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特表2022-508820心臓血管信号の取得、融合、およびノイズの軽減
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】心臓血管信号の取得、融合、およびノイズの軽減
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/33 20210101AFI20220112BHJP
   A61B 5/0535 20210101ALI20220112BHJP
   A61B 5/26 20210101ALI20220112BHJP
   A61B 5/352 20210101ALI20220112BHJP
【FI】
A61B5/33 200
A61B5/0535
A61B5/26 100
A61B5/352
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546194
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 US2019056162
(87)【国際公開番号】W WO2020081472
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】16/163,349
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】521165781
【氏名又は名称】ボディポート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリー ジェームス センテン
(72)【発明者】
【氏名】サラ アン スミス
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA06
4C127CC01
4C127CC02
4C127FF02
4C127GG02
4C127GG05
4C127GG07
4C127GG11
4C127GG13
4C127GG15
4C127LL15
(57)【要約】
集合的に、デバイスのセンサーによって生成される電気信号および力関連の信号は、センサー融合および心臓血管の健康状態を示す複合特徴の抽出のために構成される電子機器およびアーキテクチャを有するコンピューティングサブシステムによって処理される。1つまたは複数の実施形態において、デバイスは、心電図(ECG)信号、インピーダンスプレチスモグラム(IPG)信号、心弾動図(BCG)信号、およびユーザーの足とのインターフェースを通じて体重測定値を生成する。コンピューティングサブシステムコンポーネントは、ECG、IPG、およびBCGデータを融合して、心位相の時間的コンポーネントに関連するさまざまなパラメーター、力および体積に関連するパラメーター、および他の関連パラメーターに関連して、ユーザーの心臓血管の健康状態の分析を効率的に生成する。パラメーターは日常的に収集および分析され、ユーザーの心臓血管の健康を監視して、予防的な保健介入を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓血管の健康評価のための方法であって、
ユーザーの左足および右足から、1組の電極からの心電図(ECG)信号およびインピーダンスプレチスモグラフィー(IPG)信号と、1組の力のセンサーからの心弾動図(BCG)信号および体重信号とを含む1組の電気信号を同時期に生成するステップであって、前記1組の電気信号は、前記ユーザーの前記左足を通って、左脚部の領域を通って、下部矢状面をわたって、右脚部の領域を通って、前記右足を通過する電気回路から生成される、ステップと、
信号融合演算を用いて、前記ECG信号、前記IPG信号、および前記BCG信号を処理すると、1組の時間パラメーターの値を生成するステップと、
モデルを用いて、前記1組の時間パラメーターを処理するステップと、
前記モデルの出力を戻すステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記信号融合演算を用いた処理するステップは、前記ECG信号、前記IPG信号、および前記BCG信号のそれぞれを、1組のバンドパスフィルタリング演算を通すステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号融合演算を用いた処理するステップは、前記ユーザーに対する測定セッションにわたって、前記IPG信号における1組の特徴的な特性を識別するステップと、前記1組の特徴的な特性のそれぞれの特徴的な特性に関連付けられる時間マーカーについての前記ECG信号、前記IPG信号、および前記BCG信号のそれぞれの、ウィンドウイング演算を実装すると、平均化されたアンサンブルECG波形、平均化されたアンサンブルIPG波形、および平均化されたアンサンブルBCG波形を生成するステップとをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウィンドウイング演算のウィンドウの成分を前記BCG信号の参照特徴に再整列すると、平均化されたアンサンブルBCG波形から真の振幅値を抽出するステップをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1組の時間パラメーターの値を生成するステップは、前記平均化されたアンサンブルECG波形におけるRピークと、前記平均化されたアンサンブルBCG波形および前記平均化されたアンサンブルIPG波形のうちの少なくとも1つの波のピークとを識別するステップと、前記Rピークおよび前記波の前記ピークの位置から放出前期間(PEP)を判断するステップとを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1組の時間パラメーターの値を生成するステップは、前記平均化されたアンサンブルIPG波形の高次導関数を生成するステップと、前記平均化されたアンサンブルIPG波形におけるインピーダンスの最大変化の直前の第1の最小値を識別するステップと、前記平均化されたアンサンブルIPG波形の前記高次導関数の絶対最小値を識別するステップと、前記第1の最小値および前記絶対最小値の位置から左心室放出時間(LVET)を判断するステップとを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平均化されたアンサンブルBCG波形および前記平均化されたアンサンブルIPG波形の変換から導き出された左心室放出時間(LVET)を生成するステップをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記平均化されたアンサンブルECG波形、前記平均化されたアンサンブルBCG波形、および前記平均化されたアンサンブルIPG波形のうちの少なくとも2つの変換からPEP/LVET比を生成するステップをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記PEP/LVET比から、前記ユーザーの放出率の評価を生成するステップをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記平均化されたアンサンブルIPG波形から導き出された第1の特徴および前記平均化されたアンサンブルBCG波形から導き出された第2の特徴を変換すると、脈波伝播時間(PTT)および脈波伝播速度(PWV)を生成するステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記平均化されたアンサンブルECG波形、前記平均化されたアンサンブルIPG波形、前記平均化されたアンサンブルBCG波形のうちの少なくとも1つから脈拍数を識別するステップさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記平均化されたアンサンブルBCG波形からBCG振幅を識別するステップと、前記PEP、前記PTT、前記脈拍数、前記BCG振幅、および前記体重信号から導き出されたユーザー体重のうちの少なくとも1つを、心拍出量値、1回拍出量値、全身血管抵抗値、および中心静脈圧値のうちの少なくとも1つへと変換するステップとをさらに含む、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記心拍出量値、前記全身血管抵抗値、および前記中心静脈圧から、前記ユーザーの平均動脈圧、収縮血圧、拡張血圧、および脈圧を判断するステップをさらに含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
a)前記平均化されたアンサンブルECG波形、前記平均化されたアンサンブルIPG波形、および前記平均化されたアンサンブルBCG波形のうちの少なくとも1つから導き出された振幅値と、b)少なくとも1つの前記1組の時間的な特徴とを含む、1組の特徴から前記ユーザーの1回拍出量を判断するステップをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記IPG信号から抽出された基線インピーダンス値および前記体重信号から抽出された基線体重のうちの少なくとも1つを用いて、前記1組の特徴のうちの少なくとも1つを正規化するステップをさらに含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記平均化されたアンサンブルECG波形、および前記平均化されたアンサンブルIPG波形および前記平均化されたアンサンブルBCG波形のうちの少なくとも1つから前記ユーザーのためにパルス到着時間(PAT)を生成するステップをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記ユーザーの前記左足および前記右足への接触に応答して、温度信号および湿度信号を生成するステップと、前記1組の時間パラメーターのうちの少なくとも1つの値を前記温度信号および前記湿度信号に基づいて、変調するステップとをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記心臓血管の健康モデルを用いて、前記1組の時間的パラメーターの値を処理するステップは、前記1組の収縮時間パラメーターの前記値を1組の臨床パラメーターの値へと変換するステップと、前記ユーザーに対する前記1組の臨床パラメーターの値と1組の健康状態に関連付けられる臨床パラメーターの値との間の距離の分析を実行するステップと、前記距離の分析に基づいて前記ユーザーの状態の予測を戻すステップとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記1組の時間パラメーターのうちの1つまたは複数から導き出された体液の状態の分析を生成するステップをさらに備え、前記体液の状態の分析は、前記ユーザーの乾燥体重の値を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記平均化されたアンサンブルECG波形、前記平均化されたアンサンブルIPG波形、前記平均化されたアンサンブルBCG波形のうちの少なくとも1つから脈拍数を判断するステップさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項21】
心臓血管の健康評価のための方法であって、
ユーザーの左足および右足に接触するステップと、
前記ユーザーの前記左足および前記右足から、1組の電極からの1組のパッシブ電気信号およびアクティブ電気信号、および1組の力センサーからの1組の力から導き出された信号を同時期に生成するステップと、
信号融合演算を用いて、前記1組のパッシブ電気信号およびアクティブ電気信号、および前記1組の力から導き出された信号を処理すると、1組の健康パラメーターを生成するステップと、
健康リスクモデルを用いて前記1組の健康パラメーターを処理するステップと
前記健康リスクモデルの出力を戻すステップと
を備える方法。
【請求項22】
1組の電極からの1組のパッシブ電気信号およびアクティブ電気信号、および1組の力センサーからの1組の力から導き出された信号を生成するステップは、心電図(ECG)信号、インピーダンスプレチスモグラム(IPG)信号、心弾動図(BCG)信号、および体重信号を生成するステップを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記信号融合演算を用いた処理するステップは、前記ユーザーに対する測定セッションにわたって、前記ECG信号、前記IPG信号、および前記BCG信号のうちの少なくとも1つから導き出された1組の特徴的な特性を識別するステップと、前記1組の特徴的な特性のそれぞれの特徴的な特性に関連付けられる時間マーカーについての前記ECG信号、前記IPG信号、および前記BCG信号のそれぞれの、ウィンドウイング演算を実装すると、平均化されたアンサンブルECG波形、平均化されたアンサンブルIPG波形、および平均化されたアンサンブルBCG波形を生成するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1組の健康パラメーターの値を生成するステップは、前記平均化されたアンサンブルECG波形におけるRピークと、前記平均化されたアンサンブルBCG波形および前記平均化されたアンサンブルIPG波形のうちの少なくとも1つの波のピークとを識別するステップと、前記Rピークおよび前記波の前記ピークの位置から放出前期間(PEP)を判断するステップとを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記1組の健康パラメーターの値を生成するステップは、前記平均化されたアンサンブルBCG波形および前記平均化されたアンサンブルIPG波形のうちの少なくとも1つの変換から導き出された左心室放出時間(LVET)を生成するステップを含む、
請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ユーザーの心臓血管疾患の監視に関連し、より具体的には、心臓血管の健康に関連する生体測定信号の取得、信号の融合、および信号におけるノイズの軽減に関連する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2018年1月9日に出願された同時係属中の米国出願第15/743,154号の一部継続であり、これは、2015年11月2日に出願された国際出願番号PCT/CA2015/051120の国内移行であり、2015年7月10日に出願された米国仮出願第62/191,318号の優先権の利益を主張しており、これらはすべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、また、米国特許出願第_____号(代理人整理番号第35193-41270/US)に関連して、同日にこれによって、「CARDIOVASCULAR SIGNAL ACQUISITION, FUSION, AND NOISE MITIGATION」という表題で出願され、また、米国特許出願第_____号(代理人整理番号第35193-41272/US)に関連して、同日にこれによって、「CARDIOVASCULAR HEALTH MONITORING DEVICE」という表題で出願され、両方の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
米国の成人の約3人のうちの1人(7,000万人を超える人たち)が高血圧を患っており、彼らのうちの約半分の人たちだけが高血圧を管理下に置いている。高血圧がよく「サイレントキラー」と呼ばれるのは、それが通常、警告の兆候または症状をもたらさないためであるが、心臓病や脳卒中などのより深刻な状態のリスクファクターの増加に関連付けられている。血圧および心臓血管の健康に関連するその他の生体測定パラメーターを頻繁に監視することは、異常または悪化している心臓血管の健康状態を早期に検出することを可能とするが、現在利用可能な家庭用デバイス(例えば、空気カフ)は、健康監視療法の順守に関連して、使い勝手が悪く、心地がよくなく、使用が困難であり、常用を奨励するよう設計されていない。さらにまた、消費者向けのデバイスは、取得できる信号の種類、および異なる心臓血管の健康状態に関連する複合特徴を生成する効果的な処理が限定されている。
【発明の概要】
【0004】
電極のアレイを含むデバイスは、ユーザーから1つまたは複数の電気信号を生成すること、1つまたは複数のノイズ信号を抽出すること、および電気信号を、ノイズ信号を用いて処理すると、1つまたは複数のノイズを除去された電気信号を生成することを含む。電極のアレイは、デバイスの表面に結合されており、ここで、デバイスは、また、ユーザーの体重および他の力を検出するために、表面と機械的に連絡する力センサーを含む。デバイスは、電極のアレイの異なるサブポーションから電気信号を生成して、電極のアレイの異なるサブポーションからノイズ信号を抽出するよう構成されることが可能であり、ここで、電気信号生成のサブポーションは、ノイズ信号抽出の電極のサブポーションと重複することまたは重複しないことがある。
【0005】
集合的に、デバイスのセンサーによって生成される電気信号および力関連の信号は、心臓血管の健康状態を示す複合特徴のセンサー融合および抽出のために構成される電子機器およびアーキテクチャを有するコンピューティングサブシステムによって処理される。1つまたは複数の実施形態において、デバイスは、心電図(ECG)信号、インピーダンスプレチスモグラム(IPG)信号、心弾動図(BCG)信号、およびユーザーの足とのインターフェースを通じて体重測定値を生成する。コンピューティングサブシステムコンポーネントは、ECG、IPG、およびBCGデータを融合して、心位相の時間的成分に関連するさまざまなパラメーター、力および体積に関連するパラメーター、および他の関連パラメーターに関連して、ユーザーの心臓血管の健康の分析を効率的に生成する。パラメーターは日常的に収集および分析され、ユーザーの心臓血管の健康を監視して、予防的な保健介入を引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】1つまたは複数の実施形態にかかる、心臓血管信号の取得、融合、およびノイズ軽減のためのシステムの概略図を図示する。
図1B図1Aに図示されるシステムのコンポーネントの平面図を図示する。
図2】1つまたは複数の実施形態にかかる、電気信号の取得およびノイズ取得に関連付けられる成分およびベクトルの平面図を図示する。
図3A図2に図示されるシステムの第1の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示する。
図3B図2に図示されるシステムの第2の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示する。
図3C図2に図示されるシステムの第3の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示する。
図3D図2に図示されるシステムの第4の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示する。
図4】1つまたは複数の実施形態にかかる、システムコンポーネントの構成の平面図を図示する。
図5A】1つまたは複数の実施形態にかかる、心臓血管信号の取得およびノイズ軽減のための方法のフローチャートを図示する。
図5B図5Aに図示される方法の第1の実施形態のフローチャートを図示する。
図5C図5Aに図示される方法の第2の実施形態のフローチャートを図示する。
図5D図5Aに図示される方法の第3の実施形態のフローチャートを図示する。
図5E図5Dに図示される方法の実施形態の概略フローを図示する。
図5F図5Aに図示される心臓血管信号の取得およびノイズ軽減のための方法の変形例のフローチャートを図示する。
図6】1つまたは複数の実施形態にかかる、電気的および機械的心臓血管信号の取得処理のための方法のフローチャートを図示する。
図7A】1つまたは複数の実施形態にかかる、心臓血管の健康パラメーターの抽出プロセスのフロー図を図示する。
図7B図7Aに図示されるフロー図の第1の部分を図示する。
図7C図7Bに図示されるフロー図の拡大部分を図示する。
図7D図7Aに図示されるフロー図の第2の部分を図示する。
図7E図7Aに図示されるフロー図の第3の部分を図示する。
図7F図7Aに図示されるフロー図の第4の部分を図示する。
図7G図7Aに図示されるフロー図の第5の部分を図示する。
図7H図7Aに図示されるフロー図の第6の部分を図示する。
図8】1つまたは複数の実施形態にかかる、リスクモデルを用いて心臓血管の健康パラメーターを処理するための方法のフローチャートを図示する。
図9】1つまたは複数の実施形態にかかる、ユーザーの心臓血管の健康の長期的な監視のフローチャートを図示する。
【0007】
図面は、例示のみを目的としてさまざまな実施形態を示す。当業者は、本明細書で説明される構造および方法の代替的な実施形態が、本明細書で説明される原理から逸脱することなく採用されることができることを以下の説明から容易に認識することとなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1.心臓血管信号の取得、融合、およびノイズの軽減)
図1Aは、1つまたは複数の実施形態にかかる、心臓血管信号の取得、融合、およびノイズ軽減のためのシステム100の概略図を図示する。図1Bは、図1Aに図示されるシステム100のコンポーネントの平面図を図示する。システムは、基板110、表面に結合され、左部サブポーション122および右部サブポーション128を含む電極のアレイ120、基板110と機械的に通信する1つまたは複数の力センサー130、および電極のアレイ120からの電気信号の生成のため、且つ力センサー130からの信号を中継および/または前処理するために、チャネル144およびチャネル146を含む電子サブシステム140を含む。また、電子サブシステム140は、コンピューティングサブシステム150の他のコンポーネントとデータ通信をするために、コンピューティングサブシステム150および伝送ハードウェア149のコンポーネントを含み、ここで、コンピューティングサブシステム150は、ノイズ除去された信号を生成するため、且つ電気的および機械的信号データを融合するために、アーキテクチャを含み、心臓血管の健康の分析に関連する特徴を抽出する。それ故に、システム100は、以下のセクション2でより詳細に説明される方法に関連付けられる演算を含む、信号の取得および処理のための構造、サブシステムインターフェース、および演算モードを提供する。
【0009】
システム100は、心臓血管の健康に関連付けられる電気的および機械的信号を同時に取得して、信号取得の間に、ユーザーの位置の変化、周囲のソース、および他のソースによって誘発されるノイズを軽減する信号処理方法を実装するよう機能する。システム100は、また、ユーザーの足とのインターフェースを通じて異なるタイプの電気的および機械的信号を受信すること、デバイスセンサーの位置によって定義される異なるベクトルにわたる信号を比較すること、および比較に基づいて健康関連の信号成分およびノイズ成分を抽出するアーキテクチャを含む。具体的には、システム100は、収縮時間間隔、他の時間的パラメーター(例えば、拡張時間間隔)、および他のパラメーターを含み、システムの日常的な使用を促進する設計検討を有する血流力学的パラメーターの日常的な評価のために構成される。
【0010】
(1.1システム-基板および電極)
図1Aおよび図1Bに図示されるように、システムは、基板110に結合された電極のアレイ120へ電気信号の伝達を促進して、以下でより詳細に説明される、体重測定およびセンサーの他の力に関連する信号の生成機能に関連してユーザーの体重を機械的に支持するよう機能する基板110を備える。基板110は、ユーザーへの情報の表示(例えば、統合された表示要素を用いて、透明な材料を用いて、半透明の材料を用いてなど)を可能とするよう、さらに機能することが可能である。情報は、システムによって生成される信号の分析から導き出された情報、ユーザーへの指示、ユーザー認証情報、または他のタイプの情報を含むことが可能である。
【0011】
形態において、基板110は、使用の間に、電気的および機械的信号の生成のためにユーザーの足へインターフェースを提供する広い表面を含む。基板110の広い表面は、平面であるが、代替的に、広い表面で画定される凹状および/または凸状の領域を含むことが可能である。広い表面の凹状および/または凸状の領域は、ユーザーの足の配置を誘導するよう構成されることが可能であり、ユーザーの足の裏を補完する特徴を含むことが可能である。
【0012】
基板110は、広い表面が水平面に投影された場合に、長方形の足跡を有し、ここで、長方形の足跡は、丸みを帯びたエッジを有する。基板110は、代替的に、他の任意の適切な足跡を有することが可能である。寸法において、基板110は、10~50センチメートルの幅、10~50センチメートルの長さ、および0.2~2センチメートルの厚さを有することが可能であるが、ただし、基板110は、代替的に、他の任意の適切な寸法を有することが可能である。
【0013】
材料構成において、基板110は、ガラスから構成される少なくとも1つの領域を含み、ここで、以下でより詳細に説明される、ガラスは、機械的特性、電気的特性、光学的特性、または他の特性の観点から所望の特性を有するよう処理(例えば、焼き戻しなど)されることが可能である。基板110は、追加的または代替的に、ポリマー材料(例えば、プラスチック)、金属材料、セラミック材料、および天然材料(例えば、木材、繊維など)のうちの1つまたは複数から構成される領域を構成、または含むことが可能である。基板110は、それ故に、単一の材料で構成されることが可能であるか、または適切な物理的特性を提供するよう複合材料であることが可能である。
【0014】
機械的特性に関連して、基板110の材料は、圧縮強度、剪断強度、引張強度、曲げにおける強度、弾性係数、硬度、上記の機械的特性の導関数、ならびに/またはシステム110の使用に関連付けられるさまざまな演算モードにおいて、ユーザーおよび/もしくは他のシステム要素の構造的サポートを可能とする他の特性を有することが可能である。
【0015】
電気的特性に関連して、基板110の材料は、導電率、抵抗率、上記の電気的特性の導関数、および/またはユーザーの身体から以下でより詳細に説明されるシステム100の電極に電気信号の伝達を可能とする他の特性を有することが可能である。基板110のうちの1つまたは複数の表面は、所望の電気的特性を有するよう処理されることが可能である。例えば、ユーザーの足とインターフェースするよう構成される広い表面は、システムおよび/またはユーザーの身体を通るシグナル伝達に関連して所望のパターンを有する導電性材料(例えば、インジウムスズ酸化物)で表面処理されることが可能である。基板110のバルク材料は、代替的に、所望の電気的特性を有するよう選択されることが可能である。このため、基板110は、導電性基板であることが可能である。追加的または代替的に、基板および/または基板に結合された要素のうちの1つまたは複数の部分は、例えば絶縁層を通して、以下で説明される電極に容量結合されることが可能であり、これらの実施形態では、電極は、絶縁材料で覆われた導電性材料の組み合わせ(さらに、ユーザーの足は、絶縁層を通して導電性材料に容量結合されている)を含む。このため、基板は導電性領域を含むことが可能であるが、ユーザーに接触するシステムの部分は絶縁されている。光学特性に関連して、基板110の材料は、ユーザーに情報を伝達することに適する透明性または半透明性を有することが可能であり、電子ディスプレイに結合される、隣に配置されるという目的で、またはそうでなければ、別の方法において、基板110に光学的に統合される。基板の材料は、また、光を操作(例えば、反射、散乱、誘導、形成など)するよう製造されることが可能である。
【0016】
図1Aおよび図1Bに図示されるように、システム100は、また、表面に結合された電極のアレイ120を備え、左部サブポーション122および右部サブポーション128を備えている。以下でより詳細に説明されるように、左部サブポーション122のうちの1つまたは複数の電極は、右部サブポーション128のうちの1つまたは複数の電極と協働し、心臓血管の健康に関連するパラメーターが生成されることが可能である電気信号を生成する。左部サブポーション122のうちの1つまたは複数の電極は、また、コンピューティングサブシステム150が電気信号をノイズ除去することに用いることが可能であるノイズ信号を提供することが可能である。同様に、右部サブポーション128のうちの1つまたは複数の電極は、また、コンピューティングサブシステム150が電気信号をノイズ除去することに用いることが可能であるノイズ信号を提供することが可能である。それ故に、基板110に対する空間における電極のアレイ120の配置は、システムが、信号処理方法を用いて信号対ノイズ(SNR)比を改善することを可能とし、ここで、ノイズは、周囲のソースからのノイズ(例えば、主として60Hz)、システム100を用いているユーザーの動きからのノイズ、足の接触が不十分または変化していることからのノイズ、および/または他のあらゆるノイズソースに関連付けられる。ノイズソースおよび信号をノイズ除去する方法は、以下のセクション2でさらに説明される。
【0017】
図1Aに図示されるように、ユーザーが基板110を彼/彼女の足に接触させることによって電極のアレイ120と関係させた場合に、システム100は、ユーザーの身体を通して電気回路を形成する。図1Aに図示される電気回路は、ユーザーの身体の下部を通して画定されて、左脚の領域を通過して、左足の領域を通過して、ユーザーの矢状面を横断して、右脚の領域を通過して、右足の領域を通過する。
【0018】
電極のアレイ120の電極は、導電性材料(例えば、導電性ポリマー、金属など)で構成されることが可能である。
【0019】
電極のアレイ120は、使用の間に心電図(ECG)信号を生成する。電極のアレイ120は、使用の間にインピーダンスプレチスモグラフィー(IPG)信号をさらに生成することが可能である。電極のアレイ120は、システム100の使用の間にユーザーの身体と関係すると、さらなる他の生体電気信号を生成することが可能である。
【0020】
電極は、2Dアレイで配置される。2Dアレイは、長方形アレイであることが可能であり、ここで、長方形アレイは、その幅と高さに沿って同数の電極を有することが可能である。電極の数、空間における電極の分布、および電極間の間隔の観点から電極のアレイ120の寸法は、基板120、他のシステムの態様、または他の設計上の検討事項によって規定される形態上の制約に基づいて構成されることが可能である。しかしながら、代替の実施形態において、電極のアレイ120の電極は、多角アレイ、楕円アレイ、または他のあらゆる適切な方法(例えば、アモルファスアレイ)で配置されることが可能である。電極のアレイ120の電極は、基板110の広い表面の中央領域および/または基板110の広い表面の周辺領域に配置されることが可能である。
【0021】
左部サブポーション122は、右部サブポーション128から電気的に絶縁されており、左部サブポーション122の電極と右部サブポーション128の電極とのブリッジを回避する。電気的絶縁は、基板110の広い表面で導電性領域のパターン化、基板110に結合された絶縁材料の使用、または別の方法によって提供されることが可能である。
【0022】
図2に図示される実施形態おいて、電極のアレイ120は、左前部電極221、右前部電極222、左後部電極223、および右後部電極224を含む。左前部電極221および左後部電極223は、電極のアレイ120の左部サブポーション122の実施形態であり、右前部電極222および右後部電極224は、電極のアレイ120の右部サブポーション128の実施形態であり、上記の図1Aおよび図1Bに関連して説明される。左前部電極221および右前部電極222は、以下で説明される電子サブシステムの第1の電気信号チャネル245に関連付けられ、左後部電極223および右後部電極224は、以下で説明される電子サブシステムの第2の電気信号チャネル246に関連付けられ、ここで、第1の電気信号チャネルおよび第2の電気信号チャネルのそれぞれは、システムの使用の間にユーザーの身体の下部矢状面を横断する回路に関連付けられている。左前部電極221および左後部電極223は、第1のノイズチャネル247に関連付けられる第1のノイズ信号を生成することに用いられることが可能であり、右前部電極222および右後部電極224は、第2のノイズチャネル248に関連付けられる第2のノイズ信号を生成することに用いられることが可能であり、ここで、ノイズ除去の方法は、以下のセクション2でより詳細に説明される。
【0023】
図3Aは、図2に図示されるシステムの第1の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示し、ここで、システムの第1の実施形態は、2つチャネルのECG信号を生成するために2チャネルシステムとして構成される。第1の実施形態は、左前部電極321、右前部電極322、左後部電極323、および右後部電極324を含み、ここで、左前部電極321および右前部電極322は、第1のECGチャネル345aに関連付けられて、左後部電極323および右後部電極324は、第2のECGチャネル346aに関連付けられている。信号およびノイズの抽出方法は、2チャネル構成で以下のセクション2でより詳細に説明される。
【0024】
図3Bは、図2に図示されるシステムの第2の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示し、ここで、システムの第2の実施形態は、ECG信号のチャネルおよびノイズ信号の2つのチャネルを生成するために3チャネルシステムとして構成される。第1の実施形態は、左後部電極323および右後部電極324を含み、ここで、左後部電極323および右後部電極324は、ECGチャネル346bに関連付けられて、左後部電極323は、第1のノイズチャネル347bに関連付けられて、右後部電極324は、第2のノイズチャネル348bに関連付けられている。第1ノイズチャネル347bおよび第2のノイズチャネル348bは、ノイズ信号のアグリゲーションおよび処理のために加算回路349bに結合されることが可能である。信号およびノイズの抽出方法は、3チャネル構成で以下のセクション2でより詳細に説明される。
【0025】
図3Cは、図2に図示されるシステムの第3の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示し、ここで、システムの第3の実施形態は、ECG信号のチャネルおよびノイズ信号の2つのチャネルを生成するために3チャネルシステムとして構成される。第1の実施形態は、左前部電極321および右前部電極322を含み、ここで、左前部電極321および右前部電極322は、ECGチャネル345cに関連付けられて、左前部電極321は、第1のノイズチャネル347cに関連付けられて、右前部電極322は、第2のノイズチャネル348cに関連付けられている。第1ノイズチャネル347cおよび第2のノイズチャネル348cは、加算回路349cに結合されることが可能である。信号およびノイズの抽出方法は、3チャネル構成で以下のセクション2でより詳細に説明される。
【0026】
図3Dは、図2に図示されるシステムの第4の実施形態のシステムコンポーネントの構成を図示し、ここで、システムの第4の実施形態は、ECG信号の2つのチャネルおよびノイズ信号の2つのチャネルを生成するために4チャネルシステムとして構成される。第1の実施形態は、左前部電極321、右前部電極322、左後部電極323、および右後部電極324を含み、ここで、左前部電極321および右前部電極322は、第1のECGチャネル345dに関連付けられて、左後部電極323および右後部電極324は、第2のECGチャネル346dに関連付けられて、左前部電極321および左後部電極323は、第1のノイズチャネル347dに関連付けられて、右前部電極322および右後部電極324は、第2のノイズチャネル348dに関連付けられる。第1ノイズチャネル347dおよび第2のノイズチャネル348dは、加算回路349dに結合されることが可能である。信号およびノイズの抽出方法は、4チャネル構成で以下のセクション2でより詳細に説明される。
【0027】
図3A図3Dに関連する変形例において、システムは、ノイズの異なるチャネルおよびECG信号の1つのチャネル(または2つのチャネル)を生成するために3チャネル(または4チャネル)システムとして構成される。より詳細には、システムは、左前部電極321、右前部電極322、左後部電極323、および右後部電極324を備え、ここで、左前部電極321および左後部電極323の両方は、ノイズソースを導き出すことに用いられ、および/または右前部電極322および右後部電極324の両方は、ノイズソースを導き出すことに用いられる。左後部電極323および右後部電極324は、第1のECGチャネルに関連付けられ、および/または左前部電極321および右前部電極322は、第2のECGチャネルに関連付けられる。図4は、1つまたは複数の実施形態にかかる、システムコンポーネントの構成の平面図を図示する。図4に図示される実施形態は、ECG信号の多様なチャネルおよび/またはノイズ信号の多様なチャネルを生成するためにマルチチャネルシステムとして構成されている。電極420のアレイは、前部サブポーション421、後部サブポーション422、左部サブポーション423、および右部サブポーション424として配置され、ここで、前部サブポーション421のグループ化は、1つまたは複数のECGチャネル445に関連付けられて、後部サブポーション422のグループ化は、1つまたは複数のECGチャネル446に関連付けられて、左部サブポーション423のグループ化は、1つまたは複数のノイズチャネル447に関連付けられて、右部サブポーション424のグループ化は、1つまたは複数のノイズチャネル448に関連付けられる。
【0028】
(1.2システム-他のセンサー)
図1Aおよび図1Bに図示されるように、システムの実施形態は、また、表面110と機械的に連絡する1つまたは複数の力センサー130を含み、ここで、力センサーは、ユーザーの体重を示す信号を(例えば、ユーザーが基板110に足を踏み込むにつれて)生成することが可能であり、および/または他の生理学的に関連するパラメーターを示す力および力の変化を検出することが可能である。例えば、力センサー130は、心臓血管の生理学的作用によって生成された力から心弾動図(BCG)信号を生成することが可能であり、ここで、以下で説明される方法によって検出され、他の信号データと融合される。
【0029】
システムの実施形態は、追加的または代替的に、右脚駆動(RLD)電極に結合された1つまたは複数の電極を含むことが可能であり、ここで、このような構成は、少なくとも部分的に、少なくとも1つのECG信号の共通モード部分から導き出され、使用の間にユーザーの身体に戻して適用される信号を生成する。このような構成は、共通モード干渉の除去を可能とするよう演算して、ECG信号をそれぞれの信号増幅器の入力電圧範囲内にバイアスすることが可能である。RLD信号は、単一のECG信号または複数のECG信号の組み合わせから導き出されることが可能である。RLD電極および関連する回路のない構成において、信号入力はAC結合されて、供給中の電圧でバイアスされ、ECG信号をそれぞれの信号増幅器の入力電圧範囲内にバイアスする。
【0030】
システムの実施形態は、追加的または代替的に、ユーザーの態様を感知するために他のセンサーおよび/または生体認証センサー、ユーザーの生理機能、および/またはユーザーの環境を含むことが可能である。他のセンサーは、音声センサー(例えば、マイク)、運動/方向センサー(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニットなど)、呼吸センサー(例えば、プレチスモグラフィーセンサー)、心臓血管センサー(例えば、電気信号ベースの心臓血管センサー、レーダーベースの心臓臓血管センサー、力ベースの心臓血管センサーなど)、環境温度(例えば、周囲温度)および/またはユーザーの体温を監視するための温度センサー、湿度センサー(例えば、環境湿度を検出するため)、光学センサー(例えば、ユーザーの身体組織を通して血流を光学的に検出するため、ユーザーとの接触を検出するための光学センサー)、容量性タッチセンサー、他の電気生理学的センサー(例えば、皮膚コンダクタンスセンサー)、および/または他のあらゆる適切なセンサーを含むことが可能である。
【0031】
(1.3システム-電子機器およびコンピューティングサブシステム)
図1Aおよび図1Bに図示されるように、システムの実施形態は、また、電極のアレイ120からの電気信号の生成のために、および力センサー130からの信号を中継および/または前処理をするために、チャネル144およびチャネル146を含む電子サブシステム140を含み、ここで、チャネル構成は、異なる実施形態における電極のアレイの構成に関連して、上記でより詳細に説明されている。
【0032】
電子サブシステム140は、電極のアレイ120および/または力センサー130によって生成された信号を受信、調整、および中継するためのコンポーネントを含む。例えば、ユーザーの足からシステムによって検出される電気信号は、従来の方法によって(例えば、胸、手、または上肢を通して)収集される電気信号より10~100倍小さく、これは、大幅に信号対ノイズ比を大幅に減少させる。したがって、電子サブシステム140は、高解像度A/D変換器および/または1つまたは複数のフィルターのような調整コンポーネントを含むことが可能である。電子サブシステム140は、また、電力を提供し、および/または1つまたは複数の他のシステムコンポーネントへの電力供給を管理するコンポーネントを含むことが可能である。例えば、電子サブシステム140は、所望の回路電圧および/または異なるシステムコンポーネントに適切な電流引き込みを維持する電力管理システムに電気的に結合されたバッテリー(例えば、充電式バッテリー、非充電式バッテリー)を含むことが可能である。電子サブシステム140の電力関連コンポーネントは、システムのハウジング内に保持することが可能であり、ここで、電子サブシステム140は、1つまたは複数の基板110、電極のアレイ120、および力センサーにハウジングを通して電気的および/または物理的に結合されることが可能である。
【0033】
電子サブシステム140は、また、コンピューティングサブシステム150のコンポーネントを含み、また、ユーザーが物理的に関係するデバイスコンポーネントから離れたコンピューティングサブシステム150の他のコンポーネントとのデータ通信のためにデータ伝送ハードウェア149を含むことができる。リモートコンピューティングコンポーネントは、他のネットワークコンピュータで、リモートサーバー、クラウドにおいて、および/または別のコンピューティングプラットフォームにおいて実装されることが可能である。伝送ハードウェア149は、ユーザーが物理的に関係するデバイスの電子機器とネットワークを通してリモートコンピューティングコンポーネントとの間のデータ転送を処理するために受信および/または伝送コンポーネントを含むことが可能である。さらに、伝送ハードウェア149は、ネットワークまたは他のリモートコンピューティングサブシステムのコンポーネントとの有線および/または無線(例えば、WiFi、ブルートゥースLEなど)インターフェースを提供することが可能である。
【0034】
以下のセクション2で説明される方法に関連して、コンピューティングサブシステム150は、また、以下で説明される方法の1つまたは複数の部分を実装するためにコンピュータプログラムコードを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むことが可能である。例えば、コンピューティングサブシステム150は、電極のアレイ120の左部サブポーション122および右部サブポーション128から心電図(ECG)信号を生成して、電極のアレイの左部サブポーション122から第1のノイズ信号および/または右部サブポーション128から第2のノイズ信号を生成して、ノイズ除去されたECG信号を第1ノイズ信号および/または第2のノイズ信号を用いてECG信号を処理すると生成することのためにプログラムコードおよびアーキテクチャを含むことが可能である。
【0035】
コンピューティングサブシステム150は、また、電極および/またはセンサーの動作状態を制御するために非一時的なコンピュータ可読媒体に命令を格納し、コンピューティングサブシステム150に結合されたコンポーネントの状態を監視し、メモリにおけるデータを格納し、データ転送を(例えば、伝送ハードウェア149に関連して)調整し、および/またはシステムの他の適切なコンピューティング機能を実行するためにアーキテクチャを含むことが可能である。コンピューティングコンポーネント160aは、追加的または代替的に、システム100の電極およびセンサー信号の出力を処理するために信号調整要素(例えば、増幅器、フィルター、アナログ-デジタル変換器、デジタル-アナログ変換器など)を含むことが可能である。
【0036】
(2.方法-電気信号の抽出およびノイズ除去)
図5Aは、1つまたは複数の実施形態にかかる、心臓血管信号の取得およびノイズ軽減のための方法のフローチャートを図示する。図5Aに示されるように、電極のアレイは、アレイの左部サブポーションおよび右部サブポーションから1つまたは複数のECG信号を生成する510。次に、コンピューティングサブシステム(例えば、上記の電子サブシステムおよび/またはコンピューティングサブシステムのコンポーネント)は、1つまたは複数のノイズ信号を抽出して540、1つまたは複数のノイズ除去されたECG信号を生成して570、1つまたは複数のECG信号を処理すると、ECG信号からノイズ信号の成分を取り出す。
【0037】
方法500は、非標準的な方法、且つユーザーによる日常的な使用を促進するよう設計されたシステムにおいて、心臓血管の健康に関連付けられる電気信号を取得するよう機能して、また、周囲のソース、ユーザーの動き(例えば、足の動き)、および他のソースによって誘発されるノイズを軽減するよう空間の中にセンサー分布を実装するよう機能する。この方法は、ユーザーの足を通して電気信号を受信するステップと、デバイスセンサーの位置によって画定される異なるベクトルにわたって信号を比較するステップと、ノイズ分離および抽出方法に基づいて健康関連の信号成分およびノイズ成分を抽出するステップとを備えることが可能である。このため、方法500は、ユーザーの足を通して取得される電気信号の信号対ノイズ比を大幅に増加させる。ECG信号をノイズ除去するために方法500の適用が説明される一方で、方法500は、追加的または代替的に、他の電気信号(例えば、IPG信号、他の受動電気信号、他の能動電気信号)をノイズ除去するよう用いられることが可能である。
【0038】
方法500は、上記のシステムの実施形態のうちの1つまたは複数の部分によって実装されることが可能であり、ここで、電極のアレイの前部、後部、左部、および右部の電極部分が、ノイズ除去された対象の信号を生成するよう処理されるソース信号を提供することが可能である。上記のシステムの実施形態の構造によって構成されるように、前部電極から出力において存在するノイズおよびアーティファクトは、後部電極から出力において存在するノイズおよびアーティファクトと大部分は、相関関係がない。さらに、上記のシステムの実施形態の構造によって構成されるように、電極の前部サブポーションおよび後部サブポーションは、信号およびノイズ成分の両方を出力し、一方で、電極の左部サブポーションおよび右部サブポーションは、それらが身体および心臓を横断して配置されないため、ノイズ成分だけを出力する。より詳細には、電極の左部サブポーションおよび右部サブポーションから出力されるノイズは、電極の前部サブポーションおよび後部サブポーションからのノイズ信号成分に対して変化する比率および組み合わせでノイズ信号成分を生成する。
【0039】
(2.1方法-ノイズの寄与)
例えば、ユーザーの足からシステムによって検出される電気信号は、従来の方法によって(例えば、胸、手、または上肢を通して)収集される電気信号より10~100倍小さく、これは、大幅に信号対ノイズ比を大幅に減少させる。このため、ノイズファクターは、心臓血管の健康に関連する信号取得のための従来の方法と比較して、信号の取得および/または処理により大きな影響を与える可能性がある。電極のアレイを用いて生成されるECG信号(または他の電気信号)へのノイズの寄与に関連して、ノイズは、周囲のソース(例えば、主に60Hz、主に50Hz、環境における熱変動、産業用ノイズなど)から発生する可能性がある。ノイズは、また、電極のアレイとのインターフェースの間にユーザーの動きから発生する可能性がある。例えば、上記の装置の体重計の形成ファクターに関連して、体重を測定する間の揺れ動き、足の湾曲、足の移動、バランスを保つための動きなど、ユーザーの身体および/または足の動き、足の領域と電極との間の不十分な接触、および/または他の動きは、所望の信号のSNRに影響を与える重大なノイズを誘発する可能性がある。このような動きは、筋肉の収縮および/または弛緩行動からの電気信号の生成によって、電気信号に筋電図(EMG)アーティファクトを誘発する可能性がある。このような動きは、追加的または代替的に、システムの力に関連する測定を干渉する可能性のある力に関連するアーティファクトを誘発する可能性がある。
【0040】
これらおよび他のソースによって誘発されるノイズを分離および抽出するための方法は、図5B図5Fに関連して以下で説明され、ここで、ブラインドソース分離技術(例えば、独立した成分分析の使用)、適応フィルタリング演算の使用、センサーチャネルウィンドウィング演算の使用、非パラメトリックスペクトル推定プロセスの使用、および/またはソース信号から所望の信号と望ましくないノイズ信号成分とを分離する他の演算を用いて所望の成分およびノイズの両方を含むノイズを抽出することが可能である。
【0041】
(2.2方法-ブラインドソース分離技術を用いた信号のノイズ除去)
図5Bは、図5Aに図示される方法の第1の実施形態のフローチャートを図示し、ここで、独立したECG信号ソースは、ノイズを有するソース信号から推定されることが可能である。図5Bの方法500bは、2チャネルアレイ構成(例えば、図3A図示される構成)を用いて、3チャネルアレイ構成(例えば、図3Bまたは図3Cに図示される構成)を用いて、4チャネルアレイ構成(例えば、図3Aに図示される構成)を用いて、または4つのチャネル超える構成を用いて実装されることが可能である。コンピューティングサブシステムは、電極のアレイと協働することで、前部ECG信号520を含む1つまたは複数のECG信号および/または後部ECG信号530を生成して510、電極アレイ構成に基づいてノイズ成分からノイズ除去された成分の分離570に関して、左ノイズ信号および/または右ノイズ信号560を含むノイズ信号を抽出する540。
【0042】
図5Bのある実施形態において、コンピューティングサブシステムは、電極のアレイからソース信号を受信する電子コンポーネントと協働して、入力チャネルから入力信号を処理して、出力信号を提供し、ここで、独立した所望の信号成分は、望ましくないノイズ成分から分離されている。本実施形態において、コンピューティングシステムは、独立成分分析(ICA)の演算を実行するためのコードにおけるアーキテクチャを含み、入力チャネルから多変量信号を所望の信号およびノイズに関連付けられるサブコンポーネントへと分離する。
【0043】
図3A図3Dに関連して上記で述べられるように、入力チャネルは、左前部電極および右前部電極に結合された前部ECGチャネル、および左後部電極および右後部電極に結合された後部ECGチャネル(図3Aの2チャネル構成におけるように)であってよく、ここで、ICA演算の出力は、ノイズ成分を分離することで新しい前部ECG信号および新しい後部ECG信号を再作成する。あるいは、入力チャネルは、(図3Bの3チャネル構成におけるように)それぞれ、左後部電極および右後部電極に結合された後部ECGチャネル、および左部電極および右部電極に結合された2つのノイズチャネルであってよく、ここで、ICA演算の出力は、新しい後部ECG信号および2つのノイズチャネルに関連付けられる分離されたノイズ信号を再作成する。あるいは、入力チャネルは、(図3Cの3チャネル構成のように)それぞれ、左前部電極および右前部電極に結合された前部ECGチャネル、および左電極および右電極に結合された2つのノイズチャネルであってよく、ICA演算の出力は、新しい前部ECG信号および2つのノイズチャネルに関連付けられる分離されたノイズ信号を再作成する。あるいは、入力チャネルは、(図3Dの4チャネル構成におけるように)それぞれ、左前部電極および右前部電極に結合された前部ECGチャネル、および左部電極および右部電極に結合された2つのノイズチャネルであってよく、ここで、ICA演算の出力は、新しい前部ECG信号、新しい後部ECG信号および2つのノイズチャネルに関連付けられる分離されたノイズ信号を再作成する。
【0044】
コンピューティングサブシステムによって実装されるICA演算は、並列または収縮のICAアルゴリズムを用いて、推定された信号およびノイズ成分の統計的独立性を高めることによって、独立した信号およびノイズ成分を分離する。ICA演算は、非ガウス性の最大化(例えば、中心極限定理、尖度を検討、ネゲントロピーを検討することによって動機づけられる)、または相互情報量の最小化(例えば、発散係数に基づく最大エントロピーを検討)に基づくことが可能である。ICA演算は、多変量入力を分解された独立した成分へと変換する非線形関数または線形関数に基づいてよい。代替の実施形態において、主成分分析、特異値分解、従属成分分析、行列因数分解、暗号化および複合化、定常サブスペース分析、などの別のブラインドソース分離演算、または別の演算は、信号およびノイズ成分を分解することに用いられることが可能である。
【0045】
(2.3方法-適応フィルタリング技術を用いた信号のノイズ除去)
図5Cは、図5Aに図示される方法の第2の実施形態のフローチャートを図示し、ここで、第2の実施形態は、適応フィルタリング演算を実装する。図5Cの方法500cは、4チャネルアレイ構成(例えば、図3Dに図示される構成)を用いて、または別のアレイ/チャネル構成を用いて実装されることが可能である。方法500cを実行することにおいて、コンピューティングサブシステムは、電極のアレイと協働することで、前部ECG信号520および後部ECG信号530を含む1つまたは複数のECG信号を生成して510、適応フィルタリング演算に基づいてノイズ成分からノイズ除去された成分の分離570に関して、左ノイズ信号および/または右ノイズ信号560を含むノイズ信号を抽出する540。
【0046】
適応フィルタリング演算は、フィルター方程式y(k)=XT(k)*w(k)を用いたアフィン射影アルゴリズムを用いることが可能であり、ここで、yは、フィルター化された信号であり、Xは、xの関数のフィルター入力行列であり、ここで、xは、適応フィルターパラメーターのベクトルであり、wは、適応パラメーターの適応関数であり、kは、時間インデックスである。アフィン射影演算への入力信号は、前部ECG信号と後部ECG信号、および2つのノイズチャネルからの信号の合計である。
【0047】
適応フィルタリング演算は、フィルター方程式y(k)=xT(k)*w(k)を用いて、帰納的最小二乗アルゴリズムまたは最小二乗平均アルゴリズムを用いることが可能であり、ここで、yは、フィルター化された信号であり、xは、適応フィルターパラメーターのベクトルであり、wは、適応パラメーターの適応関数、kは、時間インデックスである。最小二乗演算への入力信号は、前部ECG信号と後部ECG信号、および2つのノイズチャネルからの信号の合計である。
【0048】
適応フィルタリング演算の代替の実施形態は、一般化された正規化された勾配降下アルゴリズム、最小平均第4のアルゴリズム、または別の適切な適応フィルタリングアルゴリズムを用いることが可能である。
【0049】
(2.4方法-センサー選択技術を用いた信号のノイズ除去)
図5Dは、図5Aに図示される方法の第3の実施形態のフローチャートを図示し、図5Eは、図5Dに図示される方法の実施形態の概略フローを図示する。方法500dを実行することにおいて、コンピューティングサブシステムは、電極のアレイと協働して、前部ECG信号520および後部ECG信号530を含む1つまたは複数のECG信号を生成して510、前部ECG信号591aおよび後部ECG信号591bをセグメント化して、ノイズ除去信号を生成して570、前部ECG信号および後部ECG信号のそれぞれのセグメントに存在するノイズの分析に基づいて、品質評価演算を実行して592、品質評価演算に合格したセグメントをステッチして593、複合ノイズ除去ECG信号を形成する。セグメンテーションに関連して、コンピューティングサブシステムは、信号を所望のウィンドウの長さ(例えば、1秒、1秒より短い、1秒より長い)のウィンドウへとセグメント化することが可能であり、ここで、ウィンドウは、重なり合わないか、または重なり合ってよい。品質評価演算において、複合ノイズ除去ECG信号に含まれる信号ウィンドウの選択のための基準は、SNR基準または分散関連基準に基づいてよい。より詳細には、前部ECG信号および後部ECG信号にわたるそれぞれの一致するウィンドウに対して、コンピューティングサブシステムは、SNRまたは分散関連基準に基づいて、どのウィンドウがノイズをより少なく有するかを判断して、ステッチングのために「ウィニング」ウィンドウを通過させ、複合ノイズ除去ECG信号を生成することが可能である。
【0050】
(2.5方法-非パラメトリックスペクトル推定技術を用いた信号のノイズ除去)
図5Fは、図5Aに図示される心臓血管信号の取得およびノイズ軽減のための方法の変形例のフローチャートを図示する。方法500fを実行することにおいて、コンピューティングサブシステムは、電極のアレイと協働して、電極のアレイの左部サブポーションおよび右部サブポーションから1つまたは複数のECG信号を生成することによって510、非パラメトリックスペクトル推定プロセスを実行して、ECG信号を分解して581、ノイズ除去された信号を生成して580、ECG信号を再構築して582、ノイズ除去された信号の成分およびノイズ成分を抽出する。方法500fを実行することにおいて、コンピューティングサブシステムは、ECG信号の準周期的な性質を用いることによって、ノイズ除去されたECG信号を抽出することが可能である。500fの具体的な例示において、コンピューティングサブシステムは、入力ECG信号(例えば、前部ECG信号、後部ECG信号)を、精度の検討事項に基づいて、所望の長さ(例えば、100サンプルの長さ、100サンプルより短い長さ、100サンプルより長い長さ)を有するハンケル行列へと埋め込み、ここで、より長い行列ほど精度は、より高くなるが、計算コストが高い。次に、コンピューティングサブシステムは、ハンケル行列を用いた特異値分解演算を用いて、入力信号を分解する。次に、コンピューティングサブシステムは、分解演算からの出力を、ECG信号成分のために第1のグループおよびノイズ信号成分のために第2のグループを含む2つのグループへと分割することによって、ECG信号を再構築する。具体的な例示において、再構築された時系列は、対角平均を用いて形成される。しかしながら、方法500fの代替的な変形例は、別の分解および/または再構築アルゴリズムを有する別のスペクトル推定アーキテクチャを実装することが可能である。
【0051】
(3.方法-心臓血管の健康を監視するための多様な信号の生成および融合)
図6は、1つまたは複数の実施形態にかかる、電気的および機械的心臓血管信号の取得処理のための方法のフローチャートを図示する。図6に図示されるように、ユーザーの足への接触に応答し、電極のアレイは、1つまたは複数の電気信号(例えば、ECG信号、IPG信号)を生成する610。ユーザーの足に接触することに応答して、1組の力センサーは、また、1つまたは複数の力から導き出された信号(例えば、BGC信号、体重信号)を生成する615。次に、コンピューティングサブシステム(例えば、上記の電子サブシステムおよび/またはコンピューティングサブシステムのコンポーネント)は、1組の心臓血管の健康パラメーターの値を生成し620、ここで、1組の心臓血管の健康パラメーターの値の生成は、収縮時間パラメーターの値の生成625を含むことが可能であり、これらのいくつかが以下で説明される。次に、コンピューティングサブシステムは、1組の心臓血管の健康パラメーターの値を、心臓血管のリスクモデルを用いて処理して640、心臓血管のリスクモデルの出力を戻す650。
【0052】
コンピューティングシステムは、また、出力から導き出されたユーザーの心臓血管の健康状態の予測をユーザーに関連付けられたエンティティに提供することが可能である660。エンティティは、望ましくない心臓血管の健康状態を積極的に改善するために、または所望の心臓血管の健康状態を維持するために自動治療介入に関連する予測のさらなる分析を提供する別のコンピューティングエンティティであってよい。自動治療介入は、医療デバイス(例えば、電気刺激デバイス、薬剤溶出デバイス、薬剤分配デバイスなど)を通して、コンピューティングサブシステムと通信して提供されることが可能であり、これによって、コンピューティングサブシステムは、また、自動治療介入のための医療デバイスの動作状態を制御するために命令を生成および/または提供することが可能である。エンティティは、追加的または代替的に、開業医、救急隊員、介護士、家族、友人、またはユーザーの他の知人などの非コンピューティングエンティティであってよい。
【0053】
方法600は、心臓血管の健康パラメーターの値を抽出すべく、ユーザーが感知面に足を踏み入れると同時にまたは同時期に収集される電気信号から導き出されたパラメーターおよび力から導き出された信号を処理および融合するよう機能する。次に、パラメーターの値は、ユーザーの心臓血管の健康状態をリアルタイムで判断することに用いられることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、方法600に関連付けられるシステムは、ECG信号(例えば、上記の方法などにおいて)、IPG信号、BCG信号、およびユーザーの足との関係を通して体重測定値を生成する。方法600および関連するシステムコンポーネントは、これによって、パラメーターの値が非破壊的/非侵入的方法で日常的に収集されるよう構成され、必要に応じて、危機的な時期に治療介入を引き起こすようユーザーの心臓血管の健康を監視するために分析されることが可能である。
【0054】
方法600は、上記のシステム実施形態の1つまたは複数の部分によって実装されることが可能であり、ここで、電極のアレイの部分(例えば、電極のアレイの前部サブポーション、後部サブポーション、左部サブポーション、および右部サブポーション)が異なるチャネル(ECGチャネル、IPGチャネルなど)で処理される電気信号を提供することが可能であり、1つまたは複数の力センサーは、力から導き出された信号を提供することが可能である。次に、信号は、電子サブシステムコンポーネントを用いて調整され、コンピューティングサブシステムによって処理されて、ユーザーの健康を維持または改善するために用いられることが可能である処理された出力を提供する。
【0055】
(3.1方法-パッシブ電気信号の抽出)
図6に図示されるように、ユーザーの足への接触に応答して、電極のアレイは、1つまたは複数の電気信号を生成する610。
【0056】
上記の方法500に関連して説明されるECG信号を含むパッシブ電気信号は、生成されることが可能である。それ故に、パッシブ電気信号は、心臓の減極によって生成される周期的な信号を含むことが可能である。パッシブ電気信号は、また、ユーザーの脚の筋肉に関連付けられる筋肉活動情報を含む時間の変化する成分を含むことが可能であり、立ち上がるおよび/またはバランスをとったりすることに用いられる筋肉によって生成される電位から導き出せる。脚の筋肉の活動を取得する信号は、ユーザーの足とシステムの電極のアレイとの間の接触インピーダンスのため、より低い周波数を有する。脚の筋肉活動を取得する信号は、また、足の位置における変化、皮膚の皮膚電気活動、皮膚における汗腺の活動によって変調され、生理学的および/または(自律神経系の活性化に関連する)心理学的覚醒の指示であってよい。
【0057】
(3.2方法-アクティブ電気信号の抽出)
パッシブ電気信号を生成するために用いられる同一の電極のアレイは、また、ユーザーが電極のアレイと電気的に接触している表面に足を踏み入れた場合の上記IPG信号などのアクティブ電気信号を生成することが可能であるが、代替的な実施形態において、IPG信号(または他の電気信号)は、別の電極の組を用いて収集されることが可能である。それぞれのアクティブ電気信号は、心拍ごとに血液量と流量が変化するにつれて下肢の抵抗が変化することに起因する周期成分を有しており、周期成分(つまり、IPG信号)は、コンピューティングサブシステムおよびバンドパスフィルターに(例えば、0.5~30Hzの周波数帯域で)関連付けられる電子機器によって抽出される。それぞれのアクティブ電気信号は、また、身体のインピーダンスを表現する静的なまたはゆっくり変化するDC成分を有して、このDC成分は、体内の水分量の指示である。コンピューティングサブシステムおよび関連する電子機器は、DCコンポーネントからパラメーターの値を抽出し、ここで、パラメーターは、体液の状態、細胞外と細胞内水分量、身体組成、体脂肪、および浮腫の状態のうちの1つまたは複数を含む。周期成分とDC成分は、以下でより詳細に説明されるように、コンピューティングサブシステムによって多様な周波数で導き引き出され、追加情報を抽出する。例えば、より高い周波数の信号(~64kHz)は、身体の中のより多くの細胞膜を通過することが可能であり、それ故に、身体全体の水分量を表現する。低周波数の信号(~8kHz)は、細胞膜をより通過しにくく、細胞外の水分量を表現する。それ故に、コンピューティングサブシステムは、さまざまな周波数で信号を処理することが可能であり、体内総水分(TBW)、細胞外液(ECW)、および細胞内水(ICW)の含有量に関連するパラメーターの値を抽出する。
【0058】
アクティブ電気信号の生成に関連して、システムは、ユーザーの片方の足から一方の脚を通って、次に、ユーザーの他方の脚と他一方の足を通って流れる刺激電流を提供することが可能である。ユーザーの体内の血液および他の体液の流れおよび存在は、刺激電流に対して変化する抵抗を示し、ここで、抵抗は、任意の所与の時点で、それぞれの身体領域(例えば、脚領域)における流体を用いて変化する。刺激電流は、検出可能な電圧変化を生成する抵抗率におけるこの変化に直面する。それ故に、検出可能な電圧変化に関連して、アクティブ電気波形は、刺激電流に関連付けられるユーザーの身体領域における最大および最小の流体量(例えば、血液量)を表現する特徴的なピークを有する。
【0059】
アクティブ信号を生成するために用いられる電極のサブポーションは、上記の基板の導電性の態様を通してユーザーの足に刺激電流を適用するよう構成されてよい。刺激電流は、小さな電流(例えば、500uAより小さい電流、1mAより小さい電流、5mAより小さい電流、10mAより小さい電流など)であってよい。刺激電流は、また、規則的な波形(例えば、正弦波形、非正弦波形、方形波形、鋸歯状波形など)または非規則的な波形を有する可変電流であってよい。しかしながら、刺激電流は非可変であってよく、身体領域のインピーダンスを評価することに用いられる周知の特性を有する。ある実施形態において、刺激電流は、8~64kHzの周波数を有する約500uAの電流である。
【0060】
デバイスの左側および右側(およびユーザーの身体の左側および右側)に関連付けられる対の電極を用いる構成において、第1の対の電極は、刺激電流を適用することに用いられてよく、第2の対の電極は、アクティブ電気信号を検出することに用いられてよい。上記図2に図示されるデバイス構成に関連して、前部電極は、刺激電流を適用することに用いられてよく、後部電極は、IPG信号を検出することに用いられてよい。あるいは、後部電極は、刺激電流を適用することに用いられてよく、前部電極は、IPG信号を検出することに用いられてよい。あるいは、計時電子アーキテクチャで構成されることで、刺激電流は、一対の電極に適用されてよく、続いて、同一の対の電極でIPG信号を検出する。さらに、計時電子アーキテクチャに関連して、電子サブシステムは、アクティブ電気信号を検出するために用いられる電極のアレイを通してパッシブ電気信号を検出するための計時演算モードを実装することが可能である。
【0061】
(3.3方法-力から導き出された信号の抽出および他の信号)
図6に図示されるように、ユーザーの足に接触することに応答して、1組の力センサーは、また、1つまたは複数の力から導き出された信号(例えば、BGC信号、体重信号)を生成する615。1組の力センサーおよび関連する電子サブシステムのコンポーネント(例えば、アナログ回路)は、心弾動図記録法に対して十分な信号対ノイズ比(SNR)および解像度を有し、ここで、システムは、ユーザーの心臓血管系の生理学的動作によって生成される小さな力(例えば、心臓が鼓動するときの身体の小さな摂動など)を検出する。このような力は、心臓から大動脈への血液の放出(例えば、BCG信号のJ波に対応する)、および大動脈の上昇部分および下降部分を通ってユーザーの身体の他の部分への血液の移動に関連付けられる。BCG信号は、コンピューティングサブシステムによってバンドパスフィルター(例えば、0.5~50Hz)を通して抽出される。強制的に導き出された信号の低周波数またはDC成分は、コンピューティングサブシステムによってローパスフィルター(例えば、5Hzのカットオフ周波数)を通して導き出され、デバイス上に立っているユーザーの体重と同様に、基板上のユーザーの動きを特徴付ける。より詳細には、体重は、システムのすべての力センサーからの信号の合計を通して抽出されてよく、動きは、ローパスフィルタリングを通してそれぞれの力センサーを個別に抽出されてよく、圧力の中心情報を抽出する。
【0062】
信号生成の間に、電子サブシステムに結合された追加のセンサーは、また、ユーザーの環境に関連付けられる追加の信号を生成することが可能である。このような信号は、温度信号および/または湿度信号を含むことが可能であり、ここで、他の電気信号測定または力信号測定に情報を与えるか、または影響を与えることが可能である。実装されることが可能であるさらなるセンサーは、上記でより詳細に説明される。
【0063】
(3.4方法-心臓血管および他の生理学的な健康パラメーターの抽出)
図7Aは、1つまたは複数の実施形態にかかる、心臓血管の健康パラメーターの抽出プロセスのフロー図を図示する。図7Aに図示されるように、システムは、1つまたは複数(またはセンサーの多様性および構成に応じて、1つまたは複数の例示)のECG信号、IPG信号、BCG信号、体重信号、温度信号、および湿度信号を生成する。次に、電子サブシステムおよび/またはコンピューティングサブシステムは、図7B図7Gに関連して、より詳細に以下で説明されるように、心臓血管の健康に関連するパラメーターの値を抽出すべく、それぞれの信号を異なる動作フローに通して通過させる。次に、パラメーターの値は、ユーザーの心臓血管の健康状態の予測を生成すべく、心臓血管のリスクモデルを用いて処理され、ここで、予測は、ユーザーの健康をサポートするための適切な治療介入を引き起こすことに用いられることが可能である。図7A図7Gに図示されるフローは、ユーザーがデバイスを用いるたびに日常的に(例えば、1日、毎日、毎週などの多様な回数)繰り返されることが可能であり、ここで、日常的な使用は、システムの要素を、体重信号を超えた信号を同時期に測定することが可能である体重計形成ファクターで構成されることによって促進される。それ故に、日常的な測定は、ユーザーの心臓血管の健康状態を長期的に分析するために豊富なデータを提供することが可能である。
【0064】
システムのセンサーは、また、他の生理学的な健康パラメーターの値を生成することが可能であり、電気皮膚電位、電極への足の接触、パッシブ電位から足から足への筋電図信号、体内水分量(ECW、ICW、およびTBW)、身体組成、およびアクティブ電気信号からの体液の状態、体重、圧力の中心、および力から導き出された信号からの動きを含む。これらのパラメーターは、システムによって用いられて、広範囲の患者にさらなる臨床コンテキストを提供して、利用人口は、上記および以下で説明されるように、ノイズの軽減およびアーティファクトの除去のためにシステムにおけるノイズおよび動きを検出するためのシステムによって用いられることが可能である。
【0065】
(3.4.1方法-アンサンブル平均)
図7Bは、図7Aに図示されるフロー図の第1の部分を図示し、これは、図6に図示される方法の部分620の実施形態に対応する。図7Aおよび図7Bに図示されるように、電子サブシステムは、関連するコンピューティングアーキテクチャを用いて、ECG信号、IPG信号、およびBCG信号のそれぞれを補間演算721および1組のフィルタリング演算722を通して通過させることが可能である。ある実施形態において、補間およびフィルタリングの前に、アクティブおよびパッシブ電気信号は、システムの回路の24ビットデルタシグマアナログ-デジタル変換器(ADC)を用いて、250Hzのサンプリングレートで測定される。ある実施形態において、補間およびフィルタリングの前に、1組の力センサーのそれぞれからの力から導き出された信号は、システムの回路の24ビットデルタシグマADCを用いて、1kHzで連続的にサンプリングされ、ここで、より高いサンプリングレートは、力センサーの増加した数に関連付けられる。
【0066】
コンピューティングサブシステムによって実行されるように、ある実施形態において、補間演算は、力から導き出された信号と同様に、パッシブおよびアクティブ電気信号の時間的解像度を高めるべく、1kHzへの信号の補間を含むことが可能である。しかしながら、補間は、別の適切な補間周波数を用いて、コンピューティングサブシステムによって実装されることが可能である。
【0067】
フィルタリング演算は、上記のようなバンドパスフィルタリング演算、および/または他のフィルタリング演算を含むことが可能である。フィルタリング演算は、異なる電気信号および/または力から導き出された信号にわたって変化することが可能であり、デジタル有限インパルス応答(FIR)技術および/または無限インパルス応答(IIR)技術を含むことが可能である。ある実施形態において、フィルタリング演算は、ECG信号に関連付けられるパッシブ電気信号のために0.1~100Hzのバンドパスフィルターを含む。ある実施形態において、フィルタリング演算は、脚の筋肉から導き出された電位に関連付けられるパッシブ電気信号のために5~100Hzのバンドパスフィルターを含む。ある実施形態において、フィルタリング演算は、IPG信号に関連付けられるアクティブ電気信号のために0.5~30Hzのバンドパスフィルターを含む。実施形態において、フィルタリング演算は、BCG信号に関連付けられる力から導き出された信号のために0.5~50Hzのバンドパスフィルターを含む。しかしながら、変形例において、他の周波数域は、さまざまなバンドパスフィルタリング演算で、さまざまな信号タイプのために用いられることが可能である。
【0068】
追加的または代替的に、フィルタリング演算は、4次ハイパスフィルター演算に続いて、ローパスフィルター演算を含むことが可能である。それぞれの信号タイプに対して、ハイパスフィルターは、信号の高次導関数の特徴を保持すべく、それぞれの信号タイプの高次導関数に関連付けられるカットオフ周波数を含むことが可能であり、ここで、カットオフ周波数は、信号タイプにわたって異なることがある。しかしながら、カットオフ周波数または周波数域は、代替的に、重複する可能性がある。同様に、ローパスフィルターは、それぞれの信号タイプに関連付けられるカットオフ周波数を含むことが可能であり、ここで、カットオフ周波数は、信号タイプにわたって異なる。しかしながら、カットオフ周波数または周波数域は、代替的に、重複する可能性がある。さらに他の変形例において、フィルタリング演算は、信号の非4次導関数に適用されることが可能である。さらに、フィルターは、他の適切な順序でインバウンド信号に適用されることが可能である。
【0069】
上記に示されるように、電気および力から導き出された信号は、位相関係および信号間の正確な時間同期に依存する心臓血管の健康パラメーターの抽出を促進すべく、ユーザーが彼/彼女の足で基板に接触した場合に同時にサンプリングされる。このため、システム構成は、自動信号同期を可能とし、フィルタリングおよび他の信号処理演算のため、位置合わせのずれの原因となる。しかしながら、代替の実施形態において、システムは、非同時サンプリングで異なる信号を収集することが可能であり、信号登録および位置合わせ技術を実装して、位相関係に依存する心臓血管の健康パラメーターを抽出する。
【0070】
図7Aおよび図7Bに関連して、電子サブシステムは、関連するコンピューティングアーキテクチャを用いて、特定の信号タイプをゲートオフするアンサンブル平均化技術を用いて、他の信号タイプのアンサンブル平均の参照として、1つの信号タイプの抽出された特徴を用いることが可能である。説明される実施形態において、動的な力から導き出された信号と同様に、アクティブおよびパッシブ電気信号は、大きさが小さく、且つノイズおよびアーティファクトによって汚染されており、ここで、アンサンブル平均化の使用を動機付ける。説明される実施形態において、IPG信号は、最高の信号対ノイズ比(SNR)を有するので、IPG信号の特徴的な特性は、それぞれの信号をアンサンブル平均することに用いられる。
【0071】
ある実施形態において、図7A図7B、および図7Cに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、IPG信号から1組のピークを検出することが可能であり、IPG信号が生成されるにつれて、抽出されたピークを用いて、ECG信号、IPG信号、および/またはBCG信号のそれぞれに対して、アンサンブル平均波形を生成する723。より詳細には、コンピューティングサブシステムは、IPG信号の1次導関数を生成して、移動平均フィルターを用いてIPG信号の1次導関数を平滑化して、平滑化演算の出力を二乗する。IPG導関数信号の最大ピークは、処理された電気信号および力から導き出された信号のアンサンブル平均のためのゲーティング特徴として用いられる。次に、IPG信号のそれぞれの入力ピークは、それぞれの電気および力から導き出された信号のためのそれぞれの時間マーカーの両側にウィンドウ(例えば、500~1000msのウィンドウ)を収集して格納するために時間マーカーとして用いられる。さらなるピークが検出されるにつれて、それぞれのピークについての信号のウィンドウは、合計、且つ平均が出されて、(例えば、デバイスの基板上に立っているユーザーのセッションに関連付けられる)測定期間にわたってそれぞれの信号タイプのアンサンブル平均を作成する。本実施形態において、結果としてアンサンブル平均は、それぞれの電気信号および力から導き出された信号タイプのためにおよそ1つの心拍周期の情報をもたらす。しかしながら、さまざまな実施形態において、アンサンブル平均にわたるピークの数は、ノイズを低減するためにコンピューティングサブシステムによって調整されることが可能であり、ある実施形態において、それぞれのアンサンブル平均は、20回の心拍にわたって生成される。数(N)のピークにわたる平均化は、Nの平方根の係数によってノイズの低減に関連付けられている。アンサンブル平均プロセス723を実行することにおいて、コンピューティングサブシステムは、非周期的であるノイズのソースを除去することが可能である。例えば、パッシブ電気信号の(下肢の筋肉の活性化に関連付けられる)筋電図成分は、パッシブ電気信号のECG成分を圧倒することが可能であり、IPG信号を用いたアンサンブル平均は、筋電図成分に関連付けられる非周期的ノイズを除去することが可能である。
【0072】
他の実施形態において、他の特徴は、アンサンブル平均を作成することに用いられることが可能である。例えば、コンピューティングサブシステムは、他のIPG信号の特徴(例えば、他の最大値または最小値)、IPG信号の高次導関数の特徴、およびIPG信号の他の変換の特徴に基づいて、信号のアンサンブル平均を生成することが可能である。さらに他の実施形態において、コンピューティングサブシステムは、アンサンブル平均のためのゲーティングソースとして他の非IPG信号を実装することが可能である。このようなある実施形態において、十分な品質を有するBCG信号は、コンピューティングサブシステムによって処理されることが可能であり、アンサンブル平均に用いられるための(例えば、I波の、J波の)特徴的な特性を検出する。追加的または代替的に、別の実施形態において、十分な品質を有するECG信号は、コンピューティングサブシステムによって処理されることが可能であり、アンサンブル平均に用いられるための(例えば、QRSピークの)特徴的な特性を検出する。ゲーティング特徴は、すべてのユーザーにわたって一定であってよく、またはそれぞれのユーザーのためにそれぞれの信号タイプの品質の特徴に基づいて、コンピューティングサブシステムによって自動的且つ適応的に変化して選択してよい。
【0073】
(3.4.2方法-アンサンブル平均に関連するノイズ軽減)
さらに、アンサンブル平均演算723を実行することにおいて、コンピューティングサブシステムは、重み付きウィンドウプロセスを用いることが可能であり、それによって、分散関連パラメーター(例えば、局所的分散、標準偏差)は、それぞれの信号ウィンドウに重み付けを割り当てることに用いられることが可能であり、それが処理されてアンサンブル平均を生成し、ここで、よりノイズの多い信号ウィンドウに対して重み付けを低減する。
【0074】
関連するプロセスにおいて、アンサンブル平均プロセスを用いたノイズ軽減に関連して、コンピューティングサブシステムは、ゲーティング特徴がアンサンブル平均プロセスでさらに用いられることを阻止し、それによって、高いレベルのノイズまたは他のアーティファクトに関連付けられる信号のウィンドウのためにアンサンブルを阻止する。コンピューティングサブシステムは、閾値のノイズ条件との比較に基づいて、ゲーティング特徴の阻止を引き起こすことが可能である。コンピューティングサブシステムは、追加的または代替的に、別のパラメーターの値(例えば、動きの尺度として、力センサーから導き出されたデータからの圧力の中心)に基づいて、ゲーティング特徴の阻止を引き起こすことが可能である。ゲーティング特徴の阻止の閾値の値条件は、測定セッションごとに一定にされてよく、または信号タイプごとに適合されてよい。コンピューティングサブシステムは、また、対象の特徴(例えば、ECG信号のQRS群など)を除外しない方法で、閾値の条件の比較を実装する。
【0075】
(3.4.3方法-心臓血管パラメーターの抽出)
信号が測定され、且つ前処理されると、信号間の特徴的な特性および関係がコンピューティングサブシステムによって抽出され、心臓血管の健康状態および/またはユーザーの他の生理学的状態が判断される。以下で説明されるように、IPG、ECG、およびBCG信号のそれぞれの特徴は、抽出され、且つ混合抽出されることが可能であり、心臓血管の健康パラメーターと相関する特徴の値を生成する。
【0076】
図7Dは、図7Aに図示されるフロー図の第2の部分を図示し、これは、図6に図示される方法の部分620の実施形態に対応する。図7Aおよび図7Dに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、ECG信号のRピーク、または平均化されたECG波形およびBCG信号のI波のピーク、または平均化されたBCG波形を識別することが可能である。次に、コンピューティングサブシステムは、Rピークの位置およびI波のピークを用いることが可能であり、ユーザーのために放出前期間(PEP)を抽出する724。Rピークは、心臓の右心室と左心室の減分極に対応するQRS群のピークであり、ECG信号において取得される。コンピューティングサブシステムは、ウェーブレット分析を用いることが可能であり、信号におけるRピークを識別する。ウェーブレット分析は、ECG信号におけるRピークを強化するよう離散ウェーブレット変換に続いて、Rピークに関連付けられる時点を見つけるためにピーク検出プロセスを含むことが可能である。I波ピークは、PEPの終了に対してよいプロキシであってよく、I波は、大動脈からの血液の放出後を表現し、コンピューティングサブシステムは、I波のピークに対応する時点を見つけるようピーク検出プロセスを用いてよい。次に、コンピューティングサブシステムは、補正演算を適用してよく、PEP期間のより正確な終了を抽出し、ここで、補正演算は、PEPの真の値を出力する基準デバイスに対するモデリングに基づいてよい。あるいは、PEPおよび/またはPEPに関連付けられる相対的な時点は、例えば、脈拍数および/または脈拍通過時間の他の測定されたパラメーターを用いて、補正係数を用いて推定されてよい。補正演算は、(例えば、さまざまな測定システムの間に)さまざまなユーザーからの信号に普遍的に適用されるか、または代替的にカスタマイズされることが可能である。しかしながら、他の特徴は、PEP期間の終了(例えば、IPGから導き出された信号のBポイント)を見つけるためのよいプロキシであってよい。PEPは、心臓の電気的減分極と上行大動脈への血液の放出との間の時間を特徴付け、これは、心臓が収縮している時間の長さに関連して、心臓の収縮性を反映している。
【0077】
図7Eは、図7Aに図示されるフロー図の第3の部分を図示し、これは、図6に図示される方法の部分620の実施形態に対応する。ある実施形態において、コンピューティングサブシステムは、平均化されたIPG波形の1次導関数を生成して、1次導関数に(例えば、15Hzの)ローパスフィルターを適用する。ある実施形態において、コンピューティングサブシステムは、また、平均化されたIPG波形の2次導関数を生成して、(例えば、21Hzの)ローパスフィルターを2次導関数に適用する。ある実施形態において、コンピューティングサブシステムは、平均化されたIPG波形の3次導関数を生成して、3次導関数に(例えば、21Hzの)ローパスフィルターを適用する。図7Aおよび図7Eに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、IPG信号または平均化されたIPG波形のBポイント、およびIPG信号または平均化されたIPG波形の1次導関数、2次導関数、および3次導関数のうちの少なくとも1つからXポイントを識別することが可能である。具体的には、BポイントおよびXポイントのうちの1つまたは複数の識別は、ノイズまたは非定的な信号形態によって不明瞭になる可能性がある。このため、他の信号(例えば、ECGから導き出された信号、BCGから導き出された信号、IPGから導き出された信号)のうちの1つまたは複数は、Bおよび/またはXポイントを正しく識別することに用いられることが可能である。例えば、ECGから導き出された信号のRピークは、生理学的なウィンドウを画定することに用いられることが可能であり、ここで、Bポイントは、見つかると予想される。このため、他の信号は、このような特徴の局在化を改善すべく、生理学的に関連する時間ウィンドウを生成することに用いられることが可能であり、ここで、他の信号特徴は、見つかると予想される。次に、コンピューティングサブシステムは、BポイントとXポイントとの間の時間距離からユーザーのために左心室放出時間(LVET)を判断することが可能であり、ここで、LVETは、大動脈弁を横断する血流の時間周期であり、ユーザーの心拍数(HR)、大動脈弁の前負荷、大動脈弁の後負荷、および収縮状態によって影響を受ける。より詳細には、ユーザーのLVETを判断することにおいて、コンピューティングサブシステムは、平均化されたIPG波形(またはIPG信号)の2次導関数を生成することが可能であり、平均化されたIPG波形(またはIPG信号)におけるインピーダンスの最大変化の直前の第1の最小値を識別し、ここで、第1の最小値に関連付けられる時点がBポイントに対応する。コンピューティングサブシステムは、また、平均化されたIPG波形(またはIPG信号)の2次導関数の絶対最小値を識別することが可能であり、ここで、絶対最小値に関連付けられる時点は、Xポイントに対応する。次に、コンピューティングサブシステムは、第1の最小値および絶対最小値の位置から左心室放出時間(LVET)を判断することが可能である。
【0078】
関連する実施形態において、LVETは、BCGから導き出された信号および/またはIPGから導き出された信号の特徴から判断することが可能である。例えば、BCGから導き出された信号は、ハイパスフィルタリングされることが可能であり、および/またはBCGから導き出された信号の導関数は、計算されることが可能であり、これによって、信号のより高い周波数成分が強調され、且つ抽出される。結果として得られる特徴は、大動脈弁の開閉によるユーザーの身体の振動を表現することが可能であり、コンピューティングサブシステムによって、弁の開閉を表現する時間マーカーを判断することに用いられることが可能である。次に、これらの時間マーカーは、IPGから導き出された特徴の組み合わせの有無にかかわらず、ユーザーのためにLVETを計算することに用いられる。これらの特徴は、また、PEPを計算するためにECGから導き出された特徴を用いて用いられることが可能である。例えば、コンピューティングサブシステムは、PEPを判断するために、Rピーク時点およびBCGから導き出された信号の大動脈弁開放の特徴の時点を処理することが可能である。
【0079】
このため、アンサンブル平均信号の変換は、特徴を抽出することに用いられることが可能であり、ここで、平均アンサンブル信号(例えば、平均化されたIPG信号)の導関数および高次導関数(例えば、2次導関数、3次導関数、4次導関数など)は、異なる心臓血管の時間間隔に関連付けられる特徴(例えば、ピークおよび谷)を抽出することに用いられることが可能である。さらに、信号の変換に関連付けられる時間間隔は、導関数の特徴を抽出することに用いられることが可能である。
【0080】
コンピューティングサブシステムは、アンサンブル平均信号から振幅特徴を抽出することが可能である。具体的には、アンサンブルは、ゲーティングを含むため、異なる信号タイプにわたる測定セッションの間に、信号のタイミングおよび位相の小さな変化が結果としてゲーティング特徴を含まない信号のために特徴振幅を低減することが可能である。それ故に、コンピューティングサブシステムは、個々の成分信号を用いて個々のアンサンブル平均波形を再整列することによって、それぞれの信号タイプにおける特徴の真の振幅を回復することが可能である。ある例示において、BCG信号を再整列させるために、アンサンブル平均のBCG信号を生成することに用いられるそれぞれの成分信号のJ波は、アンサンブル成分を再整列することに用いられることが可能である。J波の位置が周知であるため、より狭いウィンドウ(例えば、500msより小さいウィンドウ)は、J波の位置に関連付けられる局所的なピークを検出することに用いられることが可能であり、アンサンブル成分を再整列することに用いられる。次に、再整列後に、J波成分の真の振幅は、コンピューティングサブシステムによって抽出されることが可能である。
【0081】
図7Fは、図7Aに図示されるフロー図の第4の部分を図示し、これは、図6に図示される方法の部分620の実施形態に対応する。図7Aおよび図7Fに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、ECG信号およびIPG信号に適用される信号融合プロセスから導き出されたPEP/LVET比を判断し、ここで、ユーザーのためのPEPおよびLVETは、上記の図7Cおよび図7Eに関連して説明されるように、判断されることが可能である。PEP/LVET比は、放出割合と相関する左心室収縮性能の指標(つまり収縮時間比、STR)を特徴付け、これは、収縮するごとにユーザーの心臓から出る血液の割合の測定である。具体的には、閾値を上まわるPEP/LVET比は、収縮心不全の患者を診断するためにコンピューティングサブシステムによって用いられることが可能である。例えば、0.40(または別の閾値)より大きいPEP/LVET比は、患者が40%(または別の値)より小さい放出率を有することを示すことが可能である。コンピューティングサブシステムは、また、PEP/LVET比を表現型の患者に用いることが可能である。例えば、PEP/LVET比は、心不全の最も共通の2つの形態間(例えば、心不全に関連する放出率の低減および心不全に関連する放出率の保持)を判別することに用いられることが可能である。
【0082】
図7Gは、図7Aに図示されるフロー図の第5の部分を図示し、これは、図6に図示される方法の部分620の実施形態に対応する。図7Aおよび図7Gに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、平均化されたBCG波形(またはBCG信号)のJ波の位置を識別し、ここで、J波は、心位相のQRS群と心位相のSTセグメントとの間の信号における偏差に対応する。次に、コンピューティングサブシステムは、システムの1組の力センサーを通して、ユーザーの左足と右足のうちの少なくとも1つでJ波に関連付けられるパルスの到着時間を検出することが可能である。次に、J波の位置、パルスの到着時間、およびユーザーの身長に対応する時点に基づいて、コンピューティングサブシステムは、ユーザーのためにパルス通過時間(PTT)および/または脈波伝播速度(PWV)を生成することが可能である727。より詳細には、コンピューティングサブシステムは、多様な信号からPTTおよびPATを判断し、ここで、ある実施形態において、PTTは、IPGから導き出された信号およびBCGから導き出された信号を用いて計算される。より詳細には、I波のピークは、第1の時間マーカーとして用いられて、IPGから導き出された信号の最大値は、第2の時間マーカーとして用いられ、ここで、第1の時間マーカーと第2の時間マーカーとの間の距離はPTTに等しい。しかしながら、IPGおよび/またはBCGから導き出された信号の他の特徴は、PTTを判断することに用いられることが可能である。例えば、IPGから導き出されたJ波ピークおよびXポイントは、PTTを判断することに用いられることが可能であり、IPGから導き出されたBポイントおよびBCGから導き出された信号のJ波は、PTTを判断することに用いられることが可能であり、BCGから導き出された信号のI波ピークおよびIPGから導き出されたXポイントは、PTTを判断することに用いられることが可能であり、および/またはBCGから導き出された信号のI波ピークおよびIPGから導き出された最大ピークは、PTTを判断することに用いられることが可能である。
【0083】
PTTは、脈圧波形が動脈樹の一部(例えば、大動脈弓からユーザーの胴体下部領域まで)に沿って移動するためにかかる時間を特徴付け、PWVは、脈圧波形の移動速度を特徴付ける。コンピューティングサブシステムは、また、図7Gに図示されるように、J波の位置に関連してピーク検出アルゴリズムを実装することによって、平均化されたBCG波形のIピークを見つけることが可能である。次に、コンピューティングサブシステムは、Iピークの位置、振幅、または他の態様を用いることが可能であり、収縮時間のパラメーターの値または健康リスクに関連する他のパラメーターの値を導き出す。
【0084】
図7Aは、また、方法の一部を図示し、ここで、コンピューティングサブシステムは、多様なタイプの信号を融合し、ユーザーのために平均動脈圧、収縮血圧(SBP)、および拡張期血圧(DPB)のうちの1つまたは複数を抽出する。より詳細には、コンピューティングサブシステムは、平均化されたECG波形、平均化されたIPG波形、平均化されたBCG波形、およびアンサンブル波形のうちの少なくとも1つから脈拍数を識別する。ある実施形態において、脈拍数は、IPG信号のピークから判断されることが可能であり、心拍数のアンサンブル平均信号は、上記のように、ウィンドウ演算を用いて、(例えば、IPG信号におけるそれぞれのピークについて-1500~500msのウィンドウを用いて)生成されることが可能である。次に、コンピューティングサブシステムは、平均化されたBCG波形からBCG振幅を識別する。次に、コンピューティングサブシステムは、(上記のように判断される)PEP、(上記のように判断される)PTT、脈拍数、BCG振幅、および体重信号から心拍出量(CO)値へと導き出されたユーザーの体重、全身血管抵抗(SVR)値、および中心静脈圧(CVP)値を変換する728。最後に、CO、SVR、およびCVP値を用いて、コンピューティングサブシステムは、ユーザーのために、心拍出量(CO)値および全身血管抵抗(SVR)値の積が中心静脈圧(CVP)値に加えられることから平均動脈圧(MAP)を判断する729。
【0085】
脈拍数に関連して、コンピューティングサブシステムは、ECGから導き出された信号、IPGから導き出された信号、およびBCGから導き出された信号のうちのいずれか1つまたは複数のリアルタイムの脈拍数を判断することが可能である。コンピューティングサブシステムは、追加的または代替的に、1つまたは複数の平均化された波形(つまり、平均化されたアンサンブル信号)から脈拍数(つまり、測定セッションの過程にわたって判断される平均脈拍数)を判断することが可能である。例えば、アンサンブル演算のためにウィンドウが(例えば、平均パルスの周期の約2倍またはそれより長く)拡張された場合、コンピューティングサブシステムは、所与のアンサンブルにおける多様な心拍を取得する。次に、平均脈拍数は、特徴的な特性の例示の時点(例えば、IPGから導き出された信号のピーク、ECG信号のRピーク)を検出することによって、最終的なアンサンブルを生成することに用いられるそれぞれの波形期間にわたって、導き出されることが可能であり、ここで、時点間の差は、脈拍数を計算することに用いられる。この実施形態において、判断される脈拍数は、それぞれのアンサンブル平均波形の判断において含まれた拍動だけを含んでおり、低品質および/または低解像度の信号に関連してロバストである。さらに、測定に関連付けられる動きまたは他のアーティファクトのため、特定の特徴が(説明されているフィルタリング演算によって)阻止された場合、特徴は、アンサンブル平均波形の生成の間、および、また、脈拍数の判断の間に自動的に検討から除外される。それ故に、脈拍数は、1つまたは複数のECG信号、IPG信号、およびBCG信号のアンサンブル平均波形を生成することからロバストに判断されることが可能である。
【0086】
前述のパラメーターに関連して、図7Aに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、また、ユーザーのために、(上記のように判断される)PEPおよび(上記のように判断される)PTTの合計からパルス到着時間(PAT)をさらに生成する730。追加的または代替的に、PATは、ECGから導き出された信号、BCGから導き出された信号、およびIPGから導き出された信号から推測されるように判断されることが可能である。例えば、PATは、コンピューティングサブシステムによって、ECGから導き出された信号のRピークおよびIPGから導き出された信号の1次導関数の最大値に基づいて、判断されることが可能である。
【0087】
さらに、ある実施形態において、コンピューティングサブシステムによって判断される生理学的に関連する時間間隔(例えば、PEPおよびLVET)は、脈拍数によって影響を受ける。このため、コンピューティングサブシステムは、また、脈拍数の判断に基づいて、これらの生理学的に関連する時間間隔を補正することが可能であることによって、それらの生理学的な重要性が(例えば、適切な治療介入の生成に関連して)適切に評価される。ある例示において、補正されたLVETcは、式LVETc=1.5*HR+LVETに基づいて生成されることが可能であり、ここで、HRは、脈拍数である。ある例示において、補正されたPEPcは、式PEPc=0.4*HR+PEPに基づいて生成されることが可能である。補正された時間間隔(例えば、PEPc、LVETc)は、リアルタイムのECG、BCG、および/またはIPG信号から、および/または(上記のように)アンサンブル平均波形の生成を用いて判断されることが可能であり、ここで、補正されたおよび補正されていない時間間隔は、予測モデル(例えば、以下の図8に関連して説明される心電図の健康リスクの予測モデル)への入力として用いられることが可能である。例えば、PEP/LVET比は、上記のように、補正された間隔(例えば、PEPc/LVETc)を用いて判断されることが可能である。
【0088】
図7Hは、図7Aに図示されるフロー図の第6の部分を図示し、これは、図6に図示される方法の部分620の実施形態に対応する。図7Aおよび図7Gに図示されるように、コンピューティングサブシステムは、平均化されたECG波形、平均化されたIPG波形、および平均化されたBCG波形のうちの1つまたは複数を、上記のシステムに関連して説明される、温度センサーからの入力温度信号および/または湿度センサーからの湿度信号を用いて変調する731。このため、ユーザーの左足および右足への接触に応答して、コンピューティングサブシステムは、温度信号および湿度信号を生成することが可能であり、温度信号および湿度信号に基づいて、1組の収縮時間パラメーターのうちの少なくとも1つの値を変調することが可能である。例えば、コンピューティングサブシステムは、デバイスの変化(例えば、湿度の変化による電極抵抗の変化)および/または過度の熱および/または湿度によるユーザーの生理学的変化のため、演算を変調することが可能である。
【0089】
また、上記のシステムに関連して、コンピューティングサブシステムは、生成された電気信号から、体内水分量と相関する身体インピーダンスを計算することが可能である。コンピューティングサブシステムは、また、ユーザーが基板に足を踏み入れるにつれて、ユーザーのバランスを判断することが可能であり、ここで、バランス分析は、多様な方向(例えば、横方向、前/後方向)における動き、圧力の中心、姿勢の揺れ、揺れ経路、揺れ速度、バランス指数、およびユーザーのバランスのあらゆる他の適切な成分のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0090】
さらに、ある実施形態において、あらゆる導き出されたパラメーター(例えば、MAP、SV、CO、収縮時間間隔など)は、(例えば、基線または他の基準測定と比較して)絶対測定または相対測定であってよい。相対および/または絶対測定は、精度を改善するために基準デバイスに対して較正されてよい。例えば、導き出された1回拍出量モデルは、基準デバイス(例えば、フィック法に従って動作するデバイス、熱希釈デバイス、インピーダンス心電図デバイスなど)からデータを収集することによって、同時期に、上記のシステムの実施形態から判断されるパラメーターの値の精度を改善すべく、上記のシステムの実施形態からのデータの収集を用いて、特定のユーザーのために較正することが可能である。
【0091】
(4.方法-リスクモデルを用いて心臓血管の健康パラメーターの値を処理して、心臓血管の健康状態の予測を生成する)
図8は、1つまたは複数の実施形態にかかる、リスクモデルを用いて心臓血管の健康パラメーターを処理するための方法のフローチャートを図示する。図8に図示されるように、コンピューティングサブシステムは、上記のように、ユーザーのそれぞれの測定セッションの間に、心臓血管の健康パラメーターの値を生成する841。実施形態において、上記のように、コンピューティングサブシステムは、時間間隔および振幅から導き出された特徴を生成する。これらの特徴は、心臓血管の健康リスクに関連付けられる臨床パラメーターのモデルを構築することに用いられる。それ故に、コンピューティングサブシステムは、時間間隔および振幅から導き出された特徴の値を1回拍出量、心拍出量、血圧、全身血管抵抗、および他のパラメーターを含む臨床的に関連するパラメーターへと変換することが可能である842。次に、臨床パラメーターは、ユーザーの心臓血管の健康状態の予測を生成するよう構成される訓練されたリスクモデルへと入力してよく、ここで、心臓血管の健康状態は、安定状態、悪化状態(例えば、さまざまな形態の心臓病)および/または不確定な状態に関連してよい。ある例示において、特定のユーザーのために心臓血管のリスクモデルの出力は、距離分析843、または特定のユーザーのためにパラメーターを比較する別の分析を用いて処理されてよく、心臓血管の健康状態に関連付けられるモデルを出力する。次に、コンピューティングサブシステムは、距離分析または別の分析を用いて、ユーザーの心臓血管の健康状態の予測844を戻すことが可能である。ある例示において、予測は、心不全患者の代償不全を示すことが可能であり、コンピューティングサブシステムは、(例えば、不必要な入院の低減のために)予測を用いて遠隔治療介入を推進することが可能である。
【0092】
さらに、コンピューティングサブシステムは、疾病表現型(例えば、収縮変異体と拡張変異体との間の心不全の疾病表現型)のモデルを予測および生成するためのアーキテクチャを含むことが可能である。別の例示において、コンピューティングサブシステムは、1回拍出量の入力、全身血管抵抗の入力、およびインピーダンスの入力を高血圧表現型へと変換することが可能である。このような表現型は、コンピューティングサブシステムによって、ユーザーが体液の状態の問題または血液量の問題に苦しんでいるかを識別するよう命令することに用いられることが可能である。以下の治療介入規定に関連して説明されるように、表現型検査は、その次に、望ましくない健康状態の内在するメカニズムを標的とする治療をより正確に実施することに用いられることが可能である。
【0093】
パラメーターの値の生成およびモデルを用いたパラメーターの値の処理に関連して、コンピューティングサブシステムは、予測を生成すべく、上記の方法に従って生成される心臓血管および他の生理学的パラメーターの組み合わせを処理することが可能である。例えば、コンピューティングサブシステムは、心臓の状態に関連する出力の生成に加えて、体重および基線インピーダンスパラメーターを用いることが可能であり、体液の状態指数を生成する。体液の状態および心臓の状態の情報の組み合わせは、コンピューティングサブシステムによって用いられることが可能であり、特定の条件に対する感度および特異性を増加し、ここで、例えば、心臓の状態の変化(例えば、状態の悪化に関連する)に関連付けられる体液の状態変化(例えば、体液の貯留に関連する)は、増加した感度および特異性を用いて(例えば、心不全に関連する、慢性閉塞性肺疾患に関連する、慢性腎臓病に関連するなどの)状態を示すことが可能である。さらに、体重情報、インピーダンス情報、および他の心臓データの組み合わせは、コンピューティングサブシステムによって用いられることが可能であり、乾燥体重(つまり、いかなる体液も蓄積されていない患者の身体の通常の体重)を判断する。より詳細には、コンピューティングサブシステムは、血行力学的性能(MAP、CO、収縮時間間隔など)の同時測定と組み合わせて、体液の状態を評価すると、乾燥体重を判断することが可能である。乾燥体重の評価は、(例えば、心不全、腎臓病などの)条件に関連して重要であり、ここで、体液の変化は、乾燥体重の基線と比較して測定されることが可能である。さらに、効果的な利尿は、ユーザーの乾燥体重の知識から恩恵を受ける。
【0094】
別の例示において、コンピューティングサブシステムは、体重に基づいてモデル出力を生成することが可能であり、実用的なフィードバックループにおけるユーザーの心臓の状態を改善する。より詳細には、ユーザーが過度の体重のため、高血圧であると判断された場合、コンピューティングサブシステムは、ユーザーのために、関連する予測を生成して、治療介入プロトコル(例えば、減量プログラム、接続された運動機器によって実施される運動療法に対する制御命令、減量サプリメントを含む接続されたディスペンサーに対する制御命令など)を生成することが可能である。治療介入は、また、上記のシステムの動作に対して調整された修正を含むことが可能であり、ここで、システムがユーザーのために体重および心臓の状態を同時に測定して、且つこのような情報をユーザーまたは別の関連するエンティティに提供して、ユーザーの健康状態の改善を促進する。より詳細には、体重の同時測定は、身長の情報と組み合わせて(例えば、別の方法で判断されるように、ユーザーまたは別のエンティティによって入力されると)、コンピューティングサブシステムによって用いられることが可能であり、ユーザーの体形に正規化された心臓血管の機能の指標を(例えば、BMI、体表面積、または体形の他の導関数的な測定の観点から)生成する。ある例示において、1回拍出量および心拍出量は、体表面積を1回拍出量および心拍出量でそれぞれ割ることによって、(デュボイスの式、ヘイコック法などを用いて身長および体重から判断されると)1回拍出係数および心係数へと計算、且つ変換されてよい。具体的には、心係数は、1分間での左心室からの心拍出量(CO)を体表面積に関連する血行力学的パラメーターであり、それ故に、心臓性能がユーザーの体格に関連する。
【0095】
図9は、1つまたは複数の実施形態にかかる、ユーザーの心臓血管の健康の長期的な監視のフローチャートを図示する。図9に図示されるように、システムは、ユーザーの足に接触することに応答して、上記の実施形態にかかる、1組の電極からパッシブ電気信号およびアクティブ電気信号(例えば、ECG信号およびIPG信号)を生成することが可能である910。ユーザーの足に接触することに応答して、システムは、また、上記の実施形態にかかる、力から導き出された信号(例えば、体重信号およびBCG信号)を生成することが可能である915。次に、コンピューティングサブシステムは、上記で導出された実施形態にかかる、信号融合演算を用いて、1組の心臓血管の健康パラメーターを生成することが可能であり920、ここで、心臓血管の健康パラメーターは、リスクモデルを用いてコンピューティングサブシステムによって処理される940。コンピューティングサブシステムは、ユーザーのために、異なる測定セッションに関連付けられる多様な時点で、心臓血管のリスクモデルの出力950を戻すことが可能である。異なる時点に関連付けられる出力は、経時的なユーザーの健康状態の変化に対する洞察を生成すべく、長期的な分析を用いて処理される951ことが可能である。長期的な分析は、ユーザーの特定の条件に対して調整された治療介入を促進することに用いられることが可能である。長期的な分析は、ユーザーの特定の条件に対して調整された治療介入を促進することに用いられることが可能である。例えば、コンピューティングサブシステムは、ユーザーのために、自動投薬調整に対する命令を生成することが可能である。ある特定の例示において、コンピューティングサブシステムの出力は、心不全患者の利尿投薬の自動滴定に用いられることが可能である。他の例示において、コンピューティングサブシステムの出力を用いて判断される自動投薬調整を他の慢性疾患条件(例えば、高血圧症)に適用されてよい。
【0096】
(4.結論)
説明されているシステムおよび方法は、利益および/または技術的改善を与えることが可能であり、それらのうちのいくつかが本明細書で記載されている。例えば、システムおよび方法は、複雑な生理学的な行動を特徴付ける融合または複合データを生成することが可能であり、これは、ユーザーの健康介入を改善するための洞察を提供するために分析される。このようなデータ構造および処理方法は、異なるソースからの大量のデータにわたって、経時的に多数のユーザーのために効率的に比較を生成することに用いられることが可能である。
【0097】
システムおよび方法は、センサーの非典型的な使用をさらに採用することが可能である。例えば、システムおよび方法は、非伝統的な身体領域から取られる生体測定信号のノイズに、極端にSNRを増加させることを大幅に改善することを可能とする空間的および構造的構成において、異なるタイプのセンサーを含むセンサーアレイを採用することが可能である。そのため、システムおよび方法は、いくつかの技術的改善を提供することが可能である。
【0098】
実施形態の前述の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に特許権を限定することに意図されていない。関連技術分野における当業者は、上記の開示を考慮すると、多くの修正例および変形例が可能となることを理解することが可能である。
【0099】
本説明のある部分は、情報に対する動作のアルゴリズムおよび記号表現の観点から見ると、実施形態を説明している。これらのアルゴリズムの説明および表現は、データ処理技術における当業者によって一般的に用いられ、彼らの仕事の趣旨を効果的に他の当業者に伝える。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に説明されている一方で、コンピュータプログラム、または等価電気回路、マイクロコードなどによって実装されると理解される。さらに、普遍性を失うことなく、これらの動作の配列をモジュールと呼ぶことが便利な場合もあることが分かる。説明される動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらのあらゆる組み合わせで具現化されてよい。
【0100】
本明細書で説明される任意のステップ、動作、またはプロセスは、単独または他のデバイスと組み合わせることで、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールを用いて実行または実装されてよい。ある実施形態において、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品を用いて実装され、これは、説明されるステップ、動作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実行するためにコンピュータプロセッサによって実行されることが可能である。
【0101】
実施形態は、また、本明細書の動作を実行するための装置に関連してよい。本装置は、要求される目的のために特別に構築されてよく、および/または、コンピュータに格納されるコンピュータプログラムによって、選択的にアクティベートされるか、または再構成される汎用コンピューティングデバイスを備えてよい。このようなコンピュータプログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒、または任意のタイプの電子命令を格納することに適する媒体に格納されてよく、これは、コンピュータシステムバスに結合されてよい。さらに、本明細書で言及される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含んでよく、またはコンピューティング能力を高めるために多様なプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであってよい。
【0102】
また、実施形態は、本明細書で説明されるコンピューティングプロセスによって生成される製品に関連してよい。このような製品は、コンピューティングプロセスから生じる情報を含んでよく、ここで、情報は、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納され、本明細書で説明されるコンピュータプログラム製品または他のデータの組み合わせの任意の実施形態を含んでよい。
【0103】
最後に、明細書で用いられる文言は、主に読み易さおよび教育目的のために選択されており、本特許権を描写または制限するために選択されていないことがある。したがって、本特許権の範囲は、本詳細な説明によってではなく、本明細書に基づいた出願で発行される請求項によって制限されることが意図されている。したがって、実施形態の開示は、添付の特許請求の範囲に記載される本特許権の範囲を例示することを意図するものであり、限定することを意図するものではない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8
図9
【国際調査報告】