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▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ボール循環式ステアリング機構
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523363
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2019079490
(87)【国際公開番号】W WO2020089208
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018127204.9
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー コーガン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス-ハウケ ミュラー
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB17
3D333CB19
3D333CB20
3D333CC13
3D333CC15
3D333CC18
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD06
3D333CD14
3D333CD16
(57)【要約】
本発明は、操舵運動をピットマンアーム(30)に伝達するためのボール循環式ステアリング機構(1)であって、ハウジング(10)であって、このハウジング(10)の内部に配置された操舵ピストン(20)を備え、この操舵ピストン(20)は、ボールねじ伝動装置(27)を有し、操舵ピストン(20)の長手方向軸線に沿って移動可能である、ハウジング(10)と、操舵ピストン(20)の運動をアシストするための電動式のアクチュエータ(40)とを有する、ボール循環式ステアリング機構(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵運動をピットマンアーム(30)に伝達するためのボール循環式ステアリング機構(1)であって、
- ハウジング(10)であって、該ハウジング(10)の内部に配置された操舵ピストン(20)を備え、該操舵ピストン(20)は、ボールねじ伝動装置(27)を有し、前記操舵ピストン(20)の長手方向軸線に沿って移動可能である、ハウジング(10)と、
- 前記操舵ピストン(20)の運動をアシストするための電動式のアクチュエータ(40)と
を有する、ボール循環式ステアリング機構(1)。
【請求項2】
前記操舵ピストン(20)は、前記電動式のアクチュエータ(40)に連結された第2のボールねじ伝動装置(28)を有する、請求項1記載のボール循環式ステアリング機構(1)。
【請求項3】
前記電動式のアクチュエータ(40)は、力伝達手段(60)を介して前記操舵ピストン(20)に結合されている、請求項1または2記載のボール循環式ステアリング機構(1)。
【請求項4】
前記力伝達手段(60)は、歯付きベルト伝動装置(610)、チェーン伝動装置(620)、歯車伝動装置(630)、傘歯車伝動装置(640)、ハイポイド伝動装置、冠歯車伝動装置(650)またはウォーム伝動装置(660)を含むグループから選択されている、請求項3記載のボール循環式ステアリング機構(1)。
【請求項5】
前記ボール循環式ステアリング機構は液圧式のユニットを有さず、前記操舵ピストン(20)の運動のアシストは専ら電気的に行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載のボール循環式ステアリング機構(1)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載のボール循環式ステアリング機構(1)を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵運動をピットマンアームに伝達するための、車両用、特に商用車用のボール循環式ステアリング機構に関する。さらに、本発明は、本発明に係るボール循環式ステアリング機構を有する車両、特に商用車に関する。
【0002】
ボール循環式ステアリング機構は、特に軽商用車および重商用車に使用され、ステアリングホイールの回転運動を構造形態に応じて直接的にまたはリンク機構を介して間接的にタイロッドに伝達する操舵伝動装置の一部を成している。ボール循環式ステアリング機構は、力が、ねじ溝内で循環するボールによってスピンドルとナットとの間で伝達される一種のスピンドル式ステアリング機構である。
【0003】
このような形態の操舵伝動装置は数年来知られていて、多種多様な構成で入手することができる。例えば独国特許出願公開第102014106488号明細書ならびに独国特許出願公開第102014106493号明細書には、液圧装置の使用によって操舵アシストが得られるボール循環式ステアリング機構が記載されている。
【0004】
しかしながら、液圧式のシステムは複雑なインフラストラクチャを有している。手間のかかる液圧的な配管に加えて、別の構成要素、例えばポンプ、ホースまたはシール要素が必要となる。
【0005】
したがって、本発明の課題は、先行技術に比べて改善されたボール循環式ステアリング機構、特に大幅に簡略化されたインフラストラクチャを有するボール循環式ステアリング機構を提供することである。
【0006】
本発明によれば、この課題は、独立請求項1の特徴を有するボール循環式ステアリング機構によって解決される。有利な別の構成は、それぞれ従属請求項に記載してある。
【0007】
本発明に係るボール循環式ステアリング機構はハウジングを有している。このハウジングは、その内部に配置された操舵ピストンを備えている。この操舵ピストンは、ボールねじ伝動装置を有していて、操舵ピストンの長手方向軸線に沿って移動可能である。さらに、本発明に係るボール循環式ステアリング機構は、操舵ピストンの運動をアシストするための電動式のアクチュエータを有している。
【0008】
本発明者らは、少なくとも1つのボールねじ伝動装置と電動式のアクチュエータとを組み合わせることによって、液圧式の構成要素なしでも事足りるボール循環式ステアリング機構を実現することができることを見出した。操舵運動のために必要な補助力アシストは純粋に電気的に行われる。
【0009】
したがって、手間のかかる液圧式のシステムを省略することができ、電動式のアクチュエータに電気的なエネルギを供給するためには、単純なコネクタで十分であるので、顧客側での本発明に係るボール循環式ステアリング機構の組付けが大幅に簡単になる。
【0010】
さらに、このようなアセンブリによって、特にコンパクトなボール循環式ステアリング機構を実現することができることが判った。
【0011】
好適な実施形態では、操舵ピストンが、電動式のアクチュエータに連結された第2のボールねじ伝動装置を有している。特にこの第2のボールねじ伝動装置では、そのねじ山付きナットが電動式のアクチュエータのロータに組み合わせられる。ボールねじ伝動装置は極めて高い効率を有しているので、ねじ山付きナットとロータとの組合せによって、より出力の弱い電動式のアクチュエータを使用することができる。この電動式のアクチュエータは、ボール循環式ステアリング機構のサイズに特に有利な影響を与える。
【0012】
別の好適な実施形態では、電動式のアクチュエータが、力伝達手段を介して操舵ピストンに結合されている。力伝達手段を介して、電動式のアクチュエータと操舵ピストンとの間の空間的な分離が可能となり、これによって、スペースジオメトリに関する顧客設定に応じてボール循環式ステアリング機構を固有に適合させることができる。
【0013】
別の好適な実施形態では、操舵ピストンが、力伝達手段を介して電動式のアクチュエータに連結された第2のボールねじ伝動装置を有している。
【0014】
力伝達手段は、好ましくは、歯付きベルト伝動装置、チェーン伝動装置、歯車伝動装置、傘歯車伝動装置、ハイポイド伝動装置、冠歯車伝動装置またはウォーム伝動装置を含むグループから選択されている。
【0015】
特に好適な実施形態では、ボール循環式ステアリング機構が液圧式のユニットを有しておらず、これによって、操舵ピストンの運動のアシストが専ら電気的に行われる。
【0016】
別の態様によれば、本発明は、本発明に係るボール循環式ステアリング機構を有する車両、特に商用車に関する。
【0017】
本発明による装置の更なる利点および特徴は複数の従属請求項から明らかとなる。これらの従属請求項は本発明の有利な構成に該当し、自体限定するものと解釈すべきではない。従属請求項が互いに関連していないかまたは請求項のそれぞれ異なるカテゴリーに属している場合でも、技術的に可能である限り、それぞれ異なる従属請求項の特徴の組合せも本発明に一緒に包括されている。このことは、当業者にとって必然的に互いに属するものと認識することができない限り、以下に説明する実施例の個々の特徴にも当てはまる。
【0018】
以下に記載した実施例は、当業者に本発明を詳しく説明するために設けてある。実施例を添付の図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第1の実施形態の横断面図である。
図2】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第2の実施形態の横断面図である。
図3】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第3の実施形態の横断面図である。
図3a図3に示した実施形態のA-A断面図である。
図4】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第4の実施形態の横断面図である。
図4a図4に示した実施形態のA-A断面図である。
図5】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第5の実施形態の横断面図である。
図6】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第6の実施形態の横断面図である。
図6a図6に示した実施形態のA-A断面図である。
図7】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第7の実施形態の横断面図である。
図7a図7に示した実施形態のA-A断面図である。
図8】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第8の実施形態の横断面図である。
図9】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第9の実施形態の横断面図である。
図10】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第10の実施形態の横断面図である。
図11】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第11の実施形態の横断面図である。
図12】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第12の実施形態の横断面図である。
図13】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第13の実施形態の横断面図である。
図13a図13に示した実施形態のA-A断面図である。
図13b】本発明に係るボール循環式ステアリング機構の第14の実施形態の横断面図である。
【0020】
図1には、ステアリングホイール(図示せず)からの操舵運動をピットマンアーム30に伝達するための本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第1の実施形態が示してある。
【0021】
ボール循環式ステアリング機構1はハウジング10を有している。このハウジング10は、その内部に配置された、長手方向軸線X-Xに沿って運動可能である操舵ピストン20を備えている。この操舵ピストン20は複数の個々の構成要素から成っていて、特に操舵ナット21と、操舵ウォーム26と、ボール循環路27とを有している。操舵ナット21と、操舵ウォーム26と、ボール循環路27とは、回転運動を並進運動に変換する第1のボールねじ伝動装置27ひいては第1の作用ポイントを形成している。
【0022】
操舵ナット21は、滑動するようにハウジング10の内部に配置されており、これによって、軸線方向での操舵ピストン20の長手方向移動が実施可能となる。操舵ナット21は外面に歯列領域22を有している。この歯列領域22には、ステアリングシャフト24の歯が噛み合っている。ステアリングシャフト24はピットマンアーム30に結合されているため、長手方向軸線X-Xに沿った操舵ピストン20の長手方向移動によって、ステアリングシャフト24ひいてはピットマンアーム30が回動させられる。操舵ピストン20の長手方向移動は、運転者によって、回転させられる駆動軸25を介して生じる。この駆動軸25は、操舵発生器(図示せず)、例えばステアリングホイールを操舵ウォーム26に結合している。
【0023】
さらに、ボール循環式ステアリング機構1は、長手方向軸線X-Xに対して横方向に配置された電動式のアクチュエータ40を有している。この電動式のアクチュエータ40は制御装置50を介して制御可能である。電動式のアクチュエータ40は、図示の実施形態では電動モータ、特に横方向磁束型モータ(Transversalmotor)として形成されていて、ハウジング10の内部に配置されている。電動式のアクチュエータ40は、トルクを提供することによって操舵ピストン20の長手方向移動をアシストする。このためには、電動式のアクチュエータ40が、操舵ウォーム26を取り囲むように配置された、ハウジング10に固く結合されたステータ41と、操舵ウォーム26に固く結合されたロータ42とを有している。したがって、操舵ウォーム26は、この操舵ウォーム26にトルクを伝達することができる第2の作用ポイントを有している。
【0024】
駆動軸25に位置決めされた、例えば回転角またはトルクを検出するためのセンサ80を介して検出される運転者の操舵命令および場合によっては別の車両パラメータに応じて、電動式のアクチュエータ40が制御装置50を介して制御される。このとき、電動式のアクチュエータ40がトルクを提供する。電動式のアクチュエータ40は、操舵ウォーム26の回転運動をアシストし、ひいては、長手方向軸線X-Xに沿った操舵ナット21の長手方向移動を生じさせ、この長手方向移動が、引き続き、ステアリングシャフト24ひいてはピットマンアーム30の回動を生じさせる。
【0025】
図2には、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第2の実施形態が示してある。第1の実施形態と異なり、ボール循環式ステアリング機構1は後方の領域11を有している。この後方の領域11は、前方の領域12と反対の側に配置されている。この前方の領域12には、例えば駆動軸25が配置されている。この駆動軸25はハウジング10を貫いて延在していて、操舵発生器に結合可能である。
【0026】
さらに、操舵ピストン20が、図示の実施形態ではピストン状の延長部21aを有している。このピストン状の延長部21aは第2のボールねじ伝動装置28を有していて、ボール循環式ステアリング機構1の後方の領域11へと延在している。したがって、操舵ピストン20は、ボール循環式ステアリング機構1の前方の領域12に第1のボールねじ伝動装置27を有していて、後方の領域11に第2のボールねじ伝動装置28を有している。
【0027】
さらに、ボール循環式ステアリング機構1の後方の領域11でハウジング10の内部に電動式のアクチュエータ40が配置されている。この電動式のアクチュエータ40は、図示の実施形態では電動モータ、特に中空軸サーボモータとして形成されている。電動式のアクチュエータ40は、トルクを提供することによって操舵ピストン20の長手方向移動をアシストする。後方の領域11に配置されたステータ41は、ピストン状の延長部21aを取り囲むように同心的に配置されていて、ハウジング10に固く結合されている。ピストン状の延長部21aとステータ41との間には、ロータ42が配置されている。このロータ42が、第2のボール循環路29およびピストン状の延長部21aと共に第2のボールねじ伝動装置28を形成している。この特有の配置形態によって、ピストン状の延長部21aがハウジング10の内部に十分に支承されており、これによって、例えば玉軸受によるピストン状の延長部21aの付加的な支承が省略される。
【0028】
さらに、後方の領域11でハウジング10の外部に制御装置50が配置されている。
【0029】
センサ80を介して検出される運転者の操舵命令および場合によっては別の車両パラメータに応じて、電動式のアクチュエータ40が制御装置50を介して制御される。このとき、電動式のアクチュエータ40がトルクを提供する。電動式のアクチュエータ40は、第2の作用ポイントに設けられた第2のボールねじ伝動装置28を介して操舵ピストン20に伝達され、長手方向軸線X-Xに沿った操舵ピストン20の長手方向移動をアシストする。
【0030】
図3および図3aには、ステアリングホイール(図示せず)からの操舵運動をピットマンアーム30に伝達するための本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第3の実施形態が示してある。
【0031】
ボール循環式ステアリング機構1は、第1の実施形態の構造に実質的に等しいものの、電動式のアクチュエータ40のトルクが、力伝達手段60、特に歯付きベルト伝動装置610を介して操舵ウォーム26に伝達されるという違いを伴っている。電動式のアクチュエータ40は、図示の実施形態ではハウジング10の外部に配置されていて、電動モータ、特にサーボモータとして形成されている。
【0032】
歯付きベルト伝動装置610は、伝動歯車611と歯付きベルト612(図3a)とを有している。伝動歯車611は操舵ウォーム26に固く結合されていて、したがって、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ウォーム26に伝達することができる第2の作用ポイントを有している。歯付きベルト612には、伝動歯車611と電動式のアクチュエータ40の軸43とを介して張力が与えられている。
【0033】
図4および図4aには、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第4の実施形態が示してある。この第4の実施形態は、第2の実施形態の構造に実質的に等しいものの、電動式のアクチュエータ40のトルクが、力伝達手段60、特に歯付きベルト伝動装置610を介して操舵ピストン20に伝達されるという違いを伴っている。電動式のアクチュエータ40は、図示の実施形態ではハウジング10の外部に配置されていて、電動モータ、特にサーボモータとして形成されている。
【0034】
歯付きベルト伝動装置610は、伝動歯車611と歯付きベルト612(図4a)とを有している。伝動歯車611は、伝動ナット21bを介してピストン状の延長部21aに結合されていて、したがって、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ピストン20に伝達することができる第2の作用ポイントを有している。歯付きベルト612には、伝動歯車611と電動式のアクチュエータ40の軸43とを介して張力が与えられている。
【0035】
伝動ナット21bは、支承要素70、例えば玉軸受を介してハウジング10に結合されており、これによって、操舵ピストン20は、互いに離れた少なくとも2つの点でハウジング10の内部に支承されていて、半径方向の運動に関して制限されている。
【0036】
図示の実施例では、ボール循環式ステアリング機構1全体がコンパクトな構成ユニットを成すように、電動式のアクチュエータ40と制御装置50とが互いに配置されている。
【0037】
代替的には、ボール循環式ステアリング機構1全体がスリムな構成ユニットを成すように(図5)、電動式のアクチュエータ40と制御装置50とが互いに配置されてもよい。
【0038】
図6および図6aには、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第6の実施形態が示してある。この第6の実施形態は、第3の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60としてチェーン伝動装置620が使用されるという違いを伴っている。
【0039】
チェーン伝動装置620は、複数のスプロケット621,622,623と1つのチェーン624(図4a)とを有している。スプロケット621は操舵ウォーム26に固く結合されていて、したがって、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ウォーム26に伝達することができる第2の作用ポイントを有している。別のスプロケット622は軸43に外嵌されていて、この軸43に固く結合されている。チェーン624はスプロケット621,622にわたって走行する。また、チェーン624には、テンションスプロケット623を介して張力が与えられる。
【0040】
図7および図7aには、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第7の実施形態が示してある。この第7の実施形態は、第4の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60がチェーン伝動装置620を有しているという違いを伴っている。
【0041】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図4に示した実施形態と同様に後方の領域11に配置されている。スプロケット621は、伝動ナット21bを介してピストン状の延長部21aに結合されていて、したがって、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ピストン20に伝達することができる第2の作用ポイントを有している。別のスプロケット622は電動式のアクチュエータ40の軸43に外嵌されていて、この軸43に固く結合されている。チェーン624はスプロケット621とスプロケット622とにわたって走行する。また、チェーン624には、テンションスプロケット623を介して張力が与えられる。
【0042】
図8には、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第8の実施形態が示してある。この第8の実施形態は、第3の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60が歯車伝動装置630を有しているという違いを伴っている。
【0043】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図3に示した実施形態と同様にハウジング10の前方の領域12に配置されていて、複数の歯車631,632,633を有している。これらの歯車631,632,633は互いに係合していて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ウォーム26に伝達する。
【0044】
図9には、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第9の実施形態が示してある。この第9の実施形態は、第4の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60が歯車伝動装置630を有しているという違いを伴っている。
【0045】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図4に示した実施形態と同様にハウジング10の後方の領域11に配置されていて、複数の歯車631,632,633を有している。これらの歯車631,632,633は互いに係合していて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ピストン20に伝達する。
【0046】
図10には、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第10の実施形態が示してある。この第10の実施形態は、第3の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60が傘歯車伝動装置640を有しているという違いを伴っている。
【0047】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図3に示した実施形態と同様にハウジング10の前方の領域12に配置されていて、2つの伝動歯車641,642を有している。両伝動歯車641,642は互いに噛み合っていて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ウォーム26に伝達する。
【0048】
図11には、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第11の実施形態が示してある。この第11の実施形態は、第4の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60が傘歯車伝動装置640を有しているという違いを伴っている。
【0049】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図4に示した実施形態と同様にハウジング10の後方の領域11に配置されていて、2つの伝動歯車641,642を有している。両伝動歯車641,642は互いに噛み合っていて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ピストン20に伝達する。
【0050】
図12には、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第12の実施形態が示してある。この第12の実施形態は、第3の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60が冠歯車伝動装置650を有しているという違いを伴っている。
【0051】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図3に示した実施形態と同様にハウジング10の前方の領域12に配置されていて、2つの伝動歯車651,652を有している。両伝動歯車651,652は互いに噛み合っていて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ウォーム26に伝達する。
【0052】
図13および図13aには、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第13の実施形態が示してある。この第13の実施形態は、第4の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60がウォームホイール伝動装置650を有しているという違いを伴っている。
【0053】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図4に示した実施形態と同様にハウジング10の後方の領域11に配置されていて、2つの伝動歯車661,662を有している。両伝動歯車661,662は互いに噛み合っていて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ピストン20に伝達する。
【0054】
最後に図13bには、本発明に係るボール循環式ステアリング機構1の第14の実施形態が示してある。この第14の実施形態は、第3の実施形態の構造に実質的に等しいものの、力伝達手段60がウォームホイール伝動装置660を有しているという違いを伴っている。
【0055】
力伝達手段60は、図示の実施形態では、図3に示した実施形態と同様にハウジング10の前方の領域12に配置されていて、2つの伝動歯車661,662を有している。両伝動歯車661,662は互いに噛み合っていて、ひいては、電動式のアクチュエータ40のトルクを操舵ウォーム26に伝達する。
【符号の説明】
【0056】
1 ボール循環式ステアリング機構
10 ハウジング
11 後方の領域
12 前方の領域
20 操舵ピストン
21 操舵ナット
21a ピストン状の延長部
21b 伝動ナット
22 歯列領域
23 歯
24 ステアリングシャフト
25 駆動軸
26 操舵ウォーム
27 第1のボール循環路
27a 第1のボールねじ伝動装置
28 第2のボールねじ伝動装置
29 第2のボール循環路
30 ピットマンアーム
40 電動式のアクチュエータ
41 ステータ
42 ロータ
43 軸
50 制御装置
60 力伝達手段
70 支承要素
80 センサ
610 歯付きベルト伝動装置
611 伝動歯車
612 歯付きベルト
620 チェーン伝動装置
621 スプロケット
622 スプロケット
623 テンションスプロケット
624 チェーン
630 歯車伝動装置
631 歯車
632 歯車
633 歯車
640 傘歯車伝動装置
641 伝動歯車
642 伝動歯車
650 冠歯車伝動装置
651 伝動歯車
652 伝動歯車
660 ウォームホイール伝動装置
661 伝動歯車
662 伝動歯車
図1
図2
図3
図3a
図4
図4a
図5
図6
図6a
図7
図7a
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13a
図13b
【国際調査報告】