(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-25
(45)【発行日】2025-12-03
(54)【発明の名称】血液採取容器及び血漿の分離方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20251126BHJP
【FI】
G01N33/48 D
G01N33/48 K
G01N33/48 J
(21)【出願番号】P 2025075232
(22)【出願日】2025-04-30
(62)【分割の表示】P 2025012204の分割
【原出願日】2025-01-28
【審査請求日】2025-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒井 邦哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 智雅
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/145137(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/202873(WO,A1)
【文献】特開2002-303621(JP,A)
【文献】特開2015-197362(JP,A)
【文献】特開2002-082111(JP,A)
【文献】特開2020-118661(JP,A)
【文献】特開平08-101189(JP,A)
【文献】特開平05-099917(JP,A)
【文献】特開2009-039350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液採取容器本体と、
前記血液採取容器本体内に収容された血液分離用組成物と、
前記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、
前記血液分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、
前記有機成分が、樹脂を含み、
前記水溶液が、抗凝固剤と水とを含み、
前記血液分離用組成物と前記水溶液との組み合わせは、下記式(A)で表される接触角の変化率Aが、下記式(B)で表される接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせであ
り、
前記接触角の変化率Aと前記接触角の変化率Bとの差の絶対値が、5%以上である、血液採取容器。
接触角の変化率A(%)=[(θ1-θ2)/θ1]×100 ・・・(A)
θ1:前記血液分離用組成物の表面に前記水溶液を2μL滴下してから5秒後の前記血液分離用組成物に対する前記水溶液の接触角(°)
θ2:前記血液分離用組成物の表面に前記水溶液を2μL滴下してから100秒後の前記血液分離用組成物に対する前記水溶液の接触角(°)
接触角の変化率B(%)=[(θ3-θ4)/θ3]×100 ・・・(B)
θ3:前記血液分離用組成物の表面に純水を2μL滴下してから5秒後の前記血液分離用組成物に対する純水の接触角(°)
θ4:前記血液分離用組成物の表面に純水を2μL滴下してから100秒後の前記血液分離用組成物に対する純水の接触角(°)
【請求項2】
前記接触角の変化率Aと前記接触角の変化率Bとの差の絶対値が、30%以下である、請求項
1に記載の血液採取容器。
【請求項3】
前記水溶液が、濡れ性改質剤を含む、請求項1又は2に記載の血液採取容器。
【請求項4】
前記濡れ性改質剤が、界面活性剤である、請求項
3に記載の血液採取容器。
【請求項5】
前記濡れ性改質剤が、シリコーン系界面活性剤である、請求項
3に記載の血液採取容器。
【請求項6】
前記樹脂が、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の血液採取容器。
【請求項7】
前記血液分離用組成物の25℃での比重が1.025以上1.090以下である、請求項1又は2に記載の血液採取容器。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の血液採取容器内に血液を採取する工程と、
前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離する工程とを備える、血漿の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液採取容器に関する。また、本発明は、上記血液採取容器を用いた血漿の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、血液を採取するために採血管等の血液採取容器が広く用いられている。上記血液採取容器として、特許文献1に記載のように、樹脂及び無機粉末を含む血液分離用組成物と、抗凝固剤とが収容された血液採取容器が知られている。この血液採取容器では、該血液採取容器に血液を採取した後、血液採取容器を遠心分離することで、血液を血漿と血球成分とに分離することができる。このとき、血漿は血液分離用組成物よりも上側に位置し、血球成分は血液分離用組成物よりも下側に位置し、血液分離用組成物は血漿と血球成分とを隔てる隔壁としての役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血液採取容器として、血液採取容器本体内に、抗凝固剤が水に溶解した状態で収容された血液採取容器(抗凝固剤を含む水溶液が収容された血液採取容器)が用いられることがある。
【0005】
しかしながら、抗凝固剤を含む水溶液が収容された従来の血液採取容器では、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分に血液分離用組成物が比較的多量に付着することがある。例えば、血漿が接すべき血液採取容器本体の内壁面部分に、血液分離用組成物が比較的多量に付着することがある。この様子を
図3に示す。
図3に示す血液採取容器100は、血液採取容器内に血液を採取し、遠心分離した後の血液採取容器である。血液採取容器100において、血漿800が接すべき血液採取容器本体200の内壁面部分R1,R2に、血液分離用組成物300が付着している。血液採取容器本体200の内壁面部分R1,R2に血液分離用組成物300が付着することは、本来意図していない。なお、
図3中、符号900は血球成分である。
【0006】
血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分に血液分離用組成物が比較的多量に付着した場合には、自動分析装置の検体吸引ノズルに血液分離用組成物が付着して、正確な検体吸引が妨げられることがある。
【0007】
本発明の目的は、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着を抑えることができる血液採取容器を提供することである。また、本発明は、上記血液採取容器を用いた血漿の分離方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において、以下の血液採取容器及び血漿の分離方法を開示する。
【0009】
項1.血液採取容器本体と、前記血液採取容器本体内に収容された血液分離用組成物と、前記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、前記血液分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、前記有機成分が、樹脂を含み、前記水溶液が、抗凝固剤と水とを含み、前記血液分離用組成物と前記水溶液との組み合わせは、下記式(A)で表される接触角の変化率Aが、下記式(B)で表される接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせである、血液採取容器。
【0010】
接触角の変化率A(%)=[(θ1-θ2)/θ1]×100 ・・・(A)
【0011】
θ1:前記血液分離用組成物の表面に前記水溶液を2μL滴下してから5秒後の前記血液分離用組成物に対する前記水溶液の接触角(°)
θ2:前記血液分離用組成物の表面に前記水溶液を2μL滴下してから100秒後の前記血液分離用組成物に対する前記水溶液の接触角(°)
【0012】
接触角の変化率B(%)=[(θ3-θ4)/θ3]×100 ・・・(B)
【0013】
θ3:前記血液分離用組成物の表面に純水を2μL滴下してから5秒後の前記血液分離用組成物に対する純水の接触角(°)
θ4:前記血液分離用組成物の表面に純水を2μL滴下してから100秒後の前記血液分離用組成物に対する純水の接触角(°)
【0014】
項2.前記接触角の変化率Aと前記接触角の変化率Bとの差の絶対値が、5%以上である、項1に記載の血液採取容器。
【0015】
項3.前記接触角の変化率Aと前記接触角の変化率Bとの差の絶対値が、30%以下である、項1又は2に記載の血液採取容器。
【0016】
項4.前記水溶液が、濡れ性改質剤を含む、項1~3のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【0017】
項5.前記濡れ性改質剤が、界面活性剤である、項4に記載の血液採取容器。
【0018】
項6.前記濡れ性改質剤が、シリコーン系界面活性剤である、項4又は5に記載の血液採取容器。
【0019】
項7.前記樹脂が、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂を含む、項1~6のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【0020】
項8.前記血液分離用組成物の25℃での比重が1.025以上1.090以下である、項1~7のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【0021】
項9.項1~8のいずれか1項に記載の血液採取容器内に血液を採取する工程と、前記血液が採取された前記血液採取容器を遠心分離する工程とを備える、血漿の分離方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る血液採取容器は、血液採取容器本体と、上記血液採取容器本体内に収容された血液分離用組成物と、上記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備える。本発明に係る血液採取容器では、上記血液分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、上記有機成分が、樹脂を含み、上記水溶液が、抗凝固剤と水とを含む。本発明に係る血液採取容器では、上記血液分離用組成物と上記水溶液との組み合わせが、特定の式(A)で表される接触角の変化率Aが、特定の式(B)で表される接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせである。本発明に係る血液採取容器では、上記の構成が備えられているので、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す血液採取容器を用いて、血液を血漿と血球成分とに分離した様子を模式的に示す正面断面図である。
【
図3】
図3は、従来の血液採取容器を用いて、血液を血漿と血球成分とに分離した様子を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0025】
本発明に係る血液採取容器は、血液採取容器本体と、上記血液採取容器本体内に収容された血液分離用組成物と、上記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備える。本発明に係る血液採取容器では、上記血液分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、上記有機成分が、樹脂を含み、上記水溶液が、抗凝固剤と水とを含む。
【0026】
本発明に係る血液採取容器では、上記血液分離用組成物と上記水溶液との組み合わせが、下記式(A)で表される接触角の変化率Aが、下記式(B)で表される接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせである。
【0027】
接触角の変化率A(%)=[(θ1-θ2)/θ1]×100 ・・・(A)
【0028】
θ1:上記血液分離用組成物の表面に上記水溶液を2μL滴下してから5秒後の上記血液分離用組成物に対する上記水溶液の接触角(°)
θ2:上記血液分離用組成物の表面に上記水溶液を2μL滴下してから100秒後の上記血液分離用組成物に対する上記水溶液の接触角(°)
【0029】
接触角の変化率B(%)=[(θ3-θ4)/θ3]×100 ・・・(B)
【0030】
θ3:上記血液分離用組成物の表面に純水を2μL滴下してから5秒後の上記血液分離用組成物に対する純水の接触角(°)
θ4:上記血液分離用組成物の表面に純水を2μL滴下してから100秒後の上記血液分離用組成物に対する純水の接触角(°)
【0031】
本発明に係る血液採取容器では、上記の構成が備えられているので、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着を抑えることができる。
【0032】
抗凝固剤を含む水溶液が収容された従来の血液採取容器では、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分に血液分離用組成物が比較的多量に付着することがある。本発明者らは、鋭意検討し、上記の原因として、以下の(1)~(3)を見出した。
【0033】
(1)水溶液が存在することにより、血液採取容器の保管時又は輸送時に、血液分離用組成物の表面から樹脂成分が水溶液中に移行することがある。
【0034】
(2)血液採取容器の保管時又は輸送時に、血液採取容器が横に倒されたり、斜めに倒されたりして、水溶液中に移行した樹脂成分が血液採取容器本体の内壁面に付着したり、血液採取容器本体の内壁面に被膜を形成したりすることがある。
【0035】
(3)血液採取後に遠心分離した際、血液採取容器本体の内壁面に付着又は被膜を形成した樹脂成分を足場として、該樹脂成分に血液分離用組成物が更に付着し、その結果、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分に血液分離用組成物が比較的多量に付着する。
【0036】
そして、本発明者らは、鋭意検討し、血液分離用組成物と水溶液とを上記の特定の組み合わせとすることにより、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着を抑えることができることを見出した。この理由としては、血液分離用組成物と水溶液との濡れ性が良好であることによって水溶液中への血液分離用組成物の表面からの樹脂成分の移行が抑えられ、上記の原因(1)が生じ難くなるためであると推察されるが、これに限定されない。
【0037】
したがって、本発明に係る血液採取容器では、水溶液が収容された血液採取容器であるにもかかわらず、上記の構成が備えられているので、血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着を抑えることができる。そのため、自動分析装置の検体吸引ノズルへの血液分離用組成物の付着を抑えることができる。また、遠心分離後の血液採取容器の外観を良好にすることができる。
【0038】
本発明の効果を発揮する観点から、上記血液分離用組成物と上記水溶液との組み合わせは、上記接触角の変化率Aが、上記接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせである。
【0039】
上記接触角の変化率Aと上記接触角の変化率Bとの差の絶対値は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。上記血液分離用組成物と上記水溶液との濡れ性が良好である場合、上記血液分離用組成物の表面に滴下した上記水溶液が次第に濡れ広がることから、上記接触角の変化率Aは大きくなる。従って、本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記接触角の変化率Aと上記接触角の変化率Bとの差の絶対値は、大きいことが好ましい。なお、上記差の絶対値が上記上限以下であると、溶血を効果的に抑えることができる。
【0040】
上記接触角の変化率Aと上記接触角の変化率Bとの差の絶対値は、式:|接触角の変化率A-接触角の変化率B|で表される。上記接触角の変化率Aの単位及び上記接触角の変化率Bの単位はそれぞれ「%」であることから、上記差の絶対値の単位も「%」である。
【0041】
上記接触角の変化率Aを上記接触角の変化率Bよりも大きくする方法及び上記差の絶対値を上記の好ましい範囲に制御する方法としては、上記水溶液に濡れ性改質剤(例えば界面活性剤)を配合する方法等が挙げられる。上記水溶液中の濡れ性改質剤の濃度を高くすれば、上記差の絶対値が大きくなりやすい。
【0042】
上記接触角の変化率Aは、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、より一層好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。上記接触角の変化率Aが上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。なお、上記接触角の変化率Aは、90%以下であってもよく、80%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0043】
上記接触角の変化率Bは、10%以上であってもよく、20%以上であってもよく、30%以上であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよく、70%以下であってもよく、60%以下であってもよい。
【0044】
上記水溶液の接触角(θ2)は、好ましくは90°以下、より好ましくは70°以下、更に好ましくは50°以下である。上記水溶液の接触角(θ2)が上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。なお、上記水溶液の接触角(θ2)は、10°以上であってもよい。
【0045】
上記水溶液の接触角(θ1)は、上記水溶液の接触角(θ2)よりも大きいことが好ましい。
【0046】
上記純水の接触角(θ3)は、上記純水の接触角(θ4)よりも大きいことが好ましい。
【0047】
上記水溶液の接触角(θ2)は、上記純水の接触角(θ4)よりも小さいことが好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0048】
上記水溶液の接触角(θ2)と上記純水の接触角(θ4)との差の絶対値は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上である。上記差の絶対値が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。なお、上記水溶液の接触角(θ2)と上記純水の接触角(θ4)との差の絶対値は、30°以下であってもよく、20°以下であってもよい。
【0049】
上記水溶液の接触角(θ2)と上記純水の接触角(θ4)との差の絶対値は、式:|θ2-θ4|で表される。θ2の単位及びθ4の単位はそれぞれ「°」であることから、上記差の絶対値の単位も「°」である。
【0050】
上記水溶液の接触角(θ1,θ2)及び上記純水の接触角(θ3,θ4)は、JIS-R3527:1999に準拠して、静滴法にて測定される。上記水溶液の接触角(θ1,θ2)及び上記純水の接触角(θ3,θ4)は、静的接触角である。上記水溶液の接触角(θ1,θ2)及び上記純水の接触角(θ3,θ4)は、接触角測定装置(例えば協和界面科学社製「DMo-502」)を用いて測定される。具体的には、以下のようにして測定される。
【0051】
25℃にて、上記水溶液2μLを血液分離用組成物の表面に垂直に滴下する。滴下してから5秒後の水溶液と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、水溶液の接触角(θ1)とする。滴下してから100秒後の水溶液と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、水溶液の接触角(θ2)とする。
【0052】
同様に、25℃にて、上記純水2μLを血液分離用組成物の表面に垂直に滴下する。滴下してから5秒後の純水と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、純水の接触角(θ3)とする。滴下してから100秒後の純水と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、純水の接触角(θ4)とする。
【0053】
なお、θ/2法では、下記式(1)により、接触角が求められる。
【0054】
θ=2×arctan(h/r) ・・・(1)
【0055】
θ:接触角
r:液滴の半径
h:液滴の高さ
【0056】
以下、本発明に係る血液採取容器の詳細などを説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
【0057】
(血液分離用組成物)
上記血液採取容器は、上記血液分離用組成物を備える。上記血液分離用組成物は、血液採取容器本体内に収容されている。上記血液分離用組成物は、遠心分離時に血漿層と血球層との間に移動して隔壁を形成する組成物である。また、上記血液分離用組成物は、遠心分離後に血漿層と血球層との間の成分移行を防止する目的で用いられる。上記血液分離用組成物として、従来公知の血液分離用組成物を用いることができる。上記血液分離用組成物は、チクソトロピー性を有することが好ましい。上記血液分離用組成物は、上記血液採取容器本体の底部に収容されていてもよく、上記血液採取容器本体の側壁面上に配置されていてもよい。上記血液分離用組成物は、上記血液採取容器本体の底部に収容されていることが好ましい。
【0058】
上記血液分離用組成物は、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含む。このため、血液分離用組成物の流動性が高められ、遠心分離操作により形成される隔壁の強度を高めることができる。上記25℃で流動性を有する有機成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記無機微粉末は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
<25℃で流動性を有する有機成分>
上記「25℃で流動性を有する」とは、25℃での粘度が500Pa・s以下であることを意味する。
【0060】
上記有機成分の25℃での粘度は、好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上、好ましくは200Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液分離用組成物の流動性が高められ、遠心分離後に形成される隔壁の強度を高めることができる。
【0061】
上記有機成分の25℃での粘度は、E型粘度計(例えば、東機産業社製「TVE-35」)を用いて、25℃及びせん断速度1.0秒-1の条件で測定される。
【0062】
上記有機成分としては、樹脂、及び樹脂と可塑剤等の有機化合物との混合物等が挙げられる。上記有機成分は、樹脂を含む。上記有機成分は、樹脂と有機化合物とを含むことが好ましい。上記有機成分は、樹脂と有機化合物との混合物であることが好ましい。上記有機成分が樹脂と有機化合物との混合物である場合に、該混合物(上記有機成分)として流動性を有していればよく、該樹脂又は該有機化合物が流動性を有していなくてもよい。上記有機成分が樹脂と有機化合物との混合物である場合に、該樹脂は、例えば、25℃で固体の樹脂であってもよい。上記樹脂及び上記有機化合物はそれぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0063】
上記樹脂としては、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、α-オレフィン-フマル酸エステル共重合体、セバシン酸と2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールと1,2-プロパンジオールとの共重合体、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、及びポリエーテルポリエステル系樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
上記樹脂は、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましく、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、又は(メタ)アクリル系樹脂を含むことがより好ましく、(メタ)アクリル系樹脂を含むことが更に好ましい。この場合には、血液分離用組成物の流動性がより一層高められ、遠心分離後に形成される隔壁の強度をより一層高めることができる。また、この場合には、上記接触角の変化率A及び上記接触角の変化率Bを調整しやすくなる。
【0065】
上記石油系樹脂の市販品としては、イーストマンケミカル社製「リガライトS5090」等が挙げられる。
【0066】
上記シクロペンタジエン系樹脂としては、シクロペンタジエン系モノマーの重合体、シクロペンタジエン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体、及びジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。上記シクロペンタジエン系樹脂は、水素添加されていてもよい。上記シクロペンタジエン系モノマーの重合体及び上記シクロペンタジエン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体は、オリゴマーであってもよい。
【0067】
上記シクロペンタジエン系モノマーとしては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びシクロペンタジエンのアルキル置換誘導体等が挙げられる。
【0068】
上記芳香族系モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、インデン、及びメチルインデン等が挙げられる。
【0069】
上記ジシクロペンタジエン樹脂の市販品としては、コロン社製「スコレッツSU500」及び「スコレッツSU90」等が挙げられる。
【0070】
上記ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、及びポリアルキレンナフタレート樹脂等が挙げられる。上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0071】
上記ポリウレタン系樹脂としては、ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
【0072】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することにより得られる樹脂、及び少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル単量体と少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体とを重合することにより得られる樹脂が挙げられる。
【0073】
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、及び(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル単量体がアルキル基を有する場合に、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、好ましくは20以下である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数が1以上20以下であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0074】
上記有機化合物としては、ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体等が挙げられる。上記有機化合物は、ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体であることが好ましい。したがって、上記有機成分は、上記樹脂と、上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体との混合物であることが好ましい。
【0075】
上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、及びピロメリット酸エステル等が挙げられる。上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】
上記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリn-オクチル、トリメリット酸トリイソオクチル、及びトリメリット酸トリイソデシル等が挙げられる。
【0077】
上記ピロメリット酸エステルとしては、ピロメリット酸テトライソオクチル等が挙げられる。
【0078】
上記トリメリット酸エステルの市販品としては、DIC社製「モノサイザーW700」、及び「モノサイザーW-750」、新日本理化社製「サンソサイザーTOTM」及び「サンソサイザーTITM」等が挙げられる。
【0079】
上記ピロメリット酸エステルの市販品としては、DIC社製「モノサイザーW-7010」等が挙げられる。
【0080】
上記ベンゼンポリカルボン酸アルキルエステル誘導体は、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、又はピロメリット酸エステルであることが好ましく、トリメリット酸エステルであることがより好ましい。
【0081】
上記血液分離用組成物100重量%中、上記有機成分の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、好ましくは98重量%以下である。この場合には、血液分離用組成物の流動性がより一層高められ、遠心分離後に形成される隔壁の強度をより一層高めることができる。また、この場合には、上記接触角の変化率A及び上記接触角の変化率Bを調整しやすくなる。
【0082】
<無機微粉末>
上記無機微粉末としては、微粉末シリカ、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、ガラス微粉末、タルク粉末、カオリン粉末、ベントナイト粉末、チタニア粉末、及びジルコニウム粉末等が挙げられる。
【0083】
上記無機微粉末は、微粉末シリカ、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、ガラス微粉末、タルク粉末、カオリン粉末、ベントナイト粉末、チタニア粉末、又はジルコニウム粉末であることが好ましい。
【0084】
血液分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方を共に好適な範囲に維持する観点からは、上記無機微粉末は、微粉末シリカを含むことが好ましい。25℃での比重が1.050以上である血液分離用組成物を得る場合には、上記無機微粉末は、微粉末シリカと、微粉末シリカ以外の無機微粉末(第2の無機微粉末)とを含むことがより好ましい。ただし、血液分離用組成物の25℃での比重が1.050以上である場合であっても、上記無機微粉末は、上記第2の無機微粉末を含んでいなくてもよい。また、血液分離用組成物の25℃での比重が1.050未満である場合であっても、上記無機微粉末は、上記第2の無機微粉末を含んでいてもよい。上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0085】
上記微粉末シリカとしては、天然シリカ及び合成シリカが挙げられる。合成シリカとしては、親水性シリカ及び疎水性シリカが挙げられる。親水性シリカは、例えば、粒子表面の水酸基同士が水素結合することにより、血液分離用組成物にチクソトロピー性を付与すると共に、比重を調整する作用を有する。一方、疎水性シリカは、親水性シリカに比べてチクソトロピー性の付与効果は小さい。
【0086】
血液分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方を共に好適な範囲に維持する観点からは、上記微粉末シリカは、親水性シリカを含むことが好ましく、親水性シリカと疎水性シリカとを含むことがより好ましい。
【0087】
上記第2の無機微粉末は、微粉末シリカよりも比重が大きい無機微粉末であることが好ましく、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末、アルミナ粉末及び炭酸カルシウム粉末等の比重が2.5以上である無機微粉末であることがより好ましい。なお、上記第2の無機微粉末の比重は、10以下であってもよく、6以下であってもよい。
【0088】
上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末の平均粒子径は、特に限定されない。上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末の平均粒子径は、1nm以上であってもよく、10nm以上であってもよく、500nm以下であってもよく、100nm以下であってもよい。
【0089】
上記無機微粉末、上記微粉末シリカ及び上記第2の無機微粉末の平均粒子径は、体積基準で測定される平均径(体積平均粒子径)であり、50%となるメディアン径(D50)の値である。上記体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法、画像解析法、コールター法、及び遠心沈降法等により測定可能である。上記体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法又は画像解析法により求めることが好ましい。
【0090】
上記微粉末シリカの比表面積は、特に限定されない。上記微粉末シリカの比表面積は、20m2/g以上であってもよく、100m2/g以上であってもよく、500m2/g以下であってもよく、300m2/g以下であってもよい。
【0091】
上記微粉末シリカの比表面積は、BET法により測定される。
【0092】
上記血液分離用組成物100重量%中、上記親水性シリカの含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.10重量%以上、更に好ましくは0.30重量%以上、好ましくは2.50重量%以下、より好ましくは2.00重量%以下である。上記親水性シリカの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方をより一層好適な範囲に維持することができる。
【0093】
上記血液分離用組成物100重量%中、上記微粉末シリカの含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記微粉末シリカの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液分離用組成物の比重とチクソトロピー性との双方をより一層好適な範囲に維持することができる。
【0094】
上記血液分離用組成物100重量%中、上記第2の無機微粉末の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。上記第2の無機微粉末の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液分離用組成物の比重を効果的に大きくすることができる。
【0095】
上記血液分離用組成物100重量%中、上記無機微粉末の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。上記無機微粉末の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液分離用組成物の比重を効果的に大きくすることができる。
【0096】
他の成分:
上記血液分離用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上述した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、有機ゲル化剤、熱可塑性エラストマー、ポリアルキレングリコール、シリコーンオイル、補助溶媒、酸化防止剤、着色剤及び水等が挙げられる。上記他の成分はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0097】
上記血液分離用組成物の25℃での比重は、好ましくは1.025以上、より好ましくは1.030以上、更に好ましくは1.035以上、好ましくは1.090以下、より好ましくは1.085以下、更に好ましくは1.080以下である。上記血液分離用組成物の25℃での比重が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液から血漿を良好に分離することができ、また、血漿への白血球、赤血球及び血小板の混入を効果的に抑えることができる。
【0098】
上記血液分離用組成物の25℃での比重は、血液分離用組成物1滴を、比重を0.002の間隔で段階的に調整した25℃の食塩水中に順次滴下し、食塩水中における浮沈により測定される。上記食塩水の25℃での比重は、比重計(例えば、京都電子工業社製「DA-130N」)を用いて測定される。
【0099】
上記血液分離用組成物の25℃での粘度は、好ましくは50Pa・s以上、より好ましくは70Pa・s以上、好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは400Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0100】
上記血液分離用組成物の25℃での粘度は、E型粘度計(例えば、東機産業社製「TVE-35」)を用いて、25℃及びせん断速度1.0秒-1の条件で測定される。
【0101】
(水溶液)
上記血液採取容器は、上記水溶液を備える。上記水溶液は、上記血液採取容器本体内に収容されている。上記水溶液は、抗凝固剤と水とを含む。
【0102】
<抗凝固剤>
上記抗凝固剤として、従来公知の抗凝固剤を用いることができる。上記抗凝固剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0103】
上記抗凝固剤としては、ヘパリン、ヘパリンの金属塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの金属塩、クエン酸及びクエン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クエン酸ナトリウムとしては、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
【0104】
抗凝固性能を良好に発揮させる観点から、上記抗凝固剤は、EDTA、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリンの金属塩又はクエン酸ナトリウムであることが好ましい。
【0105】
上記水溶液における上記抗凝固剤の濃度は、抗凝固性能が発揮される濃度である限り特に限定されない。
【0106】
<水>
上記水溶液は、水を含む。上記水溶液において、水は溶媒としての役割を果たす。水は純水であってもよい。
【0107】
上記水溶液100重量%中、水の含有量は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下である。
【0108】
<濡れ性改質剤>
上記水溶液は、濡れ性改質剤を含むことが好ましい。上記濡れ性改質剤とは、上記血液分離用組成物の上記水溶液に対する濡れ性を改質させる成分を意味する。上記濡れ性改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0109】
上記濡れ性改質剤としては、界面活性剤、及び水溶性高分子等が挙げられる。
【0110】
上記界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ポリソルベート20、ノニルフェニルポリエチレングリコール、及びドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0111】
上記水溶性高分子としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、デキストリン、及びコラーゲンペプチド等が挙げられる。
【0112】
上記濡れ性改質剤は、界面活性剤であることが好ましく、ノニオン界面活性剤であることがより好ましく、シリコーン系界面活性剤であることが更に好ましい。上記水溶液は、界面活性剤を含むことが好ましく、ノニオン界面活性剤を含むことがより好ましく、シリコーン系界面活性剤を含むことが更に好ましい。この場合には、上記接触角の変化率Aを調整しやすくなり、従って、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0113】
上記水溶液100重量%中、上記濡れ性改質剤の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.007重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下、より一層好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、更に一層好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。上記濡れ性改質剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記接触角の変化率Aを調整しやすくなり、従って、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記濡れ性改質剤の含有量が上記上限以下であると、溶血を効果的に抑えることができる。
【0114】
上記水溶液100重量%中、上記界面活性剤の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.007重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、より一層好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。上記界面活性剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記接触角の変化率Aを調整しやすくなり、従って、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記界面活性剤の含有量が上記上限以下であると、溶血を効果的に抑えることができる。
【0115】
上記水溶液100重量%中、上記シリコーン系界面活性剤の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.007重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。上記シリコーン系界面活性剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記接触角の変化率Aを調整しやすくなり、従って、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記シリコーン系界面活性剤の含有量が上記上限以下であると、溶血を効果的に抑えることができる。
【0116】
<他の成分>
上記水溶液は、上述した成分(抗凝固剤、水、及び濡れ性改質剤)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、無機塩、糖類、pH調整剤及び糖アルコール等が挙げられる。上記他の成分はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0117】
(血液採取容器本体)
上記血液採取容器本体の形状は特に限定されない。上記血液採取容器本体は、有底の管状容器であることが好ましい。上記血液採取容器本体は、開口端と閉口端とを有することが好ましい。上記血液採取容器本体の上記開口端は、上記血液採取容器本体の長さ方向の一端であり、上記血液採取容器本体の上記閉口端は、上記血液採取容器本体の長さ方向の他端である。上記血液採取容器本体において、上記開口端と上記閉口端との距離が、上記血液採取容器本体の長さである。
【0118】
上記血液採取容器本体の素材は特に限定されない。上記血液採取容器本体の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ-アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂;酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変性天然樹脂;ソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス、石英ガラス等のガラスが挙げられる。上記血液採取容器本体の素材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0119】
上記血液採取容器本体は、樹脂容器であることが好ましく、熱可塑性樹脂容器であることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート容器であることが更に好ましい。上記血液採取容器本体が樹脂容器の場合(特に、ポリエチレンテレフタレート容器の場合)には、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分に血液分離用組成物が比較的多量に付着しやすい。これに対して、本発明の血液採取容器では、上記血液採取容器本体が樹脂容器であっても、本発明の効果を効果的に発揮することができる。また、上記樹脂容器はガラス容器と比べて割れにくいため、上記血液採取容器本体が樹脂容器の場合(特に、ポリエチレンテレフタレート容器の場合)には、破損等により採取された血液が飛散するリスクを抑えることができる。
【0120】
(栓体)
上記血液採取容器は、栓体を備えることが好ましい。上記栓体は、血液採取容器本体の開口端に取り付けられていることが好ましい。上記栓体として、従来公知の栓体を用いることができる。上記栓体は、血液採取容器本体の開口端に、気密的かつ液密的に取付けることが可能な素材、形状からなる栓体であることが好ましい。上記栓体は、採血針が刺通され得るように構成されていることが好ましい。
【0121】
上記栓体としては、血液採取容器本体の開口端に嵌合する形状を有する栓体、シート状のシール栓体等が挙げられる。
【0122】
上記栓体は、ゴム栓等の栓本体と、プラスチック等で構成されたキャップ部材とを備える栓体であってもよい。この場合には、血液採取後に、血液採取容器本体の開口端から栓体を引き抜く際に、血液が人体と接触するリスクを抑えることができる。
【0123】
上記栓体(又は上記栓本体)の材料としては、例えば、合成樹脂、エラストマー、ゴム、金属箔等が挙げられる。上記ゴムとしては、ブチルゴム、及びハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。上記金属箔としては、アルミニウム箔等が挙げられる。密封性を高める観点からは、上記栓体の材料は、ブチルゴムであることが好ましい。上記栓体(又は上記栓本体)は、ブチルゴム栓であることが好ましい。
【0124】
(血液採取容器の他の詳細)
上記血液採取容器は、所定量の血液が採取される血液採取容器であることが好ましい。上記血液の上記所定量は、血液採取容器のサイズ及び内圧等により適宜変更される。上記血液の上記所定量(上記血液採取容器に採取される血液の量)は、1mL以上であってもよく、2mL以上であってもよく、4mL以上であってもよく、12mL以下であってもよく、11mL以下であってもよく、10mL以下であってもよい。
【0125】
上記血液採取容器では、上記血液採取容器本体内に収容されている上記水溶液1mLに対して、血液が3mL以上採取されることが好ましく、4mL以上採取されることがより好ましく、11mL以下採取されることが好ましく、10mL以下採取されることがより好ましい。この場合には、血液が過度に希釈されることなく、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0126】
上記水溶液は、上記血液採取容器本体内において、上記血液分離用組成物よりも、上記血液採取容器本体の上記開口端に近い位置に収容されていることが好ましい。上記水溶液は、上記血液採取容器本体内において、上記血液分離用組成物よりも、上記血液採取容器本体の上記開口端側に収容されていることが好ましい。上記血液採取容器を正立状態としたときに、上記血液分離用組成物と上記水溶液とは接触していることが好ましい。上記正立状態とは、上記血液採取容器本体の上記閉口端が下側に位置しかつ上記血液採取容器本体の上記開口端が上側に位置する状態である。上記水溶液は、上記血液分離用組成物の上面上に配置されていることが好ましい。
【0127】
上記血液採取容器は、採血管であることが好ましい。上記血液採取容器本体は、採血管本体であることが好ましい。
【0128】
上記血液採取容器の内圧は特に限定されない。上記血液採取容器の内圧は、減圧されていることが好ましい。上記血液採取容器が減圧容器である場合には、所定量の血液を簡便に血液採取容器に採取することができる。上記血液採取容器は、内部が排気された上で、上記栓体によって密閉された真空採血管として用いることもできる。真空採血管である場合、採血者の技術差によらず一定量の血液を簡便に採取することができる。
【0129】
細菌感染を防止する観点から、血液採取容器の内部はISO又はJISの基準に則って滅菌されていることが好ましい。滅菌処理の方法として、従来公知の方法を使用できる。滅菌処理の方法としては、γ線滅菌及び電子線滅菌等の放射線滅菌、並びに高圧蒸気滅菌等が挙げられる。
【0130】
上記血液採取容器は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0131】
抗凝固剤と濡れ性改質剤とを水に溶解して水溶液を得る。なお、必要に応じてこれら以外の成分も水に溶解して水溶液を得る。得られた水溶液を血液採取容器本体内に添加する。水溶液を添加する前又は添加した後に、血液採取容器本体内に血液分離用組成物を収容する。
【0132】
図1は、本発明の一実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0133】
図1に示す血液採取容器1は、血液採取容器本体2と、血液分離用組成物3と、水溶液4と、栓体5とを備える。血液分離用組成物3及び水溶液4はそれぞれ、血液採取容器本体2内に収容されている。血液採取容器本体2は、開口端と閉口端とを有する。血液分離用組成物3は、血液採取容器本体2の底部に収容されている。水溶液4は、抗凝固剤と水とを含む。水溶液4は、血液採取容器1を正立状態としたときに、血液分離用組成物3の上面上に配置されている。栓体5は、血液採取容器本体2の開口端に挿入されている。血液分離用組成物3と水溶液4との組み合わせは、上記接触角の変化率Aが上記接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせである。
【0134】
図2は、
図1に示す血液採取容器を用いて、血液を血漿と血球成分とに分離した様子を模式的に示す正面断面図である。
【0135】
図2に示す血液採取容器1は、血液採取容器内に血液を採取し、遠心分離した後の血液採取容器である。血液採取容器1に血液を採取し、遠心分離することにより、血液分離用組成物3により形成された隔壁よりも下方に血球成分9が位置し、血液分離用組成物3により形成された隔壁よりも上方に血漿8が位置する。
【0136】
(血漿の分離方法)
上記血液採取容器を用いて、血液から血漿を分離することができる。本発明に係る血漿の分離方法は、上述した血液採取容器内に血液を採取する工程と、上記血液が採取された上記血液採取容器を遠心分離する工程とを備える。
【0137】
本発明に係る血漿の分離方法では、上記血液を採取する工程と上記遠心分離する工程との間に、採取された血液と、上記水溶液とを混合する工程を備えることが好ましい。採取された血液と上記水溶液とを混合する方法としては、転倒混和等が挙げられる。
【0138】
上記遠心分離する工程における遠心分離条件は、上記血液分離用組成物により隔壁を形成させて、血漿と血球とを分離させることができる限り、特に限定されない。上記遠心分離条件としては、例えば、400G以上4000G以下で10分間以上120分間以下で遠心分離する条件等が挙げられる。
【0139】
上記遠心分離する工程後、上記血液分離用組成物により形成された隔壁よりも下方に血球成分が位置し、上記血液分離用組成物により形成された隔壁よりも上方に血漿が位置する。
【0140】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0141】
血液分離用組成物の材料として、以下を用意した。
【0142】
(25℃で流動性を有する有機成分の材料)
(メタ)アクリル系樹脂(下記の合成例1により合成)
石油系樹脂(イーストマンケミカル社製「リガライトS5090」)
ジシクロペンタジエン樹脂1(コロン社製「スコレッツSU500」)
ジシクロペンタジエン樹脂2(コロン社製「スコレッツSU90」)
トリメリット酸エステル
【0143】
合成例1:
アクリル酸-2-エチルヘキシルとアクリル酸ブチルとをアゾ系重合開始剤の存在下で溶液重合法によりラジカル重合させ、25℃で流動性を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体((メタ)アクリル系樹脂)を得た。なお、(メタ)アクリル系樹脂の25℃での比重は、1.034であった。
【0144】
(無機微粉末)
親水性シリカ(微粉末シリカ、日本アエロジル社製「200CF」)
疎水性シリカ(微粉末シリカ、日本アエロジル社製「RX200」)
炭酸カルシウム粉末(比重2.7、IMERYS社製「Socal UP-G」)
【0145】
(その他の成分)
シリコーンオイル(東レダウコーニング社製「SF8410」)
有機ゲル化剤(新日本理化社製「ゲルオールD」)
1-メチル-2-ピロリドン(補助溶媒)
【0146】
水溶液の材料として、以下を用意した。
【0147】
(抗凝固剤)
クエン酸三ナトリウム
【0148】
(濡れ性改質剤)
ポリソルベート20(Tween 20、富士フイルム和光純薬社製「ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート」)
シリコーン系界面活性剤A(ダウ・東レ社製「DOWSIL SF8410 Fluid」)
シリコーン系界面活性剤B(信越化学工業社製「KF-615A」)
【0149】
水
【0150】
(実施例1)
血液分離用組成物の作製:
表1に記載の配合割合で、25℃で流動性を有する有機成分と無機微粉末とその他の成分とを混合し、血液分離用組成物を作製した。得られた血液分離用組成物1滴を、比重を0.002の間隔で段階的に調整した25℃の食塩水中に順次滴下し、食塩水中における浮沈により比重を測定した。得られた血液分離用組成物の25℃での比重は、1.075であった。
【0151】
水溶液の作製:
表1に示す成分を、表1に記載の配合割合で配合して混合することにより、水溶液を得た。なお、表中の配合量は純分量であり、水溶液中における各成分の含有量(濃度)は、無水物状態での含有量(濃度)である。
【0152】
血液採取容器の作製:
血液採取容器本体として、長さ100mm、開口端の内径14mmの管状のポリエチレンテレフタレート容器(PET有底管)を用意した。1.2gの血液分離用組成物を、血液採取容器本体の底部に収容した。また、得られた水溶液1mLを血液分離用組成物の表面上に添加した。血液採取容器内部を、血液採取量が8mLとなるように減圧し、ブチルゴム栓により密封した。密封後、15kGyの線量にてγ線を照射した。このようにして血液採取容器を作製した。
【0153】
(実施例2,3及び比較例1)
水溶液の配合組成を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水溶液及び血液採取容器を作製した。
【0154】
(実施例4)
血液分離用組成物の作製:
表1に記載の25℃で流動性を有する有機成分の材料を配合し、130℃で加熱溶解し、混合して、25℃で流動性を有する有機成分を作製した。次いで、表1に記載の配合割合で、25℃で流動性を有する有機成分と無機微粉末とその他の成分とを混合し、血液分離用組成物を作製した。得られた血液分離用組成物1滴を、比重を0.002の間隔で段階的に調整した25℃の食塩水中に順次滴下し、食塩水中における浮沈により比重を測定した。得られた血液分離用組成物の25℃での比重は、1.045であった。
【0155】
水溶液の作製:
表1に示す成分を、表1に記載の配合割合で配合して混合することにより、水溶液を得た。なお、表中の配合量は純分量であり、水溶液中における各成分の含有量(濃度)は、無水物状態での含有量(濃度)である。
【0156】
血液採取容器の作製:
血液採取容器本体として、長さ100mm、開口端の内径14mmの管状のポリエチレンテレフタレート容器(PET有底管)を用意した。1.2gの血液分離用組成物を、血液採取容器本体の底部に収容した。また、得られた水溶液1mLを血液分離用組成物の表面上に添加した。血液採取容器内部を、血液採取量が8mLとなるように減圧し、ブチルゴム栓により密封した。密封後、15kGyの線量にてγ線を照射した。このようにして血液採取容器を作製した。
【0157】
(実施例5及び比較例2)
水溶液の配合組成を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例4と同様にして、水溶液及び血液採取容器を作製した。
【0158】
(評価)
(1)接触角
用いた血液分離用組成物と水溶液との組み合わせにおいて、接触角測定装置(協和界面科学社製「DMo-502」)を用いて、以下のようにして、接触角を測定した。25℃にて、水溶液2μLを血液分離用組成物の表面に垂直に滴下した。滴下してから5秒後の水溶液と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、水溶液の接触角(θ1)とした。滴下してから100秒後の水溶液と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、水溶液の接触角(θ2)とした。同様に、25℃にて、上記純水2μLを血液分離用組成物の表面に垂直に滴下した。滴下してから5秒後の純水と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、純水の接触角(θ3)とした。滴下してから100秒後の純水と、血液分離用組成物の表面とのなす角度を、θ/2法によって測定し、純水の接触角(θ4)とした。
【0159】
上述の式(A)より接触角の変化率Aを求め、上述の式(B)より接触角の変化率Bを求めた。
【0160】
(2)血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着量
得られた血液採取容器を、ミックスローター(アズワン社製「MR-5」)に設置し、回転数48rpmの条件で、2時間揺動させた。なお、この揺動操作は、血液採取容器の輸送の状態を苛酷的に表した輸送モデル操作である。次いで、血液採取容器に、血液8mLを採取した。血液が採取された血液採取容器を、20℃及び1500×gで10分間遠心分離した。遠心分離後、血液分離用組成物により形成された隔壁よりも下方に血球成分が位置していた。また、血液分離用組成物により形成された隔壁よりも上方に血漿層が位置していた。
【0161】
血液採取容器本体の内壁面のうち、意図しない部分に血液分離用組成物が付着している部分の面積Rを求めた。上記面積Rは、血液採取容器本体の内壁面のうち、血液採取容器本体の長さ方向とは直交する方向(血液採取容器本体の径方向)において、血漿層と血液採取容器本体との間に血液分離用組成物が存在している部分の面積である。また、血液採取容器本体の内壁面のうち、血漿層と血液採取容器本体とが直接接している部分の面積Sを求めた。下記式(X)により、付着面積割合Xを求めた。
【0162】
付着面積割合X(%)=[R/(R+S)]×100 ・・・(X)
R:面積R
S:面積S
【0163】
<血液分離用組成物の付着量の判定基準>
○○:付着面積割合Xが0%以上25%未満
○:付着面積割合Xが25%以上50%未満
×:付着面積割合Xが50%以上
【0164】
構成及び結果を下記の表1に示す。
【0165】
【符号の説明】
【0166】
1…血液採取容器
2…血液採取容器本体
3…血液分離用組成物
4…水溶液
5…栓体
8…血漿
9…血球成分
【要約】
【課題】血液採取後に遠心分離した際に、血液採取容器本体の内壁面の意図しない部分への血液分離用組成物の付着を抑えることができる血液採取容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る血液採取容器は、血液採取容器本体と、前記血液採取容器本体内に収容された血液分離用組成物と、前記血液採取容器本体内に収容された水溶液とを備え、前記血液分離用組成物が、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含み、前記有機成分が、樹脂を含み、前記水溶液が、抗凝固剤と水とを含み、前記血液分離用組成物と前記水溶液との組み合わせは、特定の式(A)で表される接触角の変化率Aが、特定の式(B)で表される接触角の変化率Bよりも大きい組み合わせである。
【選択図】
図1