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7900958制御装置、アクセスポイント装置、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】
(45)【発行日】
(54)【発明の名称】制御装置、アクセスポイント装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   
   
   
   
【FI】
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(65)【公開番号】
(43)【公開日】
【審査請求日】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 利之
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-118442(JP,A)
【文献】特開2016-149813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項
制御装置であって、
前記制御装置と異なる第1のアクセスポイントであって、IEEE802.11規格に準拠する通信を行う前記第1のアクセスポイントにおける接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を取得する取得手段と、
前記送信電力が第1の所定値より大きいか否かに基づいて、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから変更するか否かを判定する判定手段と、
前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから変更すると判定されたことに基づいて、当該ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントからIEEE802.11規格に準拠する通信を行う第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する制御処理を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項
前記第1のアクセスポイントとは異なるIEEE802.11規格に準拠する通信を行う他のアクセスポイントと前記ステーションとの間の通信品質に基づいて、前記他のアクセスポイントの中から前記ステーションの接続先となる前記第2のアクセスポイントを選択する選択手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項
前記取得手段は、さらに、前記ステーションと前記他のアクセスポイントとの間の前記通信品質の情報を取得し、
前記選択手段は、前記他のアクセスポイントのうちから、前記通信品質が第2の所定値より高いアクセスポイントを前記ステーションの接続先となる前記第2のアクセスポイントとして選択する、
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項
前記取得手段は、さらに、前記ステーションとの間の前記通信品質が第2の所定値より高い前記他のアクセスポイントの情報を取得し、
前記選択手段は、前記通信品質が第2の所定値より高い前記他のアクセスポイントのうちから、前記ステーションの接続先となる前記第2のアクセスポイントを選択する、
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項
前記通信品質は、前記ステーションにおける受信電波強度、信号対雑音比、搬送波対雑音比の少なくともいずれかである、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項
前記制御装置は、前記第1のアクセスポイントに対して前記送信電力の情報を要求するメッセージを送信し、前記取得手段は、当該メッセージへの応答であり、前記送信電力の情報を含む応答を前記第1のアクセスポイントから受信することにより当該情報を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項
前記第1のアクセスポイントにおける前記送信電力の情報は前記第1のアクセスポイントから所定の周期で通知され、前記取得手段は、前記第1のアクセスポイントにおける前記送信電力の情報を、前記所定の周期の通知を受信することにより取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項
前記制御手段は、最新の前記送信電力が前記第1の所定値より大きい場合に、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項
前記制御手段は、前記送信電力が所定回数連続して又は所定期間にわたって前記第1の所定値より大きい場合に、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項
前記制御装置は、Wi-Fi EasyMesh(登録商標)規格に準拠したマルチアクセスポイントネットワークのコントローラであり、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントは、前記マルチアクセスポイントネットワークのエージェントである、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項
前記制御装置は、前記マルチアクセスポイントネットワークに含まれるアクセスポイントとしても機能することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項
IEEE802.11規格に準拠する通信を行うアクセスポイント装置であって、
接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を制御装置へ通知する通知手段と、
前記制御装置から指示を受信する受信手段と、
記制御装置から送信された、前記送信電力の情報に基づく前記ステーションの接続先の変更指示を受信した場合に、前記ステーションとの接続を切断する切断手段と、
を有することを特徴とするアクセスポイント装置。
【請求項
前記通知手段は、さらに、前記アクセスポイント装置とは異なる他のアクセスポイントと前記ステーションとの間の通信品質の情報を前記制御装置へ通知する、ことを特徴とする請求項12に記載のアクセスポイント装置。
【請求項
前記通信品質は、前記ステーションにおける受信電波強度、信号対雑音比、搬送波対雑音比の少なくともいずれかである、ことを特徴とする請求項13に記載のアクセスポイント装置。
【請求項
前記通知手段は、前記制御装置から前記送信電力の情報を要求するメッセージを受信した場合に、当該メッセージへの応答であり、前記送信電力の情報を含む応答を前記制御装置へ送信することにより、前記送信電力の情報を通知する、ことを特徴とする請求項12に記載のアクセスポイント装置。
【請求項
前記通知手段は、前記制御装置へ、所定の周期で前記送信電力の情報を通知する、ことを特徴とする請求項12に記載のアクセスポイント装置。
【請求項
前記アクセスポイント装置は、Wi-Fi EasyMesh(登録商標)規格のエージェントとして機能するアクセスポイント装置であることを特徴とする請求項12に記載のアクセスポイント装置。
【請求項
ステーションの接続先を制御装置が制御する制御方法であって、
前記制御装置と異なる第1のアクセスポイントであって、IEEE802.11規格に準拠する通信を行う前記第1のアクセスポイントにおける接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を取得する取得工程と、
前記送信電力が第1の所定値より大きいか否かに基づいて、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから変更するか否かを判定する判定工程と、
前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから変更すると判定されたことに基づいて、当該ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントからIEEE802.11規格に準拠する通信を行う第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する制御処理を実行する制御工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項
請求項18に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、無線LANの接続制御技術に関する。
【背景技術】
Wi-Fi(登録商標) Allianceにおいて、複数(1つ以上)のアクセスポイント(AP)により構成されるマルチAPネットワークのためのWi-Fi EasyMesh規格が策定されている。Wi-Fi EasyMesh規格では、マルチAPネットワークにおける各種の制御が規定されており、マルチAPネットワークに接続中のステーション(STA)が接続先の無線ネットワークを変更する際の制御メッセージが規定されている。マルチAPネットワークでは、いずれかのAPに接続中のSTAが、接続先のAPを切り替えることにより、STAに対してシームレスな通信サービスを提供することができる。特許文献1には、マルチAPネットワークにおいて、1つのAPに接続中のSTAにおいて、通信品質が所定値より低下したことに応じて、そのSTAの接続先を他のAPへ切り替える技術が記載されている。また、特許文献2には、STAが接続中のAPより良好な通信環境が得られるAPが存在する場合に、そのSTAの接続先を、その良好な通信環境が得られるAPへと切り替える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【文献】特開2020-145704号公報
【文献】特開2016-225939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、STAとその接続中のAPとの間の無線環境が、周囲のAPと接続する場合より低いことが接続先の切り替えの条件となっている。このため、接続先の切り替えが発生する期間において、STAにおける通信環境が不十分となり、十分な品質での無線通信サービスをそのSTAに提供できなくなることが想定される。
本発明は、複数のアクセスポイントを含んだ無線LANのネットワークにおいてステーションにおける通信品質の改善技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様による制御装置は、前記制御装置と異なる第1のアクセスポイントであって、IEEE802.11規格に準拠する通信を行う前記第1のアクセスポイントにおける接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を取得する取得手段と、前記送信電力が第1の所定値より大きいか否かに基づいて、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから変更するか否かを判定する判定手段と、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから変更すると判定されたことに基づいて、当該ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントからIEEE802.11規格に準拠する通信を行う第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する制御処理を実行する制御手段と、を有する。

【発明の効果】
本発明によれば、複数のアクセスポイントを含んだ無線LANのネットワークにおいてステーションにおける通信品質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図】無線通信システムの構成例を示す図である。
【図】通信装置の構成例を示す図である。
【図】マルチAPネットワークのコントローラによって実行される処理の流れの例を示す図である。
【図】マルチAPネットワークのエージェントが送信電力情報の通知に使用するフォーマットの一例を示す図である。
【図】接続先の変更前のAPとSTAとの間で実行される処理の流れの例を示す図である。
【図】複数のSTAに対するAPの送信電力の例を示す図である。
【図】変更後の接続先のAPとSTAとの間で実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠した通信を実行可能な通信装置である、アクセスポイント(AP101、AP102およびAP105)と、ステーション(STA103およびSTA104)とを含んで構成される。ここで、AP101、AP102及びAP105は、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したマルチアクセスポイントネットワーク(マルチAPネットワーク110)を構築しているものとする。そして、STA103およびSTA104は、そのマルチAPネットワーク110に接続するものとする。なお、AP101は、広域ネットワーク(WAN106)に接続されており、例えば、AP102、AP105、STA103およびSTA104の通信を中継し、これらの通信装置とWAN106との間の接続を確立させることができる。
なお、本実施形態では、Wi-Fi EasyMesh規格に基づく無線通信システムが用いられる場合について説明するが、発明をWi-Fi EasyMesh規格に限定する趣旨のものではない。例えば、IEEE802.11シリーズ規格のうち、無線LANメッシュネットワークに関するIEEE802.11s規格を用いた無線通信システムにおいて、以下の議論を適用可能である。
AP101は、他のAPを制御してマルチAPネットワーク110全体を制御する機能を有するコントローラ(制御装置)の役割で動作する。また、AP101等のコントローラによって制御される他のAPは、コントローラの管理下において、ネットワーク情報をコントローラに報知する機能を有するエージェントの役割で動作する。コントローラは、例えば、所定の制御メッセージを送信することにより、エージェントの接続チャネルや送信電力を制御する。また、コントローラは、エージェントを接続中のBasic Service Set(BSS)を変更させ、また、STAの接続先のBSSを変更させる等の制御を行いうる。また、コントローラは、データトラフィックの制御やネットワークの診断などのさらなる他の制御を実行する。エージェントは、ネットワーク情報として、例えば、エージェント自身の能力(Capability)情報や、自身に接続中のSTAや他のAPの能力情報を、コントローラへ報知する。なお、他のAPは、バックホールSTAと呼ばれるマルチAPデバイスのSTA機能を用いて、エージェントに接続しうる。なお、マルチAPデバイスは、マルチAPネットワークのコントローラ又はエージェントとして機能するデバイスのことを指す。また、能力情報は、例えば、IEEE802.11規格で規定されているHT(High Throughput) CapabilityやVHT(Very High Throughput) Capability等を含みうる。ネットワーク情報は、さらに、無線LANの接続チャネルの情報、電波干渉に関する情報、STAの接続や切断の通知、トポロジの変化を通知する情報、Beaconフレームのメトリクス情報などを含んでもよい。
なお、コントローラとして動作するAPが、エージェントとしての機能を有してもよく、コントローラとして動作するのと並行してエージェントとして動作してもよい。一例において、AP101、AP102、およびAP105は、いずれも、コントローラの機能とエージェントの機能の両方を有しうる。Wi-Fi EasyMesh規格では、1つのマルチAPネットワークにおいてコントローラは1つと規定されており、また、エージェントは複数存在することが許容されている。このため、本実施形態では、AP101、AP102、およびAP105のうち、AP101がコントローラとして動作し、AP102及びAP105がエージェントとして動作するものとする。また、STA104は、AP102との間で無線接続を確立した後に、AP102から徐々に離れ、AP105へ接近するように移動するものとする。そして、STA104は、その移動に伴って、AP102からAP105へ接続先を変更するように制御されるものとする。一方、STA103は、移動せず、接続先の変更も行われないものとする。なお、以下では、接続先のAPを指して、接続先のネットワーク又は接続先のBSSと呼ぶことがある。例えば、接続先の変更のことを、BSSの移行と呼ぶ場合がある。
なお、コントローラであるAP101とエージェントであるAP102又はAP105との間の接続は、無線ではなく有線によって確立されてもよい。例えば、AP101は、無線通信機能を用いてSTAと接続しながら、有線通信機能を用いてAP102やAP105と接続してもよい。また、一例において、AP101は、他のAPを制御するコントローラ機能を有する限りにおいて、無線LANのアクセスポイントであってもよいし、無線LANのアクセスポイントの機能を有しないコントローラであってもよい。
なお、AP101、AP102、およびAP105は、一例において、無線LANルータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートフォン、テレビ、プリンタ、複写機、プロジェクタ等がありうる。ただし、これらは一例に過ぎず、AP101、AP102、およびAP105は、後述の機能を実行可能な通信装置としての機能を有する限りにおいて、どのような電子機器であってもよい。
(装置構成)
図2に、本実施形態に係るAP101のハードウェア構成例を示す。なお、AP102及びAP105も同様の構成を有しうる。AP101は、例えば、記憶部201、制御部202、機能部203、入力部204、出力部205、通信部206、アンテナ207を有する。
記憶部201は、Read Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等の1つ以上のメモリを含んで構成される。記憶部201は、AP101に後述の各種動作を行わせるためのプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の情報を記憶する。なお、記憶部201として、上述のメモリに代えて又はこれに加えて、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVD等の1つ以上の記憶媒体が用いられてもよい。
制御部202は、Central Processing Unit(CPU)やMicro Processing Unit(MPU)等の1つ以上のプロセッサを含んで構成されうる。制御部202は、例えば、記憶部201に記憶されたプログラムを実行することによってAP101全体を制御する。制御部202は、記憶部201に記憶されたプログラムとOperating System(OS)との協働により各種制御を実行しうる。また、制御部202がマルチコア等の複数のプロセッサを有してもよい。
また、制御部202は、記憶部201に記憶されたマルチAPコントローラ部208及びマルチAPエージェント部209として機能するプログラムのうち、AP101の設定や操作により決定される少なくとも1つの機能を実行する。AP101がコントローラとエージェントとして同時に機能する場合に、マルチAPコントローラ部208とマルチAPエージェント部209の両方の機能が有効化される。AP101がコントローラとして機能するがエージェントとして機能しない場合には、マルチAPコントローラ部208の機能が有効化され、マルチAPエージェント部209の機能は無効化される(有効化されない)。また、AP101がエージェントとして機能するがコントローラとして機能しない場合には、マルチAPコントローラ部208の機能が無効化され(有効化されず)、マルチAPエージェント部209の機能が有効化される。なお、AP101は、コントローラとして動作することがない場合には、マルチAPコントローラ部208を有しなくてもよい。同様に、AP101は、エージェントとして動作することがない場合には、マルチAPエージェント部209を有しなくてもよい。
マルチAPコントローラ部208は、AP101がエージェントから受信したネットワークトポロジ情報やディスカバリー情報に基づいてエージェントへ指示を出力して、マルチAPネットワーク110を制御する。マルチAPエージェント部209は、ネットワークトポロジ情報やディスカバリー情報を、コントローラとして機能する他の通信装置へ送信し、その通信装置からの指示に基づいて通信制御を実行する。ネットワークトポロジ情報は、例えば、Wi-Fi EasyMeshの仕様に基づく1905 Topology Notification messageや1905 Topology Response messageによって送受信される。また、ディスカバリー情報は、例えば、1905 AP-Autoconfiguration Search messageや1905 AP-Autoconfiguration Response messageによって送受信される。これらは、Wi-Fi EasyMesh規格に基づくメッセージである。コントローラは、これらの情報に基づいて、Wi-Fi EasyMesh規格においてマルチAP制御メッセージとして規定されたClient Association Control Request messageを送信する。コントローラは、これにより、マルチAPネットワークにおける第1の所定のBSSにSTAが接続することを禁止させ、第2の所定のBSSへ明示的にSTAを接続させることができる。従来、STAが、受信信号強度や通信品質等に基づいて、複数のAPの中から適切なAPを特定して、BSSを切り替えるローミング(接続先のAPの切り替え)を行っていた。しかしながら、ローミングを行うか否かの判定基準がSTAのハードウェアやソフトウェアに依存していた。これに対して、本実施形態では、コントローラがSTAのローミングを制御するため、STAのローミング機能に依存しない形式で、STAの接続先のAPを変更させることができる。
機能部203は、制御部202の制御の下で、印刷や投影等の所定の処理を実行する。機能部203は、例えば、AP101が所定の処理を実行するためのハードウェアである。例えば、AP101がプリンタである場合、機能部203は印刷部であり、印刷処理を行う。また、AP101がプロジェクタである場合、機能部203は投影装置であり、投影処理を行う。また、AP101がスキャナである場合、機能部203は読み取り装置であり、読み取り処理を行う。機能部203が処理するデータは、記憶部201に記憶されているデータであってもよいし、後述する通信部206を介して他の通信装置と通信したデータであってもよい。
入力部204は、マウス等のポインティングデバイスや音声入力、ボタン操作等を介してユーザからの各種操作の受付を行うハードウェアを含んで構成される。出力部205は、ユーザに対して各種出力を行うハードウェアを含んで構成される。出力部205による出力は、液晶ディスプレイによる画像の表示や発光ダイオードによるランプの点灯等による視覚的出力、スピーカによる音声出力、振動出力等の、ユーザに対して情報を提示可能な1つ以上の出力を含む。なお、入力部204と出力部205の両方が、タッチパネルディスプレイなどの1つのモジュールによって実現されてもよい。
通信部206は、データリンク層のプロトコルであるIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線LANの制御や、IEEE802.3規格に基づく有線LAN等の有線通信の制御を行う。通信部206は、さらに、ネットワーク層の通信プロトコルであるIP通信の制御等を行う。また、通信部206は、IEEE802.11規格やIEEE802.3規格に従って確立された通信路上で、IEEE1905.1規格に従ったプロトコルを実行することができる。AP101は、これにより、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したコントローラとエージェントとの少なくともいずれかの制御を行うことができる。なお、IEEE1905.1規格は、データリンク層とネットワーク層との間の階層に位置するプロトコルを規定した規格である。なお、これは一例に過ぎず、本実施形態は、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、ZigBee、MBOA等の他の無線通信方式に準拠した通信装置や他の有線通信方式に準拠した通信装置にも適用可能である。ここで、NFCは、Near Field Communicationの略であり、MBOAは、Multi Band OFDM Allianceの略である。また、UWBはUltra WideBandの略であり、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WiNETなどが含まれる。また、通信部206は、アンテナ207を制御して、無線通信のための無線信号の送受信を行う。
(処理の流れ)
続いて、無線通信システムにおいて実行される処理の流れについて説明する。まず、図3を用いて、マルチAPネットワークのコントローラによって実行される処理の流れの例について説明する。例えば、AP101が、マルチAPネットワーク110のコントローラとして動作する場合に、図3の処理を実行する。なお、AP102やAP105も、マルチAPネットワークのコントローラとして動作する場合に、図3の処理を実行しうる。図3の各処理ステップは、例えば、記憶部201に記憶されたプログラムを制御部202が読み出して実行することにより実現される。また、図3の処理の少なくとも一部がハードウェアによって実現されてもよい。例えば、少なくとも一部の処理ステップに対応するプログラムから、所定のコンパイラを用いてFPGA上に自動的に生成された専用回路が、一部の処理ステップに対応するハードウェアとして使用されうる。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路が形成されることにより、少なくとも一部の処理ステップを実現するハードウェアが構成されてもよい。また、特定用途向け集積回路(ASIC)によって、少なくとも一部の処理ステップが実現されてもよい。
本処理では、まず、AP101は、マルチAPコントローラ部208によって、ユーザからの指示に応じてマルチAPネットワークを構成する(S301)。AP101は、例えば、Wi-Fi EasyMesh規格に従って、Wi-Fi Protected Setup(WPS)やDevice Provisioning Protocol(DPP)を用いて、マルチAPネットワークを構成しうる。WPSおよびDPPは、Wi-Fi Allianceによって策定された無線LANの設定のための規格であり、ユーザに複雑な設定操作を強いることなく、無線LANの設定や暗号化を行うことを可能とした規格である。なお、AP101は、これらの方式やプロトコル以外の方法で、マルチAPネットワークを構成してもよい。
また、マルチAPネットワークを構成するAPは、コントローラ又はエージェントとして動作するために、Wi-Fi EasyMesh規格に従って、所定の機能を立ち上げる。例えば、エージェントとして機能するAPは、マルチAPネットワークへ参加するためにバックホールSTAと呼ばれるマルチAPデバイスのSTA機能を起動し、マルチAPネットワークへの参加処理を開始する。また、エージェントとして機能するAPは、フロントホールAPと呼ばれるマルチAPデバイスのAP機能を立ち上げ、周囲のSTAや、他のAPにおいて起動されたバックホールSTAからの接続を待ち受ける。一方、コントローラとして機能するAPは、バックホールSTA機能を起動せずに、フロントホールAP機能のみを起動する。
続いて、AP101は、マルチAPコントローラ部208により、マルチAPエージェントから送信電力(Tx Power)の情報を取得する(S302)。送信電力は、所定の周波数帯域幅(例えばチャネルや、既存のチャネル幅がより小さなサブチャネルに分割されたリソースの最小単位であるリソースユニット)における送信電力であり、通信部206がアンテナ207に対して供給する信号の電力である。なお、S302以降の処理は、マルチAPネットワーク110に接続したSTAのそれぞれに対して実行される。
AP101は、例えば、エージェントへ情報を要求する要求メッセージを送信することによって送信電力情報を取得してもよいし、そのような要求メッセージの送信なくエージェントから報告される送信電力情報を受信してもよい。また、AP101は、任意のタイミングで送信電力情報を取得することができ、例えば、所定の周期で周期的に取得してもよいし、STAがマルチAPネットワークに参加したことなどに基づいて随時に取得してもよい。なお、Wi-Fi EasyMesh規格では、STAがマルチAPネットワークのBSSへ参加した又はそのBSSから離脱した場合に、そのエージェントが1905 Topology Notificationメッセージをコントローラへ送信する。これにより、エージェントがネットワークトポロジの変更をコントローラへ通知する。コントローラは、このメッセージに基づいて、STAがマルチAPネットワークに参加したこと又はマルチAPネットワークから離脱したことを検出することができ、それに応じて送信電力情報をエージェントへ要求することができる。
なお、コントローラは、エージェントに対して送信電力情報を要求する場合、例えば、上述のIEEE1905.1規格で規定されたフォーマットの制御メッセージを用いることができる。マルチAPで使用される制御メッセージは、Wi-Fi EasyMesh規格で1905 Control Message Data Unit(CMDU)フォーマットを用いて送信されるべきことが定義されている。1905 CMDUヘッダには、メッセージの種類を識別するためのMessage Typeフィールドが含まれている。マルチAPの制御メッセージであることを示すために、このフィールドに対して、本出願の時点において特定のメッセージタイプに割り当てられていないreserved領域の特定の値が割り当てられうる。また、ここでの送信電力情報の要求及び応答にも、本出願の時点において未割り当て(reserved)の値が、1905 CMDUヘッダのMessage Typeフィールドに格納される値として割り当てられうる。また、エージェントがコントローラへ送信電力情報を報告する場合にも、同様にIEEE1905.1規格で規定されたフォーマットの制御メッセージを用いることができる。この場合、図4を用いて後述する、TLV(type-length-value)フォーマットが制御メッセージに含められうる。
続いて、AP101は、マルチAPコントローラ部208において、エージェントから取得した送信電力情報によって示される送信電力の値が第1の所定値を超えているか否かを判定する(S303)。ここでの判定は、後述のS306において、接続先のBSSを移行させる対象とするSTAを特定するために行われる。AP102やAP105は、接続中のSTAにおける電波の受信電力が一定の値の範囲となるように、送信電力を設定する。このため、伝送損失が小さく通信環境が良好であるほど送信電力が低くなり、伝送損失が大きいほど送信電力が高くなる。このため、送信電力が第1の所定値より高く、伝送損失が大きいSTAに対しては、十分な通信品質での通信サービスの提供ができなくなる可能性があると評価することができる。このため、STAごとに、送信電力が第1の所定値を超えているか否かにより、接続先のAP(BSS)を移行させるべきか否かを決定することができる。なお、AP101は、最新の送信電力が第1の所定値を超えたか否かを判定してもよいし、取得した送信電力が最新の送信電力を含めて所定回数連続して第1の所定値を超えたか否かを判定してもよい。また、AP101は、所定期間にわたって送信電力が第1の所定値を超えたか否かを判定してもよい。また、AP101は、所定期間又は所定回数の送信電力の平均値や中央値などの統計値が第1の所定値を超えたか否かを判定してもよい。
STAに対する送信電力が第1の所定値を超えていない場合(S303でNO)、そのSTAにおける通信環境が十分に良好であり、仮に通信品質が低下しても、送信電力を上昇させることにより通信品質を改善可能である。このため、AP101は、そのSTAについては接続先のBSSを移行させずに処理を終了する。一方で、STAに対する送信電力が第1の所定値を超えている場合(S303でYES)、そのSTAについては、接続中のAPとの間の伝送損失が大きいことが想定される。このため、そのSTAは、BSSを変更させるべき状態であると判定される。なお、第1の所定値は、送信電力の最大値より低い値に設定されうる。すなわち、STAにおいて通信品質の低下はまだ起きていない状態であっても、そのSTAに対する送信電力が第1の所定値を超えることがありうる。これによれば、実際に通信品質の低下が生じる前に、STAの接続先のBSを変更させ、継続して高品質な通信サービスをそのSTAに提供することが可能となる。
AP101は、STAに対する送信電力が第1の所定値を超えている場合(S303でYES)、そのSTAについての周辺APに関する通信品質情報を取得する(S304)。AP101は、例えば、エージェントに対して、接続中のSTAの周辺の通信品質情報を要求するメッセージを送信することにより、そのSTAの周辺APに関する通信品質情報を取得しうる。AP101は、例えば、Wi-Fi EasyMesh規格において規定されている、Associated STA Link Metrics Query/Responseメッセージを使用して、通信品質情報を取得しうる。Associated STA Link Metrics Query/Responseメッセージは、接続中のSTAのリンク指標の問い合わせ/応答に使用されるメッセージである。また、AP101は、Unassociated STA Link Metrics Query/Responseメッセージを使用して、通信品質情報を取得してもよい。Unassociated STA Link Metrics Query/Responseメッセージは、未接続のSTAのリンク指標の問い合わせ/応答に使用されるメッセージである。また、各メッセージには、STAのMACアドレスや、各STAについてのアップリンク(STAからAPに向かう方向のリンク)の受信チャネルにおける電波強度、リンクの通信速度に関する情報などが含まれる。
AP101は、マルチAPコントローラ部208において、接続先のBSSを変更すべき状態のSTAについて、S304で取得された通信品質情報から、通信品質が第2の所定値より高いAPが周辺にあるか否かを判定する(S305)。ここでの通信品質は、例えば、STAにおける受信電波強度、信号対雑音比(SNR)、搬送波対雑音比(CNR)の少なくともいずれかである。また、第2の所定値は、一般的に通信品質が良好とされるような受信電波強度、SNR、CNR等の値を用いることができる。AP101は、通信品質が第2の所定値より高いAPがSTAの周辺に存在しないと判定した場合(S305でNO)、そのSTAの周辺に良好な通信環境を提供可能なAPが存在しないため、STAの接続先のBSSを変更せずに処理を終了する。
一方で、AP101は、マルチAPコントローラ部208において、通信品質が第2の所定値より高いAPがSTAの周辺に存在すると判定した場合(S305でYES)、そのSTAの接続先のBSSを変更することを決定する。この場合、AP101は、エージェントに対して、そのSTAの接続先を変更させるための指示を送信する(S306)。なお、AP101は、エージェントから、そのエージェントに接続されているSTAの周辺のAPのうち、そのSTAとの間の通信品質が第2の所定値より高いAPを抽出した情報を取得してもよい。すなわち、エージェントが、接続中のSTAと、そのSTAの周辺のAPとの通信品質の情報を収集し、その通信品質が第2の所定値より高いAPを特定して、AP101へ通知するようにしてもよい。この場合、S305の処理は省略されうる。通信品質が第2の所定値より高いAPが複数存在する場合は、AP101は、例えば通信品質が最も良好なAPを、接続の変更先のAPと決定しうる。ただし、これに限られず、例えば、通信品質が第2の所定値より高いAPの中から、ランダムに、各APのMACアドレスの値に基づいて、各APの位置に基づいて、各APに接続中のSTAの数に基づいて、接続の変更先のAPが選択されてもよい。また、その他の基準で、接続の変更先のAPが決定されてもよい。なお、この指示を送信する際の制御メッセージとして、例えばWi-Fi EasyMesh規格で規定されているClient Steering Requestメッセージが利用されうる。このメッセージには、接続先のBSSを変更すべきSTAのMACアドレスや、変更前および変更後のBSSに関する情報が含まれうる。ここでは、変更前のBSSの情報としてSTAが現在接続中のBSSの情報が設定され、変更後のBSSの情報としてS305において通信品質が第2の所定値より高いAPによって提供されるBSSの情報が設定される。また、このメッセージには、BSSの変更を要求する理由を示すreason codeが含められてもよい。このreason codeは、例えば、信号品質を示す値や送信電力を示す値が設定され、ユーザへのBSSの変更理由の通知や、ログ情報としてBSSの変更履歴の保存などの用途で使用されうる。
以上のような処理により、マルチAPネットワーク110のコントローラとして動作するAP101は、STAに対する送信電力が第1の所定値を超えた場合に、そのSTAの接続先のBSSを変更させることができる。この処理では、STAにおいて実際に得られている通信品質が低下するのを待つことなく、STAに対する送信電力が第1の所定値を超えたことに応じて接続先のBSSの変更が行われる。このため、STAに対して、継続的に良好な通信品質での通信サービスを提供することができる。
ここで、図4に、本実施形態においてマルチAPネットワークのエージェントが送信電力情報を報告する際に使用するメッセージのフォーマット(Transmit Power Level TLV format)の一例を示す。Transmit Power Level TLV formatは、tlvType、tlvLength、tlvValueの3つのフィールドから構成される。図4の例では、tlvTypeフィールドの長さが1オクテットであり、tlvLengthフィールドの長さが2オクテットである場合の例を示しているが、フォーマットはこれらのフィールド及びフィールド長に限定されない。
メッセージ内のtlvTypeフィールドは、そのメッセージがTransmit Power Level TLVであることを示す所定の値に設定される。なお、tlvTypeフィールドの値はマルチAP TLVフォーマットのタイプを識別するために定義された、フォーマットごとに固有の値である。本実施形態では、tlvTypeフィールドに、本出願の時点においてWi-Fi EasyMesh規格で定義されていない値のうちのいずれかの値が設定されるものとする。メッセージ内のtlvLengthフィールドは、メッセージのサイズ、特に、このフィールドより後に続くフィールドのサイズ(例えばオクテット数)を示す値が格納される。なお、メッセージのサイズは、マルチAPネットワークのエージェントに接続されているSTAの数によって変化する。また、メッセージ内のtlvValueフィールドは、接続中のSTAの数(1オクテット)と、各STAのMACアドレス(各6オクテット)、各STAに対する送信電力レベル(各1オクテット)を含む。STAのMACアドレスと、STAに対する送信電力レベルのフィールドは、接続中のSTAの数の分だけ繰り返し設定される。
なお、STAに対する送信電力レベルを通知可能な構成であれば、Transmit Power Level TLV formatの各フィールドの値は上述の値に限定されず、任意の値が設定されうる。また、通知方法も、IEEE1905.1規格で規定された各種制御メッセージを使った通知方法に限られず、任意の通知方法が使用されてもよい。
続いて、図5を用いて、AP102がSTA104の接続の変更元のBSSを提供するマルチAPネットワークのエージェントとして動作するAPである場合に、AP102とSTA104との間で実行される処理の例について説明する。
まず、AP102は、マルチAPエージェント部209において、マルチAPエージェントとしてマルチAPネットワークを構成する(S501)。マルチAPネットワークの構成方法は、上述の図3のS301に関して説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。そして、AP102は、マルチAPエージェント部209において、フロントホールAP機能を用いてSTA(例えばSTA103及びSTA104)からの接続を待ち受ける(S502)。また、STA104は、周囲のAPを探索し、その探索で発見したAP102が提供するBSSへの接続を確立する(S508)。例えば、AP102とSTA104は、例えばIEEE802.11シリーズ規格のManagementフレームを用いて、接続を確立する。Managementフレームは、例えばBeacon、Probe Request/Response、Authentication Request/Response、Association Request/Response等のフレームを含む。
AP102は、接続の確立後、接続中のSTA104における受信電波強度が概ね一定となるように、送信電力を制御しながら信号を送信する(S503)。そして、STA104は、AP102から送信された信号を受信する(S509)。通常、例えばAP102から一定の電力で電波が出力された場合、AP102から遠い距離に位置するSTAの受信電波強度は、AP102から近い距離に位置するSTAにおける受信電波強度より小さくなる。このため、AP102は、自身から遠い距離に位置するSTAに対して送信電力を上げ、各STAにおける受信電波強度がターゲット値となるように送信電力を制御する。なお、受信電波強度のターゲット値は、複数のSTAのそれぞれに対して等しい値であってもよいし、各STAにおける通信のカテゴリなどに応じて異なる値であってもよい。また、ここでの送信電力制御では、各国電波法で定められた最大許容電力の範囲内で電力レベルが制御される。
ここで、図6を用いて、AP102における、STA103およびSTA104に対する送信電力の例について説明する。ここで、AP102は、例えばIEEE802.11ax規格で採用されている直交周波数分割多元接続(OFDMA)機能により、STA103及びSTA104と同時に通信することができるものとする。なお、IEEE802.11ax規格では、リソースユニットごとに送信電力を設定して信号を送信する、パワーブースト機能が規定されている。AP102は、このパワーブースト機能により、STA103およびSTA104のそれぞれに対して、異なる送信電力で同時にダウンリンク信号を送信することができる。ここで、図1に関連して説明したように、STA103は位置の移動がなく、AP102との距離は十分に近く、距離は一定である。このため、AP102における送信電力が一定である場合にSTA103の受信電力も一定となる。したがって、AP102は、STA103における受信電力が概ね一定となるように、STA103に対する送信電力を変更せずに保つ制御を行う。一方、STA104は、AP102から遠ざかるように移動し、AP102とSTA104との間の距離が徐々に大きくなる。このため、AP102は、このSTA104の移動に伴って、STA104に対する送信電力を大きくして、STA104における受信電力が概ね一定となるように制御する。なお、本実施形態ではOFDMAを用いて、複数のSTAに対して同時に信号を送信する場合の例について説明したが、これに限られない。例えば、APは、例えば時分割で1つのタイムスロット内で1つのSTAとの通信を行うなど、STAと1対1の通信を行っていてもよく、STA側での受信電波強度が所定の閾値を下回らないように、送信電力を制御してもよい。
説明を図5に戻し、AP102は、マルチAPエージェント部209において、S503の通信で設定している送信電力の情報を、コントローラへ報告する(S504)。AP102は、例えば、コントローラから要求を受信した場合に、その応答によって、送信電力情報をコントローラへ通知しうる。また、AP102は、コントローラからの要求によらず、所定の周期で周期的に送信電力情報をコントローラへ通知してもよい。また、AP102は、例えば、STAに対する送信電力を変更した場合や、STAがマルチAPネットワーク110に参加した場合に、そのSTAへの送信電力情報をコントローラへ通知するなど、他のタイミングで送信電力情報を通知してもよい。なお、STAがマルチAPネットワーク110に参加した場合は、STAが、マルチAPネットワーク110に接続されていない状態からAP102へ接続した状態へと変化した場合と言うことができる。
一方で、AP102に接続中のSTA(例えばSTA103、STA104)は、例えば電波環境の測定を実行し、AP102以外の周囲に存在するAPを特定して、その特定の結果をAP102へ通知する(S510)。AP102に接続中のSTAは、例えば、Wi-Fi Agile Multibandの仕様で規定されている方法を用いて、周辺のAP情報をAP102へ通知する。そして、AP102は、マルチAPエージェント部209において、接続中のSTAから通知された周辺のAP情報を取得する(S505)。なお、Wi-Fi Agile Multibandでは、IEEE802.11k、IEEE802.11v、IEEE802.11u、およびIEEE802.11rの各規格に基づくローミング制御が行われる。例えば、IEEE802.11k規格では、APとSTAとの間におけるWi-Fi環境に関する情報交換がサポートされており、STAの周辺のAPの情報や、STAにおける各チャネルの信号の受信レベル等をAPへ伝達する仕組みが規定されている。このため、AP102は、この仕組みを用いて、接続中のSTAから、そのSTAの周辺に存在する他のAPの情報を取得することができる。
AP102は、マルチAPエージェント部209において、STAから収集した周辺のAP情報をコントローラ(AP101)へ通知する(S506)。例えば、AP102は、Wi-Fi EasyMesh規格において規定されたメッセージを用いて、周辺のAP情報をコントローラへ通知しうる。なお、この情報の通知については、上述のS304に関連して説明したため、ここでは説明を繰り返さない。
最後に、AP102は、マルチAPエージェント部209において、コントローラ(AP101)からの指示に基づいて、STA104との接続を切断する(S507)。なお、このコントローラからの指示は、Wi-Fi EasyMesh規格において規定されたメッセージを用いて行われうる。なお、このコントローラからの指示の詳細については、S306に関連して上述したため、ここでは説明を省略する。また、AP102は、DEAUTHまたはDISASSOCIATIONなどの切断通知をSTA104へ送信し、STA104は、その切断通知に基づいてAP102によって提供されているBSSへの接続を切断する(S511)。
続いて、図7を用いて、AP105がSTA104の接続の変更先のBSSを提供するマルチAPネットワークのエージェントとして動作するAPである場合に、AP105とSTA104との間で実行される処理の例について説明する。
まず、AP105は、マルチAPエージェント部209において、マルチAPエージェントとしてマルチAPネットワークを構成する(S701)。マルチAPネットワークの構成方法は、上述の図3のS301に関して説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。続いて、AP105は、マルチAPエージェント部209において、コントローラ(AP101)からの指示に基づいて、STA104との接続を確立する(S702)。コントローラからの指示については、上述の図3のS306に関して説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。また、AP105は、STA104との接続の際に、IEEE802.11r規格で規定された方法を使用することができる。IEEE802.11r規格は、STAがWi-Fiネットワーク内のAPとの間の接続をシームレスに別のAPとの間の接続に切り替える、ローミングのための手法が規定されている。IEEE802.11r規格では、STAのローミング時にFT(Fast Basic Service Set Transition)と呼ばれる機能を用いて、高速にSTAの認証を行うことが可能となる。このようにして、STA104は、AP105によって提供されているBSSへの接続を確立する(S703)。
以上のようにして、マルチAPネットワーク110のエージェントとして動作するAP102は、接続中のSTAのそれぞれに対する送信電力を特定する。そして、AP102は、コントローラの制御の下で、その送信電力が第1の所定値を超えたSTA104に、自装置が提供しているBSSへの接続を切断させる。また、マルチAPネットワーク110のエージェントとして動作する別のAP105は、コントローラの制御の下、STA104におけるAP105との間の通信環境に基づいて、STA104の新たな接続先として、STA104と接続を確立することができる。このようにして、本実施形態によれば、STA側のローミング機能の能力に依存せず、また、STA側の通信品質が劣化する前に、そのSTAの接続先のAPをスムーズに切り替えることができる。これにより、例えば、高速かつリアルタイムな動画通信など高い通信品質が要求される通信を、移動するSTAに対して提供し続けることが可能となる。
なお、上述の例では、APからSTAへのダウンリンクの信号の送信電力に基づいて、その送信電力が第1の所定値を超えた場合に、STAの接続先のAP(BSS)を変更する処理について説明した。ただし、これに限られず、例えば、STAからAPへのアップリンクの信号の送信電力に基づいて、その送信電力が第3の所定値を超えた場合に、STAの接続先のAP(BSS)を変更すると決定してもよい。この場合、STAが、接続中のAPに対して送信電力を通知し、そのAPがコントローラに対してその送信電力の値を通知するようにしうる。また、STAの周囲のAPを検出するための通信品質の測定の際には、APが、各STAから送出された電波の受信強度を測定し、その測定結果に基づいて、各STAの周囲に存在するAPが特定されてもよい。また、通信品質の測定は、一定電力で送信される信号が測定されることにより、伝送路損失の大きさを推定することができ、STAに対して十分な通信品質を提供することができるAPを特定することができる。また、STAの送信電力ではなく、伝送路損失の大きさを推定し、伝送路損失が所定値以上となった場合に、そのSTAの接続先のAPの変更を決定してもよい。なお、この場合、伝送路損失の所定値は、AP又はSTAが最大送信電力より低い送信電力で信号を送信した際に、十分な通信品質を得ることができる大きさに設定されうる。すなわち、最大送信電力で信号が送信された場合に、基準となる通信品質を超えて一定のマージンが得られるような伝送路損失が、伝送路損失の所定値として使用されうる。これによれば、送信電力制御で基準となる通信品質を維持した状態で、STAにおいて十分な通信品質を得ることができる接続の変更先のAPを決定し、そのAPへとそのSTAの接続先を変更させることができる。
なお、例えば、各APが提供するBSSのエリアの広さが異なっていてもよい。一例において、広範囲をカバーし、一定の通信速度を確保することができる第1のBSSと、狭い範囲をカバーし高速通信を提供可能な第2のBSSとが提供されうる。この場合、コントローラは、第2のBSSに接続されているSTAについて、送信電力が第1の所定値を超えたことに基づいて、周辺のAPの情報によらずに、第1のBSSに接続先を変更させてもよい。一例において、BSSのエリアが広範囲の場合、そのエリア内に存在するSTAの数が多いため、それらのSTAがそのBSSに接続してしまうと十分な通信速度が得られなくなりうる。このため、エリアが狭い他のBSSを利用可能な間はその他のBSSにSTAを接続させ、その他のBSSにおける送信電力が所定値を超えたことに応じて、広範囲のエリアのBSSに接続先を変更させるような運用がなされうる。すなわち、一定の通信品質(現在接続中のBSSにおける通信品質)を確保することができるAPがSTAの周囲に存在することが事前に分かっている場合には、周辺APの特定処理が省略されてもよい。なお、第1のBSSと第2のBSSとの関係は上述のようなものに限られない。すなわち、第1のBSSと第2のBSSとのカバー範囲の広さが同程度であってもよいし、第1のBSSの方が狭い範囲をカバーしていてもよい。一例において、第1のBSSを提供するAPが、セルラ通信システムの通信機能を有し、STAのユーザによって保有されているスマートフォンなどの通信装置であってもよい。この場合、第2のBSSを利用可能な間は第2のBSSを利用し、第2のBSSでの通信品質が不十分となりうる状態(送信電力が第1の所定値を超えた場合)となったことに応じて、第2のBSSを利用するようにしうる。このように、STAの周辺APが通信品質によって特定されなくても、十分な通信品質を得ることができるAPへ、STAを接続させ続けることが可能となる。
(実施形態のまとめ)
上述の実施形態の少なくとも一部をまとめると、以下の通りである。
(項目1)
第1のアクセスポイントにおける接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を取得する取得手段と、
前記送信電力が第1の所定値より大きいことに基づいて、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
(項目2)
前記ステーションと前記第1のアクセスポイントと異なる他のアクセスポイントの間の通信品質に基づいて、前記他のアクセスポイントの中から前記第2のアクセスポイントを決定する決定手段をさらに有する、
ことを特徴とする項目1に記載の制御装置。
(項目3)
前記取得手段は、さらに、前記ステーションと前記他のアクセスポイントとの間の前記通信品質の情報を取得し、
前記決定手段は、前記通信品質が第2の所定値より高い前記他のアクセスポイントを、前記第2のアクセスポイントとして決定する、
ことを特徴とする項目2に記載の制御装置。
(項目4)
前記取得手段は、さらに、前記ステーションとの間の前記通信品質が第2の所定値より高い前記他のアクセスポイントの情報を取得し、
前記決定手段は、当該通信品質が第2の所定値より高い前記他のアクセスポイントの中から、前記第2のアクセスポイントを決定する、
ことを特徴とする項目2に記載の制御装置。
(項目5)
前記通信品質は、前記ステーションにおける受信電波強度、信号対雑音比、搬送波対雑音比の少なくともいずれかである、ことを特徴とする項目2から4のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目6)
前記取得手段は、前記第1のアクセスポイントに対して前記送信電力の情報を要求するメッセージを送信し、当該メッセージへの応答に含められた前記送信電力の情報を取得する、ことを特徴とする項目1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目7)
前記取得手段は、前記第1のアクセスポイントから所定の周期で送信された前記送信電力の情報を取得する、ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目8)
前記取得手段は、前記送信電力が変更されたことに応じて前記第1のアクセスポイントによって通知される前記送信電力の情報を取得する、ことを特徴とする項目1から7のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目9)
前記取得手段は、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続することによって前記制御装置が制御するネットワークに前記ステーションが参加したことに応じて、前記第1のアクセスポイントによって通知される前記送信電力の情報を取得する、ことを特徴とする項目1から8のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目10)
前記制御手段は、最新の前記送信電力が前記第1の所定値より大きい場合に、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する、
ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目11)
前記制御手段は、前記送信電力が所定回数連続して又は所定期間にわたって前記第1の所定値より大きい場合に、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御する、
ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目12)
前記第1の所定値は、前記送信電力の最大値より低い値である、ことを特徴とする項目1から11のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目13)
前記送信電力は、所定の周波数帯域幅における送信電力である、ことを特徴とする項目1から12のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目14)
前記制御装置は、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したマルチアクセスポイントネットワークのコントローラであり、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントは、前記マルチアクセスポイントネットワークのエージェントである、ことを特徴とする項目1から13のいずれか1項に記載の制御装置。
(項目15)
前記制御装置は、前記マルチアクセスポイントネットワークに含まれるアクセスポイントである、ことを特徴とする項目14に記載の制御装置。
(項目16)
接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を制御装置へ通知する通知手段と、
前記送信電力が所定値より大きいことに基づいて前記制御装置から送信された指示に基づいて、前記ステーションとの接続を切断する切断手段と、
を有することを特徴とするアクセスポイント。
(項目17)
前記通知手段は、さらに、前記ステーションと前記アクセスポイントと異なる他のアクセスポイントの間の通信品質の情報を前記制御装置へ通知する、ことを特徴とする項目16に記載のアクセスポイント。
(項目18)
前記通信品質は、前記ステーションにおける受信電波強度、信号対雑音比、搬送波対雑音比の少なくともいずれかである、ことを特徴とする項目17に記載のアクセスポイント。
(項目19)
前記通知手段は、前記制御装置から前記送信電力の情報を要求するメッセージを受信した場合に、当該メッセージへの応答に前記送信電力の情報を含めて前記制御装置へ送信する、ことを特徴とする項目16から18のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(項目20)
前記通知手段は、前記制御装置へ、所定の周期で前記送信電力の情報を通知する、ことを特徴とする項目16から19のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(項目21)
前記通知手段は、前記送信電力を変更した場合に、前記制御装置へ前記送信電力の情報を通知する、ことを特徴とする項目16から20のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(項目22)
前記通知手段は、前記ステーションが前記アクセスポイントに接続することによって前記制御装置が制御するネットワークに前記ステーションが参加した場合に、前記送信電力の情報を前記制御装置へ通知する、ことを特徴とする項目16から21のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(項目23)
前記送信電力は、所定の周波数帯域幅における送信電力である、ことを特徴とする項目16から22のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(項目24)
制御装置によって実行される制御方法であって、
第1のアクセスポイントにおける接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を取得することと、
前記送信電力が第1の所定値より大きいことに基づいて、前記ステーションの接続先を前記第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに変更するように、前記第1のアクセスポイントおよび前記第2のアクセスポイントを制御することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
(項目25)
アクセスポイントによって実行される制御方法であって、
接続中のステーションとの通信における送信電力の情報を制御装置へ通知することと、
前記送信電力が第1の所定値より大きいことに基づいて前記制御装置から送信された指示に基づいて、前記ステーションとの接続を切断することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
(項目26)
コンピュータを、項目1から15のいずれか1項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
(項目27)
コンピュータを、項目16から23のいずれか1項に記載のアクセスポイントとして機能させるためのプログラム。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
101:マルチAPネットワークのコントローラ、102、105:マルチAPネットワークのエージェント、201:記憶部、202:制御部、208:マルチAPコントローラ部、209:マルチAPエージェント部
【図
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