(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-10
(45)【発行日】2025-11-18
(54)【発明の名称】撮像素子、及び、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/704 20230101AFI20251111BHJP
H10F 39/18 20250101ALI20251111BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20251111BHJP
H04N 25/531 20230101ALI20251111BHJP
H04N 25/616 20230101ALI20251111BHJP
【FI】
H04N25/704
H10F39/18 A
H04N25/77
H04N25/531
H04N25/616
(21)【出願番号】P 2020217421
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】島 徹
【審査官】廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-186006(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189892(WO,A1)
【文献】特開2022-99911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を電荷に変換する第1光電変換部と、
光を電荷に変換する第2光電変換部と、
前記第1光電変換部で変換された電荷と、前記第2光電変換部で変換された電荷とが転送される第1フローティングディフュージョンと、
前記第1フローティングディフュージョンと、所定電圧が供給される配線とを電気的に接続するための第1トランジスタを有し、前記第1フローティングディフュージョンの電荷を排出する第1排出部と、
前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷に基づく第1信号と、前記第1信号に対する第1信号処理に用いられる信号であって前記第1排出部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出
されている期間を含む、前記第1排出部の前記第1トランジスタがオン状態のときの前記第1フローティングディフュージョンの電荷に基づく第2信号とを第1信号線に出力する第1出力部と、
前記第1信号線に出力された前記第1信号
からデジタル信号に変換された第1デジタル信号と、前記第1信号線に出力された前記第2信号からデジタル信号に変換された第2デジタル信号とを用いて前記第1信号処理を行う第1
信号処理部と
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第1排出部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている期間が終了する前に、前記第1信号線への前記第2信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第2転送部と
を備え、
前記第1排出部は、前記第1転送部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1フローティングディフュージョンの電荷の排出を終了
し、
前記第1出力部は、前記第1転送部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1信号線への前記第2信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1
信号処理部は、前記第1信号処理として前記第1信号に含まれるノイズを低減する
相関二重サンプリング処理を行う撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とに光を射出する光学系の焦点検出に用いられる信号であって
、前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷に基づく第3信号を前記第1信号線に出力する撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部に入射する光の一部を遮る遮光部を備える撮像素子。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第3信号に対する第2信号処理に用いられる信号であって前記第1排出部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている
期間を含む、前記第1排出部の前記第1トランジスタがオン状態のときの前記第1フローティングディフュージョンの電荷に基づく第4信号を前記第1信号線に出力し、
前記第1
信号処理部は、前記第1信号線に出力された前記第3信号
からデジタル信号に変換された第3デジタル信号と、前記第1信号線に出力された前記第4信号
からデジタル信号に変換された第4デジタル信号とを用いて前記第2信号処理を行う撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第1排出部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている期間が終了する前に、前記第1信号線への前記第4信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第2転送部と
を備え、
前記第1排出部は、前記第2転送部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1フローティングディフュージョンの電荷の排出を終了
し、
前記第1出力部は、前記第2転送部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1信号線への前記第4信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1
信号処理部は、前記第2信号処理として前記第3信号に含まれるノイズを低減する
相関二重サンプリング処理を行う撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2光電変換部は、列方向において前記第1光電変換部と並んで配置される撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記第2光電変換部は、前記列方向において前記第1光電変換部の隣に配置される撮像素子。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、第1分光特性を有する第1フィルタを透過した光を電荷に変換し、
前記第2光電変換部は、前記第1分光特性を有する第2フィルタを透過した光を電荷に変換する撮像素子。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の撮像素子において、
光を電荷に変換する光電変換部であって、行方向において前記第1光電変換部と並んで配置される第3光電変換部と、
光を電荷に変換する光電変換部であって、前記行方向において前記第2光電変換部と並んで配置される第4光電変換部と、
前記第3光電変換部で変換された電荷と、前記第4光電変換部で変換された電荷とが転送される第2フローティングディフュージョンと、
前記第2フローティングディフュージョンと前記配線とを電気的に接続するための第2トランジスタを有し、前記第2フローティングディフュージョンに転送された電荷を排出する第2排出部と、
前記第4光電変換部から前記第2フローティングディフュージョンに転送された電荷に基づく第5信号と、前記第5信号に対する第3信号処理に用いられる信号であって
、前記第2排出部により前記第3光電変換部から前記第2フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている
期間を含む、前記第2排出部の前記第2トランジスタがオン状態のときの前記第2フローティングディフュージョンの電荷に基づく第6信号とを第2信号線に出力する第2出力部と、
前記第2信号線に出力された前記第5信号
からデジタル信号に変換された第5デジタル信号と、前記第2信号線に出力された前記第6信号
からデジタル信号に変換された第6デジタル信号とを用いて前記第3信号処理を行う第2
信号処理部と
を備える撮像素子。
【請求項15】
光を電荷に変換する第1光電変換部と、
光を電荷に変換する第2光電変換部と、
前記第1光電変換部で変換された電荷と、前記第2光電変換部で変換された電荷とが転送される第1フローティングディフュージョンと、
前記第1フローティングディフュージョンと、所定電圧が供給される配線とを電気的に接続するための第1トランジスタを有し、前記第1フローティングディフュージョンの電荷を排出する第1排出部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷が転送されたときの前記第1フローティングディフュージョンの電圧に基づく第1信号と、前記第1信号に対する第1信号処理に用いられる信号であって
、前記第1排出部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されているときの
期間を含む、前記第1排出部の前記第1トランジスタがオン状態のときの前記第1フローティングディフュージョンの電圧に基づく第2信号とを第1信号線に出力する第1出力部と、
前記第1信号線に出力された前記第1信号
からデジタル信号に変換された第1デジタル信号と、前記第1信号線に出力された前記第2信号
からデジタル信号に変換された第2デジタル信号とを用いて前記第1信号処理を行う第1
信号処理部と
を備える撮像素子。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第1排出部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている期間が終了する前に、前記第1信号線への前記第2信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第2転送部と
を備え、
前記第1排出部は、前記第1転送部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了
した後に、前記第1フローティングディフュージョンの電荷の排出を終了し、
前記第1出力部は、前記第1転送部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1信号線への前記第2信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項18】
請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1
信号処理部は、前記第1信号処理として前記第1信号に含まれるノイズを低減する
相関二重サンプリング処理を行う撮像素子。
【請求項19】
請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とに光を射出する光学系の焦点検出に用いられる信号であって前記第1光電変換部で変換された電荷が転送された前記第1フローティングディフュージョンの電圧に基づく第3信号を前記第1信号線に出力する撮像素子。
【請求項20】
請求項19に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部に入射する光の一部を遮る遮光部を備える撮像素子。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第3信号に対する第2信号処理に用いられる信号であって前記第1排出部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている
期間を含む、前記第1排出部の前記第1トランジスタがオン状態のときの前記第1フローティングディフュージョンの電圧に基づく第4信号を前記第1信号線に出力し、
前記第1
信号処理部は、前記第1信号線に出力された前記第3信号
からデジタル信号に変換された第3デジタル信号と、前記第1信号線に出力された前記第4信号
からデジタル信号に変換された第4デジタル信号とを用いて前記第2信号処理を行う撮像素子。
【請求項22】
請求項21に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第1排出部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている期間が終了する前に、前記第1信号線への前記第4信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を前記第1フローティングディフュージョンに転送する第2転送部と
を備え、
前記第1排出部は、前記第2転送部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1フローティングディフュージョンの電荷の排出を終了し、
前記第1出力部は、前記第2転送部により前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに電荷が転送される期間が終了した後に、前記第1信号線への前記第4信号の出力を開始する撮像素子。
【請求項24】
請求項21から請求項23のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1
信号処理部は、前記第2信号処理として前記第3信号に含まれるノイズを低減する
相関二重サンプリング処理を行う撮像素子。
【請求項25】
請求項15から請求項24のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2光電変換部は、列方向において前記第1光電変換部と並んで配置される撮像素子。
【請求項26】
請求項25に記載の撮像素子において、
前記第2光電変換部は、前記列方向において前記第1光電変換部の隣に配置される撮像素子。
【請求項27】
請求項15から請求項26のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、第1分光特性を有する第1フィルタを透過した光を電荷に変換し、
前記第2光電変換部は、前記第1分光特性を有する第2フィルタを透過した光を電荷に変換する撮像素子。
【請求項28】
請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の撮像素子において、
光を電荷に変換する光電変換部であって、行方向において前記第1光電変換部と並んで配置される第3光電変換部と、
光を電荷に変換する光電変換部であって、行方向において前記第2光電変換部と並んで配置される第4光電変換部と、
前記第3光電変換部で変換された電荷と、前記第4光電変換部で変換された電荷とが転送される第2フローティングディフュージョンと、
前記第2フローティングディフュージョンと、前記配線とを電気的に接続するための第2トランジスタを有し、前記第2フローティングディフュージョンの電荷を排出する第2排出部と、
前記第4光電変換部で変換された電荷が転送されたときの前記第2フローティングディフュージョンの電圧に基づく第5信号と、前記第5信号に対する第3信号処理に用いられる信号であって
、前記第2排出部により前記第
3光電変換部から前記第2フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている
期間を含む、前記第2排出部の前記第2トランジスタがオン状態のときの前記第2フローティングディフュージョンの電圧に基づく第6信号とを第2信号線に出力する第2出力部と、
前記第2信号線に出力された前記第5信号
からデジタル信号に変換された第5デジタル信号と、前記第2信号線に出力された前記第6信号
からデジタル信号に変換された第6デジタル信号とを用いて前記第3信号処理を行う第2
信号処理部と
を備える撮像素子。
【請求項29】
請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から焦点検出用画素を用いた焦点検出技術が知られている。従来から焦点検出の精度向上という要求があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、光を電荷に変換する第1光電変換部と、光を電荷に変換する第2光電変換部と、前記第1光電変換部で変換された電荷と、前記第2光電変換部で変換された電荷とが転送される第1フローティングディフュージョンと、前記第1フローティングディフュージョンと、所定電圧が供給される配線とを電気的に接続するための第1トランジスタを有し、前記第1フローティングディフュージョンの電荷を排出する第1排出部と、前記第2光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷に基づく第1信号と、前記第1信号に対する第1信号処理に用いられる信号であって前記第1排出部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されている期間を含む、前記第1排出部の前記第1トランジスタがオン状態のときの前記第1フローティングディフュージョンの電荷に基づく第2信号とを第1信号線に出力する第1出力部と、前記第1信号線に出力された前記第1信号からデジタル信号に変換された第1デジタル信号と、前記第1信号線に出力された前記第2信号からデジタル信号に変換された第2デジタル信号とを用いて前記第1信号処理を行う第1信号処理部とを備える。
第2の態様によると、撮像素子は、光を電荷に変換する第1光電変換部と、光を電荷に変換する第2光電変換部と、前記第1光電変換部で変換された電荷と、前記第2光電変換部で変換された電荷とが転送される第1フローティングディフュージョンと、前記第1フローティングディフュージョンと、所定電圧が供給される配線とを電気的に接続するための第1トランジスタを有し、前記第1フローティングディフュージョンの電荷を排出する第1排出部と、前記第2光電変換部で変換された電荷が転送されたときの前記第1フローティングディフュージョンの電圧に基づく第1信号と、前記第1信号に対する第1信号処理に用いられる信号であって、前記第1排出部により前記第1光電変換部から前記第1フローティングディフュージョンに転送された電荷が排出されているときの期間を含む、前記第1排出部の前記第1トランジスタがオン状態のときの前記第1フローティングディフュージョンの電圧に基づく第2信号とを第1信号線に出力する第1出力部と、前記第1信号線に出力された前記第1信号からデジタル信号に変換された第1デジタル信号と、前記第1信号線に出力された前記第2信号からデジタル信号に変換された第2デジタル信号とを用いて前記第1信号処理を行う第1信号処理部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図8】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図9】変形例に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例であるカメラ1の構成例を示す図である。カメラ1は、撮影光学系(結像光学系)2、撮像素子3、制御部4、メモリ5、表示部6、及び操作部7を備える。撮影光学系2は、焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)を含む複数のレンズ及び開口絞りを有し、撮像素子3に被写体像を結像する。なお、撮影光学系2は、カメラ1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
撮像素子3は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等の撮像素子である。撮像素子3は、撮影光学系2を通過した光束を受光し、撮影光学系2により形成される被写体像を撮像する。撮像素子3には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される。光電変換部は、フォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子3は、受光した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号を制御部4に出力する。
【0008】
撮像素子3は、撮像画素とAF画素(焦点検出画素)とを有する。撮像画素は、画像生成に用いる信号を出力する。AF画素は、焦点検出に用いる信号を出力する。後述するが、AF画素は、撮像画素の一部に置換して配置され、撮像素子3の撮像面のほぼ全面に分散して配置される。なお、以下の説明では、単に画素と称する場合は、撮像画素およびAF画素のいずれか一方または両方を指す。
【0009】
メモリ5は、メモリカード等の記録媒体である。メモリ5には、画像データ、制御プログラム等が記録される。メモリ5へのデータの書き込み、及びメモリ5からのデータの読み出しは、制御部4によって制御される。表示部6は、画像データに基づく画像、シャッター速度、絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部7は、レリーズボタン、電源スイッチ、各種モードを切り替えるためのスイッチ等の各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に基づく信号を制御部4へ出力する。
【0010】
制御部4は、CPU、FPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROM、RAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいてカメラ1の各部を制御する。制御部4は、撮像制御部4aと、画像データ生成部4bと、焦点検出部4cとを有する。
【0011】
撮像制御部4aは、撮像素子3を制御する信号を撮像素子3に供給して、撮像素子3の動作を制御する。撮像制御部4aは、表示部6に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示する場合や、動画撮影を行う場合に、撮像素子3に所定周期のフレーム毎に繰り返し被写体像を撮像させて信号を出力させる。撮像制御部4aは、撮像素子3の画素を行単位で順次選択して、選択した画素から信号を読み出す、いわゆるローリングシャッタ方式の読み出し制御を行う。
【0012】
撮像制御部4aは、撮像素子3を制御して、AF画素が配置された画素の行(以下、AF画素行と称する)からの信号の読み出しと、AF画素が配置されていない画素の行(以下、撮像画素行と称する)からの信号の読み出しとを分けて行う処理を行う。また、撮像制御部4aは、AF画素行の信号読み出しと撮像画素行の信号読み出しとを分けて行わずに、画素行を順次選択して、各画素の信号を読み出す処理も行う。
【0013】
撮像制御部4aは、例えば、表示部6にスルー画像を表示する場合や動画撮影を行う場合に、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う。また、撮像制御部4aは、高解像度の静止画撮影を行う場合には、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行わずに、画素行を順次選択して信号を読み出す処理を行う。
【0014】
画像データ生成部4bは、撮像素子3の撮像画素から出力される信号に各種の画像処理を行って、画像データ(静止画像データ、動画像データ)を生成する。画像処理には、階調変換処理、色補間処理等の画像処理が含まれる。なお、画像データ生成部4bは、AF画素から出力される信号も用いて、画像データを生成するようにしてもよい。
【0015】
焦点検出部4cは、撮影光学系2の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。焦点検出部4cは、撮影光学系2による像が撮像素子3の撮像面上に合焦(結像)するためのフォーカスレンズの合焦位置(合焦位置までのフォーカスレンズの移動量)を検出する。焦点検出部4cは、撮像素子3の一対のAF画素(AF画素対)から出力される第1及び第2の信号を用いて、位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。
【0016】
焦点検出部4cは、撮影光学系2の射出瞳の第1の領域を通過した第1の光束による像を撮像して生成した第1の信号と第2の領域を通過した第2の光束による像を撮像して生成した第2の信号とを相関演算して、像ズレ量を算出する。焦点検出部4cは、この像ズレ量を所定の換算式に基づきデフォーカス量に換算する。焦点検出部4cは、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までのフォーカスレンズの移動量を算出する。移動量に応じてフォーカスレンズが駆動されることにより、焦点調節が自動で行われる。このように、制御部4は、撮影光学系2による被写体の像が撮像素子3に合焦するようフォーカスレンズの位置を制御する。
【0017】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。撮像素子3は、画素が二次元状(行方向及び列方向)に設けられた画素部(画素領域)100と、供給部30と、読み出し制御部40と、複数の処理部50(処理部50a~処理部50h)とを有する。撮像素子3の画素部100には、複数の撮像画素10及びAF画素13(13a、13b)が配置される。
図2においては、左上隅の画素を第1行第1列の撮像画素10(1,1)とし、右下隅の画素を第16行第8列の撮像画素10(16,8)として、16行8列の計128個の画素を図示している。なお、撮像素子3に配置される画素の数及び配置は、図示した例に限られない。
【0018】
撮像画素10には、赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタ(色フィルタ)41のいずれかが設けられる。撮像画素10には、入射した光のうち第1の波長域の光(赤(R)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41を有する画素(以下、R画素と称する)と、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41を有する画素(以下、G画素と称する)と、入射した光のうち第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41を有する画素(以下、B画素と称する)とが含まれる。R画素10と、G画素10と、B画素10とは、ベイヤー配列に従って配置されている。
【0019】
第1のAF画素13a及び第2のAF画素13bは、上述のようにベイヤー配列されたR、G、Bの撮像画素10の一部に置換して配置される。
図2に示す例では、第1のAF画素13a及び第2のAF画素13bには、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41が配置される。なお、第1及び第2のAF画素13a、13bの各々が有するカラーフィルタは、第1の波長域の光(赤(R)の光)または第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタであってもよい。また、第1及び第2のAF画素13a、13bは、入射した光のうち第1及び第2及び第3の波長域の光を分光する分光特性を有するフィルタを有していてもよい。あるいは、第1及び第2のAF画素13a、13bには、カラーフィルタを配置しなくてもよい。
【0020】
第1のAF画素13a及び第2のAF画素13bは、それぞれ、光電変換部に入射する光の一部を遮光する遮光部43を有する。第1のAF画素13aと第2のAF画素13bとは、その遮光部43の位置が異なる。第1のAF画素13a及び第2のAF画素13bの各々の遮光部43は、撮影光学系2の射出瞳の互いに異なる領域を通過した光が光電変換部に入射するように配置される。これにより、第1のAF画素13aの光電変換部は、撮影光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域のうちの第1の領域を通過した光束を受光する。第2のAF画素13bの光電変換部は、撮影光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域のうちの第2の領域を通過した光束を受光する。
【0021】
撮像素子3は、
図2に示すように、G画素10とB画素10とが左右方向、即ち行方向に交互に配置される画素群(第1の撮像画素行)401と、R画素10とG画素10とが行方向に交互に配置される画素群(第2の撮像画素行)402とを有する。また、撮像素子3は、G画素10と第1のAF画素13aとが行方向に交互に配置される画素群(第1のAF画素行)403aと、G画素10と第2のAF画素13bとが行方向に交互に配置される画素群(第2のAF画素行)403bとを有する。第1の撮像画素行401、第2の撮像画素行402、第1のAF画素行403a、及び第2のAF画素行403bは、それぞれ、上下方向、即ち列方向に複数配置される。
【0022】
撮像素子3では、水平方向(行方向)に配置された複数の画素10毎に、垂直信号線25が設けられる。垂直方向(列方向)に並んだ複数の画素の列である画素列に対して、垂直信号線25が設けられるともいえる。複数の垂直信号線25(
図2では垂直信号線25a~垂直信号線25h)の各々に対して、後述する電流源と処理部50が設けられる。
【0023】
供給部30は、カメラ1の撮像制御部4aによって制御され、各画素に所定の電圧(電位)を供給する。後述するが、供給部30は、供給部35(
図3参照)を介して、撮像画素10及びAF画素13に電源電圧VDDを供給する。
【0024】
読み出し制御部40は、タイミングジェネレータを含む複数の回路により構成される。読み出し制御部40は、撮像制御部4aによって制御され、後述する信号TX、信号RST、信号SELなどの信号を各画素に供給して、各画素の動作を制御する。読み出し制御部40は、画素の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態(接続状態、導通状態、短絡状態)又はオフ状態(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)とする。各画素の信号は、その画素に接続された垂直信号線25に出力される。
【0025】
処理部50は、アナログ/デジタル変換部(AD変換部)を含んで構成される。処理部50は、各画素から垂直信号線25を介して入力されるアナログ信号である画素の信号を、デジタル信号に変換する。なお、処理部50は、垂直信号線25を介して入力される画素の信号を所定のゲイン(増幅率)で増幅するアンプ部を有していてもよい。この場合、処理部50は、アンプ部により増幅された画素の信号をデジタル信号に変換するようにしてもよい。
【0026】
処理部50は、デジタル信号に変換された画素の信号を、不図示の信号処理部に出力する。信号処理部は、入力された画素の信号に対して、相関二重サンプリング、信号量を補正する処理等の信号処理を行った後に、処理後の信号を制御部4に出力する。
【0027】
図3は、第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。各画素(AF画素13、撮像画素10)は、それぞれ光電変換部11と接続部12とを含んで構成される。列方向で隣り合う2つの画素のうち、一方の画素(AF画素13)は、光電変換部11aと接続部12aを有し、他方の画素(撮像画素10)は、光電変換部11bと接続部12bを有する。光電変換部11(11a、11b)は、フォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。
【0028】
撮像素子3は、
図3において破線20で示すように、隣り合う2つの画素がフローティングディフュージョン(FD)14と、接続部15と、増幅部16と、選択部17とを共有する構成となる。なお、本実施の形態にあっては、隣り合う2つの撮像画素10の回路構成は、
図3に示すAF画素13及び撮像画素10の回路構成とそれぞれ同一である。
図3に示す例では、接続部12a、接続部12b、及び接続部15は、それぞれ、接続および切断を切り替える切替部(スイッチ部)であるともいえる。
【0029】
供給部35は、撮像素子3のうち、電源電圧VDDを接続部15及び増幅部16に供給(印加)する部分(配線、電極等)である。供給部35は、供給部30(
図2参照)から電源電圧VDDが与えられる。なお、供給部35を供給部30の一部としてもよい。
【0030】
接続部12aは、信号TX1により制御されるトランジスタM1aから構成され、光電変換部11aとFD14とを電気的に接続又は切断する。接続部12aは、転送部12aであり、光電変換部11aで光電変換された電荷をFD14に転送する。
【0031】
接続部12bは、信号TX2により制御されるトランジスタM1bから構成され、光電変換部11bとFD14とを電気的に接続又は切断する。接続部12bは、転送部12bであり、光電変換部11bで光電変換された電荷をFD14に転送する。トランジスタM1a、M1bは、それぞれ転送トランジスタである。FD14の容量Cは、FD14に転送された電荷を蓄積(保持)して、容量値で除算した電圧に変換する。FD14は、蓄積部14であり、光電変換部11で生成された電荷を蓄積する。
【0032】
増幅部16は、ゲート(端子)がFD14に接続されるトランジスタM3から構成され、FD14の容量Cに蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。トランジスタM3のドレイン(端子)及びソース(端子)は、それぞれ、電源電圧VDDを供給する供給部35、選択部17に接続される。増幅部16は、電流源26を負荷電流源として、ソースフォロワ回路の一部として機能する。トランジスタM3は、増幅トランジスタである。増幅部16と選択部17とは、光電変換部11により生成された電荷に基づく信号を生成し出力する出力部を構成する。
【0033】
接続部15は、信号RSTにより制御されるトランジスタM2から構成され、供給部35とFD14とを電気的に接続又は切断する。接続部15は、供給部35とFD14とを接続することによって、FD14により蓄積された電荷を供給部35に排出する。接続部15は、排出部(リセット部)15であり、FD14に蓄積された電荷を排出し、FD14の電圧をリセットする。トランジスタM2は、リセットトランジスタである。
【0034】
選択部17は、信号SELにより制御されるトランジスタM4から構成され、増幅部16と垂直信号線25とを電気的に接続又は切断する。選択部17のトランジスタM4は、オン状態の場合に、増幅部16からの信号を垂直信号線25に出力する。トランジスタM4は、選択トランジスタである。
【0035】
電流源26は、垂直信号線25を介して各画素に接続される。電流源26は、画素から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を垂直信号線25と各画素の増幅部16及び選択部17とに供給する。
【0036】
撮像素子3では、画素の光電変換部11に蓄積された電荷の排出(リセット動作)と、画素から信号を読み出す動作(読み出し動作)とが行われる。
図3に示すAF画素13に対するリセット動作では、転送部12aとFD14と接続部15を介して、光電変換部11aに蓄積された電荷が供給部35に排出される。撮像画素10に対するリセット動作では、転送部12bとFD14と接続部15を介して、光電変換部11bに蓄積された電荷が供給部35に排出される。
【0037】
本実施の形態では、撮像制御部4aは、ローリングシャッタ方式の読み出し制御を行う。撮像素子3の撮像画素行およびAF画素行は、読み出し制御部40によって順次選択される。撮像素子3では、リセット動作と読み出し動作とが、例えば最上行から最下行に向かって行毎に走査しながら行われる。撮像制御部4aは、読み出し制御部40を制御して、全ての画素行を順次選択して各画素の信号を読み出す第1の読み出し処理と、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う第2の読み出し処理とを行う。
【0038】
図4は、第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示す図であり、第1の読み出し処理を行って画素の信号を読み出す場合の動作例を示している。縦軸は、画素行を示し、横軸は、各画素行のリセット動作及び読み出し動作が行われるタイミング(時刻t)を示す。
図4では、リセット動作及び読み出し動作が行われる画素行の遷移を模式的に示している。
【0039】
読み出し制御部40は、撮像制御部4aにより第1の読み出し処理が指示された場合、
図4に示すように、画素行を順次選択して各画素から信号を出力させる。
図2に示す例の場合、読み出し制御部40は、第1行目から第16行目に向かって、画素行を順次選択する。読み出し制御部40は、選択した画素行の各画素から信号を垂直信号線25に出力させる。以下に、第1の読み出し処理の場合の信号の読み出し方法の一例について説明する。
【0040】
読み出し制御部40は、第1行目の第1の撮像画素行401の画素であるG画素10(1,1)~B画素10(1,8)の転送部12aをオン状態とする。また、読み出し制御部40は、第1行目以外の他の行の画素の転送部12(転送部12a、転送部12b)をオフ状態とする。これにより、第1行目のG画素10(1,1)~B画素10(1,8)において、それぞれの光電変換部11aで光電変換された電荷がFD14に転送される。第1行目のG画素10(1,1)~B画素10(1,8)の各々の信号は、各々の画素の選択部17を介して、それぞれ垂直信号線25a~垂直信号線25hに出力される。
【0041】
読み出し制御部40は、第2行目の第2の撮像画素行402の画素であるR画素10(2,1)~G画素10(2,8)の転送部12bをオン状態とし、第2行目以外の他の行の画素の転送部12(転送部12a、転送部12b)をオフ状態とする。これにより、第2行目のR画素10(2,1)~G画素10(2,8)において、それぞれの光電変換部11bで光電変換された電荷がFD14に転送される。第2行目のR画素10(2,1)~G画素10(2,8)の各々の信号は、各々の画素の選択部17を介して、それぞれ垂直信号線25a~垂直信号線25hに出力される。
【0042】
読み出し制御部40は、第3行目の第1のAF画素行403aの画素であるG画素10(3,1)~第1のAF画素13a(3,8)の転送部12aをオン状態とし、第3行目以外の他の行の画素の転送部12(転送部12a、転送部12b)をオフ状態とする。第3行目のG画素10(3,1)~第1のAF画素13a(3,8)において、それぞれの光電変換部11aで光電変換された電荷がFD14に転送される。第3行目のG画素10(3,1)~第1のAF画素13a(3,8)の各々の信号は、各々の画素の選択部17を介して、それぞれ垂直信号線25a~垂直信号線25hに出力される。また、同様に、読み出し制御部40は、第4行目以降の画素を、第4行、第5行、第6行、第7行の順に1行ずつ順次選択し、選択した各画素から信号を読み出す。
【0043】
このように、第1の読み出し処理では、読み出し制御部40は、全ての画素行を順次選択し、各画素から信号を読み出す。垂直信号線25a~垂直信号線25hにそれぞれ出力される画素の信号は、それぞれ処理部50a~処理部50hによって信号処理が施された後に、制御部4に出力される。
【0044】
次に、撮像画素行の撮像画素10の信号を読み出す場合を例にして、上述した読み出し動作について更に説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る撮像素子の画素の読み出し動作の一例を示す図である。
図5に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、撮像素子3の画素に入力される制御信号を示している。
図5において、ハイレベル(例えば電源電圧VDD)の制御信号(信号SEL、信号RST、信号TX)が入力されるトランジスタはオン状態となり、ローレベル(例えば接地電圧)の制御信号が入力されるトランジスタはオフ状態となる。なお、
図5に示す時刻t1以前において、
図4に示したように読み出し動作の前のリセット動作が行われ、読み出し対象となる撮像画素行の各画素の光電変換部11に蓄積された電荷がリセットされる。
【0045】
図5に示す時刻t1では、信号RSTがハイレベルになる。信号RSTがハイレベルになることで、読み出し対象となる撮像画素行の撮像画素10とその撮像画素行の隣のAF画素行のAF画素13とで共有される接続部15のトランジスタM2がオン状態になる。接続部15がオン状態となることで、FD14と供給部35とが電気的に接続される。これにより、AF画素13及び撮像画素10で共有されるFD14の電荷がリセットされ、FD14の電圧がリセット電圧になる。
【0046】
また、時刻t1において、信号SELがハイレベルになる。信号SELがハイレベルになることで、AF画素13及び撮像画素10で共有される選択部17のトランジスタM4がオン状態になる。これにより、撮像画素10のリセット電圧に基づく信号、即ち撮像画素10のFD14の電荷をリセットした後の信号が、増幅部16及び選択部17により垂直信号線25に出力される。撮像画素10のリセット電圧に基づく信号は、ダーク信号として、垂直信号線25を介して処理部50に入力される。ダーク信号は、リセット電圧に基づくアナログ信号であり、処理部50によってデジタル信号に変換される。
【0047】
時刻t2では、信号TX2がハイレベルになる。信号TX2がハイレベルになることで、撮像画素10において、転送部12bのトランジスタM1bがオン状態になり、光電変換部11bとFD14とが電気的に接続される。これにより、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD14に転送される。また、信号SELがハイレベルであるため、FD14に転送された電荷に応じた信号、即ち撮像画素10の光電変換部11bで生成された電荷に基づく信号(画素信号)が、増幅部16及び選択部17によって垂直信号線25に出力される。撮像画素10の画素信号は、垂直信号線25を介して処理部50に入力される。画素信号は、光電変換部11によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号であり、処理部50によってデジタル信号に変換される。時刻t3では、信号SELがローレベルになり、選択部17のトランジスタM4がオフ状態になる。
【0048】
処理部50は、デジタル信号に変換されたダーク信号と画素信号とを用いて相関二重サンプリング等の信号処理を行う。撮像画素10の画素信号は、相関二重サンプリング等の信号処理が処理部50によって施された後に、カメラ1の制御部4に出力される。なお、第1のAF画素13aの画素信号及び第2のAF画素13bの画素信号は、処理部50による信号処理が施された後に、一対の信号(第1及び第2の信号)として制御部4に出力される。
【0049】
図6は、第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示す図であり、第2の読み出し処理を行って画素の信号を読み出す場合の動作例を示している。縦軸は、画素行を示し、横軸は、各画素行のリセット動作及び読み出し動作が行われるタイミング(時刻t)を示す。
図6では、リセット動作及び読み出し動作が行われる画素行の遷移を模式的に示している。
【0050】
読み出し制御部40は、撮像制御部4aにより第2の読み出し処理が指示された場合、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う。読み出し制御部40は、
図6に示すように、撮像画素行のリセット動作及び読み出し動作を行うと共に、AF画素行のリセット動作及び読み出し動作を行う。
【0051】
AF画素行(第1のAF画素行403a、第2のAF画素行403b)から信号の読み出しを行う場合、読み出し制御部40は、撮像素子3の複数のAF画素行を最上行から最下行に向かって順次選択して、各画素の信号を読み出す。撮像画素行(第1の撮像画素行401、第2の撮像画素行402)から信号の読み出しを行う場合、読み出し制御部40は、撮像素子3の複数の撮像画素行を最上行から最下行に向かって順次選択して、各画素の信号を読み出す。なお、本実施の形態では、
図2に模式的に示すように、AF画素行の数は撮像画素行の数よりも少ない。
図6に示す例では、リセット動作及び読み出し動作が行われるAF画素行の総数が、リセット動作及び読み出し動作が行われる撮像画素行の総数よりも少なく、撮像画素行の場合よりもAF画素行の場合の方が、走査に要する時間が短くなっている。
【0052】
このように、第2の読み出し処理では、AF画素行の各画素の信号が撮像画素行の各画素の信号とは別に読み出されるため、焦点検出に用いる信号を効率的に得ることができ、AFのための信号処理の負担を軽減することができる。なお、読み出し制御部40は、第2の読み出し処理が指示された場合に、撮像画素行よりも先にAF画素行の各画素から信号を読み出すようにしてもよい。この場合、AF画素対の第1及び第2の信号を高速に読み出すことができ、焦点調節に要する時間を短縮することができる。また、読み出し制御部40は、AF画素行よりも先に撮像画素行の各画素から信号を読み出すようにしてもよい。
【0053】
図6に示す例では、点線で示した枠G1内において、撮像画素行の読み出し動作が行われるタイミングと、その撮像画素行の隣のAF画素行のリセット動作が行われるタイミングとが同時になる場合が生じている。また、点線の枠G2内においては、AF画素行の読み出し動作が行われるタイミングと、そのAF画素行の隣の撮像画素行のリセット動作が行われるタイミングとが同時になる場合が生じている。
【0054】
点線の枠G1内の期間において、読み出し制御部40は、リセット電圧に基づく信号(ダーク信号)の読み出しのために、読み出し対象となる撮像画素行の各画素の接続部15をオン状態とする。読み出し対象の撮像画素行の各画素において、撮像画素行の画素とその撮像画素行の隣のAF画素行の画素とで共有される接続部15がオン状態となる。接続部15がオン状態になることで、FD14と供給部35とが電気的に接続される。これにより、撮像画素行の各画素において、FD14の電荷が供給部35に排出される。
【0055】
読み出し制御部40は、ダーク信号の読み出しのために撮像画素行の各画素の接続部15がオン状態である間に、その撮像画素行の隣のAF画素行の各画素の転送部12をオン状態とする。AF画素行の画素の転送部12と接続部15とが共にオン状態になることで、AF画素行の画素の光電変換部11とFD14と供給部35とが電気的に接続される。これにより、AF画素行の各画素において、光電変換部11の電荷が供給部35に排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。このように、撮像画素行の読み出し動作に並行して、その撮像画素行の隣のAF画素行の各画素の光電変換部11の電荷を排出するリセット動作が行われる。
【0056】
AF画素行の各画素において光電変換部11の電荷の排出が行われた後、読み出し制御部40は、AF画素行の各画素の転送部12をオフ状態とする。読み出し対象の撮像画素行の画素とAF画素行の画素とで共有される接続部15はオン状態であるため、FD14の電圧はリセットされた状態である。読み出し対象の撮像画素行の画素とAF画素行の画素とで共有される選択部17がオン状態の場合、撮像画素行の各画素のリセット電圧に基づくダーク信号は、各々の画素の選択部17を介して、その画素に接続された垂直信号線25に出力される。
【0057】
撮像画素行の各画素のダーク信号の読み出しが行われた後、読み出し制御部40は、撮像画素行の各画素の転送部12をオン状態とする。撮像画素行の各画素において、それぞれの光電変換部11で光電変換された電荷がFD14に転送される。撮像画素行の各画素の画素信号は、各々の画素の選択部17を介して、その画素に接続された垂直信号線25に出力される。
【0058】
上述のように、読み出し制御部40は、ダーク信号の読み出しのために接続部15がオン状態となる期間内に、AF画素行の画素の転送部12をオン状態として、転送部12及び接続部15によってAF画素行の画素の光電変換部11と供給部35とを接続させる。これにより、AF画素行の各画素において、光電変換部11に蓄積された電荷が供給部35に排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。このように、本実施の形態に係る撮像素子3は、撮像画素行の読み出し動作が行われる期間においても、その撮像画素行の隣のAF画素行に対するリセット動作を行うことができる。
【0059】
点線の枠G2内の期間では、読み出し制御部40は、ダーク信号の読み出しのために、読み出し対象となるAF画素行の各画素の接続部15をオン状態とする。読み出し対象のAF画素行の各画素において、AF画素行の画素とそのAF画素行の隣の撮像画素行の画素とで共有される接続部15がオン状態となる。これにより、AF画素行の各画素において、FD14の電荷が供給部35に排出される。
【0060】
読み出し制御部40は、ダーク信号の読み出しのためにAF画素行の各画素の接続部15がオン状態である間に、そのAF画素行の隣の撮像画素行の各画素の転送部12をオン状態とする。撮像画素行の画素の転送部12と接続部15とが共にオン状態になることで、撮像画素行の画素の光電変換部11とFD14と供給部35とが電気的に接続される。これにより、撮像画素行の各画素において、光電変換部11の電荷が供給部35に排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。このように、AF画素行の読み出し動作に並行して、そのAF画素行の隣の撮像画素行の各画素の光電変換部11の電荷を排出するリセット動作が行われる。
【0061】
撮像画素行の各画素において光電変換部11の電荷の排出が行われた後、読み出し制御部40は、撮像画素行の各画素の転送部12をオフ状態とする。読み出し対象のAF画素行の画素と撮像画素行の画素とで共有される接続部15はオン状態であるため、FD14の電圧はリセットされた状態である。読み出し対象のAF画素行の画素と撮像画素行の画素とで共有される選択部17がオン状態の場合、AF画素行の各画素のダーク信号は、各々の画素の選択部17を介して、その画素に接続された垂直信号線25に出力される。
【0062】
AF画素行の各画素のダーク信号の読み出しが行われた後、読み出し制御部40は、AF画素行の各画素の転送部12をオン状態とする。AF画素行の各画素において、それぞれの光電変換部11で光電変換された電荷がFD14に転送される。AF画素行の各画素の画素信号は、各々の画素の選択部17を介して、その画素に接続された垂直信号線25に出力される。
【0063】
上述のように、読み出し制御部40は、ダーク信号の読み出しのために接続部15がオン状態となる期間内に、撮像画素行の画素の転送部12をオン状態として、転送部12及び接続部15によって撮像画素行の画素の光電変換部11と供給部35とを接続させる。これにより、撮像画素行の各画素において、光電変換部11に蓄積された電荷が供給部35に排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。このように、本実施の形態に係る撮像素子3は、AF画素行の読み出し動作が行われる期間においても、そのAF画素行の隣の撮像画素行に対するリセット動作を行うことができる。
【0064】
光電変換部11a(又は11b)に蓄積された電荷の排出を行う場合、転送部12a(又は12b)とFD14と接続部15を介して、光電変換部11a(又は11b)に蓄積された電荷を供給部35に排出する必要がある。また、画素の信号の読み出しを行う場合、転送部12b(又は12a)を介して、光電変換部11b(又は11a)で光電変換された電荷がFD14に転送される。このため、FD14を共有する隣り合う2つの画素のうちの一方の画素のリセット動作と他方の画素の読み出し動作とを同時に行おうとすると、光電変換部11a、11bの各々で生成された電荷が混合されてしまったり、読み出し対象となる画素の光電変換部11からFD14に転送された電荷が供給部35に排出されてしまったりするおそれがある。読み出し動作とリセット動作との衝突が生じるともいえる。この場合、読み出し対象となる画素の光電変換部11で光電変換された電荷に応じた信号を適切に読み出すことができなくなる。
【0065】
しかし、本実施の形態では、読み出し制御部40は、隣り合う2つの画素のうち一方の画素のダーク信号の読み出しのために接続部15をオン状態としている間に、他方の画素の転送部12をオン状態として、他方の画素の光電変換部11に蓄積された電荷の排出を行う。このため、隣り合う2つの画素の転送部12a及び転送部12bが共にオン状態となって、読み出し対象の画素の光電変換部11で生成された電荷に影響を与えることを防ぐことができる。
【0066】
また、他方の画素の光電変換部11に蓄積された電荷の排出が行われた後、読み出し制御部40は、他方の画素の転送部12をオフ状態とした後に接続部15をオフ状態とする。この場合、他方の画素の光電変換部11とFD14とが電気的に切断された後に、FD14と供給部35とが電気的に切断される。これにより、他方の画素の転送部12及び接続部15のオン状態からオフ状態への切り替えに起因して生じるフィードスルーのFD14への影響を低減することが可能となる。転送部12に入力される信号TXの信号レベルの変化の影響を受けてFD14の電圧が変動することを抑制し、ダーク信号へのノイズの混入を抑制することができる。なお、読み出し制御部40は、必ずしも他方の画素の転送部12をオフ状態とした後に接続部15をオフ状態とする必要はなく、他方の画素の転送部12と接続部15とを同時にオフ状態としてもよい。
【0067】
このように、本実施の形態では、FD14を共有する構成となる隣り合う画素のうち、一方の画素の読み出し動作が行われるタイミングと他方の画素のリセット動作が行われるタイミングとが同時となっても、画素の信号の品質が低下することを抑制することが可能となる。撮像素子3は、読み出し動作とリセット動作との衝突を回避することができ、読み出し対象となる画素の光電変換部11で光電変換された電荷に応じた信号を適切に読み出すことができる。
【0068】
撮像素子3は、隣り合う2つの画素のうち一方の画素の信号の読み出しのためのFD14の電荷の排出と、他方の画素の光電変換部11に蓄積された電荷の排出とを、同時に(並列に)行うことができる。このため、撮像素子3は、一方の画素の信号の読み出しと他方の画素の電荷の排出とを別々の期間で行う場合と比較して、画素の信号の読み出し及び画素の電荷の排出に要する時間を短縮することができる。撮影のフレームレートが低下することを防ぐことができる。
【0069】
図7は、
図6の点線枠G1内の期間における撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
図7は、読み出し対象となる撮像画素行の各画素と、その撮像画素行の隣のAF画素行の各画素とに入力される制御信号を示している。
図7に示すタイミングチャートにおいて、縦軸は信号の電圧レベルを示し、横軸は時刻を示している。
図7において、ハイレベル(例えば電源電圧VDD)の制御信号(信号SEL、信号RST、信号TX)が入力されるトランジスタはオン状態となり、ローレベル(例えば接地電圧)の制御信号が入力されるトランジスタはオフ状態となる。以下では、
図3に示すAF画素行のAF画素13と撮像画素行の撮像画素10を例にして、
図6の点線枠G1内の期間における撮像素子3の動作例について説明する。
【0070】
図7に示す時刻t10では、信号RSTがハイレベルであるため、読み出し対象となる撮像画素行の撮像画素10とその撮像画素行の隣のAF画素行のAF画素13とで共有される接続部15のトランジスタM2がオン状態である。時刻t11では、信号TX1がハイレベルになることで、転送部12aのトランジスタM1aがオン状態になる。信号RST及び信号TX1が共にハイレベルであるため、供給部35とFD14と光電変換部11aとが電気的に接続される。これにより、AF画素13の光電変換部11aの電荷が排出され、光電変換部11aの電圧がリセットされる。
【0071】
時刻t12において、信号TX1がローレベルになることで、転送部12aのトランジスタM1aがオフ状態になる。信号RSTがハイレベルであるため、撮像画素10及びAF画素13で共有されるFD14の電荷はリセットされる。
【0072】
時刻t13では、信号SELがハイレベルになる。信号SELがハイレベルになることで、撮像画素10及びAF画素13で共有される選択部17のトランジスタM4がオン状態になる。撮像画素10のリセット電圧に基づく信号、即ち撮像画素10のFD14の電荷をリセットした後の信号(ダーク信号)は、増幅部16及び選択部17により垂直信号線25に出力される。撮像画素10のダーク信号は、垂直信号線25を介して処理部50に入力され、デジタル信号に変換される。
【0073】
時刻t14において、信号TX2がハイレベルになる。信号TX2がハイレベルになることで、撮像画素10において、転送部12bのトランジスタM1bがオン状態になり、光電変換部11bとFD14とが電気的に接続される。これにより、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD14に転送される。また、信号SELがハイレベルであるため、撮像画素10の光電変換部11bで生成された電荷に基づく画素信号が、増幅部16及び選択部17によって垂直信号線25に出力される。撮像画素10の画素信号は、垂直信号線25を介して処理部50に入力され、デジタル信号に変換される。処理部50は、デジタル信号に変換されたダーク信号と画素信号とを用いて相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の信号を制御部4に出力する。
【0074】
図8は、
図6の点線枠G2内の期間における撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
図8は、読み出し対象となるAF画素行の各画素と、そのAF画素行の隣の撮像画素行の各画素とに入力される制御信号を示している。以下では、
図3に示すAF画素行のAF画素13と撮像画素行の撮像画素10を例にして、
図6の点線枠G2内の期間における撮像素子3の動作例について説明する。
【0075】
図8に示す時刻t20では、信号RSTがハイレベルであるため、読み出し対象となるAF画素行のAF画素13とそのAF画素行の隣の撮像画素行の撮像画素10とで共有される接続部15のトランジスタM2がオン状態である。時刻t21では、信号TX2がハイレベルになることで、転送部12bのトランジスタM1bがオン状態になる。信号RST及び信号TX2が共にハイレベルであるため、供給部35とFD14と光電変換部11bとが電気的に接続される。これにより、撮像画素10の光電変換部11bの電荷が排出され、光電変換部11bの電圧がリセットされる。
【0076】
時刻t22において、信号TX2がローレベルになることで、転送部12bのトランジスタM1bがオフ状態になる。信号RSTがハイレベルであるため、AF画素13及び撮像画素10で共有されるFD14の電荷はリセットされる。
【0077】
時刻t23では、信号SELがハイレベルになる。信号SELがハイレベルになることで、AF画素13及び撮像画素10で共有される選択部17のトランジスタM4がオン状態になる。AF画素13のリセット電圧に基づく信号、即ちAF画素13のFD14の電荷をリセットした後の信号(ダーク信号)は、増幅部16及び選択部17により垂直信号線25に出力される。AF画素13のダーク信号は、垂直信号線25を介して処理部50に入力され、デジタル信号に変換される。
【0078】
時刻t24において、信号TX1がハイレベルになる。信号TX1がハイレベルになることで、AF画素13において、転送部12aのトランジスタM1aがオン状態になり、光電変換部11aとFD14とが電気的に接続される。これにより、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD14に転送される。また、信号SELがハイレベルであるため、AF画素13の光電変換部11aで生成された電荷に基づく画素信号が、増幅部16及び選択部17によって垂直信号線25に出力される。AF画素13の画素信号は、垂直信号線25を介して処理部50に入力され、デジタル信号に変換される。処理部50は、デジタル信号に変換されたダーク信号と画素信号とを用いて相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の信号を制御部4に出力する。
【0079】
このように、本実施の形態では、撮像素子3は、2つの画素のうち一方の画素の信号の読み出しのためにFD14の電荷の排出を行う期間中に、他方の画素の光電変換部11に蓄積された電荷の排出を行うことができる。読み出し動作とリセット動作との衝突が生じることを防ぐことができ、読み出し動作によって読み出される画素の信号の品質が低下することを抑制することができる。画素の信号を用いた焦点検出の精度が低下することを防ぐことができる。
【0080】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部11aおよび第2光電変換部11bと、第1光電変換部11aまたは第2光電変換部11bで生成された電荷を蓄積する蓄積部14と、第1光電変換部11aで生成された電荷を蓄積部14に転送する第1転送部12aと、第2光電変換部11bで生成された電荷を蓄積部14に転送する第2転送部12bと、蓄積部14と所定の電圧を供給する供給部35とを接続可能な接続部15と、第1転送部12aにより第1光電変換部11aと蓄積部14とを接続させ、接続部15により蓄積部14と供給部35とを接続させた後に、第1転送部12aにより第1光電変換部11aと蓄積部14とを切断させ、接続部15により蓄積部14と供給部35とを切断させ、第2転送部12bにより第2光電変換部11bと蓄積部14とを接続させる第1制御を行う制御部(読み出し制御部40)と、を備える。このようにしたので、本実施の形態に係る撮像素子3は、光電変換部11aの電荷の排出とFD14の電荷の排出とを並行して行った後、光電変換部11bで生成された電荷に基づく信号の読み出しを行うことができる。読み出し動作とリセット動作との衝突を回避することができ、画素の信号の品質が低下することを抑制することができる。
【0081】
(2)制御部は、第1制御において、第1光電変換部11aと蓄積部14とを切断させた後に、蓄積部14と供給部35とを切断させる。このようにしたので、FD14へのフィードスルーの影響を低減することができる。このため、画素の信号にノイズが混入することを抑制することができる。
【0082】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0083】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。本変形例に係る撮像素子3は、
図9において破線20で示すように、隣り合う2つの画素がFD14と、接続部15と、増幅部16と、選択部17(第1の選択部17a、第2の選択部17b)とを共有する構成となる。
【0084】
第1の選択部17aは、信号SELaにより制御されるトランジスタM4aから構成され、増幅部16と第1の垂直信号線25aとを電気的に接続又は切断する。第1の選択部17aのトランジスタM4aは、オン状態の場合に、増幅部16からの信号を第1の垂直信号線25aに出力する。第2の選択部17bは、信号SELbにより制御されるトランジスタM4bから構成され、増幅部16と第2の垂直信号線25bとを電気的に接続又は切断する。第2の選択部17bのトランジスタM4bは、オン状態の場合に、増幅部16からの信号を第2の垂直信号線25bに出力する。
【0085】
第1の電流源26aは、第1の垂直信号線25aを介して各画素に接続される。第1の電流源26aは、画素から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を第1の垂直信号線25aと各画素の増幅部16及び第1の選択部17aとに供給する。第2の電流源26bは、第2の垂直信号線25bを介して各画素に接続される。第2の電流源26bは、画素から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を第2の垂直信号線25bと各画素の増幅部16及び第2の選択部17bとに供給する。
【0086】
読み出し制御部40は、第1の選択部17aをオン状態とすることにより、画素の信号を第1の垂直信号線25aに出力させることができる。読み出し制御部40は、第2の選択部17bをオン状態とすることで、画素の信号を第2の垂直信号線25bに出力させることもできる。第1の垂直信号線25a又は第2の垂直信号線25bに出力された画素の信号は、処理部50による信号処理が施された後に、カメラ1の制御部4に出力される。
【0087】
読み出し制御部40は、二つの行のうち一方の行の各画素の第1の選択部17aをオン状態とすると共に、他方の行の各画素の第2の選択部17bをオン状態とするようにしてもよい。この場合、二つの行のうち一方の行の画素の信号は第1の垂直信号線25aに出力され、他方の行の画素の信号は第2の垂直信号線25bに出力される。このため、読み出し制御部40は、2行分の画素の信号の読み出しを同時に行うことができ、2行毎に画素行を順次に選択して画素の信号を読み出すことができる。
【0088】
図9に示す例では、読み出し制御部40は、例えば、第3行目のAF画素行のリセット動作及び第4行目の撮像画素行の読み出し動作を行うと共に、第5行目の撮像画素行の読み出し動作及び第6行目の撮像画素行のリセット動作を行うようにしてもよい。読み出し制御部40は、第3行目及び第4行目の画素で共有される接続部15がオン状態である間に第3行目の画素の転送部12aをオン状態とすると共に、第5行目及び第6行目の画素で共有される接続部15がオン状態である間に第6行目の画素の転送部12bをオン状態とする。第3行目の画素の光電変換部11aの電荷が供給部35に排出され、第6行目の画素の光電変換部11bの電荷が供給部35に排出される。
【0089】
その後、読み出し制御部40は、第3行目の画素の転送部12aをオフ状態とすると共に、第6行目の画素の転送部12bをオフ状態とする。第3行目及び第4行目の画素で共有される接続部15はオン状態であるため、第3行目及び第4行目の画素で共有されるFD14の電圧はリセットされる。また、第5行目及び第6行目の画素で共有される接続部15はオン状態であるため、第5行目及び第6行目の画素で共有されるFD14の電圧はリセットされる。第4行目の画素のダーク信号は、例えば、第1の選択部17aを介して、第1の垂直信号線25aに出力される。第5行目の画素のダーク信号は、例えば、第2の選択部17bを介して、第2の垂直信号線25bに出力される。
【0090】
第4行目及び第5行目の各画素のダーク信号の読み出しが行われた後、読み出し制御部40は、第4行目の画素の転送部12bをオン状態とすると共に、第5行目の画素の転送部12aをオン状態とする。第4行目及び第5行目の各画素において、それぞれの光電変換部11で光電変換された電荷がFD14に転送される。第4行目の画素の画素信号は、第1の選択部17aを介して、第1の垂直信号線25aに出力される。第5行目の画素の画素信号は、第2の選択部17bを介して、第2の垂直信号線25bに出力される。
【0091】
(変形例2)
上述した実施の形態では、隣り合う2つの画素がFD14及び増幅部16等を共有する構成とする例について説明したが、画素の構成はこれに限らない。3つの画素、又はそれ以上の画素で、FD14等を共有する構成としても良い。例えば、4つの画素でFD14等を共有する構成としても良い。
【0092】
(変形例3)
上述した実施の形態では、光電変換部としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部として光電変換膜(有機光電膜)を用いるようにしてもよい。
【0093】
(変形例4)
上述した実施の形態では、撮像素子3に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0094】
(変形例5)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像素子及び撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0095】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1…撮像装置、3…撮像素子、4a…撮像制御部、4b…画像データ生成部、10…撮像画素、11…光電変換部、12…転送部、13…AF画素、14…蓄積部、15…接続部、25…垂直信号線、30,35…供給部、40…読み出し制御部、43…遮光部