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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-17
(45)【発行日】2025-11-26
(54)【発明の名称】物標認識装置および物標認識方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20251118BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022011376
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110134
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2024-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】玉積 英明
(72)【発明者】
【氏名】森 正憲
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-012186(JP,A)
【文献】特開2018-054470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される物標認識装置であって、
前記移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標検出部と、
記憶して保存しておく際の評価値であって前記移動体に対する前記物標の状況に応じて決まる前記評価値と対応付けて、前記物標を、処理対象の物標として、所定の上限値以下で記憶する処理対象物標記憶部と、
前記上限値で前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部に記憶する選定記憶処理を行う物標処理部とを備え、
前記物標に対応付けられる評価値は、互いに異なる種類の複数の尺度それぞれによる複数の評価値を備え
前記物標処理部は、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標の選定において、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の第1尺度による第1評価値での前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出し、前記選定の候補として抽出した処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の、前記第1尺度と異なる第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定する、
物標認識装置。
【請求項2】
前記物標処理部は、前記物標検出部で新たに複数の物標を検出した場合、前記複数の物標を1個ずつ順次に前記選定記憶処理を行う、
請求項1に記載の物標認識装置。
【請求項3】
前記物標処理部は、前記選定の候補となる処理対象の物標の抽出において、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標を、前記第1尺度による第1評価値ごとに複数のグループに分け、各グループごとに前記抽出を行う、
請求項1または請求項2に記載の物標認識装置。
【請求項4】
前記処理対象の物標を、最低限、前記処理対象物標記憶部に記憶して保持しておくべき個数である最低限保持値を、前記グループに対応してさらに備え、
前記物標処理部は、前記各グループごとの抽出において、当該グループが前記最低限保持値を備える場合には、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の個数と前記最低限保持値とを比較し、前記比較の結果、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の個数が前記最低限保持値以下である場合に、前記抽出を無効とする、
請求項に記載の物標認識装置。
【請求項5】
前記物標処理部は、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかの決定において、第1に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定し、第2に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定する、
請求項ないし請求項のいずれか1項に記載の物標認識装置。
【請求項6】
前記第1尺度の第1評価値は、前記移動体に前記物標が近づく「接近」、前記移動体に対し前記物標が前方に位置する「前方」および前記移動体に対し前記物標が前記「接近」および前記「前方」ではない「その他」を含む、
請求項に記載の物標認識装置。
【請求項7】
前記第2尺度の第2評価値は、前記移動体に対する前記物標の衝突予測時間の値または前記移動体に対する前記物標の距離の値を含む、
請求項または請求項に記載の物標認識装置。
【請求項8】
前記物標処理部は、前記移動体の走行状態が所定の条件を満たす場合のみ、前記抽出の無効化を行うか否かを判定する、
請求項、請求項を引用する請求項、請求項を引用する請求項をさらに引用する請求項、および、請求項を引用する請求項をさらに引用する請求項のいずれか1項に記載の物標認識装置。
【請求項9】
移動体に搭載されたコンピュータによって実行される物標認識方法であって、
前記移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標検出工程と、
記憶して保存しておく際の評価値であって前記移動体に対する前記物標の状況に応じて決まる前記評価値と対応付けて、前記物標を、処理対象の物標として、所定の上限値以下で記憶する処理対象物標記憶部について、前記上限値で前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出工程で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出工程で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部に記憶する物標処理工程とを備え、
前記物標に対応付けられる評価値は、互いに異なる種類の複数の尺度それぞれによる複数の評価値を備え
前記物標処理工程は、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標の選定において、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の第1尺度による第1評価値での前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出し、前記選定の候補として抽出した処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の、前記第1尺度と異なる第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定する、
物標認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標認識装置および物標認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全技術への要求や自動運転技術への要求等から、周囲状況の認識が要望されている。例えば車両やロボット等の移動体における衝突回避や車線変更等の場合では、周囲状況の認識が重要である。このため、移動体には、周囲状況を認識するために、物体を検出(認識)する物体検出装置(物標認識装置)が搭載されることが多い。このような物体を検出して認識する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された車両周辺監視装置は、自車両が自車両に相対的に接近する移動体と衝突するおそれのあるときに警報を発する安全系運転支援制御、および、自車両の横方向移動にかかる操作を支援するための操作系運転支援制御を実施する運転支援制御手段を有する運転支援システムに設けられ、前記運転支援制御手段に周辺監視情報を供給する車両周辺監視装置であって、自車両の周辺を移動している移動体を検出する移動体検出手段と、前記移動体検出手段によって検出された前記移動体の中から、自車両に相対的に接近する移動体であって、自車両に衝突するまでの予測時間である衝突予測時間の短い移動体を優先して、優先度の高い上位第1設定数の移動体を選択する第1選択手段と、前記第1選択手段で選択された移動体を除く前記移動体検出手段によって検出された前記移動体の中から、自車両と前記移動体との相対距離の短い移動体を優先して、優先度の高い上位第2設定数の移動体を選択する第2選択手段と、前記第1選択手段に選択された移動体と前記第2選択手段に選択された移動体とに関する情報を、前記周辺監視情報として前記運転支援制御手段に供給する情報供給手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-053633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された車両周辺監視装置は、衝突事故を防止するための安全系運転支援制御のために、移動体検出手段によって検出された、自車両の周辺を移動している移動体の中から、衝突予測時間の短い移動体を優先して、優先度の高い上位第1設定数の移動体を選択するとともに、車線変更のハンドル操作を支援する車線変更支援制御のために、前記移動体の中から、自車両と前記移動体との相対距離の短い移動体を優先して、優先度の高い上位第2設定数の移動体を選択している。しかしながら、これら検出された、自車両の周辺を移動している移動体を、所定の優先度に従いソートしてから、前記移動体を設定数だけ選択する情報処理には、多くの時間を要してしまう。特に、認識すべき物標が多数化したり、多様化(多種類化)したりするほど、より多くの時間を要してしまう。前記情報処理を実行するCPU等のリソースの処理能力にも制限があるため、この点は、重要である。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より簡便な情報処理で認識物標を選択できる物標認識装置および物標認識方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる物標認識装置は、移動体に搭載される装置であって、前記移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標検出部と、記憶して保存しておく際の評価値であって前記移動体に対する前記物標の状況に応じて決まる前記評価値と対応付けて、前記物標を、処理対象の物標として、所定の上限値以下で記憶する処理対象物標記憶部と、前記上限値で前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部に記憶する選定記憶処理を行う物標処理部とを備える。好ましくは、上述の物標認識装置において、前記物標処理部は、前記選定した処理対象の物標における評価値が前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値より低い場合に、前記選定した処理対象の物標に代えて前記物標検出部で新たに検出した物標を前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部に記憶する。
【0008】
このような物標認識装置は、処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定するので、処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標を優先順位の順にソート(並べ替え)する必要が無い。処理対象物標記憶部に記憶すべき物標の決定は、上記物標認識装置では、前記選定した処理対象の物標における評価値と物標検出部で新たに検出した物標における評価値とを比較することによって可能となる。したがって、上記物標認識装置は、より簡便な情報処理で認識物標を選択できる。
【0009】
他の一態様では、上述の物標認識装置において、前記物標処理部は、前記物標検出部で新たに複数の物標を検出した場合、前記複数の物標を1個ずつ順次に前記選定記憶処理を行う。
【0010】
このような物標認識装置は、前記複数の物標を1個ずつ順次に前記選定記憶処理を行うので、例えば前記複数の物標のうちの1つの物標が前記選択記憶処理によって処理対象物標記憶部に処理対象の物標として記憶されると、前記複数の物標のうちの、前記1つの物標とは別の物標に対して前記選択記憶処理を行う際に、前記1つの物標と前記別の物標とを前記評価値で比較することができるから、前記物標検出部で複数の物標を新たに検出した場合でも、真に評価値の高い物標を前記処理対象物標記憶部に前記処理対象の物標として記憶できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述の物標認識装置において、前記物標に対応付けられる評価値は、互いに異なる種類の複数の尺度それぞれによる複数の評価値を備え、前記物標処理部は、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標の選定において、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の第1尺度による第1評価値での前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出し、前記選定の候補として抽出した処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の、前記第1尺度と異なる第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定する。
【0012】
このような物標認識装置は、前記物標に対応付けられる評価値が互いに異なる種類の複数の尺度それぞれによる複数の評価値を備えるので、種類の異なる複数の尺度(指標、基準)によって様々な観点から、処理対象物標記憶部に記憶すべき物標を決定できる。
【0013】
他の一態様では、上述の物標認識装置において、前記物標処理部は、前記選定の候補となる処理対象の物標の抽出において、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標を、前記第1尺度による第1評価値ごとに複数のグループに分け、各グループごとに前記抽出を行う。
【0014】
上記物標認識装置では、第1評価値ごとに物標を分けた各グループごとに抽出を行うので、第1尺度の様々な切り口(レベル)で、前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出できる。
【0015】
他の一態様では、上述の物標認識装置において、前記処理対象の物標を、最低限、前記処理対象物標記憶部に記憶して保持しておくべき個数である最低限保持値を、前記グループに対応してさらに備え、前記物標処理部は、前記各グループごとの抽出において、当該グループが前記最低限保持値を備える場合には、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の個数と前記最低限保持値とを比較し、前記比較の結果、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の個数が前記最低限保持値以下である場合に、前記抽出を無効とする。好ましくは、上述の物標認識装置において、前記物標処理部は、前記抽出を無効とした場合には、前記無効ではない場合の選定記憶処理を実行しない。
【0016】
このような物標認識装置は、最低限保持値を備えるグループにおいて、処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の個数が最低限保持値以下である場合に、前記抽出を無効とするので、最低限保持値を備えるグループにおける処理対象の物標の記憶を少なくとも確保できる。
【0017】
他の一態様では、上述の物標認識装置において、前記物標処理部は、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかの決定において、第1に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定し、第2に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定する。
【0018】
このような物標認識装置は、第1に前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定するので、第1尺度の観点から、処理対象物標記憶部に記憶すべき物標を決定でき、第2に前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で前記いずれかを決定するので、第1尺度の観点から、処理対象物標記憶部に記憶すべき物標を決定できない場合でも、第2尺度の観点から、処理対象物標記憶部に記憶すべき物標を決定できる。
【0019】
好ましくは、上述の物標認識装置において、前記第1尺度は、前記第1評価値として接近、前方およびその他を備える尺度であり、前記第1評価値は、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標において、前記第1評価値が前記接近である物標の総個数をnaとし、前記第1評価値が前記前方である物標の総個数をnbとし、前記接近のグループに対応する前記最低限保持値をna0とし、前記前方のグループに対応する前記最低限保持値をnb0とする場合、na≦na0の場合の前記接近、nb≦nbの場合の前記前方、前記その他、nb>nb0の前記前方、および、na>na0の場合の前記接近、の順で、高い方から低い方へ定義され、前記第2尺度は、前記移動体に対する前記物標の衝突予測時間であり、前記第2評価値は、前記衝突予測時間が長いほど低くなり、前記物標処理部は、前記選定した処理対象の物標における前記第1尺度による第1評価値が接近であって前記物標検出部で新たに検出した物標における前記第1尺度による第1評価値が接近であって、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定する。好ましくは、上述の物標認識装置において、前記第1尺度は、前記第1評価値として接近、前方およびその他を備える尺度であり、前記第1評価値は、前記処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標において、前記第1評価値が前記接近である物標の総個数をnaとし、前記第1評価値が前記前方である物標の総個数をnbとし、前記接近のグループに対応する前記最低限保持値をna0とし、前記前方のグループに対応する前記最低限保持値をnb0とする場合、na≦na0の場合の前記接近、nb≦nbの場合の前記前方、前記その他、nb>nb0の前記前方、および、na>na0の場合の前記接近、の順で、高い方から低い方へ定義され、前記第2尺度は、前記移動体に対する前記物標の距離であり、前記第2評価値は、前記距離が遠いほど低くなり、前記物標処理部は、前記選定した処理対象の物標における前記第1尺度による第1評価値が前方であって前記物標検出部で新たに検出した物標における前記第1尺度による第1評価値が前方であって、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定し、前記物標処理部は、前記選定した処理対象の物標における前記第1尺度による第1評価値がその他であって前記物標検出部で新たに検出した物標における前記第1尺度による第1評価値がその他であって、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定する。
【0020】
他の一態様では、上述の物標認識装置において、前記第1尺度の第1評価値は、前記移動体に前記物標が近づく「接近」、前記移動体に対し前記物標が前方に位置する「前方」および前記移動体に対し前記物標が前記「接近」および前記「前方」ではない「その他」を含む。
【0021】
このような物標認識装置は、移動体に対する物標における方向および走行状態に基づいて決まる第1評価値を備える第1尺度の観点から、処理対象物標記憶部に記憶すべき物標を決定できる。
【0022】
他の一態様では、上述の物標認識装置において、前記第2尺度の第2評価値は、前記移動体に対する前記物標の衝突予測時間の値または前記移動体に対する前記物標の距離の値を含む。
【0023】
このような物標認識装置は、移動体に対する物標における走行状態、または、移動体に対する物標における方向に基づいて決まる第2評価値を備える第2尺度の観点から、処理対象物標記憶部に記憶すべき物標を決定できる。
【0024】
他の一態様では、これら上述の物標認識装置において、前記物標処理部は、前記移動体の走行状態が所定の条件を満たす場合のみ、前記抽出の無効化を行うか否かを判定する。
【0025】
このような物標認識装置は、移動体の走行状態が所定の条件を満たす場合のみ、前記抽出の無効化を行うか否かを判定するので、前記移動体の走行状態を考慮して前記抽出の無効化を行うか否かを判定できる。
【0026】
本発明の他の一態様にかかる物標認識方法は、移動体で実行される方法であって、前記移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標検出工程と、記憶して保存しておく際の評価値であって前記移動体に対する前記物標の状況に応じて決まる前記評価値と対応付けて、前記物標を、処理対象の物標として、所定の上限値以下で記憶する処理対象物標記憶部について、前記上限値で前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部に記憶する物標処理工程とを備える。
【0027】
このような物標認識方法は、処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定するので、処理対象物標記憶部に記憶している処理対象の物標を優先順位の順にソート(並べ替え)する必要が無い。処理対象物標記憶部に記憶すべき物標の決定は、上記物標認識方法では、前記選定した処理対象の物標における評価値と物標検出部で新たに検出した物標における評価値とを比較することによって可能となる。したがって、上記物標認識方法は、より簡便な情報処理で認識物標を選択できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる物標認識装置および物標認識方法は、より簡便な情報処理で認識物標を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態における物標認識装置の構成を示すブロック図である。
図2】車両に取り付けられた第1ないし第5検出部を説明するための図である。
図3】前記物標認識装置を備えた車両の周囲に設定された各領域を説明するための図である。
図4】前記物標認識装置における処理対象の物標を記憶する際の動作を示すフローチャートである。
図5図4に示すフローチャートにおける事前処理のフローチャートである。
図6】前記物標認識装置の作用効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0031】
実施形態にかかる物標認識装置は、移動体に搭載され、前記移動体の周囲に存在する物体(所定の範囲で前記移動体から視認可能な物体)を認識するための装置であり、前記移動体でその物標認識処理が実行される。この物標認識装置は、前記移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標検出部と、記憶して保存しておく際の評価値であって前記移動体に対する前記物標の状況に応じて決まる前記評価値と対応付けて、前記物標を、処理対象の物標として、所定の上限値以下で記憶する処理対象物標記憶部と、前記上限値で前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部に記憶する選定記憶処理を行う物標処理部とを備える。前記移動体は、自機の位置を変えることができる装置であり、例えば車両やロボット等である。前記車両は、例えば工場内の部品搬送車および自動車等である。以下では、移動体の一例である車両に物標検出装置を搭載した場合について、より具体的に説明する。
【0032】
図1は、実施形態における物標認識装置の構成を示すブロック図である。図2は、車両に取り付けられた第1ないし第5検出部を説明するための図である。図3は、前記物標認識装置を備えた車両の周囲に設定された各領域を説明するための図である。
【0033】
実施形態における物標認識装置Sは、例えば、図1に示すように、検出部1(1-1~1-5)と、制御処理部2と、記憶部3とを備える。図1に示す例では、物標認識装置Sは、さらに、前記車両に搭乗する運転者における運転を支援するために、運転支援部4を備えている。
【0034】
検出部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、所定の検出範囲で当該物標認識装置Sの周囲における物体を検出し、その検出結果を検出点として制御処理部2に出力する装置である。検出部1は、1個であってもよいが、より広い範囲を検出範囲とするために、複数であってもよい。図1に示す例では、当該物標認識装置Sが搭載される車両VCの全周を検出範囲とするために、検出部1は、5個の第1ないし第5検出部1-1~1-5を備えている。これら第1ないし第5検出部1-1~1-5は、例えば、図2に示すように、車両VCの前方および各コーナーに配設される。第1検出部1-1は、車両VCの前方部における略中央位置に設けられ、車両VCの進行方向である第1方向PRを中心に所定の第1検出範囲RFで車両VCの周囲における物体を検出する。第2検出部1-2は、前記車両VCにおける一方側の前方端(例えば右前方コーナ)に設けられ、前記一方側の車幅方向より斜め前方の第2方向FRを中心に所定の第2検出範囲RRFで車両VCの周囲における物体を検出する。第3検出部1-3は、前記車両VCにおける前記一方側の後方端(例えば右後方コーナ)に設けられ、前記一方側の車幅方向より斜め後方の第3方向BRを中心に所定の第3検出範囲RRBで車両VCの周囲における物体を検出する。第4検出部1-4は、前記車両VCにおける他方側の前方端(例えば左前方コーナ)に設けられ、前記他方側の車幅方向より斜め前方の第4方向FLを中心に所定の第4検出範囲RLFで車両VCの周囲における物体を検出する。第5検出部1-5は、前記車両VCにおける前記他方側の後方端(例えば左後方コーナ)に設けられ、前記他方側の車幅方向より斜め後方の第5方向BLを中心に所定の第5検出範囲RLBで車両VCの周囲における物体を検出する。
【0035】
これら第1ないし第5検出部1-1~1-5は、それぞれ、例えば、所定の送信波を送信し、物体で反射した送信波の反射波を受信することにより、前記物体を検出し、前記物体の方向と前記物体までの距離を測定することにより、前記物体の位置(自車両VCに対する前記物体の相対位置(相対方向、相対距離))を測定するレーダ装置(Radio Detection And Ranging)である。前記送信波は、例えば、ミリ波帯の電磁波である。これら第1ないし第5検出部1-1~1-5は、それぞれ、例えば、ミリ波帯の送信波を第1ないし第5検出範囲RF、RRF、RRB、RLF、RLBで走査しながら送信する送信部と、前記送信波が物体で反射した反射波を受信する受信部と、前記送信波と前記反射波とに基づいて前記物体の方向と前記物体までの距離とを求めることで、前記物体の位置を検出点として求める信号処理部とを備える。前記信号処理部は、前記検出範囲の走査における前記送信波の送信方向から前記物体の方向を求め、前記送信波の送信タイミングと前記反射波の受信タイミングとの時間差に基づいて、前記物体までの距離を求める(TOF(Time-Of-Flight)方式)。なお、第1ないし第5検出部1-1~1-5は、このような構成に限らず、適宜な構成、例えば、複数の受信アンテナを備え、前記複数の受信アンテナが受信した反射波の位相差から前記物体の方向を求める装置であってもよい。そして、本実施形態では、第1ないし第5検出部1-1~1-5の一例としてのレーダ装置は、送信波に対する反射波のドップラーシフトに基づき、自車両VCに対する前記物体の相対速度も求め、制御処理部2へ出力している。
【0036】
なお、これら第1ないし第5検出部1-1~1-5は、それぞれ、レーダ装置に限らず、他の装置、例えば、ミリ波帯に代え、赤外線レーザを用いるLiDAR(Light Detection And Ranging)であってよく、例えば、ミリ波帯に代え、超音波を用いる超音波レーダであってよく、あるいは、例えば、ステレオカメラで撮像した1対の画像に基づいて所定の検出範囲で物体を検出する物体検出装置であってもよい。
【0037】
記憶部3は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、物標認識装置Sの各部1、3、4を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、検出部1で検出した検出点、本実施形態では第1ないし第5検出部1-1~1-5それぞれで検出した各検出点に基づいて、前記移動体(本実施形態ではその一例の車両(自車両、自機)VC、以下、「移動体(車両VC)」と適宜に表記する)の周囲に存在する物体を物標として検出する検出処理プログラムや、後述のように処理対象物標記憶部31に予め設定される所定の上限値で処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部31に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および前記物標検出部で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部31に記憶する選定記憶処理を行う物標処理プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば検出部1の検出結果や前記上限値や処理対象の物標等の各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。記憶部3は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。記憶部3は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0038】
そして、記憶部3は、処理対象物標記憶部31を機能的に備える。処理対象物標記憶部31は、記憶して保存しておく際の評価値であって前記移動体(車両VC)に対する前記物標の状況に応じて決まる前記評価値と対応付けて、前記物標を、処理対象の物標として、所定の上限値以下で記憶するものである。したがって、記憶部3には、前記上限値で処理対象の物標を、これに対応付けられる評価値とともに記憶できる記憶領域が処理対象物標記憶部31として例えば初期処理の際に確保される。物標認識装置Sは、物標を、予め設定された所定の時間間隔(サンプリング間隔)で周期的に繰り返し認識するが、前記上限値は、この繰り返しの物標の認識中において、記憶部3の処理対象物標記憶部31に記憶できる処理対象の物標の最大個数であり、予め適宜に設定される。前記上限値は、例えば、物標の認識結果を利用する運転支援部4の運転支援の内容等に応じて5や10等に設定される。前記処理対象の物標は、言い換えれば、処理対象物標記憶部31に記憶されている物標であり、前記選定記憶処理を行う対象となる物標の1つである。
【0039】
前記評価値は、処理対象物標記憶部31に優先的に記憶して保存しておく順に物標を並べた際のその位置(順番)を表し、前記移動体(車両VC)に対する物標の状況に応じて決まるものである。すなわち、前記移動体(車両VC)に対する物標の状況が決まれば、前記評価値も決まる。複数の物標があってその全てを記憶できない場合、評価値の高い物標が優先的に処理対象物標記憶部31に記憶される。前記物標に対応付けられる評価値は、本実施形態では、互いに異なる種類の複数の尺度それぞれによる複数の評価値を備える。
【0040】
より具体的には、3種類の3個の尺度がある。第1尺度は、前記移動体(車両VC)に対する物標における方向および走行状態に基づいて決まる第1評価値を備えて成る。より詳しくは、前記第1尺度は、前記第1評価値として「接近」、「前方」および「その他」を備える尺度である。
【0041】
自車両VCの周囲の領域は、複数、例えば前記移動体(車両VC)に対する物標における方向に基づいて第1評価値を決めるために、図3に示すように7個の第1ないし第7領域AA~AGに分けられている。第1領域AAは、車両VCの車幅と略同一の幅であって、前記車両VCの前方端から、予め設定された距離(前方区分距離)までの矩形状の領域である。第2領域ABは、前記車両VCにおける車長方向と車幅方向との交点であって車長方向の中央位置(あるいは、前記車両VCを平面視した場合に前記車両VCの外輪郭矩形形状の中心位置)の点(中央点)CPを一頂点とした前方に向けて広がる三角形状(または扇形状)であって、進行方向DDを基準に車幅方向の一方側および他方側の両側(左右両側)それぞれへ同じ所定の第1角度θ1だけ開いた前記三角形状(または前記扇形状)の領域であって(θ1>0)、前記第1領域AAと重複する領域を除いた領域である。第3領域ACは、前記中央点CPを一頂点とした前方に向けて広がる三角形状(または扇形状)であって、進行方向DDを基準に前記左右両側それぞれへ同じ所定の第2角度θ2だけ開いた前記三角形状(または前記扇形状)の領域であって(θ2>θ1)、前記第1および第2領域AA、ABと重複する領域を除いた領域である。第4領域ADは、前記中央点CPを通る、車幅方向に平行な直線(前後区分線)SLより前方の領域であって、前記第1ないし第3領域AA、AB、ACと重複する領域を除いた領域である。第6領域AFは、車両VCの車幅と略同一の幅であって、前記車両VCの後方端から、予め設定された距離(後方区分距離)までの矩形状の領域である。第5領域AEは、前記前後区分線SLより後方の領域であって、前記第6領域AFにおける車幅方向の一方側および他方側の両側それぞれに配設される矩形状の領域である。第7領域AGは、前記前後区分線SLより後方の領域であって、前記第5および第6領域AE、AFと重複する領域を除いた領域である。
【0042】
前記移動体(車両VC)に対する物標が第1および第2領域AA、ABのいずれかに存在する場合に、第1尺度の第1評価値は、前記移動体(車両VC)に対し前記物標が前方に位置する「前方」となる。
【0043】
衝突の被害を軽減するために自動的にブレーキを作動させる運転支援(衝突被害軽減ブレーキ支援)や、前方の他車両に所定の車間距離を保持しつつ追従走行するように自車両VCの走行を自動的に制御する運転支援(追従走行支援)では、その対象となる物標は、第1領域AAや第2領域ABに現れやすく、第1および第2領域AA、AB内の方向が「前方」に設定されることによって、前記対象の物標をより確実に処理対象の物標にできる。前記第2角度θ2は、一例では、交差点において、前記衝突被害軽減ブレーキ支援の対象となり得る他車両を勘案すると、略45度である。
【0044】
前記移動体(車両VC)に対する物標における走行状態が予め設定された所定の相対速度閾値以上で前記移動体(車両VC)に近づく場合に、第1尺度の第1評価値は、前記移動体(車両VC)に前記物標が近づく「接近」となる。
【0045】
第1尺度の第1評価値が「前方」でもなく「接近」でもない場合に、第1尺度の第1評価値は、「その他」となる。
【0046】
第1尺度の第1評価値は、予め定義される。例えば、第1尺度の第1評価値は、物標の認識結果を利用する運転支援部4の運転支援の内容等を勘案して予め適宜に定義される。例えば、前記第1評価値は、「接近」、「前方」および「その他」の順で低くなる(「接近」>「前方」>「その他」)。本実施形態では、前記第1評価値は、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標および検出処理部22で新たに検出した物標において、「接近」の物標の総個数(第1総個数)na、「前方」の物標の総個数(第2総個数)nb、第1最低限保持値na0および第2最低限保持値nb0に基づいて決定されている。後述するように、前記第1最低限保持値na0は、第1評価値が「接近」である物標のグループにおいて、処理対象の物標を、最低限、処理対象物標記憶部31に記憶して保持しておくべき個数であり、前記第2最低限保持値nb0は、第1評価値が「前方」である物標のグループにおいて、処理対象の物標を、最低限、処理対象物標記憶部31に記憶して保持しておくべき個数である。より具体的には、例えば、前記第1総個数naが前記第1最低限保持値na0以下である場合の「接近」の第1評価値(「接近」第1評価値|na≦na0)、前記第2総個数nbが前記第2最低限保持値nb0以下である場合の「前方」の第1評価値(「前方」第1評価値|nb≦nb0)、「その他」の第1評価値(「その他」第1評価値)、前記第2総個数nbが前記第2最低限保持値nb0より大きい場合の「前方」の第1評価値(「前方」第1評価値|nb>nb0)、および、前記第1総個数naが前記第1最低限保持値na0より大きい場合の「接近」の第1評価値(「接近」第1評価値|na>na0)の順で高い方から低い方へ第1評価値が定義されている(不等式1;“「接近」第1評価値|na≦na0” > “「前方」第1評価値|nb≦nb0” > “「その他」第1評価値” > “「前方」第1評価値|nb>nb0” > “「接近」第1評価値|na>na0”)。このように第1総個数naと第1最低限保持値na0との大小関係および第2総個数nbと第2最低限保持値nb0との大小関係に基づいて第1評価値を定義することによって、物標の認識結果を利用する運転支援部4の運転支援の内容等を勘案でき、前記繰り返しの物標の認識中において、「接近」の物標を前記第1最低限保持値na0以上で保持でき、「前方」の物標を前記第2最低限保持値nb0以上で保持できる。その一方で、前記繰り返しの物標の認識中において、「接近」の物標で、前記第1最低限保持値na0より多い物標は、優先的に削除でき、「前方」の物標で、前記第2最低限保持値nb0より多い物標は、優先的に削除でき、処理対象物標記憶部31に割り当てられた記憶領域を有効に活用できる。
【0047】
第2尺度は、本実施形態では、前記移動体(車両VC)に対する前記物標の衝突予測時間(第2A尺度)および前記移動体(車両VC)に対する前記物標の距離(第2B尺度)の2種類であり、これらは、後述するように第1尺度の第1評価値によって使い分けられる。第2尺度が前記衝突予測時間である場合、前記第2評価値(第2A尺度の第2A評価値)は、予め定義され、前記衝突予測時間が長いほど低くなる。第2尺度が前記距離である場合、前記第2評価値(第2B尺度の第2B評価値)は、予め定義され、前記距離が遠いほど(長いほど、大きいほど)低くなる。前記衝突予測時間TTC(Time To Collision)は、自車両VCが他車両に衝突するまでの予測の時間であり、前記移動体(車両VC)に対する前記物標の距離DTを、前記物標に対する前記移動体(車両VC)の相対速度RSで除算することによって求められる(TTC=DT/RS)。
【0048】
制御処理部2は、物標認識装置Sの各部1、3、4を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、所定の範囲で移動体(車両VC)の周囲に存在する物体を認識するための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、検出処理部22および物標処理部23を機能的に備える。
【0049】
制御部21は、物標認識装置Sの各部1、3、4を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、物標認識装置Sの全体制御を司るものである。
【0050】
検出処理部22は、検出部1で検出した検出点、本実施形態では第1ないし第5検出部1-1~1-5それぞれで検出した各検出点に基づいて、前記移動体(車両VC)の周囲に存在する物体を物標として検出するものである。この検出点に基づき物標を検出する手法には、公知の常套手段が用いられる。検出部1の空間分解能、物体の大きさおよび検出部1から物体までの距離等に応じて、通常、1個の物体から複数の検出点が検出される。このため、検出処理部22は、例えば、第1ないし第5検出部1-1~1-5で検出した1または複数の検出点をクラスタリングすることによって検出点のクラスタ(グループ)を物標として求める。あるいは、周期的な繰り返しの物標認識処理において、前記移動体(車両VC)の移動および物標の物体の移動の少なくとも一方によって、物標のサイズおよび位置は、変化するが、過去の物標における距離、相対速度および角度の観測データから、予測可能である。このため、検出処理部22は、例えば、第1ないし第5検出部1-1~1-5で検出した1または複数の検出点をクラスタリングすることによって検出点のクラスタを物標候補として求め、この求めた物標候補におけるサイズおよび位置を含む物体状態情報である観測データを求め、過去の観測データに基づいて前記物体状態情報を予測した予測データを求め、前記観測データで表される物標と前記予測データで表される物標とが同一であるか否かを、前記観測データと前記予測データとの相関処理によって判定し、この判定の結果、同一であると判定された場合に、前記観測データで表される物標候補を前記予測データで表される物標に対応付けて前記観測データの物標とし、前記判定の結果、同一ではないと判定された場合に、前記観測データで表される物標候補を新たな前記観測データの物標とする。これによって前記周期的な繰り返しの各物標認識処理ごとに物標(物体)のトラッキング(追跡)が行われる。
【0051】
本実施形態では、これら第1ないし第5検出部1および検出処理部22は、物標検出部ODを構成し、前記移動体の周囲に存在する物体を物標として検出する物標検出部の一例に相当する。
【0052】
そして、検出処理部22は、この検出した物標を、前記移動体(車両VC)に対する前記物標の状況に応じて決まる評価値と対応付けて記憶部3に一時的に記憶する。前記検出した物標が複数である場合には、複数の物標それぞれが記憶される。
【0053】
より具体的には、第1尺度では、例えば、前記移動体(車両VC)に対する前記物標の走行状態が前記相対速度閾値以上で自車両VCに近づく場合には、第1評価値は、「接近」となり、「接近」を対応付けて前記検出した物標が記憶部3に記憶される。あるいは、例えば、前記検出した物標の位置が第1および第2領域AA、ABのうちの少なくともいずれかの領域以内に位置する場合には、第1評価値は、「前方」となり、「前方」を対応付けて前記検出した物標が記憶部3に記憶される。あるいは、例えば、これら「接近」でも「前方」でもない場合には、第1評価値は、「その他」となり、「その他」を対応付けて前記検出した物標が記憶部3に記憶される。第2A尺度では、検出処理部22は、前記移動体(車両VC)に対する前記物標の衝突予測時間を求め、この求めた前記物標の衝突予測時間(衝突予測時間の値)を第2A評価値として対応付けて前記検出した物標が記憶部3に記憶される。第2B尺度では、検出処理部22は、前記移動体(車両VC)に対する前記物標の距離を求め、この求めた前記物標の距離(距離の値)を第2B評価値として対応付けて前記検出した物標が記憶部3に記憶される。なお、本実施形態では、後述のように、第1評価値が「接近」の場合に、第2A評価値の衝突予測時間が用いられるので、「接近」の物標のみ衝突予測時間が求められてよい。
【0054】
物標処理部23は、前記上限値で前記処理対象の物標を処理対象物標記憶部31に記憶している場合に、前記処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、前記選定した処理対象の物標における評価値および前記物標検出部で新たに検出した物標における評価値に基づいて、前記選定した処理対象の物標および検出処理部22で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として処理対象物標記憶部31に記憶する選定記憶処理を行う。物標処理部23は、検出処理部22で新たに複数の物標を検出した場合、前記複数の物標を1個ずつ順次に前記選定記憶処理を行う。検出処理部22で新たに検出した物標とは、前記周期的な繰り返しの物標認識処理において、今回の物標認識処理で検出した物標であり、例えば、前記トラッキングにより判定される。
【0055】
物標処理部23は、前記不等式1に基づく処理を実施するように構成されている。より具体的には、物標処理部23は、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標の選定において、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の第1尺度による第1評価値での前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出し、前記選定の候補として抽出した処理対象の物標の中から、前記複数の尺度の中の、前記第1尺度と異なる第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定する。より具体的には、物標処理部23は、前記選定の候補となる処理対象の物標の抽出において、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標および検出処理部22で新たに検出した物標を、前記第1尺度による第1評価値ごとに複数のグループに分け、各グループごとに前記抽出を行う。より詳しくは、物標処理部23は、前記各グループごとの抽出において、当該グループが予め設定された所定の最低限保持値を備える場合には、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標の個数と前記最低限保持値とを比較し、前記比較の結果、前記処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標の個数が前記最低限保持値以下である場合に、前記抽出を無効とする。物標処理部23は、前記抽出を無効とした場合には、前記選定記憶処理のうちの、前記無効ではない場合の選定記憶処理を実行しない。前記最低限保持値は、前記処理対象の物標を、最低限、処理対象物標記憶部31に記憶して保持しておくべき個数であり、本実施形態では、第1評価値が「接近」である物標のグループおよび第1評価値が「前方」である物標のグループそれぞれに、前記最低限保持値が設定されている。第1評価値が「接近」である物標のグループには、最低限保持値(第1最低限保持値)na0が設定され、第1評価値が「前方」である物標のグループには、最低限保持値(第2最低限保持値)nb0が設定されている。
【0056】
例えば、「接近」、「前方」および「その他」それぞれでグループが分けられる。「接近」のグループでは、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値の個数の処理対象の物標の中から、「接近」が対応付けられている処理対象の物標が前記選定の候補として抽出され、この選定の候補として抽出した処理対象の物標の中から、第2A尺度(前記衝突予測時間)による第2A評価値(前記衝突予測時間の値)に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標が選定される。すなわち、第2A評価値が最低の物標が選定される。ここで、「接近」が対応付けられている処理対象の物標の総個数naが最低限保持値na0以下である場合、前記抽出が無効とされる。したがって、「接近」が対応付けられている処理対象の物標が、少なくとも、処理対象物標記憶部31に記憶され保持される。
【0057】
そして、物標処理部23は、前記選定した処理対象の物標および前記検出処理部22で新たに検出した物標のうちのいずれかの決定において、第1に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定し、第2に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定する。より具体的には、物標処理部23は、前記選定した処理対象の物標における前記第1尺度による第1評価値が「接近」であって前記検出処理部22で新たに検出した物標における前記第1尺度による第1評価値が「接近」であって、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2A尺度による第2A評価値で、前記いずれかを決定する。物標処理部23は、前記選定した処理対象の物標における前記第1尺度による第1評価値が「前方」であって前記検出処理部22で新たに検出した物標における前記第1尺度による第1評価値が「前方」であって、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2B尺度(前記距離)による第2B評価値(前記距離の値)で、前記いずれかを決定する。物標処理部23は、前記選定した処理対象の物標における前記第1尺度による第1評価値が「その他」であって前記物標検出部で新たに検出した物標における前記第1尺度による第1評価値が「その他」であって、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2B尺度による第2B評価値で、前記いずれかを決定する。
【0058】
運転支援部4は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って運転を支援する装置である。本実施形態では、運転支援部4は、処理対象物標記憶部31に記憶されている処理対象の物標に基づいて運転を支援する。運転支援技術は、様々な技術が開発されており、例えば、先進運転支援システム(ADAS、Advanced driver-assistace system)として開発され、公知にされている。運転支援部4には、ADASとして開発された運転支援技術のうち、物標を用いる技術が利用できる。例えば、前記衝突被害軽減ブレーキ支援技術や、前記追従走行支援技術や、運転者の死角に成り得る領域での他物体(例えば他車両等)の存在を警告する運転支援(物体後方存在警告支援)等が利用される。前記衝突被害軽減ブレーキ支援技術を実装した運転支援部4は、例えば、他の物体としての物標の衝突予測時間が予め設定された閾値(第1判定閾値)以下になった場合に、衝突の警告を例えばアラーム音や警告灯等によって発報し、前記物標の衝突予測時間が予め設定された閾値(第2判定閾値、第1判定閾値>第2判定閾値)以下になった場合に、前記移動体(車両VC)のブレーキ装置を動作させ、前記移動体(車両VC)を減速または停止する。前記追従走行支援技術を実装した運転支援部4は、例えば、前記移動体(車両VC)の前方を走行する他車両(他車両としての物標)との車間距離を予め設定された距離に保持しつつ追従走行するように、アクセル、ブレーキおよびステアリングに関する各装置を制御することによって、前記移動体(車両VC)の速度および操舵を制御する。前記物体後方存在警告支援技術を実装した運転支援部4は、図3に示す例では、他の物体としての物標が第5領域AE以内で検出された場合に、他の物体が後方に存在することの警告を例えばアラーム音や警告灯等によって発報する。
【0059】
このような物標認識装置Sにおける制御処理部2および記憶部3は、いわゆるECU(Electronic Control Unit)と呼称されるコンピュータによって構成可能である。
【0060】
次に、本実施形態の動作について説明する。図4は、前記物標認識装置における処理対象の物標を記憶する際の動作を示すフローチャートである。図5は、図4に示すフローチャートにおける事前処理のフローチャートである。
【0061】
このような物標認識装置Sは、前記移動体(車両VC)が稼働を始めると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。その制御処理プログラムの実行によって、制御処理部2には、制御部21、検出処理部22および物標処理部23が機能的に構成され、記憶部3には、前記上限値nで処理対象物標記憶部31の記憶領域が確保される。
【0062】
物標認識装置Sは、前記移動体(車両VC)の周囲における物体の認識では、図4に示す次の各動作を所定のサンプリング周期で繰り返し実行している。
【0063】
図4において、今回の処理において、物標認識装置Sは、第1ないし第5検出部1-1~1-5で検出した検出点を第1ないし第5検出部1-1~1-5から取得し、制御処理部2の検出処理部22によって、前記移動体(車両VC)の周囲に存在する物体を物標として検出し、前記検出した物標を、評価値、本実施形態では第1尺度による第1評価値および第2尺度による第2評価値(第2Aおよび第2B尺度それぞれによる第2Aおよび第2B評価値)と対応付けて記憶部3に一時的に記憶する(S1)。ここで、本実施形態では、前記検出した物標のうちの、トラッキングの結果、新たに検出した物標と判定された物標には、物標を特定し識別するための識別子として、番号(識別番号)kが割り当てられ、記憶部3に一時的に記憶する際に、この割り当てられた識別番号kも、前記新たに検出した物標に対応付けて記憶される。識別番号kは、1から、前記処理S1で前記新たに検出した物標と判定された物標の個数mまでの整数である(k=1、・・・、m)。なお、前記処理S1で前記新たに検出した物標と判定された物標が1個であった場合には、m=1であり、前記処理S1で前記新たに検出した物標と判定された物標が複数であった場合には、m>1の整数である。
【0064】
制御処理部2の物標処理部23は、識別番号k=1の物標から、識別番号k=mの物標まで、1個ずつ順次に、識別番号kの物標に対し、前記選定記憶処理として、次の処理S2ないし処理S16の各処理を行う。
【0065】
処理S2において、物標認識装置Sは、物標処理部23によって、処理対象物標記憶部31に、物標を処理対象の物標として記憶できる空き記憶領域が存在するか否かを判定する。より具体的には、物標処理部23は、前記上限値nで前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部31に記憶しているか否かを判定する。この判定の結果、前記上限値n未満で前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部31に記憶している場合には、前記空き記憶領域が存在すると判定され(Yes)、物標処理部23は、次に、処理S3を実行し、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。したがって、識別番号k<mである場合には、次の識別番号k+1の物標に対する前記選定記憶処理が実行され、一方、識別番号k=mである場合には、今回の処理が終了される。前記判定の結果、前記上限値nで前記処理対象の物標を前記処理対象物標記憶部31に記憶している場合には、前記空き記憶領域が存在しないと判定され(No)、物標処理部23は、次に、処理S4を実行する。
【0066】
前記処理S3では、前記空き記憶領域が存在するので、物標処理部23は、識別番号kの物標を処理対象の物標として前記評価値(本実施形態では第1および第2評価値)と対応付けて処理対象物標記憶部31に記憶する。
【0067】
前記処理S4以降では、後述の処理S16まで、物標処理部23は、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定し、この選定した処理対象の物標における評価値および検出処理部22で新たに検出した物標における評価値に基づいて、この選定した処理対象の物標および前記検出処理部22で新たに検出した物標のうちのいずれかを決定して前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部31に記憶する選定記憶処理を行う。
【0068】
この選定記憶処理において、まず、物標処理部23は、図5に示す事前処理S4(S41~S49)を実行する。この事前処理S4では、物標処理部23は、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標の選定において、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標の中から、第1尺度による第1評価値での前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出し、この選定の候補として抽出した処理対象の物標の中から、第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定する。ここで、この選定の候補となる処理対象の物標の抽出において、物標処理部23は、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標および検出処理部22で新たに検出した物標を、前記第1尺度による第1評価値ごとに複数のグループに分け、各グループごとに前記抽出を行う。そして、この各グループごとの抽出において、物標処理部23は、当該グループが前記最低限保持値を備える場合には、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標の個数と前記最低限保持値とを比較し、前記比較の結果、前記処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標の個数が前記最低限保持値以下である場合に、前記抽出を無効とする。
【0069】
より具体的には、図5において、物標処理部23は、まず、第1評価値が「接近」である物標のグループ(「接近」グループ)において、第1および第2尺度の各評価値に基づいて第1除外候補を探索する(S41)。より詳しくは、物標処理部23は、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標の中から、「接近」が対応付けられている処理対象の物標を抽出し、この抽出した処理対象の物標の中から、第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を第1除外候補として求める。ここで、第1評価値が「接近」であるので、第2尺度には、第2A尺度の衝突予測時間が用いられ、物標処理部23は、前記衝突予測時間が最大である処理対象の物標を、前記第1除外候補として求める。前記移動体(車両VC)に接近してくる物標に対し、その衝突までの時間が重要であるので、第2尺度には、前記衝突予測時間が用いられている。前記第1除外候補は、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定する際に、「接近」での前記選定の候補とする処理対象の物標である。前記第1除外候補は、その抽出が無効とされずに有効である場合には、「接近」のグループにおいて、最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標となる。
【0070】
次に、物標処理部23は、第1評価値が「前方」である物標のグループ(「前方」グループ)において、第1および第2尺度の各評価値に基づいて第2除外候補を探索する(S42)。より詳しくは、物標処理部23は、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標の中から、「前方」が対応付けられている処理対象の物標を抽出し、この抽出した処理対象の物標の中から、第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を第2除外候補として求める。ここで、第1評価値が「前方」であるので、第2尺度には、第2B尺度の距離が用いられ、物標処理部23は、前記距離が最大である処理対象の物標を、前記第2除外候補として求める。前記移動体(車両VC)に対する前方の物標は、その車間距離が重要であるので、第2尺度には、前記距離が用いられている。前記第2除外候補は、「前方」での前記選定の候補とする処理対象の物標であり、その抽出が無効とされずに有効である場合には、「前方」のグループにおいて、最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標となる。
【0071】
次に、物標処理部23は、第1評価値が「その他」である物標のグループ(「その他」グループ)において、第1および第2尺度の各評価値に基づいて第3除外候補を探索する(S43)。より詳しくは、物標処理部23は、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標の中から、「その他」が対応付けられている処理対象の物標を抽出し、この抽出した処理対象の物標の中から、第2尺度による第2評価値に基づいて、前記最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を第3除外候補として求める。ここで、第1評価値が「その他」であるので、第2尺度には、第2B尺度の距離が用いられ、物標処理部23は、前記距離が最大である処理対象の物標を、前記第3除外候補として求める。前記第3除外候補は、「その他」での前記選定の候補とする処理対象の物標であり、本実施形態では、その抽出が無効とされずに有効である場合には、「その他」のグループにおいて、最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標となる。
【0072】
次に、物標処理部23は、「接近」グループに対応付けられている第1最低限保持値na0と比較するために、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標、および、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標において、「接近」が対応付けられている物標の個数を計数し、第1総個数naを求める(S44)。
【0073】
次に、物標処理部23は、「前方」グループに対応付けられている第2最低限保持値nb0と比較するために、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標、および、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標において、「前方」が対応付けられている物標の個数を計数し、第2総個数nbを求める(S45)。すなわち、処理S44の実行後における「接近」が対応付けられている物標以外の物標から、「前方」が対応付けられている物標が計数され、第2総個数nbが求められる。
【0074】
次に、物標処理部23は、第1総個数naが第1最低限保持値na0以下であるか否かを判定する(na≦na0?、S46)。この判定の結果、第1総個数naが第1最低限保持値na0以下である場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S47を実行した後に、処理S48を実行する。一方、前記判定の結果、第1総個数naが第1最低限保持値na0以下ではない場合(No)には、物標処理部23は、処理S48を実行する。
【0075】
この処理S47では、物標処理部23は、「接近」グループにおける第1除外候補に対する抽出を無効とするように、前記第1除外候補に「抽出の無効」を設定する。例えば、第1除外候補が「抽出の無効」に設定されているか否かを表すフラグ(第1無効化フラグ)が、前記第1除外候補に対応付けられ、記憶部3に記憶される。前記第1無効化フラグは、例えば「1」が「抽出の無効」であることを表し、「0」が「抽出の無効」ではないことを表す。この「接近」グループにおける第1除外候補に対する「抽出の無効」の設定により、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標における第1評価値にかかわらず、「接近」が対応付けられた処理対象の物標が、前記識別番号kの物標に対する処理において、処理対象物標記憶部31に保持され、その記憶が維持される。本実施形態では、「接近」グループの物標が存在しない場合も、前記第1無効化フラグは、「1」とされ、これによって第1除外候補に関する情報処理が軽減される。
【0076】
前記処理S48では、物標処理部23は、第2総個数nbが第2最低限保持値nb0以下であるか否かを判定する(nb≦nb0?)。この判定の結果、第2総個数nbが第2最低限保持値nb0以下である場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S49を実行した後に、本事前処理S4を終了し、上述のように、図4に示す処理S5を実行する。一方、前記判定の結果、第2総個数nbが第2最低限保持値nb0以下ではない場合(No)には、物標処理部23は、本事前処理S4を終了して前記処理S5を実行する。
【0077】
この処理S49では、物標処理部23は、「前方」グループにおける第2除外候補に対する抽出を無効とするように、前記第2除外候補に「抽出の無効」を設定する。例えば、前記第1無効フラグと同様な、第2除外候補が「抽出の無効」に設定されているか否かを表すフラグ(第2無効化フラグ)が、前記第2除外候補に対応付けられ、記憶部3に記憶される。この「前方」グループにおける第2除外候補に対する「抽出の無効」の設定により、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標における第1評価値にかかわらず、「前方」が対応付けられた処理対象の物標が、前記識別番号kの物標に対する処理において、処理対象物標記憶部31に保持され、その記憶が維持される。本実施形態では、「前方」グループの物標が存在しない場合も、前記第2無効化フラグは、「1」とされ、これによって第2除外候補に関する情報処理が軽減される。
【0078】
図4に戻って、事前処理S4に続く処理S5では、物標処理部23は、第1除外候補が「抽出の無効」に設定されているか否かを判定する。この判定の結果、第1除外候補が「抽出の無効」に設定されている場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S9を実行する(したがって、処理S6ないし処理S8の各処理が実行されない)。一方、前記判定の結果、第1除外候補が「抽出の無効」に設定されていない場合(No)には、物標処理部23は、処理S6を実行する。
【0079】
この処理S6および後述の処理S7では、物標処理部23は、前記選定した処理対象の物標および検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標のうちのいずれかの決定において、第1に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定し、第2に、前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で、前記いずれかを決定する。後述の処理S10および処理S11ならびに後述の処理S14および処理S15も同様に、物標処理部23は、処理を実行するが、処理S6および処理S7では、第1除外候補の第1評価値が“「接近」第1評価値|na>na0”である場合について、物標処理部23は、処理を実行し、処理S10および処理S11では、第2除外候補の第1評価値が“「前方」第1評価値|nb>nb0”である場合について、物標処理部23は、処理を実行し、処理S14および処理S15では、第3除外候補の第1評価値が“「その他」第1評価値”である場合について、物標処理部23は、処理を実行する。
【0080】
より具体的には、前記処理S6では、物標処理部23は、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標(検出物標k)における第1評価値が第1除外候補の第1評価値より高いか否かを判定する。第1評価値は、上述の不等式1に基づいて判定される。この判定の結果、前記検出物標kの第1評価値が前記第1除外候補の第1評価値より高い場合、つまり、前記第1除外候補の第1評価値が前記検出物標kの第1評価値より低い場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S8を実行する。一方、前記判定の結果、前記検出物標kの第1評価値が第1除外候補の第1評価値より高くない場合(No)には、物標処理部23は、処理S7を実行する。すなわち、処理S6は、第1除外候補の抽出が無効ではないので、不等式1における“「その他」第1評価値” > “「前方」第1評価値|nb>nb0” > “「接近」第1評価値|na>na0”」によって判定されるから、検出物標kの第1評価値が「その他」または「前方」の場合に、前記「Yes」の場合とされ、処理S8が実行され、検出物標kの第1評価値が「接近」の場合に、前記「No」の場合とされ、処理S7が実行される。
【0081】
この処理S7では、第1尺度による第1評価値の比較では判定できなかったので、第2尺度による第2評価値の比較を実施するために、物標処理部23は、検出物標kにおける第2評価値が第1除外候補の第2評価値より高いか否かを判定する。この処理S7は、第1評価値が「接近」である場合に実行されるので、第2尺度には、第2A尺度の衝突予測時間が用いられ、第2評価値には、第2A評価値の衝突予測時間の値が用いられる。この判定の結果、前記検出物標kの第2A評価値が前記第1除外候補の第2A評価値より高い場合、つまり、前記検出物標kの衝突予測時間が前記第1除外候補の衝突予測時間より短いため、前記第1除外候補の第2A評価値が前記検出物標kの第2A評価値より低い場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S8を実行した後に、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。一方、前記判定の結果、前記検出物標kの第2A評価値が前記第1除外候補の第2A評価値より高くない場合(No)には、物標処理部23は、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。
【0082】
前記処理S8では、物標処理部23は、第1除外候補の物標に代えて前記検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標(検出物標k)を前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部31に記憶する。したがって、次の識別番号k+1の物標に対する前記選定記憶処理では、前記第1除外候補の物標に代えて前記処理対象物標記憶部31に記憶された検出物標kは、処理対象物標記憶部31に記憶している前記上限値nの個数の処理対象の物標のうちの1つとなる。後述の処理S12および処理S16も、この処理S8と同様の作用効果を奏する。
【0083】
前記処理S9では、物標処理部23は、第2除外候補が「抽出の無効」に設定されているか否かを判定する。この判定の結果、第2除外候補が「抽出の無効」に設定されている場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S13を実行する(したがって、処理S10ないし処理S12の各処理が実行されない)。一方、前記判定の結果、第2除外候補が「抽出の無効」に設定されていない場合(No)には、物標処理部23は、処理S10を実行する。
【0084】
この処理S10では、物標処理部23は、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標(検出物標k)における第1評価値が第2除外候補の第1評価値より高いか否かを判定する。第1評価値は、上述の不等式1に基づいて判定される。この判定の結果、前記検出物標kの第1評価値が前記第2除外候補の第1評価値より高い場合、つまり、前記第2除外候補の第1評価値が前記検出物標kの第1評価値より低い場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S12を実行する。一方、前記判定の結果、前記検出物標kの第1評価値が第1除外候補の第1評価値より高くない場合(No)には、物標処理部23は、処理S11を実行する。すなわち、処理S10は、第1除外候補の抽出が無効であって第2除外候補の抽出が無効ではないので、不等式1における「“「接近」第1評価値|na≦na0” > “「その他」第1評価値” > “「前方」第1評価値|nb>nb0”」によって判定されるから、検出物標kの第1評価値が「接近」または「その他」の場合に、前記「Yes」の場合とされ、処理S12が実行され、検出物標kの第1評価値が「前方」の場合に、前記「No」の場合とされ、処理S11が実行される。
【0085】
この処理S11では、第1尺度による第1評価値の比較では判定できなかったので、第2尺度による第2評価値の比較を実施するために、物標処理部23は、検出物標kにおける第2評価値が第2除外候補の第2評価値より高いか否かを判定する。この処理S11は、第1評価値が「前方」である場合に実行されるので、第2尺度には、第2B尺度の距離が用いられ、第2評価値には、第2B評価値の距離の値が用いられる。この判定の結果、前記検出物標kの第2B評価値が前記第2除外候補の第2B評価値より高い場合、つまり、前記検出物標kの距離が前記第2除外候補の距離より短いため、前記第2除外候補の第2B評価値が前記検出物標kの第2B評価値より低い場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S12を実行した後に、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。一方、前記判定の結果、前記検出物標kの第2B評価値が前記第2除外候補の第2B評価値より高くない場合(No)には、物標処理部23は、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。
【0086】
前記処理S12では、物標処理部23は、第2除外候補の物標に代えて前記検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標(検出物標k)を前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部31に記憶する。
【0087】
処理S13では、物標処理部23は、第3除外候補が「抽出の無効」に設定されているか否かを判定する。この判定の結果、第3除外候補が「抽出の無効」に設定されている場合(Yes)には、物標処理部23は、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する(したがって、処理S14ないし処理S16の各処理が実行されない)。一方、前記判定の結果、第3除外候補が「抽出の無効」に設定されていない場合(No)には、物標処理部23は、処理S14を実行する。
【0088】
この処理S14では、物標処理部23は、検出処理部22で新たに検出した識別番号kの物標(検出物標k)における第1評価値が第3除外候補の第1評価値より高いか否かを判定する。第1評価値は、上述の不等式1に基づいて判定される。この判定の結果、前記検出物標kの第1評価値が前記第3除外候補の第1評価値より高い場合、つまり、前記第3除外候補の第1評価値が前記検出物標kの第1評価値より低い場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S16を実行する。一方、前記判定の結果、前記検出物標kの第1評価値が第3除外候補の第1評価値より高くない場合(No)には、物標処理部23は、処理S15を実行する。すなわち、処理S14は、第1および第2除外候補の各抽出が無効であるので、不等式1における「“「接近」第1評価値|na≦na0” > “「前方」第1評価値|nb≦nb0” > “「その他」第1評価値”」によって判定されるから、検出物標kの第1評価値が「接近」または「前方」の場合に、前記「Yes」の場合とされ、処理S16が実行され、検出物標kの第1評価値が「その他」の場合に、前記「No」の場合とされ、処理S15が実行される。
【0089】
この処理S15では、第1尺度による第1評価値の比較では判定できなかったので、第2尺度による第2評価値の比較を実施するために、物標処理部23は、検出物標kにおける第2評価値が第3除外候補の第2評価値より高いか否かを判定する。この処理S15は、第1評価値が「その他」である場合に実行されるので、第2尺度には、第2B尺度の距離が用いられ、第2評価値には、第2B評価値の距離の値が用いられる。この判定の結果、前記検出物標kの第2B評価値が前記第3除外候補の第2B評価値より高い場合、つまり、前記検出物標kの距離が前記第3除外候補の距離より短いため、前記第3除外候補の第2B評価値が前記検出物標kの第2B評価値より低い場合(Yes)には、物標処理部23は、処理S16を実行した後に、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。一方、前記判定の結果、前記検出物標kの第2B評価値が前記第3除外候補の第2B評価値より高くない場合(No)には、物標処理部23は、識別番号kの物標に対する前記選定記憶処理を終了する。
【0090】
前記処理S16では、物標処理部23は、第3除外候補の物標に代えて前記検出処理部22で新たに出した識別番号kの物標(検出物標k)を前記処理対象の物標として前記処理対象物標記憶部31に記憶する。
【0091】
このように処理S2ないし処理S16の各処理が前記選定記憶処理として行われる。
【0092】
そして、運転支援部4は、処理対象物標記憶部31に記憶されている処理対象の物標に基づいて運転を支援する。例えば、前記衝突被害軽減ブレーキや、前記追従走行支援や、前記物体後方存在警告支援等が行われる。
【0093】
以上説明したように、実施形態における物標認識装置Sおよびこれに実装された物体認識方法は、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標の中から最低の評価値が対応付けられている処理対象の物標を選定するので、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標を優先順位の順にソート(並べ替え)する必要が無い。処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標の決定は、上記物標認識装置Sおよび物標認識方法では、前記選定した処理対象の物標における評価値と物標検出部ODで新たに検出した物標における評価値とを比較することによって可能となる。したがって、上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、より簡便な情報処理で認識物標を選択できる。
【0094】
図6は、前記物標認識装置の作用効果を説明するための図である。図6Aは、本実施形態の場合を概念的に説明するための図であり、図6Bは、前記特許文献1の場合を概念的に説明するための図である。
【0095】
より具体的には、前記特許文献1に開示された車両周辺監視装置では、図6Bに示すように、既存のn個の物標と新規なm個の物標から成る(n+m)個の物標に対し、衝突予測時間順にソートとしてから上位第1設定数の物標が選択され、その残余の物標を相対距離順にソートしてから上位第2設定数の物標が選択されるので、その処理時間は、大略、(n+m)のオーダーとなる。一方、本実施形態では、図6Aに示すように、(n+m)個の物標において、n個の物標から最低の評価値の物標が選択され、この最低の評価値の物標に対し、m個の物標それぞれが比較されるので、その処理時間は、大略、(n×m)のオーダーとなる。したがって、上記物標認識装置Sおよび物標認識方法では、より簡便な情報処理で認識物標を選択できる。
【0096】
上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、複数の物標を1個ずつ順次に前記選定記憶処理を行うので、例えば前記複数の物標のうちの1つの物標(例えば検出物標k)が前記選択記憶処理によって処理対象物標記憶部31に処理対象の物標として記憶されると、前記複数の物標のうちの、前記1つの物標とは別の物標(例えば検出物標k+1)に対して前記選択記憶処理を行う際に、前記1つの物標と前記別の物標とを前記評価値で比較することができるから、前記物標検出部で複数の物標を新たに検出した場合でも、真に評価値の高い物標を前記処理対象物標記憶部31に前記処理対象の物標として記憶できる。
【0097】
上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、前記物標に対応付けられる評価値が互いに異なる種類の複数の尺度それぞれによる複数の評価値を備えるので、種類の異なる複数の尺度(指標、基準)によって様々な観点から、処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標を決定できる。
【0098】
上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、第1評価値ごとに物標を分けた各グループごとに抽出を行うので、第1尺度の様々な切り口(レベル)で、前記選定の候補となる処理対象の物標を抽出できる。
【0099】
上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、最低限保持値を備えるグループにおいて、処理対象物標記憶部31に記憶している処理対象の物標の個数が最低限保持値以下である場合に、前記抽出を無効とするので、最低限保持値を備えるグループにおける処理対象の物標の記憶を少なくとも確保できる。
【0100】
上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、移動体(車両VC)に対する物標における方向および走行状態に基づいて決まる第1評価値を備える第1尺度の観点から、処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標を決定できる。上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、移動体(車両VC)に対する物標における走行状態、または、移動体に対する物標における方向に基づいて決まる第2評価値を備える第2尺度の観点から、処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標を決定できる。
【0101】
上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、第1に前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定するので、第1尺度の観点から、処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標を決定でき、第2に前記第1尺度による第1評価値で前記いずれかを決定できない場合に、前記第2尺度による第2評価値で前記いずれかを決定するので、第1尺度の観点から、処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標を決定できない場合でも、第2尺度の観点から、処理対象物標記憶部31に記憶すべき物標を決定できる。上述の例では、上記物標認識装置Sおよび物標認識方法は、第1に、移動体に対する物標における方向および走行状態に基づいて決まる第1評価値を備える第1尺度の観点から、第2に、衝突予測時間の値で決まる第2A評価値を備える第2A尺度の観点や距離の値で決まる第2B評価値を備える第2B尺度の観点から、処理対象物標記憶部35に記憶すべき物標を決定できる。
【0102】
なお、上述の実施形態において、物標処理部23は、前記移動体の走行状態が所定の条件を満たす場合のみ、抽出の無効化を行うか否かを判定してもよい。これによれば、前記移動体(車両VC)の走行状態が所定の条件を満たす場合のみ、前記抽出の無効化を行うか否かを判定するので、前記移動体(車両VC)の走行状態を考慮して前記抽出の無効化を行うか否かを判定できる。例えば、物標の認識結果を利用する運転支援部4の運転支援(例えば前記追従走行支援等)を適用する際に、前記適用に条件(適用条件)が設定されている場合(例えば車速が所定閾値以上である場合のみ追従走行支援できるという前記追従走行支援の適用条件)、前記所定の条件を前記適用条件とすることによって、前記所定の条件を満たすと前記適用条件を満たすことになり、前記抽出の無効化を行うか否かが判定される。
【0103】
例えば、前記移動体(車両VC)の走行状態は、速度(車速)であり、前記所定の条件は、前記移動体(車両VC)の速度が予め設定された速度(速度閾値)以上であることであり、したがって、前記移動体(車両VC)の速度が前記速度閾値以上である場合のみ、物標処理部23は、前記抽出の無効化を行うか否かを判定する。より具体的には、図5の処理S48において、括弧書きで示すように、前記移動体(車両VC)の車速が速度閾値ve以上である場合のみ、処理S48が実行される。なお、前記移動体(車両VC)の車速が速度閾値ve以上ではない場合には、処理S48がスキップされ、前記抽出は、無効化されない。
【0104】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0105】
S 物標認識装置
OD 物標検出部
1-1~1-5 第1ないし第5検出部
2 制御処理部
3 記憶部
4 運転支援部
21 制御部
22 検出処理部
23 物標処理部
31 処理対象物標記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6