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特表2022-507130シリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニット、およびシリアルバスシステムでの通信方法
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  • 特表-シリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニット、およびシリアルバスシステムでの通信方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】シリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニット、およびシリアルバスシステムでの通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/413 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
H04L12/413
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525547
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2019080866
(87)【国際公開番号】W WO2020099318
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018219292.8
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ムッター,アルトゥール
(72)【発明者】
【氏名】バルカー,シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】バフィ,ダリウス
【テーマコード(参考)】
5K032
【Fターム(参考)】
5K032AA01
5K032BA06
5K032CA07
5K032CB02
5K032DA19
5K032DB05
(57)【要約】
シリアルバスシステム(1)の加入者局(10;20;30)用のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)、およびシリアルバスシステム(1)での通信方法が提供される。エラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)は、信号(S_D)を生成するための遮蔽決定ブロック(233)であって、信号(S_D)が、バスシステム(1)のバス(40)上でのメッセージ(46)の伝送中に、メッセージ(46)の受信に基づいて加入者局(10;20;30)によって生成された送信信号(TX)がバス(40)に送信されるべきか否かを提示する、遮蔽決定ブロック(233)と、遮蔽決定ブロック(233)によって生成された信号(S_D)に応じて、バス(40)上でのエラーフレーム(47)によってバス(40)から受信されたメッセージ(46)での受信エラーを示すべき送信信号(TX)をブロックし、エラーフレーム(47)がバス(40)に送信されないようにするための送信信号選択ブロック(235)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルバスシステム(1)の加入者局(10;20;30)用のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)であって、
信号(S_D)を生成するための遮蔽決定ブロック(233)であって、前記信号(S_D)が、前記バスシステム(1)のバス(40)上でのメッセージ(46)の伝送中に、前記メッセージ(46)の受信に基づいて前記加入者局(10;20;30)によって生成された送信信号(TX)が前記バス(40)に送信されるべきか否かを提示する、遮蔽決定ブロック(233)と、
前記遮蔽決定ブロック(233)によって生成された信号(S_D)に応じて、前記バス(40)上でのエラーフレーム(47)によって前記バス(40)から受信されたメッセージ(46)での受信エラーを示すべき前記送信信号(TX)をブロックし、前記エラーフレーム(47)が前記バス(40)に送信されないようにするための送信信号選択ブロック(235)と、
を備えるエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項2】
前記バス(40)上でシリアル伝送されたメッセージ(46)の前記データフェーズ(468)を検出するためのデータフェーズ検出ブロック(231)と、
前記加入者局(10;20;30)が現在、前記メッセージ(45、46)の前記送信元であるか否かを検出するための送信元検出ブロック(232)と、を備え、
前記遮蔽決定ブロック(233)が、前記データフェーズ検出ブロック(231)の検出結果および前記送信元検出ブロック(232)の検出結果への応答として、前記信号(S_D)を生成するように構成される、
請求項1に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項3】
前記データフェーズ検出ブロック(231)が、前記データフェーズ(468)を検出するために前記バス(40)上の状態を検出するように構成される、および/または
前記データフェーズ検出ブロック(231)が、前記データフェーズ(468)を検出するために、前記バス(40)から受信されたメッセージ(46)から生成されるデジタル受信信号(RXD1)を評価するように構成される、
請求項2に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項4】
前記送信元検出ブロック(232)が、前記加入者局(10;20;30)から前記バス(40)に送信される送信信号(TX)を評価するように構成される、
請求項2または3に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項5】
前記送信元検出ブロック(232)が、前記送信信号(TX)を評価するために、前記送信信号(TX)のエッジ変化をカウントするように構成される、および/または
前記送信元検出ブロック(232)が、前記送信信号(TX)を評価するために、前記送信信号(TX)の逐次復号を実行するように構成される、および/または
前記送信元検出ブロック(232)が、前記送信信号(TX)を評価するために、前記送信信号(TX)を、前記バス(40)から受信されたメッセージ(46)から生成されるデジタル受信信号(RXD1)と比較するように構成される、
請求項4に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項6】
どの受信信号(RX)を前記エラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)が前記加入者局(10;20;30)に転送するかを決定するための受信信号決定ブロック(234)をさらに備え、
前記受信信号決定ブロック(234)が、前記加入者局(10;20;30)がエラーフレーム(47)を送信するかどうかに関する結果に応じて、および前記遮蔽決定ブロック(233)から生成された信号(S_D)に応じて決定を行うように構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項7】
送信信号(TXD2)を生成するための送信信号生成ブロック(236)をさらに備え、前記送信信号生成ブロック(236)では、前記メッセージ(46)のデータフェーズ(468)後、前記加入者局(10;20;30)で受信エラーが検出されたことが信号通知され、
前記送信信号生成ブロック(236)は、前記受信信号決定ブロック(234)によって生成された信号(TX_BL)が、前記バス(40)への前記エラーフレーム(47)の送信がブロックされたことを示す場合に、前記送信信号(TXD2)を生成し、前記バス(40)に送信するように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項8】
前記バスシステム(1)の前記加入者局(20、30)間で前記バス(40)に前記メッセージ(45;46)を伝送するための第1の通信フェーズにおいて、前記加入者局(20、30)のいずれが、後続の第2の通信フェーズで少なくとも一時的に、前記バスシステム(1)の前記バス(40)への排他的で衝突のないアクセスを有するかが交渉され、
前記第2の通信フェーズは、前記メッセージ(45;46)の使用データが前記バス(40)上で伝送されるデータフェーズ(468)である、
請求項1から7のいずれか一項に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)。
【請求項9】
前記バスシステム(1)の前記バス(40)にメッセージ(45;46)を送信するため、および/または前記バスシステム(1)の前記バス(40)からメッセージ(45;46)を受信するための通信制御デバイス(11;21;31)と、
前記バス(40)に前記メッセージ(45;46)を送信するための送信/受信デバイス(12;22;32)と、
通信制御デバイス(11;21;31)および送信/受信デバイス(12;22;32)に接続された、請求項1から8のいずれか一項に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)と、を備えるシリアルバスシステム(1)用の加入者局(10;20;30)であって、
前記送信/受信デバイス(22;32)が、第1のビットレートでの送信時に、前記メッセージ(45;46)の第1のデジタルデータ状態に関する第1のバス状態(401)を生成し、前記メッセージ(45;46)の第2のデジタルデータ状態に関する第2のバス状態(402)を生成し、前記第2のバス状態(402)が前記第1のバス状態(401)を上書きすることができるように構成され、
前記送信/受信デバイス(22;32)が、前記第1のビットレートよりも高い第2のビットレートでの送信時、異なるバス状態(401、402)を生成し、前記メッセージ(45;46)の前記異なるデジタルデータ状態に関する前記バス状態(401、402)が互いに上書き可能でないように構成され、
前記エラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)が、送信/受信デバイス(22;32)が前記第1のビットレートでの送信から前記第2のビットレートでの送信に切り替わった時、および前記第2のビットレートでの送信から前記第1のビットレートでの送信に切り替わった時を検出するように構成される、
シリアルバスシステム(1)用の加入者局(10;20;30)。
【請求項10】
バス(40)と、
前記バス(40)を介して、互いにシリアル通信することができるように相互接続された少なくとも2つの加入者局(20;30)であって、そのうちの少なくとも1つの加入者局(20;30)が請求項9による加入者局(20;30)である、少なくとも2つの加入者局(20;30)と、
を備えるバスシステム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの追加の加入者局(10)をさらに備え、前記加入者局(10)が、前記バス(40)上での前記メッセージ(45)の伝送のために、前記メッセージ(45)の第1および第2の通信フェーズにおいてバス状態(401、402)を前記バス(40)上で生成し、前記第2のバス状態(402)が前記第1のバス状態(401)を上書きすることができるようにするようにのみ構成され、
前記少なくとも1つの追加の加入者局(10)は、加入者局(10、20、30)が互いにシリアル通信することができるように、前記バス(40)を介して前記少なくとも2つの加入者局(20;30)に接続され、
前記少なくとも1つの追加の加入者局(10)が、請求項1から8のいずれか一項に記載のエラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)を有し、
請求項9に記載の少なくとも1つの加入者局(20;30)および前記少なくとも1つの追加の加入者局(10)の前記エラーフレーム遮蔽ユニット(130;230;330)は、前記遮蔽決定ブロック(233)によって生成された信号(S_D)が、現在、前記第2の通信フェーズにおいてメッセージ(46)が受信されており、そのフォーマットを、エラーに基づいて、前記加入者局(10;20;30)の通信制御デバイス(11;21;31)が理解することができないことを示すとき、および前記少なくとも1つの追加の加入者局(10;20;30)の前記通信制御デバイス(11;21;31)が、その間にエラーフレーム(47)を送信することを試みるときに、エラーフレーム(47)をブロックするように構成される、
請求項10に記載のバスシステム(1)。
【請求項12】
シリアルバスシステム(1)での通信方法であって、
送信/受信デバイス(22;32)によって、前記バスシステム(1)のバス(40)上にメッセージ(45;46)を送信するステップ、および/または送信/受信デバイス(22;32)によって、前記バスシステム(1)の前記バス(40)上からメッセージ(45;46)を受信するステップと、
遮蔽決定ブロック(233)によって信号(S_D)を生成するステップであって、前記信号(S_D)が、前記バス(40)からのメッセージ(46)の受信時に、前記メッセージ(46)の受信に基づいて前記加入者局(10;20;30)によって生成された送信信号(TX)が前記バス(40)上に送信されるべきか否かを提示する、ステップと、
送信信号選択ブロック(235)によって、前記遮蔽決定ブロック(233)によって生成された前記信号(S_D)に応じて、前記バス(40)上でのエラーフレーム(47)によって前記バス(40)から受信されたメッセージ(46)での受信エラーを示すべき前記送信信号(TX)をブロックし、エラーフレーム(47)が前記バス(40)に送信されないようにする、ステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の通信プロトコルまたは第2の通信プロトコルに選択的に従ってバスシステムでの通信が可能であり、第2の通信プロトコルに従った通信が第1の通信プロトコル、および別の物理層よりも高いビットレートで行われる、シリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニットと、シリアルバスシステムでの通信方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば車両におけるセンサと制御ユニットとの通信のためにバスシステムが使用されることが増えており、このバスシステムではCAN FDを使用したCANプロトコル仕様として規格ISO11898-1:2015でのメッセージとしてデータが伝送される。メッセージは、センサ、制御機器、送信機などのバスシステムの加入者局間で伝送される。ここで、CAN FDは現在、第一歩の導入段階にあり、ほとんどの場合、車両において、データフィールドのビットの伝送には2Mbit/sのデータビットレートで、他のすべてのビットの伝送では、特に調停フィールドのビットの伝送では、500kbit/sの調停ビットレートで使用される。
【0003】
調停フィールドの伝送でも、データフィールドの伝送でも同じ物理層が使用され、この物理層は、既知のOSIモデル(Open Systems Interconnection Model)のビット伝送層またはレイヤ1に対応する。ここで、2つのバス状態、すなわち「ドミナント」(論理またはデジタル0に対応)と「リセッシブ」(論理またはデジタル1に対応)が区別される。リセッシブバス状態はアクティブにドライブされないので、リセッシブバス状態はドミナントバス状態によって上書きされることがあり、それにより調停が可能にされる。しかし、リセッシブバス状態は、バスシステムの終端抵抗によって比較的ゆっくりと設定される。一方では、これは、より速いデータ伝送を妨げる。しかし、他方では、上記の規格ISO11898-1:2015に準拠した調停は、データフィールドの伝送中に、加入者局の1つだけがそのデータを排他的にかつ衝突なしで送信することを保証する。これにより、調停後、反復を必要とせずに、バスを介してデータをより安全に伝送可能である。全体として、これはデータ伝送の加速に寄与する。
【0004】
したがって、調停の利点を維持し、しかし伝送速度を以前よりもさらに上げるべきである場合、上記の規格ISO11898-1:2015に従って、調停での遅い伝送速度の欠点を軽減する解決策を見つけなければならない。ここで、既存のバスシステムの簡単な移行のために、さらに、既存のCANプロトコル仕様に従って動作する加入者局が、後継CANプロトコル仕様に従ってすでに通信している加入者局ともバスシステム内で共存することができることが可能にされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、前述の問題を解決する、シリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニットおよびシリアルバスシステムにおける通信方法を提供することである。特に、規格ISO11898-1:2015または後継CANプロトコル仕様に従って通信する加入者局の共存も可能である、シリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニットおよびシリアルバスシステムでの通信方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の特徴を備えたシリアルバスシステムの加入者局用のエラーフレーム遮蔽ユニットによって達成される。このエラーフレーム遮蔽ユニットは、信号を生成するための遮蔽決定ブロックであって、信号が、バスシステムのバス上でのメッセージの伝送中に、メッセージの受信に基づいて加入者局によって生成された送信信号がバスに送信されるべきか否かを提示する、遮蔽決定ブロックと、遮蔽決定ブロックによって生成された信号に応じて、バス上でのエラーフレームによってバスから受信されたメッセージでの受信エラーを示すべき送信信号をブロックし、エラーフレームがバスに送信されないようにするための送信信号選択ブロックと、を備える。
【0007】
このエラーフレーム遮蔽ユニットにより、第1の通信フェーズでは第2の加入者局と同じ通信フォーマットを使用するが、第2の通信フェーズでは第2の加入者局とは異なる通信フォーマットを使用するバスシステムの第1の加入者局が、第2の加入者局の通信を妨害しないことが可能にされる。このために、エラーフレーム遮蔽ユニットは、それ自体の加入者局のエラーフレーム(エラーフラグ)を、第2の通信フェーズとしてのデータフェーズにおいてバスから遮蔽することができる。しかし、第1の通信フェーズとしての調停フェーズでのエラーフレーム(エラーフラグ)の使用は可能である。
【0008】
したがって、第1の通信フェーズでは、CANから知られている調停を実行可能であり、しかし、第2の通信フェーズでは、CAN FDと比較して伝送速度を大幅に上げることができる。それにより、データフェーズで異なる物理層を使用する場合でも、調停フェーズでエラーフレーム(エラーフラグ)に基づいてエラーの通信を実行することができる。
【0009】
加入者局は、CAN FDで使用可能な「resビット:=1」の送信によって新たなフレームフォーマットに切り替えることができ、その後、エラーフレーム遮蔽ユニットに基づいて、エラー時に、新たなフレームフォーマットでの通信がバス上でのエラーフレーム(エラーフラグ)によって妨害されないことを可能にする。
【0010】
CAN FD通信プロトコルに従って動作する加入者局とCAN FD後継通信プロトコルに従って動作する加入者局(以下、CAN NGと呼ぶ)との共存および相互運用性により、CAN FDからCAN NGへのシームレスな移行経路が可能になる。したがって、CAN FDのみを引き続き使用するべきバスシステムの個々の加入者局には、上述したエラーフレーム遮蔽ユニットを後付けすることができ、CAN FDフレームも送信および受信することができるCAN NG加入者局には、始めからエラーフレーム遮蔽ユニットを装備することができる。したがって、CAN FDバスシステムとCAN NGバスシステムとの間にゲートウェイは必要ない。
【0011】
エラーフレーム遮蔽ユニットの有利なさらなる形態は、従属請求項に記載されている。
【0012】
前述したエラーフレーム遮蔽ユニットは、特別な変形形態によれば、バス上でシリアル伝送されたメッセージのデータフェーズを検出するためのデータフェーズ検出ブロックと、加入者局が現在、メッセージの送信元であるか否かを検出するための送信元検出ブロックと、を備え、遮蔽決定ブロックが、データフェーズ検出ブロックの検出結果および送信元検出ブロックの検出結果への応答として、信号を生成するように構成される。
【0013】
1つのオプションによれば、データフェーズ検出ブロックは、データフェーズを検出するためにバス上の状態を検出するように構成される。別のオプションによれば、データフェーズ検出ブロックは、データフェーズを検出するために、バスから受信されたメッセージから生成されるデジタル受信信号を評価するように構成される。
【0014】
場合によっては、送信元検出ブロックは、加入者局からバスに送信される送信信号を評価するように構成される。ここで、送信元検出ブロックは、送信信号を評価するために、送信信号のエッジ変化をカウントするように構成することができる。代替または追加として、送信元検出ブロックは、送信信号を評価するために、送信信号の逐次復号を実行するように構成することができる。代替または追加として、送信元検出ブロックは、送信信号を評価するために、送信信号を、バスから受信したメッセージから生成されるデジタル受信信号と比較するように構成することができる。
【0015】
エラーフレーム遮蔽ユニットは、どの受信信号をエラーフレーム遮蔽ユニットがそれ自体の加入者局に転送するかを決定するための受信信号決定ブロックをさらに備えることが考えられ、受信信号決定ブロックは、加入者局がエラーフレームを送信するかどうかに関する結果に応じて、および遮蔽決定ブロックから生成された信号に応じて決定を行うように構成される。
【0016】
特別な変形例によれば、送信信号を生成するための送信信号生成ブロックをさらに備え、この送信信号生成ブロックでは、メッセージのデータフェーズ後、加入者局で受信エラーが検出されたことが信号通知され、送信信号生成ブロックは、受信信号決定ブロックによって生成された信号が、バスへのエラーフレームの送信がブロックされたことを示す場合に、送信信号を生成し、バスに送信するように構成される。
【0017】
場合によっては、バスシステムの加入者局間でバスにメッセージを伝送するための第1の通信フェーズにおいて、加入者局のいずれが、後続の第2の通信フェーズで少なくとも一時的に、バスシステムのバスへの排他的で衝突のないアクセスを有するかが交渉され、第2の通信フェーズは、メッセージの使用データがバス上で伝送されるデータフェーズである。
【0018】
上述したエラーフレーム遮蔽ユニットは、シリアルバスシステム用の加入者局の一部でよく、加入者局は、バスシステムのバスにメッセージを送信するため、および/またはバスシステムのバスからメッセージを受信するための通信制御デバイスと、
バスにメッセージを送信するための送信/受信デバイスと、をさらに備え、
エラーフレーム遮蔽ユニットが、通信制御デバイスおよび送信/受信デバイスに接続され、
送信/受信デバイスが、第1のビットレートでの送信時に、メッセージの第1のデジタルデータ状態に関する第1のバス状態を生成し、メッセージの第2のデジタルデータ状態に関する第2のバス状態を生成し、第2のバス状態が第1のバス状態を上書きすることができるように構成され、
送信/受信デバイスが、第1のビットレートよりも高い第2のビットレートでの送信時、異なるバス状態を生成し、メッセージの異なるデジタルデータ状態に関するバス状態が互いに上書き可能でないように構成され、
エラーフレーム遮蔽ユニットが、送信/受信デバイスが第1のビットレートでの送信から第2のビットレートでの送信に切り替わった時、および第2のビットレートでの送信から第1のビットレートでの送信に切り替わった時を検出するように構成される。
【0019】
上述した少なくとも2つの加入者局は、さらにバスを有するバスシステムの一部でよく、したがって、少なくとも2つの加入者局は、互いにシリアル通信することができるようにバスを介して相互接続される。この場合、少なくとも2つの加入者局のうちの少なくとも1つは、前述の加入者局である。
【0020】
前述したバスシステムは、場合により、少なくとも1つの追加の加入者局をさらに備え、加入者局が、バス上でのメッセージの伝送のために、メッセージの第1および第2の通信フェーズにおいてバス状態をバス上で生成し、第2のバス状態が第1のバス状態を上書きすることができるようにするようにのみ構成され、
少なくとも1つの追加の加入者局は、加入者局が互いにシリアル通信することができるように、バスを介して少なくとも2つの加入者局に接続され、
少なくとも1つの追加の加入者局が、上述したエラーフレーム遮蔽ユニットを有し、
上述した少なくとも1つの加入者局および少なくとも1つの追加の加入者局のエラーフレーム遮蔽ユニットは、遮蔽決定ブロックによって生成された信号が、現在、第2の通信フェーズにおいてメッセージが受信されており、そのフォーマットを、エラーに基づいて加入者局の通信制御デバイスが理解することができないことを示すとき、および少なくとも1つの追加の加入者局の通信制御デバイスが、その間にエラーフレームを送信することを試みるときに、エラーフレームをブロックするように構成される。
【0021】
上述した目的は、さらに、請求項12に記載のシリアルバスシステムにおける通信方法によっても達成される。この方法は、送信/受信デバイスによって、バスシステムのバス上にメッセージを送信するステップ、および/または送信/受信デバイスによって、バスシステムのバス上からメッセージを受信するステップと、
遮蔽決定ブロックによって信号を生成するステップであって、信号が、バスからのメッセージの受信時に、メッセージの受信に基づいて加入者局によって生成された送信信号がバス上に送信されるべきか否かを提示する、ステップと、
送信信号選択ブロックによって、遮蔽決定ブロックによって生成された信号に応じて、バス上でのエラーフレームによってバスから受信されたメッセージでの受信エラーを示すべき送信信号をブロックし、エラーフレームがバスに送信されないようにする、ステップと、を含む。
【0022】
この方法は、加入者局に関して前に述べたものと同様の利点を提供する。
【0023】
本発明のさらなる可能な実装形態は、例示的実施形態に関して上述または後述する特徴または実施形態の明示的に言及されていない組合せも含む。ここでまた、本発明のそれぞれの基本形態に対する改良または補完として個別の態様を当業者は付け加えることができるであろう。
【0024】
以下、添付図面を参照し、例示的実施形態に基づいて、本発明を以下でより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態によるバスシステムの簡略化されたブロック図である。
図2】第1の実施形態に従ってバスシステムの加入者局によって送信することができるメッセージの構造を説明するための図である。
図3】第1の実施形態に従ってバスシステムの加入者局に設置されるエラーフレーム遮蔽ユニットの構造を説明するための図である。
図4】第1の実施形態によるバスシステムの動作中に送信される様々な信号の信号タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図中、特に指定がない限り、同一または機能的に同一の要素には同じ参照記号が付されている。
【0027】
図1は、例としてバスシステム1を示し、バスシステム1は、特に、基本的には、以下に述べるように、CANバスシステム、CAN FDバスシステム、CAN FD後継バスシステム(CAN NGバスシステムとも呼ぶ)、および/またはそれらの変形システムのために構成される。バスシステム1は、特に自動車や飛行機などの車両、または病院などで使用することができる。
【0028】
図1では、バスシステム1は、多数の加入者局10、20、30を有し、それぞれが、第1のバスワイヤ41および第2のバスワイヤ42を有するバス40に接続されている。バス40は、その両端が終端抵抗50で終端されている。バスワイヤ41、42は、CAN_HおよびCAN_Lとも呼ぶことができ、送信状態でTX信号を使用して、ドミナントレベルもしくは状態401のカップリング後、またはリセッシブレベルもしくは状態402の生成もしくは能動ドライブ後の電気信号伝送のために使用される。状態401、402は、加入者局20にのみ、非常に概略的に示されている。状態401、402は、送信元加入者局10、20、30のTX信号の状態に対応する。バスワイヤ41、42での信号CAN_HおよびCAN_Lの伝送後、それらの信号は、RX信号として加入者局10、20、30によって受信される。バス40を介して、信号CAN_HおよびCAN_Lの形式でのメッセージ45、46を個々の加入者局10、20、30間でシリアル伝送可能である。図1のギザギザの黒いブロック矢印によって示されるように、バス40上での通信中にエラーが発生した場合、エラーフレーム47(エラーフラグ)を送信することができる。加入者局10、20、30は、例えば自動車の制御機器、センサ、表示装置などである。
【0029】
図1に示されるように、加入者局10は、通信制御デバイス11と、送信/受信ユニット120およびエラーフレーム遮蔽ユニット130を備えた送信/受信デバイス12とを有する。それに対し、加入者局20は、通信制御デバイス21と、送信/受信ユニット220およびエラーフレーム遮蔽ユニット230を備えた送信/受信デバイス22とを有する。加入者局30は、通信制御デバイス31と、送信/受信ユニット320およびエラーフレーム遮蔽ユニット330を備えた送信/受信デバイス32とを有する。加入者局10、20、30の送信/受信デバイス12、22、32は、図1には図示されていないが、それぞれバス40に直接接続されている。
【0030】
通信制御デバイス11、21、31はそれぞれ、それぞれの加入者局10、20、30と、バス40に接続されている加入者局10、20、30のうちの別の加入者局とのバス40を介した通信を制御する働きをする。
【0031】
通信制御デバイス11は、従来のCAN FDコントローラのように設計することができる。通信制御デバイス11は、例えばCAN FDメッセージである第1のメッセージ45の作成および読取りを行う。CAN FDメッセージ45は、CAN FDフォーマットに従って構成され、このフォーマットでは、最大64データバイト数を含めることができ、これらのデータバイトは、従来型CANメッセージよりもかなり高速に、したがってより高いデータレートで伝送される。送信/受信デバイス12は、エラーフレーム遮蔽ユニット130に関する以下に述べる相違を除いて、従来のCAN FDトランシーバと同様に設計することができる。
【0032】
各通信制御デバイス21、31は、第1のメッセージ45または第2のメッセージ46の作成および/または読取りを行う。第2のメッセージ46は、CAN NGフォーマットに基づいて構成され、CAN NGフォーマットについては以下でより詳細に述べる。各送信/受信デバイス22、32は、CAN送信/受信ユニット220、320を有し、CAN送信/受信ユニット220、320は、必要に応じて、CAN FDフォーマットでの前述した第1のメッセージ45の1つ、またはCAN NGフォーマットに従う第2のメッセージ46を、関連する通信制御デバイス21、31に提供する、またはそこから受信することができる。さらに、以下でより正確に述べるエラーフレーム遮蔽ユニット230、330が含まれる。
【0033】
どちらの加入者局20、30によっても、CAN NGフォーマットでのメッセージ46の形成および伝送、ならびにそのようなメッセージ46の受信を実現可能である。
【0034】
図2は、メッセージ46に関してCAN NGフレーム460を示す。CAN NGフレーム460は、送信/受信デバイス22または送信/受信デバイス32によって、TX信号により差分信号としてバス40に送信されるか、またはバスから受信され、そこからRX信号が生成される。CAN NGフレーム460は、バス40上でのCAN通信に関して様々なフィールド、すなわち開始フィールド461、調停フィールド462、制御フィールド463、データフィールド464、チェックサムフィールド465、および終了フィールド466に分割される。第1のメッセージ45に関するフレームは、以下で述べる制御フィールド463の相違を除いて、フレーム460と同様に構成される。データフェーズ468は、制御フィールド463の特定のビットの後に始まり、この特定のビットによって、調停フェーズからデータフェーズ468に切り替えられる。したがって、データフェーズ468は、制御フィールド463の一部およびデータフィールド464、ならびにチェックサムフィールド465を含む。フレーム460の他のすべてのフィールドは、調停フェーズ467の一部である。
【0035】
開始フィールド461は、例えばSOFビットとも呼ばれ、フレームの開始(Start of Frame)を示すビットを有する。調停フィールド462には、メッセージの送信元を識別するための例えば32ビットを有する識別子が含まれる。調停フィールド462は、1つまたは複数のビットからなるプロトコルフォーマット情報をさらに含むことができ、プロトコルフォーマット情報は、CAN NGフレームをCANフレームまたはCAN FDフレームから区別するのに適している。しかし、以下の説明では、CAN NGフレーム(第2のメッセージ46)が、FDFビットまでCAN FD(第1のメッセージ45)でのフレームフォーマットと同じであると仮定する。
【0036】
制御フィールド463は、1つまたは複数のビットからなるプロトコルフォーマット情報を有し、このプロトコルフォーマット情報は、上述したものであり、CAN NGフレームを従来型CANフレームまたはCAN FDフレームから区別するのに適している。制御フィールド463には、例えば12ビット長のデータ長コード(Data-Length-Code)が含まれており、このデータ長コードは、例えば、1ずつ増分して1~4096の値を取ることができ、あるいは0~4095の値を取ることができる。あるいは、データ長コードは、より少ないまたはより多いビットを含むことができ、値範囲および増分は、他の値を取ることができる。
【0037】
データフィールド464には、CAN NGフレームまたはメッセージ46の使用データが含まれている。使用データは、例えば、データ長コードの値範囲に応じて、最大64バイトもしくは4096バイトまたは任意の他のバイト数を有することができる。
チェックサムフィールド465には、スタッフビットを含む、データフィールド464内のデータに関するチェックサムが含まれており、チェックサムは、メッセージ46の送信元によって、例えばそれぞれ5または10の同一のビットの後に逆ビットとして挿入される。
【0038】
終了フィールド466には、少なくとも1つの肯定応答ビットおよび1つの否定応答ビットが含まれることがあり、さらに、CAN NGフレーム460の終了Eを示す同一の11ビットのシーケンスが含まれることがある。少なくとも1つの肯定応答ビットによって、送信元加入者局は、受信されたCAN NGフレーム460またはメッセージ46を受信先が正しく受信した旨の通知を受けることができ、否定応答ビットによって、送信元加入者局は、受信されたCAN NGフレーム460またはメッセージ46において受信先がエラー(受信エラーとも呼ぶことがある)を発見したか否かについて通知を受けることができる。
【0039】
調停フェーズ467では、従来型CANおよびCAN FDと同様に物理層が使用される。このフェーズ中の重要な点は、既知のCSMA/CR法が使用されることであり、CSMA/CR法は、より優先度の高いメッセージ45、46が妨害されることなく、バス40への加入者局10、20、30の同時アクセスを許す。それにより、バスシステム1にさらなるバス加入者局10、20、30を比較的容易に追加することができ、通信帯域幅が非常に効率的に使用され、これは非常に有利である。
【0040】
CSMA/CR法により、バス40上にいわゆるリセッシブ状態402が存在する必要があり、リセッシブ状態402は、他の加入者局10、20、30がバス40上でドミナント状態401によって上書きすることができる。リセッシブ状態402では、個々の加入者局10、20、30で高抵抗挙動が生じており、これは、バス回路の寄生と組み合わさって、より長い時定数をもたらす。これにより、今日のCAN FD物理層の最大ビットレートは、実際の車両での使用では現在約2メガビット/秒に制限されている。
【0041】
制御フィールド463およびデータフィールド464は、加入者局20または加入者局30が送信元として調停に勝ち、それにより、加入者局20が送信元として、フィールド463~466の送信のためにバスシステム1のバス40への排他的アクセスを有するときに、メッセージ46の送信元からバス40に送信される。調停中、調停フィールド462での識別子により、ビットごとに、加入者局10、20、30の間で、どの加入者局10、20、30がメッセージ45、46を最高の優先度で送信することを許可され、したがって後続の時間に関して、フィールド463~465を送信するためにバスシステム1のバス40への排他的アクセスを得るかが交渉される。
【0042】
フレーム460またはメッセージ45、46の開始時の調停、およびフレーム460またはメッセージ45、46の終了E時の終了フィールド466での肯定応答は、ビット時間が、バスシステム1の任意の2つの加入者局10、20、30間の信号通過時間の2倍を明らかに超えるときにのみ可能である。したがって、調停フェーズ467でのビットレートは、フィールド461、462、463の一部、および466の伝送時には、フレーム460の残りのフィールドにおけるよりもゆっくり、したがって低く選択される。特に、実際には、調停フェーズでのビットレートは500kbit/sとして選択され、したがって約2μsのビット時間となり、一方、データフェーズ468でのビットレートは、例えば5~8Mbit/s以上として選択され、したがって0.2ps以下のビット時間となる。したがって、調停フェーズ467での信号のビット時間は、データフェーズ468での信号のビット時間の例えば4または10倍である。ビット時間に関するこの倍数は、任意に選択可能である。
【0043】
各加入者局10、20、30は、CAN FDフレームを送信および受信することができるが、加入者局10は、CAN NGフレーム460を送信または受信することができない。例えば、CAN FD加入者局10が理解することができないCAN NGフレーム460を加入者局20が送信した場合、CAN FD加入者局10ではエラーフレーム遮蔽ユニット230がアクティブになり、したがってバスシステム1での通信は妨害されない。これはまた、エラーフレーム遮蔽ユニット230が、resビットでのローカルビットエラーの際に、送信されるエラーフレーム47を遮蔽することができることも含む。なぜなら、加入者局10、20、30(NG、FD)の1つが、それがCAN FDフレーム(メッセージ45)であると誤ってみなし、したがって、数ビット後に、受信されて誤ってCAN FDフレーム450とみなされたフレームにおいてエラー、例えばスタッフィングエラーを確定するからである。その結果、加入者局10、20、30によって実行される方法は、CAN FDプロトコルに従ってメッセージを送信し、CAN NGフレーム460を理解する少なくとも1つのCAN FD加入者局もバスシステムに存在することを可能にする。
【0044】
新しい代替フレームフォーマット(Frame Format)、すなわちCAN NGメッセージ46のフレーム460では、制御フィールド463でのresビットによって、CAN FDフレームフォーマット(Frame Format)からCAN NGフレームフォーマットに切り替えられる。ここで、CAN FDとCAN NGのフレームフォーマットは、resビットまでは同じである。したがって、加入者局20、30はそれぞれCAN FDもサポートする。次に、別の物理層に切り替えることができ、この物理層は、前の調停フェーズ467よりも高いビットレートを可能にする。したがって、第1の物理層で、第1のバス状態401は、メッセージ46の第1のデジタルデータ状態に関して生成され、第2のバス状態402は、メッセージ46の第2のデジタルデータ状態に関して生成され、第1のバス状態401が第2のバス状態402を上書きすることができ、すなわちドミナントバス状態がリセッシブバス状態を上書きすることができる。変形形態によれば、メッセージ46の異なるデジタルデータ状態に関するバス状態401、402が互いに上書きすることができないように、第2の物理層で異なるバス状態401、402を生成することができる。したがって、第2の物理層にはドミナントおよびリセッシブバス状態がない。
【0045】
CAN FDプロトコルでは、resビットが新しいフォーマットのためにすでに確保されている。ここで、res=0は、CAN FDフレームフォーマットを識別する。それに対し、res=1は、CAN NGによって使用される新たな代替フレームフォーマット460を識別する。加入者局10がres=1を認識した場合、受動的な待機状態に対応するプロトコル例外状態(Protocol Exception State)に移行する。この待機状態は、そのような加入者局10が連続する11個のリセッシブビットを検知したときに終了される。
【0046】
resビットでの送信信号TXまたはTX信号のエラー時、図1に示されるように、TX信号を送信する加入者局20、30またはTX加入者局は、エラーフレーム47(エラーフラグ)を送信し、フレーム460に従って代替フォーマットに切り替えない。受信加入者局10、20、30またはRX加入者局における受信信号RXまたはRX信号のエラーに基づく生じ得るエラー反応の処理は、エラーフレーム遮蔽ユニット130、230、330によって行われる。これは、以下で、図3および図4に基づいて述べる。
【0047】
したがって、エラーフレーム遮蔽ユニット130、230、330は、加入者局10、20、30がバスシステム1内で共存することができることを可能にする。なぜなら、CAN NGフレーム460のフォーマットへの切替えを検出しなかった加入者局10、20、30が、送信されたCAN NGフレーム460のデータフェーズ468を妨害し得ないからである。特に、TXノードまたはTX加入者の一部であるCAN NGフレーム460の送信元の送信/受信デバイスと、エラーフレーム47を送信し、RXノードまたはRX加入者局の一部である送信/受信デバイスとが互いにドライブするとき、CAN NGフレームのデータフェーズ中にエラーフレーム47が「短絡」をトリガすることはあり得ない。
【0048】
ごく一般に、CAN NGを用いるバスシステム1では、CAN FDと比較して、以下の異なる特性を実現することができる。
【0049】
a)CAN FDのロバスト性とユーザフレンドリに寄与する実証済みの特性、特にCSMA/CR法による識別子および調停を備えたフレーム構造の採用、および必要に応じた適合。
b)正味データ転送速度の大幅な向上。
c)CAN NGは、データフェーズ468では、CAN FDとは異なる物理層を使用する。例えば、両方のバス状態がアクティブにドライブされ、データフェーズ468中にエラーフレーム(エラーフラグ)が提供されない物理層を使用する。CAN NGに関してそのような物理層を用いることで、CAN FDよりもかなり高いビットレートを達成することができる。
【0050】
図3は、例として、送信/受信デバイス22内のエラーフレーム遮蔽ユニット230の構造を示す。エラーフレーム遮蔽ユニット130、330も同様に設計され、したがって、以下の説明は、エラーフレーム遮蔽ユニット130、330にも当てはまる。
【0051】
送信/受信デバイス22は送信/受信ユニット220を有し、送信/受信ユニット220は、バス40に関して、CAN FDメッセージ45とCAN NGメッセージ46との異なるフェーズに適切な物理層を提供するように構成されている。さらに、送信/受信ユニット220は、バス40から、CAN FDメッセージ45を受信し、CAN NGメッセージ46を受信するように構成されている。送信/受信ユニット220は、それぞれ、CAN FDメッセージ45の送信および/または受信と、CAN NGメッセージ46の送信および/または受信とを切り替えることができる。送信/受信ユニット220は、信号CAN_HおよびCAN_Lを受信するためにバスワイヤ41、42に接続され、エラーフレーム遮蔽ユニット230につながれている。
【0052】
エラーフレーム遮蔽ユニット230において、送信信号TXDとも呼ばれるデジタルTX信号が通信制御デバイス21から受信され、デジタルTXD1信号として送信/受信ユニット220に出力される。入力信号S_Dを考慮して、送信/受信ユニット220は、メッセージ45、46の異なる通信フェーズ、すなわち調停フェーズ467またはデータフェーズ468に関して、それぞれ使用される物理層でTXD1信号を符号化する。同時に、送信/受信ユニット220は、バス40上の状態、すなわちバスワイヤ41、42上の信号CAN_H、CAN_Lを復号し、その結果をデジタルRXD1信号としてエラーフレーム遮蔽ユニット230に転送する。以下で述べるように、エラーフレーム遮蔽ユニット230は、RXD1信号からデジタルRX信号(受信信号RXDとも呼ぶ)を生成する。
【0053】
代替または追加として、送信/受信ユニット220は、通信制御デバイス21からのTX_Enable信号を考慮して、異なる通信フェーズ467、468に関して、それぞれ使用される物理層上でTXD1信号を符号化することが可能である。
【0054】
CAN NG物理層が、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468で2つのバス状態401、402がドライブされるようなものである場合、送信/受信ユニット220は、信号S_Dが設定されている間(S_D=「1」)、バス40がドライブされてはならず、例えば高抵抗でなければならないと推測する。
【0055】
エラーフレーム遮蔽ユニット230は、データフェーズ検出ブロック231、送信元検出ブロック232、遮蔽決定ブロック233、受信信号決定ブロック234、第1の送信信号選択ブロック235、送信信号生成ブロック236、第2の送信信号選択ブロック237、および受信信号選択ブロック238を有する。送信信号生成ブロック236は任意選択であるので、送信信号生成ブロック236と、エラーフレーム遮蔽ユニット230内で送信信号生成ブロック236を接続する導線とは破線で示されている。
【0056】
データフェーズ検出ブロック231は、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468を検出または検知する。データフェーズ検出ブロック231は、デジタル信号NG_DPを用いて、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468でのフレーム伝送があるかどうかを信号通知する。ここで、例えば、CAN NGフレームの伝送が現在データフェーズ468であるときには、NG_DP:=1が適用され、そうでない場合には、NG_DP:=0が適用される。
【0057】
このために、データフェーズ検出ブロック231は、データフェーズ468が現在生じているかどうかを判断するために、信号CAN_HおよびCAN_Lを使用する。CAN NGは、データフェーズ468に関して、調停フェーズ467とは異なる物理層を使用するので、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468において、CAN FDメッセージ45のデータフェーズ468とは異なるCAN_HとCAN_Lとの差動電圧が生じる。したがって、データフェーズ検出ブロック231は、使用される物理層に基づいて、CAN NGフレーム460の伝送がデータフェーズ468にあるかどうかを認識する。
【0058】
さらに、データフェーズ検出ブロック231は、信号RXD1を使用する。このために、データフェーズ検出ブロック231は、非常に単純化されたCAN NG通信制御デバイス2311を有する。CAN NG通信制御デバイス2311は、送信/受信ユニット220からの信号RXD1を観察し、それにより、データフェーズ468がいつ始まり、データフェーズ468がいつ終わるかを正確に予測することができる。データフェーズ468の終了は、伝送されたバイト数に依存する。データフィールド464での使用データバイト数は、データ長フィールドでのデータフェーズ468の開始時に符号化される。したがって、データフェーズ検出ブロック231は、ビットをカウントすることによってデータフェーズ468の終了を決定することができる。
【0059】
信号RXD1およびバス信号CAN_H、CAN_Lからの2つの検出結果を組み合わせることにより、データフェーズ検出ブロック231が常に多数決またはAND決定を行うことが可能である。すなわち、現在データフェーズ468であることを両方の検出結果が示すときにのみ、データフェーズ検出ブロック231は、信号NG_DB=1を設定する。
【0060】
しかし、最も保守的であり、したがって最も安全なのは、信号RXD1およびバス信号CAN_H、CAN_Lからの検出結果の1つが、データフェーズ468であることを示すとすぐに、データフェーズ検出ブロック231がこれを真とみなすという代替の可能性である。
【0061】
データフェーズ468を検出するための変形形態として、信号RXD1およびバス信号CAN_H、CAN_Lからの2つの検出結果の組合せは、バス40での妨害に関して非常にロバストである。そのような妨害において、RXD1データストリームでのビットエラーは、放射により、データフェーズ検出ブロック231内の通信制御デバイス2311に、フレーム460が実際よりも短い、またはCAN FDメッセージ45が伝送されると思わせることがあり得る。
【0062】
任意選択で、信号NG_DPは、図3に破線で示されるように、通信制御デバイス21に転送される。信号NG_DPにより、例えば、通信制御デバイス21または加入者局20のソフトウェアは、例えばバス40がそのように長くブロックされている理由、すなわちCAN NGフレーム460がバス40を現在占有していることを理解することができる。
【0063】
送信元検出ブロック232は、加入者局20が現在メッセージ45、46の送信元であるか否かを検出または検知する。結果として、送信元検出ブロック232は、信号TX_NDを用いて、加入者局20が現在送信しているか否かを信号通知する。例えば、加入者局20が現在送信しているときには、TX_ND:=1が適用される。そうでない場合には、TX_ND:=0が適用される。
【0064】
ここで、送信元検出ブロック232は、通信制御部21が提供する信号TXを観察し、例えば、所定の期間T内の信号TXのエッジ変化の数をカウントする。所定の期間T内に0よりも大きいエッジ変化が生じた場合、送信元検出ブロック232は、加入者局20、すなわちそれ自体の加入者局が現在送信していると判断する。この情報を妥当性検査するために、送信元検出ブロック232は、任意選択で、所定の期間T内の信号RXD1でのエッジ変化の数をカウントすることができる。信号TX、RXD1におけるエッジ変化の数が同様であり、少なくとも1つの値>0を有する場合、送信元検出ブロック232は、加入者局20が現在送信していると判断する。
【0065】
あるいは、送信元検出ブロック232は、検出または検知を実行するためにカウンタとして構成することができる。特に、送信信号TXのエッジによって増分され、受信信号RXのエッジによって減分されるカウンタを使用することができる。カウンタの値が負の場合、送信元検出ブロック232は、加入者局20が現在送信していないと判断する。そうでない場合には、送信元検出ブロック232は、加入者局20が現在送信していると判断する。2つのメッセージ45、46の間に、送信元検出ブロック232は、カウンタをリセットする。
【0066】
遮蔽決定ブロック233は、加入者局20、すなわちそれ自体の加入者局のTX信号がブロックされるべきか否か、すなわちバス40に送信されないかどうかを判断する。遮蔽決定ブロック233は信号S_Dを生成し、それ自体の加入者局がエラーフレーム47を送信する場合に、エラーフレーム47のブロックまたは遮蔽が行われるべきかどうかを信号通知する。遮蔽決定ブロック233は、このために入力信号TX_NDおよびNG_DPを処理する。例えば、S_D:=「1」は、エラーフレーム47をブロックすべきであることを意味する。そうでない場合は、エラーフレーム47をブロックすべきでないとみなされる。信号NG_DPが設定されており、すなわちCAN NGフレーム460のデータフェーズ468が現在生じており、信号TX_NDが設定されていない、すなわちそれ自体の加入者局が現在送信元ではない場合、遮蔽決定ブロック233は、信号S_Dを設定し、したがって送信信号TXがブロックされる。
【0067】
信号S_Dが設定されている、すなわち送信信号TXがブロックされるべきである場合、第1の送信信号選択ブロック235は、送信信号TXが転送されないように切り替えられる。送信信号TXの代わりに、ニュートラルな「1」が転送され、選択ブロック235に入力される。第1の送信信号選択ブロック235は、マルチプレクサとして構成することができる。加入者局20がバス40からのメッセージ46の受信先のみであるとき、すなわちメッセージ46の送信元として機能しないとき、CAN NGフレーム46のデータフェーズ468の送信中に加入者局20がバス40を休止状態にするように、信号S_Dは、送信/受信ユニット220にも転送される。
【0068】
受信信号決定ブロック234は、加入者局20、すなわちそれ自体の加入者局が信号RXD1を介してどの受信信号RXを受け取るかを決定する。信号S_Dが設定され、すなわちCAN NGフレーム460のデータフェーズ468が送信され、信号TX_NDが設定されず、すなわちそれ自体の加入者局が現在送信元ではなく、その間に信号TXが値「0」を取る、すなわちエラーフレーム47が送信される場合、受信信号選択ブロック238は、信号RXswによって、信号RXD2が受信信号決定ブロック234から加入者局20、すなわちそれ自体の加入者局に渡されるように切り替えられる。
【0069】
信号S_D=「1」に関して、送信信号TXが値「0」を取る場合、信号RXD2は「0」に設定され、信号RXswは、受信信号選択ブロック238が信号RXD2を信号RXとして通信制御デバイス21に転送するように設定される。
【0070】
送信信号TXが再び値「1」を取る場合、これは、信号RXswおよびRXD2には影響しない。信号S_Dが値「0」を取る、すなわち設定されなくなると、信号RXD2が「1」にリセットされ、信号RXswがリセットされ、したがって、受信信号選択ブロック238は、再び信号RXとして信号RXD1に切り替える。
【0071】
任意選択で、受信信号決定ブロック234は、それ自体のCAN NG通信制御デバイス21に、そのエラーフレーム47がブロックされたことをさらに信号通知することができる。これは、追加信号によって、例えば1ビット幅の信号TX_BLによって行うことができる。あるいは、そのエラーフレーム47がブロックされたという信号通知は、シリアルペリフェラルインターフェース(SPIインターフェース)を介して通信することができる。信号TX_BLは、例えば、信号RXD2から以下のように決定することができる:TX_BL:=not(RXD2)。加入者局20は、負のフィードバックの場合、すなわちエラーフレーム47がブロックされた場合、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468中に加入者局20、より正確には通信制御デバイス21が何らかの送信を行ったことを通知される。
【0072】
すべての他の場合において、信号RXD1は、送信/受信ユニット220から受信信号選択ブロック238を介して加入者局20の通信制御デバイス21に渡される。このような他の場合とは、一方では、信号S_D=「0」であり、すなわち設定されておらず、信号TXが任意の値を有するときであり、他方では、信号S_D=「1」であり、すなわち設定されており、信号TX=「1」であるときである。
【0073】
任意選択で、送信信号生成ブロック236および送信信号選択ブロック237が利用可能である。送信信号選択ブロック237は、マルチプレクサとして設計することができる。
【0074】
送信信号生成ブロック236は、加入者局20が受信エラーを有するかどうかをバス40上で信号通信するように構成される。送信信号生成ブロック236は、信号S_DおよびTX_BLを入力信号として使用して、受信エラーの有無を判断する。信号S_Dも設定される間、信号TX_BLが設定されると、送信信号生成ブロック236は、受信エラーに関する対応する情報をバス40に送信すべきであると判断する。送信信号生成ブロック236は、この情報を特にレジスタに記憶する。
【0075】
受信エラーに関する対応する情報の信号通知のために、送信信号生成ブロック236は信号TXD2を生成し、この信号TXD2を送信/受信ユニット220に転送することができる。したがって、信号TXD2は、CAN NGフレーム460の終了フィールド466での誤受信を信号通信することができる。CAN NGフレームフォーマットが、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468の伝送後に終了フィールド466で正および否定応答を使用する場合、送信信号生成ブロック236は、否定応答を送信する。否定応答ビットの位置は、例えば、「データフェーズ468の終わりからのビット数」に対応する数として、送信信号生成ブロック236にハードコードすることができる。
【0076】
信号S_Dが「未設定」に変わった場合、送信信号生成ブロック236は、そこから、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468が終了したと結論付ける。
【0077】
あるいは、送信信号生成ブロック236は、例えば、データフェーズ468後にエラーフレーム47を送信することができる。
【0078】
何らかの送信を可能にするために、送信信号生成ブロック236は、その信号TXD2が送信/受信ユニット220に向けて送られるように、第2の送信信号選択ブロック237を切り替える。
【0079】
送信信号生成ブロック236は、CAN NGフレーム460が終了するまで、信号TXD2によって、TX信号に対する制御を維持し続ける。
【0080】
次に、送信信号生成ブロック236は初期状態に戻り、初期状態では送信信号生成ブロック236は、信号TXD3が送信/受信ユニット220に渡されるように、第2の送信信号選択ブロック237を切り替える。
【0081】
図4は、加入者局20がメッセージ45、46の受信先のみであり、すなわちRX加入者局であり、CAN NGメッセージ46が送信されたにも関わらず、エラー(ギザギザの黒いブロック矢印によって示される)に基づいて誤ってCAN FDメッセージ45を予想した場合に関する、時間tにわたる前述した信号の例を示す。信号の任意の値が破線で示されている。図4の信号タイミング図をより容易に理解できるように、信号の通過時間は、図4では0と想定されている。
【0082】
図4において、信号TXD1で、送信信号TXによって送信されるべきエラーフレーム47がブロックされたことが分かる。さらに、信号TXD1で、加入者局20がメッセージ46を受け取っていないことを他のCAN NG加入者局20、30に信号通知するために否定確認(NACK)が送信されたことが分かる。しかし、他のCAN NG加入者局20、30は、バスシステム1の加入者局10、20、30のうちの1つがメッセージ46を受け取っていないことのみを認識することができる。
【0083】
第2の例示的実施形態によれば、データフェーズ検出ブロック231は、バス信号CAN_H、CAN_Lのみを用いてその検出を実行する。それ以外は、エラーフレーム遮蔽ユニット230の機能は、前の例示的実施形態と同様に実行される。
【0084】
したがって、本例示的実施形態によるデータフェーズ検出ブロック231の変形形態は、前の例示的実施形態によるデータフェーズ検出ブロック231の変形形態よりも複雑ではない。しかし、本例示的実施形態では、信号TXD1の検出および評価によってのみ認識することができる障害を見つけることができない。
【0085】
第3の例示的実施形態によれば、データフェーズ検出ブロック231は、信号TXD1のみを用いてその検出を実行する。それ以外は、エラーフレーム遮蔽ユニット230の機能は、第1の例示的実施形態の場合と同様に実行される。
【0086】
したがって、本例示的実施形態によるデータフェーズ検出ブロック231の変形形態は、第1の例示的実施形態によるデータフェーズ検出ブロック231の変形形態よりも複雑ではない。しかし、本例示的実施形態では、バス信号CAN_H、CAN_Lの検出および評価によってのみ認識することができる障害を見つけることができない。
【0087】
第4の例示的実施形態によれば、送信元検出ブロック232は、入力信号として信号TXを使用する簡略化されたCAN NG通信制御デバイスとして設計されている。送信されたCAN NGフレーム460の逐次復号により、簡略化されたCAN NG通信制御デバイスは、加入者局20、すなわちそれ自体の加入者局が送信元であるか否かを非常に簡単かつ確実に決定することができる。例えば、信号TXが調停フェーズ467中の特定のビットから値1のままである場合、簡略化されたCAN NG通信制御デバイスは、そこから、加入者局20、すなわちそれ自体の加入者局が調停に負けた、すなわち送信元ではないと推測する。
【0088】
加入者局20が送信元であるかどうかを検出するための送信元検出ブロック232のこの形態は、第1の例示的実施形態による送信元検出ブロック232の形態よりもロバストである、または信頼性が高い。しかし、送信元検出ブロック232の本形態は、第1の例示的実施形態による送信元検出ブロック232の形態よりも高いリソース要件を有する。
【0089】
第5の例示的実施形態によれば、受信信号選択ブロック238および送信信号生成ブロック236が利用可能である。この場合、受信信号選択ブロック238が実際にエラーフレーム47をブロックした場合、すなわち信号TX_BLが設定された場合、受信信号選択ブロック238は、信号RXを値「0」に設定することができ、信号RXD2:=「0」および信号RXswによって、終了フィールド466の最後の11個のリセッシブビットの開始まで規定し、すなわち肯定応答ビットおよび否定応答ビット中、信号RXは値「0」である。これは、受信信号選択ブロック238が、前に指定された信号RXをデータフェーズ468の最後までしか規定しない第1の例示的実施形態とは異なる。
【0090】
受信信号選択ブロック238は、例えば1から0への信号S_Dの変化からビットをカウントすることによって、終了フィールド466の最後にある11個のリセッシブビットの開始を認識することができる。
【0091】
通信制御デバイス21、31、送信/受信デバイス22、32、エラーフレーム遮蔽ユニット130、230、330、加入者局10、20、30、バスシステム1、およびそこで行われる方法の上述したすべての構成は、個別に使用することができ、またはすべての可能な組合せで使用することができる。特に、上述した例示的実施形態および/またはそれらの修正形態のすべての特徴を任意選択で組み合わせることができる。追加または代替として、特に以下の修正形態が考えられる。
【0092】
例示的実施形態による前述したバスシステム1は、CANプロトコルに基づくバスシステムに関して述べた。しかし、例示的実施形態によるバスシステム1は、データが2つの異なるビットレートでシリアルに伝送可能である異なるタイプの通信ネットワークでもよい。バスシステム1において、共通のチャネルへの加入者局10、20、30の排他的で衝突のないアクセスが少なくとも特定の期間について保証されることは有利であるが、必須の前提条件ではない。
【0093】
例示的実施形態のバスシステム1における加入者局10、20、30の数および配置は任意である。特に、バスシステム1の加入者局10は省略することができる。この場合、加入者局20、30がCAN FDフォーマットでも送信することができるとき、エラーフレーム遮蔽ユニット230、330が必要であり、加入者局20、30の1つがCAN NGフレーム460のデータフェーズ468のフォーマットへの切替えに失敗したときに、CAN NGフレーム460のデータフェーズ468の伝送が妨害されないようにする。加入者局20または30のうちの1つまたは複数がバスシステム1で利用可能であり得る。
【0094】
場合によっては、エラーフレーム遮蔽ユニット130、230、330の少なくとも1つは、送信/受信デバイス22、32の外部に配置される。特に、エラーフレーム遮蔽ユニット130、230、330の少なくとも1つは、加入者局10、20、30の別個のユニットとして提供される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】