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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】電気作動式自転車の駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/55 20100101AFI20220111BHJP
   B62K 19/34 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B62M6/55
B62K19/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528340
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2019080922
(87)【国際公開番号】W WO2020104239
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018219898.5
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ベーンケ,カイ・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジークムント
(72)【発明者】
【氏名】デリング,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト,シュテファン
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BK04
(57)【要約】
本発明は、ハウジング(3)を備える電気駆動部(2)と、ハウジング(3)に取り付けられ、自転車のフレーム部材(4)に取り付けられるように設置されている、少なくとも1つの第1の取付部品(11)および第2の取付部品(12)と、を含み、第1の取付部品(11)は、電気駆動部の第1の側面(15)に配置されており、かつ、第2の取付部品(12)は、電気駆動部の、第1の側面(15)と対向する第2の側面(16)に配置されている、電気作動式自転車の駆動装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ハウジング(3)を備える電気駆動部(2)と、
- 前記ハウジング(3)に取り付けられ、前記自転車のフレーム部材(4)に取り付けられるように設置されている、少なくとも1つの第1の取付部品(11)および第2の取付部品(12)と、を含み、
- 前記第1の取付部品(11)は、前記電気駆動部の第1の側面(15)に配置されており、かつ、
- 前記第2の取付部品(12)は、前記電気駆動部の、前記第1の側面(15)と対向する第2の側面(16)に配置されている、
電気作動式自転車の駆動装置。
【請求項2】
前記第1の取付部品(11)および前記第2の取付部品(12)は、第1の貫通開口部(11a、11b;12a、12b)および第2の貫通開口部(11c、11d;12c、12d)を有し、前記第1の貫通開口部は、接続部品(7)を収容するように設置されており、前記接続部品(7)は、前記第1および第2の取付部品(11、12)を前記フレーム部材(4)に取り付け、かつ、前記第2の貫通開口部は、接続部品を収容するように設置され、前記接続部品(7)は、前記第1および第2の取付要素(11、12)を前記ハウジング(3)に取り付けるように設置されている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1および第2の取付要素(11、12)は、それぞれ平板部材、特に板金であり、移行領域(23)を介して互いに接続されている、少なくとも1つの第1の平面領域(21)および第2の平面領域(22)を有し、前記第1および第2の平面領域(21、22)は互いに平行である、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記フレーム部材(4)と接続するために設置されている全ての第2の貫通開口部(11a、11b;12a、12b)は、前記第1の平面領域(21)に配置されており、かつ、前記電気駆動部(2)の前記ハウジング(3)と接続するために設置されている全ての第1の貫通開口部(11c、11d;12c、12d)は、前記第2の平面領域(22)に配置されている、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記取付部品の数は偶数であり、好ましくは、正確には2つの取付部品を含み、特に正確には4つの取付部品を含み、さらに特に正確には6つの取付部品を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1および/または第2の取付部品(11、12)は、前記ハウジング(3)から部分的に突出し、それらの間に、前記電気駆動部(2)と、前記自転車の蓄電池との電気接続が行われる収容空間を画定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記自転車のクランクシャフト(5)の中心軸(50)に対して平行の平面視で、各取付部品(11、12、13、14)と前記ハウジング(3)との間には、50%超、特に60%超、さらに特に約75%の範囲のオーバーラップがある、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記取付部品(11、12、13、14)にナット(6)が配置されているか、または前記取付部品の少なくとも1つの貫通開口部が内ねじを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
また、前記取付部品(11、12、13、14)と前記ハウジング(3)との間、および/または前記取付部品(11、12、13、14)と前記フレーム部材(4)との間、に配置された減衰要素(60)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記減衰要素(60)は、非弾性基体(61)と弾性緩衝体(62)とを含む分離ナットであり、前記弾性緩衝体(62)は、前記非弾性基体(61)に配置されており、かつ円筒状の内部領域を有し、前記円筒状の内部領域は、接続部品(7)を収容し、固定するために設置されている、請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記第1および/または第2の取付部品は、前記分離ナットを収容するための貫通開口部においてクラウン(17)を有する、請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
また、ばね要素(9)、特にばね板を含み、前記ばね板は、前記第1および/もしくは第2の取付部品(11、12)と前記ハウジング(3)との間、ならびに/または前記第1および/もしくは第2の取付部品(11、12)と前記フレーム部材(4)との間、に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記ばね要素は、前記取付部品の外郭に対応する外郭を有する、請求項12に記載の駆動装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の駆動装置(1)を含む自転車、特にペデレックまたはSペデレック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気作動式自転車の駆動装置、およびそのような駆動装置を有する自転車、特にペデレックまたはSペデレックに関する。
【背景技術】
【0002】
近ごろ、筋力および/または電気補助駆動によって作動可能な自転車が、ペデレックおよびSペデレックの形態で普及してきている。ここで、特に、自転車のクランクシャフトの領域に電気駆動部を配置する、いわゆるミッドエンジンコンセプトが定着している。電気駆動部は、フレームに一体化された固定フレーム・インターフェースを介してフレームに取り付けられている。電気駆動部は、通常、ねじを介してフレーム部材に直接固定される。このような簡易性から、この原理の有効性の実証はおのずとなされている。しかし、ここでさらなる改善が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一方で、請求項1の特徴を有する、本発明にかかる電気作動式自転車の駆動装置は、様々に異なるフレーム形状への連結が容易な手段で実現可能であるという利点を有する。ここでは、本発明によれば、ハウジングを有し、規格化された電気駆動部を使用でき、少なくとも1つの第1の取付部品および第2の取付部品を介して適合される。取付部品は、電気駆動部のハウジングに取り付けられ、自転車のフレームに取り付けられるように設置されている。それにより、様々に異なるフレームに対して個々の取付部品を選択し、これに応じて、規格化された電気駆動部のフレームへの連結部を設けることが可能である。その際、第1の取付部品は、電気駆動部の第1の側面に配置され、第2の取付部品は、電気駆動部の第1の側面と対向する第2の側面に配置されている。したがって、電気駆動部は、2つの側面、好ましくはその長手方向側面からフレームに固定することができ、異なるフレームに対して電気駆動部の適合されたハウジングをそれぞれ設ける必要がない。したがって、自転車メーカーは、電気駆動部とのインターフェースを自由に選択でき、電気駆動部をフレームに固定するために、取付部品を介した幾何学的な適合が行われる。
【0004】
従属請求項は、本発明の好ましい改善形態を示す。
【0005】
第1の取付部品および第2の取付部品は、第1の貫通開口部および第2の貫通開口部を有し、第1の貫通開口部は、接続部品を収容するように設置されており、接続部品は、第1および第2の取付部品をフレーム部材に取り付け、かつ、第2の貫通開口部は、接続部品を収容するように設置され、接続部品は、第1および第2の取付要素をハウジングに取り付けるように設置されている。
【0006】
好ましくは、第1および第2の取付要素は、それぞれ、移行領域を介して互いに接続される、少なくとも1つの第1および第2の平面領域を有する。その際、第1の平面領域は第1の平面内にあり、第2の平面領域は第2の平面内にあり、2つの平面は互いに平行である。その際、第1および第2の取付部品は、平板部材、特に板金状の平板部材である。互いにずらされた2つの平行な平面を有する平板部材を構成することにより、取付部品の良好な減衰作用が得られ得るため、第1および第2の取付部品を介して、電気駆動部のフレームからの分離が可能となる。その際、振動または揺動等は、特に2つの平面領域間の移行領域によって吸収され、減衰させることができる。
【0007】
好ましくは、各取付部品は、それぞれ第1の貫通開口部と第2の貫通開口部とを有する。その際、第1の貫通開口部は、電気駆動部のハウジングに取付部品を取り付ける接続部品、特にねじ等を収容するように設置されている。第2の貫通開口部は、第1および第2の取付部品を自転車のフレームに取り付けるための接続部品を収容するように設置されている。
【0008】
特に好ましくは、全ての第1の貫通開口部が第1の平面内の第1の平面領域に配置され、全ての第2の貫通開口部が第2の平面内の第2の平面領域に配置されている。それにより、第1および第2の取付部品によって、特に良好な減衰作用を得ることができる。
【0009】
特に好ましくは、駆動装置は、偶数の取付部品、特に正確には2つの取付部品、または正確には4つの取付部品、または正確には6つの取付部品を含む。その際、好ましくは、同数の取付部品が、駆動装置の一方の側面、特に長手方向側面にそれぞれ配置されている。取付部品は、好ましくはそれぞれ一体的に構成されている。好ましくは、取付部品は板金部品であり、特に好ましくはアルミニウム板金部品である。
【0010】
本発明のさらなる好ましい一実施形態によれば、第1および第2の取付部品は、それぞれ、ハウジングから部分的に突出し、それらの間に、電気駆動部と、フレームまたは自転車の別の部材に配置された蓄電池との電気接続が行われる収容空間を形成する。
【0011】
好ましくは、クランクシャフトの中心軸に対して平行の平面視で、第1および/または第2の取付部品と電気駆動部との間には、50%超、好ましくは60%超、特に好ましくは75%のオーバーラップがある。
【0012】
電気駆動部のハウジングは、好ましくは、マグネシウムおよび/またはマグネシウム化合物および/またはアルミニウムを含み、特に好ましくは、全体がマグネシウムまたはマグネシウム化合物またはアルミニウム製である。
【0013】
本発明のさらなる好ましい一形態によれば、ナット、特に圧入ナットが取付部品に固定されているか、または取付部品の少なくとも1つの貫通開口部が雌ねじを有する。これにより、部材間の容易なねじ接続が可能になる。
【0014】
また、本発明のさらなる好ましい一形態によれば、駆動装置は、取付部品とハウジングとの間および/または取付部品と自転車のフレームとの間に配置された減衰要素を含む。
【0015】
好ましくは、減衰要素は、非弾性基体と弾性緩衝体とを含む分離ナットである。弾性緩衝体は、非弾性基体に配置されており、円筒状の内部領域を有する。分離ナットの内部領域は、接続部品、特に固定ねじ等を収容し、固定するために設置されている。非弾性基体は、好ましくは取付部品と同じ材料、特にアルミニウム製である。弾性緩衝体は、好ましくはエラストマーである。その際、特に好ましくは、第1および/または第2の取付部品において、分離ナットを収容するために、少なくとも1つの貫通開口部においてクラウンが配置されている。これにより、分離ナットを容易な方法で取付部品に配置することができる。
【0016】
また、さらに好ましくは、駆動装置は、ばね要素、特にばね板を含み、このばね板は、第1および/もしくは第2の取付部品と電気駆動部のハウジングとの間、ならびに/または第1および/もしくは第2の取付部品と自転車のフレームとの間に配置されている。ばね板は、好ましくは、第1および/または第2の取付部品の厚さよりも小さい厚さを有する。その際、ばね要素は、振動、揺動等を減結合し、それらの自転車のフレームへの伝達を防ぐという付加的な課題を有する。特に好ましくは、中間板は、第1および/または第2の取付部品と同じ外郭を有する。
【0017】
また、本発明は、自転車、特にペデレックまたはSペデレックに関する。本発明によれば、自転車という用語は、二輪の自転車だけでなく、例えば、歩行障害者のための、三輪自転車または二輪もしくは三輪を有する荷台自転車、または四輪を有する自転車を意味すると理解される。その際、電気駆動部は、好ましくは中央モータとして自転車に配置されており、特に好ましくは、自転車のクランクシャフトを含む。
【0018】
以下に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】自転車の駆動装置およびフレームの一部の概略分解図である。
図2図1の駆動装置の透視図である。
図3図1の駆動装置を連結するためのフレーム部材の透視図である。
図4】電気駆動部をフレーム部材に連結する代替手段の概略図である。
図5】電気駆動部をフレーム部材に連結する代替手段の概略図である。
図6】電気駆動部をフレーム部材に連結する代替手段の概略図である。
図7】第2の実施形態にかかる駆動装置の概略的な透視部分図である。
図8図7の駆動装置の取付部品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図1図3を参照して、電気作動式自転車の駆動装置1について詳述する。
【0021】
図1は、自転車の電気駆動部2と、電気駆動部2が固定されるフレーム部材4とを概略的に示す分解図である。図1および図3において、フレーム部材4には、ダウンチューブ8、サドルチューブ8’および2本の後輪ストラット8’’が概略的に示されている。また、フレーム部材4には、電気駆動部2と自転車の蓄電池とを電気的に連結するために電気ケーブル等を通すための開口部80がさらに存在する。
【0022】
電気駆動部2はハウジング3を含み、ハウジング3は、この実施例では、重量最適化されており、好ましくはマグネシウムおよび/またはマグネシウム化合物および/またはアルミニウム製である。また、電気駆動部2には、クランクシャフト5がさらに示されており、クランクシャフト5は、同様に電気駆動部2のハウジング3によって囲まれている。
【0023】
フレーム部材4には、合計6個の取付開口部41、42、43、44、45、46が設けられている。フレーム部材4は、接続部品4cを介して互いに接続された第1の側面部品4aと第2の側面部品4bとを有する。その際、側面部品4aおよび4bは互いに平行である。各側面部品4a、4bには、それぞれ3つの取付開口部が設けられている。
【0024】
フレーム部材4と電気駆動部2との間を接続するために、本実施形態では、第1の取付部品11、第2の取付部品12、第3の取付部品13、および第4の取付部品14が設けられている。その際、特に図2から分かるように、第1の取付部品11および第2の取付部品12は、第1の長手方向側面15および第2の長手方向側面16においてハウジング3上に、互いに対向して配置されている。同様に、第3の取付部品13と第4の取付部品14は、ハウジング3上に、互いに対向して配置されている。
【0025】
各取付部品11、12、13、14には、複数の貫通開口部が設けられている。ここでは、各取付部品11、12、13、14は、電気駆動部での取り付けを可能にするように設置されている第1の貫通開口部11a、11b、12a、12bと、フレーム部材4での取り付けを可能にするように設置されている第2の貫通開口部11c、11d、12c、12dと、を含む。
【0026】
特に図2から分かるように、第1の取付部品11は、正確には2つの第1の貫通開口部11a、11bを有し、第1の貫通開口部11aおよび11bは、フレーム部材に固定されるように設置されており、貫通開口部11cおよび11dは、電気駆動部2のハウジング3に固定されるように設置されている。
【0027】
同様に、第2の取付部品12は、第1および第2の貫通開口部12a、12b、12cおよび12dを有する。2つの第1の貫通開口部12aおよび12bは、フレーム部材4に取り付けられるように設置されており、第2の貫通開口部12cおよび12dは、電気駆動部2のハウジング3に取り付けられるように設置されている。
【0028】
その際、図1および図2においては、取付部品11、12、13、14が、固定ねじの形態の接続部品7によって電気駆動部2のハウジング3に取り付けられた状態を示している。フレーム部材4に固定するための第1の貫通開口部11a、11bおよび12a、12bは、未だ接続部品がない状態で示されている。
【0029】
図2に示すように、第1の貫通開口部11a、11bおよび12a、12bには、フレーム部材4に固定するために内ねじを有するナット6が配置されており(貫通開口部11a、12aのところのみ図示)、これにより、フレーム部材の取付開口部41、42および44、45に通されるねじが取り付け可能となる。代替的に、貫通開口部11a、11bおよび12a、12bが、それぞれ内ねじを有することも考えられ得る。
【0030】
図2からさらに分かるように、第1および第2の取付部品11、12は、第1の平面領域21および第2の平面領域22がそれぞれ構成されているような、波状の形状を有する。第1および第2の平面領域は互いに平行であり、接続領域23を介して互いに接続されている。ここでは、図1および図2から分かるように、フレーム部材4に取り付けるための第1の貫通開口部11a、11bおよび12a、12bは、それぞれ第1の平面領域21に配置されている。電気駆動部のハウジング3に取り付けるための貫通開口部11c、11dおよび12c、12dは、第2の平面領域22に配置されている。
【0031】
その際、第1の平面領域21と第2の平面領域22とは交互に配置されている。取付部品11、12のこのような幾何学的形状により、フレーム部材4と電気駆動部2のハウジング3との間の分離を確実に行うことができる。特に、電気駆動部2の動作時に発生し得る振動および揺動をフレームに伝達することができない。このように、自転車のフレームと電気駆動部2とが互いに分離しているため、使用者が電気駆動部の作動を知覚しない。
【0032】
また、図1および図2にさらに示すように、第3および第4の取付部品13および14には、同様にそれぞれ3つの貫通開口部13a、13b、13cならびに14a、14bおよび14cが設けられている。ここでは、第1の貫通開口部13aおよび14aは、フレーム部材4に接続するために設置され、第2の貫通開口部13b、13cおよび14b、14cは、電気駆動部2のハウジング3に接続するために設置されている。
【0033】
このように、第1の取付部品11と第3の取付部品13とは、それぞれ電気駆動部の第1の長手方向側面15に配置され、第2の取付部品12と第4の取付部品14とは、電気駆動部の第2の長手方向側面16にそれぞれ互いに対向して配置されている。
【0034】
第3および第4の取付部品13、14も同様に、好ましくは、互いに平行な平面にある2つの平面領域を有する波形状に構成されていることに留意されたい。
【0035】
ここでは、取付部品11、12、13、14の貫通開口部は、クランクシャフト5の中心軸50に対し平行である。
【0036】
また、電気駆動部2とフレーム部材4との間に取付部品を使用することで、より大きな公差の公差補償も可能になる。ここでは場合によって、取付部品11、12、13、14は、組立時に若干変形する。取付部品11、12、13、14は、好ましくはアルミニウム製であり、電気駆動部のハウジング3は、好ましくはマグネシウムおよび/またはマグネシウム化合物を含む。それにより、取付部品11、12、13、14は、フレーム部材4と電気駆動部2との間に材料分離を提供して、腐食の危険性を排除することもできる。
【0037】
図4から図6には、電気駆動部2とフレーム部材4との間の代替的な取付手段を概略的に示しており、同一の部品または機能的に同一の部品は、第1の実施例と同じ参照符号で記載されている。第1の実施例では、例えば溶接、または代替的にリベット接続もしくはプレス接続によって取付部品に固定されている取付部品にナット6を設ける代わりに、図4から図6に示す実施例では、分離ナット60が設けられている。分離ナット60は、非弾性基体61と弾性緩衝体62とを含む。また、クラウン17が取付部品13に溶接または代替的にリベット留めもしくは圧入されている。その際、分離ナット60は、クラウン17の歯を収容する中間空間63を有する。組み立てた状態を図6に示す。これにより、接続部品7が弾性緩衝体62に完全に収容されているため、フレーム部材4と電気駆動部2のハウジング3との間は直接接触しない。ここでは、クラウン17によって、接続部品7の締結時に分離ナット60が共に回転しないことが保証される。この接続部品7と弾性緩衝体62との接続は、損傷なく解除可能であり、再使用可能である。
【0038】
図7および図8には、本発明の第2の実施例にかかる駆動装置1を示す。第2の実施例は、第1の実施例に略対応するが、第1の実施例とは異なり、第2の実施例では、取付部品11、12、13、14に平板のばね要素9が追加的にさらに配置されている。ばね要素9は、各取付部品と直接接触しており、好ましくはばね板またはアルミニウム板から製造されている。さらに好ましくは、ばね要素9の厚さは、それぞれの取付部品の厚さよりも小さい。図7から分かるように、その際、ばね要素9が組み立てられた状態でそれぞれフレーム部材4と接触するように、ばね要素9は取付部品11、12、13、14に配置されている。また、ばね要素9には、ばね要素9のばね特性を向上させる折り目9aがそれぞれ設けられている(図8参照)。取付部品11、12、13、14は、好ましくはアルミニウム製である。しかしながら、取付部品11、12、13、14とフレーム部材4との間の直接的な接触がばね要素9により防止されるため、ばね要素9を使用することにより、取付部品11、12、13、14が鋼製またはプラスチック製であることも可能である。その際ばね要素9の外郭は、好ましくは、取付部品11、12、13、14の外郭に対応する。
【0039】
本実施形態におけるそれ以外の構成については、先行する実施形態に対応しているため、そこに記載された説明を参照することができる。
【0040】
これにより、本発明によれば、電動付き自転車の電動駆動部2とフレーム4との間の改善された分離を達成することができる。従来例との比較において、電動駆動部2とフレームとの間に追加部材が設けられているが、それにより、公差補正が容易に可能であること、および異なるフレーム部材4への適応が容易であることに加えて、自転車の電動駆動部2とフレーム部材4との間の分離も達成されるため、大きな利点が得られる。これにより、振動、揺動、および固体伝送音が自転車の電動駆動部2からフレームに伝達されることがなくなり、取付部品11、12、13、14によって減衰される。その際、接続している取付部品11、12、13、14は非常に容易に保持されて、量産部材として極めて安価に製造することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ハウジング(3)を備える電気駆動部(2)と、
- 前記ハウジング(3)に取り付けられ、自転車のフレーム部材(4)に取り付けられるように設置されている、少なくとも1つの第1の取付部品(11)および第2の取付部品(12)と、を含み、
- 前記第1の取付部品(11)は、前記電気駆動部の第1の側面(15)に配置されており、かつ、
- 前記第2の取付部品(12)は、前記電気駆動部の、前記第1の側面(15)と対向する第2の側面(16)に配置されている、
電気作動式自転車の駆動装置。
【請求項2】
前記第1の取付部品(11)および前記第2の取付部品(12)は、第1の貫通開口部(11a、11b;12a、12b)および第2の貫通開口部(11c、11d;12c、12d)を有し、前記第1の貫通開口部は、接続部品(7)を収容するように設置されており、前記接続部品(7)は、前記第1および第2の取付部品(11、12)を前記フレーム部材(4)に取り付け、かつ、前記第2の貫通開口部は、接続部品(7)を収容するように設置され、前記接続部品(7)は、前記第1および第2の取付部品(11、12)を前記ハウジング(3)に取り付けるように設置されている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1および第2の取付部品(11、12)は、それぞれ平板部材、特に板金であり、移行領域(23)を介して互いに接続されている、少なくとも1つの第1の平面領域(21)および第2の平面領域(22)を有し、前記第1および第2の平面領域(21、22)は互いに平行である、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記移行領域(23)は、前記2つの平面領域(21、22)間の振動または揺動を吸収および減衰し、特に、振動および揺動の前記駆動部(2)から前記フレーム部材(4)への伝達が減衰されることを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記フレーム部材(4)と接続するために設置されている全ての第1の貫通開口部(11a、11b;12a、12b)は、前記第1の平面領域(21)に配置されており、かつ、前記電気駆動部(2)の前記ハウジング(3)と接続するために設置されている全ての第2の貫通開口部(11c、11d;12c、12d)は、前記第2の平面領域(22)に配置されている、請求項3または4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記取付部品の数は偶数であり、好ましくは、正確には2つの取付部品を含み、特に正確には4つの取付部品を含み、さらに特に正確には6つの取付部品を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第1および/または第2の取付部品(11、12)は、前記ハウジング(3)から部分的に突出し、それらの間に、前記電気駆動部(2)と、前記自転車の蓄電池との電気接続が行われる収容空間を画定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記自転車のクランクシャフト(5)の中心軸(50)に対して平行の平面視で、各取付部品(11、12、13、14)と前記ハウジング(3)との間には、50%超、特に60%超、さらに特に約75%の範囲のオーバーラップがある、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記取付部品(11、12、13、14)にナット(6)が配置されているか、または前記取付部品の少なくとも1つの貫通開口部が内ねじを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
また、前記取付部品(11、12、13、14)と前記ハウジング(3)との間、および/または前記取付部品(11、12、13、14)と前記フレーム部材(4)との間、に配置された減衰要素(60)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記減衰要素(60)は、非弾性基体(61)と弾性緩衝体(62)とを含む分離ナットであり、前記弾性緩衝体(62)は、前記非弾性基体(61)に配置されており、かつ円筒状の内部領域を有し、前記円筒状の内部領域は、接続部品(7)を収容し、固定するために設置されている、請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記第1および/または第2の取付部品は、前記分離ナットを収容するための貫通開口部においてクラウン(17)を有する、請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
また、ばね要素(9)、特にばね板を含み、前記ばね板は、前記第1および/もしくは第2の取付部品(11、12)と前記ハウジング(3)との間、ならびに/または前記第1および/もしくは第2の取付部品(11、12)と前記フレーム部材(4)との間、に配置されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記ばね要素は、前記取付部品の外郭に対応する外郭を有する、請求項13に記載の駆動装置。
【請求項15】
組立時に前記駆動部(2)と前記フレーム部材(4)との間の公差補償を可能にするために、前記取付部品(11、12、13、14)は変形可能に構成されていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の駆動装置(1)を含む自転車、特にペデレックまたはSペデレック。
【国際調査報告】