IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ケアコムの特許一覧

<>
  • 特許-ナースコールシステム 図1
  • 特許-ナースコールシステム 図2
  • 特許-ナースコールシステム 図3
  • 特許-ナースコールシステム 図4
  • 特許-ナースコールシステム 図5
  • 特許-ナースコールシステム 図6
  • 特許-ナースコールシステム 図7
  • 特許-ナースコールシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-23
(45)【発行日】2025-10-31
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20251024BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20251024BHJP
   A61G 7/043 20060101ALI20251024BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20251024BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20251024BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20251024BHJP
【FI】
G08B25/04 K
A61G12/00 E
A61G7/043
G08B25/00 510M
G08B21/02
H04M9/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022008082
(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公開番号】P2023107007
(43)【公開日】2023-08-02
【審査請求日】2024-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲也
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/026308(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/218409(WO,A1)
【文献】特開2011-005170(JP,A)
【文献】特開2011-156099(JP,A)
【文献】特開2012-071003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0278934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/02 - 17/12
G08B 19/00 - 21/24
G08B 23/00 - 31/00
A61G 12/00
A61G 7/043
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のベッド上およびその周辺の領域を含む撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
上記撮影画像取得部により取得された上記撮影画像を解析することにより、上記患者が上記ベッド上で伏した伏床状態、上記患者が上記ベッドを離れた離床状態、および、上記伏床状態と上記離床状態との間の1以上の中間状態を上記患者の行動状態として検出する行動状態検出部と、
上記行動状態検出部により上記中間状態または上記離床状態が検出されたときに報知動作を行う報知処理部とを備え、
上記報知処理部は、上記中間状態および上記離床状態のうち、上記患者の看護の必要度を表した看護必要度の情報に応じて特定される行動状態が上記行動状態検出部により検出されたときに上記報知動作を行う
ことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
上記中間状態は、上記患者が上記ベッド上で上半身を起こした起床状態と、上記ベッド上の端部において足を上記ベッドの外に出して座った端座位状態との2つを含み、
上記報知処理部は、上記起床状態、上記端座位状態および上記離床状態のうち、上記看護必要度の情報に応じて特定される行動状態が上記行動状態検出部により検出されたときに上記報知動作を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
患者のベッド上およびその周辺の領域を含む撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
上記撮影画像取得部により取得された上記撮影画像を解析することにより、上記患者が上記ベッド上で伏した伏床状態、上記患者が上記ベッドを離れた離床状態、および、上記伏床状態と上記離床状態との間の1以上の中間状態を上記患者の行動状態として検出する行動状態検出部と、
上記中間状態および上記離床状態のうち、上記患者の一人行動の可能性または妥当性に関連した患者状態を示す患者状態情報に応じて特定される行動状態が上記行動状態検出部により検出されたときに報知動作を行う報知処理部と、
上記患者状態の内容ごとに、上記中間状態および上記離床状態のうちどの行動状態が検出されたときに上記報知動作を行うかの条件を示した状態別条件情報を記憶する状態別条件情報記憶部とを備え
上記行動状態検出部により上記患者の上記中間状態または上記離床状態が検出されたときに、当該患者の上記患者状態情報を取得し、当該患者状態情報をもとに上記状態別条件情報記憶部を参照して、報知処理を進めるか否かを決定するようにした
ことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項4】
上記患者状態情報は、上記患者を避難させる際の介助の必要度を表した救護区分の情報、上記患者の看護の必要度を表した看護必要度の情報、および上記患者の病状を表した情報を含み、
上記状態別条件情報記憶部は、上記救護区分、上記看護必要度および上記患者の病状のそれぞれごとに、上記中間状態および上記離床状態のうちどの行動状態が検出されたときに上記報知動作を行うかの条件を示した状態別条件情報を記憶する
ことを特徴とする請求項3に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
上記ナースコールシステムは、上記ベッドの周辺に設置される送信端末と、上記ベッドから離れた位置に設置される受信端末と、上記報知処理を進めるための条件を示した条件情報を記憶する情報管理装置とを備え、
上記送信端末は、
上記撮影画像取得部と、
上記行動状態検出部と、
上記行動状態検出部により上記中間状態または上記離床状態が検出されたときに、上記受信端末に対して呼出信号を送信する呼出処理部とを備え、
上記呼出処理部は、上記行動状態検出部により上記中間状態または上記離床状態が検出されたときに、上記情報管理装置に問い合わせを行い、上記患者状態情報に応じて特定される行動状態が上記行動状態検出部により検出されたとの判定結果を上記情報管理装置から取得した場合に、上記報知処理を進めることを決定して上記呼出信号を送信し、
上記受信端末は上記報知処理部を備え、
上記報知処理部は、上記送信端末から送信される上記呼出信号を受けて、上記報知動作を行い、
上記情報管理装置は、上記送信端末から上記問い合わせを受けた場合、上記条件情報を参照して、上記患者状態情報に応じて特定される行動状態が上記行動状態検出部により検出されたとする条件を満たすか否かを判定し、その判定結果を上記送信端末に回答する
ことを特徴とする請求項3または4に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関し、特に、カメラによる撮影画像を解析して検知される患者の状態に応じて呼び出しを行うナースコールシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラによる撮影画像を解析して検知される患者の状態に応じて呼び出しを行うナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載のナースコールシステムでは、カメラの撮像映像をもとに、患者がベッドから居なくなる離床状態を検出する映像解析部を廊下灯が備える。映像解析部は、カメラの画角内に撮像対象のベッドに合わせて特定エリアを設定しており、ベッドに伏した状態、ベッド上で上半身を起こした起き上がり状態、特定エリアから外へ移動をする状態を順次検出したら離床発生と判断する。ナースコール親機は、映像解析部の離床発生の判断を受けて報知動作する。
【0003】
特許文献2に記載の見守り支援システムは、ベッドと人が写る画像が入力されたときに、ベッドに対する人の状態を示すスコアが出力されるように機械学習された回帰器と、対象者のベッドを含む監視領域を撮影するように設置された撮像装置から画像を取得する画像取得部と、画像取得部により得られた監視領域の画像を回帰器に入力することにより得られたスコアに基づいて、対象者の行動(就寝状態、起床状態、離床状態)を判定する判定部と、対象者が「起床」または「離床」したと判定された場合に必要な通知を行う出力部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6454506号公報
【文献】特許第6822326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のシステムでは、ベッドに伏した状態およびベッド上で上半身を起こした起き上がり状態の少なくとも一方を離床の前提条件として設定するか否かによらず、ベッドから外へ移動する人物を検出することを条件として離床発生と判断し、報知動作を行う。これに対して、上記特許文献2に記載のシステムでは、患者の離床状態を検出した場合のみならず、起床状態を検出した場合にも報知動作を行う。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、患者の離床状態が検出された場合にのみ報知動作が行われるため、医療従事者は、患者の起床状態が検出された段階で報知を受けて早期に必要な対応をとることができないという問題があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載のシステムでは、患者の起床状態が検出された場合にも報知動作が行われるので、その報知を受けて早期に必要な対応をとることが可能である。しかしながら、起床状態が検出された場合にも、その後に離床状態が検出された場合にも報知動作が行われるため、複数の患者から多くの報知動作が発生することがあり、医療従事者が報知に対する対応業務に多くの時間がとられてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解消するために成されたものであり、患者がベッド上で伏した状態と、ベッドを離れた状態と、それらの間の中間状態とを検出して報知動作を行うように構成したナースコールシステムにおいて、医療従事者が適切なタイミングで適切な報知を受けて必要な対応業務を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、患者のベッド上およびその周辺の領域を含む撮影画像を解析することにより、患者がベッド上で伏した伏床状態、患者がベッドを離れた離床状態、および、伏床状態と離床状態との間の1以上の中間状態を検出し、中間状態または離床状態が検出されたときに報知動作を行う。ここで、本発明では、中間状態および離床状態のうち、患者の一人行動の可能性または妥当性に関連した患者状態を示す患者状態情報に応じて特定される行動状態が検出されたときに報知動作を行うようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、離床状態が検出された場合にのみ報知動作を行う従来技術や、起床状態が検出された場合にも離床状態が検出された場合にも常に報知動作を行う従来技術とは異なり、患者の一人行動の可能性または妥当性に関連した患者状態に応じて、どの行動状態が検出されたときに報知動作を行うかが患者ごとに決められるので、医療従事者は患者ごとに適切なタイミングで適切な報知を受けて必要な対応業務を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
図2】AIカメラの設置例を示す図である。
図3】本実施形態によるAIカメラの機能構成例を示すブロック図である。
図4】本実施形態によるNC親機の機能構成例を示すブロック図である。
図5】状態別条件情報記憶部に記憶される状態別条件情報の一例を示す図である。
図6】第2変形例に係るAIカメラの機能構成例を示すブロック図である。
図7】第3変形例に係るAIカメラの機能構成例を示すブロック図である。
図8】第3変形例に係るNC親機の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステム100は、AIカメラ1、カメラコントローラ2、ナースコールサーバ(以下、NCサーバと記す)3、ナースコール親機(以下、NC親機と記す)4、制御機5、廊下灯6、壁埋込形子機7およびハンド形子機8を備えて構成されている。AIカメラ1は、患者のベッドの周辺に設置される送信端末に相当する。NC親機4は、ベッドから離れた位置に設置される受信端末に相当する。AIカメラ1とNC親機4との間およびNCサーバ3と制御機5との間の通信は、例えばHTTP(Hypertext Transfer Protocol)によって行われる。制御機5とハンド形子機8との間の通信は、ナースコール幹線を介して行われる。
【0014】
AIカメラ1は、コンピュータを内蔵したカメラであり、患者のベッド上およびその周辺の領域を撮影する。AIカメラ1は、例えば図2に示すように、個々のベッドごとに、患者が寝るときに頭部が位置する方向の壁上に設置される。AIカメラ1が設置される壁の位置は、図2(a)に矢印で示すように高さがベッドよりも高い位置で、図2(b)に矢印で示すように水平位置がベッド幅+所定幅の範囲内となるように設置するのが好ましい。
【0015】
AIカメラ1は、詳細を後述するように、患者がベッド上で伏した伏床状態、患者がベッドを離れた離床状態、および、伏床状態と離床状態との間の1以上の中間状態を検出し、中間状態または離床状態を検出したときに呼出信号を出力する。本実施形態では、中間状態として、患者がベッド上で上半身を起こした起床状態と、患者がベッド上の端部において足をベッドの外に出して座った端座位状態との2つを検出する。上半身を起こした状態とは、例えば、ベッド面に対して背中の角度が45度以上となった状態をいう。以下では、伏床状態、起床状態、端座位状態および離床状態を患者の行動状態という。本実施形態では、起床状態、端座位状態、離床状態のうちどの行動状態が検出されたときに呼出信号を出力するかを患者ごとに決定する。
【0016】
カメラコントローラ2は、AIカメラ1との間でデータの送受信を行う。例えば、カメラコントローラ2は、AIカメラ1からの呼出信号を受信し、NCサーバ3に通知する。また、カメラコントローラ2は、後述する患者状態情報をNCサーバ3から受信し、これをAIカメラ1に送信して記憶させる。AIカメラ1は、この患者状態情報に基づいて、どの行動状態が検出されたときに呼出信号を出力するかを患者ごとに決定する。
【0017】
NCサーバ3は、カメラコントローラ2、NC親機4および制御機5に接続され、これらとの間でデータの送受信を行う。例えば、NCサーバ3は、カメラコントローラ2から送られてくる呼出信号をNC親機4に通知する。また、NCサーバ3は、図示しない患者情報管理データベースに記憶している患者状態情報をカメラコントローラ2に送信する。NCサーバ3は、病院内でナースコールシステム以外に使用される他のシステム(例えば、電子カルテシステム、医療事務システム、オーダリングシステムなど)と連動することが可能である。本実施形態では、NCサーバ3は電子カルテシステム200と接続されている。NCサーバ3は、電子カルテシステム200から患者状態情報を取得し、患者情報管理データベースに記憶する。なお、この患者情報管理データベースは、NCサーバ3の内部に備えるようにしてもよいし、NCサーバ3の外部に備えてNC親機4と共用できるようにしてもよい。
【0018】
NC親機4は、例えばナースステーションに設置される固定型のタイプと、個々の看護師が所持するスマートフォン等の可搬型のタイプとの少なくとも一方を含み、NCサーバ3から送られてくる呼出信号を受信して、所定の報知動作を行う。この報知動作は、例えば、呼び出しを行った患者の情報をディスプレイに表示するとともに、スピーカから呼出音を出力するといった動作である。この報知動作に応じて医療従事者がオフフック等の応答操作をすると、通話路が形成され、医療従事者と患者とが会話を行うことができるようになっている。
【0019】
なお、AIカメラ1は、スピーカを更に備えてもよく、上述のようにNC親機4での応答操作に応じて形成される通話路を介して受信される医療従事者の音声をスピーカから出力可能に構成してもよい。
【0020】
制御機5は、NCサーバ3と廊下灯6との間に接続され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。廊下灯6は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。廊下灯6は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者が壁埋込形子機7またはハンド形子機8を用いて呼び出しの操作を行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。また、廊下灯6は、壁埋込形子機7またはハンド形子機8から送信された呼出信号を、制御機5を介してNCサーバ3に転送する。
【0021】
壁埋込形子機7は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。壁埋込形子機7は、患者が医療従事者を呼び出すための呼出ボタン、患者が医療従事者と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカ、ハンド形子機8を接続するための接続端子を備えている。なお、壁埋込形子機7の構成はこれに限定されない。例えば、呼出ボタンを備えないものであってもよい。
【0022】
ハンド形子機8は、壁埋込形子機7に接続される。ハンド形子機8は、患者が医療従事者を呼び出すための呼出ボタン、患者が医療従事者と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えている。なお、ハンド形子機8の構成はこれに限定されない。例えば、マイクおよびスピーカを備えないもの(握り押しボタン)であってもよい。
【0023】
患者が壁埋込形子機7またはハンド形子機8の呼出ボタンを操作すると、呼出信号が廊下灯6、制御機5およびNCサーバ3を介してNC親機4に送信されるようになっている。以下では、壁埋込形子機7およびハンド形子機8をまとめてナースコール子機7,8という。
【0024】
図3は、AIカメラ1の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態のAIカメラ1は、機能構成として、撮影画像取得部11、行動状態検出部12、呼出処理部13および患者状態情報記録部14を備えている。また、本実施形態のAIカメラ1は、記憶媒体として、患者状態情報記憶部15および状態別条件情報記憶部16を備えている。
【0025】
上記機能ブロック11~14は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック11~14は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0026】
患者状態情報記録部14は、NCサーバ3からカメラコントローラ2を介して送られてくる患者状態情報を受信し、患者状態情報記憶部15に記憶させる。上述したように、AIカメラ1は患者のベッドごとに設置されており、各AIカメラ1の患者状態情報記憶部15には、それぞれのAIカメラ1を使用する患者の患者状態情報が記憶される。
【0027】
患者状態情報は、患者の一人行動の可能性または妥当性に関連した患者状態を示す情報である。本実施形態では、患者の一人行動の可能性または妥当性に関連した患者状態を示す情報として、患者を避難させる際の介助の必要度を表した救護区分の情報と、患者の看護の必要度を表した看護必要度の情報と、患者の病状を表した情報とを用いる。
【0028】
救護区分は、患者が単独で避難可能な状態を表す「独歩」、避難時には1人以上の介助者が必要な状態を表す「護送」、避難時には担架が必要な状態を表す「担送」の3区分である。この救護区分は、入院中の患者を避難させなければならない状態が生じたとき、入院患者を速やかにかつ安全に避難させるための重要な情報と言える。救護区分は、患者ごとに、独歩/護送/担送の何れかが設定される。
【0029】
看護必要度は、患者の状態に関する項目ごとに介助の必要度を表したものである。本実施形態では、患者の状態に関する項目として、「寝返り」、「移乗」、「診療・養療上の指示が通じる」、「危険行動」の4つを用いる。「寝返り」に関しては、「できる」/「何かにつかまればできる」/「できない」のうち何れかが患者ごとに設定される。「移乗」に関しては、「自立」/「一部介助」/「全介助」のうち何れかが患者ごとに設定される。「診療・養療上の指示が通じる」に関しては、「はい」/「いいえ」の何れかが患者ごとに設定される。「危険行動」に関しては、「ない」/「ある」の何れかが患者ごとに設定される。
【0030】
病状は、疾患名、症状、容態、実施される治療の内容および治療後の経過などの情報を含む。治療の一手段として手術が行われた場合には、その実施日時の情報も含まれる。
【0031】
状態別条件情報記憶部16は、患者状態の内容ごとに、中間状態および離床状態のうちどの行動状態が検出されたときに報知動作を行うかの条件を示した状態別条件情報をあらかじめ記憶する。この状態別条件情報には、救護区分に関して、「独歩」、「護送」、「担送」のそれぞれついてどの行動状態が検出されたら報知動作を行うかの条件が示されている。また、状態別条件情報には、看護必要度に関して、「寝返り」、「移乗」、「診療・養療上の指示が通じる」、「危険行動」のそれぞれについて患者がどの状態のときにどの行動状態が検出されたら報知動作を行うかの条件が示されている。また、状態別条件情報には、病状に関して、どの疾患のときにどの行動状態が検出されたら報知動作を行うかの条件や、手術後の経過時間に応じてどの行動状態が検出されたら報知動作を行うかの条件が示されている。
【0032】
図5は、状態別条件情報記憶部16に記憶される状態別条件情報の一例を示す図である。救護区分に関しては、図5(a)に示すように、「独歩」が設定されている場合には離床状態が検出されたら報知動作を行い、「護送」が設定されている場合には端座位状態または離床状態が検出されたら報知動作を行い、「担送」が設定されている場合には起床状態、端座位状態または離床状態が検出されたら報知動作を行うという条件が設定されている。
【0033】
看護必要度に関しては、図5(b)に示すように、「寝返り」の項目については患者の状態が「できる」以外、「移乗」の項目については患者の状態が「自立」以外、「診療・養療上の指示が通じる」の項目については患者の状態が「いいえ」、「危険行動」の項目については患者の状態が「ある」の場合には起床状態、端座位状態または離床状態が検出されたら報知動作を行い、それ以外の場合には報知動作を行わないという条件が設定されている。
【0034】
また、病状に関しては、図5(c)に示すように、脳疾患の場合には起床状態、端座位状態または離床状態が検出されたら報知動作を行い、手術後2日以内の場合には起床状態または端座位状態が検出されたら報知動作を行い、手術後3日以降の場合には端座位状態が検出されたら報知動作を行うという条件が設定されている。
【0035】
なお、ここでは各AIカメラ1の状態別条件情報記憶部16に状態別条件情報があらかじめ記憶されているものとして説明したが、NCサーバ3から状態別条件情報をAIカメラ1に送信して状態別条件情報記憶部16に記憶させるようにしてもよい。この場合、NCサーバ3において状態別条件情報の内容を設定できるようにしてもよい。
【0036】
撮影画像取得部11は、患者のベッド上およびその周辺の領域を含む撮影画像を取得する。AIカメラ1はベッド周辺の領域を常時撮影しており、その撮影画像が撮影画像取得部11により常時取得される。
【0037】
行動状態検出部12は、撮影画像取得部11により取得された撮影画像を解析することにより、患者の伏床状態、起床状態、端座位状態および離床状態を検出する。行動状態検出部12は、ベッドの形状に合わせて撮影画像の範囲内に特定エリアをあらかじめ設定している。また、行動状態検出部12は、撮影画像に写る人物を抽出する。そして、行動状態検出部12は、抽出した人物の姿勢や、人物の範囲に設定した矩形枠と特定エリアとの相対位置関係などをもとに、患者が伏床状態、起床状態、端座位状態、離床状態の何れの状態であるかを検出する。
【0038】
ここで、行動状態検出部12は、処理負荷を軽減することなどを目的として、所定の時間間隔ごとに患者の行動状態を検出する。そして、複数回連続して同じ行動状態が検出された場合に、患者がその状態であることを確定する。例えば、行動状態検出部12は、1秒間隔で患者の行動状態を検出し、2回連続して同じ行動状態が検出された場合(つまり、同じ行動状態が連続して1秒以上検出された場合)に、患者がその状態であることを確定する。以下の説明において、患者の「行動状態を検出する」というときは、確定した行動状態の検出を意味するものとする。
【0039】
行動状態検出部12は、以上のような患者の行動状態の検出処理を、機械学習された分類モデルを用いて行うことが可能である。すなわち、人物または人物以外の物がベッド上またはその周辺に写っている画像に対して、伏床状態、起床状態、端座位状態、離床状態、その他状態の何れかの正解ラベルを付与して成る教師データを複数用意し、この教師データによって分類モデルを機械学習する。行動状態検出部12は、このように学習済みの分類モデルに対して、撮影画像取得部11により取得された撮影画像を入力することにより、伏床状態、起床状態、端座位状態、離床状態、その他状態の何れかの分類結果を示す出力を得る。
【0040】
呼出処理部13は、行動状態検出部12により起床状態、端座位状態または離床状態が検出されたときに、カメラコントローラ2およびNCサーバ3を介してNC親機4に対して呼出信号を送信する。この呼出信号は、AIカメラ1を識別する端末IDを含む。なお、ナースコール子機7,8から送信される呼出信号には、ナースコール子機7,8を識別する子機IDが含まれる。
【0041】
本実施形態において、呼出処理部13は、患者状態情報記憶部15に記憶されている患者状態情報および状態別条件情報記憶部16に記憶されている状態別条件情報に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたか否かを判定し、患者状態情報に応じて特定される行動状態が検出されたと判定された場合に、報知処理を進めることを決定して呼出信号を送信する。すなわち、呼出処理部13は、行動状態検出部12により患者の中間状態または離床状態が検出されたときに、当該患者の患者状態情報を患者状態情報記憶部15から取得する。そして、呼出処理部13は、当該取得した患者状態情報をもとに状態別条件情報記憶部16を参照して、報知処理を進めるか否かを決定する。
【0042】
具体的には、呼出処理部13は、患者状態情報記憶部15に記憶されている患者状態情報の救護区分に応じて、図5(a)に示す救護区分に関する状態別条件情報に基づいて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたときに、報知動作を進めることを決定して呼出信号を送信する。また、呼出処理部13は、患者状態情報記憶部15に記憶されている患者状態情報の看護必要度に応じて、図5(b)に示す看護必要度に関する状態別条件情報に基づいて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたときに、報知動作を進めることを決定して呼出信号を送信する。また、呼出処理部13は、患者状態情報記憶部15に記憶されている患者状態情報の病状に応じて、図5(c)に示す病状に関する状態別条件情報に基づいて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたときに、報知動作を進めることを決定して呼出信号を送信する。ここで、呼出処理部13は、救護区分、看護必要度および病状のうち少なくとも1つに関して、患者状態情報に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出された場合に呼出信号を送信する。
【0043】
図4は、NC親機4の機能構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態のNC親機4は、機能構成として、呼出受付部41および報知処理部42を備えている。これらの機能ブロック41~42は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック41~42は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0044】
呼出受付部41は、AIカメラ1およびナースコール子機7,8から送信された呼出信号を受信する。報知処理部42は、呼出受付部41が呼出信号を受信したとき(すなわち、AIカメラ1の行動状態検出部12により患者の中間状態または離床状態が検出されたとき、および、ナースコール子機7,8の呼出ボタンが操作されたとき)に、それによって送信される呼出信号の受信に応じて上述した所定の報知動作を行う。
【0045】
例えば、報知処理部42は、呼出信号によって伝えられるID(AIカメラ1の端末ID、ナースコール子機7,8の子機ID)に基づいて、図示しない患者情報管理データベースを参照することにより、IDに関連づけて登録されている患者を特定する。そして、報知処理部42は、特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)を患者情報管理データベースから読み出し、患者情報のポップアップ画面を生成してディスプレイに表示させる。また、報知処理部42は、スピーカから呼出音を鳴らして医療従事者に対する報知を行う。
【0046】
このように、本実施形態において、報知処理部42は、中間状態および離床状態のうち、患者状態情報に応じて特定される行動状態がAIカメラ1の行動状態検出部12により検出されたときに報知動作を行う。すなわち、報知処理部42は、救護区分に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたとき、看護必要度に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたとき、病状に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたときに、呼出信号を受けて報知動作を行う。
【0047】
このように構成した本実施形態のナースコールシステムによれば、離床状態が検出された場合にのみ報知動作を行う従来技術や、起床状態が検出された場合にも離床状態が検出された場合にも常に報知動作を行う従来技術とは異なり、患者の救護区分、看護必要度および病状に関する患者状態に応じて、どの行動状態が検出されたときに報知動作を行うかが患者ごとに決められる。これにより、医療従事者は患者ごとに適切なタイミングで適切な報知を受けて必要な対応業務を行うことができる。
【0048】
<第1変形例>
なお、上記実施形態では、AIカメラ1が患者状態情報記憶部15および状態別条件情報記憶部16を備え、呼出処理部13が、患者の患者状態情報を患者状態情報記憶部15から取得して、当該取得した患者状態情報をもとに状態別条件情報記憶部16を参照して報知処理を進めるか否かを決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、NCサーバ3が患者状態情報記憶部15および状態別条件情報記憶部16を備え、報知処理を進めるか否かの決定を以下のように行うようにしてもよい。この場合の患者状態情報記憶部15は、各患者の患者状態情報を記憶する。
【0049】
すなわち、呼出処理部13は、行動状態検出部12により患者の行動状態が検出される都度、端末IDを送信してNCサーバ3に問い合わせを行う。NCサーバ3は、端末IDに対応する患者の患者状態情報を患者状態情報記憶部15から取得し、当該取得した患者状態情報をもとに状態別条件情報記憶部16を参照して、患者の患者状態情報に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたか否かを判定し、その判定結果を呼出処理部13に回答する。呼出処理部13は、NCサーバ3から取得される判定結果に基づいて、報知処理を進めるか否かを決定する。
【0050】
この第1変形例におけるNCサーバ3は、特許請求の範囲の情報管理装置に相当する。なお、ここでは情報管理装置の一例としてNCサーバ3を用いているが、これに限定されない。例えば、呼出信号の転送機能を有しない別の専用装置を情報管理装置として用いるようにしてもよい。あるいは、NC親機4を情報管理装置として用いるようにしてもよい。
【0051】
<第2変形例>
上記実施形態では、患者状態情報をもとに状態別条件情報を参照して報知処理を進めるか否かを決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、患者ごとに患者状態情報および状態別条件情報に応じて報知対象として特定される行動情報をAIカメラ1にあらかじめ記憶しておき、中間状態または離床状態が行動状態検出部12により検出されたときに、それがこのあらかじめ記憶しておいた行動情報に該当するか否かを判定して報知処理を進めるか否かを決定するようにしてもよい。
【0052】
図6は、第2変形例に係るAIカメラ1’の機能構成例を示すブロック図である。この図6において、図3に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。第2変形例に係るAIカメラ1’は、機能構成として、呼出処理部13および患者状態情報記録部14に代えて呼出処理部13’および患者別条件情報記録部17を備えている。また、第2変形例に係るAIカメラ1’は、記憶媒体として、患者状態情報記憶部15および状態別条件情報記憶部16に代えて患者別条件情報記憶部18を備えている。
【0053】
患者別条件情報記録部17は、NCサーバ3からカメラコントローラ2を介して送られてくる患者別条件情報を受信し、患者別条件情報記憶部18に記憶させる。上述したように、AIカメラ1’は患者のベッドごとに設置されており、各AIカメラ1’の患者別条件情報記憶部18には、それぞれのAIカメラ1’を使用する患者に対応して設定された患者別条件情報が記憶される。患者別条件情報は、中間状態および離床状態のうちどの行動状態が検出されたときに報知動作を行うかという条件を患者ごとに示した情報である。
【0054】
この患者別条件情報は、例えば、電子カルテシステム200からNCサーバ3に送信される患者の患者状態情報と、NCサーバ3があらかじめ記憶している図5のような状態別条件情報とに基づいてNCサーバ3により設定される。そして、設定された患者別条件情報がNCサーバ3からカメラコントローラ2を介して各患者のAIカメラ1’に送信されて、患者別条件情報記録部17により患者別条件情報記憶部18に記憶される。
【0055】
呼出処理部13’は、行動状態検出部12により中間状態または離床状態が検出されたときに、患者別条件情報記憶部18に記憶された患者別条件情報を参照して、報知処理を進めるか否かを決定する。すなわち、呼出処理部13’は、患者別条件情報記憶部18に記憶されている患者別条件情報により特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたか否かを判定し、患者別条件情報により特定される行動状態が検出されたと判定された場合に、報知処理を進めることを決定して呼出信号を送信する。
【0056】
なお、この第2変形例においても、上述した第1変形例と同様に構成にしてもよい。すなわち、NCサーバ3が患者別条件情報記憶部18を備える。そして、行動状態検出部12により患者の行動状態が検出される都度、呼出処理部13’が端末IDを用いてNCサーバ3に問い合わせを行う。NCサーバ3は、患者別条件情報記憶部18に記憶されている患者別条件情報を参照して、患者の患者状態情報に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたか否かを判定し、その判定結果を呼出処理部13’に回答する。呼出処理部13’は、NCサーバ3から取得される判定結果に基づいて、報知処理を進めるか否かを決定する。
【0057】
<第3変形例>
また、上記実施形態では、報知処理を進めるか否かをAIカメラ1にて決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、行動状態検出部12により中間状態または離床状態が検出された場合にはAIカメラ1から呼出信号を常に出力し、報知処理を進めるか否かをNC親機4にて決定するようにしてもよい。
【0058】
図7は、第3変形例に係るAIカメラ1”の機能構成例を示すブロック図である。この図7において、図3に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。第3変形例に係るAIカメラ1”は、機能構成として、呼出処理部13に代えて呼出処理部13”を備えている。また、第3変形例に係るAIカメラ1”は、患者状態情報記録部14、患者状態情報記憶部15および状態別条件情報記憶部16を備えていない。
【0059】
図8は、第3変形例に係るNC親機4”の機能構成例を示すブロック図である。この図8において、図3および図4に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。第3変形例に係るNC親機4”は、機能構成として、報知処理部42に代えて報知処理部42”を備えるとともに、患者状態情報記録部14”を更に備えている。また、第3変形例に係るNC親機4”は、記憶媒体として、患者状態情報記憶部15”および状態別条件情報記憶部16を更に備えている。
【0060】
AIカメラ1”の呼出処理部13”は、行動状態検出部12により中間状態または離床状態が検出されたときに、NC親機4”に対して呼出信号を送信する。第3変形例において、呼出処理部13”は、患者状態情報または患者別条件情報に応じて報知動作を行うか否かの判定はせず、中間状態または離床状態が検出されたら常に呼出信号を送信する。
【0061】
NC親機4”の患者状態情報記録部14”は、NCサーバ3から送られてくる各患者の患者状態情報を受信し、患者状態情報記憶部15”に記憶させる。報知処理部42”は、呼出受付部41が受信したAIカメラ1”からの呼出信号を受けて、患者状態情報記憶部15”に記憶されている患者状態情報および状態別条件情報記憶部16に記憶されている状態別条件情報に応じて特定される行動状態が行動状態検出部12により検出されたか否かを判定し、患者状態情報に応じて特定される行動状態が検出されたと判定された場合に、報知処理を進めることを決定して報知動作を行う。
【0062】
すなわち、報知処理部42”は、呼出受付部41がAIカメラ1”からの呼出信号を受信したときに、その呼出信号により示される端末IDに対応する患者の患者状態情報を患者状態情報記憶部15”から取得する。そして、報知処理部42”は、当該取得した患者状態情報をもとに状態別条件情報記憶部16の状態別条件情報を参照して、報知処理を進めるか否かを決定する。
【0063】
なお、第2変形例の内容をNC親機4”に適用するようにしてもよい。すなわち、患者状態情報記録部14”に代えて図6の患者別条件情報記録部17と同様の機能(ただし、各患者の患者別条件情報を記憶部に記憶させる点で、一人の患者の患者別条件情報を記憶部に記憶させる患者別条件情報記録部17と異なる)を備えるとともに、患者状態情報記憶部15”および状態別条件情報記憶部16に代えて図6の患者別条件情報記憶部18と同様の記憶部を備え、呼出受付部41が呼出信号を受信したときに、その呼出信号により示される端末IDに対応する患者に関する患者別条件情報を参照して、報知処理を進めるか否かを決定するようにしてもよい。
【0064】
また、行動状態検出部12により中間状態または離床状態が検出された場合にAIカメラ1”から呼出信号を常に出力し、報知処理を進めるか否かをNCサーバ3にて決定するようにしてもよい。この場合は、図3の呼出処理部13または図6の呼出処理部13’と同様の機能をNCサーバ3が備え、NCサーバ3がAIカメラ1(またはAIカメラ1’)から呼出信号を受信したときに、報知処理を進めるか否かを判定し、報知処理を進めることを決定した場合に呼出信号をNC親機4に転送する。この場合におけるNCサーバ3は、特許請求の範囲の中継装置に相当する。
【0065】
<その他の変形例>
また、上記実施形態では、行動状態検出部12が中間状態として起床状態および端座位状態の2つを検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、行動状態検出部12は、中間状態として、起床状態または端座位状態の何れか一方のみを検出するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、患者状態情報として、救護区分、看護必要度および病状の3つの情報を用いる例について説明したが、この中の何れか2つまたは1つのみを用いるようにしてもよい。
【0067】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1,1’,1” AIカメラ(送信端末)
2 カメラコントローラ
3 ナースコールサーバ(NCサーバ)(中継装置)
4,4” ナースコール親機(NC親機)(受信端末)
11 撮影画像取得部
12 行動状態検出部
13,13’,13” 呼出処理部
14 患者状態情報記録部
15,15” 患者状態情報記憶部
16 状態別条件情報記憶部
17 患者別条件情報記録部
18 患者別条件情報記憶部
41 呼出受付部
42,42” 報知処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8