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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-05-25
(45)【発行日】2026-06-02
(54)【発明の名称】車載ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/22 20060101AFI20260526BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20260526BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20260526BHJP
   H04L 12/66 20060101ALI20260526BHJP
   G06F 21/55 20130101ALN20260526BHJP
【FI】
H04L12/22
B60R16/023 P
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
H04L12/66
G06F21/55
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022203900
(22)【出願日】2022-12-21
(65)【公開番号】P2024088884
(43)【公開日】2024-07-03
【審査請求日】2025-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶太
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-508165(JP,A)
【文献】国際公開第2018/178984(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0389339(US,A1)
【文献】特開2019-054427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/22
B60R 16/023
H04L 12/28
H04L 12/66
G06F 21/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスそれぞれに複数のECUが接続されて成る車載ネットワークであって、
前記複数のバスに接続され、前記各バスそれぞれに対して必要な情報のみを選択して前記各バスに個別に転送するセントラルゲートウェイを備えていると共に、
前記複数のバスとして、それぞれ電源から給電されるパワートレイン系バス、メディア系バス、シャシー系バス、および、ボデー系バスを備えており、
前記複数のECUは、
外部からのアクセス難易度が低いECUと、
前記ボデー系バスに接続されてスマートキーを携帯したユーザの接近に伴ってイモビ解除指令信号を送信するボデーECU、および、同じく前記ボデー系バスに接続されてイモビライザの作動を制御すると共に前記ボデーECUから前記イモビ解除指令信号を受信することに伴って前記イモビライザの作動を解除する照合ECUを含んでおり、
前記ボデーECUおよび前記照合ECUは、セキュリティソフトウェアによる対策が講じられていないECUであって、
前記各ECUのうち、接続される電線の本数が多いECUほど前記電線の長さを優先的に短くするように配設位置が前記電源の近くに設定されており、
前記各ECUの配設位置に応じて当該各ECU同士が前記電線とコネクタとで接続されており、
前記各ECUのうち、前記外部からのアクセス難易度が低いECUを、セキュリティリスク有りECUとして、前記各バスのうち前記ボデー系バスとは別のバスであって前記セントラルゲートウェイから前記イモビライザの作動を解除させる情報を受けることのないバスに接続したレイアウトとなっていることを特徴とする車載ネットワーク。
【請求項2】
請求項1記載の車載ネットワークにおいて、
前記セキュリティリスク有りECUはランプECUであることを特徴とする車載ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載ネットワークに係る。特に、本発明は、車載ネットワークへの不正アクセスによる悪影響を抑制するための対策に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載された各種ECU(Electronic Control Unit)同士の間での通信を行う車載ネットワークとして、車両の高性能化に伴ってECUの搭載個数が増加することに鑑みられてCAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルを利用したものが普及している。
【0003】
このような車載ネットワークにあっては、悪意のある第三者が不正アクセスし、車両盗難防止機能(所謂イモビ機能)の停止およびそれに伴う車両の盗難被害等が懸念されている。
【0004】
特許文献1には、不正アクセスを検知する技術が開示されている。具体的には、車載ネットワークを搭載する第一車両および第二車両それぞれの車載ネットワークの異常を解析した結果である異常解析結果を取得し、第一車両および第二車両それぞれについて、車載ネットワークに接続されるECUのうち、異常解析結果が示す異常データと関連度の高い一次ECUを特定し、一次ECUが接続されているバスに接続されている複数のECUを二次ECU群として特定し、第一車両について特定された二次ECU群および第二車両について特定された二次ECU群のいずれにも含まれる所定の条件を満たすECUを異常関連ECUとして特定し、その異常関連ECUを示す情報を出力することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-129527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、ソフト的にシステムアーキテクチャとしてセキュリティを担保しているシステムに対して、不正アクセスされたときの解析を行うものとなっている。このため、異常なデータであると判断できない状況(例えば、搭載されているECUになりすますことによる通信データの送信や、サービス・一般専業のツールを偽った攻撃)に対しては検知できず、セキュリティ面で改良の余地があった。特に、今後普及が予測されるCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)等の技術を利用するMaas(Mobility as a Service)車両によるカーシェアリングに鑑みた場合、前述した車両の盗難被害ばかりでなく、カーシェアリングの決済情報の改ざんも懸念されることになり、不正アクセスによる被害が複数ユーザに及ぶ虞があることからカーシェアリングの実用性に支障を来す虞がある。このため、これまでにない堅牢なセキュリティ対策が求められていた。
【0007】
本発明の発明者は、この点に鑑み、堅牢なセキュリティ対策を図ることができるECUレイアウトを構築するといった知見に基づき本発明に至った。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不正アクセスによる悪影響を抑制することができる車載ネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、複数のバスそれぞれに複数のECUが接続されて成る車載ネットワークを前提とする。そして、この車載ネットワークは、前記複数のバスに接続され、前記各バスそれぞれに対して必要な情報のみを選択して前記各バスに個別に転送するセントラルゲートウェイを備えていると共に、前記複数のバスとして、それぞれ電源から給電されるパワートレイン系バス、メディア系バス、シャシー系バス、および、ボデー系バスを備えており、前記複数のECUは、外部からのアクセス難易度が低いECUと、前記ボデー系バスに接続されてスマートキーを携帯したユーザの接近に伴ってイモビ解除指令信号を送信するボデーECU、および、同じく前記ボデー系バスに接続されてイモビライザの作動を制御すると共に前記ボデーECUから前記イモビ解除指令信号を受信することに伴って前記イモビライザの作動を解除する照合ECUを含んでおり、前記ボデーECUおよび前記照合ECUは、セキュリティソフトウェアによる対策が講じられていないECUであって、前記各ECUのうち、接続される電線の本数が多いECUほど前記電線の長さを優先的に短くするように配設位置が前記電源の近くに設定されており、前記各ECUの配設位置に応じて当該各ECU同士が前記電線とコネクタとで接続されており、前記各ECUのうち、前記外部からのアクセス難易度が低いECUを、セキュリティリスク有りECUとして、前記各バスのうち前記ボデー系バスとは別のバスであって前記セントラルゲートウェイから前記イモビライザの作動を解除させる情報を受けることのないバスに接続したレイアウトとなっていることを特徴とする。
【0010】
ここでいう「外部からのアクセス難易度が低いECU」とは、物理的に外部からのアクセス難易度が低いECUであって、例えば外部からのアクセスのために要する作業時間が所定時間未満であるものや、外部からのアクセスのために要する作業工数(部品の取り外し工数等)が所定数未満であるものとして、配設場所等に応じて規定されるものである。
【0011】
前記特定事項によれば、セキュリティリスク有りECUをボデー系バスとは別のバスに接続したことにより、このECUに接続していたコネクタからセキュリティレベルが高くないECUへの不正アクセスを抑制することが可能になる。つまり、不正アクセス(セキュリティレベルが高くないECUへの不正アクセス)を物理的に抑制できる車載ネットワークを構築することができ、「なりすまし」等に対する堅牢なセキュリティ対策を図ることができる。
【0013】
セキュリティソフトウェアによる対策が講じられているECUにあっては、当該ECUが接続しているバスに不正アクセスされても問題は生じ難いが、セキュリティソフトウェアによる対策が講じられていないECUが接続しているバスに不正アクセスされた場合には、車両の盗難等の被害が懸念されることになる。このため、本解決手段では、このセキュリティソフトウェアによる対策が講じられていないECUが接続しているバスに対する不正アクセスによる悪影響を抑制するべく、セキュリティリスク有りECUを、各バスのうちボデー系バスとは別のバスであってセントラルゲートウェイからイモビライザの作動を解除させる情報を受けることのないバスに接続するようにしている。
【0014】
また、前記セキュリティリスク有りECUはランプECUである
【0015】
ランプECUは、車両前端部付近に配置されていることから、このランプECUに接続されるコネクタに対しては比較的容易に不正アクセスされてしまう虞がある。このため、本解決手段では、このランプECUがセキュリティレベルが高くないECU(ボデーECUおよび照合ECU)と同じバス上に配置されないようにし、これによって、悪意のある第三者の外部機器がボデーECUになりすますことによる照合ECUへの不正アクセスを抑制するようにしている。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、外部からのアクセス難易度が低いECUを、セキュリティリスク有りECUとして、各バスのうちボデー系バスとは別のバスに接続したレイアウトとすることにより、このECUに接続していたコネクタからセキュリティレベルが高くないECUへの不正アクセスを抑制することを可能にしている。これにより、堅牢なセキュリティ対策を図ることができるECUレイアウトを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態においてECUのレイアウト転換が行われる前の仮車載ネットワークの概略構成を示す図である。
図2】ECUレイアウトの決定方法の手順を示すフローチャート図である。
図3】実施形態においてECUのレイアウト転換が行われた後の構築車載ネットワークの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、通信プロトコルとしてCANを使用した車載ネットワークについて説明する。
【0019】
-車載ネットワークの概略構成-
本実施形態に係る車載ネットワークについて説明する。
【0020】
本発明は、前述したように、外部からのアクセス難易度が低いECU(本発明でいうセキュリティリスク有りECU)が、セキュリティレベルが高くないECUと同じバス上に配置されている場合に、当該セキュリティリスク有りECUを別のバス上にレイアウト転換(レイアウト変更)されて成る車載ネットワークを特徴としている。以下では、ECUのレイアウト転換前の車載ネットワークを仮車載ネットワークと呼び、ECUのレイアウト転換後の車載ネットワークを構築車載ネットワークと呼ぶこととする。
【0021】
先ず、車載ネットワーク全体の概略構成について仮車載ネットワークを例に挙げて説明する。図1は仮車載ネットワーク(以下、単に車載ネットワークと呼ぶ場合もある)1’の概略構成を示す図である。この図1に示すように、車載ネットワーク1’は、パワートレイン系バスPB、メディア系バスMB、シャシー系バスCB、ボデー系バスBB等といった各バス毎に、複数のECU11~44が接続されてネットワーク化されている。各バスPB,MB,CB,BBには、用途に応じて各種の電源系統が適用される。
【0022】
パワートレイン系バスPBは、エンジンの制御を司るエンジンECU11、変速機の制御を司る変速機ECU12等といった主に動力制御に関するパワートレイン系ECU群が接続された系統である。その他、電源ECU、ハイブリッドシステムECU、モータECU等が接続される場合もある。このパワートレイン系バスPBは、キースイッチがIGまたはスタートの位置にあるときに電源が供給されるイグニッション電源(IG系)により各装置が作動するものとなっている。
【0023】
メディア系バスMBは、音響機器の制御を司る音響ECU21、カーナビゲーションシステムの制御を司るナビゲーションECU22等といった主に情報に関するメディア系ECU群が接続された系統である。その他、映像ECU、電話ECU等が接続される場合もある。このメディア系バスMBは、キースイッチがACCまたはIGの位置にあるときに電源が供給されるアクセサリ電源(ACC系)により各装置が作動するものとなっている。
【0024】
シャシー系バスCBは、タイヤの空気圧を監視するTPMS(Tire Pressure Monitoring System)ECU31、車両周辺の障害物との相対的な接近の通報を行う接近通報ECU32等といった主に走行のための制御に関するシャシー系ECU群が接続された系統である。その他、エアバッグECU等が接続される場合もある。このシャシー系バスCBは、前記イグニッション電源(IG系)により各装置が作動するものとなっている。
【0025】
ボデー系バスBBは、ボデー系の各機器を制御すると共に照合ECUにイモビ解除指令信号を送信可能な(例えばスマートキーを携帯したユーザの接近に伴ってイモビ解除指令信号を送信する)ボデーECU41、イモビライザの作動を制御すると共にボデーECU41からイモビ解除指令信号を受信することに伴ってイモビライザの作動を解除する照合ECU42、ヘッドランプの点灯制御を司るランプECU43、ドアの施錠および解錠を行うドアECU44等といった主に内装品の制御に関するボデー系ECU群が接続された系統である。その他、メータECU等が接続される場合もある。このボデー系バスBBは、キースイッチの位置に関わらず常に電源が供給されるバッテリ電源(B系)により各装置が作動するものとなっている。
【0026】
各バスPB,MB,CB,BBそれぞれは、各バスPB,MB,CB,BB毎に共通の情報を共有するものとなっている。そして、これらバスPB,MB,CB,BBは、セントラルゲートウェイ5に接続されている。
【0027】
セントラルゲートウェイ5は、周知のCPU,ROM,RAM,入出力インタフェース等(図示省略)を備えたマイクロコンピュータからなる。また、セントラルゲートウェイ5は、複数のECU11~44間で相互通信する情報の中継機能および情報の監視機能を有しており、各バスPB,MB,CB,BBそれぞれに対して必要な情報のみを選択して各バスPB,MB,CB,BBに個別に情報を転送するようになっている。
【0028】
-ECUレイアウトの決定方法-
次に、本実施形態の特徴であるECUレイアウトの決定方法について説明する。具体的なECUレイアウトの決定方法について説明する前に、本発明の技術的思想の概要について説明する。
【0029】
通信プロトコルとして例えばCANを使用した車載ネットワーク1’にあっては、一般的に、コスト削減等の目的から電源線や通信線等のワイヤハーネス(電線)の長さをできるだけ短くできるように各ECU11~44の配設位置を決定し、また、各ECU11~44を電線に接続するためのコネクタの数をできるだけ少なくできるように電線による分割形態を決定している。このようにして車載ネットワーク1’が構築されている。
【0030】
また、悪意のある第三者が不正アクセスすることによる車両走行に対する悪影響(車両の走る、曲がる、止まるといった各機能に対する悪影響)を回避するために、例えばパワートレイン系バスPBにはセキュリティソフトウェアによる対策(ファイヤウォール等のセキュリティ対策)が講じられている。このため、このパワートレイン系バスPBに不正アクセスされても問題は生じ難い。
【0031】
これに対し、セキュリティ対策が講じられていない系統のバスに不正アクセスされた場合には、前述した「なりすまし」等によってイモビライザの作動が解除(車両盗難防止機能が停止)してしまったり、カーシェアリングの場合に決済情報が改ざんされてしまって不正アクセスによる被害が複数ユーザに及んでしまったりする虞がある。例えば仮車載ネットワーク1’におけるランプECU43は、車両前端部付近に配置されていることから、このランプECU43に接続されるコネクタに対しては比較的容易に不正アクセスされてしまう虞がある(外部からのアクセス難易度が他のECUに比べて低いものとなっている)。そして、ボデーECUになりすました機器がこのコネクタ(ランプECU43に接続されていたコネクタ)に不正アクセスされると、照合ECU42がイモビライザの作動を解除することによる車両の盗難が懸念される状況となってしまう。つまり、一般に、ボデーECU41や照合ECU42はコンソール内等に収容されていることから外部からのアクセス難易度が比較的高くなってはいるものの、同じバス(ボデー系バスBB)上にあるランプECU43が外部からのアクセス難易度が低いものであることから、このランプECU43に接続されていたコネクタを介して照合ECU42に不正アクセスされてしまう可能性がある。
【0032】
本実施形態は、この点に鑑み、比較的容易に不正アクセスされやすい位置にあるECU(例えばランプECU43)に対し、不正アクセスを回避する点からレイアウト転換が必要であるか否かを判断し、必要に応じてレイアウト転換を行って、堅牢なセキュリティ対策を図るものとなっている。以下、ECUレイアウトの決定方法について具体的に説明する。
【0033】
図2は、本実施形態に係るECUレイアウトの決定方法の手順を示すフローチャートである。このフローチャートにあっては、ステップST1~ステップST5が各種ECU11~44の基本レイアウト、および、各ECU11~44に接続される電線の分割形態を決定するステップである。つまり、仮車載ネットワーク1’を構築するステップである。そして、ステップST6~ステップST10が本実施形態における特徴部分であるECUレイアウトを決定する(図1に示すレイアウトからの転換を決定する)ステップである。つまり、必要に応じてECUレイアウトを転換して構築車載ネットワーク1(図3を参照)を構築するステップである。
【0034】
先ず、ステップST1において、車載ネットワーク1’上に存在する、または、設計段階において車載ネットワーク1’を構築する場合に必要となる電子部品(搭載電子部品)の情報を収集する。具体的には、電子部品の種類および個数の情報を収集する。ここでいう電子部品は、各ECU11~44だけでなく、各種の電子機器やセンサ類も含まれる。
【0035】
ステップST2では、車載ネットワーク1’の各構成部品の原価を考慮し、各ECU11~44を搭載するに当たって必要となる電線(電源線や通信線等のワイヤハーネス)の本数および電線の径を確認する。
【0036】
ステップST3では、各ECU11~44のコストによる順位付けを行う。一般的には、複雑な制御を司るECUや高い安全性が要求される制御を司るECUはコストが高く、単純な制御を司るECUはコストが低いものとなっている。例えばエンジンECU11や変速機ECU12等はECU自体のコストが高いばかりでなく、送受信する情報量が多いことから接続される電線の本数が多く且つ電線の径も大きいために、搭載するに当たってのコストが高いものとなっている。一方、例えばランプECU43やドアECU44等はECU自体のコストが低いばかりでなく、送受信する情報量が比較的少ないことから接続される電線の本数が少なく且つ電線の径も小さいために、搭載するに当たってのコストが低いものとなっている。
【0037】
ステップST4では、前述したコスト(電線の本数および電線の径に起因するコスト)に基づき、最適なレイアウトを決定する。ここで最適なレイアウトとしては、各ECU11~44を搭載するに当たって必要となる電線に係るコストの低廉化を実現するためのレイアウトである。例えば、径が小さい電線は単位長さ当たりのコストが低く、径が大きい電線は単位長さ当たりのコストが高いことを考慮し、径が大きい電線の長さを優先的に短くするように各ECU11~44のレイアウトを決定する。具体的には、接続される電線の本数が多く且つ電線の径も大きいECU(搭載するに当たってのコストが高いECU)については、できるだけ電源(バッテリ)近くにレイアウトするようにし、それ以外のECU(搭載するに当たってのコストが低いECU)については、必ずしも電源近くにレイアウトする必要がないものとする
【0038】
ステップST5では、ステップST4で決定した各ECU11~44のレイアウトを実現するための電線の分割形態を決定し、それに伴う分割位置に配置されるコネクタの位置およびコネクタの個数を決定する
【0039】
以上のステップST1~ステップST5によってコストを優先することによる前述した仮車載ネットワーク1’が決定されることになる。
【0040】
このようにして仮車載ネットワーク1’が決定された後、ステップST6では、当該仮車載ネットワーク1’において、セキュリティリスクの判定が行われる。具体的には、外部からのアクセス難易度が低いECUの存在について判定する。ここでは、車両前端部付近に配置されていることに起因してアクセス難易度が低くなっているランプECU43がそれに該当することになる。
【0041】
ステップST7では、アクセス難易度が低いECUが存在しているか否かを判定する。つまり、セキュリティリスクの有るECU(本発明でいうセキュリティリスク有りECU)が存在しているか否かを判定する
【0042】
セキュリティリスク有りECUが存在しておらず、ステップST7でNO判定された場合には(例えば全てのECUが、外部からのアクセス難易度が比較的高いものである場合には)ステップST8に移り、レイアウト転換すべきECUは存在していないと判断し、仮車載ネットワーク1’をそのまま構築車載ネットワーク1として決定する。
【0043】
一方、セキュリティリスク有りECUが存在しており、ステップST7でYES判定された場合には、ステップST9に移り、セキュリティリスク有りECUの接続位置を再検討する。具体的には、セキュリティリスク有りECUを抽出すると共に、該セキュリティリスク有りECUが接続されているバスを確認し、そのバスが、セキュリティ対策が講じられていない系統のバス(セキュリティレベルが高くないECUと同じバス)であるか否かを確認する。具体的には、前述したようにアクセス難易度が低くなっているランプECU43はセキュリティ対策が講じられていないボデー系バスBBに接続されているため、この場合、ランプECU43を該当ECU(本発明でいうセキュリティリスク有りECU)であるとして抽出され、このランプECU43の接続位置が再検討されることになる。
【0044】
そして、ステップST10では、このランプECU43を他のバス上にレイアウト転換することで構築車載ネットワーク1が決定されることになる。具体的に、照合ECU42がイモビライザの作動を解除させる情報を必要としていない(セントラルゲートウェイ5から当該情報を受けることのない)バス上にランプECU43をレイアウト転換することで構築車載ネットワーク1が決定されることになる。図3は、このようにして決定された構築車載ネットワーク1の概略構成であって、ランプECU43をシャシー系バスCB上にレイアウト転換している。この図3における破線は、レイアウト転換前のランプECU43のレイアウト位置を示している。尚、このようにランプECU43をシャシー系バスCB上にレイアウト転換するに当たっては、車体上におけるランプECU43の配設位置を仮車載ネットワーク1’と同じ位置に維持しながらも電線の配策によって当該ランプECU43をシャシー系バスCB上に接続するといったレイアウト転換であってもよいし、車体上におけるランプECU43の配設位置を仮車載ネットワーク1’よりも車体の奥側(不正アクセスされ難い位置)に変更すると共に電線の配策によって当該ランプECU43をシャシー系バスCB上に接続するといったレイアウト転換であってもよい。
【0045】
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態では、セキュリティリスク有りECU(ランプECU43)を別のバス(シャシー系バスCB)上にレイアウト転換することにより、このECU(ランプECU43)に接続していたコネクタからセキュリティレベルが高くないECU(照合ECU42)への不正アクセスを抑制することを可能にしている。これにより、不正アクセスによる車両の盗難を防止することができ、堅牢なセキュリティ対策を図ることができるECUレイアウトを構築することができる。
【0046】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0047】
例えば、前記実施形態では、アクセス難易度が低いECUランプECU43としていた。本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アクセス難易度が低いECU接近通報ECU32とするものであってもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、複数のECU11~44のうち1個のECU(ランプECU43)のみをレイアウト転換することにより構築車載ネットワーク1を構成するようにしていた。これに限らず、複数のECUをレイアウト転換することにより構築車載ネットワーク1を構成するようにしてもよい。
【0049】
また、堅牢なセキュリティ対策を図るための方法として、前述した実施形態における手順とは逆の手順とするものであって、不正アクセスによるリスクを確認した上で、コネクタの配設位置を決定するものとしてもよい。つまり、不正アクセスによるリスクの確認、各ECUの搭載位置および電線の分割形態の決定を行った上で、不正アクセスによる影響を受ける電子部品およびそれに関係する電線を繋ぐコネクタの配設位置を不正アクセスによる影響を受けない位置として決定するものとしてもよい。また、ボデー系バスBB(仮車載ネットワーク1’においてセキュリティレベルが高くないバス)に接続する各ECUや該ECUによって制御される機器にセキュリティ対策を講じる(セキュリティソフトウェアによる対策を講じる)ものとしたり、既にセキュリティ対策が講じられているものに対してセキュリティソフトウェアのアップデートを行うことによってセキュリティを担保するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、不正アクセスによる悪影響を抑制する車載ネットワークに適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 構築車載ネットワーク
1’ 仮車載ネットワーク
11 エンジンECU
12 変速機ECU
21 音響ECU
22 ナビゲーションECU
31 TPMSECU
32 接近通報ECU
41 ボデーECU
42 照合ECU
43 ランプECU
44 ドアECU
PB パワートレイン系バス
MB メディア系バス
CB シャシー系バス
BB ボデー系バス
図1
図2
図3