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特表2022-504674修復歯科治療プランニングのコンピュータ実装方法
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  • 特表-修復歯科治療プランニングのコンピュータ実装方法 図1
  • 特表-修復歯科治療プランニングのコンピュータ実装方法 図2A
  • 特表-修復歯科治療プランニングのコンピュータ実装方法 図2B
  • 特表-修復歯科治療プランニングのコンピュータ実装方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】修復歯科治療プランニングのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61C13/00 A
A61C13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021519797
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2019077614
(87)【国際公開番号】W WO2020074714
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】18200195.8
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】デルザプフ、エブゲニー
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA41
4C159DD01
4C159DD08
4C159GG15
(57)【要約】
患者のための修復歯科治療をプランニングする方法において、少なくとも2つの歯科修復物がデジタル処理で構築される(20)。このプロセスでは、患者の口腔内への修復物の挿入のための最適仕様(40)が計算され(30)、ここで、修復物の挿入のための最適仕様は、挿入されるべき修復物の最適順序を備え、該当する場合、挿入されるべき修復物のための最適挿入経路を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のための修復歯科治療をプランニングするコンピュータ実装可能な方法であって、少なくとも2つの歯科修復物がデジタル処理で構築され(20)、前記患者の口腔内への前記歯科修復物の挿入のための仕様(40)が計算され、ここで、前記歯科修復物の挿入のための前記仕様(40)は、挿入されるべき前記歯科修復物の順序を備え、該当する場合、挿入されるべき前記歯科修復物のための挿入経路を含み、前記方法は、
a.前記歯科修復物の幾何学形状を計算するステップ(20)と、
b.可能な挿入順序及び/又は可能な挿入経路についての潜在的なコンフリクトを識別するステップ(30)と、
c.前記歯科修復物の挿入のために利用可能となる可能性のある最適仕様を出力するステップ(40)、ここで、前記最適仕様(40)は、コンフリクトのない前記歯科修復物の挿入を可能にするものであり、又は前記最適仕様(40)が可能でない場合、ステップa.~c.の繰返しのステップと、
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記挿入経路が直線状及び/又は曲線状であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記挿入経路が回転を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記挿入経路が挿入方向を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、挿入されるべき前記歯科修復物が変形されていないことを考慮することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記歯科修復物の前記幾何学形状の構築における可能な調整を考慮することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アバットメントを有する前記歯科修復物の構築において、一体型アバットメントが、複数部品から成るアバットメントよりも好ましいことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、挿入されるべき前記歯科修復物の挿入方向についての外部制約を考慮に入れることができることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記歯科修復物の作成のための技術的な制限を考慮に入れることができることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記計算された仕様における手動の修正を考慮に入れることができることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が反復的に実行されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、歯科修復物の前記プランニング及び/又は製造のための、コンピュータ支援設計プログラム及び/又はコンピュータ支援製造プログラムのフレームワーク内で実行されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
施術者のためのガイドが、前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)を用いて生成されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが記憶された機械可読なデータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者のための修復歯科治療をプランニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科においては、患者の歯が1つ以上の歯科交換製品、例えば、クラウン、ブリッジ、アンレー、インレー、又はアタッチメント(取り外し可能な歯交換部品)によって部分的又は完全に交換される修復歯科治療が多くの場合必要とされる。このような修復物の設計及び作成のためのデジタルプロセスが知られており、それによって、より新しいデジタル方法が、例えば、歯ライブラリ又はバイオジェネリカルに計算された歯モデルに基づいて、患者に最適な修復物を提供するために、修復物のコンピュータ支援設計による作業、及び該当する場合、コンピュータ支援製造による作業(CAD/CAM技術)を利用する。
【0003】
例えば、石膏モデル上での層の配置を使用する、従来の修復物のアナログ製造では、複数の修復物、即ち、複数の歯科交換製品がある場合、歯科技工士又は修復物の製造業者は、これら製品をいかに最適な方法で患者の歯列又は口腔内に挿入するかという問題に必然的に遭遇する。歯科技工士は、修復物の製造中に、この問題となるステップに直接直面するので、彼/彼女は、前もってモデルに対して適切な調整を行うことによって、後の患者に対する修復物の挿入中のあらゆる問題を回避し得る。修復物の製造におけるこの手作業のステップは、デジタル歯モデルの時代においては一般に省略されるので、問題は、歯科交換製品が挿入されるまで生じない可能性があり、その結果、治療を行う歯科医は、修復物を再加工及び再製作することによって、又は、修復物若しくは必要であれば既存の歯さえも削ることによって、自発的に自身を手助けしなければならない。
【0004】
米国特許出願US 2016/0242880 A1は、幾つかの人工歯又は修復物の挿入に対処している。これは、修復物を設計するためのコンピュータ実装方法を記載しており、ここで、隣在歯交換部品(adjacent tooth)の形状は、別の歯がデジタルモデルにおいて修正される場合、モデリング中に調整される。
【0005】
国際特許出願WO 2013/164410 A1には、歯交換部品用の3Dモデルを設計するためのデジタル方法が記載されており、ここで、患者の歯列における挿入位置も3Dモデルにおいて表されている。歯交換部品のための挿入経路が決定され、歯交換部品の3Dモデルは、例えば、隣在歯についてのアンダーカットが、挿入されるべき修復物の形状の計算において考慮されるように調整される。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、治療中の複数の歯科交換製品の挿入中の上述の問題を克服し、患者の口腔内への歯科修復物の挿入を簡略化及び改善することである。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の修復歯科治療をプランニングする方法によって達成される。この方法の好ましい実施形態及び更なる発展形態が、従属請求項において提供される。本発明はまた、この方法を実行するためのコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムを記憶した機械可読データ記憶媒体を提供する。
【0008】
患者のための修復歯科治療をプランニングする方法において、少なくとも2つの歯科修復物がデジタル処理で構築され、患者の口腔内への修復物の挿入のための最適仕様が計算され、ここで、修復物の挿入のための最適仕様は、挿入されるべき修復物の最適順序(optimum sequence)を備え、該当する場合、挿入されるべき修復物のための最適挿入経路を含む。例えば、CAD/CAMプログラムのフレームワーク内で実行され得る、本発明による方法は、特に以下のステップを備える:
a.修復物の幾何学形状(geometries)についての計算/構築、
b.可能な挿入順序、及び該当する場合、可能な挿入経路についての潜在的なコンフリクト(potential conflicts)についての識別、及び
c.修復物の挿入のために利用可能となる可能性のある最適仕様の出力、ここで、最適仕様は、コンフリクトのない修復物の挿入を可能にし、又は該当する場合、コンフリクトのない最適仕様が可能でないときは、ステップa.~c.の繰返し。
【0009】
修復物の挿入のための最適仕様は、施術者によって考慮されたときに、患者の口腔内への修復物の挿入に関して問題又はコンフリクトが予期されない仕様として理解されるべきである。最適仕様により、特に、修復物同士の干渉接触及び修復物の隣在歯状況(adjacent tooth situation)との干渉接触が回避される。最適仕様の決定は更に、修復物が迅速且つ簡単に挿入可能であることを考慮し得る。
【0010】
この方法の利点は、修復物を適合させるために、ユーザが、例えば、スキャンを見ること若しくは患者の口腔内を直接覗き込むことによって、又はアナログなモデルを使用することによって、手作業で修復物を設計及び調整する必要がもはやなくなることである。代わりに、順序に関して、及び該当する場合、挿入経路に関しても、修復物の最適挿入が、修復物の挿入より前にプランニングされ、治療を行う歯科医に推奨案(recommendation)として提供され、その結果、例えば、アンダーカット等の修復物の複雑な幾何学形状であっても、患者の歯列への問題のない迅速な歯修復物の挿入が可能である。例えば、修復物自体又は患者の歯列内の既存の歯さえも削ることによる、修復物の挿入及び後続の調整への試行錯誤手法は、もはや必要ではなく、従って、患者の不快感及び不利益を回避する。本発明による方法によれば、治療を行う歯科医は、潜在的な問題が事前に考慮されて、特定の治療のための挿入順序及び挿入経路の適切な調整によって回避される、実現し得る最良の推奨案としてガイドの形態で、修復物の挿入のための最適仕様を提供され得るので、これもまた、治療を行う歯科医の作業を大幅に促進する。
【0011】
これまで、ユーザは、モデル上で「練習」し、対応する挿入プロトコルを自身で作成するか、又は患者の口腔内への挿入に手作業での試行錯誤手法を用いなければならなかった。修復物の数及びそれに伴う挿入順序のバリエーションに応じて、これは必然的に複雑化をもたらし、特に、経時的に硬化するセメント又は接着剤が使用され、次にどの歯根(stump)をセメント又は接着剤で被覆するかについての決定を潜在的に行う必要がある場合にそうである。例えば、手持ち式器具による挿入中に、接触領域において隣在歯に関して問題となるクランプ点をブロックアウトすることは、複数の歯科交換製品の従来の挿入の別の変形例であった。この変形例は、必然的に、接触領域において最適とは言えない不自然な歯形状をもたらし、患者にとって問題を引き起こす可能性がある。本発明による方法は、患者の実際の治療より前に、修復物の挿入のための最適仕様を計算し、それをユーザ、即ち、治療を行う歯科医に利用可能にすることによって、これらの欠点全てを回避し、その結果、修復物の挿入は、如何なる問題もなく円滑に実行され得る。
【0012】
実際の順序と共に修復物の挿入中に考慮され得る挿入経路は、直線状及び/又は曲線状であり得る。挿入経路は更に回転を備え得る。挿入中の修復物の回転は、例えば、アンダーカットの場合の問題を回避するために、非常に有用であり得る。従って、回転は、好ましくは、本発明による方法による挿入順序の決定において考慮される。異なる可能な回転は、それらが挿入に有用かどうかをテストするために、本方法の過程で自動的にチェックされ得る。従って、修復物の挿入中に必要となる可能性のある回転は、治療を行う歯科医のための仕様に含まれ得るか又はガイド若しくは説明に含まれ得る。これはまた、インレー又は他の歯科修復物にとっても関心の対象となり、有用であり得る。
【0013】
挿入経路は、更に好ましくは、挿入方向の定義も備える。従って、修復物の挿入のための仕様はまた、影響を受ける修復物の挿入方向に基づく自動取り付け方向決定を備え得る。
【0014】
修復物の挿入のための最適仕様の計算は、好ましくは、挿入されるべき修復物が変形していないこと、特に、それらの最適形状に反して変形していないことを考慮する。従って、本発明による方法の1つの特定の利点は、最適形状の修復物が挿入されるという前提の下で、修復物の挿入のための仕様が行われることである。結果として、接触領域における複雑な構成の場合であっても、最適な歯形状が修復物によって可能となり得る。しかしながら、修復物の挿入のための仕様が、最適な修復物形状では不可能である場合、修復物の幾何学形状の設計からのフィードバックを用いて調整を行うことも可能である。これは、当初最適であると決定された歯交換部品の幾何学形状が、実際には口腔内に挿入されることができない場合、その幾何学形状に対して調整が行われ得ることを意味する。その後、挿入のための最適仕様は、これらの新しい条件下で決定され、その結果、歯交換部品は、干渉接触なしに特定の順序で挿入され得る。これを達成するために必要とされる挿入順序、及び該当する場合、最適挿入経路は、反復プロセスにおいて自動的に計算され得る。
【0015】
他の要因もまた、構築中の調整において、及び概して修復物の構築において、役割を果たし得る。アバットメントのケースでは、例えば、原則として、複数部品から成るアバットメントと比較して、一体型アバットメント解決策が有利であり、従って選好されるべきであるという事実が考慮され得る。
【0016】
更に、本発明による方法では、挿入されるべき修復物の挿入方向についての外部制約が、修復物の挿入のための最適仕様の計算において考慮され得、ここで、挿入方向は、挿入経路の一部として理解されるべきである。例えば、修復物の可能な挿入方向に影響を及ぼすか又はそれを指定する、固定的に予め定義されたインプラント位置又はアタッチメント部品が、最適仕様の計算において考慮される。
【0017】
技術的な制限もまた、修復物の構築において考慮され得、例えば、4軸フライス盤/研削盤の、例えば、機械の制限の自動的な考慮であり、ここで、フライス盤/研削盤の軸の数が、製造され得る修復物本体の可能な形状、例えば、アンダーカットの可能性を制限し得る。
【0018】
更に、本方法に従って導出された修復物の挿入のための最適仕様を手動で修正し、その後、これら修正を考慮に入れて、新しい最適仕様を作成することも可能である。従って、治療を行う歯科医は、治療中に生じる実際的制限をシステムに入力し得、例えば、その結果、修復物の挿入のための適切に調整された仕様が計算及び発行され得る。例えば、歯科医は、最初に挿入されるべき歯を識別することができ、システム、即ち、本発明による方法は、その仕様に従って、修復物の挿入のためのプランニングを調整することになる。
【0019】
本発明による方法は、原理上は、全てのタイプの修復物及びアタッチメントに使用され得、例えば、隣接歯間領域(interproximal region)で接触するアンレー、クラウン、アバットメント、又は隣接するクラウンを有するブリッジに使用され得る。本発明による方法はまた、隣接歯間接触を有するベニア(veneers)にも有利に使用され得る。
【0020】
全体として、本方法は、歯交換部品の又は修復物の挿入中の問題が回避されるという利点を、ユーザ、即ち、特に治療を行う歯科医、延いては明らかに患者にも提供する。挿入コンフリクトが事前に認識され、本方法によって自動的に考慮されるので、ユーザ及び患者の安全性が向上し、不快感及び問題が回避される。
【0021】
本発明による方法は、修復物の挿入のための仕様が、少なくとも2つの修復物に関することを前提とする。本方法のこの構成では、修復物の挿入のための最適仕様を計算することができない場合、修復物の幾何学形状は、恐らく修復物の幾何学形状を調整することによる、フィードバックを伴う形で考慮される。これは、このケースでは、修復物のそれらの最適な形状に反する変形なし、又は場合によっては周囲の歯の変形なしでの患者の歯列への修復物の挿入が可能ではないことを意味する。この場合、幾何学形状は、修復物の挿入中の後の問題を回避するために調整されなければならない。
【0022】
説明された方法は、好ましくは、歯科修復物のプランニング及び/又は製造のための、コンピュータ支援設計プログラム及び/又はコンピュータ支援製造プログラム(CAD/CAMシステム)のフレームワーク内で実行される。この方法は、言わば、修復物の挿入のための最適仕様を自動的に生成し得、ここで、この仕様は、修復物の挿入のガイド又は詳細な説明として施術者に提供され得る。これは、例えば、印刷可能な形態で、又は、コンピュータ若しくは、例えば、モバイルデバイスの画面上の表示として行われ得る。
【0023】
本発明は、説明された方法を実施するように構成されたコンピュータプログラムを更に備える。本発明は、このようなコンピュータプログラムが記憶された機械可読データ記憶媒体を更に備える。
【0024】
本発明の更なる特徴及び利点が、図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、好ましい実施形態における本発明による方法の概略フローチャートである。
図2図2は、問題のある挿入状況における修復物の構築の調整を示す図である。
図3図3は、問題のある挿入状況における挿入経路の修正を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、修復歯科治療をプランニングするための方法の一実施形態の順序を概略的に示し、ここで、修復物の挿入のための最適仕様が決定される。特に、CAD/CAMシステムに統合された本方法の開始10の後、ステップ20において、歯科修復物の幾何学形状が、それ自体既知の方法で計算及び構築される。後続の問い合わせ30が、可能な挿入順序に対して、及び該当する場合、可能な挿入経路に対して、潜在的なコンフリクトが予期されるかどうかを決定する。挿入順序のための最適仕様の計算は、特に、外部制約、例えば、インプラント挿入方向又は既存のアタッチメントを考慮し、また、隣在歯の接触を考慮する。例えば、潜在的なコンフリクトを識別する場合、修復物の挿入のための全ての可能な順序が最初に決定され得、その挿入は、例えば、歯根状況でシミュレートされ得る。例えば、隣接歯間接触状況によって決定される接線方向の検査も同様に行われ得る。従って、実行可能な挿入順序が識別され得、必要であれば、特定の挿入経路(回転、挿入方向等)を考慮に入れる。異なる経路が可能である場合、例えば、ユーザによって特に簡単且つ迅速に実現され得る、1つの特に好適且つ有利な仕様が選択され得る。最適仕様は、ステップ40において、例えば、スケッチを使用して及び/又は書面形式で、ユーザのためのガイドとしてシステムによって出力されることになる。修復物を挿入するための仕様に対して幾つかの実行可能な変形が得られる場合、代替として使用され得る幾つかのガイドが出力され得る。ステップ30における問い合わせが、最適仕様が存在しないこと、又は所定の条件下での修復物の挿入が更なる調整なしでは不可能であることを示す場合、ステップ20に戻って、幾何学形状の調整を実行することが可能である。この場合、アルゴリズムは、最初からやり直しとなり、ここで、1つ以上の修復物は、新しい条件下で患者の口腔内への修復物の問題のない挿入を可能にするために、適宜調整され得る。
【0027】
挿入順序、及び該当する場合、挿入経路又は挿入方向のための異なる選択肢を考慮する、修復物の挿入のためのこの提案計算(proposal calculation)は、たとえ接触状況が好ましくなかったとしても、歯科医が実現し得る最良の歯形状を使用し得ることを確実にする。本発明によれば、歯形状及び接触領域に関して妥協する必要性を回避するために、特定の挿入順序が計算及び指定される。従って、歯形状の結果として時に必要とされる間接的な挿入順序が計算され及び実際に実施され得るので、最適な修復物形状は、挿入性の理由から妥協される必要がない。本方法は、治療を行う歯科医が治療のための基礎として、例えば、画面上で又は印刷出力として使用し得る、システムによって自動的に導出される挿入順序、及び該当する場合、特定の挿入経路を有する、治療を行う歯科医のためのガイドの自動生成を可能にする。
【0028】
本方法はまた、当該ケースについて、一体型アバットメント解決策又は2つの部品から成るアバットメント解決策のどちらが最適であるかを決定するために、例えば、アバットメント(インプラント構造)の計算に使用され得る。それによって回避され得る追加のセメント又は接着間隙のために、一体型アバットメント解決策が一般的に好ましい。しかしながら、一体型アバットメント解決策の挿入中に問題が生じ得、これは、本発明による方法を使用して事前にモデル化及び認識され得る。この問題を解決するために、アバットメントを含む修復物の、場合によっては間接的な挿入順序が、本発明による方法を使用して計算され得る。一体型アバットメントを含む修復物の挿入のための好適な挿入順序又は好適な仕様が可能でない場合には、適切な場合、2つの部品から成るアバットメント解決策が使用され得る。
【0029】
図2は、強く傾斜したスピー(Spee)の湾曲を有する困難な挿入状況を概略的に示しており、ここで、スピーの湾曲は、歯列における切端と咬頭とを接続する弧(矢状補償曲線(sagittal compensation curve))を描く。機能上の理由から修復物において考慮に入れなければならないスピーの湾曲は、問題のある挿入状況をもたらし得る(部分図A)。これらの問題(アンダーカット)は、本発明による方法の範囲内で、シミュレーション中に、修復物の挿入のシミュレーション(歯1、2、3の順序)において識別され、このケースでは、挿入順序を変えることによっても修正されることができない。このケースでは、コンフリクトは、修復物(歯2)の幾何学形状に対する調整と共に、本発明による方法の範囲内で事前に考慮される(部分図B)。
【0030】
図3は、問題のある状況が、挿入経路を変えることによって解決され得るケースを示す。天然歯5に挿入されるべきインレー4のアンダーカット状況により、真っ直ぐな直接的な挿入は不可能である。この挿入は、挿入されるべきインレー4の回転によってのみ可能である。この状況は、同様に、複数の修復物を有する状況にも適用され得る。
図1
図2A
図2B
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のための修復歯科治療をプランニングするコンピュータ実装された方法であって、少なくとも2つの歯科修復物がデジタル処理で構築され(20)、前記患者の口腔内への前記歯科修復物の挿入のための仕様(40)が計算され、ここで、前記歯科修復物の挿入のための前記仕様(40)は、挿入されるべき前記歯科修復物の順序を備え、該当する場合、挿入されるべき前記歯科修復物のための挿入経路を含み、前記方法は、
a.前記歯科修復物の幾何学形状を計算するステップ(20)と、
b.可能な挿入順序、及び該当する場合の可能な挿入経路についての潜在的なコンフリクトを識別するステップ(30)と、
c.前記歯科修復物の挿入のために利用可能な最適仕様を出力するステップ(40)、ここで、前記最適仕様(40)は、コンフリクトのない前記歯科修復物の挿入を可能にするものであり、又は前記最適仕様(40)が可能でない場合、ステップa.~c.の繰返しのステップと、
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記挿入経路が直線状及び/又は曲線状であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記挿入経路が回転を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記挿入経路が挿入方向を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、挿入されるべき前記歯科修復物が変形されていないことを考慮することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記歯科修復物の前記幾何学形状の構築における可能な調整を考慮することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アバットメントを有する前記歯科修復物の構築において、一体型アバットメントが、複数部品から成るアバットメントよりも好ましいことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、歯科修復物の前記プランニング及び/又は製造のための、コンピュータ支援設計プログラム及び/又はコンピュータ支援製造プログラムのフレームワーク内で実行されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項に記載のコンピュータプログラムが記憶された機械可読なデータ記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
患者のための修復歯科治療をプランニングする方法において、少なくとも2つの歯科修復物がデジタル処理で構築され、患者の口腔内への修復物の挿入のための最適仕様が計算され、ここで、修復物の挿入のための最適仕様は、挿入されるべき修復物の最適順序(optimum sequence)を備え、該当する場合、挿入されるべき修復物のための最適挿入経路を含む。例えば、CAD/CAMプログラムのフレームワーク内で実行され得る、本発明による方法は、特に以下のステップを備える:
a.修復物の幾何学形状(geometries)についての計算/構築、
b.可能な挿入順序、及び該当する場合、可能な挿入経路についての潜在的なコンフリクト(potential conflicts)についての識別、及び
c.修復物の挿入のために利用可能な最適仕様の出力、ここで、最適仕様は、コンフリクトのない修復物の挿入を可能にし、又は該当する場合、コンフリクトのない最適仕様が可能でないときは、ステップa.~c.の繰返し。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
図3は、問題のある状況が、挿入経路を変えることによって解決され得るケースを示す。天然歯5に挿入されるべきインレー4のアンダーカット状況により、真っ直ぐな直接的な挿入は不可能である。この挿入は、挿入されるべきインレー4の回転によってのみ可能である。この状況は、同様に、複数の修復物を有する状況にも適用され得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 患者のための修復歯科治療をプランニングするコンピュータ実装可能な方法であって、少なくとも2つの歯科修復物がデジタル処理で構築され(20)、前記患者の口腔内への前記歯科修復物の挿入のための仕様(40)が計算され、ここで、前記歯科修復物の挿入のための前記仕様(40)は、挿入されるべき前記歯科修復物の順序を備え、該当する場合、挿入されるべき前記歯科修復物のための挿入経路を含み、前記方法は、
a.前記歯科修復物の幾何学形状を計算するステップ(20)と、
b.可能な挿入順序及び/又は可能な挿入経路についての潜在的なコンフリクトを識別するステップ(30)と、
c.前記歯科修復物の挿入のために利用可能となる可能性のある最適仕様を出力するステップ(40)、ここで、前記最適仕様(40)は、コンフリクトのない前記歯科修復物の挿入を可能にするものであり、又は前記最適仕様(40)が可能でない場合、ステップa.~c.の繰返しのステップと、
を備えることを特徴とする、方法。
[2] 前記挿入経路が直線状及び/又は曲線状であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 前記挿入経路が回転を含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記挿入経路が挿入方向を含むことを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、挿入されるべき前記歯科修復物が変形されていないことを考慮することを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記歯科修復物の前記幾何学形状の構築における可能な調整を考慮することを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] アバットメントを有する前記歯科修復物の構築において、一体型アバットメントが、複数部品から成るアバットメントよりも好ましいことを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、挿入されるべき前記歯科修復物の挿入方向についての外部制約を考慮に入れることができることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記歯科修復物の作成のための技術的な制限を考慮に入れることができることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)についての計算が、前記計算された仕様における手動の修正を考慮に入れることができることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 前記方法が反復的に実行されることを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記方法が、歯科修復物の前記プランニング及び/又は製造のための、コンピュータ支援設計プログラム及び/又はコンピュータ支援製造プログラムのフレームワーク内で実行されることを特徴とする、[1]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 施術者のためのガイドが、前記歯科修復物の挿入のための前記最適仕様(40)を用いて生成されることを特徴とする、[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14] [1]~[13]のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコンピュータプログラム。
[15] [14]に記載のコンピュータプログラムが記憶された機械可読なデータ記憶媒体。
【国際調査報告】