(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(54)【発明の名称】微分電圧電流検知装置
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
G01R19/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524389
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 IL2019051216
(87)【国際公開番号】W WO2020095302
(87)【国際公開日】2020-05-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520079429
【氏名又は名称】ヴィスアイシー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ヤアコブ,シュミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ブーニン,イリア
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA20
2G035AB11
2G035AC02
2G035AD04
2G035AD10
2G035AD14
2G035AD16
2G035AD19
2G035AD20
2G035AD23
2G035AD31
2G035AD47
2G035AD51
2G035AD55
(57)【要約】
パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための装置であり、二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する変圧器であって、前記一次巻線は第1のインダクタンスを有する変圧器と、前記一次巻線と結合された少なくとも1つの抵抗素子を含み、そのことにより前記パルス電圧源と共に閉回路を形成する微分器であって、前記二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成された微分器とを備える装置であって、前記誘導パルス電圧は、前記パルス電圧源を示す装置。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための装置であり、
二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する変圧器であって、前記一次巻線は第1のインダクタンスを有する、変圧器と、
前記一次巻線と結合された少なくとも1つの抵抗素子を含み、そのことにより前記パルス電圧源と共に閉回路を形成する微分器であって、前記二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成された微分器と
を備える装置であって、
前記誘導パルス電圧は前記パルス電圧源を示す装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの抵抗素子は、前記一次巻線と直列に結合された抵抗器である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のインダクタンスは、非ゼロである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記二次巻線は、外部抵抗負荷と結合するように構成された出力端子を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記誘導パルス電圧の最大値は、前記二次巻線と前記一次巻線との巻数比に比例する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記最大値は、ボルトのオーダーである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記外部抵抗負荷は、そこを通って流れる電流の測定を可能にする、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記パルス電圧源は、
スイッチと、
機械スイッチと、
電子スイッチと、
電磁スイッチと、
電気機械スイッチと、
物理的特性依存スイッチと
からなるリストから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの抵抗素子と前記パルス電圧源との間に直流(DC)デカップラをさらに備え、前記DCデカップラは、前記パルス電圧源の少なくとも1つの時不変DC成分を遮断するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記DCデカップラは、前記少なくとも1つの抵抗素子と直列に結合されたコンデンサである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記DCデカップラは、前記装置に対して高電圧(HV)保護を行うように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記誘導パルス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧 は、1ボルトを超える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記二次巻線は、
比較器と、
ピーク/エンベロープ検出器と、
比較器ピーク検出器と、
電圧アナライザと、
電流アナライザと、
電圧計と、
電流計と
からなるリストから選択された少なくとも1つの補助装置と結合するように構成された出力端子を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための装置であり、
二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する変圧器であって、前記一次巻線は第1のインダクタンスを有する、変圧器と、
前記一次巻線と共にLC回路を形成する少なくとも1つの容量性素子を含む共振回路であって、前記パルス電圧源と共に閉回路を形成し、前記一次巻線が前記二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成される、共振回路と
を備える装置であって、
前記誘導パルス電圧は前記パルス電圧源を示す装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの容量性素子は、前記一次巻線と直列に結合されたコンデンサである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のインダクタンスは、非ゼロである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記二次巻線は、外部抵抗負荷と結合するように構成された出力端子を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記誘導パルス電圧の最大値は、前記二次巻線と前記一次巻線との巻数比に比例する、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記最大値は、ボルトのオーダーである、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記外部抵抗負荷は、そこを通って流れる電流の測定を可能にする、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記パルス電圧源は、
スイッチと、
機械スイッチと、
電子スイッチと、
電磁スイッチと、
電気機械スイッチと、
物理的特性依存スイッチと
からなるリストから選択される、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記共振回路の共振周波数は、前記パルス電圧源の周波数と一致するように選択される、請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記二次巻線は、
比較器と、
ピーク/エンベロープ検出器と、
比較器ピーク検出器と、
電圧アナライザと、
電流アナライザと、
電圧計と、
電流計と
からなるリストから選択された少なくとも1つの補助装置と結合するように構成された出力端子を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項24】
パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための装置であり、
少なくとも1つの容量性素子と結合された少なくとも1つの抵抗素子を含み、そのことにより、パルス電圧源と共に閉回路を形成する微分器と、
二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する変圧器であって、前記一次巻線は前記少なくとも1つの抵抗素子に並列接続され、前記一次巻線は前記二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成される、変圧器と
を備える装置であって、
前記誘導パルス電圧は前記パルス電圧源を示す装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの抵抗素子は、抵抗器である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの容量性素子は、前記少なくとも1つの抵抗素子と直列に結合されたコンデンサである、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記第1のインダクタンスは、非ゼロである、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記誘導パルス電圧の最大値は、前記二次巻線と前記一次巻線との巻数比に比例する、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
前記最大値は、ボルトのオーダーである、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための方法であって、
変圧器の巻線である誘導構成要素を有する微分器を介して、前記パルス電圧源のパルス信号を微分して、微分信号を生成するステップと、
前記変圧器を介して前記微分信号をアップコンバートして、アップコンバートされた微分信号を生成するステップと、
前記パルス電圧源を示す前記アップコンバートされた微分信号の検出および測定の少なくとも一方を行うステップと
を含む方法。
【請求項31】
前記巻線は、前記変圧器の一次巻線である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アップコンバートは、前記変圧器の巻数比に比例するアップコンバーション係数を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記誘導パルス電圧の最大値は、前記巻数比に比例する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記最大値は、ボルトのオーダーである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記検出および測定の少なくとも一方は、前記変圧器の二次巻線と結合された検知装置を通って流れる電流の検出および測定の少なくとも一方である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記微分ステップの前に、前記パルス電圧源の少なくとも1つの時変直流(DC)成分を遮断するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記遮断ステップは、前記装置に対する高電圧(HV)保護を可能にする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記誘導パルス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧 は、1ボルトを超える、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、全般的には、電圧電流検知に関し、特にパワー・エレクトロニクス・システムにおける微分電圧電流の検出および測定のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電圧電流を検知するためのさまざまな方法および装置が当技術分野で知られている。さまざまな測定技術および検出技術があるが、そのいくつかは、検知(シャント)抵抗器、変流器(CT)などのファラデーの電磁誘導の法則ならびにロゴスキーコイル法に基づく技術、磁場センサ(例えば、ホール効果センサならびにフラックスゲートセンサ)に基づく技術、磁気抵抗電流センサを使用する磁気抵抗効果に基づく技術、通電導体の周囲に位置決めされた光ファイバにおけるファラデーの磁気光学効果に基づく技術、専用集積回路(IC)、プリント回路基板(PCB)における導体トレース抵抗検知、従来の電流計ならびに電圧計を使用する直接法などを含む。これらの方法はそれぞれ、利点と欠点とを有する。例えば、シャント抵抗器技術は、比較的単純であるが、シャント抵抗器を通る電流フローの増加に伴って増加する電力損失を示す。CT技術は、高電流を測定するために使用され得るが、一般にヒステリシスを示す場合があり、典型的には、CTの磁心材料(例えば、フェライト)の飽和を引き起こし得る望ましくない直流(DC)成分を示す場合がある。ロゴスキーコイル技術は、低インダクタンスを示し、磁心がないために飽和状態にならないが、この方法は、比較的低い感度を示し、典型的には、増幅器ならびに積分回路の使用を必要とする場合があり、積分回路は電力を必要とする。ホール効果センサなどの磁場センサに基づく技術は、高精度測定を達成することができるが、典型的には、低雑音増幅器および温度補償回路を含む信号調整電子回路を必要とする低レベル出力を生成する。磁気抵抗効果に基づく技術は、一般に、高感度測定を可能にするが、非線形挙動を示す場合があり、外部磁場からの損傷を受けやすい場合がある。トレース抵抗検知技術は、低コストであるが、典型的には、電流測定値を効果的に変化させ、かつ有用な測定値を得るために増幅器の使用を必要とする導体トレースの熱ドリフトを起こす。
【0003】
ここで
図1を参照すると、
図1は、従来技術である、トランジスタ実装スイッチを通る電流フローを測定するための直列接続検知回路(全体が10で示されている)の概略図である。回路10は、トランジスタ12と、検知抵抗器14と、電圧検知サブ回路16(すなわち、ローパスフィルタ/積分回路を介して実装される)とを含む。電圧検知サブ回路16は、直列RC回路を形成する、抵抗器18およびコンデンサ20を含む。トランジスタ12は、電源スイッチとして機能し、典型的には、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などによって実装される。トランジスタ12は、典型的には、ゲート(G)、ドレイン(D)、ソース(S)、およびボディ(B)で示される端子を含み、ドレイン端子は高電圧電源22に接続され、ゲート端子は入力(ゲート駆動)信号源(図示せず)に接続され、ボディ端子およびソース端子は互いに相互接続され、さらに検知抵抗器14ならびにローパスフィルタ/積分器16に接続される。高電圧は、トランジスタ12のドレイン端子と接地との間に接続される。
【0004】
図1は、トランジスタ12のゲート端子を駆動する入力信号24(時間の関数として)を示す。入力信号24は、トランジスタ12のスイッチング状態を制御するために使用され、トランジスタ12は、導通(『オン』)状態と非導通(『オフ』)状態との間のスイッチとして機能する。簡略化するために、過渡状態については、この先行技術の例では説明しない。t<t
1における入力信号24は0であり、トランジスタ12はオフに切り替えられる(すなわち、高電圧源22と検知抵抗器14との間を導通状態にしない)。t
1≦t≦t
2の間の入力信号24は、トランジスタ12をオン状態に切り替えるように駆動し、その結果、電流がトランジスタ12(すなわち、ドレイン端子とソース端子との間)、ならびに検知抵抗器14を通って流れるようになる。検知抵抗器14(典型的には、低オーム抵抗器)を通って流れる電流は、検知抵抗器14の両端間の電圧降下V
Rsを生じる。直列RCローパスフィルタ/積分回路である電圧検知サブ回路16は、電圧降下V
Rsを検知し、出力信号26を生成する。出力信号26を測定し、検知抵抗器14の抵抗を知ることによって、スイッチ(すなわち、トランジスタ12)および検知抵抗器14を通って流れる電流が決定される。
【0005】
図1に示されるような直列接続検知抵抗器を使用する電流検知技術のいくつかの欠点は、検知抵抗器14を通る電流フローから生じる(すなわち、電流および抵抗器の値に依存する)時間累積エネルギー損失(例えば、熱として)、誘導スパイクを引き起こし得るトランジスタ12と検知抵抗器14との間の望ましくないインダクタンスの発生、典型的には、低電圧出力信号(ミリボルトのオーダー)、高電圧に対する最小限の保護または無保護、ならびに電圧降下V
Rsによって引き起こされるトランジスタ12のV
gs(ゲート-ソース電圧)の低減によって示される導通損失を含み得る。
【0006】
電流を検知するための別の既知の先行技術は、検知するように意図された電流が流れる電源スイッチ(例えば、スイッチングトランジスタ)に並列接続される電流検知回路または専用集積回路(IC)を使用する。ここで
図2Aおよび
図2Bを参照する。
図2Aは、先行技術であるトランジスタ実装スイッチを通る電流フローを測定するための並列接続検知回路(全体が30で示されている)の概略図である。
図2Bは、
図2Aの並列接続検知回路内の集積回路(IC)の動作に対応するタイミング図(全体が50で示されている)である。回路30(
図2A)は、トランジスタ32と、集積回路(IC)34と、ゲート抵抗器36とを含む。トランジスタ32は、
図2Aでは、MOSFETとして示されているが、同じ原理がIGBTにも適用される。IC34は、International Rectifier Corporationl(Infineon Technologies AGによって買収)製のIR25750電流検知ICである。IC34は、CSピン(本明細書では「ピン」、「コネクタ」、および「端子」は同義である)、GATEピン、VSピン、およびCOMピンを含む。IC34のGATE端子は、トランジスタ32のゲート端子およびゲート抵抗器36の一端に接続される。ゲート抵抗器36の他端は、ゲート駆動入力信号端子40に接続される。COM端子は、トランジスタ32のソース端子に接続され、トランジスタ32は接地される。VS端子は、高電圧スイッチングノード/端子42に接続される。CS端子は、出力信号端子44を構成する。
【0007】
トランジスタ32は、外部装置および電圧(図示せず)を『オン』および『オフ』に切り替えるために使用される電源スイッチとして機能する。
図2Aに関連して説明した構成は、IC34がトランジスタ32のドレイン端子およびソース端子に並列接続されていることを示している。したがって、IC34は、(トランジスタ32がMOSFETである場合)トランジスタ32のドレイン端子とソース端子との間の電圧、すなわちVDS(on)、またはトランジスタ32がIBGTである場合、コレクタ端子とエミッタ端子との間の電圧、すなわちVCE(on)を測定するために使用される並列接続検知回路として動作可能である。IC34の内部回路(図示されていないが、オンラインで入手可能)は、MOSFET(HVFET)と、RC遅延回路と、p型金属酸化物半導体(PMOS)ホールドダウントランジスタとを含む。内部回路図(図示せず)を含むIR25750の詳細および動作原理は、www.ifr.com経由でInternational Rectifier Corporationによって発行された「Application Note AN-1199」に記載されている。IC34は、ゲート駆動入力信号40を利用して、内部回路に電力を供給し、内部回路をオンオフする。
【0008】
図2Bのタイミング
図50をさらに参照すると、トランジスタ32の『オフ』時間の間、ゲート駆動入力信号40は、『ロー』(すなわち、COMにおいて)であり、さらにCS端子において同様である。ゲート駆動入力信号40が『ハイ』(矩形波形)になると、トランジスタ32はオンになり、ドレイン電圧は、トランジスタ32を通って流れる電流とその特性R
DS(on)(温度依存である)との積に依存するV
DS(on)に向かって高電圧から減少する。IC34のRC遅延回路によって生じる短い時間遅延に続いて、HVFETがオンになって、PMOSがオフになり、トランジスタ32のドレイン電圧がHVFETを介して出力信号44としてIC34のCS出力端子に導通される。ゲート抵抗器36は、IC34がトランジスタ32のターンオン時間後に短い時間遅延でターンオンすることを可能にする。CS出力端子における出力信号44は、補助回路(図示せず)に供給され得る目標電流検知信号である。逆に、ゲート駆動入力信号40が「ロー」に変化すると、トランジスタ32はオフになって、HVFETはオフになり、CS端子はCOMにある。
【0009】
並列接続検知回路30(
図2A)は、従来の直列接続の抵抗器・検知回路10(
図1)に対する進歩と考えられるが、両回路ともスイッチングの結果としてノイズスパイクを示す可能性がある。さらに、回路30において、出力電圧V
DS(on)がトランジスタ32を通って流れる電流とR
DS(on)との積に依存すると仮定すると、「高」電流(例えば、2アンペア)または比較的「高い」R
DS(on)(例えば、0.25Ω)のうちの少なくとも一方が、ほぼ
【数1】
ボルトのオーダーの出力電圧(V)を生成するために必要とされる。したがって、回路30は、追加の利得ブロック(例えば、増幅器)の使用、ならびに温度(すなわち、周囲および自己発熱)に対するV
DS(on)の変動を考慮して温度補償管理技術の利用を必要とし得る。
【0010】
電流を検知するための別の先行技術は、検知するように意図された電流が流れる検知抵抗器を含む検知回路に接続された変流器を使用する。ここで
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図3Dを参照する。
図3Aは、先行技術の電流フローを測定するための変流器を使用する電流検知回路(全体が60で示されている)の概略図である。
図3Bは、
図3Aの電流検知回路の一部の単純な等価回路(全体が80で示されている)の概略図である。
図3Cは、
図3Aの電流検知回路の動作に対応する中間出力電圧波形(全体が90で示されている)の概略図である。
図3Dは、
図3Aの電流検知回路の動作に対応する出力電圧波形(全体が96で示されている)の概略図である。電流検知回路60(
図3A)は、変流器62、ダイオード72、リセット抵抗器70、および検知抵抗器74(R
S)を含む。変流器62は、二次巻線66(例えば、典型的には複数の巻線)と電磁結合された一次巻線64(例えば、1本の巻線を有する)を含む。二次巻線のインダクタンスは、インダクタ68で表される(一方、その寄生容量(すなわち、その巻線間)は
図3Aには示されていない)。ダイオード72のアノードは二次巻線66の一方の端子に接続され、ダイオード72のカソードは検知抵抗器74に接続され、検知抵抗器74は二次巻線66の第2の端子と共に閉回路を形成する。
【0011】
時変入力電流76(I
inで表される)(例えば、パルス)は、一次巻線64を通って流れ、そのことにより、電圧を生成し、電圧は、
図3Cに示されるように、また中間出力電圧波形90で表されているように、二次巻線66に誘導電圧、すなわち、電圧V
2を電磁誘導する。リセット抵抗器70は、変流器62が飽和しないように、(各入力パルスの後の)中間出力電圧V
2をリセットするための時間を確保するために使用される。
図3Bは、
図3Aの電流検知回路60の一部の等価回路80を示す。等価回路80は、二次巻線66(および一次巻線64)が抵抗器R
Tで表される電気抵抗と、等価コンデンサC
Tで表される寄生容量(すなわち、その巻線間)とを示す、非理想的な変流器62の特定の非理想的な態様を表す。
図3Bはさらに、インダクタL
Tsで表される二次巻線66のインダクタンス68、コンデンサC
Dで表されるダイオード72の静電容量 、抵抗器R
Dで表されるダイオード72の抵抗(ならびにリセット抵抗器Rrおよび検知抵抗器R
S)を示す。入力電流I
in(
図3A)のオン時間に対応する、t
1とt
2との間の『オン』時間(
図3C)は、リセット抵抗器70を通る電流フローI
m、および中間出力電圧波形90の電圧V
2の正成分92(
図3C)で特徴付けられる。入力電流I
inの『オフ』時間は、等価回路80内の構成要素L
Ts、R
T、C
TおよびR
rによって形成されたサブ回路内のI
mと逆方向の電流フローと、中間出力電圧波形90の電圧V
2の負成分94で特徴付けられる。ダイオード72は、中間出力電圧波形90の負成分94を整流する。出力電圧V
Out(
図3A、
図3D)は、出力電圧波形96で表されるように、電圧V
2とダイオード72上の順方向電圧降下(V
Dで表される)との和である(すなわち、V
Out=V
2+V
D)。リセット抵抗器70の(抵抗)値は、典型的には、R
Tの値よりもあまり大きくならないように選択され、そうでないとR
r>>R
Tの場合には、電流I
mの大部分は二次巻線66を通って効果的に流れることになる。さらに、検知抵抗器74の値は、典型的には、リセット抵抗器70の値よりもあまり大きくないように選択され、そうでないとR
S>>R
rの場合には、電流フローの大部分はリセット抵抗器70を通って発生することになる。したがって、検知抵抗器70の低値の抵抗と検知抵抗器70を通って流れる低値の電流との積は、検知抵抗器70における低値の電圧降下を生じさせ、ひいては、典型的には出力電圧V
Outの増幅が必要になる。
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本開示の技術の目的は、パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための新規な装置を提供することである。該装置は、変圧器と微分器とを含む。変圧器は、二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する。一次巻線は、第1のインダクタンスを有する。微分器は、一次巻線と結合された少なくとも1つの抵抗素子(例えば、抵抗器)を含み、そのことにより、パルス電圧源と共に閉回路を形成する。微分器は、誘導パルス電圧がパルス電圧源を示すように、二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本開示の技術の別の態様によれば、パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための装置が提供される。該装置は、微分器と変圧器とを含む。微分器は、少なくとも1つの容量性素子(例えば、コンデンサ)と結合された少なくとも1つの抵抗素子(例えば、抵抗器)を含み、そのことにより、パルス電圧源と共に閉回路を形成する。変圧器は、二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する。一次巻線は、少なくとも1つの抵抗素子に並列接続される。一次巻線は、誘導パルス電圧がパルス電圧源を示すように、二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成される。
【0015】
したがって、本開示の技術のさらなる態様によれば、パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための装置が提供される。該装置は、二次巻線と電磁結合された一次巻線を有する変圧器を含む。一次巻線は、第1のインダクタンスを有する。共振回路は、一次巻線と共にLC回路を形成する少なくとも1つの容量性素子(例えば、コンデンサ)を含む。共振回路は、パルス電圧源と共に閉回路を形成する。一次巻線は、誘導パルス電圧がパルス電圧源を示すように、二次巻線上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成される。
【0016】
したがって、本開示の技術の別の態様によれば、パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための方法が提供される。該方法は、微分器を介してパルス電圧源のパルス信号を微分するステップと、微分信号をアップコンバートするステップと、アップコンバートされた微分信号の検出および測定の少なくとも一方を行うステップとを含む。微分器は、微分することにより微分信号が生成されるように、変圧器の巻線である誘導構成要素を有する。変圧器を介した微分信号のアップコンバーションは、アップコンバートされた微分信号を生成する。アップコンバートされた微分信号は、パルス電圧源を示す。
【0017】
本開示の技術は、図面と併せて以下の詳細な説明から、より十分に理解され、評価されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】先行技術のトランジスタ実装スイッチを通る電流フローを測定するための直列接続検知回路の概略図である。
【
図2A】先行技術のトランジスタ実装スイッチを通る電流フローを測定するための並列接続検知回路の概略図である。
【
図2B】
図2Aの並列接続検知回路内の集積回路(IC)の動作に対応するタイミング図である。
【
図3A】先行技術の電流フローを測定するための変流器を使用する電流検知回路の概略図である。
【
図3B】
図3Aの電流検知回路の一部の単純な等価回路の概略図である。
【
図3C】
図3Aの電流検知回路の動作に対応する中間出力電圧波形の概略図である。
【
図3D】
図3Aの電流検知回路の動作に対応する出力電圧波形の概略図である。
【
図4A】本開示の技術の一実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための装置の概略図である。
【
図4B】本開示の技術に係る、
図4Aの装置の基本等価回路の概略図である。
【
図4C】本開示の技術に係る、電圧源の入力時間依存パルス信号のプロットと共にプロットされた、時間の関数としての出力電圧の特性プロットの概略図である。
【
図5】本開示の技術に係る、電圧および電流を切り替えるために使用されるトランジスタ実装スイッチにおける微分電圧電流検知のための装置100の一実装例の概略図である。
【
図6A】本開示の技術の別の実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための装置の概略図である。
【
図6B】本開示の技術の実施形態に従って構成され動作可能である、
図6Aに示されている装置のシミュレーション回路の概略図である。
【
図6C】
図6Bのシミュレーション回路によって生成された出力電圧のプロットである。
【
図6D】パルス電圧源の入力電圧の立ち上がり時間の関数としての
図6Bのシミュレーション回路の出力電圧のプロットである。
【
図6E】
図6Aの装置のコンデンサの値の関数としての
図6Bのシミュレーション回路の出力電圧のプロットである。
【
図7】本開示の技術のさらなる実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための装置の概略図である。
【
図8A】本開示の技術の別の実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための共振回路を利用する装置の概略図である。
【
図8B】
図8Aの装置の共振回路の等価回路の基本モデルの概略図である。
【
図8C】電圧源の入力時間依存パルス信号の特性プロットの概略図である。
【
図8D】
図8Aの装置の共振回路の第1のモデル構成に従う、変圧器の一次巻線における時間依存電圧降下の特性プロットである。
【
図8E】
図8Aの装置の共振回路の第2のモデル構成に従う、変圧器の一次巻線における時間依存電圧降下の特性プロットである。
【
図8F】本開示の技術の実施形態に係る、
図8Aの装置の時間の関数としての出力電圧の特性プロットである。
【
図9A】本開示の技術の装置と共に使用されるように構成された、補助出力検出測定比較回路の一実装例の概略図である。
【
図9B】本開示の技術の装置と共に使用されるように構成された、補助出力ピーク/エンベロープ検出回路の別の実装例の概略図である。
【
図9C】本開示の技術の装置と共に使用されるように構成された、補助出力比較器ピーク検出器のさらなる実装例の概略図である。
【
図10】本開示の技術の原理に従う、パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の技術は、変圧器の「新規な」使用による、(1)電圧源の電圧、および(2)電圧源を通って流れる電流の少なくとも1つの微分法による検出および測定の少なくとも一方のための装置を提供することによって、先行技術の欠点を解消する。変圧器は、一般に、電磁誘導を介して少なくとも2つの回路間で電気エネルギーを伝達するように構成され動作可能である装置である。変圧器のいくつかのユビキタスな従来の使用は、電圧および電流のステップダウンおよびステップアップ、回路間の電気的絶縁、インピーダンス整合、信号フィルタリング、交流(AC)位相角調整などを含む。本開示の技術は、従来の方法で(すなわち、回路間で電気エネルギーを伝達するために)、またさらに重要なことには、新規な方法で、同時に変圧器を使用する。互いに電磁結合された一次巻線と二次巻線とを含む変圧器を考慮すると、変圧器は、一次巻線と二次巻線との間で(すなわち、巻線の少なくとも一方に対する印加エネルギー源の特性に応じて)電気エネルギーを伝達するように構成される。本開示の技術の一実施形態に係る変圧器の新規な使用は、微分回路内の誘導素子として一次巻線を利用することを伴う。したがって、一次巻線は、変圧器および微分回路の両方の二重用途の共有の主要構成要素である。本開示の技術の別の実施形態によれば、一次巻線は共振回路内の誘導素子である。
【0020】
具体的には、本開示の技術の一実施形態によれば、経時的に定電圧を有さないことを特徴とする、パルス化された電圧源(すなわち、本明細書では同義で「パルス電圧源」とも称される)の検出および測定の少なくとも一方のための装置が提供される。該装置は、変圧器と微分器とを含む。変圧器は、二次巻線と電磁結合された一次巻線(第1のインダクタンスを有する)を含む。微分器は、一次巻線と結合された少なくとも1つの抵抗素子(例えば、抵抗器、有効電気抵抗を有する複数の抵抗器)を含み、そのことにより、パルス電圧源と共に閉回路を形成する。したがって、微分器の主要誘導構成要素は、変圧器の一部、すなわち、その一次巻線と共通している。微分器は、二次巻線上に誘導パルス電圧(すなわち、電磁誘導の原理によって電磁誘導されたパルス電圧)を電磁誘導するように構成され、この場合、誘導パルス電圧はパルス電圧源を示す。
【0021】
本開示の技術は、全般的には、測定(例えば、データの導出)、制御(例えば、電力調整、フィードバックなど)、監視(例えば、電源回路の自己監視)、ならびに保護・安全(例えば、過負荷状態、短絡などを防止するため)の目的のために、パワー・エレクトロニクス・システムにおいて電圧電流検知を行う必要性に対処する。例えば、特定の高電圧スイッチング装置(例えば、高電圧トランジスタ、または一連の相互接続された高電圧スイッチングトランジスタ)を通る電流フローに関する情報を取得する必要がある。
【0022】
さらに本開示の技術のこの実施形態をより詳細に開示するために、ここで
図4A、
図4B、および
図4Cを参照する。
図4Aは、本開示の技術の一実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための装置(全体が100で示されている)の概略図である。
図4Bは、本開示の技術に係る、
図4Aの装置の基本等価回路(全体が130で示されている)の概略図である。
図4Cは、本開示の技術に係る、電圧源の入力時間依存パルス信号のプロットと共にプロットされた、時間の関数としての出力電圧の特性プロット(全体が140で示されている)を示す図である。装置100は、変圧器104と微分器106とを含む。変圧器104は、一次巻線108と二次巻線110とを含み、一次巻線および二次巻線は互いに電磁結合される。一次巻線108は、N
P本の巻線を含み、第1のインダクタンスL
1(非ゼロである)を有する。二次巻線110は、N
S本の巻線を含み、第2のインダクタンスL
2(0であり得る)を有する。(N
PおよびN
Sは数字である。)微分器106は、一次巻線108に結合された抵抗器112で表される少なくとも1つの(電気)抵抗素子を含む。したがって、微分器106内の主要誘導構成要素、すなわち一次巻線108も変圧器104の一部である。装置100は、
図4Aに示されているように、入力端子114
1、114
2、および出力端子116
1、116
2をさらに含む。装置100は、入力端子114
1、114
2を介して、パルス化された外部時変電圧源120(「パルス電圧源」)(V
S(t)で表され、本明細書ではR
S(on)で表された「オン」状態時の内部抵抗を有することで特徴付けられる)と結合されるように構成され動作可能である。微分器106、具体的には抵抗器112と一次巻線108との直列結合対は、
図4Aに示されているように、パルス電圧源120と共に閉回路を形成するように構成される。微分器106は、以下で詳細に説明するように、誘導パルス電圧がパルス電圧源120を示すように、二次巻線110に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成され動作可能である。 加えて、装置100、具体的には二次インダクタ110は、出力端子116
1、116
2を介して、外部負荷122(R
L)、すなわち、電流が流れ、電流が検出および測定され得る「検知負荷」(例えば、シャント抵抗器(「検知抵抗器」または「抵抗負荷」))と結合されるように構成され動作可能である。電圧源120および外部負荷122などの周辺要素を含む装置100は、
図4Aでは、まとめて102で示されている。抵抗器112で効果的に表される少なくとも1つの抵抗素子は、単一の抵抗器、複数の抵抗器(直列および/または並列)、インピーダンス(すなわち、オーム抵抗成分およびリアクタンス成分)、または本開示の技術の原理に適合する電気抵抗を示す等価装置を具現化し得ることに留意されたい。
【0023】
図4Bは、装置100(
図4A)の基本等価回路130を示しており、ここで、電圧源120は、パルス信号142(
図4C)を微分器106の直列RL回路(
図4A、
図4B)に印加して、電流I
Pが流れる閉回路(
図4B)を形成するように構成される。パルス信号142は、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを含む波形を有する時変信号である。パルス信号142は、
図4Cでは矩形であると示されているが、他のパルス形状(例えば、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを有する)も実行可能である。さらに、本開示の技術の主な原理を説明する目的で、基本等価回路130は、漏れリアクタンス、磁心損失(またはヒステリシスなどの磁化電流損失)、磁束漏れ、寄生容量などを示す「実際の」(すなわち、非理想的な)変圧器の等価サブ回路を含まない単純なモデルを示すことに留意されたい。抵抗器112の抵抗はRで表され、インダクタ108の非ゼロのインダクタンスはL
1で表されている。抵抗器112における(時間依存)電圧降下は、V
R(t)(簡単に表現すると、V
R)で表され、インダクタ108における電圧降下は、V
L1(t)(簡潔に表現すると、V
L1)で表され、以下の式が成り立つ。
【数2】
V
d(t)(簡潔にV
d)で表されたR-L結合点における電圧(V
L1にも等しい)は、微分方程式を解くことによって決定される。
【数3】
インダクタ108内の時変電流I
Pは、変動磁場(図示せず)を生成し、その磁束はインダクタ110も通って伝搬し、そのことによりインダクタ110において変動電圧(すなわち、起電力(emf)を生成する。したがって、出力電圧(「誘導電圧」)V
O(t)が電磁誘導によってインダクタ110の端子間に生成され、最大出力電圧、すなわち、V
Omax=max{V
O(t)}は、(理想的には)次式により求められる。
【数4】
ここで、nは、n(例えば、ステップアップ(「アップコンバージョン」:n>1)、ステップダウン(「ダウンコンバージョン」:n<1、1:1コンバージョン:(n=1))に比例する変換係数を有する変圧器104の巻数比を示す。したがって、最大出力電圧V
Omaxは、インダクタ108上の最大電圧のn倍であり、すなわち、V
L1=V
dである(抵抗器112の電圧降下V
Rを考慮に入れる。その最小値はV
Rminで表される)。したがって、V
Omaxは、パルス電圧源120の電圧(すなわち、入力信号V
S(t)に依存する表示またはゲージとして機能する出力信号V
O(t))を示す。
図4Cは、電圧源120の時間依存入力パルス信号142のプロットと共にプロットされた、時間の関数としての出力電圧V
O(t)の特性プロット(144で表されている)を示す。電流I
Sを測定するために、二次インダクタ110は、例えば、検知抵抗器122の形態の検知負荷R
Lと結合するように構成され動作可能である。電流I
Sは、電流測定装置(図示せず)(例えば、電流検出回路、電流計など)を介して、検出および測定され得る。代替として、出力電圧V
O(t)を測定し、検知抵抗器122の値を知ることによって、電流I
Sが(例えば、オームの法則によって)決定される(すなわち、検知抵抗器112を通る電流フロー)。装置100は、V
Omaxは典型的にはボルトのオーダーであるため、出力電圧V
O(t)信号を増幅するための増幅器(すなわち、先行技術の装置において従来必要とされ得るような増幅器)の使用を必要としない。例えば、n=100であり、ピーク電圧V
d≒5mVである場合、理想(すなわち、エネルギー損失がない)では、抵抗器112上の無視できるほどの電圧降下(V
R)に対して、最大出力電圧V
Omax≒5V(すなわち、ボルトのオーダー)である。
【0024】
装置100は、スイッチング装置(またはその等価物)であるパルス電圧源の微分電圧電流検知のために実装される。例えば、スイッチング装置は、スイッチング装置自体が実質的に本明細書で「パルス電圧源」と称されるパルス電圧の電圧源となるように、接続される電圧源を迅速にオンオフにするように構成され動作可能である。スイッチング装置は、スイッチング回路などの電子スイッチ、トランジスタ(例えば、バイポーラ、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)など)、シリコン制御整流器(SCR)、三極管交流(TRIAC)スイッチ、ダイオード交流(DIACETYL)スイッチ、リレーなどの電磁スイッチ、トグルスイッチなどの機械スイッチ、押しボタンスイッチ、ならびに物理的特性依存スイッチ(すなわち、圧力依存スイッチ、温度依存スイッチ、磁場依存スイッチ、光強度依存スイッチなどにおける圧力、温度、磁場、光強度などのさまざまな物理的特性のスイッチ)などの形態で具現化され得る。代替として、パルス電圧源のパルス電圧は、抵抗素子(例えば、抵抗器、抵抗負荷、検知抵抗器など)を通って流れる電流によって生成され、その結果、抵抗素子の電圧降下が生じる。この抵抗素子は、(例えば、シリコン(Si)MOSFET、窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)などのスイッチング装置の)『オン』状態の内部抵抗(R
S(on))を構成する。特定の実装形態によれば、検知抵抗器を通る電流フローは、検知抵抗器がスイッチング装置(すなわち、パルス電圧源)と直列接続されることにより生じる。この例示的な実装形態をさらに詳細にするために、ここで
図5をさらに参照する。
図5は、本開示の技術に係る、電圧および電流を切り替えるために使用されるトランジスタ実装スイッチにおける微分電圧電流検知のための装置100の一実装例(全体が150で示されている)の概略図である。
【0025】
図5は、装置100(
図4A)の実装例150を示しており、装置100の入力部は、この例では(一般性を失うことなく)MOSFET152として具現化されるトランジスタ実装スイッチに結合される。MOSFET152は、ゲート端子(G)、ボディ端子(B)、ドレイン端子(D)、およびソース端子(S)を含む。具体的には、装置100の入力端子114
1、114
2(
図4A)は、MOSFET152のドレイン端子およびソース端子にそれぞれ接続される。MOSFET152のドレイン端子は電圧源154に接続され、ソース端子は接地される。MOSFET152は、外部制御されたゲート-ソース間電圧(V
GS)信号(図示せず)に従って、「オフ」状態(すなわち、ドレイン端子とソース端子との間が導通していない)と「オン」状態(すなわち、ドレイン端子とソース端子との間が導通可能である)との間の(電圧制御)スイッチとして構成され動作可能である。MOSFET152のオフ状態の間、ドレイン端子とソース端子との間は導通しておらず、実際には、スイッチは開状態であり、電圧源154と接地との間に、ならびに装置100へは電流は流れない。MOSFET152のオフ状態からオン状態への遷移において、電流は、ドレイン端子とソース端子との間に流れ始め、装置100は、入力端子114
1、114
2(
図4A)を介して、入力として電圧パルス156(例えば、「高」電圧(絶対)値から「低」電圧(絶対)値への立ち上がりエッジを有する)を受信する。MOSFET152がオン状態にあるとき、オン状態は、トランジスタのタイプおよび温度などの他の要因に依存する内部抵抗(本明細書ではR
DS(on)で示される)を有することで特徴付けられる。値の典型的な例は、R
DS(on)≒1mΩである。オン状態時の内部抵抗R
DS(on)は、MOSFET152の電圧降下V
DS(on)を引き起こし、次に、装置100が電圧パルス156の立ち上がりエッジにより電圧降下V
DS(on)を検知する。同様に、MOSFET152のオン状態からオフ状態への遷移において、電流はドレイン端子とソース端子との間に流れなくなり、電圧パルス156は『高』から『低』に変わる。装置100は、電圧パルス156の立ち下がりエッジによりMOSFET152の急激な電圧降下を検知する。
図4A、
図4B、および
図4Cに関連して上述したように、パルス電圧源の電圧パルス156(
図5)は、インダクタ108の端子において対応する電圧V
d=V
L1を生成し、この電圧は、次に、電圧パルス156を示す二次インダクタ110における対応する誘導パルス電圧を誘導する。本開示の技術によれば、式(3)(ここで、V
S≡V
DS)を使用して、R
DS(on)および抵抗器112のRの値を知ることで、さらに装置100からの出力158(V
O)を測定することによって、MOSFET152を通って流れる電流Iが以下の式に従って決定される。
【数5】
ここで、R
eq(on)は、R
DS(on)、(抵抗器112の)R、およびR
L1(典型的には非常に低いインダクタ108のオーム抵抗)を含むサブ回路の等価抵抗を示す。典型的には、R
DS(on)は、約1000分1までR
eq(on)にほぼ等しい(すなわち、R
DS(on)≒R
eq(on))。 例えば、R
DS(on)=1mΩ、R=100Ω、R
L1=1Ωであれば、R
eq(on)≒0.999mΩになる。実際には、電流Iの大部分は、その比較的低い(オン)抵抗値のために、MOSFET152を通って流れる。このようにして、装置100は、パルス電圧源(この場合は、MOSFET152であるスイッチング装置)の電圧パルス156の微分電圧電流検知のために構成され動作可能である。したがって、出力電圧158はさらに、パルス電圧源(すなわち、この例では、MOSFET152であるトランジスタ実装スイッチ)を通って流れる電流を示す。
【0026】
代替構成(図示せず)では、MOSFET152は、電圧源154が検知抵抗器に接続され、パルス電圧源として構成され動作可能であるように、小さい値の検知抵抗器(図示せず)に置き換えられる。検知抵抗器は、MOSFET152の値に対応するRDS(on)の典型的な等価な値、あるいは他の値を有するように選択され得る。上記で詳述した本開示の技術と同じ原理がこの代替構成に適用される。
【0027】
したがって、本開示の技術の別の実施形態によれば、微分器の抵抗器とパルス電圧源とを結合するように構成された直流(DC)フィルタおよび高電圧(HV)プロテクタが提供される。DCフィルタおよびHVプロテクタは、例えば、コンデンサによって実装され得る。この実施形態をさらに詳細にするために、ここで
図6A、
図6B、および
図6Cを参照する。
図6Aは、本開示の技術の別の実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための装置の概略図である。
図6Bは、本開示の技術の実施形態に従って構成され動作可能である、
図6Aに示されている装置のシミュレーション回路の概略図である。
図6Cは、
図6Bのシミュレーション回路によって生成された出力電圧のプロット(全体が230で示されている)である。装置200(
図6A)は、基本的には装置100(
図4A)と同じであり、装置200内にコンデンサ204を含むことを除いて、全ての構成要素およびそれらのそれぞれの参照番号は同じである。装置200は、パルス電圧源(またはスイッチング装置)などの等価物)の微分電圧電流検知のために実装される。電圧源120および外部負荷122などの周辺要素を含む装置200は、
図6Aでは、まとめて202で示されている。コンデンサ204の一方の端子は抵抗器112に接続され、他方の端子はパルス電圧源120に接続される。コンデンサ204は、パルス電圧源信号のDC成分(すなわち、少なくとも1つの時不変DC成分)をフィルタ除去し(すなわち、遮断し)(ひいては、潜在的な変圧器飽和を回避する)、ならびに装置200に対するHV保護(ある程度まで)を行うように構成され動作可能であるDCデカップラである。微分器106は、パルス電圧源信号の時変信号成分から出力信号を効果的に生成するので、パルス電圧源信号の時不変DC成分は、コンデンサ204によってフィルタ除去され得る。パルス電圧源信号が高電圧DC成分を含む場合、コンデンサは、そのような高電圧をフィルタ除去することによって、装置200の残りの部分のHV保護を行うように構成され動作可能である。コンデンサ204の容量値は、パルス電圧源信号の特性に従って選択される。さらに、パルス電圧源120が繰り返し周期パルスを生成する場合、X
Cで表されるコンデンサ204の容量性リアクタンスは、X
C=-1/(2πfC)に従って、パルス電圧源120の周波数fに反比例し、そのリアクタンスは周波数の増加に伴って(絶対値で)減少する。したがって、コンデンサ204の所与の静電容量Cについて、fの値が高いほど、X
Cの値は低くなる。
【0028】
図6Bは、装置200(
図6A)のシミュレーション回路(全体が220で示されている)を示しており、パルス電圧源120はl1および抵抗器R5によってシミュレートされ、コンデンサ 204(
図6A)はコンデンサC1(
図6B)によってシミュレートされ、変圧器104(
図6A)は変圧器等価シミュレーションサブ回路TRF1(
図6B)によってシミュレートされ、負荷抵抗器122(
図6A)は抵抗器R3によってシミュレートされる。変圧器等価シミュレーションサブ回路は、(一次巻線108をシミュレートする)インダクタL1と、(二次インダクタ110をシミュレートする)インダクタL2と、(抵抗器112をシミュレートする)抵抗器R1と、抵抗器R2と、コンデンサC2と、変圧器104の抵抗および寄生容量をシミュレートする抵抗器R4とを含む。さらに、実際の(すなわち、非理想的な)変圧器は、結合係数(典型的には、k<1である)を示すことに留意されたい。シミュレーション回路220で使用される典型的な値を
図6Bに示す。
図6Cのプロット230は、
図6Bのシミュレーション回路によって生成される出力電圧(「V
OUT」)を示す。ピーク・トゥ・ピーク出力電圧は、約1.6ボルトであり、したがって出力部において増幅器を使用する必要がなくなる。
【0029】
出力電圧V
OUT(
図6B)は、一般に、パルス電圧源l1の入力電圧V
INの立ち上がり時間に依存する。この依存性をさらに例示するために、ここで
図6Dをさらに参照する。
図6Dは、パルス電圧源の入力電圧V
INの立ち上がり時間の関数としての
図6Bのシミュレーション回路の出力電圧V
OUTのプロット(全体が250で示されている)である。プロット250は、横軸上の時間(ナノ秒単位)の関数として、縦軸上の出力電圧(ミリボルト単位)を示す。プロット250内のデータ点は、パルス電圧l1の入力電圧V
INの立ち上がり時間の関数としての出力電圧V
OUTのかなり平坦な(すなわち、わずかな)感度または依存性を実証する。一般に、出力電圧は、(入力)パルス電圧源の立ち上がり時間の増加に伴って減少する。
図6Dに示さされているプロット例では、コンデンサC1の値は30pFであった。図示されている立ち上がり時間の範囲は、0(含まず)~300ns(すなわち、t
r=(0,300])であるが、本開示の技術の装置100(
図4A)および装置200(
図6A)は、典型的には、非常に狭い範囲の立ち上り時間、例えば、t
r=(0,100ns]を採用し得、この場合、出力電圧は、立ち上がり時間にわずかしか依存しない。
【0030】
出力電圧V
OUT(
図6B)はさらに、一般に、コンデンサ204(
図6A)またはC1(
図6B)の値に依存する。この依存性をさらに説明するために、
図6Eをさらに参照する。
図6Eは、
図6Aの装置のコンデンサの値の関数としての
図6Bのシミュレーション回路の出力電圧V
OUTのプロット(全体が260で示されている)である。プロット260は、横軸上のコンデンサC1(
図6C)の静電容量(ピコファラッド単位)の関数として、の縦軸上の出力電圧(ボルト単位)を示す。プロット260のデータ点は、一般に、コンデンサC1の容量値が増加するにつれて出力電圧が減少することを実証している。
図6Eに示されているプロット例では、パルス電圧源l1の立ち上がり時間は、t
r=100nsであった。
【0031】
本開示の技術のさらなる実施形態によれば、変圧器の一次巻線と結合された微分器が提供される。微分器は、変圧器とは別個のものである(すなわち、微分器および変圧器は共有の構成要素を有さない、つまり、構成要素に関して互いに排他的である)。この実施形態をさらに詳細に説明するために、ここで
図7を参照する。
図7は、本開示の技術のさらなる実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための装置(全体が270で示されている)の概略図である。
【0032】
装置270は、変圧器104とは別個の微分器282(すなわち、微分器282および変圧器104は、共有の構成要素を有さない)を除いて、同一の構成要素およびそれらのそれぞれの参照番号は同じであるという点において装置100(
図4A)と同様である。具体的には、装置280は、微分器282と変圧器104とを含み、微分器282は、コンデンサ284(C3)で示されている(同義で表される)少なくとも1つの容量性素子と、抵抗器286(R6)で示されている(同義で表される)少なくとも1つの抵抗素子とを含むRCタイプである。コンデンサ284の一方の端子は抵抗器286に接続され、他方の端子はパルス電圧源120に接続される。変圧器104は、一次巻線108と二次巻線110とを含む。一次巻線108は、一次巻線108が二次巻線110上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成されるように、変圧器104の二次巻線110と電磁結合される。一次巻線108は、抵抗器286に並列接続される。微分器282は、パルス電圧源120と共に閉回路を形成する。装置280は、パルス電圧源120(またはスイッチング装置などの等価物)の微分電圧電流検知のために実装される。電圧源120および外部負荷122などの周辺要素を含む装置280は、
図7では、まとめて270で示されている。
【0033】
電圧源120は、パルス化された時変(入力)信号(図示せず)を微分器282に印加するように構成され、微分器282は、パルス化された時変入力信号を受信し、それを微分して、微分信号(図示せず)を生成するように構成され動作可能である。変圧器104は、一次巻線108によって受信される微分信号をアップコンバートする(すなわち、昇圧変換する)ように構成され動作可能であり、そのことにより、VO(t)で示されている出力端子1161、1162において出力された、アップコンバートされた微分信号(図示せず)を生成する。装置280は、パルス電圧源を示す出力電圧の測定によって、出力端子1161、1162におけるアップコンバートされた微分信号の検出および測定のうちの少なくとも一方を可能にする。代替として、装置280は、出力端子1161、1162と結合された検知装置122(例えば、抵抗器RLで示されている抵抗負荷)を通る電流の検出および測定のうちの少なくとも一方を可能にする。
【0034】
したがって、本開示の技術の別の実施形態によれば、変圧器の一次巻線と共にLC回路を形成するコンデンサを有する共振回路が提供される。共振回路は、パルス電圧源と共に閉回路を形成する。変圧器の一次巻線は、誘導パルス電圧がパルス電圧源を示すように、変圧器の二次巻線上に誘導パルス電圧を誘導する。この実施形態をさらに詳細にするために、ここで
図8A、
図8B、および
図8Cを参照する。
図8Aは、本開示の技術の別の実施形態に従って構成され動作可能である、パルス電圧源の微分電圧電流検知のための共振回路を利用する装置(全体が300で示されている)の概略図である。
図8Bは、
図8Aの装置の共振回路の等価回路の基本例(全体が330で示されている)の概略図である。
図8Cは、パルス電圧源の入力時間依存パルス信号の特性プロット(全体が350で示されている)の概略図である。装置300(
図8A)は、(装置300から)抵抗器112を除外すること、および装置300(
図8A)内にコンデンサC4を含むことを除いて、装置100(
図4A)内の対応する構成要素と基本的に同じである。装置300は、パルス電圧源(またはスイッチング装置)などの等価物)の微分電圧電流検知のために実装される。
【0035】
具体的には、装置300は、変圧器304と共振回路306とを含む。変圧器304は、一次巻線308と二次巻線310とを含み、一次巻線および二次巻線は互いに電磁結合される。装置100(
図4)と同様に、一次巻線308は、N
P本の巻線を含み、第1のインダクタンスL
3(非ゼロである)を有する。装置300の二次巻線310は、N
S本の巻線を含み、第2のインダクタンスL
4(0であり得る)を有する。共振回路306は、一次巻線308に結合されたコンデンサ305で示されている少なくとも1つの(電気)容量性(静電容量 )素子を含み、そのことにより並列LC回路を形成する。したがって、共振回路306内の主要誘導構成要素は、変圧器304の一次巻線308と共通している。少なくとも1つの容量性素子は、典型的には、コンデンサの形態で具現化される。 代替として、少なくとも1つの容量性素子は、互いに結合されて(図示せず)有効コンデンサを形成する複数のコンデンサとして具現化される。装置300は、
図8Aに示されているように、入力端子314
1、314
2と出力端子316
1、316
2とをさらに含む。装置300は、入力端子314
1、314
2を介して、パルス化された外部時変電圧源320(「パルス電圧源」)(V
S(t)で表され、「オン」状態時の内部抵抗(すなわち、R
S(on))を有することで特徴付けられる)と結合されるように構成され動作可能である。共振回路306、具体的にはコンデンサ305と一次巻線308との並列結合対は、
図8Aに示されているように、パルス電圧源320と共に閉回路を形成するように構成される。一次巻線308は、以下で詳細に説明するように、誘導パルス電圧がパルス電圧源320を示すように、二次巻線310上に誘導パルス電圧を電磁誘導するように構成され動作可能である。さらに、装置300、具体的には二次インダクタ310は、出力端子316
1、316
2を介して、外部負荷322(R
L)、すなわち、電流が流れ、電流が検出および測定され得る「検知負荷」と結合されるように構成され動作可能である。電圧源320および外部負荷322などの周辺要素を含む装置300は、
図8Aでは、まとめて302で示されている。少なくとも1つの容量性素子は、コンデンサ305で示され、単一のコンデンサ、複数のコンデンサ(直列および/または並列)、または本開示の技術の原理に適合する静電容量を示す等価装置で具現化され得ることに留意されたい。
【0036】
パルス電圧源320は、パルス信号324を共振回路306に印加して、パルス電圧源320と共に閉回路を形成するように構成される。
図8Cは、パルス電圧源320の入力時間依存パルス信号の特性プロット350を示す。パルス信号324は、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを含む波形を有する時変信号である。一般性を失うことなく、パルス信号324には、本開示の技術を明らかにするために、50%のデューティサイクルを有する方形パルスが選択された。本開示の技術の原理は、異なるデューティサイクルを有する他のタイプのパルス信号(例えば、20%のデューティサイクルを有する矩形パルス)にも同様に適用可能である。
【0037】
図8Bは、装置300の共振回路306(
図8A)の等価回路330の基本モデルを示す。等価回路330は、一次巻線308(
図8A)の非ゼロのインダクタンスをモデル化するインダクタ332と、コンデンサ305(
図8A)の静電容量をモデル化するコンデンサ334と、一次巻線308の電気抵抗をモデル化する抵抗器336と、共振回路306(
図8A)の直列抵抗をモデル化する抵抗器338とを含む。抵抗器336、338は、共振回路306の実世界散逸(電気抵抗)要素を表す。
【0038】
パルス電圧源320の時間依存パルス信号324が印加された場合、インダクタ308上の結果として生じる時間依存電圧降下(全体がV
d(t)で表されている)は、一般に、
図8Bに示されている等価回路330内の構成要素の値に依存する。この依存性をさらに説明するために、
図8D、
図8E、および
図8Fをさらに参照する。
図8Dは、
図8Aの装置の共振回路の第1のモデル構成に従う、変圧器の一次巻線における時間依存電圧降下の特性プロット(全体が360で示されている)である。
図8Eは、
図8Aの装置の共振回路の第2のモデル構成に従う、変圧器の一次巻線における時間依存電圧降下の特性プロット(全体が370で示されている)である。
図8Fは、本開示の技術の実施形態に係る、
図8Aの装置の時間の関数としての出力電圧の特性プロット(全体が380で示されている)である。
【0039】
一般性を失うことなく、本開示の技術の原理を明らかにする目的で、共振回路の2つの構成例について説明する。
図8Dを参照すると、プロット360は、等価回路330(
図8B)によってモデル化されるような装置300(
図8A)の共振回路306の第1のモデル構成(例)に係る、印加された時間依存パルス信号324(
図8C)に応答した、時間の関数としての一次巻線における電圧降下(V
d1(t)で表されている)の特性波形362を示す。共振回路306の第1のモデル構成によれば、共振回路306におけるわずかな散逸効果を生じるように、抵抗器336の値は比較的小さい抵抗値(0.1Ω)を有する。構成要素の他の例示的な値は、コンデンサ334が10μFであり、インダクタ332が0.2μHであり、抵抗器338が0Ωである。印加される(周期的な)パルス信号324の周波数は、共振回路306の共振周波数f
0に一致するように選択される。共振周波数f
0は次式により求められる。
【数6】
【0040】
別の一般的な好適な代替形態によれば、L3およびC3は、周期T0=1/F0が印加される(周期的な)パルス信号324のパルス幅よりも大きくなるように選択される。一次巻線308上の最大電圧降下(Vd1maxで表されている)は、一般に、パルス電圧信号324の最大電圧(VSmaxで表されている)およびパルス電圧信号324の立ち上がり時間および立ち下がり時間などの他の要因に依存する。
【0041】
第2のモデル構成例によれば、共振回路306は、より大きな散逸効果を示し、そのことにより、抵抗器336は、共振回路306の第1のモデル例と比較して1桁大きい値(すなわち、1Ω)をとる。
図8Eは、
図8Aの装置の共振回路の第2のモデル構成に従う、変圧器の一次巻線における電圧降下の時間依存波形372の特性プロット(全体が360で示されている)の概略図である。この第2のモデル構成例では、抵抗器336の値の変化は別として、共振周波数を含む他の構成要素の値の全ては変わらない。抵抗器336のより大きな散逸効果は、一般にV
d1maxよりも小さい一次巻線308における最大電圧降下(V
d2maxで表されている)に影響を与える。
【0042】
一次巻線308(すなわち、非ゼロのインダクタンス、L3≠0を有する)を通って流れる時変電流に応答して、電磁結合二次インダクタ310を通って伝搬する変動磁場を生成するように構成され動作可能であり、変動磁場は、出力端子316
1、316
2間に時変出力電圧V’
O(t)を生成する。誘導パルス出力電圧V’
O(t)は、入力パルス電圧源V
S(t)を示す。最大出力電圧V’
Omax(すなわち、V’
Omax=max{V
O(t)})は、(理想的には)次式により求められる。
【数7】
ここで、nは変圧器304の巻数比であり、V
dmax=V
L3maxは一次巻線308の最大電圧である。したがって、最大出力電圧V’
Omaxは、インダクタ308上の電圧のn倍であり、これはパルス電圧源320の電圧を示す。
図8Fは、本開示の技術の実施形態に係る、
図8Aの装置の時間の関数としての出力電圧波形382の特性プロット(全体が380で示されている)の概略図である。二次巻線310を通って流れる電流を測定するために、装置300は、出力端子316
1、316
2を介して、例えば、検知抵抗器322の形態の検知負荷R
Lと結合するように構成され動作可能である。二次巻線310および検知抵抗器322によって形成された閉回路を通って流れる電流は、電流測定装置(図示せず)(例えば、電流検出回路、電流計など)を介して、検出および測定され得る。(
図8Fは、
図8Eおよび
図8Eに対して縮尺通りに示されていないことに留意されたい。)
【0043】
本開示の技術の装置、具体的には、装置100(
図4A)、装置200(
図6A)、装置280(
図7)、および装置300(
図8A)はそれぞれ、パルス電圧源に少なくとも関連するか、またはパルス電圧源を示すデータを生成するために、装置100、装置200、装置280、および装置300のそれぞれからの出力信号を少なくとも検知する、調整する、または修正するように構成され動作可能である、さまざまな補助出力検出測定回路および装置と共に使用されるように構成され動作可能である。ここで
図9A、
図9B、および
図9Cを参照する。
図9Aは、本開示の技術の装置と共に使用されるように構成された、補助出力検出測定比較回路の一実装例(全体が400で示されている)の概略図である。
図9Bは、本開示の技術の装置と共に使用されるように構成された、補助出力ピーク/エンベロープ検出回路の別の実装例(全体が420で示されている)の概略図である。
図9Cは、本開示の技術の装置と共に使用されるように構成された、補助出力比較器ピーク検出器のさらなる実装例(全体が440で示されている)の概略図である。
【0044】
図9Aを参照すると、実装例400は、装置100(
図4A)、装置200(
図6A)、および装置300(
図8A)(本明細書では「100/200/300」で表されている)のいずれか1つに入力されるパルス電圧源402(電圧源120(
図4A)と同様、あるいは、MOSFET152(
図5)と同様、あるいは、シャント抵抗器と同様)と、検知(負荷)抵抗器R
L404と、比較器406とを含む。パルス電圧源402は、装置100、装置200、装置280、および装置300のいずれか1つの入力部へのパルス源(または1つのパルス)となり、その出力V1
outは、それぞれの装置の前述の実施形態のパルス電圧源402を示す。
図9Aに示されているように、検知抵抗器404は、装置100、装置200、装置280、および装置300のいずれか1つの出力端子と結合され、比較器406の一方の端子は、出力端子の一方(および検知抵抗器404)と結合される。比較器406は、出力電圧V1
outを基準電圧V
ref.と比較し、V1
outとV
ref.との比較に依存する出力V1
aux-outを生成するように構成され動作可能である。例えば、V1
out>V
ref.の場合、V1
aux-out=V1
outであり、V1
out<V
ref.の場合、V1
aux-out=V
ref.である(すなわち、あるいは、V1
aux-out=0である)。代替として、比較器406は、電流間で比較するように構成され動作可能である(図示せず)。したがって、実装形態400は、装置100、装置200、装置280、および装置300のいずれか1つの出力が基準値(例えば、閾値、ユーザ選択値など)よりも大きいかまたは小さいかを示し得る。比較器406は、演算増幅器、専用の集積比較器、トランジスタを含む比較回路、集積回路(IC)などによって実装され得る。
【0045】
図9Bは、装置100、装置200、装置280、および装置300のうちの1つに入力されるパルス電圧源422(パルス電圧源402(
図9A)と同様)と、バッファ424と、ダイオード426と、コンデンサ428と、抵抗器430と、スイッチ432とを含む実装例420を示す。パルス電圧源422は、装置100、装置200、装置280、および装置300のいずれか1つの入力部へのパルス源となり、その出力V2
outは、それぞれの装置の前述の実施形態のパルス電圧源402を示す。出力V2
outは、バッファ424への入力となる。バッファ424は、ダイオード426のアノード端子に接続される。ダイオード426のカソード端子は、コンデンサ428の一方の端子に接続され、コンデンサ428の他方の端子は接地される。 スイッチ432は、抵抗器430の使用と不使用とを切り替えるように構成され動作可能である。スイッチ432が閉じられると、コンデンサ428および抵抗器430からRC回路が形成される。バッファ424は、一般に、(例えば、高入力インピーダンスレベルと低出力インピーダンスレベルと間を絶縁することによって)その出力からその入力V2
outを絶縁するように構成され動作可能である。バッファ424は、ダイオード426への入力となる出力信号(図示せず)を出力し、ダイオード426は、出力信号を整流し、その出力はコンデンサ428を充電する。スイッチ432が開いているとき、ダイオード426およびコンデンサ428は、ピーク(電圧)検出器として構成され動作可能であり、コンデンサ428がピーク電圧まで充電されたときに、出力V2
aux-outはその電圧ピークで保持される。ダイオード426は、(ダイオードに依存するダイオードの順方向電圧降下、例えば、0.6Vを考慮して)コンデンサ428が新しいピークまで充電するように順方向バイアスされたときにのみ導通する。V2
aux-outの出力電圧ピーク(カソードにおける)が入力電圧(アノードにおける)よりも大きくなると、ダイオー426は逆方向バイアスされ、コンデンサ428から入力部に向かって電流を導通せず、その結果、出力を同じ出力電圧ピーク(すなわち、ダイオードの順方向電圧降下を差し引いたもの)に保持または維持する。代替として、ダイオード426は極性が反転され、そのことにより、無分極コンデンサ428と共に負電圧ピーク検出器(図示せず)として機能する。
【0046】
スイッチ432が閉じられると、ダイオード426、コンデンサ428、および抵抗器430はエンベロープ検出器として構成され動作可能であり、その出力V2aux-outは、入力電圧(アノードにおける)が出力電圧を下回るときに、減衰時間を決定する特性RC時定数に従って減少する。逆に、入力電圧が出力電圧よりも高くなると(ダイオードの順方向電圧降下を考慮して)、ダイオード426は順方向バイアスされ、V2aux-outは増加し、その結果、入力信号のエンベロープを出力する。
【0047】
図9Cは、装置100、装置200、装置280、および装置300のうちの1つに入力されるパルス電圧源442(パルス電圧源422(
図9B)と同様)と、バッファ444と、比較器446と、スイッチ448と、コンデンサ450とを含む実装例440を示す。パルス電圧源442は、装置100、装置200、装置280、および装置300のいずれか1つの入力部へのパルス源となり、その出力V3
outは、それぞれの装置の前述の実施形態のパルス電圧源422を示す。出力V3
outは、バッファ444および比較器446の一方の端子への入力となる。比較器446の他方の端子は、基準電圧V
ref。を使用して制御される。スイッチ448が閉じられると、バッファ444の出力は、出力V3
aux-outを構成するコンデンサ450の一方の端子に接続され、コンデンサ450の他方の端子は接地される。実装形態440は、サンプルホールド(すなわち、同義では「フォローホールド」)回路(すなわち、「サンプル」モードおよび「ホールド」モードを有する)を含む。減衰時間に影響を与える抵抗器への依存性がないので、実装形態440は、実装形態420(
図9B)よりも比較的速い電圧エンベロープ追従応答を示す。サンプルモードでは、スイッチ448は閉じられ、バッファ444は、コンデンサ450を充電するか、コンデンサ450を放電するか、またはコンデンサ電圧を均一にするか、またはV3
outに比例するように一定に維持する。ホールドモードでは、スイッチ448は開いており、コンデンサ450はその電荷を保持する(すなわち、最終的に、典型的には、漏れ電流のために放電し得る)。比較器446は、電圧V3
outとV
ref.とを比較するように構成され、比較の結果(およびV
ref.の選択値)に従ってスイッチ448のスイッチング動作を制御するようにさらに構成され動作可能である。代替として、電圧アナライザ、電流アナライザ、電圧計、電流計、一般的な電圧/電流検知装置などの他の補助装置が装置100、装置200、装置280、および装置300の少なくとも1つの出力端子(図示せず)と結合され得る。
【0048】
本開示の技術の装置100、装置200、装置280、装置300は、被監視装置の短絡状態または事象を迅速に検出するために使用され得る。一般に、現代のワイドバンドギャップ半導体パワートランジスタは、シリコン(Si)対応物とは対照的に、アバランシェ動作モードに耐える能力が限られている。本開示の技術の装置100、装置200、装置280、および装置300は、非常に短い反応時間を有する保護回路に組み込まれ得、このことにより、短絡事象の場合にパワートランジスタに基づくパワー・エレクトロニクス・システムを保存および保護することが可能になる。具体的には、入力VINパルス信号の立ち上がり時間と対応する出力誘導パルス電圧信号VOUTとの間の高速応答により、出力誘導パルス電圧は、短絡状態または事象(すなわち、電流の急増(急速な増加)および対応する電圧の下降(急速な下降)で特徴付けられる)を示し得る。
【0049】
ここで
図10をさらに参照する。
図10は、本開示の技術の原理に従う、パルス電圧源の検出および測定の少なくとも一方のための方法(全体が500で示されている)の概略ブロック図である。方法500は、手順502で開始する。手順502において、パルス電圧源のパルス信号が、変圧器の巻線である誘導構成要素を有する微分器を介して微分され、そのことにより微分信号が生成される。
図4A、
図4B、および
図4Cを参照すると、パルス電圧源120(
図4A)のパルス信号V
S(t)が、変圧器104(
図4Aおよび
図4B)の巻線(一次巻線)108である誘導構成要素を有する微分器106を介して微分され、そのことにより微分信号(V
d(t))が生成される。代替的な手順(
図10には図示せず)によれば、パルス電圧源のパルス信号は、変圧器とは別個の(構成要素に関して互いに排他的である)RC回路を有する微分器を介して微分される。
図7を参照すると、微分器282は、パルス電圧源120のパルス信号を微分し、そのことにより微分信号V
d(t)を生成する。
【0050】
手順504において、微分信号は、変圧器を介してアップコンバートされ、そのことにより、アップコンバートされた微分信号が生成される。
図4A、
図4B、および
図4Cを参照すると、微分信号(V
d(t))は、変圧器104(
図4Aおよび
図4B)を介してアップコンバート(「ステップアップ」)され、そのことにより、アップコンバートされた微分信号V
O(t)(
図4A、
図4B、および
図4C)が生成される。具体的には、
図4Cは、パルス電圧源120の時間依存入力パルス信号142のプロットと共にプロットされた、時間の関数としての出力電圧V
O(t)の特性プロット(全体が144で示されている)を示す。
【0051】
手順506において、アップコンバートされた微分信号の検出および測定の少なくとも一方が行われ、この場合、アップコンバートされた微分信号は、パルス電圧源を示す。
図4A、
図4B、および
図4Cを参照すると、アップコンバートされた微分信号V
O(t)は、パルス電圧源を示す抵抗負荷122上の電圧降下を検出または測定すること、ならびにパルス電圧源を示す抵抗負荷122を通って流れる電流を検出または測定することによって、装置200の出力端子116
1、116
2に結合された外部抵抗負荷122(R
L)(すなわち、「検知負荷」、「検知抵抗器」、「抵抗負荷」、これらはすべて同義の用語である)を介して検出および測定され得る。
図9A、
図9B、および
図9Cをさらに参照すると、補助出力検出測定比較回路400(
図9A)は、パルス電圧源402を検出および測定するために使用される。代替として、補助出力ピーク/エンベロープ検出器420(
図9B)は、パルス電圧源422を検出するために使用される。さらに代替として、補助出力比較器ピーク検出器440(
図9C)が、パルス電圧源442を測定および検出するために使用される。
【0052】
当業者であれば、本開示の技術は、上記で具体的に示され説明されているものに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本開示の技術の範囲は、以下の請求項によってのみ定義される。
【国際調査報告】