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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-16
(45)【発行日】2025-12-24
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/16 20060101AFI20251217BHJP
   F16H 61/18 20060101ALI20251217BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20251217BHJP
   F16H 61/68 20060101ALI20251217BHJP
   F16H 59/18 20060101ALI20251217BHJP
   F16H 59/40 20060101ALI20251217BHJP
   F16H 59/48 20060101ALI20251217BHJP
【FI】
F16H61/16
F16H61/18
F16H61/02
F16H61/68
F16H59/18
F16H59/40
F16H59/48
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021119898
(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公開番号】P2023015853
(43)【公開日】2023-02-01
【審査請求日】2024-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 駿太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 健司
(72)【発明者】
【氏名】川上 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 貴宏
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/02
F16H 61/16-61/18
F16H 61/68-61/688
F16H 59/18
F16H 59/38-59/42
F16H 59/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに接続されるトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに接続される変速機と、
前記変速機の動作を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記変速機のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、前記車両の横加速度に応じて実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記シフトホールド制御において、所定条件が成立する場合に、1変速段に限り前記アップシフトを許可し、
前記所定条件は、前記トルクコンバータの出力軸の回転数を示す指標値が、第1閾値よりも大きいとの条件を含み、
前記制御部は、前記車両の横加速度、および、前記車両の減速度に基づいて、前記第1閾値を変化させる、
車両。
【請求項2】
エンジンと、
前記エンジンに接続されるトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに接続される変速機と、
前記変速機の動作を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記変速機のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、前記車両の横加速度に応じて実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記シフトホールド制御において、所定条件が成立する場合に、1変速段に限り前記アップシフトを許可し、
前記所定条件は、前記トルクコンバータの出力軸の回転数を示す指標値が、第1閾値よりも大きいとの条件を含み、かつ、前記車両のアクセル開度が第2閾値よりも大きいとの条件を含む、
車両。
【請求項3】
エンジンと、
前記エンジンに接続されるトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに接続される変速機と、
前記変速機の動作を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記変速機のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、前記車両の横加速度に応じて実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記シフトホールド制御において、所定条件が成立する場合に、1変速段に限り前記アップシフトを許可し、
前記所定条件は、前記トルクコンバータの出力軸の回転数を示す指標値が、第1閾値よりも大きいとの条件を含み、かつ、前記車両のアクセル開度の変化率が第3閾値よりも大きいとの条件を含む、
車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両のドライバの運転特性に関する情報に基づいて、前記第1閾値を変化させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両がコーナーを旋回中である場合においてアップシフトを禁止して変速段を低速段側に維持するためのシフトホールド制御を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-142436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシフトホールド制御においては、アップシフトを禁止することによって、エンジン回転数が高くなりすぎてドライバが違和感を覚える場合が生じるおそれがあるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ドライバへの違和感の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る車両は、エンジンと、
前記エンジンに接続されるトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに接続される変速機と、
前記変速機の動作を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記変速機のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、前記車両の横加速度に応じて実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記シフトホールド制御において、所定条件が成立する場合に、1変速段に限り前記アップシフトを許可し、
前記所定条件は、前記トルクコンバータの出力軸の回転数を示す指標値が、第1閾値よりも大きいとの条件を含み、
前記制御部は、前記車両の横加速度、および、前記車両の減速度に基づいて、前記第1閾値を変化させる
また、上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る車両は、エンジンと、
前記エンジンに接続されるトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに接続される変速機と、
前記変速機の動作を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記変速機のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、前記車両の横加速度に応じて実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記シフトホールド制御において、所定条件が成立する場合に、1変速段に限り前記アップシフトを許可し、
前記所定条件は、前記トルクコンバータの出力軸の回転数を示す指標値が、第1閾値よりも大きいとの条件を含み、かつ、前記車両のアクセル開度が第2閾値よりも大きいとの条件を含む。
また、上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る車両は、エンジンと、
前記エンジンに接続されるトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに接続される変速機と、
前記変速機の動作を制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記変速機のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、前記車両の横加速度に応じて実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記シフトホールド制御において、所定条件が成立する場合に、1変速段に限り前記アップシフトを許可し、
前記所定条件は、前記トルクコンバータの出力軸の回転数を示す指標値が、第1閾値よりも大きいとの条件を含み、かつ、前記車両のアクセル開度の変化率が第3閾値よりも大きいとの条件を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドライバへの違和感の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る車両の駆動系の構成を示す概略図である
図2図2は、本実施形態に係る車両の制御系の構成を示す概略図である。
図3図3は、本実施形態に係るシフトホールド制御中におけるアップシフトが許可される状況を説明するための概略図である。
図4図4は、本実施形態に係る割り込み処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係るセンサ管理処理を説明するフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係る変速管理処理を説明するフローチャートである。
図7図7は、本実施形態に係る非コーナー処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、本実施形態に係るコーナー開始処理を説明するフローチャートである。
図9図9は、本実施形態に係る許可タービン回転数導出処理を説明するフローチャートである。
図10図10は、本実施形態に係るシフトホールド処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両100の駆動系の構成を示す図である。図1に示すように、車両100は、駆動源としてエンジン102およびモータ104を備える。なお、本実施形態では、車両100として、走行用の駆動源としてエンジン102とモータ104とが駆動源として設けられたハイブリッド車両を示すが、走行用の駆動源としてエンジン102のみが設けられたエンジン車両であってもよい。
【0011】
エンジン102は、内部を貫通するようにクランクシャフト102aが配置され、燃焼室における爆発圧力でピストンを往復動させてクランクシャフト102aを回転させる。
【0012】
モータ104は、例えば、U相、V相、W相を有する3相のブラシレスDCモータであり、回転軸104aが回転子104bに固定される。モータ104は、不図示のバッテリに接続され、当該バッテリから供給される電力により回転駆動される。また、モータ104は、車両100の減速時に、回転軸104aが回転されることで電力を生成し、生成した電力でバッテリを充電することもできる。
【0013】
エンジン102のクランクシャフト102aとモータ104の回転軸104aとの間に、エンジン102側から、トルクコンバータ106、油圧クラッチ108、および、変速機110が設けられる。
【0014】
トルクコンバータ106では、クランクシャフト102aに接続されたフロントカバー106aにポンプインペラ106bが固定される。フロントカバー106a内において、トルクコンバータ106の出力軸であるタービンシャフト106dに接続されたタービンランナ106cがポンプインペラ106bに対向配置される。また、ポンプインペラ106bの内周側と、タービンランナ106cの内周側との間にステータ106eが配置される。トルクコンバータ106の内部に作動流体が封入されている。なお、ステータ106eは、トルクコンバータ106、油圧クラッチ108、変速機110等を収容するハウジング112に固定される。
【0015】
ポンプインペラ106bおよびタービンランナ106cには、多数のブレードが設けられている。ポンプインペラ106bが回転することで作動流体が外周側に送出され、作動流体をタービンランナ106cに送ることでタービンランナ106cが回転する。これにより、クランクシャフト102aからタービンランナ106cに動力が伝達される。
【0016】
ステータ106eは、タービンランナ106cから送り出された作動流体の流動方向を変化させてポンプインペラ106bに還流させ、ポンプインペラ106bの回転を促進させる。そのため、トルクコンバータ106は伝達トルクを増幅することができる。
【0017】
また、タービンシャフト106dに固定されたクラッチプレート106fがフロントカバー106aの内面に対向配置される。クラッチプレート106fが油圧によりフロントカバー106aに押し付けられることにより、クランクシャフト102aからタービンシャフト106dに動力が伝達される。また、油圧を制御することでクラッチプレート106fがフロントカバー106aに滑りながら当接することにより、クランクシャフト102aからタービンシャフト106dへ伝達される動力を調整することができる。
【0018】
このような構成でなる車両100は、油圧クラッチ108の接続状態を切り替えることにより、エンジン102およびモータ104の一方または双方で走行する。油圧クラッチ108は、タービンシャフト106dと回転軸104aとの間の動力の伝達を遮断する遮断状態と、タービンシャフト106dと回転軸104aとの間で動力が伝達される連結状態とを切り替えることができる。そして、車両100は、油圧クラッチ108を遮断状態にすることでモータ104のみで走行するモータ走行と、油圧クラッチ108を連結状態にし、モータ104を空転させたり発電機として機能させたりすることで、エンジン102のみで走行するエンジン走行と、油圧クラッチ108を連結状態にし、エンジン102およびモータ104を駆動することで、エンジン102およびモータ104の双方で走行するハイブリッド走行とが切り替え可能である。
【0019】
本実施形態において、変速機110は、有段変速機であり、例えば、9個の変速段を有する。変速機110は、回転軸104aに設けられた複数の第1ギヤ110a、および、出力軸114aに設けられた複数の第2ギヤ110bを含む。出力軸114aは、回転軸104aに平行に配置されている。出力軸114aには駆動輪114が連結されており、エンジン102やモータ104から回転軸104aに伝達された動力は、変速機110を介して変速されて駆動輪114に伝達される。
【0020】
図2は、本実施例に係る車両100の制御系の構成を示す図である。図2中、破線の矢印は制御信号の向きを示す。図2に示すように、車両100の制御系は、変速機110、エンジン102、制御装置150、加速度センサ160、タービン回転数センサ162、車速センサ164、エンジン回転数センサ166、アクセルペダルセンサ168、ブレーキペダルセンサ170、記憶部180を含んで構成される。
【0021】
加速度センサ160は、車両100の左右方向の加速度、すなわち、横加速度と、車両100の前後方向の加速度、すなわち、減速度とを検出する。タービン回転数センサ162は、トルクコンバータ106の出力軸であるタービンシャフト106dの回転数を検出する。車速センサ164は、車両100の車速を検出する。エンジン回転数センサ166は、エンジン102のエンジン回転数を検出する。アクセルペダルセンサ168は、不図示のアクセルペダルの踏込み量を検出する。ブレーキペダルセンサ170は、不図示のブレーキペダルの踏み込み量を検出する。
【0022】
記憶部180には、変速マップが記憶されている。変速マップには、有段変速における、各変速段間の変速条件が設定される。具体的には、有段変速における、1速から2速、2速から3速、3速から4速、4速から5速、5速から6速、6速から7速、7速から8速、8速から9速への変速に対応して、それぞれアップシフト条件が設定される。また、変速マップには、有段変速における、9速から8速、8速から7速、7速から6速、6速から5速、5速から4速、4速から3速、3速から2速、2速から1速への変速に対応して、それぞれダウンシフト条件が設定される。
【0023】
アップシフト条件およびダウンシフト条件の変速条件は、車速センサ164が検出した車両100の車速、アクセルペダルセンサ168が検出したアクセルペダルの踏込み量に基づいたアクセル開度に基づいて規定されている。
【0024】
制御装置150は、1つまたは複数のプロセッサ150aと、プロセッサ150aに接続される1つまたは複数のメモリ150bとを備える。メモリ150bは、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAMを含む。制御装置150のプロセッサ150aは、プログラムと協働して車両100全体を制御する。また、制御装置150のプロセッサ150aは、プログラムを実行することで、制御部152、導出部154としても機能する。
【0025】
詳しくは後述するが、制御部152は、変速機110の動作を制御し、変速機110のアップシフトを禁止するシフトホールド制御を、車両100の横加速度に応じて実行する。また、制御部152は、シフトホールド制御において、詳しくは後述する所定条件が成立する場合に、1変速段に限りアップシフトを許可する。
【0026】
また、詳しくは後述するが、導出部154は、車両100のドライバの走行強度の導出を行う。本実施形態において、走行強度は、ドライバによる車両100の運転の激しさを示す指標である。
【0027】
図3は、本実施形態に係るシフトホールド制御中におけるアップシフトが許可される状況を説明するための概略図である。本実施形態では、図3に示すように、車両100がコーナーを走行中である場合においてアップシフトを禁止して変速段を低速段側に維持するためのシフトホールド制御が実行される。本実施形態では、加速度センサ160によって検出された車両100の横加速度が予め設定された閾値を超えた場合に、車両100がコーナーを走行中であると判定してシフトホールド制御を開始する。そして、シフトホールド制御が開始した後に、加速度センサ160によって検出された車両100の横加速度が予め設定された閾値以下となった場合に、車両100のコーナーの走行が終了したと判定して当該シフトホールド制御を終了する。
【0028】
ところで、従来のシフトホールド制御が実行された場合、コーナーの出口付近でエンジン回転数の高止まり感、すなわち、エンジン回転数が過度に高い状態となり、回転音が騒音と感じるような状況が生じ、ドライバが違和感を覚えるおそれがあるという問題があった。そこで、本実施形態では、シフトホールド制御中において、所定条件が成立する場合に、図3に示すように、1変速段に限りアップシフトを許可することによって、コーナーの出口付近でエンジン回転数の高止まり感を解消する制御を実行する。
【0029】
本実施形態において、所定条件は、トルクコンバータ106の出力軸であるタービンシャフト106dの回転数が、許可タービン回転数よりも大きいとの条件を含む。なお、許可タービン回転数は、本発明に係る第1閾値の一例に相当する。すなわち、シフトホールド制御中において、タービンシャフト106dの回転数が、許可タービン回転数よりも大きい場合において、1変速段に限りアップシフトを許可してもよい。
【0030】
なお、詳しくは後述するが、本実施形態では、許可タービン回転数は、記憶部180に予め記憶されている許可タービン回転数算出マップを参照して算出される。許可タービン回転数算出マップには、車両100の横加速度および車両100の減速度から算出される加速度合力と、ドライバの走行強度とに基づいて、許可タービン回転数が規定されている。
【0031】
また、本実施形態において、所定条件は、車両100のアクセル開度が許可アクセル開度よりも大きいとの条件を含む。なお、許可アクセル開度は、本発明に係る第2閾値の一例に相当する。すなわち、シフトホールド制御中において、車両100のアクセル開度が許可アクセル開度よりも大きい場合において、1変速段に限りアップシフトを許可してもよい。これにより、ループ橋等の長いコーナーにおいて、比較的小さいアクセル開度において走行するような場合であっても、アップシフトを許可せずに、シフトホールド制御を継続させ、エンジン102の高回転数を維持することができるようになる。なお、許可アクセル開度として、変速段毎に異なる値を設定してもよいし、同じ値を設定することとしてもよい。
【0032】
また、本実施形態において、所定条件は、車両100のアクセル開度の変化率が許可アクセル開度変化率よりも大きいとの条件を含む。なお、許可アクセル開度変化率は、本発明に係る第3閾値の一例に相当する。すなわち、シフトホールド制御中において、車両100のアクセル開度の変化率が許可アクセル開度変化率よりも大きい場合において、1変速段に限りアップシフトを許可してもよい。これにより、アクセルを離している最中のようなアクセル開度変化率がマイナスの値をとる場合におけるアップシフトを不許可とすることが可能となるため、ドライバの加速意図のない状況において、ドライバの制御意図と反するアップシフトが行われることを抑制することが可能となる。なお、許可アクセル開度変化率として、変速段毎に異なる値を設定してもよいし、同じ値を設定することとしてもよい。
【0033】
図4は、本実施形態に係る割り込み処理を説明するフローチャートである。制御装置150は、所定制御周期で訪れる割り込みタイミングごとに、図4の一連の処理を繰り返す。上記の割り込みタイミングが到来すると、ステップS100において、制御装置150は、詳しくは後述するセンサ管理処理を実行する。
【0034】
次に、ステップS200において、制御装置150の導出部154は、走行強度導出処理を実行する。本実施形態において、上記したように、走行強度は、ドライバによる車両100の運転の激しさを示す指標である。導出部154は、現在の変速段、車両100の横加速度、車両100の減速度、車両100の車速、アクセル開度変化率の少なくともいずれか基づいて、走行強度の導出を行う。
【0035】
具体的には、割り込みタイミングの各時点においてパラメータごとに異なる強度値の候補を算出して、各時点において候補中の最大値を強度値として決定して、強度値を累積していく。これにより得られる値が走行強度である。本実施形態では、走行強度は、ドライバによる車両100の運転が激しいほど高い値をとり、ドライバによる車両100の運転が穏やかなほど低い値をとる。上記の候補は、車速と前後加速度を用いて算出される候補、変速段とエンジン回転数を用いて算出される候補、車速と横加速度を用いて算出される候補、車速と前後加速度の推移を用いて算出される候補、車速と横加速度の推移を用いて算出される候補、車速とアクセル開度変化速度を用いて算出される候補等がある。すなわち、車速、前後加速度、変速段、エンジン回転数、横加速度、前後加速度の推移、横加速度の推移、アクセル開度変化速度が、車両100のドライバの運転特性に関する情報に相当する。
【0036】
次に、ステップS300では、制御装置150は、詳しくは後述する変速管理処理を実行し、当該割り込み処理を終了する。
【0037】
図5は、本実施形態に係るセンサ管理処理を説明するフローチャートである。ステップS100-1では、制御装置150の制御部152は、加速度センサ160の値を取得し、記憶部180に記憶する。
【0038】
ステップS100-3では、制御装置150の制御部152は、タービン回転数センサ162の値を取得し、記憶部180に記憶する。
【0039】
ステップS100-5では、制御装置150の制御部152は、車速センサ164の値を取得し、記憶部180に記憶する。
【0040】
ステップS100-7では、制御装置150の制御部152は、エンジン回転数センサ166の値を取得し、記憶部180に記憶する。
【0041】
ステップS100-9では、制御装置150の制御部152は、アクセルペダルセンサ168の値を取得し、記憶部180に記憶する。
【0042】
ステップS100-11では、制御装置150の制御部152は、ブレーキペダルセンサ170の値を取得し、記憶部180に記憶し、当該センサ管理処理を終了する。
【0043】
図6は、本実施形態に係る変速管理処理を説明するフローチャートである。ステップS300-1では、制御装置150の制御部152は、上記ステップS100-1で記憶された加速度センサ160の値を参照し、車両100がコーナーを走行中であるか否かを判定するコーナー判定処理を実行する。具体的には、例えば、加速度センサ160によって検出された横加速度が予め設定された閾値を超えた場合に、車両100がコーナーを走行中であると判定し、加速度センサ160によって検出された横加速度が予め設定された閾値を超えていない場合に、車両100がコーナーを走行中ではないと判定することができる。
【0044】
ステップS300-3では、制御装置150の制御部152は、上記ステップS300-1において、車両100がコーナーの走行中であると判定されたか否かを判定する。
【0045】
ステップS300-3のNO、すなわち、車両100がコーナーの走行中ではないと判定された場合には、ステップS310に処理が移る。ステップS310では、制御装置150の制御部152は、詳しくは後述する非コーナー処理を実行し、当該変速管理処理を終了する。
【0046】
ステップS300-3のYES、すなわち、車両100がコーナーの走行中であると判定された場合には、ステップS300-5に処理が移る。ステップS300-5では、制御装置150の制御部152は、車両100がコーナーの走行中であることを示すコーナー中フラグがオンであるか否かを判定する。
【0047】
ステップS300-5のNO、すなわち、コーナー中フラグがオフである場合には、ステップS320に処理が移る。ステップS320では、制御装置150の制御部152は、詳しくは後述するコーナー開始処理を実行し、当該変速管理処理を終了する。
【0048】
ステップS300-5のYES、すなわち、コーナー中フラグがオンである場合には、ステップS330に処理が移る。ステップS330では、制御装置150の制御部152は、詳しくは後述するシフトホールド処理を実行し、当該変速管理処理を終了する。なお、本実施形態では、コーナー中フラグがオンに制御されている場合に、変速機110のアップシフトを禁止するシフトホールド制御が実行されることとなる。
【0049】
図7は、本実施形態に係る非コーナー処理を説明するフローチャートである。ステップS310-1では、制御装置150の制御部152は、シフトホールド制御中に1段階のアップシフトが実行されたことを示す経験フラグがオンであるか否かを判定する。本実施形態では、シフトホールド制御中に1段階のアップシフトが実行されたことを示す経験フラグがオフである場合、すなわち、シフトホールド制御中にアップシフトが未だ実行されていない状態において、上記した所定条件がすべて成立した状態が予め設定された所定時間経過した場合に、アップシフトが許可されることとなる。
【0050】
ステップS310-1のYES、すなわち、経験フラグがオンである場合には、ステップS310-3に処理が移る。ステップS310-3では、制御装置150の制御部152は、経験フラグをオフする。
【0051】
ステップS310-1のNO、すなわち、経験フラグがオフである場合には、ステップS310-5に処理が移る。ステップS310-5では、制御装置150の制御部152は、コーナー中フラグがオンであるか否かを判定する。
【0052】
ステップS310-5のYES、すなわち、コーナー中フラグがオンである場合には、ステップS310-7に処理が移る。ステップS310-7では、制御装置150の制御部152は、コーナー中フラグをオフする。
【0053】
ステップS310-5のNO、すなわち、コーナー中フラグがオフである場合には、ステップS310-9に処理が移る。ステップS310-9では、制御装置150の制御部152は、記憶部180に記憶された変速マップを参照し、予め設定された所定のダウンシフト条件が成立したか否かを判定する。
【0054】
ステップS310-9のYES、すなわち、ダウンシフト条件が成立した場合には、ステップS310-11に処理が移る。ステップS310-11では、制御装置150の制御部152は、高速段側から低速段側に切り換えるダウンシフトを実行するための変速制御処理を実行し、当該非コーナー処理を終了する。
【0055】
ステップS310-9のNO、すなわち、ダウンシフト条件が成立していない場合には、ステップS310-13に処理が移る。ステップS310-13では、制御装置150の制御部152は、記憶部180に記憶された変速マップを参照し、予め設定された所定のアップシフト条件が成立したか否かを判定する。ステップS310-13のNO、すなわち、アップシフト条件が成立していない場合には、当該非コーナー処理を終了する。
【0056】
ステップS310-13のYES、すなわち、アップシフト条件が成立した場合には、ステップS310-15に処理が移る。ステップS310-15では、制御装置150の制御部152は、低速段側から高速段側に切り換えるアップシフトを実行するための変速制御処理を実行し、当該非コーナー処理を終了する。
【0057】
図8は、本実施形態に係るコーナー開始処理を説明するフローチャートである。ステップS320-1では、制御装置150の制御部152は、コーナー中フラグをオンする。
【0058】
ステップS321では、制御装置150の制御部152は、詳しくは後述する許可タービン回転数導出処理を実行する。
【0059】
ステップS320-3では、制御装置150の制御部152は、許可アクセル開度導出処理を実行する。
【0060】
ステップS320-5では、制御装置150の制御部152は、許可アクセル開度変化率導出処理を実行し、当該コーナー開始処理を終了する。
【0061】
図9は、本実施形態に係る許可タービン回転数導出処理を説明するフローチャートである。ステップS321-1では、制御装置150の制御部152は、車両100の横加速度および車両100の減速度に基づいて、記憶部180に記憶された加速度合力算出マップを参照して、加速度合力を算出し、記憶部180に記憶する。
【0062】
加速度合力算出マップには、車両100の横加速度と、車両100の減速度とに基づいて、加速度合力が規定されている。すなわち、本実施形態における加速度合力とは、車両100にかかる加速度の大きさを示す指標で、車両100の横方向と前後方向の双方を加味しているものである。また、横加速度が大きいほど加速度合力が大きくなり、減速度が大きいほど加速度合力が大きくなるように、加速度合力算出マップが設定されている。
【0063】
ステップS321-3では、制御装置150の制御部152は、上記ステップS200において記憶部180に記憶された走行強度を取得する。
【0064】
ステップS321-5では、制御装置150の制御部152は、上記ステップS321-1で算出した加速度合力、および、上記ステップS321-3で取得した走行強度に基づいて、記憶部180に記憶された許可タービン回転数算出マップを参照して、許可タービン回転数を算出し、記憶部180に記憶し、当該許可タービン回転数導出処理を終了する。
【0065】
本実施形態では、加速度合力が大きいほど許可タービン回転数が高くなるように、許可タービン回転数算出マップが設定されている。換言すれば、制御装置150の制御部152は、車両100の横加速度、および、車両100の減速度に基づいて、許可タービン回転数を変化させる。このようにすることで、横加速度の変化のみで行っていたコーナー出口の判定に、前後加速度も追加することでより詳細なコーナー出口の判定を可能にすることができる。これにより、コーナーが連続するような状況において、第1のコーナーから第2のコーナーへと遷移する際に、アップシフトが許可されてしまう現象を抑制することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態では、走行強度が大きいほど許可タービン回転数が高くなるように、許可タービン回転数算出マップが設定されている。換言すれば、制御装置150の制御部152は、車両100のドライバの運転特性に関する情報に基づいて、許可タービン回転数を変化させる。このようにすることで、ドライバによる車両100の運転が穏やかな、所謂、通常走行中においては、許可タービン回転数が比較的低く算出されるため、エンジン回転数が高くなり煩わしいと感じられやすいコーナーの出口付近で1変速段に限りアップシフトが許可されやすくなり、エンジン回転数の高止まり感を解消することが可能となる。また、サーキットを走行するような、ドライバによる車両100の運転が激しい、所謂、スポーツ走行中においては、許可タービン回転数が比較的高く算出されるため、コーナーの出口付近でアップシフトが許可されにくくなり、高エンジン回転数を維持することが可能となる。
【0067】
図10は、本実施形態に係るシフトホールド処理を説明するフローチャートである。ステップS330-1では、制御装置150の制御部152は、経験フラグがオフであるか否かを判定する。
【0068】
ステップS330-1のYES、すなわち、経験フラグがオフである場合には、ステップS330-3に処理が移る。ステップS330-3では、制御装置150の制御部152は、予め設定された所定条件が成立しているか否かを判定する所定条件成立判定処理を実行する。本実施形態では、制御装置150の制御部152は、タービンシャフト106dの回転数が、許可タービン回転数よりも大きく、かつ、車両100のアクセル開度が許可アクセル開度よりも大きく、かつ、車両100のアクセル開度の変化率が許可アクセル開度変化率よりも大きい場合に、所定条件が成立していると判定する。
【0069】
ただし、制御装置150の制御部152は、タービンシャフト106dの回転数が、許可タービン回転数よりも大きい場合に、所定条件が成立していると判定してもよい。また、制御装置150の制御部152は、車両100のアクセル開度が許可アクセル開度よりも大きい場合に、所定条件が成立していると判定してもよい。また、制御装置150の制御部152は、車両100のアクセル開度の変化率が許可アクセル開度変化率よりも大きい場合に所定条件が成立していると判定してもよい。
【0070】
また、制御装置150の制御部152は、タービンシャフト106dの回転数が、許可タービン回転数よりも大きく、かつ、車両100のアクセル開度が許可アクセル開度よりも大きい場合に、所定条件が成立していると判定してもよい。
【0071】
また、制御装置150の制御部152は、タービンシャフト106dの回転数が、許可タービン回転数よりも大きく、かつ、車両100のアクセル開度の変化率が許可アクセル開度変化率よりも大きい場合に、所定条件が成立していると判定してもよい。
【0072】
また、制御装置150の制御部152は、車両100のアクセル開度が許可アクセル開度よりも大きく、かつ、車両100のアクセル開度の変化率が許可アクセル開度変化率よりも大きい場合に、所定条件が成立していると判定してもよい。
【0073】
ステップS330-5では、制御装置150の制御部152は、上記ステップS330-3において、所定条件が成立したと判定されたか否かを判定する。
【0074】
ステップS330-5のYES、すなわち、所定条件が成立した場合には、ステップS330-7に処理が移る。ステップS330-7では、制御装置150の制御部152は、許可タイマのタイマ値をインクリメントする。
【0075】
ステップS330-9では、制御装置150の制御部152は、上記ステップS330-7でインクリメントされた許可タイマのタイマ値が予め設定された閾値以上であるか判定する。ステップS330-9のNO、すなわち、許可タイマのタイマ値が閾値以上ではない場合には、当該シフトホールド処理が終了する。
【0076】
ステップS330-9のYES、すなわち、許可タイマのタイマ値が閾値以上である場合には、ステップS330-11に処理が移る。ステップS330-11では、制御装置150の制御部152は、1変速段に限り低速段側から高速段側に切り換えるアップシフトを許可して、アップシフトを実行する。
【0077】
ステップS330-13では、制御装置150の制御部152は、経験フラグをオンし、当該シフトホールド処理を終了する。
【0078】
ステップS330-5のNO、すなわち、所定条件が成立していない場合には、ステップS330-15に処理が移る。ステップS330-15では、制御装置150の制御部152は、許可タイマのタイマ値をリセットする。
【0079】
ステップS330-1のNO、すなわち、経験フラグがオンである場合には、ステップS330-17に処理が移る。ステップS330-17では、制御装置150の制御部152は、記憶部180に記憶された変速マップを参照し、予め設定された所定のダウンシフト条件が成立したか否かを判定する。ステップS330-17のNO、すなわち、ダウンシフト条件が成立していない場合には、当該シフトホールド処理が終了する。
【0080】
ステップS330-17のYES、すなわち、ダウンシフト条件が成立した場合には、ステップS330-19に処理が移る。ステップS330-19では、制御装置150の制御部152は、高速段側から低速段側に切り換えるダウンシフトを実行するための変速制御処理を実行し、当該シフトホールド処理を終了する。
【0081】
上記したように、本実施形態では、加速度センサ160によって検出された横加速度が予め設定された閾値を超えた場合に、車両100がコーナーを走行中であると判定され、コーナー中フラグがオンに制御される。そして、コーナー中フラグがオンに制御されている場合に、変速機110のアップシフトを禁止するシフトホールド制御が実行されることとなる。そして、上記ステップS330-11において、1変速段に限りアップシフトが許可されて、アップシフトが実行されると、上記ステップS330-13において、経験フラグがオンとなる。そのため、次回以降の割り込みタイミングにおけるシフトホールド処理では、上記ステップS330-1における判定がNOとなり、ステップS330-17に処理が移ることとなる。したがって、次回以降の割り込みタイミングにおけるシフトホールド処理では、所定条件が成立していたとしても、アップシフトが実行されることはない。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
上記実施形態では、タービンシャフト106dの回転数そのものを、タービンシャフト106dの回転数を示す指標値として用いる場合を示した。しかしながら、これに限定されず、タービンシャフト106dの回転数を示す指標値としては、タービンシャフト106dの回転数と相関性のあるものであれば特に限定されない。例えば、タービンシャフト106dの回転数を示す指標値として、動力伝達系のどこの回転数を用いてもよく、例えば、エンジン回転数を用いてもよい。
【符号の説明】
【0084】
100 車両
102 エンジン
106 トルクコンバータ
106d タービンシャフト
110 変速機
150 制御装置
152 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10