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特表2022-505182気体状の媒体のための弁装置、および圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置
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  • 特表-気体状の媒体のための弁装置、および圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置 図1
  • 特表-気体状の媒体のための弁装置、および圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】気体状の媒体のための弁装置、および圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/70 20060101AFI20220106BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220106BHJP
   F17C 13/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F16K31/70 A
H01M8/04 N
H01M8/04 H
F17C13/12 301Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521128
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2019077293
(87)【国際公開番号】W WO2020088897
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018218425.9
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ザイター マックス
(72)【発明者】
【氏名】ミューレダー フリードリヒ
【テーマコード(参考)】
3E172
3H057
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD03
3E172CA12
3E172EA02
3E172EB02
3E172JA05
3H057AA02
3H057BB04
3H057DD12
3H057EE01
3H057FA22
3H057FB09
3H057FC02
3H057FC08
3H057HH01
3H057HH07
3H057HH11
3H057HH21
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127EE13
5H127EE19
(57)【要約】

【課題】本発明は、弁ハウジング(6)と、該弁ハウジング(6)内に配置された、縦軸線(18)に移動可能な閉鎖部材(14)とを有する、気体状の媒体、特に水素のための弁装置(100)に関する。
【解決手段】前記閉鎖部材(14)は、通過開口(22)を開閉するためのシール座(16)と協働し、この際に、前記弁ハウジング(6)内に少なくとも1つのスプリングエレメント(8)が配置されていて、該少なくとも1つのスプリングエレメント(8)が前記閉鎖部材(14)および前記弁ハウジング(6)に支えられている。さらに、前記少なくとも1つのスプリングエレメント(8)がバイメタルより製作されている。
【選択図】 図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状の媒体、特に水素のための弁装置(100)であって、弁ハウジング(6)を有しており、該弁ハウジング(6)内に配置された、縦軸線(18)に移動可能な閉鎖部材(14)を有しており、該閉鎖部材(14)は、通過開口(22)を開閉するためのシール座(16)と協働し、この際に、前記弁ハウジング(6)内に少なくとも1つのスプリングエレメント(8)が配置されていて、該少なくとも1つのスプリングエレメント(8)が前記閉鎖部材(14)および前記弁ハウジング(6)に支えられている形式のものにおいて、
前記少なくとも1つのスプリングエレメント(8)がバイメタルより製作されていることを特徴とする、弁装置(100)。
【請求項2】
前記バイメタルの温度変化によって前記通過開口(22)が開放可能および閉鎖可能であることを特徴とする、請求項1記載の弁装置(100)。
【請求項3】
前記閉鎖部材(14)が円錐形の領域(141)を有していて、該円錐形の領域(141)が前記シール座(16)と協働することを特徴とする、請求項1または2記載の弁装置(100)。
【請求項4】
前記閉鎖部材(14)が円錐形に拡張した領域(302)を有していて、該円錐形に拡張した領域(302)が前記シール座(16)と協働することを特徴とする、請求項1または2記載の弁装置(100)。
【請求項5】
圧縮された流体、特に水素を蓄えるためのタンク装置(1)において、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁装置(100)およびタンク(2)を備えている、タンク装置(1)。
【請求項6】
前記タンク(2)がネック領域(28)を備えたタンクハウジング(3)を有しており、前記ネック領域(28)内に前記弁装置(100)が配置されており、この場合、前記弁ハウジング(6)が前記タンクハウジング(3)内に少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする、請求項5記載のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記シール座(16)が前記タンクハウジング(3)の円錐形に拡張した領域(37)に形成されていることを特徴とする、請求項5または6記載のタンク装置(1)。
【請求項8】
燃料電池装置において、燃料電池を駆動するための水素を蓄えるための、請求項5から7までのいずれか1項記載のタンク装置(1)を有する燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体状の媒体のための弁装置、および例えば燃料電池駆動装置を有する車両に使用される、特に水素を蓄えるための燃料電池タンク用のタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事前公開されていない特許文献1は、燃料電池タンクの温度圧力除去のためのタンク装置について記載しており、この場合、タンク装置は、多数の弁、例えば溶融安全弁を備えるタンク容器を有しており、これらの溶融安全弁は、例えば燃料電池システムのシステム全体の整然とした確実な機能形式を保証する。
【0003】
このようなタンク装置のための安全装置は規格化されている。この場合、それぞれのタンク装置はこのような溶融安全弁を有していなければならない。従って、溶融安全弁は、例えば火災時または所定の閾値を上回る温度上昇時に、記憶装置、さらにはシステム全体の爆発も防止するために、例えば水素を記憶装置から導出することができる。
【0004】
温度が所定の閾値を上回ると、通常は、溶融安全弁における装置、例えば熱作動式の圧力除去装置(thermally-activated pressure relief device(TPRD))が熔融し、溶融安全弁の不可逆的な開放を促す。しかしながら安全性は、新しい溶融安全弁が使用されることによってはじめて再び満たされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102018209057号明細書
【発明の概要】
【発明の効果】
【0006】
これに対して、請求項1記載の特徴を有する本発明による弁装置は、弁装置の温度反応式の回路にも拘わらず、同じ弁装置で確実な再閉鎖が可能である、という利点を有している。
【0007】
さらに、気体状の媒体、特に水素のための弁装置は、弁ハウジングを有しており、この弁ハウジング内に、縦軸線に可動な閉鎖部材が配置されている。閉鎖部材は、通過開口を開閉するためのシール座と協働し、この際に、弁ハウジング内に少なくとも1つのスプリングエレメントが配置されている。少なくとも1つのスプリングエレメントは、閉鎖部材および弁ハウジングに支えられている。また、少なくとも1つのスプリングエレメントはバイメタルより製作されている。
【0008】
バイメタルは、標準的な形式で、素材結合式にまたは形状締結式に互いに結合されている2つの異なる金属の層より製作されている点で優れている。金属の異なる熱膨張係数によって、温度が変化するとバイメタルは変形する。従って、スプリングエレメントの温度変化によって弁装置は制御可能である。
【0009】
第1の好適な実施態様では、バイメタルの温度変化によって通過開口が開放可能および閉鎖可能であるようになっている。従って、弁装置は、別の利用のために交換する必要なしに、可逆的に開放可能である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、好適には、閉鎖部材が円錐形の領域を有していて、この円錐形の領域がシール座と協働するようになっている。
【0011】
好適な実施態様では、閉鎖部材が円錐形に拡張した領域を有していて、この円錐形に拡張した領域がシール座と協働するようになっている。
【0012】
シール座の実施形態は、閉鎖部材に確実なシール性が得られるように選択されている。
【0013】
前記弁装置は、好適な形式で、圧縮された流体、特に水素を蓄えるための、タンクを備えたタンク装置に適している。好適な形式で、タンクは、ネック領域を備えたタンクハウジングを有しており、このネック領域内に弁装置が配置されており、この場合、弁ハウジングがタンクハウジング内に少なくとも部分的に組み込まれている。好適な形式で、シール座がタンクハウジングの円錐形に拡張した領域に形成されている。
【0014】
以上記載したタンク装置は、好適な形式で、燃料電池を駆動するための水素を蓄えるための燃料電池装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】タンク装置内の本発明による弁装置の第1実施例の縦断面図である。
図2】タンク装置内の本発明による弁装置の第2実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面には、気体状の媒体、特に水素のための本発明による弁装置の実施例、および圧縮された流体を蓄えるための本発明によるタンク装置が示されている。
【0017】
実施例の説明
図1は、気体状の媒体のための本発明による弁装置100の第1実施例の縦断面図を示す。弁装置100は、圧縮された流体、特に水素を蓄えるための本発明によるタンク装置1内に配置されている。
【0018】
弁装置100は、縦軸線18を有する弁ハウジング6を備えている。この弁ハウジング6内に通過開口22および出口開口40が形成されており、これらの通過開口22および出口開口40は、段状に形成された内室42内に開口している。
【0019】
内室42内に、縦軸線18に可動な閉鎖部材14が配置されており、この閉鎖部材14は、通過開口22を開閉するための円錐形に構成されたシール座16と協働する。閉鎖部材14は、円柱形の領域140と円錐形の領域141とを有しており、この場合、円錐形の領域141はシール座16と協働する。円柱形の領域140と円錐形の領域141との間で、閉鎖部材14は段状の領域142を有している。
【0020】
弁ハウジング6と閉鎖部材14の段状の領域142との間で支えられている、内室42内のスプリングエレメント8を用いて閉鎖部材14は力によって付勢される。閉鎖した状態で閉鎖部材14はシール座16上に載る。スプリングエレメント8は、ここではバイメタルより製作されている。
【0021】
弁装置100は、タンク2を備えたタンク装置1の部分である。タンク2はタンクハウジング3を有しており、このタンクハウジング3内にタンク内室4が形成されている。タンクハウジング3はネック領域28を有しており、このネック領域に弁装置100が配置されている。この場合、弁装置100はタンクハウジング3内に組み込まれていて、この場合、タンク内室4を外部に対し閉鎖する。シール座16は、タンクハウジング3の円錐形に拡張した領域37に形成されている。
【0022】
弁装置の機能形式
弁装置100はここでは溶融安全弁としてまたは熱作動式の圧力除去装置(thermally-activated pressure relief device(TPRD))として構成されている。つまり、例えば110℃を下回る温度において弁装置100は閉鎖されたままの状態にとどまるので、タンク2内で高圧下にある気体状の媒体はタンク2内に閉じ込められている。例えば110℃の温度を上回ると、バイメタルとして構成されたスプリングエレメント8内で温度変化が生ぜしめられ、それによって、バイメタル内の2種類の金属の異なる熱膨張係数に基づいて、バイメタルおよびひいてはスプリングエレメント8の変形を生ぜしめる。これは、閉鎖部材14において力の変化を生ぜしめるので、閉鎖部材14はシール座16から持ち上がり、通過開口22を開放する。気体状の媒体は、タンク2から通過開口22を介して出口開口40に向かって流れる。閉鎖部材14は開放し、ここでは弁装置100の内室42内に侵入する。
【0023】
これにより、バイメタルとして構成されたスプリングエレメント8の温度変化に応じて、閉鎖部材14のストロークはバイメタルの変形によって制御され得る。従って、スプリングエレメント8は温度反応式のバイメタルスイッチとして構成されており、このバイメタルスイッチは例えば70℃~180℃の温度の間で例えば5℃単位で切換可能である。バイメタルのための金属の選択に応じて、所望の機能形式が保証される。
【0024】
温度が110℃を下回ると、バイメタルとして構成されたスプリングエレメント8の変形が再び閉鎖部材14における力の変化を生ぜしめるので、閉鎖部材14は再びシール座16に向かって移動し、シール座16で支えられる。貫通開口22は再び閉鎖され、気体状の媒体がもはやタンク2から流れ出すことはない。
【0025】
弁装置100は、温度変化に応じてタンク2の開放または閉鎖を可能にする。
【0026】
図2は、気体状の媒体のための本発明による弁装置100の第2実施例の縦断面図を示す。同じ機能を有する構成部分には同じ符号が付けられている。
【0027】
第2実施例は、機能および構成において第1実施例に著しく相当している。ここでは、閉鎖部材14の構成および運動が異なっている。
【0028】
閉鎖部材14は、円柱形の領域140を有しており、この円柱形の領域140に段状の領域142が続いている。段状の領域142にまた円柱形の領域300が続いており、この円柱形の領域300に円錐形に拡張した領域302が続いている。円錐形に拡張した領域302はここではシール座16と協働する。
【0029】
第1実施例とは異なり、ここでは閉鎖部材14は開放してタンク内室4内に侵入する。
【符号の説明】
【0030】
1 タンク装置
2 タンク
3 タンクハウジング
4 タンク内室
6 弁ハウジング
8 スプリングエレメント
14 閉鎖部材
16 シール座
18 縦軸線
22 通過開口
28 ネック領域
37 円錐形に拡張した領域
40 出口開口
42 内室
100 弁装置
140 円柱形の領域
141 円錐形の領域
142 段状の領域
300 円柱形の領域
302 円錐形に拡張した領域
図1
図2
【国際調査報告】