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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-05-15
(45)【発行日】2026-05-25
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20260518BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20260518BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022039335
(22)【出願日】2022-03-14
(65)【公開番号】P2023134019
(43)【公開日】2023-09-27
【審査請求日】2025-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】加藤 高士
(72)【発明者】
【氏名】中川 喜幸
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-010760(JP,A)
【文献】特開2020-175623(JP,A)
【文献】特開2020-104312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する基板であって、
当該基板の前記第1の面に設けられ、液体の吐出口と連通し、流入口と流出口とを有
する複数の個別流路が第1の方向に配列した流路列を有し
当該基板を貫通して前記流入口に液体を供給する供給貫通孔と、前記基板を貫通して
前記流出口から液体を回収する回収貫通孔と、を有する基板と、
前記供給貫通孔に液体を供給し前記第1の方向に延在する供給流路、および前記回収貫通孔から液体を回収し前記第1の方向に延在する回収流路と、
前記供給流路、前記供給貫通孔、前記基板の前記第1の面に設けられ前記個別流路の前
記流出口と連通する接続領域、前記回収貫通孔、および前記回収流路の順に液体が流れる
循環流路を有する、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記供給流路および前記回収流路を備え、前記第1の面の裏面である第2の面に接続さ
れた流路部材を有する、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記複数の個別流路が第1の方向に配列した流路列を有し、前記供給貫通孔と前記回収
貫通孔は前記第1の方向と直交する第2の方向に隣接する、請求項1または2に記載の液
体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記供給流路と前記回収流路は、前記基板と直交する方向からみて前記供給貫通孔と前
記回収貫通孔との間に設けられた隔壁によって互いに分離されている、請求項に記載の
液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記複数の個別流路が第1の方向に配列した流路列を有し、前記供給貫通孔と前記回収
貫通孔が前記第1の方向に交互に配列された貫通孔列を有する、請求項1または2に記載
の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記供給流路と前記回収流路は、前記基板と直交する方向からみて前記供給貫通孔と前
記回収貫通孔の周縁に沿って蛇行して延びる隔壁によって互いに分離される、請求項
記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記供給流路および前記回収流路は、前記第1の方向に延びており、
前記供給流路から分岐し、前記第1の方向と直交する第2の方向に延び、前記供給流路
と前記供給貫通孔とを接続する供給接続流路と、
前記回収流路から分岐し、前記第2の方向に延び、前記回収流路と前記回収貫通孔とを
接続する回収接続流路と、を有する、請求項またはに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記貫通孔列の前記第1の方向と直交する第2の方向における両側に、前記流路列が設
けられている、請求項からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記貫通孔列が複数設けられている、請求項からのいずれか1項に記載の液体吐出
ヘッド。
【請求項10】
前記供給貫通孔と前記回収貫通孔はそれぞれ前記第1の方向に複数個設けられている、
請求項からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記複数の個別流路の前記流入口が前記接続領域に接続される、請求項1から1のい
ずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記個別流路の前記流入口は、前記接続領域と異なる、前記基板の前記第1の面に設け
られた第2の接続領域に接続される、請求項1から1のいずれか1項に記載の液体吐出
ヘッド。
【請求項13】
各個別流路は直線状に延びる、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記第2の接続領域は前記液体が再循環しない供給流路に接続される、請求項1また
は1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記第2の接続領域は前記循環流路に接続される、請求項1または1に記載の液体
吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドでは、液体中の揮発成分が蒸発することで吐出口付近の液体が増粘することがある。液体の増粘は、吐出される液滴の吐出速度や着弾精度に影響を及ぼす可能性がある。液体の増粘を抑制するために、吐出口を含む個別流路で微小な液体循環(ミクロ循環)を生じさせるとともに、個別流路に連通する共通流路でより大規模な液体循環(マクロ循環)を生じさせることが提案されている。特許文献1には、基板の一方の面にミクロ循環領域を、他方の面にマクロ循環領域を設け、これらの領域を基板に設けた貫通孔で連通させた液体吐出ヘッドが開示されている。特許文献2には、ミクロ循環を行う個別流路がマクロ循環を行う共通流路に近接して配置された液体吐出ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/208276号
【文献】国際公開第2019/078868号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された液体吐出ヘッドでは、ミクロ循環領域とマクロ循環領域が離れている。このため、個別流路から流出した濃縮インクが、ミクロ循環によって個別流路から再流入しやすい。特許文献2に記載された液体吐出ヘッドでは、個別流路から流出した濃縮インクがマクロ循環流によって下流側に蓄積される。しかし、吐出口からインクが吐出する際は、個別流路の流入口と流出口からインクが供給されるため、流出口からも濃縮インクが個別流路に供給される。従って、これらの液体吐出ヘッドでは、吐出口付近でのインクの増粘を抑制できない可能性がある。
【0005】
本発明は、吐出口と連通する個別流路を有し、液体が個別流路を循環し、個別流路から流出した液体の個別流路への再流入を抑制することのできる液体吐出ヘッドを提供することと目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出ヘッドは、第1の面を有する基板であって、当該基板の第1の面に設けられ、液体の吐出口と連通し、流入口と流出口とを有する複数の個別流路が第1の方向に配列した流路列を有し、当該基板を貫通して流入口に液体を供給する供給貫通孔と、基板を貫通して流出口から液体を回収する回収貫通孔と、を有する基板と、供給貫通孔に液体を供給し前記第1の方向に延在する供給流路、および回収貫通孔から液体を回収し前記第1の方向に延在する回収流路と、供給流路、供給貫通孔、基板の第1の面に設けられ個別流路の流出口と連通する接続領域、回収貫通孔、および回収流路の順に液体が流れる循環流路を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出口と連通する個別流路を有し、液体が個別流路を循環し、個別流路から流出した液体の個別流路への再流入を抑制することのできる液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
図2】本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
図3】本発明の第3の実施形態の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
図4】本発明の第4の実施形態の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
図5】本発明の第5の実施形態の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
図6】本発明の第6の実施形態の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
図7】比較例の液体吐出ヘッドの要部模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を説明して、本発明の液体吐出ヘッドのいくつかの実施形態を説明する。以下に述べる実施形態は、本発明の適切な具体例であるから、技術的に好ましい様々の限定が付けられている。しかし、本発明がこれらの実施形態に限定されないことは勿論である。本発明の液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。以下の実施形態はインクを吐出するインク吐出ヘッドを対象としているが、本発明はインク以外の液体を吐出する用途、例えばバイオチップ作製や電子回路印刷などにも用いることができる。
【0010】
以下の説明及び図面において、基板1の第1の面1Aは、個別流路4や吐出口5が形成される面であり、基板1の第2の面1Bは第1の面1Aの裏面である。第1の方向Xは基板1の第1及び第2の面1A,1Bと平行であって、以下に述べる流路列31、吐出口列32、貫通孔列33~35が延在する方向である。第1の方向Xは液体吐出ヘッド100の長手方向に対応する。第2の方向Yは基板1の第1及び第2の面1A,1Bと平行であって、第1の方向Xと直交する方向である。第2の方向Yは液体吐出ヘッド100の短手方向に対応する。Z方向は基板1の第1及び第2の面1A,1Bと垂直な方向、すなわち、第1の方向X及び第2の方向Yと直交する方向である。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の液体吐出ヘッド100の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図1(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド100の平面図であり、インクのマクロ循環を示している。図1(b)は第1の方向Xからみた図1(a)のA-A線に沿った断面図であり、インクのミクロ循環とマクロ循環を示している。図1(c)は図1(a)のB部拡大図であり、インクのミクロ循環を示している。液体吐出ヘッド100は、基板1と、基板1に設けられた吐出口形成部材2と、吐出口形成部材2の反対側にあって基板1を支持する流路部材3と、を有している。基板1は第1の方向Xに長く第2の方向Yに短い平行四辺形である。基板1と吐出口形成部材2との間には複数の個別流路4が形成されている。吐出口形成部材2には、個別流路4と連通しインクを吐出する吐出口5が形成されている。基板1の吐出口5と対向する位置に、インクに吐出のためのエネルギーを与えるエネルギー発生素子6が形成されている。基板1にはインクにミクロ循環(後述)のためのエネルギーを与える再循環素子7も形成されている。再循環素子7が発生させるエネルギーはインクを吐出させるほど大きなものではない。エネルギー発生素子6及び再循環素子7としては、電気熱変換素子やピエゾ素子を用いることができる。
【0012】
個別流路4は、基板1の第1の面1Aに設けられインクが再循環する流路である。個別流路4は略U字形状を有しており、その上流側に再循環素子7が、下流側にエネルギー発生素子6が設けられている。エネルギー発生素子6と再循環素子7との間には仕切壁16が設けられている。複数の個別流路4は第1の方向Xに延びる流路列31を形成し、これに伴い吐出口5は第1の方向Xに延びる吐出口列32を形成している。図1(a)では第1の方向Xに4つの個別流路4が配列しているが、実際にはこれより多い個別流路4が第1の方向Xに配列している。本実施形態では2つの流路列31が設けられている。基板1の第1の面1Aには、複数の個別流路4の流入口41及び流出口42と連通する接続領域8が設けられている。接続領域8は、第2の方向Yに、複数の個別流路4の流入口41及び流出口42と隣接して配置されている。流出口42の前方にはフィルター部材19が設けられている。
【0013】
エネルギー発生素子6の非駆動時(インク非吐出時)は、接続領域8から流入口41を通って個別流路4に入ったインクは、再循環素子7で駆動され、エネルギー発生素子6を通り、流出口42から接続領域8に流出する。これによって、個別流路4にミクロ循環C1が生じる。ミクロ循環C1は、再循環素子7によって引き起こされる個別流路4単位でのインクの微小循環である。すなわち、ミクロ循環C1は、一つの吐出口5と一つのエネルギー発生素子6と一つの再循環素子7とを含む個々の個別流路4で生じる。インク非吐出時には、吐出口5からの蒸発によって増粘した濃縮インクは、ミクロ循環C1によって個別流路4の流出口42から流出する。これによって、吐出口5の近傍の濃縮インクが新鮮なインクで置換され、吐出口5の詰まりを抑制することができる。
【0014】
基板1には、基板1を貫通する供給貫通孔9と回収貫通孔10とが形成されている。供給貫通孔9と回収貫通孔10は基板1を第1の面1Aから第2の面1Bに貫通する。Z方向からみて、供給貫通孔9と回収貫通孔10は接続領域8に位置している。流路部材3には、基板1の第2の面1Bに面する供給流路11と回収流路12とが設けられている。供給流路11は供給貫通孔9に接続され、回収流路12は回収貫通孔10に接続されている。Z方向からみて、供給流路11と回収流路12は、供給貫通孔9と回収貫通孔10との間に設けられた隔壁13によって互いに分離されている。隔壁13は第1の方向Xに直線状に延びているが、供給流路11と回収流路12を分離することができれば形状は限定されない。以上の構成により、接続領域8、供給貫通孔9、回収貫通孔10、供給流路11、回収流路12は、インクの循環流路8~12を形成する。インクは供給流路11、供給貫通孔9を通って基板1の第1の面1Aに流入し、第1の面1Aの接続領域8を通って、回収貫通孔10、回収流路12の順で流れる。供給貫通孔9は接続領域8にインクを供給し、さらに接続領域8を介して複数の個別流路4にインクを供給する。回収貫通孔10は接続領域8からインクを回収する。つまり、回収貫通孔10は接続領域8を介して複数の個別流路4からインクを回収する。
【0015】
このように、循環流路8~12は、複数の個別流路4と連通しインクが再循環する流路である。循環流路8~12に生じるインクの循環はマクロ循環C2と呼ばれる。マクロ循環C2はミクロ循環C1より大きな範囲の循環である。後に述べるように、マクロ循環C2は必ずしも個別流路4にインクを供給する必要はないが、個別流路4から流出するインクを再循環させるように構成されている。マクロ循環C2は循環流路8~12に設けられたマクロ循環用の再循環素子や、基板1の外部に設けられた循環ポンプ(ともに図示せず)などによって生じる。
【0016】
供給貫通孔9と回収貫通孔10はそれぞれ第1の方向Xに複数個設けられて、供給貫通孔列33と回収貫通孔列34を形成している。図1(a)には第1の方向Xに2つの供給貫通孔9と2つの回収貫通孔10が配列しているが、実際にはこれより多い供給貫通孔9と回収貫通孔10が第1の方向Xに配列している。供給貫通孔列33と回収貫通孔列34は第2の方向Yにおいて2つの流路列31の間に位置し、流路列31は供給貫通孔列33及び回収貫通孔列34の第2の方向Yにおける両側に設けられている。すなわち、一対の貫通孔列33,34はこれと組み合わされた2つの流路列31で共用されている。これによって貫通孔列33,34の数を抑えることができる。各供給貫通孔9とこれに対応する回収貫通孔10は第2の方向Yに互いに隣接し、マクロ循環C2は主として各供給貫通孔9から対応する回収貫通孔10に向けて流れる。従って、接続領域8において、マクロ循環C2は概ね第2の方向Yに生じる。
【0017】
ここで、図7を参照して比較例について説明する。図7は、比較例の液体吐出ヘッド101の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図7(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド101の平面図、図7(b)は第1の方向Xからみた図7(a)のA-A線に沿った断面図である。比較例では、個別流路4内のミクロ循環C1のため、矢印C3で示すように、個別流路4の流出口42から流出した濃縮インクが個別流路4の流入口41から個別流路4へ再流入する可能性がある。この濃縮インクの再流入のために、個別流路4内の濃縮インクが新鮮なインクに効率的に置換されない可能性がある。この課題は、例えば第4~第6の実施形態のように流入口41を流出口42から離して配置することで解決できるが、インク吐出時には流入口41と流出口42の両方からインクが個別回路に流入するので、濃縮インクが個別流路4に逆流する可能性がある。つまり、流入口41を流出口42から離して配置しても、インク吐出時には濃縮インクによる吐出不良や印字不良が生じる可能性がある。これらの課題は、個別流路4の流出口42から流出した濃縮インクが流入口41と流出口42の少なくともいずれかを通って個別流路4に再流入することが原因である。従って、個別流路4の流出口42から接続領域8に流出した濃縮インクを、個別流路4に流入させることなく、接続領域8から排出することが望ましい。
【0018】
比較例における上述の課題の原因の一つは、ミクロ循環C1を行う個別流路4とマクロ循環C2を行う循環流路が、基板1の貫通孔109だけを介して連通していることである。ミクロ循環C1は基板1の第1の面1A側だけで生じ、マクロ循環C2は基板1の第2の面1B側だけで生じるため、マクロ循環C2によって個別流路4の濃縮インクを新鮮なインクに置換する効果が限定的である。従って、個別流路4の流出口42から流出した濃縮インクを接続領域8から効率的に排出することができない。これに対して、本実施形態では、供給流路11と回収流路12が隔壁13によって互いに分離されているので、マクロ循環C2は供給貫通孔9を通って基板1の第1の面1Aの接続領域8、すなわち個別流路4の流出口42の近傍を流れる。換言すれば、マクロ循環C2はZ方向においてミクロ循環C1と同一レベルを流れる。ミクロ循環C1によって個別流路4から接続領域8に流出した濃縮インクは、マクロ循環C2によって接続領域8から効率的に排出され、個別流路4が新鮮なインクで置換される。濃縮インクが接続領域8に滞留しにくいため、インク吐出時に濃縮インクが接続領域8から個別流路4に逆流する可能性も低減する。これにより、個別流路4の流出口42から流出した濃縮インクの影響を低減することができる。なお、本実施形態では再循環素子7は電気熱変換素子としているが、ピエゾ素子を用いた場合は、その駆動方法によっては、個別流路4の流入口41と流出口42が本実施形態と逆になることがある。この場合も本実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0019】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の液体吐出ヘッド100の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図2(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド100の平面図、図2(b)は第1の方向Xからみた図2(a)のA-A線に沿った断面図、図2(c)は第1の方向Xからみた図2(a)のB-B線に沿った断面図である。図2(b),2(c)はインクのミクロ循環C1とマクロ循環C2を示している。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成や効果は第1の実施形態と同様である。
【0020】
供給貫通孔9と回収貫通孔10は、協働して第1の方向Xに延びる1列の貫通孔列35を形成している。供給貫通孔9と回収貫通孔10は第1の方向Xに交互に配置され、マクロ循環C2は供給貫通孔9と回収貫通孔10との間を第1の方向Xに流れる。流路列31は貫通孔列35の第2の方向Yにおける両側に設けられている。すなわち、1列の貫通孔列35が2つの流路列31と組み合わされている。循環流路8~12は、接続領域8と、供給貫通孔9と、回収貫通孔10と、供給流路11と、回収流路12と、を有している。供給貫通孔9と回収流路12は基板1の第2の面1Bに面し、それぞれ供給流路11と回収貫通孔10に連通している。供給流路11と回収流路12を分離する隔壁13は、Z方向からみて供給貫通孔9と回収貫通孔10の周縁に沿って蛇行して延びている。供給貫通孔9は、供給流路11から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びる供給接続流路14によって供給流路11と接続されている。同様に、回収貫通孔10は、回収流路12から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びる回収接続流路15によって回収流路12と接続されている。
【0021】
第1の実施形態では、マクロ循環C2は接続領域8において、主に供給貫通孔列33と回収貫通孔列34との間を第2の方向Yに流れる。これに対して本実施形態では、マクロ循環C2は接続領域8において第1の方向Xに流れ、インクの流れは特に貫通孔列35に沿った領域で支配的となる。このためマクロ循環C2は個別流路4の流出口42に近い領域を流れることができる。供給貫通孔9と回収貫通孔10が交互に配列するため、マクロ循環C2は第2の方向Yにより均一に流れる。これらの理由によって、個別流路4の流出口42から流出した濃縮インクをより効率的に接続領域8から排出することができる。また、本実施形態では供給貫通孔9と回収貫通孔10を交互に配置するため貫通孔列35が1列で済む。従って、第1の実施形態と比べて貫通孔及び貫通孔列間のスペースが削減され、液体吐出ヘッド100の第2の方向Yの寸法の縮小が可能である。
【0022】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態の液体吐出ヘッド100の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図3(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド100の平面図、図3(b)は第1の方向Xからみた図3(a)のA-A線に沿った断面図、図3(c)は第1の方向Xからみた図3(a)のB-B線に沿った断面図である。図3(b),3(c)はインクのミクロ循環C1とマクロ循環C2を示している。以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成や効果は第1及び第2の実施形態と同様である。貫通孔列35は複数設けられ、流路列31は各貫通孔列35の第2の方向Yにおける両側に設けられている。すなわち、1列の貫通孔列35が2つの流路列31と組み合わされている。供給接続流路14は供給流路11から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びている。供給接続流路14は複数の(本実施形態では2つの)貫通孔列35の、第1の方向Xにおいて同じ位置にある各供給貫通孔9と接続されている。同様に、回収接続流路15は回収流路12から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びている。回収接続流路15は複数の(本実施形態では2つの)貫通孔列35の、第1の方向Xにおいて同じ位置にある各回収貫通孔10と接続されている。貫通孔列35の数は2つに限定されず、3以上の貫通孔列35を設けることもできる。1つの供給流路11と1つの回収流路12との間に複数の貫通孔列35を設けることができるので、これと組み合わされる吐出口列32の数も増やすことができる。従って、液体吐出ヘッド100の第2の方向Yの寸法を抑えながら、多くの吐出口5を設けることができる。
【0023】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態の液体吐出ヘッド100の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図4(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド100の平面図、図4(b)は第1の方向Xからみた図4(a)のA-A線に沿った断面図、図4(c)は第1の方向Xからみた図4(a)のB-B線に沿った断面図である。図4(b),4(c)はインクのミクロ循環C1とマクロ循環C2を示している。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成や効果は第1の実施形態と同様である。
【0024】
個別流路4の流入口41は接続領域8と異なる他の接続領域8Aに接続されている。個別流路4の両側に個別流路4と組み合わされた貫通孔列35,36が設けられている。貫通孔列35は接続領域8に位置し,貫通孔列36は他の接続領域8Aに位置している。他の接続領域8Aには供給貫通孔9だけが設けられ、回収貫通孔10は設けられていない。つまり、貫通孔列36は供給貫通孔9だけで構成され、他の接続領域8Aはインクが再循環しない供給流路17に接続される。供給流路17と供給流路11は隔壁18によって互いに分離されている。ミクロ循環C1は第1~第3の実施形態と異なり、異なる接続領域8,8Aの間を流れる。
【0025】
接続領域8の構成は第2の実施形態と同様である。供給貫通孔9と回収貫通孔10は第1の方向Xに交互に配置され、第1の方向Xに延びる1列の貫通孔列35を形成している。マクロ循環C2は接続領域8において、供給貫通孔9と回収貫通孔10との間を第1の方向Xに流れる。供給貫通孔9は、供給流路11から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びる供給接続流路14によって供給流路11と接続されている。同様に、回収貫通孔10は、回収流路12から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びる回収接続流路15によって回収流路12と接続されている。
【0026】
個別流路4の流入口41と流出口42が異なる接続領域8,8Aに接続される場合、流出口42につながる接続領域8だけでマクロ循環C2をさせても十分な効果が得られる。よって、本実施形態によれば、マクロ循環C2のためのポンプの合理化が可能である。ただし、接続領域8から濃縮インクが個別流路4に流入することを防ぐため、流入口41の圧力は流出口42の圧力より高くすることが好ましい。これは供給流路17にインクを供給するポンプの圧量制御などによって実現することができる。各個別流路4は第2の方向Yに直線状に延びているため、配置効率に優れる。しかし、流入口41と流出口42が異なる接続領域8に接続されている限り、個別流路4の形状は何ら限定されず、曲線状や折れ線状でもよい。本実施形態では、吐出口5を第1の方向Xに直線状に配置にできるが。図5(d)に示すように大きさの異なる吐出口5A,5Bを第2の方向Yにずらして、吐出口5A,5Bをそれぞれ別々の列として第1の方向Xに配列することもできる。図示は省略するが、第1の実施形態で示した供給貫通孔列33と回収貫通孔列34を備える構成も本実施形態に適用可能である。
【0027】
(第5の実施形態)
図5は、第5の実施形態の液体吐出ヘッド100の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図5(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド100の平面図、図5(b)は第1の方向Xからみた図5(a)のA-A線に沿った断面図、図5(c)は第1の方向Xからみた図5(a)のB-B線に沿った断面図である。図5(b),5(c)はインクのミクロ循環C1とマクロ循環C2を示している。以下、第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成や効果は第1及び第4の実施形態と同様である。本実施形態では、貫通孔列35の第2の方向Yの両側に、貫通孔列35と組み合わされた流路列31が設けられている。それ以外の構成は第4の実施形態と同じである。一つの貫通孔列35が2つの流路列31で共用されるので、液体吐出ヘッド100の第2の方向Yの寸法を抑えながら、多くの吐出口5を設けることができる。図示は省略するが、第1の実施形態で示した供給貫通孔列33と回収貫通孔列34を備える構成も本実施形態に適用可能である。
【0028】
(第6の実施形態)
図6は、第6の実施形態の液体吐出ヘッド100の吐出口5の近傍を詳細に説明する模式図である。図6(a)はZ方向からみた液体吐出ヘッド100の平面図、図6(b)は第1の方向Xからみた図6(a)のA-A線に沿った断面図、図6(c)は第1の方向Xからみた図6(a)のB-B線に沿った断面図である。図6(b),6(c)はインクのミクロ循環C1とマクロ循環C2を示している。以下、第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。説明を省略した構成や効果は第4及び第5の実施形態と同様である。本実施形態では、第4及び5の実施形態と同様、個別流路4の流入口41は接続領域8と異なる他の接続領域8Aに接続されている。貫通孔列35は複数設けられ、中央の貫通孔列35の第2の方向Yにおける両側に、貫通孔列35と組み合わされた流路列31が設けられている。個別流路4と組み合わされた両側の接続領域8,8Aには、供給貫通孔9と回収貫通孔10が第2の方向Yに交互に配置された貫通孔列35が設けられている。第4及び5の実施形態と異なり、他の接続領域8Aは循環流路8~12に接続されている。
【0029】
第3の実施形態と同様、供給接続流路14は供給流路11から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びている。供給接続流路14は複数の(本実施形態では3つの)貫通孔列35の、第1の方向Xにおいて同じ位置にある各供給貫通孔9と接続されている。同様に、回収接続流路15は回収流路12から櫛歯状に分岐し第2の方向Yに延びている。回収接続流路15は複数の(本実施形態では3つの)貫通孔列35の、第1の方向Xにおいて同じ位置にある各回収貫通孔10と接続されている。貫通孔列35の数は3つに限定されない。本実施形態においても第3の実施形態と同様、1つの供給流路11と1つの回収流路12との間に複数の貫通孔列35を設けることができるので、これと組み合わされる吐出口列32の数も増やすことができる。従って、液体吐出ヘッド100の第2の方向Yの寸法を抑えながら、多くの吐出口5を設けることができる
【符号の説明】
【0030】
2 基板
4 個別流路
8 接続領域
9 供給貫通孔
10 回収貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7