(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】新規のC-MET及びTMX2抗体
(51)【国際特許分類】
C12P 21/08 20060101AFI20220111BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220111BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220111BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/573 20060101ALI20220111BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C12P21/08 ZNA
C07K16/28
C12N15/13
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 U
G01N33/531 A
G01N33/573 A
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526745
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2019081597
(87)【国際公開番号】W WO2020099674
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521209236
【氏名又は名称】アール.ジー.シー.シー. ホールディングス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パパソティリウ,イオアニス
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA20
4B064CC24
4B064DA05
4B064DA14
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB01
4C085CC21
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045EA51
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、単離されたヒト血液細胞を使用して本発明者等が選択する特定の抗原に対する真に完全なヒトモノクローナル抗体を産生するための新規の方法(これらの抗原は、c-met及びTMX2タンパク質に見出されるペプチド配列を含んでもよいがこれらに限定されない);前記方法を用いて産生されるc-metタンパク質に特異的な抗体;前記方法を用いて産生されるTMX2タンパク質に特異的な抗体;並びに前記抗体を用いた診断、予防及び/又はがん処置のための新しい手段及び方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の抗原に対するモノクローナルヒト抗体のヒト細胞による産生のためのプロセスであって、
a)好ましくは血液から、末梢血単核細胞を単離するステップ;
b)単離された前記末梢血単核細胞から単核細胞を作製するステップ;
c)作製された前記単核細胞から未成熟樹状細胞を作製するステップ;
d)好ましくは血液から、CD4+細胞及びCD19+細胞を単離するステップ;
e)任意選択で、前記所定の抗原で、少なくとも、作製された前記未成熟樹状細胞をパルスするステップ;
f)GM-CSF、IL-4、TNF-α、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMの組合せを含む培養培地で、前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を共培養するステップ;
g)少なくとも前記所定の抗原で、少なくとも、共培養された前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞をパルスするステップ;
h)前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞をさらに共培養することにより、前記未成熟樹状細胞から成熟樹状細胞を作製するステップ;
i)プラズマ細胞の形成を誘導するステップ;
j)形成された前記プラズマ細胞においてIgG発現に向けてIgクラススイッチを誘導するか又は誘導しないステップ
を含むプロセス。
【請求項2】
前記形成されたプラズマ細胞が、がん細胞株との融合により、続いて不死化される、請求項1のいずれかに記載されるプロセス。
【請求項3】
請求項1から2のプロセスに従って得られる、所定の抗原に対するモノクローナル抗体であって、前記抗体が、ヒト細胞により産生されるヒト抗体である、及び/又は、前記所定の抗原がc-met又はTMX2である、前記モノクローナル抗体。
【請求項4】
ヒトc-metに対するモノクローナルヒト抗体であって、前記ヒト抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を認識し、かつ、ヒトプラズマ細胞により、好ましくは、不死化されたヒトプラズマ細胞により、分泌される、前記モノクローナルヒト抗体。
【請求項5】
試料中のヒトc-metの有無を判定するための請求項4に記載の抗体の使用。
【請求項6】
c-metの異常な発現に関係するがんを処置するための請求項4に記載の抗体又はその医薬組成物の使用。
【請求項7】
生体試料中のヒトc-metの有無を検出するための方法であって、
a)前記試料を請求項4に記載の抗体に接触させるステップ、及び
b)請求項4に記載の前記抗体と前記試料中のヒトc-metとにより形成される抗体-抗原複合体の有無を検出するステップ
を含む方法。
【請求項8】
ヒトTMX2に対するモノクローナルヒト抗体であって、前記ヒト抗体は、配列番号2又は配列番号3に記載のアミノ酸配列を認識し、かつ、ヒトプラズマ細胞により、好ましくは、不死化されたヒトプラズマ細胞により、分泌される、前記モノクローナルヒト抗体。
【請求項9】
試料中のヒトTMX2の有無を判定するための請求項8に記載の抗体の使用。
【請求項10】
特に乳がんにおける、TMX-2の異常な発現に関係するがんを処置するための請求項8に記載の抗体又はその医薬組成物の使用。
【請求項11】
生体試料中のヒトTMX-2の有無を検出するための方法であって、
a)前記試料を請求項8に記載の抗体に接触させるステップ、及び
b)請求項8に記載の前記抗体と前記試料中のヒトTMX-2とにより形成される抗体-抗原複合体の有無を検出するステップを含む方法。
【請求項12】
がんに罹っているヒト患者を処置する方法であって、請求項4又は8に記載のヒトc-met又はヒトTMX2に対するヒト細胞により産生されるヒト抗体の、有効量を含む薬物を、前記患者にそれぞれ投与するステップを含む方法。
【請求項13】
がんに罹っているヒト患者を処置する方法であって、前記患者の生体試料中の配列番号1又は配列番号2若しくは配列番号3に記載のアミノ酸配列を保有するヒトc-met又はTMX2の有無をそれぞれ判定するステップ、及び、次に、請求項4又は8に記載のヒトc-met又はヒトTMX2に対するヒト細胞により産生されるヒト抗体の、有効量を含む薬物を、前記患者にそれぞれ投与するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体及びその産生の分野での技術に関する。より詳細には、本発明は、特定の抗原に特異的であるヒトモノクローナル抗体を産生するための方法に関する。本発明は、また、c-metに対する抗体及びTMX2に対する抗体並びにc-met及び/又はTMX2の異常発現に関わる悪性腫瘍又は任意の他の疾患を診断する、予防する及び/又は処置することにおけるこれらの抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体療法は、がんを最上位に置く30を超える標的及び疾患について承認されてきた。第1世代のモノクローナル抗体はマウス起源であり、したがって、ヒト抗マウス抗体応答(HAMA)が原因で治療用途には不適切であった。組換えDNA技術が発展するにしたがって、キメラ化又はヒト化を使用するモノクローナルの第2世代が開発され、したがって、抗体はさらにヒト抗体様となった。このためには、免疫原性及び特異性のためのマウス可変ドメインを減らす目的で、遺伝子操作を使用してヒト定常ドメインを有する抗体を作製する。しかし、セラリズマブの場合に記述されてきたように、ヒト化は、重大な全身臓器不全などの重篤な副作用を完全に及び予想通りには排除しない。したがって、抗体中の非ヒト断片から生じるそのような副作用を避けるためには完全ヒト抗体を提供するのが望ましい。しかし、「完全ヒト」と名付けられている抗体は、実際にヒト配列を持っているが、これらはバクテリオファージ、トランスジェニック動物に起源を持つか、又はB細胞形質転換に起源を持つので、「完全ヒト」という用語は紛らわしいと見なされ得る。したがって、そのような抗体が、構造と免疫原性との両方において、内因的に産生される抗体と同一であることを保証することはできない。それゆえに、本発明という文脈では、「完全ヒト抗体」という用語は、ヒト配列を有するだけではなく、インビボ(in vivo)過程におけるのと同じように、ヒト細胞から産生されるものであることも満たす抗体に関する。特に、用いられるヒト細胞は、免疫原性に基づく副作用をさらに低減する自己細胞である。従前に使用された技術は常に問題を伴い、B細胞形質転換の場合、抗体を産生するB細胞を選び、次いでエプスタインバーウイルス(EBV)により不死化しなければならず、インビトロ(in vitro)感染効率は一般的に高いけれども、実際に形質転換されるのはごくわずかな割合の細胞だけである(約1~3%)。EBV形質転換技術は、非効率、不安定さ、低収率及び親和性を特徴としている。ファージディスプレイ(Phage display)技術は、先ず抗体ライブラリーを調製し、続いて、可変重及び軽PCR産物をベクター(vector)中にライゲーションし、最後にモノクローナル抗体(mAb)クローンをインビトロ選択する。しかし、ファージディスプレイは、所与の抗体ライブラリーに存在する全ての抗原特異的モノクローナル抗体(mAb)を回収しないことがあり、インビトロ対形成はインビボ過程を反映しないことがあり、複雑で、要求が厳しく、時間のかかる技術である。トランスジェニック動物では、ヒト抗体遺伝子を、例えば、マウスゲノム中に挿入し、ヒト抗体産生を可能にする。しかし、ヒトの体は数百万もの抗体のコレクションを保有しており、トランスジェニックマウスはこの多様性のごく一部しか発現できない。したがって、限られた生殖細胞系列レパートリー、低タンパク質発現、残余免疫原性及び関係するコストが高く労力がかかることが、DNA組換え技術の重大な欠点である。しかし、すべての中で最大の問題は、これらの抗体がすべて本質的にハイブリッドであるという単純な事実である。したがって、所与の抗原に向けることができ、ヒトの体で免疫原性がより少ない又は無く、したがって、免疫原性による望ましくない副作用を制限するモノクローナル抗体の供給を可能にする手段を提供する必要性が存在する。5つの抗体クラスのうち、IgGは免疫系の強力な活性化因子であるので、がん免疫療法に最も多く使用されている。
【0003】
ヒトモノクローナル抗体の産生は従前試みられてきた。Fang Xuら(2017)は、パルスされたDCを用いてT細胞を活性化し、次に、CpG、ODN又はKLHを添加して、B細胞を個別に活性化し、次に最終的に、活性化されたT細胞を活性化されたB細胞と組み合わせることにより、IgMヒト抗体を産生した。
【0004】
しかし、細胞活性化のために、DNA微生物モチーフのヒト類似体であるCpG、ODN又はssRNAを使用し、もっとはっきりした免疫応答を開始すると、最適な抗原と共に使用されるCpG、ODN又はssRNAに対する抗体の産生をもたらしてしまうことがある。CpG、ODN又はssRNAはヒトDNAにおいて通常存在する部分であり、メチルトランスフェラーゼのような酵素が結合するところなので、そのような望まれない抗体の産生及びその標的への結合は、正常な恒常性維持に影響を及ぼすおそれがある。さらに、CpGはT細胞非依存性分化を誘導し、このようにして作製される抗体は、親和性が低くなり機能的用途の広さも減る傾向がある。
【0005】
特許文献1は、T細胞をパルスされたDCを用いて活性化し、次に活性化されたT細胞を用いてB細胞を活性化することによりヒトIgG抗体を産生することに関する。再び、CpG、ODN又はssRNA並びにIL-12及びIFN-γ抗体のような因子を使用することにより、活性化が達成される。
【0006】
特許文献2は、IL-4、IL-5、IL-6及びIL-10のような因子の存在下で、T細胞をパルスされたDCを用いて活性化することによりヒトIgGを産生することに関する。B細胞はCpGを使用して個別に活性化され、次に活性化されたT細胞に添加される。
【0007】
特許文献3に明言されるように、マウス細胞を使用して抗体をエクスビボで産生する試みもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/023705号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0196380号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2574666号
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明は、単離されたヒト血液細胞から真に完全なヒトモノクローナル抗体を産生するための新規の方法を提供することをその目標とし、抗体は最適な特定の抗原に向けられ、それによって、バクテリオファージ、トランスジェニック動物などの技法を通じて抗体ライブラリーから抗体を産生する場合、又はB細胞形質転換から抗体を産生する場合に遭遇することがある上記の問題を巧みに回避することができる。さらに、本発明は、真に完全なヒトモノクローナル抗体を産生する際に使用することができる抗原の範囲を広げることを可能にする。得られた抗体は、細胞の遺伝子操作の産物ではなく、トランスジェニック動物において産生されるものでもない。
【0010】
C-metは受容体チロシンキナーゼであり、そのリガンドである肝細胞増殖因子(HGF)と結合すると、下流の経路を活性化して細胞における多様な結果を生じる。異常なc-metシグナル伝達が、様々ながんタイプで記載されており、前記受容体は新規の治療標的と見なされる。C-met活性化下流シグナル伝達は、Rac1/Cdc42経路、PI3K/Akt経路、シグナル伝達兼転写活性化因子3及びERK/MAPKカスケードを含む。
【0011】
チオレドキシン関連膜貫通タンパク質2(TMX2)は酸化還元反応に関与する。前記酸化還元反応の反応酸素種(ROS)は、異常な調節がとりわけ細胞増殖及び発癌に関与しているので、細胞シグナル伝達及び恒常性維持にとり重要である。その機能は完全に解明されてはいないが、TMX2は乳がんにおいて、特に乳がん幹細胞(breast CSCs)において高レベルの遺伝子発現を示し、結腸がん及び肺がんのほうが、遺伝子発現のレベルが低いことが見出されている。したがって、TMX2は、乳がん及び乳がん幹細胞(breast CSCs)に特異的なバイオマーカーとして使用し得る。
【0012】
本発明のプロセスでは、適応免疫系で見出される天然の機構を模倣することにより、樹状細胞、CD4+細胞及びCD19+細胞を、Th2免疫へと推進し、ここで、新たに形成されたプラズマ細胞は、次に、使用される抗原に応じて、最適な抗原に対する抗体を産生する。IgG産生はIgGクラススイッチ因子により促進できるのに対し、細胞活性化は、樹状であっても、CD4+及びCD19+であっても、その後にインビボ炎症性環境を模倣するサイトカインカクテルが続く。本発明のプロセスでは、適応免疫系で見出される天然の機構を模倣することにより、樹状細胞、CD4+細胞及びCD19+細胞を、Th2免疫へと推進しここで、新たに形成されたプラズマ細胞は、次に、使用される抗原に応じて、最適な抗原に対する抗体を産生する。IgG産生はIgGクラススイッチ因子により促進できるのに対し、細胞活性化は、樹状であっても、CD4+及びCD19+であっても、その後にインビボ炎症性環境を模倣するサイトカインカクテルが続く。所望の抗体を得るために使用される前記抗原は、免疫応答を誘発する能力があることにより選択されたペプチドである。本発明によるプロセスの結果として、プラズマ細胞又は抗体産生細胞としても知られるCD138+細胞は、使用される抗原に応じて、抗c-met IgG又はTMX2抗体を分泌する。前述のプラズマ細胞は、例えば、HUNS1細胞株との融合により不死にすることができ、不死化の後に抗c-met IgG抗体を産生することも分かった。c-metに対する抗体の場合、得られた抗体は、がん乳腺細胞株MCF7の増殖を、明らかに減少させた。
【0013】
したがって、例えばc-met及びTMX-2などの所定の抗原に対する完全ヒト、より好ましくは、モノクローナル抗体の産生のためのプロセスであって、
a)好ましくは血液から、末梢血単核細胞を単離するステップ;
b)単離された前記末梢血単核細胞から単核細胞を作製するステップ;
c)作製された前記単核細胞から未成熟樹状細胞を作製するステップ;
d)好ましくは血液から、CD4+細胞及びCD19+細胞を単離するステップ;
e)任意選択で、前記所定の抗原で、少なくとも、作製された前記未成熟樹状細胞をパルスするステップ;
f)前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を共培養するステップ;
g)少なくとも前記所定の抗原で、少なくとも、共培養された前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞をパルスするステップ;
h)前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞をさらに共培養することにより、前記未成熟樹状細胞から成熟樹状細胞を作製するステップ;
i)プラズマ細胞の形成を誘導するステップ;
j)形成された前記プラズマ細胞においてIgクラススイッチを誘導するか又は誘導しないステップ
を含むプロセスを一般に提供することが本発明の目的である。
【0014】
上記のプロセスにより一般的に得られる、所定の抗原に対する抗体を提供することが本発明のさらなる目的であり、例えばc-met又はTMX-2などの所定の抗原に対する、例えばヒト抗体などの抗体を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0015】
ヒトc-metに対するヒト抗体であって、配列番号1に記載のアミノ酸配列を認識し、好ましくはヒトプラズマ細胞により分泌され、より好ましくは不死化ヒトプラズマ細胞により分泌される前記ヒト抗体、並びに、試料中のヒトc-metの有無を判定するためのその使用又はc-metの異常発現に関するがん若しくは疾患を処置するためのその使用を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0016】
生体試料中のヒトc-metの有無を検出するための方法であって、
a)前記試料を上記の抗体と接触させるステップ、及び
b)前述した試料において前記抗体と前記ヒトc-metにより形成される抗体-抗原複合体の有無を検出するステップ
を含む方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0017】
ヒトTMX-2に対するヒト抗体であって、配列番号2に記載のアミノ酸配列を認識し、好ましくはヒトプラズマ細胞により分泌され、より好ましくは不死化ヒトプラズマ細胞により分泌される前記ヒト抗体、並びに、試料中のヒトTMX-2の有無を判定するためのその使用又はTMX-2の異常発現に関するがん、特に乳がん若しくは疾患を処置するためのその使用を提供することも本発明の目的である。
【0018】
ヒトTMX-2に対するヒト抗体であって、配列番号3に記載のアミノ酸配列を認識し、好ましくはヒトプラズマ細胞により分泌され、より好ましくは不死化ヒトプラズマ細胞により分泌される前記ヒト抗体、並びに、試料中のヒトTMX-2の有無を判定するためのその使用又はTMX-2の異常発現に関するがん、特に乳がん若しくは疾患を処置するためのその使用を提供することも本発明の目的である。
【0019】
生体試料中のヒトTMX-2の有無を検出するための方法であって、
c)前記試料を上記の抗体と接触させるステップ、及び
d)前述した試料において前記抗体と前記ヒトTMX-2により形成される抗体-抗原複合体の有無を検出するステップ
を含む方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は添付の特許請求の範囲の従属項に示されている。
【0021】
本発明の好ましい実施形態は図を参照して以下に記載されており、これらの図は本発明の好ましい実施形態を説明することを目的とし、これに限定することを目的としない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】IL-4処理(対照例)、従前のプロトコル及び新しい改良されたプロトコルの、共培養上澄みにおけるウェスタンブロットを使用するIgG検出の結果を示す図。
【
図3】種々の実験から得られた共培養上澄みを使用する、ウェスタンブロットによるc-metタンパク質検出の結果を示す図。
【
図4】PE市販抗体と本発明者らのFITCHコンジュゲート精製抗c-met IgGの両方を用いたc-met発現の判定に、MDA-MB-231細胞を使用した結果を示す図。
【
図5a】本発明者らの精製抗c-met IgG抗体を使用したc-metタンパク質検出の結果を示す図。
【
図5b】本発明者らの精製抗c-met IgG抗体を使用したc-metタンパク質検出の結果を示す図。
【
図6】融合されたCD138上澄みを使用したc-metタンパク質検出の結果を示す図。
【
図7】24時間インキュベーション後のMCF-7細胞増殖に対する、c-met IgGを含有するCD138上澄みの効果を示す図。
【
図8】本発明の一実施形態によるプロセスのフローチャートを示す図。
【
図9】24時間インキュベーション後のMCF-7細胞増殖に対する、TMX-2 IgGを含有する共培養上澄みの効果を示す図。
【
図10】MCF-7細胞増殖に対するTMX-2 配列番号2の効果を示す図。
【
図11】MCF-7細胞増殖に対するTMX-2 IgG 配列番号3の効果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるプロセスは、インビボ過程を模倣することによる、ヒト血液細胞からの真の完全ヒトモノクローナル抗体の産生からなる。
【0024】
本発明によるプロセスは、例えばc-met及びTMX-2などの所定の抗原に対する、好ましくはヒト抗体の産生のためのプロセスであって、
a)好ましくは血液から、末梢血単核細胞を単離するステップ;
b)単離された前記末梢血単核細胞から単核細胞を作製するステップ;
c)作製された前記単核細胞から未成熟樹状細胞を作製するステップ;
d)好ましくは血液から、CD4+細胞及びCD19+細胞を単離するステップ;
e)任意選択で、前記所定の抗原で、少なくとも、作製された前記未成熟樹状細胞をパルスするステップ;
f)前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を共培養するステップ;
g)少なくとも前記所定の抗原で、少なくとも、共培養された前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞をパルスするステップ;
h)前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞をさらに共培養することにより、前記未成熟樹状細胞から成熟樹状細胞を作製するステップ;
i)プラズマ細胞の形成を誘導するステップ;
j)形成された前記プラズマ細胞においてIgクラススイッチを誘導するか又は誘導しないステップ
を含むプロセスを一般に提供する。
【0025】
本発明によるプロセスの最初のステップでは、例えば体液などの身体試料由来の、好ましくは血液由来の末梢血単核細胞である。好ましい実施形態では、前記末梢血単核細胞(PBMC)は、EDTAを保有するバキュティナ(vacutainers)中で、例えば、新たに収集した血液試料から、密度勾配遠心分離法を使用して単離することができる。密度勾配遠心分離法において使用するのに適した分離溶液は、商標BIOCOLLを付したVWRから入手することができる。密度勾配遠心分離後、末梢血単核細胞を含む細胞ペレットを、例えば、10%のウシ胎仔血清(FBS)、200mMのLグルタミンを補ったRPMI培地などの細胞培養培地に再懸濁することができる。細胞数及び生存率はトリパンブルー色素排除により測定することができる。
【0026】
それに続くステップb)では、単離された前記末梢血単核から単核細胞を作製するために、上述したようにして単離された前記末梢血単核細胞を、細胞培養培地においてインキュベートする。好ましい実施形態では、単核細胞を作製するために、前記末梢血単核細胞を、特に単核細胞の付着まで、37℃、5%CO2で細胞培養培地においてインキュベートした。
【0027】
次のステップc)では、前もって作製された前記単核細胞から、未成熟樹状細胞を作製する。単核細胞の付着を生じる前記インキュベーション期間後、上澄みを収集して、付着した単核細胞を、温リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。好ましい実施形態では、前記単核細胞を、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及びインターロイキン4(IL-4)の存在下で、未成熟樹状細胞が作製されるまでインキュベートした。前もって作製された前記単核細胞からの前記未成熟樹状細胞の作製に最適な条件を提供するため、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)とインターロイキン4(IL-4)の両方を、2日毎に培養培地と共に補充した。培養物は、それをステップd)で得られるCD4+細胞及びCD19+細胞の培養物と組み合わせるまで保管した。
【0028】
次のステップd)では、CD4+細胞及びCD19+細胞を、例えば体液などの身体試料から、好ましくは血液から単離した。好ましい実施形態では、前記CD4+細胞は、抗ヒトCD4磁気ビーズを使用して単離することができる。遠心分離後、抗ヒトCD4磁気ビーズのペレットを、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含有するRPMI培養培地に再懸濁し、上澄みを保管しておく。細胞数及び生存率はトリパンブルー色素排除により測定することができる。
【0029】
保管しておいた前記上澄みと抗ヒトCD19磁気ビーズとを加えて、遠心分離によりCD19+細胞を単離する。遠心分離後、抗ヒトCD19磁気ビーズのペレットを完全培地で再懸濁した。細胞数及び生存率はトリパンブルー色素排除により測定することができる。
【0030】
共培養の日、未成熟樹状細胞(iDC)をペプチドでパルスする間、CD4+細胞及びCD19+細胞を、前に記載したのと同じ方法を使用して、新たに収集した全血試料から単離した。このようにして、ステップc)又はステップe)から作製された前記未成熟樹状細胞を、ステップd)で単離された前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞と組み合わせて、ステップf)の共培養物とした。
【0031】
任意選択の次のステップe)では、これはステップd)と同時に進めてもよいが、作製された前記未成熟樹状細胞を、所定の抗原でパルスする。好ましい実施形態では、前記未成熟樹状細胞は、おおよそ少なくとも4時間の期間、又は4時間から10時間の間、又は10時間の間、所定のペプチドでパルスする。
【0032】
c-metに対する抗体を得る場合には、前記抗原は、全c-metタンパク質と同じ免疫原性を有する、配列番号1に記載の9-merであり、これが使用される。抗原として9残基の短い配列を選択することにより、ポリクローナル抗体生成の可能性が減少する。前記抗原は、固相ペプチド合成などのペプチド合成技術により得ることができる。前記抗原は、疎水性鎖を有する4つのアミノ酸、極性非電荷側鎖を有する3つのアミノ酸、正電荷を有する1つのアミノ酸及びグリシンからなる。配列番号1に記載の抗原は、H-VLPEFRDSY-OHの配列を有する。
【0033】
TMX2に対する抗体が得られる1つのケースは、前記抗原が配列番号2に記載の9-merである場合である。前記抗原は86位~95位でのTMX2アミノ酸配列に基づいており、これは、免疫原性の増強のためにアミノ酸87(Glu)をGlnで置換することにより改変される。前記抗原は、固相ペプチド合成などのペプチド合成技術により得ることができる。配列番号2に記載の抗原は、H-VQQHIGNIF-OHの配列を有する。
【0034】
TMX2に対する抗体が得られる別のケースは、前記抗原が配列番号3に記載の9-merである場合である。前記抗原は、173位~181位でのTMX2アミノ酸配列に基づいている。抗原は、固相ペプチド合成などのペプチド合成技術により得ることができる。配列番号3に従った抗原は、H-FAPIYADLS-OHの配列を有する。
【0035】
未成熟樹状細胞を作製し、任意選択で、前記未成熟樹状細胞を既定の抗原を用いてパルスした後、並びにCD4+細胞及びCD19+細胞を単離した後、前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を組み合わせて、ステップf)において共培養する。好ましい実施形態では、CD4+細胞に対する及びCD19+細胞に対する未成熟樹状細胞の比は、CD4+細胞及びCD19+細胞の数が、未成熟樹状細胞の数に関して過剰に存在している、及び/又は、CD4+細胞及びCD19+細胞の数が、おおよそ同じであるようにする。例として、CD4+細胞に対する及びCD19+細胞に対する、未成熟樹状細胞の適切な数の比は、1対10対10である。好ましい実施形態では、前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞は、適切な培養培地、好ましくは10%のウシ胎仔血清(FBS)、200mMのLグルタミンを補った、より好ましくは、GM-CSF、IL-4、TNFα、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMをさらに含む、RPMI培養培地で共培養される。10%のウシ胎仔血清(FBS)、200mMのLグルタミンを補った例示的なRPMI培養培地は、100ng/mlのGM-CSF、50ng/mlのIL-4、5ng/mlのTNFα、1μg/mlのsCD40L、150ng/mlのIL-6、50ng/mlのIL-21、100ng/mlのIL-10、及び5μg/mlのIgMを有することができる。例えば、任意に10%のウシ胎仔血清(FBS)及び200mMのLグルタミンを補ったRPMI培養培地などの適切な培養培地は、GM-CSF、IL-4、TNF-α、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMの組合せを、約50~200ng/mlのGM-CSF、2~100ng/mlのIL-4、1~100ng/mlのnTNF-α、0.5~50μg/mlのsCD40L、50~500ng/mlのIL-6、1~200ng/mlのIL-21、30~300ng/mlのIL-10及び1~50μg/mlのIgMで含んでもよい。ステップf)において所与の培養培地が使用される場合、同じ培養培地が、少なくとも後に続くステップg)からj)まで使用されるのが好ましいと理解される。
【0036】
次のステップg)では、共培養されている前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を、少なくとも前記所定の抗原でパルスする。好ましい実施形態では、前記抗原は、任意選択で10%のウシ胎仔血清(FBS)及び200mMのLグルタミンを補った、より好ましくは、GM-CSF、IL-4、TNF-α、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMをさらに含むRPMI培養培地に、好ましくはおおよそ10μg/mlの濃度で添加される。前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を共培養する最初の日のうちは、前記抗原は、おおよそ10μg/mlの濃度で添加されるのが好ましい。
【0037】
次のステップh)では、好ましくは前記未成熟樹状細胞、前記CD4+細胞及び前記CD19+細胞を、任意選択で10%のウシ胎仔血清(FBS)及び200mMのLグルタミンを補った、より好ましくはGM-CSF、IL-4、TNF-α、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMをさらに含むRPMI培養培地において、成熟樹状細胞が作製されるまで共培養することにより、前記未成熟樹状細胞から成熟樹状細胞を作製した。共培養中、CD4+細胞及びCD19+細胞は活性化される。
【0038】
任意選択で10%のウシ胎仔血清(FBS)及び200mMのLグルタミンを補った、より好ましくは、GM-CSF、IL-4、TNF-α、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMをさらに含むRPMI培養培地では、各成分は以下のように使用される。GM-CSFは未成熟樹状細胞の成熟化、抗原プロセシング及び抗原提示のために使用される。IL-4は未成熟樹状細胞の成熟化、マクロファージ成長の阻害、Th2応答及び高MHCII発現のために使用される。TNF-αは樹状細胞の炎症性メディエーターとして及びT細胞活性化、Th2分化、MHCII上方調節のために使用された。sCD40Lは、樹状細胞において、抗原提示、MHCII上方調節、及び生存上昇のために、T細胞プライミング及びCD4エクスパンション(CD4 expansion)のために、並びにCD19+細胞増殖のために使用された。炎症性メディエーターであるIL-6は、リンパ球分化及び細胞生存/細胞増殖のために使用された。IgMは、その同種抗原へのBCR結合を模倣し、IL-10及びIL-21は、IgGクラススイッチのために使用された。DC成熟化におけるGM-CSF、IL-4及びTNF-αの役割を指摘する研究がいくつかなされている(Motta MR, Castellani S, Rizzi S, Curti A, Gubinelli F, Fogli M, Ferri E, Cellini C,Baccarani M, Lemoli RM (2003) Generation of dendritic cells from CD14+ monocytespositively selected by immunomagnetic adsorption for multiple myeloma patientsenrolled in a clinical trial of anti-idiotype vaccination. British Journal of Haematology,2003, 121, 240、及びZheng Z, Takahashi M, Narita M, Toba K, Liu A, Furukawa T, Koike T, Aizawa Y. (2000). Generation of dendritic cells from adherent cells of cord blood by culture with granulocyte-macrophage colony-stimulating factor, interleukin-4, and tumor necrosis factor-alpha. J Hematother Stem Cell Res;9(4):453参照。)。しかし、GM-CSF及びIL-4に関する2段階成熟過程は未成熟樹状細胞も生じた。
【0039】
未成熟樹状細胞、CD4+細胞及びCD19+細胞の共培養は、後述する抗原及び因子を使用して行う。要約すると、以下の通りである。GM-CSFは樹状細胞成熟化、抗原プロセシング及び抗原提示のために使用された。IL-4は樹状細胞(DC)成熟化、マクロファージ成長の阻害、Th2応答及び高MHCII発現のために使用された。TNF-αは樹状細胞(DC)の炎症性メディエーターとして及びT細胞活性化、Th2分化、MHCII上方調節のために使用された。sCD40Lは、樹状細胞(DC)において、抗原提示、MHCII上方調節、及び生存上昇のために、T細胞プライミング及びCD4エクスパンション(CD4 expansion)のために、並びにCD19+細胞増殖のために使用された。炎症性メディエーターであるIL-6は、リンパ球分化及び細胞生存/細胞増殖のために使用された。IgMは、その同種抗原へのBCR結合を模倣し、IL-10及びIL-21は、IgGクラススイッチのために使用された。
【0040】
次のステップi)では、プラズマ細胞形成が誘導され、特に未成熟樹状細胞、CD4+細胞及びCD19+細胞の共培養において、前記CD19+細胞が、プラズマ細胞を形成する。本発明によるプロセスで使用される抗原に応じて、プラズマ細胞は、既定の抗原に対する純粋な完全ヒトモノクローナル抗体を分泌する。
【0041】
次のステップj)では、Igクラススイッチを誘導することができ、特に、前記形成されたプラズマ細胞において誘導することができる。Igクラススイッチは、プラズマ細胞において望ましくないIg遺伝子を削除させるので、所望の遺伝子のみを発現することができる。CD19+細胞などのB細胞は、その表面でIgM/IgDを発現するが、活性化された後は、T細胞が受け取る刺激に応じて、IgA、IgE、IgGを発現させる又はそのIgM発現を保持することができる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、プラズマ細胞においてIgG発現に向けてIgクラススイッチを誘導するのが有利になることがある。任意選択で10%のウシ胎仔血清(FBS)及び200mMのLグルタミンを補った、より好ましくは、GM-CSF、IL-4、TNF-α、sCD40L、IL-6、IL-21、IL-10及び抗ヒトIgMをさらに含むRPMI培養培地では、IgGクラススイッチを促進するために、IL-10及びIL-21を共培養物に添加した。
【0042】
さらなるステップk)では、前記抗体を産生するプラズマ細胞を、がん細胞株との融合により不死化することができる。プラズマ細胞を不死化するためには、共培養物から作製された前記プラズマ細胞を、CD138-PEを使用してフローサイトメトリーにより単離し、次にHUNS1細胞に融合し得る。例として、CD138陽性プラズマ細胞を、HUNS1細胞の数のおおよそ10倍で添加することができ、融合は、製造業者であるSigma社のプロトコルに従って、50%PEG溶液を使用して行うことができる。最後に、融合された細胞は、IgG分泌がなくなるまで10%のウシ胎仔血清(FBS)、200mMのLグルタミンを補ったRPMIにおいて成長させておいた。
【0043】
好ましい実施形態では、単離される細胞は自己細胞であり、これは特に、抗体が治療的な状況で使用される場合に有利である。なぜならば、その場合、前記抗体も自己であると見なされ得るからである。
【0044】
そして、本発明の抗体は、例えば物理化学的分別又は親和性精製などの、しかしこれらに限定されない当技術分野で周知である技術を使用して、ステップj)又はk)の後に単離してもよい。
【0045】
本発明の抗体を使用すれば、例えば血液試料中などの生体試料中において異常なc-met及びTMX2発現が観察される、悪性腫瘍の存在を検出することができる。前記抗体を使用すれば、がんなどの増殖性疾患により妨害されている又は苦しめられていると疑われる患者の血液試料などの生体試料で見出されるヒトc-met及びヒトTMX2を検出し、そしてその障害又は疾患が異常なc-met及びTMX2発現と関連しているのかどうかを迅速に容易に判定することができる。抗体を使用して、特定の抗原の有無を定性的に及び定量的に判定するための試薬及び技法は当技術分野では周知である。例としては、例えば、ELISA及びウェスタンブロッティングである。
【0046】
本発明の抗体をこのようにして使用すれば、本発明の抗体を使用してがんを診断することができる。本発明の抗体は、c-met及び/又はTMX2の異常な発現に関する、がん診断法において又は任意の疾患の診断において使用することができる。なぜならば、本発明の抗体は、前述のがんのマーカーに特異的に結合するからである。本発明のモノクローナル抗体は、c-met及び/又はTMX2の過剰発現を示すがん細胞の増殖を制限することがさらに分かった。c-met及び/又はTMX-2の発現レベルは、c-met及び/又はTMX2に特異的なプライマーを使用するqPCRによって判定してもよく、ここでは、例えば18SrRNAなどのハウスキーピング遺伝子を使用するLivak法に従って相対的定量化を実施した。本発明という文脈では、異常発現は過剰発現と互換的に使用される。
【0047】
本発明の抗体は、がんの診断において、特に悪性若しくは良性の乳がんにおいて又は疾患進行のモニタリングにおいて、バイオマーカーとして使用することができる。
【0048】
本発明のさらなる実施形態では、本発明の抗体は、粒子、小分子又は薬物にコンジュゲートし得る抗体コンジュゲートを形成することもできる。抗体コンジュゲートは、腫瘍イメージング及び検出、及び/又は標的薬物送達及び/又は温熱療法などの他の治療介入において使用することができる。
【0049】
本発明の抗体は、c-met及び/又はTMX2発現ががん形成及び/又は進行に関与している悪性腫瘍を予防する及び/又は処置するための医薬組成物中の活性成分として使用することができる。
【0050】
本発明の抗体は、c-met及び/又はTMX2タンパク質に関する疾患を予防する及び/又は処置するために使用することもできる。
【0051】
本発明の抗体を使用すれば、c-met及びTMX2の発現異常が関与しているがん細胞の異常及び転移により引き起こされる細胞増殖を減少させることによりがんを予防する及び/又は処置することができる。
【0052】
本発明の抗体を使用すれば、c-met及びTMX2の発現異常により引き起こされる細胞増殖を減少させることによりc-met及びTMX2タンパク質に関する疾患を予防する及び/又は処置することができる。
【0053】
本発明は、ヒトc-met及びTMX2に対する抗体を提供する。本発明の抗体を使用すれば、c-met及びTMX2の有無を容易に且つ確実に検出することが可能である。したがって、本発明は医療診断及び処置の分野で有用である。さらに、本発明の抗体は、がん診断及び処置などの医薬品の分野でも使用することができる。なぜならば、本発明の抗体は、c-met及びTMX2に関連するがん細胞の機能に影響を与えるからである。
【0054】
実験データ
IgGの判定
ELISAによるIgG分泌
分泌されたIgGは、ヒトIgG Elisa定量セット(Bethyl社製)により製造業者の使用説明書に従って判定した。簡潔に言えば、既知の濃度のヒト血清IgGを使用して標準曲線を作図した。それぞれの上澄み100μlを使用し、得られた標準曲線に基づいて、IgG濃度を算出した。使用した抗体はヒトIgGと特異的に反応し、他のヒト免疫グロブリン又は他のヒト血清タンパク質とは反応しない。吸光度は、uQuant Elisaマイクロプレート分光光度計を使用して450nmで読み取った。TMX2抗体についても同様に、同じプロトコルを使用した。ng/mlでのIgG濃度は、既知の濃度のヒトIgGに基づいてElisa免疫アッセイを使用して決定した。共培養上澄み中の平均IgG濃度は、4ng/mlであることが分かった。TMX2では、IgG濃度は50ng/mlであった。
【0055】
ウェスタンブロットによるIgG分泌
次に、IgG分泌は標準ウェスタンブロットを使用して上澄みにおいて判定した。電気泳動後、試料はニトロセルロース膜上に転写した。膜はトリス緩衝生理食塩水(TBS)/Tween 20中において、5%ウシ血清アルブミン(BSA)で1時間ブロッキングし、次にヤギ抗ヒトIgG抗体を用いてプローブした。トリス緩衝生理食塩水(TBS)/Tween 20で洗浄後、適切な抗ヒトIgG-AP二次抗体と共に、膜をインキュベートした。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/Tweenで膜を再び洗浄し、発色現像が生じるまで、BCIP/NBT溶液を使用してシグナルを検出した。Image Labソフトウェアを使用して結果を検出し分析した。IgGの検出可能レベルは、抗体分泌を示す共培養上澄みにおいて見出した。
【0056】
IgG RNA発現-PCR
細胞由来の全RNAはRNeasyミニキットを使用して抽出し、DNA除去はDNaseを使用して実施した。試料は分光光度法で評価した。次に、1μgのそれぞれのRNA試料を、PrimeScript RT試薬キットを使用するcDNA合成用の鋳型として使用した。次に、リアルタイムqPCRを、KAPA SYBR Fast Master Mix(2×)Universalを使用して実施した。マーカーごとの特異的プライマー及び参照遺伝子(ACTB)は、Gene Expression 1.1ソフトウェアを使用して設計した。プライマー配列はBLASTサーチングにより評価して、望ましくない遺伝子を増幅すると考えられる配列を排除した(表1)。PCRプログラムは以下の通りである:95℃で3分間最初の変性、95℃で5秒間の変性を40サイクル、続いて59℃で10秒間のアニーリング。融解曲線分析は、それぞれのステップで、5秒間で0.5℃単位で、70℃から90℃まで実施した。qPCR産物をアガロースゲル上に流して結果を確認した。IGHG遺伝子発現に関しては、共培養の第1週中のほうが高く、第2週中に85%まで減少した。
【0057】
抗c-met活性の判定
ELISAにより
抗c-met試料の活性を、ELISAにより、市販の抗体と比較して決定した。簡潔に言えば、96ウェルプレートを、炭酸塩/重炭酸塩バッファー中でc-metタンパク質と共にインキュベートし、4℃で一晩インキュベートした。ウェルは洗浄バッファーで洗浄し、ブロッキングバッファーでブロッキングした。次に、100μlの上澄み又はc-met市販抗体を、それぞれのウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。ウェルは洗浄バッファーで洗浄し、HRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG抗体又はHRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体を添加した。次に、ウェルを洗浄バッファーで洗浄した。100μlのTMB基質溶液をそれぞれのウェルに添加し、暗所で30分間インキュベートした。反応は100μlの停止溶液を添加することにより停止させ、吸光度は、uQuantマイクロプレート分光光度計を使用して、450nmで測定した。TMX2抗体についても同様に、同じプロトコルを使用した。c-metタンパク質に対する共培養抗体を用いた吸光度は、同じ濃度のc-metに対する市販の抗体の吸光度と比較して決定した。結果は、100%最適結合効率として、市販の抗体の吸光度を使用して算出した。共培養抗体(Ab)の平均結合効率は12.7%であった。TMX2では、結合効率は20%であった。
【0058】
ウェスタンブロットにより
5μgの組換えヒトc-metタンパク質を前述したのと同じように変性し電気泳動した。移動は10Vで1時間実施し、1時間ブロッキングした後、ブロッキングバッファーにおける培養上澄み(1対50)又は市販のヒトHGFR/c-metヤギポリクローナル抗体(Ab)により、膜をインキュベートした。インキュベーションは4℃で一晩実行した。適切なAP二次抗体を使用し、Image Labソフトウェアを使用して結果を分析した。本発明の抗体がシグナルバンドを生じるのに対して、市販のポリクローナル抗体は多数の部位を認識する。
【0059】
抗c-met IgGの産生
抗体産生が可能であるプラズマ細胞作製では、最初の未成熟樹状細胞を単核細胞から作製し、適切なペプチドでパルスした。次に、未成熟樹状細胞を、CD4細胞及びCD19細胞の存在下で完全に成熟させた。CD4細胞は活性化し、CD19細胞は抗体産生プラズマ細胞に形質転換した。全手順の間中、細胞は、炎症性環境を模倣しIgGクラススイッチを促進する成長因子の存在下でインキュベートした。本発明の手順の概略図を
図8に示す。
【0060】
培養上澄みからc-met IgG抗体を単離するため、アフィニティークロマトグラフィーを使用した。最初に収集された試料を、細胞培養で使用した特定の9-merペプチドをカラムに装填したEpiMAXアフィニティー精製キットの中を通過させた。精製は製造業者の使用説明書通りに実施した。c-met陽性溶離液は、IgG単離のために、直ちに、製造業者が示すプロトコル通りにMAb Trapキットの中を通過させた。得られた溶離液は抗c-met IgG 抗体(Ab)を含有していた。
【0061】
フローサイトメトリーにより
溶離したIgG/c-met陽性試料から採取した2mlを、200μlに濃縮するまで非熱、低乾燥速度で4時間スピードバック(speed vac)した。microBCAにより測定されたタンパク質含有量は12μg/mlであった。100μlはウェスタンブロットによるc-metタンパク質検出のために使用し、200μlはフローサイトメトリー用に使用した。簡潔に言えば、Abcam社製FITCコンジュゲーションキットを製造業者の使用説明書に従って使用して、200μlの濃縮試料をFITCにコンジュゲートした。次に、コンジュゲートした抗体(Ab)は、フローサイトメトリー分析用に使用した。
【0062】
フローサイトメトリーでは、それぞれの処置について105のMDA-MB-231細胞を使用した。細胞は500gで10分間遠心分離し、5μlの抗hHGFR/c-MET-PE市販抗体か又は200μlの上澄み-FITCをペレットに添加した。非染色細胞は対照例としての役目を果たした。暗所での30分間のインキュベーション後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に0.5%のウシ胎仔血清(FBS)を溶解させた溶液3mlをそれぞれのバイアルに添加して、500gを5分間遠心分離した。上澄みは破棄し、ペレットを0.5mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁した。本発明の抗体が19%のイベントを検出したのに対して、市販の抗体(Ab)は22.19%のイベントを検出した。
【0063】
ウェスタンブロットにより
クロマトグラフィーカラムから得られた精製上澄みをウェスタンブロット実験の一次抗体として使用した。5μgのc-metタンパク質を10%のポリアクリルアミドゲルに流した。全体の手順は既に述べた通りに実施した。上澄みは、ブロッキングバッファーに1対50の割合で希釈した。結果はImage Labソフトウェアを使用して分析した。本発明の抗体は、やはり1つのc-metバンドだけを検出しており、抗体の高い選択性を実証している。
【0064】
融合
融合したCD138陽性細胞及びHUNS1からの上澄みを毎週収集し、c-met検出のために、Elisa及びウェスタンブロットを使用して同様に試験した。
【0065】
Elisaにより
100μlの融合上澄みを、既に述べた通りにElisaを使用して、c-met活性について試験した。融合抗体(Ab)の平均結合効率は9.3±3.8%ng/mlであった。融合細胞におけるIgG判定は、HUNS1が同様にIgGを分泌するという事実が原因で、行うことが出来なかった。
【0066】
ウェスタンブロットにより
融合培養物から採取した上澄みは、既に記載したように、ウェスタンブロット実験の一次抗体として使用した。この場合も先と同様に、本発明の抗体は、c-metについて1つのバンドを検出した。
【0067】
抗体の生物学的活性
MCF-7細胞株を使用して抗体効率を試験した。細胞増殖に対する産生抗体の効果はMTTアッセイにより分析した。簡潔に言えば、10,000細胞/ウェルを、96ウェル組織培養プレートのそれぞれのウェルに添加し、付着させるために一晩放置した。細胞は、数週間連続で収集した融合CD138上澄みの存在下又は非存在下で肝細胞増殖因子(HGF)100ng/mlを用いて24時間処理した。インキュベーション期間後、20μl(5mg/ml)MTT試薬を添加し、ホルマザン結晶形成までインキュベーター内に3時間放置した。結晶は100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)の添加により溶解させ、uQuant Elisa Readerを使用して、吸光度を570nmで読み取った。細胞生存率は、非処理の対照群と比較した、処理群における生存細胞の割合として表した。上澄み単独で、MCF-7の増殖において有意な減少が生じた(対照対融合上澄み、100±3.4%対55.3±3.3%、p=0.000005)。肝細胞増殖因子(HGF)の添加は、高い細胞密度が原因で、おそらく細胞増殖に影響を与えなかったが、肝細胞増殖因子(HGF)の存在下での融合上澄みの添加により、細胞増殖において有意な減少が生じた(肝細胞増殖因子(HGF)対肝細胞増殖因子(HGF)+融合上澄み、97.3±1.5%対65.1±3.9%、p=0.00015)。
【0068】
TMX2に関する限り、細胞は、分泌されたTMX2 IgGを含有する共培養上澄み(培地で1対4に希釈、200μlの全容積/ウェル)で24時間処理した。TMX2抗体は2つの別個の実験(TMX2抗体(TMX2 Ab)_実験1、TMX2抗体(TMX2 Ab)_実験2)から採取した。 インキュベーション期間後、20μl(5mg/ml)MTT試薬を添加し、ホルマザン結晶形成までインキュベーターの内部に3時間放置した。結晶は100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)の添加により溶解させ、uQuant Elisa Readerを使用して、吸光度を570nmで読み取った。細胞生存率は、非処理の対照群と比較した、処理群における生存細胞の割合として表した。両実験から得られる上澄みは、細胞増殖を有意に減少させた(対照対TMX2抗体(TMX2 Ab)_実験1、100±5%対80.5±1.8%、p=0.004;対照対TMX2抗体(TMX2 Ab)_実験2、100±5%対84.3±2.4%、p=0.018)。
【0069】
図1に、IL-4処理(対照例)、従前のプロトコル及び新しい改良されたプロトコルの、共培養上澄みにおけるウェスタンブロットを使用するIgG検出の結果を示す。従前のプロトコル及び対照細胞の両方と比較して、新しいプロトコルの上澄みでは、IgGレベルが増加している。
図1の右から左へ順に説明する。
レーン1:分子量マーカー(santacruz社製)
レーン2:対照上澄み
レーン3:従前のプロトコル上澄み
レーン4:改良されたプロトコル上澄み
【0070】
図2aに、qPCR結果を示す。
図2(a)は、2つの異なる期間(1週目及び2週目の終わり)でのIGHG遺伝子発現についてのqPCRの比較データである。試料はLivak法を用いて1週目試料に正規化し、ACTBは参照遺伝子として使用した。
図2bに、qPCR結果を示す。
図2(b)は、最適IGHG遺伝子発現が見出された1週目での種々のIGクラス発現のqPCR比較データである。試料はLivak法を用いてIGHG遺伝子発現に正規化し、ACTBは参照遺伝子として使用した。IGHGはベースライン0と見なされる。したがって、IGHGのバーはグラフ上で見えていない。
【0071】
図3に、種々の実験から得られた共培養上澄みを使用する、ウェスタンブロットによるc-metタンパク質検出の結果を示す。市販のc-metポリクローナル抗体も比較用に使用した。c-met濃度はすべての処理で同じであった。
図3の右から左へ順に説明する。
レーン1:分子量マーカー(BioRad社製)
レーン2:市販のポリクローナル抗体
レーン3~6:種々の実験から得られた共培養上澄み
【0072】
図4に、PE市販抗体と本発明者らのFITCHコンジュゲート精製抗c-met IgGの両方を用いたc-met発現の判定に、MDA-MB-231細胞を使用した結果を示す。市販の抗体は22.19%の陽性のイベントを検出し、本発明者らのFITCH精製抗体は19.02%を検出している。両試料が含有する細胞数は、等しい数であった。
【0073】
図5a、
図5bに、本発明者らの精製抗c-met IgG抗体を使用したc-metタンパク質検出の結果を示す。市販の抗体も使用したが、検出可能な種々のバンドをより良好に視覚化するために、c-metタンパク質濃度を増やした。
図5aの右から左へ順に説明する。
レーン1:分子量マーカー(santacruz社製)
レーン2~5:種々の精製抗c-met IgG抗体調製物
図5bの左から右へ順に説明する。
レーン1:分子量マーカー(santacruz社製)
レーン2:精製抗c-met IgG抗体調製物
レーン3:認識されたすべての種々のバンドを識別するために、c-metタンパク質を過剰に使用した市販のポリクローナル抗体
【0074】
図6に、融合されたCD138上澄みを使用したc-metタンパク質検出の結果を示す。本発明者らの抗体は、市販のポリクローナル抗体とは対照的に、変性c-metタンパク質の単一のバンドを検出することができる。
図6の右から左へ順に説明する。
レーン1:分子量マーカー(BioRad社製)
レーン2~4:種々の融合されたCD138上澄み
レーン5:市販の抗体
レーン6~9;種々の融合されたCD138上澄み
【0075】
図7に、24時間インキュベーション後のMCF-7細胞増殖に対する、c-met IgGを含有するCD138上澄みの効果を示す。細胞は、上澄みの存在下又は非存在下において、肝細胞増殖因子(HGF)でも処理した。結果を対照例と比べた%生存細胞として表す。
(対照例)対(融合された上澄み) p=0.000005、(肝細胞増殖因子(HGF))対(肝細胞増殖因子(HGF)+融合された上澄み) p=0.00015。
【0076】
図9に、24時間インキュベーション後のMCF-7細胞増殖に対する、TMX-2 IgGを含有する共培養上澄みの効果を示す。結果を対照例と比べた%生存細胞として表す。
(対照例)対(実施例1のTMX-2抗体) p=0.004
(対照例)対(実施例1のTMX-2抗体) p=0.018
【0077】
図10に、 MCF-7細胞増殖に対するTMX-2 配列番号2の効果を示す。バーは、平均±SEMを表す。
(対照例)対(TMX 0.1%):100対100.9、p値=NS
(対照例)対(TMX 0.5%):100対1005.9、p値=0.0007
(対照例)対(TMX 1%):100対101.1、p値=NS
(対照例)対(TMX 10%):100対114.7、p値=0.0001
【0078】
図11に、MCF-7細胞増殖に対するTMX-2 IgG 配列番号3の効果を示す。結果を対照例と比べた%生存細胞として表す。
(対照例)対(0.5% TMX) p=0.03
(対照例)対(0.1% TMX) p=0.0006
(対照例)対(0.05 % TMX) p=0.01
【配列表】
【国際調査報告】