(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】3次元印刷方法及び3次元印刷システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/112 20170101AFI20220105BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220105BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20220105BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20220105BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20220105BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220105BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220105BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220105BHJP
【FI】
B29C64/112
B41J2/01 213
B41J2/01 401
B41J2/14
B29C64/209
B29C64/386
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520321
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(85)【翻訳文提出日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2019096542
(87)【国際公開番号】W WO2020098303
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】201811353214.1
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519314847
【氏名又は名称】チューハイ セイルナー スリーディー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI SAILNER 3D TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ ▲達▼▲栄▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲偉▼
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
4F213
【Fターム(参考)】
2C056EC11
2C056EC37
2C056EE18
2C056FA11
2C056FB10
2C057AG15
2C057AN02
4F213AR07
4F213AR12
4F213AR19
4F213AR20
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL94
(57)【要約】
【課題】3次元印刷方法及び3次元印刷システムを提供する。
【解決手段】3次元印刷方法は、3次元印刷システムを使用して対象3次元物体を印刷する。3次元印刷方法は、対象3次元物体のモデルデータ(1021)に基づいて初期制御データを生成することと、ノズル列位置ずれデータ(1026)に基づいて初期制御データをシフトして制御データ(1027)を生成することと、制御データに基づいて印刷ヘッド(1012)を制御して対象3次元物体を印刷形成することとを含む。3次元印刷方法では、ノズル列の制御データをシフトして、制御データのうち、最初N行のデータ及び最終N行のデータに一部のノズル列の制御データが存在しないようにすることにより、成形層の両端に傾斜面が生じることを避け、対象3次元物体の表面の成形精度を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元印刷システムを使用して対象3次元物体を印刷する3次元印刷方法であって、
前記3次元印刷システムは、コントローラーと、前記コントローラーに電気的に接続される印刷ヘッド及び印刷台とを備え、前記印刷ヘッドは、行列に配置された複数のノズルを有し、少なくとも2つのノズル列は、行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置されており、
対象3次元物体のモデルデータに基づいて初期制御データを生成することと、
ノズル列位置ずれデータに基づいて前記初期制御データをシフトして制御データを生成することと、
前記制御データに基づいて、前記印刷ヘッドが前記3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することと
を含み、
前記ノズル列位置ずれデータは、位置がずれるように配置された少なくとも2列の前記ノズルにおける前記ノズルの位置ずれ方向及び位置ずれ距離であり、
前記Nは、前記印刷ヘッドの列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の列数の整数倍である
ことを特徴とする3次元印刷方法。
【請求項2】
前記対象3次元物体のモデルデータに基づいて初期制御データを生成することは、
前記対象3次元物体のモデルデータに基づいて3次元物体のスライスデータを生成することと、
前記スライスデータ及び予め設定されたパラメータに基づいて初期制御データを生成することと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元印刷方法。
【請求項3】
前記予め設定されたパラメータは、ノズル印刷材料配置データ及び印刷パラメータであり、
前記印刷パラメータは、前記印刷ヘッドが前記対象3次元物体の各位置に対して実行する主走査動作の回数N、及び/又は前記対象3次元物体の印刷解像度を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の3次元印刷方法。
【請求項4】
前記制御データに基づいて、前記印刷ヘッドが前記3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することは、
前記制御データに基づいて、前記印刷ヘッド及び前記印刷台が前記ノズルの配置行方向において相対運動をして主走査動作を実行するように制御することと、
次回の前記主走査動作を実行する前に、前記印刷ヘッド及び前記印刷台が前記ノズルの配置列方向において相対運動をするように制御することと、
前記主走査動作を複数回繰り返して実行して、対象3次元物体の成形層を形成することと、
前記印刷ヘッド及び前記印刷台が前記ノズルに垂直となる面方向において相対運動をするように制御して、複数の前記成形層を積み重ねて、前記対象3次元物体を印刷形成することとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元印刷方法。
【請求項5】
前記各位置に実行するN回の前記主走査動作のうち、隣り合う2つの前記主走査の間に、前記コントローラーは、前記印刷ヘッドが前記ノズルの配置列方向において1つの進行距離に1つのシフト距離を加えた距離、又は1つの進行距離から1つのシフト距離を引いた距離だけ移動するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元印刷方法。
【請求項6】
前記シフト距離は、1ノズル間隔分をNで割った商と等しく、前記進行距離は、複数のノズル間隔分又はゼロである
ことを特徴とする請求項5に記載の3次元印刷方法。
【請求項7】
前記進行距離がゼロである場合に、前記各位置におけるN回の主走査動作が実行完了し、前記コントローラーは、実行完了した前記N回の主走査動作のうち、1回目の主走査動作における印刷ヘッドの位置に対して、前記印刷ヘッドが前記ノズルの配置列方向において1つの印刷ヘッドの長さ分の距離だけ移動するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の3次元印刷方法。
【請求項8】
前記初期制御データのシフト方向は前記位置ずれ方向と反対であり、前記初期制御データのシフト距離は前記位置ずれ距離と等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元印刷方法。
【請求項9】
前記制御データのうち、最初N行のデータ及び最終N行のデータには、一部のノズル列の制御データが存在しない
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元印刷方法。
【請求項10】
コントローラーと、前記コントローラーに電気的に接続される印刷ヘッド及び印刷台とを備え、
前記印刷ヘッドは、行列に配置された複数のノズルを有し、少なくとも2つのノズル列は、行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置されており、
対象3次元物体のモデルデータに基づいて初期制御データを生成するとともに、ノズル列位置ずれデータに基づいて前記初期制御データをシフトして制御データを生成するための制御データ生成モジュールをさらに備え、
前記ノズル列位置ずれデータは、位置がずれるように配置された少なくとも2列の前記ノズルにおける前記ノズルの位置ずれ方向及び位置ずれ距離であり、
前記コントローラーは、前記制御データに基づいて、前記印刷ヘッドが前記3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することに使用され、
前記Nは、前記印刷ヘッドの列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の列数の整数倍である
ことを特徴とする3次元印刷システム。
【請求項11】
印刷対象の3次元物体のモデルデータに基づいて3次元物体のスライスデータを生成するためのスライスモジュールをさらに備え、
前記制御データ生成モジュールは、さらに、前記スライスデータ及び予め設定されたパラメータに基づいて初期制御データを生成することに使用され、
前記初期制御データのシフト方向は前記位置ずれ方向と反対であり、前記初期制御データのシフト距離は前記位置ずれ距離と等しい
ことを特徴とする請求項10に記載の3次元印刷システム。
【請求項12】
3軸運動機構をさらに備え、
前記印刷ヘッド及び前記印刷台それぞれは、前記3軸運動機構に接続され、前記3軸運動機構は、第1方向駆動器、第2方向駆動器及び第3方向駆動器を有し、
前記コントローラーは、前記第1方向駆動器が前記印刷ヘッド及び前記印刷台を駆動して前記ノズルの配置行方向において相対運動をさせるように制御し、
前記コントローラーは、前記第2方向駆動器が前記印刷ヘッド及び前記印刷台を駆動して前記ノズルの配置列方向において相対運動をさせるように制御し、
前記コントローラーは、前記第3方向駆動器が前記印刷ヘッド及び前記印刷台を駆動して前記ノズルに垂直となる面方向において相対運動をさせるように制御する
ことを特徴とする請求項10に記載の3次元印刷システム。
【請求項13】
前記印刷ヘッドは、
行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置された複数の主材料ノズル列と、
行方向において前記複数の主材料ノズル列とそれぞれに揃って配置された複数の補助材料ノズル列と
を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の3次元印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年11月14日に中国専利局へ出願された、出願番号が201811353214.1、発明の名称が「3次元印刷方法及び3次元印刷システム」の中国特許出願の優先権を主張し、その全体が引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願の実施例は、3次元インクジェット印刷の分野に関し、特に3次元印刷方法及び3次元印刷システムに関する。
【背景技術】
【0003】
既存の3次元インクジェットプリンタでは、通常、製作プロセス及び装置のコストの制限により、印刷ヘッドのノズル列におけるノズルの解像度が対象3次元物体の印刷解像度よりも低い。印刷ヘッドのノズルの解像度を向上させるために、行方向において互いに平行となる複数のノズル列を設けるとともに、複数のノズル列におけるノズルの位置を列方向においてずらして配置することにより、3次元印刷を行う。これにより、印刷ヘッドにおけるノズルは、列方向における異なる位置にそれぞれにインク滴を堆積させて、印刷ヘッドの列方向における印刷解像度を向上させることができる。
【0004】
しかし、マルチ材料で印刷する場合、位置がずれて配置された複数のノズル列は、異なる印刷材料をそれぞれに噴出する。よって、1回の主走査において、異なるノズル列におけるノズルにより堆積された異なる材料が、列方向において順次に配列され、1種類の材料について、その列方向における解像度が印刷ヘッドのノズル列の解像度と等しい。1種類の材料の列方向における解像度を向上させるために、マルチパス印刷を行う必要がある。即ち、2回の主走査の間に、列方向において所定の距離だけ移動する。この場合、隣り合う2回の主走査において、同一のノズルが列方向において隣り合う位置にインク滴を堆積するため、1種類の材料の列方向における解像度が向上する。
【0005】
ところが、1回の走査において、他のノズル列におけるノズルが該当位置にインク滴を既に堆積させているため、その次の走査において堆積されたインク滴が、前回の走査に堆積されたインク滴に重なり、印刷ヘッドにおけるノズル列同士の位置がずれているため、この場合に印刷の解像度を向上させるためにマルチパス印刷を行うと、対象3次元物体の両端面に傾斜面が生じ、対象3次元物体の表面の成形の精度に影響する。
【発明の概要】
【0006】
本願は、マルチパス印刷において3次元物体の両端面に傾斜面が生じるという問題を解決するための3次元印刷方法及び3次元印刷システムを提供する。
【0007】
本願の実施例に係る3次元印刷方法は、3次元印刷システムを使用して対象3次元物体を印刷する3次元印刷方法であって、3次元印刷システムは、コントローラーと、コントローラーに電気的に接続される印刷ヘッド及び印刷台とを備え、印刷ヘッドは、行列に配置された複数のノズルを有し、少なくとも2つのノズル列は、行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置されており、対象3次元物体のモデルデータに基づいて初期制御データを生成することと、ノズル列位置ずれデータに基づいて初期制御データをシフトして制御データを生成することと、制御データに基づいて、印刷ヘッドが3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することとを含み、ノズル列位置ずれデータは、位置がずれるように配置された少なくとも2列のノズルにおけるノズルの位置ずれ方向及び位置ずれ距離であり、Nは、印刷ヘッドの列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の列数の整数倍である。
【0008】
選択的に、対象3次元物体のモデルデータに基づいて初期制御データを生成することは、対象3次元物体のモデルデータに基づいて3次元物体のスライスデータを生成することと、スライスデータ及び予め設定されたパラメータに基づいて初期制御データを生成することとを含む。
【0009】
選択的に、予め設定されたパラメータは、ノズル印刷材料配置データ及び印刷パラメータであり、印刷パラメータは、印刷ヘッドが対象3次元物体の各位置に対して実行する主走査動作の回数N、及び/又は対象3次元物体の印刷解像度を含む。
【0010】
選択的に、制御データに基づいて、印刷ヘッドが3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することは、制御データに基づいて、印刷ヘッド及び印刷台がノズルの配置行方向において相対運動をして主走査動作を実行するように制御することと、次回の主走査動作を実行する前に、印刷ヘッド及び印刷台がノズルの配置列方向において相対運動をするように制御することと、主走査動作を複数回繰り返して実行して、対象3次元物体の成形層を形成することと、印刷ヘッド及び印刷台がノズルに垂直となる面方向において相対運動をするように制御して、複数の成形層を積み重ねて、対象3次元物体を印刷形成することとを含む。
【0011】
選択的に、各位置に実行するN回の主走査動作のうち、隣り合う2つの主走査の間に、コントローラーは、印刷ヘッドがノズルの配置列方向において1つの進行距離に1つのシフト距離を加えた距離、又は1つの進行距離から1つのシフト距離を引いた距離だけ移動するように制御する。
【0012】
選択的に、シフト距離は、1ノズル間隔分をNで割った商と等しく、進行距離は、複数のノズル間隔分又はゼロである。
【0013】
選択的に、進行距離がゼロである場合に、各位置におけるN回の主走査動作が実行完了し、コントローラーは、実行完了したN回の主走査動作のうち、1回目の主走査動作における印刷ヘッドの位置に対して、印刷ヘッドがノズルの配置列方向において1つの印刷ヘッドの長さ分の距離だけ移動するように制御する。
【0014】
選択的に、初期制御データのシフト方向は位置ずれ方向と反対であり、初期制御データのシフト距離は位置ずれ距離と等しい。
【0015】
選択的に、制御データのうち、最初N行のデータ及び最終N行のデータには、一部のノズル列の制御データが存在しない。
【0016】
本願の実施例に係る3次元印刷システムは、コントローラーと、コントローラーに電気的に接続される印刷ヘッド及び印刷台とを備え、印刷ヘッドは、行列に配置された複数のノズルを有し、少なくとも2つのノズル列は、行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置されており、対象3次元物体のモデルデータに基づいて初期制御データを生成するとともに、ノズル列位置ずれデータに基づいて初期制御データをシフトして制御データを生成するための制御データ生成モジュールをさらに備え、ノズル列位置ずれデータは、位置がずれるように配置された少なくとも2列のノズルにおけるノズルの位置ずれ方向及び位置ずれ距離であり、コントローラーは、制御データに基づいて、印刷ヘッドが3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することに使用され、Nは、印刷ヘッドの列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の列数の整数倍である。
【0017】
選択的に、印刷対象の3次元物体のモデルデータに基づいて3次元物体のスライスデータを生成するためのスライスモジュールをさらに備え、制御データ生成モジュールは、さらに、スライスデータ及び予め設定されたパラメータに基づいて初期制御データを生成することに使用され、初期制御データのシフト方向は位置ずれ方向と反対であり、初期制御データのシフト距離は位置ずれ距離と等しい。
【0018】
選択的に、3軸運動機構をさらに備え、印刷ヘッド及び印刷台それぞれは、3軸運動機構に接続され、3軸運動機構は、第1方向駆動器、第2方向駆動器及び第3方向駆動器を有し、コントローラーは、第1方向駆動器が印刷ヘッド及び印刷台を駆動してノズルの配置行方向において相対運動をさせるように制御し、コントローラーは、第2方向駆動器が印刷ヘッド及び印刷台を駆動してノズルの配置列方向において相対運動をさせるように制御し、コントローラーは、第3方向駆動器が印刷ヘッド及び印刷台を駆動してノズルに垂直となる面方向において相対運動をさせるように制御する。
【0019】
選択的に、印刷ヘッドは、行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置された複数の主材料ノズル列と、行方向において複数の主材料ノズル列とそれぞれに揃って配置された複数の補助材料ノズル列とを有する。
【0020】
本願に係る3次元印刷方法は、マルチパス印刷において列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の制御データをシフトして、制御データのうちの最初N行のデータ及び最終N行のデータに一部のノズル列の制御データが存在しないようにすることにより、成形層の両端に傾斜面が生じることを避けて、対象3次元物体の表面の成形精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施例に係る発明を説明するために、以下では、実施例又は従来技術についての説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な行為を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図2】本願の実施例1に係る3次元印刷方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例1に係る3次元印刷方法における制御データの生成の模式図である。
【
図4】本願の実施例1に係る3次元印刷方法における対象3次元物体に対するスライス処理の模式図である。
【
図5(a)】本願の実施例1に係る3次元印刷方法における層s1の初期制御データの模式図である。
【
図5(b)】本願の実施例1に係る3次元印刷方法における層s1の制御データの模式図である。
【
図6】本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて層s1を形成する成形方法の模式図である。
【
図7】本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて形成された層s1の構造模式図である。
【
図8】本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて層s1を形成する他の成形方法の模式図である。
【
図9】本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて層s1を形成するもう1つの成形方法の模式図である。
【
図10】本願の実施例2に係る3次元印刷システムの構造模式図である。
【
図11】本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおけるノズル列の具体的な配置の模式図である。
【
図12(a)】本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された初期制御データの模式図である。
【
図12(b)】本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された制御データの模式図である。
【
図13】本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドのノズル列の他の具体的な配置の模式図である。
【
図14(a)】本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された初期制御データの模式図である。
【
図14(b)】本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された制御データの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の実施例の目的、技術方案及び利点を一層明確にさせるために、以下では本願の実施例を示す図面に基づいて本願の実施例における技術方案を明確に詳細に説明する。勿論、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な行為が要らずに得た他の実施例は、全て本発明の技術的範囲に属する。
【0023】
図1は、従来技術の印刷ヘッドの構造模式図である。
図1に示すように、印刷ヘッドは、行列に配置された複数のノズルを有する(同一の列方向において配列されたノズルが1つのノズル列と定義される)。印刷ヘッドは、行方向において4つのノズル列が順次に配置されている。具体的には、印刷ヘッドは第1方向Xにおいて順次に配列された4つのノズル列を有し、4つのノズル列は第2方向Yにおいて位置がずれるように配置されており、各ノズル列において隣り合うノズルの間の距離がDであり、任意の1つのノズル列において、隣り合う2つのノズルの間の距離Dが他の3つのノズル列におけるノズルによって4等分される。例えば、第2ノズル列、第3ノズル列及び第4ノズル列における1つ目のノズルは、前記第1ノズル列における1つ目のノズル及び2つ目のノズルの間の距離Dを4等分する。即ち、第1ノズル列における1つ目のノズルと第3ノズル列における1つ目のノズルとの第2方向Yにおける距離がdであり、第3ノズル列における1つ目のノズルと第2ノズル列における1つ目のノズルとの第2方向Yにおける距離がdであり、第2ノズル列における1つ目のノズルと第4ノズル列における1つ目のノズルとの第2方向Yにおける距離がdであり、前記第4ノズル列における1つ目のノズルと第1ノズル列における2つ目のノズルとの第2方向Yにおける距離がdであり、d=D/4である。即ち、第1ノズル列におけるノズルの位置を基準とし、第2、3、4ノズル列それぞれは、第1ノズル列に対して、-Y方向に沿って位置が2d、d及び3d(即ちD/2、D/4、3D/4)だけずれる。これにより、1回の主走査において、印刷ヘッドの異なるノズル列におけるノズルが第2方向Yにおける異なる位置にそれぞれにインク滴を堆積するため、第2方向Yにおける印刷解像度は、印刷ヘッドのノズル列におけるノズルの解像度の4倍となり、即ち、単一材料で印刷する場合、このような印刷ヘッドはその印刷解像度をノズルの解像度の4倍に向上させることができる。
【0024】
しかし、マルチ材料で印刷する場合には、例えば、位置がずれて配置されたノズル列が異なる印刷材料を噴射するため、1回の主走査において、異なるノズル列におけるノズルによって堆積された異なる材料は列方向において順次に配列されるが、単一の材料としては、列方向における解像度が印刷ヘッドのノズルの解像度と等しい。
【0025】
単一の材料の列方向における解像度を向上させるために、マルチパス印刷を行う必要がある。即ち、2回の主走査の間に、列方向において所定の距離だけ移動する必要がある。これにより、隣り合う2回の主走査において、同一のノズルが列方向において隣り合う位置にインク滴を堆積するため、単一の材料の列方向における解像度が向上する。
【0026】
しかし、前回の走査により、他のノズル列におけるノズルが既に該位置にインク滴を堆積したため、その次の走査において堆積されたインク滴が前回の走査において堆積されたインク滴に積み重なり、印刷ヘッドのノズル列の位置がずれているため、印刷の解像度を向上させるためにマルチパス印刷を行った場合、対象3次元物体の両端面に傾斜面が形成され、対象3次元物体の表面の成形精度に影響し、さらに、対象3次元物体の性能にある程度影響する。
【0027】
3次元物体の表面の成形精度を向上させ、マルチパス印刷において傾斜面が生じることを避けるために、本願は新たな3次元印刷方法を提供する。該3次元印刷方法では、マルチパス印刷において列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の制御データをシフトして、制御データのうちの最初N行のデータ及び最終N行のデータに一部のノズル列に係る制御データが存在しないようにすることにより、成形層の両端に傾斜面が生じることを避けることができるとともに、各種類の材料の列方向における印刷の解像度の向上を図ることができる。以下に異なる実施例によって本願に係る方法及びシステムを詳しく説明する。
【0028】
実施例1
図2は本願の実施例1に係る3次元印刷方法のフローチャートであり、
図3は本願の実施例1に係る3次元印刷方法における制御データの生成の模式図である。
図2及び
図3に示すように、本願の実施例1に係る3次元印刷方法では、3次元印刷システムを使用して対象3次元物体を印刷する。ここで、3次元印刷システムは、コントローラー1011と、コントローラー1011に電気的に接続される印刷ヘッド1012及び印刷台1013とを備える。印刷ヘッド1012は、行列に配置された複数のノズルを有し、少なくとも2つのノズル列がその行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置されている。上記の方法は以下のことを含む。
【0029】
S1:対象3次元物体のモデルデータ1021に基づいて初期制御データを生成する。
【0030】
具体的には、以下のことを含む。
対象3次元物体のモデルデータ1021に基づいて3次元物体のスライスデータ1023を生成し、スライスデータ1023及び予め設定されたパラメータに基づいて初期制御データを生成する。
【0031】
ここで、対象3次元物体のモデルデータ1021は、対象3次元物体の形状データ及び属性データを含むことができる。上記予め設定されたパラメータは、ノズル印刷材料配置データ1025及び印刷パラメータを含む。印刷パラメータは、印刷ヘッド1012が対象3次元物体の各位置に対して実行する主走査動作の回数N及び/又は前記対象3次元物体の印刷解像度を含む。
【0032】
図4は、本願の実施例1に係る3次元印刷方法における対象3次元物体に対するスライス処理の模式図である。
図4に示すように、3次元物体objの3次元モデルデータ1021について、スライスモジュール1022によってスライス処理を行うことで、スライスデータ1023を得る。スライスデータ1023は複数のスライス層s1~snを含み、各スライス層は複数のボクセルqを含む。ボクセルqの大きさは、目標印刷解像度によって決定され、目標印刷解像度が大きければ大きいほど、ボクセルが小さい。本実施例では、カラー印刷を例として説明する。説明の便宜上、本実施例では、対象3次元物体objをカラー立方体とする。通常、フルカラー印刷を実現させるために、C、M、Y、Kという4種類の材料で印刷するが、勿論、本発明では、これらに限らず、例えばR、G、Bなど、他の色の材料で印刷してもよい。相応的に、ノズル印刷材料配置データ1025は、各ノズル列から噴射される材料の種類を指定することに使用される。具体的に、ノズル印刷材料配置データ1025は、C、Y、M、Kという4種類の異なる色の材料を第1、2、3、4ノズル列それぞれから噴射させるものであってもよい。勿論、印刷ヘッド1012における各ノズル列の材料配置方式は制限されず、他の任意の配置方式であってもよい。
【0033】
S2:初期制御データをノズル列位置ずれデータ1026に基づいてシフトして制御データ1027を生成する。
【0034】
ここで、ノズル列位置ずれデータ1026は、位置がずれるように配置された少なくとも2列のノズルにおけるノズルの位置ずれ方向及び位置ずれ距離である。初期制御データのシフト方向は位置ずれ方向と反対であり、初期制御データのシフト距離は位置ずれ距離と等しい。
【0035】
通常、ノズル列位置ずれデータ1026は、前述した基準位置に対する各ノズル列の位置の方向及び距離を含むことができる。
図1に示すように、第1ノズル列を基準とすると、第1、2、3、4ノズル列は、それぞれに、基準に対して-Y方向に沿って位置が0、2d、d及び3d(即ち0、D/2、D/4、3D/4)だけずれている。
図1に示すノズル列の数及び各ノズル列におけるノズルの数は、模式的に示されたものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを注意されたい。また、前記複数のノズル列の位置ずれ方式は、前述した方式に限らず、第2、3、4ノズル列の位置がそれぞれに第1ノズル列に対してD/4、D/2、3D/4だけずれてもよい。
【0036】
図5(a)は本願の実施例1に係る3次元印刷方法における層s1の初期制御データの模式図であり、
図5(b)は本願の実施例1に係る3次元印刷方法における層s1の制御データの模式図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、
図5(a)は、1つの層s1のスライスデータ1023、ノズル印刷材料配置データ1025及び印刷パラメータに基づいて生成された初期制御データであり、
図5(b)は、前記初期制御データ及びノズル列位置ずれデータ1026に基づいて生成された制御データ1027であり、各ノズル列について、3列のデータが示されている。具体的に、前記ノズル列位置ずれデータ1026は、第1ノズル列Cを基準とし、第2ノズル列Y、第3ノズル列M及び第4ノズル列Kの位置がそれぞれに-Y方向に沿ってD/2、D/4及び3D/4だけずれるため、初期制御データについて、第1ノズル列Cの制御データを基準とし、第2ノズル列Y、第3ノズル列M及び第4ノズル列Kの制御データをそれぞれにY方向に沿ってD/2、D/4及び3D/4だけずらすことができる。
【0037】
本実施例では、具体的に、印刷ヘッド1012の任意の3つのノズル列におけるノズルが他の1つのノズル列におけるノズルの間隔Dを4等分することで実現される。即ち、1ノズル間隔分の範囲内に、少なくとも4つのインク滴を堆積することができるため、一般的に、4パス印刷によって、印刷ヘッド1012におけるノズル列のノズルの解像度の4倍となる印刷解像度が得られ、又は、8パス印刷によって、印刷ヘッド1012におけるノズル列のノズルの解像度の8倍となる印刷解像度が得られる。4パス印刷を実行する場合、1ノズル間隔分Dの範囲内に4つのボクセルqを形成することができる。この場合、各ボクセルqの第2方向Yにおける寸法は、各ノズル列において隣り合うノズル間の距離Dの1/4、即ちD/4である。8パス印刷を実行する場合、1ノズル間隔分Dの範囲内に8つのボクセルq’を形成することができる。この場合、各ボクセルq’の第2方向Yにおける寸法は、各ノズル列において隣り合うノズル間の距離Dの1/8、即ちD/8である。ここで、Nパス印刷は、印刷ヘッド1012が各位置に対してN回の主走査動作を実行することを指す。1つの位置は1ノズル間隔分の範囲を含む。即ち、4パス印刷において、印刷ヘッド1012における各ノズルは、1ノズル間隔分の範囲を含む位置に対して4回の主走査動作を実行する。印刷解像度をさらに向上させるために、8パス印刷において、印刷ヘッド1012における各ノズルは、1ノズル間隔分の範囲を含む位置に対して8回の主走査動作を実行する。なお、前記4パス印刷及び8パス印刷によって得られる印刷解像度の倍数は、4及び8に限らず、前記パス数よりも小さい印刷解像度の倍数であってもよいことを注意されたい。例えば、4パス印刷において、ノズル列における各ノズルに、1ノズル間隔分の範囲内にインク滴を2つのみ噴射させることで、2つのボクセルを形成して、印刷ヘッド1012におけるノズル列のノズルの解像度の2倍となる印刷解像度を得ることができる。具体的に、任意の1つのノズルが1ノズル間隔分の範囲の位置に対して実行する4つの主走査動作のうち、1回目の主走査動作及び3回目の主走査動作のみにおいてインク滴を堆積するか、又は、2回目の主走査動作及び4回目の主走査動作のみにおいてインク滴を堆積すればよい。同じ理由で、他の印刷解像度の倍数を得ることができる。3次元印刷において、同じ動作過程に得られる印刷解像度が大きければ大きいほどよいため、本願では、主に、同じパス数によって得られる印刷解像度が比較的に高い発明を説明し、以下に説明する4パス印刷又は8パス印刷は、印刷ヘッド1012におけるノズル列のノズルの解像度の4倍又は8倍の印刷解像度を得ることができる。
【0038】
従って、4パス印刷において、ノズル列位置ずれデータ1026に基づいて初期制御データをシフトすることは、具体的に、前記第1ノズル列Cの制御データを基準とし、前記第2ノズル列Y、第3ノズル列M及び第4ノズル列Kのデータを、Y方向に沿ってそれぞれに2ボクセルq分、1ボクセルq分及び3ボクセルq分だけシフトすることを含む。同様に、8パス印刷において、前記初期制御データをシフトすることは、前記第1ノズル列Cの制御データを基準とし、前記第2ノズル列Y、第3ノズル列M及び第4ノズル列Kのデータを、Y方向に沿ってそれぞれに4ボクセルq’分、2ボクセルq’分及び6ボクセルq’分だけシフトすることを含む。
図5(a)及び
図5(b)に、4パス印刷のために生成された初期制御データ及び制御データ1027が示されている。前記制御データ1027のうち、最初4行のデータ及び最終4行のデータには、一部のノズル列の制御データが存在しない。このように、8パス印刷のために生成された制御データ1027のうち、最初8行のデータ及び最終8行のデータに、一部のノズル列についての制御データが存在しないと理解される。
【0039】
初期制御データ及び制御データ1027について、格子は1つのボクセルの位置を示し、格子中における数字の「1」又は「0」は、印刷ヘッド1012における該当するノズル列の該ボクセル位置についての制御データを示し、数字「1」は該ボクセルの位置で噴射することを示し、数字「0」は該ボクセルの位置で噴射を実行しないことを示し、空の格子は印刷ヘッド1012の制御データが該ボクセルの位置に存在しないことを示す。
【0040】
具体的に、制御データ1027の各行のデータは、印刷ヘッド1012における1つのノズルグループによる1つの主走査動作中の噴射の制御に使用される。従って、
図5(a)に示すように、4パス印刷において、各ノズルグループは4行のデータを有し、4行のデータそれぞれは、各主走査動作中の該当するノズルグループによる噴射の制御に使用される。ここで、初期制御データには、同一のボクセルを印刷するための制御データが同一の行にあるが、制御データ1027には、同一のボクセルを印刷するための制御データが複数行に分布されている。ここで、ノズルグループは、各ノズル列の同じ位置におけるノズルを含む。例えば、第1ノズル列C、第2ノズル列Y、第3ノズル列M及び第4ノズル列Kにおける1つ目のノズルは1つのノズルグループである。
【0041】
図5(b)に示すように、シフトされた制御データ1027のうち、1つの層s1の制御データ1027の最初4行のデータ及び最終4行のデータには、一部のノズル列の制御データが存在しない。即ち、各層において、該層s1の両端部を形成するための4つの主走査動作において、前記両端の位置に対して印刷を実行するためのノズルグループにおける一部のノズルの制御データは存在しない。言い換えれば、前記4つの主走査において、両端の位置に対して印刷を実行するためのノズルグループにおける一部のノズルは、噴射を実行しない。
【0042】
S3:制御データ1027に基づいて、印刷ヘッド1012が3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成する。ここで、Nは、前記印刷ヘッドの列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の列数の整数倍である。
【0043】
具体的に、制御データに基づいて、印刷ヘッド1012及び印刷台1013がノズルの配置行方向において相対運動をして主走査動作を実行するように制御する。
【0044】
次の主走査動作を実行する前に、印刷ヘッド1012及び印刷台1013がノズルの配置列方向において相対運動をするように制御する。
【0045】
複数回の主走査動作を繰り返して実行することで、対象3次元物体の成形層を形成する。
【0046】
印刷ヘッド1012及び印刷台1013がノズルに垂直となる面方向において相対運動をするように制御して、複数の成形層を積み重ねて、対象3次元物体を印刷形成する。
【0047】
好ましくは、各位置で実行するN回の主走査動作のうち、隣り合う2回の主走査の間に、コントローラーは、印刷ヘッドがノズルの配置列方向において1つの進行距離に1つのシフト距離を加えた距離、又は1つの進行距離から1つのシフト距離を引いた距離だけ移動するように制御する。シフト距離は1ノズル間隔分をNで割ることで得られる。
【0048】
選択的に、前記進行距離は複数のノズル間隔分又はゼロである。
【0049】
選択的に、前記進行距離がゼロである場合、各位置におけるN回の主走査動作の実行が完了し、コントローラーは、実行完了したN回の主走査動作のうちの1回目の主走査動作における印刷ヘッドの位置に対して、印刷ヘッドがノズルの配置列方向において1つの印刷ヘッドの長さ分の距離だけ移動するように制御する。
【0050】
さらに、本願では、4パス印刷を例として3次元物体の成形過程について説明する。1ノズル間隔分を含む位置では、4回の主走査動作によって印刷が完成する。相応的に、制御データ1027において、各ノズルグループは4行のデータを有し、各行の前記データそれぞれは、異なる主走査動作において該当するノズルグループにおけるノズルの噴射を制御することに使用される。以下では、
図5(b)に示す制御データ1027に基づいて3次元印刷の実行の具体的な過程を説明する。一般的に、マルチパス印刷は、小間隔のマルチパス印刷及び大間隔のマルチパス印刷を含む。
【0051】
先ず、本実施例1では、小間隔の4パス印刷を例として説明する。
図6は本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて層s1を形成する成形方法の模式図である。
図6には、制御データ1027に基づいて1つの層s1を形成する成形過程が示されている。本実施例では、印刷ヘッド1012はノズルグループを4つ含み、各ノズルグループの左側の数字は噴射を実行するための制御データの行番号を示し、例えば、1パス印刷において、1つ目のノズルグループは第1行のデータに基づいて噴射を実行し、2つ目のノズルグループは、第5行のデータに基づいて噴射を実行する。層s1の成形過程は以下のことを含む。
【0052】
第1主走査動作では、印刷ヘッド1012は位置1にあり、第1ノズルグループ、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第4ノズルグループそれぞれは印刷領域内に位置し、印刷ヘッド1012における第1ノズルグループは、制御データ1027のうちの第1行のデータに基づいて印刷を実行し、第1行のデータは、第1ノズル列C、第2ノズル列Y及び第3ノズル列Mに対応した位置に制御データが存在せず、即ち、第1ノズルグループのうちの第1ノズル列C、第2ノズル列Y、第3ノズル列Mにおけるノズルは、該当するボクセルで噴射を実行せず、第4ノズル列Kに対応する制御データのみが「1」であり、即ち、第1ノズルグループのうちの第4ノズル列Kにおけるノズルは、該当するボクセルで噴射を実行する。相応的に、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第4ノズルは、それぞれに制御データ1027のうちの第5行、第9行及び第13行(即ち、各ノズルグループのうちのノズルが対応する4行の制御データのうちの第1行)のデータに基づいて噴射を実行する。第13行のデータから分かるように、第4ノズルグループのうちの第4ノズル列Kにおけるノズルは、制御データが存在せず、即ち、該当するボクセルで噴射を実行しない。
【0053】
第2主走査動作では、印刷ヘッド1012は、第2方向Yにおいて1ボクセルqの距離(D/4)をシフトして、位置2に着く。即ち、印刷ヘッドは-Y方向に沿ってD/4だけ移動し、この際に、第1ノズルグループのうちの第2ノズル列Yにおけるノズルは、1パス印刷過程において第1ノズルグループのうちの第4ノズル列Kにおけるノズルが所在した位置に移動し、この時、第1ノズルグループ、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第4ノズルグループが依然として印刷領域内に位置するため、第1ノズルグループのうちの各ノズル列におけるノズルは第2行のデータに基づいて印刷を実行する。前記第2行のデータのうち、第2ノズル列Y及び第4ノズル列Kに対応する制御データは「1」であり、第1ノズル列C及び第3ノズル列Mに対応する制御データが存在しない。即ち、第1ノズルグループのうちの第2ノズル列Y及び第4ノズル列Kにおけるノズルは、該当するボクセルで噴射を実行するが、第1ノズルグループのうちの第1ノズル列C及び第3ノズル列Mにおけるノズルは、該当するボクセルで噴射を実行しない。相応的に、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第4ノズルは、それぞれに第6行のデータ、第10行のデータ及び第14行(即ち、印刷領域に位置する各ノズルグループに対応した4行の制御データのうちの第2行)のデータに基づいて印刷を実行する。第14行のデータから分かるように、第4ノズルグループのうちの第2ノズル列Y及び第4ノズル列Kにおけるノズルは、制御データが存在せず、即ち、該当するボクセルで噴射を実行しない。
【0054】
その後、印刷ヘッド1012は、第2方向Yにおいて1つのボクセルの距離(D/4)を順次にシフトして、位置3及び位置4に着いて、第3主走査動作及び第4主走査動作を実行する。印刷ヘッド1012において、印刷領域内に位置する第1ノズルグループ、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第4ノズルグループは、それぞれに制御データ1027のうちの第3行、第7行、第11行及び第15行(即ち、印刷領域内に位置する各ノズルグループに対応した4行の制御データのうちの第3行)のデータに基づいて第3主走査動作を実行し、印刷領域内に位置する第1ノズルグループ、第2ノズルグループ及び第3ノズルグループは、それぞれに第4行、第8行及び第12行(即ち、印刷領域に位置する各ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行)のデータに基づいて第4主走査動作を実行する。ここで、第3主走査動作では、第3行のデータには、第1ノズルグループのうちの第1ノズル列Cにおけるノズルは、制御データが存在せず、即ち、該当するボクセルで噴射を実行しない。第4主走査動作では、前記印刷ヘッド1012における第4ノズルグループは印刷領域を超えており、全てのノズル列におけるノズルは、制御データが存在せず、即ち、噴射を実行しない。
【0055】
図7は、本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて形成された層s1の構造模式図である。
図7に示すように、第1、2、3、4主走査動作中に形成されたパターンが第3方向において積み重ね、層s1が形成されており、前記制御データ1027によって形成された層s1の両端に傾斜面が存在せず、且つ各種類の材料の印刷解像度それぞれが、印刷ヘッド1012のノズル列におけるノズルの解像度の4倍となる。
【0056】
また、前述した印刷方法では、印刷ヘッド1012の第2方向Yにおけるシフト方向が-Y方向であるが、本願の印刷ヘッド1012の第2方向Yにおけるシフト方向は、Y方向であってもよい。
図8は、本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて層s1を形成する他の成形方法の模式図である。
図8に示す具体的な成形過程の前述した成形過程との相違は、第1主走査動作において印刷領域内に位置する各ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行のデータに基づいて印刷を実行し、第2主走査動作において印刷領域内に位置する各ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第3行のデータに基づいて印刷を実行し、このように4つの主走査動作を完成させる。このように形成された層s1は、前述した成形過程と同様に、両端に傾斜面がなく、且つ各種類の材料の印刷解像度それぞれは印刷ヘッド1012のノズル列におけるノズルの解像度の4倍となる。
【0057】
注意すべきことは以下の通りである。実際の印刷において、印刷ヘッド1012の各ノズル列におけるノズルの数が前述した印刷ヘッド1012の各ノズル列におけるノズルの数よりも遥かに多く、実際に印刷した3次元物体objの大きさも前述した3次元物体objの大きさよりも遥かに大きいため、制御データ1027における前記データの行数及び列数も、前述した制御データ1027における各データの行数及び列数よりも遥かに多いが、3次元物体objの大きさにもかかわらず、ノズル列におけるノズルの数にもかかわらず、前述した4パス印刷において、シフトした後の制御データ1027の最初4行及び最終4行のデータ(第4ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行即ち第16行のデータは、制御データが存在せず、図示しない)には、常に空白があり、即ち制御データが存在しない。具体的に、最初4行のデータのうちの第1行のデータには、第1ノズル列C、第2ノズル列Y及び第3ノズル列Mの制御データが存在せず、最終4行のデータのうちの第1行のデータには、第4ノズル列Kの制御データが存在しない。最初4行のデータのうちの第2行のデータには、第1ノズル列C及び第3ノズル列Mの制御データが存在せず、最終4行のデータのうちの第2行のデータには、第2ノズル列Y及び第4ノズル列Kの制御データが存在しない。制御データが存在しない他の位置については、説明を省略する。
【0058】
さらに、3次元物体objの第2方向Yにおける寸法が前記印刷ヘッド1012の第2方向における寸法よりも大きい場合、相応的に、制御データ1027の行数が対象3次元物体objの大きさの変化に伴って変化するが、制御データ1027の最初4行及び最終4行のデータ(第4ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行即ち第16行のデータは、制御データが存在せず、図示しない)には、同様に空白があり、即ち、制御データが存在しない。ここで、印刷ヘッド1012が1つの領域(印刷ヘッドが第2方向Yにおいて覆う領域)に対して4回の主走査を実行し、即ち、前記層s1の1つの領域の印刷が完了した場合、前記印刷ヘッド1012は、4回の主走査のうちの1回目の主走査における印刷ヘッド1012の位置に対して、第2方向Yにおいて1つの印刷ヘッド1012の距離だけ進行し、その後、残りの制御データに基づいて、層s1の印刷が完了するまで前記層s1の他の1つの領域を印刷する。前述した通り、最初4行のデータ及び最終4行のデータは、それぞれに異なる領域の成形過程において印刷を実行させる。
【0059】
制御データ1027に基づいて実行する3次元印刷は、前述した印刷方式に限らず、大間隔のマルチパス印刷であってもよい。本実施例では、大間隔の4パス印刷を例として説明する。該印刷方式では、印刷ヘッド1012におけるノズルを、第2方向Yに沿って4等分し、印刷ヘッド1012の第2方向Yにおける移動方向の後方側に、ノズル列毎に1つのノズルが予め設けてある。
図9は、本願の実施例1に係る3次元印刷方法において制御データに基づいて層s1を形成するもう1つの成形方法の模式図である。
図9に示すように、印刷ヘッド1012における各格子は、等分した1つ分を示し、印刷ヘッド1012の第2方向Yにおける移動方向が-Y方向である場合を例とし、同様に、説明の便宜上、各ノズル列において同じ位置のノズルを1つのノズルグループとし、ノズル列毎に予め設けられたノズルを予備ノズルグループとし、1つ分は、複数のノズルグループを含むことができるが、説明の便宜上、本実施例では、1つ分は1つのノズルグループのみを含む。例えば、前記印刷ヘッド1012は、-Y方向に沿って順次に予備ノズルグループ、第1ノズルグループ、第2ノズルグループ…である。
【0060】
具体的に、第1主走査動作では、印刷ヘッド1012が位置1にある際に、印刷ヘッド1012における第4ノズルグループが印刷領域に入ったため、該第4ノズルグループが印刷領域内に位置する第1ノズルグループとなり、よって、印刷ヘッド1012における第4ノズルグループのノズルは、第1行(即ち、印刷領域内に位置する第1ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第1行)のデータに基づいて印刷を実行し、この際に、第4ノズルグループのうちの第1ノズル列C、第2ノズル列Y及び第3ノズル列Mの制御データが存在せず、第4ノズル列Kに対応した制御データが「1」であり、即ち、第4ノズルグループのうちの第4ノズル列Kにおけるノズルは、該当するボクセルで噴射を実行するが、第4ノズルグループのうちの第1ノズル列C、第2ノズル列Y及び第3ノズル列Mにおけるノズルは、該当するボクセル位置で噴射を実行しない。
【0061】
第2主走査動作では、印刷ヘッド1012が第2方向Yにおいて同一の方向に沿って1ノズル間隔分Dだけ進行するとともに、1ボクセルqの距離(D+D/4)だけシフトして、位置2に着き、前記印刷ヘッド1012における第4ノズルグループ及び第3ノズルグループが前記印刷領域に入ったため、第3ノズルグループが印刷領域内に位置する第1ノズルグループとなり、第4ノズルグループが印刷領域内に位置する第2ノズルグループとなる。よって、印刷ヘッド1012における第3ノズルグループは、第2行(即ち、印刷領域内に位置する第1ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第2行)のデータに基づいて印刷を実行する。ここで、第2行のデータには、第1ノズル列C及び第3ノズル列Mの制御データが存在せず、第2ノズル列Y及び第4ノズル列Kの制御データのみが「1」であり、即ち、前記第3ノズルグループの第2ノズル列Y及び第4ノズル列におけるノズルは、該当するボクセルで噴射を実行する。相応的に、印刷ヘッド1012の第4ノズルグループは、第6行(即ち、印刷領域内に位置する第2ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第2行)のデータに基づいて印刷を実行する。
【0062】
第3主走査動作では、印刷ヘッド1012がまた第2方向Yにおいて同一の方向に沿って1ノズル間隔分Dだけ進行するとともに、1ボクセルqの距離(D+D/4)だけシフトして、位置3に着いて、印刷ヘッド1012における第4ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第2ノズルグループが印刷領域に入ったため、第2ノズルグループが印刷領域内に位置する第1ノズルグループとなり、第3ノズルグループが印刷領域内に位置する第2ノズルグループとなり、第4ノズルグループが印刷領域内に位置する第3ノズルグループとなる。よって、印刷ヘッド1012の第2ノズルグループは、第3行(即ち、印刷領域内に位置する第1ノズルグループに対応した4行制御データのうちの第3行)のデータに基づいて印刷を実行する。相応的に、印刷ヘッド1012における第3ノズルグループは、第7行(即ち、印刷領域内に位置する第2ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第3行)のデータに基づいて印刷を実行する。印刷ヘッド1012における第4ノズルグループは、第11行(即ち、印刷領域内に位置する第3ノズルグループに対応した4行制御データのうちの第3行)のデータに基づいて印刷を実行する。同様に、第3行のデータには、第1ノズル列Cの制御データが存在せず、即ち、第1ノズルグループのうちの第1ノズル列Cにおけるノズルは、該当するボクセル位置で噴射を実行しない。
【0063】
第4主走査動作では、印刷ヘッド1012がまた第2方向Yにおいて同一の方向に沿って1ノズル間隔分Dだけ進行するとともに、1ボクセルqの距離(D+D/4)だけシフトして、位置4に着いて、印刷ヘッド1012における各ノズル列の第3ノズルグループ、第2ノズルグループ及び第1ノズルグループが印刷領域に入ったが、第4ノズルグループが印刷領域を超え、即ち、第1ノズルグループが印刷領域内に位置する第1ノズルグループとなり、第2ノズルグループが印刷領域内に位置する第2ノズルグループとなり、第3ノズルグループが印刷領域内に位置する第3ノズルグループとなる。よって、印刷ヘッド1012における第1ノズルグループは、第4行(即ち、印刷領域内に位置する第1ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行)のデータに基づいて印刷を実行する。相応的に、印刷ヘッド1012における第2ノズルグループは、第8行(即ち、印刷領域内に位置する第2ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行)のデータに基づいて印刷を実行する。印刷ヘッド1012における第3ノズルグループは、第12行(即ち、印刷領域内に位置する第3ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行)のデータに基づいて印刷を実行する。印刷ヘッド1012における第4ノズルグループが印刷領域を超えており、印刷領域内に位置する第4ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第4行に制御データが存在しないため、第4ノズルグループの各ノズル列におけるノズルは、該当するボクセル位置で噴射を実行しない。
【0064】
これにより、印刷領域に位置する第1ノズルグループに対応した4行のデータに基づく印刷が完了し、即ち、第1主走査動作から第4主走査動作まで、前記層s1の第1領域、即ち第1行のボクセルqが形成される。
【0065】
第5主走査動作では、印刷ヘッド1012がまた第2方向Yにおいて同一の方向に沿って1ノズル間隔分Dだけ進行するとともに、1ボクセルqの距離(D+D/4)だけシフトして、位置5に着いて、また印刷を実行する。この際に、印刷ヘッド1012における予備ノズルグループ、第1ノズルグループ及び第2ノズルグループが印刷領域に位置し、第3ノズルグループ及び第4ノズルグループが印刷領域を超えているが、印刷領域内に位置する第1ノズルグループに対応した4行のデータに基づく噴射が既に実行されたため、予備ノズルグループが印刷領域内に位置する第2ノズルグループとなり、第1ノズルグループが印刷領域内に位置する第3ノズルグループとなり、第2ノズルグループが印刷領域内に位置する第4ノズルグループとなる。よって、印刷ヘッド1012における予備ノズルグループは、第5行(即ち、印刷領域内に位置する第2ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第1行)のデータに基づいて印刷を実行する。相応的に、印刷ヘッド1012における第1ノズルグループは、第9行(即ち、印刷領域における第3ノズルグループに対応した第1行)のデータに基づいて印刷を実行する。印刷ヘッド1012における第2ノズルグループは、第13行(即ち、印刷領域における第4ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第1行)のデータに基づいて印刷を実行する。各ノズル列における第3ノズルグループ及び第4ノズルグループが印刷領域を超えているため、第3ノズルグループ及び第4ノズルグループにおけるノズルは、該当するボクセル位置で噴射を実行しない。
【0066】
これにより、印刷領域に位置する第2ノズルグループに対応した4行のデータに基づく印刷も完了し、第2主走査動作から第5主走査動作まで、前記層s1の第2領域、即ち第2~6行のボクセルが形成される。
【0067】
その後、印刷ヘッド1012は、また第2方向Yにおいて同一の方向に沿って1ノズル間隔分Dだけ進行するとともに、1ボクセルqの距離(D+D/4)だけシフトして、位置6に着いて、第6主走査動作を実行する。この際に、印刷ヘッド1012における予備ノズルグループ及び第1ノズルグループが印刷領域に位置するが、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ及び第4ノズルグループが印刷領域を超えている。印刷領域内に位置する第1ノズルグループ及び第2ノズルグループに対応したデータに基づく噴射が既に実行されたため、予備ノズルグループが印刷領域内に位置する第3ノズルグループとなり、第1ノズルグループが印刷領域内に位置する第4ノズルグループとなる。よって、印刷ヘッド1012における予備ノズルグループは、第10行(即ち、印刷領域内に位置する第3ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第2行)のデータに基づいて印刷を実行する。第1ノズルグループは、第14行(即ち、印刷領域内に位置する第4ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第2行)のデータに基づいて印刷を実行する。ここで、第14行のデータには、印刷領域内に位置する第4ノズルグループの第2ノズル列及び第4ノズル列の制御データが存在せず、即ち、印刷ヘッド1012における第1ノズルグループの第2ノズル列及び第4ノズル列におけるノズルは、該当するボクセル位置で噴射を実行しない。
【0068】
これにより、前記印刷領域に位置する第3ノズルグループに対応した4行のデータに基づく印刷も完了する。第3主走査動作から第6主走査動作まで、前記層s1の第3領域、即ち第7~11行のボクセルが形成される。
【0069】
その後、印刷ヘッド1012は、また第2方向Yにおいて同一の方向に沿って1ノズル間隔分Dだけ進行するとともに、1ボクセルqの距離(D+D/4)だけシフトして、第7位置に着いて、第7主走査動作を実行する。この際に、印刷ヘッド1012において、予備ノズルグループのみが印刷領域に位置し、他のノズルグループが印刷領域を超えている。印刷領域内に位置する第1ノズルグループ、第2ノズルグループ及び第3ノズルグループに対応したデータに基づく印刷が完了したため、予備ノズルグループが印刷領域内に位置する第4ノズルグループとなる。よって、印刷ヘッド1012における予備ノズルグループは、第15行(即ち、印刷領域内に位置する第4ノズルグループに対応した4行のデータのうちの第3行)のデータに基づいて印刷を実行する。前記第15行のデータには、第1ノズル列Cの制御データのみが「1」であり、即ち、前記印刷ヘッド1012における予備ノズルグループにおいて、第1ノズル列Cにおけるノズルのみは該位置で噴射を実行するが、第2ノズル列Y、第3ノズル列M及び第4ノズル列Kにおけるノズルは、該当するボクセル位置で噴射を実行しない。
【0070】
これにより、前記印刷領域に位置する第4ノズルグループに対応した4行のデータに基づく印刷も完了する。第4主走査動作から第7主走査動作まで、前記層s1の第4領域、即ち第12行のボクセルが形成される。
【0071】
上記成形過程において、各領域の印刷は4つの主走査動作によって完成される。ここで、隣り合う2つの主走査動作の間に、印刷ヘッド1012は、第2方向Yにおいて同一の方向に沿って、等分した1つ分の印刷ヘッドの距離だけ進行するとともに、1/4ノズル間隔分だけシフトする。1つ分の印刷ヘッドの距離は、複数のノズル間隔分kDであり、前記kは1つ分におけるノズルグループの数である。即ち、印刷ヘッド1012の第2方向Yにおいて移動する距離はkD+D/4である。本実施例では、k=1、即ち、印刷ヘッド1012が第2方向Yにおいて移動する距離はD+D/4である。
【0072】
相応的に、大間隔の4パス印刷は、印刷ヘッド1012が、隣り合う2つの主走査動作の間に、第2方向Yにおいて、それぞれに異なる方向に沿って等分した1つ分の印刷ヘッドの距離だけ進行するとともに1/4ノズル間隔分だけシフトし、即ちkD-D/4だけ移動してもよい。ただし、相応的に、小間隔の4パス印刷と同様に、各ノズルグループに対応した4行のデータは、印刷を実行させる順序が上記順序と逆である。
【0073】
同様に、3次元物体objの寸法は、同様に印刷ヘッド1012の長さよりも大きくてもよく、制御データ1027に基づいて上記方法に従って印刷を実行すればよいため、ここでは説明を省略する。
【0074】
このように形成された層s1は、同様に、両端に傾斜面が存在せず、且つ各種類の材料の印刷解像度は印刷ヘッド1012のノズル列におけるノズルの解像度の4倍となる。
【0075】
実施例2
本願の実施例は、3次元印刷システムをさらに提供する。3次元印刷システムは、コントローラー1011と、コントローラー1011に電気的に接続される印刷ヘッド1012及び印刷台1013とを備える。印刷ヘッド1012は、行列に配置された複数のノズルを有する。少なくとも2つのノズル列は、その行方向において順次に配列され、且つ列方向において位置がずれるように配置されている。
【0076】
制御データ生成モジュール1024を更に備える。制御データ生成モジュール1024は、対象3次元物体のモデルデータ1021に基づいて初期制御データを生成し、初期制御データをノズル列位置ずれデータ1026に基づいてシフトさせて制御データ1027を生成することに使用される。ここで、ノズル列位置ずれデータ1026は、位置がずれるように配置された少なくとも2列のノズルにおけるノズルの位置ずれ方向及び位置ずれ距離である。
【0077】
選択的に、制御データ生成モジュール1024はハーフトーンモジュールを含んでもよい。ハーフトーンモジュールは、ハーフトーンデータを提供するとともに、スライスデータ1023についてハーフトーン処理を実行して初期制御データを生成することに用いられる。
【0078】
コントローラー1011は、制御データ1027に基づいて、印刷ヘッド1012が3次元物体の各位置に対してN回の主走査動作を実行するように制御して、対象3次元物体を印刷形成することに用いられる。ここで、Nは前記印刷ヘッドの列方向において位置がずれるように配置されたノズル列の列数の整数倍である。
【0079】
本実施例に係る3次元印刷システムでは、初期制御データをノズル列位置ずれデータに基づいてシフトさせて生成した制御データによって、対象3次元物体の形成を制御することにより、成形された層の両端の傾斜面をなくして、対象3次元物体の表面の成形精度を向上させることができる。
【0080】
選択的に、上記3次元印刷システムは、さらにスライスモジュール1022を備える。スライスモジュール1022は、対象3次元物体のモデルデータ1021に基づいて3次元物体のスライスデータ1023を生成することに用いられる。制御データ生成モジュール1024は、さらに、スライスデータ1023及び予め設定されたパラメータに基づいて初期制御データを生成することに用いられる。
【0081】
ここで、初期制御データのシフト方向は位置ずれ方向と反対であり、初期制御データのシフト距離は位置ずれ距離と等しい。
【0082】
図10は本願の実施例2に係る3次元印刷システムの構造模式図である。
図10に示すように、3次元印刷システムは、さらに3軸運動機構1014を備える。印刷ヘッド1012及び印刷台1013それぞれは3軸運動機構に接続されている。3軸運動機構1014は、第1方向駆動器、第2方向駆動器及び第3方向駆動器を有する。コントローラー1011は、第1方向駆動器が印刷ヘッド1012及び印刷台1013を駆動してノズルの配置行方向において相対運動をさせるように制御する。コントローラー1011は、第2方向駆動器が印刷ヘッド1012及び印刷台1013を駆動してノズルの配置列方向において相対運動をさせるように制御する。コントローラー1011は、第3方向駆動器が印刷ヘッド1012及び印刷台1013を駆動してノズルに垂直となる面方向において相対運動をさせるように制御する。これにより、対象3次元物体が形成される。
【0083】
選択的に、予め設定されたパラメータは、ノズル印刷材料配置データ1025及び印刷パラメータである。
【0084】
選択的に、印刷パラメータは、印刷ヘッド1012が対象3次元物体の各位置に対して実行する主走査動作の回数N、及び/又は対象3次元物体の印刷解像度を含む。
【0085】
さらに、本願では、印刷ヘッド1012に順次に配列された複数のノズル列は、通常、補助材料、モデル材及び/又はサポート材を噴射するためのノズル列を含んでもよい。例えば、カラー印刷において、通常、透明材ノズル列及び/又は白色材ノズル列がさらに設けられており、印刷コストを節約させるために、モデル材料ノズル列などがさらに設けられてもよい。カンチレバー構造の印刷時には、3次元物体の印刷を支持するサポート構造を必要とするため、サポート材ノズル列を設ける必要がある。補助材料ノズル列及び/又はサポート材ノズル列それぞれは、第1方向Xにおいて順次に配列された一又は複数のノズル列を含んでもよい。補助材料ノズル列及び/又はサポート材ノズル列の具体的な配列順序及び第2方向における配置位置それぞれは、実際の必要に応じて設定されればよい。
【0086】
具体的に、
図11は本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおけるノズル列の具体的な配置の模式図である。
図11に示すように、4つのノズル列C、Y、M、Kが第1方向Xにおいて順次に配列され、且つ第2方向Yにおいて位置がずれるように配置されており、ノズル列C、Y、M、Kとそれぞれに揃った4つの補助材料ノズル列W、W、W、W、及びノズル列C、Y、M、Kとそれぞれに揃ったサポート材ノズル列S、S、S、Sが、第1方向Xにおいて順次配置されている。
【0087】
具体的に、ノズル列C、M、Y、K及び4つのノズル列Wのうちの任意の4つのノズル列は、同一のピクセルの点に印刷を実行して1つのボクセルを形成することができる。例えば、ノズル列Cにおけるノズルの、特定のボクセルに対応する制御データが「0」であり、即ち、ノズル列Cにおける該ノズルが前記特定のボクセルでインクの噴射を実行しない場合、ノズル列Cと揃って設けられた補助材料ノズル列Wにおいて、該ノズルと揃ったノズルは、前記特定のボクセルに対応する制御データが「1」であり、即ち、該特定のボクセルで噴射を実行する。そのため、前記8つのノズル列の制御データ1027は、前述したようなデータ処理ステップに記載の方法により得られる。同様に、第1方向Xにおいて順次に配列され、且つ前記ノズル列C、Y、M、Kと一対一に揃った4つのノズル列Sの制御データは、前述したデータ処理ステップに記載の方法により得られる。ここで、印刷過程を簡単化させるために、前記ノズル列C、M、Y、K、W及びSの制御データ1027は、同一の基準に基づいてシフトしてもよい。
【0088】
具体的に、
図12(a)は本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された初期制御データの模式図であり、
図12(b)は本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された制御データの模式図である。
図12(a)及び
図12(b)に示すように、前記印刷ヘッド1012のノズル列配置データに基づいて生成された初期制御データ及びノズル列位置ずれデータに基づいて生成された制御データ1027が、それぞれに
図12(a)及び
図12(b)に示されている。注意すべきことは以下の通りである。
図12(a)及び
図12(b)の
図5(a)及び
図5(b)との相違は、
図12(a)及び
図12(b)において印刷ヘッド1012におけるノズル列の数が比較的に多いため、
図12(a)及び
図12(b)において各ノズル列について1列のデータのみが示されており、同様に、格子が1つのボクセルを示し、格子における数字の「1」が、該当するノズル列が該位置で噴射を実行することを示し、格子における数字の「0」が、該当するノズル列が該位置で噴射を実行しないことを示し、前述した通り、ノズル列C、Y、M、Kの制御データ及び4つの補助材料ノズル列Wのデータが相補的であり、即ち、C、Y、M、Kノズル列の制御データが「1」であれば、それと揃って設けられた補助材料ノズル列の制御データが「0」である。
図10に示すように、ノズル列位置ずれデータ1026は、ノズル列Cを基準とし、第1方向Xに沿って順次に配列された12つのノズル列の位置が-Y方向に沿って順次に0、D/2、D/4、3D/4、0、D/2、D/4、3D/4、0、D/2、D/4、3D/4だけずれることを含むため、4パス印刷において、前記シフトを経て得た制御データ1027は、各ノズル列の制御データがノズル列Cの制御データを基準とし、Y方向に沿って位置が順次に0ボクセルq分、2ボクセルq分、1ボクセルq分、3ボクセルq分、0ボクセルq分、2ボクセルq分、1ボクセルq分、3ボクセルq分、0ボクセルq分、2ボクセルq分、1ボクセルq分、3ボクセルq分だけずれている。具体的な成形過程は、前述した実施例1と一致するため、ここでは説明を省略する。
【0089】
なお、
図13は本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドのノズル列の他の具体的な配置の模式図である。
図13に示すように、3つのノズル列C、Y、Mが第1方向Xにおいて順次に配列され、且つ第2方向Yにおいて位置がずれるように配置されており、3つの補助材料ノズル列W、W、Wが第1方向Xにおいてノズル列C、M、Yとそれぞれに揃って設けられており、一又は複数のサポート材通路Sがノズル列C、M、Yと位置がずれるように設けられており、ここで、第1方向Xにおいて順次に配列され、且つ第2方向Yにおいて位置がずれるように配置されたノズル列C、M、Yと、3つのノズル列Wにおける任意の3つのノズル列とは、同一のピクセルの点に印刷を実行することができるため、6つのノズル列の制御データは、上記データ処理方法により得られる。2つのノズル列Sとノズル列C、M、Yとの位置がずれているため、同様に、上記データ処理方法によりその制御データを得て、各ノズル列の制御データ1027を生成することができる。
【0090】
具体的に、
図14(a)は、本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された初期制御データの模式図であり、
図14(b)は、本願の実施例2に係る3次元印刷システムにおける印刷ヘッドの配置に基づいて生成された初期制御データの模式図である。
図14(a)及び
図14(b)に示すように、ノズル列位置ずれデータ1026は、ノズル列Cを基準として、第1方向Xに沿って順次に配列された8つのノズル列の位置が-Y方向に沿って順次に0、D/2、D/4、3D/4、0、D/2、D/4、3D/4だけずれることを含むため、4パス印刷において、シフトを経て得た制御データ1027は、各ノズル列の制御データがノズル列Cの制御データを基準としてY方向に沿って位置が順次に0ボクセルq分、2ボクセルq分、1ボクセルq分、3ボクセルq分、0ボクセルq分、2ボクセルq分、1ボクセルq分、3ボクセルq分だけずれている。具体的な成形過程は、前述した実施例1及び2と一致するため、ここでは説明を省略する。
【0091】
本願では、マルチパス印刷において第2方向において位置がずれるように配置されたノズル列の制御データをシフトして、制御データのうち、最初N行のデータ及び最終N行のデータに一部のノズル列の制御データが存在しないようにすることにより、成形層の両端に傾斜面が生じることを避け、対象3次元物体の表面の成形精度を向上させることができる。
【0092】
当業者であれは、以下のことが理解できる。上記各方法に係る実施例の全部又は一部のステップはプログラム指令に係るハードウェアにより実現される。前述したプログラムはコンピュータにより読み取られる記憶媒体に記憶されてもよい。該プログラムは、上記の各方法に係る実施例のステップを実行する。前述した記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、又は光ディスクなど、プログラムのコードを記憶することが可能な媒体を含む。
【0093】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで指示された方位又は位置関係は図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜上及び説明の簡素化の観点から記載されたものであるが、その対象となる装置又は要素は必ず特定の方位において、特定の方位から特定の構成で操作されなければならないことを指示又は示唆するものではなく、よって本発明を限定するものと理解されるべきではない。また、用語「第1」、「第2」などは説明目的で使用されるものであり、相対的な重要性を指示もしくは示唆する又はその対象となる技術特徴の数量を暗黙的に指示するものと理解されるべきではない。本発明の説明において、特に明確で具体的な限定をしていなければ、「複数」は2つ以上を意味する。
【0094】
本願において、特に明確に規定又は限定されていなければ、用語「取付け」、「連結」、「接続」は広い意味を有するものとして理解さるべきである。例えば、固定して接続されていてもよいし、取り外し可能に接続されていてもよいし、又は一体として接続されていてもよい。機械的に接続されていてもよいし、電気的に接続されていてもよい。直接連結されていてもよいし、中間の媒介を介して間接的に連結されていてもよいし、又は2つの要素は内部で連通するもしくは2つの要素相互の作用関係に対して使用されてもよい。当業者であれば、状況に応じて本発明における上記の用語の意味を具体的に理解することができる。
【0095】
なお、前述した実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。前述した実施例に基づいて本発明を詳しく説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載の発明を変更し、又はその一部の技術的特徴を均等に置き換えることができ、これらの変更又は置き換えは、技術の本質を各実施例に係る発明の思想及び範囲から逸脱させることがないと理解できる。
【符号の説明】
【0096】
1011 コントローラー
1012 印刷ヘッド
1013 印刷台
1014 3軸運動機構
1021 対象3次元物体のモデルデータ
1022 スライスモジュール
1023 スライスデータ
1024 制御データ生成モジュール
1025 ノズル印刷材料配置データ
1026 ノズル列位置ずれデータ
1027 制御データ
obj 3次元物体
【国際調査報告】