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特表2022-507515マイクロエレクトロメカニカルセンサを製造する方法およびマイクロエレクトロメカニカルセンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】マイクロエレクトロメカニカルセンサを製造する方法およびマイクロエレクトロメカニカルセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20220111BHJP
   B81C 3/00 20060101ALI20220111BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 41/113 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01P15/08 102D
B81C3/00
B81B3/00
H01L41/113
H01L41/187
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526513
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2019079579
(87)【国際公開番号】W WO2020099127
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018219524.2
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】クローネンベルガー,アヒム
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA07
3C081AA17
3C081BA04
3C081BA22
3C081BA29
3C081BA30
3C081BA41
3C081CA05
3C081CA13
3C081CA26
3C081CA32
3C081DA22
3C081DA30
3C081DA43
3C081EA02
(57)【要約】
マイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)を製造する方法が提案される。マイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)がキャップウェハ(2)とセンサウェハ(3)と結合することによって製造され、キャップウェハ(2)がキャップウェハ(2)をセンサウェハ(3)に結合するためのボンディング構造体(4)を有し、センサウェハ(3)が可動式構造(6)を有するセンサコア(5)を含み、キャップウェハ(2)が可動式構造(6)の変位を制限するためのストッパ構造体(7)を含み、当該方法が、第1のステップと、第1のステップに続く第2のステップとを備え、ストッパ構造体(7)のストッパ表面が未加工のキャップウェハの元の表面のレベルに位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)を製造する方法であって、
前記マイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)がキャップウェハ(2)とセンサウェハ(3)とを結合することによって製造され、前記キャップウェハ(2)が当該キャップウェハ(2)と前記センサウェハ(3)とを結合するためのボンディング構造体(4)を有し、前記センサウェハ(3)が可動式構造(6)を有するセンサコア(5)を含み、前記キャップウェハ(2)が前記可動式構造(6)の変位を制限するためのストッパ構造体(7)を含み、
前記方法が、第1のステップと、前記第1のステップに続く第2のステップとを備え、
前記第1のステップにおいて、前記キャップウェハ(2)の部分領域(9)にハードマスク(8)を設けて、前記キャップウェハ(2)のマスクされた部分領域(9)が前記ストッパ構造体(7)のストッパ表面(7’)を形成し、
前記第2ステップにおいて、キャップウェハ(2)にボンディング層を設けて、エッチングにより前記ボンディング構造体(4)のボンディング層を生成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記センサコア(5)の前記可動式構造(6)は、ポリシリコンブリッジ(13)によって互いに結合された2つの部分構造体(12,12’)を含み、前記可動式構造(6)の静止状態において変位方向(11)に前記ポリシリコンブリッジ(13)が前記センサコア(5)の静止構造体(14)から離間する、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記第1のステップに先行する第3のステップにおいて、酸化物層を前記キャップウェハに堆積して前記酸化物層をエッチングすることによって保護構造体(15)が生成され、該保護構造体(15)が、前記キャップウェハ(2)と前記センサウェハ(3)とが結合されるときに前記センサコア(5)をボンディング構造体(4)からの材料の侵入に対して保護する、方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、前記第1のステップに先行する第4のステップにおいて、エッチングによって前記キャップウェハ(2)の表面に凹部(10)が生成され、前記第1のステップにおいて、前記キャップウェハ(2)の他の部分領域(9’)に他のハードマスク(8’)が設けられ、前記部分領域(9’)が前記凹部(10)に位置し、前記キャップウェハ(2)のマスクされた他の部分領域(9’)がキャップ電極(17)の表面(17’)を形成する、方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法であって、前記第2のステップに続く第5のステップにおいて、エッチングにより、空洞を形成するための切欠き(19)が生成される、方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、前記第2のステップに続く第6のステップにおいて前記ハードマスク(8)が除去される、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記第6のステップに先行する第7のステップにおいて、前記ボンディング構造体(4)および/または保護構造体(15)に対して、ハードマスク(8)を除去するときに前記ボンディング構造体(4)および/または前記保護構造体(15)を材料除去から保護する保護ラッカー(18)が設けられる、方法。
【請求項8】
可動式構造(6)を備えるセンサコア(5)を有するセンサウェハ(3)と、ストッパ構造体(7)を有するキャップウェハ(2)とからなるマイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)であって、
前記センサウェハ(3)と前記キャップウェハ(2)とが共晶合金によって互いに結合され、当該マイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)が特に請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法によって製造されており、
前記キャップウェハ(2)のストッパ構造体(7)が前記センサコア(5)の可動式構造(6)の変位を制限し、前記可動式構造(6)がポリシリコンブリッジ(13)によって互いに結合された2つの部分構造体(12,12’)を含み、
前記ポリシリコンブリッジ(13)が前記可動式構造(6)の静止状態において変位方向(11)にセンサコア(5)の静止構造体(14)から第1の間隔(20)だけ離間し、前記可動式構造(6)が静止状態において前記変位方向(11)にストッパ構造体(7)のストッパ表面(7’)から第2の間隔(21)だけ離間し、前記第1の間隔(20)が前記第2の間隔(21)よりも大きい、
ことを特徴とするマイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)。
【請求項9】
請求項8に記載のマイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)であって、前記キャップウェハ(2)は、前記キャップウェハ(2)の凹部(10)に配置されたキャップ電極(17)を有し、前記可動式構造(6)が静止状態で前記変位方向(11)に前記キャップ電極(17)の表面(17’)から第3の間隔(22)だけ離間し、前記第3の間隔(22)が前記第2の間隔(21)以上である、マイクロエレクトロメカニカルセンサ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載のマイクロエレクトロメカニカルセンサを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に慣性センサの形態のマイクロエレクトロメカニカルセンサは、従来技術から様々な実施形態で知られている。そのようなセンサの機能原理は、通常、センサに加えられる外部の直線加速度または回転が、センサコア内の可動式構造の変位や歪みを引き起こす慣性力を誘起し、これにより、加えられた加速度もしくは回転を測定することができることである。この場合、可動式構造は、単一の層からエッチングされたものでもよいし、または複数の層から構成されてもよい。特に、可動式構造は、シリコン層が機能的なポリシリコン(FP)の層上にエピタキシャルに成膜され、その後のステップにおいてシリコン層から複数の部分構造体が用意され、これらの部分構造体は、FP層から形成された機能性ポリシリコンからなるブリッジ(FPブリッジ)を介して相互に結合されている。
【0003】
センサコアのために閉じた環境を用意するために、センサウェハにはしばしばウェハボンディング方法によってキャップが装着され、センサコアはこのようにして空洞に封入される。このようなウェハボンディング方法の1つは、特に、センサウェハとキャップウェハとが共晶合金によって互いに結合される共晶ボンディング法である。この合金は、例えばゲルマニウムとアルミニウム、またはシリコンと金などの2つの合金パートナーによって形成される。この場合、例えば、金からなる付加的なボンディング構造体を2つのウェハの一方に設けることができ、このボンディング構造体は、ウェハの接合時に加熱することによって2つのウェハのシリコンに結合し、これにより、堅固な材料結合による結合を形成する。同様に、2つのウェハの一方は、アルミニウムからなるボンディング構造体を有し、その他方は、ゲルマニウムからなるボンディング構造体を有することができ、これにより、2つのボンディン構造体は接合時に所望の共晶結合を形成する。それぞれのボンディング構造体は、ウェハの製造時にボンディング層を形成し、次にエッチングによってボンディング層を構造化することによって形成される。ボンディング構造体がキャップウェハの上縁部を形成すること、すなわち、キャップウェハの残りの構造体から突出していることを確保するために、ボンディング構造の形成は、通常、キャップウェハの残りの構造体がさらなるエッチングプロセスによって生成される前に実行される。
【0004】
可動式構造が特に強く変位することによってセンサが損傷することを防止するために、一般に、可動式構造の最大変位量を制限するストッパ構造体が空洞内に配置される。上方への(すなわち、キャップの方への)変位のために、例えば、キャップウェハは、変位が大きい場合に可動式構造が機械的に当接するストッパ表面を有することができる。ストッパ構造体の高さ、すなわちキャップウェハ内におけるストッパ表面のレベルは、既にストッパ構造体を用意する前に材料が、特にボンディング構造体の形成時に行われるオーバーエッチングによって除去されることによって制限されている。このようにして、可動式構造の上縁部とストッパ表面との間の間隔を制限する要因がある。特に、間隔が大きすぎる場合には、機能的なFPブリッジが、ストッパ表面によって移動が遮られる前に、下方からセンサウェハの固定した構造体に衝突する場合がある。この衝突時にFPブリッジが破損し、これによりセンサが損傷するか、または破壊されることさえある。
【発明の概要】
【0005】
このようなことを背景として、本発明の課題は、キャップウェハのストッパ構造体が、機能的なFPブリッジの破損が防止されるように生成される方法を提供することである。
【0006】
独立請求項に記載の方法では、ハードマスクを適用することによって、ハードマスクによって覆われた平面が、キャップウェハの構造体が生成される後続のエッチングプロセスにおいて材料を除去されないことを達成する。このようなマスクの適用は、ボンディング構造体の生成時に引き起こされるオーバーエッチングがストッパ構造体のストッパ表面の高さレベルを不利に低下させることを防止するために特に適していることが判明した。
【0007】
幾何学的関係を説明するために、以下では、キャップもしくはセンサウェハの主延在平面を参照する。主延在平面に垂直な方向は垂直方向と呼ばれるが、これにより重力方向との関連性を示唆するものではない。「上方」および「下方」という用語は、垂直方向に関して理解されるべきである。キャップウェハは、連続的な成膜およびエッチングプロセスによって構造化される。それぞれの構造体について、もしくは主延在平面に平行に配置されたキャップウェハの構造体の表面について、垂直方向を基準にして高さレベルを示すことができ、特に、他の構造体およびその構造体の表面の高さレベルと比較することができる。キャップウェハには、連続的な成膜およびエッチングプロセスによって複数の異なる構造体が設けられ、処理は、通常、キャップウェハの一方の側でのみ行われ、この側は以下では上側と呼ばれる。この側に属する未処理のキャップウェハの表面は、除去プロセスによってのみ生成されるそのような構造体の最大高さレベルを形成する。除去によって生成されるこのような構造体は、例えば、キャップウェハのストッパ構造体であり、このストッパ構造体は、センサウェハとの接合後に、センサウェハの可動式構造の移動量を、少なくとも垂直方向に、最大変位量に制限する。ハードマスクの適用により、後にウェハ材料からエッチングされるストッパ構造体のストッパ表面を形成するマスクされた表面が、最大限に利用可能な高さレベルを有し、これに応じて最大変位量を小さくできることが確保される。本発明による方法の第2のステップではボンディング構造体が生成され、このボンディング構造体によって製造プロセスの後続部分においてキャップウェハとセンサウェハとが材料結合により互いに結合される。好ましくは、この結合は、共晶ボンディング法により行われる。例えば、ボンディング構造体は、加熱時に2つのウェハのシリコンに結合される金から共晶合金を形成したものでもよい。好ましくは、ボンディング構造体は、部分的または完全にゲルマニウムからなり、アルミニウムからなる他のボンディング構造体に接合され、これにより、加熱時に共晶ゲルマニウム-アルミニウム合金によって材料結合が生じる。
【0008】
あらかじめ堆積されたボンディング材料からボンディング構造体を形成するエッチングプロセスにおいてオーバーエッチングが生じると、すなわち、ボンディング材料の所望の部分が除去されるだけでなく、キャップウェハの表面の材料も除去されると、これにより、さらなる構造化に利用可能な最大高さレベルが低下することが見出された。オーバーエッチングによって高さレベルのシフトがマイクロメートルの範囲内で引き起こされ、ストッパ構造体のストッパ表面の位置決めがそれに応じて垂直方向において変更されることとなる。本発明によるハードマスクの適用によって、高さレベルの低下が有利に抑制され、ストッパ表面は、未処理のウェハの元の表面のレベルに位置する。
【0009】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、センサコアの可動式構造は、ポリシリコンブリッジによって互いに結合された2つの部分構造体を含み、ポリシリコンブリッジは、可動式構造の静止状態において、変位方向においてセンサコアの静止構造体から離間している。可動式構造は、例えば、機能性ポリシリコン層(FP層)にエピタキシャルシリコン層を成長させ、続いてそこから2つの部分構造体をエッチングにより形成することによって生成できる。この場合、2つの部分構造体はFP層の上方に位置する。FP層から、以下にFPブリッジと呼ばれる2つの部分構造体の結合要素が形成される。可動式構造は、代替的には、1つ以上の部分構造体が端部を形成し、FP層が底部を形成する谷の形状を有することもできる。
【0010】
このような構造では、センサウェハの静止構造体に当接することによってFPブリッジが損傷するという問題が生じる。可動式構造が大きく変位した場合に、1つ以上のストッパ構造体との機械的な接触によって部分構造体を止めることができるが、FPブリッジのこのような当接は、潜在的に、ブリッジの損傷または破壊につながるので、防止される必要がある。したがって、好ましくは、キャップウェハのストッパ表面は、接合後に、ストッパ表面と、特に可動式構造または一方もしくは両方の部分構造体の上側表面との間の間隔が、FPブリッジとセンサコアの静止構造体との間の間隔よりも小さくなるように位置決めされている。このようにして、可動式構造をストッパ平面に当接させることによって、FPブリッジが静止構造体に当接して損傷することが有利に防止される。
【0011】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、第1のステップに先行する第3のステップにおいて、酸化物層がキャップウェハに堆積して酸化物層をエッチングすることによって保護構造体が生成され、この保護構造体は、キャップウェハとセンサウェハとの結合時に、ボンディング構造体からの材料の侵入に対してセンサコアを保護する。ボンディング時に、キャップウェハとセンサコアとから形成されたセンサが少なくとも部分的に加熱され、これにより、合金パートナーが所望の共晶合金を形成するように結合される。保護構造体により、有利には、例えば、ボンディング構造体または合金の軟質または液体の材料がセンサコアに流入することが防止される。
【0012】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、第1のステップに先行する第4のステップにおいて、エッチングによってキャップウェハの表面に凹部が生成され、第1のステップにおいて、他のハードマスクがキャップウェハの他の部分領域に設けられ、この他の部分領域は凹部内に位置し、キャップウェハのマスクされた他の部分領域はキャップ電極の表面を形成する。好ましくは、第4のステップは第3のステップの後に行われる。本発明による方法のこの実施形態では、ストッパ構造体に加えて、キャップ電極がキャップウェハの一部として形成される。このキャップ電極がストッパ構造体と同じ高さレベルに位置することを防止するために、キャップ電極を実際に形成する前に凹部が形成され、この凹部では、接合後にセンサウェハに向いた表面がハードマスクによって形成される。これにより、本発明による方法の第1のステップにおけるように、ボンディング構造体のエッチング時にさらなる材料除去が防止される。凹部に位置決めすることにより、キャップ電極の表面がストッパ構造体のストッパ表面よりも低い高さレベルに位置することが達成される。したがって、接合後には可動式構造とストッパ表面との間の間隔は、可動式構造とキャップ電極との間の間隔よりも小さい。これにより、変位が大きい場合に、可動式構造はキャップ電極に当接する前に有利に止められる。
【0013】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、第2のステップに続く第5のステップにおいて、エッチングによって、空洞を形成するための切欠きが生成される。キャップウェハとセンサウェハとの接合時に、キャップウェハの切欠きは、センサコアが封入される空洞の上部を形成する。
【0014】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、第2のステップに続く第6のステップでハードマスクが除去される。第1のステップで他のハードマスクも設けられたとき、このハードマスクは好ましくは同様に第6のステップで除去される。
【0015】
好ましくは、このステップは第5のステップの前に行われる。
【0016】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、第6のステップに先行する第7のステップにおいて、ボンディング構造体および/または保護構造体に保護ラッカーが設けられ、この保護ラッカーは、ハードマスクが除去されるときにボンディング構造体および/または保護構造体を材料除去から保護する。好ましくは、このステップは第2のステップの後に行われる。
【0017】
本発明の別の対象は、請求項8に記載のマイクロエレクトロメカニカルセンサである。
【0018】
本発明によるセンサの好ましい実施形態によれば、キャップウェハは、キャップウェハの凹部に配置されたキャップ電極を有し、可動式構造は静止状態で変位方向にキャップ電極の表面から第3の間隔だけ離間しており、第3の間隔は第2の間隔以上である。
【0019】
本発明によるマイクロエレクトロメカニカルセンサの上述の実施形態に対して代替的または付加的に、センサにおいて本方法に関連して説明した有利な構成および特徴を単独で、または組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図1b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図1c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図2a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図2b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図2c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図3a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図3b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図3c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図4a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図4b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図4c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図5a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図5b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図5c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図6a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図6b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図6c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図7a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図7b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図7c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図8a】従来技術による製造方法の連続した異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図8b】本発明による製造方法の実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図8c】本発明による製造方法のさらなる実施形態の異なる段階におけるキャップウェハを示す概略図である。
図9a】センサウェハとキャップウェハとを接合することによって形成される従来技術によるセンサを示す概略図である。
図9b】センサウェハとキャップウェハとを接合することによって形成される本発明によるマイクロエレクトロメカニカルセンサの実施形態を示す概略図である。
図9c】センサウェハとキャップウェハとを接合することによって形成される本発明によるマイクロエレクトロメカニカルセンサのさらなる実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の図面では、図1c~図9cは、本発明による方法の一実施形態による、キャップウェハ2もしくはキャップウェハ2によって形成されるセンサ1の製造プロセスの異なる段階に対応している。図1b~図9bは、ストッパ構造体7に加えて、キャップ電極17がキャップウェハ2の一部として形成される、本発明による方法の変形例を示す。図1a~図9aは、従来技術による製造方法を示す。複数の異なる製造プロセスのそれぞれ対応する段階が互いに上下に示されており(例えば、キャップウェハの処理の開始時の第1のサブステップをそれぞれ示す図1a、1b、1cのシーケンスを参照されたい)、これにより、相違点、特に欠けたサブステップまたは付加的なサブステップを良く際立たせることができる。様々な図において、同じまたは同等の部分には常に同じ参照符号が付されているので、原則としてそれぞれ一度だけ挙げるか、もしくは言及するものとする。
【0022】
図1a~1cに示すように、キャップウェハ2の処理の開始時に酸化物を成膜し、構造化することによって、1.1μm~1.7μmの一般的な厚さ15’を有する保護構造体15が生成される。この保護構造体15は、図9a~図9cに関して以下でさらに説明するように、ボンディング材料4’,25が加熱された場合に、ボンディング材料4’,25がセンサコア5に侵入し、マイクロエレクトロメカニカル構造体の機能構成要素を妨害するか、または損傷することを防止する役割を果たす。
【0023】
図2bに示すように、保護酸化物15の成膜および構造化に続くサブステップにおいて、キャップウェハ2の凹部10が生成される。凹部10の底面10’で形成される面上には、次のサブステップでキャップウェハ2のキャップ電極17が形成される。このサブステップは、キャップ電極17のこのような形成が行われない図2aおよび図2cに示す製造方法には欠如している。
【0024】
次に、図3bおよび図3cに示すように、キャップウェハ2の表面にハードマスク酸化物8’’が成膜される。図4bおよび図4cに見られるように、ハード酸化物層8’’から、続いて構造化によりハードマスク8もしくは8’が形成され、これらのハードマスクは、それぞれウェハ表面の特定の部分領域9,9’を覆い、後続のエッチング時の除去から保護するものである。図4cのキャップ電極17のない変形例では、マスク8は、後にストッパ構造体7のストッパ表面7’を形成するウェハ2の部分表面を除去から保護する部分領域9を覆うものである。図4bの変形例では、ハードマスク8、8’は2つの部分領域9,9’を覆い、そのうちの第1の部分領域9はストッパ構造体7のストッパ平面7’を形成し、凹部10の他の部分領域9’はキャップ電極17の表面17’を形成する。図3bおよび図3c並びに図4bおよび図4cによるハードマスク8の生成は、本発明による方法の第1のステップに対応し、従来技術による方法に属する図3aおよび図4aでは欠けたものである。
【0025】
次のサブステップでは、後にキャップウェハ2とセンサウェハ3とを結合するボンディング構造体4が生成される。この目的でゲルマニウム層が成膜され、エッチングによって構造化される。これは、本発明による方法の第2のステップの実施形態に対応する。図5a~5cに見られるように、オーバーエッチングにより付加的な高低差16が生じる。すなわち、エッチングにより、ゲルマニウム層が構造化されるだけでなく、キャップウェハ2の残りの表面から材料がさらに除去される。従来技術では、図5aに示すように、後続の全ての構造化プロセスの開始点を形成するので、後に形成される構造体の最大限の高さを定める平面は、そのようにして生じた表面16’によって形成される。これに対して、図5bおよび図5cの本発明による方法の変形例では、マスク8もしくは8’によって覆われた領域はオーバーエッチングから保護され、これにより、その覆われた表面は、元の高さレベルに保持されるので、特に、従来技術から知られている方法によって形成された図5aの表面16’よりも高い。
【0026】
次のサブステップでは、図6bおよび図6cに示すように、保護構造体15およびボンディング構造体4に保護ラッカー18が設けられ、ハードマスク8,8’が除去される。保護ラッカー18は、ハードマスク8,8’の除去時に保護構造体15およびボンディング構造体4を保護する役割を果たす。
【0027】
図7a~図7cに示すように、次に空洞トレンチが形成される。すなわち、例えばラッカーマスクによって特定の領域にトレンチを形成することによって、後にセンサウェハ3との接合時にセンサコア5が閉じ込められる空洞を形成する切欠き19が生じる。この場合、図7bおよび図7cに示すように、ストッパ構造体7もしくはキャップ電極(図7b)の残りの部分が同時に形成される。従来技術による方法ではこのサブステップにおいてストッパ構造体7’’の全高さが形成され、このストッパ構造体7’’のストッパ表面7’’’は、図5aに示した表面16’のレベルに位置する。したがって、図7aと図7bおよび図7cとの比較から分かるように、本発明による方法の変形例によって製造された、図7bおよび図7cに示されるストッパ構造体7のストッパ平面7’’は、従来の方法で生成されたストッパ表面7’’’よりも著しく高い。
【0028】
図8a~8cは、種々の方法によって生成されたキャップウェハ2の構造体の高低差27,27’,28を示す。それぞれ最高点が保護構造体15の上部29によって形成される。従来技術から知られている図8aに示す方法では、最高レベル29とストッパ構造体7’’のストッパ表面7’’’との間の高低差27’は、一般に2.5μm~3.5μmである。これに対して、図8bおよび図8cに示す本発明による方法の2つの実施形態では、高低差27は、保護構造体15の厚さによってのみ決定され、一般に1.1μm~1.7μmである。最高レベル29とキャップ電極17の上方を向いた表面17’との間の距離30は、間隔27よりも幾分大きくなるように選択されており、次の図9bに示すように、組み立てられたセンサ1において、キャップ電極の表面17’と可動式構造6の上縁部との間の高低差22を決定する。
【0029】
図9a~図9cには、種々の方法によって生成され、キャップウェハ2とセンサウェハ3とから組み立てられたセンサ1が示されている。保護構造15の外側には、ゲルマニウムボンディング構造体4とアルミニウムボンディング構造体4’とからなる結合要素25がキャップウェハ2とセンサウェハ3との間に配置されている。後続の共晶ボンディングのために、キャップウェハ2とセンサウェハ3とを材料結合により互いに結合する合金パートナー4,4’が形成される。図面には、結合要素25の一部のみが示されており、この接続要素は全体がセンサコア5を完全に取り囲み、共晶ボンディング時に空洞を密閉して外部空間から分離する。保護構造体15は同様にセンサコア5全体を取り囲み、結合要素25が溶融した場合に、液体の合金材料がセンサコア内に侵入するのを防止する。
【0030】
センサウェハ3は、FPブリッジ13によって互いに結合された2つの部分構造体12,12’からなる可動式構造6を有する。部分構造体12と部分構造体12’との間にはセンサコアの静止構造体14が配置されている。可動式構造6が変位方向11に移動する場合、その移動振幅はキャップウェハ2のストッパ構造体7によって制限される。強い変位の場合、部分構造体12は、ストッパ構造体7のストッパ表面7’に当接するので、ストッパ表面7’と部分構造体12との間の間隔21もしくは21’よりも大きい変位が防止される。好ましくは、ストッパ構造体7は、部分構造体12および部分構造体12’の両方が、強い変位の場合にストッパ構造体7に当接し、これにより止まるように構成されている。従来技術にしたがって製造された図9aのセンサ1の場合、間隔21’がFPブリッジ13と静止構造体14との間の間隔20よりも小さくなるので、それに応じて変位振幅が大きい場合にはFPブリッジ13が静止構造体14に衝突し、機械的に損傷するか、または破壊される危険性があるという問題が生じる。
【0031】
これに対して、本発明による方法の実施形態で製造された図9bおよび図9cに示したセンサ1では、間隔21は著しく小さく、特にFPブリッジ13と静止構造体14との間の間隔20よりも小さい。このようにして、可動式構造6は、FPブリッジ13が損傷を受ける前に、ストッパ構造体7の表面7’によって遮られる。図9bのキャップ電極17を有する変形例では、キャップウェハ2の上縁部とキャップ電極17との間の間隔22は、FPブリッジ13と静止構造体14との間の間隔20に等しい。このようにして、可動式構造6は強い変位の場合にもFPブリッジ13と静止構造体14との間の機械的接触によっても、可動式構造6とキャップ電極17との間の接触によっても損傷しないことが保証されている。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
【国際調査報告】