(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】走査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
G01N29/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547887
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2019077660
(87)【国際公開番号】W WO2020083672
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181596
【氏名又は名称】ドルフィテック、アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】DOLPHITECH AS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】エスキル、スコグルンド
(72)【発明者】
【氏名】ウーステイン、クナウセルド
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク、リングバル
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA03
2G047BB01
2G047BC09
2G047CA01
2G047DB02
2G047EA12
2G047GA14
2G047GB02
2G047GB33
2G047GE01
2G047GF22
2G047GJ30
(57)【要約】
物体を撮像するための走査装置であって、走査装置が、物体に向かって第1の方向に超音波信号を送信するように構成された送信機構造と、物体からの反射超音波信号を受信するように構成された受信機構造とを備える超音波振動子であって、送信機構造が、第1の送信素子と第2の送信素子とを備え、第1の送信素子と第2の送信素子とが第1の方向に空間的にオフセットされている、超音波振動子、を備える、走査装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を撮像するための走査装置であって、前記走査装置が、
物体に向かって第1の方向に超音波信号を送信するように構成された送信機構造と、物体からの反射超音波信号を受信するように構成された受信機構造とを備える超音波振動子であって、
前記送信機構造が、第1の送信素子と第2の送信素子とを備え、前記第1の送信素子と前記第2の送信素子とが前記第1の方向に空間的にオフセットされている、超音波振動子
を備える、走査装置。
【請求項2】
前記受信機構造が、第1の受信素子と第2の受信素子とを備え、前記第1の受信素子と前記第2の受信素子とが前記第1の方向に空間的にオフセットされている、請求項1に記載の走査装置。
【請求項3】
各送信素子が、圧電材料層と、前記送信素子に駆動信号を伝えるための導電材料とを備える、請求項1または2に記載の走査装置。
【請求項4】
前記送信素子の前記導電材料が、前記圧電材料を駆動して超音波信号を発生させるための信号ドライバに結合されている、請求項3に記載の走査装置。
【請求項5】
各受信素子が、圧電材料層と、前記受信素子からの受信信号を伝えるための導電材料とを備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項6】
前記受信素子の前記導電材料が、前記受信信号を処理するための信号プロセッサに結合されている、請求項5に記載の走査装置。
【請求項7】
前記振動子が複数の振動素子を備え、前記振動素子の各々が、前記複数の送信素子のうちのそれぞれの送信素子を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項8】
前記振動素子の各々が、前記複数の受信素子のうちのそれぞれの受信素子を備える、請求項7に記載の走査装置。
【請求項9】
前記複数の振動素子のうちの1つまたは複数の前記送信素子および前記受信素子が、共通の圧電材料層を備える、請求項7または8に記載の走査装置。
【請求項10】
前記圧電材料層が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む、請求項3から9のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項11】
前記送信機構造内の連続する各送信素子の間に絶縁層が設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項12】
前記絶縁層がポリイミドを含む、請求項11に記載の走査装置。
【請求項13】
前記走査装置からの超音波信号を物体の内外に結合するための結合材料をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項14】
前記結合材料がエラストマーを含む、請求項13に記載の走査装置。
【請求項15】
前記結合材料が、
熱可塑性ポリマー、および
架橋ポリマー
のうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載の走査装置。
【請求項16】
前記走査装置が、前記結合材料と前記振動子との間を封止するためのシールを備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項17】
超音波信号の前記送信を遅延させるように構成された遅延回路をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項18】
前記遅延回路が、送信素子に超音波信号を送信させるように構成されたトリガ信号を遅延させるように構成されている、請求項17に記載の走査装置。
【請求項19】
前記走査装置が、前記振動子の前面から遠い送信素子からの超音波信号の前記送信と比較して、前記振動子の前面に近い送信素子からの超音波信号の前記送信を遅延させるように構成されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項20】
前記送信機構造が、単一の信号ドライバに結合するように構成された送信素子の複数の層を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項21】
前記送信機構造が、送信素子の複数の層を備え、前記複数の層の各層が、それぞれの信号ドライバに結合するように構成されている、請求項1から19のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項22】
前記走査装置が、0.5MHzまでのエネルギーを伝達するように構成されている、請求項1から21のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項23】
送信機回路コネクタを有するフレキシブル送信機回路および受信機回路コネクタを有するフレキシブル受信機回路であって、前記フレキシブル送信機回路が前記第1の送信素子を備える、フレキシブル送信機回路およびフレキシブル受信機回路と、
前記フレキシブル回路に結合するための複数の回路であって、各回路がそれぞれの回路コネクタを備える、複数の回路と
を備え、
前記送信機回路コネクタが、前記複数の回路のうちの第1の回路の第1の回路コネクタと係合するように構成されており、前記受信機回路コネクタが、前記複数の回路のうちの第2の回路の第2の回路コネクタと係合するように構成されている、請求項1から22のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項24】
前記第1の回路と前記第2の回路とが、互いに結合されている、請求項23に記載の走査装置。
【請求項25】
ヒートシンクを備え、前記複数の回路のうちの少なくとも前記第1の回路が前記ヒートシンクに隣接して設けられている、請求項23または24に記載の走査装置。
【請求項26】
前記第1の回路コネクタが、前記第1の回路の前記ヒートシンクと反対に面する側に設けられている、請求項25に記載の走査装置。
【請求項27】
前記送信機回路コネクタおよび前記受信機回路コネクタの少なくとも一方が、前記それぞれのフレキシブル回路の導電ラインとの電気的接続を可能にするための一連のパッドを備え、前記パッドが、前記それぞれのコネクタ上に互い違いのレイアウトで設けられている、請求項23から26のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項28】
複数のフレキシブル回路のフレキシブル回路コネクタが、単一の回路コネクタと同時に係合するように構成されている、請求項23から27のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項29】
前記複数のフレキシブル回路の前記フレキシブル回路コネクタが一緒に積層されており、前記積層部分が前記単一の回路コネクタと係合するように構成されている、請求項28に記載の走査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を撮像するための走査装置、特に超音波振動子を備える操作装置に関する。特に、操作装置は、物体の表面下の構造的特徴を撮像するために用いることができる。この走査装置は、層間剥離、剥離、および剥落などの表面下の材料欠陥を撮像するのに特に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
超音波は、物体を検出し、距離を測定するために使用することができる振動音圧波である。伝えられた音波は、異なる音響インピーダンス特性を有する材料に遭遇すると反射および屈折する。これらの反射および屈折が検出および分析される場合、結果として得られるデータを使用して、音波が伝わった環境を記述することができる。
【0003】
超音波を使用して、物理的対象を走査することもできる。ほとんどの超音波周波数は空気によって強く減衰され、空気物体境界は大きなインピーダンス不整合を示す傾向がある。超音波信号が物体に十分に進入すべきである場合、何らかの形態の結合媒質が必要である。結合媒質は、水や何らかの形態のゲルなどの液体であることが多い。
【0004】
超音波を使用して、物体の特定の構造的特徴を識別することができる。例えば、超音波は、試料中の欠陥のサイズおよび位置を検出することによって非破壊試験に使用され得る。積層構造内の異なる層、衝撃損傷、ボアホールなどといった、構造的特徴の様々な材料、試料深度および種類をカバーする、非破壊試験から利益を得ることができる広範な用途がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、広範な異なる用途でうまく機能することができる感知装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、物体を撮像するための走査装置が提供され、この走査装置は、
物体に向かって第1の方向に超音波信号を送信するように構成された送信機構造と、物体からの反射超音波信号を受信するように構成された受信機構造とを備える超音波振動子であって、
送信機構造が、第1の送信素子と第2の送信素子とを備え、第1の送信素子と第2の送信素子とが第1の方向に空間的にオフセットされている、超音波振動子
を備える。
【0007】
受信機構造は、第1の受信素子と第2の受信素子とを含み得、第1の受信素子と第2の受信素子とは第1の方向に空間的にオフセットされている。各送信素子は、圧電材料層と、送信素子に駆動信号を伝えるための導電材料とを備え得る。送信素子の導電材料は、圧電材料を駆動して超音波信号を発生させるための信号ドライバに結合され得る。
【0008】
各受信素子は、圧電材料層と、受信素子からの受信信号を伝えるための導電材料とを備え得る。受信素子の導電材料は、受信信号を処理するための信号プロセッサに結合され得る。
【0009】
振動子は複数の振動素子を備え得、振動素子の各々は、複数の送信素子のうちのそれぞれの送信素子を備える。振動素子の各々は、複数の受信素子のうちのそれぞれの受信素子を備え得る。複数の振動素子のうちの1つまたは複数の送信素子および受信素子は、共通の圧電材料層を備え得る。圧電材料層は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含み得る。
【0010】
送信機構造内の連続する各送信素子の間に絶縁層が設けられ得る。絶縁層はポリイミドを含み得る。
【0011】
走査装置は、走査装置からの超音波信号を物体の内外に結合するための結合材料をさらに備え得る。結合材料はエラストマーを含み得る。結合材料は、熱可塑性ポリマー、および架橋ポリマー、のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0012】
走査装置は、結合材料と振動子との間を封止するためのシールを備え得る。
【0013】
走査装置は、超音波信号の送信を遅延させるように構成された遅延回路をさらに備え得る。遅延回路は、送信素子に超音波信号を送信させるように構成されたトリガ信号を遅延させるように構成され得る。
【0014】
走査装置は、振動子の前面から遠い送信素子からの超音波信号の送信と比較して、振動子の前面に近い送信素子からの超音波信号の送信を遅延させるように構成され得る。
【0015】
送信機構造は、単一の信号ドライバに結合するように構成された送信素子の複数の層を備え得る。送信機構造は、送信素子の複数の層を備え得、複数の層の各層は、それぞれの信号ドライバに結合するように構成される。
【0016】
走査装置は、0.5MHzまでのエネルギーを伝達するように構成され得る。
【0017】
走査装置は、送信機回路コネクタを有するフレキシブル送信機回路および受信機回路コネクタを有するフレキシブル受信機回路であって、フレキシブル送信機回路が第1の送信素子を備える、フレキシブル送信機回路およびフレキシブル受信機回路と、フレキシブル回路に結合するための複数の回路であって、各回路がそれぞれの回路コネクタを備える、複数の回路と、を備え得、送信機回路コネクタは、複数の回路のうちの第1の回路の第1の回路コネクタと係合するように構成され、受信機回路コネクタは、複数の回路のうちの第2の回路の第2の回路コネクタと係合するように構成される。
【0018】
第1の回路と第2の回路とは、互いに結合され得る。走査装置はヒートシンクを備え得、複数の回路のうちの少なくとも第1の回路はヒートシンクに隣接して設けられ得る。第1の回路コネクタは、第1の回路のヒートシンクと反対に面する側に設けられ得る。
【0019】
送信機回路コネクタおよび受信機回路コネクタの少なくとも一方が、それぞれのフレキシブル回路の導電ラインとの電気的接続を可能にするための一連のパッドを備え得、パッドは、それぞれのコネクタ上に互い違いのレイアウトで設けられる。
【0020】
複数のフレキシブル回路のフレキシブル回路コネクタは、単一の回路コネクタと同時に係合するように構成され得る。複数のフレキシブル回路のフレキシブル回路コネクタは一緒に積層され得、積層部分は単一の回路コネクタと係合するように構成される。
【0021】
任意の態様の任意の1つまたは複数の特徴が、任意の他の態様と組み合わされ得る。これらは、単に簡潔にするために、本明細書には完全に記載されていない。
【0022】
次に、例として添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】物体を撮像するためのデバイスを示す図である。
【
図3】走査装置の機能ブロックの例を示す図である。
【
図4】多層走査装置の例示的な構造を示す図である。
【
図5】多層走査装置の別の例示的な構造を示す図である。
【
図7】単層振動子における振動素子の例を示す図である。
【
図8】二層振動子における振動素子の例を示す図である。
【
図9】四層振動子における振動素子の例を示す図である。
【
図11a】振動子モジュールの例を示す分解平面図である。
【
図13a】パッド接続の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図13b】パッド接続の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図16】パッド接続の別の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図17】振動子モジュールの別の例を示す分解平面図である。
【
図22a】フレックス回路コネクタの例を示す図である。
【
図22b】フレックス回路コネクタの例を示す図である。
【
図22c】フレックス回路コネクタの例を示す図である。
【
図22d】フレックス回路コネクタの例を示す図である。
【
図23】フレックス回路コネクタの別の例示的な配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
走査装置は、物体の表面下の異なる深さに位置する構造的特徴に関する情報を収集し得る。この情報を取得する1つの方法は、物体に向けて音波パルスを送信し、任意の反射を検出することである。人間のオペレータが物体の表面下の構造的欠陥のサイズ、形状、および深さを認識および評価することができるように、収集された情報を描写する画像を生成することが有用である。これは、表面下の構造的欠陥が危険であり得る多くの産業用途にとって不可欠な活動である。一例が、航空機の整備である。
【0025】
通常、オペレータは、オペレータが見たい構造が物体の表面下にあるため、装置によって生成された画像に完全に依拠することになる。したがって、オペレータが物体の構造を効果的に評価できるように情報が撮像されることが重要である。これを達成するために、走査装置は、好ましくは、物体を撮像するために所望の周波数の超音波を発生させることができる。
【0026】
超音波振動子は、電気信号によって圧電材料を振動させ、超音波信号を生成するように駆動される、圧電材料を利用する。逆に、音響信号が受信される場合、超音波振動子は圧電材料を振動させ、検出することができる電気信号を発生させる。所与の種類の圧電材料が、所与の構成において、特定の周波数応答を有する。
【0027】
例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの圧電材料は、典型的には、2~15MHzの範囲の周波数応答を有する。PVDFは、通常、この広帯域エネルギースペクトルで信号を発生させる。PVDFを活性超音波発生層として使用して構成された振動子は、この完全な周波数応答を示す可能性が低い。PVDFを利用する典型的な振動子は、約10MHzのピーク周波数応答を有し得る。そのような振動子は、多くの異なる材料厚さを感知することができる。
【0028】
振動子の周波数応答はある程度調整することができるが、実際の実装では約3.8MHzをはるかに下回る可能性は低い。
【0029】
超音波信号の周波数が高いほど、その波長は短くなり、信号が撮像対象の物体に入ると、発生し得る吸収および/または減衰が大きくなる。これには、高周波数超音波は低周波数超音波よりも進入しにくく、物体の表面により近い特徴を撮像するのにより適しているという効果がある。
【0030】
逆に、低周波数超音波は、物体のより深くまで進入することができ、高周波数超音波よりも大きな深度範囲にわたって情報を明らかにすることができる。
【0031】
物体の表面下を撮像するための、本明細書に記載される走査装置などの手持ち式デバイスの例が
図1に示されている。デバイス101は、一体型ディスプレイを有することもできるが、この例では、タブレットコンピュータ102に画像を出力する。タブレットとの接続は、図示のように、有線とすることもでき、または無線とすることもできる。デバイスは、超音波信号を送信および受信するためのマトリックス配列103を有する。好適には、配列は、振動素子の配列を形成するように交差パターンで配列された複数の電極を備える超音波振動子によって実装される。振動素子は、送信と受信との間で切り替えられ得る。図示の手持ち式装置は、超音波信号を物体に結合するための乾式結合層104などの結合層を備える。結合層はまた、振動子が送信から受信に切り替わるための時間を可能にするために超音波信号を遅延させる。乾式結合層は、超音波信号を結合するために液体を使用する傾向がある他の撮像システムに優るいくつかの利点を提供する。これは、産業環境では実際的ではない可能性がある。ときどき使用されるように、液体カプラがブラダに収容されている場合、これにより正確な深さ測定値を得ることを困難になり、これは非破壊試験用途には理想的ではないすべての例において、結合層が設けられる必要はない。
【0032】
マトリックス配列103は二次元であるため、画像を取得するために物体を横切ってマトリックス配列を移動させる必要はない。典型的なマトリックス配列は、30mm×30mmであり得るが、マトリックス配列のサイズおよび形状は、用途に合わせて変えることができる。デバイスは、オペレータによって物体に対して真っ直ぐに保持され得る。一般に、オペレータはすでに、物体のどこに表面下の欠陥または材料欠陥があり得るか、例えば、構成要素が、衝撃を受けている可能性があるか、または応力集中を引き起こす可能性がある1つまたは複数のドリルまたはリベット穴を備える可能性があること、を適切に理解しているであろう。デバイスは反射パルスをリアルタイムで適切に処理するので、オペレータはデバイスを任意の関心領域に簡単に配置することができる。
【0033】
手持ち式デバイスはまた、オペレータがパルス形状および対応するフィルタを変更するために使用することができるダイヤル105または他のユーザ入力デバイスも備える。最も適切なパルス形状は、撮像されている構造的特徴の種類およびそれが物体内のどこに位置するかに依存し得る。オペレータは、ディスプレイを介してタイムゲーティングを調整することによって、異なる深さで物体を見ることができる。装置に、タブレット102などの手持ち式ディスプレイに、または一体型ディスプレイに出力させることは、オペレータがディスプレイ上で見えるものに応じて物体上で振動子を容易に移動させ、または装置の設定を変更し、瞬間的な結果を得ることができるので、有利である。他の配置では、オペレータは、非手持ち式ディスプレイ(PCなど)と物体との間を歩いて、物体上の新しい設定または位置が試験されることになるたびに再走査し続けなければならない可能性がある。
【0034】
物体の表面下の構造的特徴を撮像するための走査装置が
図2に示されている。装置は、全体として201で示されており、送信機202と、受信機203と、信号プロセッサ204と、画像生成器205とを備える。いくつかの例では、送信機および受信機は、超音波振動子によって実装され得る。送信機および受信機は、例示を容易にするためにのみ、
図2において互いに隣接して示されている。送信機202は、撮像対象の物体206に向けて特定の形状を有する音波パルスを送信するように適切に構成される。受信機203は、物体からの送信された音波パルスの反射を受信するように適切に構成される。物体の表面下特徴が、207に示されている。
【0035】
装置の一実施形態に含まれる機能ブロックの例が
図3に示されている。
【0036】
この例では、送信機および受信機は、振動素子312のマトリックス配列を備える超音波振動子301によって実装される。振動素子は、超音波を送信および/または受信する。マトリックス配列は、交差パターンで配列されたいくつかの平行な細長い電極を備え得、交点は、振動素子を形成する。送信機電極は、特定の形状を有するパルスパターンを特定の電極に供給する送信機モジュール302に接続される。送信機制御部304は、作動される送信機電極を選択する。所与の時点に作動される送信機電極の数は変動し得る。送信機電極は、個別にまたはグループ単位で順に作動され得る。好適には、送信機制御部は送信機電極に、一連の音波パルスを物体に送信させ、生成された画像が連続的に更新されることを可能にする。送信機電極はまた、特定の周波数を使用してパルスを送信するようにも制御され得る。周波数は、100kHz~30MHzであり得、好ましくは0.5MHz~15MHzであり、最も好ましくは0.5MHz~10MHzである。
【0037】
受信機電極は、物体から放射される音波を感知する。これらの音波は、物体に送信された音波パルスの反射である。受信機モジュールは、これらの信号を受信および増幅する。信号は、アナログ・デジタル変換器によってサンプリングされる。受信機制御部は、受信機電極を、送信機電極が送信した後に受信するよう適切に制御する。装置は、送信および受信を交互に行い得る。一実施形態では、電極は、送信と受信の両方が可能であり得、その場合、受信機制御部および送信機制御部は、電極をそれらの送信状態と受信状態との間で切り替える。好ましくは、装置において送信される音波パルスと受信されるそれらの反射との間に多少の遅延がある。装置は、電極が送信から受信に切り替わるのに必要な遅延を提供するための結合層を含み得る。遅延は、相対深度が計算されるときに補償され得る。結合層は、好ましくは、送信された音波の低減衰を提供する。
【0038】
各振動素子は、画像内の画素に対応し得る。言い換えれば、各画素は、振動素子のうちの1つで受信された信号を表し得る。これは、1対1対応である必要はない。単一の振動素子が2つ以上の画素に対応し得、その逆も可能である。各画像は、1つのパルスから受信された信号を表し得る。「1つの」パルスは、通常、多くの異なる振動素子によって送信されることを理解されたい。「1つの」パルスのこれらのバージョンはまた、異なる時点にも送信され得、例えば、マトリックス配列を、配列の各行を順に作動させることによって振動素子の「波」を作動させるように構成することもできる。しかしながら、試料の単一の画像を生成するために使用されるのはパルスの反射であるため、この送信パルスの集合は依然として「1つの」パルスを表すと考えることができる。試料の画像のビデオストリームを生成するために使用される一連のパルス内のすべてのパルスについても同じことが当てはまる。
【0039】
パルス選択モジュール303は、送信されるべき特定のパルス形状を選択する。これは、振動子によって超音波パルスに変換される電子パルスパターンを送信機モジュールに供給するパルス発生器を含み得る。パルス選択モジュールは、メモリ314に格納された複数の予め定義されたパルス形状にアクセスすることができる。パルス選択モジュールは、自動的にまたはユーザ入力に基づいて送信されるパルス形状を選択し得る。パルスの形状は、撮像されている構造的特徴の種類、その深さ、材料の種類などに応じて選択され得る。一般に、パルス形状は、オペレータに物体の高品質画像を提供するために、信号プロセッサ305が収集することができ、かつ/または画像エンハンスメントモジュール310が改善することができる情報を最適化するように選択されるべきである。
【0040】
走査装置の一部の例示的な構造が
図4に示されている。走査装置は、(図の向きで)上と下とに導電層403、404を有する圧電層402を備える、全体として401で示される振動素子を備える。導電層は、圧電層とプロセッサ204との間の電気的接続を提供する。走査装置は、振動素子の上に設けられた裏当て層406と、振動素子の下に設けられた結合層408とを備える。結合層は、撮像対象の物体に当てて配置することができる走査装置の表面を適切に形成する。絶縁層410および絶縁層412は、振動素子の活性層を裏当て層および結合層からそれぞれ分離する。
【0041】
一実装形態では、導電層403、404の一方は、圧電層402を駆動するために駆動信号が印加される、送信機電極として機能する。導電層403、404の他方は、受信した超音波信号に応答して圧電層402によって生成された電気信号が印加される、受信機電極として機能することができる。送信時に、送信機電極として機能していない導電層を、例えば接地電圧レベルに保持されることによって、圧電層の両端の電位差を発生させるために使用することができる。受信時に、受信機電極として機能していない導電層を、所与の電圧レベル、例えば接地電圧レベルで保持することができる。
【0042】
走査装置の送信機構造は、超音波信号の送信方向に積み重ね構成で、複数の送信素子、例えば圧電層402を備える。すなわち、送信素子は、撮像のための物体に向かう超音波送信の方向に互いに空間的にオフセットされている。送信素子は、超音波信号を送信することができる。受信機構造は、複数の受信素子を備える。受信素子は、送信素子が互いにオフセットされている方向と同じ方向に互いに空間的にオフセットされている。受信素子は、受信した超音波信号を検出することができる。
図4の向きでは、音波は、結合層を通って撮像のための物体に向かって垂直下方に伝達される。
図4に示される例では、振動子は、送信素子(例えば、圧電層402および導電層403、404の一方)と受信素子(例えば、圧電層402および導電層403、404の他方)とを備える。振動素子は、構造内でn回繰り返され、n>1である。
【0043】
よって、
図4に示される構造においては1つの送信素子が別の送信素子の上に積み重ねられる。導電層403、404は、(音響信号の送信のための)駆動信号を伝え、受信した音響信号を表す電気信号を伝えるための圧電層への相互接続を提供する。好適には、導電層の一方は、送信素子に駆動信号を伝え、導電層の他方は、受信素子からの受信信号を伝える。
【0044】
好適には、一方の導電層は、圧電材料を駆動するための信号ドライバに結合される。いくつかの例では、信号ドライバを送信機モジュール302に設けることができる。好適には、他方の導電層は、受信信号を処理するための信号プロセッサ305に結合される。他方の導電層は、受信機モジュール306を介して信号プロセッサに結合し得る。
【0045】
二層多層構造(2つの振動素子が超音波送信方向に互いに空間的にオフセットされている)を備える走査装置の例が
図5に示されている。多層構造は、裏当て層506と、ポリイミド層510aの形態の絶縁層とを備える。PVDF502aの形態の圧電層の一方の側には銅層503aの形態の導電層が設けられている。PVDFの他方の側には別の導電性銅層504aがある。2つの導電層503aおよび504aとPVDF層502aとは、共に振動子520を形成する。導電層は、信号ライン522および524を介してプロセッサに結合する。
【0046】
銅層504aのPVDF層502aと反対の側には、絶縁性ポリイミド層510bがあり、続いて銅層503b、PVDF層502b、および別の銅層504bが繰り返される。2つの導電層503bおよび504bとPVDF層502bとは、共に別の振動子530を形成する。導電層は、信号ライン532および534を介してプロセッサに結合する。
【0047】
さらなるポリイミド層512は、振動子530を結合層508から分離する。
【0048】
絶縁層は、任意の適切な方法で導電層に接合され得る。例えば、絶縁層は、適切な接着剤によって導電層に接合されてもよい。絶縁層の表面は、接合の強度を高めるために、導電層と接合する前にエッチングされてもよい。
【0049】
絶縁層は、絶縁層と導電層との間の接合を改善するために金属被膜を施され得る。いくつかの例では、導電層は銅を含む。いくつかの例では、金属被膜は金またはニッケルを含む。
【0050】
結合層は、乾式結合、例えばエラストマーを含み得る。
【0051】
結合層は、硬結合を含み得る。結合は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーを含み得る。結合は、架橋ポリマーを含み得る。結合は、ポリエーテルイミドを含み得る。結合は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含み得る。結合は、Rexoliteなどの架橋ポリスチレンを含み得る。
【0052】
異なる材料は異なる特性を有する。例えば、ある結合材料は、別の結合材料と比較して異なる周波数伝送特性を有し得る。結合材料は、走査装置の所望の特性に依存して選択され得る。例えば、送信スペクトルの周波数下限を低減させる(または少なくとも低周波数範囲内に含まれるエネルギーを増加させる)のを助けることができる、オフセットされた、例えば積み重ねられた送信素子が使用される場合、そのような低周波数を効率的に通す結合を選択することが望ましい可能性が高い。
【0053】
いくつかの例では、結合は、選択された周波数を除去する材料を含むことができる。例えば、結合は、高周波数を除去する材料を含み得る。高周波数のそのようなフィルタリングは、走査装置が低周波数に向かうエネルギーを増加させるように構成されている場合に有用であり得る。この場合、プロセッサは、低周波数の信号を処理するだけでよく、高周波数は結合によって減衰またはフィルタリングされる。これにより、信号処理を簡素化および/または高精度化することができる。
【0054】
いくつかの例では、走査装置は、結合部と振動子との間を封止するためのシールを備える。ゴムシールなどのシールを振動子の縁部の周りに設けることができ、振動子モジュールを水密に保ちながら、結合を迅速かつ容易に交換することができる。
【0055】
積み重ねられた送信素子は、標準的な駆動電子機器に結合することができる。例えば、送信素子の2Dマトリックス配列は、128×128個の素子を含み得る。いくつかの例では、2D配列を、第1のセットの128本の導電ラインと第2のセットの128本の導電ラインとの交点によって形成することができる。第1のセットの導電ラインの各々と、第2のセットの導電ラインの各々とを、送信素子に所望に応じて超音波信号を発生させるようにライン上の信号を駆動するように構成された信号ドライバに結合することができる。
【0056】
本技術の実施形態にあるように、走査装置が積み重ねられた(もしくは多層の)送信素子または積み重ねられた(もしくは多層の)振動素子を備える場合、これらの積み重ね素子は3D配列を形成すると考えることができる。
【0057】
走査装置の振動子が上記の例と同じ128×128本の接続ラインを備え、多層が上下に積み重ねられた2つのそのような素子を含む例では、配列は64×64個の横方向に離間した素子を含むことができる。走査装置の振動子が上記の例と同じ128×128本の接続ラインを備え、多層が上下に積み重ねられた4つのそのような素子を含む別の例では、配列は32×32個の横方向に離間した素子を含むことができる。
【0058】
これらの例では、64×64個の素子および32×32個の素子を、128×128配列の素子と同じ電気的相互接続(例えば、導電層)によって駆動することができる。したがって、多層振動子構造を、必要に応じて既存の電気制御システムに容易に組み込むことができる。これは、単一層(2D)配列の場合と同じ数および物理的構成の、3D配列(上記の例のように、2層および4層)における圧電材料層への電気的相互接続があり得るからである。
【0059】
他の例では、128×128個の電気的接続部のセットのより少ない電気的接続を使用することができる。
【0060】
電子機器および/または駆動信号の違いを振動子の多層構造を考慮するために使用することができる。
【0061】
例えば、配列のある層の送信素子から超音波パルスを、配列の別の層の送信素子からの超音波パルスの送信と比較して異なる時点に送信することが有利であり得る。これは、配列の異なる層における送信素子からのパルスの干渉を、撮像対象の物体に結合するために走査装置から送信される所望の全体的なパルス形状を達成するように変更することができるようにするためである。
【0062】
いくつかの例では、走査装置は、超音波信号の送信を遅延させるように構成された遅延回路を備える。遅延回路は、送信機に超音波信号を送信させるように構成されたトリガ信号を遅延させるように構成することができる。
【0063】
走査装置は、振動子の前面から遠い圧電材料層からの超音波信号の送信と比較して、振動子の前面に近い圧電材料層からの超音波信号の送信を遅延させるように構成される。
【0064】
好適には、走査装置は、振動子の前面から遠い送信素子からの超音波信号の送信と比較して、振動子の前面に近い送信素子からの超音波信号の送信を遅延させるように構成される。
【0065】
振動子の前面は、撮像対象の物体に面するように構成された振動子の側である。よって、超音波信号またはパルスの送信を、超音波信号の伝播方向にさらに沿って、振動素子または送信素子に関して遅延させることができる。
【0066】
多層振動子に3つ以上の層が設けられている場合、遅延回路を、スタックを通る超音波信号の送信を順次に遅延させるように構成することができ、遅延は振動子の前面に向かって増加する。よって、遅延回路を、送信素子が別の送信素子からオフセットされる量に依存して遅延を制御するように構成することができる。
【0067】
好適には、遅延回路によって導入される遅延は予め決定される。好適には、遅延回路によって導入される遅延は、振動子の音響特性に依存する。
【0068】
信号送信の遅延により、伝送路程に沿った信号の干渉の制御が可能になる。例えば、遅延を、信号が振動子を離れるかまたは撮像対象の物体に結合するときに信号が建設的に干渉するように構成することができる。この手法は、エネルギーを増加させ、かつ/または振動子から出力される信号のエネルギースペクトルの制御を可能にすることができる。
【0069】
走査装置は、好適には、受信した超音波信号を表す信号を遅延させるように構成された受信機遅延回路を備える。遅延回路は、受信機遅延回路を備え得る。遅延回路および/または受信機遅延回路を、デジタル信号プロセッサなどの信号プロセッサの一部として設けることができる。多層構造のある層で受信される信号を、多層構造の別の層で受信される信号に対して遅延させることができ、層は反射パルスの伝播方向に互いにオフセットされている。遅延量を、層間のオフセット、振動子の音響特性、および超音波周波数のうちの1つまたは複数に依存して選択することができる。
【0070】
受信信号を遅延させることにより、受信信号の干渉の制御が可能になる。例えば、遅延を、信号が建設的に干渉するように構成することができる。この手法は、受信信号のエネルギーを増加させることができる。
【0071】
これは
図6に図で示されており、
図6は、上下に積み重ねられた2つの振動素子を含む多層構造を示している。(結合層604によって定義される)走査装置の前面から最も遠い振動素子602は、第1の時刻t
1にパルスを送信するよう制御される。走査装置の正面に最も近い振動素子606は、第1の時刻よりも遅い第2の時刻t
2にパルスを送信するよう制御される。すなわち、振動素子602、606によるパルスの送信間に(t
2-t
1)の遅延が導入されている。遅延は、振動子602からのパルスが振動子606に到達するのに要する時間に適切に対応する。よって、2つのパルスは互いに建設的に干渉し、走査装置からのエネルギー出力を増加させる。図示の遅延は、例示目的で大きく誇張されていることに留意されたい。二層多層構造の実際の実装形態では、典型的な遅延は、10~1000ns程度、例えば50~500nsである可能性が高い。実際の遅延は、構造自体の材料特性(弾力性や密度など)の関数である、構造を通る音波の伝播速度に依存する。
【0072】
いくつかの例では、送信素子の各層は、それぞれの信号ドライバに結合することができる。よって、1つまたは複数の信号ドライバを使用して、多層振動子の複数の層に信号を駆動することができ、または各信号ドライバを多層構造の単一の層に信号を駆動するように構成することができる。よって、送信素子の2つの層が設けられる本明細書に記載される例では、各々が2つの層のそれぞれの層に結合された2つの信号ドライバがあり得る。送信素子の4つの層が設けられる他の例では、各々が4つの層のそれぞれの層に結合された4つの信号ドライバがあり得る。これらの数の層は例にすぎず、他の数の層の多層構造が設けられてもよいことが理解されよう。
【0073】
信号ドライバが多層振動子の複数の層に結合される場合、送信素子に送信されるべきトリガ信号を多重化し、受信素子から受信された信号を逆多重化するために、マルチプレクサおよび/またはデマルチプレクサが設けられ得る。
【0074】
デマルチプレクサは、さらなるパルスに関するデータを処理することができる前に、1つのパルスに関するデータを除去するために有限の時間を要し得る。場合によっては、これには約1μsを要することもある。そのような遅延を回避するために、多層構造の各層に別個の信号ドライバを設けることが好ましい場合がある。例えば、多層構造の各層に別個の送信機チップが設けられてもよい。
【0075】
接続ラインの数を一定に保ちながら、多層構造内の層の数が増加するにつれて、システムの解像度は低下する。例えば、128×128本の接続ラインがある場合、二層振動子構造は、単層構造の128×128個の素子ではなく、64×64個の素子を有する。四層振動子構造は、32×32個の素子を有する。これが、
図7~
図9に概略的に示されている。
【0076】
図7に、水平電極と垂直電極との交点に振動素子を形成する、12×12の電極配列を示す。振動素子701が、丸で囲まれている。
図7のマトリックス配列を二層多層構造に形成する例が
図8に示されている。
図8は、6×6の電極配列を示している。対として示されている電極ラインは、少なくともいくつかの実施形態では、上下に重ねて配置され得ることに留意されたい。
図8は電極レイアウトの平面図を示しているので、例示を明瞭にするために電極はわずかに分離されている。振動素子801が、丸で囲まれている。これは
図7の4つの振動素子に対応することが分かるであろう。
図8の振動素子の間隔は、
図7の間隔よりも大きい。
【0077】
図7のマトリックス配列を四層多層構造に形成する例が
図9に示されている。
図9は、3×3の電極配列を示している。4つのグループとして示されている電極ラインは、少なくともいくつかの実施形態では、上下に重ねて配置され得ることに留意されたい。
図9は電極レイアウトの平面図を示しているので、例示を明瞭にするために電極はわずかに分離されている。振動素子901が、丸で囲まれている。これは
図7の16個の振動素子に対応することが分かるであろう。
図9の振動素子の間隔は、
図7および
図8の間隔よりも大きい。
【0078】
いくつかの例では、振動素子の間隔は、64×64配列では128×128配列と同じに、32×32配列では128×128配列と同じにすることができ、配列の全面積をそれに応じて縮小することができる(これは電極の総数が変更されないことを想定している)。他の例では、所望に応じて、振動素子の間隔を配列面積と均衡させることができる。
【0079】
パルス送信の遅延は、20ns程度、10ns程度、5ns程度、2ns程度などであり得る。好ましくは、遅延は、各層から、または構造内の連続する層から送信されるパルス間に5ns以下の分解能を提供する。
【0080】
低周波数で高振幅の超音波パルスを発生させることが望ましい。例えば、低周波数で可能な限り高い振幅の超音波パルスを発生させることが望ましい。低周波数は、2MHz未満、1MHz未満、約0.5MHz、または0.5MHz未満のものであり得る。本明細書に記載される多層振動子構造は、超音波振動子モジュールの集束の強化を可能にすることができる。本明細書に記載される多層振動子構造は、超音波振動子モジュールの感度の強化を可能にすることができる。多層振動子構造は、振動子モジュールによって送信されるパルスの感度の増加を可能にすることができ、かつ/または所与の1つまたは複数の周波数範囲での、送信パルスのパワーの増加を、したがってその送信パルスの結果として生じる反射の対応する増加を可能にすることができる。
【0081】
超音波パルスに含まれるエネルギーは、パルスを発生させるために使用される振動素子の面積と共に増加する。エネルギーは面積と共に直線的に増加する。したがって、より大きな電極を使用すると、その電極を使用して発生させたパルスのエネルギーが増加する。積み重ねられた電極構造を使用すると、パルスを発生させるために使用される振動素子の面積が実質的に増加する。積み重ねられた電極構造を使用すると、その積み重ねられた電極構造を使用して発生させたパルスのエネルギーが増加する。例えば、4つの層が使用される場合、各層にはより少ない導電ラインまたは電極が存在し得る。本明細書に記載される例では、層当たりの導電ラインの数は、単層構造の128から四層構造の32に減少し得る。導電ラインは、多層構造においてはより広がり得る。例えば、導電ラインは4倍広がり得る。そのようなより広い導電ラインが送信フレックス回路と受信フレックス回路の両方で使用される場合、振動素子の面積は16倍増加する。よって、送信パルスのエネルギーは、16倍増加する。
【0082】
さらに、多層構造では、導電ラインが一緒に積み重ねられ、各パルスに寄与する振動素子の有効面積が増加する。
【0083】
電極の幅が大きくなるにつれて、電極の面積が大きくなる。これにより、各層によって発生するエネルギー量が増加する。電極の幅を2倍にすることにより、面積(またはエネルギー)は4倍(すなわち、2×2)に増加する。電極が4倍広い場合、面積(またはエネルギー)は16倍増加する(すなわち4×4)。
【0084】
追加の層の場合、層間の遅延および送信パルス間の建設的干渉に起因するエネルギーの増加もある。反射パルスを受信するときの「遅延加算」に起因するエネルギーのさらなる増加が生じる。2層の場合、送信遅延によるエネルギーの倍加、および受信時の遅延加算によるエネルギーのさらなる倍加が生じる。4層の場合、送信遅延によるエネルギーの4倍化、および受信時の遅延加算によるエネルギーのさらなる4倍化が生じる。
【0085】
よって、二層構造は、4倍の面積、2倍の送信エネルギー、および2倍の受信エネルギー、すなわち4×2×2=16倍のエネルギー、を提供することができる。四層構造は、16倍の面積、4倍の送信エネルギー、および4倍の受信エネルギー、すなわち16×4×4=256倍のエネルギー、を提供することができる。なお、これらのエネルギーの倍数は、各層の減衰を考慮に入れていないため、エネルギーの増加は実際にはこれらの図よりもわずかに少ない可能性が高いことに留意されたい。
【0086】
本技術の利点は、分解能の低下にもかかわらず、多層振動子構造が、同じ材料の単層構造を使用して得ることができないエネルギースペクトルの伝達を可能にできることである。多くの状況において、多層振動子構造によって提供される送信超音波パルスの修正されたエネルギースペクトルは、単層振動子を使用する場合と比較して、例えばより低い周波数でより大きな割合のエネルギーを含むことによって、撮像されている物体に関する追加の情報を明らかにすることができる。
【0087】
いくつかの例では、走査装置が有用なエネルギーを伝達することができるエネルギー範囲の下限を、1MHzまで低減させることができる。いくつかの例では、下限を0.5MHzまで低減させることができる。圧電材料の特定の層は、通常、単一の振動素子が設けられている(例えば、単一の圧電材料層を備える)場合、そのような低い周波数でエネルギーを伝達することができないことがある。走査装置は、送信素子のオフセットされた、または積み重ねられた配置のおかげで、そのような低周波数で適切に送信することができる。
【0088】
多層振動子を使用して得られる走査の解像度を、他の方法で上げることができる。例えば、解像度をプロセッサによって上げることができる。解像度は、追加の電極を設けることによって上げることができる。よって、二層128×128マトリックス配列、または四層128×128マトリックス配列などを実現することが可能であり、電極の数はそれに応じて増加する。
【0089】
両方の絶縁層410、412を設ける必要はない。いくつかの実装形態では、絶縁層410、412のどちらも設ける必要はない。例えば、電極(すなわち、導電層)を圧電層上に直接をスパッタすることが可能である。この場合、対応する絶縁層は設けられる必要がない。電極が圧電層402の両面にスパッタされて、両方の導体層403、404が形成される場合、絶縁層410、412は設ける必要がない。
【0090】
次に、超音波振動子モジュールで使用するための電極およびそのような電極の配置について説明する。典型的な振動子モジュール1002が
図10に示されている。振動子モジュールは、送信電極および受信電極(または導電ライン)と圧電材料とを備える振動子1004を備える。振動子モジュールは、(
図10の向きで)振動子の上に配置された本体1006を備える。本体は、走査中に試料に対して配置される振動子の走査面とは振動子の反対側に位置する。本体は、振動子を駆動するための電気的接続部を備える。本体はまた、2つ以上の回路を備えることもできる。各回路は、送信機電極または受信機電極に結合するように適切に構成される。送信機電極に結合される回路は、送信機電極を介した超音波パルスの送信を駆動するように適切に構成される。そのような回路は、信号ドライバを備えるか、または信号ドライバの一部とすることができる。そのような回路は、送信機モジュールの一部を形成し得る。受信機電極に結合される回路は、受信機電極から受信される信号を取り込むように適切に構成される。そのような回路は、受信機モジュールを備えるか、または受信機モジュールの一部とすることができる。本体は、振動子および/または回路の冷却を支援するヒートシンクを備えることができる。振動子から遠位のヒートシンクの端部は、ヒートシンクを冷却するための冷却素子を備え得る。冷却素子は、熱を大気に放散するための冷却フィンを備え得る。
【0091】
図11aに、選択された要素が分解図で示されている、振動子モジュールの平面図を示す。明確にするためにこの図には振動子モジュールのすべての要素が示されているわけではない。ヒートシンク1102が設けられている。ヒートシンクは、本体1006内に適切に位置する。ヒートシンクは、本体内の中央に設けられ得る。ヒートシンクの周囲には、複数の回路1104、1106が設けられている。図示の例では、単一の振動子層が設けられている。2つの回路が設けられている。一方の回路は、送信機電極を駆動するために使用することができる。他方の回路は、受信機電極で受信された信号を取り込むために使用することができる。回路は、電気的接続1108と一緒に結合され得る。電気的接続は、フレキシブルケーブルなどの任意の適切なケーブルであり得る。回路を互いに結合することにより、超音波パルスの送信を制御し、受信信号を取り込むための制御デバイスに単一の接続を行うことが可能になる。例えば、単一の接続は、送信機モジュールと受信機モジュールの両方への結合を容易にすることができる。あるいは、制御デバイスと各回路との間を別々に接続することもできる。
【0092】
送信電極は、受信電極に対してある角度で設けられている。好適には、送信電極は受信電極に対して直角になる。関連する電極への接続を容易にするために、
図11aに示される回路もまた互いに直角である。これにより、電極への接続を簡単な方法で行うことができ、次いで電極は90度屈曲して振動子を形成することができる。好適には、電極はフレックス回路上に設けられる。送信機電極は送信機フレックス回路に設けられ、受信機電極は受信機フレックス回路に設けられる。送信機フレックス回路と受信機フレックス回路とは同じレイアウトを有し得ることが理解されよう。関連するフレックス回路は、制御デバイスへの電気的結合に基づいて送信または受信する。
【0093】
図11bに、
図11aの振動子モジュールの側面図を示す。この図の左側は、中心から外側への
図11aのx軸に沿った図を表しており、右側は、中心から外側への
図11aのy軸に沿った図を表している。回路1104は、回路を制御デバイスに結合するためのコネクタ1110を備える。回路1104は、送信機フレックス回路および受信機フレックス回路の一方に結合するためのさらなるコネクタ1112を備える。回路1106は、送信機フレックス回路および受信機フレックス回路の他方に結合するためのコネクタ1114を備える。振動子は、1116に示されている。振動子は、圧電層1122の両側に1つずつ、1対のフレックス回路1118、1120を備える。
【0094】
好適には、コネクタ1110、1112、1114は、回路のヒートシンクと反対に面する側に位置する。これにより、回路をヒートシンクの近くに設けて、ヒートシンクとの熱的接触を向上させることができる。振動子モジュールはまた、ヒートシンクと回路のうちの1つまたは複数との間に設けられた熱ペーストまたはゲルも備え得る。熱ペーストは、回路のうちの少なくとも1つとヒートシンクとの間の熱的接触をさらに改善することができる。
【0095】
図12に、2つの回路の正面を示す。コネクタ1110、1112、1114は、回路の幅に沿って設けられている。これはそうである必要はない。場合によっては、1つまたは複数のコネクタを、回路に対して異なる幅のものとすることもできる。例えば、1つまたは複数のコネクタを、それぞれの回路よりも小さくすることができる。好適には、コネクタは、フレックス回路上の対応するコネクタを受け入れるように寸法決めされる。
【0096】
本明細書の他の箇所で論じられるように、振動子は、振動素子の配列を備えることができる。配列の各辺に沿って128個の素子があり得る。よって、送信フレックス回路と受信フレックス回路の両方に128個の別個の電極があり得る。これらの128個の電極の各々に独立して結合するために、フレックス回路コネクタ上に別個の電気的接続部が設けられる。
図13に、フレックス回路コネクタ上の電気的接続部またはパッド1302の異なる配置を示す。
図13aは、直線の列に配置されたパッドを示している。パッド幅は、典型的には、電極1304の幅よりも(したがって、送信電極は受信電極と交差するところに振動素子が形成されるため、振動素子の幅よりも)大きい。フレックス回路コネクタ内のパッドは、300μmのピッチで設けられ得る。電極は、500μmのピッチで設けられ得る。よりコンパクトな配置が
図13bに示されており、パッドは互い違いになっている。このようにパッドを互い違いにすることにより、電極を互いにより近くに配置することができる。よって、所与の幅のフレックス回路コネクタに比較的多数の電極を設けることができる。
【0097】
フレックス回路コネクタ内の電極の間隔は、振動子内の電極の間隔と同じである必要はない。
図14aに、典型的なフレックス回路を示す。フレックス回路コネクタが1402に示されている。遷移領域1404が、フレックス回路コネクタと振動子1406を形成するフレックス回路の部分との間に位置している。図示のように、フレックス回路の振動子部分の幅にわたる電極は、フレックス回路コネクタの幅にわたる対応する電極よりも大きいピッチを有する。
図14bに、90度回転された
図14aのフレックス回路を示す。
図14cに、上下に重ねた
図14aおよび
図14bの2つのフレックス回路を示す。振動素子は、一方のフレックス回路からの電極が他方のフレックス回路の電極と交差する場所に形成される。
図14はフレックス回路の電極を示しているが、明確にするために少数のみが示されている。異なるフレックス回路は、異なる数の電極を備えることができる。単層振動子で使用するための典型的なフレックス回路は、128個の電極を備える。よって、2つのそのようなフレックス回路は、128×128個の振動素子を有する振動子配列を形成する。
【0098】
上記の例は、すべての所望の電極が同じフレックス回路の一部であるものとして説明している。これは必ずしもそうとは限らない。代替例では、各々が所望の電極の数の一部分を含む相補的なフレックス回路が設けられてもよい。振動子配列が128×128個の振動素子を備える場合、フレックス回路は64個の電極を備え得る。この場合、追加のフレックス回路が設けられる。例えば、各フレックス回路が64個の電極を備える場合、送信電極を2つのフレックス回路から形成することができ、受信電極を2つのフレックス回路から形成することができる。
【0099】
次に
図15および
図16を参照する。
図15に、単一の振動子層を形成することができる4つのフレックス回路を示す。振動子層の受信機電極を、
図15aおよび
図15dに示される2つのフレックス回路から形成することができ、振動子層の送信機電極を、
図15bおよび
図15cに示される2つのフレックス回路から形成することができる。受信機電極はすべて互いに平行である。送信機電極はすべて互いに平行である。好適には、フレックス回路がオーバーレイされるときに、一方の受信機フレックス回路内の受信機電極は、他方の受信機フレックス回路内の受信機電極の真上に置かれない。同様に、一方の送信機フレックス回路内の送信機電極も、他方の送信機フレックス回路内の送信機電極の真上に置かれない。
【0100】
図16に、2つの受信機フレックス回路内または2つの送信機フレックス回路内の電極が互いに対してどのように配置され得るかを示す。好適には、一方の受信機(または送信機)フレックス回路からの電極は、他方の受信機(または送信機)フレックス回路からの電極と交互になる。隣接する電極間のピッチは、振動子層にわたって一定であり得る。好適には、一方の受信機(または送信機)フレックス回路内の電極間のピッチは、他方の受信機(または送信機)フレックス回路内の電極間のピッチと同じである。
【0101】
これを、任意の適切な方法で達成することができる。交互の電極を設ける1つの方法は、パッドを介して電極を、対のフレックス回路の一方のための回路コネクタ内の偶数番号の接続部と、対のフレックス回路の他方のための奇数番号の接続部とに結合することである。例えば、回路コネクタが128個の接続部を備える場合、1対のフレックス回路の一方のフレックス回路コネクタは、番号1、3、5、...、125、127の接続部に結合することができる。その対のフレックス回路の他方のフレックス回路コネクタは、番号2、4、6、...126、128の接続部に結合することができる。
【0102】
図17に、振動子モジュールの素子の分解平面図を示す。振動子モジュールの本体1702は、4つの回路1704、1706、1708、1710の間に位置する。回路は、結合1705、1707、1709によって直列に互いに結合される。結合は、好適にはフレキシブルである。各フレックス回路は、それぞれの回路に結合することができる。例えば、1対のフレックス回路は、受信機フレックス回路を形成することができる。この受信機対の各フレックス回路は、回路1704および回路1708などの回路の反対側に結合することができる。フレックス回路のさらなる対は、送信機フレックス回路を形成することができる。この送信機対の各フレックス回路は、回路1706および回路1710などの回路の反対側に結合することができる。
【0103】
図18に、4つの回路1802、1804、1806、1808の正面を示す。各回路には、フレックス回路に結合するためのコネクタ1810、1812、1814、1816が設けられている。回路は、結合1803、1805、1807によって互いに直列に結合される。結合は、好適にはフレキシブルである。回路1802は、回路を制御デバイスに結合するためのさらなるコネクタ1818を備える。コネクタは、回路とヒートシンクとの間のより良好な熱的接触を容易にするために、回路のヒートシンクと反対に面する側に設けることができる。熱ペーストまたはゲルは、1つまたは複数の回路とヒートシンクとの間に、それらの間の熱的接触をさらに改善するために設けられ得る。
【0104】
次に二層振動子構造で使用するためのフレックス回路について説明する。上述したように、128個の接続部が送信に利用可能であり、128個の接続部が受信に利用可能である場合、それらの接続部のうちの64個を各層での送信に、それらの接続部のうちの64個を各層での受信に使用することが好都合である。よって、各々が64個の電極を備えることができる4つのフレックス回路が設けられ得る。そのような各フレックス回路は、フレックス回路コネクタ上に64個のパッドを備えることができる。
【0105】
そのような二層振動子構造の4つのフレックス回路は、
図15を参照して説明されたフレックス回路と同様の形態をとり得る。好適には、一方の層の送信機フレックス回路の電極が、撮像のために物体に向かう超音波の送信方向に、他方の層の送信機フレックス回路の電極と並んで配置される。好都合には、振動子モジュールは、振動子の表面に垂直な方向に超音波パルスを放射するように構成される。よって、好適には、一方の送信機フレックス回路の電極が、
図10の振動子モジュールの向きにおいて、他方の送信機フレックス回路の対応する電極の上にある。
【0106】
好適には、一方の層の受信機フレックス回路の電極が、撮像のために物体に向かう超音波の送信方向(したがって、パルスエコーを受信することができる方向)に、他方の層の受信機フレックス回路の電極と並んで配置される。好都合には、振動子モジュールは、振動子の表面に垂直な方向に超音波パルスを放射するように構成され、振動子の表面に垂直な方向で反射パルスを受信するように構成することができる。よって、好適には、一方の受信機フレックス回路の電極が、
図10の振動子モジュールの向きにおいて、他方の受信機フレックス回路の対応する電極の上にある。
【0107】
次に四層振動子構造で使用するためのフレックス回路について説明する。上述したように、128個の接続部がパルスの送信に利用可能であり、128個の接続部がパルスエコーの受信に利用可能である場合、それらの接続部のうちの32個を各層での送信に、それらの接続部のうちの32個を各層での受信に使用することが好都合である。よって、各々が32個の電極を備えることができる8つのフレックス回路が設けられ得る。そのような各フレックス回路は、フレックス回路コネクタ上に32個のパッドを備えることができる。
【0108】
そのような四層振動子構造の8つのフレックス回路は、
図19に示されるような形態をとり得る。フレックス回路は、各フレックス回路の振動子領域内の電極をフレックス回路コネクタにどのように結合できるかを示すために、この図では4つの電極を含むものとして概略的に示されている。図示のように、フレックス回路コネクタは、1つの縁部に沿って中央に設けられるのではなく、フレックス回路の角の近くに設けられる。これは、8つのフレックス回路がオーバーレイされるときに、各フレックス回路コネクタを振動子の周りに別々に設けることができるようにするためである。これにより、フレックス回路と回路コネクタとの間の接続が容易になる。オーバーレイされている8つのそのようなフレックス回路の例示が
図20に示されている。
【0109】
好適には、一方の層の送信機フレックス回路の電極が、撮像のために物体に向かう超音波の送信方向に、他方の層の送信機フレックス回路の電極と並んで配置される。好都合には、振動子モジュールは、振動子の表面に垂直な方向に超音波パルスを放射するように構成される。よって、好適には、一方の送信機フレックス回路の電極が、
図10の振動子モジュールの向きにおいて、他方の送信機フレックス回路の対応する電極の上または下にある。
【0110】
好適には、一方の層の受信機フレックス回路の電極が、撮像のために物体に向かう超音波の送信方向(したがって、パルスエコーを受信することができる方向)に、他方の層の受信機フレックス回路の電極と並んで配置される。好都合には、振動子モジュールは、振動子の表面に垂直な方向に超音波パルスを放射するように構成され、振動子の表面に垂直な方向で反射パルスを受信するように構成することができる。よって、好適には、一方の受信機フレックス回路の電極が、
図10の振動子モジュールの向きにおいて、他方の受信機フレックス回路の対応する電極の上または下にある。
【0111】
振動子構造の各層は、受信機フレックス回路と送信機フレックス回路とを備え、それらの間に圧電材料が配置される。本明細書の他の箇所で説明されているように、絶縁層も設けられる。
【0112】
図21および
図22を参照して、次に回路コネクタおよびフレックス回路コネクタについて説明する。回路コネクタ1112などの回路コネクタが、
図21の2102に示されている。回路コネクタ2102は平面図で示されている。回路コネクタは、2列の接続部2104を備える。接続部の各列は64個の接続部を備え、合計128個の接続を行うことができる。そのようなコネクタを、フレックス回路内の128個の電極と結合するために使用することができる。対応するフレックス回路コネクタは、2列の64個の接続部を備えることができ、各列は、回路コネクタ2102の接続部と係合するための接続部分の反対側の面にある。
【0113】
あるいは、回路コネクタ2102は、2列の128個の接続部を備えることができる。そのような構成は、すべてフレックス回路コネクタの同じ面に配置された128個の接続部を有するフレックス回路コネクタに結合する場合に有用であり得る。そのようなフレックス回路コネクタの例が、
図22aの2202に示されている。接続部2204は、この例では上面に配置されている。この場合、フレックス回路コネクタ2202を、128個のフレックス回路接続部が128個の回路コネクタ2102接続部と結合することを依然として可能にしながら、どちらの方向にも回路コネクタ2104と結合することができる。この配置により、システムの柔軟性を向上させることができる。
【0114】
上述の例では、4つのフレックス回路が単一の振動子層を形成する。一方の受信機フレックス回路の電極は、回路コネクタ2102のコネクタ1、3、5、...、125、127に結合する。他方の受信機フレックス回路の電極は、回路コネクタ2102のコネクタ2、4、6、...、126、128に結合する。そのようなフレックス回路での使用に適したフレックス回路コネクタの例が
図22bおよび
図22cに示されている。これらの図に概略的に示されるように、フレックス回路コネクタ2206上のパッド2208は、回路コネクタ2102の(例えば)奇数番目の接続部に結合し、フレックス回路コネクタ2210上のパッド2212は、回路コネクタ2102の(例えば)偶数番目の接続部に結合する。やはり、これらの例でも、フレックス回路コネクタ2206、2210上のすべてのパッドが、コネクタの一方の面に設けられる。よって、フレックス回路コネクタは、回路コネクタ2102においてどちらの方向にも使用することができる。
図22bおよび
図22cは、それぞれ、奇数番号または偶数番号のパッドのみを示している。フレックス回路コネクタは、回路コネクタとの接続に使用するためのパッド、すなわち上記の例では奇数番号または偶数番号のパッドのみを備え得る。代替例では、フレックス回路コネクタは、同じ数および配置のパッド、例えば、1列の64個または128個のパッドを備え、パッドの残りは単に使用されないか、または接続されない。これにより、同じ種類のフレックス回路コネクタを複数のフレックス回路で使用することが可能になり得る。これは、製造コストを削減するのに役立ち得る。
【0115】
4つのフレックス回路が2層を形成する場合、上述したように、同じ接続構成を使用され得るが、様々な電極に渡され、様々な電極から受信される信号に対する制御は異なる。このように同じ物理的接続部を使用できることにより、システムのより大きな柔軟性が可能になる。
【0116】
8つのフレックス回路が4層を形成する場合、上述したように、フレックス回路コネクタを、2つのそのようなフレックス回路コネクタが4つの回路コネクタの各々に結合するように構成することができる。この例のフレックス回路コネクタは、32個のパッドを備える。これらの32個のパッドは、好適には、128接続のコネクタの最初の64個の接続部、または128接続のコネクタの最後の64個の接続部のどちらかで32個の接続部に結合する。フレックス回路コネクタの32個のパッドは、例えば、接続部1~32、接続部33~64、接続部1、3、5、...、61、63、接続部2、4、6、...、62、64などに結合し得る。同様に、別のフレックス回路コネクタの32個のパッドも、例えば、接続部65~96、接続部97~128、接続部65、67、69、...、125、127、接続部66、68、70、...、126、128などに結合し得る。
【0117】
好適には、単一の回路コネクタ2102に結合する2つのフレックス回路コネクタは、フレックス回路コネクタの一方がフレックス回路コネクタの他方と比較して反対側の面に接続部を備えるように構成される。この例が
図22dに示されている。図示のように、第1のフレックス回路コネクタ2214は上面に接続部2216を備え、第2のフレックス回路コネクタ2218は下面に接続部2220を備える。この配置により、フレックス回路コネクタと回路コネクタとの間の単純な結合を容易にすることができる。
【0118】
図22の配置では、2つのフレックス回路コネクタには、それらが係合する回路コネクタの幅の約半分の幅が各々与えられている。このようにして、両方のフレックス回路コネクタが、回路コネクタと同時に係合することができる。別の配置が
図23に示されている。この代替的な配置では、各フレックス回路コネクタは、回路コネクタとほぼ同じ幅を有することができる(フレックス回路コネクタの幅は、回路コネクタの幅よりわずかに小さくてもよく、その場合フレックス回路コネクタは、回路コネクタ内に挿入されるように構成される)。フレックス回路コネクタの厚さは、回路コネクタの厚さの約半分、または回路コネクタの厚さの半分未満である。よって、この構成では、フレックス回路コネクタが回路コネクタに並べて挿入されるのではなく、それらを上下に重ねて挿入することができる。
【0119】
好適には、少なくともいくつかの例では、フレックス回路は、それらの例の他のフレックス回路と同じとすることができる。例えば、単層振動子構造が(
図14に示されるように)2つのフレックス回路から形成される場合、両方のフレックス回路を互いに同一とすることができる。これにより、製造および/または組み立てプロセスを簡素化することができる。
【0120】
単層振動子構造が(
図15に示されるように)4つのフレックス回路から形成される場合、少なくとも2つ、好ましくは4つすべてのフレックス回路を互いに同一とすることができる。フレックス回路を、構造で使用するための異なる向きを得るために、必要に応じて回転および反転させることができる。いくつかの例では、4つのフレックス回路のうちの第1および第2を互いに同じとすることができ、4つのフレックス回路のうちの第3および第4を互いに同じとすることができる。これにより、製造および/または組み立てプロセスを簡素化することができる。
【0121】
二層振動子構造が4つのフレックス回路から形成される場合、複数の、好ましくは4つすべてのフレックス回路を互いに同一とすることができる。フレックス回路を、振動子モジュールを形成する際に必要に応じて回転および反転させることができる。これにより、製造および/または組み立てプロセスを簡素化することができる。
【0122】
四層振動子構造が8つのフレックス回路から形成される場合、複数の好ましい8つすべてのフレックス回路を互いに同一とすることができる。フレックス回路を、振動子モジュールを形成する際に必要に応じて回転および反転させることができる。これにより、製造および/または組み立てプロセスを簡素化することができる。
【0123】
場合によっては、フレックス回路は一緒に設けられ得る。例えば、2つのフレックス回路は、少なくとも部分的に一緒に積層され得る。この配置により、組み立てプロセスを簡素化し、2つのそのような積層フレックス回路間の位置ずれを低減させることができる。
図20を参照すると、フレックス回路がどの回路コネクタに結合するかに対応して、フレックス回路を対で一緒に積層することができる。よって、
図20の例では、フレックス回路を、fとc、eとd、hとa、およびgとb、の対として一緒に積層することができる。そのような積層体の一部分の例が
図23に示されている。積層体は、全体として2302で示され、一方のフレックス回路のフレックス回路コネクタを備える上部分2304と、別のフレックス回路のフレックス回路コネクタを備える下部分2306とを備える。上部分2304は、その上面に接続部またはパッドを備える。下部分2306は、その下面に接続部またはパッドを備える。
【0124】
上部分の接続部またはパッドは、ベースフィルム2308上に設けられる。下部分の接続部またはパッドは、別のベースフィルム2310上に設けられる。ベースフィルム2308および他方のベースフィルム2310は、同じ材料のものとすることができる。ベースフィルム2308および/または他方のベースフィルム2310は、ポリイミドを含むことができる。ベースフィルムおよび/または他方のベースフィルムとして使用するのに適した材料の一例が、DuPont(商標)によって販売されているPyralux(商標)APフレキシブル回路材料である。
【0125】
両方のフレックス回路を中間層2312に積層することによって、2つのフレックス回路を一緒に積層することができる。中間層は、好適には補強層である。例えば、中間層は、フレックス回路のいずれよりも大きなヤング率を有し得る。この配置は、積層体にさらなる安定性を提供することができる。中間層は、間隔層としても機能することができる。これにより、上部分の接続部またはパッドが回路コネクタ2102の対応する接続部に接触し、下部分の接続部またはパッドが回路コネクタ2102の対応する接続部に接触することを確実にすることができる。
【0126】
単層振動子構造の電極は、250μmのピッチで提供され得る。二層振動子構造の電極は、500μmのピッチで提供され得る。四層振動子構造の電極は、1000μmのピッチで提供され得る。
【0127】
フレックス回路コネクタパッドのピッチは、単層振動子構造では500μmであり得る。フレックス回路コネクタパッドのピッチは、二層振動子構造では1000μmであり得る。フレックス回路コネクタパッドのピッチは、四層振動子構造では2000μmであり得る。
【0128】
本明細書に記載される装置および方法は、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)などの複合材料の剥離および層間剥離を検出するのに特に適している。これは航空機の整備にとって重要である。また、応力集中部分として機能し得るリベット穴の周りの剥落を検出することもできる。この装置は、はるかに大きな構成要素の小さな領域を撮像することが求められる用途に特に適している。この装置は、軽量で携帯可能であり、使いやすい。この装置は、物体上の必要な場所に配置されるように、オペレータが手で容易に持ち運ぶことができる。
【0129】
一実装形態では、振動子を、例えば、ユーザが表面上でペンを走らせて、簡単な厚さ試験、すなわち、閾値より大きいか否かを行うことを可能にするために、ペン先に形成することができる。ペンのLEDで結果を表示することができる。
【0130】
本明細書の各図に示される構造は、装置内のいくつかの機能ブロックに対応することを意図されている。これは例示のためのものにすぎない。図に例示されている機能ブロックは、装置が実行するように構成されている異なる機能を表しており、それらは、装置内の物理的構成要素間の厳密な分割を定義することを意図されていない。いくつかの機能の性能は、いくつかの異なる物理的構成要素に分割されてもよい。1つの特定の構成要素が、いくつかの異なる機能を果たしてもよい。図は、チップ上のハードウェアの異なる部分間、またはソフトウェア内の異なるプログラム、プロシージャもしくは機能間の厳密な分割を定義することを意図されていない。機能は、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはこれら2つの組み合わせで実行され得る。任意のそのようなソフトウェアは、好ましくは、メモリ(RAM、キャッシュ、FLASH、ROM、ハードディスクなど)または他の記憶手段(USBスティック、フラッシュ、ROM、CD、ディスクなど)といった非一時的コンピュータ可読媒体に格納される。装置は、ただ1つの物理デバイスを備え得るか、またはいくつかの別個のデバイスを備え得る。例えば、信号処理および画像生成の一部は、携帯型の手持ち式デバイスで実行され得、一部は、PC、PDA、またはタブレットなどの別個のデバイスで実行され得る。いくつかの例では、画像生成の全体が別個のデバイスで実行され得る。本明細書に記載される機能ユニットのいずれも、クラウドの一部として実装され得る。
【0131】
本出願人は、本明細書に記載される各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを、そのような特徴または特徴の組み合わせが本明細書で開示される問題を解決するかどうかにかかわらず、特許請求の範囲に限定されずに、そのような特徴または組み合わせが、当業者の一般常識に照らして全体として本明細書に基づいて実行される限りにおいて、本明細書により別個に開示する。本出願人は、本発明の態様が、任意のそのような個別の特徴または特徴の組み合わせからなり得ることを示す。前述の説明を考慮すると、本発明の範囲内で様々な変更が行われ得ることが当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を撮像するための走査装置であって、
物体に向かって第1の方向に超音波信号を送信するように構成された送信機構造と、物体からの反射超音波信号を受信するように構成された受信機構造とを備える超音波振動子であって、
前記送信機構造が、第1の送信素子と第2の送信素子とを備え、前記第1の送信素子と前記第2の送信素子とが前記第1の方向に空間的にオフセットおよび整列されている、超音波振動子、
を備え、
前記走査装置が、超音波信号の前記送信を遅延させるように構成された遅延回路であって、前記遅延回路が、送信素子に超音波信号を送信させるように構成されたトリガ信号を遅延させるように構成されている、遅延回路をさらに備える、走査装置。
【請求項2】
前記受信機構造が、第1の受信素子と第2の受信素子とを備え、前記第1の受信素子と前記第2の受信素子とが前記第1の方向に空間的にオフセットされている、請求項1に記載の走査装置。
【請求項3】
各送信素子が、圧電材料層と、前記送信素子に駆動信号を伝えるための導電材料とを備え、前記走査装置が、前記送信素子の前記導電材料を、前記圧電材料を駆動して超音波信号を発生させるための信号ドライバに結合するように構成されている、請求項1または2に記載の走査装置。
【請求項4】
各受信素子が、圧電材料層と、前記受信素子からの受信信号を伝えるための導電材料とを備え、前記走査装置が、前記受信素子の前記導電材料を、前記受信信号を処理するための信号プロセッサに結合するように構成されている、請求項2または3に記載の走査装置。
【請求項5】
前記振動子が複数の振動素子を備え、前記振動素子の各々が、前記複数の送信素子のうちのそれぞれの送信素子を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項6】
前記振動素子の各々が、前記複数の受信素子のうちのそれぞれの受信素子を備える、請求項5に記載の走査装置。
【請求項7】
前記複数の振動素子のうちの1つまたは複数の前記送信素子および前記受信素子が、共通の圧電材料層を備える、請求項5または6に記載の走査装置。
【請求項8】
前記送信機構造内の連続する各送信素子の間に絶縁層が設けられており、前記絶縁層がポリイミドを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項9】
前記走査装置からの超音波信号を物体の内外に結合するための結合材料をさらに備え、前記結合材料が、
エラストマー、
熱可塑性ポリマー、および
架橋ポリマー
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項10】
前記走査装置が、前記結合材料と前記振動子との間を封止するためのシールを備える、請求項9に記載の走査装置。
【請求項11】
前記走査装置が、前記振動子の前面から遠い送信素子からの超音波信号の前記送信と比較して、前記振動子の前記前面に近い送信素子からの超音波信号の前記送信を遅延させるように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項12】
前記送信機構造が、単一の信号ドライバに結合するように構成された送信素子の複数の層を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項13】
前記送信機構造が、送信素子の複数の層を備え、前記複数の層の各層が、それぞれの信号ドライバに結合するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項14】
前記複数の層の層ごとの送信機チップを備える、請求項13に記載の走査装置。
【請求項15】
前記走査装置が、0.5MHzまでのエネルギーを伝達するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項16】
送信機回路コネクタを有するフレキシブル送信機回路および受信機回路コネクタを有するフレキシブル受信機回路であって、前記フレキシブル送信機回路が前記第1の送信素子を備える、フレキシブル送信機回路およびフレキシブル受信機回路と、
前記フレキシブル回路に結合するための複数の回路であって、各回路がそれぞれの回路コネクタを備える、複数の回路と
を備え、前記送信機回路コネクタが、前記複数の回路の第1の回路の第1の回路コネクタと係合するように構成されており、前記受信機回路コネクタが、前記複数の回路の第2の回路の第2の回路コネクタと係合するように構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項17】
前記第1の回路と前記第2の回路とが、互いに結合されている、請求項16に記載の走査装置。
【請求項18】
それぞれの送信機回路コネクタを各々有する複数のフレキシブル送信機回路であって、前記それぞれの送信機回路コネクタが前記第1の回路コネクタと係合するように構成されている、複数のフレキシブル送信機回路、および/または
それぞれの受信機回路コネクタを各々有する複数のフレキシブル受信機回路であって、前記それぞれの受信機回路コネクタが前記第2の回路コネクタと係合するように構成されている、複数のフレキシブル受信機回路
を備える、請求項16または17に記載の走査装置。
【請求項19】
ヒートシンクを備え、前記複数の回路のうちの少なくとも前記第1の回路が前記ヒートシンクに隣接して設けられている、請求項16から18のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項20】
前記第1の回路コネクタが、前記第1の回路の前記ヒートシンクと反対に面する側に設けられている、請求項19に記載の走査装置。
【請求項21】
前記送信機回路コネクタおよび前記受信機回路コネクタの少なくとも一方が、前記それぞれのフレキシブル回路の導電ラインとの電気的接続を可能にするための一連のパッドを備え、前記パッドが、前記それぞれのコネクタ上に互い違いのレイアウトで設けられている、請求項16から20のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項22】
電極を各々有する複数のフレキシブル送信機回路であって、前記電極を交互配置するように、前記複数のフレキシブル送信機回路のうちの1つの前記電極が、前記複数のフレキシブル送信機回路の別のものの前記電極間のギャップに覆い被さっている、複数のフレキシブル送信機回路、および/または
電極を各々有する複数のフレキシブル受信機回路であって、前記電極を交互配置するように、前記複数のフレキシブル受信機回路のうちの1つの前記電極が、前記複数のフレキシブル受信機回路の別のものの前記電極間のギャップに覆い被さっている、複数のフレキシブル受信機回路
を備える、請求項16から21のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項23】
複数のフレキシブル回路のフレキシブル回路コネクタが、単一の回路コネクタと同時に係合するように構成されている、請求項16から22のいずれか一項に記載の走査装置。
【請求項24】
前記複数のフレキシブル回路の前記フレキシブル回路コネクタが一緒に積層されており、前記積層部分が前記単一の回路コネクタと係合するように構成されている、請求項23に記載の走査装置。
【国際調査報告】