(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-15
(45)【発行日】2025-10-23
(54)【発明の名称】感光性樹脂積層体及びその適用
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20251016BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20251016BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20251016BHJP
G03F 7/095 20060101ALI20251016BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/26 501
G03F7/004 512
G03F7/027 502
G03F7/095
(21)【出願番号】P 2024048472
(22)【出願日】2024-03-25
【審査請求日】2024-10-31
(32)【優先日】2023-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202410010516.8
(32)【優先日】2024-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595009383
【氏名又は名称】長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANG CHUN PLASTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7F., No.301, Songkiang Rd., Zhongshan Dist Taipei City,Taiwan 104
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュアン、ジー イ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ユン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホ、エ ミン
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165416(JP,A)
【文献】特開2020-170172(JP,A)
【文献】特開2006-106287(JP,A)
【文献】特開2007-310201(JP,A)
【文献】特開2016-033641(JP,A)
【文献】特開2010-204174(JP,A)
【文献】特開2018-151490(JP,A)
【文献】特開2009-076233(JP,A)
【文献】特開2009-048170(JP,A)
【文献】特開2006-285179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/26
G03F 7/027
G03F 7/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の
低溶媒量の感光性樹脂層からなり、第2成分を含む感光性樹脂積層体であって、
添加トルエンを内部標準として前記感光性樹脂積層体をガスクロマトグラフィーで特徴付ける際、第2成分の溶出ピークの保持時間が0.55分~1.30分の範囲にあり、添加トルエンの保持時間が1.32分~1.65分の範囲にあり、下式を満たし、
【数1】
〔式中、添加トルエンの量及び感光性樹脂積層体の重量が、グラム(g)で表される。〕
前記感光性樹脂積層体が100μm~600μmの総厚さを有し、
第2成分が、
酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びプロピレングリコールメチルエーテルの1以上から選択され、
前記感光性樹脂積層体を内部標準としての添加トルエンと共にプロピレングリコールメチルエーテルに溶解させて溶液を作成し、以下の条件の下、前記溶液を試験することで、ガスクロマトグラフィーが行われ、
<条件>カラム長さ3m、外径1/8インチ及びカラム壁厚さ0.02インチのステンレス鋼カラムを用いる;多孔性ポリマー固定相を充填剤として用いる;流速20ml/分及び供給圧5kgf/cm
2のヘリウムをキャリアガスとする;80℃で0.1分間の保温、4℃/分の加熱速度での80℃から96℃への加熱、10℃/分の加熱速度での96℃から135℃への加熱、及び135℃で2分間の保温の段階的加熱条件を適用する;注入口の温度が180℃である;溶液の注入量が3μlである;及び200℃の熱伝導率検出器を用
い、
前記感光性樹脂フィルムの全重量に基づく溶媒の量が0.1重量%~7重量%である、感光性樹脂積層体。
【請求項2】
2以上の感光性樹脂層が各々独立して50μm~300μmの厚さを有する、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
【請求項3】
2~4の感光性樹脂層からなる、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
【請求項4】
2以上の感光性樹脂層が各々独立してドライフィルムである、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
【請求項5】
2以上の感光性樹脂層が各々独立して
(A)アルカリ可溶性ポリマー、
(B)エチレン性不飽和化合物の成分、及び
(C)光重合開始剤を含む、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
【請求項6】
エチレン性不飽和化合物の成分(B)が1以上の二官能性アクリレート系化合物を含む、請求項5に記載の感光性樹脂積層体。
【請求項7】
エチレン性不飽和化合物の成分(B)の重量に基づく二官能性アクリレート系化合物の量が60重量%以上である、請求項6に記載の感光性樹脂積層体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の感光性樹脂積層体、及び
感光性樹脂積層体の少なくとも1つの表面上の非感光性樹脂フィルムを含む、複合体積層体。
【請求項9】
非感光性樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィンフィルム及びこれらの複合体からなる群から選択される、請求項8に記載の複合体積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2023年9月1日に出願された米国仮特許出願63/536,189号、及び2024年1月4日に出願された中国特許出願202410010516.8号の優先権を主張する。これらの特許出願の主題は、参照としてその全体が本明細書中に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本出願は、感光性樹脂積層体、特に大きい総厚さを有する感光性樹脂積層体、及びその感光性樹脂積層体の適用を提供する。
【背景技術】
【0003】
感光性樹脂フィルムは、露光後の化学的変化を受けるフィルムであり、電子工学分野でフォトレジストフィルムとしての利用される。露光後の変化に応じて、フォトレジストフィルムはポジティブフォトレジストフィルム及びネガティブフォトレジストフィルムに分類することができる。ポジティブフォトレジストフィルムでは、露光されたフォトレジストフィルムの部分が現像中に溶解し、露光されていないフォトレジストフィルムの部分が残る。ネガティブフォトレジストフィルムでは、露光されていないフォトレジストフィルムの部分が現像中に溶解し、露光されたフォトレジストフィルムの部分が残る。
【0004】
プリント回路基板(PCB)の産業では、回路パターンを形成させるためにエッチング手順又は電気めっき手順でフォトレジストフィルムが用いられる。電子部品の増加する複雑さと大きさのために、プリント回路基板産業では、幅に対する深さの比が高い厚いフォトレジストフィルムが求められている。しかし、従来のフォトレジストフィルムは、しばしば低い接着性を示し、又は気泡若しくはしわを含み、そのためその後のエッチング手順又は電気めっき手順で欠陥をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術的課題の観点で、本願発明は、フォトレジストフィルムの接着性、保存特性、及び操作性を改良する解決策を提供することを目的とする。研究によって、これらの技術的課題が複数の感光性樹脂層からなる感光性樹脂積層体で対応することができることが見出された。
【0006】
従って、本願発明の課題は、2以上の感光性樹脂層からなり、第2成分を含む感光性樹脂積層体であって、
添加トルエンを内部標準として前記感光性樹脂積層体をガスクロマトグラフィーで特徴付ける際、第2成分の溶出ピークの保持時間が0.55分~1.30分の範囲にあり、添加トルエンの保持時間が1.32分~1.65分の範囲にあり、下式を満たし、
【数1】
〔式中、添加トルエンの量及び感光性樹脂積層体の重量が、グラム(g)で表される。〕
前記感光性樹脂積層体が100μm~600μmの総厚さを有する、感光性樹脂積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明のいくつかの実施態様において、前記感光性樹脂積層体を内部標準としての添加トルエンと共にプロピレングリコールメチルエーテルに溶解させて溶液を作成し、以下の条件の下、前記溶液を試験することで、ガスクロマトグラフィーが行われ、
<条件>カラム長さ3m、外径1/8インチ及びカラム壁厚さ0.02インチのステンレス鋼カラムを用いる;多孔性ポリマー固定相を充填剤として用いる;流速20ml/分及び供給圧5kgf/cm2のヘリウムをキャリアガスとする;80℃で0.1分間の保温、4℃/分の加熱速度での80℃から96℃への加熱、10℃/分の加熱速度での96℃から135℃への加熱、及び135℃で2分間の保温の段階的加熱条件を適用する;注入口の温度が180℃である;溶液の注入量が3μlである;及び200℃の熱伝導率検出器を用いる。
【0008】
本願発明のいくつかの実施態様において、2以上の感光性樹脂層は各々独立して50μm~300μmの厚さを有する。
【0009】
本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂積層体は2~4の感光性樹脂層からなる。
【0010】
本願発明のいくつかの実施態様において、2以上の感光性樹脂層は各々独立してドライフィルムである。
【0011】
本願発明のいくつかの実施態様において、2以上の感光性樹脂層は各々独立して、(A)アルカリ可溶性ポリマー、(B)エチレン性不飽和化合物の成分、及び(C)光重合開始剤を含む。
【0012】
本願発明のいくつかの実施態様において、エチレン性不飽和化合物の成分(B)は1以上の二官能性アクリレート系化合物を含む。
【0013】
本願発明のいくつかの実施態様において、エチレン性不飽和化合物の成分(B)の重量に基づく二官能性アクリレート系化合物の量は、60重量%以上である。
【0014】
本願発明の他の課題は、前記の感光性樹脂積層体、及び感光性樹脂積層体の少なくとも1つの表面上の非感光性樹脂フィルムを含む、複合体積層体を提供することである。
【0015】
本願発明のいくつかの実施態様において、非感光性樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィンフィルム及びこれらの複合体からなる群から選択される。
【0016】
本願発明の前記の課題、技術的特徴及び利点をより明らかにするために、以下にいくつかの特定の実施態様を参照して本願発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明のいくつかの特定の実施態様を、詳細に説明する。しかし、本願発明は、様々な実施態様で具現化されてよく、本明細書に記載された実施態様に限定されるべきではない。
【0018】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「1つの(a)」、「その(the)」等は単数及び複数の形態の両方を含むべきである。
【0019】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「第1」、「第2」等は、特別な意味を有さず、説明された要素又は成分を区別するためにのみ使用される。これらの表現は、優先度を表すためには使用されない。
【0020】
追加的に説明されていなければ、用語「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」等は、そのカッコ内の官能基が含まれる態様及び含まれない態様の両方をカバーすることが意図される。例えば、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方をカバーすることが意図される。用語「メチル(メタ)アクリレート」は、メチルアクリレートとメチルメタクリレートの両方をカバーすることが意図される。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、標準サンプルと比較することで計算される。重量平均分子量(Mw)の単位は、「g/モル」である。
【0022】
先行技術に対する本願発明の効果は、感光性樹脂積層体のガスクロマトグラフィー特性を制御することで、優れた接着性、保存特性、及び操作性を有する大きい厚さを有する感光性樹脂積層体を提供することにある。本願発明の感光性樹脂積層体及びその適用を以下に詳細に説明する。
【0023】
1.感光性樹脂積層体
本願発明の感光性樹脂積層体は、2以上の感光性樹脂層からなり、第2成分を含む。第2成分は、感光性樹脂積層体の感光性樹脂層の中に含まれることができる。本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂積層体は、2~4の感光性樹脂層からなり、各々の感光性樹脂層が第2成分を含む。
【0024】
本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂積層体はトルエンを本質的に含まない。すなわち、感光性樹脂積層体の全重量に基づくトルエンの量は、0.5重量%以下である。例えば、感光性樹脂積層体の全重量に基づくトルエンの量は、0.5重量%、0.45重量%、0.4重量%、0.35重量%、0.3重量%、0.25重量%、0.2重量%、0.15重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%であることができる。本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂積層体はトルエンを含まない。
【0025】
本願発明の感光性樹脂積層体は、ポジティブフォトレジストフィルム又はネガティブフォトレジストフィルムとして用いることができる。本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂積層体はネガティブフォトレジストフィルムとして用いられる。すなわち、フォトレジストフィルムの露光の後、露光されなかった部分が現像プロセスで溶解し、露光された部分が残る。
【0026】
本願発明の感光性樹脂積層体の総厚さは、100μm~600μmの範囲にある。例えば、本願発明の感光性樹脂積層体の総厚さは、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、300μm、310μm、320μm、330μm、340μm、350μm、360μm、370μm、380μm、390μm、400μm、410μm、420μm、430μm、440μm、450μm、460μm、470μm、480μm、490μm、500μm、510μm、520μm、530μm、540μm、550μm、560μm、570μm、580μm、590μm、若しくは600μm、又はこれら記載された2つの値の間であることができる。感光性樹脂積層体の厚さが厚いほど、感光性樹脂積層体をフォトレジストフィルムとして用いる場合、金属導電層をめっきするための可能な厚さが厚くなる。従って、感光性樹脂積層体は、2.5D及び3D集積回路のパッケージに特に適しており、導電層のめっきの前のパターニングに有用である。
【0027】
1.1.感光性樹脂積層体のガスクロマトグラフィー特性
本願発明の感光性樹脂積層体は、特定のガスクロマトグラフィー特性を有する。特に、添加トルエンを内部標準として前記感光性樹脂積層体をガスクロマトグラフィーで特徴付ける際、第2成分の溶出ピークの保持時間が0.55分~1.30分の範囲にあり、添加トルエンの保持時間が1.32分~1.65分の範囲にあり、下式を満たす。
【数2】
〔式中、添加トルエンの量及び感光性樹脂積層体の重量が、グラム(g)で表される。〕
【0028】
上記式において、「0.1%~7.0%」は、等式の左辺を計算して得られた値が0.1%~7.0%の範囲であることができることを意味する。例えば、上記式において、等式の左辺を計算して得られた値は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、若しくは7.0%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0029】
感光性樹脂積層体を内部標準としての添加トルエンと共にプロピレングリコールメチルエーテルに溶解させて溶液を形成し、以下の条件の下、前記溶液を試験することで、ガスクロマトグラフィーが行われる。
<条件>カラム長さ3m、外径1/8インチ及びカラム壁厚さ0.02インチのステンレス鋼カラムを用いる;多孔性ポリマー固定相を充填剤として用いる;流速20ml/分及び供給圧5kgf/cm2のヘリウムをキャリアガスとする;80℃で0.1分間の保温、4℃/分の加熱速度での80℃から96℃への加熱、10℃/分の加熱速度での96℃から135℃への加熱、及び135℃で2分間の保温の段階的加熱条件を適用する;注入口の温度が180℃である;溶液の注入量が3μlである;及び200℃の熱伝導率検出器を用いる。
上記の試験条件において、多孔性ポリマー固定相は、モデル番号:CRS BX-10(Heng Yi Enterprise Company)のカラムであることができる。
【0030】
ガスクロマトグラフィーで用いられる感光性樹脂積層体の重量は、11g~19.5gの範囲であることができる。ガスクロマトグラフィーで用いられる添加トルエンの量は、0.45g~0.55gの範囲であることができる。例えば、感光性樹脂積層体の重量は、11g、11.5g、12g、12.5g、13g、13.5g、14g、14.5g、15g、15.5g、16g、16.5g、17g、17.5g、18g、18.5g、若しくは19g、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。添加トルエンの量は、0.45g、0.46g、0.47g、0.48g、0.49g、0.50g、0.51g、0.52g、0.53g、0.54g、若しくは0.55g、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。ガスクロマトグラフィーにおいて、用いられる感光性樹脂積層体の重量は、好ましくは添加トルエンの量の25倍~35倍であり、それによってより良好な信号対ノイズ比が達成される。本願発明のいくつかの実施態様において、ガスクロマトグラフィーで用いられる感光性樹脂積層体の重量は15gであり、添加トルエンの量は0.50g~0.53gの範囲である。
【0031】
ガスクロマトグラフィーで用いられるプロピレングリコールメチルエーテルの重量は、55g~65gの範囲であることができる。例えば、ガスクロマトグラフィーで用いられるプロピレングリコールメチルエーテルの重量は、55g、56g、57g、58g、59g、60g、61g、62g、63g、64g、若しくは65g、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。ガスクロマトグラフィーにおいて、プロピレングリコールメチルエーテルの保持時間は、添加トルエンの保持時間より遅い。本願発明のいくつかの実施態様において、プロピレングリコールメチルエーテルの溶出ピークは、1.9分~6.9分の保持時間に対応する。
【0032】
1.2.感光性樹脂層
本願発明の感光性樹脂積層体は、2以上の感光性樹脂層からなることができる。例えば、本願発明の感光性樹脂積層体は、2、3又は4の感光性樹脂層からなることができるが、本願発明はこれらに限定されない。感光性樹脂層は、各々独立して、50μm~300μmの範囲の厚さを有することができる。例えば、感光性樹脂層は、各々独立して、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、若しくは300μmの厚さ、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内の厚さを有することができる。
【0033】
本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂層はドライフィルムである。これは、低溶媒量の感光性樹脂フィルムであることを意味する。用語「低溶媒量」とは、感光性樹脂フィルムの全重量に基づく溶媒の量が0.1重量%~8重量%、より特に0.1重量%~7重量%であることを表す。インク状及び液体状のウェットフィルムと対照的に、ドライフィルムは、その低溶媒量のために流動し又は変形する可能性が低く、被覆又は乾燥等の追加のプロセスを必要とせずに基板に付着させることができる。従って、ドライフィルムは、制御し易く、操作性が優れている。
【0034】
感光性樹脂積層体が前記のクロマトグラフィー特性を満足する前提において、必要に応じて、感光性樹脂積層体を形成する2以上の感光性樹脂層の組成を調節することができる。2以上の異なる感光性樹脂層の組成は、同一でも異なることもできる。本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂層は、各々独立して、(A)アルカリ可溶性ポリマー、(B)エチレン性不飽和化合物の成分、(C)光重合開始剤、第2成分、及び任意の添加物を含む。
【0035】
1.2.1.(A)アルカリ可溶性ポリマー
アルカリ可溶性ポリマーの例には、カルボキシ含有アクリル酸系ポリマー、カルボキシ含有ビニルアロマティック系ポリマー、カルボキシ含有ノルボルネン系ポリマー、カルボキシ含有エポキシ系ポリマー、カルボキシ含有アミド系ポリマー、カルボキシ含有アミドエポキシ系ポリマー、カルボキシ含有アルキド系ポリマー、及びカルボキシ含有フェノール系ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。前記のアルカリ可溶性ポリマーは、単独で又は組み合わせて用いることができる。本願発明のいくつかの実施態様において、アルカリ可溶性ポリマーは、カルボキシ含有アクリル酸系ポリマーである。
【0036】
例えば、1つ以上のカルボキシ含有重合性モノマーをポリマー化することで、又はカルボキシルを含まない他の重合性モノマーと1つ以上のカルボキシ含有重合性モノマーをコポリマー化することで、アルカリ可溶性ポリマーを得ることができる。従って、アルカリ可溶性ポリマーは、カルボキシ含有重合性モノマーに由来する1つ以上の繰り返し単位を含むことができ、又はカルボキシ含有重合性モノマーに由来する1つ以上の繰り返し単位と他の有重合性モノマーに由来する1つ以上の繰り返し単位とを含むことができる。
【0037】
本願発明のいくつかの実施態様において、アルカリ可溶性ポリマーは、少なくとも1つの第1の重合性モノマーに由来する繰り返し単位、及び少なくとも1つの第2の重合性モノマーに由来する繰り返し単位を有し、第1の重合性ポリマーはカルボキシを含む。第1の重合性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロロ(メタ)アクリル酸、β-フタルイミド(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸、プロピオル酸、フマル酸、桂皮酸、クロトン酸、イタコン酸、及びマレイン酸が含まれるが、これらに限定されない。第2の重合性モノマーは、カルボキシを含まない。第2の重合性モノマーの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;(メタ)アクリロニトリル;ビニルアセテート、及びビニルn-ブチレート等のビニルエステル系化合物;スチレン、ビニルナフタレン、3-アセトキシスチレン、4-アセトキシスチレン、ビニルトルエン、及びα-メチルスチレン等のビニルアロマティック系化合物;ノルボルネン;アクリルアミド;モノメチルマレエート、モノエチルマレエート、及びモノイソプロピルマレエート等のマレエート系化合物;及び前記の重合性モノマーの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。前記の第1の重合性モノマー及び第2の重合性モノマーは、単独で又は組み合せて用いることができる。
【0038】
本願発明の好ましい実施態様において、(メタ)アクリル酸と1つ以上の(メタ)アクリレート系化合物をコポリマー化することで、アルカリ可溶性ポリマーを得ることができる。従って、アルカリ可溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位、及び(メタ)アクリレート系化合物に由来する繰り返し単位を含む。(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレート系化合物の重量比は、1:20~1:1、より特に1:6~1:4であることができる。例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレート系化合物の重量比は、1:20、1:19、1:18、1:17、1:16、1:15、1:14、1:13、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、若しくは1:1、又はこれら記載された任意の2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0039】
アルキル可溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、10,000~180,000、好ましくは40,000~80,000であることができる。例えば、アルキル可溶性ポリマーの重量平均分子量は、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、105,000、110,000、115,000、120,000、125,000、130,000、135,000、140,000、145,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、若しくは180,000、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0040】
アルキル可溶性ポリマーが存在する感光性樹脂層の重量に基づくアルキル可溶性ポリマーの量は、20重量%~85重量%、特に40重量%~80重量%、より特に50重量%~75重量%であることができる。例えば、アルキル可溶性ポリマーが存在する感光性樹脂層の重量に基づくアルキル可溶性ポリマーの量は、20重量%、22.5重量%、25重量%、27.5重量%、30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%、40重量%、42.5重量%、45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%、55重量%、57.5重量%、60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%、70重量%、72.5重量%、75重量%、77.5重量%、80重量%、82.5重量%、若しくは85重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0041】
1.2.2.(B)エチレン性不飽和化合物の成分
エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1つの反応性エチレン官能基を有する化合物を表し、好ましくは2つの反応性エチレン官能基を有する二官能性化合物である。本願発明のいくつかの実施態様において、エチレン性不飽和化合物の成分には、一官能性又は多官能性のアクリレート系化合物が含まれ、好ましくは二官能性のアクリレート系化合物が含まれる。アクリレート系化合物の例には、エトキシ化ビスフェノール-Aジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ビスフェノール-Aジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリス((メタ)アクリルオキシイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、エトキシ化ウレタンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ウレタンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化/プロポキシ化ウレタンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリス(メタクリルオキシイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、アクリル化トリス(メタクリルオキシイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、及びエトキシ化/プロポキシ化トリス(メタクリルオキシイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレートが含まれるが、これらに限定されない。更に、各々の感光性樹脂層において、それぞれの感光性樹脂層中のエチレン性不飽和化合物の成分の重量に基づく二官能性のアクリレート系化合物の量は、好ましくは60重量%以上である。例えば、それぞれの感光性樹脂層中のエチレン性不飽和化合物の成分の重量に基づく二官能性のアクリレート系化合物の量は、60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%、70重量%、72.5重量%、75重量%、77.5重量%、80重量%、82.5重量%、85重量%、87.5重量%、90重量%、92.5重量%、95重量%、97.5重量%、若しくは100重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0042】
本願発明のいくつかの実施態様において、エチレン性不飽和化合物の成分は、エトキシ化ビスフェノール-Aジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートの少なくとも1つを含む。
【0043】
エチレン性不飽和化合物の成分が存在する感光性樹脂層の重量に基づくエチレン性不飽和化合物の成分の量は、5重量%~70重量%、特に15重量%~50重量%、より特に20重量%~45重量%の範囲であることができる。例えば、エチレン性不飽和化合物の成分が存在する感光性樹脂層の重量に基づくエチレン性不飽和化合物の成分の量は、5重量%、7.5重量%、10重量%、12.5重量%、15重量%、17.5重量%、20重量%、22.5重量%、25重量%、27.5重量%、30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%、40重量%、42.5重量%、45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%、55重量%、57.5重量%、60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%、若しくは70重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0044】
1.2.3.(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、光の存在下、重合反応を開始させることができる物質を表す。光重合開始剤の種類としては、特に限定されない。光重合開始剤の例には、イミダゾール系化合物、ケトン系化合物、キノン系化合物、ベンゾイン系又はベンゾインエーテル系化合物、ポリハロゲン化化合物、トリアジン系化合物、有機パーオキサイド化合物、オニウム化合物、及び他の一般的な周知の光重合開始剤が含まれるが、これらに限定されない。前記の光重合開始剤は、単独で又は組み合せて用いることができる。
【0045】
イミダゾール系化合物の例には、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾールダイマー、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾールダイマー、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾールダイマー、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾールダイマー、及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾールダイマー等の2,4,5-トリアリールイミダゾールダイマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
ケトン系化合物の例には、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-ジメチルアミノアセトフェノン、キサントン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、アクリドン、α-ヒドロキシアセトフェノン、α-アミノアセトフェノン、α-ヒドロキシシクロアルキルフェノン、及びジアルキルアセトフェノンが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
キノン系化合物の例には、カンファーキノン、ベンズアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、及び2-メチルアントラキノンが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
ベンゾイン系又はベンゾインエーテル系化合物の例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、及びベンゾインフェニルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
ポリハロゲン化化合物の例には、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、及びフェニルトリクロロメチルケトンが含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
トリアジン系化合物の例には、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-アミノ-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、及び2-(p-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
有機パーオキサイド化合物の例には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルイソフタレートパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、及び3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
オニウム化合物の例には、ジフェニルヨードニウム、4,4’-ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’-ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’-ジ-tert-ブチルジフェニルヨードニウム、4-メチル-4’-イソプロピルジフェニルヨードニウム、若しくは3,3’-ジニトロジフェニルヨードニウムを、クロライド、ブロマイド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアーセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート若しくはトリフルオロメタンスルホン酸と組み合せて得られるジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
他の一般的な周知の光重合開始剤の例には、フッ素、ビスアシルホスフィンオキサイド、アジニウム化合物、有機ホウ素化合物、フェニルグリオキレート、及びチタノセンが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本願発明のいくつかの実施態様において、光重合開始剤は、イミダゾール系化合物又はケトン系化合物である。
【0055】
光重合開始剤が存在する感光性樹脂層の重量に基づく光重合開始剤の量は、0.1重量%~15重量%、特に0.5重量%~10重量%、より特に1重量%~5重量%の範囲であることができる。例えば、光重合開始剤が存在する感光性樹脂層の重量に基づく光重合開始剤の量は、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、5重量%、5.5重量%、6重量%、6.5重量%、7重量%、7.5重量%、8重量%、8.5重量%、9重量%、9.5重量%、10重量%、10.5重量%、11重量%、11.5重量%、12重量%、12.5重量%、13重量%、13.5重量%、14重量%、14.5重量%、若しくは15重量%、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0056】
1.2.4.第2成分
本願発明において、第2成分は、添加トルエンを内部標準として感光性樹脂積層体をガスクロマトグラフィーで特徴付ける際、0.55分~1.30分の範囲にある保持時間の溶出ピークに寄与する成分を表す。第2成分は、少なくとも1つの感光性樹脂層に、好ましくは感光性樹脂積層体を形成するすべての感光性樹脂層に存在することができる。
【0057】
本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂層の第2成分は、各々独立して、55℃~90℃の範囲の沸点を有する不活性なエステル、ケトン、エーテル又はアルコールの少なくとも1つであることができる。用語「不活性なエステル、ケトン、エーテル又はアルコール」は、感光性樹脂層の他の成分と混和するが、他の成分と反応しないエステル、ケトン、エーテル又はアルコールを表す。例えば、第2成分は、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール及びイソプロパノールの少なくとも1つを含むことができる。
【0058】
1.2.5.任意の添加物
感光性樹脂積層体が前記のクロマトグラフィー特性を満足する前提において、感光性樹脂積層体を形成する2以上の感光性樹脂層は、感光性樹脂層の特性を改良するために、添加物を更に含むことができる。添加物の例には、溶媒、光吸収剤、染料、顔料、ラジカル開始剤、及び界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。前記添加剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0059】
1.3.感光性樹脂積層体の調製
本願発明の感光性樹脂積層体の調製方法は、特に限定されない。当業者は、本出願の明細書の記載に基づいて、特に実施例の特定の記載に基づいて、感光性樹脂積層体を調製することができる。例えば、前記の例示された成分を含む感光性樹脂積層体を調製する方法は、(A)アルカリ可溶性ポリマー、(B)エチレン性不飽和化合物の成分、(C)光重合開始剤、第2成分、及び任意の添加物を含む感光性樹脂フィルムの各成分を攪拌機で均一に混合することを含む。続いて、混合物を、溶媒に溶解又は分散して感光性溶液を形成させて、感光性溶液を基板上に被覆する。被覆された感光性溶液を乾燥させて感光性樹脂層を得る。任意に感光性溶液の組成を変化させて、これらの工程を繰り返して、感光性樹脂層を更に得ることができる。最後に、得られた感光性樹脂層を積み重ねて、プレス加工し、又は互いに接着して、感光性樹脂積層体を得ることができる。
【0060】
感光性溶液の被覆方法は、特に限定されず、本技術分野の既存の被覆方法であることができる。既存の被覆方法の例には、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ダイコーティング、エアスクレーパーコーティング、スクレーパーコーティング、ロッドコーティング、スクレーパーロッドコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、転写ロールコーティング、押出プレスコーティング、ディップコーティング、キスコーティング、スプレーコーティング、カレンダーコーティング、及び押出コーティングが含まれるが、これらに限定されない。本願発明のいくつかの実施態様において、感光性溶液の被覆方法は、好ましくは、スクレーパーコーティング、ロッドコーティング、スクレーパーロッドコーティング、又はダイコーティングである。
【0061】
本願発明のいくつかの実施態様において、感光性樹脂層を適切な範囲に乾燥させるために、被覆された感光性溶液を、70℃~200℃の範囲の温度で1~40分間、好ましくは100℃~180℃で1~40分間、熱することができる。
【0062】
感光性樹脂積層体の詳細な調製方法は、以下の実施例で説明する。
【0063】
2.感光性樹脂積層体の適用
本願発明の感光性樹脂積層体は、フォトレジストフィルムとしての使用することでき、様々な電子工学分野で適用される。一般に、フォトレジストフィルムの使用の前に、フォトレジストフィルムの両方の表面を、保護及び支持を提供する保護フィルムで覆うことができる。これによって、フォトレジストフィルムの保存が容易になり、外来の物質の混入又は損傷からフォトレジストフィルムが保護される。同様に、保護フィルムを、感光性樹脂積層体の両面に提供することができる。保護フィルムは、好ましくは非感光性樹脂フィルムである。
【0064】
従って、本願発明はまた、前記の感光性樹脂積層体と、感光性樹脂積層体の少なくとも1つの表面上の非感光性樹脂フィルムとを含む、複合体フィルムを提供する。本願発明の好ましい実施態様において、非感光性樹脂フィルムは、感光性樹脂積層体の両方の表面上に提供され、感光性樹脂積層体の2つの異なる表面上の非感光性樹脂フィルムの材料は、同一又は異なることができる。
【0065】
非感光性樹脂フィルムの種類は、特に限定されず、本技術分野で知られる如何なる従来の材料であることができる。例えば、本願発明に用いることができる非感光性樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリオレフィンフィルム、及びこれらの複合体からなる群から選択することができる。ポリオレフィンフィルムの例には、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、及びポリプロピレンフィルム(PPフィルム)、例えばポリプロピレン延伸フィルムが含まれるが、これらに限定されない。複合体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリオレフィンフィルムの複合体、又は異なるポリオレフィンフィルムの複合体であることができる。本願発明の好ましい実施態様において、複合体積層体は、感光性樹脂積層体の1つの表面上のPETフィルム、及び感光性樹脂積層体の他の表面上のPEフィルムを含む。
【0066】
本願発明の複合体積層体の調製方法は、特に限定されず、本技術分野で知られる如何なる方法であることができる。当業者は、本願の明細書の記載に基づいて、複合体積層体を調製することができる。例えば、感光性樹脂積層体の両方の表面上に非感光性樹脂フィルムを積み重ねて、重ねられた物を提供する工程、及び重ねられた物をプレス加工して複合体積層体を得る工程で、複合体積層体を調製することができる。あるいは、被覆又は押し出しによって2つの非感光性樹脂フィルムの間に感光性樹脂層を形成させる工程で、複合体フィルムを調製することができる。他の感光性樹脂層と接触する予定の感光性樹脂層の表面上の非感光性樹脂フィルムを剥がし、続いて積み重ねて、プレス加工して、複合体積層体を得ることができる。
【0067】
複合体積層体の詳細な調製方法は、以下の実施例で説明する。
【実施例】
【0068】
3.実施例
3.1.試験方法
[感光性樹脂積層体の層の数]
調製された複合体積層体を任意の位置で横方向(TD)及び流れ方向(MD)に沿って10mm×15mmの大きさに切断した。感光性樹脂積層体の両方の表面から、PEフィルムとPETフィルムを取り除いた。顕微鏡(モデル番号:Olympus MX51)の分析プラットフォーム上に、感光性樹脂積層体を治具と共に置いた。サンプルの位置を調節して、サンプルの切断面が対物レンズの視野角に垂直になることを確実にした。蛍光フィルター、10×対物レンズ(モデル番号:MPlanFL N)及び10×対眼レンズの下、切断面を観察した。層の間に明瞭な境界面が見られた際、サンプルが積層構造を有していることが示される。各々の特定された境界面を数えて、感光性樹脂積層体の層の数(=「特定された境界面の数+1」)を決定する。
【0069】
[感光性樹脂積層体のガスクロマトグラフィー]
感光性樹脂積層体の両方の表面から、複合体積層体のPEフィルムとPETフィルムを取り除いた。調製された複合体積層体を任意の位置で横方向(TD)及び流れ方向(MD)に沿って15gのサンプルに切断した。得られた感光性樹脂積層体サンプルを、60gのプロピレングリコールメチルエーテルに溶解させ、0.50g~0.53gのトルエンを内部標準として加えて、溶液を作成した。以下の条件の下、ガスクロマトグラフィーを行った。
<条件>カラム長さ3m、外径1/8インチ及びカラム壁厚さ0.02インチのステンレス鋼カラムを用いる;充填剤としてCRS BX-10(Heng Yi Enterprise Company)を用いる;流速20ml/分及び供給圧5kgf/cm
2のヘリウムをキャリアガスとする;80℃で0.1分間の保温、4℃/分の加熱速度での80℃から96℃への加熱、10℃/分の加熱速度での96℃から135℃への加熱、及び135℃で2分間の保温の段階的加熱条件を適用する;注入口の温度が180℃である;溶液の注入量が3μlである;及び200℃の熱伝導率検出器を用いる。
Scientific Information Service Companyの分析ソフトウェアQchrom V1.2を用いて分析した。計算は、下式に従って行い、得られた値を「ガスクロマトグラフィーの計算結果」として記録した。
【数3】
【0070】
[感光性樹脂積層体の気泡分析]
調製された複合体積層体を任意の位置で横方向(TD)及び流れ方向(MD)に沿って10mm×15mmの大きさに切断した。PEフィルムを取り除いた。得られた感光性樹脂積層体を、その上のPETフィルムに沿って、透明ガラスに面する感光性樹脂積層体の表面で透明のガラスの上に置いた。この組み立て品をラミネーターに設置し、以下の条件:ラミネーション速度0.5m/分,ラミネーション圧3.0kg/cm2,及びラミネーション温度25℃でプレス加工した。続いて、PETフィルムを取り除いた。得られた感光性樹脂積層体をガラスに沿って黒い平坦な基板の上に置き、露光エネルギーが100mJ/cm2に到達するまで光に露光した。現像液として30℃の1%Na2CO3水溶液を用い、感光性樹脂積層体をガラスに沿って現像液中に10分間、浸漬した。現像後、感光性樹脂積層体をガラスに沿って取出し、純水で10秒間、洗浄し、空気で乾燥させた。ガラスの中心部の5cm×5cmの任意の区域を選択して観察した。この区域を5mm×5mmのサブ区域に分けて、10×接眼レンズを有する顕微鏡でサブ区域を連続して気泡について観察した。長軸が感光性樹脂積層体の総厚さの0.5倍より長い気泡の数を記録した。
【0071】
[感光性樹脂積層体のしわ試験]
調製された複合体積層体を巻いて、長さ30m及び幅300mmを有するスリットロールにし、23℃~27℃の温度で16時間、置いた。その後、スリットロールから、長さ5mの複合体積層体を引き出し、複合体積層体のPE保護フィルムを剥がした。その後、感光性樹脂積層体の表面を視覚的にで観察した。感光性樹脂積層体の3m~5mの範囲内に存在する、長さ10mm以上及び幅1mm以上を有するしわの数を記録した。長さ10mm以上及び幅1mm以上を有するしわが見られなければ、それは感光性樹脂積層体が優れた保存特性と操作性を有することを示す。
【0072】
[熱観光樹脂積層体の100グリッド接着試験]
ASTM D3359に従って、以下の方法で感光性樹脂積層体の100グリッド接着試験を行った。1.6mmの厚さを有する銅張積層板(モデル:CCP-308,Chang Chun Prastics Co.,Ltd.)を準備した。銅張積層板の銅箔は35μmの厚さを有する。銅張積層板を、#320不織布ブラシ車と#600不織布ブラシ車を用いるブラシ研磨に付した。銅張積層板の銅箔の表面の温度は50℃に調節した。調製された複合体積層体の表面上のPEフィルムを剥がした。PETフィルムに沿って感光性樹脂積層体を、感光性樹脂積層体が銅張積層板の銅箔の表面に面するように銅箔の表面上に積み重ねた。積み重ねたものをラミネーターで積層させて、サンプルが提供された。積層温度は80℃であり、積層圧は3.0kg/cm2であり、積層速度は2.0mm/分であった。サンプル上のPETフィルムを剥がし、サンプルの感光性樹脂積層体を、刀を用いて1mm~1.2mmの間隔を有する10×10の正方形の100個のグリッドに切断した。3M Companyが製造する透明なテープ(モデル:3M Transparent 600)をグリッドの感光性樹脂積層体の表面に接着させた。基板と45°の角度で、テープを素早く剥がした。すべてのグリッドに対する、感光性樹脂積層体が剥がされたグリッドの数を計算し、百分率で記録した。低い百分率は、感光性樹脂積層体が銅張積層板により良く接着したことを示す。
【0073】
3.2.調製方法
3.2.1.アルカリ可溶性ポリマーの合成
以下の合成実施例1~7に従って、アルカリ可溶性ポリマーとしてカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーを調製した。
【0074】
[合成実施例1]
共重合モノマーとして、15gのメタクリル酸、60gのメチルメタクリレート、及び25gのブチルアクリレートを、1.8gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a1を調製した。別に、0.7gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gの酢酸エチルに溶解させて、溶液b1を調製した。
【0075】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備した。80gの酢酸エチルをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a1をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b1をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、55,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーA(以下、ポリマーAと呼ぶ)を得た。
【0076】
[合成実施例2]
共重合モノマーとして、15gのメタクリル酸、65gのメチルメタクリレート、及び20gのブチルアクリレートを、0.8gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a2を調製した。別に、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gの酢酸メチルに溶解させて、溶液b2を調製した。
【0077】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、102.2gの酢酸メチルをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a2をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b2をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、65,000の重量平均分子量と45重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーB(以下、ポリマーBと呼ぶ)を得た。
【0078】
[合成実施例3]
共重合モノマーとして、20gのメタクリル酸、40gのメチルメタクリレート、及び40gの2-エチルヘキシルアクリレートを、1.2gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a3を調製した。別に、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gのアセトンに溶解させて、溶液b3を調製した。
【0079】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、80gのアセトンをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a3をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b3をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、6時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、4時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、55,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーC(以下、ポリマーCと呼ぶ)を得た。
【0080】
[合成実施例4]
共重合モノマーとして、20gのメタクリル酸、60gのメチルメタクリレート、及び20gのブチルアクリレートを、1gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a4を調製した。別に、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gのメチルエチルケトンに溶解させて、溶液b4を調製した。
【0081】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、80gのメチルエチルケトンをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a4をフラスコに4時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b4をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、50,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーD(以下、ポリマーDと呼ぶ)を得た。
【0082】
[合成実施例5]
共重合モノマーとして、20gのメタクリル酸、60gのメチルメタクリレート、及び20gのブチルアクリレートを、1gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a5を調製した。別に、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを10gのプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)と10gの酢酸エチルの混合溶媒に溶解させて、溶液b5を調製した。
【0083】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、40gのプロピレングリコールメチルエーテルと40gの酢酸エチルの混合溶媒をフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a5をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b5をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、50,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーE(以下、ポリマーEと呼ぶ)を得た。
【0084】
[合成実施例6]
共重合モノマーとして、15gのアクリル酸、65gのメチルメタクリレート、及び20gのヒドロキシエチルメタクリレートを、1gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a6を調製した。別に、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを4gのエタノールと16gの酢酸エチルの混合溶媒に溶解させて、溶液b6を調製した。
【0085】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、16gのエタノールと64gの酢酸エチルの混合溶媒をフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a6をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b6をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、50,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーF(以下、ポリマーFと呼ぶ)を得た。
【0086】
[合成実施例7]
共重合モノマーとして、20gのメタクリル酸、45gのメチルメタクリレート、及び35gの2-エチルヘキシルアクリレートを、1.9gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a7を調製した。別に、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを2gのメタノールと18gの酢酸メチルの混合溶媒に溶解させて、溶液b7を調製した。
【0087】
攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、8gのメタノールと72gの酢酸メチルの混合溶媒をフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a7をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。フラスコ中の溶液を70℃の温度に連続して維持しながら、溶液b7をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を完結させた。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、45,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーG(以下、ポリマーGと呼ぶ)を得た。
【0088】
3.2.2.感光性溶液の調製
以下の感光性溶液の調製で用いた原料に関する情報を以下の表1に示す。
【0089】
【0090】
表2に示す成分及び比率に従って、それぞれ光重合開始剤、添加物及びTHF溶媒を混合し、30分間攪拌することで、混合溶液を得た。続いて、合成実施例で調製されたそれぞれのカルボキシ含有アクリル酸系ポリマーとエチレン性不飽和化合物の成分を、混合溶液に加え、1時間攪拌して、感光性溶液A~Hを得た。
【0091】
【0092】
3.2.3.感光性樹脂積層体の調製
表3-1~表3-3に従って、実施例E1~E12と比較例CE1~CE15の感光性樹脂積層体を、それぞれ所望の厚さに調製した。具体的には、Kodaira巻線型ロッドを用いてPETフィルム上に、得られた感光性溶液を被覆した。被覆された感光性溶液を、オーブン中で乾燥して、PETフィルム上に感光性樹脂層を形成した。その後、PETフィルムに接触していない感光性樹脂層の表面に、PEフィルムを積み重ねて、両方の表面が被覆された感光性樹脂層1、2、3及び4を得た。
【0093】
感光性樹脂層1からPEフィルムを取り除き、感光性樹脂層2からPETフィルムを取り除いた。感光性樹脂層1と感光性樹脂層2を、それぞれが面している感光性樹脂層の表面で互いにプレス加工し、その結果、感光性樹脂層1と感光性樹脂層2を含む感光性樹脂積層体を得た。
【0094】
感光性樹脂層1からPEフィルムを取り除き、感光性樹脂層2からPETフィルムを取り除いた。感光性樹脂層1と感光性樹脂層2を、それぞれが面している感光性樹脂層の表面で互いにプレス加工した。続いて、感光性樹脂層2からPEフィルムを取り除き、感光性樹脂層3からPETフィルムを取り除いた。感光性樹脂層3を、感光性樹脂層1に接着していない感光性樹脂層2の表面で接着させ、互いにプレス加工し、その結果、感光性樹脂層1、感光性樹脂層2及び感光性樹脂層3を含む感光性樹脂積層体を得た。
【0095】
感光性樹脂層1からPEフィルムを取り除き、感光性樹脂層2からPETフィルムを取り除いた。感光性樹脂層1と感光性樹脂層2を、それぞれが面している感光性樹脂層の表面で互いにプレス加工した。続いて、感光性樹脂層2からPEフィルムを取り除き、感光性樹脂層3からPETフィルムを取り除いた。感光性樹脂層3を、感光性樹脂層1に接着していない感光性樹脂層2の表面に面している表面で接着させた。更に、感光性樹脂層3からPEフィルムを取り除き、感光性樹脂層4からPETフィルムを取り除いた。感光性樹脂層4を、感光性樹脂層2に接着していない感光性樹脂層3の表面に面している表面で接着させ、プレス加工した。その結果、感光性樹脂層1、感光性樹脂層2、感光性樹脂層3及び感光性樹脂層4を含む感光性樹脂積層体を得た。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
3.3.感光性樹脂積層体の試験
前記の試験方法に従って、感光性樹脂積層体の層の数、ガスクロマトグラフィーの計算結果、気泡、しわ、及び100グリッド接着特性を含む、実施例E1~E12及び比較例CE1~CE15の感光性樹脂積層体又は感光性樹脂層の特性を試験した。その結果を表4-1~表4-3に記す。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
表4-1~表4-3に示されるように、本願発明の感光性樹脂積層体は、欠陥としての気泡を含まず、しわを示さない。これは、感光性樹脂積層体が良好な操作性及び保存特性を有することを示す。加えて、実施例E1~E12の感光性樹脂積層体は、100グリッド接着試験で低い引き剥がし百分率(<5%)を示す。これは、銅張積層板への良好な接着性を示す。
【0104】
それに対して、比較例CE1~CE10及びCE15の感光性樹脂積層体は、気泡の欠陥及びしわを示す。また、これらの感光性樹脂積層体は、ガスクロマトグラフィーの計算結果が特定の範囲より高い(7.0%より高い)ため、低い操作性及び保存特性を示す。比較例CE11~CE13の感光性樹脂積層体は、気泡の欠陥を示す。また、これらの感光性樹脂積層体は、ガスクロマトグラフィーの計算結果が特定の範囲より低い(0.1%より低い)ため、低い接着性を示す。特に、比較例CE13は感光性樹脂積層体構造を有するが、ガスクロマトグラフィーの計算結果が特定の範囲より低いため、依然として本願発明の効果を奏することができない。比較例CE15は感光性樹脂積層体構造を有し、600μmの厚さを有するが、ガスクロマトグラフィーの計算結果が特定の範囲を超えるため、依然として本願発明の効果を奏することができない。このことは、本願発明で特定するガスクロマトグラフィーの技術的特徴が重要であることを強調する。
【0105】
他方、比較例CE14は、本願発明のガスクロマトグラフィーの技術的特徴がたとえ満足されていても、もし感光性樹脂フィルムが積層体構造を有していなければ、気泡及びしわ等の欠陥が依然として生じることを示す。このことは、感光性樹脂積層体構造を有すると同時に、本願発明で特定するガスクロマトグラフィーの技術的特徴を満足することが重要であることを強調する。
【0106】
更に、実施例E4と比較例CE4、実施例E2と比較例CE5、実施例E7と比較例CE6、及び実施例E11と比較例CE9の比較によって、たとえ理想的な総厚さを有していても、2以上の感光性樹脂層を有しない比較例は、上記の式を満足することができず、その結果、多数の気泡及びしわが存在することになることが示される。このことは、感光性樹脂積層体構造を有する技術的特徴が重要であることを強調する。
【0107】
前記の実施例は、本願発明の原理及び効果を説明し、その発明的特徴を示す。当業者は、記載された発明の開示及び提案に基づいて、様々な変更及び交換を行うことができる。従って、本願発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲で定義されたものである。