(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】車両の運転者に警告するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220111BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20220111BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20220111BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
B60W30/08
B60W40/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528961
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2019075083
(87)【国際公開番号】W WO2020104083
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018219976.0
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】コップ,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BA57
3D241BA60
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC01Z
3D241DC25Z
5H181AA01
5H181CC01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
本発明は、車両(2)の運転者に警告するための装置および方法に関し、車両(2)は、車両周辺の物体(3)を検出する1つ以上の環境センサ(4,5,6)を有し、1つ以上の環境センサ(4,5,6)の複数の物体検出(7)から環境モデルを生成する解析装置が設けられており、環境モデルで認識された物体(3)に関して運転者に通知するためのアクチュエータシステム(9,10)が設けられおり、運転者に通知するためのアクチュエータシステム(9,10)が空間的な警告情報を含み、運転者は物体(3)の位置(7)に関して触覚的に通知される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の運転者に警告するための装置であって、
前記車両(2)が、車両周辺の物体(3)を検出する1つ以上の環境センサ(4,5,6)を有し、
1つ以上の環境センサ(4,5,6)の複数の物体検出(7)から環境モデル(37)を生成する解析装置(20)が設けられており、
前記環境モデル(37)で認識された物体(3)に関して運転者に通知するアクチュエータシステム(9,10,30)が設けられおり、
運転者に通知するための当該アクチュエータシステム(9,10,30)が、空間的な警告情報を含めて、物体(3)の位置(7)に関して触覚的に運転者に通知する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記解析装置(20)により、前記環境モデル(37)から、検出された前記物体(3)の、前記車両(2)に対する相対位置および/または空間方向が決定される、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、運転者に通知するための当該アクチュエータシステム(4,5,6)が、運転席(8)および/またはステアリングホイールおよび/またはアクセルペダルおよび/またはブレーキペダルおよび/または運転席のアームレストおよび/または運転席のネックレストにおける複数の振動アクチュエータ(9,10,30)からなる、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記運転席(8)および/または前記ステアリングホイールおよび/または前記アクセルペダルおよび/または前記ブレーキペダルおよび/または前記運転席の前記アームレストおよび/またネックレストにおける前記複数の振動アクチュエータ(9,10,30)の制御が行われ、当該動作するアクチュエータ(9,10,30)に基づいて、検出された前記物体(3)の空間的位置に対応して、前記運転者に前記方向に関して触覚的に通知する振動が、前記座席(8)または前記ステアリングホイールまたは前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルまたは前記運転席の前記アームレストまたは前記ネックレストで生成される、装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置であって、
前記1つ以上の環境センサ(4,5,6)が、
1つ以上のレーダセンサ、
1つ以上の超音波センサ、
1つ以上のライダーセンサ、
1つ以上のビデオセンサ、
他車両の1つ以上の環境センサであって、該環境センサのデータが、車両(2)のCar-To-Xインターフェースを介して受信される環境センサ、
交通インフラストラクチャの一部である1つ以上の固定した環境センサであって、該環境センサのデータが車両(2)のCar-To-Xインターフェースを介して受信される、固定した環境センサ、
車両(2)のCar-To-Xインターフェースを介して受信される、データクラウドのデータからなる環境モデル、または
これらの組合せからなる、装置。
【請求項6】
車両の運転者に警告する方法であって、
1つ以上の前記環境センサ(4,5,6)によって車両周辺の物体(3)を検出し、
前記解析装置(20)によって、複数の物体検出(7)から環境モデル(37)を生成し、
前記環境モデルで認識された物体に応じて、認識された物体(3)に関して運転者に通知するアクチュエータ信号(29)を生成し、
空間方向に関して触覚的な情報を運転者に伝達することができるアクチュエータシステム(9,10,30)を制御し、アクチュエータ信号(29)によってアクチュエータシステム(9,10,30)を制御して物体(3)の位置に関して運転者に触覚的に通知することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記環境センサ(4,5,6)の出力信号(25)から前記環境モデル(37)を決定し、前記車両(2)に関して、検出された前記物体(3)の相対位置および/または空間方向を決定する方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法であって、
運転席(8)および/またはステアリングホイールおよび/またはアクセルペダルおよび/またはブレーキペダルおよび/または運転席のアームレストおよび/または運転席のネックレストにおける複数の振動アクチュエータ(9,10,30)が
個別に動作可能または停止可能および/または
強度および/または周波数に関して可変に制御可能となるように、運転者に通知するためのアクチュエータ信号(29)を構成する、方法。
【請求項9】
請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法であって、
運転席(8)および/またはステアリングホイールにおける複数の振動アクチュエータ(9,10,30)の制御を行うことにより、運転席(8)および/またはステアリングホイールおよび/またはアクセルペダルおよび/またはブレーキペダルおよび/または運転席のアームレストおよび/または運転席のネックレストにおいて振動を発生し、認識された物体(3)の空間的な位置(7)に対応して、方向に関して運転者に触覚的に通知する、方法。
【請求項10】
請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法であって、
物体(3)が新たに認識され、
車両周辺を移動している物体(3)が自車両(2)を追い越していることが認識され、
車両周辺を移動している物体(3)が自車両(2)によって追い越されることが認識され、
車両周辺を移動している物体(3)によって自車両(2)が危険にさらされることが認識され、
移動している物体(3)の自車両(2)への危機的な接近が認識され、または
これらの周辺状況の組み合わせが認識された場合に、
前記物体(3)の方向(7)に関して前記運転者の情報を通知する方法。
【請求項11】
請求項6から10までのいずれか1項に記載の方法であって、
異なる周辺状況に対して、
異なる周波数、および/または
異なる振動パターンによって、前記アクチュエータ(9,10,30)を制御する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に警告するための装置および方法に関し、車両は、車両周辺の物体を検出する1つ以上の環境センサを有し、1つ以上の環境センサの物体検出から環境モデルを生成する解析装置が設けられており、環境モデルで認識された物体に関して運転者に通知するアクチュエータシステムが設けられており、運転者に通知するためのアクチュエータシステムは、空間的な警告情報を含み、運転者は、物体の位置に関して触覚的に通知される。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開第102014226744号明細書により、車両の車線維持支援システムを介して警告を出力する方法が知られており、この方法では、車両の運転状況に割り当てられた危険レベルが読み取られ、さらなるステップにおいて、危険レベルに応じて、車両の運転者に警告するための警告信号の強度が設定される。この場合、警告信号は、設定ステップで設定された強度で生成される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の核心は、空間的な警告情報を含み、物体の位置もしくは方向を運転者に触覚的に通知する運転車情報のためのアクチュエータシステムを指定することができる装置および関連する方法を提供することである。
【0004】
本発明によれば、このことは独立請求項の特徴によって解決される。有利な改良形態および構成が従属請求項から明らかである。
【0005】
有利には、解析装置は、環境モデルから、検出された物体の、車両に対する相対位置および/または空間方向を決定するように設定されている。この場合、相対位置は、例えば、XY座標系内で指定することができ、座標の原点は自車両内に位置する。検出された物体の空間方向は、例えば、自車両の長手方向軸に関して検出された物体の方位角であってもよい。この場合、空間方向は、0°から360°まで間の角度値で指定することができる。
【0006】
環境モデルを作成するために、自車両に対する物体座標または自車両に対する物体方向に加えて、代替的または付加的に、環境センサによって選択的に直接に測定することができるか、または既存の測定値から決定することができる他の大きさを使用することができる。例えば、物体の相対速度は、選択的に直接に測定するか、または物体と自車両との距離の値から得た時間導関数から計算することができる。相対速度に加えて、物体の大きさ、物体の後方散乱断面積、物体の表面特性、または任意の他の測定可能な値などの他の大きさを代替的または補足的に使用することができる。
【0007】
さらに、運転者に通知するためのアクチュエータシステムが、運転席および/またはステアリングホイール内の複数の振動アクチュエータからなることは有利である。さらに、運転者に通知するためのアクチュエータ信号は、運転席および/またはステアリングホイール内の多数の振動アクチュエータが個別に動作可能または停止可能であり、および/またはこれら振動アクチュエータの強度および/または周波数が可変に制御可能であるように構成されていることが有利な場合もある。例えば、複数の、例えば10個または12個の振動アクチュエータを運転席の床領域に設置することができ、これらの振動アクチュエータは、前側の座席端部と後側の座席端部との間の座席フレームの左側および右側に分配される。このようにして、1つの振動アクチュエータ、または隣接する複数の振動アクチュエータを制御することによって、運転席に座っている運転者に触覚的な方向情報を伝達することができる。
【0008】
運転席および/またはステアリングホイールの振動アクチュエータに対して代替的に、または運転席および/またはステアリングホイールの振動アクチュエータと組み合わせて、アクセルペダルおよび/またはブレーキペダルおよび/または運転席のアームレストおよび/または運転席のネックレストに振動アクチュエータを設けることも有利であり、これらの振動アクチュエータは、同様に個別に動作可能、停止可能、および/または振動周波数を変更可能、または振動パターンによって制御可能である。これにより、例えば、ネックレストを振動させるだけで、または運転席の左または右のアームレストのみを振動させることができることによって、運転者に複数の異なる運転状況を直感的に指摘することが可能になる。有利には、例えば、特に危機的な運転状況を特に緊急に指摘するために、複数の設置場所で振動アクチュエータを動作させることも可能である。
【0009】
さらに、運転席および/またはステアリングホイール内の多数の振動アクチュエータの制御が行われ、アクチュエータが動作したことにより、座席またはステアリングホイールの振動が生成され、この振動が、認識された物体の空間的な位置に対応して、方向に関して運転者に触覚的に通知されることは有利である。座席またはステアリングホイールの振動アクチュエータ、または隣接する複数のアクチュエータが、車両の長手方向軸に関して車両周辺で物体が認識された方向に動作する場合、運転者が光学ディスプレイを読み取る必要なしに、または音響アナウンスの終了を待つ必要なしに、したがって運転から気をそらされることなしに、特定の周辺状況に加えて、さらに方向情報を運転者に直感的に伝達することもできる。
【0010】
さらに、1つ以上の環境センサは、1つ以上のレーダセンサ、1つ以上の超音波センサ、1つ以上のライダーセンサ、1つ以上のビデオセンサ、またはこれらの組合せからなることが有利である。車両周辺をぐるりと完全に検出されるか、または少なくとも関心のある角度範囲が検出されるだけの数のセンサが車両の周囲に設置される。この場合、複数の領域を異なる種類の、もしくは同じ種類の複数のセンサによってカバーするか、または複数の角度範囲を複数の異なるセンサによってカバーすることができ、これにより、物体検出の冗長性および妥当性をもたらすことができる。
【0011】
列挙された種類のセンサに対して代替的に、またはこれらと組み合わせて、Car‐to‐Xインターフェースが環境センサとして設けられていてもよい。このようなCar‐to‐Xインターフェースによって車両の外部のセンサからデータを受信し、自身のセンサによって取得したデータと同様に処理することができる。例えば、車両周辺を走行している他車両の環境センサが自身の環境センサのデータをCar‐to‐Xインターフェースを介して提供することができる。このために、車両から車両への伝送を行うか、またはデータ伝送サービスを介在させることによって、これらのデータを他車両からデータサーバに伝送し、さらなるステップでデータサーバから自車両に伝送することができる。インフラストラクチャ設備に固定して取り付けられた環境センサからのデータを付加的または代替的に使用することも可能であり、例えば、高速道路の路肩を監視するか、または交差点における物体データを提供することも可能である。これらのデータを同様にCar‐to‐インターフェースを介して車両に伝送することもできる。
【0012】
さらに、環境モデルに由来し、自車両の周囲で物体データをデータサーバに収集することによって決定され、交通環境モデルとしてまとめられたデータをCar‐to‐インターフェースを介して車両に選択的に伝送することもできる。このような環境モデルデータは、本発明による機能のための入力データとして使用することもできる。
【0013】
さらに、物体が新たに認識され、車両周辺を移動している物体が自車両を追い越していることが認識されるか、車両周辺を移動している物体が自車両によって追い越されることが認識されるか、車両周辺を移動している物体によって自車両が危険にさらされていることが認識されるか、移動している物体の自車両への危機的な接近が認識されるか、またはこれらの周辺状況の組合せが認識された場合に、物体の方向に関して運転者の情報が振動アクチュエータに出力されることが有利である。一般に、運転者は、周辺状況が変化した場合、または周辺状況が変化し、この変化した周辺状況を運転者が認識したことを確かめることができない場合には、物体の方向について常に通知されることが望ましい。
【0014】
さらに、異なる周辺状況に対して、アクチュエータが異なる周波数で制御され、および/または異なる振動パターンによって制御されることは有利である。この場合、バイナリコードまたはモールスコードと同様に、スイッチオンおよびスイッチオフ信号のシーケンスが互いに続くか、振動の強度に変化が生じるか、または、例えば、危険性もしくは物体の大きさに応じてアクチュエータの振動周波数が制御されるように、複数の異なる振動パターンを構成してもよい。これにより、異なる周辺状況を運転者に直感的に伝達し、危険性の程度または認識された物体の種類を指摘することが可能である。
【0015】
この方法は、例えば、ソフトウェアまたはハードウェアで、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとの混合形式で、例えば、制御器で実施することができる。
【0016】
ここに提示されるアプローチにより、ここに提示される方法の実施形態のステップを対応する装置において実施、制御、もしくは実行するように形成された距離コントローラがさらに得られる。
【0017】
距離コントローラは、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニットと、信号またはデータを記憶するための少なくとも1つのメモリユニットと、通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み込むか、または出力するための少なくとも1つのインターフェースおよび/または通信インターフェースとを有する電気機器であってもよい。計算ユニットは、例えば、信号プロセッサ、いわゆる「システムASIC」、またはセンサ信号を処理し、センサ信号の関数としてデータ信号を出力するマイクロコントローラであってもよい。メモリユニットは、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、または磁気メモリユニットであってもよい。インターフェースは、センサからのセンサ信号を読み取るためのセンサインターフェースとして、および/またはデータ信号および/または制御信号をアクチュエータに出力するためのアクチュエータインターフェースとして形成されていてもよい。通信インターフェースは、データを無線および/または有線で読み込むか、または出力するように形成されていてもよい。インターフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールと共にマイクロコントローラに提供されているソフトウェアモジュールであってもよい。
【0018】
プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムであって、プログラムコードが半導体メモリ、ハードディスク、または光メモリなどの機械可読キャリアまたは記憶媒体に格納されていてもよく、特に、プログラム製品またはプログラムがコンピュータ、プログラム可能な制御器、または同様の装置で実行される場合に、上述のいずれか1つの実施形態にしたがって方法のステップを実施、実行、および/または制御するために使用される、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも有利である。
【0019】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかは、本明細書では様々な実施形態に関して、距離をコントロールする方法として、および距離コントローラとして記載されていることに留意されたい。当業者は、本発明のさらなる実施形態に想到するために、特徴を適切に組み合わせ、適合させ、または入れ替えることができることを認識している。
【0020】
次に、図面に基づいて本発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による装置および本発明による方法を説明するための運転状況を示す概略的な上面図である。
【
図2】本発明による装置の実施形態を示す概略的なブロック図である。
【
図3】本発明による方法を説明するための概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、自車両2が速度V
egoで移動している多車線道路1の上面図を示す。右側の斜線には別の車両3が走行しており、この車両は周辺の物体として捉えられ、速度V
1で移動している。自車両2は、1つ以上の環境センサ4,5,6を備えており、例えば図示の実施形態では、左右前方の車両隅部に2つのフロントセンサ4、フロントガラスの領域に配置された別の環境センサ5(例えばビデオカメラとして構成されていてもよい)、および左右後方の車両隅部にそれぞれ取り付けられた2つのリアセンサ6を備える。これらの環境センサ4,5,6によって、車両は周辺範囲全体を監視し、車両周辺の物体を距離および相対速度に関して認識することができる。この場合、環境センサの数および配置は変更することができ、図示の例示的な実施形態に限定されていない。センサ4,5,6は、様々なセンサとして構成することもでき、例えば、いくつかのセンサがレーダセンサとして、他のセンサをライダーセンサまたは超音波センサとして、または別の組合せで構成されている。この場合、右後方のリアセンサ6は、多車線道路1の隣接車線において自車両2の速度V
egoよりも速い速度V
1で走行している接近中の他車両3を検出する。したがって、他車両3は自車両2に接近し、特定の時点で自車両2のいわゆる「死角」に入っており、将来には自車両2を追い越すと推測される。右後方のリアセンサ6は、物体検出7によって他車両3を検出し、この物体情報を解析装置20に送信する(明確化のために
図1には示されていない)。この解析装置20では、自車両2に対する他車両3の相対位置、または自車両2の車両長手方向軸に対する他車両3の方位が決定され、運転者に触覚的に警告するための信号が生成される。このために、例えば、4つの振動アクチュエータ9,10が、自車両2の運転席8の車両固定部に取り付けられている。これらの振動アクチュエータ9,10は個々に動作可能および停止可能であり、異なる周波数、異なる振動パターンで個別に制御することができる。他車両3が自車両2の右後方の領域で検出されたので、右後方の振動アクチュエータ10が動作し、他の3つの振動アクチュエータ9は非動作のままである。したがって、運転者は、運転席8の右後方隅部における振動によって、自車両2の右後方の周辺領域で車両が検出されたという情報を受け取る。さらに、振動パターンまたは振動周波数によって、運転状況による危険性に応じて、または他車両3の大きさまたは速度に基づいて、自車両2の運転者にさらなる情報を提供することが可能である。4つの振動アクチュエータ9,10を用いた運転席8の表示は、一例として示されているにすぎない。したがって、より多くの、例えば12個以上の振動アクチュエータを運転席に取り付けることが可能であり、運転席の対応する振動アクチュエータを動作させることによって、またはいくつかの、例えば隣接する振動アクチュエータ9,10を動作させることによって、警告方向をより細かく分解することが可能になる。
【0023】
図2は、概略的なブロック図を示す。この図は、入力回路21を有する解析装置20を示す。入力回路21によって解析装置20に入力信号25を供給することができる。これらの入力信号25は、とりわけ、例えば、レーダセンサ、ビデオセンサ、ライダーセンサ、または超音波センサとして構成されていてもよい環境センサ4,5,6から発信される。これらの環境センサは、車両の前部、車両の後部、および必要に応じて車両の側面に取り付けられており、車両周辺全体を監視することができる。有利には、同じ空間領域が異なるタイプの環境センサによって監視され、これにより、物体検出の妥当性および冗長性が確保されている。環境センサ4,5,6は、例えば、固有の制御器を有していてもよく、この制御器は物体検出および信号処理を行い、入力信号25として解析装置20に物体リストを供給する。代替的に、または組み合わせて、生のセンサ信号を入力信号25として処理装置20に供給し、生の信号を解析装置20で解析することも可能である。入力回路21に供給される入力信号25は、例えばバスシステムとして構成されうるデータ交換装置26を介して演算装置27に供給され、この演算装置27では、例えば、本発明による方法がソフトウェアとして実行され、入力信号から環境モデル37が決定され、環境モデル37から、検出された物体3の相対位置または他の物体3の方位が決定され、出力信号としてデータ交換装置26を介して出力回路28に供給される。出力回路28によって、出力信号29が解析装置20から下流側のアクチュエータ9,10,30に出力される。出力信号29は、例えば、自車両20のステアリングホイールに設けられた振動アクチュエータ30に出力される。これにより、ステアリングホイールまたはステアリングホイールの一部を振動させ、振動周波数、振動パターン、および振動させたステアリングホイール部分によって、運転者に方向および周辺状況を通知することが可能であり、これにより、運転者は周辺状況を直感的に通知される。さらに、代替的または追加的には、出力信号29を座席アクチュエータ9,10に出力することができ、これらの座席アクチュエータは複数の振動アクチュエータからなり、これらの振動アクチュエータを振動パターンおよび振動周波数を用いて個別に制御することによって、運転者に周辺状況を認識させることができる。
【0024】
図3は、本発明による方法の概略的なブロック図を示す。この方法は、ステップ35において、例えば、自車両2の点火装置が動作した場合、または、車両2に組み込まれた特定の運転者支援機能が動作した場合に処理を開始することによって開始される。次の処理ステップ36では、物体データが環境センサ4,5,6から読み込まれるか、またはこれらの局所的な環境センサ4,5,6の局所的な制御器から読み込まれる。次のステップ37では、自車両2に対する物体、物体位置、および方位が決定される。複数の異なる環境センサ、例えば、レーダと超音波、またはレーダとビデオ、またはビデオとライダ、または別の組合せを使用する場合、このステップ36では、センサデータフュージョンも可能であり、この場合、異なるセンサタイプの物体データが共通の環境モデル37に入力され、物体の妥当性が確認される。次のステップ38では、ステップ37の環境モデルが評価され、特別な周辺状況、特に、他の物体3に対する自車両2の特定の運転状況が存在するかどうかが判定される。この場合、例えば、新たに認識された物体3が検出されたかどうか、他の物体3が自車両2を追い越しているか、または間もなく追い越そうとしているかどうか、自車両2が他の物体を追い越しているか、または間もなく追い越そうとしているかどうか、自車両2が他車両3に危機的な接近をしているかどうか、または運転者が車両周辺内の他の物体3に関して通知されることが望ましい他の周辺状況があるかどうかが決定される。このような周辺状況の認識から、特定の周波数パターンを状況に割り当てるか、または特定の振動パターンを割り当てて出力信号29を生成することができ、これらの出力信号29は、次のステップ39において解析装置20から下流側のアクチュエータ9,10,30に出力される。この場合、運転者に方向情報を伝達するために、単一の振動アクチュエータを動作させるか、または、特に隣接する複数の振動アクチュエータを動作させることができる。さらに、振動パターンに関して振動アクチュエータを制御するか、または複数の異なる振動周波数によって制御することができ、これにより、特定の周辺状況、および自身の交通状況に関するこの周辺状況の危機を運転者に直感的に伝達することもできる。出力信号29が下流側のアクチュエータ9,10,30に出力された後、本発明による方法はステップ36によって続行され、ステップ36~39が再び実行され、この場合に、環境モデル37の暫定的な変化および周辺状況の関連する変化に基づいて、複数の異なる振動アクチュエータを他の周波数および/または他のパターンで制御することができる。
【国際調査報告】