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特許7914608液体吐出装置、基板処理装置及び物品の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】
(45)【発行日】
(54)【発明の名称】液体吐出装置、基板処理装置及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   
   
   
   
   
【FI】
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(65)【公開番号】
(43)【公開日】
【審査請求日】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 周吾
(72)【発明者】
【氏名】西川原 朋史
(72)【発明者】
【氏名】飯村 晶子
(72)【発明者】
【氏名】九里 真弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-011668(JP,A)
【文献】特開2007-313481(JP,A)
【文献】特開2021-095505(JP,A)
【文献】特開2004-335571(JP,A)
【文献】特開2021-181056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 15/00
B05C 5/00
B05C 11/00
B41J 2/01
B41J 2/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドを収容するチャンバと、
前記チャンバの内部の気体を循環させる循環系と、
前記気体を前記チャンバの外部に排出するように作動する排気系と、
前記循環系に設けられ、前記気体に含まれる除去対象物を除去するフィルタと、
前記気体に含まれる、前記除去対象物とは異なる検出対象物を検出することで、前記除去対象物を間接的に検出する検出部と、
前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が閾値以上である場合に、前記排気系を作動させる制御部と、
前記チャンバの外部の気体を、前記チャンバの下部に設けられた給気口を介して前記チャンバの内部に吸入するように作動する給気系と、を有し、
前記排気系は、前記チャンバの内部の気体を、排気口を介して前記チャンバの外部に排出するように作動し、
前記給気系は、前記給気口を介して前記チャンバの内部に吸入する気体を前記チャンバの内部に吹き出す気流発生部を含み、
前記気流発生部は、前記チャンバの底面近傍の気体を前記排気口に向かって押し流す気流を形成することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項
前記除去対象物及び前記検出対象物は、前記ヘッドから前記液体を吐出するときに、当該液体から前記チャンバの内部に飛散することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記排気系によって前記チャンバの外部に排出される気体の流量と、前記給気系によって前記チャンバの内部に吸入される気体の流量とが等しくなるように、前記排気系及び前記給気系を作動させることを特徴とする請求項に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度にかかわらず、前記排気系を作動させるためのインタフェースを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記ヘッドから吐出される前記液体が配置される基板を保持するステージと、
前記ステージの位置を計測する干渉計と、
前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度に基づいて、前記干渉計で計測される前記ステージの位置を補正する補正部と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記補正部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度に対応する、前記干渉計で計測される前記ステージの位置の変化量を推定し、前記変化量を用いて前記干渉計で計測される前記ステージの位置を補正することを特徴とする請求項に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が高くなるにつれて、前記循環系によって循環される気体の流量が増加するように、前記循環系を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記フィルタは、前記循環系によって循環される気体の流路において、前記検出部よりも前段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記検出部は、
前記チャンバの内部の第1箇所における前記検出対象物を検出する第1検出器と、前記第1箇所における前記検出対象物を検出する第2検出器と、を含み、
前記第1検出器及び前記第2検出器を用いて、前記検出対象物の濃度が正しく検出されていることを監視することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記第1検出器で検出される前記検出対象物の濃度と、前記第2検出器で検出される前記検出対象物の濃度とが異なる場合に、前記排気系を作動させることを特徴とする請求項に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記排気系によって前記チャンバの外部に排出される気体の流速が1m/sec以下となるように、前記排気系を作動させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記循環系によって循環される気体の流速が1m/sec以下となるように、前記循環系を制御することを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記制御部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が予め定められた濃度以上となる場合に、前記循環系及び前記排気系を除いた前記液体吐出装置の動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記検出対象物は、前記液体に含まれる有機成分を含み、
前記除去対象物は、前記液体に含まれる量子ドット材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記量子ドット材料は、重金属物質を含むことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項
前記量子ドット材料は、カドミウム、インジウム又は鉛を含むことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持するステージと、
前記ステージに保持された前記基板に対して液体を吐出する請求項1乃至16のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項
請求項17に記載の基板処理装置を用いて基板に液体を吐出する工程と、
前記液体が吐出された前記基板を加工する工程と、
加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、液体吐出装置、基板処理装置及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
近年、種々の機能素子を製造する際に、インクジェット装置(液体吐出装置)を用いて機能素子の材料を基板上に付与してパターンを形成すること(パターニング)が試みられている。インクジェット装置を用いたパターニングは、オンデマンドパターニングが可能であるため材料の使用効率が高いこと、非真空プロセスであるため製造装置が比較的小型になること、材料を大面積に高速に付与できることなどのメリットを有している。
そこで、表示装置の製造過程にインクジェット装置を適用することが提案されている(特許文献1参照)。表示装置では、近年、様々な表示方式が提案されており、特に、有機EL素子を用いた表示装置の開発が進められている。有機EL素子の材料は高価であるため、材料の使用効率が高く、材料を大面積に高速に付与できるインクジェット装置は、有機EL素子の製造に好適である。
また、最近では、量子ドット材料を含む色変換部や量子ドットを発光素子として備えた表示装置が注目されており、例えば、インクジェット装置を用いて、量子ドット材料を含む色変換部を製造する技術も提案されている(特許文献2参照)。従来のカラーフィルタを用いた色変換部は、特定の波長以外の波長の光をカットすることで、特定の色を抽出している。従来のカラーフィルタに代えて、量子ドットを色変換部に用いることで、光波長を直接変換することが可能となるため、非常に高い光変換効率を実現することができると期待されている。
量子ドットの主構成物としては、カドミウム、インジウム、鉛などが知られているが、これらの重金属物質は、人体に対して毒性を有する物質(有害物質)であるため、人体への曝露を防ぐ必要がある。ここで、インクジェット装置を用いて量子ドット材料を付与することを考えると、インクジェットの特性上、ミストと呼ばれる量子ドット材料を含む霧状の小液滴が飛散するため、厳重な曝露対策が必要となる。
インクジェット装置における曝露対策としては、インクジェット装置をチャンバと呼ばれる障壁で隔離し(区切り)、チャンバの内部の空気を密閉する技術が提案されている(特許文献3参照)。また、特許文献3には、チャンバの内部を常に清浄に維持するため、チャンバの内部の空気をブロワ(送風機)で循環させるとともに、循環経路にフィルタ(量子ドット材料などを除去するフィルタ)を配置してチャンバの内部の空気を除害することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【文献】特開2021-12815号公報
【文献】特開2020-192692号公報
【文献】特開2018-206777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィルタは、一般的に、経年劣化で除去性能が低下するが、それを検出できずに装置運用を継続すると、チャンバの内部にミストが充満し、装置汚染を招いてしまう可能性がある。特に、量子ドット材料の付与にインクジェット装置を用いることを考えた場合、量子ドット材料を検出可能な検出装置が一般的に流通していない。また、量子ドット材料を検出可能な検出装置を独自に製造することも考えられるが、研究開発費などが嵩み、装置コストの増加を招いてしまう。このように、チャンバの内部に飛散する量子ドットを含むミストによる装置汚染を検出することは現実的ではなく、極めて困難である。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、ヘッドから吐出される液体に起因する装置汚染を抑制するのに有利な液体吐出装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを収容するチャンバと、前記チャンバの内部の気体を循環させる循環系と、前記気体を前記チャンバの外部に排出するように作動する排気系と、前記循環系に設けられ、前記気体に含まれる除去対象物を除去するフィルタと、前記気体に含まれる、前記除去対象物とは異なる検出対象物を検出することで、前記除去対象物を間接的に検出する検出部と、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が閾値以上である場合に、前記排気系を作動させる制御部と、前記チャンバの外部の気体を、前記チャンバの下部に設けられた給気口を介して前記チャンバの内部に吸入するように作動する給気系と、を有し、前記排気系は、前記チャンバの内部の気体を、排気口を介して前記チャンバの外部に排出するように作動し、前記給気系は、前記給気口を介して前記チャンバの内部に吸入する気体を前記チャンバの内部に吹き出す気流発生部を含み、前記気流発生部は、前記チャンバの底面近傍の気体を前記排気口に向かって押し流す気流を形成することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、ヘッドから吐出される液体に起因する装置汚染を抑制するのに有利な液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図】本発明の一側面としての液体吐出装置の構成を示す概略図である。
【図】液体吐出装置の動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図】機能素子の材料が配置された基板を模式的に示す図である。
【図】第1実施形態における液体吐出装置の構成を示す図である。
【図】第2実施形態における液体吐出装置の構成を示す図である。
【図】第3実施形態における液体吐出装置の構成を示す図である。
【図】第4実施形態における液体吐出装置の構成を示す図である。
【図】第6実施形態における液体吐出装置の構成を示す図である。
【図】第7実施形態における液体吐出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としての液体吐出装置1の構成を示す概略図である。液体吐出装置1は、例えば、インクなどの液体(吐出液)を吐出するインクジェット装置として具現化される。液体吐出装置1は、ディスプレイ用パネルや半導体用の基板を処理する基板処理装置としての機能も有し、本実施形態では、基板に対して液体を吐出して基板上に液体のパターンや膜を形成する。なお、本実施形態において、「インク」とは、基板上にパターンや膜を形成するために用いられる液体を意味する。また、インクの成分については、特に限定されるものではないが、例えば、有機膜を形成するための溶質と溶媒とを含む液体を用いることができる。
本明細書及び添付図面では、液体吐出装置1から吐出液を吐出する吐出方向と平行な方向をZ軸とし、Z軸に垂直な平面の方向であり、互いに垂直な2つの方向をX軸及びY軸とするXYZ座標系で方向を示す。また、XYZ座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX方向、Y方向及びZ方向とし、基板が配置される面と平行な面をXY平面とする。
液体吐出装置1は、ディスプレイ用パネルなどの基板2を保持(固定)して駆動する基板ステージ3を有する。基板2は、物品として製造する対象製品に応じて、ガラス基板やプラスチック基板などから適宜選択される。基板2は、典型的には、板状の部材であるが、基板として機能するものであれば、特定の形態に限定されるものではない。例えば、基板2は、変形可能なフィルムであってもよいし、円形状の基板であってもよい。基板2は、液体吐出装置1からインク4が供給されて多数の機能素子(表示画素)を形成(配列)するための素子エリア201と、液体吐出装置1から吐出されるインク4の状態を評価するためにインク4が試験的に吐出される評価エリア202と、を含む。
液体吐出装置1は、インク4(の液滴)を基板2の所定位置に向けて吐出する吐出ヘッド5と、吐出ヘッド5にインク4を供給するインク供給系6と、インク4を貯蔵するインクタンク7と、を有する。また、液体吐出装置1は、吐出ヘッド5(のノズル)に対してクリーニング処理などを施して吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる回復ユニット8と、制御部11と、を有する。
吐出ヘッド5は、インク4(の液滴)を吐出するための複数のノズル(吐出素子)を含む。吐出ヘッド5は、例えば、X方向及びY方向のそれぞれに複数配列されている。吐出ヘッド5のそれぞれについて、インク4の吐出を個別に制御することで、基板上の素子エリア201に目標分布でインク4を配置(塗布)することができる。
基板2が基板ステージ3に保持される際には、基板2の置き誤差(基板ステージ3に対する基板2の位置ずれ)が発生する可能性がある。また、基板2が様々な製造プロセスを経ることで、基板2には、X方向やY方向に歪みが発生している可能性がある。そこで、液体吐出装置1は、基板2の位置、及び、基板2の歪みを計測するためのアライメントスコープ9を有する。
また、基板ステージ3に保持される基板2には、製造上、厚さのばらつきがある。従って、基板ステージ3をY方向に駆動(走査)しながら吐出ヘッド5からインク4を吐出すると、基板2の厚さのばらつきに起因して、基板2に対するインク4(の液滴)の着弾位置にばらつきが発生する。そこで、液体吐出装置1は、基板2のZ方向の位置(高さ)を計測する高さセンサ10を有する。
制御部11は、例えば、CPUやメモリなどを含むコンピュータ(情報処理装置)で構成され、メモリに格納されたプログラムに従って液体吐出装置1の各部を統括的に制御して液体吐出装置1を動作させる。
図2を参照して、液体吐出装置1の動作シーケンスを説明する。かかる動作は、上述したように、制御部11が液体吐出装置1の各部を統括的に制御することで行われる。
S202において、制御部11は、基板搬送機構(不図示)を介して、液体吐出装置1に基板2を搬入する。液体吐出装置1に搬入された基板2は、基板ステージ3に保持される。
S204において、制御部11は、吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる必要があるかどうかを判定する、即ち、吐出ヘッド5の回復判定を行う。吐出ヘッド5の回復判定は、基本的には、吐出ヘッド5からインク4を吐出する前に行われる。吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる必要があると判定された場合(YES)には、S206に移行し、吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる必要がないと判定された場合(NO)には、S208に移行する。
S206において、制御部11は、回復ユニット8を介して、吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる回復処理(例えば、吐出ヘッド5に対するクリーニング処理など)を行う。
S208において、制御部11は、基板ステージ3及びアライメントスコープ9を介して、基板2のアライメント計測を行う。S210において、制御部11は、基板ステージ3及び高さセンサ10を介して、基板2の高さ計測を行う。S208のアライメント計測やS210の高さ計測で得られた基板2の位置、歪み及び高さに関する基板情報は、例えば、制御部11(のメモリ)に格納される。制御部11は、S208のアライメント計測やS210の高さ計測で得られた基板情報と、基板2に形成される素子配列や素子の大きさなどの情報を含む素子データとに基づいて、吐出ヘッド5(インク4の吐出)を制御するための吐出制御情報を生成する。吐出制御情報には、基板2の素子エリア201や評価エリア202におけるインク4の目標分布を示す情報が含まれる。
なお、S208のアライメント計測、及び、S210の高さ計測の順序は、逆であってもよい。また、S208のアライメント計測やS210の高さ計測は、S206の回復処理と並行して行うことが可能である。本実施形態では、アライメント計測や高さ計測において、アライメントスコープ9や高さセンサ10に対して基板ステージ3をXY平面内で駆動することを想定している。但し、基板ステージ3を固定して、アライメントスコープ9や高さセンサ10をXY平面内で駆動してもよい。
S212において、制御部11は、吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる必要があるかどうかを判定する、即ち、吐出ヘッド5の回復判定を行う。吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる必要があると判定された場合(YES)には、S214に移行し、吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる必要がないと判定された場合(NO)には、S216に移行する。
S214において、制御部11は、S206と同様に、回復ユニット8を介して、吐出ヘッド5の吐出特性を回復させる回復処理(例えば、吐出ヘッド5に対するクリーニング処理など)を行う。
S216において、制御部11は、吐出ヘッド5の吐出制御を行う。具体的には、制御部11は、基板ステージ3と吐出ヘッド5とを同期して駆動させながら、吐出制御情報に基づいて、吐出ヘッド5からのインク4(の液滴)の吐出を制御する。本実施形態では、吐出ヘッド5の吐出制御において、吐出ヘッド5に対して基板ステージ3をXY平面内で駆動することを想定しているが、基板ステージ3を固定して、吐出ヘッド5をXY平面内で駆動してもよい。
本実施形態では、基板上に多数の機能素子を形成するために、基板2と吐出ヘッド5とを相対的に走査するとともに、吐出ヘッド5からインク4として機能素子の材料を吐出して、基板2の素子エリア201に機能素子の材料を配置(塗布)する。図3は、機能素子の材料が配置された基板2を模式的に示す図である。図3において、基板表面101は、基板2の表面のうち、機能素子102が形成される素子エリア201の表面である。矢印103、104、105及び106は、それぞれ、基板2と吐出ヘッド5との相対的な走査方向を示す。図3では、基板上に7個×5個の機能素子102が形成されているが、実際には、非常に多数の機能素子が形成されることになる。
S218において、制御部11は、吐出ヘッド5の吐出制御が完了しているかどうかを判定する。吐出ヘッド5の吐出制御が完了していないと判定された場合(NO)には、S212に移行し、吐出ヘッド5の吐出制御が完了していると判定された場合(YES)には、S220に移行する。
S220において、制御部11は、基板搬送機構(不図示)を介して、液体吐出装置1から基板2を搬出する。
ここで、基板上に形成される機能素子102が量子ドット材料を含む色変換部である場合を考えると、吐出ヘッド5が吐出するインク4には、量子ドット材料が含まれる。量子ドット材料は、カドミウム、インジウム又は鉛などの重金属物質を含んでいるため、人体への曝露を防ぐ必要がある。液体吐出装置1では、吐出ヘッド5からインク4を吐出する際に、インク4からミストと呼ばれる量子ドット材料を含む霧状の少液滴が飛散するため、以下の各実施形態で説明するように、厳重な曝露対策を設けている。
<第1実施形態>
図4は、第1実施形態における液体吐出装置1の構成を示す図である。本実施形態において、液体吐出装置1は、図4に示すように、基板ステージ3、吐出ヘッド5、インク供給系6、インクタンク7、回復ユニット8、アライメントスコープ9及び高さセンサ10を含む本体部DBを収容するチャンバ401を有する。チャンバ401は、本体部DB(少なくとも吐出ヘッド5の近傍)を隔離するための障壁であって、その内部の気体(空気)を密閉して、インク4から飛散するミストに含まれる量子ドット材料がチャンバ401の外部に漏洩することを防止する。以下では、インク4から飛散するミストに含まれる量子ドット材料を、除去対象物と称する。
液体吐出装置1は、図4に示すように、チャンバ401の内部の気体を循環させる循環系402を有する。循環系402は、例えば、ブロワ(送風機)403と、整流部405と、を含む。また、循環系402には、チャンバ401の内部に飛散したインク4のミスト、特に、チャンバ401の内部の気体に含まれる除去対象物を除去するフィルタ404が設けられている。
チャンバ401の内部の気体は、ブロワ403によって、チャンバ401に設けられた排気口421を介して循環系402に引き込まれ、フィルタ404を通過する。フィルタ404を通過することで除去対象物が除去された気体は、整流部405で整流され、チャンバ401の内部に戻される。チャンバ401の内部に気体を戻す整流部405は、チャンバ401の上部に設けることが好ましい。これは、量子ドット材料などを含む除去対象物は、一般的に、チャンバ401の内部の気体である空気よりも比重が重いからである。従って、チャンバ401の内部の気体を上方から下方に流れるようにすることで、除去対象物の除去効率を向上させることができる。また、同様の理由から、チャンバ401の内部の空気を循環系402に引き込むための排気口421は、チャンバ401の下部に設けることが好ましい。
このように、チャンバ401の内部の気体を、フィルタ404が設けられた循環系402を介して循環させることで、吐出ヘッド5から吐出されるインク4から飛散するミストに起因して、かかる気体に含まれる除去対象物をフィルタ404で除去することができる。従って、チャンバ401の内部の気体を清浄な状態に維持することができる。
一方、チャンバ401の内部の気体を清浄な状態に維持するためには、液体吐出装置1が動作している間において、チャンバ401の内部の気体(循環系402で循環させている気体)の状態を監視する必要がある。例えば、フィルタ404は、経年劣化などで除去対象物の除去性能が低下するが、それにもかかわらず、装置運用を継続すると、チャンバ401の内部にインク4から飛散するミスト、即ち、除去対象物が充満し、装置汚染を招いてしまう可能性がある。但し、インク4から飛散するミストに含まれる除去対象物を検出することができる検出装置(センサ)は一般的に流通していないため、チャンバ401の内部の気体に含まれる除去対象物を直接的に検出することは困難である。
そこで、液体吐出装置1は、図4に示すように、チャンバ401の内部の気体に含まれる有機成分(除去対象物とは異なる検出対象物)を検出することが可能な検出部406を有している。吐出ヘッド5から吐出されるインク4から飛散するミストには、除去対象物とともに、有機成分も含まれている。換言すれば、有機成分は、吐出ヘッド5からインク4を吐出するときに、インク4からチャンバ401の内部に飛散する除去対象物とともに(相関して)チャンバ401の内部に飛散する。このため、フィルタ404の経年劣化などに起因して、チャンバ401の内部にミストが充満すると、チャンバ401の内部の気体に含まれる除去対象物の濃度に連動して有機成分の濃度も上昇する。従って、検出部406によって、チャンバ401の内部の気体に含まれる有機成分の濃度を検出することで、チャンバ401の内部の気体に含まれる除去対象物の濃度を間接的に検出することができる。このように、検出部406は、チャンバ401の内部の気体に含まれる除去対象物の濃度を直接的に検出することはできないが、除去対象物の濃度を擬似的に検出しているとみなすことができる。
また、液体吐出装置1は、チャンバ401の内部の気体をチャンバ401の外部に排出するように作動する排気系430として、第1切替弁407、第2切替弁408及び排気設備409を有する。本実施形態では、制御部11は、検出部406で検出される有機成分の濃度が閾値以上である場合に、排気系430を作動させる。具体的には、制御部11は、検出部406で検出される有機成分の濃度が閾値となると、第1切替弁407を開くとともに、第2切替弁408を閉じることで、チャンバ401の内部の空気を排気設備409に排出する。なお、図4に示すように、排気設備409の前段に、インク4のミスト、特に、除去対象物を除去するフィルタ410を設けて、排気設備409に排出される気体に含まれる除去対象物を除去することが好ましい。
また、液体吐出装置1は、チャンバ401の外部の気体(空気)を、チャンバ401の下部に設けられた給気口411を介してチャンバ401の内部に吸入するように作動する給気系440を有する。給気系440は、本実施形態では、給気口411を介してチャンバ401の内部に吸入する気体によって、チャンバ401の内部の気体を排気口421に向かって押し流す気流を形成する。
制御部11は、排気系430を作動させる際に、給気系440も作動させる。例えば、制御部11は、排気系430によってチャンバ401の外部に排出される気体の流量(排気量)と、給気系440によってチャンバ401の内部に吸入される気体の流量(吸気量)とが等しくなるように、排気系430及び給気系440を作動させる。これにより、チャンバ401の内部の圧力(内圧)を一定に維持することができる。
なお、本実施形態では、チャンバ401の内部の気体をチャンバ401の外部に排出する際に、第1切替弁407を開くとともに、第2切替弁408を閉じている。これにより、循環系402によって循環させている気体の全てが排出され、排気系430による排気効果(チャンバ401の内部の気体の清浄化効率)を最大にすることができる。但し、チャンバ401の内部の気体をチャンバ401の外部に排出する際に、第1切替弁407及び第2切替弁408の両方を開いて、循環系402によって循環させている気体の一部を排出することでも一定の効果を得ることができる。
本実施形態において、図1に示すブロワ403、フィルタ404、整流部405、検出部406、第1切替弁407及び第2切替弁408の配置位置は一例であって、上述した効果が得られる範囲で配置位置を変更することが可能である。また、フィルタ404及び410は、フィルタの種類を限定するものではないが、一般的には、有機フィルタ、無機フィルタ、HEPAフィルタなどを含む。
このように、本実施形態によれば、チャンバ401の内部の気体に含まれる有機成分の濃度に応じて、排気系430を作動させることで、吐出ヘッド5から吐出されるインク4に起因する装置汚染を抑制するのに有利である。特に、インク4のミストに含まれる量子ドット材料などの除去対象物がチャンバ401の内部に充満することを抑制し、人体への曝露を防ぐのに極めて有用である。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態における液体吐出装置1の構成を示す図である。本実施形態において、液体吐出装置1は、図5に示すように、給気口411を介して吸入される気体(チャンバ401の外部の気体)をチャンバ401の内部に吹き出す複数の気流発生部501、502、503及び504(複数のノズル)を有する。気流発生部501乃至504は、それぞれ、給気口411から分岐され、給気口411を介してチャンバ401の内部に吸入する気体(の流れ)を利用して気流を発生させる機能を有する。本実施形態では、気流発生部501乃至504は、給気口411を介してチャンバ401の内部に吸入する気体によって、チャンバ401の内部の気体を排気口421に向かって押し流す気流を形成する。気流発生部501乃至504のそれぞれは、気流を発生させる機構として、例えば、エアブローノズルを含む。また、より積極的な気流を発生させるために、気流発生部501乃至504のそれぞれは、チャンバ401の内部に吹き出す気体の流速を速めるためのブロワを更に含んでもよい。
気流発生部501は、チャンバ401の底面近傍の気体を押し流し、循環系402及び排気系430に連通する排気口421に向かう気流を発生させるように設けられている。これは、上述したように、量子ドット材料などを含む除去対象物は、一般的に、チャンバ401の内部の気体である空気よりも比重が重く、重力方向に滞留する特性があるからである。従って、チャンバ401の底面に滞留している除去対象物を、気流発生部501で発生させた気流によって排気口421に向かって押し流すことで、除去対象物の除去効率を向上させることができる。
本実施形態において、吐出ヘッド5が吐出するインク4からチャンバ401の内部に飛散するミスト(量子ドット材料などの除去対象物)による装置汚染のリスクが高いのは、吐出ヘッド5と基板ステージ3との間の空間である。そこで、吐出ヘッド5と基板ステージ3との間の空間に向けて、気流を発生させる気流発生部502が設けられている。また、気流発生部502は、気流発生部502で発生させた気流が、吐出ヘッド5と基板ステージ3との間の空間を通り、循環系402及び排気系430に連通する排気口421に向かって流れるように、設けられている。
また、インクタンク7には、インク4(量子ドット材料などの除去対象物を含む液体)が大量に貯蔵されている。従って、インクタンク7に異常が発生した場合には、急激な装置汚染が発生するリスクが高い。そこで、気流発生部503は、インクタンク7の周辺領域の気体を押し流し、循環系402及び排気系430に連通する排気口421に向かう気流を発生させるように設けられている。これにより、インクタンク7に異常が発生した場合であっても、インクタンク7の近傍での急激な装置汚染の発生を抑制することができる。
また、回復ユニット8には、インクタンク7と同様に、吐出ヘッド5の吐出特定を回復する際に吐出ヘッド5から回収したインク4(量子ドット材料などの除去対象物を含む液体)が大量に貯蔵されている。従って、回復ユニット8に異常が発生した場合には、急激な装置汚染が発生するリスクが高い。そこで、気流発生部504は、回復ユニット8の周辺領域の気体を押し流し、循環系402及び排気系430に連通する排気口421に向かう気流を発生させるように設けられている。これにより、回復ユニット8に異常が発生した場合であっても、回復ユニット8の近傍での急激な装置汚染の発生を抑制することができる。
本実施形態では、インク4のミスト(量子ドット材料などの除去対象物)に起因する装置汚染のリスクが高い箇所に着目して、気流発生部501乃至504について説明した。但し、気流発生部501乃至504を配置する位置や気流発生部501乃至504で発生させる気流の流れは限定されるものではない。例えば、チャンバ401の壁面全体から循環系402及び排気系430に連通する排気口421に向かう気流を発生させるようにしてもよい。
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態における液体吐出装置1の構成を示す図である。本実施形態において、液体吐出装置1は、図6に示すように、インタフェース601を有する。インタフェース601は、表示デバイスや入力デバイスなどを含み、液体吐出装置1からユーザに、或いは、ユーザから液体吐出装置1に情報や指示を伝えるためのユーザインタフェースである。インタフェース601は、液体吐出装置1の全般的なオペレーションを含む集中制御装置としての機能を集約するために、制御部11に設けられている。インタフェース601は、排気系430による排気動作の起動や停止を手動で行うことを可能にし、ユーザの指令に応じて、検出部406で検出される有機成分(検出対象物)の濃度にかかわらず、排気系430を強制的に作動させる。
このように、検出部406で検出される有機成分の濃度にかかわらず、排気系430を強制的に作動させることを可能にすることで、任意のタイミングにおいて、装置内(チャンバ401の内部)を清浄な状態にすることができる。例えば、装置メンテナンスやトラブル復旧などでユーザが装置内に入らなければならない場合、ユーザが装置内に入る前に、排気系430を強制的に作動させることで、装置内の安全を保障することができる。
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態における液体吐出装置1の構成を示す図である。液体吐出装置1は、図7に示すように、一般的に、基板ステージ3の位置をリアルタイムで計測する干渉計701を有する。干渉計701は、基板ステージ3に設けられた反射部材702に向けて光を照射し、反射部材702で反射された光(反射光)を検出して、その位相差から基板ステージ3の位置(現在位置)を高精度に取得することができる。
干渉計701においては、反射部材702で反射された光の位相差を検出するという特性上、干渉計701の光路領域(空間)703に、量子ドット材料などの除去対象物を含むインク4のミストや有機ガス(有機成分)を滞留させないことが好ましい。これは、インク4のミストや有機ガスが光路領域703に滞留すると、光路領域703での屈折率が変化し、干渉計701による基板ステージ3の位置の計測精度が低下するからである。
液体吐出装置1では、チャンバ401の内部の気体に含まれる有機成分の濃度は、検出部406で常に検出されている。従って、干渉計701の光路領域703に存在する有機成分の濃度を推定することができる。そこで、本実施形態では、検出部406で検出される有機成分の濃度に基づいて、干渉計701で計測される基板ステージ3の位置を補正する補正部としての機能を、例えば、制御部11が有している。具体的には、検出部406で検出される有機成分の濃度に対応する、干渉計701で計測される基板ステージ3の位置の変化量を推定し、かかる変化量を用いて干渉計701で計測される基板ステージ3の位置を補正する。これにより、基板ステージ3の位置制御を高精度に行うことが可能となる。なお、検出部406で検出される有機成分の濃度と、干渉計701で計測される基板ステージ3の位置の変化量との関係は事前に取得し、制御部11(のメモリ)に補正テーブルとして格納しておくことが好ましい。
<第5実施形態>
本実施形態では、検出部406で検出される有機成分の濃度が排気系430を動作させる閾値以上となる前に、チャンバ401の内部の気体に含まれる有機成分の濃度の上昇を検知して、量子ドット材料などの除去対象物に起因する装置汚染を抑制する。例えば、制御部11において、検出部406で検出される有機成分の濃度が高くなるにつれて、循環系402によって循環される気体の流量が増加するように、循環系402を制御する。具体的には、ブロワ403の風量を上昇させることで、循環系402によって循環される気体の流量を増加させる。これにより、時間あたりにフィルタ404を通過する気体の流量が増加し、フィルタ404での量子ドット材料などの除去対象物の除去量を増加させることができる。従って、チャンバ401の内部において、量子ドット材料などの除去対象物を含むミストの充満速度が抑制され、量子ドット材料などの除去対象物に起因する装置汚染を抑制することができる。
循環系402によって循環される気体の流量を増加させる基準となる有機成分の濃度は、排気系430を動作させる閾値よりも小さい値であれば、任意に設定することが可能である。また、循環系402によって循環される気体の流量は、検出部406で検出される有機成分の濃度に応じて段階的に増加させてもよいし、有機成分の時間あたりの濃度の変化量が一定以上になった場合に増加させてもよい。
なお、第4実施形態で説明したように、装置汚染が進み、インク4のミストや有機ガスが干渉計701の光路領域703に滞留すると、基板ステージ3の位置を計測する干渉計701に計測誤差が発生する。但し、本実施形態のように、検出部406で検出される有機成分の濃度が高くなるにつれて、循環系402によって循環される気体の流量を増加させることで、上述したような要因による干渉計701の計測誤差を抑制する効果を得ることができる。
<第6実施形態>
図8は、第6実施形態における液体吐出装置1の構成を示す図である。本実施形態において、液体吐出装置1は、図8に示すように、循環系402によって循環される気体の流路において、検出部406の前段に設けられたフィルタ801を有する。フィルタ801は、フィルタ404及び410と同様に、インク4のミスト、特に、除去対象物を除去する機能を有する。
液体吐出装置1において、有機成分の濃度を検出する検出部406には、定期校正やメンテナンスが必要となる。但し、量子ドット材料などの除去対象物で汚染された検出部406を定期校正したり、メンテナンスしたりすることは、ユーザ(作業者)の安全確保の観点から難しい。そこで、本実施形態のように、検出部406の前段にフィルタ801を設けることで、検出部406が量子ドット材料などの除去対象物で汚染されることを抑制することが好ましい。なお、本実施形態では、検出部406の前段に新たなフィルタ801を設けているが、新たなフィルタ801を設けるのではなく、循環系402に設けられるフィルタ404を検出部406の前段に配置してもよい。
<第7実施形態>
図9は、第7実施形態における液体吐出装置1の構成を示す図である。本実施形態において、液体吐出装置1は、検出部406として、チャンバ401の内部の同一箇所における有機成分を検出する2つの検出器、第1検出器901及び第2検出器902を有する。第1検出器901及び第2検出器902は、それぞれ、チャンバ401の内部の第1箇所(任意の箇所)における有機成分を検出する。
本実施形態では、第1検出器901及び第2検出器902を用いて、有機成分の濃度が正しく検出されていることを監視(相互監視)することが可能である。例えば、第1検出器901で検出される有機成分の濃度と、第2検出器902で検出される有機成分の濃度とが異なる場合には、第1検出器901又は第2検出器902に異常(故障)が発生している可能性が高いと考えられる。このような場合には、排気系430を強制的に動作させることで、量子ドット材料などの除去対象物に起因する装置汚染を抑制することができる。
<第8実施形態>
本実施形態では、チャンバ401の内部で発生する気流の流速が1m/sec以下となるように、循環系402や排気系430を動作させる。具体的には、循環系402からチャンバ401の内部に戻る気体の流速(循環系402によって循環される気体の流速)が1m/sec以下となるように、循環系402を制御する。また、排気系430によって排気設備409(チャンバ401の外部)に排出される気体の流速が1m/sec以下となるように、排気系430を制御する。
チャンバ401の内部は、排気系430が動作しない限り、密閉された空間であるため、チャンバ401の内部で気体が循環する構成となっている。従って、フィルタ404の経年劣化や異常などで除去性能が低下し、チャンバ401の内部(の気体)の有機成分の濃度が高くなると、各部が備えるモータ類やチャンバ401の内部の気流による静電気によって、燃焼や爆発を招く可能性がある。
そこで、本実施形態では、検出部406で検出される有機成分の濃度が予め定められた濃度以上となる場合に、液体吐出装置1の動作を停止させるとともに、排気系430を動作させる。その際、チャンバ401の内部の気流によって静電気が発生することを抑えるために、チャンバ401の内部で発生する気流の流速が1m/sec以下となるように、循環系402や排気系430を動作させる。なお、チャンバ401の内部で発生する気流の流速を1m/sec以下とする理由は、可燃性流体を搬送する際に静電気の発生を抑えて安全に搬送可能な流速が1m/secであるからである。
<第9実施形態>
本実施形態では、検出部406で検出される有機成分の濃度が予め定められた濃度以上となる場合に、循環系402及び排気系430を除いた液体吐出装置1の動作を停止させる。例えば、予め定められた濃度は、チャンバ401の内部の有機成分の濃度が燃焼や爆発の可能性のある濃度以下に設定される。また、予め定められた濃度は、インク4のミストや有機ガスに起因する干渉計701の計測誤差が許容範囲に収めることが可能な有機成分の濃度以下に設定されてもよい。なお、第8実施形態と同様に、液体吐出装置1の動作を停止させるとともに、排気系430を動作させるとよい。
<第10実施形態>
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、有機EL等のディスプレイ用パネルや半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、液体吐出装置1(を有する基板処理装置)を用いて基板に液体を吐出して液膜を形成する工程と、かかる工程で液膜が形成された基板を加工、具体的には、乾燥させ、乾燥膜が形成された基板を得る工程と、を有する。また、本実施形態の物品の製造方法は、乾燥膜が形成された基板から物品を製造する工程を更に有する。更に、かかる物品の製造方法は、他の周知の工程(焼成、冷却、洗浄、酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
本明細書の開示は、以下の液体吐出装置、基板処理装置及び物品の製造方法を含む。
(項目1)
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドを収容するチャンバと、
前記チャンバの内部の気体を循環させる循環系と、
前記気体を前記チャンバの外部に排出するように作動する排気系と、
前記循環系に設けられ、前記気体に含まれる除去対象物を除去するフィルタと、
前記気体に含まれる、前記除去対象物とは異なる検出対象物を検出することで、前記除去対象物を間接的に検出する検出部と、
前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が閾値以上である場合に、前記排気系を作動させる制御部と、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
(項目2)
前記除去対象物及び前記検出対象物は、前記ヘッドから前記液体を吐出するときに、当該液体から前記チャンバの内部に飛散することを特徴とする項目1に記載の液体吐出装置。
(項目3)
前記チャンバの外部の気体を、給気口を介して前記チャンバの内部に吸入するように作動する給気系を更に有し、
前記排気系は、前記チャンバの内部の気体を、排気口を介して前記チャンバの外部に排出するように作動し、
前記給気系は、前記給気口を介して前記チャンバの内部に吸入する気体によって、前記チャンバの内部の気体を前記排気口に向かって押し流す気流を形成することを特徴とする項目1又は2に記載の液体吐出装置。
(項目4)
前記制御部は、前記排気系によって前記チャンバの外部に排出される気体の流量と、前記給気系によって前記チャンバの内部に吸入される気体の流量とが等しくなるように、前記排気系及び前記給気系を作動させることを特徴とする項目3に記載の液体吐出装置。
(項目5)
前記給気系は、前記給気口を介して吸入される気体を前記チャンバの内部に吹き出す複数のノズルを含み、
前記複数のノズルのそれぞれは、前記チャンバの内部に吹き出す気体によって、前記チャンバの内部の気体を前記排気口に向かって押し流す気流を形成することを特徴とする項目3又は4に記載の液体吐出装置。
(項目6)
前記制御部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度にかかわらず、前記排気系を作動させるためのインタフェースを含むことを特徴とする項目1乃至5のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目7)
前記ヘッドから吐出される前記液体が配置される基板を保持するステージと、
前記ステージの位置を計測する干渉計と、
前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度に基づいて、前記干渉計で計測される前記ステージの位置を補正する補正部と、
を更に有することを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目8)
前記補正部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度に対応する、前記干渉計で計測される前記ステージの位置の変化量を推定し、前記変化量を用いて前記干渉計で計測される前記ステージの位置を補正することを特徴とする項目7に記載の液体吐出装置。
(項目9)
前記制御部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が高くなるにつれて、前記循環系によって循環される気体の流量が増加するように、前記循環系を制御することを特徴とする項目1乃至8のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目10)
前記フィルタは、前記循環系によって循環される気体の流路において、前記検出部よりも前段に設けられていることを特徴とする項目1乃至9のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目11)
前記検出部は、
前記チャンバの内部の第1箇所における前記検出対象物を検出する第1検出器と、前記第1箇所における前記検出対象物を検出する第2検出器と、を含み、
前記第1検出器及び前記第2検出器を用いて、前記検出対象物の濃度が正しく検出されていることを監視することを特徴とする項目1乃至10のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目12)
前記制御部は、前記第1検出器で検出される前記検出対象物の濃度と、前記第2検出器で検出される前記検出対象物の濃度とが異なる場合に、前記排気系を作動させることを特徴とする項目11に記載の液体吐出装置。
(項目13)
前記制御部は、前記排気系によって前記チャンバの外部に排出される気体の流速が1m/sec以下となるように、前記排気系を作動させることを特徴とする項目1乃至12のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目14)
前記制御部は、前記循環系によって循環される気体の流速が1m/sec以下となるように、前記循環系を制御することを特徴とする項目13に記載の液体吐出装置。
(項目15)
前記制御部は、前記検出部で検出される前記検出対象物の濃度が予め定められた濃度以上となる場合に、前記循環系及び前記排気系を除いた前記液体吐出装置の動作を停止させることを特徴とする項目1乃至14のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目16)
前記検出対象物は、前記液体に含まれる有機成分を含み、
前記除去対象物は、前記液体に含まれる量子ドット材料を含むことを特徴とする項目1乃至15のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置。
(項目17)
前記量子ドット材料は、重金属物質を含むことを特徴とする項目16に記載の液体吐出装置。
(項目18)
前記量子ドット材料は、カドミウム、インジウム又は鉛を含むことを特徴とする項目16に記載の液体吐出装置。
(項目19)
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持するステージと、
前記ステージに保持された前記基板に対して液体を吐出する項目1乃至18のうちいずれか1項目に記載の液体吐出装置と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
(項目20)
項目19に記載の基板処理装置を用いて基板に液体を吐出する工程と、
前記液体が吐出された前記基板を加工する工程と、
加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
1:液体吐出装置 2:基板 3:基板ステージ 4:インク 5:吐出ヘッド 11:制御部 401:チャンバ 402:循環系 404:フィルタ 430:排気系
【図
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