5が第2パネル位置に位置する際に注出部60よりも後方に位置する。このため、前パネル5が第1パネル位置に位置する際には、注出部60は飲料水を注出しない。
【0039】
制御部90は、注出部60への冷水や温水の供給を制御する。また、制御部90は、第1タンク30内の飲料水の量が少なくなるとボトル20から飲料水を第1タンク30に供給し、第2タンク40内の飲料水の量が少なくなると第1タンク30から飲料水を第2タンク40に供給する。なお、第1タンク30及び第2タンク40内には、飲料水の水位を検出可能な水位センサや、飲料水の温度を検出可能な温度センサが設けられている。
【0040】
<支持プレート及び移動機構の構成>
飲料サーバー1は、前パネル5とトレイ6を連動して移動させるために、筐体2の左側及び右側に支持プレート12と移動機構70を有する。以下では、支持プレート12及び移動機構70の詳細構成について説明する。
【0041】
図5は、左側の支持プレート12及び移動機構70を示す斜視図である。図6は、右側の支持プレート12及び移動機構70を示す斜視図である。図7は、前パネル5とトレイ6を示す斜視図である。図5及び図6では、図1に示す側面カバー9が取り外された状態が示されている。図7では、説明の便宜上、左右の支持プレート12と右側の移動機構70が省略されている。
【0042】
支持プレート12は、前パネル5及びトレイ6を前後方向に移動可能に支持している。支持プレート12は、筐体2の左右方向の両側に一対設けられている。一対の支持プレート12の各々は、前パネル5の両側の側壁5a(図7)と、トレイ6の両側の側壁6a(図5)を支持している。
【0043】
側壁5aには、図7に示すように、移動機構70(具体的には、第1移動部材72)と連結するためのパネル凸部5cが設けられている。同様に、側壁6aにも、図7に示すように、移動機構(具体的には、第2移動部材74)と連結するためのトレイ凸部6cが設けられている。パネル凸部5cは、前パネル5の側壁5aと第1移動部材72との連結部に該当し、トレイ凸部6cは、トレイ6の側壁6aと第2移動部材74との連結部に該当する。
【0044】
支持プレート12は、ここでは、前パネル5及びトレイ6の側壁を移動可能に支持するガイドレール13を有する。ガイドレール13は、図7に示すように、前パネル5の上部及び下部に設けられている。ガイドレール13の固定部が、支持プレート12に固定されており、ガイドレール13の移動部が、前パネル5に固定されている。
【0045】
一対の支持プレート12の構成は同様であるので、ここでは図5に示す左側の支持プレート12の構成について説明する。支持プレート12は、平板の形状を成している。支持プレート12には、図5に示すように、第1ガイド孔部14と、第2ガイド孔部15が設けられている。
【0046】
第1ガイド孔部14は、支持プレート12の上下方向の上部及び中部に、それぞれ2つ設けられている。第1ガイド孔部14は、前後方向に沿って形成された細長い孔である。第1ガイド孔部14は、前パネル5のパネル凸部5c(図7)の移動をガイドする。第2ガイド孔部15は、支持プレート12の下部に設けられている。第2ガイド孔部15も、第1ガイド孔部14と同様に前後方向に沿って形成された細長い孔である。第2ガイド孔部15は、トレイ6のトレイ凸部6c(図7)の移動をガイドする。第1ガイド孔部14及び第2ガイド孔部15を設けることにより、前パネル5及びトレイ6の前後方向への移動が円滑に行われる。
【0047】
移動機構70は、左右方向において支持プレート12の外側に一対設けられている。具体的には、図5に示す左側の移動機構70と、図6に示す右側の移動機構70が、設けられている。一対の移動機構70の各々は、前パネル5とトレイ6に連結しており、前パネル5とトレイ6を連動して移動させる。一対の移動機構70は、同時に動作することで、前パネル5及びトレイ6をスムーズに移動させる。
【0048】
移動機構70は、前パネル5の第1パネル位置から第2パネル位置への移動に連動して、トレイ6を第1トレイ位置から第2トレイ位置へ移動させる。すなわち、移動機構70は、使用者が第1パネル位置に位置する前パネル5を押して後方の第2パネル位置へ移動させると、トレイ6を手前の第2トレイ位置へ向かって移動させる。これにより、使用者にとってはトレイ6を引っ張るよりも前パネル5を押す方が操作しやすいため、簡易な操作でトレイ6を第2トレイ位置に位置させることができる。
【0049】
移動機構70は、第1パネル位置に位置する前パネル5がパネル面に押圧力(図1に示す力F1)を受けて第2パネル位置へ移動を開始すると、トレイ6の第1トレイ位置から第2トレイ位置への移動を開始させる。また、移動機構70は、前パネル5が第2パネル位置に停止したタイミングで、トレイ6を第2トレイ位置で停止させる。これにより、使用者が前パネル5を押した分だけ、前パネル5及びトレイ6が連動して移動することになる。
【0050】
移動機構70は、トレイ6の第2トレイ位置から第1トレイ位置への移動に連動して、前パネル5を第2パネル位置から第1パネル位置へ移動させる。すなわち、移動機構70は、使用者が第2トレイ位置に位置するトレイ6を押して後方の第1トレイ位置へ移動させると、前パネル5を手前の第1パネル位置へ向かって移動させる。これにより、簡易な操作で前パネル5及びトレイ6を元の位置に位置させることができる。
【0051】
移動機構70は、第2トレイ位置に位置するトレイ6が押圧力(図3に示す力F2)を受けて第1トレイ位置へ移動を開始すると、前パネル5の第2パネル位置から第1パネル位置への移動を開始させる。また、移動機構70は、トレイ6が第1トレイ位置に停止したタイミングで、前パネル5を第1パネル位置で停止させる。これにより、使用者がトレイ6を押した分だけ、トレイ6及び前パネル5が連動して移動することになる。
【0052】
図5及び図6に示す一対の移動機構70は、同様な構成である。また、一対の移動機構70は、同じ動作を同時に行う。以下では、左側の移動機構70の詳細構成及び動作例について、図8図10を参照しながら説明する。
【0053】
図8は、前パネル5を押す直前の移動機構70を示す模式図である。図9は、前パネル5を押している際の移動機構70を示す模式図である。図10は、前パネル5が停止した際の移動機構70を示す模式図である。移動機構70は、いわゆるリンク機構である。具体的には、移動機構70は、図8図10に示すように、第1移動部材72と、第2移動部材74と、連結部材76を有する。
【0054】
第1移動部材72は、前パネル5の側壁5aと連結部材76とに連結している。第1移動部材72の一端部72aは、側壁5aのパネル凸部5cと連結しており、第1移動部材72の他端部72bは、連結部材76の端部と連結している。一端部72aは、コ字状に形成されており、連結ピン73を介してパネル凸部5cと連結している。他端部72bは、連結ピン78を介して連結部材76の端部と連結している。
【0055】
第1移動部材72の一端部72aは、支持プレート12の第1ガイド孔部14に沿って移動する。このように一端部72aが第1ガイド孔部14に沿って移動することで、前パネル5が第1パネル位置と第2パネル位置との間でスライドする。
【0056】
第2移動部材74は、トレイ6の側壁6aと連結部材76とに連結している。第2移動部材74は、細長い平板となっている。第2移動部材74の一端部74aは、側壁6aのトレイ凸部6cと連結しており、第2移動部材74の他端部74bは、連結部材76の端部と連結している。一端部74aは、連結ピン75を介してトレイ凸部6cと連結している。他端部74bは、連結ピン78を介して連結部材76の端部と連結している。
【0057】
第2移動部材74の一端部74aは、支持プレート12の第2ガイド孔部15に沿って移動する。このように一端部74aが第2ガイド孔部15に沿って移動することで、トレイ6が第1トレイ位置と第2トレイ位置との間でスライドする。
【0058】
連結部材76は、第1移動部材72と第2移動部材74に連結された中間部材であり、第1移動部材72と第2移動部材74を連動して移動させる。連結部材76は、ここでは細長い平板となっている。連結部材76の長手方向の一端部は、第1移動部材72の他端部72bと連結しており、連結部材76の長手方向の他端部は、第2移動部材74の他端部74bと連結している。
【0059】
連結部材76は、長手方向の中央に回転支点77を有する。連結部材76が回転支点77を中心に回動することで、第1移動部材72と第2移動部材74が逆方向に移動する。具体的には、連結部材76が回転支点77を中心に時計方向(図8参照)に回動することで、第1移動部材72が前後方向の後方に移動し、第2移動部材74が前方に移動する(図9参照)。また、連結部材76が回転支点77を中心に反時計方向(図10参照)に回動することで、第1移動部材72が前後方向の前方に移動し、第2移動部材74が後方に移動する。
【0060】
飲料サーバー1は、使用者が前パネル5とトレイ6を押して移動する際の衝撃等を抑制するために、使用者による押圧力を減衰させるための減衰部80(図7)を有する。減衰部80は、ここでは、前パネル5と支持プレート12に設けられている。図7には、筐体2の左側の減衰部80のみが示されているが、実際には筐体2の右側にも減衰部80が設けられている。
【0061】
減衰部80は、第1パネル位置に位置する前パネル5がパネル面に押圧力を受けて第2パネル位置へ移動する際に、押圧力を減衰させる減衰力を発生する。同様に、減衰部80は、第2トレイ位置に位置するトレイ6が押圧力を受けて第1トレイ位置へ移動する際に、押圧力を減衰させる減衰力を発生する。
【0062】
減衰部80は、図7に示すように、ギアガイド82と、噛み合いギア84を有する。
ギアガイド82は、前パネル5に固定されている。ギアガイド82は、前パネル5の移動方向に平行に位置している。ギアガイド82は、板状に形成されたガイド部83aと、ガイド部83aの下部に形成されたギア部83bを有する。
【0063】
噛み合いギア84は、支持プレート12に固定されている。噛み合いギア84は、前パネル5が押されて移動する際に(又はトレイ6が押されて移動する際に)、ギアガイド82と噛み合うことで減衰力を発生させる。具体的には、噛み合いギア84は、ギアガイド82のギア部83bと噛み合っている。噛み合いギア84は、一例としてテンションギアである。前パネル5の移動量が大きくなるほど、噛み合いギア84が発生するテンションが大きくなることで減衰力が大きくなり、前パネル5の移動速度が次第に小さくなる。このため、押されて第2パネル位置へ移動する前パネル5は、第2パネル位置で静かに停止しやすくなる。同様に、押されて第1トレイ位置へ移動するトレイ6も、第1トレイ位置で静かに停止しやすくなる。
【0064】
(変形例)
ところで、飲料サーバー1の制御部90は、飲料サーバー1の天面にある操作部において表示可能なアイコンの表示を制御する表示制御部の機能を有してもよい。例えば、制御部90は、移動機構70による前パネル5及びトレイ6の移動に連動して、操作部におけるアイコンの表示を制御する。
【0065】
図11は、トレイ6が第2トレイ位置に位置する際に操作部に点灯されるアイコンを示す模式図である。飲料サーバー1の天面2aには、図11に示すように操作部95が設けられている。操作部95は、注出部60による飲料水(冷水と温水)の注出を操作するための操作スイッチ96~98と、点灯及び消灯が可能な第1アイコン99a~99eを有する。また、操作スイッチ96~98の中央には、点灯と消灯が可能な第2アイコン96a~98aが設けられている。第1アイコン99a~99e及び第2アイコン96a~98aは、注出部60による飲料水の注出を操作するためのアイコンである。
【0066】
制御部90は、前パネル5が押されて移動機構70がトレイ6を第1トレイ位置から第2トレイ位置へ移動させると、図11に示すように、第1アイコン99a~99e及び第2アイコン96a~98aを点灯させる(表示させる)。これにより、使用者は、トレイ6が第2トレイ位置に位置する際にアイコンが点灯することにより、操作部95を容易に視認できるので、操作性が向上する。
一方で、制御部90は、トレイ6が押されて移動機構70が前パネル5を第2パネル位置から第1パネル位置へ移動させると、第1アイコン99a~99e及び第2アイコン96a~98aを消灯させる。このように、飲料サーバー1を使用しない場合には、飲料サーバー1において目立つ天面2aにおいて第1アイコン99a~99e及び第2アイコン96a~98aを消灯されることで、天面2aの美観も向上することになる。
【0067】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の飲料サーバー1は、第1パネル位置と第2パネル位置の間で移動可能な前パネル5と、前パネル5が第2パネル位置に位置する際に飲料水を注出する注出部60と、第1トレイ位置と第2トレイ位置の間で移動可能なトレイ6とを有する。そして、飲料サーバー1は、前パネル5の第1パネル位置から奥側の第2パネル位置への移動に連動して、トレイ6を第1トレイ位置から手前の第2トレイ位置へ移動させる移動機構70を更に備える。
前パネル5が第1パネル位置に位置する際に、トレイ6が第1トレイ位置に位置することで、前パネル5のパネル面とトレイ6の前面が同じ位置に位置し(図1)、注出部60が露出しないため、飲料サーバー1の美観を高めることができる。また、移動機構70によって前パネル5の第2パネル位置への移動に連動してトレイ6が手前の第2トレイ位置へ移動するため、トレイ6を所望の位置に容易に位置させることができ、この結果、注出部60に飲料水を適切に注出させることができる。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0069】
1 飲料サーバー
5 前パネル
6 トレイ
12 支持プレート
14 第1ガイド孔部
15 第2ガイド孔部
60 注出部
70 移動機構
72 第1移動部材
74 第2移動部材
76 連結部材
77 回転支点
80 減衰部
82 ギアガイド
84 噛み合いギア
90 制御部
95 操作部
96a~98a 第2アイコン
99a~99e 第1アイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11