(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-17
(45)【発行日】2025-11-26
(54)【発明の名称】アレイアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20251118BHJP
【FI】
H01Q13/10
(21)【出願番号】P 2025506061
(86)(22)【出願日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2024011982
【審査請求日】2025-02-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジフン
(72)【発明者】
【氏名】内村 弘志
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04916457(US,A)
【文献】特開平11-239017(JP,A)
【文献】特開2016-181832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する基板と、
前記基板の前記第1面にアレイ状に設けられた開口部と、
複数の前記開口部のそれぞれの周囲に形成された複数のビア導体と、
を有する、アレイ状に配列された複数のアンテナ部を備え、
複数の前記アンテナ部は、第1アンテナ部と、前記第1面において第1方向と直交する第2方向において前記第1アンテナ部と隣接する第2アンテナ部と、を有し、
前記第1面の垂直方向から見た平面視において、前記第1アンテナ部
の開口部及び前記第2アンテナ部
の開口部の周囲で前記第1方向に並ぶビア導体群は、
第1ビア導体列と、
前記第1ビア導体列に対して、
前記第1方向および前記第2方向にずれて配置された第2ビア導体列と、を有し、
前記第1ビア導体列は、前記第1アンテナ部と前記第2アンテナ部と、で共有され、
前記第2ビア導体列は、前記第1アンテナ部と前記第2アンテナ部と、で共有されない、
アレイアンテナ。
【請求項2】
複数の前記アンテナ部は、前記第1アンテナ部と前記第1方向において隣接する第3アンテナ部を有し、
前記第1アンテナ部と前記第3アンテナ部は、前記第2方向に並ぶ複数の前記ビア導体を共有している、
請求項1に記載のアレイアンテナ。
【請求項3】
前記ビア導体群は、前記第1アンテナ部及び前記第2アンテナ部の周囲において、前記第1ビア導体列を構成するビア導体と前記第2ビア導体列を構成するビア導体とが前記第1方向に沿って交互に配置される、
請求項1に記載のアレイアンテナ。
【請求項4】
前記基板は、誘電体樹脂またはセラミックを含む、
請求項1に記載のアレイアンテナ。
【請求項5】
前記開口部は、前記平面視で、複数の曲線部を有する形状である、
請求項1に記載のアレイアンテナ。
【請求項6】
前記開口部は、前記平面視で、回転対称な形状である、
請求項5に記載のアレイアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高帯域に適用可能な積層型開口面アンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示のアレイアンテナは、アレイ状に配列された複数のアンテナ部を含み、前記アンテナ部は、第1面を有する基板と、前記基板の前記第1面にアレイ状に設けられた開口部と、複数の前記開口部のそれぞれの周囲に形成された複数のビア導体と、を備え、前記第1面の垂直方向から見た平面視において、前記開口部の周囲で第1方向に並ぶ複数の前記ビア導体の少なくとも一部は、基準位置に対して、前記第1方向又は前記第1面において前記第1方向と直交する第2方向にずれて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、実施形態に係るアンテナの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るアンテナ部の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の比較例に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態の比較例に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態の課題を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態の課題を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る設計ルールの一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るアレイアンテナの反射特性を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射パターンを説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射パターンを説明するための図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射効率を説明するための図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0007】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、X軸およびY軸を含む平面を適宜XY平面と称し、X軸およびZ軸を含む平面を適宜XZ平面と称し、Y軸およびZ軸を含む平面を適宜YZ平面と称する。XY平面は、水平面と平行である。XY平面とXZ平面とYZ平面とは直交する。
【0008】
(アンテナ)
図1を用いて、実施形態に係るアンテナの構成例について説明する。
図1は、実施形態に係るアンテナの構成例を示す図である。
【0009】
図1に示すように、アンテナ1は、アンテナ部10と、給電路20と、を含む。アンテナ部10と、給電路20とは、一体に構成されている。
図1に示す例では、アンテナ部10は、1つのみ示されているが、給電路20にアンテナ部10がアレイ状に設けられ得る。
【0010】
図2は、実施形態に係るアンテナ部の構成例を示す図である。
図1及び
図2が示すように、アンテナ部10は、誘電体層11と、開口部12と、複数のビア導体13と、スロット14と、導体層15と、を含む。
【0011】
誘電体層11は、XY平面に広がる。XY平面は、第1面とも呼ばれる。誘電体層11は、Z軸方向に複数積層されている。
図2では、誘電体層11として、誘電体層11-1と、誘電体層11-2と、誘電体層11-3と、誘電体層11-4との4つの誘電体層が積層されているものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。積層されている誘電体層11の数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。誘電体層11は、誘電体材料で形成されている。誘電体層11は、誘電体基板とも呼ばれる。誘電体層11は、誘電体フィルムである。誘電体層11は、例えば、オレフィン樹脂系のフィルム材料で形成された誘電体フィルムである。
【0012】
開口部12は、複数の誘電体層11にわたって設けられている。開口部12は、XY平面の平面視で、複数の曲線部を有する形状を有する。開口部12の形状の詳細は、後述する。開口部12からは、電磁波が放射される。
【0013】
複数のビア導体13は、各誘電体層11の積層方向に沿って形成されている。複数のビア導体13は、開口部12の周囲に形成されている。複数のビア導体13は、開口部12を囲うように構成されている。複数のビア導体13は、導電部材で形成されている。複数のビア導体13は、それぞれ、導体層15によって電磁気的に接続されている。複数のビア導体13間の最大間隔は、電磁波が漏れないように、例えば、アンテナ部10が通信に使用する電波の波長の1/4程度にすることが好ましい。
【0014】
アンテナ部10は、ふたの無い箱型の共振器であるといえる。アンテナ部10の開口部12の側壁は、複数のビア導体13と、導体層15とで形成される。
【0015】
スロット14は、少なくとも給電路20と接する位置に設けられている。
図2に示す例では、スロット14は、誘電体層11-4に設けられている。
【0016】
導体層15は、XY平面に広がる。導体層15は、例えば、銅などの金属で形成されている。導体層15は、例えば、アンテナ部10の上面に設けられる。導体層15は、例えば、誘電体層11と、その誘電体層11と隣接する誘電体層11との間に設けられる。
【0017】
給電路20は、誘電体層21と、複数のビア導体22と、導体層25と、スロット24と、を備える。給電路20は、誘電体層21の積層方向(Z軸方向)に電磁波を伝送する。
【0018】
誘電体層21は、Z軸方向に積層されている。誘電体層21は、誘電体材料で形成されている。誘電体層21は、例えば、誘電体層11と同じ誘電体材料で形成されている。誘電体層21は、誘電体フィルムである。誘電体層21間には、導電部材で形成された導体層が設けられている。
【0019】
複数のビア導体22は、誘電体層21の積層方向に沿って形成されている。複数のビア導体22は、対応する複数のビア導体13と電磁気的に接続されている。
【0020】
導体層25は、XY平面に広がる。導体層25は、例えば、銅などの金属で形成されている。導体層25は、例えば、給電路20の上面に設けられる。導体層25は、例えば、誘電体層21と、その誘電体層21と隣接する誘電体層11との間に設けられる。
【0021】
スロット24は、少なくともアンテナ部10と接する位置に設けられている。
【0022】
アンテナ部10と、給電路20とは、スロット14及びスロット24を介して、電磁気的に接続されている。
【0023】
[比較例に係るビア導体の配置方法]
(比較例に係るアンテナ部)
図3を用いて、実施形態の比較例に係るアンテナ部のビア導体の配置方法について説明する。
図3は、実施形態の比較例に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0024】
図3は、XY平面の垂直方向から見た、比較例に係るアンテナ部10aの上面図である。比較例では、ミリ波帯の電波を用いて通信を行うアンテナ部10aの、複数のビア導体13の配置方法を示している。
図3に示すように、アンテナ部10aにおいて、複数のビア導体13が、開口部12aの周囲に長方形状に配置されている。
図3に示す例では、X軸方向に並ぶビア導体13は、一直線上に並んでいる。Y軸方向に並ぶビア導体13は、一直線上に並んでいる。この場合、X軸方向に並ぶビア導体13の端から端までの間隔L1は、6.0[mm]、Y軸方向に並ぶビア導体13の端から端までの間隔L2は、5.1[mm]である。
【0025】
(比較例に係るアレイアンテナ)
図4を用いて、実施形態の比較例に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法について説明する。
図4は、実施形態の比較例に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0026】
図4は、XY平面の垂直方向から見た、比較例に係るアレイアンテナ100aの上面図である。
図4に示す例では、アレイアンテナ100aは、アンテナ部10a-1と、アンテナ部10a-2と、アンテナ部10a-3と、アンテナ部10a-4とがアレイ状に配置されているものとする。
図4に示す例では、X軸方向に並ぶアンテナ部10a-1と、アンテナ部10a-2との間隔L3は、6.0[mm]である。Y軸方向に並ぶアンテナ部10a-1と、アンテナ部10a-3との間隔L4は、6.0[mm]である。
【0027】
図3及び
図4に示す例において、ビア導体13の径の大きさは、0.07[mm]であり、設計ルールとして、ビア導体13間の間隔は、少なくとも0.12[mm]必要である。比較例では、制作できるビア導体13の径と、ビア導体13間の間隔は、アンテナ部10のサイズよりも小さいため、理想に近い設計が可能である。
【0028】
(実施形態の課題)
図5と、
図6とを用いて、実施形態の課題について説明する。
図5と、
図6とは、実施形態の課題を説明するための図である。
【0029】
図5は、XY平面の垂直方向から見た、実施形態の課題を説明するためのアンテナ部10bの上面図である。
図5に示す例では、サブテラヘルツ波帯(100から300GHz帯)の電波を用いて通信を行うアンテナ部10bの、複数のビア導体13の配置方法を示している。
図5に示すように、アンテナ部10bにおいて、複数のビア導体13が、開口部12bの周囲に長方形状に配置されている。
【0030】
サブテラヘルツ波帯で使用されるアンテナ部10bは、ミリ波帯のアンテナ部10a(
図3参照)に比べてサイズは小さくなる。ここで、アンテナ部10bにおいて、ビア導体13の径の大きさ、ビア導体13間の間隔、ビアランドの最小値は、設計ルールにより決まっている。
図7は、実施形態に係る設計ルールの一例を説明するための図である。
図7は、XY平面の垂直方向から見た、ビア導体13の配置方法を示している。
図7に示す例において、設計ルールとして、アンテナ部10bの基板が樹脂材料で形成されている場合、ビア導体13の径D1の大きさは0.07[mm]以上、ビア導体13間の間隔D2は0.12[mm]以上、ビア導体13の縁からビアランド16の縁までの距離は、0.04[mm]以上であることが定められている。
【0031】
図5に戻る。
図5に示すように、アンテナ部10bは、複数のビア導体13で構成された、ビア導体群30b-1、ビア導体群30b-2、ビア導体群40b-1及びビア導体群40b-2を含む。
【0032】
ビア導体群30b-1及びビア導体群30b-2は、X軸方向に平行な直線上に並ぶ複数のビア導体13を含む。ビア導体群40b-1及びビア導体群40b-2は、Y軸方向に平行な直線上に並ぶ複数のビア導体13を含む。アンテナ部10bにおいて、X軸方向に並ぶビア導体13の端から端までの間隔L5は、0.6[mm]、Y軸方向に並ぶビア導体13の端から端までの間隔L2は、0.51[mm]である。サブテラヘルツ波帯であっても、アンテナ部10b単体では、理想に近い設計が可能である。本開示では
図5に示す例が、ビア導体13の基準位置と呼ばれる。
【0033】
図6は、XY平面の垂直方向から見た、課題を説明するためのアレイアンテナ100bの上面図である。
図6に示す例では、アレイアンテナ100bは、アンテナ部10b-1と、アンテナ部10b-2と、アンテナ部10b-3と、アンテナ部10b-4とがアレイ状に配置されているものとする。アレイアンテナ100bは、複数のビア導体13で構成された、ビア導体群31b、ビア導体群32b、ビア導体群33b、ビア導体群34b、ビア導体群41b、ビア導体群42b、ビア導体群43b、ビア導体群44b、ビア導体群45b及びビア導体群46bを含む。
【0034】
ビア導体群31bからビア導体群34b、X軸方向に平行な直線上に並ぶ複数のビア導体13を含む。ビア導体群32bに含まれるビア導体13と、ビア導体群34bに含まれるビア導体13は、Y軸方向で対向する。
【0035】
ビア導体群41bからビア導体群46bは、Y軸方向に平行な直線上に並ぶ複数のビア導体13を有する。ビア導体群42bに含まれ各ビア導体13は、アンテナ部10b-1と、アンテナ部10b-2とに共有されている。ビア導体群45bに含まれる各ビア導体13は、アンテナ部10b-3と、アンテナ部10b-4とに共有されている。
【0036】
アレイアンテナ100bにおいて、X軸方向に並ぶアンテナ部10b-1と、アンテナ部10b-2との間の間隔L7は、0.6[mm]である。Y軸方向に並ぶアンテナ部10b-1と、アンテナ部10b-3との間の間隔L8は、0.6[mm]である。この場合、ビア導体群32bに含まれるビア導体13と、ビア導体群33bに含まれるビア導体13との間の間隔は、0.09[mm]となり得る。ビア導体13間の間隔は、少なくとも0.12[mm]必要であるため、
図6に示す例では、設計ルールを満足せず、ビア導体13間の間隔が最小値よりも小さいところが生じる。そのため、サブテラヘルツ波帯のアンテナにおいて、設計ルールを満足するように、ビア導体13の配置方法を工夫する必要がある。
【0037】
[第1実施形態]
(第1実施形態に係るアンテナ部)
図8を用いて、第1実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法について説明する。
図8は、第1実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0038】
図8は、XY平面の垂直方向から見た、第1実施形態に係るアンテナ部10の上面図である。第1実施形態では、サブテラヘルツ波帯の電波を用いて通信を行うアンテナ部10の、複数のビア導体13の配置方法を示している。
図8に示すように、アンテナ部10は、複数のビア導体13で構成された、ビア導体群30-1、ビア導体群30-2、ビア導体群40-1及びビア導体群40-2を含む。
図8に示す例では、ビア導体群30-1及びビア導体群30-2に含まれる、複数のビア導体13は、一直線上に配置されていない。
図8において、X軸方向は磁界方向に平行なH面に平行な方向であり、Y軸方向は電界方向に平行なE面に平行な方向である。X軸方向は第1方向、Y軸方向は第2方向とも呼ばれる。
【0039】
ビア導体群30-1においては、XY平面の平面視において、少なくとも一部のビア導体13が、X軸方向に平行な1つの直線上からずれて配置されている。具体的には、ビア導体13-2及びビア導体13-4は、XY平面の平面視において、1つの直線上から-Y軸方向にずれて配置されている。この場合、ビア導体13-1と、ビア導体13-3と、ビア導体13-5とは、XY平面の平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。ビア導体13-2と、ビア導体13-4とは、XY平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。言い換えれば、ビア導体群30-1は、X軸方向に平行な複数の異なる直線上に並ぶ、複数のビア導体群を有するともいえる。
【0040】
ビア導体群30-2においては、XY平面の平面視において、少なくとも一部のビア導体13が、X軸方向に平行な1つの直線上からずれて配置されている。具体的には、ビア導体13-7及びビア導体13-8は、XY平面の平面視において、1つの直線上から+Y軸方向にずれて配置されている。この場合、ビア導体13-6と、ビア導体13-8と、ビア導体13-10とは、XY平面の平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。ビア導体13-7と、ビア導体13-9とは、XY平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。言い換えれば、ビア導体群30-2は、X軸方向に平行な複数の異なる直線上に並ぶ、複数のビア導体群を有するともいえる。
【0041】
ビア導体群40-1及びビア導体群40-2は、それぞれ、Y軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ複数のビア導体13を有する。
【0042】
ビア導体群40-1に含まれるビア導体13と、ビア導体群40-2に含まれるビア導体13との間の間隔L10は、0.6[mm]である。ビア導体13-1と、ビア導体13-6との間の間隔L11は、0.48[mm]である。ビア導体13-2と、ビア導体13-7との間の間隔L12は、0.6[mm]である。間隔L10、間隔L11及び間隔L12は、所望の共振周波数を実現できるように設定されている。アンテナ部10aにおいて、各ビア導体13の間隔は、0.12[mm]以上にすることができる。すなわち、アンテナ部10aは、設計ルールを満足することができる。
【0043】
第1実施形態において、開口部12は、複数の曲線部を有する形状である。開口部12は、XY平面の平面視で、回転対称な形状を有する。開口部12は、矩形の開口部に曲線部を設けることで形成される。開口部12は、曲線部15aから曲線部15lまでの12個の曲線部を有する。
【0044】
曲線部15aは、開口部12の上辺に設けられている。曲線部15bは、開口部12の右上角部に設けられている。曲線部15cと、曲線部15dと、曲線部15eとは、開口部12の右辺に設けられている。曲線部15fは、右下角部に設けられている。曲線部15gは、開口部12の下辺に設けられている。曲線部15hは、開口部12の左下角部に設けられている。曲線部15iと、曲線部15jと、曲線部15kとは、開口部12の左辺に設けられている。曲線部15lは、開口部12の左上角部に設けられている。
【0045】
曲線部15aから曲線部15lは、開口部12の内側に突出する曲線部である。開口部12は、12個の曲線部を有するものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。開口部12は、ビア導体13の配置によりアンテナ部10の共振周波数が当初の設計値からずれてしまうので、共振周波数を設計値に一致させるように、曲線部を設ければよい。各曲線部は、例えば、XY平面の平面視で、開口部12が回転対称な形状となるように、設ければよい。これにより、アンテナ部10は、特性を満足するようにすることができる。
【0046】
(第1実施形態に係るアレイアンテナ)
図9を用いて、第1実施形態に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法について説明する。
図9は、第1実施形態に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0047】
図9は、XY平面の垂直方向から見た、第1実施形態に係るアレイアンテナ100の上面図である。
図9に示す例では、アレイアンテナ100は、アンテナ部10-1と、アンテナ部10-2と、アンテナ部10-3と、アンテナ部10-4とがアレイ状に配置されているものとする。アンテナ部10-1からアンテナ部10-4は、それぞれ、給電路20(
図1参照)から電力が供給される。
【0048】
図9に示す例では、アンテナ部10がアレイ状に配置されている。
図9に示すアレイアンテナ100は、複数のビア導体13で構成された、ビア導体群31、ビア導体群32、ビア導体群33、ビア導体群34、ビア導体群41、ビア導体群42、ビア導体群43、ビア導体群44、ビア導体群45及びビア導体群46を含む。
【0049】
ビア導体群31は、ビア導体13―11からビア導体13-20を含む。ビア導体群31においては、XY平面の平面視において、少なくとも一部のビア導体13が1つの直線上からずれて配置されている。具体的には、ビア導体13-12、ビア導体13-14、ビア導体13-17及びビア導体13-19は、XY平面の平面視において、1つの直線上から-Y軸方向にずれて配置されている。この場合、ビア導体13-11と、ビア導体13-13と、ビア導体13-15と、ビア導体13-16と、ビア導体13-18と、ビア導体13-20とは、XY平面の平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。ビア導体13-12と、ビア導体13-14と、ビア導体13-17と、ビア導体13-19とは、XY平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。言い換えれば、ビア導体群31は、X軸方向に平行な複数の異なる直線上に並ぶ、複数のビア導体群を有するともいえる。
【0050】
ビア導体群32は、ビア導体13-21からビア導体13―30を含む。ビア導体群32においては、XY平面の平面視において、少なくとも一部のビア導体13が1つの直線上からずれて配置されている。具体的には、ビア導体13-22、ビア導体13-24、ビア導体13-27及びビア導体13-29は、XY平面の平面視において、1つの直線上から+Y軸方向にずれて配置されている。この場合、ビア導体13-21と、ビア導体13-23と、ビア導体13-25と、ビア導体13-26と、ビア導体13-28と、ビア導体13-30とは、XY平面の平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。ビア導体13-22と、ビア導体13-24と、ビア導体13-27と、ビア導体13-29とは、XY平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。言い換えれば、ビア導体群32は、X軸方向に平行な複数の異なる直線上に並ぶ、複数のビア導体群を有するともいえる。
【0051】
ビア導体群33は、ビア導体13-22、ビア導体13-24、ビア導体13-27、ビア導体13-29、ビア導体13-31、ビア導体13-32、ビア導体13-33、ビア導体13-34、ビア導体13-35及びビア導体13-36を含む。すなわち、ビア導体13-22、ビア導体13-24、ビア導体13-27及びビア導体13-29は、ビア導体群32及びビア導体群33に含まれるビア導体13である。
【0052】
ビア導体群33においては、XY平面の平面視において、少なくとも一部のビア導体13が直線上からずれて配置されている。具体的には、ビア導体13-22、ビア導体13-24、ビア導体13-27及びビア導体13-29は、XY平面の平面視において、1つの直線上から-Y軸方向にずれて配置されている。この場合、ビア導体13-22と、ビア導体13-24と、ビア導体13-27と、ビア導体13-29とは、XY平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。ビア導体13-31と、ビア導体13-32と、ビア導体13-33と、ビア導体13-34と、ビア導体13-35と、ビア導体13-36とは、XY平面の平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。言い換えれば、ビア導体群33は、X軸方向に平行な複数の異なる直線上に並ぶ、複数のビア導体群を有するともいえる。
【0053】
ビア導体13-21と、ビア導体13-31とは、Y軸方向で対向する。ビア導体13-23と、ビア導体13-32とは、Y軸方向で対向する。ビア導体13-25と、ビア導体13-33とは、Y軸方向で対向する。ビア導体13-26と、ビア導体13-34とは、Y軸方向で対向する。ビア導体13-28と、ビア導体13-35とは、Y軸方向で対向する。ビア導体13-30と、ビア導体13-36とは、Y軸方向で対向する。
【0054】
ビア導体群34は、ビア導体13-37からビア導体13―46を含む。ビア導体群34においては、XY平面の平面視において、少なくとも一部のビア導体13が直線上からずれて配置されている。具体的には、ビア導体13-38、ビア導体13-40、ビア導体13-43及びビア導体13-45は、XY平面の平面視において、1つの直線上から+Y軸方向にずれて配置されている。この場合、ビア導体13-37と、ビア導体23-39と、ビア導体13-41と、ビア導体13-42と、ビア導体13-44と、ビア導体13-46とは、XY平面の平面視において、X軸方向に平行な直線上に並ぶ。ビア導体13-38と、ビア導体13-40と、ビア導体13-43と、ビア導体13-45とは、XY平面視において、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ。言い換えれば、ビア導体群30-4は、X軸方向に平行な複数の異なる同一の直線上に並ぶ、複数のビア導体群を有するともいえる。
【0055】
ビア導体群41からビア導体群46は、それぞれ、Y軸方向に平行な同一な直線上に並ぶ複数のビア導体13を有する。ビア導体群42に含まれ各ビア導体13は、アンテナ部10-1と、アンテナ部10-2とに共有されている。ビア導体群45に含まれる各ビア導体13は、アンテナ部10-3と、アンテナ部10-4とに共有されている。なお、ビア導体群42には、アンテナ部10-1用の複数のビア導体13と、アンテナ部10-2用の複数のビア導体13とが含まれてよい。
【0056】
図9に示す例において、X軸方向で隣接するビア導体13間の間隔で最も短くなるのは、ビア導体13-15と、ビア導体13-16との間、ビア導体13-25と、ビア導体13-26との間、ビア導体13-33と、ビア導体13-34との間、ビア導体13-41と、ビア導体13-42との間、である。これらのビア導体13間の間隔は、0.12[mm]に設定することができる。
【0057】
図9に示す例において、Y軸方向で隣接するビア導体13間の間隔で最も短くなるのは、ビア導体13-21と、ビア導体13-31との間、ビア導体13-23と、ビア導体13-32との間、ビア導体13-25と、ビア導体13-33との間、ビア導体13-26と、ビア導体13-34との間、ビア導体13-28と、ビア導体13-35との間、ビア導体13-30と、ビア導体13-36との間、である。これらのビア導体13間の間隔は、0.12[mm]に設定することができる。
【0058】
すなわち、
図9に示す例においては、各ビア導体13間の間隔を、0.12[mm]以上にすることができる。すなわち、第1実施形態は、設計ルールを満たす、アレイアンテナ100を実現することができる。
【0059】
[反射特性]
図10を用いて、第1実施形態に係るアレイアンテナの反射特性について説明する。
図10は、第1実施形態に係るアレイアンテナの反射特性を説明するための図である。
【0060】
図10は、横軸が周波数[GHz]を表し、縦軸がSパラメータのS11(反射特性)[dB]を表す。S11は、数値が小さいほど信号がアレイアンテナ100を通過したことを表す。波形201は、アレイアンテナ100の反射特性を表す。
図10に示す例では、アレイアンテナ100の動作帯域は。250[GHz]から300[GHz]であるものとする。
【0061】
波形200が示すように、アレイアンテナ100の反射特性は、動作帯域である250[GHz]から300[GHz]において、-13[dB]以下である。すなわち、アレイアンテナ100は、動作帯域である、250[GHz]から300[GHz]において、良好な反射特性を有する。
【0062】
[放射パターン]
(E面の放射パターン)
図11を用いて、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射パターンについて説明する。
図11は、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射パターンを説明するための図である。
【0063】
図11は、横軸が放射角度[度]を表し、縦軸がゲイン[dB]を表す。波形202は、アレイアンテナ100のE面の放射パターンを表す。波形202が示すように、E面において、放射角度が-90度から90度の範囲で、ゲインは3[dB]以上である。波形202が示すように、アレイアンテナ100は、E面において、良好な放射特性を有する。
【0064】
(H面の放射パターン)
図12を用いて、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射パターンについて説明する。
図12は、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射パターンを説明するための図である。
【0065】
図12は、横軸が放射角度[度]を表し、縦軸がゲイン[dB]を表す。波形203は、アレイアンテナ100のH面の放射パターンを表す。波形203が示すように、H面の放射パターンは、放射角度が0度のときゲインが5[dB]で最大となる。波形203が示すように、H面の放射パターンは、放射角度が0度から離れるに従って、ゲインが徐々に低下する。波形203が示すように、アレイアンテナ100は、H面において、良好な放射特性を有する。
【0066】
[放射効率]
図13を用いて、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射効率について説明する。
図13は、第1実施形態に係るアレイアンテナの放射効率を説明するための図である。
【0067】
図13は、横軸が周波数[GHz]、縦軸が放射効率[%]を表す。波形204は、アレイアンテナ100の放射効率を表す。波形204が示すように、アレイアンテナ100は、動作帯域である、250[GHz]から300[GHz]において、75%以上の放射効率を示す。すなわち、アレイアンテナ100は、動作地域において、良好な放射特性を有する。
【0068】
[第2実施形態]
(第2実施形態に係るアンテナ部)
図14を用いて、第2実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法について説明する。
図14は、第2実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0069】
図14は、XY平面の垂直方向から見た、第2実施形態に係るアンテナ部10Aの上面図である。第1実施形態では、サブテラヘルツ波帯の電波を用いて通信を行うアンテナ部10Aの、複数のビア導体13Aの配置方法を示している。
図14に示すように、アンテナ部10Aは、複数のビア導体13Aで構成された、ビア導体群30A-1、ビア導体群30A-2、ビア導体群40A-1及びビア導体群40A-2を含む。
図14に示す例では、ビア導体群30A-1及びビア導体群30A-2は、X軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ複数のビア導体13Aを有する。ビア導体群40A-1及びビア導体群40A-2は、Y軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ複数のビア導体13Aを有する。
【0070】
ビア導体群30A-1においては、XY平面の平面視において、各ビア導体13Aは、XY平面の平面視において、基準位置に対してX軸方向に平行な同一の直線に沿って、ずれて配置されている。具体的には、ビア導体群30A-1に含まれる各ビア導体13Aは、基準位置に対して、-X軸方向にずれて配置されている。
【0071】
ビア導体群30A-2においては、XY平面の平面視において、各ビア導体13Aは、XY平面の平面視において、基準位置に対してX軸方向に平行な同一の直線に沿って、ずれて配置されている。具体的には、ビア導体群30A-2に含まれる各ビア導体13Aは、基準位置に対して、+X軸方向にずれて配置されている。
【0072】
ビア導体群40-1A及びビア導体群40A-2は、それぞれ、Y軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ複数のビア導体13Aを有する。
【0073】
ビア導体群40A-1に含まれるビア導体13と、ビア導体群40A-2に含まれるビア導体13Aとの間の間隔L20は、0.6[mm]である。ビア導体群30A-1に含まれるビア導体13Aと、ビア導体群30A-2に含まれるビア導体13Aとの間の間隔L21は、0.51[mm]である。アンテナ部10bにおいて、各ビア導体13の間隔は、0.12[mm]以上にすることができる。すなわち、アンテナ部10bは、設計ルールを満足することができる。
【0074】
第2実施形態において、開口部12Aは、複数の曲線部を有する形状である。開口部12Aは、XY平面の平面視で、回転対称な形状を有する。開口部12は、矩形の開口部に曲線部を設けることで形成される。開口部12Aは、曲線部15Aaから曲線部15AKまでの12個の曲線部を有する。
【0075】
曲線部15Aaと、曲線部15Abと、曲線部15Acとは、開口部12Aの上辺に設けられている。曲線部15Adと、曲線部15Aeと、曲線部15Afとは、開口部12Aの左辺に設けられている。曲線部15Agと、曲線部15Ahと、曲線部15Aiとは、開口部12Aの下辺に設けられている。曲線部15Ajと、曲線部15Akと、曲線部15Alとは、開口部12Aの左辺に設けられている。
【0076】
曲線部15Aaから曲線部15Alは、開口部12Aの内側に突出する曲線部である。開口部12Aは、12個の曲線部を有するものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。開口部12Aは、ビア導体13の配置によりアンテナ部10Aの共振周波数が当初の設計値からずれてしまうので、共振周波数を設計値に一致させるように、曲線部を設ければよい。各曲線部は、例えば、XY平面の平面視で、開口部12Aが回転対称な形状となるように、設ければよい。これにより、アンテナ部10Aは、特性を満足するようにすることができる。
【0077】
(第2実施形態に係るアレイアンテナ)
図15を用いて、第2実施形態に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法について説明する。
図15は、第2実施形態に係るアレイアンテナのビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0078】
図15は、XY平面の垂直方向から見た、第2実施形態に係るアレイアンテナ100Aの上面図である。
図15に示す例では、アレイアンテナ100Aは、アンテナ部10A-1と、アンテナ部10A-2と、アンテナ部10A-3と、アンテナ部10A-4とがアレイ状に配置されているものとする。
【0079】
図15に示す例では、アンテナ部10Aがアレイ状に配置されている。
図15に示すアレイアンテナ100Aは、複数のビア導体13Aで構成された、ビア導体群31A、ビア導体群32A、ビア導体群33A、ビア導体群34A、ビア導体群41A、ビア導体群42A、ビア導体群43A、ビア導体群44A、ビア導体群45A及びビア導体群46Aを含む。
【0080】
ビア導体群31Aは、ビア導体13A-1からビア導体13-8を含む。ビア導体13A-1からビア導体13A-8は、XY平面の平面視において、基準位置に対してX軸方向に平行な同一の直線に沿って、ずれて配置されている。具体的には、ビア導体13A-1からビア導体13A-8は、基準位置に対して、+X軸方向にずれて配置されている。
【0081】
ビア導体群32Aは、ビア導体13A-9からビア導体13-16を含む。ビア導体13A-9からビア導体13A-16は、XY平面の平面視において、基準位置に対してX軸方向に平行な同一の直線に沿って、ずれて配置されている。具体的には、ビア導体13A-9からビア導体13A-16は、基準位置に対して、-X軸方向にずれて配置されている。
【0082】
ビア導体群33Aは、ビア導体13A-17からビア導体13-24を含む。ビア導体13A-17からビア導体13A-24は、XY平面の平面視において、基準位置に対してX軸方向に平行な同一の直線に沿って、ずれて配置されている。具体的には、ビア導体13A-17からビア導体13A-24は、基準位置に対して、+X軸方向にずれて配置されている。
【0083】
ビア導体13A-9からビア導体13-16と、ビア導体13A-17からビア導体13A-24とは、逆方向にずれている。そのため、ビア導体13A-9からビア導体13-16と、ビア導体13A-17からビア導体13A-24とは、Y軸方向において、対向していない。
【0084】
ビア導体群34Aは、ビア導体13A-25からビア導体13-32を含む。ビア導体13A-25からビア導体13A-32は、XY平面の平面視において、基準位置に対してX軸方向に平行な同一の直線に沿って、ずれて配置されている。具体的には、ビア導体13A-25からビア導体13A-32は、基準位置に対して、-X軸方向にずれて配置されている。
【0085】
ビア導体群41Aからビア導体群46Aは、それぞれ、Y軸方向に平行な同一の直線上に並ぶ複数のビア導体13Aを有する。ビア導体群42Aに含まれ各ビア導体13Aは、アンテナ部10A-1と、アンテナ部10A-2とに共有されている。ビア導体群45Aに含まれる各ビア導体13は、アンテナ部10-3と、アンテナ部10-4とに共有されている。なお、ビア導体群42Aには、アンテナ部10A-1用の複数のビア導体13Aと、アンテナ部10A-2用の複数のビア導体13Aとが含まれてよい。
【0086】
図15に示す例では、ビア導体群32A及びビア導体群33Aに含まれる各ビア導体13A間の間隔が短くなりやすい。
【0087】
ビア導体13A-10と、ビア導体13A-11との間の間隔、ビア導体13A-11と、ビア導体13A-12との間の間隔、ビア導体13A-14と、ビア導体13A-15との間の間隔、ビア導体13A-15と、ビア導体13A-16との間の間隔、ビア導体13A-17と、ビア導体13A-18との間の間隔、ビア導体13A-18と、ビア導体13A-19との間の間隔、ビア導体13A-22及びビア導体13A-23との間の間隔は、例えば、160[μm]とすることができる。
【0088】
ビア導体13A-9と、ビア導体13A-10との間の間隔、ビア導体13A-13と、ビア導体13A-14との間の間隔、ビア導体13A-19と、ビア導体13A-20との間の間隔及びビア導体13A-23と、ビア導体13A-24との間の間隔は、例えば、146.5[μm]とすることができる。
【0089】
ビア導体13A-12と、ビア導体13A-13との間の間隔及びビア導体13A-20と、ビア導体13A-21との間の間隔は、例えば、133.5[μm]とすることができる。
【0090】
ビア導体13A-10と、ビア導体13A-17との間の間隔、ビア導体13A-10と、ビア導体13A-18との間の間隔、ビア導体13A-11と、ビア導体13A-18との間の間隔、ビア導体13A-11と、ビア導体13A-19との間の間隔、ビア導体13A-12と、ビア導体13A-19との間の間隔、ビア導体13A-14と、ビア導体13A-21との間の間隔、ビア導体13A-14と、ビア導体13A-22との間の間隔、ビア導体13A-15と、ビア導体13A-22との間の間隔、ビア導体13A-15と、ビア導体13A-23及びビア導体13A-16と、ビア導体13A-23との間の間隔は、例えば、128[μm]とすることができる。
【0091】
ビア導体13A-9と、ビア導体13A-17との間の間隔、ビア導体13A-12と、ビア導体13A-20との間の間隔、ビア導体13A-13と、ビア導体13A-20との間の間隔、ビア導体13A-13と、ビア導体13A-21との間の間隔及びビア導体13A-16と、ビア導体13A-24との間の間隔は、例えば、120[μm]とすることができる。
【0092】
すなわち、
図14に示す例においては、各ビア導体13間の間隔を、0.12[mm]以上にすることができる。すなわち、第2施形態は、設計ルールを満たす、アレイアンテナ100Aを実現することができる。
【0093】
[第3実施形態]
(第3実施形態に係るアンテナ部)
図16を用いて、第3実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法について説明する。
図16は、第3実施形態に係るアンテナ部のビア導体の配置方法を説明するための図である。
【0094】
図16は、XY平面の垂直方向から見た、第1実施形態に係るアンテナ部10Bの上面図である。第3実施形態では、基板がセラミックで形成された、サブテラヘルツ波帯の電波を用いて通信を行うアンテナ部10Bの、複数のビア導体13Bの配置方法を示している。アンテナ部10Bは、開口部12Bと、開口部12Bの周囲に形成された複数のビア導体13Bと、を含む。開口部12Bは、矩形状であるが、これに限定されない。
【0095】
図16に示すように、アンテナ部10Bは、少なくとも一部が開口部12Bの方に突出している。具体的には、ビア導体13B-1、ビア導体13B-2、ビア導体13B-3及びビア導体13B-4を含む。第3実施形態では、開口部12Bの面積は、例えば、開口部12(
図8参照)及び開口部12A(
図14参照)よりも大きい。アンテナ部10Bがセラミック基板で構成されている場合には、
図16に示す構成において、アンテナ部10Bの構成とすることで、特性を向上させることができる。
【0096】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
アレイ状に配列された複数のアンテナ部を含み、
前記アンテナ部は、
第1面を有する基板と、
前記基板の前記第1面にアレイ状に設けられた開口部と、
複数の前記開口部のそれぞれの周囲に形成された複数のビア導体と、
を備え、
前記第1面の垂直方向から見た平面視において、前記開口部の周囲で第1方向に並ぶ複数の前記ビア導体の少なくとも一部は、基準位置に対して、前記第1方向又は前記第1面において前記第1方向と直交する第2方向にずれて配置されている、
アレイアンテナ。
(2)
複数の前記アンテナ部のうち、第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部と前記第1方向において隣接する第2アンテナ部とは、前記第2方向に並ぶ複数の前記ビア導体を共有している、
前記(1)に記載のアレイアンテナ。
(3)
前記第1方向に並ぶ複数の前記ビア導体は、基準位置に対して、1つ置きに前記第2方向にずれて配置されている、
前記(1)または前記(2)に記載のアレイアンテナ。
(4)
前記第1方向に並ぶ複数の前記ビア導体のうちの第1ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体と、前記第1ビア導体群と、前記第2方向において隣接する第2ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体とは、前記平面視において、少なくとも一部が対向していない、
前記(1)または前記(2)に記載のアレイアンテナ。
(5)
前記第1ビア導体群と、前記第2ビア導体群とに含まれる少なくとも一部の前記ビア導体は、前記平面視において、前記基準位置に対して、前記第2方向にずれて配置されており、
複数の前記アンテナ部のうち、第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部と前記第2方向において隣接する第3アンテナ部とは、前記第2方向においてずれて配置された前記ビア導体を共有している、
前記(4)に記載のアレイアンテナ。
(6)
前記第1ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体と、前記第2ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体との一方は、前記基準位置に対して、前記第1方向にずれて配置されている、
前記(4)に記載のアレイアンテナ。
(7)
前記第1ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体は、前記平面視において、前記基準位置に対して、前記第1方向にずれて配置され、
前記第2ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体は、前記平面視において、前記基準位置に対して、前記第1ビア導体群に含まれる複数の前記ビア導体とは反対の方向にずれて配置されている、
前記(6)に記載のアレイアンテナ。
(8)
前記基板は、誘電体樹脂またはセラミックを含む、
前記(1)から前記(7)のいずれか1つに記載のアレイアンテナ。
(9)
前記開口部は、前記平面視で、複数の曲線部を有する形状である、
前記(1)から前記(8)のいずれか1つに記載のアレイアンテナ。
(10)
前記開口部は、前記平面視で、回転対称な形状である、
前記(1)から前記(9)のいずれか1つに記載のアレイアンテナ。
【0097】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0098】
1 アンテナ
10,10a,10b,10A,10B アンテナ部
100,100a,100b,100A アレイアンテナ
11,21 誘電体層
12 開口部
13,22 ビア導体
14,24 スロット
15 導体層
20 給電路
【要約】
アレイアンテナは、アレイ状に配列された複数のアンテナ部を含む。アンテナ部は、第1面を有する基板と、基板の第1面にアレイ状に設けられた開口部と、複数の開口部のそれぞれの周囲に形成された複数のビア導体と、を備える。第1面の垂直方向から見た平面視において、開口部の周囲で第1方向に並ぶ複数のビア導体の少なくとも一部は、基準位置に対して、第1方向又は第1面において第1方向と直交する第2方向にずれて配置されている。