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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電気機械の回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/08 20060101AFI20220112BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02K9/08 B
H02K1/22 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530086
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019077973
(87)【国際公開番号】W WO2020108842
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】102018220407.1
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】キューバッハー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベンジング,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】シュタムラー,ヤニク
(72)【発明者】
【氏名】ペーター,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】クナッペンベルガー,ウーベ
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GA02
5H601GA22
5H601GA24
5H601GA33
5H601GE11
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP07
5H609QQ02
5H609QQ12
5H609RR27
5H609RR36
5H609RR42
(57)【要約】
回転子軸(2)の周りを回転可能な回転子本体(3)を備えた電気機械の回転子(1)であって、回転子本体(3)がそれぞれ複数の冷却流路(5)を有しており、これらの冷却流路(5)がそれらの端部にそれぞれ冷却流路口(8.1、8.2)を有しており、これに関し、冷却流路(5)の1つでの一方の冷却流路口(8.1)が、同じ冷却流路(5)のもう一方の冷却流路口(8.2)より径方向にさらに外側に配置されている、回転子(1)が既に知られている。冷却流路(5)を通る空気の流れを生成するための原動力は、回転子の中空シャフトの流路と、回転子の冷却流路口の一方との間の径方向のずれによって生成される。本発明による回転子(1)の場合、空気の流れを生成するための原動力は、回転子(1)のそれぞれの冷却流路(5)内だけで生成される。本発明によれば、第1のカバー要素(10)が、回転子軸(2)に対して径方向外縁区間で、それぞれの冷却流路口(8.1)の径方向最内側の部分断面をカバーし、かつそれぞれ、同じ冷却流路口(8.1)の径方向最外側の部分断面を、冷却流路出口(8.1)として露出させたままにしており、同じ冷却流路(5)のもう一方の冷却流路口(8.2)がそれぞれ冷却流路入口であり、かつ冷却流路入口(8.2)の上流ではそれぞれ、回転子軸(2)に対して軸方向に向かう流れがもたらされており、および冷却流路出口(8.1)の幾何的重心がそれぞれ、同じ冷却流路(5)の冷却流路入口(8.2)の幾何的重心に対し、回転子軸(2)に対して径方向にずれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子軸(2)の周りを回転可能な回転子本体(3)を備えた電気機械の回転子であって、前記回転子本体(3)が、少なくとも1つの回転子部分体(4)、とりわけ回転子積層鉄心(4)を含んでおり、かつそれぞれ1つまたは複数の冷却流路(5)を有しており、前記冷却流路(5)がそれらの端部にそれぞれ冷却流路口(8.1、8.2)を有しており、これに関し、前記回転子(1)の回転の際の前記冷却流路(5)内の流れ、とりわけ空気の流れが遠心力に基づいて調整されるように、前記冷却流路(5)の1つでの一方の前記冷却流路口(8.1)がそれぞれ、同じ冷却流路(5)のもう一方の前記冷却流路口(8.2)より径方向にさらに外側に配置されており、前記回転子本体(3)の両方の端面の一方では第1のカバー要素(10)が設けられており、前記第1のカバー要素(10)が、前記冷却流路(5)の少なくとも1つでの前記冷却流路口の少なくとも一方(8.1)の、径方向最内側の部分断面をカバーしている、回転子において、
- 前記第1のカバー要素(10)が、前記回転子軸(2)に対して径方向外縁区間(11)で、それぞれの前記冷却流路口(8.1)の前記径方向最内側の部分断面をカバーしており、かつそれぞれ、同じ冷却流路口(8.1)の径方向最外側の部分断面を、冷却流路出口(8.1)として露出させたままにしていること、
- 同じ冷却流路(5)のもう一方の前記冷却流路口(8.2)がそれぞれ冷却流路入口であり、かつ前記冷却流路入口(8.2)の上流ではそれぞれ、前記回転子軸(2)に対して軸方向に向かう流れがもたらされていること、および
- 前記冷却流路出口(8.1)の幾何的重心(S1)がそれぞれ、同じ冷却流路(5)の前記冷却流路入口(8.2)の幾何的重心(S2)に対し、前記回転子軸(2)に対して径方向にずれていることを特徴とする、回転子。
【請求項2】
前記回転子本体(3)のもう一方の前記端面には第2のカバー要素(12)が配置されており、かつ前記冷却流路入口(8.2)の1つがそれぞれ、径方向最外側の部分断面において前記両方のカバー要素(10、12)の一方によって、および同じ冷却流路(5)に対応する前記冷却流路出口(8.1)がそれぞれ、径方向最内側の部分断面においてもう一方の前記カバー要素(10、12)によってカバーされており、しかも、前記冷却流路(5)の1つでの前記両方の冷却流路口(8.1、8.2)の露出したまたは開いている断面の間に、径方向のずれ(V)がそれぞれ生成されるようにカバーされていることを特徴とする、請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
前記冷却流路(5)の1つでの前記両方の冷却流路口(8.1、8.2)の前記径方向のずれ(V)が、専ら前記両方のカバー要素(10、12)によって生成されていることを特徴とする、請求項2に記載の回転子。
【請求項4】
冷却流路(5)の第1の群の各冷却流路(5)の前記冷却流路入口(8.2)および前記冷却流路出口(8.1)がそれぞれ、冷却流路(5)の第2の群のそれぞれの前記冷却流路入口(8.2)および冷却流路出口(8.1)に対し、前記回転子(1)の回転の際に前記第1の群の前記冷却流路(5)と前記第2の群の前記冷却流路(5)が反対方向に貫流されるように、端面を逆にしていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項5】
前記回転子(1)の周面に沿って、冷却流路(5)の前記第1の群の少なくとも1つの冷却流路(5)および冷却流路(5)の前記第2の群の少なくとも1つの冷却流路(5)の配列が、1つまたは複数設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の回転子。
【請求項6】
前記回転子(1)の前記両方の端面の一方に配置されている前記冷却流路口(8.1、8.2)がそれぞれ、とりわけ周方向に交互に、前記径方向最外側または前記径方向最内側のいずれかの部分断面においてカバーされていること、および前記両方のカバー要素(10、12)が、とりわけ2つの隣り合う冷却流路(5)の間の角距離に相当する角度で互いに周方向にずれていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項7】
前記両方のカバー要素(10、12)がそれぞれ、異なる径方向の広がりをもつ領域(15、16)を有しており、前記両方のカバー要素(10、12)の第1の領域(15)がそれぞれ、前記冷却流路出口(8.1)の前記径方向最内側の部分断面をカバーしており、前記両方のカバー要素(10、12)の第2の領域(16)がそれぞれ、前記冷却流路入口(8.2)の前記径方向最外側の部分断面をカバーしており、かつカバーされた前記最外側の部分断面の径方向内側に、それぞれの前記冷却流路(5)に通じる貫通口(17)を有しており、および前記両方のカバー要素(10、12)の前記第1の領域(15)がそれぞれ、前記第2の領域(16)より小さな径方向の広がりを有していることを特徴とする、請求項6に記載の回転子。
【請求項8】
前記第1および/または第2のカバー要素(10、12)が、ディスク、とりわけバランスディスク、または前記少なくとも1つの回転子部分体(4)の鉄心円板であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項9】
前記回転子本体(3)の前記冷却流路(5)および/または前記回転子本体(3)の各回転子部分体(4)の冷却流路区間(5.1)が、前記回転子軸(2)に対して軸方向に走っていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項10】
固定子(20)および請求項1から9のいずれか一項に記載の回転子(1)を備えた電気機械であって、前記回転子(1)のそれぞれの前記冷却流路(5)の前記両方の冷却流路口(8.1、8.2)が、軸方向に、前記電気機械のうち前記回転子(1)の端面に隣接しているとりわけ空気で満たされたハウジング内部空間(22)に通じている、電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項の属概念に基づく電気機械の回転子を出発点とする。
【背景技術】
【0002】
回転子軸の周りを回転可能な回転子本体を備えた電気機械の回転子であって、この回転子本体が、回転子積層鉄心として構成された少なくとも1つの回転子部分体から成っており、かつそれぞれ複数の冷却流路を有しており、これらの冷却流路がそれらの端部にそれぞれ冷却流路口を有しており、これに関し、回転子の回転の際の冷却流路内の流れ、とりわけ空気の流れが遠心力に基づいて調整されるように、冷却流路の1つでの一方の冷却流路口が、同じ冷却流路のもう一方の冷却流路口より径方向にさらに外側に配置されている、回転子が米国特許第5889342号明細書から既に知られている。回転子本体の両方の端面の少なくとも一方にカバー要素が設けられており、このカバー要素は、冷却流路の1つでの冷却流路口の一方の、径方向最内側の部分断面をカバーしている。空気の流れを生成するための原動力は、回転子の中空シャフトの流路と、回転子の冷却流路口の一方との間の径方向のずれによって生成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
これに対し、主請求項の特徴を有する電気機械の本発明による回転子は、回転子内の空気の流れを生成するために中空シャフトを必要としないという利点を有する。空気の流れを生成するための原動力は、回転子の少なくとも1つの回転子部分体の、実質的に軸方向に走っているそれぞれの冷却流路内だけで生成される。これは本発明によれば、第1のカバー要素が、回転子軸に対して径方向外縁区間で、それぞれの冷却流路口の径方向最内側の部分断面をカバーし、かつそれぞれ同じ冷却流路口の径方向最外側の部分断面を、冷却流路出口として露出させたままにすることによって達成される。さらに本発明によれば、同じ冷却流路のもう一方の冷却流路口がそれぞれ冷却流路入口であり、これらの冷却流路入口の上流ではそれぞれ、回転子軸に対して軸方向に向かう流れがもたらされている。そのうえ本発明によれば、冷却流路の1つでの冷却流路出口の幾何的重心はそれぞれ、同じ冷却流路の冷却流路入口の幾何的重心に対し、回転子軸に対して径方向にずれている。
【0004】
従属請求項に記載した措置により、主請求項に提示した回転子の有利な変形および改善が可能である。
【0005】
特に有利なのは、回転子本体のもう一方の端面に第2のカバー要素が配置されており、かつ冷却流路入口の1つがそれぞれ、径方向最外側の部分断面において両方のカバー要素の一方によって、および同じ冷却流路に対応する冷却流路出口がそれぞれ、径方向最内側の部分断面においてもう一方のカバー要素によってカバーされており、しかも、冷却流路の1つでの両方の冷却流路口の露出したまたは開いている断面の間に径方向のずれがそれぞれ生成されるようにカバーされている場合である。こうすることで、回転子の回転の際に回転子本体内の空気の流れが生成される。
【0006】
非常に有利なのは、冷却流路の1つでの両方の冷却流路口の径方向のずれが、専ら両方のカバー要素によって生成されている場合である。こうすることで、回転子本体の構成は、例えば軸方向の設置長さに関し、変わらないままであり、かつカバー要素の幾何形状または設計によって空気の流れが調整される。
【0007】
冷却流路の第1の群の各冷却流路の冷却流路入口および冷却流路出口がそれぞれ、冷却流路の第2の群のそれぞれの冷却流路入口および冷却流路出口に対し、回転子の回転の際に第1の群の冷却流路と第2の群の冷却流路が反対方向に貫流されるように、端面を逆にしている場合も有利である。つまり言い換えれば、冷却流路の第1の群の冷却流路入口は回転子の一方の端面にあり、かつ冷却流路の第2の群の冷却流路入口は回転子のもう一方の端面にある。同じことが、冷却流路の第1および第2の群の冷却流路出口にそれぞれ当てはまる。こうすることで、回転子本体を通る空気の流れが、回転子の端面に隣接している中空空間の間の圧力差を生成しない。
【0008】
有利な実施形態によれば、回転子の周面に沿って、冷却流路の第1の群の少なくとも1つの冷却流路および冷却流路の第2の群の少なくとも1つの冷却流路の配列が、1つまたは複数設けられ得る。
【0009】
それだけでなく、有利なのは、回転子の両方の端面の一方に配置されている冷却流路口がそれぞれ、とりわけ周方向に交互に、径方向最外側または径方向最内側のいずれかの部分断面においてカバーされている場合であり、かつ両方のカバー要素が、とりわけ2つの隣り合う冷却流路の間の角距離に相当する角度で互いに周方向にずれている点である。こうすることで、回転子内に冷却流路の2つの群が形成され、これらの群が、回転子の回転の際に反対方向に貫流される。
【0010】
有利な1つの例示的実施形態によれば、両方のカバー要素がそれぞれ、異なる径方向の広がりをもつ領域を有している。両方のカバー要素の第1の領域はそれぞれ、冷却流路出口の径方向最内側の部分断面をカバーする。これに対し両方のカバー要素の第2の領域はそれぞれ、冷却流路入口の径方向最外側の部分断面をカバーし、かつカバーされた最外側の部分断面の径方向内側に、それぞれの冷却流路に通じる貫通口を有している。さらに両方のカバー要素の第1の領域はそれぞれ、第2の領域より小さな径方向の広がりを有している。例えば、第1の領域15はそれぞれ凹みを、および第2の領域16はそれぞれ出っ張りを形成している。
そのうえカバー要素が、ディスク、とりわけバランスディスク、または少なくとも1つの回転子部分体の鉄心円板である場合が有利である。こうすることで、空気の流れを生成する機能が回転子の既存の要素に組み込まれ、したがって回転子の軸方向の設置長さを小さくできる。
【0011】
本発明の1つの例示的実施形態を図面に簡略的に示しており、かつ以下の説明においてより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電気機械の本発明による回転子の図2でのI-I線断面図である。
図2図1に基づく本発明による回転子の側面図である。
図3】本発明によるカバー要素のない図1に基づく本発明による回転子の側面図である。
図4】電気機械の本発明による回転子の3次元図である。
図5図1図4に基づく本発明による回転子を備えた電気機械を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、電気機械の本発明による回転子の図2での線I-Iに沿った断面を示している。
【0014】
電気機械の回転子1は、回転子軸2の周りを回転可能な回転子本体3を有しており、この回転子本体3は、少なくとも1つの回転子部分体4、例えば回転子積層鉄心4を含んでおり、かつそれぞれ、回転子1を一周するように分布した複数の冷却流路5を有している。冷却流路5とは、この場合、空気によって貫流され得る回転子本体3の流路のことである。冷却流路5はそれぞれ、回転子1の一方の端面から、実質的に軸方向である長手方向に延びており、ひとつながりで回転子1のもう一方の端面まで走っている。この例示的実施形態によれば、回転子1は複数の回転子部分体4を備えており、これらの回転子部分体4は、既知のように、回転子軸2に対して周方向に互いにねじれており、かつ冷却流路5を形成するための相応の冷却流路区間5.1を有している。冷却流路5はそれらの端部にそれぞれ冷却流路口8を有しており、これに関し、回転子1の回転の際の冷却流路5内の流れ、とりわけ空気の流れが遠心力に基づいて調整されるように、冷却流路5の1つでの一方の冷却流路口8.1がそれぞれ、同じ冷却流路5のもう一方の冷却流路口8.2より径方向にさらに外側に配置されている。回転子1は、回転子本体3のほかに、回転可能な回転子シャフト6を有しており、この回転子シャフト6は回転子本体3と回転不能に結合している。
【0015】
回転子本体3の両方の端面の一方では第1のカバー要素10が設けられており、第1のカバー要素10は、冷却流路5の少なくとも1つでの冷却流路口8の少なくとも一方の、回転子軸2に対して径方向最内側の部分断面をカバーしている。
【0016】
本発明によれば、第1のカバー要素10は、回転子軸2に対して径方向外縁区間11で、それぞれの冷却流路口8の径方向最内側の部分断面をカバーしており、かつ同じ冷却流路口8の径方向最外側の部分断面を、冷却流路出口8.1として露出させたままにしている。同じ冷却流路5のもう一方の冷却流路口8.2はそれぞれ冷却流路入口8.2である。冷却流路入口8.2の上流ではそれぞれ、回転子軸2に対して軸方向に向かう流れがもたらされている。本発明によれば、冷却流路出口8.1の幾何的重心S1はそれぞれ、同じ冷却流路5の冷却流路入口8.2の幾何的重心S2に対し、回転子軸2に対して径方向にずれている。これは、例えば回転子1のすべての冷却流路5に当てはまり得る。
【0017】
回転子本体3のもう一方の端面には第2のカバー要素12が配置されており、この第2のカバー要素12は、例えば第1のカバー要素10と同一に構成されている。両方のカバー要素10、12は、軸方向の外側の回転子部分体4の1つと同一平面上の、回転子本体3の両方の端面の一方に当接しており、かつ金属またはプラスチックから製造され得る。両方のカバー要素10、12は、ディスクとして、例えばバランスディスクとして、または回転子部分体4の1つでの鉄心円板として実施され得る。
【0018】
回転子1の冷却流路5のそれぞれの冷却流路入口8.2、例えば各冷却流路入口8.2がそれぞれ、径方向最内側の部分断面において両方のカバー要素10、12の一方によって、および同じ冷却流路5に帰属する冷却流路出口8.1が、径方向最外側の部分断面においてそれぞれもう一方のカバー要素10、12によってカバーされており、しかも、冷却流路5の1つでの両方の冷却流路口8.1、8.2の露出したまたは開いている断面の間に、回転子軸2に対して径方向のずれVがそれぞれ生成されるようにカバーされている。この場合、冷却流路5の1つでの両方の冷却流路口8の径方向のずれVは、専ら両方のカバー要素10、12によって生成されている。
【0019】
冷却流路5の第1の群の各冷却流路5の冷却流路入口8.2および冷却流路出口8.1はそれぞれ、冷却流路5の第2の群のそれぞれの冷却流路入口8.2および冷却流路出口8.1に対し、回転子1の回転の際に第1の群の冷却流路5と第2の群の冷却流路5が反対方向に貫流されるように、端面を逆にしている。
【0020】
冷却流路5の第1の群の冷却流路5および冷却流路5の第2の群の冷却流路5は、回転子1を一周するように任意に分布し得る。例えば、回転子1の周面に沿って、冷却流路5の第1の群の少なくとも1つの冷却流路5および冷却流路5の第2の群の少なくとも1つの冷却流路5の配列が、1つまたは複数設けられている。この例示的実施形態によれば、それぞれ、第1の群の1つの冷却流路5および第2の群の1つの冷却流路5の配列が何個か周方向に相前後して配置されている。その代わりに第1の群の複数の冷却流路もまたは第2の群の複数の冷却流路も互いに隣り合って配置されてもよく、これにより第1の群の複数の冷却流路5および第2の群の複数の冷却流路5の配列が形成される。さらに、回転子1を一周するように見たときに、第1の群の冷却流路5および第2の群の冷却流路5の配列が1つだけ設けられ得る。
【0021】
両方のカバー要素10、12は、冷却流路5の1つでの両方の冷却流路口8の本発明による径方向のずれをそれぞれ達成するために、例えば2つの隣り合う冷却流路5の間の角距離に相当する角度で互いに周方向にずれている。
【0022】
図2は、図1に基づく本発明による回転子の側面図を示している。
【0023】
そのうえ回転子本体3内には、回転子極ごとに少なくとも1つの永久磁石13が配置されており、回転子本体3内での永久磁石13の収容部は端面で例えばカバー14によって覆われている。
【0024】
回転子1の両方の端面の一方に配置されている冷却流路口8はそれぞれ、例えば周方向に交互に、径方向最外側または径方向最内側のいずれかの部分断面においてカバーされている。
【0025】
両方のカバー要素10、12はそれぞれ、異なる径方向の広がりをもつ領域を有している。両方のカバー要素10、12の第1の領域15はそれぞれ、径方向外縁区間11で、冷却流路出口8.1の径方向最内側の部分断面をカバーしている。両方のカバー要素10、12の第2の領域16はそれぞれ、径方向外縁区間11で、冷却流路入口8.2の径方向最外側の部分断面をカバーしており、かつカバーされた最外側の部分断面の径方向内側に、それぞれの冷却流路5に通じる貫通口17を有している。さらに、両方のカバー要素10、12の第1の領域15はそれぞれ、第2の領域16より小さな径方向の広がりを有している。この例示的実施形態によれば、1つの第1の領域15および1つの第2の領域16の配列が、周方向に何個か相前後して配置されている。よって2つの第2の領域16の間にそれぞれ1つの第1の領域15が配置されている。これに関し第1の領域15は例えばそれぞれ凹みを、および第2の領域16は例えばそれぞれ出っ張りを形成している。
【0026】
カバー要素10、12内の貫通口17の数は、回転子本体3の両方の端面の一方での冷却流路口8の数の半分に相当する。
【0027】
図3は、本発明によるカバー要素のない図1に基づく本発明による回転子の側面図を示している。冷却流路5の断面は任意であり、この例示的実施形態によれば斜方形に構成されている。
【0028】
図4は、電気機械の本発明による回転子の3次元図を示している。
【0029】
図5は、図1図4に基づく本発明による回転子を備えた電気機械を示している。回転子1は固定子20によって取り囲まれている。固定子20は機械ハウジング21内に配置されている。
【0030】
回転子1のそれぞれの冷却流路5の両方の冷却流路口8は、回転子軸2に対して軸方向に、電気機械のうち回転子1の端面に隣接している例えば空気で満たされたハウジング内部空間22に通じている。ハウジング内部空間22は、固定子20のコイルヘッド23の径方向内側に形成された体積を含んでいる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】