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特表2022-508651癌を処置するためのSHP2阻害剤組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】癌を処置するためのSHP2阻害剤組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/574 20060101AFI20220112BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G01N33/574 A
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K31/497
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544106
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 US2019055036
(87)【国際公開番号】W WO2020076723
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/742,787
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519011784
【氏名又は名称】レヴォリューション・メディスンズ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504438118
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・ニコルズ
(72)【発明者】
【氏名】トレヴァー・ジー・ビヴォナ
(72)【発明者】
【氏名】ダナ・ニール
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、SHP2のアロステリック阻害剤を使用して、疾患または障害を処置する方法、ならびにSHP2のそのようなアロステリック阻害剤に応答する可能性が高い対象を特定するための方法および診断テストを提供する。詳細には、本開示は、アロステリックSHP2阻害剤に感受性を示すある種の受容体チロシンキナーゼ(RTK)変異体と関係付けた診断的使用および治療的使用を提供する。
【選択図】図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が、SHP2阻害に感受性の癌を有するかどうかを特定する方法であって、癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかを判定する工程、およびそのような場合、対象がSHP2阻害に感受性の癌を有すると特定する工程を含む、前記方法。
【請求項2】
癌を有する対象を処置するためのSHP2阻害剤を使用する方法であって、
a.癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかを判定する工程;および
b.癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、前記方法。
【請求項3】
SHP2阻害剤を用いて癌細胞を死滅させる方法であって、
a.癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかを判定する工程;および
b.癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する場合、癌細胞にSHP2阻害剤を接触させる工程
を含む、前記方法。
【請求項4】
SHP2阻害剤を用いて癌を有する患者を処置する方法であって、
a.患者が:
i.患者から生体サンプルを取得すること、または取得を完了すること;および
ii.生体サンプルにアッセイを実行するまたはその実行を完了して、患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍を有するかどうかを判定すること
によって、SHP2感受性癌を有するかどうかを判定する工程;および
b.患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍を有する場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、前記方法。
【請求項5】
SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つ;(iv)化合物C;(v)表1に列挙されているSHP2阻害剤;(vi)表2に列挙されているSHP2阻害剤;ならびに(vii)それらの組合せから選択される、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書における、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つの化合物;(iv)化合物C;(v)表1に列挙されているSHP2阻害剤;または(vi)表2に列挙されているSHP2阻害剤から選択されるSHP2阻害剤の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体;またはそのような医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体のいずれか2つまたはそれ以上の組合せである、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
MAPK活性化は、ERKリン酸化の増大を測定することによって検出される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ジェノタイピングは、癌が、EML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するいずれの細胞も含まない場合、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
SHP2阻害剤を用いて腫瘍を有する対象を処置する方法であって、
a.対象から取得した生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有するかどうかを判定する工程;および
b.生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有する場合、対象にSHP2の阻害剤を投与する工程
を含む、前記方法。
【請求項16】
発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程をさらに含む、請求項1、2、4~13および15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
追加的な治療剤を投与する工程をさらに含む、請求項1、2、4~13、15および17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
接触させる工程は、対象において、in vivoで行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
接触させる工程は、対象へのSHP2阻害剤の投与により行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
追加的な治療剤を投与する工程をさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
追加的な治療剤は、TKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤およびMEK阻害剤から選択される。請求項18または22に記載の方法。
【請求項24】
追加的な治療剤は、(i)TKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤もしくはMEK阻害剤の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体、または(ii)(i)に列挙されているそのような医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体のいずれか2つもしくはそれ以上の組合せである、請求項18または22に記載の方法。
【請求項25】
SHP2阻害剤は、化合物Cである、請求項2~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
SHP2阻害剤は、化合物Cの医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体である、請求項2~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
SHP2阻害剤は、
【化1】
【化2】
からなるSHP2阻害剤の群から選択される、請求項2~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
SHP2阻害剤は、
【化3】
【化4】
からなるSHP2阻害剤の群から選択される化合物の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体である、請求項2~24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年10月8日に出願された米国仮出願第62/742,787号への優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、タンパク質チロシンホスファターゼSHP2の阻害剤を用いて、疾患または障害(例えば、癌)を処置するための方法に関する。具体的には、本発明は、アロステリックSHP2阻害剤を用いた処置の候補と特定される対象における、疾患または障害(癌のような)を処置する方法に関わる。
【背景技術】
【0003】
癌は、依然として、ヒトの健康に対する最も致命的な脅威のうちの1つのままである。米国では、毎年約130万人の新規患者が癌に冒され、心臓疾患に次いで2番目に多い死因となっており、死亡者のおよそ4人に1人を占める(特許文献1)。多数の癌が、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の構成的または異常な過活性によって引き起こされる。この悪性RTK活性化は、RTK遺伝子における、ミスセンス変異、小さな挿入および欠失、コピー数の変化ならびに染色体再配列のような体細胞遺伝的変化を含めた、様々な機構により生じる(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。遺伝的変化の後者のクラスは、癌ドライバー遺伝子の臨床的に重要な群を含み、その主要な例は、様々な融合パートナーを含めた、とりわけキナーゼのうち、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、ROS癌原遺伝子1(ROS1)、RET、NTRK1、NTRK2およびNTRK3の融合物である(非特許文献11)。これらの遺伝子再配列は、多くの場合、RTKキナーゼドメイン(例えば、EML4-ALK、CD74-ROS1、SDC4-ROS1)にN末端で融合した非キナーゼパートナーを含むキメラタンパク質の産生をもたらす。チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、これらのキナーゼ融合物により駆動される癌を保持する多数の患者では有効であるが(例えば、ALKおよびROS1融合物を標的とするクリゾチニブ)、薬物耐性は、長期間の患者生存を制限するという難題が依然として存在する(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21)。これらのキナーゼ融合タンパク質の発癌性シグナル伝達特性を制御する機構のよりよい理解は、臨床的転帰を増大する、相補性または代替的分子戦略の特定に必須である。
【0004】
ROS1のようなRTKのキナーゼドメインに融合した非生来のN末端タンパク質が、キナーゼの過活性および癌の成長を引き起こす機構が、一部、理解されている。これらの機構は、N末端遺伝子パートナーのプロモーターの活性、融合キナーゼタンパク質の構成的オリゴマー化、およびキナーゼ放出の自己阻害機構の結果として、C末端キナーゼの過剰発現を含む(非特許文献22)。癌タンパク質キナーゼ融合物の調節の比較的理解が不十分な状況は、特定の融合癌タンパク質の細胞内膜局在が、その発癌特性に寄与する可能性があるという程度に過ぎない。これは、特に関係性のある未だ答えが得られていない細胞生物学的疑問であり、なぜなら、ALKおよびROS1変異形のような、多数のヒト癌に存在する多数の癌タンパク質融合キナーゼは、多くの場合、生来のRTKキナーゼドメイン(例えば、EML4-ALKにおけるEML4、CD74-ROS1におけるCD74)の観点から見ると、N末端パートナーの細胞内局在シグナルを高めるからである;したがって、異常な細胞内局在は、その異常特性および発癌特性の重要な特徴となり得る可能性が高い。ある場合、N末端融合パートナーは、生来のRTK(例えば、EML4-ALK)に比べると、融合RTKの異常な細胞内局在を引き起こし得るという証拠が現れているが、特異的細胞内局在が、様々な癌タンパク質融合物に一層一般的な腫瘍形成の特徴であるかどうか、およびそのような特異的細胞内局在が、各キナーゼ融合物の発癌特性またはTKI処置に対する応答に影響を及ぼし得るかどうかは、依然として不明確である(非特許文献23)。さらに、N末端融合パートナーが、発癌性チロシンキナーゼ融合物によって推進される癌を、例えば、SHP2阻害剤を含めた癌の治療法による処置に感受性にする際にある役割を果たし得るかどうか、およびその程度は不明確である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US20170204187
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bergethonら、2012年
【非特許文献2】Kohnoら、2015年
【非特許文献3】Liら、2012年
【非特許文献4】Lynchら、2004年
【非特許文献5】Paezら、2004年
【非特許文献6】PaoおよびHutchinson、2012年
【非特許文献7】Rikovaら、2007年
【非特許文献8】Stephensら、2004年
【非特許文献9】Takeuchiら、2009年
【非特許文献10】Vaishnaviら、2013年
【非特許文献11】Takeuchiら、2012年
【非特許文献12】Doebeleら、2012年
【非特許文献13】Engelmanら、2007年
【非特許文献14】Kobayashiら、2005年
【非特許文献15】Lynchら、2004年
【非特許文献16】Ouら、2016年
【非特許文献17】Paoら、2005年
【非特許文献18】RotowおよびBivona、2017年
【非特許文献19】Shawら、2014
【非特許文献20】ShawおよびSolomon、2015
【非特許文献21】Yunら、2008年
【非特許文献22】MedvesおよびDemoulin、2012年
【非特許文献23】Hrustanovicら、2015年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、アロステリックSHP2阻害剤を用いた処置の候補と判定される対象の、あるサブセットにおける疾患または障害(癌のような)を処置する方法に関する。本開示は、発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する癌に対するSHP2阻害剤処置の効能が、いくつかの実施形態では、融合物におけるチロシンキナーゼドメインの存在にリンクせず、むしろチロシンキナーゼドメインにリンクしている融合パートナーにリンクしているという、驚くべき発見に一部、基づいている。発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するある種の癌細胞は、SHP2阻害(例えば、CD74-ROS1)に感受性がない一方、同じチロシンキナーゼドメインの融合物であるが、異なるN末端融合パートナー(例えば、SDC4-ROS1、SLC34A2-ROS1)を含有する他の癌細胞は、これらの様々な融合タンパク質によるMAPK経路の特異的活性化に少なくとも一部起因して、SHP2阻害に対して感受性となる。さらに、いくつかの実施形態では、本発明者らは、この特異的MAPK活性化は、チロシンキナーゼ融合物の細胞内局在によって推進され、このことは、キナーゼドメインに融合したN末端タンパク質により判定することができることを本明細書において実証する。いくつかの実施形態では、本開示は、対象が、SHP2阻害に感受性の癌を有するかどうかを特定する方法であって、癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される。いくつかの実施形態では、MAPK活性化は、ERKリン酸化の増大を測定することによって検出される。いくつかの実施形態では、癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される。いくつかの実施形態では、ジェノタイピングは、癌が、EML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす。いくつかの実施形態では、上記の方法によるSHP2阻害に感受性の癌を有すると特定された対象は、SHP2阻害剤により処置される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(iv)化合物C;(v)本明細書で開示されている表1からの化合物;(vi)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(vii)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上の(i)~(vi)のSHP2阻害剤のうちの1つもしくはそれ以上の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体、またはそれらの組合せ物である。いくつかの実施形態では、上記の方法によるSHP2阻害に感受性の癌を有すると特定された対象は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて(例えば、併用療法として)、SHP2阻害剤により処置される。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は癌を有する対象を処置するためのSHP2阻害剤を使用する方法であって、(i)癌がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する工程;および(ii)癌がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(iv)化合物C;(v)本明細書で開示されている表1からの化合物;(vi)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(vii)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、上記の方法によるMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む癌を有すると判定された患者は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて(例えば、併用療法として)、SHP2阻害剤により処置される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される。いくつかの実施形態では、MAPK活性化は、ERKリン酸化を測定することによって検出される。いくつかの実施形態では、癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される。いくつかの実施形態では、ジェノタイピングは、癌が、EML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす。いくつかの実施形態では、上記の方法における判定する工程(i)が、癌がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含まないと判定した場合、本方法は、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行うが、SHP2阻害剤を投与しない工程を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、SHP2阻害剤を用いて癌細胞を死滅させる方法であって、(i)癌細胞がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかを判定する工程;および(ii)癌細胞がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含む場合、癌細胞にSHP2阻害剤を接触させる工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(iv)化合物C;(v)本明細書で開示されている表1からの化合物;(vi)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(vii)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、上記の方法によるMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有すると判定された癌細胞は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて(例えば、併用療法として)、SHP2阻害剤により処置される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される。いくつかの実施形態では、MAPK活性化は、ERKリン酸化の増大を測定することによって検出される。いくつかの実施形態では、癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される。いくつかの実施形態では、ジェノタイピングは、癌が、EML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす。いくつかの実施形態では、癌細胞が、上記の方法により、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有しないと判定される場合、本方法は、癌細胞を死滅させるために、SHP2阻害剤ではなく、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を癌細胞に接触させる工程を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、SHP2阻害剤を用いて癌を有する患者を処置する方法であって、(i)患者が:(a)患者から生体サンプルを取得するまたはその取得を完了すること;および(b)生体サンプルにアッセイを実行するまたはその実行を完了して、患者がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む腫瘍を有するかどうかを判定することによって、SHP2感受性癌を有するかどうかを判定する工程;および(ii)患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む腫瘍を有する場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つ;(iv)化合物C;(v)本明細書で開示されている表1からの化合物;(vi)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(vii)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上記の方法の工程(i)(b)により、MAPKを引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む腫瘍を有すると判定された患者に、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて(例えば、併用療法として)投与される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される。いくつかの実施形態では、MAPK活性化は、ERKリン酸化の増大を測定することによって検出される。いくつかの実施形態では、癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される。いくつかの実施形態では、ジェノタイピングは、癌が、EML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす。いくつかの実施形態では、上記の方法の工程(i)(b)において、患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む腫瘍を有していないと判定された場合、本方法は、患者に、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程を含み、この場合、癌治療法はSHP2阻害剤の投与を含まない。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、SHP2阻害剤を用いて腫瘍を有する対象を処置する方法であって、対象から取得した生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有するかどうかを判定する工程、および生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有する場合、対象にSHP2の阻害剤を投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、エンドソームに局在する発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、エンドソームにおいてMAPK活性化を引き起こす。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つ;(iv)化合物C;(v)本明細書で開示されている表1からの化合物;(vi)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(vii)それらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上記の方法により、生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有すると判定された場合、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて(例えば、併用療法として)投与される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択される。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される。いくつかの実施形態では、MAPK活性化は、ERKリン酸化の増大を測定することによって検出される。いくつかの実施形態では、癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される。いくつかの実施形態では、ジェノタイピングは、癌が、EML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている方法のいずれか1つは、1つまたはそれ以上の追加治療法と組み合わせて、SHP2阻害剤を投与する工程をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている方法のいずれか1つは、化学療法、免疫療法、放射線療法および外科的腫瘍切除から選択される1つまたはそれ以上の追加治療法と組み合わせて、SHP2阻害剤を投与する工程をさらに含むことができる。
【0013】
本明細書に記載されている様々な実施形態の特性の1つ、一部またはすべてが組み合わされて、本発明の他の実施形態を形成することができることが理解されたい。本発明のこれらの態様および他の態様が、当業者に明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1-1】ROS1融合パートナーが、下流経路の特異的活性化を決定づけることを示す図である。(図1A)ここで検討した、一般に発生するROS1融合癌タンパク質の概略図である。ピンク色は、膜貫通ドメインを表す。(図1B)CCTOPコンピュータ解析に基づいた、ROS1融合物のトポロジー配列である(Dobsonら、2015a)。(図1C)5時間の血清飢餓による、GFP、SDC4-ROS1、CD74-ROS1またはSLC34A2-ROS1に48時間、一過的にトランスフェクトした293T細胞のイムノブロット分析である。(図1D~1G)ROS1のsiRNA媒介性ノックダウンを有する、(図1D)SDC4-ROS1、(図1E)SLC34A2-ROS1または(図1F~1G)CD74-ROS1を発現する患者由来細胞株のイムノブロット分析である(トランスフェクションの55時間後)。(図1C~1G)に示されているデータは、≧3となる独立実験の代表例である。
図1-2】図1-1の続き。
図1-3】図1-2の続き。
図2】MAPK経路シグナル伝達が、CD74-ROS1ポジティブ細胞株(line)ではなく、SDC4-ROS1-ポジティブ細胞株およびSLC34A2-ROS1-ポジティブ系列の生存に必要かつ十分であることを示す図である。(図2A~2C)6日間、DMSOにより、または用量-応答分のROS阻害剤であるクリゾチニブで処置した、エンプティベクターまたは構成的に活性なMEK-DDを発現する、ROS1融合物ポジティブな患者由来細胞株である(図2A)HCC78、(図2B)CUTO-2および(図2C)CUTO-23のクリスタルバイオレット定量である。(図2D)6日間、DMSOにより、または用量-応答分のSHP2阻害剤であるRMC-4550で処置した、HCC78(SLC34A2-ROS1)、CUTO-2(SDC4-ROS1)、CUTO-23(CD74-ROS1)およびCUTO-33(CD74-ROS1)細胞株のクリスタルバイオレット定量である。(図2E)(図2D)における実験のクリスタルバイオレット定量に基づいた、表示されているROS1患者由来細胞株における、SHP2阻害剤であるRMC-4550に関する、最大半数阻害濃度(IC50)の決定である。データは、3つの独立実験を表す。データは、平均値+/-標準偏差として表す。
図3-1】ROS1融合癌タンパク質を発現する細胞モデルにおけるMEK活性化の影響を示す図である。(図3A~3C)表示用量のクリゾチニブ(criz)により、6日間、処置した、構成的に活性なMEK-DDまたはエンプティベクターのどちらか一方を発現する、(図3A)HCC78、(図3B)CUTO-2および(図3C)CUTO-23細胞の代表的なクリスタルバイオレット染色である。n=3での実験の定量値は、ウェルの下に示されている。(図3D~3F)30分間、DMSOまたは1uMのクリゾチニブにより処置した、エンプティベクター(EV)またはMEK-DDのどちらか一方を発現する、患者由来細胞株である(図3D)HCC78、(図3E)CUTO-2および(図3F)CUTO-23のイムノブロット分析である。表示されているデータは、3つの独立実験を表す。
図3-2】図3-1の続き。
図4-1】JAK/STAT経路活性化は、クリゾチニブ感受性から、ROS1融合物にポジティブな患者由来の細胞をレスキューすることができないことを示す図である。6日間、DMSOにより、または用量-応答のROS1阻害剤であるクリゾチニブで処置した、エンプティベクターまたは構成的に活性なSTAT3を発現する、ROS1融合物ポジティブな患者由来細胞株である、(図4A図4D)HCC78、(図4B図4E)CUTO-2および(図4C図4F)CUTO-23のクリスタルバイオレット染色(図4A~4C)および定量値(図4D~4F)である。n=3の実験での平均定量値がウェルの下に示されている。(図4G~4I)30分間、DMSO(-)または1uMのクリゾチニブにより処置した、エンプティベクター(EV)またはCA-STAT3のどちらか一方を発現する、(図4G)HCC78、(図4H)CUTO-2および(図4I)CUTO-23細胞のイムノブロット分析である。クリスタルバイオレットおよびイムノブロットデータは、3つの独立実験を表す。(図4D~4F)中のデータは、平均値+/-標準偏差として示されている。
図4-2】図4-1の続き。
図4-3】図4-2の続き。
図5-1】ROS1-融合癌タンパク質を発現する患者由来のNSCLC細胞株における、SHP2阻害剤処置による、MAPK経路の抑制効果を示す図である。(図5A~5C)DMSO、0.1μMまたは1μMのSHP2阻害剤(SHP2i)であるRMC-4550により30分間、処置した、(図5A)HCC78、(図5B)CUTO-2および(図5C)CUTO-23細胞のイムノブロット分析である。データは、3つの独立実験を表す。(図5D~5G)6日間、表示用量のRMC-4550により処置した、(図5D)HCC78、(図5E)CUTO-2、(図5F)CUTO-23および(図5G)CUTO-33細胞の代表的なクリスタルバイオレット染色である。n=3での実験の平均定量値が、ウェルの下に示されている。
図5-2】図5-1の続き。
図6】ROS1エクソンのブレイクポイントは、融合タンパク質がMAPK経路と関わる能力を決定づけないことを示す図である。エクソン32またはエクソン34のどちらか一方で、ROS1ブレイクポイントを保持するSDC4-ROS融合物を発現する293T細胞のイムノブロットである。どちらのアイソフォームも、類似したタンパク質レベルで発現された場合、同程度までMAPK経路を活性化(ホスホ-ERKにより測定される)することができる。
図7】同質BEAS-2B系におけるROS1タンパク質の局在により、融合癌タンパク質が様々に局在することが明らかになることを示す図である。BEAS-2B細胞の免疫蛍光法および共焦点顕微鏡法は、SDC4-ROS1、SLC34A2-ROS1およびCD74-ROS1を安定して発現する。列1、2=SDC4-ROS1;列3、4=SLC34A2-ROS1;列5、6=CD74-ROS1。使用した抗体は、以下:(A~F)=ROS1;(G、I、K)=EEA1;(H、J、L)=カルネキシンに特異的であった;(M~R)=DAPI;(S~X)=左の3つの列の重ね合わせ画像であり、隣(最も右側の列)にある代表的な細胞の高倍率画像を含む(白色の四角形により輪郭を描いている)。画像は、≧10の領域、および少なくとも2つの生物学的反復実験の代表である。
図8】患者由来細胞株におけるROS1の局在により、様々なROS1融合癌タンパク質の特異的細胞内局在が明らかとなる図である。(A~B)SDC4-ROS1、(C~D)SLC34A2-ROSおよび(E~F、G~H)CD74-ROS1を発現する、患者由来細胞株の免疫蛍光法および共焦点顕微鏡法である。最後の2つの列は、左の3つの列の重ね合わせ画像を、最も右側の列に示されている個々の代表的な細胞、および白色の四角形に表示して強調した細胞の倍率を向上したものと一緒に示している。画像は、≧10の領域、および少なくとも2つの独立実験の代表である。
図9】ROS1癌タンパク質の局在により、下流のシグナル伝達経路の関わりが調節されることを示す図である。(図9A)エンドソーム標的化FYVEタグ付きCD74-ROS構築物を安定的に発現する、表示抗体で染色したBEAS2-B細胞の免疫蛍光法および共焦点顕微鏡法である。最も右側のパネル=代表的な個々の細胞の倍率向上したもの。共焦点像は、≧10の領域、および少なくとも2つの独立実験の代表である。(図9B)GFP、WT CD74-ROS1またはFYVE-CD74-ROS1をトランスフェクトしたBEAS2-B細胞のイムノブロット分析である。イムノブロットは、3つの独立実験の代表である。
図10-1】ROS1融合癌タンパク質駆動癌モデルにおけるMAPK経路の活性化は、in vivoでの腫瘍形成特性の増大に関連することを示す図である。(図10A)同質NIH-3T3細胞における、ROS1融合癌タンパク質発現のイムノブロット分析である。(図10B)免疫無防備マウスの脇腹に埋め込んだ、(図10A)に記載されているNIH-3T3 ROS1融合癌タンパク質を発現する細胞の腫瘍異種移植片の腫瘍成長速度である。(図10C)CD74-ROS1 WTまたはFYVEタグ付きCD74-ROS1を発現する、NIH-3T3細胞の腫瘍異種移植片の腫瘍成長速度である。(図10D)野生型(WT)またはFYVEタグ付きCD74-ROS1を発現する、NIH-3T3腫瘍異種移植片外植片のイムノブロット分析である。各列は、個々の腫瘍を表す。(図10B~10C)におけるデータは、6つの腫瘍の平均値+/-標準偏差として示されている。
図10-2】図10-1の続き。
図11】N末端融合パートナーの発生率、およびROS1エクソンのブレイクポイントを示す図である。(図11A)COSMICデータセット(円グラフ中)に示されているROS1融合パートナーおよびこの症例報告において特定された他のROS1融合パートナーの発生率である。(図11B)ROS1融合物に関するCOSMICデータの分析により、特定のエクソンのブレイクポイントの場合、融合物内に偏在していることが実証される。
図12】EML4-ALK融合細胞株における、ERKリン酸化に及ぼすRMC-4550の効果を示す図である。EML4-ALK融合物を発現するNCI-H3122肺腺癌細胞をRMC-4550により処置すると、AlphaLISA SureFire Ultra HV pERKアッセイキット(Perkin Elmer)を用いて測定される、ERKリン酸化の用量依存的阻害がもたらされる。
図13】EML4-ALK融合細胞株の細胞増殖に及ぼすRNA-4550の効果を示す図である。EML4-ALK融合物を発現するNCI-H3122肺腺癌細胞をRMC-4550により処置すると、3D CellTiter-Glo(CTG)キット(Promega)を用いて評価される、細胞増殖の用量依存的阻害がもたらされる。
図14】CCDC6-RET融合細胞株における、ERKリン酸化に及ぼすRMC-4550の効果を示す図である。CCDC6-RET融合物を発現するLC-2/AD肺腺癌細胞をRMC-4550により処置すると、AlphaLISA SureFire Ultra HV pERKアッセイキット(Perkin Elmer)を用いて測定される、ERKリン酸化の用量依存的阻害がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細は、以下の添付の説明に明記されている。本明細書に記載されているものと同様の、またはそれに等しい方法および材料は、本発明の実践またはテストに使用できるが、例証的方法および材料が、ここに記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかである。明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形は、文脈からそうでないと明らかに示されない限り、複数形も含む。特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で挙げられているすべての特許および公報は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【0016】
一般的方法
本発明の実践は、特に指示がない限り、従来技術の細胞培養、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学を用い、これらは、当業者の範囲内である。そのような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版(Sambrookら、2001年)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(P.Herdewijn編、2004年);Animal Cell Culture(R.I.Freshney)編、1987年);Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir&C.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller&M.P.Calos編、1987年);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987年);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら編、1994年);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991年);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999年);Manual of Clinical Laboratory Immunology(B.Detrick,N.R.RoseおよびJ.D.Folds編、2006年);Immunochemical Protocols(J.Pound編、2003年);Lab Manual in Biochemistry:Immunology and Biotechnology(A.NigamおよびA.Ayyagari編、2007年);Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques(Ivan Lefkovits編、1996年);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.HarlowおよびD.Lane編、1988年);のような文献で十分に説明されている。
【0017】
定義
特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様の、またはそれに等しいある方法および材料は、本発明の実践またはテストに使用できるが、好ましい方法および材料が記載されている。本発明の目的のために、以下の用語が以下に定義されている。
【0018】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の対象の1つまたは1つ超(すなわち、少なくとも1つ)を指すように本開示で使用される。例として、「要素」は、1つの要素または1つ超の要素を意味する。
【0019】
「および/または」という用語は、特に指示がない限り、「および」または「または」を意味するように本開示で使用される。
【0020】
本明細書全体で、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」は、定められた工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群の包含を意味するが、ある他の工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群の除外を意味しないことが理解される。「からなる」は、「からなる」という語句に先行するあらゆるものを含み、それらに限定することを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙されている要素が必要となる、または必須であること、および、他の要素が存在し得ないことを指し示す。「から本質的になる」は、語句の後に列挙されているある要素を含み、列挙されている要素に対し、本開示で指定されている活性または作用に干渉も寄与もしない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙されている要素が必要となる、または必須であるが、他の要素は場合により、列挙されている要素の活性または作用に著しく影響を与えるか否かに応じて、存在してもしなくてもよいことを指し示す。
【0021】
「例えば(e.g.)」という用語は、「例えば(for example)」を意味するように本明細書で使用されており、定められた工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群の包含を意味するが、ある他の工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群の除外を意味しないことが理解される。
【0022】
「場合による」または「場合により」は、続いて記載されている事象または状況が、発生してもしなくてもよいこと、および、説明が、事象または状況が発生する例および発生しない例を含むことを意味する。例えば、「場合により置換アリール」は、本明細書で定義されている「アリール」および「置換アリール」の両方を包含する。1個またはそれ以上の置換基を含有するある基に関して、そのような基は、立体的に実現不可能、合成的に実行不可能、および/または本質的に不安定なある置換、または置換パターンを誘導するように意図されていないことは当業者により理解される。
【0023】
本開示で使用されている「投与する」、「投与すること」または「投与」という用語は、開示されている化合物、もしくは開示されている化合物の医薬として許容できる塩または組成物を、対象に直接的に投与すること、または、対象の体内で当量の活性化合物を形成できる、化合物、もしくは化合物の医薬として許容できる塩のプロドラッグ誘導体、もしくは類似体、または組成物を、対象に投与することを指す。
【0024】
「サンプル」または「生体サンプル」という用語は、本明細書で使用する場合、対象、例えば、ヒト対象または患者から取得したサンプルであって、特定の分子、例えば、本明細書に記載されているRTK融合物(例えば、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物またはNTRK3融合物)のうちの1つまたはそれ以上をテストすることができる、サンプルを指す。サンプルは、以下に限定されないが、生検、組織,細胞、口内スワブサンプル、体液(血液、血清、血漿、尿、唾液、脳脊髄液、涙液、胸膜液などを含む)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法に使用するのに好適なサンプルは、遺伝物質、例えば、ゲノムDNA(gDNA)を含有する。いくつかの実施形態では、サンプルは、ヌクレオチド、例えば、RNA(例えば、mRNA)、またはmRNAに由来するcDNAを含有する。いくつかの実施形態では、サンプルはタンパク質を含有する。サンプルの取得、処理および分析のための方法および試薬は、当業界で公知である。サンプルは、検出工程の前に、さらに処理される。例えば、細胞または組織サンプル中のDNAもしくはタンパク質は、サンプルの他の構成成分から分離される。サンプルは、DNAおよび/またはタンパク質を濃縮および/または精製して、これらを単離することができる。細胞は、当業界で公知の標準技術を使用して、生体サンプルから取得することができる。例えば、細胞は、細胞サンプルを遠心分離し、ペレット化した細胞を再懸濁することによって取得することができる。細胞は、リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)のような緩衝溶液中で再懸濁することができる。細胞懸濁液を遠心分離にかけて、細胞ペレットを取得した後に、この細胞は、DNA、例えば、ゲノムDNAおよび/またはタンパク質を抽出するために溶解される。対象から取得したサンプルはすべて、なんらかの種類のさらなる処理が施されたものを含めて、対象から取得したと見なされる。
【0025】
本開示で使用されている「担体」という用語は、担体、賦形剤および希釈剤を包含し、ある器官、または体の一部から、別の器官、または対象の体の一部への、医薬品の移動または輸送に関与する、液体もしくは固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料のような材料、組成物またはビヒクルを意味する。
【0026】
「化合物(compound)A」、「化合物(Cmp)A」、「RMC3943」および「RMC-0693943」という用語は、以下の構造:
【化1】
を有するSHP2阻害剤を指すように、本明細書で互換的に使用される。
【0027】
「化合物(compound)B」、「化合物(Cmp)B」、「RMC-4550」および「RMC-0694550」という用語は、以下の構造:
【化2】
を有するSHP2阻害剤を指すように、本明細書で互換的に使用される。
【0028】
「化合物(compound)C」および「化合物(Cmp)C」という用語は、RMC-3943およびRMC-4550に類似した構造のアロステリックSHP2阻害剤化合物を指すように、本明細書で互換的に使用される。化合物Cは、PCT/US2017/041577(WO2018/013597)で開示されており、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【0029】
実施例9は、RMC-3943、RMC-4550および化合物Cの各々のSHP2阻害活性を示す。
【0030】
SHP099という用語は、以下の構造:
【化3】
を有するSHP2阻害剤を指す。
【0031】
「障害」という用語は、本開示では、特に指示がない限り、疾患、状態または疾病という用語を意味するように使用され、それと互換的に使用される。
【0032】
「有効量」は、化合物に関して使用される場合、望ましい反応を導くのに必要とされる、化合物、例えばSHP2阻害剤の量である。いくつかの実施形態では、望ましい反応は、例えば、対象における生物学的反応である。いくつかの実施形態では、本化合物(例えば、SHP2阻害剤)は、対象における生物学的反応をもたらすのに有効な量で、対象に投与される。いくつかの実施形態では、有効量は、「治療有効量」である。
【0033】
「阻害剤」という用語は、生体分子(例えばタンパク質、核酸)を反応の完了または開始から防止する化合物を意味する。阻害剤は、競合的、非競合的または不競合的手段により反応を阻害できる。模範的な阻害剤は、核酸、DNA、RNA、shRNA、siRNA、タンパク質、タンパク質模倣物、ペプチド、ペプチド模倣物、抗体、小分子、化学物質、酵素、受容体、または例えばシグナル伝達に関与する他のタンパク質の結合部位を模倣する類似体、治療剤、医薬組成物、薬物およびこれらの組合せを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、阻害剤は、細胞における機能タンパク質の量を低下させるsiRNAを含むが、それらに限定されない核酸分子であり得る。したがって、特定のタンパク質、例えばSHP2を「阻害することが可能な」といわれる化合物は、そのような阻害剤のいずれかを含む。
【0034】
「アロステリックSHP2阻害剤」という用語は、酵素の活性部位以外の部位における、SHP2への結合を介してSHP2を阻害することが可能な小分子化合物を意味する。本明細書で開示されている模範的なアロステリックSHP2阻害剤は:(i)RMC-3943;(ii)RMC-4550;(iii)化合物C;(iv)SHP099;(v)本明細書で開示されている式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのアロステリックSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155、(vii)本明細書で開示されている表1からの化合物;(viii)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(ix)それらの組合せを含むが、限定されない。本明細書で使用されている「変異」という用語は、変化した核酸またはポリペプチドを生じる、核酸および/またはポリペプチドの修飾を指し示す。「変異」という用語は、例えば、遺伝子のタンパク質コード領域内に生じる変化、ならびに、以下に限定されないが、制御配列またはプロモーター配列のようなタンパク質コード配列の領域外における変化、ならびに増幅および/または染色体切断もしくは転座を含む、ポリヌクレオチドにおける単一または複数の残基の点変異、欠失または挿入を含み得る。
【0035】
「患者」または「対象」は、哺乳動物、例えばヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、または、サル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルのようなヒト以外の霊長類である。
【0036】
対象に関して、「防止する」または「防止すること」という用語は、対象を疾患または障害に苛まれることから防ぐことを指す。防止することは、予防的処置を含む。例えば、防止することは、対象が疾患に苛まれる前から、対象に、本明細書で開示されている化合物を投与することを含み得、投与は、対象を疾患に苛まれることから防ぐ。
【0037】
治療剤、例えば、SHP2阻害剤を「対象に付与する」という用語は、そのような作用剤を投与することを含む。
【0038】
「RAS経路」および「RAS/MAPK経路」という用語は、様々な細胞表面成長因子受容体のシグナル伝達カスケードの下流を指すように、本明細書で互換的に使用され、そこでは、RAS(ならびにその様々なアイソフォームおよびアロタイプ)の活性化が中心事象であり、これにより、細胞の増殖、活性化、分化、動員および他の機能的性質を決定する多彩な細胞のエフェクター事象が推進される。SHP2は、成長因子受容体から、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF、SOS1のような)により調節されるRAS活性化/不活化サイクルに正シグナルを伝達し、この交換因子は、GTPをRASに加えて、機能的に活性なGTP-結合RAS、ならびにGTPをGDPへと変換することによりシグナルの停止を促進するGTP-促進タンパク質(GAP、NF1のような)を生成する。このサイクルにより生成されたGTP-結合RASは、追加のシグナルから様々な細胞のエフェクター機能へと発せられるRAFおよびMAPキナーゼを含む一連のセリン/トレオニンキナーゼに不可欠な正シグナルを、伝達する。
【0039】
「SHP2」という用語は、「Src相同2ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ2」を意味し、SH-PTP2、SH-PTP3、Syp、PTP1D、PTP2C、SAP-2またはPTPN11としても公知である。本開示におけるSHP2変異の番号付けは、Uniprot Isoform 2(受託番号Q06124-2)による。
【0040】
「治療剤」は、疾患または障害を処置することが可能ないずれかの物質、例えば、化合物または組成物である。いくつかの実施形態では、本開示に関連して有用な治療剤は、SHP2阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤、RTK阻害剤(TKI)および癌化学療法剤を含むが、限定されない。多くのそのような阻害剤は、当業界で公知であり、本明細書で開示されている。
【0041】
「治療有効量」および「治療用量」という用語は、本明細書に記載されている通り、対象における疾患または障害を処置するため、対象に投与した後に有効な、化合物、例えば、SHP2阻害剤の量を指すように、本明細書で互換的に使用される。
【0042】
「予防有効量」という用語は、本明細書に記載されている通り、対象における疾患または障害の発病を予防するためまたは遅延させるため、対象に投与した後に有効な、化合物、例えば、SHP2阻害剤の量を指すように、本明細書で使用される。
【0043】
対象に関して、「処置」または「処置すること」という用語は、少なくとも1つの症状、病変、または、対象の疾患もしくは障害のマーカーを、直接、または別の処置の効果を向上させて、改善することを指す。処置することは、障害を治癒、改善または少なくとも部分的に寛解することを含み、処置される疾患または状態の1つまたはそれ以上の測定可能なマーカーにおける最小限の変化または改善さえも含み得る。「処置」または「処置すること」は、疾患もしくは状態、またはその関連する症状の完全な根絶または治癒を必ずしも指し示さない。この処置を受ける対象は、それを必要とするある対象である。臨床的改善の模範的なマーカーは、当業者に明らかである。
【0044】
外観
本開示は、とりわけ、SHP2阻害剤を単体で用いた、または、別の好適な治療剤と組み合わせた、疾患または障害(例えば、癌)を処置または防止するための方法、組成物およびキットに関する。具体的には、いくつかの態様では、本開示は、対象におけるある発癌性チロシンキナーゼ融合物の変異の存在に基づいて、アロステリックSHP2阻害剤により処置するための候補として、疾患または障害(例えば、癌)を有する対象を層別することに関する。
【0045】
添付の実施例に記載されている通り、本出願人らは、様々なRTK融合体を検討して、RTK融合パートナーが、RTKの活性および腫瘍形成のモジュレートに果たす潜在的な役割を探索した。本出願人らは、独特なN末端融合パートナーは、独特な細胞のシグナル伝達および様々な臨床的に関連するRTK融合癌タンパク質の発癌特性をもたらす特異的細胞内局在を推進することを驚くべきことに実証する。SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1融合癌タンパク質はエンドソームに存在して、RAS/MAPK経路を活性化し、これらの融合癌タンパク質を発現する細胞は、SHP2阻害剤による処置に感受性がある。CD74-ROS1は、その代わりに、小胞体(ER)に局在し、RAS/MAPKを活性化することはできず、この融合癌タンパク質を発現する細胞は、SHP2阻害剤による処置に感受性がない。ERからエンドソームにCD74-ROS1を強制的に再局在させると、RAS/MAPKシグナル伝達が復活し、RAS/MAPKを一層良好に活性化するROS1融合癌タンパク質は、一層の侵襲性の腫瘍を形成する。したがって、N末端融合パートナーにより制御される特異的細胞内局在は、あるRTK融合癌タンパク質の発癌機構および産生量を調節する。
【0046】
したがって、本開示は、すべてではないが、一部の発癌性チロシンキナーゼ融合物の変異は、RAS/MAPK経路の活性化をもたらし、そのような変異を有する癌は、SHP2阻害剤による処置に特に感受性があるという驚くべき発見に一部、基づいている。さらに、本開示は、そのような発癌性チロシンキナーゼ融合物の細胞内局在は、RTKの下流のシグナル伝達の改変および腫瘍形成にある役割を果たし得るという驚くべき発見に一部、基づいている。
【0047】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、癌がMAPKを活性化するRTK融合物を含むかどうかを判定することにより、対象がSHP2阻害に感受性の癌を有するかどうかを特定する方法を提供する。そのような判定は、患者層別に利用することができ、この場合、MAPKを活性化するRTK融合物を含む癌を有する患者に、SHP2阻害剤を単独で、または1つもしくはそれ以上の追加の他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0048】
本明細書で使用する場合、「患者層別」は、治療剤(例えば、アロステリックSHP2阻害剤)により処置可能となる可能性があるかまたはその可能性がないかのどちらか一方である疾患または障害(例えば、癌)を有すると、1人またはそれ以上の患者を分類することを意味する。「患者層別」および「対象層別」という用語は、互換的に使用することができる。
【0049】
患者層別は、アロステリックSHP2阻害剤による処置に感受性のある腫瘍を有すると患者を分類することを含むことができる。患者層別は、発癌性であり、かつMAPK経路を活性化するRTK融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍の存在または非存在に基づくことができる。
【0050】
「発癌性RTK融合物」という用語は、癌に関連するRTK融合物を意味する。いくつかの実施形態では、この用語は、独立して発癌性(すなわち、「癌推進性」RTK融合物)である融合物、および発癌性RTK融合物が1つまたはそれ以上の他の発癌性変異と組み合わされて生じる場合に発癌性となる融合物を包含する。
【0051】
MAPK経路を活性化する発癌性RTK融合物の存在は、例えば、患者層別の目的のため、当業界においてまたは本明細書に記載されている任意の好適な方法によって判定される。例えば、以下に決して限定されないが、いくつかの実施形態では、患者からの生体サンプル(例えば、腫瘍細胞のような細胞)は、RTK融合物(例えば、MAPK経路を活性化することが知られている発癌性RTK融合物)が存在することまたは存在しないことに関してジェノタイピングされる。細胞またはそのような細胞の集団を、さらにまたは代替として、分析し、そのようなRTK融合物が、存在する場合、患者の細胞におけるMAPK経路活性化を引き起こすかどうかを判定することができる。
【0052】
MAPK経路の活性化は、当業界において公知のまたは本明細書に記載されている任意の好適な方法を使用して判定される。例えば、MAPK経路の活性化は、イムノブロット;免疫蛍光法;またはELISA;例えば、MAPKシグナル伝達分子のリン酸化型に特異的な抗体の利用によって判定される。例えば、実施例1を参照されたい。
【0053】
多数の好適なジェノタイピング方法が、当業界で公知であり、以下で議論され、本発明において使用するのに好適である。これらは、例えば、例えば単一分子レベルでの配列決定手法、マイクロアレイ手法、質量分析法、ハイスループット配列決定手法を含むことができる。
【0054】
例えば、以下に決して限定されないが、いくつかの態様では、患者からの生体サンプル(例えば、腫瘍細胞のような細胞)は、細胞が発癌性RTK融合物(例えば、MAPK経路を活性化することが知られている発癌性RTK融合物)を含有するかどうかを判定するハイブリダイゼーション検出方法を使用してジェノタイピングされる。
【0055】
ハイブリダイゼーション検出方法は、核酸配列の変異を検出する働きをする、相補性核酸配列間の特定のハイブリッドの形成に基づく。そのような方法には、例えば、マイクロアレイ解析およびリアルタイムPCRが含まれる。サザン分析、ノーザン分析またはインシチュハイブリダイゼーションのようなハイブリダイゼーション法も使用される(参照によってその全体が組み入れられる、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら(編)、John Wiley & Sons 2003年を参照されたい)。
【0056】
細胞が、RTK融合(例えば、MAPK経路を活性化することが知られている発癌性RTK融合物)を含有するかどうかを判定するため、細胞(例えば、腫瘍細胞)をジェノタイピングする他の好適な方法は、例えば、直接マニュアル配列決定法(direct manual sequencing)(すべての目的のため、参照により各々の全体が組み入れられる、Church and Gilbert、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第81巻:1991~1995頁(1988年);Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第74巻:5463~5467頁(1977年);Beavisら、米国特許第5,288,644号);自動蛍光配列決定法;一本鎖高次構造多型アッセイ(SSCP);固定変性ゲル電気泳動(clamped denaturing gel electrophoresis)(CDGE);二次元ゲル電気泳動(2DGEまたはTDGE);コンフォメーション高感度ゲル電気泳動(CSGE);変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Sheffieldら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第86巻:232~236頁(1989年))、移動度シフト分析(参照によってその全体が組み入れられる、Oritaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第86巻:2766~2770頁(1989年));制限酵素分析(参照によってその全体が組み入れられる、Flavellら、Cell 第15巻:25頁(1978年);Geeverら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第78巻:5081頁(1981年));定量的リアルタイムPCR(参照によってその全体が組み入れられる、Racaら、Genet Test 第8巻(4号):387~94頁(2004年));ヘテロ二本鎖分析;化学的ミスマッチ切断(CMC)(参照によってその全体が組み入れられる、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第85巻:4397~4401頁(1985年));RNアーゼ保護アッセイ(参照によってその全体が組み入れられる、Myersら、Science 第230巻:1242頁(1985年));ヌクレオチドミスマッチ、例えば大腸菌(E.coli)mutSタンパク質を認識するポリペプチドの使用;アレル特異的PCRを含む。例えば、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許公開第2004/0014095号を参照されたい。
【0057】
一実施形態では、対象から取得したサンプル中に存在するRTK融合物の部位を含有する、ゲノムDNA(gDNA)またはその断片(「領域」)が、最初に増幅される。一実施形態では、RTK融合gDNAは、本明細書に記載されている、1つまたはそれ以上の発癌性RTK融合物である。そのような領域は、その部位の両側のゲノム配列および/またはcDNA配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCRにより増幅して単離される。例えば、PCR Primer:A Laboratory Manual、Dieffenbach and Dveksler(編);McPhersonら、PCR Basics:From Background to Bench(参照によってその全体が組み入れられる、Springer Verlag、2000年);参照によってその全体が組み入れられる、Mattilaら、Nucleic Acids Res.、第19巻:4967頁(1991年);参照によってその全体が組み入れられる、Eckertら、PCR Methods and Applications、第1巻:17号(1991年);参照によってその全体が組み入れられるPCR(McPhersonら(編)、IRL Press、Oxford);および参照によってその全体が組み入れられる米国特許第4,683,202号を参照されたい。使用される他の増幅方法は、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu and Wallace、Genomics、第4巻:560頁(1989年)、Landegrenら、Science、第241巻:1077頁(1988年))、転写増幅(Kwohら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第86巻:1173頁(1989年))、参照によってその全体が組み入れられる、自家持続配列複製法(Guatelliら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、第87巻:1874頁(1990年))および核酸ベースの配列増幅(NASBA)を含む。PCR増幅のためにプライマーを選択するためのガイドラインは、当業者に公知である。例えば、参照によってその全体が組み入れられる、McPhersonら、PCR Basics:From Background to Bench、Springer-Verlag、2000年を参照されたい。プライマーを設計するための様々なコンピュータプログラムが、利用可能である。
【0058】
一例では、サンプル(例えば、ゲノムDNAを含むサンプル)は、対象から取得される。次に、サンプル中のDNAは、本明細書に記載されている通り、そのRTK融合プロファイルを判定するためにテストされる。「RTK融合プロファイル」という用語は、いずれか1つまたはそれ以上の公知のRTK融合物の変異(例えば、本明細書に記載されている発癌性RTK融合物)が存在するまたは存在しないことを指す。このプロファイルは、本明細書に記載されている任意の方法によって、例えば、配列決定法によって、またはゲノムDNA、RNAまたはcDNAにおける遺伝子を核酸プローブ、例えば、DNAプローブ(これは、cDNAおよびオリゴヌクレオチドプローブを含む)またはRNAプローブにハイブリダイゼーションすることによって判定される。核酸プローブは、RTK融合物のgDNA領域と特異的にまたは優先的にハイブリダイズするよう設計される。
【0059】
いくつかの実施形態では、代替RTK融合物が制限部位の生成または排除をもたらす場合、制限消化分析を使用して、RTK融合物の存在を検出することができる。ゲノムDNAを含有するサンプルは、個体から取得される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、RTK融合部位(例えば、RTKに融合したタンパク質のC末端およびRTKタンパク質のN末端)を含む領域を増幅することができ、制限断片の長さ分析が行われる(参照によってその全体が組み入れられる、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら(編)、John Wiley & Sons 2003年を参照されたい)。適切なDNA断片の消化パターンは、特定のRTK融合物が存在することまたは存在しないことを示しており、したがって、SHP2阻害剤による処置に感受性があるまたはないことを示す。
【0060】
配列分析はまた、1つまたはそれ以上のRTK融合物(例えば、本明細書に記載されている発癌性RTK融合物)を検出するために使用することができる。DNAまたはRNAを含むサンプルは、対象から取得される。所望の場合、PCRまたは他の適切な方法を使用して、RTK融合部位を包含する部分を増幅することができる。次に、この配列は、任意の標準的な方法を使用して確認され、RTK融合物の存在が判定される。
【0061】
アレル特異的オリゴヌクレオチドはまた、例えば、アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブを用いて増幅したオリゴヌクレオチドのドットブロットハイブリダイゼーションの使用により、RTK融合物の存在を検出するために使用することができる(例えば、Saikiら、Nature(London)第324巻:163~166頁(1986年)を参照されたい)。「アレル特異的オリゴヌクレオチド」(本明細書において、「アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブ」とも称される)は、通常、RTK融合物を含有する核酸領域に特異的にハイブリダイズする、約10~50の塩基対、好ましくは約15~30の塩基対からなるオリゴヌクレオチドである。特定のRTK融合物に特異的なアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、標準法を使用して調製することができる(参照によってその全体が組み入れられる、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら(編)、John Wiley & Sons 2003年を参照されたい)。
【0062】
いくつかの実施形態では、どのRTK融合物が対象に存在するかを判定するため、DNAを含むサンプルを対象から取得してもよい。PCRまたは別の増幅手順を使用して、RTK融合部位を包含する部分を増幅することができる。
【0063】
リアルタイムピロホスフェートDNA配列決定法が、RTK融合物を検出する、さらに別の手法である(参照によってその全体が組み入れられる、Alderbornら(2000年)Genome Research、第10巻(8号):1249~1258頁)。追加的な方法は、例えば、変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC)と組み合わせたPCR増幅を含む(すべての目的のため、参照によってその全体が組み入れられる、Underhillら、Genome Research、第7巻、10号、996~1005頁、1997年)。
【0064】
ハイスループット配列決定法または次世代配列決定法もまた、本明細書に記載されている、1つまたはそれ以上のRTK融合物を検出するために使用することができる。そのような方法は、当業界で公知であり(例えば、すべての目的のため、参照によってその全体が組み入れられる、Zhangら、J Genet Genomics.2011年3月20日;第38巻(3号):95~109頁;すべての目的のため、参照によってその全体が組み入れられる、Metzker、Nat Rev Genet.2010年1月;第11巻(1号):31~46頁)、以下に限定されないが、ABI SOLiD配列決定技術(現在、Life Technologies、Carlsbad、CAにより所有されている);パイロ配列決定法として知られている合成技術による配列決定法を使用するRoche454FLX(Roche、Basel、スイス);IlluminaのGenome Analyzer(Illumina、San Diego、CA);Dover Systems Polonator G.007(Salem、NH);Helicos(Helicos BioSciences Corporation、Cambridge Mass.、米国)およびSangerのような技術を含む。一実施形態では、DNA配列決定法は、質量分析法技術、および全ゲノム配列決定技術、単一分子配列決定法などを含めた、当業界で周知の方法を使用して行うことができる。
【0065】
一実施形態では、核酸、例えばゲノムDNAは、ナノポア配列決定法を使用して配列決定され、本明細書に記載されている1つまたはそれ以上のRTK融合物の存在を判定する(例えば、すべての目的のため、参照によってその全体が組み入れられる、Soniら(2007年).Clin Chem 第53巻、1996~2001頁に記載されている通りである)。ナノポア配列決定法は、単一分子配列決定技術であり、この技術によって、DNAの単一分子は、ナノポアを通過すると、直接、配列決定される。ナノポアとは、直径が1ナノメートル程度の小さな孔である。導電性流体中でのナノポアの浸漬、およびナノポアに電位(電圧)をかけると、ナノポアをイオンが導通するため、わずかな電流が生じる。流れる電流の量は、ナノポアのサイズおよび形状に敏感である。DNA分子がナノポアを通過すると、DNA分子上の各ヌクレオチドは、様々な程度にナノポアを詰まらせ、様々な程度にナノポアを流れる電流の大きさが変わる。したがって、DNA分子がナノポアを通過する際の電流のこのような変化が、DNA配列の読取り値となる。すべての目的のため、参照によってその全体が組み入れられる、米国特許第5,795,782号、同第6,015,714号、同第6,627,067号、同第7,238,485号および同第7,258,838号、ならびに米国特許出願公開第2006/003171号および同第2009/0029477号に開示されているナノポア配列決定技術が、本明細書に記載されている方法を用いる使用に適する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌を有する対象を処置するためのSHP2阻害剤を使用する方法であって、(i)癌がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する工程;および(ii)癌がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程を含む、方法を提供する。そのような方法は、SHP2阻害剤(例えば、併用療法として)と組み合わせて、対象に1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)を投与する工程をさらに含むことができる。そのような方法は、さらにまたは代替として、追加治療法、例えば、追加的な癌治療法を投与する工程をさらに含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、化学療法、免疫療法、放射線療法および外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて、上記の方法により投与される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、化学療法、免疫療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて、上記の方法により投与される。いくつかの実施形態では、本開示は、癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する工程、および癌がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含まない場合に、SHP2阻害剤を投与するのではなく、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示は、SHP2阻害剤を用いて癌細胞を死滅させる方法であって、(i)癌細胞がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかを判定する工程;および(ii)癌細胞がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含む場合、癌細胞にSHP2阻害剤を接触させる工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、接触させる工程は、対象においてin vivoで行われる。いくつかの実施形態では、対象におけるin vivoで接触させる工程は、対象へのSHP2阻害剤の投与により行われる。SHP2阻害剤を用いて癌細胞を死滅させるそのような方法は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて(例えば、併用療法として)、癌細胞にSHP2阻害剤を接触させる工程をさらに含むことができる。そのような方法は、さらにまたは代替として、追加治療法、例えば、追加的な癌治療法を行う工程をさらに含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、化学療法、免疫療法、放射線療法および外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて、上記の方法により投与される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、化学療法、免疫療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて、上記の方法により投与される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤を用いて癌細胞を死滅させる方法は、(iii)癌細胞がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含まない場合に、癌細胞に、SHP2阻害剤ではなく、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を接触させる工程を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示は、SHP2阻害剤を用いて癌を有する患者を処置する方法であって、(i)患者が:(a)患者から生体サンプルを取得するまたはその取得を完了すること;および(b)生体サンプルにアッセイを実行するまたはその実行を完了して、患者がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む腫瘍を有するかどうかを判定することによって、SHP2感受性癌を有するかどうかを判定する工程;および(ii)患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む腫瘍を有する場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程を含む、方法を提供する。実施例において示されている通り、いくつかの実施形態では、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物の存在は、SHP2感受性癌であることを示す。そのような方法は、SHP2阻害剤と組み合わせて(例えば、併用療法として)、対象に1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)を投与する工程をさらに含むことができる。そのような方法は、さらにまたは代替として、追加治療法(例えば、追加的な癌治療法)を行う工程を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上記の方法により、SHP2感受性癌を有すると特定された患者に、化学療法、免疫療法、放射線療法および外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上記の方法により、SHP2感受性癌を有すると特定された患者に、化学療法、免疫療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本開示は、(i)患者が、上記の方法により、SHP2感受性癌を有するかどうかを判定する工程;および(ii)患者がSHP2感受性癌を含む腫瘍を有さない場合(例えば、患者がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含む細胞を含む腫瘍を有さない場合)、患者にSHP2阻害剤を投与するのではなく、患者に化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程を含む方法を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示は、SHP2阻害剤を用いて腫瘍を有する対象を処置する方法であって、対象から取得した生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有するかどうかを判定する工程、および生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有する場合、対象にSHP2の阻害剤を投与する工程を含む、方法を提供する。そのような方法は、SHP2阻害剤と組み合わせて(例えば、併用療法として)、対象に1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)を投与する工程をさらに含むことができる。そのような方法は、さらにまたは代替として、追加治療法(例えば、追加的な癌治療法)を行う工程を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上記の方法により、SHP2感受性癌を有すると特定された患者に、化学療法、免疫療法、放射線療法および外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、上記の方法により、SHP2感受性癌を有すると特定された患者に、化学療法、免疫療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法と組み合わせて投与される。
【0070】
ある種の実施形態では、本明細書で開示されている方法により、患者に投与するための本明細書に記載されているSHP2阻害剤のいずれか1つは、併用治療として、1つまたはそれ以上の他の治療剤と組み合わせて投与される。例えば、SHP2阻害剤は、発癌性チロシンキナーゼ融合物を含む細胞を含む癌を処置するための、別の薬剤を用いる併用療法として患者に投与される。併用療法は、SHP2阻害剤、および当業界で公知の、または本明細書で開示されている任意の他の抗癌治療剤の投与を含むことができる。例えば、SHP2阻害剤は、例えば、以下に限定されないが、タキサン、ビンカアルカロイド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビンまたはビンフルニンのような有糸分裂阻害剤、および他の抗癌剤、例えば、シスプラチン、5-フルオロウラシルまたは5-フルオロ-2-4(1H,3H)-ピリミジンジオン(5FU)、フルタミド、ゲムシタビン、チェックポイント阻害剤(例えば、チェックポイント阻害剤抗体)(例えば、ペムブロリズマブ(または「Keytruda(登録商標)」、Merck)、ニボルマブ(または「Opdivo(登録商標)」、BMS)、PDR001(NVS)、REGN2810(Sanofi/Regeneron)のような、例えばPD-1抗体、例えば、アベルマブ(または「MSB0010718C」または「Bavencio(登録商標)」、PFE&Merck Kga)、デュルバルマブ(または「Imfinzi(登録商標)」または「MEDI-4736」、Medimmune&Celgene)、アテゾリズマブ(または「Tecentriq(登録商標)」または「MPDL-3280A」、Genentech&Roche)、ピジリズマブ(または「CT-001」、Medivation - 現在のPfizer)、JNJ-63723283(JNJ)、BGB-A317(BeiGene&Celgene)のようなPD-L1抗体のような)、または非限定的に、イピリムマブ、トレメリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、AMP224、AMP514/MEDI0680、BMS936559、MEDl4736、MPDL3280A、MSB0010718C、BMS986016、IMP321、リリルマブ、IPH2101、1-7F9およびKW-6002を含む、Preusser、M.ら(2015年)Nat.Rev.Neurol.(参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)に開示されているチェックポイント阻害剤;RTK阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、PI3K/AKT経路阻害剤、MAPキナーゼ経路の阻害剤およびMEK阻害剤から選択される、抗癌剤と組み合わせて、対象に投与される。RTK阻害剤(TKI)は、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因受容体(VEGFR)、免疫グロブリン様および上皮成長因子相同性ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE-2)、インスリン成長因子-I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkBおよびTrkC)、エフリン(eph)受容体、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、RET癌原遺伝子およびALKから選択される1つまたはそれ以上のRTKを阻害することができる。TKIは、以下に限定されないが、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Cancers(Basel).2015年9月;第7巻(3号):1758~1784年に記載されている1つまたはそれ以上のTKIを含むことができる。TKIは、以下に限定されないが、EGFR阻害剤またはALK阻害剤を含むことができる。TKIは、以下に限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標));セツキシマブ(Erbitux(登録商標));パニツムマブ(Vectibix(登録商標));ゲフィチニブ(Iressa(登録商標));エルロチニブ(Tarceva(登録商標));ラパチニブ(Tykerb(登録商標));アファチニブ;ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));スニチニブ(Sutent(登録商標));ベバシズマブ(Avastin(登録商標));パゾパニブ;ニロチニブ;ブリバニブ(BMS-540215);CHIR-258(TKI-258);SGX523;およびイマチニブ(Gleevec(登録商標))を含むことができる。SHP2阻害剤と組み合わせて、本開示により使用される他のTKIは、以下に限定されないが、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Kath,John C.、Exp.Opin.Ther.Patents(2000年)第10巻(6号):803~818頁;Shawverら、DDT 第2巻、2号、1997年2月;およびLofts,F.J.ら、「Growth factor receptors as targets」、New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy(編)Workman,Paul and Kerr,David、CRC press 1994年、Londonに記載されている成長因子受容体阻害剤薬剤を含むことができる。併用療法は、当業界で公知のまたは本明細書で開示されている、PI3K/AKT経路(「PI3K/AKT阻害剤」)の阻害剤と組み合わせたSHP2阻害剤を含むことができる。PI3K/AKT阻害剤は、以下に限定されないが、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Cancers(Basel).2015年9月;第7巻(3号):1758~1784頁に記載されている1つまたはそれ以上のPI3K/AKT阻害剤を含むことができる。例えば、PI3K/AKT阻害剤は、NVP-BEZ235;BGT226;XL765/SAR245409;SF1126;GDC-0980;PI-103;PF-04691502;PKI-587;GSK2126458のうちの1つまたはそれ以上から選択することができる。ALK阻害剤は、以下に限定されないが、セリチニブ、TAE-684(本明細書において、「NVP-TAE694」とも称される)、PF02341066(本明細書において、「クリゾチニブ」または「1066」とも称される)、アレクチニブ;ブリガチニブ;エントレクチニブ;エンサルチニブ(X-396);ロルラチニブ;ASP3026;CEP-37440;4SC-203;TL-398;PLB1003;TSR-011;CT-707;TPX-0005およびAP26113を含むことができる。ALKキナーゼ阻害剤の追加例は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、WO2005016894の実施例3~39に記載されている。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上のそのような抗癌剤の前、後またはこれと同時に投与される。いくつかの実施形態では、そのような組合せ物は、治療法における相加活性または相乗活性を含めた、大きな利点をもたらし得る。
【0071】
いくつかの特定の実施形態では、本開示は、当業界で公知のまたは本明細書で開示されているMAPキナーゼ(MAPK)経路の阻害剤(または「MAPK阻害剤」)と組み合わせて、当業界で公知のまたは本明細書で開示されているSHP2阻害剤を含む併用療法により、疾患または障害、例えば癌を処置する方法を提供する。MAPK阻害剤は、MEK阻害剤であってもよい。本明細書で開示されている方法に使用するためのMAPK阻害剤は、以下に限定されないが、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Cancers(Basel).2015年9月;第7巻(3号):1758~1784年に記載されている1つまたはそれ以上のMAPK阻害剤を含むことができる。例えば、MAPK阻害剤は、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、LErafAON(NeoPharm)、ISIS5132;ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;CH5126766;MAP855;AZD6244;レファメチニブ(RDEA119/BAY86-9766);GDC-0973/XL581;AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);RO5126766(Roche、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、PLoS one.2014年11月25日;第9巻(11号));およびGSK1120212(または参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、Clin Cancer Res.2011年3月1日;第17巻(5号):989~1000頁に記載されている、「JTP-74057」)のうちの1つまたはそれ以上から選択することができる。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上のそのようなMAPK阻害剤の前、後またはこれと同時に投与される。いくつかの実施形態では、そのような組合せ物は、治療法における相加活性または相乗活性を含めた、大きな利点をもたらし得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示は、AMG510、BI-2852またはARS-3248のようなRASの阻害剤と組み合わせて、SHP2阻害剤を含む併用療法により、疾患または障害、例えば癌を処置する方法を提供する。
【0073】
いくつかの特定の実施形態では、本開示は、当業界で公知のまたは本明細書で開示されているMAPキナーゼ(MAPK)経路の阻害剤(または「MAPK阻害剤」)と組み合わせて、および上で開示されているいずれか1つまたはそれ以上の抗癌剤と組み合わせて、当業界で公知のまたは本明細書で開示されているSHP2阻害剤を含む併用療法により、疾患または障害、例えば癌を処置する方法を提供する。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上のそのようなMAPK阻害剤の前、後またはこれと同時に投与される。いくつかの実施形態では、そのような組合せ物は、治療法における相加活性または相乗活性を含めた、大きな利点をもたらし得る。
【0074】
MAPKを活性化する発癌性RTK融合物に関連するいずれかの疾患または状態が、本開示により、特定される、評価される、および/または処置される。特定の実施形態では、MAPKを活性化する発癌性RTK融合物は、変異した細胞をSHP2のアロステリック阻害剤に対して感受にする。本開示により処置可能となり得るそのようないくつかの疾患または状態は、当業界において公知である。例えば、ある実施形態では、本開示は、以下に限定されないが、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群および白血病、例えば、急性骨髄性白血病および若年性骨髄単球性白血病を含む造血系およびリンパ系腫瘍;食道癌;乳癌;肺癌;結腸癌;胃癌(gastric cancer)、神経芽細胞腫、膀胱癌、前立腺癌;膠芽腫;尿路上皮癌、子宮癌、咽頭扁桃嚢胞腺癌および卵巣漿液性嚢胞腺癌、傍神経節腫、クロム親和性細胞腫、膵臓癌、副腎皮質癌、胃腺癌、肉腫、横紋筋肉腫、リンパ腫、頭頸部癌、皮膚癌、腹膜癌、腸癌(小腸および大腸)、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、軟部組織癌、卵巣癌、中枢神経系癌(例えば、原発性CNSリンパ腫)、胃癌(stomach cancer)、下垂体癌、生殖器癌、尿路癌、唾液腺癌、子宮頸癌、肝臓癌、眼癌、副腎癌、自律神経節癌、上気道消化管癌、骨癌、精巣癌、胸膜癌、腎臓癌、陰茎癌、副甲状腺癌、髄膜癌、外陰部癌ならびに黒色腫から選択される疾患または状態を処置するための方法を提供し、例えば、SHP2阻害剤を含む本明細書で開示されている単剤療法または併用療法のような、本明細書で開示されている方法を含む。
【0075】
いくつかの例では、MAPKを活性化するRTK融合物を含む癌を有する患者へのSHP2阻害剤の投与は、癌を有する患者の一般集団にSHP2阻害剤を投与するよりも、効能が相加を超えた改善をもたらし得る。例えば、ある種の態様では、本開示は、対象の癌細胞における、MAPKが活性化するRTK融合物が存在することまたは存在しないことに基づいて、SHP2阻害剤により処置するための患者層別であって、そのようなMAPKを活性化するRTK融合物を有すると判定された患者にSHP2阻害剤を投与すると、癌を有する患者の一般集団へのSHP2阻害剤の投与に起因することが予期される処置と比べて、癌の相乗処置をもたらす、患者層別を実現する。処置の効能は、任意の検出可能な読取り値に基づくことができる。例えば、いくつかの例では、相乗処置は、腫瘍負荷の低下に基づく。いくつかの例では、相乗処置は、SHP2阻害剤誘発性腫瘍死滅に基づく。
【0076】
RTK融合物は、発癌性RTK融合物であってもよい。多数のRTK融合物は、腫瘍形成にある役割を果たすことが知られている。例えば、RTK融合物は、いくつかの例では、ALK融合物、ROS1、融合物、RET融合物およびNTRK融合物(例えば、NTRK1)から選択される。NTRK融合物は、さらにまたは代替として、NTRK2融合物またはNTRK3融合物を含むことができる。RTK融合物は、RTK、およびSDC4、SLC34A2、FIG、LRIG3、EZR、TPM3、CD74、GOPC、KDELR3、CCDC6またはEML4のうちの少なくとも一部を含むことができる。例えば、RTK融合物は、ALK、ROS1、RET、NTRK1に融合した、SDC4、SLC34A2、FIG、LRIG3、EZR、TPM3、CD74、GOPC、KDELR3、CCDC6またはEML4から選択されるタンパク質を含むことができる。RTK融合物は、ALK、ROS1、RET、NTRK1のN末端に融合した、SDC4、SLC34A2、FIG、LRIG3、EZR、TPM3またはEML4から選択されるタンパク質を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、RTK融合物は、SDC4-ROS1、SLC34A2-ROS1、FIG-ROS1、LRIG3-ROS1、EZR-ROS1、TPM3-ROS1、CD74-ROS1、GOPC-ROS1、KDELR3v、CCDC6-ROS1から選択することができる。特定の態様では、RTK融合物は、SDC4-ROS1融合物;およびSLC34A2-ROS1融合物から選択することができる。特定の態様では、RTK融合は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物から選択することができる。特定の態様では、RTK融合物は、EML4-ALK融合であってもよい。いくつかの態様では、RTK融合物は、ETV6-NTRK3融合物;TPM3-NTRK1融合物、MPRIP-NTRK1融合物、CD74-NTRK1融合物から選択することができる。いくつかの態様では、RTK融合物は、RTK(例えば、NTRK)に融合した、MPRIP;CD74;RABGAP1L;TPM3;TPR;TFG;PPL;CHTOP;ARHGEF2;NFASC;BCAN;LMNA;TP53;QKI;NACC2;VCL;AGBL4;TRIM24;AFAP1;SQSTM1;ETV6;BTB1;LYN;RBPMSから選択されるタンパク質を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、RTK融合物は、MPRIP-NTRK1;CD74-NTRK1;RABGAP1L-NTRK1;TPM3-NTRK1;TPR-NTRK1;TFG-NTRK1;PPL-NTRK1;CHTOP-NTRK1;ARHGEF2-NTRK1;NFASC-NTRK1;BCAN-NTRK1;LMNA-NTRK1;TP53-NTRK1;QKI-NTRK2;NACC2-NTRK2;VCL-NTRK2;AGBL4-NTRK2;TRIM24-NTRK2;AFAP1-NTRK2;SQSTM1-NTRK2;ETV6-NTRK3;BTB1-NTRK3;LYN-NTRK3;RBPMS-NTRK3から選択することができる。様々な態様では、上で列挙した融合物の1つまたはそれ以上が、MAPK経路を活性化する。
【0077】
様々な実施形態では、本明細書で開示されている組成物および方法、例えば、本明細書において議論されているそのような疾患または障害(例えば、癌)を処置する方法は、対象に、有効量のSHP2阻害剤またはSHP2阻害剤を含む組成物(例えば、医薬組成物)を投与する工程を含む。「SHP2阻害剤」および「SHP2の阻害剤」という用語は、SHP2を阻害することが可能な任意の化合物または物質を指すように、本明細書で互換的に使用される。これらの用語には、非限定的に、本明細書に記載されている「アロステリックSHP2阻害剤」および他のSHP2阻害剤が含まれる。SHP2を阻害することが可能なそのような任意の化合物または物質は、本開示による用途に利用されて、SHP2を阻害することができる。SHP2阻害剤の非限定例は、当業界で公知であり、本明細書で開示されている。例えば、以下に決して限定されないが、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、SHP2阻害剤である化合物Cを利用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、以下に限定されないが、本明細書における表1に提示されているいずれかのSHP2阻害剤から選択される、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、以下に限定されないが、本明細書における表2に提示されているいずれかのSHP2阻害剤から選択される、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、Chen、Ying-Nan Pら、148 Nature、第535巻、2016年7月7日で開示され、参照によってその全体が本明細書に組み入れられ、そこで開示されているSHP099を含むあるSHP2阻害剤から選択されるが、それらに限定されない1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載されている組成物および方法は、以下に限定されないが、そのそれぞれが参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、PCT出願PCT/US2017/041577(WO2018013597);PCT/US2018/013018(WO2018136264);およびPCT/US2018/013023(WO2018136265)のいずれか1つに開示されている、任意のSHP2阻害剤から選択される、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用することができる。本明細書に記載されている組成物および方法は、PCT出願PCT/IB2015/050343(WO2015107493);PCT/IB2015/050344(WO2015107494);PCT/IB2015/050345(WO201507495);PCT/IB2016/053548(WO2016/203404);PCT/IB2016/053549(WO2016203405);PCT/IB2016/053550(WO2016203406);PCT/US2010/045817(WO2011022440);PCT/US2017/021784(WO2017156397);PCT/US2016/060787(WO2017079723);およびPCT/CN2017/087471(WO2017211303)で開示され、そのそれぞれが、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、あるSHP2阻害剤から選択されるが、それらに限定されない1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載されている組成物および方法は、Chen Lら、Mol Pharmacol.2006年、Aug;70(2):562~70頁で開示され、参照によってその全体が本明細書に組み入れられ、そこで開示されているNSC-87877を含む、あるSHP2阻害剤から選択されるが、それらに限定されない1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。本明細書に記載されている組成物および方法は、ワールドワイドウェブアドレス:clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03114319で利用できるClinicalTrials.gov Identifier:NCT03114319に記載され、参照によってその全体が本明細書に組み入れられるTNO155を利用できる。本明細書に記載されている組成物および方法は、本明細書で開示されている式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物から選択されるが、それらに限定されない1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を利用できる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、SHP2阻害剤である化合物Aを利用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、SHP2阻害剤である化合物RMC-4550を利用することができる。
【0078】
したがって、いくつかの実施形態では、明細書に記載されている組成物および方法は、以下に限定されないが、(i)本明細書で開示されているRMC-3943;(ii)本明細書で開示されているRMC-4550;(iii)本明細書で開示されている化合物C、(iv)本明細書で開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物、(v)本明細書における表1に示されているSHP2阻害剤;(vi)本明細書における表2に示されているSHP2阻害剤;(vii)またはそれらの組合せ物から選択される、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤から選択される。
【0079】
本開示の一態様は、式I:
【化4】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
は、-S-または直接結合であり、
は、-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-または-OC(O)O-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、Y部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-C~Cアルキル、もしくは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環であり、ここで、各アルキルもしくはヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;
は、独立して、-H、-Dもしくは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキルまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0080】
本開示の別の態様は、式II:
【化5】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
は、-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-または-OC(O)O-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、Y部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-C~Cアルキル、もしくは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環であり、ここで、各アルキルもしくはヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;
は、独立して、-H、-Dもしくは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキルまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0081】
本開示の別の態様は、式III:
【化6】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
は、-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-または-OC(O)O-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、Y部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-C~Cアルキル、もしくは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環であり、ここで、各アルキルもしくはヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;
は、独立して、-H、-Dもしくは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキルまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0082】
本開示の一態様は、式I-V1:
【化7】
(式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5-から12-員環の単環式または5-から12-員環の多環式であり;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は、-NR-であり、ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、または単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し、ここで、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、-OR、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)R、-CO、-C(O)NR、-NRC(O)R、単環式もしくは多環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、=O、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-NH、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、-(CH-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリールまたは-(CH-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)NR、-NRC(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、-CF、-CHFまたは-CHFで置換されており;
は、独立して、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、5-から12-員環のスピロヘテロ環、C~Cシクロアルキルまたは-(CH-Rであり、ここで、各アルキル、スピロヘテロ環、ヘテロ環またはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルまたはスピロヘテロシクリルで置換されており;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NO、-CFまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-ORまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関連する。
【0083】
本開示の一態様は、式I-V2:
【化8】
(式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5-から12-員環の単環式または5-から12-員環の多環式であり;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は、-NR-であり、ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の多環式ヘテロ環、または5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し、ここで、各ヘテロ環またはスピロヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C~Cアルキル、ハロゲン、-OH、-OR、-NH、-NHR、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-(CHOH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、-CHF、-CHFまたは=Oで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、-OR、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)R、-CO、-C(O)NR、-NRC(O)R、単環式もしくは多環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、=O、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-NH、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、-(CH-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリールまたは-(CH-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)NR、-NRC(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、-CF、-CHFまたは-CHFで置換されており;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cハロアルキル、-C~Cヒドロキシアルキル、-CFOH、-CHFOH、-NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-NH(CHOH、-C(O)NH(CHOH、-C(O)NH(CH、-C(O)R、-NH、-OH、-CN、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH、-OR、ハロゲンまたはオキソで置換されており;ここで、各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NHまたはハロゲンで置換されており;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NO、-CFまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-ORまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、ならびに医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体および異性体に関連する。
【0084】
本開示の一態様は、式I-W:
【化9】
(式中:
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、5-から12-員環の単環式または5-から12-員環の多環式であり;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は、-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-または-OC(O)O-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、-OR、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)R、-CO、-C(O)NR、-NRC(O)R、単環式もしくは多環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはオキソであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、=O、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルキル、3-から12-員環のヘテロシクリルもしくは-(CH-アリールであり、ここで、各アルキルもしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-NHで置換されており、または、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、-(CH-アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリールまたは-(CH-アリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)NR、-NRC(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、-CF、-CHFまたは-CHFで置換されており;
は、独立して、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、5-から12-員環のスピロヘテロ環、C~Cシクロアルキルまたは-(CH-Rであり、ここで、各アルキル、スピロヘテロ環、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、ハロゲン、-OH、-OR、-NH、-NHR、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-(CHOH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、-CHF、-CHFもしくは=Oで置換されており;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cハロアルキル、-C~Cヒドロキシアルキル -CFOH、-CHFOH -NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-NH(CHOH、-C(O)NH(CHOH、-C(O)NH(CH、-C(O)R、-NH、-OH、-CN、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくは、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、-OR、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;ここで、各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NHもしくはハロゲンで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NO、-CFまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-ORまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、ならびに医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体および異性体に関する。
【0085】
本開示の一態様は、式I-X:
【化10】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
は、-S-または直接結合であり、
は、-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-または-OC(O)O-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-H、-C~Cアルキル、もしくは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環であり、ここで、各アルキルもしくはヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくは、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;ここで、各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NHもしくはハロゲンで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキルまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0086】
本開示の一態様は、式I-Y:
【化11】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
は、-S-または直接結合であり、
は、-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-または-OC(O)O-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、-CF、-CHFまたは-CHFで置換されており;
は、独立して、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、-CHFもしくは-CHFで置換されており;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-NH(CHOH、-C(O)NH(CHOH、-C(O)NH(CH、-C(O)R、-NH、-OH、-CN、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、もしくは、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;ここで、各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NHもしくはハロゲンで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキルまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0087】
本開示の一態様は、式I-Z:
【化12】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は、-NR-、-(CR -、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-または-C(S)N(R)-であり;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピラジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-NH、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-OH、-C~Cシクロアルキルまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、-CF、-CHFまたは-CHFで置換されており;
は、独立して、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rであり、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、または5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環またはスピロヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、-CHFまたは-CHFで置換されており;
は、独立して、-C~Cアルキル、-NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-NH(CHOH、-C(O)NH(CHOH、-C(O)NH(CH、-C(O)R、-NH、-OH、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、または、N、S、PおよびOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンまたはオキソで置換されており;ここで、各アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-NHまたはハロゲンで置換されており;
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式または多環式C~C12シクロアルキル、または単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し、ここで、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOまたは-CNであり;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキルまたは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、それぞれの出現において、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、それぞれの出現において、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0088】
本発明の一態様は、式IV:
【化13】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、-S-または直接結合であり、
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピリジン環に結合し、Y部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-C~Cアルキルもしくは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環からなる群から選択され、ここで、各アルキルもしくはヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており、
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-Dもしくは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0089】
本発明の別の態様は、式Vの化合物:
【化14】
および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体(式中、
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され、
は、:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、図示されているYの左側の結合は、ピリジン環に結合しており、Y部分の右側の結合は、Rに結合しており、
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)R、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~CアルケニルまたはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-C~Cアルキルまたは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環からなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHまたは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、または5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環またはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OHまたは-NHで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-Dまたは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンまたはオキソで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキルまたは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、3-から12-員環の単環式または多環式ヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、3-から12-員環の単環式または多環式ヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
に関する。
【0090】
本発明の別の態様は、式VI:
【化15】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピリジン環に結合し、Y部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-C~Cアルキル、もしくは3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環からなる群から選択され、ここで、各アルキルもしくはヘテロ環は、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OHもしくは-NHで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-Dもしくは-C~Cアルキルであり、ここで、各アルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0091】
本発明の一態様は、式IV-Y:
【化16】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、-S-または直接結合であり、
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピリジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、CF、CHFまたはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rからなる群から選択され、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、CHFもしくはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-NH(CHOH、-C(O)NH(CHOH、-C(O)NH(CH、-C(O)R、NH、-OH、-CN、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;ここで、各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NHもしくはハロゲンで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、または医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体に関する。
【0092】
本発明の一態様は、式IV-Z:
【化17】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、ピリジン環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、独立して、-OR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-NH、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、CF、CHFまたはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rからなる群から選択され、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、CHFもしくはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-NH-NHR、-NH-OR、-O-NR、-NHR、-OR、-NHC(O)R、-NHC(O)NHR、-NHS(O)、-NHS(O)NHR、-S(O)OH、-C(O)OR、-NH(CHOH、-C(O)NH(CHOH、-C(O)NH(CH、-C(O)R、NH、-OH、-CN、-C(O)NR、-S(O)NR、C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NH、ハロゲンもしくはオキソで置換されており;ここで、各アリールもしくはヘテロアリールは、場合により、1つもしくはそれ以上の-OH、-NHもしくはハロゲンで置換されており;または
およびRは、それらに付着している原子(複数可)と一緒になって組み合わさって、単環式もしくは多環式C~C12シクロアルキル、もしくは単環式もしくは多環式3-から12-員環のヘテロ環を形成し得、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロ環は、場合により、オキソで置換されており;ここで、ヘテロ環は、場合により、ヘテロ環に-S(O)-を含み;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、または医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体に関する。
【0093】
本発明の一態様は、式VII:
【化18】
(式中:
Qは、Hまたは
【化19】
であり;
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は、NまたはCであり;
は、NまたはCHであり;
付着点における原子を含むBは、単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロ環、または単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、-OR、-NR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-NH、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、CF、CHFまたはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rからなる群から選択され、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、CHFもしくはCHFで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0094】
本発明の別の態様は、式VIII:
【化20】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、-S-、直接結合、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-CH-または-S(O)-であり;
は、NまたはCであり;
は、NまたはCHであり;
付着点における原子を含むBは、単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロ環、または単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、-OR、-NR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-NH、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、CF、CHFまたはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rからなる群から選択され、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、CHFもしくはCHFで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0095】
本発明の別の態様は、式IX:
【化21】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、NまたはCであり;
は、NまたはCHであり;
付着点における原子を含むBは、単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロ環、または単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、-OR、-NR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-NH、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、アリール、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、CF、CHFまたはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-C~Cアルキル、a 3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rからなる群から選択され、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、CHFもしくはCHFで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0096】
本発明の別の態様は、式X:
【化22】
(式中:
Aは、5-から12-員環の単環式または多環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、-OH、ハロゲン、-NO、-CN、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、-C(O)Rまたは-COであり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、NまたはCであり;
は、NまたはCHであり;
付着点における原子を含むBは、単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロ環、または単環式もしくは多環式5-から12-員環のヘテロアリールであり;
は、独立して、H、-OR、-NR、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-NH、ハロゲン、-C(O)OR、-C~Cシクロアルキル、N、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり;ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールで置換されており;ここで、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、窒素原子を経由して付着しておらず;
は:-NR-、-(CR -、-C(O)-、-C(RNH-、-(CR O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-N(R)C(O)N(R)-、-N(R)C(S)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)N(R)-、-N(R)C(O)O-、-C(O)N(R)O-、-N(R)C(S)-、-C(S)N(R)-および-OC(O)O-からなる群から選択され;ここで、描かれているYの左側の結合は、環に結合し、描かれているY部分の右側の結合は、Rに結合し;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-OH、-C~Cシクロアルキルおよび-C~Cアルキルからなる群から選択され、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルは、場合により、1つまたはそれ以上の-NHで置換されており、ここで、2つのRは、それらの両方に付着している炭素原子と一緒になって組み合わさって、3-から8-員環のシクロアルキルを形成し得;
は、独立して、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cシクロアルキル、-C~Cアルケニル、またはN、S、PもしくはOからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含有するヘテロシクリルであり;ここで、各アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、ハロゲン、-NO、オキソ、-CN、-R、-OR、-NR、-SR、-S(O)NR、-S(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)、-S(O)NR、-S(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)R、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、-(CHOH、-C~Cアルキル、CF、CHFまたはCHFで置換されており;
は、独立して、それぞれの出現において、-H、-C~Cアルキル、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、C~Cシクロアルキルもしくは-(CH-Rからなる群から選択され、ここで、各アルキル、ヘテロ環もしくはシクロアルキルは、場合により、1つもしくはそれ以上の-C~Cアルキル、-OH、-NH、-OR、-NHR、-(CHOH、ヘテロシクリルもしくはスピロヘテロシクリルで置換されており;または
は、Rと組み合わさって、3-から12-員環の単環式もしくは多環式ヘテロ環、もしくは5-から12-員環のスピロヘテロ環を形成し得、ここで、各ヘテロ環もしくはスピロヘテロ環は、場合により、-C~Cアルキル、-OH、-NH、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-(CHNH、-COOR、-CONHR、-CONH(CHCOOR、-NHCOOR、-CF、CHFもしくはCHFで置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環、-OR、-SR、ハロゲン、-NR、-NOおよび-CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、それぞれの出現において、-H、-D、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、-C~Cシクロアルケニル、-C~Cアルキニル、-C~Cシクロアルキル、単環式または多環式3-から12-員環のヘテロ環であり、ここで、各アルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロ環は、場合により、1つまたはそれ以上の-OH、-SH、-NH、-NOまたは-CNで置換されており;
mは、独立して、1、2、3、4、5または6であり;
nは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0097】
本開示の別の態様は、表1における化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0098】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0099】
本開示の別の態様は、表2における化合物、および医薬として許容できるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体に関する。
【0100】
【表28】
【表29】
【0101】
「アリール」という用語は、フェニル、ビフェニルまたはナフチルのような単環式または二環式基を含む、1から2個の芳香族環を有する環状芳香族炭化水素基を指す。2つの芳香族環を含有する場合(二環式など)、アリール基の芳香族環は、単一の点で接続し得る(例えばビフェニル)、または縮合し得る(例えばナフチル)。アリール基は、場合により、付着のどの点であっても、1個またはそれ以上の置換基、例えば1から5個の置換基により置換できる。模範的な置換基は、-H、ハロゲン、-O-C~Cアルキル、-C~Cアルキル、-OC-~アルケニル、-OC~Cアルキニル、-C-Cアルケニル、-C~Cアルキニル、-OH、-OP(O)(OH)、-OC(O)C~Cアルキル、-C(O)C~Cアルキル、-OC(O)OC~Cアルキル、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-S(O)-C~Cアルキル、-S(O)NHC~Cアルキルおよび-S(O)N(C~Cアルキル)を含むが、それらに限定されない。置換基は、それ自体が、場合により置換できる。
【0102】
特に定義しない限り、「ヘテロアリール」は、N、S、PおよびOから選択される1個またはそれ以上の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、5から24個の環原子の一価または多価単環式芳香族ラジカルまたは多環式芳香族ラジカルを意味する。本明細書で定義されているヘテロアリールは、ヘテロ原子が、N、S、PおよびOから選択される二環式ヘテロ芳香族基も意味する。芳香族ラジカルは、場合により、独立して、本明細書に記載されている1個またはそれ以上の置換基で置換されている。例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、インドリル、チオフェン-2-イル、キノリル、ベンゾピラニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、チエノ[3,2-b]チオフェン、トリアゾリル、トリアジニル、イミダゾ[1,2-b]ピラゾリル、フロ[2,3-c]ピリジニル、イミダゾ[1,2-α]ピリジニル、インダゾリル、1-メチル-1H-インダゾリル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、ジヒドロベンゾオキサニル、キノリニル、イソキノリニル、1,6-ナフチリジニル、ベンゾ[de]イソキノリニル、ピリド[4,3-b][1,6]ナフチリジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、キナゾリニル、テトラゾロ[1,5-α]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-α]ピリジニル、イソインドリル、イソインドリン-1-オン、インドリン-2-オン、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,4-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[5,4-b]ピリジニル、ピロロ[1,2-α]ピリミジニル、テトラヒドロピロロ[1,2-α]ピリミジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1λ-ピロロ[2,1-b]ピリミジン、ジベンゾ[b,d]チオフェン、ピリジン-2-オン、フロ[3,2-c]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピリド[3,4-b][1,4]チアジニル、2-メチルベンゾ[d]オキサゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾ[d]イソオキサゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチオフェニル、1,5-ナフチリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-α]ピリジニル、ベンゾ[1,2,3]トリアゾリル、1-メチル-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル、イミダゾ[1,2-α]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル、キノキサリニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾl-2-オン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[1,5-b][1,2]オキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-α]ピリジニル、チアゾロ[5,4-d]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、チエノ[2,3-b]ピロリル、3H-インドリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ピラゾロ[1,5-α]ピリジニルおよびそれらの誘導体を含むが、それらに限定されない。
【0103】
「アルキル」は、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素を指す。C~Cアルキル基は、1から6個の炭素原子を含有する。C~Cアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、イソペンチルならびにネオペンチルを含むが、それらに限定されない。
【0104】
「アルケニル」という用語は、炭素-炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、これは、鎖に約2から約6個の炭素原子を有し、直線または分岐であり得る。あるアルケニル基は、鎖に2~約4個の炭素原子を有する。分岐しているとは、メチル、エチルまたはプロピルのような1個またはそれ以上の低級アルキル基が、直鎖状アルケニル鎖に付着していることを意味する。模範的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル、n-ブテニルおよびi-ブテニルを含む。C~Cアルケニル基は、2から6個の炭素原子を含有するアルケニル基である。
【0105】
「アルキニル」という用語は、炭素-炭素三重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、これは、鎖に約2から約6個の炭素原子を有し、直線または分岐であり得る。あるアルキニル基は、鎖に2から約4個の炭素原子を有する。分岐しているとは、メチル、エチルまたはプロピルのような1個またはそれ以上の低級アルキル基が、直鎖状アルキニル鎖に付着していることを意味する。模範的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニルおよびn-ペンチニルを含む。C~Cアルキニル基は、2から6個の炭素原子を含有するアルキニル基である。
【0106】
「シクロアルキル」という用語は、3~18個の炭素原子を含有する単環式または多環式飽和炭素環を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、ノルボラニル、ノルボレニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルまたはビシクロ[2.2.2]オクテニルを含むが、それらに限定されない。C~Cシクロアルキルは、3から8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、縮合し得る(例えばデカリン)、または架橋し得る(例えばノルボルナン)。
【0107】
「シクロアルケニル」という用語は、4~18個の炭素原子を含有する単環式非芳香族不飽和炭素環を意味する。シクロアルケニル基の例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルおよびノルボレニルを含むが、それらに限定されない。C~Cシクロアルケニルは、4から8個の炭素原子を含有するシクロアルケニル基である。
【0108】
いくつかの実施形態では、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ環」という用語は、炭素、ならびに酸素、リン、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有する単環式または多環式3から24-員環を指し、これには、環炭素またはヘテロ原子の間で共有される非局在π電子(芳香族性)がない。ヘテロシクリル環は、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサリニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS-ジオキシド、ピペラジニル、アゼピニル、オキセピニル、ジアゼピニル、トロパニルおよびホモトロパニルを含むが、それらに限定されない。ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキル環は、縮合し得、または架橋し得、例えば、二環式環であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ環」は、3~24個の原子を含有し、その少なくとも1個の原子は、窒素、硫黄または酸素から選択され、特に指定されない限り、つながっている炭素または窒素であり得る飽和、部分的飽和または不飽和単環式または二環式環であり得、-CH-基は、場合により、-C(O)-により置き換えることができる、または、環硫黄原子は、場合により酸化されて、S-オキシドを形成できる。「ヘテロシクリル」は、5または6個の原子を含有し、その少なくとも1個の原子は、窒素、硫黄または酸素から選択され、特に指定されない限り、つながっている炭素または窒素であり得る飽和、部分的飽和または不飽和単環式または二環式環であり得、-CH-基は、場合により、-C(O)-により置き換えることができる、または、環硫黄原子は、場合により酸化されて、S-オキシド(複数可)を形成できる。「ヘテロシクリル」という用語の非限定的な例および好適な等価物は、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2-ピロリドニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2-ベンゾオキサゾリノニル、1,1-ジオキソテトラヒドロチエニル、2,4-ジオキソイミダゾリジニル、2-オキソ-1,3,4-(4-トリアゾリニル)、2-オキサゾリジノニル、5,6-ジヒドロウラシリル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,2,4-オキサジアゾリル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、4-チアゾリドニル、モルホリノ、2-オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドリル、ピペラジニル、チオモルホリノ、1,1-ジオキソチオモルホリノ、テトラヒドロピラニル、1,3-ジオキソラニル、ホモピペラジニル、チエニル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、4-ピリドニル、キノリルおよび1-イソキノロニルである。
【0110】
本明細書で使用されている「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基を意味する。
【0111】
「カルボニル」という用語は、酸素原子に二重結合している炭素原子を含む官能基を指す。これは、本明細書では、「オキソ」、C(O)またはC=Oと省略されていることがある。
【0112】
「スピロ環」または「スピロ環状」は、炭素二環式環系を意味し、これは、単一の原子を介して連結する両方の環を有する。環は、大きさおよび性質が異なり得る、または、大きさおよび性質が同一であり得る。例は、スピロペンタン、スピロヘキサン、スピロヘプタン、スピロオクタン、スピロノナンまたはスピロデカンを含む。スピロ環における環の一方または両方は、別の炭素環式環、ヘテロ環式環、芳香族環またはヘテロ芳香族環に縮合し得る。スピロ環における炭素原子の1個またはそれ以上は、ヘテロ原子(例えば、O、N、SまたはP)で置換できる。C~C12スピロ環は、5から12個の炭素原子を含有するスピロ環である。いくつかの実施形態では、C~C12スピロ環は、5から12個の炭素原子を含有するスピロ環である。炭素原子の1個またはそれ以上は、ヘテロ原子で置換できる。
【0113】
「スピロ環式ヘテロ環」、「スピロヘテロシクリル」または「スピロヘテロ環」という用語は、環の少なくとも1つがヘテロ環である(例えば、環の少なくとも1つは、フラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである)スピロ環を意味すると理解される。スピロ環式ヘテロ環は、5から12個の原子を含有し得、その少なくとも1個は、N、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である。いくつかの実施形態では、スピロ環式ヘテロ環は、5から12個の原子を含有し得、その少なくとも1個は、N、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である。
【0114】
「互変異性体」という用語は、同一の数およびタイプの原子を有するが、結合連結性の点で異なり、互いに平衡である一連の化合物を指す。「互変異性体」は、この一連の化合物の一メンバーである。典型的には、単一の互変異性体が描かれるが、この単一の構造は、存在し得るすべての考えられる互変異性体を表すよう意味することは理解される。例は、エノール-ケトン互変異性を含む。ケトンが描かれている場合、エノールおよびケトン形態の両方が、本開示の一部であることは理解される。
【0115】
SHP2阻害剤は、単剤療法として単体で、または、併用療法として、1つもしくはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて投与される。SHP2阻害剤は、医薬組成物として投与できる。SHP2阻害剤は、1つまたはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)の前、後および/またはそれと同時に投与できる。1つまたはそれ以上の他の治療剤と同時に投与される場合、そのような投与は、同時であってもよく(例えば、単一の組成物として)、または2つ以上の別々の組成物を経由してもよく、場合により、同一の、または異なる様式の投与(例えば、局所、全身、経口、静脈内)を経由してもよい。いくつかの実施形態では、SHP2阻害剤は、癌免疫療法、放射線療法および/もしくは外科的腫瘍切除、およびさらにもしくは代替として、1つもしくはそれ以上の他の治療剤(例えば、MAPキナーゼ経路の阻害剤または抗癌治療剤)と組み合わせて投与される。
【0116】
開示されている組成物および化合物(例えば、SHP2阻害剤および/または他の治療剤)の投与は、治療剤のある投与様式を経由して達成できる。これらの様式は、全身投与、または、経口、経鼻、非経口、経皮、皮下、経膣、バッカル、直腸のような局所投与もしくは局部投与様式を含む。
【0117】
意図されている投与様式に応じて、開示されている化合物または医薬組成物は、注射剤、錠剤、坐剤、丸剤、時限放出カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、エマルション剤、シロップ剤、散剤、液剤、懸濁液剤のような固体、半固体または液体剤形であり得、一部は、単位用量であり得、従来の薬務と一致し得る。同じく、これらは、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内形態でも投与でき、すべての使用形態は、医薬品業者に周知である。SHP2阻害剤の送達(単体で、または、例えば、本開示による別の治療剤と組み合わせて)に好適な医薬組成物、およびそれを調製するための方法は、当業者に容易に明らかになる。そのような組成物およびそれを調製するための方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995年)で見出すことができ、その全体が、本明細書に組み入れられる。
【0118】
例証的医薬組成物は、SHP2阻害剤を単体で、または、本開示による別の治療剤、ならびに、a)希釈剤、例えば、精製水、水素化もしくは部分的水素化植物油のようなトリグリセリド油、もしくはその混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、EPAもしくはDHAのような魚油、もしくはそれらのエステルもしくはトリグリセリド、もしくはそれらの混合物、オメガ-3脂肪酸もしくはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/もしくはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/もしくはポリエチレングリコール;錠剤の場合、また、;c)必要に応じて、結合剤、例えば、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、炭酸マグネシウム、グルコースもしくはベータ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウムのような天然および合成ガム、ワックスおよび/もしくはポリビニルピロリドン;d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、もしくは発泡性混合物;e)吸収剤、着色剤、香味料および甘味料;f)Tween(登録商標)80、Labrasol(登録商標)、HPMC、DOSS、caproyl 909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex 355、gelucire、ビタミンE TPGSもしくは他の許容できる乳化剤のような、乳化剤もしくは分散剤;ならびに/またはg)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200のような、化合物の吸収を向上させる作用剤のような、医薬として許容できる担体と組み合わせて含む、錠剤およびゼラチンカプセル剤である。
【0119】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散により製造できる。例えば、SHP2阻害剤(単体で、または、本開示による別の治療剤と組み合わせて)は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセリン、エタノールのような医薬として許容できる溶媒に溶解して、またはそれと混合して、それにより注射可能な等張液または懸濁液を形成する。アルブミン、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質のようなタンパク質を使用して、SHP2阻害剤を(単体で、または、本開示による別の治療剤と組み合わせて)可溶化できる。
【0120】
SHP2阻害剤は、単体で、または、本開示による別の治療剤と組み合わせて、坐剤としても製剤化でき、これは、脂肪エマルションまたは懸濁液から製造でき;プロピレングリコールのようなポリアルキレングリコールを担体として使用する。
【0121】
SHP2阻害剤は、単体で、または、本開示による別の治療剤と組み合わせて、小単一ラメラ小胞、大単一ラメラ小胞および多重ラメラ小胞のようなリポソーム送達系の形態でも投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含有する多彩なリン脂質から形成できる。いくつかの実施形態では、脂質成分のフィルムは、薬物の水溶液で水和して、例えば米国特許第5,262,564号に記載されているように薬物をカプセル化した脂質層を形成し、その内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0122】
SHP2阻害剤は、モノクローナル抗体を、開示されている化合物に結び付く個別の担体として使用することによっても送達できる。SHP2阻害剤は、標的化可能な薬物担体として、可溶性ポリマーと結び付き得る。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されるポリエチレンオキシドポリリジンを含み得る。さらに、SHP2阻害剤は、薬物、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーの徐放を達成するのに有用なある分類の生分解性ポリマーに結び付き得る。一実施形態では、開示されている化合物は、ポリマー、例えばポリカルボン酸ポリマーまたはポリアクリレートに共有結合していない。
【0123】
非経口注射剤の投与は、一般的に、皮下、筋肉内または静脈内注入および浸出液で使用される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液として、または注射前に液体中に溶解するのに好適な固体形態として、従来の形態で製造できる。
【0124】
本発明の別の態様は、SHP2阻害剤(単体で、または、本開示による別の治療剤と組み合わせて)、および医薬として許容できる担体を含む医薬組成物に関する。医薬として許容できる担体は、賦形剤、希釈剤または界面活性剤をさらに含み得る。
【0125】
したがって、本開示は、本明細書で開示されている方法、例えば、SHP2単剤療法に使用するための1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤を含む組成物(例えば医薬組成物)を提供する。そのような組成物は、SHP2阻害剤、ならびに例えば、1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤を含み得る。
【0126】
本開示は、本明細書で開示されている方法、例えば、SHP2併用療法に使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤、および1つまたはそれ以上の追加の治療剤を含む組成物(例えば薬組成物)を提供する。そのような組成物は、SHP2阻害剤、追加の治療剤(例えば、TKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤)、ならびに例えば、1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤を含み得る。
【0127】
本開示は、本明細書で開示されている方法、例えば、SHP2併用療法に使用するための、1つまたはそれ以上のSHP2阻害剤、および1つまたはそれ以上のMEK阻害剤を含む組成物(例えば医薬組成物)を提供する。そのような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに例えば1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤を含み得る。そのような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに例えば1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤から本質的になり得る。そのような組成物は、SHP2阻害剤、MEK阻害剤、ならびに例えば1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤からなり得る。例えば、本開示の組成物の非限定的な一例は、(a)SHP2阻害剤;(b)トラメチニブ(GSK1120212);セルメチニブ(AZD6244);コビメチニブ(GDC-0973/XL581)、ビニメチニブ、ベムラフェニブ、ピマセルチブ、TAK733、RO4987655(CH4987655);CI-1040;PD-0325901;レファメチニブ(RDEA 119/BAY 86-9766);RO5126766、AZD8330(ARRY-424704/ARRY-704);およびGSK1120212の1つまたはそれ以上から選択されるMEK阻害剤;ならびに(c)1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤および/または界面活性剤を含み得る、それらから本質的になり得る、またはそれらからなり得る。本開示の組成物の別の非限定的な例は、(a)MEK阻害剤;(b)(i)RMC-3943;(ii)RMC-4550;(iii)化合物C;(iv)SHP099;(v)本明細書で開示されている式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つのSHP2阻害剤化合物;(vi)TNO155;(vii)本明細書で開示されている表1からの化合物;(viii)本明細書で開示されている表2からの化合物;ならびに(xi)それらの組合せから選択されるSHP2阻害剤;ならびに(c)1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤を含み得る、それらから本質的になり得る、またはそれらからなり得る。
【0128】
組成物は、それぞれ、慣用的な混合法、造粒法またはコーティング法により調製することができ、本医薬組成物は、質量または体積に対して、開示される治療剤を約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。したがって、そのような組成物は、質量または体積に対して、開示化合物Cを約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。組成物は、質量または体積に対して、開示されているRMC-4550を約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。組成物は、質量または体積に対して、表1に列挙されているSHP2阻害剤化合物を約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。組成物は、質量または体積に対して、表2に列挙されているSHP2阻害剤化合物を約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。組成物は、質量または体積に対して、2種またはそれ以上のSHP2阻害、例えば、質量または体積に対して、化合物Cおよび1つまたはそれ以上の追加のSHP2阻害剤からなる組合せ物を約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。
【0129】
開示されている化合物を利用する投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、質量、性別および医学的状態;処置される状態の重症度;投与経路;患者の腎臓または肝臓機能;ならびに用いられる、開示されている特定の化合物を含む多彩な要因に従って選択される。当業界の医師または獣医は、状態の進展を防止する、無効にする、または停止にするために必要な有効量の薬物を容易に決定でき、処方できる。
【0130】
有効な投与量のSHP2阻害剤は、指し示されている効果に使用される場合、状態を処置するために、必要に応じて、約0.5mgから約5000mgの範囲になる。in vivoまたはin vitroで使用するための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500もしくは5000mgの開示されている化合物を含有し得る、または、用量の列挙におけるある量から別の量の範囲で含有し得る。一実施形態では、組成物は、スコア付けできる錠剤の形態である。
【0131】
本発明はまた、SHP2阻害剤、1つまたはそれ以上の担体、賦形剤、希釈剤、および/または界面活性剤を用いる、疾患または障害を処置するためのキット、ならびに、対象からのサンプル(例えば腫瘍サンプル)が、SHP2処置に感受性である可能性があるかどうかを判定する手段も提供する。いくつかの実施形態では、この判定するための手段は、サンプルが、RTK融合物を含むかどうかを判定するための手段を含む。いくつかの実施形態では、この判定するための手段は、サンプルが、MAPK経路を活性化するRTK融合物を含むかどうかを判定するための手段を含む。いくつかの実施形態では、この判定するための手段は、サンプルが、本明細書に記載されているRTK融合変異のいずれかを含むかどうかを判定するための手段を含む。そのような手段は、直接配列決定法、および高感受性診断アッセイ(CE-IVDマーク付き)、例えば、TheraScreen(登録商標)PCR;AmoyDx;PNAClamp;RealQuality;EntroGen;LightMix;ストリップアッセイ(登録商標);Hybcell plexA;Devyser;Surveyor;Cobas;およびTheraScreen Pyroを含む、Domagalaら、Pol J Pathol 3:145~164頁(2012年)に記載され、参照によってその全体が本明細書に組み入れられるものの利用を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、この判定するための手段は、本明細書に記載されているRTK融合変異を含むサンプルが、MAPK経路を活性化するかどうかを判定するための手段を含む。したがって、この手段は、イムノブロット;免疫蛍光法;またはELISAとすることができる。
【0132】
本明細書で参照される、またはいずれかの出願データシートで列挙されている米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、PCT特許出願、PCT特許出願公報、海外特許、海外特許出願および非特許公報のすべては、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。以上のことから、本発明の特定の実施形態は、例証の目的で本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変が行われることが認識される。
【0133】
例示的実施形態
本開示の実施形態の一部は、以下のような実施形態Iである:
【0134】
実施形態I-1.対象が、SHP2阻害に感受性の癌を有するかどうかを特定する方法であって、癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかを判定する工程、およびそのような場合、対象がSHP2阻害に感受性の癌を有すると特定する工程を含む、方法。
【0135】
実施形態I-1a.癌を有する対象を処置する方法に使用するためのSHP2阻害剤であって、癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む、SHP2阻害剤。
【0136】
実施形態I-1b.SHP2阻害剤を用いて処置するための、癌を有する対象を選別する方法であって、
癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかをin vitroで判定する工程を含み、生体サンプルが、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する場合、対象がSHP2阻害剤を用いて処置するために選択される、
方法。
【0137】
実施形態I-1c.癌を有する対象を処置する方法に使用するためのSHP2阻害剤であって、
癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含む1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかをin vitroで判定する工程;および
癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む場合、対象にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、SHP2阻害剤。
【0138】
実施形態I-2.癌を有する対象を処置するためのSHP2阻害剤を使用する方法であって、
癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかを判定する工程;および
癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含む場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、方法。
【0139】
実施形態I-3.SHP2阻害剤を用いて癌細胞を死滅させる方法であって、
1つまたはそれ以上の癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかを判定する工程;および
1つまたはそれ以上の癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する場合、癌細胞にSHP2阻害剤を接触させる工程
を含む、方法。
【0140】
実施形態I-3a.癌細胞を死滅させる方法に使用するためのSHP2阻害剤であって、1つまたはそれ以上の癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する、SHP2阻害剤。
【0141】
実施形態I-3b.MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を死滅させる医薬の製造のための、SHP2阻害剤の使用。
【0142】
実施形態I-3c.癌細胞を死滅させる方法に使用するためのSHP2阻害剤であって、
1つまたはそれ以上の癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかをin vitroで判定する工程;および
1つまたはそれ以上の癌細胞が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する場合、癌細胞にSHP2阻害剤を接触させる工程
を含む、SHP2阻害剤。
【0143】
実施形態I-4.SHP2阻害剤を用いて癌を有する患者を処置する方法であって、
患者が:
患者から生体サンプルを取得すること、または取得を完了すること;および
生体サンプルにアッセイを実行するまたはその実行を完了して、患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍を有するかどうかを判定すること
によってSHP2感受性癌を有するかどうかを判定する工程;および
患者が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む腫瘍を有する場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、方法。
【0144】
実施形態I-4b.SHP2阻害剤を用いて処置するための癌を有する患者を選別する方法であって、
患者が:
患者から生体サンプルを取得すること、または取得を完了すること;および
生体サンプルにin vitroでアッセイを実行するまたはその実行を完了して、生体サンプルが、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかを判定すること
によって、SHP2感受性癌を有するかどうかをin vitroで判定する工程を含み、
生体サンプルが、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む場合に、SHP2阻害剤を用いて処置するために患者が選別される、
方法。
【0145】
実施形態I-4c.癌を有する患者を処置する方法に使用するためのSHP2阻害剤であって、方法が:
患者から生体サンプルを取得すること、または取得を完了すること;および
サンプルにin vitroでアッセイを実行するまたはその実行を完了して、生体サンプルが、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含むかどうかを判定すること
によって、患者がSHP2感受性癌を有するかどうかをin vitroで判定する工程;および
生体サンプルが、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する1つまたはそれ以上の細胞を含む場合、患者にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、SHP2阻害剤。
【0146】
実施形態I-5.SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、PCT/US2017/041577(WO2018/013597)において開示されている、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つ;(iv)化合物C;(v)表1に列挙されているSHP2阻害剤;(vi)表2に列挙されているSHP2阻害剤;ならびに(vii)それらの組合せから選択される、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4bおよびI-4cのいずれか1つの方法。
【0147】
実施形態I-5b.SHP2阻害剤は、(i)NSC-87877;(ii)TNO155、(iii)本明細書における、式I、式II、式III、式I-V1、式I-V2、式I-W、式I-X、式I-Y、式I-Z、式IV、式V、式VI、式IV-X、式IV-Y、式IV-Z、式VII、式VIII、式IXおよび式Xのいずれか1つ;(iv)化合物C;(v)表1に列挙されているSHP2阻害剤;または(vi)表2に列挙されているSHP2阻害剤から選択されるSHP2阻害剤の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体;またはそのような医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体のいずれか2つまたはそれ以上の組合せである、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4bおよびI-4cのいずれか1つの方法。
【0148】
実施形態I-6.発癌性チロシンキナーゼ融合物は、ROS1融合物、ALK融合物、RET融合物、NTRK1融合物、NTRK2融合物およびNTRK3融合物から選択される、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5およびI-5bのいずれか1つの方法。
【0149】
実施形態I-7。発癌性チロシンキナーゼ融合物は、SDC4-ROS1融合物またはSLC34A2-ROS1融合物である、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5bおよびI-6のいずれか1つの方法。
【0150】
実施形態I-8.発癌性チロシンキナーゼ融合物は、FIG-ROS1融合物;LRIG3-ROS1融合物;EZR-ROS1融合物およびTPM3-ROS1融合物である、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5bおよびI-6のいずれか1つの方法。
【0151】
実施形態I-9.発癌性チロシンキナーゼ融合物は、EML4-ALK融合物から選択される、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5bおよびI-6のいずれか1つの方法。
【0152】
実施形態I-10.MAPK活性化は、ERKリン酸化の増大を測定することによって検出される、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8およびI-9のいずれか1つの方法。
【0153】
実施形態I-11.癌細胞がMAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するかどうかの判定は、患者から取得した生体サンプル中の細胞(複数可)をジェノタイピングすることによって達成される、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9およびI-10のいずれか1つの方法。
【0154】
実施形態I-12.ジェノタイピングは、癌がEML4-ALK、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1から選択される発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有する細胞を含むかどうかを判定する、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10およびI-11の方法。
【0155】
実施形態I-13.癌が、MAPK活性化を引き起こす発癌性チロシンキナーゼ融合物を含有するいずれの細胞も含まない場合、化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程を含む、実施形態I-1、I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11およびI-12のいずれか1つの方法。
【0156】
実施形態I-14.SHP2阻害剤を用いて腫瘍を有する対象を処置する方法であって、
対象から取得した生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有するかどうかを判定する工程;および
生体サンプルが、融合タンパク質をエンドソームに局在させるN末端融合パートナーを含む発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質を含有する場合、対象にSHP2阻害剤を投与する工程
を含む、方法。
【0157】
実施形態I-15.発癌性チロシンキナーゼ融合タンパク質は、MAPK活性化を引き起こす、実施形態I-14の方法。
【0158】
実施形態I-16.化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程をさらに含む、実施形態I-1、I-1c、I-2、I-4、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-14およびI-15のいずれか1つの方法。
【0159】
実施形態I-17.追加的な治療剤(例えば、TKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤)を投与する工程をさらに含む、実施形態I-1、I-1c、I-2、I-4、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-14、I-15およびI-16のいずれか1つの方法。
【0160】
実施形態I-18.接触させる工程は、対象において、in vivoで行われる、実施形態I-3の方法。
【0161】
実施形態I-19.接触させる工程は、対象へのSHP2阻害剤の投与により行われる、実施形態I-18の方法。
【0162】
実施形態I-20.化学療法、放射線療法および/または外科的腫瘍切除から選択される癌治療法を行う工程をさらに含む、実施形態I-19の方法。
【0163】
実施形態I-21.追加的な治療剤(例えば、TKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、MEK阻害剤)を投与する工程をさらに含む、実施形態I-19またはI-20の方法。
【0164】
実施形態I-22.追加的な治療剤を投与する工程をさらに含む、実施形態I-19またはI-20の方法であって、追加的な治療剤が、(i)TKI、MAPK経路阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤もしくはMEK阻害剤の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体、または(ii)(i)に列挙されているそのような医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体もしくは異性体のいずれか2つもしくはそれ以上の組合せである、方法。
【0165】
実施形態I-22.SHP2阻害剤は、化合物Cである、実施形態I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-13、I-14、I-15、I-16、I-17、I-18、I-19、I-20およびI-21のいずれか1つの方法。
【0166】
実施形態I-22b.SHP2阻害剤は、化合物Cの医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体である、実施形態I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-13、I-14、I-15、I-16、I-17、I-18、I-19、I-20およびI-21のいずれか1つの方法。
【0167】
実施形態I-23.SHP2阻害剤が、
【化23】
【化24】
からなるSHP2阻害剤の群から選択される、実施形態I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-13、I-14、I-15、I-16、I-17、I-18、I-19、I-20およびI-21のいずれか1つの方法。
【0168】
実施形態I-23b.SHP2阻害剤は、
【化25】
【化26】
からなる、SHP2阻害剤の群から選択される化合物の医薬として許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、互変異性体または異性体である、実施形態I-1a、I-1b、I-1c、I-2、I-3、I-3a、I-3b、I-3c、I-4、I-4b、I-4c、I-5、I-5b、I-6、I-7、I-8、I-9、I-10、I-11、I-12、I-13、I-14、I-15、I-16、I-17、I-18、I-19、I-20およびI-21のいずれか1つの方法。
【実施例
【0169】
本開示は、以下の実施例および合成例によりさらに例証され、これらは、本開示を、範囲または精神において、本明細書に記載されている特定の手順に限定するとは解釈されない。実施例は、ある実施形態を例証するために示されていること、および、それによる本開示の範囲の限定は意図されていないことは理解されるべきである。様々な他の実施形態、その改変および等価物に対する策を講じられるべき場合があり、この策により、それらが、本開示の精神および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく当業者に示唆されることはさらに理解されるべきである。
【実施例1】
【0170】
物質および方法
特に明記しない限り、本明細書で開示されている実施例は、以下の物質および方法を利用する。
【0171】
細胞培養物。すべての細胞株は、37℃、5%COで加湿インキュベータ中に維持した。患者に由来するROS1-ポジティブ肺腺癌細胞株であるHCC78、CUTO-2、CUTO-23、およびCUTO-33、および正常な肺上皮細胞株であるBEAS2-Bをすべて、10%FBSおよび100ug/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したPRMI-1640に維持した。HEK-293T細胞およびNIH-3T3細胞は、10%FBSおよび100ug/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充した高グルコースDMEMに維持した。CUTO-2、CUTO-23およびCUTO-33細胞は、Robert Doebele博士(University of Colorado、Denver、CO、米国)からの好意による提供品であった。
【0172】
化合物。クリゾチニブ(Selleck Chemicals、Houston、TX、米国)およびSHP2阻害剤であるRMC-4550(Revolution Medicines、Redwood City、CA、米国)、化合物C(Revolution Medicines、Redwood City、CA、米国)およびRMC-3943(Revolution Medicines、Redwood City、CA、米国)をDMSO中に溶解した。
【0173】
抗体。以下のCell Signaling Technology(Danvers、MA、米国)の抗体を使用した:ホスホ-ROS1(Y2274、#3078)、ROS1(#3287)、ホスホ-ALK(Y1604、#3341)、ALK(#3633)、ホスホ-STAT3(Y705、#9145)、STAT3(#9139)、ホスホ-AKT(S473、#5012)、AKT(#2920)、ホスホ-ERK(Y202/204、#4370)、ERK(#4694)、ホスホ-MEK1/2(Ser217/221、#9121)、MEK1(#2352)、抗ウサギIgG、HRP連結抗体(#7074)、抗マウスIgG、HRP連結抗体(#7076)。以下のSigma-Aldrich(St Louis、MO、米国)の抗体を使用した:ベータ-アクチン(#A2228)。以下のSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA、米国)の抗体を使用した:EEA1(sc-6415)。以下のAbcam(Cambridge、英国)の抗体を使用した:Calnexin-Alexa Fluor(登録商標)488(ab202574)、PTP1B(ab201974)。以下のLife Technologies Thermo Fisher Scientific(Waltham、MA、米国)の抗体を使用した:Alexa Fluor(登録商標)488ロバ抗マウス(#21202)、Alexa Fluor(登録商標)499ロバ抗ヤギ(#11055)、Alexa Fluor(登録商標)594ロバ抗ウサギ(#21207)。
【0174】
DNAトランスフェクション。TransIt(登録商標)-LT1トランスフェクション試薬(Mirus Bio LLC、Madison、WI、米国)を使用して、293T細胞を一過的にトランスフェクトした。
【0175】
イムノブロッティング。イムノブロッティングに関しては、細胞を氷冷PBSで洗浄し、氷冷RIPA緩衝液[1X HALTプロテアーゼ阻害剤カクテルおよび1X HALT ホスファターゼ阻害剤 カクテル(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を補充した、25mM Tris-HCl(pH7.6)、150mM NaCl、1% NP-40、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS]中にこすり落とした。溶解物を超音波処理および遠心分離で濁りをとった。溶解物にSDS/PAGE、次いで、表示した抗体を用いるブロッティングを施した。シグナルは、Amersham ECL Prime試薬(GE Healthcare Life Sciences)、およびImageQuant LAS4000(GE Healthcare Life Science、Chicago、IL、USA)での化学発光を使用して検出した。293T細胞を、溶解物の採取前の5時間、血清飢餓(0%S)にして、ROS1 BEAS2-B細胞を、溶解物の採取前の24時間、血清飢餓(0%S)にした。
【0176】
siRNAノックダウン。細胞を6ウェルプレートにシードした。翌日、DharmaFECTトランスフェクション試薬(Thermo Fisher Scientific)を含む5uMの最終濃度の無血清培地にsiRNAを再懸濁し、次に、ピペット操作で細胞の上に加えた。55時間後に溶解物を採取した。Sigma-Aldrichからの以下のROS1 siRNAを使用した:Hs01_00183685(siROS1 #1)およびHs01_00183690(siROS1 #2)。非標的対照siRNAは、Dharmacon(GE Life Sciences)から購入した。
【0177】
構築物。SDC4-ROSおよびCD74-ROSのためのレンチウイルス発現構築物は、Christine Lovly博士(Vanderbilt University、Nashville、TN、米国)からの好意による提供品であった。SLC34A2-ROSのためのレンチウイルス発現構築物は、Monika Davare博士(OHSU、Portland、OR、米国)からの好意による提供品であった。MEK-DD(#15268)およびCA-STAT3(#24983)のためのレンチウイルス発現構築物は、Addgeneから購入した。
【0178】
ウイルス形質導入。293Tウイルスパッケージング細胞を、トランスフェクトする前日に10cmの皿にプレート賠償した。これらの細胞に、レンチウイルスまたはレンチウイルス発現構築物、およびTransIt(登録商標)-LT1トランスフェクション試薬(Mirus Bio LLC、Madison、WI、米国)を使用する適切なパッケージングプラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクトして48~72時間後にウイルスの上清を採集して、これを使用し、1X ポリブレンの存在下で24時間、細胞株に形質導入した。感染して72時間後、培地を標準成長培地および適切な選択可能なマーカーに変更した(NIH-3T3を除くすべての細胞株には1ug/mLのピューロマイシンとし、NIH-3T3は、2ug/mLのピューロマイシンを選択した)。CA-STAT3-感染細胞は、GFP陽性の場合、BD FACSAria II(BD Biosciences、San Jose、CA)に分類した。
【0179】
クリスタルバイオレットアッセイ。細胞は、10%集密度で12ウェルプレートにシードし、翌日に薬物で処理した。細胞を6~8日間、成長させて、次に、4%パラホルムアルデヒドで固定し、クリスタルバイオレットで染色した。ImageQuant LAS4000(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)で徹照を使用して、染色した細胞の写真を撮影した。クリスタルバイオレットを500ulの1% SDSに溶解し、SpectraMax分光光度計(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、米国)を使用して、470nMの吸光度に基づいて定量した。相対細胞生存率は、DMSO処置対照に正規化することにより決定した。クリスタルバイオレット画像はすべて、代表的なものであり、定量値は、≧n=3の実験からのものである。統計学的有意性は、Prism6(Graphpad Software、La Jolla、CA、米国)を使用する、多重t検定解析によって求めた。
【0180】
免疫蛍光法。細胞は、4ウェルのLab Tek(登録商標)IIチャンバスライド(Thermo Fisher Scientific)にシードした。翌日、細胞を4%パラホルムアルデヒドで15分間、固定して洗浄し、ブロキング用緩衝液(1% BSAおよび0.3% Triton X-100を含む、1X PBS)中で1時間、インキュベートした。ブロッキング用緩衝液を吸引し、細胞を一次抗体値と共に、4℃で一晩、暗所でインキュベートした。翌日、細胞を洗浄して、暗所でフルオロフォア-コンジュゲート二次抗体と共に1時間、室温でインキュベートし、洗浄し、次に、DAPI(Cell Signaling Technology、Danvers、MA)を含むProLong(登録商標)Gold Antifade試薬を使用してマウントした。CSU-W1スピニングディスク共焦点(Nikon Imaging Center、UCSF)を装備したNikon Ti顕微鏡を使用してスライドを分析した。
【0181】
異種移植片。NIH-3T3異種移植片は、8週齢のNOD/SCIDマウスの脇腹に、マトリゲル中の1×10細胞(図5b)または5×10細胞(図5c)を注入することによって生成した。腫瘍が、一旦、150mm(処置群あたり、n=6腫瘍)のサイズに到達すると、マウスを処置群に無作為に割り当てた。
【実施例2】
【0182】
ROS1融合癌タンパク質は、RAS/MAPK経路を特異的に活性化する
RTK ROS1を含む融合物は、1~2%の肺腺癌に見出されている(Bergethonら、2012年;Takeuchiら、2012年)。ROS1は、最後に残された希少受容体チロシンキナーゼの1つであり、このタンパク質の野性型の機能に関してはほとんど知られていない。野性型ROS1は、相当量のN末端細胞外ドメインを含有し、その構造は、細胞外マトリックスタンパク質がリガンドとして働き得ることを示唆している(Acquavivaら、2009年)。癌推進性ROS1遺伝子融合物では、この細胞外ドメインは含まれておらず、様々なN末端融合パートナーに融合したROS1の膜貫通ドメインおよびキナーゼドメイン全体はそのままである(DaviesおよびDoebele、2013年;Takeuchiら、2012年)。現在まで、ROS1キナーゼ融合物に対して10種の異なるN末端融合パートナーが、癌において特定されている(図11)(Forbesら、2017年)。最も一般的なROS1融合パートナーは、CD74(ROS1融合物の約50%に見出されている)である(Kohnoら、2015年)。他の一般に観察されているROS1融合パートナーには、SDC4、SLC34A2、LRIG3、EZRおよびTPM3(DaviesおよびDoebele、2013年;Govindanら、2012年;Seoら、2012)が含まれる。これらのN末端パートナーはすべて、明らかにタンパク質ドメインまたは機能をまとめることに欠如しており、これらの融合タンパク質のすべてが必ずしも、発癌性シグナル伝達および癌成長を同じ程度に推進するわけではない可能性が高まる。ROS1癌タンパク質融合物中のN末端パートナーが、各キナーゼ融合物の細胞内局在および発癌特性、またはTKI処置に対する応答を調節するかどうかは、十分に理解されていない。
【0183】
本発明者らは、様々なROS1癌タンパク質融合物が、個別の下流シグナル伝達経路に関り、様々な発癌特性を示すという仮説を検証し、特異的細胞内局在によるそのような特異的表現型の調節における、特定のN末端融合パートナーの機構的役割を検討した。
【0184】
特異的ROS1癌タンパク質融合物の潜在的な特異的機能特性を検討するため、最初に、本発明者は、遺伝的に制御した同質系を操作して、CD74-ROS1、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1を含めた、患者の腫瘍に存在するROS1融合癌タンパク質の最も一般的な形態の一部を発現させた(図1A)(Forbesら、2017年)。本発明者らは、確立された予測コンピュータ解析を使用して、これらの融合物のすべてがトポロジー的に予測されて、細胞質に面するキナーゼドメインをもたらすことを見つけ出した(図1B)(Dobsonら、2015年a;2015年b)。3種のROS1融合物のすべてが、ROS1リン酸化によって測定される、キナーゼの構成的活性化を実証している(図1C)。本発明者らがテストしたROS1融合物はそれぞれ、JAK/STATシグナル伝達経路を同程度に活性化したが(STAT3リン酸化によって測定される)、ROS1融合物がRAS/MAPK経路を活性化する能力(ERKリン酸化により測定される)は、テストした様々なROS1融合タンパク質に有意に様々であった(図1C)。SDC4-ROS1融合物とSLC34A2-ROS1融合物のどちらも、MAPK経路を活性化した。対照的に、CD74-ROS1融合物は、RAS/MAPK経路のシグナル伝達を実質的に誘導できなかった(図1C)。様々なROS1融合物によってMAPK経路のそのような特異的活性化が患者由来のNSCLCモデルにおいて繰り返されるかどうかを確認するため、本発明者らは、本発明者らの同質系において検討した同じ融合物を発現する、ROS1融合物ポジティブな患者由来のNSCLC細胞株において、ROS1の短期siRNA媒介性ノックダウンを行った。本発明者らは、CD74-ROS1融合タンパク質ではなく、SDC4-ROS1融合タンパク質およびSLC34A2-ROS1融合タンパク質のノックダウンは、MAPK経路の抑制をもたらし(図1D~1G)、したがって、同質系における本発明者らの観察を裏付けた。
【実施例3】
【0185】
RAS/MAPK経路シグナル伝達は、RAS/MAPKシグナル伝達を特異的に活性化する、ROS1融合癌タンパク質を発現する細胞の生存に必要かつ十分である。
これらの知見に基づいて、本発明者らは、MAPK経路は、本発明者らが見出した、ROS1融合癌タンパク質の下流での細胞生存の制御に一層の着目すべき役割を果たし得、ROS1融合癌タンパク質は、それほど関わることができないものと比べると、この経路に一層良好に関わり得るという仮説を立てた。実際に、本発明者らは、構成的に活性なMEKの変異形態(MEK-DD)の発現によるMAPK経路の過活性化は、SDC4-ROS1融合物およびSLC34A2-ROS1融合物(これらは、MAPKを活性化する)を発現する細胞をレスキューするのに十分であるが、ROS1阻害剤(クリゾチニブ)感受性のものに由来するCD74-ROS1融合物(これは、MAPKを活性化しない)は、そうではないことを見出した。対照的に、構成的に活性なSTAT3の変異形態(CA-STAT3)の発現によるJAK/STATシグナル伝達の過活性化は、テストしたすべてのROS1融合癌タンパク質に対して、クリゾチニブ感受性のものに由来する細胞をレスキューすることができず、これらの系において、細胞生存の調節に、JAK/STATシグナル伝達はそれほど着目すべき役割がないことを示唆している(図4)(Hrustanovicら、2015年)。
【実施例4】
【0186】
SHP2阻害は、MAPK依存性ROS-1融合物を保持する癌細胞を効果的に死滅させる。
発癌性RTK活性化が下流のRAS/MAPKシグナル伝達にリンクする新たに出現した機構は、PTPN11遺伝子によってコードされ、RAS-GTPレベルおよびRAF-MEK-ERKの活性化の増大に重要な非受容体タンパク質チロシンホスファターゼSHP2を含む(Chenら、2016年)。SHP2はまた、JAK-STATおよび/またはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を活性化することができる。SHP2は、増殖、分化、細胞周期維持および移動を含めた、複数の細胞機能に寄与する。
【0187】
したがって、本発明者らは、SHP2が、NSCLC ROS1融合癌タンパク質の下流でのMAPK経路活性化を促進するという仮説を立てた。実際に、アロステリックSHP2阻害剤であるRMC-4550によるSHP2阻害は、患者由来のNSCLC細胞株に有効であり、この場合、MAPK経路は、ROS1融合物(HCC78、CUTO-2)の下流で働くが、MAPK経路がROS1融合物から断絶された細胞(CUTO-23、CUTO-33)では有効ではなかった(図2D~2E、図5)。本発明者らの収集データは、CD74-ROS1融合物を有するものではなく、SDC4-ROS1融合物およびSLC34A2-ROS1融合物を保持する細胞では、MAPK経路活性化は、細胞生存に必要かつ十分であることを示している。
【実施例5】
【0188】
ROS1癌タンパク質融合物の特異的細胞内局在により、特異的シグナル伝達活性化が調節される。
本発明者らは、様々なROS1融合癌タンパク質の下流で働く特異的なシグナル伝達経路の活性化の根底にあり得るいくつかの考えられる機構を検討した。考えられる機構の1つは、様々な融合遺伝子(例えば、ROS1エクソン32対N末端パートナーに融合したエクソン34)に存在する様々なエクソンのブレイクポイントが、特異的経路の関与に寄与し得るということである。しかし、本発明者らは、特定のROS1融合物の下流で観察される特異的な経路活性化は、エクソンのブレイクポイントが、ROS1のエクソン32または34に存在するかどうかと類似していることを見出した(図6)。さらに、本発明者らは、ROS1キナーゼドメイン全体が保持され、DNA配列分析に基づく様々な融合形態間で同一となることを認めた。本発明者らは、特異的な経路の関与を容易に説明することができる、様々な融合癌タンパク質間にタンパク質発現レベルの有意な差異がないことをさらに見出した(図1C)。まとめると、これらのデータは、特異的なシグナル経路の活性化の推進において、N末端融合パートナーに潜在的な役割があることを示唆している。
【0189】
本発明者らは、免疫蛍光法および共焦点顕微鏡法分析を使用して、これらの融合物(ROS1 B2B)を発現するよう本発明者らが操作した同質BEAS2-B正常気管支上皮細胞株、および入手可能なROS1融合物患者由来細胞株の両方において、SDC4-ROS1、SLC34A2-ROS1およびCD74-ROS1融合タンパク質の細胞内局在を検討した(図7図8)。本発明者らは、様々なROS融合物の独特な細胞内分布があることを見出した。MAPK経路を活性化するSDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1は、確立されたエンドソームのマーカーであるEEA-1と共局在する点状構造で見出された(Muら、1995年)。対照的に、RAS/MAPKシグナル伝達を実質的に活性化しないCD74-ROS1は、核周囲の増強を示した異なるパターンで局在化し、ERの確立されているマーカーであるカルネキシンおよびPTP1Bと共局在した(Ahluwaliaら、1992年)。これらのデータは、特異的な細胞内コンパートメント局在が、独特なN末端融合パートナーを含有する様々なROS1癌タンパク質融合物の下流での特異的なMAPK経路活性化と相関していることを示した。
【実施例6】
【0190】
エンドソームへのCD74-ROS1の再局在により、RAS/MAPK経路の活性化が誘導される
本発明者らは、次に、経路活性化に細胞内局在は必要であるかどうかを直接、テストした。野性型CD74は、MHC分子のERからエンド-リソソームへのトラフィキングに関与する、不変鎖であるII型膜貫通型受容体をコードする。CD74は、ERに固定する15個のアミノ酸のN末端細胞質伸長部を含有する(Khalilら、2005年;Schroder、2016年)。本発明者らは、融合タンパク質をエンドソームに再局在させるため、FYVEジンクフィンガードメインタグ付きCD74-ROS構築物を生成した(Hayakawaら、2004年)。この構築物を発現するBEAS2-B細胞におけるROS1の免疫蛍光解析により、FYVE-CD74-ROS1タンパク質がERから点状構造体へ再局在することが示され、この場合、FYVE-CD74-ROS1タンパク質は、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1の細胞内局在を連想させる、エンドソームのマーカーEEA-1と部分的に共局在した(図9A)。さらに、CD74-ROS1とは対照的に、FYVE-CD74-ROS1タンパク質の発現は、MAPK経路活性化を誘導し、このことは、ROS1融合癌タンパク質の特異的な細胞内局在が、RAS/MAPK経路のシグナル伝達の媒介に重要であることを示唆している(図9B)。STAT3リン酸化に差異は観察されず、特異的な細胞内コンパートメント調節により調節される、シグナル伝達表現型に経路特異性があることを示唆している(図9B)。したがって、様々なROS1融合物間に観察される特異的なMAPK経路の活性化は、N末端融合パートナーによって付与される、融合物特異的かつ独特な細胞内コンパートメント局在により制御される。
【実施例7】
【0191】
RAS/MAPK経路を活性化するROS1融合物は、in vivoでより多くの侵襲性腫瘍を形成する
本発明者らは、次に、これらのROS1融合物がRAS/MAPK経路を活性化する特異的な能力の潜在的な発癌性有意差を検討した。複数の試みを行ったにもかかわらず、免疫無防備マウスでは、現在入手可能な限られた数のROS1融合物にポジティブな患者由来の細胞株は、腫瘍異種移植片として首尾よく成長せず、患者由来の異種移植片(PDX)モデルは、現在入手可能でない。したがって、in vivoでの腫瘍成長を検討するため、本発明者らは、遺伝的に制御した同質系を生成し、この場合、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1(これらは、MAPKシグナル伝達を活性化する)、ならびにCD74-ROS1(これは、MAPKシグナル伝達を活性化しない)融合物を発現するよう、NIH-3T3細胞を操作した(図10A)。免疫無防備マウスにおける標準腫瘍異種移植片検討を行い、in vivoでの特異的発癌特性を評価した。予期される通り、3種のROS1融合物をすべて発現するNIH-3T3細胞は、マウスにおいて腫瘍を形成した一方、エンプティベクターを発現する対照NIH-3T3細胞は、腫瘍を形成しなかった(図10Bであり、データは図示せず)。興味深いことに、in vivoでの成長速度により評価すると、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1融合物を発現する細胞は、CD74-ROS1融合物駆動腫瘍に比べて、一層侵襲性の腫瘍を形成した(図10B)。さらに、本発明者らは、MAPK経路を活性化することが可能な、エンドソームタグ付きFYVE-CD74-ROS1融合タンパク質を発現するNIH-3T3細胞を生成し、それらの細胞と、実質的にMAPK経路の活性化を示さない野性型CD74-ROS1を発現するNIH-3T3細胞とのin vivoでの成長速度を比較した(図10C)。興味深いことに、本発明者らは、FYVE-CD74-ROS1腫瘍は、野性型CD74-ROS1よりもかなり速く成長することを見出した(図10D)。これらのデータは、エンドソームへの再局在の結果として、MAPK経路を活性化することができるROS1融合癌タンパク質の発現は、MAPKを活性化せず、ERに局在しないROS1融合癌タンパク質を発現する腫瘍に比べると、一層侵襲性の高い腫瘍をもたらすことを示唆している。
【0192】
結論
本発明者らの知見は、同じRTKパートナーを含む遺伝子再配列内に存在する特定のN末端融合パートナーが、代替的な細胞内コンパートメント局在を引き起こすことによって、特異的なシグナル伝達経路を直接、制御し得るということを最初に実証する証拠を提供するものである。これらの知見は、癌成長の分子および細胞の生物学的基礎を理解するため含意を有しており、癌タンパク質RTKの特異的な細胞内局在とその発癌機構および特性との間の関連性を確立するものである。そのような検討は、基礎的な洞察をもたらし、臨床的転帰を改善するための、新規な診断的および治療的戦略の設計にとって重要となり得る。
【0193】
ゲノムの進歩により、遺伝子型指向性標的治療による臨床的転帰の改善を伴う、NSCLCを含めた腫瘍の一層正確な遺伝子分類をもたらしている。1つの着目すべき例は、クリゾチニブのようなROS1阻害剤により処置される、ROS1融合物にポジティブなNSCLCを保持する患者において観察される、19か月間の無憎悪生存である(ShawおよびSolomon、2015年)。最近の世界の臨床実践では、癌におけるROS1融合物の診断は、break-apart FISH(蛍光インシチュハイブリダイゼーション)アッセイにより最も一般に行われる。したがって、特定のN末端融合パートナーは特定されない。本発明者らの検討は、テストしたROS融合物はすべて、類似した程度にJAK/STAT経路を活性化する一方、それらが、MAPK経路を活性化する能力は様々であることを実証している。SDC4-ROS1融合物およびSLC34A2-ROS1融合物は、MAPK経路を活性化する一方、CD74-ROS1は、MAPK経路を活性化しない。本発明者らは、ROS1の場合、そのような特異的MAPK経路活性化は、様々なROS1融合物の特異的細胞内コンパートメント局在によるものであることを見出した。
【0194】
本発明者らの検討に利用した患者に由来するCD74-ROS1のcDNAは、ER標的モチーフを含有し、このモチーフは、ROS1融合物をERに固定し、MAPKを活性化する能力を制限する。興味深いことに、野性型CD74の一層短いアイソフォームは、このM末端ER標的モチーフを欠如しており、いくつかのCD74-ROS1腫瘍は、この一層短いアイソフォームを発現することができ、MAPKに関与することが可能となり得るという可能性を残すものである(Schroder、2016年)。本発明者らの検討において、個々の融合タンパク質がMAPK経路を活性化する能力は、腫瘍の侵襲性と相関関係があり、融合癌タンパク質が存在するまたは存在しないという二元的にしか特定しない現在の診断は、不十分なことがあることを示唆している。融合パートナーの一層正確な特定(例えば、次世代DNAまたはRNA配列決定法)は、処置(単剤または併用療法のどちらかで)する患者をよりよく層別するために重要となり得る。多数のROS1融合物ポジティブ腫瘍は、最初は、クリゾチニブに応答するが、腫瘍のすべてが、事実上、治療法に耐性となる。本発明者らは、MAPK経路の活性化は、SDC4-ROS1およびSLC34A2-ROS1を発現する細胞の生存にとって必要かつ十分であることを見出し、このことは、MAPK経路の再活性化は、クリゾチニブ単剤療法に対する耐性機構となり得ることを示唆している。この見解と一致して、これらのROS1融合物により推進される癌の状況において、変異を活性化するRASまたはクリゾチニブに対する耐性を促進する上方調節に関する報告は限られている(Cargneluttiら、2015年;Zhuら、2017年)。
【実施例8】
【0195】
ERKリン酸化および追加的な発癌性チロシンキナーゼ融合物細胞株の増殖に及ぼすSHP2阻害剤の効果
他のチロシンキナーゼ融合物に上記の結果を展開するため、本発明者らは、それぞれ、EML4-ALK融合物およびCCDC6-RET融合物を含有し、かつMAPKシグナル伝達を活性化することを以前に示したNCI-H3122およびLC-2/AD肺腺癌細胞において、RMC-4550によるSHP阻害は、ERKリン酸化および増殖をin vitroで阻害することが可能かどうかを検討した。この実験は、以下の実施例8の方法の項目に記載されている通りに行った。
【0196】
図12および図13に示される通り、RMC-4550を用いてNCI-H3122細胞を処置すると、それぞれ、ERKリン酸化(EC50は、139nM)および細胞増殖(EC50は、837nM)の用量依存的阻害が生じる。同様に、図14に示されている通り、LC-2/AD細胞のEMC-4550処置は、ERKリン酸化の用量依存的阻害(EC50は、17nM)をもたらした。これらの結果は、MAPKシグナル伝達を活性化するチロシン-キナーゼ融合物は、SHP2阻害に感受性があるという上の結果を裏付けるものである。
【0197】
したがって、本明細書において提示されているデータは、チロシンキナーゼ融合物により推進される癌の処置に対する正確な診断的工程の実行を支持するものであり、上記の診断的工程によるMAPK経路を活性化するチロシンキナーゼ融合物を有する患者は、SHP2阻害剤(単独で、または1種またはそれ以上の追加の治療剤、例えばMEK阻害剤と組み合わせて)の投与を受ける処置群に層別されるべきであり、上記の診断的工程によるMAPK経路を活性化しないチロシンキナーゼ融合物を有する患者は、代替治療法により処置されるべきである。
【0198】
実施例8の方法:
EML4-ALK融合細胞株-ホスホ-ERK(pERK)(図12のデータ)
【0199】
NCI-H3122細胞を、完全培地中、30000細胞/ウェルの密度で、96ウェルフォーマットプレートにシードし、5%CO中、37℃で一晩、インキュベートした。シードして約18時間後、細胞を10uM~約170pMの範囲の濃度のRMC-4550、またはビヒクル対照として、0.1%DMSOにより、5%CO中、37℃で60分間、処理した。細胞溶解物を調製し、AlphaLISA(登録商標) SureFire(登録商標)Ultra HV pERKアッセイキット(Perkin Elmer)を使用してpERKレベルをアッセイした。
【0200】
EML4-ALK融合細胞株-細胞増殖(図13のデータ)
NCI-H3122細胞は、96ウェルフォーマット超低粘度プレートに2500または5000細胞/ウェルの密度でシードし、300xgで10分間、遠心分離にかけ、完全培地において、5%CO中、37℃で72時間、インキュベートし、球形成を誘導した。細胞を10uM~約170pMの範囲の濃度のRMC-4550、またはビヒクル対照として、0.1%DMSOにより、5%CO中、37℃で5日間、処理した。細胞生存率は、3D CellTiter-Glo(登録商標)(CTG)キット(Promega)を使用して評価した。
【0201】
CCDC6-RET融合細胞株-ホスホ-ERK(pERK)(図14のデータ)
LC-2/AD肺腺癌細胞を、完全培地中、20000、30000または40000細胞/ウェルの密度で、96ウェルフォーマットプレートにシードし、5%CO中、37℃で一晩、インキュベートした。シードして約18時間後、細胞を10uM~約170pMの範囲の濃度のRMC-4550、またはビヒクル対照として、0.1%DMSOにより、5%CO中、37℃で60分間、処理した。細胞溶解物を調製し、AlphaLISA(登録商標) SureFire(登録商標)Ultra HV pERKアッセイキット(Perkin Elmer)を使用してpERKレベルをアッセイした。
【実施例9】
【0202】
SHP2アロステリック阻害アッセイ
目的:RMC-3943、RMC-4550および化合物CによるSHP2活性の阻害を実証すること。
【0203】
理論によって拘泥されることを望まないが、SHPは、ビス-チロシル-ホスホリル化ペプチドをそのSrc相同性2(SH2)ドメインに結合することによってアロステリックに活性化される。後の活性化工程により、SHP2の自己阻害界面の放出が引き起こされ、これにより、続いて、SHP2タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)が活性になり、基質認識および反応触媒に利用できるようになる。SHP2の触媒活性は、代替基質DiFMUPを使用して、即発蛍光アッセイフォーマットでモニターした。
【0204】
ホスファターゼ反応は、平底非結合表面96ウェル黒色ポリスチレンプレート(Corning、Cat#3650)において、100μLの最終反応体積、および以下のアッセイ緩衝液条件:50mM HEPES、pH7.2、100mM NaCl、0.5mM EDTA、0.05% P-20、1mM DTTを使用して室温にて行った。
【0205】
0.2nMのSHP2を0.5μMの活性ペプチド1(配列:HN-LN(pY)IDLDLV(dPEG8)LST(pY)ASINFQK-アミド)(配列番号1)または活性ペプチド2(配列:HN-LN(pY)AQLWHA(dPEG8)LTI(pY)ATIRRF-アミド)(配列番号2)と共にインキュベートするアッセイを使用して、RMC-3943、RMC-4550および化合物CによるSHP2の阻害をモニターした。25℃で30~60分間のインキュベート後、この反応に代替基質DiFMUP(Invitrogen、カタログ番号D6567)を加え、マイクロプレートリーダー(Envision、Perkin-ElmerまたはSpectramax M5、Molecular Devices)を使用する速度読取り(kinetic read)によって求めた。励起波長および発光波長は、それぞれ、340nmおよび450nmとした。初期速度はデータの線形あてはめから求め、阻害剤の用量応答曲線は、対照に基づく正規化による正規化後のIC50回帰曲線あてはめを使用して解析した。
【0206】
上のプロトコルを使用し、RMC-3943、RMC-4550および化合物CによるSHP2阻害を表2に示す。
【0207】
【表30】
【0208】
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【0209】
等価物
本発明は、上に明記されている特定の実施形態に関連して記載されているが、その多くの代用物、改変および他の変形が、当業者に明らかである。そのような代用物、改変および変形のすべては、本発明の精神および範囲内にあるように意図されている。この明細書に言及されている、および/または出願データシートに列挙されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公開物のすべてが、参照によってそれら全体が本明細書に組み入れられる。実施形態の態様は、必要な場合、修正されて、様々な特許、出願および公開の概念を使用して、さらなる実施形態を提示することができる。これらの変更および他の変更は、上記の詳細説明に照らし合わせて実施形態に行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、本明細書および特許請求の範囲に開示されている特定の実施形態に特許請求の範囲を制限すると解釈されるべきではないが、そのような特許請求の範囲に権利が与えられる全範囲の等価物を伴う可能なすべての実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
【図
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
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図6
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図9
図10-1】
図10-2】
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【国際調査報告】