(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-21
(45)【発行日】2025-10-29
(54)【発明の名称】ノズルヘッド及び紡糸装置
(51)【国際特許分類】
D01D 4/00 20060101AFI20251022BHJP
D01D 5/04 20060101ALI20251022BHJP
D04H 1/728 20120101ALI20251022BHJP
【FI】
D01D4/00 A
D01D5/04
D04H1/728
(21)【出願番号】P 2022005109
(22)【出願日】2022-01-17
【審査請求日】2024-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 良樹
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 修次
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 昌弘
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-084387(JP,A)
【文献】特開2014-148763(JP,A)
【文献】特開2022-034310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00 - 13/02
D04H 1/728
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に紡糸液を充填可能であり、前記紡糸液を噴射させるための紡糸孔を有する筒状の溶液槽と、
前記紡糸液に接触した状態で前記溶液槽内に配置される紡糸電極と、を備え、
前記溶液槽の周面を導電性材料で形成することによって、前記紡糸電極が構成され、
前記溶液槽が、
連通孔を有し、前記紡糸液の供給源に接続された内管と、
前記内管を包囲する外管と、を備えて構成され、
前記内管の内周面、前記内管の外周面及び前記外管の内周面のうち少なくとも1つの周面が、前記紡糸電極として機能するノズルヘッド。
【請求項2】
前記外管が絶縁性材料からなる請求項1に記載のノズルヘッド。
【請求項3】
前記紡糸電極は、金属製の筒状部材によって構成されている請求項1又は請求項2に記載のノズルヘッド。
【請求項4】
前記紡糸電極
がステンレスからなる請求項3に記載のノズルヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のノズルヘッドと、
前記紡糸電極から離隔した位置に配置されるコレクタ電極と、
前記紡糸電極と前記コレクタ電極との間に配置した捕集部材と、を備え、
前記紡糸電極と前記コレクタ電極の間に電圧を印加することによって、前記溶液槽内の紡糸液を、帯電させた状態で前記コレクタ電極に向けて噴射して繊維状とし、
前記紡糸液からなる繊維を、前記捕集部材によって捕集して不織布を得る紡糸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルヘッド及び紡糸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電解紡糸法によりナノファイバで構成されるシートを製造するシート製造装置が開示されている。シート製造装置は、細長い中空部材である流出体(溶液槽)と、供給電極(紡糸電極)と、帯電電極とを備えている。流出体の内部には、原料液と供給電極が収容されている。流出体には、流出体の内部から外面に連通する複数の流出孔が形成されている。供給電極は、原料液に電荷を供給する。帯電電極は、流出体の外部に配置され、供給電極に対し高い電圧もしくは低い電圧となることで、原料液に電荷を誘導する。流出体内で帯電した原料液は、流出孔から帯電電極に向かって延伸することによってナノファイバとなり、シート状の収集部材に堆積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
供給電極から原料液への電荷付与効率は、供給電極と原料液との接触面積が大きいほど高くなる。しかし、特許文献1のシート製造装置の供給電極が、流出体の長手方向に沿って直線状に延びた細長いワイヤ形状であるため、供給電極の表面積が小さい。そのため、供給電極から原料液への電荷付与効率が低く、紡糸効率を高めることができない。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電荷付与効率の高いノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のノズルヘッドは、
内部に紡糸液を充填可能であり、前記紡糸液を噴射させるための紡糸孔を有する筒状の溶液槽と、
前記紡糸液に接触した状態で前記溶液槽内に配置される紡糸電極と、を備え、
前記溶液槽の周面を導電性材料で形成することによって、前記紡糸電極が構成されている。
【0007】
本開示の紡糸方法は、
紡糸電極とコレクタ電極との間に電圧を印加することによって、筒状をなす溶液槽内の紡糸液を、帯電させた状態で前記紡糸電極側から前記コレクタ電極側に向けて噴射して繊維状とし、
前記紡糸液からなる繊維を、前記紡糸電極と前記コレクタ電極との間に配置した捕集部材によって捕集して不織布を得る紡糸方法であって、
前記溶液槽の周面を導電性材料で形成することによって前記紡糸電極を構成し、前記溶液槽に設けた紡糸孔から前記紡糸液を噴射させる。
【0008】
本開示の紡糸装置は、
上記ノズルヘッドと、
前記紡糸電極から離隔した位置に配置されるコレクタ電極と、
前記紡糸電極と前記コレクタ電極との間に配置した捕集部材と、を備え、
前記紡糸電極と前記コレクタ電極の間に電圧を印加することによって、前記溶液槽内の紡糸液を、帯電させた状態で前記コレクタ電極に向けて噴射して繊維状とし、
前記紡糸液からなる繊維を、前記捕集部材によって捕集して不織布を得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示のノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置は、紡糸電極における紡糸液との接触面積を広く確保することができるので、紡糸電極から紡糸液への電荷付与効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1の紡糸装置の構成をあらわす側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
・前記紡糸電極が、金属製の筒状部材によって構成されているノズルヘッド、紡糸方法及び防止装置。
・前記紡糸電極がステンレスからなるノズルヘッド、紡糸方法及び防止装置。
・前記溶液槽が、連通孔を有し、前記紡糸液の供給源に接続された内管と、前記内嵌を包囲する外管と、を備えて構成され、前記内管の内周面、前記内管の外周面及び前記外管の内周面のうち少なくとも1つの周面が、前記紡糸電極として機能するノズルヘッド、紡糸方法及び防止装置。
・前記外管が、絶縁性材料からなるノズルヘッド、紡糸方法及び防止装置。
【0012】
[実施形態1]
本開示を具体化した実施形態1を、
図1~
図5を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施形態1において、前後の方向については、
図1におけるX軸の正方向を前方と定義する。左右の方向については、
図2~4におけるY軸の正方向を右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。上下の方向については、
図1,2,4におけるZ軸の正方向を上方と定義する。
【0013】
本実施形態1の紡糸装置は、紡糸液10からナノレベルの極細繊維15(ナノファイバー)を紡糸し、この極細繊維15からなる繊維集合体16、例えば不織布を連続して形成するエレクトロスピニング装置である。
【0014】
紡糸液10は、極細繊維15を形成する樹脂材料を溶質とし、この溶質を揮発性の溶媒に溶解又は分散させたものである。溶質としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂が用いられる。溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等の化合物が用いられる。
【0015】
紡糸装置は、
図1に示すように、捕集部材11と、コレクタ電極17と、ノズルヘッド20と、直流電源31と、紡糸液10の供給源36と、ポンプ38と、を備えている。捕集部材11は、可撓性を有する材料、例えば不織布等の捕集布によって形成されている。捕集部材11は、水平に張り渡された状態で、送り出しローラ13から前方へ送り出されるとともに巻き取りローラ14に巻き取られる。捕集部材11のうち両ローラ13,14の間で水平に張り渡された領域を、捕集領域12と定義する。紡糸された極細繊維15からなる繊維集合体16は、捕集部材11の捕集領域12の下面に対してシート状に積層される。繊維集合体16の使用に際しては、繊維集合体16が積層されている捕集部材11を、巻取りロールから引き出した後、捕集部材11から繊維集合体16を剥離する。
【0016】
コレクタ電極17は、金属等の導電性材料からなり、厚さ方向を上下方向に向けた平板形をなしている。
図1に示すように、コレクタ電極17は、送り出しローラ13と巻き取りローラ14との間に配置されている。コレクタ電極17は、捕集部材11の全幅範囲に亘り、捕集領域12の上面に対して近接して対向した状態、又は接触した状態で配置されている。捕集部材11の捕集領域12は、コレクタ電極17の下面(後述する紡糸電極35との対向面)に沿って前方へ移動する。
【0017】
ノズルヘッド20は、全体として左右方向に細長い部材であり、左右方向において捕集部材11の全幅範囲をカバーするように配置されている。ノズルヘッド20は、コレクタ電極17及び捕集部材11の捕集領域12よりも下方の位置に配置され、紡糸液10を捕集部材11の捕集領域12に向けて噴射する機能を有する。ノズルヘッド20は、溶液槽21と、紡糸電極35(供給電極)と、を備えている。
【0018】
溶液槽21は、
図4,5に示すように、軸線を左右方向に向けて直線状に延びる円形断面の外管22と、軸線を左右方向に向けて直線状に延びる円形断面の内管23とを備えている。内管23は、外管22の内部に同心状に配置されている。溶液槽21の内部空間のうち内管23の内部を、第1貯留空間24と定義する。溶液槽21の内部空間のうち内管23の外周面と外管22の内周面との間の空間を、第2貯留空間25と定義する。第1貯留空間24と第2貯留空間25には、紡糸に必要な量の紡糸液10が、供給されるとともに貯留されるようになっている。溶液槽21の径寸法の一例を示すと、外管22の外径を12mm、外管22の内径を10mm、内管23の外径を6mm、内管23の内径を4mmとすることができる。
【0019】
外管22は、例えば、耐溶剤性樹脂によって形成されている。耐溶剤性樹脂は、例えば、フッ素樹脂(PTFE)などの合成樹脂である。外管22の左右両端壁のうち左端壁部26(一方の端壁部)には、内管23の端部を液密状に貫通させる貫通孔27が形成されている。外管22の右端壁部28に形成した取付孔29には、導電性を有する電極板30が液密状に取り付けられている。電極板30の外面は、外管22の右端壁部28の外面に露出し、電極板30の内面は、外管22の右端壁部28の内面に露出している。電極板30の外面には、直流電源31のプラス電極が接続されている。直流電源31のマイナス電極は、コレクタ電極17に接続されている。
【0020】
外管22には、
図3~5に示すように、第2貯留空間25を溶液槽21(外管22)の外部へ連通させる複数の紡糸孔32が形成されている。複数の紡糸孔32は、第2貯留空間25内の紡糸液10を捕集部材11の捕集領域12に向けて上方へ噴射させるための孔である。複数の紡糸孔32は、外管22における最も高い部位(頂部)に設けられている。複数の紡糸孔32は、外管22の軸線方向に一列に並び、一定間隔(例えば10mm間隔)を空けた複数箇所に配されている。紡糸孔32の開口形状は円形であり、紡糸孔32の径寸法は、例えば1.0mmである。
【0021】
内管23は、導電性を有する金属材料からなる。具体的には、内管23はステンレス製のパイプからなる。内管23の左右方向における左端部は、外管22の貫通孔27を液密状に貫通して、溶液槽21の外部に露出している。内管23の左端部には、後述する供給管37の下流端が接続されている。内管23の右端部は、導電性を有する閉塞板33によって液密状に閉塞されている。閉塞板33は、外管22に取り付けた電極板30に対して電気的導通を可能に接触している。
【0022】
内管23には、第1貯留空間24を第2貯留空間25に連通させる複数の連通孔34が形成されている。複数の連通孔34は、第1貯留空間24内に供給された紡糸液10を第2貯留空間25へ流出させるための孔である。複数の連通孔34は、内管23における最も高い部位(頂部)に設けられている。複数の連通孔34は、内管23の軸線方向に一列に並び、一定間隔(例えば10mm間隔)を空けた複数箇所に配されている。溶液槽21の長さ方向(左右方向)において、複数の紡糸孔32と複数の連通孔34は、異なる位置に配置されている。具体的には、各連通孔34は、隣り合う紡糸孔32の中間位置に配置されている。溶液槽21を溶液槽21の軸線を含む鉛直面に沿って切断したときに、その切断面内に複数の紡糸孔32と複数の連通孔34とが配置される。
【0023】
紡糸電極35は、内管23によって構成されている。換言すると、内管23の全体が紡糸電極35として機能する。詳細には、内管23の内周面の全領域が、第1貯留空間24内に貯留され又は第1貯留空間24内を流動する紡糸液10と接触する紡糸電極35として機能する。内管23の外周面の全領域は、第2貯留空間25内に貯留され又は第2貯留空間25内を流動する紡糸液10に接触する紡糸電極35として機能する。紡糸電極35は、溶液槽21の左右方向における全長に亘って配置され、溶液槽21内の紡糸液10に浸漬されている。紡糸電極35は、内管23の右端部に設けた導電性の閉塞板33と、外管22の右端壁部28に設けた電極板30を介すことによって、直流電源31のプラス電極に接続されている。
【0024】
供給源36は、供給管37を介すことによって溶液槽21に接続されている。供給管37の下流端は、内管23の左端部に接続されている。供給管37にはポンプ38が設けられている。供給源36内に貯留されている紡糸液10は、ポンプ38の駆動によって第1貯留空間24内に圧送される。第1貯留空間24に圧送された紡糸液10は、内管23の連通孔34を通って第2貯留空間25内に流入し、更に、外管22の紡糸孔32から溶液槽21の外部上方へ噴射される。
【0025】
次に、繊維集合体16の製造方法について説明する。紡糸装置を起動すると、捕集部材11が、コレクタ電極17の下面に接触または接近した状態で、送り出しローラ13から巻き取りローラ14に向けて一定速度で送られる。溶液槽21においては、供給源36から圧送された紡糸液10が第1貯留空間24に供給され、連通孔34を通って第2貯留空間25内に流入する。紡糸液10は、第1貯留空間24内と第2貯留空間25内を流動する間に紡糸電極35に接触する。直流電源31を起動することによって、紡糸電極35とコレクタ電極17との間に電圧を印加すると、溶液槽21内の紡糸液10の全体がプラスに帯電される。
【0026】
紡糸孔32において溶液槽21の外周面に露出している紡糸液10の表面には、電荷が誘発され蓄積されている。この電荷は、互いに反発し合い、その反発力は紡糸液10の表面張力に対抗する。帯電した紡糸液10とコレクタ電極17との間には、電気力線に沿った静電気力(クーロン力)が生じている。この静電気力が紡糸液10の表面張力に打ち勝つことによって、帯電した紡糸液10が、複数の紡糸孔32からナノレベルの極細繊維15となって噴出し、静電気力によってコレクタ電極17に向かう。
【0027】
紡糸孔32から噴射された紡糸液10の極細繊維15は、捕集部材11の捕集領域12の下面に付着する。ナノレベルの極細繊維15の表面積は、その体積に比較して大きいため、極細繊維15中の溶媒は効率良く蒸発する。溶媒の蒸発によって極細繊維15の体積が減少し、極細繊維15の電荷密度がより高くなる。電荷密度が高まることによって、帯電した紡糸液10(極細繊維15同士)の反発力が増して、各極細繊維15がさらに細い極細繊維15へ分裂していく。このような過程を経ることによって、極細繊維15が紡糸されるとともに、極細繊維15からなる繊維集合体16が捕集部材11の下側の面に捕集される。
【0028】
本実施形態1の紡糸装置は、紡糸電極35を有するノズルヘッド20と、紡糸電極35から離隔した位置に配置したコレクタ電極17と、紡糸電極35とコレクタ電極17との間に配置した捕集部材11と、を備えている。この紡糸装置を用いた紡糸方法では、紡糸電極35とコレクタ電極17の間に電圧を印加することによって、筒状の溶液槽21内の紡糸液10を、帯電させた状態でコレクタ電極17に向けて噴射して繊維状とする。そして、この紡糸液10からなる極細繊維15を、捕集部材11によって捕集して不織布を得る。
【0029】
ノズルヘッド20は、筒状をなす溶液槽21と、紡糸電極35とを備えている。溶液槽21は、内部に紡糸液10を充填可能である。溶液槽21は、溶液槽21内の紡糸液10を噴射させるための紡糸孔32を有する。紡糸電極35は、紡糸液10に接触した状態で溶液槽21内に配置されている。紡糸電極35は、溶液槽21の周面を導電性材料で形成して構成したものである。
【0030】
紡糸電極35は、1本の細長い直線状のワイヤからなる従来の電極に比べると、表面積、即ち紡糸液10との接触面積が大きい。したがって、紡糸電極35から紡糸液10への電荷付与効率は、従来の電極よりも優れている。よって、本実施形態1の紡糸装置によれば、紡糸効率を向上させることができる。
【0031】
紡糸電極35は、金属製の筒状部材(内管23)によって構成されている。金属は合成樹脂よりも剛性が高く、筒形状の部材は中実形状の部材よりも曲げ剛性が高い。このように本実施形態1の紡糸電極35は剛性が高いので、紡糸電極35が湾曲変形することに起因して紡糸液10からなる繊維の太さにバラツキが生じることを防止できる。紡糸電極35は、ステンレスからなるので、紡糸液10との接触によって腐食する虞がない。
【0032】
溶液槽21は、内管23と外管22とを備えた多重筒構造である。内管23は、複数の連通孔34を有し、紡糸液10の供給源36に接続されたものである。外管22は、内嵌を同軸状に包囲している。内管23の内周面と内管23の外周面が、紡糸電極35として機能する。内管23の第1貯留空間24内に圧送された紡糸液10は、連通孔を通過して内筒と外筒との間の第2貯留空間25に流入することによって、紡糸液10の圧力の均一化を図ることができる。溶液槽21内の紡糸液10は、第1貯留空間24と第2貯留空間25を流動する間に、内管23の内周面と、内管23の外周面に接触することによって、帯電される。外管22を絶縁性材料としたので、外管22の外周面からの放電を防止できる。
【0033】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
紡糸電極を構成する筒状部材は、非金属材料からなるものであってもよい。
紡糸電極は、筒状部材の周面にメッキや溶着等によって形成した金属層であってもよい。
紡糸電極は、ステンレス以外の金属材料からなるものや、導電性樹脂材料からなるものでもよい。
内管の内周面、内管の外周面及び外管の内周面の全ての周面を、紡糸電極として機能させてもよい。
内管の内周面、内管の外周面及び外管の内周面のうちいずれか1つの周面のみを紡糸電極として機能させてもよい。
内管の内周面と外管の内周面のみを紡糸電極として機能させてもよい。
内管の外周面と外管の内周面のみを紡糸電極として機能させてもよい。
外管は、導電性材料からなるものでもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…紡糸液
11…捕集部材
15…極細繊維(繊維)
17…コレクタ電極
20…ノズルヘッド
21…溶液槽
22…外管
23…内管
32…紡糸孔
34…連通孔
35…紡糸電極
36…供給源