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7900157核医学診断装置及び核医学画像データ生成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】
(45)【発行日】
(54)【発明の名称】核医学診断装置及び核医学画像データ生成方法
(51)【国際特許分類】
   
【FI】
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(65)【公開番号】
(43)【公開日】
【審査請求日】
(31)【優先権主張番号】17/230,372
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエンユエン チー
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ペン ペン
(72)【発明者】
【氏名】エヴレン アズマ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー コルサマー
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0185339(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0370474(US,A1)
【文献】特開2013-083580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0040122(US,A1)
【文献】特開2018-044957(JP,A)
【文献】Eduardo Lage et al.,Recovery and normalization of triple coincidences in PET,Medical Physics,米国,2015年02月26日,Vol.42, Issue 3,p. 1398-1410,https://doi.org/10.1118/1.4908226
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項
被検体に関するガンマ線検出データを取得する取得部と、
前記ガンマ線検出データにおいて、第1の時間ウィンドウ内において検出された2つより多いイベントに基づく複数のコインシデンスのそれぞれの重みを、検出された2つのみのイベントを含む第2の時間ウィンドウに含まれる当該2つのみのイベントによって規定される、前記複数のコインシデンスのそれぞれに対応するLORの頻度に基づいて決定する決定部と、
前記重みに基づいて第1の核医学画像データを生成する生成部と、
を備え、
前記決定部は、前記コインシデンス毎の前記LORの頻度に基づいて前記複数のコインシデンスのそれぞれの重みを決定する、核医学診断装置。
【請求項
前記決定部は、前記頻度が高くなるほど、大きくなるように前記重みを決定する、請求項1に記載の核医学診断装置。
【請求項
前記生成部は、前記2つより多いイベントから規定される複数のLORのうち、重みが最も大きいLORを用いて、前記第1の核医学画像データを生成する、請求項1に記載の核医学診断装置。
【請求項
前記生成部は、前記2つより多いイベントから規定される複数のLORの中から、前記重みに応じたLORを用いて、前記第1の核医学画像データを生成する、請求項1に記載の核医学診断装置。
【請求項
前記生成部は、前記重みを補正係数として用いて前記第1の核医学画像データを生成する、請求項1に記載の核医学診断装置。
【請求項
被検体に関するガンマ線検出データを取得し、
前記ガンマ線検出データにおいて、第1の時間ウィンドウ内において検出された2つより多いイベントに基づく複数のコインシデンスのそれぞれの重みを、検出された2つのみのイベントを含む第2の時間ウィンドウに含まれる当該2つのみのイベントによって規定される、前記複数のコインシデンスのそれぞれに対応するLORの頻度に基づいて決定し、
前記重みに基づいて核医学画像データを生成する、ことを含み、
前記複数のコインシデンスのそれぞれの重みを決定することは、前記コインシデンス毎の前記LORの頻度に基づいて前記複数のコインシデンスのそれぞれの重みを決定することを含む、核医学画像データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、核医学診断装置及び核医学画像データ生成方法に関する。
【背景技術】
本明細書で提供される背景技術の記載は、本開示の文脈を一般的に提示する目的のためのものである。本背景技術の欄に記載されている範囲での現在記名されている発明者の研究、ならびに出願時に先行技術として認められない可能性のある記載の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められていない。
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)装置は、放射性トレーサの使用によって人または動物の生化学的プロセスをイメージングできる機能的なイメージングモダリティである。PETイメージングでは、注射、吸入、または摂取により撮影対象の患者(被検体)にトレーサ剤が投与される。トレーサ剤の投与後、薬剤の物理的および生体分子的特性により、患者の体内の特定の場所に薬剤が集中する。薬剤の実際の空間分布、薬剤の蓄積領域の強度、および投与から最終的な排泄までのプロセスの動態は、全て臨床上重要な要素であり得る因子である。
このプロセス中に、薬剤に付着したトレーサがポジトロンを放射する。放射されたポジトロンが電子と衝突すると、ポジトロンと電子が結合する対消滅イベントが発生する。ほとんどの場合、対消滅イベントにより、実質的に180度離れて(511keVで)進行する2つのガンマ線が発生する。それぞれシングルとして知られている2つのガンマ線は、同時計数のペアを発生するために、検出素子によって検出される。しかし、測定された同時計数には、真の同時計数およびランダム同時計数の両方が含まれる。
PETスキャナでは、シングルのペアリングは、同時計数回路等のハードウェアを用いて実行することができる。ここで、多光子同時計数イベント(すなわち、同時計数における3つ以上のシングル)が多くの場合に拒否され、厳格な基準を満たす2光子同時計数イベントのみが受け入れられる。計数率が高くなると、多光子同時計数イベント率が大幅に増加し、単純に全ての多光子同時計数イベントを拒否することにより、真の同時計数イベントの大量損失をもたらす恐れがある。したがって、雑音等価計数率(Noise Equivalent Count Rate:NECR)を増加させるように、多光子同時計数イベントを保持することが望ましい。全ての多光子同時計数イベントを完全に受け入れる、または拒否する両方の方法は、同様の画質をもたらすが、全ての多光子同時計数イベントを受け入れることにより、ランダムイベントおよび散乱イベントも増加し、画像データの付随的な劣化につながる。したがって、複数同時計数のセットの中から真の同時計数を識別して選択する方法が望まれる。そして、複数同時計数のセットの中から真の同時計数を識別して選択することにより、画質が良好な核医学画像データを生成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0276809号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、画質が良好な核医学画像データを生成することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
実施形態の核医学診断装置は、取得部と、決定部と、生成部とを備える。取得部は、被検体に関するガンマ線検出データを取得する。決定部は、前記ガンマ線検出データにおいて、第1の時間ウィンドウ内において検出された2つより多いイベントに基づく複数のコインシデンスのそれぞれの重みを決定する。生成部は、前記重みに基づいて第1の核医学画像データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【図図1は、例示的な期間にわたって全ての検出器モジュールに対して組み合わされた、例示的な検出されたシングルリストの概略図を示す図である。
【図図2Aは、実施形態にかかるポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナの例示的な体軸横断断面概略図を示す図である。
【図図2Bは、再構成画像データ(PET画像データ)を含む例示的なPETスキャナの体軸横断断面概略図である。
【図図2Cは、再構成画像データならびに第1の飛行時間(TOF:Time Of Flight)カーネルおよび第2のTOFカーネルを含む例示的なPETスキャナの体軸横断断面概略図を示す図である。
【図図3は、1つの例示的な実施形態による、検出ウィンドウ内の所定のシングルのセットの中から検出ウィンドウ内の重み付けされたペアを判定するガイド付きペアリング方法のフローチャートの非限定的実施例を示す図である。
【図図4Aは、1つの例示的な実施形態による、実中心線源についての時間差分布のグラフを示す図である。
【図図4Bは、1つの例示的な実施形態による、図4Aに示す時間差分布のグラフに対するピークのズームを示す図である。
【図図4Cは、1つの例示的な実施形態による、図4Aに示す時間差分布のグラフに対するベースラインのズームを示す図である。
【図図5Aは、1つの例示的な実施形態による、実中心線源の時間差分布の例示的なグラフを示す図である。
【図図5Bは、1つの例示的な実施形態による、図5Aの時間差分布の例示的なグラフに対するピークのズームを示す図である。
【図図5Cは、1つの例示的な実施形態による、図5Aの時間差分布の例示的なグラフに対するベースラインのズームを示す図である。
【図図6は、例示的なプロンプトイベントおよび例示的な遅延イベントの平均値ならびに標準偏差のグラフを示す図である。
【図図7Aは、実施形態にかかる方法を実施することができるPET装置の非限定的実施例を示す図である。
【図図7Bは、実施形態にかかる方法を実施することができるPET装置の非限定的実施例を示す図である。
【図図7Cは、実施形態に係るプロセッサの機能的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための、多くの異なる実施形態、すなわち実施例を提供するものである。構成要素および配置の具体例は、本開示を単純化するために以下で説明される。もちろん、これらは単なる例であり、限定することを意図したものではない。例えば、以下の説明における第2の特徴にわたって、またはその上に第1の特徴を形成することは、第1および第2の特徴が直接接触して形成される実施形態を含んでもよく、また、第1および第2の特徴が直接接触していなくてもよいように、第1および第2の特徴の間に追加の特徴が形成され得る実施形態を含んでもよい。さらに、本開示では、様々な実施例において参照番号および/または文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化および明確化を目的としたものであり、それ自体が、説明された様々な実施形態および/または構成の間の関係を指示するものではない。
本明細書に記載された異なるステップの説明の順序は、明確にするために提示されている。一般に、これらのステップは、任意の適切な順序で実行することができる。さらに、本明細書の異なる特徴、技術、構成などのそれぞれが、本開示の異なる場所で議論されることがあるが、概念のそれぞれは、互いに独立して、または互いに組み合わせて実行することができることが意図されている。したがって、本発明は、多くの異なる方法で具現化し、熟考することができる。
本明細書で説明される一実施形態によれば、同時計数のガイド付きペアリングのための方法は、多光子同時計数イベントにおける全ての可能な同時計数に重みを適用することを含む。特に、適用される重みは、2光子同時計数イベントのペアに基づいて、または2光子同時計数イベントから生成された再構成画像データ(PET画像データ)に基づいて生成することができる。
図1は、例示的な期間にわたって全ての検出器モジュールに対して組み合わされた、例示的な検出されたシングルリストの概略図を示す図である。一実施形態では、所定の長さの時間、すなわち検出ウィンドウ105内に、検出器モジュールでシングル110を検出することができる。なお、検出ウィンドウは、時間ウィンドウとも称される。また、シングルは、シングルイベント、またはイベントとも称される。検出された2つ以上のシングル110については、検出されたシングル110を時間の関数として示すシングルリストをコンパイルすることができる。図示されているように、全てのシングル110は、一連の検出ウィンドウ105(図1の例では105a~105e)に応じて分離することができる。例えば、示されているシングルリストは、複数のシングル110のうちの1つを含む第1の検出ウィンドウ105a、複数のシングル110のうちの2つを含む第2の検出ウィンドウ105b、複数のシングル110のうちの3つを含む第3の検出ウィンドウ105c、複数のシングル110のうちの4つを含む第4の検出ウィンドウ105d、および複数のシングル110のうちの2つを含む第5の検出ウィンドウ105eを含むことができる。個々の検出ウィンドウ105a~105eの所定の時間の長さは、使用されるイメージングシステム(例えば、PET装置)に応じて、またはオペレータの必要性/希望に基づいて、変化し、設定することができることが理解され得る。一般的には、個々の検出ウィンドウ105a~105eの時間の長さは互いに等しく、例えば、それぞれ12nsとすることができる。さらに、個々の検出ウィンドウ105a~105eの所定の時間の長さは、一般的に、検出ウィンドウ105a~105eの大部分がシングル110のうちの2つを含む一方で、少数派がシングル110のうちの1つまたは3つ以上を含むという結果になることが理解され得る。しかし、上述したように、計数率を増加させることにより、シングル110のうち3つ以上を含む検出ウィンドウ105a~105eの数が増加し、それによって、シングルをペアにしようと試みるいくつかの方法の拒否率を増加させる可能性がある。本明細書に記載された方法は、この拒否率を低減することを試みる。これにより、画質の良好なPET画像データ(再構成画像データ)を生成することができる。PET画像データは、核医学画像データの一例である。また、上述したシングルリストは、被検体に関するガンマ線検出データの一例である。
図2Aは、実施形態にかかるポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナ200の例示的な体軸横断断面概略図を示す図である。例えば、本実施形態に係るPET装置は、PETスキャナ200を備える。PET装置は、核医学診断装置の一例である。例示的な実施形態では、PETスキャナ200は、ガンマ線などの電磁放射線を検出するように構成された、中心軸の周りにリング状に配置された検出素子205を含む。PETスキャナ200は、リングの軸に沿って配置された検出素子205の追加のリングを含むことができる。追加のPETスキャナの特徴については、図7Aおよび図7Bに示され、後述する。検出素子205の中心には、ファントムまたは人などの、スキャンされる対象の被検体を配置することができる。被検体は、イメージング中に重要性が高いとみなされる人の心臓または肺など、高カウント放射領域299を含むことができる。
ファントムまたは人から放射されたポジトロンが電子と衝突すると、対消滅イベントが発生し、ここでポジトロンと電子が結合する。ほとんどの場合、対消滅イベントにより、実質的に180度離れて(511keVで)進行する2つのガンマ線が発生する。これらのガンマ線の1つは、シングル110と称される。断層撮影再構成の原理でトレーサの時空間分布を再構成するために、検出された各イベントは、そのエネルギー(すなわち、生成された光の量)、その位置、およびそのタイミングについて特徴付けられる。2つのガンマ線(すなわち、2つのシングル110)を検出し、それらの位置の間に線を引くことによって(すなわち、応答線(LOR:Line of Response)を計算することによって)、本来の崩壊の可能性がある位置を判定することができる。
図1に示す一例では、第4の検出ウィンドウ105dの間に、複数のシングル110のうちの4つが検出される。そのサブセットは、本明細書では「シングルサブセット」110dと呼ばれる。シングルサブセットを空間的に検出する例示的な対応プロセスを図2Aに示す。シングルサブセット110dをペアにする全ての可能な組合せが示されており、ここでは、対消滅イベントから実質的に180度離れて進行するシングルサブセット110dの2つのペアがグループ化されている。シングルのグループ化されたペアは、2光子同時計数210、または単に「同時計数210」と呼ぶことができる。例えば、第1の検出素子205aは、シングルサブセット110dの第1のシングルサブセット(「a」と表示)を検出することができ、第2の検出素子205bは、シングルサブセット110dの第2のシングルサブセット(「b」と表示)を検出することができ、第3の検出素子205cは、シングルサブセット110dの第3のシングルサブセット(「c」と表示)を検出することができ、第4の検出素子205dは、シングルサブセット110dの第4のシングルサブセット(「d」と表示)を検出することができる。したがって、シングルサブセット110dをペアにするために、「N Choose2」またはNCの組合せ論公式(コンビネーション)を使用して、2光子同時計数210の最大可能数を判定することができる。ここで、Nは、1つの検出ウィンドウ105において検出されたシングル110の数である。また、「N Choose2」またはNCは、N個の異なるものから2個を選ぶ方法(組み合わせ)の数である。シングルサブセットに付随して、シングルサブセット110dの4つ全てについては、同時計数210の最大可能数は6である。図示と同じ実施例では、6つの可能な同時計数210は、以下のようにラベル付けされている。第1の同時計数210aは、検出素子「a」と「b」との間の同時計数であり、第2の同時計数210bは、検出素子「a」と「c」との間の同時計数であり、第3の同時計数210cは、検出素子「a」と「d」との間の同時計数であり、第4の同時計数210dは、検出素子「b」と「c」との間の同時計数であり、第5の同時計数210eは、検出素子「b」と「d」との間の同時計数であり、第6の同時計数210fは、検出素子「c」と「d」との間の同時計数である。
従来のPETスキャナでは、第4の検出ウィンドウ105dなどの、同じ検出ウィンドウで検出器された3つ以上のシングル110について、真の同時計数(すなわち、LORに沿った対消滅の真の起源を有する同時計数210)を判定できないため、データの拒否につながる。または、3つ以上の検出されたシングル110の全てが受け入れられる。
3つ以上のシングル110を検出したイベントにおける全てのシングル110を保持するために、最初に検出されたシングルは、検出ウィンドウ105内に入る全ての可能な後続の検出されたシングルとペアになる。次に、検出ウィンドウ105内の全ての検出されたシングルが尽きるまで、同じペアリングプロセスが検出ウィンドウ105内の次の検出されたシングルに対して反復される。このプロセスは、検出されたシングルリスト内の全ての検出されたシングルが尽きるまで、残りの全ての検出されたシングルに対して繰り返される。
3つ以上のシングル110を検出したイベントにおいて、全てのシングル110を拒否するために、最初に検出されたシングルは、同じ検出ウィンドウ105内に入る全ての後続のシングルと共にカウントされる。シングル110の他の1つだけが検出ウィンドウ105内に存在すると判定すると、2つのシングル110はペアになり、1つの可能な同時計数であると判定される。シングル110の他の2つ以上が検出ウィンドウ105内に存在すると判定されると、シングル110の全てがどれもペアリングされることなくスキップされる。次いで、このプロセスは、後続の新しい検出ウィンドウ105内で最初に検出されたシングルから開始するように進行される。このプロセスは、検出されたシングルリストの全ての検出されたシングルが尽きるまで繰り返される。
しかし、真の同時計数の判定を試みることなく、シングル110の全てを完全に受け入れる、または拒否することによって、画像品質およびデータの劣化につながる恐れがある。したがって、本明細書では、再構成画像データ(例えば、PET画像データ等の核医学画像データ)の品質を向上させるために、ランダム同時計数を拒否する一方で、複数のシングル110の検出イベントから真の同時計数を判定する方法を説明する。受け入れおよび拒絶の従来の方法がシングル110のタイミング情報のみに基づき得る一方で、本明細書に記載された方法は、適用された重みに基づくガイド付きペアリングプロセスを使用する。重みは、問題となっている同時計数が真の同時計数である確率に基づくことができる。全ての同時計数(全てのLOR)に重みを割り当てて、上記問題となっている同時計数を受け入れるかまたは拒否するかを判定する前に考慮することができ、次いで、それを最終的な画像再構成に使用することができる。
図2Aを再び参照すると、シングルサブセット110dは、4つの検出素子205によって検出され、6つの同時計数210a~210fが生成される。一般に、N個の検出されたシングルが存在することができ、N Choose2(NC)の可能な同時計数につながる。一実施形態では、6つの同時計数210a~210fのそれぞれに、重みwを割り当てることができる。なお、同時計数210に重みwを割り当てることと、この同時計数210に対応するLORに重みwを割り当てることとは、同義である。なお、同時計数は、コインシデンスとも称される。図示されているように、第1の同時計数210aにはwが割り当てられ、第2の同時計数210bにはwが割り当てられる。また、図2Aに示すように、第3の同時計数210c、第4の同時計数210d、第5の同時計数210e及び第6の同時計数210dのそれぞれに対しても、w、w、wおよびwのそれぞれが割り当てられる。6つの例示的な同時計数210a~210fに対する重みw~wを得るために、6つの同時計数210~210fのそれぞれに沿って検出されたカウント数pを判定することができる。すなわち、検出されたカウント数pは、検出された2つのみのシングル110を含む検出ウィンドウ105の数によって表すことが可能である。
次に、重みwを以下の式(1)にしたがって決定することができる。
【数
式(1)において、Tは、以下の式(2)に示すように全ての重みwの合計が1となるようにするための正規化係数である。
【数
特に、第1の同時計数210aが高カウント放射領域299を通過すると、pの値がより高くなる。したがって、第1の同時計数210aの重みwが付随して高くなる。例えば、2つのシングル110のみが検出されたことを含む検出ウィンドウ105が100件存在し、100件のうち90件は、2つのシングル110が第1の検出素子205aおよび第2の検出素子205bで検出された場合について説明する。すなわち、第1の同時計数210aが90カウントとなる場合について説明する。この場合、第1の同時計数210aを形成するように検出されたカウントの過半数があり、したがって、第1の同時計数210aはより高い重みを有することができる。経験的に、このような第1の同時計数210aは、被検体の中心により近い領域および値の高い領域(肺、心臓など)を通過し、第2の同時計数210bは、被検体の中心から遠い領域を通過するが値の高い領域(肺など)を通過する可能性があり、第5の同時計数210eは、被検体の周辺により近い領域および値の低い領域(肩など)を通過することがある。また、第3の同時計数210c、第4の同時計数210d、および第6の同時計数210fは、被検体を全く通過しないことが理解され得る。このように、経験的に、w>w>w>w>w>wとなるように決定されることが推測される。
このように、図2Aに示す例では、シングルリストにおいて、検出ウィンドウ105内において検出された2つより多いシングル110に基づく複数の同時計数210(第1の同時計数210a~第6の同時計数210f)のそれぞれの重みwを決定する。2つより多いシングル110が検出された検出ウィンドウ105は、第1の検出ウィンドウの一例である。また、図2Aに示す例では、重みwを、2つのシングル110のみを含む検出ウィンドウ105内の当該2つのシングル110から規定されるLORに基づいて決定する。具体的には、重みwを、2つのシングル110のみを含む検出ウィンドウ105内の当該2つのシングル110から規定されるLORの頻度に基づいて決定する。更に具体的には、頻度が高くなるほど、大きくなるように重みwを決定する。
図2Bは、再構成画像データ(PET画像データ)220を含む例示的なPETスキャナ200の体軸横断断面概略図である。一実施形態では、重みw~wは、2つのシングル110のみを含む検出ウィンドウ105に基づいてPET再構成を行うことにより生成(再構成)された再構成画像データ220を用いることによって決定することができる。ランダムおよび散乱補正を適用することができる。しかし、再構成画像データ220は、減衰補正を除外することが可能である。そして、図2Bに示す例において、重みwを、以下の式(3)にしたがって決定することができる。
【数
式(3)において、Hはシステム行列であり、Xは再構成画像データ220であり、Jはシステム全体(PET装置全体)の対応する同時計数210の指標であり、Tは正規化係数である。すなわち、同時計数210の重みwを、同時計数210のLORへの再構成画像220の順投影に基づいて決定する。特に、高カウント放射領域299がイメージングに対する重要性が高い領域(例えば、被検体の心臓)であること確認することができ、したがって、重みの値がw>w>w>w>w>wであることをさらに確認することができる。
図2Bに示す例では、例えば、再構成画像データ220から薬剤の集積度合いがわかるので、集積度合いがより高い領域を通るLORの重みwが大きくなるように、重みwを決定する。このように、図2Bに示す例においても、シングルリストにおいて、検出ウィンドウ105内において検出された2つより多いシングル110に基づく複数の同時計数210(第1の同時計数210a~第6の同時計数210f)のそれぞれの重みwを決定する。具体的には、2つのシングル110から規定されるLORに基づいて生成された再構成画像データ220に基づいて重みwを決定する。より具体的には、例えば、検出ウィンドウ105内において検出された2つより多いシングル110から規定される複数のLORのそれぞれが通過する、再構成画像データ220を構成するボクセルの強度に基づいて、複数の同時計数210のそれぞれの重みwを決定する。再構成画像データ220は、第2の核医学画像データの一例である。
図2Cは、再構成画像データ220ならびに第1の飛行時間(TOF:Time Of Flight)カーネル225aおよび第2のTOFカーネル225bを含む例示的なPETスキャナ200の体軸横断断面概略図を示す図である。一実施形態では、図2Bの例に示す再構成画像データ220を生成する方法と同様の方法で、図2Cに示す再構成画像データ220を生成する。ランダムおよび散乱補正を適用することができる。しかし、再構成画像データ220は、減衰補正を除外することが可能である。重みw~wを、該当の同時計数210のTOFカーネル225a~225bの範囲内で再構成画像データ220の順投影によって決定することができる。図2Cの各可能なペアについて、2つのイベント(2つの検出器「a」および「b」で検出されたシングル110)の間には、タイミング差がある。第1の同時計数210aに対する重みwが決定されるとき、TOFカーネル範囲内で畳み込まれた画像データのみが計算に使用される。すなわち、図2Cに示す例において、重みwを、以下の式(4)にしたがって決定することができる。
【数
式(4)において、Hはシステム行列であり、XTOFはTOFカーネル225a~225bで畳み込まれた再構成画像データ220であり、jはシステム全体(PET装置全体)の対応する同時計数210の指標であり、Tは正規化係数である。特に、TOFカーネル225~225bは、同時計数210の対消滅イベントの潜在的な起点位置をさらに特定することができる。これは、以下に説明するように、精度の大幅な向上につながる。
このように、図2Cに示す例においても、シングルリストにおいて、検出ウィンドウ105内において検出された2つより多いシングル110に基づく複数の同時計数210(第1の同時計数210a~第6の同時計数210f)のそれぞれの重みwを決定する。具体的には、2つのシングル110から規定されるLORに基づいて生成された再構成画像データ220に基づいて重みwを決定する。より具体的には、例えば、複数のLORのそれぞれに対応するTOFカーネル内の、再構成画像データ220を構成するボクセルの強度に基づいて、複数の同時計数210のそれぞれの重みwを決定する。
一実施例では、図2Bについては、第1の同時計数210aが高カウント放射領域299を通過するように見えることから、重みwは重みwよりも大きくなる。図2Cについても同様に見えるが、図2Cに示された第1のTOFカーネル225aは、第1の同時計数210aの対消滅イベントの潜在的な起源が、実際には高カウント放射領域299の外側に位置することをさらに明確にする情報を提供する。さらに、第1のTOFカーネル225aは、実際には、再構成画像データ220における人の体内に部分的にのみ位置しており、さらに部分的には完全に体外に位置している。対照的に、第2のTOFカーネル225bは、人間の体内に位置し、質量中心をほぼ通過することが可能である。TOF情報がなければ、相対的な重みは、w>w>wとなり、第2の同時計数210bと比較して、第1の同時計数210aに沿って検出されるカウント数がより多くなる。すなわち、非TOFシナリオでは、複数の同時計数210a,210b,210eのそれぞれを通過する画像ボクセル強度の合計を算出することができる。次いでこの画像データから、第1の同時計数210aは、高カウント放射領域299(例えば、心臓)からの非常に高いカウントアクティビティを有するので、第1の同時計数210aのボクセル強度の合計は、第2の同時計数210bの合計および第5の同時計数210eの合計よりも大きいと判定することができる。代わりに、第1のTOFカーネル225aおよび第2のTOFカーネル225b(および、任意の他の同時計数210のための任意の他の必要なTOFカーネル225)の導入時に、タイミング差は、第1の同時計数210aの起源位置がほとんど体外であったであろうことを明らかにする。さらに、第1のTOFカーネル225aまたは第2のTOFカーネル225b内のみのボクセル強度の合計を合計することができる。このように、第2のTOFカーネル225b内のボクセル強度が第1のTOFカーネル225a内のボクセル強度よりも大きい場合、重みはより大きくなり、逆にw<w<wが真実であると判断することができる。すなわち、w<w<wとなるように重みを決定する。
全ての重みwが複数の同時計数210(複数のLOR)のそれぞれに割り当てられると、重みは、ガイド付きペアリングまたは再構成に使用されることが可能である。
一実施形態では、検出ウィンドウ105のそれぞれに対してペアにされた1つの同時計数210のみを受け入れることができ、ここでは、最も高い重みwを有する同時計数210をペアにし、他の全ての同時計数210を拒否する。例えば、図2Aの例では、w>w>w>w>w>wとなる。したがって、重みwを有する第1の同時計数210aのみが保持され、他の同時計数210b~210fは拒否される。そして、重みwに基づいて、再構成画像データ(PET画像データ)を生成する。具体的には、重みwを有する第1の同時計数210aに基づいて再構成画像データを生成する。このように、一実施形態では、複数の同時計数210(複数のLOR)のうち、重みが最も大きい同時計数(LOR)を用いて、再構成画像データを生成する。このようにして生成される再構成画像データは、第1の核医学画像データの一例である。
また、他の一実施形態では、各同時計数210は、重みwの可能性によって保持されるか、または1-wの可能性によって拒否される。ここでは、0<w<1である。例えば、第1の同時計数210aは、0.75の重みwを有することができる。第1の同時計数210aを受け入れるかまたは拒否するかを判定するために、0と1の間の一様分布を有する数を生成することができる。生成された数が0.75以下である場合、第1の同時計数210aに対するイベントは受け入れられ、さもなければイベントは拒否される。例えば、0よりも大きく1よりも小さい数をランダムに生成し、生成された数と重みwとを比較する。生成された数が重みw以下である場合、重みwが割り当てられた同時計数210(LOR)を受け入れる。一方、生成された数が重みwより大きい場合、重みwが割り当てられた同時計数210(LOR)を拒絶する。
なお、重みwに応じた確率で、重みwが割り当てられた同時計数210(LOR)を受け入れるかまたは拒絶してもよい。例えば、重みwが0.3である場合、重みに応じた確率30%((w×100)%)で重みwが割り当てられた第1の同時計数210a(第1の同時計数210aに対応するLOR)を受け入れ、確率70%(100-(w×100)%)で重みwが割り当てられた第1の同時計数210a(第1の同時計数210aに対応するLOR)を拒絶してもよい。
このように、他の一実施形態では、複数の同時計数210(複数のLOR)の中から、重みwに応じた同時計数210(LOR)を用いて、再構成画像データを生成する。このようにして生成される再構成画像データも、第1の核医学画像データの一例である。
また、更なる他の一実施形態では、全ての可能な同時計数210は、それらの対応する重みwと共に保存することができる。サイノグラム再構成中に、全ての可能性な同時計数210は、サイノグラムに対応する重みwを乗ずることができる。リストモード再構成中に、同時計数210のそれぞれに対する重みwを維持し、反復再構成中に重みwを補正係数として使用することができる。
このように、更なる他の一実施形態では、重みwを補正係数として、再構成画像データを生成する。このようにして生成される再構成画像データも、第1の核医学画像データの一例である。
このように、上述した各種の実施形態によれば、重みwに応じた適切な同時計数210(LOR)を用いて再構成画像データを生成したり、重みwを補正係数として再構成画像データを生成したりする。したがって、画質が良好な再構成画像データを生成することができる。
図3は、1つの例示的な実施形態による、検出ウィンドウ内の所定のシングルのセットの中から検出ウィンドウ内の重み付けされたペアを判定するガイド付きペアリング方法300のフローチャートの非限定的実施例を示す図である。
ステップ305では、PET装置(PETシステム)が、少なくとも2つのシングル110を検出ウィンドウ105内で検出する。実施形態では、検出ウィンドウ105内で1つのシングル110が検出された場合、検出されたシングル110をペアにする他のシングル110は存在せず、したがって、データは受け入れられない。少なくとも2つのシングル110が検出されると、少なくとも2つのシングル110をペアにすることができる。
ステップ310では、PET装置が、ステップ305で検出ウィンドウ105内で3つ以上のシングル110を検出したか否かを判定する。ステップ310において、ステップ305で検出ウィンドウ105内で3つ以上のシングル110を検出していないと判定された場合(ステップ310:No)、ステップ305で2つのシングル110が検出されている。このため、2つのシングル110をペアにすることができ、利用可能な他の可能なペアリングがない。このため、ステップ395において、1つの同時計数395を導出する。そして、ステップ312では、1つの可能な同時計数395に基づいてPET再構成を実行し、再構成画像データ397を生成する。
一方、ステップ310において、ステップ305で検出ウィンドウ105内で3つ以上のシングル110を検出したと判定された場合(ステップ310:Yes)、ステップ315において、シングル110の全ての可能なペアリングを実行して、検出ウィンドウ105に対するシングル110のセットから全ての可能な同時計数210を判定し、ステップ398において、全ての可能な複数の同時計数を導出する。可能な同時計数210の最大数は、N Choose2を用いて判定することができ、ここで、Nは検出ウィンドウ105内の検出されたシングル110の数である。例えば、図2A~2Cに示すように、4Choose2を用いて、検出素子205a~205dにおける4つの検出されたシングル110の6つの可能な同時計数210を導出する。
ステップ325では、複数の同時計数210(複数のLOR)のそれぞれに対する重みwを生成する。例えば、重みwは、検出されたカウント数または同時計数210に沿ったボクセルの強度の合計に基づくことができる。さらに、重みwは、同時計数210のPET画像再構成の順投影に基づくことができる。また、例えば、重みwは、同時計数210のTOFカーネル225内の再構成画像の順投影に基づくことができる。
ステップ330では、重み付けされた同時計数210に基づいてシングルのガイド付きペアリングを実行して、重み付けされたペア399をもたらすことができる。重み付けされたペア399は、次いで、更新された再構成画像を生成する際に使用することができる。一実施形態では、全ての可能な同時計数210は、それらの対応する重みwと共に保存することができる。サイノグラム再構成中に、全ての可能性な同時計数210は、サイノグラムに対応する重みwを乗ずることができる。リストモード再構成中に、同時計数210のそれぞれに対する重みwを維持し、反復再構成中に重みwを補正係数として使用することができる。
PETで定量的なデータを得るために、各LORの測定データからランダム同時計数を推定して差し引くことによって、真の同時計数と散乱同時計数の合計を割り出すことができる。遅延同時計数として検出されたランダム同時計数の数は、平均して、プロンプト同時計数サイノグラムにおけるランダム同時計数の数と等しくなる。ランダム同時計数を補正することにより、遅延した同時計数は、発生したときにプロンプト同時計数サイノグラムから減算される。より正確には、平均値を使用すると、P=T+S+RおよびD=Rとなり、ランダム同時計数の補正は、T+S=P-Dとなり、ここで、P、T、S、R、およびDは、プロンプト同時計数、真の同時計数、散乱同時計数、ランダム同時計数、および遅延同時計数の数(または率)である。これにより、ランダム同時計数を正確に補正することができるが、正味(プロンプト)-(遅延)同時計数サイノグラムにおける統計的ノイズが増加する。
上述した方法の有効性をテストし、ランダムイベント(「ランダム」とも呼ばれる)に対してプロンプトおよび遅延が同じ分布を有することを検証するために、実中心線源を使用して時間差の分布をテストした。プロンプトは、プロンプト同時計数イベント、または検出ウィンドウ105内で検出されたイベントを意味すると理解することができる。遅延は、検出ウィンドウ105が、検出されたプロンプト同時計数イベントの検出ウィンドウ105と比較して大きく延長される、遅延同時計数イベントを意味すると理解することができる。特に、検出ウィンドウ(|t1-t2|<tc、t1およびt1は2つのシングルに対する時間であり、tcは検出ウィンドウサイズである)内で検出されるランダムイベントの可能率は、遅延した検出ウィンドウ(|t1-(t2+td)|<tc)内のランダムイベントの場合と同じであり、ここで、tdは2つのシングル間の固定時間差を記述するユーザ定義のパラメータである。実中心線源については、1つの例示的な実施形態による、時間差分布のグラフを図4Aに示す。図4Bは、1つの例示的な実施形態による、図4Aに示す時間差分布のグラフに対するピークのズームを示す図である。図4Cは、1つの例示的な実施形態による、図4Aに示す時間差分布のグラフに対するベースラインのズームを示す図である。図4Aは、ガイド付きペアリングの結果を含まず、全ての同時計数を受け入れる(「mcoinあり」を参照)、または全ての同時計数を拒否する(「mcoinなし」を参照)ためのベースラインデータを示すために提示されていることに留意されたい。
開示されたガイド付きペアリング方法を使用することによって、より多くの真のイベントが生成され、ランダムが減少する。開示された方法の有効性を示すデータは、図4A図4Cのベースラインデータを含めて、図5A図5Cに示される。
図5Aは、1つの例示的な実施形態による、実中心線源の時間差分布の例示的なグラフを示す図である。図5Bは、1つの例示的な実施形態による、図5Aの時間差分布の例示的なグラフに対するピークのズームを示す図である。図5Cは、1つの例示的な実施形態による、図5Aの時間差分布の例示的なグラフに対するベースラインのズームを示す図である。上記の方法では、ガイド付きペアリングは、全ての同時計数を保持する場合と比較して、同量の「プロンプト」(すなわち、真のペア)をもたらし、このようにガイド付きペアリングが同時計数内で真を見つけ出すことができることを示す。さらに、全ての同時計数を拒否することによるプロンプトの量は、全ての同時計数を保持する場合、または記載されたガイド付きペアリング法の両方に比べてはるかに少ない。一方で、ガイド付きペアリング法は、全ての同時計数を保持することと比較して、ランダムが少なくなる。
特に、ガイド付きペアリングは、図5Bにおいて全ての同時計数を保持することと同様のピークの高さをもたらす一方で、図5Cにおいて全ての同時計数を保持することと比較して低いベースラインももたらす。したがって、ピークとベースラインとのこのより大きな差は、全ての同時計数を受け入れる方法または全ての同時計数を拒否する方法を使用するシステムと比較して、ガイド付きペアリング法を使用することによってより高い信号対雑音比を示す。さらに、上述のようなデータ品質の向上は、計算能力における大幅な増加を必要としない。しかし、一部の同時計数を拒否することによって再構成のためのペアが少なくなり、したがって再構成時間の短縮につながるという、計算処理上のオフセットが発生する可能性があることを強調すべきである。したがって、示されているように、本明細書で開示されている方法およびシステムは、真の同時計数を特定する精度の向上、SNRおよびデータ品質の向上、ならびに処理および再構成時間の高速化を含む、現行のイメージングシステムに対する利点を提供する。
図6は、例示的なプロンプトイベントおよび例示的な遅延イベントの平均値ならびに標準偏差のグラフを示す図である。ガイド付きペアデータにバイアスが導入されているかどうかをテストするために、図6に破線の枠で示すように、2つのウィンドウ内のプロンプトイベントおよび遅延イベントに対し、平均値および標準偏差を計算した。2つのウィンドウには200のデータポイントが含まれており、Npp=3167±59(プロンプト)およびNde=3124±57(遅延)の平均値±標準偏差が得られる。このことから、下記の式(5)及び式(6)のように示すことができる。
【数
【数
式中、Nppはプロンプトポイントの平均数であり、Ndeは遅延ポイントの平均数であり、ΔNはプロンプトポイントの平均数と遅延ポイントの平均数の差であり、σ(ΔN)はΔNの標準偏差である。特に、ΔN<σ(ΔN)なので、黒枠内の2つの裾領域が有意差を有さず、したがって、バイアスが導入されない。
図7Aおよび図7Bは、実施形態にかかる方法300を実施することができるPET装置700の非限定的実施例を示す図である。PET装置700は、それぞれが矩形の検出器モジュールとして構成された多数のガンマ線検出器(Gamma-Ray Detector:GRD)(例えば、GRD1、GRD2~GRDN)を含む検出器リングを備える。一実施態様によれば、検出器リングは、40のGRDを含む。別の実施態様では、48のGRDがあり、より多くのGRDの数を使用して、PET装置700のためのより大きなボアサイズを生成する。PET装置700は、核医学診断装置の一例である。
各GRDは、ガンマ線を吸収してシンチレーション光子を放射する、個々の検出器結晶の2次元アレイを含むことができる。シンチレーション光子は、同じくGRD内に配置された光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)の2次元アレイによって検出することができる。ライトガイドは、検出器結晶のアレイとPMTの間に配置可能である。
あるいは、シンチレーションの光子は、シリコン光電子増倍管(Silicon Photomultiplier:SiPM)のアレイによって検出することができ、個々の検出器結晶のそれぞれは、対応するSiPMを有することができる。
各光検出器(例えば、PMTまたはSiPM)は、シンチレーションイベントがいつ発生したかを示すアナログ信号、および検出イベントを生成するガンマ線のエネルギーを生成することができる。さらに、1つの検出器結晶から放射される光子は、2つ以上の光検出器によって検出することができ、各光検出器で発生されるアナログ信号に基づいて、検出イベントに対応する検出器結晶を、例えば、アンガーロジックおよび結晶復号を使用して判定することができる。
図7Bは、被検体OBJから放射されるガンマ線を検出するように配置されたガンマ線光子計数検出器(Photon Counting Detector:GRD)を有するPET装置(PETスキャナシステム)の概略図を示す。GRDは、各ガンマ線の検出に対応するタイミング、位置、およびエネルギーを測定することができる。一実施形態では、図7Aおよび7Bに示すように、ガンマ線検出器はリング状に配置される。検出器結晶は、2次元アレイ状に配置された個々のシンチレータ素子を有する、シンチレータ結晶とすることができ、シンチレータ素子は、任意の既知のシンチレータ材料とすることができる。PMTは、各シンチレータ素子からの光が複数のPMTによって検出されて、シンチレーションイベントのアンガー算術および結晶復号を可能にするように、配置することができる。
図7Bは、PET装置700の配置の一例を示し、ここでは画像化される対象の被検体OBJが寝台716上に置かれており、GRDモジュールGRD1からGRDNが被検体OBJおよび寝台716の周囲に円周方向に配置されている。GRDは、ガントリ740に固定接続されている環状の部品720に固定接続される。ガントリ740は、PET装置700の多くの部品を収容する。PET装置700のガントリ740は、被検体OBJおよび寝台716が通過することができる開いた開口部を含み、対消滅イベントにより被検体OBJから反対方向に放射されるガンマ線をGRDによって検出することができ、タイミングおよびエネルギー情報を使用してガンマ線対の同時計数を判定することができる。
図7Bには、ガンマ線検出データを取得、保存、処理、および分配するための回路およびハードウェアも示されている。PET装置700は、このような回路およびハードウェアとして、プロセッサ770、ネットワークコントローラ774、メモリ778、およびデータ取得システム(Data Acquisition System:DAS)776を備える。PET装置700は、GRDからの検出測定結果を、DAS776、プロセッサ770、メモリ778、およびネットワークコントローラ774にルーティングするデータチャネルも含む。DAS776は、検出器からの検出データの取得、デジタル化、およびルーティングを制御することができる。一実施形態では、DAS776は、寝台716の動きを制御する。プロセッサ770は、検出データ(例えば、上述したシングルリスト)からの再構成画像データの再構成、検出データの前再構成処理、および画像データの後再構成処理を含む機能を実行する。
プロセッサ770は、本明細書に記載された方法300の様々なステップ、その変形形態、その他、上述した各種の処理を実行するように構成することができる。図7Cは、実施形態に係るプロセッサ770の機能的な構成の一例を示す図である。図7Cに示すように、プロセッサ770は、取得機能770a、決定機能770b及び生成機能770cを備える。プロセッサ770の構成要素である取得機能770a、決定機能770b及び生成機能770cの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でPET装置700のメモリ778に記録されている。プロセッサ770は、各プログラムをメモリ778から読み出し、読み出された各プログラムを実行することで各プログラムに対応する各処理機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態のプロセッサ770は、図7Cのプロセッサ770内に示された各処理機能を有することとなる。
取得機能770aは、DAS776により収集されたGRDからの検出測定結果から上述したシングルリストを生成する。このようにして取得機能770aは、シングルリストを取得する。取得機能770aは取得部の一例である。
決定機能770bは、取得機能770aにより取得されたシングルリストを用いて重みwを決定し、重みwを同時計数210(LOR)に割り当てる上述した各種の処理を実行する。決定機能770bは、決定部の一例である。
生成機能770cは、重みwを用いて、再構成画像データを生成する上述した各種の処理を実行する。生成機能770cは生成部の一例である。
なお、説明において用いられる「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサ770は、メモリ778に保存されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで機能を実現する。なお、メモリ778にプログラムを保存する代わりに、プロセッサ770の回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサ770は回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
メモリ778は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または当技術分野において既知の、任意のその他の電子記憶装置とすることができる。
米国のインテル社のインテルイーサネット(登録商標)PROネットワークインタフェースカードなどのネットワークコントローラ774が、PET撮像装置の様々な部分の間でインタフェースすることができる。さらに、ネットワークコントローラ774はまた、外部ネットワークとインタフェースすることもできる。理解できるように、この外部ネットワークは、インターネットなどの公共ネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどのプライベートネットワーク、またはこれらの任意の組合せであることができ、PSTNもしくはISDNサブネットワークを含むこともできる。外部ネットワークはまた、イーサネットネットワークなどの有線とすることができ、またはEDGE、3G、4G、および5G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークなどの無線とすることもできる。無線ネットワークは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または既知の任意のその他の無線通信形式とすることもできる。
先行の説明では、処理システムの特定の形状、ならびに、そこで使用される様々な構成要素およびプロセスの説明など、具体的な内容を記載してきた。しかし、本明細書の技術は、これらの特定の詳細から逸脱した他の実施形態で実施されてもよく、このような詳細は説明のためのものであり、限定するものではないことを理解すべきである。本明細書で開示する実施形態は、添付図面を参照して説明してきた。同様に、説明の目的のために、具体的な数字、材料、および構成が、完全な理解を提供するために記載されている。それにもかかわらず、実施形態は、そのような具体的な詳細がなくても実施され得る。実質的に同じ機能構造を持つ構成要素は、同様の参照文字によって表されており、したがって、冗長な説明は省略され得る。
様々な技術が、様々な実施形態の理解を助けるために、複数の個別の動作として記載されてきた。記載の順序は、これらの動作が必ずしも順序に依存することを意味するように解釈されるべきではない。実際に、これらの動作は、提示された順序で実行する必要はない。記載された動作は、記載された実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。追加の実施形態では、様々な追加の動作を実行してもよく、および/または記載された動作を省略してもよい。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、画質が良好な核医学画像データを生成することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
700 PET装置
770 プロセッサ
770a 取得機能
770b 決定機能
770c 生成機能
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